JPH06191220A - 偏平空気入りタイヤ - Google Patents
偏平空気入りタイヤInfo
- Publication number
- JPH06191220A JPH06191220A JP43A JP35685192A JPH06191220A JP H06191220 A JPH06191220 A JP H06191220A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 35685192 A JP35685192 A JP 35685192A JP H06191220 A JPH06191220 A JP H06191220A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tire
- tread
- annular rubber
- layer
- hardness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Tires In General (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 通常走行時の諸性能を低下させることなく
ワンダリング性能を向上させる。 【構成】 タイヤ10によって轍を乗り越えるとき、比
較的硬度の低い(剛性の低い)環状ゴム部35が潰れるた
め、ショルダー部15は轍に追従変形して容易にその上に
乗り上げ、ワンダリング性能が向上する。また、直進時
の諸性能はタイヤ10の接地面33内に位置するゴム等によ
って決定されるが、環状ゴム部35はこの接地面33より軸
方向外側に配置されているため、殆ど影響を与えない。
ワンダリング性能を向上させる。 【構成】 タイヤ10によって轍を乗り越えるとき、比
較的硬度の低い(剛性の低い)環状ゴム部35が潰れるた
め、ショルダー部15は轍に追従変形して容易にその上に
乗り上げ、ワンダリング性能が向上する。また、直進時
の諸性能はタイヤ10の接地面33内に位置するゴム等によ
って決定されるが、環状ゴム部35はこの接地面33より軸
方向外側に配置されているため、殆ど影響を与えない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、偏平率が0.55以下で
ある偏平空気入りタイヤに関する。
ある偏平空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速道路等の道路交通網の整備に
伴って、駆動、制動性能が良好でかつ操縦安定性にも優
れた高性能の偏平空気入りタイヤが用いられるようにな
ってきた。ここで、このような偏平タイヤは、タイヤ赤
道面に対して実質上直交する多数本のコードが埋設され
た1枚以上のカーカスプライからなるトロイダル状のカ
ーカス層と、カーカス層の半径方向外側に配置され、タ
イヤ赤道面に対して所定角度で傾斜している多数本のコ
ードがそれぞれ埋設された2枚以上のベルトプライから
なるベルト層と、該ベルト層の少なくとも軸方向両外側
部を半径方向外側から覆うよう配置され、内部にタイヤ
赤道面に実質上平行に延びる有機繊維コードが埋設され
た1枚以上の補強プライからなる補強層と、前記カーカ
ス層、ベルト層および補強層の外側に配置されたトレッ
ドとを備えたものであり、タイヤの断面高さをタイヤの
断面幅で除した値(偏平率)が小さなタイヤである。
伴って、駆動、制動性能が良好でかつ操縦安定性にも優
れた高性能の偏平空気入りタイヤが用いられるようにな
ってきた。ここで、このような偏平タイヤは、タイヤ赤
道面に対して実質上直交する多数本のコードが埋設され
た1枚以上のカーカスプライからなるトロイダル状のカ
ーカス層と、カーカス層の半径方向外側に配置され、タ
イヤ赤道面に対して所定角度で傾斜している多数本のコ
ードがそれぞれ埋設された2枚以上のベルトプライから
なるベルト層と、該ベルト層の少なくとも軸方向両外側
部を半径方向外側から覆うよう配置され、内部にタイヤ
赤道面に実質上平行に延びる有機繊維コードが埋設され
た1枚以上の補強プライからなる補強層と、前記カーカ
ス層、ベルト層および補強層の外側に配置されたトレッ
ドとを備えたものであり、タイヤの断面高さをタイヤの
断面幅で除した値(偏平率)が小さなタイヤである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな偏平空気入りタイヤは、タイヤの断面幅に比較して
タイヤの断面高さが小さく、即ち負荷によって変形する
サイドウォール部の半径方向長さが比較的短く、しか
も、トレッド全体(トップトレッド、サイドトレッド)
が比較的硬度の高い(剛性の高い)ゴムから構成されて
いるため、ショルダー部、サイドウォール部はあまり変
形することができず、この結果、該タイヤによって轍を
乗り越えようとすると、タイヤ形状はあまり変化しない
