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JPH07150042A - 樹脂組成物、樹脂硬化物、プリプレグおよび繊維強化プラスチック - Google Patents

樹脂組成物、樹脂硬化物、プリプレグおよび繊維強化プラスチック

Info

Publication number
JPH07150042A
JPH07150042A JP30031193A JP30031193A JPH07150042A JP H07150042 A JPH07150042 A JP H07150042A JP 30031193 A JP30031193 A JP 30031193A JP 30031193 A JP30031193 A JP 30031193A JP H07150042 A JPH07150042 A JP H07150042A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
constituent element
phase
fiber
cured
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30031193A
Other languages
English (en)
Inventor
Hajime Kishi
肇 岸
Junko Tamai
順子 玉井
Nobuyuki Odagiri
信之 小田切
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP30031193A priority Critical patent/JPH07150042A/ja
Publication of JPH07150042A publication Critical patent/JPH07150042A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】次の構成要素[A]、[B]、[C]からなる
ことを特徴とする樹脂組成物。 [A]:エポキシ樹脂、シアネート樹脂およびビスマレ
イミド樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の熱
硬化性樹脂 [B]:芳香族オリゴマとシロキサンオリゴマからなる
ブロック共重合体 [C]:シリコーン微粒子 この組成物と強化繊維からなるプリプレグ。この組成物
を硬化させた樹脂硬化物。この樹脂硬化物と強化繊維か
らなる繊維強化プラスチック。 【効果】タック性、ドレープ性に優れたプリプレグおよ
び高靭性、高弾性率、高耐熱性をかね供えた繊維強化プ
ラスチックを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高靭性、高伸度、高弾
性率、低内部応力性さらには高耐熱性、低吸水性に優れ
た樹脂組成物、樹脂硬化物、およびそれらをマトリック
ス樹脂とするプリプレグならびに繊維強化プラスチック
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂はその優れた力学的特性、
耐薬品性などを生かし、成形、積層、接着剤など各種産
業分野に広く使用されている。特に強化繊維と、マトリ
ックス樹脂を必須の構成要素とする繊維強化複合材料に
はエポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂が多く使われ
ている。しかしながら一方において、熱硬化性樹脂は脆
いという欠点を有しており硬化物の耐衝撃性が悪く破断
伸びが小さいなどの問題点を有している。特に航空機、
自動車等の構造材料に用いる場合、耐衝撃性が悪いこと
は大きな問題である。
【0003】これら熱硬化性樹脂の欠点、特に脆さを改
良するために以下の様々な試みがなされてきた。
【0004】末端官能基を有するゴム状ポリマー(例
えばカルボキシル基末端ブタジエン・アクリロニトリル
ゴム)をエポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂に加える
ことにより靭性が向上する。しかし、弾性率(特に高温
での弾性率)の低下が大きいといった欠点を有する。
【0005】特開平 2-160859 号公報において部分架
橋ブタジエンアクリロニトリルゴム等の微粒子をエポキ
シ樹脂に添加する検討が行われている。しかし、耐熱性
の高いエポキシ樹脂に対する高靭性化効果はいまだ不十
分であり、大きな靭性向上効果を得るためにはゴム粒子
添加量が増え、弾性率低下を招くと考えられる。
【0006】米国特許第 4656208号明細書および特開
昭61-228016 号公報においてエポキシ反応性の官能基を
末端に有するポリスルホンオリゴマーをエポキシ樹脂組
成物に加える検討がなされている。硬化樹脂はミクロ相
分離構造(逆海島構造)をとり、連続相にはポリスルホ
ンが高濃度に存在し、耐熱性が良好で高い靭性を有する
と述べられている。同様の検討は第31回サンペ・シンポ
ジウム(SAMPE SYMPOSIUM )第 580頁 (1986) において
ジェー・イー・マックグラスらが発表している。樹脂靭
性はポリスルホンの分子量の増加や添加量の増加ととも
に大きくなるが、それに伴い系の粘度が上がり作業性が
低下することを欠点としている。また、高粘度樹脂を使
用するゆえに、強化繊維と組合わせたプリプレグのタッ
ク性、ドレープ性が低下する。
【0007】ヨーロッパ公開特許第 0311349号明細書
においてもやはりアミン末端ポリアリルスルホンをエポ
キシ樹脂組成物に加える検討がなされている。ポリアリ
ルスルホンの骨格構造によって均一構造のもの、ポリア
リルスルホン相とエポキシ樹脂相に相分離し両相が連続
構造であるもの、連続相がポリアリルスルホンで島相が
エポキシ相であるものと変化し、ポリアリルスルホン相
とエポキシ樹脂相が両相とも連続構造であるときに最も
靭性が高くなると述べている。樹脂靭性はポリスルホン
の分子量の増加や添加量の増加とともに大きくなるが、
それに伴い系の粘度が上がり作業性が大きく低下すると
考えられる。また、高粘度樹脂を使用するゆえに、強化
繊維と組合わせたプリプレグのタック性、ドレープ性が
低下する。
【0008】特開昭 63-170411号公報において、アミ
ン末端のポリスルホンオリゴマーをエポキシ樹脂組成物
