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JPH08208685A - ヒドロキシラジカル消去活性剤 - Google Patents

ヒドロキシラジカル消去活性剤

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Publication number
JPH08208685A
JPH08208685A JP7041364A JP4136495A JPH08208685A JP H08208685 A JPH08208685 A JP H08208685A JP 7041364 A JP7041364 A JP 7041364A JP 4136495 A JP4136495 A JP 4136495A JP H08208685 A JPH08208685 A JP H08208685A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sesaminol
glycoside
lignan
radical scavenging
germinated
Prior art date
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Granted
Application number
JP7041364A
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English (en)
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JP3048311B2 (ja
Inventor
Kenichi Kuriyama
健一 栗山
Takeo Murui
建夫 無類井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Oillio Group Ltd
Original Assignee
Nisshin Oil Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Oil Mills Ltd filed Critical Nisshin Oil Mills Ltd
Priority to JP7041364A priority Critical patent/JP3048311B2/ja
Publication of JPH08208685A publication Critical patent/JPH08208685A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3048311B2 publication Critical patent/JP3048311B2/ja
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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リグナン部がセサミノール、P−1又はセサ
モリノールであり、糖部がグルコース、ガラクトース又
はフルクトースのうちの1種の残基、特にジグルコシル
残基及び/又はトリグルコシル残基を有するリグナン配
糖体を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤。 【効果】 ゴマ種子の発芽物等から容易に得られる上記
リグナン配糖体は、微量で強いヒドロキシラジカル消去
活性を有しており、本発明のヒドロキシラジカル消去活
性剤は食品、医薬品、化粧品等への利用が期待される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リグナン配糖体を有効
成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤に係わる。さ
らに詳しくは、ごま種子を原料として得られる特定の構
造をもつリグナン配糖体を有効成分とするヒドロキシラ
ジカル消去活性剤に関する。本発明のヒドロキシラジカ
ル消去活性剤は、食品分野のほか医薬品分野、農薬分
野、化粧品分野等において幅広く利用されるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】生物は、酸素を利用することによって生