ため、該タイヤは轍によって大きな力で押し返され、こ
れにより、ハンドルが取られてワンダリング性能が低く
なるという問題点がある。そして、このようなワンダリ
ング性能の低下は、特に偏平率が0.55以下となったと
き、縦方向、横方向剛性が明白に大きくなることから顕
著となる。
うな偏平空気入りタイヤは、タイヤの断面幅に比較して
タイヤの断面高さが小さく、即ち負荷によって変形する
サイドウォール部の半径方向長さが比較的短く、しか
も、トレッド全体(トップトレッド、サイドトレッド)
が比較的硬度の高い(剛性の高い)ゴムから構成されて
いるため、ショルダー部、サイドウォール部はあまり変
形することができず、この結果、該タイヤによって轍を
乗り越えようとすると、タイヤ形状はあまり変化しない
ため、該タイヤは轍によって大きな力で押し返され、こ
れにより、ハンドルが取られてワンダリング性能が低く
なるという問題点がある。そして、このようなワンダリ
ング性能の低下は、特に偏平率が0.55以下となったと
き、縦方向、横方向剛性が明白に大きくなることから顕
著となる。
【0004】この発明は、通常走行時の諸性能を低下さ
せることなくワンダリング性能を向上させることができ
る偏平空気入りタイヤを提供することを目的とする。
せることなくワンダリング性能を向上させることができ
る偏平空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的は、タイ
ヤ赤道面に対して実質上直交する多数本のコードが埋設
された1枚以上のカーカスプライからなるトロイダル状
のカーカス層と、カーカス層の半径方向外側に配置さ
れ、タイヤ赤道面に対して所定角度で傾斜している多数
本のコードがそれぞれ埋設された2枚以上のベルトプラ
イからなるベルト層と、該ベルト層の少なくとも軸方向
両外側部を半径方向外側から覆うよう配置され、内部に
タイヤ赤道面に実質上平行に延びる有機繊維コードが埋
設された1枚以上の補強プライからなる補強層と、前記
カーカス層、ベルト層および補強層の外側に配置された
トレッドとを備え、偏平率が0.55以下である偏平空気入
りタイヤにおいて、該偏平空気入りタイヤの接地面の軸
方向両外側端より軸方向外側のショルダー部におけるト
レッド内に周方向に連続して延びJIS硬度が55度から
62度までの範囲内のゴムからなる環状ゴム部を配置する
ことにより達成することができる。
ヤ赤道面に対して実質上直交する多数本のコードが埋設
された1枚以上のカーカスプライからなるトロイダル状
のカーカス層と、カーカス層の半径方向外側に配置さ
れ、タイヤ赤道面に対して所定角度で傾斜している多数
本のコードがそれぞれ埋設された2枚以上のベルトプラ
イからなるベルト層と、該ベルト層の少なくとも軸方向
両外側部を半径方向外側から覆うよう配置され、内部に
タイヤ赤道面に実質上平行に延びる有機繊維コードが埋
設された1枚以上の補強プライからなる補強層と、前記
カーカス層、ベルト層および補強層の外側に配置された
トレッドとを備え、偏平率が0.55以下である偏平空気入
りタイヤにおいて、該偏平空気入りタイヤの接地面の軸
方向両外側端より軸方向外側のショルダー部におけるト
レッド内に周方向に連続して延びJIS硬度が55度から
62度までの範囲内のゴムからなる環状ゴム部を配置する
ことにより達成することができる。
【0006】
【作用】今、この発明のタイヤが轍を乗り越えようとし
て、轍のエッジにそのショルダー部が乗り掛かったとす
る。このとき、該タイヤのショルダー部におけるトレッ
ド内に配置された周方向に連続して延びる環状ゴム部
は、JIS硬度が55度から62度までの比較的硬度の低い
(剛性の低い)ゴムから構成されているため、環状ゴム
部の潰れ変形によって該ショルダー部は轍のエッジ形状
に追従して変形し、これにより、タイヤのショルダー部
は轍のエッジ上に容易に乗り上げるのである。この結
果、轍を乗り越える際、轍がタイヤを押し返す力は小さ
なものとなって轍の乗り越えが容易となりワンダリング
性能が向上する。ここで、タイヤの通常走行時における
諸性能は該タイヤの接地面内に位置するゴム、プライ等
の種類によって決定されるため、タイヤの接地面の軸方
向両外側端より軸方向外側のショルダー部に配置されて
いる環状ゴム部は、前記諸性能に殆ど影響を与えない。
て、轍のエッジにそのショルダー部が乗り掛かったとす
る。このとき、該タイヤのショルダー部におけるトレッ
ド内に配置された周方向に連続して延びる環状ゴム部
は、JIS硬度が55度から62度までの比較的硬度の低い
(剛性の低い)ゴムから構成されているため、環状ゴム
部の潰れ変形によって該ショルダー部は轍のエッジ形状
に追従して変形し、これにより、タイヤのショルダー部
は轍のエッジ上に容易に乗り上げるのである。この結
果、轍を乗り越える際、轍がタイヤを押し返す力は小さ
なものとなって轍の乗り越えが容易となりワンダリング
性能が向上する。ここで、タイヤの通常走行時における
