[go: up one dir, main page]

JPH0876419A - 二成分系現像剤用トナー - Google Patents

二成分系現像剤用トナー

Info

Publication number
JPH0876419A
JPH0876419A JP6207444A JP20744494A JPH0876419A JP H0876419 A JPH0876419 A JP H0876419A JP 6207444 A JP6207444 A JP 6207444A JP 20744494 A JP20744494 A JP 20744494A JP H0876419 A JPH0876419 A JP H0876419A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
particles
wax
weight
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6207444A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatomi Funato
正富 船戸
Yoshitake Shimizu
義威 清水
Seijirou Ishimaru
聖次郎 石丸
Norio Kubo
憲生 久保
Kazuya Nagao
一也 永尾
Terumichi Asano
照道 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mita Industrial Co Ltd filed Critical Mita Industrial Co Ltd
Priority to JP6207444A priority Critical patent/JPH0876419A/ja
Priority to EP95305609A priority patent/EP0703505B1/en
Priority to DE69510740T priority patent/DE69510740T2/de
Priority to KR1019950027432A priority patent/KR960008440A/ko
Priority to CN95115386A priority patent/CN1126847A/zh
Publication of JPH0876419A publication Critical patent/JPH0876419A/ja
Priority to US08/658,725 priority patent/US5750301A/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 定着用樹脂および該樹脂中に分散された磁性
粉末を含有するトナー粒子を含む二成分系現像剤用トナ
ー。トナー粒子中の定着用樹脂は、(1)アニオン性極
性基を有しワックスがグラフト化された部分を有する重
合体、および(2)アニオン性極性基を有する重合体と
ワックスがグラフト化された部分を有する重合体から成
る組成物の少なくとも一方を含む組成物でなる。磁性粉
末は、定着用樹脂100重量部に対して0.1から5重
量部の割合で該トナー粒子中に含有される。 【効果】 帯電性が充分であり、複写時にトナーが飛散
することがなく、転写効率が充分であり、必要とされる
濃度の複写画像が長時間にわたり安定して得られるトナ
ーが提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二成分系現像剤用トナー
に関し、より詳細には、帯電制御剤を含有しないにもか
かわらず、転写効率が良く、長時間にわたり所望の濃度
の複写画像が得られる長寿命のトナーであり、静電式複
写機、レーザービームプリンタなどの電子写真式画像形
成装置において好適に用いられる、二成分系現像剤用ト
ナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真式画像形成装置において、感光
体上の静電潜像を現像するための現像剤のひとつとし
て、二成分系の現像剤が用いられている。この二成分系
現像剤は、カーボンブラックなどの着色剤および定着用
樹脂を含むトナーと、鉄粉、フェライト粒子などを含む
磁性キャリアとを含有する。
【0003】現像時においては、このトナーとキャリア
とを混合することによりトナーを所定の極性に帯電さ
せ、次いでこの混合物は磁気ブラシの形で感光体に搬送
される。感光体はこの磁気ブラシにより摺擦され、感光
体表面の静電潜像にトナーが付着する。付着するトナー
量を一定にし、安定した画像を提供するためトナーに所
定の帯電量を与えるべく、トナー粒子中には帯電制御剤
が含有されるのが一般的である。負帯電性のトナーに
は、クロムのような金属を含有する含金属錯体染料(例
えばアゾ系染料)、オキシカルボン酸金属錯体(例えば
サリチル酸金属錯体)などの負電荷制御剤が使用され
(特開平3−67268号公報)、そして正帯電性のト
ナーにはニグロシンのような油溶性染料、アミン系制御
剤などの正電荷制御剤が使用されている(特開昭56−
106249号公報)。
【0004】従来より使用されている帯電制御剤は、ク
ロム含有錯体のように重金属を含有する化合物が多い。
そしてこれらの使用に際しては、環境安全性の観点から
各種毒性テストや安全テストをクリアした化合物が選択
されている。しかし、化合物として、あるいはトナー中
に含有させた形態での安全性には問題がないにしても、
これら重金属を含有する帯電制御剤の使用をさけること
は一層望ましいと考えられる。さらに、帯電制御剤はト
ナーを構成する材料である定着用樹脂やカーボンブラッ
クなどの着色剤に比べて単価が高いため、数%程度の含
有率にもかかわらず、トナーの単価を押し上げている。
従って、このような重金属を含有する帯電制御剤を含有
しないトナーの開発が望まれている。
【0005】さらに、従来のトナーにおいては、長時間
の使用によりキャリアの粒子表面にトナー成分が付着す
るスペントを生じ、そのためにキャリアの粒子表面の帯
電状態がトナー粒子表面の帯電状態に類似してくる。そ
の結果、トナー飛散の発生や転写効率の低下が引き起こ
されるという欠点も存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するものであり、その目的とするところは、
帯電制御剤を全く含有していないにもかかわらずトナー
が良好な帯電性能を有するため、トナーの飛散が少なく
かつ画像品質に優れた二成分系現像剤用トナーを提供す
ることにある。本発明の他の目的は、長期間の使用にお
いてもスペントを起こさず、その結果、良好な画像品質
を維持し、転写効率が安定し得る二成分系現像剤用トナ
ーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、定着用樹脂お
よび該樹脂中に分散された磁性粉末を含有する二成分系
現像剤用トナーであって;該定着用樹脂は、(1)アニ
オン性極性基を有しワックスがグラフト化された部分を
有する重合体、および(2)アニオン性極性基を有する
重合体とワックスがグラフト化された部分を有する重合
体から成る組成物の少なくとも(1)、(2)の一方を