存に必要なエネルギーを効率的に得ている。しかしなが
ら、このようなエネルギー代謝のうち、酸素が水に変換
される過程で、中間体として活性酸素種を生じる。一般
に活性酸素種としては、マクロファージの刺激等によっ
て放出されるスーパーオキシドアニオン、放射線の被爆
等によって生成されるヒドロキシラジカル、脂質の過酸
化等により連鎖的に生成する有機ラジカル等が知られて
いる。これらの活性酸素種は化学的反応性が高く、脂質
や核酸、蛋白質等と反応し、さまざまな疾病に繋がる酸
化的障害をもたらす。そして過度の放射線や紫外線の照
射、化学物質やタバコの摂取等がこれらの外的誘因とな
る。これらのうち、例えば放射線の照射によりもたらさ
れる生体障害の重要な原因は、放射線の照射によって生
体中の水分子から産生されるヒドロキシラジカルであ
る。
【0003】このヒドロキシラジカルは、活性酸素種の
中でも最も反応性が高いものの一つで、生体内に存在す
る脂質、蛋白質、核酸または糖質等と直ちに化学反応
し、これらの酸化、変性あるいは分解等をもたらす。こ
れにより遺伝子や生体膜、組織等は著しい損傷を受け、
発ガン、動脈硬化、心臓疾患、炎症または細胞老化等の
様々な疾患の原因となると考えられている(Halliwell
B. and Gutteridge M.C.、Biochem. J. 、第219巻、
第1−14頁、1984年)。
【0004】従って、このような毒性を持つ活性酸素種
を効率的に消去する機能を有する物質は、生体内または
食品や医薬品、農薬等に含まれる成分の酸化的劣化の防
御剤として有用であり、食品分野、特に健康食品、栄養
食品のほか、医薬品・農薬分野や化粧品分野等において
実用的な利用が期待されているものである。なお、トコ
フェロールやアスコルビン酸等の公知の酸化防止剤は、
ヒドロキシラジカル消去能についていえば、ビタミンE
のように活性を有するものもあるが、未だ不明なものが
多い。
【0005】近年、このような活性酸素種、特にヒドロ
キシラジカルの生体に対する毒性が明らかになるにつ
れ、これを効率的に消去する活性を有する物質の有用性
が注目され、さまざまな物質が主に天然物由来の成分と
して検討されている。ヒドロキシラジカル消去活性を有
する代表的なものとしてマニトール、トリプトファン、
ギ酸等があげられ、これらのヒドロキシラジカル消去活
性が調べられている(例えば、大柳善彦著、「SODと
活性酸素種調節剤−その薬理的作用と臨床応用」、第2
24〜228頁、日本医学館、1989年)。
【0006】しかしながら、極めて微量で実用的に効果
のあるヒドロキシラジカル消去活性を有する物質は未だ
ほとんどなく、これを工業的に多量かつ安定に入手する
ことは困難であるのが現状である。このように、ヒドロ
キシラジカルを消去する活性を有する有効成分の安定供
給が望まれているにもかかわらず、これまで工業的に実
用化された例はほとんどない。
【0007】ところで、食品用原材料として常用される
天然物の一つにゴマ種子がある。ゴマ種子は古くから食
用に供されてきた油糧種子の一種であり、その薬理的効
果も伝承されている。ゴマは現在でも熱帯地方をはじめ
世界各地で栽培され、その油脂や種子の独特の風味が好
まれて食されている。すなわちゴマは、比較的多量にま
た安定して入手可能な植物材料であり、しかも人体に対
して安全な原料であるといえる。また、ゴマ種子の中に
は特徴的な化合物としてリグナン類が含まれており、そ
の抗酸化活性をはじめ種々の生理活性機能に関する研究
がなされている(例えば並木満夫、小林貞作編、「ゴマ
の科学」、朝倉書店、1989年)。
【0008】ゴマ種子中には、優れた抗酸化活性を有す
るリグナン類、すなわちセサミノール:テトラヒドロ−
1−〔6−ヒドロキシ−3,4−(メチレンジオキシ)
フェニル〕−4−〔3,4−(メチレンジオキシ)フェ
ニル〕−1H,3H−フロ〔3,4−C〕フラン、P−
1:テトラヒドロ−1−(3−メトキシ−4−ヒドロキ
シフェニル)−4−〔3,4−(メチレンジオキシ)フ
ェニル〕−1H,3H−フロ〔3,4−C〕フラン、セ
サモリノール:テトラヒドロ−1−(3−メトキシ−4
−ヒドロキシフェノキシ)−4−〔3,4−(メチレン
ジオキシ)フェニル〕−1H,3H−フロ〔3,4−