に加え、さらにエポキシと反応性である液状ゴムを添加
した組成物が開示されている。硬化後は、ポリスルホン
を主成分とする連続相のなかにエポキシを主成分とする
分散相があり、さらにそのエポキシ分散相中にゴム相を
含有するミクロ相分離構造を形成し、高靭性樹脂となる
とされている。しかし、この手法は液状ゴムをエポキシ
成分に溶解して用いるがゆえに硬化樹脂の弾性率、耐熱
性を低下させると考えられる。また、より高靭性とする
ために多量のポリスルホンを添加した場合には作業性の
低下が顕著である。また、高粘度樹脂を使用するゆえ
に、強化繊維と組合わせたプリプレグのタック性、ドレ
ープ性が低下する。
【0009】本発明者らも特開平 2-305860 号公報に
おいて、エポキシ樹脂にアミン末端ポリイミド−シロキ
サンブロック共重合体を添加することで、靭性を向上で
きることを開示している。改質剤添加に伴う粘度上昇が
比較的小さいけれども、より高靭性とするために多量の
改質剤を添加した場合には作業性の低下がいまだ顕著で
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように靭性を向
上させようとする従来の手法は、弾性率、耐熱性や作業
性を低下させる等それぞれに欠点を有しており、しかも
靭性向上効果が不十分である。すなわち、樹脂組成物と
しての良好な作業性、硬化物としての高耐熱性、高弾性
率を保ちながら高靭性な硬化樹脂を得ることは、いまも
って重要な課題である。
【0011】本発明はこれらの諸物性を合わせ持つ樹脂
組成物、硬化物さらにはそれをマトリックス樹脂とする
タック性、ドレープ性に優れたプリプレグおよび高靭
性、高耐熱性をかね供えた繊維強化プラスチックを提供
することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の樹脂組成物は次の構成を有する。すなわ
ち、次の構成要素[A]、[B]、[C]からなること
を特徴とする樹脂組成物である。、 [A]:エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミ
ド樹脂から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂 [B]:芳香族オリゴマとシロキサンオリゴマからなる
ブロック共重合体 [C]:シリコーン微粒子 また、本発明の樹脂硬化物は次の構成を有する。すなわ
ち、次の構成要素[E]を主成分とする相、[F]を主
成分とする相、[G]からなる相がそれぞれ分離してお
り、かつ構成要素[G]からなる相が[F]を主成分と
する相の中に含有されることを特徴とする樹脂硬化物で
ある。
【0013】[E]:エポキシ樹脂、シアネート樹脂お
よびビスマレイミド樹脂よりなる群から選択される少な
くとも1種の熱硬化性樹脂 [F]:ケイ素を含有する熱可塑性樹脂 [G]:シリコーン微粒子 本発明のプリプレグは次の構成を有する。すなわち、前
記樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグである。
【0014】また、本発明の繊維強化プラスチックは次
の構成を有する。すなわち、前記樹脂硬化物と強化繊維
からなる繊維強化プラスチックである。
【0015】以下、本発明を構成要素ごとに詳細に説明
する。
【0016】(構成要素[A]の説明)本発明に構成要
素[A]として用いられる要素はエポキシ樹脂、シアネ
ート樹脂、ビスマレイミド樹脂から選択される少なくと
も1種の硬化性樹脂である。
【0017】特に本発明に適した熱硬化性樹脂としてま
ずエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂とは1分子
あたり平均2個以上のエポキシ基を有する樹脂である。
特に、アミン類、フェノール類、炭素炭素二重結合を有
する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましい。具
体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂とし
て、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリ
グリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−
m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾー
ルの各種異性体、フェノール類を前駆体とするエポキシ
樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキ
シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ
ールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポ
キシ樹脂、炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体と
するエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等があ
げられる。また、これらのエポキシ樹脂をブロム化した
ブロム化エポキシ樹脂も用いられるが、本発明はこれら
に限定されない。これらエポキシ樹脂は2種以上の混合
系で用いてもよく、モノエポキシ化合物を含有しても良
い。
【0018】エポキシ樹脂は硬化剤と組合せて好ましく
用いられる。硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を
有する化合物であればこれを用いることができる。好ま
しくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基、水酸基を有
する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミ
ド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ
安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラ
ック樹脂、クレゾールノボラック樹脂が挙げられるがこ