含む組成物でなり;そして、該磁性粉末は、該定着用樹
脂100重量部に対して0.1から5重量部の割合で該
トナー粒子中に含有され;そのことにより上記目的が達
成される。
【0008】好適な実施態様においては、上記トナーを
メタノールで抽出したときの抽出液は280から350
nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、かつ400
から700nmの領域における吸光度は実質的にゼロで
ある。
【0009】好適な実施態様においては、上記磁性粉末
は、前記定着用樹脂100重量部に対して0.5から3
重量部の割合で含有される。
【0010】好適な実施態様においては、上記トナー粒
子の体積基準平均粒径は5から15μmであり、該トナ
ー粒子表面には体積基準平均粒径が0.05から1.0
μmのスペーサー粒子が付着している。
【0011】
【作用】本発明の二成分系現像剤用トナーは、アゾ系染
料、オキシカルボン酸金属錯体などの帯電制御剤をいっ
さい含有しない。従って、後述のように帯電制御剤に起
因するスペントが発生しないため長期間にわたり高画像
品質の複写が行われ得る。このトナーは帯電制御剤をい
っさい含有しないため、該トナーからはあらゆる化学的
あるいは物理的手段によってもこのような帯電制御剤、
つまり染料系の化合物は全く検出されない。例えば本発
明のトナーからは、これらの化合物は化学反応により検
出されない。あるいは、本発明のトナーの有機溶媒抽出
液からは、これらの化合物に起因する吸光度のピークが
全く検出されない。例えば本発明のトナーを有機溶媒、
例えばメタノールで抽出すると、該抽出液は、280〜
350nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、かつ
400〜700nmの領域における吸光度が実質的にゼ
ロである。ここで実質的に吸収ピークを有さずとは、ト
ナー0.1gをメタノール50mlで抽出した抽出液に
ついて、吸収ピークが全く検出されないか、検出された
としてもそのピーク位置における吸光度が0.05以下
であることをいう。同様に、吸光度が実質的にゼロであ
るとは、トナー0.1gをメタノール50mlで抽出し
た抽出液の吸光度が0.05以下であることをいう。
【0012】本発明の二成分系現像剤用トナーにおいて
は、上記帯電制御剤が含有されないことに起因する帯電
量の不安定性を次の事柄により補っている。まずその第
1にはトナー粒子中の定着用樹脂にアニオン性極性基を
有する重合体を用いることであり、第2には、トナー粒
子中に磁性粉末を所定の割合で含有させることである。
本発明においては、さらにトナーの機能を高めるため
に、ワックスがグラフト化された部分を有する重合体を
用いており、そのことによりワックスの分散が向上し、
ワックスのスペント性が改善され、耐久性等が向上す
る。さらに必要に応じて、トナー粒子の表面に所定の粒
径のスペーサー粒子を付着させることにより、感光体か
ら転写紙上への転写効率が高められる。
【0013】上記について、以下に詳細に説明する。
【0014】本発明のトナーのメタノール抽出液の20
0〜700nmの領域における吸光度曲線を図1に示
す。この曲線に示されるように、この抽出液は各帯電制
御剤に起因するピークを全く有していない。つまり28
0〜350nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、
かつ400〜700nmの領域における吸光度が実質的
にゼロである。これに対してアゾ系クロム錯塩染料を帯
電制御剤として含有するトナーのメタノール抽出液の吸
光度曲線は400〜700nm、特に550〜570n
mの範囲の領域にピークを有し(図2)、そして、サリ
チル酸金属錯体を帯電制御剤として含有するトナーのメ
タノール抽出液の吸光度曲線は280〜350nmの範
囲の領域にピークを有する(図3)。
【0015】上記帯電制御剤を含有するトナーのメタノ
ール抽出液に、帯電制御剤に起因する吸収が認められる
ということは、トナー粒子表面に帯電制御剤がかなりの
高濃度で存在しているためである。
【0016】スペントの発生によりキャリアの帯電性が
不充分となった現像剤のキャリアをメタノール抽出し、
その400〜700nmの領域における吸光度を調べる
と、その領域において、帯電制御剤に起因するピークが
認められる。例えば、図2に、その吸光度曲線が示され
る、アゾ系クロム錯塩染料を含有するトナーを長時間使
用し、スペントが発生したときの、そのキャリアのメタ
ノール抽出液の吸光度曲線を図4に示す。図4において
は、図2における帯電制御剤と同様の位置にピークが認
められる。従来においては、スペントは、トナーの定着
用樹脂がキャリアの粒子表面に付着して樹脂膜を形成す
るために生じると考えられていたが、上記事実により、
スペント発生の主な原因のひとつは帯電制御剤のトナー
粒子からのキャリアの粒子表面への移行にあるというこ
とがわかった。
【0017】発明者らは、さらに帯電制御剤とスペント
との関係を調べるために、次の実験を行った。まず帯電
制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を1.5重量%の割
合で含有するトナー粒子を有するトナーと、キャリアと
を混合し、現像剤とした。この現像剤のトナーとキャリ
アとの混合・攪拌操作を続けたときの経過時間とスペン
トによりキャリアの粒子表面に付着した付着物の重量と
の関係を図5に示す。付着物の重量は、付着物を有する
キャリアの総重量に対する百分率でスペント率として図
5に示す。さらに、経過時間とトナーの帯電量との関係
を図6に示す。さらに上記帯電制御剤を含有しないトナ
ー粒子を有するトナーとキャリアとを含む現像剤につい
ても、同様の測定を行った。その結果もあわせて図5お
よび6に示す。図5および6において、黒丸のプロット
は帯電制御剤を含有するトナーの測定値、白丸のプロッ
トは帯電制御剤を有していないトナーの測定値を示す。
図5および6から帯電制御剤を含有するトナーは帯電制
御剤を含有しないトナーに比べて、スペントによりキャ
リアの粒子表面に付着物が多く形成され、帯電量の低下
の度合も大きいことがわかる。
【0018】スペントによりキャリアの粒子表面に付着
したトナー成分の重量を経時的に測定し、これを横軸に
(スペント量として示す)、そしてそのトナー成分中に
おける帯電制御剤の量を縦軸にとったグラフを図7に示
す。点線は、スペントにより付着したトナー成分が、ト
ナー粒子を形成する成分と同一であると仮定した場合に
おける帯電制御剤の量を示す。図7から、現像剤使用の
初期において帯電制御剤が大量に析出し、キャリアの粒
子表面に付着することがわかる。図7において、スペン
ト量の増大に伴って、測定値が点線で示される計算値に
近づくのは、これがトナーの補給のない閉鎖系での実験
結果であるためであり、複写機内でのトナーの入れ換え
がある場合には、両者の差は、さらに広がると考えられ
る。
【0019】さらに発明者らは、トナー粒子を構成して
いる成分とスペントとの関係を調べるため、帯電制御
剤、定着用樹脂、着色剤であるカーボンブラック、およ
びワックスと、キャリアとを各々混合・攪拌したときの
時間経過により生じたキャリアの粒子表面の付着物の重
量を測定した。その結果を図8に示す。図8において、
