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JPH06240127A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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Publication number
JPH06240127A
JPH06240127A JP11929393A JP11929393A JPH06240127A JP H06240127 A JPH06240127 A JP H06240127A JP 11929393 A JP11929393 A JP 11929393A JP 11929393 A JP11929393 A JP 11929393A JP H06240127 A JPH06240127 A JP H06240127A
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JP
Japan
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weight
group
component
copolymer
parts
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Granted
Application number
JP11929393A
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English (en)
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JP2860856B2 (ja
Inventor
Akihiro Saito
明宏 斎藤
Hiroshi Miyake
浩 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SABIC Innovative Plastics Japan KK
Original Assignee
GE Plastics Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GE Plastics Japan Ltd filed Critical GE Plastics Japan Ltd
Priority to JP11929393A priority Critical patent/JP2860856B2/ja
Publication of JPH06240127A publication Critical patent/JPH06240127A/ja
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Publication of JP2860856B2 publication Critical patent/JP2860856B2/ja
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】薄く成形されても著しく優れた難燃性を有する
ポリカーボネート系樹脂組成物を提供する。 【構成】(A)(A-1) ポリカーボネートおよび/または
脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネート
1〜100 重量部および(A-2) SAN樹脂 99〜0重量
部を含み、かつ(A)100 重量部に対し、(B)ABS
系樹脂0.5 〜40重量部および(C)ポリオルガノシロキ
サン/ポリアルキル(メタ)アクリレート複合ゴムにビ
ニル単量体がグラフトした共重合体0.5 〜40重量部を含
み、さらに(A)〜(C)100 重量部に対し(D)リン
酸エステル系化合物 1〜30重量部を含む難燃性樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート系樹
脂を含む難燃化された樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
カーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性等に優れること
から種々の用途に用いられているが、成形加工温度が高
く、流動性が悪いこと、衝撃強度の厚み依存性が大きい
等の欠点を有している。
【0003】そこで、ポリカーボネート(PC)樹脂に
ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン)系
樹脂をブレンドし、これらの問題点を解決しようとする
試みがなされている(特公昭38-15225号公報、特公昭48
-12170号公報、特公昭57-21530号公報、特公昭58-46269
号公報等)。
【0004】ところでPC/ABSアロイは、成形加工
性、耐衝撃性に優れるが、難燃性が不足しているため、
難燃性向上のために種々の試みが成されている(特公昭
54-30417公報、特開昭61-62556号公報)。
【0005】しかしながら、近年機器のコストダウンや
軽量化の要請に伴い、薄肉化指向が強まりつつある。材
料においても、薄肉化を達成するため、例えばポリカー
ボネートの分子量を低くしたり、ABSやSANの比率
を高めて流動性の改良を行う試みがなされている。しか
し、このような改良法ではUL94燃焼試験で滴下物
(ドリップ)を生じやすくなり、良好な難燃性が得られ
ない。そこで、他の物性をなるべく損なわず、難燃性を
より改善する方法が強く望まれている。そしてそのよう
な薄肉化指向から、厚さの薄いハウジング用途におい
て、薄肉の(例えば3mm以下)、UL94の5V試験
(5VB)に合格するような優れた難燃性を有する芳香
族ポリカーボネート系の樹脂組成物が望まれている。
【0006】そこで本発明は、UL94のV試験あるい
は5V試験に代表される難燃性試験において優れた難燃
性を有するポリカーボネート系の樹脂組成物を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、難燃剤と
共に特定の2種類のゴムを組合せてポリカーボネート系
樹脂に添加すると、それぞれを単独で用いたときには予
測できなかった程飛躍的に難燃性を改善できることを見
出し、本発明に至った。
【0008】本発明の難燃性樹脂組成物は、 (A)(A-1) ポリカーボネート系樹脂および/または、
次式(化3):
【0009】
【化3】 および次式(化4):
【0010】
【化4】 (上記式中、RおよびR′はそれぞれ独立して、ハロゲ
ン原子、一価の炭化水素基または炭化水素オキシ基であ
り、Wは二価の炭化水素基、−S−、−S−S−、−O
−、−S(=O)−、−(O=)S(=O)−、または
−C(=O)−であり、nおよびn′はそれぞれ独立し
て0〜4の整数であり、Xは炭素数6〜18を有する二
価の脂肪族基であり、bは0または1である)で示され
る構造単位を有するところのコポリエステルカーボネー
ト系樹脂1〜100 重量部、ならびに(A-2) (a) 芳香族ビ
ニル単量体成分および(b) シアン化ビニル単量体成分
を、共重合体の構成成分として含む共重合体99〜0重量
部を含み、かつ、(A)100重量部に対して、 (B)(a) 芳香族ビニル単量体成分、(b) シアン化ビニ
ル単量体成分および(c)ゴム質重合体を、共重合体の構
成成分として含む共重合体0.5 〜40重量部ならびに (C)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メ
タ)アクリレートを含む複合ゴムにビニル系単量体がグ
ラフトしてなる複合ゴム系グラフト共重合体0.5〜40重
量部を含み、さらに(A)〜(C)の合計100重量部
に対して、 (D)リン酸エステル系化合物1〜30重量部を含むこ
とを特徴とする。
【0011】本発明においては、成分(A)に、2種の
ゴム成分すなわち(B)と(C)および難燃剤(D)を
組合せたところに特徴があり、(B)〜(D)のいずれ
か1つでも欠けると、良好な難燃性は得られない。
【0012】本発明においては、成分(A)の(A-1)
は、ポリカーボネートおよび/またはコポリエステルカ
ーボネートである。本発明において使用されるポリカー
ボネートは、公知のホスゲン法または溶融法により作ら
れた芳香族ポリカーボネートである(例えば特開昭63-2
15763 号公報および特開平2-124934号公報参照)。
【0013】また、本発明で使用するコポリエステルカ
ーボネートは、上記式(化3)および(化4)で示され
る構成単位を有することが必要である。まず、(化3)
で示される構成単位はジフェノール成分およびカーボネ
ート成分よりなる。ジフェノール成分を導入するために
使用できるジフェノールを次式(化5)に示す。
【0014】
【化5】 上記式中、R、R′、W、n、n′およびbは、先に示
したのと同義である。RおよびR′について、まずハロ
ゲン原子としては、例えば塩素原子または臭素原子等が
挙げられる。一価の炭化水素基としては、炭素数1〜1
2を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、デシル基等;炭素数4〜8を有するシクロア
ルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基
等;炭素数6〜12を有するアリール基、例えばフェニ
ル基、ナフチル基、ビフェニル基等;炭素数7〜14を
有するアラルキル基、例えばベンジル基、シンナミル基
等;または炭素数7〜14を有するアルカリール基、例
えば、トリル基、クメニル基等が挙げられ、好ましくは
アルキル基である。また炭化水素オキシ基の炭化水素基
は前記した炭化水素基を挙げることができる。そのよう
な炭化水素オキシ基としては、アルコキシ基、シクロア
ルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ
基またはアルカリールオキシ基であり、アルコキシ基お
よびアリールオキシ基が好ましい。
【0015】また、Wが二価の炭化水素基の場合には、
炭素数1〜30を有するアルキレン基、例えばメチレン
基、エチレン基、トリメチレン基、オクタメチレン基
等、炭素数2〜30を有するアルキリデン基、例えばエ
チリデン基、プロピリデン基等、または、炭素数6〜1
6を有するシクロアルキレン基、例えばシクロヘキシレ
ン基、シクロドデシレン基等もしくはシクロアルキリデ
ン基、例えばシクロヘキシリデン基等である。
【0016】本発明において有効なジフェノールとして
は、例えば2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
(いわゆるビスフェノールA);2,2-ビス(3,5-ジブロ
モ-4- ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2-ビス(3,5-
ジメチル-4- ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1-ビス
(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1-ビス
(3,5-ジメチル-4- ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン;1,4-ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1-ビス(4-ヒ
ドロキシフェニル)シクロドデカン;1,1-ビス(3,5-ジ
メチル-4- ヒドロキシフェニル)シクロドデカン;4,4-
ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4-チオジフェノー
ル;4,4-ジヒドロキシ-3,3- ジクロロジフェニルエーテ
ル;および4,4-ジヒドロキシ-2,5- ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル等が挙げられ、その他に米国特許明細書第
2,999,835 号、第3,028,365 号、第3,334,154 号および
第4,131,575 号に記載されているジフェノールが使用で
きる。
【0017】またカーボネート成分を導入するための前
駆物質としては、例えばホスゲン、ジフェニルカーボネ
ート等が挙げられる。
【0018】次に、(化4)で示される構成単位は、ジ
フェノール成分および二価酸成分からなる。ジフェノー
ル成分の導入については、上記したのと同様のジフェノ
ールを使用できる。二価酸成分を導入するために使用す
るモノマーとしては、二価の酸またはその等価物質であ
る。二価の酸としては例えば炭素数8〜20、好ましく
は10〜12の脂肪族二酸である。この二価の酸または
その等価物質は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであっ
ても良い。脂肪族二酸は、α、ω‐ジカルボン酸が好ま
しい。そのような二価の酸としては例えば、セバシン酸
(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オ
クタデカン二酸、アイコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジ
カルボン酸が好ましく、セバシン酸およびドデカン二酸
が特に好ましい。また、等価物質としては、上記した二
価の酸の、例えば酸クロリドのような酸ハライド、例え
ばジフェニルエステルのようなジ芳香族エステル等が挙
げられる。ただし、エステルのエステル部分の炭素数
は、上記した酸の炭素数には含めない。上記した二価の
酸またはその等価物質は、単独でも良く、また2種以上
の組合せであっても良い。
【0019】(A-1) で使用するコポリエステルカーボネ
ートは、流動性およびポリカーボネートと同等の機械的
強度、耐熱性等の優れた物性を維持するためには、(化
3)、(化4)で示される上記した2種の構成単位を次
の割合で有しているのが好ましい。すなわち、(化4)
で示される構成単位の量が、好ましくは(化3)および
(化4)の合計量の2〜30モル%、より好ましくは5
〜25モル%、さらに好ましくは7〜20モル%であ
る。
【0020】コポリエステルカーボネートの重量平均分
子量は、通常10,000〜100,000 、好ましくは18,000〜4
0,000である。ここでいう重量平均分子量とは、ポリカ
ーボネート用に補正されたポリスチレンを用いて、GP
C(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定された
ものである。
【0021】上記のコポリエステルカーボネートは、公
知のポリカーボネートの製造方法、例えばホスゲンを用
いる界面重合法、溶融重合法等によって製造できる。例
えば、クイン(Quinn)の米国特許第4,238,596 号明細書
ならびにクインおよびマルケジッヒ(Markezich)の米国
特許第4,238,597 号明細書に記載された方法で製造する
ことができる。具体的には、まず、エステル形成基とジ
フェノールとの反応に先立ち酸ハライドを形成し、次い
でホスゲンと反応させる。なお、ゴールドベルグ(Goldb
erg)の塩基性溶液法(米国特許第3,169,121 号明細書)
では、ピリジン溶媒が使用でき、またジカルボン酸が用
いられる。α、ω‐ジカルボン酸(例えばセバシン酸)
のジエステル、(例えばジフェニルエステル)を使用す
る溶融重合法もまた使用できる。好ましい製造方法は、
米国特許第4,286,083 号明細書のコカノウスキー(Kocha
nowski) の改良法である。この方法では、アジピン酸の
ような低級の二酸をあらかじめ塩の形(好ましくはナト
リウム塩のようなアルカリ金属塩)にしておき、ジフェ
ノールが存在する反応容器に添加する。ホスゲンとの反
応中、水相をアルカリ性のpH、好ましくは約pH8〜
9に保持し、次いでホスゲンとの反応の残り最小限約5
%のところで、pH10〜11に上げる。
【0022】界面重合法、例えばビスクロロフォーメー
ト法による場合には、ポリカーボネートやコポリエステ
ルカーボネートの合成において良く知られている一般的
な触媒系を使用するのが好ましい。主な触媒系として
は、第3級アミン、アミジンまたはグアニジンのような
アミン類が挙げられる。第3級アミンが一般的に使用さ
れ、その中でもトリエチルアミンのようなトリアルキル
アミンが特に好ましい。
【0023】また、(A-1) のコポリエステルカーボネー
トは、その末端がフェノールであっても十分な耐衝撃強
度を有するが、p-t-ブチルフェノール、イソノニルフェ
ノール、イソオクチルフェノール、m-またはp-クミルフ
ェノール(好ましくはp-クミルフェノール)、クロマニ
ル化合物、例えばクロマンのような、よりかさ高い末端
基を導入すると、より低温衝撃性が優れたコポリエステ
ルカーボネートを得ることができる。
【0024】(A-1) がポリカーボネートおよびコポリエ
ステルカーボネートの両方を含む場合には、両者の配合
比率は任意である。
【0025】また、(A-1) は、塩化メチレン中、25℃で
測定した固有粘度が、0.32〜0.65 dl/g である
ものが好ましい。
【0026】次に、成分(A)は任意的に、(A-2) (a)
芳香族ビニル単量体成分および(b)シアン化ビニル単量
体成分を含む共重合体を含有することができる。樹脂組
成物の難燃性向上のためには(A-2) 成分は必須ではない
が、(A-2) 成分を含有すると、成形性(流動性)が改善
されるので好ましい。
【0027】(a) 芳香族ビニル単量体成分としては、例
えばスチレン、α‐メチルスチレン、o-,m- もしくはp-
メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレ
ン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモ
スチレン、フルオロスチレン、p-tert- ブチルスチレ
ン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げること
ができ、これらを1種または2種以上使用する。好まし
くはスチレン、α‐メチルスチレンである。
【0028】(b) シアン化ビニル単量体成分としては、
例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げ
ることができ、これらを1種または2種以上使用する。
これらの組成比は特に制限されず、用途に応じて選択さ
れる。
【0029】(a)/(b) の組成比は特に限定されないが、
(A-2) 成分中において好ましくは(a) が95〜50重量
%、(b) が5〜50重量%であり、さらに好ましくは
(a) が92〜65重量%、(b) が8〜35重量%であ
る。
【0030】(A-2) の共重合体の好ましい例としては、
例えばSAN樹脂(スチレン‐アクリロニトリル共重合
体)が挙げられる。
【0031】(A-2) の共重合体の製造法に関しては特に
制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁
重合、乳化重合など通常公知の方法が用いられる。ま
た、別々に共重合した樹脂をブレンドすることによって
得ることも可能である。
【0032】成分(A)における(A-1) および(A-2) の
配合比率は、(A-1) 1〜100重量部に対して(A-2) を
99〜0重量部、好ましくは(A-1) 10〜99重量部に
対して(A-2) を90〜1重量部である。
【0033】次に成分(B)について述べる。(B)は
(a) 芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量
体成分および(c) ゴム質重合体を含む共重合体である。
(a)芳香族ビニル単量体成分および(b) シアン化ビニル
単量体成分については、前記した成分(A)の(A-2) に
おいて示したものが挙げられる。(c) ゴム質重合体とし
ては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン‐ブ
タジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、
該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル‐
ブタジエン共重合体、ブタジエン‐イソプレン共重合体
などのジエン系ゴム、エチレン‐プロピレンのランダム
共重合体およびブロック共重合体、エチレン‐ブテンの
ランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンと
α‐オレフィンとの共重合体、エチレン‐メタクリレー
ト、エチレン‐ブチルアクリレートなどのエチレン‐不
飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エス
テル‐ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート
‐ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エ
チレン‐酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの
共重合体、エチレン‐プロピレン‐エチリデンノルボル
ネン共重合体、エチレン‐プロピレン‐ヘキサジエン共
重合体などのエチレン‐プロピレン非共役ジエンターポ
リマー、ブチレン‐イソプレン共重合体、塩素化ポリエ
チレンなどが挙げられ、これらを1種または2種以上で
使用する。好ましいゴム質重合体としてはエチレン‐プ
ロピレンゴム、エチレン‐プロピレン非共役ジエンター
ポリマー、ジエン系ゴムおよびアクリル系弾性重合体で
あり、特に好ましくはポリブタジエンおよびスチレン‐
ブタジエン共重合体であり、このスチレン‐ブタジエン
共重合体中のスチレン含有率は50重量%以下であること
が好ましい。
【0034】成分(B)において、各成分(a),(b) およ
び(c) の組成比は特に制限はなく、用途に応じて各成分
が配合される。
【0035】成分(B)には、上記の成分(a),(b) およ
び(c) の他に、(d) これらの成分と共重合可能な単量体
を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができ
る。そのような共重合可能な単量体としては、アクリル
酸、メタクリル酸等のα,β‐不飽和カルボン酸、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2-エチル(メタ)アクリレート、2-エチル
ヘキシルメタクリレート等のα,β‐不飽和カルボン酸
エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,
β‐不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N-メチ
ルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイ
ミド、N-o-クロロフェニルマレイミド等のα,β‐不飽
和ジカルボン酸のイミド化合物類;等を挙げることがで
き、これらの単量体は1種または2種以上で使用され
る。
【0036】成分(B)の共重合体としては、(c) ゴム
質重合体の存在下にその他の成分がグラフト共重合した
グラフト共重合体等が好ましく、さらに好ましくはAB
S樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重
合体)、AES樹脂(アクリロニトリル‐エチレン‐プ
ロピレン‐スチレン共重合体)、ACS樹脂(アクリロ
ニトリル‐塩素化ポリエチレン‐スチレン共重合体)、
AAS樹脂(アクリロニトリル‐アクリル系弾性重合体
‐スチレン共重合体)である。
【0037】成分(B)の共重合体の製造法について
は、上記の(A)の(A-2) の共重合体と同様の方法が使
用できる。
【0038】上記の成分(B)は、成分(A)100 重量
部に対して0.5 〜40重量部、好ましくは0.5 〜30重量部
添加する。成分(B)の量が上記の範囲より少ないと、
本発明の効果が発揮されず、上記の範囲より多いと剛性
が低下する。
【0039】次に、本発明で使用する成分(C)は、ポ
リオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)
アクリレートゴム成分とが交互に絡み合って複合一体化
されている構造を有する複合ゴムに、1種または2種以
上のビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム
系グラフト共重合体である。
【0040】このような複合ゴム系グラフト共重合体の
製造は、例えば特開昭64-79257号公報明細書等に記載さ
れた方法を用いることができる。
【0041】このような複合ゴムは、乳化重合法によっ
て製造するのが適している。まずポリオルガノシロキサ
ンゴムのラテックスを調製し、次にアルキル(メタ)ア
クリレートゴムの合成用単量体をポリオルガノシロキサ
ンゴムラテックスのゴム粒子に含浸させてから、アルキ
ル(メタ)アクリレートゴムの合成用単量体を重合させ
るのが好ましい。
【0042】ポリオルガノシロキサンゴム成分は、例え
ば以下に示すオルガノシロキサンおよび架橋剤(I)を
用いて乳化重合により調製することができ、その際、さ
らにグラフト交叉剤(I)を併用することができる。
【0043】オルガノシロキサンとしては、例えば、ジ
メチルシロキサン等の鎖状オルガノシロキサンが挙げら
れる。また、3員環以上、好ましくは3〜6員環の各種
の環状オルガノシロキサンを用いることもできる。例え
ばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシ
クロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキ
サン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチ
ルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテ
トラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニル
シクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらのオル
ガノシロキサンを単独でまたは2種以上混合して用いる
ことができる。これらの使用量は、好ましくはポリオル
ガノシロキサンゴム成分中50重量%以上、さらに好ま
しくは70重量%以上である。
【0044】架橋剤(I)としては、3官能性または4
官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシ
ラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n- プロポキシシ
ラン、テトラブトキシシラン等を用いることができる。
特に4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエ
トキシシランが特に好ましい。架橋剤は単独で用いても
よく、また2種以上併用してもよい。架橋剤の使用量は
ポリオルガノシロキサンゴム成分中0.1〜30重量%
が好ましい。
【0045】グラフト交叉剤(I)としては、次式: CH2 =C(R2 )−COO−(CH2 p −SiR1 n (3-n)/2 (I−1) CH2 =CH−SiR1 n (3-n)/2 (I−2) または HS−(CH2 p −SiR1 n (3-n)/2 (I−3) (上記式中、R1 は低級アルキル基、例えばメチル基、
エチル基、プロピル基等またはフェニル基を表し、R2
は水素原子またはメチル基を表し、nは0、1または2
を表し、pは1〜6の整数を表す)で示される単位を形
成し得る化合物が用いられる。上記式(I−1)の単位
を形成し得る(メタ)アクリロイルオキシシロキサンは
グラフト効率が高いため、有効なグラフト鎖を形成する
ことが可能であり、高い耐衝撃性を発現するという点で
有利である。なお、式(I−1)の単位を形成し得るも
のとしてメタクリロイルオキシシロキサンが特に好まし
い。メタクリロイルオキシシロキサンの具体例として
は、β‐メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチル
シラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピルメトキシジ
メチルシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピルジメ
トキシメチルシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロ
ピルエトキシジエチルシラン、γ‐メタクリロイルオキ
シプロピルジエトキシメチルシラン、δ‐メタクリロイ
ルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、また2種以上併用し
てもよい。グラフト交叉剤の使用量は、好ましくはポリ
オルガノシロキサンゴム成分中0〜10重量%である。
【0046】このポリオルガノシロキサンゴム成分のラ
テックスの製造は、例えば米国特許第2891920 号明細
書、同第3294725 号明細書等に記載された方法を用いる
ことができる。本発明の実施では、例えばオルガノシロ
キサンと架橋剤(I)および所望によりグラフト交叉剤
(I)の混合溶液とを、アルキルベンゼンスルホン酸、
アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下
で、例えばホモジナイザー等を用いて水と剪断混合する
方法により製造することが好ましい。アルキルベンゼン
スルホン酸はオルガノシロキサンの乳化剤として作用す
ると同時に重合開始剤ともなるので好適である。この
際、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩、アルキルス
ルホン酸の金属塩等を併用すると、グラフト重合を行う
際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ま
しい。
【0047】次に、上記複合ゴムを構成するポリアルキ
ル(メタ)アクリレートゴム成分は、以下に示すアルキ
ル(メタ)アクリレート、架橋剤(II)およびグラフト
交叉剤(II)を用いて合成することができる。
【0048】アルキル(メタ)アクリレートとしては、
例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プ
ロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチル
ヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよび
ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレ
ート、n-ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリ
レートが挙げられ、特にn-ブチルアクリレートの使用が
好ましい。
【0049】架橋剤(II)としては、例えばエチレング
リコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメ
タクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレー
ト、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げ
られる。
【0050】グラフト交叉剤(II)としては、例えばアリ
ルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレ
ートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤
およびグラフト交叉剤は単独で用いてもよく、また2種
以上併用しても良い。これら架橋剤およびグラフト交叉
剤の合計の使用量は、好ましくはポリアルキル(メタ)
アクリレートゴム成分中0.1〜20重量%である。
【0051】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
分の重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和され
たポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックス中へ上
記アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフ
ト交叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサンゴム粒子へ
含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて
行う。重合の進行と共にポリオルガノシロキサンゴムの
架橋網目に相互に絡んだポリアルキル(メタ)アクリレ
ートゴムの架橋網目が形成され、実質上分離できない、
ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム成分との複合ゴムのラテックスが
得られる。なお、本発明の実施に際しては、この複合ゴ
ムとしてポリオルガノシロキサンゴム成分の主骨格がジ
メチルシロキサンの繰り返し単位を有し、ポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分の主骨格がn-ブチルアク
リレートの繰り返し単位を有する複合ゴムが好ましく用
いられる。
【0052】この様にして乳化重合により調製された複
合ゴムは、ビニル系単量体とグラフト共重合可能であ
る。この複合ゴムをトルエンにより90℃で12時間抽
出して測定したゲル含量は80重量%以上であると好ま
しい。
【0053】また難燃性、耐衝撃性、外観等のバランス
を満足させるためには、上記の複合ゴムにおけるポリオ
ルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アク
リレートゴム成分の割合は、前者が3〜90重量%に対
して後者が97〜10重量%であるのが好ましく、ま
た、複合ゴムの平均粒子径は0.08〜0.6μmであ
るのが好ましい。
【0054】上記の複合ゴムにグラフト重合させるビニ
ル系単量体としては、スチレン、α‐メチルスチレン、
ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメ
タクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等のメ
タクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアク
リレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステ
ル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル化合物等の各種ビニル系単量体が挙げられ、こ
れらを単独でまたは2種以上組合せて用いることができ
る。特に好ましいビニル系単量体はメチルメタクリレー
トである。ビニル系単量体は、上記した複合ゴム30〜
95重量%に対して5〜70重量%の割合で含まれると
好ましい。
【0055】複合ゴム系グラフト共重合体(C)は、上
記ビニル系単量体を上記の複合ゴムのラテックスに加
え、ラジカル重合技術によって一段または多段で重合さ
せて得られる複合ゴム系グラフト共重合体ラテックス
を、塩化カルシウムまたは硫酸マグネシウム等の金属塩
を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することにより
分離、回収することができる。
【0056】このような複合ゴム系グラフト共重合体
(C)は、例えば三菱レイヨン株式会社より、メタブレ
ンS−2001として商業的に入手可能である。
【0057】成分(C)は、成分(A)100 重量部に対
して0.5 〜40重量部、好ましくは0.5 〜 30 重量部使用
する。上記の範囲より少ないと、本発明の効果が発揮さ
れず、上記の範囲より多いと剛性が低下する。
【0058】本発明で使用する成分(D)リン酸エステ
ル系化合物としては、次式(化6)
【0059】:
【化6】 (ここで、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独
立して、水素原子または有機基を表すが、R1 =R2
3 =R4 =Hの場合を除く。X′は2価以上の有機基
を表し、pは0または1であり、qは1以上、例えば30
以下の整数、rは0以上の整数を表す。)で示されるリ
ン酸エステル系化合物が挙げられる。しかし、これ等に
限定されるものではない。
【0060】上記式において、有機基とはたとえば、置
換されていてもいなくてもよいアルキル基、シクロアル
キル基、アリール基等が挙げられる。また、置換されて
いる場合、置換基としては例えばアルキル基、アルコキ
シ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、アリー
ルオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化アリール基等
が挙げられ、またこれ等の置換基を組合せた基(例えば
アリールアルコキシアルキル基等)またはこれ等の置換
基を酸素原子、イオウ原子、窒素原子等により結合して
組合せた基(例えば、アリールスルホニルアリール基
等)を置換基として用いてもよい。また、2価以上の有
機基とは上記した有機基から、炭素原子に結合している
水素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味
する。例えばアルキレン基、および好ましくは(置換)
フェニレン基、多核フェノール類例えばビスフェノール
類から誘導されるものが挙げられ、2以上の遊離原子価
の相対的位置は任意である。特に好ましいものとして、
ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタ
ン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシジフ
ェニル、 p,p′- ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジ
ヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
【0061】具体的なリン酸エステル系化合物の例とし
ては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェー
ト、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェ
ニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、
ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(クロロ
エチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホ
スフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、
ビス(2,3-ジブロモプロピル)-2,3- ジクロロプロピル
ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフ
ェートおよびビス(クロロプロピル)モノオクチルホス
フェート、R1 〜R4 がアルコキシ例えばメトキシ、エ
トキシおよびプロポキシ、または好ましくは(置換)フ
ェノキシ例えばフェノキシ、メチル(置換)フェノキシ
であるところのビスフェノールAビスホスフェート、ヒ
ドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェ
ート、トリオキシベンゼントリホスフェート等のポリホ
スフェートが挙げられ、好ましくはトリフェニルホスフ
ェートおよび各種ポリホスフェートである。
【0062】上記の成分(D)は、成分(A)〜(C)
の合計100 重量部に対して1〜30重量部、好ましくは
3〜20重量部添加する。成分(D)の量が上記の範囲
より少ないと本発明の効果が十分発揮されず、上記の範
囲より多いと耐熱性が損なわれる。
【0063】本発明の樹脂組成物にはさらに、滴下防止
剤を含むことができる。そのような滴下防止剤として使
用することができるフッ素化ポリオレフィンは、商業的
にも入手できるし、あるいは公知の方法によって製造す
ることもできる。それは、たとえば、遊離基触媒(たと
えばペルオキシ二硫酸ナトリウム、カリウムまたはアン
モニウム)を使用しながら水性媒質中において 100〜10
00psi の圧力および0〜 200℃好ましくは20〜 100℃の
温度下でテトラフルオロエチレンを重合させることによ
って得られる白色の固体である。詳しくは、ブルベーカ
ー(Brubaker)の米国特許第 2,393,967号明細書を参照
されたい。不可欠ではないが、比較的大きな粒子たとえ
ば平均粒度 0.3〜 0.7mm(主として 0.5mm)の粒子の状
態にある樹脂を使用することが好ましい。これは0.05〜
0.5mmの粒度を有する通常のポリテトラフルオロエチレ
ン粉末よりも良好である。かかる比較的大きな粒度の物
質が特に好ましい理由は、それが重合体中に容易に分散
しかつ重合体同志を結合して繊維状材料を作る傾向を示
すことにある。かかる好適なポリテトラフルオロエチレ
ンはASTMによればタイプ3と呼ばれるもので、実際には
デュポン社(E.I.Dupont de Nemours and Company )か
らテフロン6(Teflon 6)として商業的に入手し得る。
あるいは、三井デュポンフロロケミカル社のテフロン30
Jとして商業的に入手し得る。フッ素化ポリオレフィン
は、成分(A)100 重量部に対して、好ましくは0.01〜
2重量部、より好ましくは0.05〜1.0 重量部使用する。
【0064】本発明の樹脂組成物には、上記の成分の他
に、その物性を損なわない限りにおいて、その目的に応
じて樹脂の混合時、成形時に、慣用の他の添加剤、例え
ば顔料、染料、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維など)、
充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸化チタンな
ど)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、滑剤、離型
剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電防止剤等を
添加することができる。
【0065】本発明の樹脂組成物を製造するための方法
に特に制限はなく、通常の方法が満足に使用できる。し
かしながら一般に溶融混合法が望ましい。少量の溶剤の
使用も可能であるが、一般に必要ない。装置としては特
に押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等
を例として挙げることができ、これらを回分的または連
続的に運転する。成分の混合順は特に限定されない。
【0066】
【実施例】以下の実施例により、本発明をさらに詳しく
説明する。なお、実施例においては以下の成分を使用し
た。成分(A-1) PC(1):ビスフェノールAのポリカーボネート(商
標;レキサン、日本ジーイープラスチックス株式会社
製)、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度0.5
6dl/g PC(2):ビスフェノールAのポリカーボネート(商
標;レキサン、日本ジーイープラスチックス株式会社
製)、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度0.5
0dl/g PC(3):ビスフェノールAのポリカーボネート(商
標;レキサン、日本ジーイープラスチックス株式会社
製)、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度0.4
4dl/g CPEC:以下のようにして製造したコポリエステルカ
ーボネート;ドデカン二酸(DDDA)7.2g(31
ミリモル)およびNaOH錠剤2.7g(68ミリモ
ル)を水180mlに溶解し、DDDAのジナトリウム
塩を製造した。次に、底部に試料取出し口を備え、上部
に5つの口を持つ2000mlのモルトンフラスコに、
撹拌羽根、pH測定端、注入管およびドライアイスコン
デンサー付きのクライゼンアダプターを装着した。この
重合フラスコに、ビスフェノールA71g(311ミリ
モル)、トリエチルアミン0.9ml、p-クミルフェノ
ール2.0g(9ミリモル)、メチレンクロリド220
mlおよび先に製造したDDDAのジナトリウム塩を仕
込んだ。引き続いて、このフラスコに、ホスゲンを2g
/分の速度で注入した。このとき、50%NaOH水溶液
を注入管より追加しながら、溶液をpH8に10分間維
持した。その後、さらにホスゲンの注入を続けながら、
50%NaOH水溶液を注入管より追加して溶液のpHを
10.5とし、10分間このpHに維持した。使用した
ホスゲンの量は全部で40g(400ミリモル)であっ
た。反応終了後、溶液のpHを11〜11.5に調整し
て、有機溶媒相を水相から分離した。有機溶媒相を2%
の塩酸300mlで3回、次いでイオン交換水300m
lで5回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、
濾過した。これをメタノール1500ml中に投入して
重合物を沈殿させた。得られた重合物を濾過により分離
し、メタノール500mlで1回、次いでイオン交換水
500mlで4回洗浄した後、110℃で15時間乾燥
した。かくして次式(化7)および(化8)の構造単位
を、90:10のモル比で有するコポリエステルカーボ
ネートを得た。この固有粘度(塩化メチレン中25℃で
測定)は0.45 dl/g であった。以下ではこれをCP
ECと略記する。
【0067】
【化7】
【0068】
【化8】 成分(A-2) SAN樹脂:商標SR 30B(ウベサイコン株式会社製)成分(B) ABS樹脂:商標UX 050(ウベサイコン株式会社製)成分(C) メタブレン S−2001:商標、メチルメタクリレー
ト‐ブチルアクリレート‐ジメチルシロキサンコポリマ
ー、三菱レイヨン株式会社製成分(D) CR733S:商標、フェニルレゾルシンポリホスフェート、
大八化学株式会社製任意成分 テフロン30J :商標、ポリテトラフルオロエチレン、三
井デュポンフロロケミカル社製実施例1〜7および比較例1〜6 各成分を表1に示す割合(重量比)で混合し、240 ℃、
150rpm に設定した2軸押出機(30mm)で押出し、ペレ
ットを作成した。次いで、このペレットを、設定温度25
0 ℃、金型温度60℃で射出成形した。得られた成形品に
ついてアイゾット衝撃強度およびメルトインデックス
(MI)を測定し、難燃性の評価を行った。結果を表1
に示す。
【0069】なお、樹脂組成物の評価試験は、以下のよ
うにして行った。 (1) アイゾット衝撃強度(Kg-cm/cm) ASTM D 256に従って、厚み 1/8 インチ、ノッチ付で2
3℃にて測定した。 (2) メルトインデックス(MI) ASTM D 1238 に従って、温度260℃、5kg荷重の条件
で測定した。 (3) 難燃性試験UL94/V0,VI,VII試験 5個の試験棒をアンダーライターズラボラトリーズイン
コーポレーションのブレチン94”材料分類のための燃
焼試験”(以下、UL−94という)に示される試験方
法にしたがって、厚み1/16インチで試験した。この試験
方法により、供試材料を、5個の試料の結果に基づいて
UL−94 V−0、V−IおよびV−IIのいずれか
の等級に評価した。UL−94についての各Vの等級の
基準は概略次の通りである。 V−0:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が5
秒以下であり、かつ全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎
を落下しない。 V−I:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が25
秒以下であり、かつ全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎
を落下しない。 V−II:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が
25秒以下であり、かつこれらの試料が脱脂綿に着火する
微粒炎を落下する。
【0070】また、UL−94は全試験棒が特定のV等
級に合格しなければ、その等級に分類してはならない旨
を規定している。この条件を満たさない場合には、その
5個の試験棒は最も成績の悪い1個の試験棒の等級を与
えられる。例えば1個の試験棒がV−IIに分類された
場合には、5個の全試験棒に対する等級はV−IIであ
る。UL94/5V(5VB)試験(5インチフラムテス
ト) A法(バー試験)により、試験片をバーナに5回あて
て、(1) 燃焼時間とグローイングの時間、(2) 試験片の
燃えた距離、(3) 滴下物(ドリップ)の有無、(4)変形
と物理的強度の観察を行った。なお、試験片の厚みは
2.5mmであった。5VB合格判定基準:どの試験片
も試験炎を5回あてた後の燃焼時間および、またはグロ
ーイングは60秒を超えない。かつどの試験片も滴下物
がない。
【0071】
【表1】 実施例8および比較例7〜8 各成分を表2に示す割合(重量比)で混合し、240 ℃、
150rpm に設定した2軸押出機(30mm)で押出し、ペレ
ットを作成した。次いで、このペレットを、設定温度25
0 ℃、金型温度60℃で射出成形した。得られた成形品に
ついて、実施例1と同様にして、アイゾット衝撃強度お
よびメルトインデックス(MI)を測定し、かつ難燃性
の評価を行った。結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】本発明により、薄く成形されても難燃性
が著しく優れたポリカーボネート系樹脂組成物を提供す
ることができる。本発明の樹脂組成物は特に、滴下物抑
制効果が高い。よって、本発明の樹脂組成物は、工業的
に非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 55/02 LMF 7308−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(A-1) ポリカーボネート系樹脂お
    よび/または、次式(化1): 【化1】 および次式(化2): 【化2】 (上記式中、RおよびR′はそれぞれ独立して、ハロゲ
    ン原子、一価の炭化水素基または炭化水素オキシ基であ
    り、Wは二価の炭化水素基、−S−、−S−S−、−O
    −、−S(=O)−、−(O=)S(=O)−、または
    −C(=O)−であり、nおよびn′はそれぞれ独立し
    て0〜4の整数であり、Xは炭素数6〜18を有する二
    価の脂肪族基であり、bは0または1である)で示され
    る構造単位を有するところのコポリエステルカーボネー
    ト系樹脂1〜100 重量部、ならびに(A-2) (a) 芳香族ビ
    ニル単量体成分および(b) シアン化ビニル単量体成分
    を、共重合体の構成成分として含む共重合体99〜0重量
    部を含み、かつ、(A)100重量部に対して、 (B)(a) 芳香族ビニル単量体成分、(b) シアン化ビニ
    ル単量体成分および(c)ゴム質重合体を、共重合体の構
    成成分として含む共重合体0.5 〜40重量部ならびに (C)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メ
    タ)アクリレートを含む複合ゴムにビニル系単量体がグ
    ラフトしてなる複合ゴム系グラフト共重合体0.5〜40重
    量部を含み、さらに(A)〜(C)の合計100重量部
    に対して、 (D)リン酸エステル系化合物1〜30重量部を含む難
    燃性樹脂組成物。
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