JPH06116652A - 耐酸化性に優れたFe−Cr−Al薄鋼板の製造方法 - Google Patents
耐酸化性に優れたFe−Cr−Al薄鋼板の製造方法Info
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- JPH06116652A JPH06116652A JP15012093A JP15012093A JPH06116652A JP H06116652 A JPH06116652 A JP H06116652A JP 15012093 A JP15012093 A JP 15012093A JP 15012093 A JP15012093 A JP 15012093A JP H06116652 A JPH06116652 A JP H06116652A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】Fe−Cr−Al鋼板および箔に耐酸化性を付
与する製造方法の提供。 【構成】鋼組成が重量%でCr:9〜30%、Al:1
〜8%を含むFe−Cr−Al薄鋼板の製造するに際
し、圧延後の最終処理を、熱処理雰囲気としてH2 ガ
ス、N2 ガスおよび不活性ガスのうちの一種あるいはこ
れらのうちから選ばれた2種以上の混合ガスを用い、雰
囲気中のN2 ガス濃度が50%未満(N2 ガスを含まな
い場合も含む)の場合及び50%以上の場合別に熱処理
温度をX、露点をyとした直交座標系における特定の領
域内で行う。N2ガス濃度が50%以上の場合は、右図
に示す領域内で行う。
与する製造方法の提供。 【構成】鋼組成が重量%でCr:9〜30%、Al:1
〜8%を含むFe−Cr−Al薄鋼板の製造するに際
し、圧延後の最終処理を、熱処理雰囲気としてH2 ガ
ス、N2 ガスおよび不活性ガスのうちの一種あるいはこ
れらのうちから選ばれた2種以上の混合ガスを用い、雰
囲気中のN2 ガス濃度が50%未満(N2 ガスを含まな
い場合も含む)の場合及び50%以上の場合別に熱処理
温度をX、露点をyとした直交座標系における特定の領
域内で行う。N2ガス濃度が50%以上の場合は、右図
に示す領域内で行う。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐酸性化に優れたFe−
Cr−Al薄鋼板の製造方法に関する。
Cr−Al薄鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃焼ガス排気系の機器、装置、暖
房機部品などに使用される高温材料の耐酸化性を改善す
る方法として、特公昭57−4699号などに見られる
ように高Cr鋼にAl、Siなどを添加して耐酸化性を
改善する方法、特開昭58−177437号などに見ら
れるように高Al含有に加えて希土類元素を添加するこ
とにより耐酸化性を改善する方法、特公昭59−439
93号にみられるように研磨やショットピーニングなど
の加工処理を施して耐酸化性を改善する方法などが開示
されている。しかしAl、Si、REMなどの元素添加
により耐酸化性を改善しても、耐酸化性に大きなばらつ
きが生じる場合があり、安定的な耐酸化性向上は達成さ
れていなかった。
房機部品などに使用される高温材料の耐酸化性を改善す
る方法として、特公昭57−4699号などに見られる
ように高Cr鋼にAl、Siなどを添加して耐酸化性を
改善する方法、特開昭58−177437号などに見ら
れるように高Al含有に加えて希土類元素を添加するこ
とにより耐酸化性を改善する方法、特公昭59−439
93号にみられるように研磨やショットピーニングなど
の加工処理を施して耐酸化性を改善する方法などが開示
されている。しかしAl、Si、REMなどの元素添加
により耐酸化性を改善しても、耐酸化性に大きなばらつ
きが生じる場合があり、安定的な耐酸化性向上は達成さ
れていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上述
した従来技術の欠点を解消し、耐酸化性の優れたFe−
Cr−Al鋼板および箔を安定的に、かつ同組成の圧延
ままの素材や通常の焼鈍処理を施した素材より優れた耐
酸化性を付与する製造方法を提供することを目的とす
る。
した従来技術の欠点を解消し、耐酸化性の優れたFe−
Cr−Al鋼板および箔を安定的に、かつ同組成の圧延
ままの素材や通常の焼鈍処理を施した素材より優れた耐