C〕フラン、ピノレジノール:テトラヒドロ−1,4−
ジ(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−1H,
3H−フロ〔3,4−C〕フラン等のフェノール性リグ
ナン類が含まれ、その多くは糖化合物(リグナン配糖
体)としてゴマ種子またはその脱脂粕中に存在すること
が明らかにされている(Biosci. Biotech. Biochem. 、
第56巻、第2087〜2088頁、1992年)。
【0009】また、ゴマ種子の粉砕物からピノレジノー
ル配糖体が得られ、該配糖体は脂質の酸化に対する抗酸
化効果を有することが公知である(特開平6−1162
82号公報)。しかしながら同公報では、ピノレジノー
ル配糖体以外のリグナン配糖体については言及されてい
ない。一方、ゴマ種子を発芽させると、その発芽物中に
トコフェロールやセサモール以外のフェノール性の抗酸
化性物質が生成されることが報告されている(日本食品
工業学会誌、第32巻、第407〜412頁、1985
年)。さらにゴマ種子の植物成体から誘導した培養細胞
を用いて抗酸化性物質あるいは抗光酸化性物質を抽出す
ることも知られている(日本農業化学会1991年度大
会要旨集、第236頁、1991年、特公平4−214
75号公報、特開平5−124949号公報)。しか
し、これらに開示されている物質は、いずれも前記フェ
ノール性リグナン類とは別異のものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
新規なヒドロキシラジカル消去活性剤、とりわけゴマ種
子中の成分を利用するヒドロキシラジカル消去活性剤を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、特定のリグナン配糖体
がヒドロキシラジカルを効果的に消去し得る活性をもつ
ことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明の要旨は、セサミノール、
P−1およびセサモリノールからなる群より選ばれる1
種のリグナンの配糖体(以下、リグナン配糖体という)
を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤にあ
る。
【0013】本発明に係るリグナン配糖体は、前記化学
名称で示されるセサミノール、P−1およびセサモリノ
ールからなる群より選ばれる1種のリグナン部分と、そ
のヒドロキシル基にグルコース、ガラクトースまたはフ
ルクトースの糖残基が1〜3分子結合している糖部分と
から構成される。本発明で対象とするリグナン配糖体
は、好ましくは糖残基がジグルコシド残基および/また
はトリグルコシド残基である水溶性グルコシドリグナン
であり、さらに好ましくは少なくとも下記の構造式(I
−a)で示されるセサミノールジグルコシドおよび/ま
たは構造式(I−b)で示されるセサミノールトリグル
コシドを含むものである。
【0014】
【化3】 (式(I−a)中、Glcはグルコース残基を表す。)
【0015】
【化4】 (式(I−b)中、Glcはグルコース残基を表す。)
【0016】本発明に係るリグナン配糖体を製造するに
は、化学的合成法によっても可能であるが、ゴマ種子あ
るいはその粉砕物あるいはそれらの脱脂粕を原料とし、
もしくは本発明者らによる先の出願特許(特願平5−3
16079号)に記載のように、例えばゴマ種子の発芽
物を用いて以下に述べる方法で調製することが簡便であ
る。かかる方法により得られる抽出成分、さらにその精
製物はヒドロキシラジカル消去活性剤とすることができ
る。
【0017】まずゴマ種子は培煎等の高温処理を施して
いないものであれば、白ゴマ、黒ゴマ等の種類、国内
産、中国産、インド産、アフリカ産等の産地、栽培用あ
るいは搾油用を問わず使用できる。これを、水中または
水分を含有できる適当な培地、例えば寒天、石英砂、海
砂、脱脂綿、砂、土等の好ましくは滅菌処理した培地に
均一に撒き、10〜50℃、好ましくは30〜40℃に
て水分を適時に補いながら、5〜100時間、好ましく
は24〜72時間培養を行なう。培養は照光下または暗
条件下のいずれでも構わない。かかる処理により、ゴマ
種子の加湿物あるいは発芽物中に本発明に係るリグナン
配糖体を多量に生成かつ蓄積せしめることができる。