白丸は帯電制御剤、黒丸はカーボンブラック、四角は定
着用樹脂、そして三角はワックスを用いて試験を行った
ときの結果を示す。図8から帯電制御剤が最もスペント
によるキャリアの粒子表面への付着を起こしやすいこと
がわかる。
【0020】以上の事実から従来の二成分系磁性現像剤
のスペントによる帯電不良は次のように説明される。ま
ず、図9の上部に示すように現像剤の使用初期において
は、キャリアの粒子1がプラスに、そしてトナー2がマ
イナスに帯電しており、トナーは、負極性トナー21と
して存在している。この現像剤を使用しているとトナー
粒子中の帯電制御剤を主成分とするトナー成分が、キャ
リアの粒子1の表面に付着する。このスペントにより形
成された付着物201はマイナスに帯電するためこの付
着物201に対してプラスの電荷を有するトナー、つま
り逆極性トナー22が形成される。この逆極性トナー2
2がキャリアの粒子1表面に形成されるためトナー飛散
が発生したり、転写効率が低下する。
【0021】このように帯電制御剤は、上記のように、
重金属を含有する場合もあるため含有されないことが好
ましく、さらに上記のようにスペントの主な原因とな
り、トナー飛散の発生、転写効率の低下などを引き起こ
すため、本発明のトナーにおいては、この帯電制御剤を
全く含有しない。
【0022】この帯電制御剤を含有しないことに伴う帯
電量の不安定性、主として帯電量の不足は、上記のよう
に、第1にはアニオン性極性基を有する定着性樹脂をト
ナーに用いることにより補われる。アニオン性極性基に
より定着用樹脂自体に負電荷が付与されるためトナー粒
子の帯電量の不足が補われる。この極性基は樹脂自体の
骨格に結合して存在するため、帯電制御剤のようにキャ
リアの粒子表面に移行し、スペントの原因となることは
ない。しかし逆に、トナー粒子の表面付近の帯電性は、
それ程大きくないので、現像時の磁気ブラシにおけるト
ナー粒子とキャリアの粒子とのクーロン力による結合は
未だ不充分である。従って、高速複写が行われるとキャ
リアの粒子との結合性が弱いため、トナーの飛散が充分
に抑制されない。トナーの飛散により複写機内が汚染さ
れ、複写物の画像にいわゆるカブリを生じるという欠点
がある。
【0023】本発明においては、上記のように第2の要
件としてトナー粒子中に磁性粉末を所定の割合で、つま
り定着用樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の
割合で含有させることを採用しており、このことにより
トナー粒子の帯電量の不足を補っている。トナー粒子中
に磁性粉末が含有されるため、トナー粒子とキャリアの
粒子との間に磁気的な吸引力が生じる。このようにトナ
ー粒子とキャリアの粒子との間のクーロン力に加えて磁
気的な吸引力が生じるため、トナーの飛散が防止され
る。一般にトナー粒子1個あたりの帯電量が少ない程、
所定の静電潜像に付着するトナー粒子の数が増加するの
で、みかけの現像感度が増大する。
【0024】上記磁性粉末のトナー粒子中の含有量は、
前述のように定着用樹脂あたり0.1〜5重量部であ
る。磁性粉末の含有量が0.1重量部を下まわると上記
のようにトナーの帯電量が不充分であるため、キャリア
の粒子と充分に結合せず、そのためトナーが飛散しやす
い。つまり複写物の画像に、いわゆるカブリを生じると
いう欠点がある。帯電量が不充分であるため、画像濃度
も低い。磁性粉末の含有量が5重量部を上まわるとキャ
リアの粒子とトナー粒子との結合力が大きくなりすぎ、
そのため静電潜像に充分にトナーが付着せず、その結
果、画像濃度が低くなる。
【0025】これまでに画像の解像度の向上などを目的
としてトナー粒子中に磁性粉末を含有させる(内添す
る)試みがなされている。例えば特開昭56−1062
49号公報には、10重量%のフェライトを含有するト
ナー粒子が開示され、特開昭59−162563号公報
には、5〜35重量%の磁性微粉末を含有するトナー粒
子が開示されている。しかし、いずれの場合においても
磁性粉末の量が過剰であるため、得られる複写物の画像
濃度が低くなる。特開平3−67268号公報には磁性
粉末を0.05〜2重量%の割合で外添したトナーが開
示されている。しかし、磁性粉末は、トナー粒子中に内
添されていないのでトナー粒子表面に不均一に付着しや
すく、トナー粒子とキャリアの粒子との間の磁気的吸引
力が不足する。上記いずれの従来技術においてもトナー
中に帯電制御剤が含有されているためスペントが生じる
などの問題を生じ得る。
【0026】本発明においては、トナー粒子の定着用樹
脂として、ワックスがグラフト化された部分を有する重
合体を用いる。ワックスを重合体中にグラフト化させる
ことにより、定着用樹脂との相溶性が良くなり、ワック
スの分散性が向上する。その結果、このトナー粒子をキ
ャリアの粒子と混合して得られるトナーを長期間使用し
ても、ワックスがスペントによりキャリアの粒子表面に
付着することは極めて少ない。
【0027】これに対して、ワックスをグラフト化して
いない定着用樹脂とワックスとを配合して得られたトナ
ー粒子では、定着用樹脂とワックスとのSP値(溶解性
パラメーター)が異なるため相溶性が悪く、ワックスが
樹脂中に充分に分散しない。そのため、得られるトナー
粒子には、ワックスが比較的大きな粒子状で不均一に存
在し、トナー粒子表面にもワックスの粒子が存在してい
る。従って、このようなトナー粒子を使用すると、キャ
リアの粒子表面にワックスがスペントとして付着し易
い。
【0028】本発明においては、さらにトナー像の転写
効率を高めるため、好ましくはトナー粒子表面に、粒径
が0.05〜1.0μmのスペーサー粒子を付着させ
る。このスペーサー粒子は、トナー粒子の流動性改良剤
として作用し得るとともに感光体の静電潜像に付着した
ときに感光体とトナー粒子との間に間隙を形成する。そ
のため長時間の複写によりトナーの帯電量が高くなった
としてもトナーが感光体表面から容易に転写され得るた
め転写効率が高くなる。このスペーサー粒子がトナー粒
子に内添されるのと同様の磁性粉末の粒子である場合に
は、トナー粒子とキャリアの粒子との結合能力がより高
くなり、トナー飛散やカブリをより低減できる。
【0029】従来のトナーの流動性改良剤として粒径
0.015μm程度の微粒子が外添剤として用いられて
いるが、この様な粒子は感光体とトナー粒子との間に充
分な間隙を形成しないため上記の目的のスペーサー粒子
としては機能しない。
【0030】
【発明の好適態様】以下に、本発明の好適態様について
記載する。以下、本明細書において「低級アルキル基」
とは、炭素数1〜5のアルキル基をさしていう。
【0031】(定着用樹脂)本発明の二成分系現像剤用
トナーのトナー粒子に含まれる定着用樹脂は、以下の
(1)および(2)の少なくとも一方を含有する組成物
でなる:(1)アニオン性極性基を有しワックスがグラ
フト化された部分を有する重合体、および(2)アニオ
ン性極性基を有する重合体とワックスがグラフト化され
た部分を有する重合体から成る組成物。
【0032】上記(1)の重合体は、アニオン性極性基
を有する単量体を含む単量体を重合する時に、ワックス
を添加することにより得られる。上記(2)の組成物に
おいて、アニオン性極性基を有する重合体は、アニオン