酸化性を付与する製造方法を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋼組成が重量
%でCr:9〜30%、Al:1〜8%を含むFe−C
r−Al薄鋼板の製造するに際し、圧延後の最終処理
を、熱処理雰囲気としてH2 ガス、N2 ガスおよび不活
性ガスのうちの一種あるいはこれらのうちから選ばれた
2種以上の混合ガスを用い、雰囲気中のN2 ガス濃度が
50%未満(N2ガスを含まない場合も含む)の場合に
は、熱処理温度をx、露点(d.p.)をyとした直交
座標系において、 A(600、−45)、B(800、−45)、C(1
100、−15)、D(600、−75)、E(110
0、−75) なる点ABCEDAを直線で結んだ領域内(直線上を含
む)で行い、前記雰囲気中のN2 ガス濃度が50%以上
の場合には、前記直交座標系において、 A(600、−45)、B(800、−45)、C(1
100、−15)、F(1100、−31)、G(66
0、−75)、D(600、−75) なる点ABCFGDAを直線で結んだ領域内(直線上を
含む)で行うことを特徴とする耐酸化性に優れたFe−
Cr−Al薄鋼板の製造方法を提供するものである。
%でCr:9〜30%、Al:1〜8%を含むFe−C
r−Al薄鋼板の製造するに際し、圧延後の最終処理
を、熱処理雰囲気としてH2 ガス、N2 ガスおよび不活
性ガスのうちの一種あるいはこれらのうちから選ばれた
2種以上の混合ガスを用い、雰囲気中のN2 ガス濃度が
50%未満(N2ガスを含まない場合も含む)の場合に
は、熱処理温度をx、露点(d.p.)をyとした直交
座標系において、 A(600、−45)、B(800、−45)、C(1
100、−15)、D(600、−75)、E(110
0、−75) なる点ABCEDAを直線で結んだ領域内(直線上を含
む)で行い、前記雰囲気中のN2 ガス濃度が50%以上
の場合には、前記直交座標系において、 A(600、−45)、B(800、−45)、C(1
100、−15)、F(1100、−31)、G(66
0、−75)、D(600、−75) なる点ABCFGDAを直線で結んだ領域内(直線上を
含む)で行うことを特徴とする耐酸化性に優れたFe−
Cr−Al薄鋼板の製造方法を提供するものである。
【0005】さらに、上記鋼板は、下記〜のグルー
プを単独であるいは複合して含有していてもよい。 C:0.05重量%以下、Si:1.0重量%以下、
Mn:1.0重量%以下、N:0.05重量%以下、
P:0.04重量%以下、S:0.01重量%以下 Nb:0.2〜1.0重量%、Ti:0.01〜0.
15重量%、Zr:0.01〜1.0重量%、V:0.
1〜1.0重量%、Hf:0.1〜0.3重量%、RE
M:1.0重量%以下のうち1種または2種以上 Mo:2.0重量%以下および/またはCu:2.0
重量%以下
プを単独であるいは複合して含有していてもよい。 C:0.05重量%以下、Si:1.0重量%以下、
Mn:1.0重量%以下、N:0.05重量%以下、
P:0.04重量%以下、S:0.01重量%以下 Nb:0.2〜1.0重量%、Ti:0.01〜0.
15重量%、Zr:0.01〜1.0重量%、V:0.
1〜1.0重量%、Hf:0.1〜0.3重量%、RE
M:1.0重量%以下のうち1種または2種以上 Mo:2.0重量%以下および/またはCu:2.0
重量%以下
【0006】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明
の素材中のCrおよびAlは素材の耐酸化性および耐食
性を確保するための基本元素である。一般にAlを3重
量%以上含有するFe−Cr−Al合金は高温に加熱さ
れた場合、Alが優先酸化され緻密なAl2 O3 皮膜を
形成し、これがFe−Cr−Al合金の耐酸化特性を付
与するものとなる。本発明法で熱処理を行うと、より低
いAl濃度のものでも緻密なAl2 O3 皮膜を形成し、
優れた耐酸化性を示すようになるが、最低でも1%は必
要である。また、このAl 2 O3 皮膜を形成せしめるた
めに合金中にCr含有量は9重量%以上必要である。一
方、Cr含有量が30重量%、Al含有量が8重量%を
超えると原料価格の上昇も招くのみならず、熱延板の靱
性および延性が低下するため通常のステンレス鋼製造ラ
インで製造することが困難となる。したがって、Crの
成分範囲は9〜30重量%、Alの成分範囲は1〜8重
