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JPH07304762A - 抗腫瘍性物質be−40644類 - Google Patents

抗腫瘍性物質be−40644類

Info

Publication number
JPH07304762A
JPH07304762A JP7060695A JP7060695A JPH07304762A JP H07304762 A JPH07304762 A JP H07304762A JP 7060695 A JP7060695 A JP 7060695A JP 7060695 A JP7060695 A JP 7060695A JP H07304762 A JPH07304762 A JP H07304762A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
group
compound
actinoplanes
culture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7060695A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichiro Torigoe
浩一郎 鳥越
Naomi Wakasugi
なおみ 若杉
Nami Sakaizumi
奈巳 酒泉
Takashi Ikejima
喬 池島
Hajime Suzuki
肇 鈴木
Hiroyuki Suda
寛之 須田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MSD KK
Original Assignee
Banyu Phamaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Banyu Phamaceutical Co Ltd filed Critical Banyu Phamaceutical Co Ltd
Priority to JP7060695A priority Critical patent/JPH07304762A/ja
Publication of JPH07304762A publication Critical patent/JPH07304762A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Pyrane Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】式: 【化1】 [式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノ
イル基を示す]で表される化合物。 【発明の効果】本発明に記載するBE−40644類
は、マウス及びヒトの癌細胞に対して強い増殖抑制効果
を示し、またHIVの増殖抑制効果を示すことから、医
薬の分野で有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬の分野で有用であ
り、より具体的には腫瘍細胞やウイルスによる癌化細胞
に対し、その増殖を阻害し制癌効果を発揮し、またヒト
免疫不全症候群ウイルスの増殖を抑制する新規化合物
群、その製造法及び用途並びに本化合物群を産生する新
規なアクチノプラネス(Actinoplanes)属
に属する微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌化学療法の分野においては、既に多く
の化合物が医薬品として実用化されている。
【0003】しかしながらさまざまな種類の腫瘍に対し
てその効果は必ずしも充分ではなく、また臨床上これら
の薬剤に対する腫瘍細胞の耐性現象が明らかにされるに
連れ、その臨床的応用性はより複雑化している[第47
回日本癌学会総会記事、12頁−15頁(1988年)
等参照]。
【0004】ヒト癌と直接の関連が証明されているウイ
ルスに、バーキットリンパ腫、鼻咽喉癌に於けるエプス
タイン−バーウイルス(Epstein−Barr v
irus)、子宮頚癌におけるパピローマウイルス(p
apilloma virus)、肝癌におけるC型肝
炎ウイルス、成人型Tリンパ性白血病(adultT
cell leukemia)に於けるHTLV−1等
が挙げられる[がんのバイオサイエンス2「ヒトのがん
ウイルス」、吉田光昭編、東京大学出版会(1991
年)等参照]。これらの癌に対しては従来の化学療法に
よって対応しているが、その効果には耐性現象等による
限界、副作用などの深刻な問題点がある。
【0005】一方、HIV(ヒト免疫不全症候群ウイル
ス)はヒトの免疫系の破壊によりAIDS(後天性免疫
不全症候群)を惹起し、その効果的な治療法の創製が熱
望されている[セル(Cell)58卷、423−43
6頁、(1989年)等参照]。現在AIDSに対して
使用されている逆転写酵素阻害剤は、ウイルスが変異す
るために数カ月で耐性が現れ、治療の継続が困難とな
る。ヒトの細胞に組み込まれたHIVは、その細胞に何
らかの刺激が加わると転写が開始され再活性化される
が、その際細胞が持つ転写調節因子NFkB等が関与す
ることが報告されている(Nature、326巻71
1−713頁、1987年等参照)。このような観点か
ら、耐性の出易い逆転写酵素阻害剤ではなく、耐性の出
ないことが期待される、細胞側のHIV増強因子抑制作
用による抗HIV物質が強く希求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の希求に応える新規制癌物質及び抗HIV作用を有する
物質を提供することであり、既存の制癌物質が充分に効
果を発揮できない種類の癌、ウイルスによる癌化または