れに限定されない。ジシアンジアミドはプリプレグの保
存性に優れるため好んで用いられる。芳香族ジアミンを
硬化剤として用いると耐熱性良好なエポキシ樹脂硬化物
が得られる。特に、ジアミノジフェニルスルホンの各種
異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明に
は最も適している。アミノ安息香酸エステル類として
は、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエー
トやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエー
トが好んで用いられ、ジアミノジフェニルスルホンに比
較して、耐熱性に劣るものの、引張伸度に優れるため、
用途に応じて選択して用いられる。メチルヘキサヒドロ
無水フタル酸に代表される酸無水物を硬化剤として用い
ると、耐熱性が高い硬化物を与え、低粘度で作業性に優
れたエポキシ樹脂組成物が得られる。フェノールノボラ
ック樹脂あるいはクレゾールノボラック樹脂はこれを硬
化剤として用いると、分子鎖中に耐加水分解性の優れた
エーテル結合が導入され硬化物の耐湿性が向上するため
好ましい。 本発明においては、構成要素[A]として
マレイミド樹脂も好ましい。マレイミド樹脂とは、1分
子あたりマレイミド基を平均2個以上含む化合物であ
り、一般式
【化1】 (但し式中Xはアルキレン基、シクロアルキレン基、単
環もしくは多環式のアリレーン基などの2価の炭化水素
基、または−CH2 −,−CO−,−SO2 −,−O
−,−C(CH3 2 −,−CONH−など2価の原子
団によって結合された2価の炭化水素基)で示されるも
のや、一般式
【化2】 (式中nは1〜4の数)
【化3】 (式中nは1〜4の数)で示される混合ポリアミンと無
水マレイン酸との反応で得られるマレイミド化合物であ
る。
【0019】この種のマレイミド化合物としては例えば
N,N'- フェニレンビスマレイミド、N,N'- ヘキサメチレ
ンビスマレイミド、N,N'- メチレン- ジ- p- フェニレ
ンビスマレイミド、N,N'- オキシ- ジ- p- フェニレン
ビスマレイミド、N,N'-4,4'-ベンゾフェノンビスマレイ
ミド、N,N'- ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N'
-(3,3'- ジメチル)-メチレン- ジ- p- フェニレンビス
マレイミド、N,N'-4,4'-ジシクロヘキシルメタンビスマ
レイミド、N,N'- m( 又はp)-キシリレン- ビスマレイ
ミド、N,N'-(3,3'- ジエチル)-メチレン- ジ- p- フェ
ニレンビスマレイミド、N,N'- メタトリレン- ジ- マレ
イミドやビス(アミノフェノキシ)ベンゼンのビスマレ
イミドを始め、アニリンとホルマリンの反応生成物であ
る混合ポリアミンと無水マレイン酸との反応生成物があ
げられるが、本発明はこれに限定されない。また、これ
らマレイミド化合物は2種以上の混合系で用いてもよ
く、またN-アリルマレイミド、N-プロピルマレイミド、
N-ヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミドなどのモ
ノマレイミド化合物を含有してもよい。
【0020】マレイミド樹脂は硬化剤または反応性希釈
剤と組合せて好ましく用いられる。硬化剤はマレイミド
基と反応し得る活性基を有する化合物であればこれを用
いることができる。好ましくは、アミノ基、アリル基に
代表されるアルケニル基、ベンゾシクロブテン基、アリ
ルナジックイミド基、イソシアネート基、シアネート
基、エポキシ基を有する化合物が適している。例えば、
アミノ基を有する硬化剤としてはジアミノジフェニルメ
タンが代表的であり、アルケニル基を有する硬化剤とし
てはO,O'- ジアリルビスフェノールAやビス(プロペニ
ルフェノキシ)スルホンなどが挙げられる。
【0021】上記のビスマレイミドと次の一般式で表さ
れるシアン酸エステルで構成されるビスマレイミド・ト
リアジン樹脂(BT樹脂)も本発明の熱硬化性樹脂とし
て好適である。
【0022】
【化4】 (但し式中Xはアルキレン基、シクロアルキレン基、単
環もしくは多環式のアリレーン基などの2価の炭化水素
基、または−CH2 −,−CO−,−SO2 −,−O
−,−C(CH3 2 −,−CONH−など2価の原子
団によって結合された2価の炭化水素基) ビスマレイミドとシアン酸エステルの重量比で0/10
0〜70/30の範囲で用いられる。0/100の場合
はシアネート樹脂であるが、本発明にはこれも適してい
る。硬化物の吸水率が低いという特徴を有する。
【0023】また、これら3種の熱硬化性樹脂のそれぞ
れの組合せ、例えばエポキシ樹脂とシアネート樹脂、シ
アネート樹脂とビスマレイミド樹脂といったものも本発
明にとって好適である。
【0024】(構成要素[B]の説明)構成要素[B]
は芳香族オリゴマとシロキサンオリゴマからなるブロッ
ク共重合体である。
【0025】構成要素[B]として用いる芳香族オリゴ
マとシロキサンオリゴマからなるブロック共重合体にお
ける芳香族オリゴマ部分としては、二価の連鎖基によっ
て連結されたフェニレン、ジフェニレンあるいはナフタ
レン基のような二価の芳香族基を含有するものが好まし
い。連鎖基は、例えばオキシ(−O−);スルホニル
(−SO2 −);サルファイド(−S−);オキシアル
キレンあるいはオキシアルキレンオキシ[−OR−ある
いは−ORO−、(Rは好ましくは1〜3個の炭素原子
を有する低級アルキレン)];低級アルキレンあるいは
アルキリデン[−R−あるいは−R(R1 −、(R
およびR1 は独立に低級アルキレン、yは1あるいは2
である)];ケトン(−CO−)等である。また芳香族
オリゴマ部分はイミド骨格[(−CO−)2 N−]、ア
ミド骨格(−NHCO−)を有するものであることが耐
熱性および靭性を兼ね供えるため好ましい。芳香族ポリ
エーテル、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香
族ポリスルホン、芳香族ポリケトン(−CO−)と呼ば
れるものがこれにあたる。この芳香族オリゴマ連鎖部の
全炭素原子の50%以上が芳香族構造のものであること
が好ましいが、芳香族単位は、塩素、低級アルキル、フ