量%に限定した。
の素材中のCrおよびAlは素材の耐酸化性および耐食
性を確保するための基本元素である。一般にAlを3重
量%以上含有するFe−Cr−Al合金は高温に加熱さ
れた場合、Alが優先酸化され緻密なAl2 O3 皮膜を
形成し、これがFe−Cr−Al合金の耐酸化特性を付
与するものとなる。本発明法で熱処理を行うと、より低
いAl濃度のものでも緻密なAl2 O3 皮膜を形成し、
優れた耐酸化性を示すようになるが、最低でも1%は必
要である。また、このAl 2 O3 皮膜を形成せしめるた
めに合金中にCr含有量は9重量%以上必要である。一
方、Cr含有量が30重量%、Al含有量が8重量%を
超えると原料価格の上昇も招くのみならず、熱延板の靱
性および延性が低下するため通常のステンレス鋼製造ラ
インで製造することが困難となる。したがって、Crの
成分範囲は9〜30重量%、Alの成分範囲は1〜8重
量%に限定した。
【0007】また、この種の耐酸化性合金には、耐酸化
性向上あるいは製造性向上のため、La、Ce、Y、N
dなどの希土類元素(REM)やTi、Zr、Hf、V
などの活性元素を添加することが行われているが、本発
明においてもこれらの元素を含有することが望ましい。
性向上あるいは製造性向上のため、La、Ce、Y、N
dなどの希土類元素(REM)やTi、Zr、Hf、V
などの活性元素を添加することが行われているが、本発
明においてもこれらの元素を含有することが望ましい。
【0008】上記鋼板は、下記〜のグループを単独
であるいは複合して含有していてもよい。 C:0.05重量%以下、Si:1.0重量%以下、
Mn:1.0重量%以下、N:0.05重量%以下、
P:0.04重量%以下、S:0.01重量%以下 Nb:0.2〜1.0重量%、Ti:0.01〜0.
15重量%、Zr:0.01〜1.0重量%、V:0.
1〜1.0重量%、Hf:0.1〜0.3重量%、RE
M:1.0重量%以下のうち1種または2種以上 Mo:2.0重量%以下および/またはCu:2.0
重量%以下
であるいは複合して含有していてもよい。 C:0.05重量%以下、Si:1.0重量%以下、
Mn:1.0重量%以下、N:0.05重量%以下、
P:0.04重量%以下、S:0.01重量%以下 Nb:0.2〜1.0重量%、Ti:0.01〜0.
15重量%、Zr:0.01〜1.0重量%、V:0.
1〜1.0重量%、Hf:0.1〜0.3重量%、RE
M:1.0重量%以下のうち1種または2種以上 Mo:2.0重量%以下および/またはCu:2.0
重量%以下
【0009】次に、上記成分の限定理由について述べ
る。C,Nは機械的性質および耐食性の点からも少ない
方が望ましい。そこでその上限を両者とも0.05%以
下とした。
る。C,Nは機械的性質および耐食性の点からも少ない
方が望ましい。そこでその上限を両者とも0.05%以
下とした。
【0010】Mn,Si,P,Sは高温脆化を促進する
のでその上限をMn,Siは1.0重量%、P,Sはそ
れぞれ0.04重量%、0.01重量%とする。
のでその上限をMn,Siは1.0重量%、P,Sはそ
れぞれ0.04重量%、0.01重量%とする。
【0011】Hf,REMはさらに耐酸化性の向上のた
め、Nb,Ti,Zr,Vは耐酸化特性向上およびAl
Nの阻止のために添加するが、あまり少なすぎてもその
効果が表れない。また、多すぎても、その固溶限を越え
金属間化合物を析出するなど、耐酸化特性に対する最適
値を越えてしまうのでその上限をそれぞれ下記のように
設けた。即ち、Nb:0.2〜1.0重量%、Ti:
0.01〜0.15重量%、Zr:0.01〜1.0重
量%、V:0.1〜1.0重量%、Hf:0.1〜0.
3重量%、REM:1.0重量%以下に制限した。但
し、REMは、La:0.01〜0.5重量%、Y:
0.001〜0.5重量%、Nd:0.2〜1.0重量
%、Ce:0.01〜0.1重量%、Y:0.001〜
1.0重量%の範囲内で添加するのがより好ましい。
め、Nb,Ti,Zr,Vは耐酸化特性向上およびAl
Nの阻止のために添加するが、あまり少なすぎてもその
効果が表れない。また、多すぎても、その固溶限を越え
金属間化合物を析出するなど、耐酸化特性に対する最適
値を越えてしまうのでその上限をそれぞれ下記のように
設けた。即ち、Nb:0.2〜1.0重量%、Ti:
0.01〜0.15重量%、Zr:0.01〜1.0重
量%、V:0.1〜1.0重量%、Hf:0.1〜0.