諸性能は該タイヤの接地面内に位置するゴム、プライ等
の種類によって決定されるため、タイヤの接地面の軸方
向両外側端より軸方向外側のショルダー部に配置されて
いる環状ゴム部は、前記諸性能に殆ど影響を与えない。
【0007】
【実施例】以下、この発明の第1実施例を図面に基づい
て説明する。図1において、10は偏平空気入りタイヤで
あり、このタイヤ10はビード11がそれぞれ埋設された一
対のビード部12と、これらビード部12から略半径方向外
側に向かって延びる一対のサイドウォール部13と、これ
らサイドウォール部13の半径方向外端同士を連ねる略円
筒状のトレッド部14とを有し、これらサイドウォール部
13とトレッド部14との境界にショルダー部15が設けられ
る。また、このタイヤ10の各部は一方のビード部12から
他方のビード部12まで延びるトロイダル状をしたカーカ
ス層16によって補強され、このカーカス層16はその幅方
向両端部が前記ビード11の回りに軸方向内側から軸方向
外側に折り返されている。そして、このカーカス層16は
1枚以上(ここでは2枚)のカーカスプライ17から構成
され、各カーカスプライ17の内部には子午線方向(ラジ
アル方向)に延びる多数本の有機繊維、スチール等から
なるコードが埋設されている。前記カーカス層16の半径
方向外側のトレッド部14にはベルト層20が配置され、こ
のベルト層20は2枚以上(ここでは2枚)のベルトプラ
イ21を積層することにより構成されている。各ベルトプ
ライ21内には互いに平行な多数本のスチール、アラミド
繊維等からなるコードが埋設され、これらのコードはタ
イヤ赤道面Eに対して比較的小さな所定角度で傾斜して
いる。そして、これらコードのタイヤ赤道面Eに対する
傾斜方向はベルトプライ21間で逆であり、この結果、こ
れらコードはベルトプライ21間において交差している。
このベルト層20の半径方向外側のトレッド部14には該ベ
ルト層20のほぼ全幅を半径方向外側から覆う第1補強層
24が配置され、この第1補強層24は1枚以上(ここでは
2枚)の第1補強プライ25から構成されている。そし
て、各第1補強プライ25内にはタイヤ赤道面Eに実質上
平行に延びる有機繊維、例えばナイロンからなるコード
が埋設されている。また、26はベルト層20および前記第
1補強層24の半径方向外側に配置された一対の第2補強
層であり、これらの第2補強層26は前記ベルト層20、第
1補強層24の軸方向両端部を半径方向外側から覆ってい
る。各第2補強層26は1枚以上(ここでは1枚)の第2
補強プライ27から構成され、この第2補強プライ27内に
はタイヤ赤道面Eに実質上平行に延びる有機繊維、例え
ばナイロンからなるコードが埋設されている。前述した
第1、第2補強層24、26は全体として、ベルト層20の少
なくとも軸方向両外側部を半径方向外側から覆うよう配
置された補強層28を構成する。前記カーカス層16、ベル
ト層20および補強層28の外側にはゴムからなるトレッド
30が配置され、このトレッド30はサイドウォール部13に
位置するサイドトレッド31と、トレッド部14に位置する
トップトレッド32とから構成されている。そして、前記
タイヤ10は高速走行時にも良好な駆動、制動性能および
操縦安定性を発揮できるよう偏平率(タイヤ10の断面高
さをタイヤの断面幅で除した値)が小さな値、即ち0.55
以下となされている。
て説明する。図1において、10は偏平空気入りタイヤで
あり、このタイヤ10はビード11がそれぞれ埋設された一
対のビード部12と、これらビード部12から略半径方向外
側に向かって延びる一対のサイドウォール部13と、これ
らサイドウォール部13の半径方向外端同士を連ねる略円
筒状のトレッド部14とを有し、これらサイドウォール部
13とトレッド部14との境界にショルダー部15が設けられ
る。また、このタイヤ10の各部は一方のビード部12から
他方のビード部12まで延びるトロイダル状をしたカーカ
ス層16によって補強され、このカーカス層16はその幅方
向両端部が前記ビード11の回りに軸方向内側から軸方向
外側に折り返されている。そして、このカーカス層16は
1枚以上(ここでは2枚)のカーカスプライ17から構成
され、各カーカスプライ17の内部には子午線方向(ラジ
アル方向)に延びる多数本の有機繊維、スチール等から
なるコードが埋設されている。前記カーカス層16の半径
方向外側のトレッド部14にはベルト層20が配置され、こ
のベルト層20は2枚以上(ここでは2枚)のベルトプラ
イ21を積層することにより構成されている。各ベルトプ
ライ21内には互いに平行な多数本のスチール、アラミド
繊維等からなるコードが埋設され、これらのコードはタ
イヤ赤道面Eに対して比較的小さな所定角度で傾斜して
いる。そして、これらコードのタイヤ赤道面Eに対する
傾斜方向はベルトプライ21間で逆であり、この結果、こ
れらコードはベルトプライ21間において交差している。