免疫系の破壊に係る機序を標的とした優れた制癌活性、
抗HIV活性を有する化合物を見出すことが、本発明が
解決しようとする課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべくウイルスによる癌化やNFkB、Fos
/Jun等の転写調節因子の活性化に関するチオレドキ
シン(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A.,87巻,8282−8286頁,1990年;N
ucleic Acids Research,20巻
3821−3830頁,1992年等参照)の酵素活
性を抑制し、抗腫瘍活性を有する物質について、微生物
二次代謝産物を広くスクリーニングした結果、下記一般
式[I]で表される化合物が優れた抗腫瘍作用及び抗H
IV作用を示すことを見出し本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は新規な一般式
【0009】
【化9】 [式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノ
イル基又はベンゾイル基を示す]で表される化合物、そ
の製法及び用途、並びに一般式[I]の化合物を産生す
る能力を有するアクチノプラネス(Actinopla
nes)属に属する微生物に関するものである。
【0010】次に本明細書において使用する用語につい
て説明する。本明細書において使用する「低級」なる語
は、この語の付された基または化合物の炭素数が6個以
下、好ましくは4個以下であることを意味する。
【0011】低級アルキル基とは、炭素数が1乃至6個
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0012】低級アルカノイル基とは、炭素数が1乃至
6個の直鎖状または分岐状のアルカノイル基を示し、ホ
ルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブチリル基、
イソブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等が
挙げられる。
【0013】以下に本発明に係る新規な抗腫瘍性及び抗
HIV性物質BE−40644類の物理化学的な性状を
示す。
【0014】ここで、一般式[I]でRが水素原子であ
る化合物をBE−40644と称し、Rがアセチル基で
あるものBE−40644アセテートと称する。下記に
NMR測定における略号の意味を示す。 s :シングレット d :ダブレット t :トリプレット q :カルテット dt:ダブルトリプレット m :マルチプレット br:ブロード J :カップリング定数 Hz:ヘルツ CDCl3:重クロロホルム BE−40644の物理化学的性状 性状 :黄色アモルファス状固体又は結晶 分子式 :C22304 質量分析:[高分解能FAB−MS] (C22304+2H)+として:計算値 360.23
01 :実測値 360.2314 比旋光度:[α]20 D=−48.5 °(c0.887,
MeOH) 紫外吸収スペクトル:λmax(MeOH,nm)20
4,265,400 赤外吸収スペクトル:(KBr,cm-1)2945,2
926,1676, 1651,1633,1610,
1369,9601 H−NMRスペクトル:(500MHz,CDCl3
δ ppm)0.72(3H,s),0.80(3H,
s),0.82−0.92(2H,m), 0.88
(3H,s),1.13(1H,dt,J=13.7H
z,4.6Hz),1.19(3H,s),1.37−
1.45(3H,m),1.47−1.62(4H,
m),1.76−2.02(1H,m),2.21(1
H,br s),2.32−2.38(1H,m),
2.36(1H,dd,J=19.8Hz,8.2H
z),2.59(1H,d,J=19.8Hz),4.
51(2H,br s),6.64(1H,t,J=
1.8Hz)13 C−NMRスペクトル(125MHz,CDCl3
δ ppm)13.7(q),16.6(t),18.
0(t),18.2(t),21.8(q),27.1
(q),33.1(s),33.5(q),38.3
(s),39.6(t),39.8(t),41.5
(t),48.4(d),55.0(d),59.4
(t),79.6(s),119.9(s),131.
5(d), 144.1(s),153.5(s),1
81.9(s),186.6(s) 溶解性 :クロロホルム、メタノール、ジメチルスルホ
キシド等の有機溶媒に溶け易く、水に溶けにくい。 酸性、中性、塩基性物質の区別:中性 薄層クロマトグラフィー:[メルク社製キーゼルゲル6
0F254] Rf値 0.60[展開溶媒:クロロホルム/メタノー
ル(20:1)] 呈色反応:硫酸反応 陽性、リンモリブデン酸反応 陽
BE−40644アセテートの理化学的性状 性状 :黄色アモルファス状固体又は結晶 分子式 :C24325 質量分析:[高分解能FAB−MS] (C24325+ として:計算値 400.2250 :実測値 400.2265 比旋光度:[α]20 D=−86.7°(c0.623,
MeOH) 紫外吸収スペクトル:λmax(MeOH,nm)20
5,262,400 赤外部吸収スペクトル:(KBr,cm-1)2945,
2926,1751,1676,1670,1655,
1637,1612,1369,1282,1223,
1134,1119,1088,9621 H−NMRスペクトル:(400MHz,CD3OD,
δ ppm)0.73(3H,s),0.83(3H,
s),0.91(3H,s),0.93−0.97(1
H,m),1.00(1H,dd,J=3.9Hz,1
0.3Hz),1.15−1.23(1H,m),1.