3重量%、REM:1.0重量%以下に制限した。但
し、REMは、La:0.01〜0.5重量%、Y:
0.001〜0.5重量%、Nd:0.2〜1.0重量
%、Ce:0.01〜0.1重量%、Y:0.001〜
1.0重量%の範囲内で添加するのがより好ましい。
【0012】Mo,Cuは耐食性が要求される場合には
添加してもよいが、その量が多すぎても加工性を阻害
し、また経済的でもないのでその上限をそれぞれ2.0
%以下に限定する。
添加してもよいが、その量が多すぎても加工性を阻害
し、また経済的でもないのでその上限をそれぞれ2.0
%以下に限定する。
【0013】これらの素材は圧延後に一般に、加工性を
付与するための軟化を目的として短時間の熱処理が施さ
れるが、本発明者らの研究によると、この熱処理時のガ
ス雰囲気によってその後の高温酸化特性が著しく変化す
ることが明らかになった。
付与するための軟化を目的として短時間の熱処理が施さ
れるが、本発明者らの研究によると、この熱処理時のガ
ス雰囲気によってその後の高温酸化特性が著しく変化す
ることが明らかになった。
【0014】すなわち熱処理雰囲気を、H2 、不活性ガ
ス(He、Ne、Arなど)、N2ガスの一種あるいは
これらのうち選ばれた2種以上の混合ガスとし、かつ低
露点とすることにより、表面酸化皮膜をAl2 O3 に富
んだ緻密な皮膜にすると耐酸化性が向上する。一方、高
露点で熱処理を行うとAl2 O3 にFe2 O3 、Cr 2
O3 が混入した酸化皮膜が生成し、著しく耐酸化性が劣
化する。
ス(He、Ne、Arなど)、N2ガスの一種あるいは
これらのうち選ばれた2種以上の混合ガスとし、かつ低
露点とすることにより、表面酸化皮膜をAl2 O3 に富
んだ緻密な皮膜にすると耐酸化性が向上する。一方、高
露点で熱処理を行うとAl2 O3 にFe2 O3 、Cr 2
O3 が混入した酸化皮膜が生成し、著しく耐酸化性が劣
化する。
【0015】本発明者らは、保護性の高いAl2 O3 皮
膜が安定に生成する熱処理条件を検討した結果、図1に
示した熱処理温度と露点の関係において点ABCを直線
で結んだ線上を上限とした範囲が適していることが明ら
かになった。露点が低くとも特性上問題はないが、通常
の設備で実用的に熱処理可能な範囲としてその下限を
d.p.=−75℃に限定した。
膜が安定に生成する熱処理条件を検討した結果、図1に
示した熱処理温度と露点の関係において点ABCを直線
で結んだ線上を上限とした範囲が適していることが明ら
かになった。露点が低くとも特性上問題はないが、通常
の設備で実用的に熱処理可能な範囲としてその下限を
d.p.=−75℃に限定した。
【0016】また熱処理温度、時間は素材の化学組成お
よび板厚により適当な温度、時間を選択することが可能
であるが、600℃より低い温度では長時間の熱処理に
よっても素材が軟化し難いため、かつ耐酸化性向上に必
要な表面皮膜厚さが得られないため、その下限を600
℃以上に限定する。一方、1100℃より高い温度での
熱処理は、特に素材の板厚が0.1mm以下と薄い場合
に熱処理中に素材が軟化し自重に耐えられなくなるの
で、その上限を1100℃に限定する。したがって熱処
理条件範囲は、熱処理雰囲気中にN2 ガスを含まない場
合あるいは含んでいても50%以下の場合には、A(6
00、−45)、B(800、−45)、C(110
0、−15)、D(600、−75)、E(1100、
−75)なる点ABCEDAを直線で結んだ領域内(直
線上を含む)に限定する。しかしながら、雰囲気中のN
2 ガス量が多くなると、あまり低露点にすると窒化し耐
酸化性を劣化させるので、雰囲気中のN2 ガス量が50
%以上含有する条件の場合、熱処理条件範囲を図1のA
(600、−45)、B(800、−45)、C(11
00、−15)、D(600、−75)、F(110
0、−31)、G(660、−75)なる点ABCFG
DAを直線で結んだ領域内(直線上を含む)に限定す
る。
よび板厚により適当な温度、時間を選択することが可能
であるが、600℃より低い温度では長時間の熱処理に
よっても素材が軟化し難いため、かつ耐酸化性向上に必
要な表面皮膜厚さが得られないため、その下限を600
℃以上に限定する。一方、1100℃より高い温度での
熱処理は、特に素材の板厚が0.1mm以下と薄い場合
に熱処理中に素材が軟化し自重に耐えられなくなるの
で、その上限を1100℃に限定する。したがって熱処
理条件範囲は、熱処理雰囲気中にN2 ガスを含まない場
合あるいは含んでいても50%以下の場合には、A(6