このベルト層20の半径方向外側のトレッド部14には該ベ
ルト層20のほぼ全幅を半径方向外側から覆う第1補強層
24が配置され、この第1補強層24は1枚以上(ここでは
2枚)の第1補強プライ25から構成されている。そし
て、各第1補強プライ25内にはタイヤ赤道面Eに実質上
平行に延びる有機繊維、例えばナイロンからなるコード
が埋設されている。また、26はベルト層20および前記第
1補強層24の半径方向外側に配置された一対の第2補強
層であり、これらの第2補強層26は前記ベルト層20、第
1補強層24の軸方向両端部を半径方向外側から覆ってい
る。各第2補強層26は1枚以上(ここでは1枚)の第2
補強プライ27から構成され、この第2補強プライ27内に
はタイヤ赤道面Eに実質上平行に延びる有機繊維、例え
ばナイロンからなるコードが埋設されている。前述した
第1、第2補強層24、26は全体として、ベルト層20の少
なくとも軸方向両外側部を半径方向外側から覆うよう配
置された補強層28を構成する。前記カーカス層16、ベル
ト層20および補強層28の外側にはゴムからなるトレッド
30が配置され、このトレッド30はサイドウォール部13に
位置するサイドトレッド31と、トレッド部14に位置する
トップトレッド32とから構成されている。そして、前記
タイヤ10は高速走行時にも良好な駆動、制動性能および
操縦安定性を発揮できるよう偏平率(タイヤ10の断面高
さをタイヤの断面幅で除した値)が小さな値、即ち0.55
以下となされている。
【0008】そして、このようなタイヤ10に正規内圧を
充填するとともに正規荷重を負荷した状態で路面を走行
すると、トップトレッド32は接地面33において路面と接
触する。ここで、この接地面33の軸方向両外側端34より
軸方向外側のショルダー部15に位置するトレッド30内、
この実施例では補強層28とサイドトレッド31との間のト
ップトレッド32内には周方向に連続して延びる環状ゴム
部35が配置され、これら環状ゴム部35は摩耗防止の観点
からトップトレッド32内に埋設、即ち半径方向外側がト
ップトレッド32によって覆われている。そして、これら
環状ゴム部35はJIS硬度が55度から62度までの範囲内
の通常ゴムから構成されており、その硬度はトップトレ
ッド32の硬度(通常64度程度)より低い。このため、該
タイヤ10によって轍を乗り越えようとしたときには、前
記ショルダー部15に配置された比較的硬度の低い(剛性
の低い)環状ゴム部35が潰れるため、タイヤ10のショル
ダー部15は轍のエッジ形状に追従して変形し、これによ
り、ショルダー部15の轍のエッジ上への乗り上げが容易
となるのである。この結果、轍を乗り越える際、轍がタ
イヤ10を押し返す力は小さなものとなってワンダリング
性能が向上するのである。ここで、環状ゴム部35のJI
S硬度は前述のように55度から62度までの範囲内でなけ
ればならない。その理由は、環状ゴム部35の硬度を55度
以上とするという点に関しては、55度未満であると、以
下の操縦安定性の試験結果に示すようにタイヤ10の横剛
性が大きく低下して操縦安定性が低下するからである。
この試験では、環状ゴム部の設けられていない第1試験
タイヤと、設けられた環状ゴム部のJIS硬度を52度と
した第2試験タイヤと、同55度とした第3試験タイヤ
と、同58度とした第4試験タイヤと、同62度とした第5
試験タイヤと、同65度とした第6試験タイヤとを準備し
(各タイヤのサイズは245/35 ZR17)、各タイヤに正
規内圧(2.5kgf/cm2)を充填した後、3000ccクラスの乗
用車に装着してワインディング路を走行し、その操縦安
定性をドライバーのフィーリングに基づき10点法で評価
した。その結果は、第1、2、3、4、5、6試験タイ
ヤにおいて、それぞれ7、5、7、7、7、7点であっ
た。また、環状ゴム部35の硬度を62度以下とするという
点に関しては、62度を超えると、以下のワンダーリング
性能の試験結果に示すように、タイヤ10のワンダーリン
グ性能が殆ど向上しないからである。この試験において
も前述した第1、2、3、4、5、6試験タイヤを3000
ccクラスの乗用車に装着した後、轍を有する走行路を走
行し、そのワンダーリング性能をドライバーのフィーリ
ングに基づき10点法で評価した。その結果は、第1、
2、3、4、5、6試験タイヤにおいて、それぞれ5、
7、7、7、7、5点であった。そして、前述のように
硬度の小さな環状ゴム部35をショルダー部15に配置すれ
ば、タイヤ10の通常走行時における諸性能、例えば直進
性能等が低下するとも考えられるが、このような諸性能
はタイヤ10の接地面33内に位置するゴム、プライ等の種
類によって決定されるため、前述のように環状ゴム部35
をタイヤ10の接地面33の軸方向両外側端34より軸方向外
側のショルダー部15に配置していれば、前記諸性能は殆
ど影響を受けないのである。なお、前記環状ゴム部35の