【0018】水で膨潤または発芽したごま種子を培地か
ら分離した後、食品用ミキサーやブレンダー、ホモジナ
イザー等の粉砕機に入れ粉砕する。得られた粉砕物はn
−ヘキサン等の脂溶性有機溶媒で油分を抽出して除去し
た脱脂粕としてもよい。次にリグナン配糖体を抽出可能
な低級アルコールまたはその含水物を、前記粉砕物ある
いはその脱脂粕に対して1〜10倍(v/wt)(ただ
し、v:容量、wt:重量を示す。以下同じ。)添加し、
必要に応じて粉砕および抽出操作を繰り返し行ない、デ
カンテーション、遠心分離、濾過等の常法により固形物
を除去した後、水分およびアルコール分を常圧または減
圧にて加熱または非加熱で除き、含水低級アルコール抽
出物を得る。該抽出物は、前記リグナン配糖体を含み、
このほか種々の糖鎖化合物を含む混合物である。
【0019】ここに前記含水低級アルコールとしては、
炭素数1〜4の直鎖状もしくは側鎖状低級アルコール、
例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノール等と水を混合し、アル
コール濃度を30〜100%(v/v)、好ましくは5
0〜100%(v/v)、より好ましくは50〜80%
(v/v)、最も好ましくは70〜80%(v/v)に
調節したものがよい。30%(v/v)未満のアルコー
ル濃度では、本発明に係るリグナン配糖体を含まない水
溶性多糖類が多量に抽出されるため好ましくない。
【0020】なお、前記含水低級アルコール抽出物中の
本発明に係るリグナン配糖体以外の不純物(本発明に係
るリグナン配糖体に比べて脂溶性の物質および水溶性の
物質)を除くために、以下のような処理を施すことが望
ましい。すなわち、まず脂溶性不純物質を除くために、
含水低級アルコール抽出物に対して2〜10倍(v/w
t)の非水溶性有機溶媒、例えば酢酸エチルやn−ヘキ
サンと水を加えて抽出し、遠心分離等により二相に分離
する。有機溶媒相を除き、水相を濃縮乾固させる。この
とき目的のリグナン配糖体は水相側に濃縮される。
【0021】次に、水溶性不純物質を除くために、この
抽出物に対して少量、好ましくは1〜5倍(v/wt)の
含水アルコール(アルコール濃度30〜100%(v/
v))に分散させ、これを緩やかに撹拌している比較的
多量、好ましくは10〜200倍(v/wt)のアルコー
ルに滴下する。静置後、遠心分離または分別濾過等によ
り沈殿物を除いた後、濃縮乾固し、粗リグナン配糖体を
得る。なお必要であればこれらの操作を繰り返す。かか
る処理に用いるアルコールは前記ゴマ種子の粉砕物の抽
出時に用いられる低級アルコール類と同様のものでよ
い。
【0022】かくして得られる粗リグナン配糖体は、セ
サミノールを主成分としてほかにP−1、セサモリノー
ル、ピノレジノール等のリグナン類のヒドロキシル基に
グルコース、ガラクトース等の糖類が結合したものであ
り、特にグルコースが2〜3分子結合したジおよび/ま
たはトリグルコシドリグナンを主成分とするものの混合
物である。これはn−ブタノール、エタノール、メタノ
ール、水等に可溶な水溶性の物質である。
【0023】なお前記した含水低級アルコール抽出物お
よび粗リグナン配糖体は、必要に応じてシリカゲル、オ
クタデシルシリカ(ODS)等の吸着剤を使用して、個
々のリグナン配糖体成分に分画、精製することができ
る。すなわち、例えばODSを充填したカラムを作成
し、これを水で平衡化した後、前記含水低級アルコール
抽出物または粗リグナン配糖体を負荷率0.1〜5%
(wt/v)で供し、含水アルコール溶媒(アルコールと
してメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール等)を用い、アルコール
濃度を順次増加させる段階溶出法により、所定の画分を
溶出させる。なお、ここに得られる溶出画分は、必要に
応じてさらに前記吸着剤を用いる高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)、分取液体クロマトグラフィー等に
供して各成分をより一層高純度に精製することもでき
る。
【0024】リグナン配糖体の構造は、単一物質まで高
純度精製した各成分を例えば酸加水分解してリグナン
(アグリコン部)と糖部とに分け、これらをそれぞれト
リメチルシリル化してガスクロマトグラフィーに供し、