00、−45)、B(800、−45)、C(110
0、−15)、D(600、−75)、E(1100、
−75)なる点ABCEDAを直線で結んだ領域内(直
線上を含む)に限定する。しかしながら、雰囲気中のN
2 ガス量が多くなると、あまり低露点にすると窒化し耐
酸化性を劣化させるので、雰囲気中のN2 ガス量が50
%以上含有する条件の場合、熱処理条件範囲を図1のA
(600、−45)、B(800、−45)、C(11
00、−15)、D(600、−75)、F(110
0、−31)、G(660、−75)なる点ABCFG
DAを直線で結んだ領域内(直線上を含む)に限定す
る。
【0017】また本発明者らの研究によると、熱処理雰
囲気をH2 ガス、N2 ガスおよび不活性ガスのうちの一
種あるいはこれらのうち選ばれた2種以上の混合ガスと
し、かつ雰囲気中のN2 ガス濃度を抑制した条件とする
と、素材板あるいは箔の表面に形成されるAl2 O3 皮
膜中のAl、Cr、Fe、Nの含有量が変化し、皮膜中
のAl純度が高まりN含有量が低下する。この効果は特
に雰囲気ガス中のN2の濃度を20%未満に制限するこ
とにより、顕著に現れる。この純度の高いAl 2 O3 皮
膜を有する素材は、高温の酸化雰囲気にさらされるとき
Al2 O3 皮膜が酸素の拡散障壁として作用する効果が
大きく、圧延ままの素材やN2 を20%以上含有する雰
囲気で熱処理した素材と比較して、一層優れた耐酸化特
性を示す。
囲気をH2 ガス、N2 ガスおよび不活性ガスのうちの一
種あるいはこれらのうち選ばれた2種以上の混合ガスと
し、かつ雰囲気中のN2 ガス濃度を抑制した条件とする
と、素材板あるいは箔の表面に形成されるAl2 O3 皮
膜中のAl、Cr、Fe、Nの含有量が変化し、皮膜中
のAl純度が高まりN含有量が低下する。この効果は特
に雰囲気ガス中のN2の濃度を20%未満に制限するこ
とにより、顕著に現れる。この純度の高いAl 2 O3 皮
膜を有する素材は、高温の酸化雰囲気にさらされるとき
Al2 O3 皮膜が酸素の拡散障壁として作用する効果が
大きく、圧延ままの素材やN2 を20%以上含有する雰
囲気で熱処理した素材と比較して、一層優れた耐酸化特
性を示す。
【0018】従って、より優れた耐酸化性が要求される
用途に対しては熱処理雰囲気ガス中のN2 ガス濃度は2
0%未満とすることが望ましい。ここで窒素濃度を抑制
するための熱処理雰囲気ガスは還元性のH2 ガス、H
e、Ne、Arなどの不活性ガスのいずれを用いても有
効である。
用途に対しては熱処理雰囲気ガス中のN2 ガス濃度は2
0%未満とすることが望ましい。ここで窒素濃度を抑制
するための熱処理雰囲気ガスは還元性のH2 ガス、H
e、Ne、Arなどの不活性ガスのいずれを用いても有
効である。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
明する。
【0020】(実施例)表1に本発明成分範囲鋼例およ
び比較鋼例を示す。それぞれ板厚0.5mmから0.0
5mmの冷延ままの板を素材とし、表2、3に示したガ
ス雰囲気および保持時間で熱処理を行った。熱処理した
試料および圧延ままの素材よりそれぞれ幅20mm、長
さ30mmの試験片を切り出し、1150℃の大気中で
酸化して耐酸化性を調査した。酸化試験は24hおきに
試験片を取り出し重量変化を測定する方法を採用した。
これよりそれぞれの試料について酸化前からの重量増加
が1.0mg/cm2 に到達するまでの時間(T)を求
め、同組成の圧延ままの試料の到達時間(T0 )に対す
る熱処理した試料の到達時間(T1 )の比(熱処理によ
る耐酸化性向上比)T1 /T0 を計算し、表1、2中に
示した。
び比較鋼例を示す。それぞれ板厚0.5mmから0.0
5mmの冷延ままの板を素材とし、表2、3に示したガ
ス雰囲気および保持時間で熱処理を行った。熱処理した
試料および圧延ままの素材よりそれぞれ幅20mm、長
さ30mmの試験片を切り出し、1150℃の大気中で
酸化して耐酸化性を調査した。酸化試験は24hおきに
試験片を取り出し重量変化を測定する方法を採用した。
これよりそれぞれの試料について酸化前からの重量増加
が1.0mg/cm2 に到達するまでの時間(T)を求
め、同組成の圧延ままの試料の到達時間(T0 )に対す
る熱処理した試料の到達時間(T1 )の比(熱処理によ
る耐酸化性向上比)T1 /T0 を計算し、表1、2中に
示した。
【0021】これより同一組成の素材であっても、本発
明の条件で熱処理を行ったものはその熱処理により耐酸