ェニル等のごとき置換基を有していてもよい。
【0026】構成要素[B]として最も好ましい芳香族
オリゴマ中のポリイミド連鎖部は、工業界にて公知のい
ずれの合成法を用いることもできるが、代表的にはテト
ラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物とを反応させる
ことよって合成する。例えば次のジアミンと酸二無水物
の組合わせにより合成される。
【0027】テトラカルボン酸二無水物の好ましい例
は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテ
トラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸
二無水物、より好ましくは、3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’
−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物などの
芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができ
る。
【0028】ジアミノ化合物の好ましい例は、ジアミノ
ジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、パラフェ
ニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミ
ノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルスルフィ
ド、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプ
ロパン、ジアミノジフェニルケトン、ジアミノジフェニ
ルヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルフルオ
レン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミ
ノフェノキシ)ジフェニルスルフォン、ビス(アミノフ
ェノキシ)ジフェニルプロパン、ビス(アミノフェノキ
シ)ジフェニルヘキサフルオロプロパン、フルオレンジ
アミン、ジアミノジフェニルメタンのジメチル置換体、
ジアミノジフェニルメタンのテトラメチル置換体、ジア
ミノジフェニルメタンのジエチル置換体、ジアミノジフ
ェニルメタンのテトラエチル置換体、ジアミノジフェニ
ルメタンのジメチルジエチル置換体などの芳香族ジアミ
ノ化合物、より好ましくは、ビス(アミノフェノキシ)
ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルフ
ォン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、
ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルヘキサフルオロプ
ロパン、ジアミノジフェニルフルオレン、フルオレンジ
アミン、ジアミノジフェニルメタンのジメチル置換体、
ジアミノジフェニルメタンのテトラメチル置換体、ジア
ミノジフェニルメタンのジエチル置換体、ジアミノジフ
ェニルメタンのテトラエチル置換体、ジアミノジフェニ
ルメタンのジメチルジエチル置換体などの芳香族ジアミ
ノ化合物を挙げることができる。
【0029】構成要素[B]はシロキサンオリゴマをブ
ロック共重合成分として有する。
【0030】シロキサンとは次式で表されるものであ
る。
【0031】
【化5】 (但し、式中R2 は2価の有機基、R3 は1価の有機基
であり、R2 、R3 はそれぞれ同種でもよく、異種でも
よい。nは1〜20の整数。) 特に好ましくはジメチルシロキサンであるが、フェニル
シロキサンやその共重合体も好適である。
【0032】したがって、2種の連鎖部からなるブロッ
ク共重合体としての構成要素[B]は、例えば、ポリイ
ミド−シロキサンブロック共重合体、ポリアミド−シロ
キサンブロック共重合体といったものとなる。
【0033】この構成要素[B]は、構成要素[A]と
しての熱硬化性樹脂組成物に溶解しうるように適宜選択
して用いられるものである。
【0034】構成要素[B]の末端に構成要素[A]と
反応しうる官能基を有することは相分離界面の接着性を
高め、靭性向上に寄与し、熱硬化性樹脂本来の耐溶剤性
を維持するため好ましい。好ましい官能基は第一アミ
ン、第二アミン、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボ
キシル基、酸無水物、マレイミド基等である。特に、第
一アミンは反応性に優れており好ましい。
【0035】構成要素[B]の分子量は数平均分子量に
して約2000〜10000の範囲が好ましい。これよ
り分子量が小さい場合、靭性向上効果が小さく、また、
これより分子量が大きければ樹脂粘度の増加が著しく作
業性の低下が顕著である。より好ましくは約3000〜
5000の範囲である。
【0036】構成要素[B]は2種の連鎖部からなるブ
ロック共重合体であるが、それぞれの連鎖長の比率とし
ては芳香族オリゴマ連鎖部がシロキサン連鎖部より高分
子量であることが耐熱性を高めるため好ましい。好まし
い数平均分子量の比率は芳香族オリゴマ連鎖部/シロキ
サン連鎖部=1〜20である。これより小さい場合は耐
熱性の低下が顕著となる可能性があり、これより大きい
場合は靭性向上効果が小さい。さらに好ましくは2〜1
0の範囲である。
【0037】構成要素[B]は150℃以上のガラス転
移温度(Tg)を有することが硬化樹脂の耐熱性維持の
ため好ましい。より好ましいTgの範囲は160〜30
0℃であり、さらに好ましくは170〜250℃の範囲
である。ここでガラス転移温度は、示差走査熱量計(D
SC)にて40℃/min.の昇温速度にて測定したも
のをいう。
【0038】構成要素[B]の量は全樹脂組成物中5〜
30重量%が好ましい。これより少なければ靭性向上効
果が小さく、またこれより多ければ作業性低下の傾向が
ある。より好ましくは7〜25重量%であり、さらに好
ましくは10〜20重量%である。
【0039】(構成要素[C]の説明)構成要素[C]
はシリコーン微粒子である。シリコーンとは、シロキサ
ン結合の繰り返し(−SiO−)を主鎖とする重合体