19(3H,s),1.39−1.45(2H,m),
1.49(1H,d,J=8.3Hz),1.52−
1.68(4H,m),1.76−1.82(1H,
m),2.11(3H,s),2.27(1H,dt,
J=13.7Hz,2.9Hz),2.38(1H,d
d,J=8.3Hz,20.0Hz),2.56(1
H,d,J=20.0Hz),4.92(2H,d,J
=2.0Hz),6.56(1H,t,J=2.0H
z)13 C−NMRスペクトル(100MHz,CD3OD,
δ ppm)14.4(q),17.5(t),19.
2(t),19.4(t),20.5(q),22.3
(q),27.5(q),34.1(q),34.1
(s),39.5(s),40.6(t),41.0
(t),42.8(t),49.5(d),56.1
(d),60.5(t),81.1(s),121.1
(s),133.2(d),142.0(s),15
4.9(s),171.9(s),181.9(s),
187.5(s) 溶解性 :クロロホルム、メタノール、ジメチルスルホ
キシド等の有機溶媒に溶け易く、水に溶けにくい。 酸性、中性、塩基性物質の区別:中性 薄層クロマトグラフィー:[メルク社製キーゼルゲル6
0F254] Rf値 0.85[展開溶媒:クロロホルム/メタノー
ル(20:1)] 呈色反応:硫酸反応陽性、リンモリブデン酸反応 陽性BE−40644類の生物学的活性 1.抗腫瘍作用 抗腫瘍性物質類BE−40644類のマウス実験腫瘍細
胞に対する増殖阻止作用を決定するため、in vit
roで試験を行なった。マウス白血病細胞P388に対
する抗腫瘍作用試験は、BE−40644類をジメチル
スルホキシドに溶解した後、牛胎児血清10%含有RP
MI1640培地(20μMの2−メルカプトエタノー
ルを含む)で逐次希釈し、2×103 個の腫瘍細胞を
含む細胞培養培地(牛胎児血清10%含有PRMI16
40培地、20μMの2−メルカプトエタノールを含
む)50μlに対し50μlを加えた。37℃で72時
間、5%CO2下で培養後、MTT測定法により対照群
と比較した。
【0015】マウス大腸癌細胞colon26に対する
抗腫瘍試験は、BE−40644類をジメチルスルホキ
シドに溶解した後、牛胎児血清10%含有RPMI16
40培地で逐次希釈し、1×103個の腫瘍細胞を含む
細胞培養培地(牛胎児血清10%含有PRMI1640
培地)100μlに対し100μlを加えた。37℃で
72時間、5%CO2下で培養後、50% トリクロロ
酢酸で固定し、0.4%スルホローダミンBで染色後、
10mMトリス緩衝液を用いて細胞から色素を抽出し
た。450nmを対照波長として550nmに於ける吸
光度を測定して対照群と比較した。その結果、BE−4
0644類は両癌細胞に対し、強い増殖阻止活性を示
し、50% 増殖阻害濃度(IC50)は第1表の通りで
あった。
【0016】更に、BE−40644類のヒト癌細胞に
対する抗腫瘍活性をin vitroで試験した。細胞
は、ヒト大腸癌細胞DLD−1、ヒト肺癌細胞PC−1
3及びヒト胃癌細胞MKN−45を使用し、細胞培養用
培地は、全ての癌細胞共に牛胎児血清10%含有RPM
I1640培地を用いた。BE−40644類をまずジ
メチルスルホキシドに溶解し、次に牛胎児血清10%含
有RPMI1640培地で逐次希釈して検液とした。癌
細胞増殖阻害の検定は、1×103 個の癌細胞を含む
細胞培養用の培地100μlを96穴マイクロプレート
に分注し、37℃で24時間、5%CO2下で培養した
後、上記検液100μlを加えた。更に、72時間培養
後細胞を50%トリクロロ酢酸で固定し、以下colo
n 26細胞と同様の方法を用い対照群と比較検討し
た。その結果、BE−40644類はヒト腫瘍細胞にお
いても強い増殖阻害活性を示し、その50%増殖阻止濃
度(IC50)は第1表の通りであった。
【0017】
【表1】 上述したようにBE−40644類はマウス及びヒトの
癌細胞に対し顕著な増殖阻止作用を示す。従って、本発
明はヒトをはじめとする哺乳動物の抗腫瘍剤として有用
である。
【0018】2.抗HIV作用 ヒトのT細胞株Molt4にHIVを感染後、その1週
間後にBE40644を各種の濃度で加え、その1日後
(○)及び2日後(●)に培養上清からポリエチレング
リコールを用いてウイルスを沈殿させ、その逆転写酵素
活性を測定しウイルスの残存量を求めた結果を図1示
す。次にBE−40644類の製造法について説明す
る。本発明の抗腫瘍性物質BE−40644類の製造に
使用する微生物又はその変異株は、抗腫瘍性物質BE−
40644を生産するものならばいずれでも良いが、例
えば以下の菌学的性状を有する微生物が挙げられる。 1.形態 A40644株は気菌糸を着生せず、分岐する基生菌糸