化性がいずれも50%以上改善されており、その効果は
明白である。中でも雰囲気中のN2 ガス量が抑制されて
いるものの改善効果が顕著である。
明の条件で熱処理を行ったものはその熱処理により耐酸
化性がいずれも50%以上改善されており、その効果は
明白である。中でも雰囲気中のN2 ガス量が抑制されて
いるものの改善効果が顕著である。
【0022】一方、比較例1、2に示すようにAl含有
量が本発明の範囲より少ないもの(試料No.10、1
1)は圧延まま材および本発明範囲の熱処理を施した試
料共に、24hの酸化により重量増加量が1mg/cm
2 を超え、耐酸化性を要求される用途には不適であるこ
とがわかった。また、素材の組成が本発明範囲にあるも
のであっても、露点が本発明範囲を超える高露点で熱処
理したもの(比較例3)は表面に皮膜中にAl2 O3 と
ともにCr2 O3 が生成するため、またN2 中でかつ高
露点の雰囲気で熱処理したもの(比較例4)は表面の窒
化のため、いずれも圧延ままの素材より耐酸化性が劣化
した。また、本発明範囲以下の温度で熱処理したもの
(比較例5)は、熱処理によっても有効な表面皮膜が生
成し難く、耐酸化性の改善に至っていない。
量が本発明の範囲より少ないもの(試料No.10、1
1)は圧延まま材および本発明範囲の熱処理を施した試
料共に、24hの酸化により重量増加量が1mg/cm
2 を超え、耐酸化性を要求される用途には不適であるこ
とがわかった。また、素材の組成が本発明範囲にあるも
のであっても、露点が本発明範囲を超える高露点で熱処
理したもの(比較例3)は表面に皮膜中にAl2 O3 と
ともにCr2 O3 が生成するため、またN2 中でかつ高
露点の雰囲気で熱処理したもの(比較例4)は表面の窒
化のため、いずれも圧延ままの素材より耐酸化性が劣化
した。また、本発明範囲以下の温度で熱処理したもの
(比較例5)は、熱処理によっても有効な表面皮膜が生
成し難く、耐酸化性の改善に至っていない。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】Fe−Cr−Al鋼板および箔に関して
従来技術では優れた耐酸化性を安定して得ることが困難
であったのに対し、本発明の製造方法により同組成の素
材と比較して著しく優れた耐酸化特性(耐酸化性向上比
50%以上)を安定的に付与することが可能となった。
従来技術では優れた耐酸化性を安定して得ることが困難
であったのに対し、本発明の製造方法により同組成の素
材と比較して著しく優れた耐酸化特性(耐酸化性向上比
50%以上)を安定的に付与することが可能となった。
【図1】 本発明の耐酸化性に優れたFe−Cr−Al
薄鋼板の製造に際して好適な熱処理条件範囲を示す図で
ある。
薄鋼板の製造に際して好適な熱処理条件範囲を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥 山 薫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 清 水 寛 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内
Claims (4)
- 【請求項1】鋼組成が重量%でCr:9〜30%、A
l:1〜8%を含むFe−Cr−Al薄鋼板を製造する
に際し、圧延後の最終処理を、熱処理雰囲気としてH2
ガス、N2 ガスおよび不活性ガスのうちの一種あるいは
これらのうちから選ばれた2種以上の混合ガスを用い、
雰囲気中のN2 ガス濃度が50%未満(N2 ガスを含ま
ない場合も含む)の場合には、熱処理温度をx、露点
(d.p.)をyとした直交座標系において、 A(600、−45)、B(800、−45)、C(1
100、−15)、 D(600、−75)、E(1100、−75) なる点ABCEDAを直線で結んだ領域内(直線上を含
む)で行い、 前記雰囲気中のN2 ガス濃度が50%以上の場合には、
前記直交座標系において、 A(600、−45)、B(800、−45)、C(1
100、−15)、 F(1100、−31)、G(660、−75)、D
(600、−75) なる点ABCFGDAを直線で結んだ領域内(直線上を
含む)で行うことを特徴とする耐酸化性に優れたFe−
Cr−Al薄鋼板の製造方法。 - 【請求項2】前記鋼板はさらに、 C:0.05重量%以下、Si:1.0重量%以下、 Mn:1.0重量%以下、N:0.05重量%以下、 P:0.04重量%以下、S:0.01重量%以下 を含有する請求項1に記載の耐酸化性に優れたFe−C
