【発明の詳細な説明】
クラッチ機構、特に自動車用クラッチ機構
本発明は、例えばフランス特許公開第1,524,350号明細書に記載されているよ
うなダイヤフラム式クラッチ機構に関する。
このようなクラッチ機構は、ユニットアセンブリとなったり、クラッチの反作
用プレートに取り付けるようになっているカバーと、カバーに枢着されているダ
イヤフラムと、カバーに対して回転しないようにカバーに固定され、かつカップ
リング手段、例えば接線方向弾性タングを用いて、カバーに対して軸方向に移動
可能に取り付けられた圧力プレートとを含んでいる。
このタイプのクラッチ機構では、ダイヤフラムはカバーに当接し、圧力プレー
トをカバーから離間させるように、この圧力プレートに作用する。
より正確に説明すれば、枢着手段は、カバーに固定されたスタッドを含み、こ
のスタッドは、ダイヤフラムのうちのベルビーユワッシャー状をした周辺部分に
対する支持体となるような形状をしたヘッド部を有している。
このスタッドは、ダイヤフラムのフィンガー22がダイヤフラムのベルビーユ
ワッシャー部分22に固着されている領域に設けた、幅広のオリフィス23(図
5)を貫通している。
このオリフィスは、対になったフィンガー22を離間するスロット24の両端
の一方を形成しているので、上記のように幅広とされている。
このオリフィスは、側方エッジ25を備える矩形状のもので、その側方エッジ
25は、スタッドがそのヘッド部およびフット部の間に有する環状形状のガイド
部分(本例では円筒形)と協働するようになっている。
実際上、このガイド部分で摩耗現象が生じることが判っている。この摩耗は、
ダイヤフラムが硬化処理された部品であることに起因する。
本発明の目的は、このような欠点を緩和することである。
本発明による上記タイプのクラッチ機構は、ガイド部分が、ダイヤフラムの幅
広にされたオリフィスの側方エッジと協働するようになっている、全体的に平面
状の2つの側方エッジを形成するようにカットされていることを特徴としている
。
従って、これら側方エッジは、ダイヤフラムの厚さよりも高く、前記ガイド部
分の摩耗は、接触表面を広げることにより減少され、ダイヤフラムをより良好に
機能させることができるという利点が得られる。
従って、このクラッチ機構は、高い信頼性と、長い使用寿命を有する。
特に、スタッドを鍛造により製造した際、エッジは僅かに干凸状となるので、
このエッジは、おおむね平らになっていることが理解できると思う。従って、側
方エッジは、おおむね互いに平行である。
スタッドは、例えば焼き入れ硬化と焼きなまし処理により硬化される。
変形例として、スタッドを2つの部品から構成できる。すなわち、回動してダ
イヤフラムを案内する機能を有する第1部品と、第1部品を貫通し、スタッドを
カバーのベースに固定する、リベット状の第2部品とから構成してもよい。
例えば焼結スチールから製造した第1部品は容易に硬化させることができ、か
つ第2部品は、スタッドを容易に固定できる標準的な未硬化リベットにより製造
できるので、このような構造は特に有利である。この第2部品は、引っ張り負荷
しか受けることはない。従ってこのリベットは、スタッドを単一部品で製造した
時よりも断面を小さくできる。
またこのリベットは、長くできるので、傾斜サポートの間に弾性タイプのダイ
ヤフラムをクランプすることができる。このようなダイヤフラムのクランプは、
ダイヤフラム枢着点の摩擦を最小値まで減少するのに有効である。
更に、スタッドの下方部分の寸法を減少することが可能である。このような寸
法の減少により、摩擦ディスクのためのスペースを設けることができるので、特
に有利である。
次に、添付図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明のクラッチ機構の軸方向断面図である。
図2は、図1の上部における一部の拡大部分図である。
図3は、圧力プレートを示すべく、図1における矢印3の方向に見た一部切欠
図である。
図4は、本発明におけるフックの平面図である。
図5は、ダイヤフラムの平面図である。
図6は、本発明におけるスタッドの拡大平面図である。
図7は、図6における矢印7の方向に見た図である。
図8は、図6における矢印8の方向に見た図である。
図9は、第2実施例の、図6に類似した図である。
図10は、第3実施例の2部品形のスタッドを備える摩擦クラッチの軸方向半
断面図である。
図11は、スタッドの一方の軸方向断面図である。
図12は、スタッドを図10における矢印の方向に見た図である。
これらの図では、自動車に取り付けるようになっている、ダイヤフラムおよび
リターンフックを備えたクラッチ機構が示されている。
このクラッチ機構は、ユニットアセンブリを形成しており、環状部分、すなわ
ち本例では、板金をプレス加工して製造されたカバー1と、通常は、鋳鉄製であ
る圧力プレート3と、ダイヤフラム2とを含んでいる。
またこのクラッチ機構は、接線方向の弾性タング8と、固定部品35、85と
、後に説明するようなリターンフックを含んでいる。
この機構は、カバー1(本例では、このカバーは、中心孔を有するベース11
を備える中空の皿状のものである)によって反作用プレート80(図2および図
10)に取り付けられるようになっている。この取り付けにより、カバー1と反
作用プレート80との間に摩擦ディスク70(図2および図10)が挟持され、
このディスクの両側には、摩擦ライニング72、71が固定されている。
反作用プレート(例えば2つの部品から成る)は、自動車エンジンのクランク
シャフトに対して回転しないように、クランクシャフトに固定されている。一方
、ディスク70は、ハブ73(図10)により、ギアボックスの入力シャフトに
対して回転しないように、ギアボックスに固定されている。
ダイヤフラム2は、枢着手段4によって、カバー1に取り付けられている。
圧力プレート3は、接線方向の弾性タング8状をした結合手段により、それ自
体公知の態様で、カバー1に対して回転しないように、カバー1に固定され、か
つカバー1に対して軸方向に移動自在に取り付けられている。
変形例として、ほぞ孔とほぞタイプの接続手段を使用することも可能である。
すなわち、下記のように、圧力プレート3にラグ状をしたほぞを設け、かつカバ
ーのスカート12にスロット状をしたほぞ孔を設け、このほぞとほぞ孔とを係合
するようにしてもよい。
リターンフック5は、ベルビーユワッシャー21状をしたダイヤフラム2の外
周部を前記フック5と支持ボス31との間にグリップすることにより、ダイヤフ
ラム2を圧力プレート3に結合するようになっている。支持ボス31は、ダイヤ
フラム2を支持するため、圧力プレート3の外周部に設けられている。
タング8(本例では金属製)およびリターンフック5をラグ34に固定するた
めに固定部材35が設けられており、圧力プレート3の外周部から径方向に、ラ
グ34が突出している。
より正確に説明すれば、カバー1は、上記ベース11の他に、このベース11
を反作用プレート80に固定するためのラジアルフランジ13と、環状スカート
12とを有し、環状スカート12のうちの全体として軸方向を向く主要部分によ
り、固定フランジ13はベース11に接続されている。
このフランジ13は、複数の固定領域(図3)に分割されている。これらの固
定領域には、カバー1およびクラッチ機構をプレート80に固定するための固定
部品(図示せず)、例えばネジまたはリベットを取り付けるための孔14があい
ている。
カバー1のベース11には、複数のスタッド41が設けられている。このスタ
ッドは、ヘッド部42(図6)、142(図10および11)を有し、環状リン
グ43を支持している。
ダイヤフラム2(図5)は、周辺部分21の他に中心部分を有し、この中心部
分は、スロットによりラジアルフィンガー22に分割されている。このスロット
は、ベルビーユワッシャー21内にフィンガー22となるように固着されている
領域において、幅広となっており、スタッド41の中心シャフトが貫通する幅広
のオリフィス23を形成している。
従って、このスロット24は、一方の端部で開口し、ベルビーユワッシャー2
1の内周部に形成された幅広オリフィス23に連通し、他方の端部は、ダイヤフ
ラムが中心に有する中心開口部26と連通し、この開口部26に、ギアボックス
の入力シャフトが貫通するようになっている。
従って、スタッド41は、ダイヤフラム2をカバー1に枢動自在に固定する枢
着手段をリング43と共に形成している。この枢着手段は、本例では軸方向の寸
法が小さいので、フック5を取り付けている孔9の軸方向の寸法を小さくするの
に役立っている。
端部が丸くなっているヘッド部42、142は、本例では、第1支持体を形成
するリング43の反対側で、ダイヤフラム2に対する第2支持体となっている。
変形例として、リング43をカバーのベース11に形成されたプレス部分と置
換できる。スタッド41は、カバー1のベース11から直接形成されたラグと置
換できる。
一般的に言うと、ダイヤフラムは、第1支持体43と、第2支持体42、14
2との間に枢着される。
このようにするため、スタッド41は、ヘッド部42、142の他に、ダイヤ
フラムをガイドし、センタリングするためのガイド部分90、190と、スタッ
ド41をカバーのベース11に接続するためのフット部50、150とを有して
いる。
ガイド部分90、190は開口部23に進入し、前記開口部23(本例では全
体に形状が矩形である)の側方エッジ25と協働するようになっている。
このような協働により、下記のようにダイヤフラムが傾斜運動する間、このダ
イヤフラムをセンタリングし、ガイドすることが可能となっていることが理解で
きよう。
更に、この部分90、190の前端は、ベース11に当接して、スタッド41
を軸方向にロックしている。
参考情報として、クラッチが係合している時は、摩擦ライニング71、72は
、圧力プレート3の前方摩擦面32と反作用プレート80との間にクランプされ
、ダイヤフラム2がベルビーユワッシャー21の内周部分を介して第1支持体4
3に当接し、ベルビーユワッシャー21の外周部を介して圧力プレート3の支持
ボス31に当接する。
圧力プレート3の背面33に支持され、ベース11側に曲がっているこのボス
31は、本例では、複数の環状セグメントとなるように分割されている。
このクラッチの結合を外すには(従って、ライニング72、71を解放するに
は)、クラッチ解放ベアリング(図示せず)によりダイヤフラム2のフィンガー
22の内端部を押して圧力を加え、ダイヤフラム2を回動させる。
この操作の間、ダイヤフラムは第2支持体42に当接し、フック5は圧力プレ
ート3をカバー1のベース11の方向に復帰させる。このように動作する理由は
、ダイヤフラムがフック5とボス31の間に弾性的にグリップされているからで
ある。
ここで、スカート12は圧力プレート3を囲んでおり、タング8は、圧力プレ
ート3をカバー1の方向に復帰させる動作を補助する。
このスカート12の表面15が、カバー1の外周部になるよう、スカート12
には、径方向の段差をつけてある。
軸方向を向くこの表面15は、フランジ13(図3)の固定表面と周方向に交
互に配置されている。この表面15は、圧力プレート3のラグ34を囲んでいる
。このラグ34は周方向に延びている(図3)。
参考情報として、本例では金属製の弾性タング8は、全体としてアセンブリ(
図3)の円周部に対して接線方向に延び、その一端は、固定部品35により圧力
プレート3のラジアルラグ34に固定され、他端は第2固定部品85によりカバ
ー1上のラジアルラグ16上に固定されていることを述べておく。
ラグ16は、カバーのベース11に対して、ベース11とは反対方向に軸方向
にずれている。この目的のため(図3)、ラグ16は、スカート12に影響する
開口部により境界が定められている。
本例ではタング8は、対になって取り付けられており、固定部品35、85は
、リベットからなっている。対をなすタング3組と3つのフックが、互いに12
0度に分散するように設けられている。当然ながら、この数はフックの数と同じ
ように限定的なものではなく、用途に応じて変えられる。
フック5およびフック5を貫通する固定部品35およびタング8ならびにラグ
34を、前記部品(図2)に設けた孔により取り付けるため、カバー1には、フ
ック5と1対のタング8と部品35について1つの割合で、取り付け孔9を設け
てある。
この孔9は、ベース11およびベース11のスカート12に対する接続部にお
ける丸味をつけた領域に影響を及ぼす。従って、この孔9は、カバーのベース1
1に対して軸方向に最も離間した前方エッジ6を有し、スカート12の表面15
に影響を与える。またこの表面15には、通気用オリフィスが設けられている。
そのオリフィスの1つが、図1の下部に示されている。
リターンフック5は、横方向を向くベースプレート52を有し、このベースプ
レート52は、先の尖ったボス31の反対側で支持パッド53を形成するように
、ダイヤフラムの外周まわりを通過する湾曲部分51により、径方向内側に延び
ている。したがって、台形をした部分51(図4)は弾性的であり、これにより
、1つの点において、ダイヤフラムをパッド53とボス31との間にグリップで
きる。ここで、リベット35のヘッド部36はベースプレート52に当接し、ラ
グ34とベースプレート52との間にタング8をグリップする。
変形例として、部品35をボルトまたはピンとし、その軸部をラグ34に設け
ためくら孔に強く取り付けてもよい。
新しいライニング71、72により、クラッチが新しい状態で結合されると、
自由状態でテーパ形状をしているダイヤフラムは、横方向に延びる。
他方、クラッチ機構がプレート80に取り付けられていない、保管状態とも称
される自由状態にある時は、ダイヤフラムは傾斜し、圧力プレート3を、ベース
11と反対方向、すなわち外側方向に押し、タング8は湾曲させられる。
ある場合において、対策を全く講じない時、特にクラッチ機構が落下した時に
は、反作用プレートの慣性により、タングの弾性的限界を越えることがある。
これを防止するため、カバー1のベース11より最も遠い取り付け孔9の前方
エッジ6によって形成されたカウンターストッパー6に当接できるストッパー7
が形成されるように、少なくとも1つのフック5が径方向外側に延びている。
この場合、カウンターストッパー6は上記のスカート12の表面15に影響を
及ぼす。
ここで、フックおよび1対のタングに対して1つの割合となるように、3つの
表面15が設けられている。これらの表面15は、径方向に規則的に分散されて
いる。
当然ながら、この配置は用途に応じて決まるものである。
従って、ベースプレート52はストッパー7を形成するように径方向外側に延
び、孔9内に円周方向の間隙をもって係合している。
フック5のベースプレート52(図5)には、側方を向く曲ったラグ55が形
成されている。軸方向を向くこのラグ55は、タング8の対応する自由端81の
断面と協働するようになっている。
端部81は、全体として台形である。
従って、フック5は形状による協働により固定されており、回転するおそれは
ない。
ラグ55の横方向位置により、ストッパー7が形成されていることは理解でき
ると思う。
図示しない変形例として、フックを横方向に延長できる。このようにすると、
フックは孔9の対応する側方エッジ、好ましくはタング8の自由端に最も近い側
方エッジに当接できるようになる。
例えば、クラッチ係合位置からクラッチを切った位置に切り替える際のダイヤ
フラムの移動中に、開口部の側方エッジ25とスタッド41のガイド部分90、
190との間に、摩耗の原因となる相対運動が生じる。
このような摩耗を減少させるため、本発明は、ダイヤフラムの幅広にされたオ
リフィス23上で側方エッジ25と協働するような、平らな2つの側方エッジ9
1、191を形成するように、ガイド部分90、190内をカットすることを提
案するものである。このような構造とすると、ダイヤフラム2の側方エッジ25
に対するスタッド41の接触表面が大となり、摩耗は減少する。
図1〜図9において、フィンガー22にはリブが設けられている。このリブは
、ダイヤフラムの周辺部分21まで延びている。
このリブは、フィンガー22を内側、すなわち圧力プレート3の方向に押圧加
工することによって形成されている。
従って、フィンガー22の強度は強化され、クラッチを切った際の圧力プレー
トの上昇動作が良好となっている。フィンガー22は、傾斜部分により、外側部
分に対して、内側部分が軸方向にずれた湾曲形状となっている。
図10では、ダイヤフラムのフィンガー22にはリブが設けられておらず、ダ
イヤフラムのベルビーユワッシャー部分21に対して傾斜している。このフィン
ガーは、クラッチ解放ベアリングと協働するように内側端部が湾曲している。
いずれの場合でも、開口部23はおおむね矩形であり、その2つの側方エッジ
25は、エッジ91、191と同じように互いに平行である。
従って、これら開口部、すなわちオリフィス23は、スタッド41に対する貫
通オリフィスとなっている。
図1〜図9では、スタッド41は単一部品に製造されているが、図10〜12
では、スタッドは2部品から製造されている。
従って、図1〜図9において、スタッドは、カバー(図1)のベース11に設
けた開口部を貫通しうるフット部50を有している。
このフット部の自由端はリベット締めによりスタッド41をベース11に固定
できるよう幅広とされている。
フット部50の形状は環状であるが、当然ながら、上記フランス特許公開第1,
524,350号に記載されているように、スタッドの回転および位置決め時にこれを
ロックできるよう、方形、例えば正方形の断面とすることができる。
ガイド部分90は、フット部50よりも大きいが、ヘッド部42よりも小さい
。ヘッド部42は、オリフィス33よりも大である。
従って、フット部50の後端には、部分90によってショルダー51が形成さ
れている。ショルダー51の位置は、リング43の厚さに応じて決まる。実際に
は、第1支持体と第2支持体との間に若干の間隙が生じ、これらの支持体の間で
、それ自体公知の態様でダイヤフラムが傾斜できるようになっている。
ヘッド部42は、カバー1のベース11から最も離間している後方背面61に
よって境界が定められている。この背面61は、横方向に延び、フット部50の
軸方向の対称軸線に対して垂直となっている。
ヘッド部42は、正面64、頂面62、63、底面65、2つの側方エッジ6
7および頂面62、63を側方エッジ67に接続する丸くした部分66によって
も境界が定められている。
正面64は、テーパがついた形状であるので、ヘッド部42の頂部は底部より
も広くなっている。
底部エッジ65は、全体として半円形状であるが、側方エッジ67は傾斜し(
図7)、かつスタッド41の横方向対称軸線上で互いに交差している。
ここでは、スタッド41は鍛造によって製造されるので、面64とエッジ67
および65との間に接続ショルダー68が存在する。
面64とガイド部分90との間に接続領域93が存在する。
頂面62は、円周方向に若干弧状をなし(図7)、第2支持体を形成する、円
周方向に丸味をつけた弧状の領域63によって、面64に接続されている。
ガイド部分は、横断面において2つの側方エッジ91を有し、これらのエッジ
91は平面状であり、2つの半円形のエッジ92によって互いに接続されている
。その理由は、このガイド部分90は、まず環状(本例では円筒形)とされ、次
に2つの平面91を形成するようにカットされるからである。
これらの平面は、特にスタッドを鍛造により製造した際にやや凸状にすること
ができる。従って、これらエッジ91は、全体的に見て互いに平行であり、開口
部23の側方エッジ25と協働するようになっている。
本例におけるこのスタッド41は、硬化させるため焼き入れ硬化および焼きな
まし処理を受けている。
面64は、ダイヤフラム2をそれ自体公知の態様で回動しうるようにしている
。スタッド41にはショルダー51が設けられ、ベース11に形成された開口部
を貫通するフット部の形成のため、軸方向に固定されていることが理解できると
思う。
当然ながら、変形例(図9)として、頂面162を背面61に接続する領域の
レベルまでカットできる。
従って、図9では、背面61とスタッド41の頂面162とを接続する面取り
部163を見ることができる。この面取りにより、この点におけるスタッドの厚
さを薄くすることが可能となり、これにより、圧力プレートの背面33との干渉
が制限されるので、スペースを節約できる。
当然ながら、フット部50の自由端は、リベット作業を容易にするよう、カッ
トしてもよい(図9)。
このスタッド41は、2部品から製造でき(図10〜図12)、未硬化リベッ
ト150と硬化処理した一体的部品142、190を有し、硬化処理した一体的
部品はガイド(兼センタリング)部分と、ダイヤフラム2のための(ダイヤフラ
ム2のベルビーユワッシャー21のための)支持部分を含んでいる。
このリベット150は、一体的部品142、190に設けた開口部101を貫
通する。
この部分のプレート3側に曲げられた背面61に、リセス100があり、この
リセスは、孔101を延長させて、その端部を形成している。
リセス100は、リベット150のヘッド部の寸法と適合している。
従って、リベット150のヘッド部は、ハウジング100内に入り、一体的部
品190、142の背面61に対して突出していない。この一体的部品は、符号
191をつけてある互いに平行な2つの平面を備える小さな寸法のガイド部品1
90を有し、開口部23の平行な側方エッジ25と協働するようになっている。
このガイド部品は、スタッド41のヘッド部142と、前記ガイド部分と、ヘ
ッド部142の正面164との間に、従来と同じように存在する接続領域193
を備える一体部品として製造される。
正面164は、本例では平面であるが、ヘッド部142の背面61に対して平
行に横方向に延びていることが必要条件である。当然ながら、この面164にテ
ーパを付けてもよい。
ヘッド部の頂部には、ダイヤフラムに対する第2支持体を提供するための図6
におけるのと同じようなパッド状をした丸い部分63がある。
ヘッド部142の頂面後部は、図9に示すようにカットされている。
ヘッド部142の底部エッジ165は、2つの丸い領域167により、傾斜支
持体63に接続されている。
このエッジ165は、接続領域193に隣接しているので、ヘッド部142の
高さは、その底部において低くなっている。
このようにして、スペースを節約できるので、より大きな摩擦ディスク70を
収容することが可能となっている。
このような構造とすると、単一部品142、190をリベット150と別個に
硬化処理できるので、特に有利である。
従って、リベット150のフット部を、クリンプしている際に容易に押し潰し
て、カバーのベース11とハウジング100内に取り付けられたリベット150
のヘッド部との間に、単一部品を142、190を固定し、ショルダーを形成で
きる。
このような構造により、第1支持体43とヘッド部142との間に、ダイヤフ
ラムを弾性的にクランプすることができ、リベット150は、引っ張り負荷しか
受けない。
2部品で製造するようにしると、ヘッド部142を任意の形状にすることがで
きる。
単一部品の底部が開口部23に完全に進入し、その頂部63が、前記開口部に
対して径方向に突出するので、本例では、面164を横方向にすることができる
。
当然ながら、本発明は上記実施例のみに限定されるものではない。特に、カバ
ーを、ファイバーで補強されたプラスチック製としてもよい。
フランス特許公開第1,524,350号明細書の図4に記載されているように、ダイ
ヤフラム2をカバーの外に取り付けることも可能である。この場合、カバーは平
らとなり、ブレース部のヘッド部は、ダイヤフラムに対する第1支持体を形成す
る。いずれの場合でも、スタッド41はダイヤフラム2のうちのベルビーユワッ
シャー状をした周辺部分に対する支持体を提供するような形状をしたヘッド部を
有している。
このクラッチは、2つの圧力プレート、従って2つの摩擦ディスクを含むもの
とすることができる。
孔9は別の形状でもよい。その形状は、カバー1の深さに応じて決まり、本例
では、圧力プレート3とダイヤフラム1とを完全に囲んでいる。
ダイヤフラム1には、内端部が湾曲したフィンガーを設けることができる(図
10)。このフィンガーは、ベルビーユワッシャーと直線状となっているのがよ
い。
ヘッド部42、142を備えるスタッド41と、フィンガー22を備えるダイ
ヤフラムの形状(図1および図10)により、このクラッチ機構の厚さ、従って
その大きさ、特に取り付け孔の軸方向の寸法を小さくすることができる。
リターンフック5を設けることは、必須なことではではない。