である。
【0040】構成要素[C]は、構成要素[B]のシロ
キサン連鎖部と類似構造を有するため構成要素[B]と
の親和性が高いため、構成要素[B]と組合せて用いる
時に、靭性向上に適した相分離構造を有する硬化物を与
える。
【0041】構成要素[C]として固形の微粒子を用い
ることは、硬化物の耐熱性、弾性率を維持するため優れ
ている。また、硬化物の相分離形態が硬化条件に依存し
にくく物性が安定する。
【0042】微粒子形態としては、球状および非球状の
両者を用いることができる。球状微粒子を用いる場合
は、樹脂組成物の粘度が非球状の場合と比較して低いた
め、プリプレグや接着剤として利用する際のプロセス性
に優れており好ましい。
【0043】シリコーン微粒子としては、弾性率の大小
によりレジンタイプとゴムタイプが挙げられ、両者とも
高靭性な硬化物を与えるため本発明には好適である。硬
化物の靭性を弾性率維持より重要視する場合は、ゴムタ
イプがより好ましい。
【0044】シリコーンゴム微粒子の市販品としては、
例えば、東レダウコーニングシリコーン(株)製、E−
601、E−602が挙げられる。また、シリコーンレ
ジン微粒子の市販品としては、例えば、東レダウコーニ
ングシリコーン(株)製、R−923、R−925、R
−930等が挙げられる。
【0045】構成要素[C]が構成要素[B]あるいは
[A]と反応しうる官能基を有することは、靭性向上に
寄与し、熱硬化性樹脂本来の耐溶剤性を維持するため好
ましい。特に好ましい官能基はエポキシ基、アミノ基で
ある。
【0046】構成要素[C]を構成要素[B]と併用す
れば、構成要素[B]のみの添加では達成困難であった
樹脂靭性を得ることができる。逆に言えば、同一レベル
の靭性を得るために必要な構成要素[B]の添加量は少
なくできる。したがって樹脂の粘度上昇による作業性の
低下が少ない。それゆえ、この樹脂をマトリックス樹脂
とするプリプレグは、タック性、ドレープ性が優れてい
るという特徴がある。
【0047】構成要素[C]の添加量は全樹脂組成物中
2〜15重量%が好ましい。これより少なければ靭性向
上効果が小さく、またこれより多ければ耐熱性、作業性
低下の傾向がある。より好ましくは3〜10重量%であ
り、さらには4〜8重量%である。
【0048】構成要素[C]の添加量は構成要素[B]
の添加量より少ないほうが、靭性向上、弾性率維持の観
点から好ましい。
【0049】(硬化物の説明)上記の樹脂組成物を硬化
することによって、次の構成要素[E]を主成分とする
相、[F]を主成分とする相、[G]からなる相がそれ
ぞれ分離した構造を有し、かつ構成要素[G]からなる
相が[F]を主成分とする相の中に含有される樹脂硬化
物が得られる。
【0050】[E]:エポキシ樹脂、シアネート樹脂、
ビスマレイミド樹脂から選択される少なくとも1種の熱
硬化性樹脂 [F]:ケイ素を含有する熱可塑性樹脂 [G]:シリコーン微粒子 上記樹脂組成物を硬化すると、構成要素[E]を主成分
とする相と構成要素[F]を主成分とする相にミクロ相
分離するが、この時構成要素[G]からなるシリコーン
微粒子相は、構成要素[F]を主成分とする相の中に局
在化することが好ましい。とりわけ構成要素[G]の全
量のうちの70%以上が構成要素[F]を主成分とする
相のなかに局在化することが靭性向上効果が大きくなり
好ましい。これは構成要素[G]の存在によって構成要
素[F]が本来有する塑性変形能力が有効に引き出され
るためと考えられる。構成要素[G]の素材は、構成要
素[E]よりもむしろ構成要素[F]との親和性が高い
ので、このような相分離構造を形成するのである。
【0051】また、硬化樹脂の相分離形態としては、少
なくとも構成要素[F]を主成分とする相が3次元的に
連続構造を有していることが靭性向上のために好まし
い。より好ましくは構成要素[F]を主成分とする相と
[E]を主成分とする相が共に連続構造を有する相分離
形態である。こうした特徴的な相分離構造は、構造の異
なった2つの連鎖からなるブロック共重合体である構成
要素[B]を添加することによって、硬化条件の変化に
かかわらず安定して得ることができるものである。
[E]を主成分とする相と[F]を主成分とする相から
形成される相分離構造周期は約0.01〜10ミクロンである
ことが靭性向上効果が大きく好ましい。より好ましくは
0.1〜3 ミクロン程度である。
【0052】構成要素[G]は構成要素[F]を主成分
とする相のなかに局在化することが好ましいが、その際
の分散粒子径は約0.01〜110クロンであることが靭性向
上効果が大きく好ましい。より好ましくは 0.1〜3 ミク
ロン程度である。
【0053】樹脂硬化物の相分離構造は常法にて顕微鏡
観察できる。光学顕微鏡にても観察可能であるが、場合
によっては四酸化オスミウム等にて染色し、電子顕微鏡
で観察する方が好ましい。異なる3つの相の存在が明確
であり、少なくとも一つの相が連続構造を形成してお
り、さらに、その連続相中に分散相の存在がわかる。X
線マイクロアナライザー等の分析装置と顕微鏡を併用す
ることにより、構成要素の特定、推測も可能である。こ
うして特定した構成要素[F]を主成分とする相のTg
は150℃以上であることが好ましい。より好ましいT
gの範囲は160〜300℃であり、さらに好ましくは
170〜250℃の範囲である。
【0054】構成要素[G]の、構成要素[E]を主成
分とする相と構成要素[F]を主成分とする相中への分
配の程度は、2000倍程度の倍率の上記顕微鏡写真を
コピーし、それぞれの相中に存在する構成要素[G]に
相当する部分を切り取り重量測定する、あるいはイメー
ジアナライザーにて測定するといった手法により面積を
求めて比較し、これを少なくとも5箇所について測定し
た平均値を用いる。
【0055】本発明は構成要素[A]、[B]、[C]
からなる樹脂組成物と強化繊維よりなるプリプレグを与
える。また、構成要素[E]、[F]および[G]を原
料とする硬化物ならびに強化繊維からなる高靭性、高強
度の繊維強化プラスチックを提供する。
【0056】強化繊維は、一般に先進複合材料として用
いられる耐熱性および引張強度の良好な繊維である。た
とえば、その強化繊維には、炭素繊維、黒鉛繊維、アラ
ミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊
維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維があげら
る。このうち比強度、比弾性率が良好で軽量化に大きな
寄与が認められる炭素繊維や黒鉛繊維が本発明にはより
好ましい。用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛
繊維を用いることが可能であるが、引張強度450kgf/mm
2 、引張伸度 1.7 %以上の高強度高伸度炭素繊維が最も
適している。炭素繊維や黒鉛繊維は他の強化繊維を混合
して用いてもかまわない。また、強化繊維はその形状や
配列を限定されず、たとえば、単一方向、ランダム方
向、シート状、マット状、織物状、組み紐状であっても
使用可能である。また、特に、比強度、比弾性率が高い
ことを要求される用途には強化繊維が単一方向に引き揃
えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なク
ロス(織物)状の配列も本発明には適している。
【0057】上記樹脂をマトリックスとする本発明のプ
リプレグは、樹脂粘度が低いため良好なタック性および
ドレープ性を有するといった特徴を有する。また、プリ
プレグ製造時における樹脂のコーティングや強化繊維ス
トランドへの含浸も容易であるという製造プロセス上の
利点を有する。
【0058】構成要素[E]、[F]、[G]および強
化繊維からなる繊維強化プラスチックはマトリックス樹
脂の高靭性を反映し、優れた靭性、耐衝撃性を有する。
プリプレグを積層し硬化して得た積層板は高い層間剪断
強度、圧縮強度、耐熱性を維持したまま、卓越した引き
剥がしモードでの層間靭性を有し、さらには交差積層板
を引張った際の板端剥離強度(EDS)が著しく高いと
いった特徴を有する。
【0059】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0060】[実施例1] A部:反応性ポリイミド−シロキサンオリゴマの合成 窒素導入口および温度計、撹拌器および脱水トラップを
装着した3000ml容のセパラブルフラスコに窒素置換のも
とで392g(0.91mol) のビス[4-(3-アミノフェノキシ)フ
ェニル] スルホン(BAPS−M)、39g(0.11mol)の9,
9'- ビス(4- アミノフェニル) フルオレン(FDA)、
147g(0.11mol) のNH2 当量650 のアミノ末端ジメチル
シロキサンBY-16-853 (東レ・ダウコーニング・シリコ
ーン(株)製)を2000mlのN-メチル-2- ピロリドン(N
MP)に撹拌溶解した。そこへ固体状のビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物を300g(1.02mol) を少しずつ加
え、室温で3時間撹拌した後、120 ℃に昇温し2時間撹
拌した。フラスコを室温に戻しトリエチルアミン50mlと
トルエン50mlを加えた後、再び昇温し160 ℃で共沸脱水
すると約30mlの水が得られた。この反応混合物を冷却し
た後、倍量のNMPで希釈し、ゆっくりと20l のアセト
ン中に注ぎアミン末端シロキサンポリイミドオリゴマを
固体生成物として沈殿させた。そして、その沈殿物を20
0 ℃で真空乾燥した。
【0061】このオリゴマの数平均分子量(Mn)をジメチ
ルホルムアミド(DMF)溶媒を用いてゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)で測定すると、ポ
リエチレングリコール(PEG)換算で5500であった。
またガラス転移点は示差熱分析計(DSC)によると22
3 ℃であった。また、シロキサン骨格の導入およびアミ
ン末端であることはNMRスペクトルおよびIRスペク
トルから確認できた。
【0062】B部:樹脂調製および樹脂物性測定 ビーカーに上記A部のポリイミドシロキサンブロック共
重合体オリゴマを25部およびフェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート
154)40部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化
シェルエポキシ(株)製、エピコート825)30部、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ工業
(株)製、エピクロン830)30部をはかりとった。そ
れを120 ℃で2時間加熱することによりオリゴマをエポ
キシ樹脂に溶解した。次いで、60℃においてシリコンゴ
ム微粒子(東レダウコーニングシリコーン(株)製、E
−601)を12部添加し、30分間撹拌混合した。さら
に4,4’ジアミノジフェニルスルホン(住友化学工業
(株)製、スミキュアS)を34部加え、140 ℃で10分間
混合し溶解させた。
【0063】その容器に真空ポンプを接続し真空脱泡し
た後、内容物をあらかじめ120 ℃に予熱しておいた離型
処理を施したモールド(空所の寸法は120 ×120 ×3mm
)に注ぎ込んだ。オーブン中で130 ℃2時間+180 ℃
2時間硬化反応させて3mm 厚の樹脂硬化板を調製した。
【0064】得られた硬化樹脂のTgは201℃であっ
た。ここから前記のサンプルを切り出し、破壊歪エネル
ギー解放率GICを測定したところ1090 J/m2 であ
り、曲げ弾性率Eは340 kg/mm2 であった。ここで曲
げ弾性率はASTMD790に従って測定した。また、
ICはASTME399−83によって得られた応力拡
大係数KICとポアッソン比γ、曲げ弾性率EからGIC
IC 2 (1−γ2 )/Eに従って計算した。
【0065】硬化樹脂の研磨面をオスミウム酸染色し走
査型電子顕微鏡で反射電子像を観察すると、2つの相が
ともに連続相を形成するミクロ相分離構造がみられ、さ
らに一方の相に視野中の全シリコンゴム粒子中の78%
が局在化していた。同じ視野をX線マイクロアナライザ
ーによって元素分析したところ、シリコンゴム粒子が局
在化している側の連続相にケイ素元素が濃く分布してお
り、ポリイミドシロキサンブロック共重合体オリゴマが
主成分である相と確認できた。
【0066】C部:プリプレグおよび複合材料の調製と
物性測定 以下の構成よりなる一方向プリプレグを製造した。まず
あらかじめ下記のBからなる樹脂をニーダー中で調製
し、離型紙上に薄く塗布し樹脂フィルムを作成した。こ
こで用いた樹脂の粘度をレオメトリック社製動的粘弾性
測定装置RDA−2にて測定したところ、80℃におい
て650poise であった。
【0067】Aの一方向炭素繊維を樹脂フィルムで上下
から挟み、樹脂を含浸しプリプレグを作製したところ炭
素繊維目付け192g/m2 、樹脂の重量分率36%の
プリプレグとなった。このプリプレグはタック性、ドレ
ープ性ともに優れていた。
【0068】 強化繊維:炭素繊維T800H−12K−40B(東レ(株)製) 熱硬化性樹脂組成物:以下の組成からなる樹脂 フェノールノボラック型エポキシ樹脂 (油化シェルエポキシ(株)製、エピコート154) ・・・・・40重 量部 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (油化シェルエポキシ(株)製、エピコート825) ・・・・・30重 量部 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 (大日本インキ工業(株)製、エピクロン830) ・・・・・30重 量部 A部記載のポリイミドシロキサンブロック共重合体オリゴマ ・・・・・25重 量部 シリコンゴム微粒子 (東レダウコーニングシリコーン(株)製、E−601)・・・・12重 量部 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン (住友化学工業(株)製、スミキュアS) ・・・・・34重 量部 このプリプレグを一方向に20層積層したものについて
コンポジットの層間靭性を測定したところ引き剥がしモ
ードの靭性GICが830J/m2 (ダブルカンチレバー
ビーム法)であった。
【0069】(±25/±25/90)S の構成で10
層に積層し、成形した硬化板を用いて引張り試験を行
い、最初に板端剥離が生じる強度すなわちEDSを求め
たところ65.5ksiであった。
【0070】プリプレグを一方向に24層積層し成形し
た硬化板を用い、実施例1同様の試験片から圧縮層間剪
断強度(CILS)を求めたところ、11.4ksiで
あった。
【0071】プリプレグを一方向に6層積層し成形した
硬化板を用い、2週間温水(72℃)中で吸水後の82
℃での圧縮強度をSACMA SRS1−88に従い求
めたところ、191ksiであった。
【0072】[実施例2] A部:反応性ポリイミド−シロキサンオリゴマの合成 窒素導入口および温度計、撹拌器および脱水トラップを
装着した3000ml容のセパラブルフラスコに窒素置換のも
とで218g(0.75mol) の1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)
ベンゼン(APB)、33g(0.094mol) の9,9'- ビス(4-
アミノフェニル) フルオレン(FDA)、122g(0.094mo
l)のNH2 当量650 のアミノ末端ジメチルシロキサンBY
-16-853 (東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)
製)を2000mlのN-メチル-2- ピロリドン(NMP)に撹
拌溶解した。そこへ固体状のジフェニルスルホンテトラ
カルボン酸二無水物“リカシッドDSDA”(新日本理
化(株)製)を305g(0.85mol) を少しずつ加え、室温で
3時間撹拌した後、120 ℃に昇温し2時間撹拌した。フ
ラスコを室温に戻しトリエチルアミン50mlとトルエン50
mlを加えた後、再び昇温し160 ℃で共沸脱水すると約30
mlの水が得られた。この反応混合物を冷却した後、倍量
のNMPで希釈し、ゆっくりと20l のアセトン中に注ぎ
アミン末端ポリイミドシロキサンブロック共重合体オリ
ゴマを固体生成物として沈殿させた。
【0073】そして、その沈殿物を200 ℃で真空乾燥し
た。このオリゴマの数平均分子量(Mn)をジメチルホルム
アミド(DMF)溶媒を用いてゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)で測定すると、ポリスチレ
ン換算で5100であった。またガラス転移点は示差熱分析
計(DSC)によると189 ℃であった。また、シロキサ
ン骨格の導入およびアミン末端であることはNMRスペ
クトルおよびIRスペクトルから確認できた。
【0074】B部:樹脂調製および樹脂物性測定 ビーカーに上記A部のポリイミドシロキサンブロック共
重合体オリゴマを25部およびフェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂“エピコート154”(油化シェルエポキシ
(株)製)40部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エ
ピコート825”(油化シェルエポキシ(株)製)30
部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂“エピクロン83
0”(大日本インキ工業(株)製)30部をはかりとっ
た。それを120 ℃で2時間加熱することによりオリゴマ
をエポキシ樹脂に溶解した。次いで、60℃においてシリ
コンレジン微粒子R−930(東レ・ダウコーニング・
シリコーン(株)製)を12部添加し、30分間撹拌混合
した。さらに4,4’ジアミノジフェニルスルホン“ス
ミキュアS”(住友化学工業(株)製)を34部加え、14
0 ℃で10分間混合し溶解させた。
【0075】その容器に真空ポンプを接続し真空脱泡し
た後、内容物をあらかじめ120 ℃に予熱しておいた離型
処理を施したモールド(空所の寸法は120 ×120 ×3mm
)に注ぎ込んだ。オーブン中で130 ℃,2時間+180
℃,2時間硬化反応させて3mm厚の樹脂硬化板を調製し
た。
【0076】得られた硬化樹脂のTgは202℃であっ
た。ここから前記のサンプルを切り出し、破壊歪エネル
ギー解放率GICを測定したところ970 J/m2 であり、
曲げ弾性率Eは350 kg/mm2 であった。ここで曲げ弾
性率はASTMD790に従って測定した。また、GIC
はASTME399−83によって得られた応力拡大係
数KICとポアッソン比γ、曲げ弾性率EからGIC=KIC
2 (1−γ2 )/Eに従って計算した。