r−Al薄鋼板の製造方法。 - 【請求項3】前記鋼板はさらに、 Nb:0.2〜1.0重量%、Ti:0.01〜0.1
5重量%、 Zr:0.01〜1.0重量%、V:0.1〜1.0重
量%、 Hf:0.1〜0.3重量%、REM:1.0重量%以
下 のうち1種または2種以上を含有する請求項1または2
に記載の耐酸化性に優れたFe−Cr−Al薄鋼板の製
造方法。 - 【請求項4】前記鋼板はさらに、 Mo:2.0重量%以下および/またはCu:2.0重
量%以下を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の耐
酸化性に優れたFe−Cr−Al薄鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15012093A JPH06116652A (ja) | 1992-06-30 | 1993-06-22 | 耐酸化性に優れたFe−Cr−Al薄鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17139492 | 1992-06-30 | ||
JP4-171394 | 1992-06-30 | ||
JP15012093A JPH06116652A (ja) | 1992-06-30 | 1993-06-22 | 耐酸化性に優れたFe−Cr−Al薄鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06116652A true JPH06116652A (ja) | 1994-04-26 |
Family
ID=26479817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15012093A Withdrawn JPH06116652A (ja) | 1992-06-30 | 1993-06-22 | 耐酸化性に優れたFe−Cr−Al薄鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06116652A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2807069A1 (fr) * | 2000-03-29 | 2001-10-05 | Usinor | Tole en acier inoxydable ferritique revetue utilisable dans le domaine de l'echappement d'un moteur de vehicule automobile |
JP2010516903A (ja) * | 2007-01-29 | 2010-05-20 | ティッセンクルップ ファオ デー エム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 長い寿命及び耐熱性のわずかな変化を示す鉄−クロム−アルミニウム合金の使用 |
JP2011032524A (ja) * | 2009-07-31 | 2011-02-17 | Jfe Steel Corp | ステンレス箔およびその製造方法 |
JP2014198868A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 日立金属株式会社 | 固体酸化物形燃料電池用ステンレス鋼の製造方法 |
-
1993
- 1993-06-22 JP JP15012093A patent/JPH06116652A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2807069A1 (fr) * | 2000-03-29 | 2001-10-05 | Usinor | Tole en acier inoxydable ferritique revetue utilisable dans le domaine de l'echappement d'un moteur de vehicule automobile |
JP2010516903A (ja) * | 2007-01-29 | 2010-05-20 | ティッセンクルップ ファオ デー エム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 長い寿命及び耐熱性のわずかな変化を示す鉄−クロム−アルミニウム合金の使用 |
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