に生ずる胞子のう柄の先端に胞子のうを1個ずつ形成す
る。胞子のうの表面は毛髪状で、その形状は瓶状であり
大きさは 4〜6μm×8〜12μm位である。胞子の
うには多数の胞子が内蔵され、成熟した胞子のうを水中
に投じると胞子が放出され、その胞子は遊走性を示す。
胞子の大きさは 0.5〜0.7μm×1.5〜2.0
μm位である。 2.各種寒天平板培地における培養性状(28゜C、1
4日間培養)
【0019】
【表2】 3.生育温度(イースト・麦芽寒天培地、14日間培養) 9゜C:生育せず 22゜C:生育非常に良好 12゜C:生育僅少 26゜C:生育非常に良好 16゜C:生育良好 29゜C:生育非常に良好 18゜C:生育良好 37゜C:生育良好 40゜C:生育せず 4.生理学的諸性質 (1)ゼラチンの液化 陰性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) (2)スターチの加水分解 陽性 (スターチ・無機塩寒天培地) (3)脱脂粉乳の凝固 陰性 (スキムミルク培地) (4)脱脂粉乳のペプトン化 陰性 (スキムミルク培地) (5)メラニン様色素の生成 陰性 (6)食塩耐性 食塩含有量2%以下で生育 (イースト・麦芽寒天培地) 5.炭素源の利用能 プリドハム・ゴドリーブ寒天を基礎培地とし、下記各種
糖を添加して28゜C14日間培養した。
【0020】 D−グルコース + ラフィノース − D−キシロース + D−マンニトール + L−アラビノース + イノシトール − L−ラムノース + サリシン + D−フルクトース + シュクロース + D−ガラクトース + 6.菌体成分 細胞壁からは、meso−ジアミノピメリン酸およびグ
リシンが検出され、細胞壁タイプはII型であると考え
られる。また、分類上特徴ある全菌体糖成分はアラビノ
ースおよびキシロースであり、糖パターンはD−型であ
った。
【0021】以上の菌学的諸性質よりA40644株は
放線菌アクチノプラネス属に属すると考えられる。した
がってA40644株をアクチノプラネス エスピー
A40644(Actinoplanes sp.A4
0644)と称することとした。
【0022】尚、本菌株は通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所に寄託されており、その受託番号はF
ERM P−14196である。
【0023】本発明で使用する抗腫瘍性物質BE−40
644を生産する微生物の変異株は、例えばX線もしく
は紫外線などの照射処理、例えばナイトロジェンマスタ
ード、アザセリン、亜硝酸、2−アミノプリンもしくは
N−メチル−N´−ニトロ−N−ニトロソグアニジン
(NTG)等の変異誘起剤による処理、ファージ接触、
形質転換、形質導入又は接合などの通常用いられる菌種
変換処理方法によりBE−40644生産菌を変異させ
た微生物である。
【0024】本発明のBE−40644類を製造するに
あたり、BE−40644の生産菌株を栄養源含有培地
に接種して好気的に発育させることにより、BE−40
644を含む培養物が得られる。栄養源としては、放線
菌の栄養源として公知のものが使用できる。
【0025】例えば、炭素源としては、市販されている
ブドウ糖、麦芽糖、デンプン、庶糖、糖密又はデキスト
リンなどを単独又は混合物として用いることができる。
【0026】窒素源としては、市販されている大豆粉、
コーンステイープリカー、肉エキス、酵母エキス、乾燥
酵母、綿実粉、ペプトン、小麦胚芽、魚粉、ミートミー
ル、脱脂米ヌカ、脱脂肉骨粉、無機アンモニウム塩又は
硝酸ナトリウムなどを単独又は混合物として用いること
ができる。
【0027】無機塩としては、市販されている炭酸カル
シウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシ
ウム、臭化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム又は各種リン
酸塩などを用いることができる。
【0028】その他必要に応じて、鉄、マンガン、亜
鉛、コバルト、モリブデンなどの重金属塩を微量添加す
ることもできる。
【0029】また、発泡の激しい場合には消泡剤とし
て、例えば大豆油もしくは亜麻仁油などの植物油、オク
タデカノールなどの高級アルコール類又は各種シリコン
化合物などを適宜添加してもよい。
【0030】これらのもの以外でも、該生産菌が利用
し、BE−40644の生産に役立つもの例えば3−
(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸又はホウ酸ナト
