【発明の詳細な説明】
G−タンパク質機能の阻害および増殖性疾患の治療に有用な
三環式カルバメート化合物背景
1992年7月9日に刊行された国際公開WO92/11034号は、抗腫瘍剤と以下の式で
表される増強剤とを同時に投与することにより、抗腫瘍剤に対して耐性である腫
瘍の抗腫瘍剤に対する感受性を増大させる方法を開示している:
ここで、破線は、任意の二重結合を表し;X'は、水素またはハロであり;そして
、Y'は、水素、置換カルボキシレートまたは置換スルホニルである。例えば、Y'
は、特に、-COOR'(ここで、R'は、C1-C6アルキルまたは置換アルキル、フェニ
ル、置換フェニル、C7-C12アラルキルまたは置換アラルキル、もしくは-2、-3、
または-4ピペリジルあるいはN-置換ピペリジルである)であり得る。Y'はまた、
特に、SO2R'(ここで、R'は、C1-C6アルキル、フェニル、置換フェニル、C7-C12
アラルキル、または置換アラルキルである)であり得る。このような増強剤の具
体例としては、ロラタジンのような11-(4-ピペリジリデン)-5H-ベンゾ[5,6]
シクロヘプタ[1,2-b]ピリジンが挙げられる。
オンコジーンは、細胞増殖および有糸分裂誘発の刺激を導くシグナル変換経路
のタンパク質要素をしばしばコードする。培養細胞中でのオンコジーン発現は、
軟寒天における細胞の増殖能力、および非形質転換細胞により示される接触阻害
を欠いている密なフォーカスとしての細胞の増殖により特徴づけられる、細胞形
質転換を導く。特定のオンコジーンの変異および/または過発現は、ヒトの癌に
関連している場合が多い。
形質転換ポテンシャルを得るために、Ras癌タンパク質の前駆体は、カルボキ
シル末端テトラペプチドに位置するシステイン残基のファルネシル化(farnesyl
ation)に供されなければならない。そのため、この改変を触媒する酵素である
ファルネシル(farnesyl)タンパク質トランスフェラーゼのインヒビターは、Ra
sが形質転換に寄与する腫瘍に対する抗ガン剤として提案されている。変異した
、オンコジーン形態のrasは、多くのヒトの癌においてしばしば見出され、最も
顕著には、50%を超える結腸および膵臓癌において見出される(Kohlら、Science
,第260巻、1834-1837,1993)。
ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼのインヒビターについての最近の
目的の観点から、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害に有用な化
合物が、当該分野で望まれている。本発明により、このような化合物が提供され
る。発明の要旨
本発明の三環式化合物によるファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻
害は、以前には報告されていない。従って、本発明は、本発明の三環式化合物を
用いてファルネシルタンパク質トランスフェラーゼを阻害する方法を提供する。
この化合物は、(i)インビトロで、ファルネシルタンパク質トランスフェラー
ゼを潜在的に阻害するが、ゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼIは
阻害しない;(ii)ファルネシル受容体であるトランスフォーミングRasの形態
により誘導される表現型変化をブロックするが、ゲラニルゲラニル受容体に設計
されたトランスフォーミングRasの形態によるものはブロックしない;(iii)フ
ァルネシル受容体であるRasの細胞内プロセッシングをブロックするが、ゲラニ
ルゲラニル受容体に設計されたRasはブロックしない;そして(iv)トランスフ
ォーミングRasにより誘導される培地中での異常な細胞増殖をブロックする。本
発明に
おいて開示される1つの化合物は、動物モデルにおいて抗腫瘍活性を有すること
が示されている。
本発明は、有効量の本発明の化合物を投与することにより、細胞(形質転換細
胞を含む)の異常な増殖を阻害する方法を提供する。細胞の異常な増殖とは、正
常の調節メカニズムとは独立した細胞増殖(例えば、接触阻害の損失)を意味す
る。これは、以下の異常な増殖を含む:(1)活性化Rasオンコジーンを発現する
腫瘍細胞(腫瘍);(2)他の遺伝子におけるオンコジーンの変異の結果としてR
asタンパク質が活性化されている腫瘍細胞;および(3)異常Ras活性化が起こる
他の増殖性疾患の良性および悪性細胞。
本発明の方法に有用な化合物は、式1.0で表される化合物、あるいはそれらの
薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である:
ここで、
a、b、c、およびdのうちの1つは、NまたはNR9を表し、ここてR9は、O-
、-CH3または-(CH2)nCO2H(ここでnは、1〜3である)であり、そして、残り
のa、b、c、およびd基は、CR1またはCR2を表し;
各R1および各R2は、独立して、H、ハロ、-CF3、-OR10(例えば、-OH)、-COR10
、-SR10、-N(R10)2、-NO2、-OC(O)R10、-CO2R10、-OCO2R11、ベンゾトリアゾ
ール-1-イルオキシ、CN、アルキニル、アルケニル、またはアルキルから選択さ
れ、該ア
ルキルまたはアルケニル基は、必要に応じてハロ、-OR10、または−CO2R10で置
換され;
R3およびR4は同一または異なり、そして各々が、独立して、H、R1およびR2の
置換基のいずれかを表し、あるいは、R3およびR4は共に、ベンゼン環(環III)
への飽和または不飽和C5-C7縮合環を表し得;
R5、R6、R7、およびR8は、各々独立して、H、-CF3、アルキルまたはアリール
であり、該アルキルまたはアリールは、必要に応じて-OR10、-SR10、-N(R10)2、
-NO2、-COR10、-OCOR10、-OCO2R11、-CO2R10、OPO3R10で置換され得るか、ある
いは、R5、R6、R7、およびR8のうちの1つは、以下で定義されるRと一緒になっ
て-(CH2)r-(ここで、rは1〜4である)を表し得、このRは、低級アルキル、
低級アルコキシ、-CF3、またはアリールで置換され得;
R10は、H、アルキル、アリール、またはアラルキル(好ましくはベンジル)
を表し;
R11は、アルキルまたはアリールを表し;
R16およびR18は、それぞれHおよびFを表すか、またはそれぞれFおよびHを
表し;Xとの結合が単結合であり、そしてXが炭素である場合には、好ましくは
、R16はFであり、そしてR18はHであり;あるいは
Xとの結合が単結合である場合には、R16およびR18のそれぞれは、Hを表し;
Xは、NまたはCを表し、このCは11位の炭素原子との二重結合(破線で表さ
れる)を任意に含み得;
5位の炭素原子と6位の炭素原子との間の破線は、任意の二重結合を表し、二
重結合が存在する場合には、AおよびBは、独立して、-R10、ハロ、-OR11、-OC
O2R11または-OC(O)R10を表し、5位の炭素原子と6位の炭素原子との間に二重結
合が存在しない場合には、AおよびBは、各々独立して、H2、-(OR11)2、Hおよ
びハロ、ジハロ、アルキルおよびH、(アルキル)2、-Hおよび-OC(O)R10、Hお
よび-OR10、=O、アリールおよびH、=NOR10または-O-(CH2)p-O-(ここでpは、
2、3または4である)を表し;
ZはOを表し;そして
Rは-SR65を表し、ここで、R65はアルキル、アリール、ヘテロアリール(例え
ば、ピリジルまたはピリジルN-オキシド)、2-,3-または4-ピペリジルまたはN-
置換ピペリジルであり、ここで、該N-置換ピペリジルの置換基は、C1〜C4アルキ
ル、アルキルカルボニルまたは-C(O)NH(R10)であり、ここで、R10はHまたはア
ルキルであり;または
Rは-OR20を表し、ここで、R20はC1−C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、フ
ェニル、置換フェニル、C7〜C12フェニルアルキル(例えば、ベンジル)、フェ
ニル部分が置換されたC7〜C12フェニルアルキル、ヘテロアリール(例えば、ピ
リジルまたはピリジルN-オキシド)であるか、あるいはR20は2-、3-または4-ピ
ペリジルまたはN-置換ピペリジルであり、ここで該置換C1〜C12アルキルの置換
基は、アミノまたは置換アミノから選択され、但し、該C1〜C12アルキルについ
ての該アミノまたは置換アミノはC1に存在せす、そして該置換アミノの置換基は
C1〜C6アルキルから選択され、該置換フェニルおよびC7〜C12フェニルアルキル
の置換フェニル部分の置換基はC1〜C6アルキルおよびハロから選択され、そして
N-置換ピペリジルの置換基はC1〜C4アルキル、アルキルカルボニル(例えば、CH3
C(O)-)または-C(O)NH(R10)であり、ここで、R10はHまたはアルキルである。
本発明はまた、式1.1の新規な化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩
または溶媒和物を提供する:
ここで、
a、b、c、d、A、B、R5、R6、R7、およびR8は、式1.0について定義した
通
りであり;
R22およびR24は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれ独立して、R1およびR2
のいずれかの置換基を表し;
R26およびR28は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれ独立して、R3およびR4
のいずれかの置換基を表し;
Vは-OR30または-SR70を表し;
R30は、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリール(例えば、フェニルまた
は置換フェニル、すなわち、ハロ、アルキル、ハロアルキルまたはアルコキシか
ら選択される1個〜3個の基、好ましくは1個の基で置換されたフェニル)、ヘ
テロアリール(例えば、3-または4-ピリジルのようなピリジル、3-または4-ピリ
ジルN-オキシドのようなピリジルN-オキシド)、アルキル(例えば、エチル)、
あるいは2-、3-または4-ピペリジルまたはN-置換ピペリジルであり、ここで、該
N-置換ピペリジルの置換基は、C1〜C4アルキル、アルキルカルボニル(例えば、
CH3C(O)-)または-C(O)NH(R10)であり、ここで、R10はHまたはアルキルであり
;
R70は、アリール(例えば、フェニルまたは置換フェニル--すなわち、ハロ、
アルキル、ハロアルキルまたはアルコキシから選択される1〜3個(好ましくは
1個)の基で置換されているフェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル(
例えば、3-または4-ピリジル)、またはピリジルN-オキシド(例えば、3-または
4-ピリジルN-オキシド))、あるいは2-、3-または4-ピペリジルまたはN-置換ピ
ペリジル(ここで、該N-置換ピペリジルの置換基は、C1-C4アルキル、アルキル
カルボニルまたは-C(O)NH(R10)(ここで、R10は、Hまたはアルキルである)で
あり;そして
5位の炭素と6位の炭素との間の破線は、任意の二重結合(好ましくは、この
二重結合は存在せず)を表す。
本発明はさらに、式1.2の新規な化合物あるいはは薬学的に受容可能な塩また
は溶媒和物を提供する:
ここで、
a、b、c、d,A、B、R5、R6、R7、およびR8は式1.0のように定義され;
R32およびR34は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれ独立して、R1およびR2
のいずれかの置換基を表し;
R36およびR38は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれ独立して、R3およびR4
のいずれかの置換基を表し;
Wは-OR40または-SR70を表し;
R40は、アルキル(例えば、エチル)、アリール(例えば、フェニルまたは置
換フェニル、すなわち、ハロ、アルキル、ハロアルキルまたはアルコキシから選
択される1個〜3個の基、好ましくは1個の基で置換されたフェニル)、ヘテロ
アリール(例えば、3-または4-ピリジルのようなピリジル、あるいは3-または4-
ピリジルN-オキシドのようなピリジルN-オキシド)、あるいは2-、3-または4-ピ
ペリジルまたはN-置換ピペリジルであり、ここで、該N-置換ピペリジルの置換基
は、C1〜C4アルキル、アルキルカルボニル(例えば、CH3C(O)-)または-C(O)NH(
R10)であり、ここで、R10はHまたはアルキルであり;
R70は上記のように定義され;そして
5位の炭素と6位の炭素との間の破線は、任意の二重結合を表す。
本発明はさらに、式1.3の化合物を提供する:
a、b、c、d,A、B、R5、R6、R7、およびR8は式1.0のように定義され;
R44およびR46は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれ独立して、R1およびR2
のいずれかの置換基を表し;
R48およびR50は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれ独立して、R3およびR4
のいずれかの置換基を表し;
Yは-OR52または-SR70を表し;
R52は、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリール(例えば、フェニルまた
は置換フェニル、すなわち、ハロ、アルキル、ハロアルキルまたはアルコキシか
ら選択される1個〜3個の基、好ましくは1個の基で置換されたフェニル)、ヘ
テロアリール(例えば、3-または4-ピリジルのようなピリジル、あるいは3-また
は4-ピリジルN-オキシドのようなピリジルN-オキシド)、アルキル(例えば、エ
チル)、あるいは2-、3-または4-ピペリジルまたはN-置換ピペリジルであり、こ
こで、該N-置換ピペリジルの置換基は、C1〜C4アルキル、アルキルカルボニル(
例えは、CH3C(O)-)または-C(O)NH(R10)であり、ここで、R10はHまたはアルキ
ルであり;
R70は上記のように定義され;そして
5位の炭素と6位の炭素との間の破線は、任意の二重結合(好ましくは、この
二重結合は存在せす)を表し;そして
但し、(a)Yが-OR52を表し、5位の炭素原子と6位の炭素原子との間に単結
合が存在し、R44およびR46の両方が水素であり、そしてR48およびR50の両方がH
であ
る場合、R52はフェニルではなく;そして(b)Yが-OR52を表し、5位の炭素原
子と6位の炭素原子との間に単結合が存在し、R44およびR46の両方が水素であり
、そしてR48がC-8の位置でClであり、そしてR50がHである場合、R52はエチルで
はない。
本発明はまた、本明細書中に記載されている有効量の三環式化合物を、このよ
うな治療が必要とされる哺乳類(例えば、ヒト)に投与することにより腫瘍の増
殖を阻害する方法を提供する。特に、本発明は、有効量の上記の化合物を投与す
ることにより、活性化Rasオンコジーンを発現する腫瘍の増殖を阻害するための
方法を提供する。阻害され得る腫瘍の例は、肺ガン(例えば、肺アデノカルシノ
ーマ)、膵臓ガン(例えば、膵臓外分泌カルシノーマのような膵臓カルシノーマ
)、結腸ガン(例えば、結腸アデノカルシノーマおよび結腸アデノーマのような
結腸直腸カルシノーマ)、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))
、甲状腺濾胞ガン、膀胱カルシノーマ、および骨髄形成異常症候群(MDS)を包
含するが、これらには限定されない。
本発明はまた、良性および悪性の両方の増殖性疾患(ここで、他の遺伝子中の
オンコジーン変異の結果としてRasタンパク質が異常に活性化されている−すな
わち、Ras遺伝子自身は変異によってオンコジーン形態に活性化されない−)を
阻害する方法を提供し、この阻害は、有効量の本明細書中に記載されている三環
式化合物を、このような治療が必要とされる哺乳類(例えば、ヒト)に投与する
ことにより達成されると考えられる。例えば、良性の増殖性疾患である神経線維
腫症、またはRasがチロシンキナーゼオンコジーン(例えば、neu、src、abl、lc
k、lyn、fyn)の変異または過発現によって活性化される腫瘍が、本明細書中に
記載されている三環式化合物によって阻害され得る。
本発明の化合物は、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼおよびオンコ
ジーンタンパク質Rasのファルネシル化を阻害する。本発明はさらに、有効量の
上記の三環式化合物を投与することにより、哺乳類(特にヒト)のrasファルネ
シルタンパク質トランスフェラーゼを阻害する方法を提供する。本発明の化合物
の患者への投与は、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼを阻害して、上
記のガンの治療に有用である。
本発明の方法に有用な三環式化合物は、異常な細胞の増殖を阻害する。理論に
束縛されるものではないが、これらの化合物は、G-タンパク質(例えば、ras p2
1)機能のG-タンパク質のイソプレニル化のブロックによる阻害を介して機能し
得、従って、増殖性疾患(例えば、腫瘍の増殖および癌)の治療に有用になり得
ると考えられる。理論に束縛されるものではないが、これらの化合物は、rasフ
ァルネシルタンパク質トランスフェラーゼを阻害し、従って、ras形質転換細胞
に対して抗増殖活性を示すと考えられる。
本発明はまた、3-ニトロ置換化合物の製造プロセスを提供する。このプロセス
は、以下の式:
(ここで、R1、R2、R3、R4、A、B、a、b、d、および破線は、式1.0につい