【0077】硬化樹脂の研磨面をオスミウム酸染色し走
査型電子顕微鏡で反射電子像を観察すると、2つの相が
ともに連続相を形成するミクロ相分離構造がみられ、さ
らに一方の相に視野中の全シリコンゴム粒子中の80%
が局在化していた。同じ視野をX線マイクロアナライザ
ーによって元素分析したところ、シリコンゴム粒子が局
在化している側の連続相にケイ素元素が濃く分布してお
り、ポリイミドシロキサンブロック共重合体オリゴマが
主成分である相と確認できた。
【0078】[比較例1]シリコーン微粒子を除いた他
は実施例1と同じものをマトリックス樹脂として用い、
実施例1と同様の手順を繰り返した。
【0079】得られた硬化樹脂の破壊歪エネルギー解放
率GICを測定したところ370J/m2 であり、実施例
より大幅に劣っていた。曲げ弾性率Eは340 kg/mm2
であった。
【0080】プリプレグを一方向に20層積層したもの
の引き剥がしモードの靭性GICが410J/m2 (ダブ
ルカンチレバービーム法)であり、実施例より劣ってい
た。
【0081】(±25/±25/90)S の構成で10
層に積層し、成形した硬化板を用いて引張り試験を行
い、EDSを求めたところ46.8ksiであり、実施
例より劣っていた。[比較例2]ポリイミドシロキサン
ブロック共重合体オリゴマの添加量を50重量部に増や
し、シリコンゴム粒子を除いた他は実施例1と同じもの
をマトリックス樹脂として用い、実施例1と同様の手順
を繰り返した。樹脂粘度が実施例1に比較して高くな
り、80℃において9600poise であった。
【0082】得られた硬化樹脂の破壊歪エネルギー解放
率GICを測定したところ710J/m2 であった。曲げ
弾性率Eは330 kg/mm2 であった。
【0083】作成したプリプレグには、用いた樹脂の高
粘度を反映し、タックが乏しく、ドレープ性も実施例1
と比較して大幅に劣っていた。
【0084】プリプレグを一方向に20層積層したもの
の引き剥がしモードの靭性GICが570J/m2 (ダブ
ルカンチレバービーム法)であり、実施例より劣ってい
た。
【0085】(±25/±25/90)S の構成で10
層に積層し、成形した硬化板を用いて引張り試験を行
い、EDSを求めたところ53.8ksiであり、実施
例より劣っていた。[比較例3]ポリイミドシロキサン
ブロック共重合体オリゴマを除いた他は実施例1と同じ
ものをマトリックス樹脂として用い、実施例1と同様の
手順を繰り返した。
【0086】得られた硬化樹脂の破壊歪エネルギー解放
率GICを測定したところ150J/m2 であり、実施例
より大幅に劣っていた。曲げ弾性率Eは350 kg/mm2
であった。
【0087】プリプレグを一方向に20層積層したもの
の引き剥がしモードの靭性GICが190J/m2 (ダブ
ルカンチレバービーム法)であり、実施例より大幅に劣
っていた。
【0088】(±25/±25/90)S の構成で10
層に積層し、成形した硬化板を用いて引張り試験を行
い、EDSを求めたところ27.9ksiであり、実施
例より大幅に劣っていた。
【0089】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物はタック性、ドレー
プ性に優れたプリプレグを提供でき、これを硬化すれば
高靭性、高弾性率、高耐熱性をかね供えた繊維強化プラ
スチックを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 79/08 LRC

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の構成要素[A]、[B]、[C]から
    なることを特徴とする樹脂組成物。 [A]:エポキシ樹脂、シアネート樹脂およびビスマレ
    イミド樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の熱
    硬化性樹脂 [B]:芳香族オリゴマとシロキサンオリゴマからなる
    ブロック共重合体 [C]:シリコーン微粒子
  2. 【請求項2】構成要素[A]が芳香族アミン硬化剤を含
    有するエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記
    載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】構成要素[A]がジアリル化合物を含有す
    るマレイミド樹脂であることを特徴とする請求項1記載
    の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】構成要素[B]が構成要素[A]と反応性
    を有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】構成要素[B]の分子量が2000〜10
    000の範囲であることを特徴とする請求項1記載の樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成
    物と強化繊維からなるプリプレグ。
  7. 【請求項7】次の構成要素[E]を主成分とする相、
    [F]を主成分とする相、[G]からなる相がそれぞれ
    分離しており、かつ構成要素[G]からなる相が[F]
    を主成分とする相の中に含有されることを特徴とする樹
    脂硬化物。 [E]:エポキシ樹脂、シアネート樹脂およびビスマレ
    イミド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の
    熱硬化性樹脂 [F]:ケイ素を含有する熱可塑性樹脂 [G]:シリコーン微粒子
  8. 【請求項8】構成要素[G]の全量のうちの70%以上
    が[F]を主成分とする相中に含まれて存在しているこ
    とを特徴とする請求項7記載の樹脂硬化物。
  9. 【請求項9】構成要素[E]を主成分とする相と構成要
    素[F]を主成分とする相がそれぞれ連続構造をなすこ
    とを特徴とする請求項7または8記載の樹脂硬化物。
  10. 【請求項10】請求項7〜9のいずれかに記載の樹脂硬
    化物と強化繊維からなる繊維強化プラスチック。
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