性極性基を有する単量体を含む単量体を重合することに
より得られ、得られる樹脂は単独重合体であっても、共
重合体であってもよい。上記(2)の組成物において、
ワックスがグラフト化された部分を有する重合体は、ア
ニオン性極性基を有さない他の単量体を重合する時に、
ワックスを添加することにより得られる。
【0033】本明細書において、ワックスがグラフト化
された部分を有する重合体のワックスに由来する部分
を、ワックス部分とよぶ。ワックスがグラフト化された
部分を有する重合体は、使用される単量体の一部にワッ
クスを添加して重合させた反応物を、さらに残りの単量
体と重合させることによって調製されたものであり得
る。また、使用される単量体の一部または全部を重合さ
せた反応物を、さらにワックスを添加して重合させるこ
とによって調製されたものであり得る。
【0034】本発明の定着用樹脂は、好適には、上記
(1)の重合体であって、アニオン性極性基を有する単
量体と他の単量体とを重合する時にワックスを添加して
得られる、ワックスがグラフト化された部分を有する重
合体を含有する組成物でなる。アニオン性極性基を有す
る単量体としては、カルボン酸基、スルホン酸基、また
はホスホン酸基を有する単量体が挙げられ、カルボン酸
基を有する単量体が汎用される。カルボン酸基を有する
単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸が用いら
れ、それには、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマール酸などがあり、無水マレイン
酸のようなカルボン酸基を形成し得る単量体、あるいは
マレイン酸やフマール酸のようなジカルボン酸の低級ア
ルキルハーフエステルも使用され得る。スルホン酸基を
有する単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げ
られる。ホスホン酸基を有する単量体としては、2−ア
シッドホスホキシプロピルメタクリレート、2−アシッ
ドホスホキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−
アシッドホスホキシプロピルメタクリレートなどが挙げ
られる。
【0035】これらのアニオン性極性基含有単量体は、
遊離の酸であっても、ナトリウム、カリウムなどのアル
カリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土
類金属、亜鉛などの塩であってもよい。
【0036】上記アニオン性極性基を有さない他の単量
体は、得られる重合体がトナーに要求される定着性と帯
電性とを有するように選択され、エチレン性不飽和結合
を有する単量体の1種またはそれ以上の組み合わせが使
用される。このような単量体としては、アクリルエステ
ル系単量体、モノビニル芳香族系単量体、ビニルエステ
ル系単量体、ビニルエーテル系単量体、ジオレフィン系
単量体、モノオレフィン系単量体などがある。
【0037】アクリルエステル系単量体は、次の一般式
(I)で示される:
【0038】
【化1】
【0039】ここで、R1は水素原子または低級アルキ
ル基、R2は炭素数11以下の炭化水素基または炭素数
11以下のヒドロキシアルキル基である。
【0040】このような単量体としては、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−
ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル
酸プロピル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒ
ドロキシメタクリル酸エチルなどがある。
【0041】モノビニル芳香族系単量体は、次の一般式
(II)で示される:
【0042】
【化2】
【0043】ここで、R3は水素原子、低級アルキル基
またはハロゲン原子であり、R4は水素原子、低級アル
キル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、ニト
ロ基などであり、Φはフェニレン基である。
【0044】このような単量体としては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレ
ン、o−、m−、またはp−クロロスチレン、p−エチ
ルスチレンなどがある。
【0045】ビニルエステル系単量体は、次の一般式
(III)で示される:
【0046】
【化3】
【0047】ここで、R5は水素原子または低級アルキ
ル基である。
【0048】このような単量体としては、ギ酸ビニル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどがある。
【0049】ビニルエーテル系単量体は、次の一般式
(IV)で示される:
【0050】
【化4】
【0051】ここで、R6は炭素数11以下の1価の炭
化水素基である。
【0052】このような単量体としては、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチル
エーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキ
シルエーテルなどがある。
【0053】ジオレフィン系単量体は、次の一般式
(V)で示される:
【0054】
【化5】
【0055】ここで、R7、R8、およびR9は各々独立
して水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子であ
る。
【0056】このような単量体としては、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレンなどがある。
【0057】モノオレフィン系単量体は、次の一般式
(VI)で示される:
【0058】
【化6】
【0059】ここで、R10、およびR11は各々独立して
水素原子または低級アルキル基である。
【0060】このような単量体としては、エチレン、プ
ロピレン、イソブチレン、ブテン−1、ペンテン−1、
4−メチルペンテン−1などがある。
【0061】上記アニオン性極性基を有する単量体およ
び/または他の単量体を重合する時に添加されるワック
スは、通常トナーに使用される離型剤から選択される。
すなわち、本願明細書において、ワックスとは、各種の
天然ワックス類およびオレフィン系樹脂などを含む。オ
レフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、プロピレン−エチレン共重合体などが挙げられる。
特にポリプロピレンが好適に用いられる。
【0062】ワックスがグラフト化された部分を有する
重合体のワックス部分は、通常トナーに使用される離型
剤と同様に、熱定着時のトナーのオフセットを防止する
働きを有する。
【0063】ワックスの使用量は、定着用樹脂100重
量部中にあって上記ワックスがグラフト化された部分を
有する重合体中のワックス部分の重量部数が0.01〜
6重量部、好ましくは0.1〜4重量部となるように選
択される。ワックス部分の重量が0.01重量部を下ま
わると、熱定着時の耐オフセット性が不十分な場合があ
り、6重量部を上まわると帯電不良が発生し、耐久性が
低下するという問題が生じる。
【0064】ワックスの分子量は特に限定されないが、
平均分子量で、好ましくは2,000〜16,000の
範囲から、より好ましくは3,000〜6,000の範
囲から選択される。
【0065】上記単量体を重合して得られる(共)重合
体であるアニオン性極性基を有する重合体の具体例とし
ては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレ
イン酸共重合体、アイオノマー樹脂などがある。さら
に、アニオン性極性基を有するポリエステル樹脂などを
用いることができる。同様に、上記単量体の重合時にワ
ックスを添加して得られる、ワックスがグラフト化され
た部分を有する重合体は、そのワックス部分以外の部分
として、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マ
レイン酸共重合体、アイオノマー樹脂などに相当する部
分構造を有し得る。
【0066】アニオン性極性基を有しワックスがグラフ
ト化された部分を有する重合体は、アニオン性極性基が
遊離酸の形で存在する場合には、その酸価が2〜30、
好ましくは5〜15となるような割合でアニオン性極性
基を有していることが望ましい。アニオン性極性基を有
する重合体とワックスがグラフト化された部分を有する
重合体から成る組成物においては、その酸価は、組成物
全体として上記範囲にあることが望ましい。アニオン性
極性基の一部または全部が中和されている場合には、そ
れが遊離酸の形で存在したときに上記酸価を有するよう
な割合でアニオン性極性基を有することが好ましい。上
記重合体または組成物の酸価、つまりアニオン性極性基
の濃度、が上記範囲よりも低いときには、トナーの帯電
性が不充分であり、逆に上記範囲よりも高いと、トナー
が吸湿性を有するため、好ましくない。好適な定着用樹
脂には、上記のアニオン性極性基を有する単量体と、ワ
ックスと、式(I)のアクリル系単量体の少なくとも1
種を必須成分として含有し、必要に応じて、式(II)か
ら式(VI)の単量体を任意成分として含有する共重合体
が用いられる。上記各単量体は、上記樹脂を調製するた
めに1種または2種以上が組み合わせて用いられ得る。
【0067】本発明に用いられる定着用樹脂には、上記
のように、(1)アニオン性極性基を有しワックスがグ
ラフト化された部分を有する重合体、および(2)アニ
オン性極性基を有する重合体とワックスがグラフト化さ
れた部分を有する重合体から成る組成物の少なくとも一
方を含む組成物が用いられる。この組成物中には、さら
に、アニオン性極性基およびワックスがグラフト化され
た部分を有さない重合体が含有されていてもよい。その
場合には、組成物全体としてのアニオン性極性基の含有
割合は、好適には上記範囲にある。
【0068】(磁性粉末)トナー粒子に含有(内添)さ
れる磁性粉末としては、従来において一成分系の磁性ト
ナーに使用されている磁性粉末のいずれもが用いられ得
る。磁性粉末の素材としては、例えば、四三酸化鉄(F
34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛
(ZnFe24)、酸化鉄イットリム(Y3Fe
512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄
ガドリウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe2
4)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル
(NiFe24)、酸化鉄ネオジウム(NdFe
3)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マ
グネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnF
24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄(F
e)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが用い
られ得る。特に好適な磁性粉末は微粒子状四三酸化鉄
(マグネタイト)である。好適なマグネタイトは正8面
体状で、粒子径が0.05〜1.0μmである。このマ
グネタイト粒子は、シランカップリング剤、チタン系カ
ップリング剤などで表面処理されていてもよい。トナー
粒子に含有される磁性粉末の粒子径は、一般に1.0μ
m以下、好ましくは0.05〜1.0μmである。
【0069】上記磁性粉末のトナー粒子中の含有量は、
定着用樹脂100重量部あたり、0.1〜5重量部、好
ましくは0.5〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜
3重量部である。磁性粉末の量が過少であると前述のよ
うに、現像時におけるトナーの飛散が生じたり、転写効
率が低下する。
【0070】(トナー粒子中の配合剤)トナー粒子は、
上記のように、定着用樹脂および磁性粉末を必須成分と
して含有し、さらに必要に応じて通常トナー中に配合さ
れ得る配合剤を含有させることができる。
【0071】配合剤としては、着色剤、離型剤などがあ
る。
【0072】着色剤としては、例えば次の顔料が使用さ
れ得る。
【0073】黒色顔料 カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラッ
ク、アニリンブラック。
【0074】体質顔料 バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイト
カーボン、タルク、アルミナホワイト。
【0075】上記顔料は、定着用樹脂100重量部に対
して、通常2〜20重量部、好ましくは5〜15重量部
の量で使用される。
【0076】離形剤としては、上記ワックスがグラフト
化された部分を有する重合体の調製に用いられるワック
スとは別に、各種ワックス類やオレフィン系樹脂などが
使用され得る。
【0077】(トナーの調製)本発明のトナーに用いら
れるトナー粒子は、トナー粒子製造のための一般的な方
法、例えば、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法
および重合法により製造され得、通常、粉砕分級法によ
り製造される。
【0078】例えば、上記トナー粒子を形成するための
成分を、ヘンシェルミキサーなどの混合機で前混合した
のち、二軸押出機などの混練装置を用いて混練し、これ
を冷却した後、粉砕し、分級してトナー粒子とする。ト
ナー粒子の粒径は、一般に体積基準平均粒径(コールタ
ーカウンターによるメジアン径)が5〜15μm、特に
7〜12μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0079】トナー粒子の表面には、外添剤として必要
に応じて疎水性気相法シリカ粒子などの流動性改良剤を
付着させてトナーの流動性を改善することができる。上
記シリカ粒子などの流動性改良剤の粒子径は通常、一次
粒子径が約0.015μm程度であり、トナーの総重
量、つまりトナー粒子と外添剤との合計重量あたり0.
1〜2.0重量%の量で外添される。
【0080】さらに本発明においては、好適には、上記
流動性改良剤粒子よりも大きい粒径のスペーサー粒子が
外添される。このスペーサー粒子としては、0.05〜
1.0μm、好ましくは0.07〜0.5μmの有機ま
たは無機の不活性粒子のいずれもが用いられ得る。この
ような不活性粒子の素材としては、シリカ、アルミナ、
酸化チタン、炭酸マグネシウム、アクリル樹脂、スチレ
ン樹脂、磁性材料などが挙げられる。このスペーサー粒
子は、流動性改良剤として機能し得るとともに、前述の
ように転写効率を高める働きを有する。スペーサー粒子
としては、一般には、上記トナー粒子に含有されるのと
同様の磁性粉末、特に微粒子状四三酸化鉄(マグネタイ
ト)粒子を使用するのが好ましい。スペーサー粒子とし
て磁性粉末の粒子を用いると、前述のようにトナー飛散
に対して有効に作用する。スペーサー粒子は、トナーの
総重量あたり10重量%以下、好ましくは0.1〜10
重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の量で含有
される。過剰であると複写画像の濃度が不充分となる。
スペーサー粒子として磁性粉末を使用する場合には、ト
ナー粒子内に含有される磁性粉末との合計量が、定着用
樹脂100重量部に対して10重量部以下であることが
望ましい。過剰であると画像濃度が低くなる場合があ
る。
【0081】流動性改良剤およびスペーサー粒子をトナ
ー粒子に外添するには、例えば流動性改良剤とスペーサ
ー粒子とを充分に混合し、この混合物をトナー粒子に添
加して充分に解砕するのがよい。これによりスペーサー
粒子は、トナー粒子表面に付着する。ここで、付着と
は、粒子表面に接して担持されること、あるいは粒子表
面から内部に一部打ち込まれたような状態で固定される
こと、のいずれの状態をもさしていう。このようにし
て、本発明のトナーが得られる。
【0082】(現像剤の調製)上記本発明のトナーは、
磁性キャリアと混合し、二成分系現像剤とされる。
【0083】磁性キャリアとしては、好適にはフェライ
ト系の磁性キャリアが用いられる。好ましくはFeに加
えてCu、Mg、MnおよびNiでなる群より選ばれる
金属成分の少なくとも1種、好適には2種以上を含有す
るソフトフェライト、例えば、銅−亜鉛−マグネシウム
フェライトの焼結フェライトでなる粒子、特に球状粒子
が使用される。磁性キャリアの粒子の表面は、コートさ
れていなくてもよいが、一般には、シリコーン樹脂、フ
ッ素系樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ウレタン系樹
脂などでコートされていることが好ましい。磁性キャリ
アの粒子の粒径は30〜200μm、特に50〜150
μmの範囲にあることが望ましい。キャリアの飽和磁化
は30〜70emu/g、特に45〜65emu/gの
範囲にあるのが望ましい。
【0084】磁性キャリアとトナーとの混合比は、一般
に98:2〜90:10の重量比、特に97:3〜9
4:6の重量比であることが好ましい。
【0085】本発明のトナーを含む二成分系現像剤を用
い、一般的な静電写真複写法により、複写がなされ得
る。例えば感光体上の光導電層を一様に荷電した後、画
像露光して静電潜像を形成させ、次いで二成分系磁性現
像剤の磁気ブラシを感光体と接触させることにより静電
潜像の現像が容易に行われ得る。現像により形成された
トナー像は転写紙上に転写されて転写像を形成し、この
転写像をヒートロールで溶融圧着することにより定着が
行われる。
【0086】
【実施例】本発明を実施例により説明する。
【0087】(製造例1)以下の工程により、ワックス
がグラフト化された部分を有する重合体を調製した。
【0088】低分子体用モノマーとしてのスチレン、メ
タクリル酸ブチルおよびアクリル酸の重量比80:1
5:5の混合物(100重量部)、ワックスとしてのポ
リプロピレン(0.6重量部;平均分子量4,00
0)、および重合開始剤を、可溶性溶媒に混合し、攪拌
して溶解させた。得られた混合溶液を反応釜に投入し、
攪拌翼でよく攪拌しながら重合を行った。低分子体調製
のための重合反応は、一般には60〜250℃で3〜1
0時間行う。本製造例では、150℃で5時間重合を行
った。反応混合物から溶媒を除去し、残留物を乾燥させ
て、ワックスがグラフト化された部分を有する低分子体
の重合体を得た。
【0089】上記の低分子体(100重量部)、ワック
スとしてのポリプロピレン(5.4重量部;平均分子量
4,000)、高分子体用モノマーとしてのスチレン、
メタクリル酸ブチルおよびアクリル酸の重量比70:2
5:5の混合物(100重量部)、および重合開始剤
を、可溶性溶媒に混合し、攪拌して溶解させた。得られ
た混合溶液を反応釜に投入し、攪拌翼でよく攪拌しなが
ら重合を行った。高分子体調製のための重合反応は、一
般には50〜200℃で5〜24時間行う。本製造例で
は、80℃で15時間重合を行った。反応混合物から溶
媒を除去し、残留物を乾燥させて、低分子体および高分
子体を有し、ワックスがグラフト化された部分を有する
重合体を得た。
【0090】(実施例1)
【0091】
【表1】
【0092】上記各成分を二軸押し出し機にて溶融混練
し、次いでこの混練物をジェットミルで粉砕し、そして
風力分級機で分級して、平均粒径10.0μmのトナー
粒子を得た。
【0093】このトナー粒子に、流動性改良剤として平
均粒径が0.015μmの疎水性シリカ微粒子をトナー
粒子100重量部に対して0.3重量部の割合で、さら
にスペーサー粒子として平均粒径が0.3μmのアルミ
ナ粒子をトナー粒子100重量部に対して0.6重量部
の割合でそれぞれ添加(外添)し、そしてヘンシェルミ
キサーで2分間混合して、トナーを得た。
【0094】(比較例1)定着用樹脂として、重合時に
ワックスとしてのポリプロピレンを添加せず、それ以外
は実施例1と同様にして、ワックスがグラフト化された
部分を有さない重合体を得た。その重合体に離型剤とし
てワックス(ポリプロピレン;平均分子量4,000)
を、定着用樹脂100重量部に対して3重量部の割合で
配合したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを得
た。
【0095】[トナーの評価]各実施例および比較例で
得られたトナーに、それぞれ平均粒径100μmのフェ
ライトキャリアを加え、均一に混合してトナー濃度3.
5%の二成分系現像剤を得た。次いで、次の項目につ
き、この現像剤の評価を行った。試験に使用したのは、
三田工業社製の電子複写機(商品名「DC−468
5」)の改造機(評価試料を容易にサンプリングするた
めの改造を施した複写機)である。
【0096】(a)転写効率 複写開始前のトナーホッパー内のトナー量と、所定枚数
複写後のトナーホッパー内のトナー量とを測定し、その
差からトナー消費量を算出した。他方、所定枚数の複写
の間にクリーニング工程において回収されたトナー量を
測定し、これをトナー回収量とした。これらの値から、
次式(i)によりトナーの転写効率を算出した。ここ
で、複写に用いた原稿は、黒色部の面積率が8%の文字
原稿である。
【0097】この評価は(b)以下の各評価試験を行う
ために行われた。
【0098】
【数1】
【0099】(b)画像濃度(I.D.) 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。5千枚
毎に複写画像における黒べた部の濃度を反射濃度計(型
番「TC−6D」東京電色社製)を用いて測定し、その
平均値を画像濃度(I.D.)とした。ここで、5千枚
毎にサンプリングを行うために使用する原稿は、黒べた
部を含む黒色部の面積率が15%の原稿である。評価結
果を表2に示す。
【0100】(c)カブリ濃度(F.D.) 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。5千枚
毎に複写画像における非画像部の濃度を反射濃度計(型
番「TC−6D」東京電色社製)を用いて測定した。そ
の測定値と、複写前の紙(ベース紙)を反射濃度計で測
定して得られた反射濃度の値との差を算出し、その最高
値をカブリ濃度(F.D.)とした。ここで、5千枚毎
にサンプリングを行うために使用する原稿は、黒べた部
を含む黒色部の面積率が15%の原稿である。評価結果
を表2に示す。
【0101】(d)解像度 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
5万枚複写した時点(それまでに転写効率が70%未満
となった場合にはその時点)で、規定のチャート原稿
(1mmあたり所定数の平行直線が引かれた複数のパタ
ーンを用いる原稿)を用いて複写し、複写画像を目視判
定した。評価結果を表2に示す。
【0102】(e)帯電量 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。5千枚
毎に現像剤200mgの帯電量を「ブローオフ粉体帯電
量測定装置」(東芝ケミカル社製)を用いて測定し、ト
ナー1gあたりの帯電量の平均値を算出した。評価結果
を表2に示す。
【0103】(f)スペントによるキャリアの粒子表面
への付着物の量 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
5万枚複写した時点で、現像剤をサンプリングした。そ
の現像剤を400メッシュのふるい上にのせ、下からブ
ロアーにより吸引し、トナーとキャリアとを分離した。
ふるい上に残ったキャリア5gをビーカーに入れ、更に
このビーカー中にトルエンを加え、スペントによりキャ
リアの粒子表面に付着したトナー成分を溶解させた。そ
の後ビーカーの下から磁石でキャリアを引きつけた状態
でトルエン溶液を捨てた。これをトルエンが無色になる
まで数回繰り返した後、オーブンでキャリアに付着して
いるトルエンを蒸発させて得られた残留物の重量を測定
した。最初にビーカーに入れたキャリアの重量とトルエ
ン蒸発後の重量の差がスペントによりキャリアの粒子表
面に付着したトナー成分の量(スペント量)である。ス
ペント量はキャリア1gあたりに付着したトナー成分の
mgで表す。評価結果を表2に示す。
【0104】(g)トナー飛散 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。この時
点での複写機内のトナー飛散状態を目視にて観察し、以
下の基準で評価した。 ○:トナー飛散なし ×:トナー飛散あり 評価結果を表2に示す。
【0105】(h)耐久性 1万枚複写後毎のトナー消費量と、回収されたトナー量
とから、トナーの転写効率を算出した。この転写効率が
初めて70%未満になった時点の枚数を耐久性とした。
評価結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】[評価結果の考察]実施例1で得られた、
ワックスがグラフト化された部分を有する重合体を使用
したトナーは、画像濃度、カブリ濃度、解像度、および
転写効率が安定しており、10万枚の耐久性が得られ、
比較例の6万枚より、はるかに優れていた。また、トナ
ー飛散も認められなかった。
【0108】比較例1においてトナーの耐久性が低下し
た原因は、5万枚複写した時点での比較によって示され
るように、離型剤としてのワックスがキャリアに付着す
ることにより、相対的にスペント量が増加したためと考
えられる。
【0109】
【発明の効果】本発明によれば、このように、複写時に
おけるスペントの主な発生原因となる帯電制御剤を全く
含有しないトナーが提供される。このトナーのトナー粒
子中には、アニオン性極性基を有する定着用樹脂が含有
され、そして、トナー粒子中に所定の割合で磁性粉末が
含有される。また、定着用樹脂にワックスがグラフト化
された部分を有する重合体を用いることにより、ワック
スがグラフト化されていない場合と比較して、より効果
的にスペントを防止し得る。さらに必要に応じてトナー
粒子表面には所定の粒径のスペーサー粒子が付着してい
る。そのためトナーの帯電性が充分であり、複写時にト
ナーが飛散することがなく、転写効率が充分であり、必
要とされる濃度の複写画像が長時間にわたり安定して得
られる。このような二成分系現像剤用トナーは、静電式
複写機、レーザービームプリンタなどの電子式画像形成
装置において好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーのメタノール抽出液の、波長2
00〜700nmの領域における吸光度を示すグラフで
ある。
【図2】帯電制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を含有
するトナーのメタノール抽出液の波長200〜700n
mにおける吸光度を示すグラフである。
【図3】帯電制御剤としてサリチル酸金属錯体を含有す
るトナーのメタノール抽出液の波長200〜700nm
における吸光度を示すグラフである。
【図4】帯電制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を含有
するトナーを二成分系磁性現像剤に使用し、スペントよ
る帯電不良が発生したときのキャリアについて、メタノ
ール抽出を行い、この抽出液の波長200〜700nm
における吸光度を測定したときのグラフである。
【図5】帯電制御剤を含有するトナーと磁性キャリアと
を混合・攪拌し、あるいは帯電制御剤を含有しないトナ
ーと磁性キャリアとを混合・攪拌する操作を続けた場合
に、混合・攪拌時間とスペント率との関係を示すグラフ
である。
【図6】帯電制御剤を含有するトナーと磁性キャリアと
を混合・攪拌し、あるいは帯電制御剤を含有しないトナ
ーと磁性キャリアとを混合・攪拌する操作を続けた場合
に、混合・攪拌時間と帯電量との関係を示すグラフであ
る。
【図7】スペントによるトナー成分が付着したキャリア
の該付着物の量と、スペントを生じたトナー中の帯電制
御剤の量との関係を示すグラフである。
【図8】トナー中の各成分の各々と磁性キャリアとを混
合・攪拌する操作を続けた場合における混合・攪拌時間
とスペント量との関係を示すグラフである。
【図9】従来の二成分系磁性現像剤におけるスペントに
よる帯電不良の発生を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 キャリアの粒子 2 トナー 22 逆極性トナー