て定義した通りであり;そしてR75は、Hまたは-OR76(ここでR76は、アルキル
(例えば、C1−C4アルキル、好ましくはエチル))を表す)
の化合物1モル当量を、1モル当量のニトロ化剤(ここで、ニトロ化剤は、低温
(例えば、0℃)で等モルの硝酸テトラブチルアンモニウムとトリフロロ酢酸無
水物とを混合することにより予め形成(すなわち、最初に調製)されている)と
反応させること;
ニトロ化剤と式1.0gの化合物との反応が、適切な非プロトン性溶媒(例えば、
塩化メチレン、クロロホルム、トルエンまたはテトラヒドロフラン)中で起こる
こと;
該ニトロ化剤との反応を、反応が適切な速度で進行するに十分な温度および時
間で行い--すなわち、式1.0gの化合物と該ニトロ化剤との反応を初期温度0℃で
行った後、反応温度を反応期間の間、約25℃に加温して--、所望の最終3-ニトロ
化合物(式1.0h(下記))を得ること;
を包含する。この反応は、通常、一晩進行して完了する(すなわち、この反応は
、通常、約16時間進行する)。この反応は、0℃〜約25℃の温度で、約10〜約24
時間の間行われ得る。好ましくは、この反応は、最初0℃で行われ、そして温度
が25℃まで加温される。この反応により、以下の3-ニトロ化合物が得られる:
次いで、式1.0hの化合物は、当業者に周知の方法により、他の3-置換生成物に
転化され得る。例えば、3-ニトロ化合物は、3-アミノ、3-ハロ、3-シアノ、3-ア
ルキル、3-アリール、3-チオ、3-アリールアルキル、3-ヒドロキシル、および3-
OR77(ここでR77は、アルキルまたはアリールである)に転化され得る。次いで
、3-置換化合物は、本明細書に記載の手順により最終生成物に転化され得る。
本発明はまた、上記のように式1.0gの化合物から式1.0hの化合物を生成し;次
いで、式1.0hの化合物を十分な量の濃酸(例えば、濃HClまたは硫酸水溶液)に
溶解して加水分解し;そして、得られる混合物を、-C(O)R65置換基を除去(加水
分解)するに十分な温度まで加熱する(例えば、加熱還流するか約100℃の温度
まで加熱する)ことにより、以下の式の3-ニトロ化合物を製造するプロセスを提
供する:
次いで、式1.0iの化合物は、式1.0hの化合物について上述したようにして、他
の3-置換化合物に転化され得る。次いで、式1.0iの化合物は、本明細書に記載の
方法により本発明の化合物に転化され得る。
本発明はまた、以下の式の化合物を製造するプロセスを提供する:
このプロセスは、以下の式
の化合物1モル当量を、1モル当量のニトロ化剤(ここで、該ニトロ化剤は、低
温(例えば、0℃)で等モル量の硝酸テトラブチルアンモニウムとトリフロロ酢
酸無水物とを混合することにより予め形成(すなわち、最初に調製)されている
)と反応させること;
ニトロ化剤と式1.0kの化合物との反応が、適切な非プロトン性溶媒(例えば、
塩化メチレン、クロロホルム、トルエンまたはテトラヒドロフラン)中で起こる
こと;
該ニトロ化剤との反応を、反応が適切な速度で進行するに十分な温度および時
間で行い--すなわち、式1.0kの化合物と該ニトロ化剤との反応を初期温度0℃で
行った後、反応温度を反応期間の間約25℃に加温して--、所望の最終3-ニトロ化
合物(式1.0j)を得ること;
を包含する。この反応は、通常、一晩進行して完了する(すなわち、この反応は
、通常、約16時間進行する)。この反応は、0℃〜約25℃の温度で、約10〜約24
時間の間行われ得る。好ましくは、この反応は、最初0℃で行われ、そして温度
が25℃まで加温される。式1.0jおよび1.0kにおいて、R1、R2、R3、R4、A、B、
a、b、d、および破線は、式1.0について定義した通りである。
式1.0jの化合物は、下記の方法により式1.0hの化合物に転化され得る。また、
化合物1.0hについて先に議論したようにして、式1.0jの化合物は、他の3-置換化
合物(ここで、置換基は、式1.0hについて先に議論した通りである)に転化され
得る。
式1.0jの化合物は、式1.0mの化合物に転化され得る:
ここで、R78は、Hまたは-COORa(ここでRaは、C1-C3アルキル基(好ましくは、
R78はH)である)である。反応手順は以下の通りである:式1.0jの化合物を、
適切な溶媒(例えば、エタノールまたはメタノール)中、反応が適切な速度で進
行するに適切な温度(例えば、0〜約25℃)にて、適切な還元剤(例えば、水素
化ホウ素ナトリウム)で還元し;得られる生成物(=Oが-OHに還元されている式1
.0jの化合物)を、適切な有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエンまたはピリジ
ン)中、反応が適切な速度で進行するに適切な温度(例えば、約−20〜約20℃、
好ましくは−15℃)で、塩素化剤(例えば、塩化チオニル)と反応させ、式1.0n
の化合物を生成する:
そして、式1.0nの化合物を、適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたはN-メ
チルモルホリン)を含有する適切な有機溶媒(例えば、テトラヒドロフランまた
はトルエン)中、反応が適切な速度で進行するに適切な温度(例えば、25〜約12
0℃)で、以下の式の化合物と反応させる:
ここで、R78は先に定義した通りであり、好ましくはHである。
式1.0mの化合物は、本明細書に開示される方法により本発明の化合物に転化さ
れ得る。また、式1.0hの化合物について先に議論したようにして、式1.0mの化合
物は、他の3-置換化合物(ここで、置換基は、式1.0hについて先に議論した通り
である)に転化され得る。
本発明はまた、以下の式を有する新規な化合物(本発明の化合物の中間体とし
て、先に議論したプロセスにより製造される)を提供する:
ここで、すべての置換基は、本明細書で定義した通りである。
好ましくは、本発明のプロセスの中間体化合物について、R1およびR2はHであ
り;R3はハロ、最も好ましくはC-8位置でのClであり;R4はHであり;そして、C
-5とC-6との間に二重結合が存在する場合には、AおよびBはHであり、C-5とC-
6との間の結合が単結合である場合には(最も好ましくは、C-5とC-6との間の結
合は単結合である)、AおよびBはH2てある。当業者は、環I、IIおよび/また
はIIIが、本明細書に記載されるようにさらに置換され得、所望の本発明の化合
物を生成し得ることを認めるであろう。
このような新規な中間体化合物の例としては、以下の化合物が挙げられる:
発明の詳細な説明
本明細書で用いられる場合に、他に明記しなければ、以下の用語は次のように
定義される:
M+は、質量スペクトルにおける、分子の分子イオンを表す;
MH+は、質量スペクトルにおける、分子の分子イオンおよび水素を表す;
アルキル(アルコキシ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノのアルキル部
分を含む)は、直鎖状または分岐状の炭素鎖を表し、1〜20個の炭素原子、好ま
しくは1〜6個の炭素原子を含む;
アルカンジイル(alkanediyl)は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜6個
の炭素原子を有する、2価の、直鎖状または分岐状の炭化水素鎖を表し、2つの
利用可能な結合は、同一のまたは異なる炭素原子由来であり、例えば、メチレン
、エチレン、エチリデン、-CH2CH2CH2-、-CH2CHCH3、-CHCH2CH3などが挙げられ
る;
シクロアルキルは、3個〜20個の炭素原子、好ましくは3個〜7個の炭素原子
の分枝状または非分枝状の飽和環状炭素環を表し;
ヘテロシクロアルキルは、3個〜15個の炭素原子、好ましくは4個〜6個の炭
素原子を含有する飽和、分枝状または非分枝状の炭素環式環を表し、この炭素環
式環は-O-、-S-または-NR10-から選択される1個〜3個のヘテロ基(適切なヘテ
ロシクロアルキル基には2-または3-テトラヒドロフラニル、2-または3-テトラヒ
ドロチエニル、2-、3-または4-ピペリジニル、2-または3-ピロリジニル、2-また
は3-ピペリジニル、2-または4-ジオキサニルなどがある)により介在しており;
アルケニルは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、2〜12個の炭素
原子、好ましくは2〜6個の炭素原子、そして最も好ましくは3〜6個の炭素原
子を含む直鎖状または分岐状の炭素鎖を表す;
アルキニルは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、2〜12個の炭素
原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状の炭素鎖を表す
;
アリール(アリールオキシおよびアラルキルのアリール部分を含む)は、6〜
15個の炭素原子を含み、少なくとも1つの芳香族環(例えば、アリールはフェニ
ル環である)を有する環状炭素基を表し、環状炭素基の置換可能で利用可能な炭
素原子のすべては、可能な結合点として意図され、この環状炭素基は、1つ以上
のハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェノキシ、CF3、アミノ、アル
キルアミノ、ジアルキルアミノ、-COOR10または-NO2で任意に置換(例えば、1
〜3個)される;そして
ハロは、フロロ、クロロ、ブロモおよびヨードを表す;そして
ヘテロアリールは、O、SまたはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原
子を有し、このヘテロ原子は環状炭素環構造に介在し、芳香族性を提供するに十
分な数の非局在化したπ電子を有し、この芳香族ヘテロ環基は、好ましくは2〜
14個の炭素原子を含有し、例えば、2-、3-または4-ピリジル(任意にR3およびR4
で置換される)、ピリジルN-オキシド:
(例えば、2-、3-または4-ピリジルN-オキシド(任意にR3およびR4で置換される
))が挙げられる。
例えば、環IおよびIIIの置換基の位置については、番号を付した以下の環構
造に基づいている:
例えば、式1.0において、R1はC-4位置であり得、R2はC-2またはC-3位置であり得
る。また、例えば、R3はC-8位置であり得、R4はC-9位置であり得る。
式1.0の代表的構造は、限定されないが、以下が挙げられる:
好ましくは、式1.0(1.0a−1.0dを含む)の化合物について:
a、b、cおよびdのうちの1つ(最も好ましくはaである)はNまたはNR9
を表し、ここで、R9はO-または-CH3であり、そして残りのa、b、cおよびd基
は、CR1またはCR2を表し;より好ましくは、aはNを表し、そして残りのa、b
、cおよびd基はCR1またはCR2を表し;
各R1および各R2は、独立して、H、ハロ(例えば、ClまたはBr)、ベンゾトリ
アゾール-1イルオキシまたはアルキル(最も好ましくはC1−C4アルキルであり、
より好ましくはメチルである)から選択され;最も好ましくは、R1およびR2はH
またはハロから選択され;そしてより好ましくは、R1およびR2は、H、Clまたは
Brから選択され;
R3およびR4は、同じかまたは異なり、そしてそれぞれ独立して、H、ハロまた
はアルキルを表し;最も好ましくは、R3はハロであり、そしてR4はHであり;よ
り好ましくは、R3はClであり、そしてR4はHであり;さらにより好ましくは、R3
はC-8の位置でClであり、そしてR4はHであり;
R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、Hまたはアルキルを表し;そして
最も好ましくは、R5、R6、R7およびR8は、それぞれHを表し;
5位の炭素原子と6位の炭素原子との間の破線は任意の二重結合を表し、これ
により、二重結合が存在する場合、AおよびBは、独立して、H、-R10または-O
R10、そして最も好ましくはHを表し、そして5位の炭素原子と6位の炭素原子
との間に二重結合が存在しない場合、AおよびBは、それぞれ独立して、H2、-
(OR10)2、(アルキルおよびH)、(アルキル)2、(-Hおよび-OR10)または=O
、そして最も好ましくはH2を表し;そして
R20は、C1−C12アルキル、フェニル、置換フェニル、C7〜C12フェニルアルキ
ル(例えば、ベンジル)、フェニル部分が置換されたC7〜C12フエニルアルキル
、3-または4-N-置換ピペリジル、またはヘテロアリール(例えば、ピリジルまた
はピリジルN-オキシド)であり、ここで、該置換フェニル、および該C7〜C12フ
ェニルアルキルの置換フェニル部分の置換基は、C1〜C6アルキルおよびハロから
選択され、そしてここで、該N-置換ピペリジルの置換基はC1−C4アルキル(最も
好ましくはメチルである)、アルキルカルボニル(例えば、CH3C(O)-)または-C
(O)NH(R10)であり、ここて、R10はHまたはアルキルであり;最も好ましくは、R20
はC1〜C6アルキル(最も好ましくはエチルである)、フェニル、置換フェニル
、3-ピリジル、3-ピリジルN-オキシド、4-ピリジル、4-ピリジルN-オキシド、あ
るいは3-または4-N-置換ピペリジル(ここで、窒素の置換基はC1〜C4アルキル(
より好ましくはメチルである)である)である。
好ましくは、式1.0の化合物について、Rは-OR20を表し、残りの置換基は上記
のように定義される。
本発明の方法に有用な三環式化合物は、(1)米国特許第4,282,233号;(2)
米国特許第4,826,853号;(3)1988年5月5日に公開されたWO88/03138号(PCT/
US87/02777);および(4)米国特許第4,863,931号に記載されており;それぞれ
の開示は、本明細書中で参考として援用されている。
式1.1の化合物は、以下の式の化合物を含む:
好ましくは、式1.1の化合物について:
aはNを表し、そしてb、c、およびdは炭素を表し;
C-5とC-6との間に二重結合が存在しないとき、AおよびBは、それぞれH2を
表し、そして二重結合が存在するとき、AおよびBは、それぞれHを表し;
R5、R6、R7およびR8は、それぞれ、Hを表し;
R22およびR24は、それぞれ独立して、H、ハロ(例えば、ClまたはBr)、ベン
ゾトリアゾール-1イルオキシまたはアルキル(最も好ましくはC1−C4アルキルで
あり、より好ましくはメチルである)から選択され;最も好ましくは、R22およ
びR24は、それぞれ独立して、Hまたはハロから選択され;より好ましくは、R22
およびR24は、それぞれ独立して、H、ClまたはBrから選択され;
R26およびR28は、それぞれ独立して、H、ハロ(例えは、ClまたはBr)または
アルキルから選択され;最も好ましくは、R26はハロであり、そしてR28はHであ
り、より好ましくは、R26はClであり、そしてR28はHであり、さらにより好まし
くは、R26はC-8の位置てClであり、そしてR28はHであり;
Vは-OR30を表し;そして
R30は、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、3-または4
-ピリジルのようなピリジル、3-または4-ピリジルN-オキシドのようなピリジルN
-オキシド)、アルキル(例えば、エチル)、あるいは3-または4-N-置換ピペリ
ジル(最も好ましくは、該N-置換ピペリジルの置換基はC1−C4アルキルであり、
そしてより好ましくはメチルである)を表す。
例えば、式1.1の化合物は、
を含み、ここで、置換基は上記のように定義される。
式1.2の化合物の代表例は以下を含む:
好ましくは、式1.2の化合物について:
aはNを表し、そしてb、c、およびdは炭素を表し;
C-5とC-6との間に二重結合が存在しないとき、AおよびBは、それぞれH2を
表し、そして二重結合が存在するとき、AおよびBは、それぞれHを表し;
R5、R6、R7およびR8は、それぞれ、Hを表し;
R32およびR34は、それぞれ独立して、H、ハロ(例えば、ClまたはBr)、ベン
ゾトリアゾール-1イルオキシまたはアルキル(最も好ましくはC1〜C4アルキルで
あり、より好ましくはメチルである)から選択され;最も好ましくは、R32およ
びR34は、それぞれ独立して、Hまたはハロから選択され;より好ましくは、R32
およびR34は、それぞれ独立して、H、ClまたはBrから選択され;
R36およびR38は、それぞれ独立して、Hまたはハロ(例えは、ClまたはBr)か
ら選択され;最も好ましくは、R36はハロであり、そしてR38はHであり、より好
ましくは、R36はClであり、そしてR38はHであり、さらにより好ましくは、R36
はC-8の位置てClであり、そしてR38はHであり;
Wは-OR40を表し;そして
R40は、ヘテロアリール(例えば、3-または4-ピリジルのようなピリジル、3-
または4-ピリジルN-オキシドのようなピリジルN-オキシド)、アルキル(例えば
、エチル)、あるいは3-または4-N-置換ピペリジル(最も好ましくは、該N-置換
ピペリジルの置換基はC1〜C4アルキルであり、そしてより好ましくはメチルであ
る)を表す。
式1.3の化合物は、(a)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素であり
、そしてR48およびR50の両方がHである場合、R52はフェニルではなく;そして
(b)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素であり、そしてR48がC-8の位
置でClであり、そしてR50がHである場合、R52はエチルではない、化合物を含む
。
式1.3の化合物はまた、(a)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素で
あり、そしてR48およびR50の両方がHである場合、R52はアリールではなく;そ
して(b)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素であり、そしてR48がC-8
の位置でClであり、そしてR50がHである場合、R52はアルキルではない、化合物
を含む。
式1.3の化合物はさらに、(a)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素
であり、そしてR48およびR50の両方がHである場合、R52はアリールではなく;
そして(b)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素であり、そしてR48がC
-8の位置でハロであり、そしてR50がHである場合、R52はアルキルではない、化
合物を含む。
式1.3の化合物はさらに、(a)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素
であり、そしてR48およびR50の両方がHである場合、R52はアリールではなく;
そして(b)Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素であり、そしてR48が
ハロであり、そしてR50がHである場合、R52はアルキルではない、化合物を含む
。
式1.3の化合物はさらに、Yが-OR52を表し、R44およびR46の両方が水素であり
、そしてR48およびR50の両方がHである場合、R52はアリールではなく、そしてR52
はアルキルではない、化合物を含む。
好ましくは、式1.3の化合物について:
aはNを表し、そしてb、c、およびdは炭素を表し;
C-5とC-6との間に二重結合が存在しないとき、AおよびBは、それぞれH2を
表し、そして二重結合が存在するとき、AおよびBは、それぞれHを表し;
R5、R6、R7およびR8は、それぞれ、Hを表し;
R44およびR46は、それぞれ独立して、H、ハロ(例えば、ClまたはBr)、ベン
ゾトリアゾール-1イルオキシまたはアルキル(最も好ましくはC1〜C4アルキルで
あり、より好ましくはメチルである)から選択され;最も好ましくは、R44およ
びR46は、それぞれ独立して、Hまたはハロから選択され;より好ましくは、R44
およびR46は、それぞれ独立して、H、ClまたはBrから選択され;
R48およびR50は、それぞれ独立して、Hまたはハロ(例えは、ClまたはBr)か
ら選択され;最も好ましくは、R48はハロであり、そしてR50はHであり、より好
ましくは、R48はClであり、そしてR50はHであり、さらにより好ましくは、R48
はC-8の位置でClであり、そしてR50はHであり;
R52は、ヘテロアリール(最も好ましくは、3-または4-ピリジル、または3-ま
たは4-ピリジルN-オキシドである)、アリール(最も好ましくは、フェニルまた
は置換フェニル、例えば、p-ブロモフェニルのようなハロ置換フェニルである)
、あるいは3-または4-N-置換ピペリジル(最も好ましくは、該N-置換ピペリジル
の置換基はC1〜C4アルキルであり、そしてより好ましくはメチルである)を表し
;そして、
R70は、フェニル、3-ピリジル、4-ピリジル、3-ピリジルN-オキシド、4-ピリ
ジルN-オキシド、3-または4-置換ピペリジルを表し、ここで、該N-置換ピペリジ
ルの置換基は、C1〜C4アルキル(最も好ましくはメチルである)、アルキルカル
ボニルまたは-C(O)NH(R10)であり、ここて、R10はHまたはアルキルであり、最
も好ましくは、該N-置換ピペリジルの置換基は、C1〜C4アルキルである。
式1.3の化合物は、
を含み、ここで、全ての置換基は上記のように定義される。
式1.0の化合物は式1.4の化合物を含む:
ここで、全ての置換基は式1.0のように定義される。特に、式1.4の化合物は、R
が-SR65である化合物を含む。式1.4の化合物はさらに、Rが-SR65であり、そして
R10がH、アルキルまたはアリールである化合物を含む。Rが-SR65(R65がアルキ
ルである)であり、そしてR10がH、アルキルまたはアリールである化合物は、
米国特許第4,826,853号およびWO88/03138号に開示され、そして本明細書の手順
に従って調製され得る。
式1.0の化合物はまた、式1.5の化合物を含む:
ここで、全ての置換基は式1.0のように定義される。特に、式1.5の化合物は、R3
がHまたはハロであり、そしてR20が式1.0(ヘテロアリールが排除されることを
除く)のように定義される化合物を含み;これらの化合物は米国特許出願第4,28
2,233号に開示され、そして本明細書中に開示のプロセスに従って調製され得る
。
式1.6の化合物もまた式1.0に含まれる:
ここで、全ての置換基は式1.0のように定義される。特に、式1.6の化合物は、R1
〜R4が、それぞれ独立して、式1.0のR1およびR2に与えられた置換基から選択さ
れ、そしてR16およびR18がそれぞれHおよびF、またはそれぞれFおよびH(好
ましくは、R16はFであり、そしてR18はHである)を表す化合物を含み;これら
の化合物は米国特許出願第4,863,931号に開示され、そして本明細書中に開示の
手順に従って調製され得る。
環系に引かれた線は、示された結合が置換可能な環の炭素原子のいずれにも結
合し得ることを示している。
本発明の特定の化合物は、異なる異性体(例えば、鏡像異性体およびジアステ
レオ異性体)の形態で存在し得る。本発明は、純粋な形態および混合形態(ラセ
ミ混合物を含む)の両方のこのような異性体すべてを意図している。エノール形
もまた含まれる。
本発明の化合物は、非溶媒和物および溶媒和物(水和物を含む、例えは、半水
和物)の形態で存在し得る。一般に、薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水、エ
タノールなど)による溶媒和形態は、本発明の目的において非溶媒和形態と同等
である。
特定の三環式化合物は、本来、酸性である(例えば、カルボキシル基またはフ
ェノール性水酸基を有する化合物)。これらの化合物は、薬学的に受容可能な塩
を形成し得る。このような塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アル
ミニウム、金および銀塩を包含し得る。薬学的に受容可能なアミン(例えば、ア
ンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N-メチルグルカミンな
ど)で形成される塩もまた意図される。
特定の塩基性三環式化合物もまた、薬学的に受容可能な塩(例えば、酸付加塩
)を形成する。例えば、ピリド窒素原子は強酸と塩を形成し得、塩基性置換基(
例えば、アミノ基)を有する化合物もまた弱酸と塩を形成し得る。塩を形成する
に適切な酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マ
ロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイ
ン酸、メタンスルホン酸、および当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸が挙
げられる。塩は、通常の方法で、遊離塩基形態と塩を形成するに十分な量の所望
の酸とを接触させることにより調製される。遊離塩基形態は、適切な希釈塩基水
溶液(例えば、希水性水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニアおよび重炭
酸ナトリウム)で塩を処理することにより再生され得る。遊離塩基形態は、それ
ぞれの塩形態と特定の物理的特性(例えば、極性溶媒中の溶解性)において幾分
異なるが、その他の点では、酸および塩基の塩は、本発明の目的においてそれぞ
れの遊離塩基形態と同等である。
すべてのこのような酸および塩基の塩は、本発明の範囲内で薬学的に受容可能
な塩であることが意図され、そして、すべての酸および塩基の塩は、本発明の目
的において、対応する化合物の遊離形態と同等であると考えられる。
上記式の化合物には、以下が包含される:
本発明で有用な好ましい化合物は、式500.00、530.00、550.00、565.00、580.
00、595.00、600.00、604.00、608.00、610.00、612.00、618.00、626.00、642.
00、644.00、656.00、662.00、および676.00、ならびに実施例32および33の化合
物により表される。
本発明でさらに好ましい化合物は、式500.00、530.00、565.00、580.00、595.
00、600.00、608.00、610.00、612.00、618.00、626.00、642.00、644.00、656.
00、および662.00、ならびに実施例32および33の化合物により表される。
式400.00の化合物を生成するために、以下のプロセスが採用され得る:
当業者は、式1.0の化合物(例えば、式1.4の化合物)が、式400.00の化合物によ
り表されることを認識し得る。当業者はまた、式400.00(式1.4)の化合物を生
成するための下記のプロセスが、式1.1、1.2、および1.3の化合物にも適用し得
ることを認識し得る。
式405.00の化合物は、塩基の存在下でRC(O)L(ここで、Rは式1.0について定
義するとおりである)と反応し、式400.00の化合物を生成し得る:
適切な塩基の代表例は、ピリジンおよびトリエチルアミンである。Lは適切な脱
離基(例えば、ClまたはBr)を示す。
式405.00の化合物は、例えば、酸加水分解(例えば、HCl)または塩基加水分
解(例えば、KOH)を経て、対応するカルバメート415.00からCOORa基を開裂させ
ることにより調製され得る:
ここで、Raは、開裂反応を阻止しない基であり、例えば、Raは、任意に置換され
るアルキル(例えば、エチル)である。
あるいは、Raの性質に依存して、当業者により決定されるように、化合物415.
00は、有機金属試薬(例えば、CH3Li)、還元剤(例えば、酸中のZn)などによ
り処理され、式405.00の化合物を形成し得る。
化合物415.00は、米国特許第4,282,233号および第4,335,036号に開示される方
法により、以下の式420.00で示されるようなN-アルキル化合物から調製され得る
。
化合物420.00を化合物405.00に転化する他の方法が存在することもまた、当業
者に明らかである。例えば、化合物420.00をフォンブラウン反応条件を経てBrCN
で処理することによって、ニトリル420.00aが得られる。次いで、ニトリルを、
水性塩基性条件または水性酸性条件下のいすれかで加水分解することにより、化
合物405.00が生成される。ピペリジンまたはピペラジン環が置換されている場合
には、この方法が好ましい。
C.式400.00の化合物(ここで、ZはOである)は、クロロホルメート(例え
ば、フェニルクロロホルメート)のような式410.00の適切な化合物でN−アルキ
ル化合物420.00の直接的な転化を用いる他のプロセスにより得られ得る。適切な
塩基を添加し得、そして加熱を必要とし得る。代表的には、50〜150℃の範囲の
温度が有用である。本発明の他の化合物は、式400.00(ここで、Rはフェノキシ
である)の化合物と適切なアルコールのナトリウム塩との反応により得られ得る
。
化合物420.00は上記のB部に記載のように調製される。
単結合化合物の調製
式400.00の化合物(ここで、Xは炭素であり、そして炭素11(C-11)との結合
は単結合である)は、テトラヒドロフラン中で式405.00の化合物(ここで、Xは
炭素であり、そしてC-11との結合は二重結合である)を水素化リチウムアルミニ
ウムで還元することによって調製され得る。最終生成物への転化は、式405.00の
化合物を式400.00の化合物に転化するための上記のプロセスに従って行われ得る
。
二重結合化合物の調製
式400.00の化合物(ここで、Xは、炭素11との環外二重結合を有する炭素原子
である)は、上記の化合物420.00から調製され得る。式420.00の化合物は、米国
特許第3,326,924号に一般的に開示されている方法によって生成され得るか、あ
るいは、閉環反応(ここで、所望のシクロヘプテン環は、化合物425.00を超酸で
処理することによって形成される)によって調製され得る。この目的に適切な超
酸は、例えば、HF/BF3、CF3SO3H(トリフリック酸(triflic acid))、CF3SO3H/B
F3などを包含する。この反応は、CH2Cl2のような不活性共溶媒の非存在下または
存在下で行われ得る。反応温度および反応時間は、用いられる酸によって変化す
る。例えば、超酸系としてHF/BF3を用いた場合、温度は、環外二重結合へのHF付
加の
ような副反応を最小化するように制御され得る。このため、温度は、一般に約+5
℃〜-50℃の範囲である。超酸系としてCF3SO3Hを用いる場合、反応は、高温(例
えば、約25℃〜約150℃)および低温(ただし、このとき反応は完了まで長時間
かかる)で行われ得る。
一般に超酸は、過剰に、好ましくは約1.5〜約30当量の量で用いられる。
式425.00のケトン化合物は、430.00の加水分解によって、例えは、式430.00の
グリニャール中間体を酸水溶液(例えば、HCl水溶液)と反応させることによっ
て形成され得る。式430.00のIaは、クロロ、ブロモ、またはヨードを表す。
グリニャール中間体430.00は、シアノ化合物435.00と1-アルキル-4-ハロピペ
リジンから調製された適切なグリニャール試薬440.00との反応によって形成され
る。反応は、一般に、エーテル、トルエン、またはテトラヒドロフランのような
不活性溶媒中で、一般的なグリニャール条件(例えば、約0℃〜約75℃の温度)
下で行われる。あるいは、1-アルキル-4-ハロピペリジンの他の有機金属誘導体
が用いられ得る。
式435.00のシアノ化合物は、式445.00の第3級ブチルアミドを適切な脱水剤(
例えば、POCl3、SOCl2、P2O5、ピリジン中のトルエンスルホニルクロライド、ピ
リジン中のオキサリルクロライドなど)で転化することによって生成される。こ
の反応は、キシレンのような共溶媒の非存在下または存在下で行われ得る。
POCl3のような脱水剤は、当量またはそれ以上の量、好ましくは約2〜約15当
量の量で用いられる。あらゆる適切な温度および時間が、反応を実行するのに用
いられ得るが、一般に熱を加えると、反応は速められる。好ましくは、反応は、
還流またはその付近で行われる。
式445.00のtert-ブチルアミドは、塩基の存在下で、式450.00aと450.00bとの
反応によって生成され、ここで、Gはクロロ、ブロモ、またはヨードである。
式450.00aの化合物は、対応するニトリルの加水分解によって形成され得、こ
こで、2-シアノ-3-ピリジンのような適切なシアノメチルピリジンは、濃硫酸ま
たは氷酢酸中の濃硫酸のような酸の中で第3級ブチル化合物と反応される。適切
な第3級ブチル化合物は、t-ブチルアルコール、塩化t-ブチル、臭化t-ブチル、
ヨウ化t-ブチル、イソブチレン、または加水分解条件下でシアノ化合物と反応し
てt-ブチルカルボキサミドを形成するあらゆる他の化合物を包含するが、これら
には限定されない。反応温度は、反応物に依存して変化するが、一般に反応は、
t-ブチルアルコールを用いて約50℃〜約100℃の範囲で行われ得る。反応は、不
活性溶媒を用いて行われ得るが、通常はニート(neat)で行われる。
式400.00aの化合物を形成するための別のプロセスは、下記に示すように化合
物455.00を直接環化することを含み得る。
シクロヘプテン環を形成するための環化は、強酸(例えば、トリフリック酸、
ポリリン酸、HF/BF3)を用いて成し遂げられ得、そしてエーテル、トルエンまた
はTHFのような不活性溶媒中で行われ得る。温度および時間は、上記のプロセス
Aにおいて記載したように、用いられる酸によって変化し得る。
式455.00の化合物(ここで、ZはOである)は、式425.00の化合物を、トルエ
ン、ジオキサンまたはキシレンのような適切な溶媒中、50〜150℃、好ましくは1
00〜120℃の温度範囲で、式410.00の適切なクロロホルメート(例えばエチルク
ロロホルメート)で処理することによって調製され得る。
式455.00の化合物を調製する第2の方法は、ピリジンまたはトリエチルアミン
のような塩基存在下で、式460.00の未置換ピペリジリデン化合物を式410.00の適
切なクロロホルメート(例えば、エチルクロロホルメート)と反応させることを
含む。
式460.00の化合物は、例えば塩酸水溶液を用いる酸加水分解により、または例
えば水酸化カリウムを用いる塩基加水分解により、対応する式465.00のカルバメ
ートから生成され得る。あるいは、いくつかの化合物は、Ra基の性質に依存し
て、カルバメート(式465.00)を有機金属試薬(例えは、メチルリチウム)また
は還元試薬(例えば、酸中の亜鉛)などで処理することによって調製され得る。
例えば、Raが単純なアルキル基である場合、CO2Raは、100℃でアルカリ性加
水分解によって切断され得る。
式465.00のカルバメート化合物は、クロロホルメートを用いて、好ましくはト
ルエンのような不活性溶媒中で約80℃まで加温することと共に処理することによ
って、式425.00の適切なアルキル化合物から調製され得る。他の別の方法も、上
に記載したように、425.00の455.00への転化のために利用可能である(例えば、
フォンブラウン反応条件)。式425.00の化合物は、上記のように調製され得る。
ピリジン環上の置換
種々の方法が、WO88/03138号に記載されるように使用されて、ピリジン環上(
すなわち、三環式系の2-、3-および/または4-位の位置)で置換される化合物を
提供し得る。例えは、WO88/03138号の20-30頁に記載される環化方法によって、
すでに、適切な置換基をピリジン環の適切な位置にすることが可能である。種々
の置換ピリジンが文献において知られており、そしてこれらの合成に用いられ得
る。あるいは、式XIXのアザケトン(WO88/03138号の27頁より)
(ここで、R1およびR2は両方ともHである)は、適切に置換されたアザケトン
(ここでR1およびR2は両方ともHでない置換基である)に転化され得る。R1
およびR2両方ともHでない置換基であることが所望される場合には、この手順
が繰り返される。
従って、アザケトンは、メタ-クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)または過酸
化水素のような酸化剤と反応されて、ピリジン環の窒素がN-オキシドである対
応する化合物を生成する:
ここで、a'、b'、c'またはd'の1つは、N→Oであり、そしてその他はCH
またはCR1またはCR2である。この反応は、通常、-15℃から還流までの温度
で、より典型的には約0℃で行われる。反応は、好ましくは、MCPBAについては
塩化メチレンのような不活性溶媒中、または過酸化水素については酢酸中で行わ
れる。
次いで式470.00aのアザケトンN-オキシドは、SO2Cl2またはSOCl2のような塩
素化剤と反応されて、式470.00bの化合物を形成する。典型的には、この反応は
、環のN原子に対してオルト位またはパラ位におけるClのモノ置換を生じる。
ジ置換生成物を得るためには、上記の工程1および工程2を繰り返す。
典型的に、得られるジ置換化合物は、ピリジン環のN原子に対して、オルトおよ
びパラのClを有する。
上記の式470.00bおよび式470.00cのモノまたはジ置換化合物は、アルコキシド
、アミン、アミン、チオールなどのような種々の求核試薬と反応され得る。これ
は、1つまたは両方のCl置換基が求核試薬により置換される化合物を生じて、式
470.00dの化合物、または容易に式470.00dに転化される化合物を与える。
次いで式470.00の置換ケトンは、上記の方法によって所望の化合物に転化され
る。
式405.00(ここで、R1またはR2は塩素である)は、以下の他のプロセスに
より得られ得る。
式415.00のN−オキシドをPOCl3で処理し、式415.01の化合物を形成し得る。
代表的には、この反応は、環のN原子に関してオルト位またはパラ位におけるCl
のモノ−置換を生じる。4-クロロペルオキシ安息香酸のようなペルオキシ酸で式
415.00を酸化して、式415.00のN−オキシドを形成し得る。
あるいは、上記の式470.00bまたは式470.00cのCl置換アザケトンは、上記と同
様な方法によって、対応する上記の式405.00の誘導体(ここでR1および/また
はR2はClである)に転化され得る。この時点で、(単数または複数の)Cl置換
基は、適切な求核試薬によって置換されて、所望の置換基を与え得る。適切な求
核試薬は、アルコキシド、アミン、チオールなどを包含する。この反応は、通常
、上記ケトン470.00dを生成する置換反応よりも高い温度(例えば、約100℃〜約
200℃)を必要とする。これはまた、通常、密封容器にて不活性溶媒中で行われ
る。次いで、式405.00の化合物は、上記のように式400.00の化合物に転化される
。
C5-C6-エン誘導体の調製
C-5とC-6との間に二重結合を有する式400.00の化合物は、式470.00hの化合物
をSeO2と共に酢酸中で加熱して、式470.00iの化合物を生成させることによって
調製され得る。式470.00iの化合物は、すでに記載した方法に従って、最終生成
物に転化され得る。
ピペラジン類似物の調製
三環式核のC-11と結合したピペラジン環(すなわち、式1.0、ここでXはNで
ある)を有する化合物は、適切に置換された式700.00のピペラジン化合物を式70
5.00の化合物でアルキル化することによって最適合成される。式705.00の化合物
は、適切に置換されたハライド(例えば、Cl、Br、またはI)または他の類似の
脱離基(例えば、トシロキシまたはメシロキシ)を含む。反応は、通常、THFま
たはトルエンのような不活性溶媒中で、必要に応じてトリエチルアミンまたは炭
酸カリウムのような塩基を用いて、典型的には室温から還流の温度範囲で行われ
、
式710.00の化合物を生成する。
この反応において、RgはHまたはCO2Ra(ここでRaはC1〜C4アルキル基で
ある)である。化合物705.00(ここでLはClである)の調製は、米国特許第3,40
9,621号に記載の手順と類似している。当該分野で公知の方法によって、式710.0
0の化合物(ここで、RgはCO2Raである)は、米国特許第4,826,853号に記載
されるような酸または塩基加水分解によって、式710.00(ここで、RgはHであ
る)に転化され得る。式710.00の化合物(ここで、RgはHである)は、式405.0
0を式400.00に転化するために使用したプロセスによって、式400.00の化合物に
転化され得る。式410.00の化合物(ここで、Rは3-ピリジロキシである)は、ト
ルエン/ジクロロメタン中0℃でピリジンのような塩基の存在下で、3-ヒドロキ
シピリジンを過剰のホスゲンと反応させることによって調製され得る。
式710.00の化合物を生成させるための別なルートは、アザケトン715.00のピペ
ラジン700.00による還元的アミノ化によるものである。
反応は、典型的は、メタノールまたはエタノールのような極性溶媒中、必要に
応じて3Åモレキュラーシーブのような脱水剤の存在下で行われる。中間体シッ
フ塩基は、種々の還元剤(例えば、NaCNBH3)、または触媒的水素化(例えば、P
d/C上の水素)を用いることによって、式710.00の化合物に還元され得る。
RgがC(Z)Rである場合には、これらは、本発明の化合物である。
式1.0のピリジン環IのC-3位の置換基を導入する別のプロセスは、塩化メチレ
ン中0℃から室温(約25℃)の温度で、式415.00の化合物(ここでXが窒素であ
る場合を除く)または式470.00dの化合物を硝酸テトラブチルアンモニウム−無
水トリフロロ酢酸でニトロ化することを含む。次いで、ニトロ基は、エタノール
中の鉄粉(iron filing)、またはTHF水溶液中の粉末亜鉛−酢酸を用いて、対応
するアミンに還元され得る。当業者に公知の方法によって、アミン基は、種々の
置換基、例えば、ハロ、シアノ、チオ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、
アルキニル、およびハロアルキルに転化され得る。
式1.1、1.2、および1.3の化合物(ここで、R30、R40、R52、およびR70、
はピリジルN-オキシドを表す)は、式1.1、1.2、および1.3の化合物(ここで、
R30、R40、R52、およびR70はピリジルを表す)を1モル当量の酸化
剤(例えば、オキソン(oxone))と反応させることによって生成され得る。
種々の求電子種もまた、対応するハロ置換ピリジン(式405.00、ここでR1は
ハロ、好ましくはブロモまたはヨードである)からのピリジン環に付加され得る
。アルキルリチウム(例えば、n-BuLi)を用いるハロ誘導体の金属交換反応によ
って、リチオ誘導体が提供され、これは、次いで適切な求電子試薬(例えば、R1
Lなど)でクエンチされ得る。
また、ハロゲンをヒドロキシベンゾトリアゾールのような求核試薬で置換し、
ピリジン環に置換基を有する化合物を得る。
上記のプロセスにおいて、反応の際に、特定のR1、R2、R3、およびR4など
の基を保護することが、ときどき、所望および/または必要とされる。通常の保
護基は、Greene,T.W.、「Protective Groups In Organic Synthesis」、John W
iley&Sons、New York、1981に記載されるように使用可能である。例えば、表1
の第1欄に列挙される基が、この表の第2欄に示されるように保護され得る:
当該分野で周知の他の保護基もまた使用され得る。1つまたは複数の反応の後
、保護基は標準的な手法によって除去され得る。
本発明において有用な化合物を以下の調製例において例示するが、これらは開
示範囲を限定することを意図していない。本発明の範囲内の別の機械論的経路(
mechanistic pathway)および類似構造は、当業者には自明であり得る。
調製例1
A.N-(1,1-ジメチルエチル)-3-メチル-2-ピリジンカルボキサミド
2-シアノ-3-メチルピリジン(400g)をt-ブタノール(800mL)中に懸濁し、そ
して70℃に加熱する。濃硫酸(400mL)を45分間かけて滴下する。反応が完了す
るまで温度を75℃に維持し、さらに30分間維持する。この混合物を水(400mL)
で希釈し、トルエン(600mL)を加え、そして濃アンモニア水でpHを10まで上げ
る。作業の間、温度を50〜55℃に維持する。トルエン相を分離し、そして水層を
再抽出する。トルエン相を合わせ、そして水で洗浄する。トルエンを除去すると
、表題化合物N-(1,1-ジメチルエチル)-3-メチル-2-ピリジンカルボキサミドがオ
イルとして得られ、ここから固体生成物を結晶化する。(収率97%、ガスクロマ
トグラフィーによる内部標準アッセイによって測定)。
B.3-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-N-(1,1-ジメチルエチル)-2-ピリジンカ ルボキサミド
調製例1Aの表題化合物N-(1,1-ジメチルエチル)-3-メチル-2-ピリジンカルボ
キサミド(31.5g)をテトラヒドロフラン(600mL)中に溶解し、そして得られる
溶液を-40℃まで冷却する。温度を-40℃に維持しながら、ヘキサン中のn-ブチル
リチウム(2当量)を添加する。溶液は深紫赤色になる。臭化ナトリウム(1.6g
)を加え、そして混合物を撹拌する。温度を-40℃に維持しながら、m-クロロベ
ンジルクロライド(26.5g、0.174モル)のテトラヒドロフラン(125mL)溶液を
加える。反応の完了が薄層クロマトグラフィーによって確認されるまで、反応混
合物を撹拌する。色が消えるまで反応に水を加える。反応混合物を酢酸エチルで
抽出し、水で洗浄し、そして濃縮すると、残渣が表題化合物である。(収率92%
、クロマトグラフィーによって示される)。
C.3-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-2-ピリジン-カルボニトリル
調製例1Bの表題化合物である3-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-N-(1,1-ジメ
チルエチル)-2-ピリジンカルボキサミド(175g、0.554モル)のオキシ塩化リン
(525mL、863g、5.63モル)溶液を加熱し、そして3時間、還流する。反応の完
了を薄層クロマトグラフィーで確認する。減圧下で蒸留して過剰のオキシ塩化リ
ンをすべて除去し、そして水とイソプロパノールとの混合物によって反応をクエ
ンチさせる。温度を30℃より低く保ちながら、50%水酸化ナトリウム水溶液を添
加することによってpHを5〜7に上げる。粗生成物の結晶状スラリーを濾過し、
そして水で洗浄する。湿潤ケークを熱イソプロパノール中にスラリー化し、そし
て0〜5℃に冷却することによって、粗生成物を精製する。生成物を濾過し、ヘ
キサンで洗浄し、そして50℃より低い温度で乾燥して、表題化合物を得る。(収
量:118g(HPLC純度95.7%)、融点72℃〜73℃、理論値の89.4%)。
D.1-(メチル-4-ピペリジニル)[3-(2-(3-クロロフェニル)エチル)-2-ピリジ ニル]メタノン塩酸塩
調製例1Cの表題化合物(118g、0.487モル)を乾燥テトラヒドロフラン(1.2
L)に溶解し、そしてN-メチル-ピペリジルマグネシウムクロライド(395mL、2.4
8モル/リットル、0.585モル、1.2当量)を15分間かけて加える。必要に応じて水
で冷却することによって、30分間、温度を40℃〜50℃に維持する。反応の完了を
薄層クロマトグラフィーによって確認する。2NのHClでpHを2より低くすること
によって反応をクエンチし、そして得られる溶液を25℃で1時間撹拌する。蒸留
によってテトラヒドロフランの大部分(bulk)を除去し、そして得られる溶液の
pHを水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって3.5に調節する。0〜5℃
まで冷却し、そして結晶性塩酸塩の生成物を濾別する。氷冷水によって洗浄し、
恒量になるまで60℃で乾燥して、表題化合物を得る。(収量:168.2g(HPLC純度
94%)、融点183〜185℃、理論値の89%)。
E.8-クロロ−11-(1-メチル-4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5 ,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記調製例1Dの表題化合物(59g、0.15モル)を-35℃でフッ化水素酸(120m
L、120g、6.0モル)に溶解し、そして1時間かけて、三フッ化ホウ素(44.3g、0
.66モ
ル)を加える。反応の完了を薄層クロマトグラフィーによって確認する。氷、水
、および水酸化カリウムを用いて、溶液の最終pHを10まで上げることによって反
応をクエンチする。生成物をトルエンで抽出し、そして水およびブラインで洗浄
する。残渣が得られるまでこのトルエン溶液を濃縮し、そして熱ヘキサン中に溶
解する。不溶分を濾過によって除去し、そして濾液を濃縮して、表題化合物をオ
フホワイトの粉末として得る。(収量:45.7g(HPLC純度:95%)、理論値の92%
)。
別工程E:8-クロロ−11-(1-メチル-4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒドロ-5H-ベ ンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記調製例1Dの表題化合物(177g、0.49モル)をトリフロロメタンスルホン
酸(480ml、814.1g、5.31モル)中で、窒素下、90〜95℃で18時間反応させる。
反応の完了を薄層クロマトグラフィーによって確認する。氷水によって反応を冷
却かつクエンチし、炭酸バリウムによってpH6に調節する。生成物を塩化メチレ
ンで抽出し、そして減圧下で約1リットルまで濃縮する。水で洗浄し、そして生
成物を1N HCl中に抽出し、これを30gの活性炭で処理し、そしてセライトを通し
て濾過する。水酸化ナトリウム水溶液(50%)で濾液のpHを10に調節し、生成物
を塩化メチレン中に抽出し、そして減圧下で除去して残渣を形成する。残渣を熱
ヘキサンに溶解し、そして濾過して不溶分を除去する。濾液を濃縮して、表題化
合物をベージュ色の粉末として得る。(収量:126g(HPLC純度80%)、理論値の6
5%)。
F.8-クロロ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒドロ- 5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記調製例1Eの表題化合物(45.6g、0.141モル)を80℃でトルエン(320mL
)に溶解し、そしてそこにエチルクロロホルメート(40.4mL、45.9g、0.423モル
)を
徐々に添加する。添加が完了した後、温度80℃で1時間維持し、次いでジイソプ
ロピルエチルアミン(2.7mL、2.00g、0.016モル)および更なるエチルクロロホ
ルメート(4.1mL、4.65g、0.0429モル)を加える。反応の完了を薄層クロマトグ
ラフィーによってモニターする。完了したら反応を室温まで冷却し、そしてこの
トルエン溶液を水で洗浄する。残渣が得られるまで有機層を濃縮し、そして熱ア
セトニトリル(320mL)に溶解する。14gの活性炭によって溶液を脱色する。濾過
によって活性炭を除去し、そして結晶のスラリーになるまで濾液を濃縮する。こ
の混合物を0〜5℃に冷却し、そして濾過によって生成物を単離する。冷アセト
ニトリルによって洗浄し、そして70℃より下で生成物を乾燥して、化合物535.00
を得る。(収量:42.4g(HPLC純度97.4%)、理論値の80%)。
G.8-クロロ-11-(4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロ ヘプタ[1,2-b]ピリジン
調製例1Fの表題化合物、8-クロロ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジリ
デン)-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン(39g、0.10
1モル)をエタノール(305mL)中のKOH(50g)および水(270mL)によって加水
分解し、そしてアルゴン雰囲気下、64時間還流する。エタノールの一部を留去し
て残渣をブラインで希釈し、そして酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相
を水で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥する。溶媒を除去すると固体が得られ、これ
はトルエンから再結晶され得、白色固体として表題化合物が得られる。(収量:
24.5g、77%、融点154〜155℃)。
H.上記工程1Bで、メタ−クロロベンジルクロライドを以下のベンジルハラ
イド:
に置き換え、そして基本的には、工程C〜Gと同様の方法を用いて、以下の化合
物:
をそれぞれ調製する。ジクロロ化合物(I)はトルエンから再結晶され、そして
150〜152℃の融点を有する。ブロモ化合物(II)は146〜148℃の融点を有する。
調製例2
A.3,5-ジメチルピリジニウムN−オキシド
285mL(1.31モル)の35%過酢酸溶液を、149g(1.39モル)の3,5-ジメチルピリ
ジンの撹拌溶液にゆっくりと添加し、その間、温度を85℃まで上昇させ、添加の
間この温度を維持した。混合物の温度を約35℃まで下げた後、反応物を5℃で一
晩保存した。
減圧下での蒸留により185mlの酢酸を部分除去した後、反応物をNaHSO4溶液で
洗浄し、次いで、10%NaOH溶液で約7のpHに中和した。生成物をCH2Cl2で抽出し
て、表題化合物を白色固体として得た(収量142g、83%)。
B.1-メトキシ-3,5-ジメチルピリジニウムメチルサルフェート
ジメチルサルフェート(42.0g、0.33モル)を、41.0g(0.33モル)の3,5-ジメ
チルピリジニウムN−オキシドに機械的に撹拌しながらゆっくりと添加した。次
いで、この混合物をスチームバスで1時間加熱した。次いで、冷却しながら減圧
し、表題化合物の褐色固体を定量的な収量で得た。
C.2-シアノ-3,5-ジメチルピリジン
135mLの水(空気無し)中のシアン化ナトリウム(49.0g、0.999モル、3.0当量
)の冷却(0℃)溶液に、100mLの水(空気無し)中の1-メトキシ-3,5-ジメチル
ピリジニウムメチルサルフェート(83.0g、0.33モル)を1.25時間で、温度を3
℃未満に保持して滴下した。反応混合物を約3℃で一晩保存した。混合物を濾過
し、水で洗浄して、40gの表題化合物を得た。分析サンプルをイソプロピルエー
テルおよびペンタン(4:1)から再結晶化した(融点:61〜62℃)。
D.N-(1,1-ジメチルエチル)-3,5-ジメチル-2-ピリジンカルボキサミド
20.3g(0.153モル)の2-シアノ-3,5-ジメチルピリジンの撹拌溶液100mLに、20
mLの濃硫酸を10分以内に添加し、続いて、20mLのt-ブタノールをさらに15分かけ
て添加した。この溶液を75℃で30分間加温し、その後、それを室温まで冷却し、
25%NaOHで塩基性化した。生成物をEtOAc(600mL)で3回抽出し、それを合わせ
て、ブラインで1回洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして減圧下で濃縮し
て、表題化合物を黄色かかったオイルとして得た(31.26g)。
E.8-クロロ-3-メチル-11-(4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5, 6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記工程1Bで、N-(1,1-ジメチルエチル)-3-メチル-2-ピリジンカルボキサミ
ドをN-(1,1-ジメチルエチル)-3,5-ジメチル-2-ピリジンカルボキサミドに置き換
え、そして基本的には、調製例1の工程B〜Gと同様の方法を用いて、8-クロロ
-3-メチル-11-(4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ
[1,2-b]ピリジンを得る。反応時間をTLCまたはHPLCにより決定する。
調製例3
上記調製例2で3,5-ジメチルピリジンを以下の化合物:
に置き換え、基本的には同様の手順(工程A〜E)を行うことにより、下記の化
合物を調製し得る:
調製例2の工程Cでピリジンへのニトリル基の付加により所望されない他の異性
体が形成され、これはフラッシュクロマトグラフィーで除去され得ることに留意
すること。
調製例4
A.8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ-[1,2-b]ピリジン- 11-オンN-オキシド
175mlの乾燥塩化メチレン中の25.1グラム(0.103モル)の8-クロロ-5,6-ジヒ
ドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-オンの混合物に、150ml
の塩化メチレン中の24.12グラムの3-クロロペルオキシ-安息香酸の溶液をアルゴ
ン雰囲気下で、0℃にて70分かけて滴下した。添加後、溶液を1/2時間撹拌し、
その後、氷浴を取り外した。2日後、反応物を1.0N水酸化ナトリウム水溶液に
注ぎ、塩化メチレンで抽出した。有機部分を合わせて、一度水で洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた生成物をイソ
プロピルエーテルで粉末化し、濾過して25.8グラム(96%)収量の表題化合物を
得た。
B.2,8-ジクロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロペプタ[1,2-b]ピリジ ン-11-オンおよび4,8-ジクロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,
2-b]ピリジン-11-オン
40mlの乾燥塩化メチレン中の上記調製例4Aの表題化合物29.13グラム(112.2
ミリモル)の混合物に、500mlの1.0M SO2Cl2を、0℃およびアルゴン雰囲気中で
1時間かけて滴下した。次いで、氷浴を取り外し、反応物を室温で1時間撹拌し
、次いで、7時間還流した。混合物を1.0N NaOH水溶液に注ぎ、そしてCH2Cl2で
3回抽出した。有機部分を合わせて、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして減圧下で
濃縮して、生成物を得た。この生成物を精製し、フラッシュクロマトグラフィー
により分離し、2つの表題化合物を得た。
あるいは、オキシ塩化リン(7ml)中の上記調製例4Aの表題化合物1グラム
の混合物をシリコーンバスで107℃にて4.5時間加熱した。この混合物を乾燥する
までエバポレートし、残渣をジクロロメタンに入れ、これを飽和重炭酸ナトリウ
ム水溶液で洗浄した。ジクロロメタン相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し
、そしてエバポレートして2つの表題化合物の混合物を得た。この混合物を、溶
離液としてジクロロメタン中のメタノールの10%濃水酸化アンモニウムの0.25%溶
液を用いるシリカゲルカラムのカラムクロマトグラフィーにより分離し、2-クロ
ロ化合物(収量:0.4457g、42%、MH+278)および4-クロロ化合物(収量:0.5358
g、51%、MH+278)を得た。N−オキシド基はこの反応で用いる反応条件下で取り
除かれていた。
C.4-(2,8-ジクロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピ リジン-11-イリデン)ピペリジンおよび4-(4,8-ジクロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベン ゾ[5,6]シクロヘプタ-[1,2-b]-ピリジン-11-イリデン)ピペリジン
以下の実施例2のE〜H部に記載の手順と本質的に同様の手順に従い、上記調
製例4Bの2,8-ジクロロおよび4,8-ジクロロ生成物を対応する調製例4Cの表題
化合物に転化した。
調製例5
還流下で撹拌オキシ塩化リン(256mL)に、クロロホルム(850mL)に溶解した
実施例1の化合物515.00(109グラム)の溶液を滴下した。得られた溶液をさら
に20分間還流下で撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、そして減圧下でク
ロロホルムを除去した。得られた溶液を氷浴中で冷却し、それに1N水酸化ナト
リウム水溶液(850mL)をゆっくりと添加し、続いて生じる混合物がわずかに塩
基性を示すまで50%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。酢酸エチルで抽出し、
無水硫酸マグネシウムで有機相を乾燥し、減圧下で濃縮し、そしてフラッシュカ
ラムクロマトグラフィーで精製して、4,8-ジクロロ生成物596.00(27グラム、23
%収率、融点141.6〜145.6℃)および2,8-ジクロロ生成物515.01
(9グラム、8%収率、融点176.5〜177.9℃)を得た。
調製例6 4-(8-クロロ-4-メトキシ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b] ピリジン-11-イリデン)ピペリジン
上記調製例5の4,8-ジクロロ表題化合物212mg、7mlの2.0N水酸化ナトリウム
水溶液、および7mlのメタノールの混合物を、密圧容器内で窒素雰囲気下135℃
にて18時間加熱した。次いで、容器を室温まで冷却した。混合物を水に注ぎ、塩
化メチレンで3回抽出した。有機部分を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥し、
濾過し、そして減圧下で濃縮し、残渣を得た。この残渣をフラッシュクロマトグ
ラフィー(メチレンクロライド中のアンモニア飽和4→7%メタノール)により
精製し、次いでイソプロピルエーテル/塩化メチレンで粉末化し、144mgの表題
化合物を白色ガラスとして得た。
調製例7
A.8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11-ヒドロキシ-5H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1 ,2-b]ピリジン
200mLのメタノール中の25.03g(103ミリモル)の8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-
ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-オンの混合物に、室温かつ窒素雰
囲気下で、4.82g(124ミリモル)の水素化ホウ素ナトリウムを約1時間かけて分
けて添加した。過剰な還流を避けるために、添加の間、氷浴で冷却を時々行うこ
とが必要であった。1.6時間後、混合物を氷冷水に注ぎ、次いで酢酸エチルで抽
出した(3回)。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾
燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を熱イソプロピルエーテルから再結晶し
た。残りの濾液をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%酢酸エチル
)により精製し、放置すると凝固する生成物をさらに得た。両方のバッチを合わ
せて、20.41gの表題化合物を白色固体として得た。
B.8,11-ジクロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリ ジン
290mLのトルエン中の13.3g(54ミリモル)の8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11-ヒド
ロキシ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジンの混合物に、-15℃かつ窒
素雰囲気下で、6.20mL(85.7ミリモル)の塩化チオニルをシリンジポンプを介し
て1時間かけて添加した。反応の程度をTLC(ヘキサン中の50%酢酸エチル)によ
りモニターした。完了時に、混合物を300mLの1.0N水酸化ナトリウム水溶液に注
ぎ、酢酸エチルで抽出した(5回)。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、硫
酸ナト
リウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに入れ、
塩基性アルミナを通じてすばやく濾過し、そして再度濃縮して生成物を得た。こ
の生成物をペンタンで粉末化し、10.22gの表題化合物を黄褐色の固体として得た
。
C.8-クロロ-11-(1-ピペラジニル)-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘ プタ[1,2-b]ピリジン
200mLの乾燥テトラヒドロフラン中の10.0g(37.9ミリモル)の8,11-ジクロロ-
6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジンおよび1.0mLのトリ
エチルアミンの混合物に、室温および窒素雰囲気下で、33.0gのピペラジンを添
加した。混合物を室温で22.5時間撹拌し、次いで5.5時間還流した。次いで、こ
れを室温まで冷却し、250mLの5%水酸化ナトリウム水溶液中に注ぎ、そして塩化
メチレンで抽出した(3回)。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマ
トグラフィー(塩化エチレン中のアンモニア飽和2→5%メタノール)により精
製し、表題化合物をガラスとして得た。
調製例8
R(+)およびS(-)ジアステレオ異性体の調製
上記調製例7Cで調製したラセミ8-クロロ-11-(1-ピペラジニル)-6,11-ジヒド
ロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジンを、1992年1月9日に公開され
たWO92/00293号の116-118頁の調製例15A〜Cに記載した方法により分割し、以
下のR(+)およびS(-)ジアステレオ異性体を得た:
調製例9
A.4-(8-クロロ-3-ニトロ-5,6-ジヒドロ-11-(4-ピペリジリデン)-11H-ベンゾ [5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
実施例31Aの表題化合物(10.0g、ミリモル)を、濃HCl(250mL)に溶解し、そ
して100℃で16時間加熱することにより加水分解する。冷却した酸性混合物を1M
NaOH(950mL)で中和した。混合物を塩化メチレンて抽出した。これを硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。濾過および濃縮することにより、表題化合物を固体として
99%の収率で得た。MH+358。
調製例10
8-クロロ-11-(1-ピペラジニル)-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2b]ピリジン
この反応のための開始物質の調製は、The Journal of Organic Chemistry,19
90,55,pp.3341-3350、Piwinski,J.J.;Wong,J.K.;Chan,Y.-M.;Green,M
.J.;およびGanguly,A.K.に記載されていた。調製例7Aにおいて、8-クロロ-5
,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-オンを8-クロロ
-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-オン(11.53g)(47.71ミリ
モル)に置き代え、そして調製例7の工程A〜Cと基本的に同様の方法を用いる
ことによって、11.53g(36%)の表題化合物(MH+312)を得る。
実施例1
エチル4-(8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-B]ピリ ジン-11-イリデン)-1-ピペリジンカルボキシレートN-オキシド
100mlの乾燥塩化メチレン中の5.10gのエチル4-(8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-
ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-イリデン)-1-ピペリジンカルボキ
シレート(535.00)の混合物に、-15℃かつ窒素雰囲気下で、2.80gのメタ-ペル
オキシ-安息香酸を15分かけて分けて添加した。15分後、氷浴を取り外し、そし
て反応混合物をゆっくり室温まで加温した。2.25時間後、10%重亜硫酸ナトリウ
ム水溶液を添加し、そしてこの混合物をさらに5分間攪拌した。15%水酸化ナト
リウム水溶液で塩基性化した後に、有機層を単離し、次に15%水酸化ナトリウム
および水でそれぞれ1回洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し
、そして濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物(515.00)をフラッシュクロ
マトグラフィーで精製して、生成物を白色固体として得た:MS(FAB)m/z399(M+=
1)。
実施例2
A.N-(1,1-ジメチルエチル)-2-ブロモ-3-[2-(3-クロロフェニル)-エチル]-2- ピリジンカルボキサミド
THF(60mL)に溶解したジイソプロピルアミンを0〜5℃に冷却する。n−ブ
チルリチウム(39mL、97.99ミリモル)を添加し、その温度で30分間反応物を攪
拌する。この反応混合物を、乾燥THF(250mL)(-70℃)中のN-(1,1-ジメチルエ
チル)-2-ブロモ-3-メチルピリジンカルボキサミド(9.91g、97.99ミリモル)の
冷溶液にカニュレート(canulate)する。0.5時間攪拌し、次いで、50mLのTHFに
溶解した3-クロロベンジルブロマイド(11.4g、55.31ミリモル)を添加する。反
応混合物を0.5時間攪拌する。反応を水でクエンチし、そして生成物を酢酸エチ
ルて2回抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして3%のメタノール
を含む塩化エチレン溶液で溶出するシリカゲルカラムでクロマトグラフして、表
題化合物(15g、収率60%)を得る。
B.2-ブロモ-3-[2-(3-クロロフェニル)-エチル]-2-ピリジンカルボニトリル
上記実施例2Aの表題化合物(11.34g、31.6ミリモル)をトルエン(80mL)に
溶解し、そしてPOCl3(10mL)を添加する。反応混合物を3時間還流し、次いで
室温で一晩攪拌する。すべての揮発分をエバポレートし、1N NaOHとEtOAcとの間
に得られる固形物を分配(partion)する。水相をEtOAcで2回洗浄する、有機相
をブラインで洗浄し、そしてこれをNa2SO4で乾燥する。溶媒を除去して、表題化
合物を白色固体(9.68g、収率96%)として得る。
C.3-ブロモ-8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b] ピリジン-11-オン
3-[2-(3-クロロフェニル)エチル]-4-ブロモ-2-ピリジンカルボニトリル(10.7
g、32.8ミリモル)を、トリフリック酸(82mL)中、60℃で2時間、次いで室温
で2時間かけて環化する。80mLの5N HClを注意深く添加し、次いで油浴(120℃
)内で30分間還流する。溶液を冷却し、そして氷に注ぎ、そして25% NaOH溶液で
塩基性にする。生成物をCH2Cl2で抽出し、そしてブラインで洗浄する。有機層を
Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去して、粗生成物(10.4g)を得る。
粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、そして15%酢
酸エチル−ヘキサンで溶出して、表題化合物を白色固体(9g、27.95ミリモル、
収率85.2% MH+322)を得る。
D.8-クロロ-3-メトキシ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2- b]ピリジン-11-オン
実施例2Cの表題化合物(2.37g、7.4ミリモル)を乾燥メタノールに溶解し、
そして金属ナトリウム(3.37g、180ミリモル)を添加する。反応物を一晩室温で
攪拌する。反応物を3時間還流し、室温まで冷却し、そしてジクロロメタン−水
で抽出する。CH2CH2画分を乾燥し、そして50%EtOAc−ヘキサンで溶出するシリカ
ゲルでクロマトグラフして、表題化合物を淡黄色固体(1.5g、収率72% MH+274)
を得る。
E.8-クロロ-3-メトキシ-11-(1-メチル-4-ピペリジニル)-6,11-ジヒドロ-5H- ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-オール
上記実施例2Dの表題化合物(1.45g、5.3ミリモル)をTHF(20mL)に溶解し
、そしてN-メチル-4-クロロマグネシウムピペリジン(グリニャール試薬)(4.4
mL、1.2M)の冷(0℃)溶液にゆっくり添加する。この反応物を2時間攪拌す
る。反応をNH4Cl溶液でクエンチし、CH2Cl2で2回抽出する。有機相をブライン
で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去する。
残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、そして塩化メチレンに溶解し
た5%のメタノール性アンモニア、次いで7%のメタノール性アンモニアで溶出し
て、表題化合物を淡黄色固体(1.1g、収率57% MH+373)として得る。
F.8-クロロ-3-メトキシ-11-(1-メチル-4-ピペリジレン)-6,11-ジヒドロ-5H- ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記実施例2Eの表題化合物を濃H2SO4に溶解し、そして反応混合物を80℃で2
.5時間攪拌する。反応混合物を室温まで冷却し、次いで反応混合物を氷上に注ぎ
、そして25% NaOHでpH7に塩基性化する。CH2Cl2で抽出し、そして有機相をブラ
インで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥し、そして溶媒を除去する。CH2Cl2に溶
解した5%メタノール性アンモニアで溶出するシリカゲルで精製して、表題化合
物(0.38g、収率36% MH+355)を得る。
G.8-クロロ-3-メトキシ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジリデン)-6,1 1-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
実施例2Fの表題化合物(0.36g、1.01ミリモル)およびトリエチルアミン(
1mL)の溶液をトルエン中で80℃にて攪拌し、シリンジによりエチルクロロホル
メート(1mL)を添加する。反応物をこの温度で2時間、そして室温で1時間攪
拌する。1N NaOHでpHを7に調整し、そして酢酸エチルで抽出する。フラッシュ
クロマトグラフィーで精製する際に、70%酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、8-
クロロ-3-メトキシ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒ
ドロ-5H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン(658.00)を白色固体(MH+
413)として得る。
H.8-クロロ-3-メトキシ-11-(4-ピペリジリデン)-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[ 5,6]-シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
実施例2Hの表題化合物を用いて、さらなる化合物を生成し得る。実施例2H
の表題化合物を得るために、実施例2Gの化合物658.00(0.33g、0.8ミリモル)
を、KOH(0.38g、6.9ミリモル)と共に10mLのエタノール/水(1:1)中で一
晩還流する。反応混合物をブラインに注ぎ、そしてEtOAcで抽出し、MgSO4で乾燥
し、そして濾過する。溶媒を除去して表題化合物(0.25g、収率92%)を得る。
実施例3 エチル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリ ジン-11-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート
上記調製例7Cの表題化合物(10g)(31.9ミリモル)を乾燥テトラヒドロフ
ラン(100ml)に溶解し、そしてエチルクロロホルメート(3.46g)(3.19ミリモ
ル)を3度に分けて攪拌溶液に添加し、そして混合物を25℃で1.5時間攪拌した
。混合物をジクロロメタンに注ぎ、そしてこれを飽和重炭酸ナトリウム水溶液、
水で洗浄し、そして乾燥(硫酸マグネシウム)した。濾過後、ジクロロメタンを
乾燥するまでエバポレートし、そして溶離液として0.5%の(10%濃水酸化アンモ
ニウムのメタノール溶液)−ジクロロメタンを用いて、残渣をシリカゲルでクロ
マトグラフし、化合物550.00(収率:10.18g、83%、MH+386.4)を得た。
実施例4
フェニル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ-[1,2-b]ピ リジン-11-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート
上記の調製実施例7Cからの表題の化合物(5グラム)(16.0mmole)およびフ
ェニルクロロホルメート(3.24グラム)(20.7mmole)を乾燥ピリジン(30ml)
に溶解し、混合液を25℃で23時間撹拌した。溶液をジクロロメタンで希釈し、重
炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、次に水で洗浄した。ジクロロメタンを乾燥
させ(硫酸マグネシウム)、濾過して乾燥するまで蒸発させ、残渣をトルエンを
用いて共沸させた。粗生成物を1%(メタノール中の10%濃水酸化アンモニウム)
−ジクロロメタンを溶離液として用いて、シリカゲルでクロマトグラフィー
にかけ、化合物612.00を得た(収量:6.1g、88%、MH+434.2)。
実施例5
フェニルメチル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1, 2-b]ピリジン-11-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート
上記の調製実施例7Cからの表題の化合物(5グラム)(16.0mmole)を乾燥ピ
リジン(30ml)に溶解し、ベンジルクロロホルメート(3.53グラム)(20.8mmol
e)を添加した。混合液を25℃で23時間撹拌した。追加の乾燥ピリジン(30ml)
およびベンジルクロロホルメート(7.06グラム)(41.6mmole)を添加し、反応
を25℃でさらに24時間進行させた。生成物を上記の実施例4のように単離および
精製して化合物614.00を得た(収量:3.87グラム、54%、MH+448)。
実施例6
A.3-ピリジルクロロホルメート
トルエン中のホスゲンの1.93M溶液(20%)(198.3ml)(382.3mmole)を乾燥
ジクロロメタン(100ml)で希釈し、混合液をアルゴン雰囲気下0℃で撹拌し
た。乾燥ジクロロメタン(200ml)中の3-ヒドロキシ-ピリジン(7.27グラム)(
76.5mmole)および乾燥ピリジン(8.06グラム)(8.25ml)(101.9mmole)の溶
液を1時間にわたって0℃で撹拌される溶液に滴下して添加した。混合液を0〜
25℃でさらに2時間撹拌した。窒素流を溶液に通して大部分のホスゲンを除去し
、溶液を乾燥するまで蒸発し、減圧下で1時間乾燥した表題の化合物を得、次に
乾燥ジクロロメタン(60ml)および乾燥ピリジン(60ml)中に取り上げて、表題
の化合物のストック溶液を得た。
B.3-ピリジル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1, 2-b]ピリジン-11-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート
実施例6Aに記載にように調製した3-ピリジルクロロホルメートのストック溶液
(105ml)の一部および乾燥ピリジン(30ml)中の上記の調製実施例7Cからの表
題の化合物(7グラム)の溶液を25℃で24時間撹拌した。溶液を乾燥するまで蒸
発させ、トルエンを用いて共沸させた。残渣をジクロロメタン中に取り上げ、重
炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、次に水で洗浄した。ジクロロメタンを乾燥
させ(硫酸マグネシウム)、濾過して乾燥するまで蒸発させた。残渣を1%(メ
タノール中の10%濃水酸化アンモニウム)−ジクロロメタンを溶離液として用い
て、シリカゲルでクロマトグラフィーにかけ、化合物610.00を得た(収量:7.65
グラム、79%、MH+435.15)。
実施例7
A.(+)エチル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1, 2-b]ピリジン-11(R)-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート
上記の調製実施例8からの表題のR(+)ジアステレオイソマーをエチルクロロホ
ルメートと上記の実施例3に記載と同じ条件下で反応させ、化合物602.00を得た
(収量:93%、MH+386)。
B.(-)エチル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1, 2-b]ピリジン-11(S)-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート
上記の調製実施例8からの表題のS(-)ジアステレオイソマーをエチルクロロホ
ルメートと上記の実施例3に記載と同じ条件下で反応させ、化合物604.00を得た
(収量:92%、MH+386)。
実施例8
A.(+)3-ピリジル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ [1,2-b]ピリジン-11(R)-イル)-1-ピペラジンカルボキシレー
ト
上記の調製実施例8からの表題のR(+)ジアステレオイソマーを3-ピリジルクロ
ロホルメートと上記の実施例6Bに記載と同じ条件下で反応させ、化合物600.00を
得た(収量:71%、MH+435)。
B.(-)3-ピリジル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ [1,2-b]ピリジン-11(S)-イル)-1-ピペラジンカルボキシレ
ート
上記の調製実施例8からの表題のS(-)ジアステレオイソマーを3-ピリジルクロ
ロホルメートと上記の実施例6Bに記載と同じ条件下で反応させ、化合物608.00を
得た(収量:69%、MH+435)。
実施例9
8-クロロ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5,6]シク ロヘプタ[1,2-b]ピリジン
8-クロロ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジニル)-9-エチル-11H-ベンゾ[ 5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
調製実施例1Fの化合物535.00(51.15グラム、0.1336mole)をトリフロロメタ
ンスルホン酸(170mL)に溶解した。濃色(dark)混合液を加熱して70時間環流
した。溶液を室温まで冷却し、次に800mlの氷/水スラリーに注入して得られた混
合液を撹拌した。濃水酸化アンモニウム溶液(175mL)を、混合液に、混合液の
温度が20℃未満であるように少しずつ添加した。得られた塩基性混合液をジクロ
ロメタンで抽出した。ジクロロメタン抽出液をブリンで洗浄し、次に蒸発させて
、褐色の残渣を得た。この残渣をジクロロメタン(750ml)に溶解し、溶液を0
℃に冷却した。エチルクロロホルメート(14.8グラム、0.136mole)を5分間に
わたって添加し、得られた混合液を0℃で15分間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウ
ム溶液(150mL)を添加し、冷却浴を除去した。得られた二相性混合液を迅速に
3時間撹拌した。層を分離し、ジクロロメタン層をシリカゲルを通して濾過した
。濾液を乾燥するまで蒸発させ、残渣をヘキサン-ジクロロメタン-アセトン16:2
.5:1.5からヘキサン-ジクロロメタン-アセトン28:7.5:4.5への勾配を溶離液とし
て使用して、シリカゲルでクロマトグラフィーにかけ、化合物620.00(25.02g 4
9%、MH+383)および化合物622.00(4.85g 9%、MH+411)を得た。
実施例10
A.8-クロロ-11-(4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピ リジン
実施例9の化合物620.00を50%硫酸水溶液(v/v)に溶解し16時間90℃〜100℃
に加熱して、化合物620.00を加水分解する。冷却した酸性混合液を25%(W/V)水
酸化ナトリウム溶液で中和した。得られた混合液をエチルアセテートで抽出し、
エチルアセテート抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥した。エチルアセテートの濾過
および蒸発により表題の化合物がもたらされた(MH+311)。
B.8-クロロ-9-エチル-11-(4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[ 1,2-b]ピリジン
実施例9の化合物622.00を実施例10Aに記載の手順に従って加水分解する。(
1分当たり2〜3℃で加熱して205.7〜215.4℃で分解する)。
C.8-クロロ-9-エチル-11-(1-(3-ピリジルオキシ)カルボニル-4-ピペリ ジニル)-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記実施例10Bからの表題の化合物を、上記実施例6Bに記載されるように、
3-ピリジルクロロホルメートと反応させ、表題の化合物624.00を得た(MH+460
)。
実施例11 8-クロロ-11-(1-(3-ピリジルオキシ)カルボニル-4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5 ,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記の実施例10Aからの表題の化合物を3-ピリジルクロロホルメートと上記の
実施例6Bに記載のように反応して化合物626.00を得た(MH+432、mp102.1-103.9
℃)。
実施例12
A.8-クロロ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5,6]シ クロヘプタ[1,2-b]ピリジン-1-オキシド
上記の実施例9からの化合物620.00(20.23グラム、52.84mmole)をジクロロ
メタン(250mL)に溶解した。3-クロロペルオキシ安息香酸(1.25当量)を1部
分に添加して45分間撹拌した。重亜硫酸ナトリウム溶液(20% w/v)を添加し、
二相性混合液を30分間迅速に撹拌した。層を分離し、有機層を飽和炭酸ナトリウ
ム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および蒸発により化合物620.
02がもたらされた(21g、99%、MH+399、mp78.6〜89.4℃)。
B.4,8-ジクロロ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5 ,6]シクロヘプタ[1,2-B]ピリジン(636.00)および
2,8-ジクロロ-11-(1-エトキシカルボニル-4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5 ,6]シクロヘプタ[1,2-B]ピリジン(640.00)
上記の実施例12Aからの化合物620.02(21グラム、53mmole)を無水ジクロロエ
タン(250mL)に溶解して、溶液を0℃に冷却した。POCl3(49.4グラム、0.322m
ole)を15分間にわたってジクロロエタン溶液に滴下して添加した。POCl3を添加
した後、反応混合液を45〜50℃に温めて、18時間撹拌した。追加のPOCl3(8.2グ
ラム)を添加し、混合液を加熱して9時間環流した。混合液を冷却し、氷冷し撹
拌した水酸化ナトリウム溶液(15% w/v)に添加した。得られた二相性混合液を1
8時間迅速に撹拌した。層を分離し、水層ををジクロロメタンで抽出した。合わ
せた有機層を水および続いてブリンで洗浄し、乾燥した(硫酸ナトリウム)。混
合液を濾過および蒸発して、残渣をヘキサン中の25%エチルアセテートからヘキ
サン中の45%エチルアセテートへの勾配を溶離液として使用して、シリカゲルで
クロマトグラフィーにかけた。化合物636.00を黄色固体として得(5.98
g)、そして化合物640.00を黄色固体として得た(1.0g、M+417、mp77.8〜82.5℃
)。
実施例13
A.4,8-ジクロロ-11-(4-ピペリジニル)-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b ]ピリジン
実施例12Bからの化合物636.00を上記の実施例10Aに記載の条件下で加水分解し
て表題の化合物を得た(M+345)。
B. ,8-ジクロロ-11-(1-(3-ピリジルオキシ)カルボニル-4-ピペリジニル)-1 1H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン
上記の実施例13Aからの表題の化合物を上記の実施例6Bに記載のように3-ピリ
ジルクロロホルメートと反応して表題の化合物638.00を得た(M+466)。
実施例14
4-(8-クロロ5,6-ジヒドロ--11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン- 11-イリデン)-1-ピペリンカルボチオ酸、S-フェニルエステル
調製実施例1Gの生成物(2g、6.71mmole)を25mlのピリジンに溶解する。これ
にフェニルクロロチオノホルメート(1.2ml、6.96mmole)およびジメチルアミノ
ピリジン(0.2g、1.64mmole)を添加する。50℃に4時間加熱し、次に室温で16
時間撹拌する。減圧下で濃縮し、塩化アンモニウム水溶液で希釈し、ジクロロメ
タンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣を
エチルアセテートおよびヘキサンを使用して、シリカゲルでクロマトグラフィー
にかけ、化合物595.00を白色固体として得た。MP=175〜177℃。C26H25N2OSClに
ついての計算値;C、69.86;H、5.19;N、6.27。実測値;C、69.84;H、5.
22;N、6.30。SIMS-MS=446.8。
実施例15
エチル4-[4-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)オキシ]-8-クロロ-5,6-ジヒ ドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-イリデン]-1-ピペリジ ンカルバメート
乾燥ジメチルホルムアミド(20mL)中の調製実施例5の化合物596.00(1.5グ
ラム)の溶液に、1-ヒドロキシベンゾチアゾール(1.5グラム)を添加した。25
℃で14日間撹拌した後、水素化ナトリウム(0.84グラム、鉱油中60%)を添加し
、そしてさらに24時間後、混合液を水中に注いだ。濾過により化合物654.00が提
供
された(収量:1.7グラム、89%、mp=181.5〜183.9℃、MH+516)。
実施例16
エチル4-[4-ヒドロキシ-8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘ プタ[1,2-b]ピリジン-11-イリデン]-1-ピペリジンカルボキシレー
ト
実施例15の化合物654.00(0.15グラム)および氷酢酸(5mL)の溶液に、亜鉛
粉末(0.2グラム)を添加した。25℃で1時間撹拌した後、混合液をceliteを通
して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をエチルアセテートで希釈し、飽和
重炭酸ナトリウム水溶液およびブリンで洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、減圧下で濃縮して化合物646.00を得た(収量:0.11グラム、95
%、MH+399)。
実施例17
3-ピリジル4-(4,8-ジクロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1 ,2-b]ピリジン-11-イリデン)-1-ピペリジンカルボキシレート
実施例6Aに記載のように調製した3-ピリジルクロロホルメート(ピリジン中0.
144Mの62mL)のストック溶液の一部、および調製実施例4Cからの4,8-ジクロロ生
成物(2.2グラム)を25℃で6日間撹拌した。溶液を乾燥するまで蒸発させてト
ルエンを用いて共沸させた。残渣をジクロロメタン中に取り上げ飽和重炭酸ナト
リウム水溶液で洗浄し次に水で洗浄した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し
、
濾過して、乾燥するまで蒸発させた。残渣を3%メタノール−ジクロロメタンを
溶離液として用いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(flash column chrom
atography)(シリカゲル)で精製し化合物644.00を得た(収量:1.6グラム、MH+
466)。
実施例18
3-ピリジル4-[4-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)オキシ]-8-クロロ-5,6- ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-イリデン]-1-ピペ リジンカルボキシレート
乾燥ジメチルホルムアミド(50mL)中の実施例17の化合物644.00(1.42グラム
)の溶液に、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(3グラム)および水素化ナトリ
ウム(0.4g、鉱油中60%)を添加した。溶液を、200ワットランプで照射しながら
、25℃、窒素化で60時間撹拌した。反応混合液を1N水酸化ナトリウム水溶液に
注ぎ、濾過によって化合物656.00を提供した(収量:1.8グラム、100%、MH+565
)。
実施例19
3-ピリジル4-[4ヒドロキシ]-8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シク ロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-イリデン]-1-ピペリジンカルボキシ
レート
実施例18の化合物656.00(1.54グラム)および氷酢酸(50mL)の溶液に亜鉛粉
末(1.8グラム)を添加した。25℃で1時間撹拌した後、混合液ををceliteを通
して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をエチルアセテートで希釈し、飽和
重炭酸ナトリウム水溶液およびブリンで洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、減圧下で濃縮して化合物648.00を得た(収量:0.6グラム、46%
、MH+448)。
実施例24
A.8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11-(4-ピペリジニル)-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプ タ[1,2-b]ピリジン(生成物A)および
6,11-ジヒドロ-11-(4-ピペリジニル)-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b] ピリジン(生成物B)
THF(1L)中、66.27g(0.21mole)の4-(8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[
5,6]シクロヘプタ(1,2-b)ピリジン-11-イリデン)-ピペリジン(調製実施例1実
施例、工程Gからの生成物)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(24.32g、
0.64mole)を添加し、反応混合液を加熱して1晩環流した。次に反応混合液を室
温まで冷却し約3Lのジエチルエーテルを添加し、続いて飽和硫酸ナトリウムを
白灰色沈澱を形成するまで滴下して添加した。次に硫酸マグネシウムを分離した
有機層に添加して30分間撹拌した。次にすべての揮発性物質を除去し、そして得
られた粗混合物をシリカゲルカラムでクロマトグラフィーにかけ、塩化メチレン
中のアンモニア飽和10%メタノールで溶出した。得られた物質は所望の化合物お
よびデスクロロ(deschloro)化合物の両方を含有していた。逆相カラムを用い
たHPLCでの分離および40%メタノール−水を用いた溶出により所望の化合物が白
色固体としてもたらされた(生成物Aのmp=95.2〜96.1℃、生成物Bのmp=145.
1〜145.7℃)。
B.エチル4-(8-クロロ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピ リジン)-11-イル)-1-ピペリジン-カルボキシレート
8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11-(4-ピペリジニル)-5H-ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[
1,2-b]ピリジン(実施例24Aからの生成物)(4.18g、13mmole)をトルエン(175
mL)に溶解した。次いで、エチルクロロホルメート(11.6g、110mmol、10.2mL)
を添加し、反応混合液を約120℃に1晩加熱した。すべての揮発性物質を除去し
、粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、50%エチルアセテート-ヘキサ
ンで溶出して表題の化合物を白色固体として得た(MH+385)。
実施例28
調製実施例1の工程Fにおけるエチルクロロホルメートの代わりに表2に列挙
した適切に置換されたクロロホルメートを用いることにより、そして基本的に実
施例1Fに記載されたと同じ化学を用いて、表2の生成物が調製される。大部分の
場合において、生成物はフラッシュクロマトグラフィーにより精製される。
実施例29
エチル4-[3-ブロモ-4-ヒドロキシ-8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]シ クロヘプタ[1,2-b]ピリジン)-11-イリデン]-1-ピペリジン-カルボキシレート
実施例16からの化合物646.00(0.08グラム)および氷酢酸(5mL)の溶液に2
M臭素−酢酸溶液(0.2mL)を25℃で窒素下で添加した。3日後、溶液を減圧下で
濃縮し、次に1N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した
。有機相をブリンで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して
化合物660.00を得た(0.02グラム、23%、MH+477)。
実施例30
3-ピリジル-4-[3-ブロモ-4-ヒドロキシ-8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5 ,6]シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-イリデン]-1-ピペリジン-カルボキシレー ト
実施例19からの化合物648.00(0.02グラム)および氷酢酸(1mL)の溶液に、
2M臭素−酢酸溶液(0.04mL)を25℃で窒素下で添加した。10分後、水を添加し
、さらに3滴の臭素−酢酸溶液を添加した。得られた固体を濾過し水で数回洗浄
し乾燥して化合物662.00を得た(0.02グラム、92%、MH+526)。
実施例31
A.4-(8-クロロ-3-ニトロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2 -b]ピリジン-11-イリデン)-1-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル
テトラブチルアンモニウムニトラート(4.98g、16.3mmol)をジクロロメタン
(20mL)に溶解し、次に無水トリフロロ酢酸(3.12g、14.9mmol、2.1mL)を添加
した。溶液を0℃に冷却し、次に(カニューレにより塩化メチレン(35mL)中の
4-(8-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b]ピリジン-11-
イリデン)-1-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル(5.69g、14.9mmol)の溶
液に添加し、これも0℃に冷却した。反応混合液を0℃で3時間撹拌し、次に1
晩室温(25℃)に放冷した。次に反応混合液を飽和重炭酸ナトリウム(60mL)で
抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、半固体物質を得た。これをシリ
カゲルでクロマトグラフィーにかけ、先ず10%、次いで20%の酢酸エチル−ヘキサ
ンで溶出した。有機溶媒を除去することによって、表題の化合物を44%の収量で
、淡黄色固体として得た。MP=90.4〜91.0℃、MH+428。
B.4-(8-クロロ-3-アミノ-5,6-ジヒドロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b ]ピリジン-11-イリデン)-1-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル
実施例31Aからの表題の化合物(5.99g、14mmol)を85%エタノール水溶液に溶
解した。この溶液に鉄粉(7.01g、125.57mmol)および塩化カルシウム(0.69g、
6.29mmol)を添加し、反応混合液を16時間環流した。反応混合液をceliteのベッ
ドに高温である間に通して、celliteを熱エタノール(700mL)で洗浄した。次に
、エタノール溶液を活性炭(2.4g)で脱色し、celiteを通して濾過した。次にエ
タノールをロータリーエバポレートして、表題の化合物を100%の収量で黄白色固
体として得た。MP=102.4〜103.1℃、MH+398。
C.4-(8-クロロ-3-ブロモ-5,6-ジヒトロ-11H-ベンゾ[5,6]-シクロヘプタ[1,2-b ]ピリジン-11-イリデン)-1-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル
実施例31Bからの表題の化合物(3.00g、7.60mmol)を臭化水素酸(48%、30mL
)に溶解した。反応混合液を-5℃に冷却し(氷−エチレングリコール浴)、臭素
(2mL)を滴下して添加した。反応混合液を-5℃で15分間撹拌した。硝酸ナトリ
ウム(1.57g、22.8mmol)を水(15mL)に溶解し、反応混合液に徐々に添加した
。次に反応混合液を45分間撹拌し、次に40% NaOHでpHを約10にして反応停止した
。次に水相をエチルアセテートで抽出した(100mLを3回)。合わせたエチルア
セテート画分を硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮し、表題の化合物を83%の収量で
淡褐色固体として得た。Mp=146〜148℃、MH+463。
実施例32
下記の式の化合物を:
調製実施例10の表題の化合物から、フェニルクロロホルメートとの反応により、
実施例4に記載の方法と本質的に同じ手順により、89%収量、MH+432で調製した
。
実施例33
下記の式の化合物を:
本質的に実施例2D〜Hに記載のように反応して、以下の中間体を生成し、
この中間体を実施例6Aの表題の化合物と反応して(本質的に実施例6Bに記載と
同じ手順で)以下の化合物を得た。MH+404。
出発のケトンは公知の化合物であり、The Journal of Organic Chemistry,1990
,55,pp.3341-3350 Piwinski,J.J.;Wong,J.K.;Chan,T.-M.;Green,M.J.
;およびGanguly,A.K.に記載の手順により調製し得る。アッセイ
1.インビトロ酵素アッセイ:ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼお
よびゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼの阻害。
ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)およびゲラニルゲラニル
タンパク質トランスフェラーゼ(GGPT)Iの両方を、本質的にYokoyamaらにより
記載されたように、硫酸アンモニウム分画、次いでQ-Sepharose(Pharmacia,In
c.)陰イオン交換クロマトグラフィーにより、ラット脳から部分生成した(Yoko
yama,K.ら、(1991)、ウシ脳由来のタンパク質ゲラニルゲラニルトランスフェ
ラーゼ:タンパク質のプレニル化特異性についての関連、Proc.Natl.Acad.Sc
i USA 88:5302-5306、その開示は本明細書中に参考として援用される)。ヒト
ファルネシルプロテイントランスフェラーゼも、αおよびβ両方のサブユニット
をコードするcDNAクローンを用いて、E.coli内で発現させた。使用した方法は
公開された方法と同様であった(Omer,C.ら、(1993)、組換えヒトファルネシ
ルプロテイントランスフェラーゼの特徴付け:クローニング、発現、ファルネシ
ルジホスフェート結合、および酵母プレニル−プロテイントランスフェラーゼと
の機能的相同性、Biochemistry 32:5167-5176)。ヒトファルネシルプロテイン
トランスフェラーゼを、E.coliの可溶性タンパク質画分から上記の方法で部分
精製
した。本明細書で開示した三環ファルネシルプロテイントランスフェラーゼイン
ヒビターは、ヒトおよびラットの酵素の両方を同様の能力で阻害した。val12-Ha
-Rasタンパク質の2つの形態(カルボキシ末端配列が異なる)を、これらの酵素
の基質として調製した。1つの形態は、システイン−バリン−ロイシン−セリン
(Ras-CVLS)の末端であり、他の形態は、システイン−バリン−ロイシン−ロイ
シン(Ras-CVLL)の末端であった。Ras-CVLSは、ファルネシルタンパク質トラン
スフェラーゼの基質であり、その一方、Ras-CVLLは、ゲラニルゲラニルタンパク
質トランスフェラーゼIの基質である。これらのタンパク質をコードするcDNAを
、タンパク質が6ヒスチジン残基のアミノ末端伸長を含むように構築した。両タ
ンパク質をEscherichia coliで発現させ、そして金属キレートアフィニティーク
ロマトグラフィーを用いて精製した。放射標識イソプレニルピロホスフェート基
質である[3H]ファルネシルピロホスフェートおよび[3H]ゲラニルゲラニルピ
ロホスフェートをDuPont/New England Nuclearから購入した。
ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ活性を測定するためのいくつかの
方法が記載されている(Reissら1990、Cell 62:81;Schaberら1990、J.Biol.
Chem.265:14701;Manneら1990、PNAS 87:7541;およびBarbacidおよびManne
1993、米国特許第5,185,248号)。活性を、Reissら1990(Cell 62:81)に記載
されているのと同様の条件を用いて、[3H]ファルネシルピロホスフェートから
Ras-CVLSへの[3H]ファルネシルの転移を測定することによりアッセイした。反
応混合物は、40mM Hepes、pH7.5;20mM塩化マグネシウム;5mMジチオトレイト
ール;0.25μM[3H]ファルネシルピロホスフェート;10μl Q-Sepharose精製フ
ァルネシルタンパク質トランスフェラーゼ;所定の濃度の三環式化合物またはジ
メチルスルホキシド(DMSO)の媒体コントロール(最終5%DMSO);および5μM
Ras-CVLSを、全量100μl中に含んでいた。反応を、室温で30分間行い、次いで0
.5mlの4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)続いて0.5mlの冷30%トリクロロ酢酸(
TCA)を用いて停止した。サンプルを氷上に45分間置いてRasタンパク質を沈降さ
せ、次いでBrandel細胞回収機を用いてGF/Cフィルター紙マット上に回収した。
フィルターマットを6%TCA、2%SDSで1回洗浄し、そして放射活性をWallac 120
4 Betaplate BS液体シンチレーションカウンターで測定した。阻害
の割合をDMSO媒体コントロールに対して算出した。
ゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼIアッセイは、上記のファル
ネシルタンパク質トランスフェラーゼアッセイと以下の2つ以外は本質的に同一
であった:[3H]ゲラニルゲラニルピロホスフェートが、イソプレノイド供与体
としてのファルネシルピロホスフェートを置き換え、そしてRas-CVLLがタンパク
質受容体であった。これは、Caseyらにより報告されたアッセイと同様である(C
asey,P.J.ら、(1991)、ゲラニルゲラニルイソプレノイドを用いるタンパク質
の酵素的改変、Proc.Natl.Acad.Sci,USA 88:8631-8635、その開示は本明細
書中に参考として援用されている)。
2.細胞ベースのアッセイ:COSサル腎臓細胞におけるval12-Ha-Ras-CVLSおよ
びval12-Ha-Ras-CVLLの一時的発現:ファルネシルタンパク質トランスフェラー
ゼインヒビターのRasプロセシングへの影響およびトランスフォーミングRasによ
り誘導された障害を受けた細胞の増殖への影響。
COSサル腎臓細胞を、Ras-CVLSまたはRas-CVLLのいずれかをコードするcDNAイ
ンサートを含むプラスミドpSV-SPORT(Gibco/BRL)を用いてエレクトロポレーシ
ョンによりトランスフェクトし、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼま
たはゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼIのいずれかに対するRas
基質の一時的過剰発現をそれぞれ引き起こした(上記を参照のこと)。
エレクトロポレーション後、細胞を10%胎児ウシ血清および適当なファルネシ
ルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターを加えた1.5mlのダルベッコの改
変イーグル培地(GIBCO,Inc.)を含む6-ウエル組織培養皿中に播いた。24時間
後、培地を取り出し、適当な薬物を含む新鮮な培地を再添加した。
エレクトロポレーションの48時間後、細胞をトランスフォーミングRasにより
誘導された障害を受けた細胞の増殖をモニターするために顕微鏡下で検査した。
トランスフォーミングRasを発現する細胞はより丸くかつ屈折性になり、そして
形質転換した表現型を記憶して単層を超えて増殖する。次いで細胞を写真に撮り
、1mlの冷リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、そして皿からゴムポ
リスマンを用いてかきとることにより、25mM Tris、pH8.0;1mMエチレンジアミ
ン四酢酸;1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド;50μMロイペプチ
ン;および0.1μMペプスタチンを含む1mlの緩衝液中に取り出した。細胞をホモ
ジナイゼーションにより溶解し、そして細胞デブリを2000×gにて10分間遠心分
離することにより除去した。
細胞性タンパク質を氷冷トリクロロ酢酸の添加により沈澱させ、100μlのSDS-
電気泳動サンプル緩衝液に再溶解した。サンプル(5〜10μl)を14%ポリアクリ
ルアミドミニゲル(Novex,Inc.)上に載せ、トラッキング色素がゲルの底部近
くになるまで電気泳動した。ゲル上で分離したタンパク質を、免疫検出のために
ニトロセルロース膜上にエレクトロブロットした。
膜を、2.5%のドライミルクおよび0.5%のTween-20を含むPBSで4℃にて一晩イ
ンキュベーションすることによりブロックし、次いで、Ras特異的モノクローナ
ル抗体Y13-259(Furth,M.E.ら、(1982)、Harveyネズミ肉腫ウイルスのトラン
スフォーミング遺伝子のp21産物および細胞性ras遺伝子ファミリーのp21産物に
対するモノクローナル抗体、J.Virol.43:294-304)とともに、1%胎児ウシ血
清を含むPBS中、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、膜を1:5000希釈の
二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼと結合したウサギ抗ラットIgG)ととも
に、1%胎児ウシ血清を含むPBS中、室温で1時間インキュベートした。プロセス
されたおよびプロセスされていないRas-CVLSまたはRas-CVLLの存在を、製造者(
Bio-Rad)の記載のように、比色用ペルオキシダーゼ試薬(4-クロロ-1-ナフトー
ル)を用いて検出した。
3.細胞マット(Mat)アッセイ:
正常ヒトHEPM繊維芽細胞を、2mlの増殖培地中5×104細胞/皿の密度で3.5cm
皿に播種し、そしてコンフルエンスになるまで3〜5日間インキュベートした。
培地を各ディッシュから吸引し、そして指標の腫瘍細胞であるT24-BAG4ヒト膀胱
癌細胞(活性化H-ras遺伝子を発現する)を、2mlの増殖培地中2×103細胞/皿
の密度で繊維芽細胞単層の上部に播種し、そして一晩付着させた。化合物で誘導
したコロニー阻害を、腫瘍細胞播種の24時間後に系列希釈の化合物を増殖培地に
直接添加することによりアッセイし、そしてさらに14日間細胞をインキュベート
してコロニー形成させた。アッセイを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で単層
を2回すすぎ、1%グルタルアルデヒドのPBS溶液で単層を固定し、次いでX-G
alで染色することにより腫瘍細胞を可視化することにより終了した(Price,J.
ら、レトロウイルス媒介遺伝子転移による脊椎動物神経系における系統分析、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.84、156-160(1987))。コロニー阻害アッセイにおいて
、化合物を2つのIC50値に基づいて評価した:腫瘍細胞数における増加を50%抑
制するために必要な薬物濃度(tIC50)、および細胞マットを含む細胞の密度を5
0%減少させるために必要な薬物濃度(mIC50)。両IC50値を、腫瘍細胞の密度を
測定することにより、そしてマット細胞を目視検査によりそしてコロニー当たり
の細胞の計数およびコロニー数を顕微鏡下で得た。化合物の治療指数を、腫瘍標
的特異性を指示する1より大きい値を用いて、mIC50/tIC50の比として定量的に
表した。
結果
1.酵素学
データは、本発明の化合物が部分精製したラット脳ファルネシルタンパク質ト
ランスフェラーゼ(FPT)によるRas-CVLSファルネシル化のインヒビターである
ことを示す。データはまた、部分精製したラットおよびヒト脳ファルネシルタン
パク質トランスフェラーゼ(FPT)によるRas-CVLSファルネシル化の強力な(IC5 0
<10μM)インヒビターと考えられ得る本発明の化合物が存在することも示す。
表3を参照のこと。
データはまた、Ras-CVLLをイソプレノイドアクセプターとして使用してアッセ
イしたところ、本発明の化合物がゲラニルゲラニルプロテイントランスフェラー
ゼ(GGPT)のより弱いインヒビターであることを示す。試験した化合物は、20μ
g/mlでゲラニルゲラニルプロテイントランスフェラーゼインヒビターとして不活
性または弱い活性であった。例えば、化合物500.00は50μMでGGPTを7%阻害し、
FPT阻害について少なくとも31倍選択性である。別の例として、化合物530.00は4
9μMでGGPTに対して不活性であり、FPT阻害について少なくとも13倍選択性であ
る。この選択性は、本発明の方法において使用される化合物の治療能力のために
重要であり、これら化合物がRasトランスフォーム細胞に対する選択的増殖阻害
を有する能力を増加させる。
2.細胞に基づく:COS細胞および細胞マット(Mat)アッセイ
RasをトランスフェクトしたCOS細胞において発現するRasタンパク質のイムノ
ブロット分析は、本発明のファルネシルトランスフェラーゼインヒビターが、Ra
s-CVLSのプロセッシングを阻害し、プロセスされないRasの蓄積を引き起こすこ
とを示した(表3)。例えば、化合物500.00および化合物530.00は、Ras-CVLSプ
ロセッシングを10〜100μMのIC50値で阻害する。これらの結果は、化合物がイン
タクトな細胞内のファルネシルプロテイントランスフェラーゼを阻害することを
示し、そして活性化Rasガン遺伝子による細胞トランスフォーメーションをブロ
ックするそれらの能力を示す。化合物530.00を用いた処理の後のRasトランスフ
ェクトしたCOS細胞の顕微鏡および写真による検査は、これらの化合物が発ガン
性Rasの発現により誘導された表現型の変化もブロックすることを示した。発ガ
ン性Ras-CVLSを発現する細胞は、単層を覆って増殖し、そして細胞の濃密な病巣
を形成した。この発ガン性Ras-CVLSに対する応答は、化合物530.00により10〜10
0μMの範囲で阻害された。
本発明の化合物はまた、マットアッセイにおいてRasトランスフォーム腫瘍細
胞の増殖を阻害した。例えば、化合物530.00は12.5μMのIC50値で阻害した。こ
の化合物は、正常細胞単層に対して高濃度で(IC50値100μM)細胞傷害活性のみ
を示した。このアッセイで試験したいくつかの化合物は、ほとんど(515.00、61
2.00、614.00、618.00、および642.00)または全く(500.00)正常細胞に対して
Rasトランスフォーム細胞への選択的な抗増殖活性を有さなかった。インビボ抗腫瘍研究
:
腫瘍細胞(5×105〜8×106のM27[マウスルイス肺癌]A431[ヒト表皮癌]
、またはSW620[ヒト結腸腺癌(リンパ節転移)])を、5〜6週齢の無胸腺nu/
nu雌マウスの脇腹の皮下に接種する。C-f-1[c-fos癌遺伝子で形質転換したマウ
ス繊維芽細胞]腫瘍モデルについて、2mm3腫瘍フラグメントを5〜6週齢の無
胸腺nu/nu雌マウスの脇腹の皮下に移植する。腫瘍が樹立されると、腫瘍を有す
る動物を選択しランダムにする。動物を、媒体(βシクロデキストリンについて
は腹腔内、またはコーン油については経口)のみ、あるいは媒体中の化合物で、
1日2回(BID)を週に5(1〜5)または7(1〜7)日間で2(×2)また
は4(×4)週間処理する。媒体コントロールに対する腫瘍増殖の阻害の割合は
、腫瘍の測定により決定される。結果を表5に報告する。
式530.00の化合物についてのさらなる結果は:(a)SW620細胞株において、10
0MPKの用量で、経口、10/wk、×4(1週当たり10回を4週間)のスケジュールで
、平均%腫瘍阻害は57であった;および(b)M27細胞株において、100MPKの用量
で、経口、14/wk、×4(1週当たり14回を4週間)のスケジュールで、平均%腫
瘍阻害は37であった。
本発明に記載の化合物からの薬学的組成物の調製について、不活性な、薬学的
に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態の製
剤には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤が挙げ
られる。散剤および錠剤は、約5%から約70%までの活性成分を含み得る。適切
な固体キャリアは当該分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリ
ン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤、お
よびカプセル剤は、経口投与に適切な固体投与形態として用いられ得る。
坐剤の調製については、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物のよう
な低融点ワックスを最初に溶かし、そして活性成分を撹拌しながらその中に均一
に分散させる。次いで、溶けた均一混合物を都合のよいサイズの鋳型に注入し、
冷却して固化させる。
液体形態の製剤には、溶液、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。例としては
、非経口注射用の水溶液または水−プロピレングリコール溶液が挙げられ得る。
液体形態の製剤には、鼻内投与用の溶液も挙げられ得る。
吸入に適切なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形態の固体が挙げられ得、
不活性圧縮ガスのような薬学的に受容可能なキャリアとの組み合わせであり得る
。
固体形態の製剤はまた、使用直前に、経口または非経口投与用の液体形態の製
剤に変換されることも意図する。このような液体形態の製剤には、溶液、懸濁液
、および乳濁液が挙げられる。
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮用組成物は、クリ
ーム、ローション、エアロゾル、および/または乳濁剤の形態をとり得、そして
この目的のために当該分野で通常のマトリックスまたは貯蔵型の経皮パッチに含
有され得る。
好適には、化合物は経口投与される。
好適には、薬学的製剤は単位剤型である。このような形態では、製剤は活性成
分の適切な量(例えば、所望の目的を達成するために効果的な量)を含む単位用
量に分割される。
製剤の単位用量中の活性化合物の量は、特定の適用に従って、約0.1mgから100
0mgまで、より好適には約1mgから300mgまで変化または調整され得る。
用いられる実際の用量は、患者の要求および治療される状態の重篤度によって
変化し得る。特定の状況についての適切な用量の決定は当該技術の範囲内である
。一般に、治療は化合物の最適量よりも低い、より少ない用量で開始される。そ
の後、用量は、環境下で最適な効果が達成されるまで少しずつ増加される。便宜
上、
1日投与量の合計は分割され、所望であれば1日の間に数回で投与され得る。
本発明の化合物および薬学的に受容可能なその塩の投与量および投与頻度は、
患者の年齢、状態、およびサイズ、ならびに治療される徴候の重篤度のような因
子を考慮して主治医の判断に従って調節される。代表的な推奨投与法は、腫瘍増
殖をブロックするために2〜4回に分割した用量で、10mgから2000mg/日、好適
には10から1000mg/日の経口投与である。化合物はこの用量の範囲内で投与され
る場合は非毒性である。
以下は、本発明の化合物を含む薬学的剤型の例である。その薬学的組成物の局
面における本発明の範囲は、提供される実施例により限定されるべきではない。
薬学的剤型の実施例
実施例A
錠剤
製造方法
項目番号1および2を適切なミキサー中で10〜15分間混合する。この混合物を
項目番号3とともに造粒する。必要に応じて粗スクリーン(例えば、1/4インチ
、0.63cm)を通して湿顆粒を製粉する。この湿顆粒を乾燥させる。必要に応じて
この乾燥させた顆粒をスクリーンに通し、そして項目番号4と混合し、10〜15分
間混合する。項目番号5を加え、そして1〜3分間混合する。この混合物を、適
切
な錠剤機で適切なサイズおよび重量に打錠する。
実施例B
カプセル剤
製造方法
項目番号1、2、および3を適切なブレンダー中で10〜15分間混合する。項目
番号4を加え、そして1〜3分間混合する。この混合物を、適切なカプセル化機
で適切な2個の硬ゼラチンカプセル中に充填する。
本発明は、上記の特定の実施態様とともに記載されているが、その多くの代替
、改変、および変更は、当業者には明らかである。このような全ての代替、改変
、および変更は、本発明の精神および範囲内にあることが意図される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 401/14 211 9159−4C C07D 401/14 211
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,E
E,FI,GE,HU,JP,KG,KR,KZ,LK
,LR,LT,LV,MD,MG,MN,NO,NZ,
PL,RO,RU,SI,SK,TJ,TT,UA,U
Z,VN
(72)発明者 マラムス, アラン ケイ.
アメリカ合衆国 ニュージャージー
07840, ハケッツタウン,キングス ハ
イウェイ 147
(72)発明者 ヌジョルジ, エフ. ジョージ
アメリカ合衆国 ニュージャージー
07083, ユニオン,ジュリアット プレ
イス 2597
(72)発明者 ペットリン, ジョアンヌ エム.
アメリカ合衆国 ニュージャージー
07009, セダー グローブ,アンダーソ
ン パークウェイ 27
(72)発明者 ピウィンスキー, ジョーン ジェイ.
アメリカ合衆国 ニュージャージー
08833, レバノン,サドル リッジ ド
ライブ 6
(72)発明者 レミスズースキー, ステイシー ダブリ
ュー.
アメリカ合衆国 ニュージャージー
07675, タウンシップ オブ ワシント
ン, ハニーサックル ドライブ 147
(72)発明者 タベラス, アーサー ジー.
アメリカ合衆国 ニュージャージー
07866, ロックアウェイ,クレストウッ
ド ロード 43
(72)発明者 ウォリン, ロナルド エル.
アメリカ合衆国 ニュージャージー
07090, ウェストフィールド, マウン
テン アベニュー 406