トレッド30に対する体積割合は、 6%から13%の範囲が
操縦安定性を損なうことなくワンダーリング性能を向上
させる観点から好ましい。
充填するとともに正規荷重を負荷した状態で路面を走行
すると、トップトレッド32は接地面33において路面と接
触する。ここで、この接地面33の軸方向両外側端34より
軸方向外側のショルダー部15に位置するトレッド30内、
この実施例では補強層28とサイドトレッド31との間のト
ップトレッド32内には周方向に連続して延びる環状ゴム
部35が配置され、これら環状ゴム部35は摩耗防止の観点
からトップトレッド32内に埋設、即ち半径方向外側がト
ップトレッド32によって覆われている。そして、これら
環状ゴム部35はJIS硬度が55度から62度までの範囲内
の通常ゴムから構成されており、その硬度はトップトレ
ッド32の硬度(通常64度程度)より低い。このため、該
タイヤ10によって轍を乗り越えようとしたときには、前
記ショルダー部15に配置された比較的硬度の低い(剛性
の低い)環状ゴム部35が潰れるため、タイヤ10のショル
ダー部15は轍のエッジ形状に追従して変形し、これによ
り、ショルダー部15の轍のエッジ上への乗り上げが容易
となるのである。この結果、轍を乗り越える際、轍がタ
イヤ10を押し返す力は小さなものとなってワンダリング
性能が向上するのである。ここで、環状ゴム部35のJI
S硬度は前述のように55度から62度までの範囲内でなけ
ればならない。その理由は、環状ゴム部35の硬度を55度
以上とするという点に関しては、55度未満であると、以
下の操縦安定性の試験結果に示すようにタイヤ10の横剛
性が大きく低下して操縦安定性が低下するからである。
この試験では、環状ゴム部の設けられていない第1試験
タイヤと、設けられた環状ゴム部のJIS硬度を52度と
した第2試験タイヤと、同55度とした第3試験タイヤ
と、同58度とした第4試験タイヤと、同62度とした第5
試験タイヤと、同65度とした第6試験タイヤとを準備し
(各タイヤのサイズは245/35 ZR17)、各タイヤに正
規内圧(2.5kgf/cm2)を充填した後、3000ccクラスの乗
用車に装着してワインディング路を走行し、その操縦安
定性をドライバーのフィーリングに基づき10点法で評価
した。その結果は、第1、2、3、4、5、6試験タイ
ヤにおいて、それぞれ7、5、7、7、7、7点であっ
た。また、環状ゴム部35の硬度を62度以下とするという
点に関しては、62度を超えると、以下のワンダーリング
性能の試験結果に示すように、タイヤ10のワンダーリン
グ性能が殆ど向上しないからである。この試験において
も前述した第1、2、3、4、5、6試験タイヤを3000
ccクラスの乗用車に装着した後、轍を有する走行路を走
行し、そのワンダーリング性能をドライバーのフィーリ
ングに基づき10点法で評価した。その結果は、第1、
2、3、4、5、6試験タイヤにおいて、それぞれ5、
7、7、7、7、5点であった。そして、前述のように
硬度の小さな環状ゴム部35をショルダー部15に配置すれ
ば、タイヤ10の通常走行時における諸性能、例えば直進
性能等が低下するとも考えられるが、このような諸性能
はタイヤ10の接地面33内に位置するゴム、プライ等の種
類によって決定されるため、前述のように環状ゴム部35
をタイヤ10の接地面33の軸方向両外側端34より軸方向外
側のショルダー部15に配置していれば、前記諸性能は殆
ど影響を受けないのである。なお、前記環状ゴム部35の
トレッド30に対する体積割合は、 6%から13%の範囲が
操縦安定性を損なうことなくワンダーリング性能を向上
させる観点から好ましい。
【0009】次に、この発明の第2実施例を図2に基づ
いて説明する。この実施例においては、ショルダー部15
におけるトップトレッド32内でサイドトレッド31に接す
る位置に周方向に連続して延びる環状ゴム部40を配置
し、これら環状ゴム部40をワンダーリング性能をより向
上させる観点から外部に露出させている。なお、他の構
成、作用は前記第1実施例と同様である。
いて説明する。この実施例においては、ショルダー部15
におけるトップトレッド32内でサイドトレッド31に接す
る位置に周方向に連続して延びる環状ゴム部40を配置
し、これら環状ゴム部40をワンダーリング性能をより向
上させる観点から外部に露出させている。なお、他の構
成、作用は前記第1実施例と同様である。
【0010】次に、試験例を説明する。この試験に当た
っては、前記第1実施例で説明したタイヤから環状ゴム
部を除いた従来タイヤと、第1実施例で説明した構造の
供試タイヤ1と、第2実施例で説明した構造の供試タイ
ヤ2と、を準備したが、これら両供試タイヤ1、2にお
ける環状ゴム部のJIS硬度は共に58度であり、両供試
タイヤ1、2における環状ゴム部のトレッドに対する体
積割合は共に12%であった。そして、前記各タイヤのサ