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 9/08 325 365 372 374 (72)発明者 久保 憲生 大阪市中央区玉造一丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 永尾 一也 大阪市中央区玉造一丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 浅野 照道 大阪市中央区玉造一丁目2番28号 三田工 業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定着用樹脂および該樹脂中に分散された
    磁性粉末を含有するトナー粒子を含む二成分系現像剤用
    トナーであって、 該定着用樹脂が、(1)アニオン性極性基を有しワック
    スがグラフト化された部分を有する重合体、および
    (2)アニオン性極性基を有する重合体とワックスがグ
    ラフト化された部分を有する重合体から成る組成物の少
    なくとも(1)、(2)の一方を含む組成物でなり、 該磁性粉末が、該定着用樹脂100重量部に対して0.
    1から5重量部の割合で該トナー粒子中に含有される、 二成分系現像剤用トナー。
  2. 【請求項2】 メタノールで抽出したときの抽出液の2
    80から350nmの領域に実質的に吸収ピークを有さ
    ず、かつ400から700nmの領域における吸光度が
    実質的にゼロである、請求項1に記載のトナー。
  3. 【請求項3】 前記磁性粉末が、前記定着用樹脂100
    重量部に対して0.5から3重量部の割合で含有され
    る、請求項1に記載のトナー。
  4. 【請求項4】 前記トナー粒子の体積基準平均粒径が5
    から15μmであり、該トナー粒子表面に体積基準平均
    粒径が0.05から1.0μmのスペーサー粒子が付着
    している、請求項1に記載のトナー。
JP6207444A 1994-08-31 1994-08-31 二成分系現像剤用トナー Pending JPH0876419A (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6207444A JPH0876419A (ja) 1994-08-31 1994-08-31 二成分系現像剤用トナー
EP95305609A EP0703505B1 (en) 1994-08-31 1995-08-11 Toner for two-component type developer
DE69510740T DE69510740T2 (de) 1994-08-31 1995-08-11 Toner für Zweikomponentenentwickler
KR1019950027432A KR960008440A (ko) 1994-08-31 1995-08-30 2성분계현상제용토너
CN95115386A CN1126847A (zh) 1994-08-31 1995-08-31 用于双组分型显影剂的调色剂
US08/658,725 US5750301A (en) 1994-08-31 1996-06-05 Toner for a two-component type developer

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6207444A JPH0876419A (ja) 1994-08-31 1994-08-31 二成分系現像剤用トナー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0876419A true JPH0876419A (ja) 1996-03-22

Family

ID=16539876

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6207444A Pending JPH0876419A (ja) 1994-08-31 1994-08-31 二成分系現像剤用トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0876419A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3105745B2 (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876444A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876419A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876436A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876437A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876418A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876410A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876498A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876409A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876421A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876413A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876482A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876441A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876447A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876412A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876443A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876415A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876417A (ja) 二成分系現像剤用トナー
JPH0876434A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876449A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876440A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876442A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876473A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876448A (ja) 二成分系現像剤
JPH0876492A (ja) 二成分系現像剤

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20001012