リウムなどであれば、いずれも使用することができる。
【0031】培養方法としては、一般の微生物代謝産物
の生産方法と同様に行なえばよく、固体培養でも液体培
養でもよい。液体培養の場合は、静置培養、攪拌培養、
振とう培養又は通気培養などのいずれを実施してもよい
が、特に振盪培養又は深部通気攪拌培養が望ましい。培
養温度は27〜37℃が適当であるが、好ましくは25
〜30℃である。好ましい培地のpHは4〜8の範囲
で、培養時間は72時間〜360時間、好ましくは96
時間〜288時間である。
【0032】培養物から目的とするBE−40644を
採取するには、微生物の生産する代謝物から採取するの
に通常使用される分離手段が適宜利用される。
【0033】BE−40644類は培養濾液中及び菌体
中に存在するので、培養濾液または菌体より通常の分離
手段、例えば溶媒抽出法、イオン交換樹脂法又は吸着も
しくは分配クロマトグラフィー法及びゲル濾過法などを
単独又は組み合わせて行なうことにより精製できる。ま
た高速液体クロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィ
ーなども抽出精製に適宜利用可能である。
【0034】好ましい分離精製の例として次の方法が挙
げられる。まず培養液を濾過し、菌体を得る。得られた
菌体をメタノールまたはアセトンなどの有機溶媒を用い
て抽出する。得られた粗抽出物について、水−酢酸エチ
ル分配を行ない、酢酸エチルを留去後得られる抽出物に
ついてシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/
メタノールで溶出)を行なう。BE−40644を含む
フラクションを減圧下に濃縮し、更にゲル濾過(メタノ
ールで溶出)を行なう。BE−40644を含むフラク
ションを減圧下で濃縮し、残留物を更に逆相カラムクロ
マトグラフィーに供することにより、BE−40644
を黄色粉末として得ることができる。
【0035】式[II]の化合物(BE−40644)
は、有機化学の分野で公知のアルキル化、アルカノイル
化又はベンゾイル化法により、Rが低級アルキル基、低
級アルカノイル基又はベンゾイル基である化合物に容易
に変換することができる。
【0036】例えば塩基の存在下にBE−40644を
アルキル化剤で処理し、対応する低級アルキル誘導体に
容易に導くことができ、塩基存在下に、BE−4064
4を酸無水物又は酸ハロゲン化物で処理して低級アルカ
ノイル又はベンゾイル誘導体を容易に得ることができ
る。
【0037】本発明の化合物BE−40644類は腫瘍
細胞の増殖を阻害し、制癌効果を発揮するが、本発明化
合物を抗腫瘍剤として使用する際の投与形態としては各
種の形態を選択でき、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、
顆粒剤もしくは液剤などの経口剤、又は例えば溶液もし
くは懸濁液などの殺菌した液状の非経口剤が挙げられ
る。
【0038】固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル
剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできる
が、適当な添加物を使用して製造することもできる。そ
のような添加物としては、例えば乳糖もしくはブドウ糖
などの糖類、例えばトウモロコシ、小麦もしくは米など
のデンプン類、例えばステアリン酸などの脂肪酸類、例
えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウムもしくは無水リ
ン酸カルシウムなどの無機塩類、例えばポリビニルピロ
リドンもしくはポリアルキレングリコールなどの合成高
分子類、例えばステアリン酸カルシウムもしくはステア
リン酸マグネシウムなどの脂肪酸塩類、例えばステアリ
ルアルコールもしくはベンジルアルコールなどのアルコ
ール類類、例えばメチルセルルース、カルボキシメチル
セルロース、エチルセルロースもしくはヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースなどの合成セルロース誘導体、又
は水、ゼラチン、タルク、植物油、アラビアゴムなど通
常用いられる添加物が挙げられる。
【0039】これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉
末などの固形製剤は一般的には0.1〜100重量%、
好ましくは5〜100重量%の有効成分を含む。
【0040】液状製剤は、水、アルコール類又は例えば
大豆油、ピーナッツ油もしくはゴマ油などの植物由来の
油など液状製剤において通常用いられる適当な添加剤を