イズはいずれも245/35 ZR17(偏平率0.35)であっ
た。次に、これら各タイヤに正規内圧(2.5kgf/cm2)を
充填して3000ccクラスの乗用車に装着した後、轍を有す
る走行路を走行し、その轍乗越し性能をドライバーのフ
ィーリングに基づき10点法で評価した。その結果は、従
来タイヤでは5点であったが、供試タイヤ1では7点、
供試タイヤ2では8点に向上していた。また、轍路直進
性能、ブレーキ挙動も同様に10点法で評価したが、轍路
直進性能、ブレーキ挙動共に、従来タイヤでは5点であ
ったが、供試タイヤ1、2では7点に向上していた。
っては、前記第1実施例で説明したタイヤから環状ゴム
部を除いた従来タイヤと、第1実施例で説明した構造の
供試タイヤ1と、第2実施例で説明した構造の供試タイ
ヤ2と、を準備したが、これら両供試タイヤ1、2にお
ける環状ゴム部のJIS硬度は共に58度であり、両供試
タイヤ1、2における環状ゴム部のトレッドに対する体
積割合は共に12%であった。そして、前記各タイヤのサ
イズはいずれも245/35 ZR17(偏平率0.35)であっ
た。次に、これら各タイヤに正規内圧(2.5kgf/cm2)を
充填して3000ccクラスの乗用車に装着した後、轍を有す
る走行路を走行し、その轍乗越し性能をドライバーのフ
ィーリングに基づき10点法で評価した。その結果は、従
来タイヤでは5点であったが、供試タイヤ1では7点、
供試タイヤ2では8点に向上していた。また、轍路直進
性能、ブレーキ挙動も同様に10点法で評価したが、轍路
直進性能、ブレーキ挙動共に、従来タイヤでは5点であ
ったが、供試タイヤ1、2では7点に向上していた。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、通常走行時の諸性能を低下させることなくワンダリ
ング性能を向上させることができる。
ば、通常走行時の諸性能を低下させることなくワンダリ
ング性能を向上させることができる。
【図1】この発明の第1実施例を示すタイヤの子午線断
面図である。
面図である。
【図2】この発明の第2実施例を示すタイヤの子午線断
面図である。
面図である。
10…偏平空気入りタイヤ 16…カーカス層 17…カーカスプライ 20…ベルト層 21…ベルトプライ 25、27…補強プライ 28…補強層 30…トレッド 33…接地面 34…軸方向両外側端 35…環状ゴム部 E…タイヤ赤道面
Claims (1)
- 【請求項1】タイヤ赤道面に対して実質上直交する多数
本のコードが埋設された1枚以上のカーカスプライから
なるトロイダル状のカーカス層と、カーカス層の半径方
向外側に配置され、タイヤ赤道面に対して所定角度で傾
斜している多数本のコードがそれぞれ埋設された2枚以
上のベルトプライからなるベルト層と、該ベルト層の少
なくとも軸方向両外側部を半径方向外側から覆うよう配
置され、内部にタイヤ赤道面に実質上平行に延びる有機
繊維コードが埋設された1枚以上の補強プライからなる
補強層と、前記カーカス層、ベルト層および補強層の外
側に配置されたトレッドとを備え、偏平率が0.55以下で
ある偏平空気入りタイヤにおいて、該偏平空気入りタイ
ヤの接地面の軸方向両外側端より軸方向外側のショルダ
ー部におけるトレッド内に周方向に連続して延びJIS
硬度が55度から62度までの範囲内のゴムからなる環状ゴ
ム部を配置したことを特徴とする偏平空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35685192A JP3311055B2 (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | 偏平空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35685192A JP3311055B2 (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | 偏平空気入りタイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06191220A true JPH06191220A (ja) | 1994-07-12 |
JP3311055B2 JP3311055B2 (ja) | 2002-08-05 |
Family
ID=18451083
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35685192A Expired - Fee Related JP3311055B2 (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | 偏平空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3311055B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010132235A (ja) * | 2008-12-08 | 2010-06-17 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