あるいは核磁気共鳴スペクトロスコピー、マススペクト
ロスコピーにより分析することで確認できる。
【0025】次に、活性酸素種の消去活性を測定する方
法を以下に示す。ヒドロキシラジカル消去活性は、電子
スピン共鳴(ESR)装置を用い、5, 5’−ジメチル
−1−ピロリン−N−オキシド(以下、DMPOと略
す。)によるスピントラップ法(例えば Gow-Chin Yen
and Pin-Der Cuh 、J. Agric. Food Chem.、第42巻、
第629〜632頁、1994年)にて測定した。すな
わち硫酸第1鉄溶液の存在下、過酸化水素はフェントン
反応によりヒドロキシラジカルとヒドロキシアニオンと
を生成する。このうちヒドロキシラジカルは共存させた
DMPOに補足されDMPO−OHアダクトが得られ
る。このアダクトは比較的安定であり、ESRスペクト
ルにおいて特徴的な4重線を示す。このとき、反応液中
にヒドロキシラジカルを消去する活性を有する物質が共
存すると、DMPO−OHアダクトのESRスペクトル
が減少する。このスペクトルの積分値の減少量から試料
のヒドロキシラジカル消去活性を測定できる。
【0026】ヒドロキシラジカルを消去する活性を有す
る物質として、前記文献(「SODと活性酸素種調節剤
−その薬理的作用と臨床応用」)ではマニトール、トリ
プトファン、ギ酸等をあげ、これらのヒドロキシラジカ
ル消去活性を調べているが、該活性はマニトールでは1
0μmol /mL、トリプトファンでは20μmol /mLおよ
びギ酸では100μmol /mLの各存在量において測定さ
れたものである。これに対して本発明に係るリグナン配
糖体の試験量は1μmol /mL以下で測定し、このような
微少濃度でも充分なヒドロキシラジカル消去活性が認め
られる。したがって本発明に係るリグナン配糖体は、ヒ
ドロキシラジカル消去活性剤の有効成分として極めて高
い該活性を有するものである。
【0027】本発明のヒドロキシラジカル消去活性剤
は、セサミノール、P−1およびセサモリノールからな
る群より選ばれる1種のリグナンの配糖体、とりわけジ
グルコシドリグナンおよび/またはトリグルコシドリグ
ナン、特に前記構造式(I−a)で示されるセサミノー
ルジグルコシドおよび前記構造式(I−b)で示される
セサミノールトリグルコシドのうち少なくとも1種以上
を含むリグナン配糖体のいずれをも有効成分とすること
ができる。これらは化学合成したものでもさしつかえな
いが、前述したゴマ種子の加湿物あるいは発芽物から得
られる含水低級アルコール抽出物、該抽出物から不純物
(脂溶性物質および水溶性物質)を除去して得られる粗
リグナン配糖体、さらにこれらをカラムクロマトグラフ
ィーやHPLCで分画して得られる高純度のリグナン配
糖体を用いることが望ましい。
【0028】
【実施例】以下に実施例および参考例を示して本発明を
具体的に説明する。 参考例1 予め滅菌した石英砂を300cm2 のステンレス製のバッ
トに敷き、その上に中国産ごま種子10gを撒き、蒸留
水を十分に噴霧しながら、40℃の恒温槽中で2日間培
養し、発芽させた。発芽率は89%であった。発芽状態
が同程度の一定量の発芽物を100mLの含水メタノール
(80%(v/v))とともにブレンダーで粉砕した。
残渣を濾過し、濾液を濃縮乾固して含水メタノール抽出
物を得た。ついで該抽出物をn−ヘキサンおよび酢酸エ
チルで2度ずつ洗浄して粗リグナン配糖体を得た。この
粗リグナン配糖体を100mLの含水メタノール(80%
(v/v))に再溶解し、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)に供して組成を分析した。
【0029】HPLC条件は、ポンプ(CCPM、東ソ
ー社製)にカラム(Soken Pak ODS−W5μ、10mm
φ×250mm)、紫外線吸収検出器(UV−8000、
東ソー社製)を接続し、溶出は、水:メタノールが9
0:10(v:v)から開始して60分後に同10:9
0(v:v)となる直線グラジェントを用い、流速を1
mL/min 、検出波長は288nmとした。
【0030】HPLC分析の結果、粗リグナン配糖体中
にはセサミノールジグルコシドおよびセサミノールトリ
グルコシドを主成分とし、セサミノールモノグルコシ
ド、セサミノールモノガラクトシド、P−1ジグルコシ
ド、セサモリノールモノグルコシド、セサモリノールジ
グルコシド、ピノレジノールジグルコシドおよびピノレ
ジノールトリグルコシドの各成分が含まれており、これ
らの成分のうちセサミノールトリグルコシドが35%、
セサミノールジグルコシドが45%を占めていた。
【0031】なお、前記リグナン配糖体の各成分は以下
に述べる方法により単離ならびに分析された。すなわち
粗リグナン配糖体1gを逆相分配カラムクロマトグラフ
ィー(YMC−GEL ODS−A 60 200/6
0(山村化学製)60gを20%(v/v)含水メタノ
ールに懸濁し、ガラス性カラムに充填)に供し、水:メ
タノールが80:20(v:v)から500ml毎にメタ
ノール濃度を5%(v/v)ずつ段階的に40:60
(v:v)まで高めた含水メタノールを用い、流速:
0.8mL/min にて溶出させた。溶出した含水メタノー
ル100mL毎の画分のうち、前記HPLC分析で検出さ
れた成分に相当するものを含む画分をそれぞれ濃縮乾固
し、リグナン配糖体分画物を得た。さらにこの各分画物
を分取HPLCに繰り返して供し、各リグナン配糖体成
分が単一となるまで精製した。
【0032】各リグナン配糖体分画物の精製物を、1N
塩酸を用いて100℃で30分間加熱して加水分解し、
酢酸エチルで抽出した。ここに得られる酢酸エチル層を
リグナン(アグリコン部)分析用試料とし、また水層を
糖部分析用試料とした。酢酸エチル層を40℃以下で濃
縮乾固後、TMS−PZ(東京化成工業社製)を加えて
トリメチルシリル化し、これをガスクロマトグラフィー
(GLC)に供して定量分析した(外標準:セサミ
ン)。
【0033】GLC条件は次のとおり。GLC装置:ヒ
ューレットパッカード社製5890、カラム:DB−1
7HT(15m ×0.319mm、film thickness:0.
15μm 、J&W SCIENTIFIC社製)、注入
法:スプリット法(スプリット比1/10)、カラム温
度:270℃、キャリアガス:He。
【0034】また、水層をHPLC用前処理フィルター
(孔径:0.2μm 、マイショリディスクW−13−
2、東ソー社製)で濾過し、濾液にアセトン5mlを加え
て減圧下で濃縮乾固後、TMS−PZ(東京化成工業社
製)を加えてトリメチルシリル化し、これをGLCに供
して定量分析した(外標準:グルコース、ガラクトー
ス、フルクトース)。
【0035】GLC条件は、カラム:DB−1701
(15m ×0.25mm、film thickness:1.0μm 、
J&W SCIENTIFIC社製)、注入法:スプリ
ット法(スプリット比1/50)、カラム温度:180
℃とする以外は前記リグナン(アグリコン部)分析の場
合と同様である。
【0036】実施例1 リグナン配糖体成分のヒドロキシラジカルに対する消去
活性を測定した。すなわち、電子スピン共鳴(ESR)
装置を用い、DMPOによるスピントラップ法でヒドロ
キシラジカル消去活性を測定した。0.55mMジエチレ
ントリアミンN,N,N’,N”,N”五酢酸を含む
0.1mM硫酸第1鉄溶液75μL 、1mM過酸化水素溶液
75μL 、8.8mMのDMPO溶液20μL および下記
リグナン配糖体水溶液50μL を混合して反応液とし
た。参考例1で得た精製物(例えばセサミノールトリグ
ルコシド)を該反応液中の濃度が0〜1.0μmol /mL
の所定濃度となるように加え、各々のDMPO−OHア
ダクトのスペクトルをESR装置で測定した。ESRの
測定条件は、ESR装置(日本電子社製、JES−RE
1X)を用い、磁場:334.5±5mT、出力:8mV、
変調:100kHz 、室温にて測定、応答時間:0.1s
とし、酸化マグネシウム中のマンガンイオン(Mn2+
を標準物質とした。セサミノールトリグルコシドによる
ヒドロキシラジカルの消去活性のESRスペクトルを図
1(A)〜図1(D)に示した。セサミノールトリグル
コシドが無添加のESRスペクトル(図1(A))に比
べ、セサミノールトリグルコシドの添加濃度が増すにつ
れ明らかにスペクトラムは減少した(図1(B)、図1
(C)および図1(D))。このことにより、セサミノ
ールトリグルコシドはヒドロキシラジカルを消去する活
性を有することが明らかになった。
【0037】実施例2 実施例1に記載の方法において、ヒドロキシラジカル測
定反応液に添加するリグナン配糖体成分の種類(参考例
1で得たセサミノールジグルコシド、セサモリノールジ
グリコシドの各精製物)および濃度を変えてESRスペ
クトルを測定し、その積分値と添加濃度との関係を各配
糖体成分について求めた。その結果、図2に示したよう
に、セサミノールジグルコシド、セサモリノールジグル
コシドおよびセサミノールトリグルコシド(実施例1)
の各リグナン配糖体成分のいずれも反応液中に0. 01
〜1. 0μmol /mLの濃度範囲の添加量で、ヒドロキシ
ラジカルを消去する強い活性が認められた。
【0038】実施例3 参考例1で得た含水メタノール抽出物、粗リグナン
配糖体およびカラム分画物を試料とし、実施例1と同
様の方法でヒドロキシラジカル消去活性を測定した。そ
の結果、各試料の無添加時のヒドロキシラジカル強度の
50%を消去する活性を示す各試料の添加濃度は:3
0μmol /mL、:2μmol /mLおよび:0.08μ
mol /mLであった。このことから、本発明に係るリグナ
ン配糖体は各成分の精製物のみならず、混合物であって
も十分なヒドロキシラジカル消去能を保持していること
が明らかになった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、セサミノール、P−1
またはセサモリノールから選ばれるリグナンの配糖体を
有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤を提供で
きる。該リグナン配糖体はゴマ種子の発芽物から容易に
得られる。また本発明のヒドロキシラジカル消去活性剤
は、微量で強いヒドロキシラジカル消去能を有してお
り、食品、化粧品、医薬品、農薬等の分野の製品に適用
できることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】5,5’−ジメチル−1−ピロリン−N−オキ
シド−OHアダクトの電子スピン共鳴スペクトルであ
り、リグナン配糖体成分(セサミノールトリグルコシ
ド)の添加量によるヒドロキシラジカル消去活性の変化
を示す図である。セサミノールトリグルコシドの添加濃
度が図1(A):無添加、図1(B):0.05μmol
/mL、図1(C):0.10μmol /mL、図1(D):
0.25μmol /mLである。Mn2+は酸化マグネシウム
中のマンガンイオン(標準物質)を示す。
【図2】5,5’−ジメチル−1−ピロリン−N−オキ
シド−OHアダクトの電子スピン共鳴スペクトル強度の
積分値とリグナン配糖体成分(セサミノールジグルコシ
ド、セサモリノールジグルコシドおよびセサミノールト
リグルコシド)の添加濃度との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/78 ADU // C07G 3/00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セサミノール、P−1およびセサモリノ
    ールからなる群より選ばれる1種のリグナンの配糖体
    (以下リグナン配糖体という)を有効成分とするヒドロ
    キシラジカル消去活性剤。
  2. 【請求項2】 リグナン配糖体が糖残基としてジグルコ
    シド残基および/またはトリグルコシド残基を有する水
    溶性グルコシドリグナンである請求項1に記載のヒドロ
    キシラジカル消去活性剤。
  3. 【請求項3】 リグナン配糖体が少なくとも下記の構造
    式(I−a)で示されるセサミノールジグルコシドおよ
    び/または下記の構造式(I−b)で示されるセサミノ
    ールトリグルコシド 【化1】 (式(I−a)中、Glcはグルコース残基を表す。) 【化2】 (式(I−b)中、Glcはグルコース残基を表す。)
    を含むものである請求項1または2に記載のヒドロキシ
    ラジカル消去活性剤。
  4. 【請求項4】 リグナン配糖体がゴマ種子の加湿物もし
    くは発芽物の粉砕物またはその脱脂粕を含水低級アルコ
    ールで抽出して得られる成分である請求項1〜3のいず
    れか1項に記載のヒドロキシラジカル消去活性剤。
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