使用し、懸濁液、シロップ剤又は注射剤などの形態とし
て製造される。
【0041】特に、非経口的に筋肉内注射、静脈注射又
は皮下注射で投与する場合の適当な溶剤としては、例え
ば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉注射
用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、静脈
内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム
などの水溶液)もしくは電解質溶液(点滴静注及び静脈
内注射用)など、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0042】これらの注射剤はあらかじめ溶解したもの
のほか、粉末のままあるいは適当な添加剤を加えたもの
を用時溶解する形態もとり得る。これらの注射液は通
常、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の有
効成分を含む。
【0043】経口投与の懸濁剤又はシロップ剤などの液
剤は、0.5〜10重量%の有効成分を含む。
【0044】本発明の化合物の実際に好ましい投与量
は、使用される化合物の種類、配合された組成物の種
類、適用頻度及び治療すべき特定部位、患者の病状及び
腫瘍によって変化することに注意すべきである。例え
ば、1日あたりの成人の投与量は、経口投与の場合、1
0〜500mgであり、非経口投与、好ましくは静脈注
射の場合、1日あたり、10〜100mgである。な
お、投与回数は投与方法及び症状によって異なるが、1
回ないし5回である。
【0045】
【実施例】以下に本発明の化合物の製造実施例を示す
が、本発明はこれらによって何ら限定されるものではな
い。実施例1 斜面軟寒天培地に接種した放線菌A40644株をグル
コース0.2%、デキストリン2%、ミートミール0.
5%、脱脂米ヌカ0.5%、脱脂肉骨粉0.1%、乾燥
酵母0.05%、硫酸マグネシウム0.025%、臭化
ナトリウム0.025%、塩化ナトリウム0.25%、
リン酸水素二カリウム0.05%、硫酸第一鉄0.00
02%、塩化第二銅0.00004%、塩化マンガン
0.00004%、塩化コバルト0.00004%、硫
酸亜鉛0.00008%、ホウ酸ナトリウム0.000
08%及びモリブデン酸ナトリウム0.00024%か
らなる培地(pH7.2)100mLを含む500mL
容の三角フラスコ2本に接種し、28℃で72時間、回
転振盪機(毎分180回転)上で培養した。この培養液
を3mLずつ上記の培地を100mLを含む500mL
容の三角フラスコ50本に接種し28℃で264時間、
回転振盪機(180rpm)上で培養した。
【0046】このようにして得られた培養液(10L)
から濾過により菌体を分離し、この菌体にメタノール4
Lを加え、数時間攪拌後濾過した。残渣に更に3Lのメ
タノールを加え攪拌後、濾過した。この濾液を減圧下で
300mLまで濃縮した後、酢酸エチル300mLを加
え液−液分配を行なった。水層を更に300mLの酢酸
エチルで抽出した。得られた酢酸エチル画分を減圧下に
濃縮し、残渣を200mLの90%メタノール水溶液に
溶解し200mLのn−ヘキサンで2回洗浄した。この
90%メタノール水溶液画分を減圧下に濃縮し730m
gの粗抽出物を得た。この抽出物をシリカゲルカラム
(メルク社製キーゼルゲル60、70−230メッシ
ュ、2.0φ×35cm)に吸着させ、クロロホルム/
メタノール(20:1)で展開した。溶出した活性画分
を更にセファデックスLH−20カラム(ファルマシア
社製、1.5φ×45cm)にかけメタノールで展開
し、BE−40644を含む画分を集め、減圧下に濃縮
して得られたものをODSカラム(資生堂Capcel
lpakTM18 20φ×250 mm)に供した。
移動相としては56%アセトニトリル水溶液を用い、毎
分5mLで送液して分取高速液体クロマトグラフィーを
行なった結果、41.3mgのBE−40644を得
た。実施例2 BE−40644アセテートの製造 室温でBE−40644 6.7mgを無水ピリジン
0.2mLに溶解し、無水酢酸0.2mLを加え室温に
て1時間攪拌した。反応混合物に10mLの水を加え、
10mLの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を10
mLの水で4回洗浄した後減圧下に濃縮し、BE−40
644アセテート 6.3mgを得た。
【0047】以下に本発明の化合物の製剤例を示すが、
本発明の化合物の製剤は本製剤例に限定されるものでは
ない。 製剤例1 本物質(BE−40644) 10(部) 重質酸化マグネシウム 15 乳糖 75 以上を均一に混合して、350μm以下の粉末状又は細
粒状の散剤とする。この散剤をカプセル容器に入れカプ
セル剤とした。 製剤例2 本物質(BE−40644) 45(部) 澱粉 15 乳糖 16 結晶性セルロース 21 ポリビニルアルコール 3 蒸留水 30 以上を均一に混合した後、破砕造粒して乾燥し、次いで
篩別して直径1410〜177μmの大きさの顆粒剤と
した。 製剤例3 製剤例2と同様の方法で顆粒剤を作製した後、この顆粒
剤96部に対してステアリン酸カルシウム3部を加えて
圧縮成形し直径10mmの錠剤を作製した。 製剤例4 製剤例2の方法で得られた顆粒剤90部に対して結晶性
セルロース10部及びステアリン酸カルシウム3部を加
えて圧縮成形し、直径8mmの錠剤とした後、これにシ
ロップゼラチン、沈降性炭酸カルシウム混合懸濁液を加
えて糖衣錠を作製した。 製剤例5 本物質(BE−40644) 0.6(部) 非イオン系界面活性剤 2.4 生理的食塩水 97 以上を加温混合してからアンプルに入れ、滅菌を行なっ
て注射剤を作製した。
【0048】
【発明の効果】本発明に記載するBE−40644類
は、マウス及びヒトの癌細胞に対して強い増殖抑制効果
を示し、またHIVの増殖抑制効果を示すことから、医
薬の分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図はBE−40644で処理されたHIV
感染ヒトT細胞株Molt4の培養上清中のウイルス量
を示す。ヒトT細胞株Molt4にHIVを感染させ、
その1週間後に各種の濃度でBE40644を加え、そ
の1日後(○)及び2日後(●)にポリエチレングリコ
ールを用いて培養上清よりウイルスを沈殿させ、その合
計の逆転写酵素活性を測定しウイルスの残存量として求
めた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 1/20 C12R 1:045) (C12P 17/06 C12R 1:045) (72)発明者 池島 喬 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 鈴木 肇 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 須田 寛之 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 [式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノ
    ル基又はベンゾイル基を示す]で表される化合物。
  2. 【請求項2】アクチノプラネス(Actinoplan
    es)属に属し、式 【化2】 の化合物を産生する能力を有する微生物又はその変異株
    を培養し、その培養液及び菌体から式[II]の化合物
    を採取することを特徴とする、式[II] 【化3】 の化合物の製造法。
  3. 【請求項3】アクチノプラネス(Actinoplan
    es)属に属し、式 【化4】 の化合物を産生する能力を有する微生物又はその変異株
    を培養し、その培養液及びその菌体から式[II]の化
    合物を採取し、必要に応じて式[II]の化合物をアル
    キル化、アルカノイル化又はベンゾイル化することを特
    徴とする、一般式[I] 【化5】 の化合物の製造法。
  4. 【請求項4】微生物又はその変異株が、アクチノプラネ
    ス エスピー(Actinoplanes sp.)で
    ある請求項2記載の製造法。
  5. 【請求項5】一般式 【化6】 [式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノ
    イル基又はベンゾイル基を示す]で表される化合物を有
    効成分とする抗腫瘍剤。
  6. 【請求項6】一般式 【化7】 [式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルカノ
    イル基又はベンゾイル基を示す]で表される化合物を有
    効成分とする抗HIV剤。
  7. 【請求項7】式 【化8】 の化合物を産生する能力を有するアクチノプラネス(A
    ctinoplanes)属に属する微生物又はその変
    異株。
  8. 【請求項8】微生物が、アクチノプラネス エスピー
    A40644(Actinoplanes sp.A4
    0644)である請求項7記載の微生物又はその変異
    株。
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