CN114789547A (zh) * | 2022-04-25 | 2022-07-26 | 山东兴鸿源轮胎有限公司 | 一种专用于侧包冠成型工艺的三复合胎侧及其预口型 |
-
1992
- 1992-12-22 JP JP35685192A patent/JP3311055B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010132235A (ja) * | 2008-12-08 | 2010-06-17 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
JP4685918B2 (ja) * | 2008-12-08 | 2011-05-18 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
CN114789547A (zh) * | 2022-04-25 | 2022-07-26 | 山东兴鸿源轮胎有限公司 | 一种专用于侧包冠成型工艺的三复合胎侧及其预口型 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3311055B2 (ja) | 2002-08-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5482102A (en) | Pneumatic motorcycle tire for improved cornering and straight running stability | |
US4957151A (en) | Radial tire for passenger cars including folded band layer at the belt edges | |
JP3035005B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤのタイヤ対 | |
JP2769040B2 (ja) | 高速走行用空気入りラジアルタイヤ | |
JP2784597B2 (ja) | 偏平空気入りラジアルタイヤ | |
JPH04218408A (ja) | 重荷重用タイヤ | |
JP3511299B2 (ja) | セットの非対称空気入りタイヤおよびその装着方法 | |
JPH05238206A (ja) | 空気入りタイヤ | |
EP0465188B2 (en) | Passenger radial tyre | |
JP3311055B2 (ja) | 偏平空気入りタイヤ | |
JP2002103923A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JPH08332806A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JP2002316513A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JPH03169713A (ja) | 自動二輪専用タイヤ | |
JP3467097B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JP3064265B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP3611915B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JPH06336102A (ja) | 非対称空気入りタイヤおよびその製造方法 | |
JPH0958215A (ja) | ラジアルタイヤ | |
JPH11129705A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JPH07149113A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2542430B2 (ja) | Atv用タイヤ | |
JP3422578B2 (ja) | 雪路、不整地路用の小型トラック用タイヤ | |
JP3749296B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JPH07156607A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20020514 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |