JPH0587801A - 鋼板の材質予測方法 - Google Patents
鋼板の材質予測方法Info
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- JPH0587801A JPH0587801A JP3146535A JP14653591A JPH0587801A JP H0587801 A JPH0587801 A JP H0587801A JP 3146535 A JP3146535 A JP 3146535A JP 14653591 A JP14653591 A JP 14653591A JP H0587801 A JPH0587801 A JP H0587801A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 最終的な組織及び固溶・析出状態を算出する
ことによって、与えられた条件に従って、鋼片の材質予
測を自動的に行えるようにする。 【構成】 連続鋳造または鋼塊法によって作られた鋼片
に圧延及び冷却を施して製造される鋼板に対し、鋼片の
サイズ、成分情報及び圧延条件に基づいて圧延後のオー
ステナイト粒径及び平均転位密度を算出し(モデル2
0)、この算出結果及び冷却条件に基づいて変態組織の
構成各相の分率、平均生成温度及びフェライト粒径を算
出し、さらにその後の熱処理条件に基づいて最終的な組
織の分率、平均生成温度、フェライト粒径及び各元素の
固溶・析出状態を算出し(モデル40)、これらによっ
て鋼板の材質を推定する(モデル70)。
ことによって、与えられた条件に従って、鋼片の材質予
測を自動的に行えるようにする。 【構成】 連続鋳造または鋼塊法によって作られた鋼片
に圧延及び冷却を施して製造される鋼板に対し、鋼片の
サイズ、成分情報及び圧延条件に基づいて圧延後のオー
ステナイト粒径及び平均転位密度を算出し(モデル2
0)、この算出結果及び冷却条件に基づいて変態組織の
構成各相の分率、平均生成温度及びフェライト粒径を算
出し、さらにその後の熱処理条件に基づいて最終的な組
織の分率、平均生成温度、フェライト粒径及び各元素の
固溶・析出状態を算出し(モデル40)、これらによっ
て鋼板の材質を推定する(モデル70)。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製品に対する物理的評
価を行うことなく厚鋼板などの組織や材質を製造段階で
予測できるようにした鋼板の材質予測方法に関するもの
である。
価を行うことなく厚鋼板などの組織や材質を製造段階で
予測できるようにした鋼板の材質予測方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えば、厚鋼板などのユーザーにおいて
は、製品の納入とともにその材質検査結果を添付するこ
とを要求してくる場合がある。この要求に対し、従来、
メーカー側は製品の一部を切り出し、これに対し物理的
な特性測定(引張強度、靭性など)を行っている。
は、製品の納入とともにその材質検査結果を添付するこ
とを要求してくる場合がある。この要求に対し、従来、
メーカー側は製品の一部を切り出し、これに対し物理的
な特性測定(引張強度、靭性など)を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な人為的な特性測定は多大な時間を要し、製品の出荷・
納品などに影響を与えている。
な人為的な特性測定は多大な時間を要し、製品の出荷・
納品などに影響を与えている。
【0004】また、現状では、完成品になった後でしか
その材質を知ることができないが、将来的には、製造前
に材質を予測し、要求される材質を精度良く確実に得ら
れる製造条件を設定するような技術の開発が望まれてい
る。
その材質を知ることができないが、将来的には、製造前
に材質を予測し、要求される材質を精度良く確実に得ら
れる製造条件を設定するような技術の開発が望まれてい
る。
【0005】そこで、本発明の目的は、与えられた条件
にしたがって材質予測を自動的に行えるようにした鋼板
の材質予測方法を提供することにある。
にしたがって材質予測を自動的に行えるようにした鋼板
の材質予測方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明はサイズと化学成分などの鋼片情報および圧
延条件に基づいて圧延後のオーステナイト粒径および平
均転位密度を算出し、この算出結果および冷却条件に基
づいて変態組織状態を算出し、さらに熱処理条件に基づ
いて最終的な組織状態および固溶・析出物状態を算出
し、これらによって鋼板の材質を推定するようにしてい
る。
に、本発明はサイズと化学成分などの鋼片情報および圧
延条件に基づいて圧延後のオーステナイト粒径および平
均転位密度を算出し、この算出結果および冷却条件に基
づいて変態組織状態を算出し、さらに熱処理条件に基づ
いて最終的な組織状態および固溶・析出物状態を算出
し、これらによって鋼板の材質を推定するようにしてい
る。
【0007】また、加熱炉を通す場合、その加熱による
影響を考慮するため、加熱条件を入力条件に加えること
が望ましい。
影響を考慮するため、加熱条件を入力条件に加えること
が望ましい。
【0008】
【作用】上記した手段によれば、鋼板の製造実績もしく
は製造前に設定される条件を入力し演算させることによ
り、材質(引張強度、靭性など)の判定の鍵となる組織
構成相の分率、平均生成温度、フェライト粒径および各
元素の固溶・析出状態などが製造工程の任意の段階で求
めることができる。これにより、製造段階で材質予測を
行うことができ、また要求される材質仕様を確実に実現
可能な製造条件が設定可能であり、従来のように完成品
に対する検査測定が不要になる。
は製造前に設定される条件を入力し演算させることによ
り、材質(引張強度、靭性など)の判定の鍵となる組織
構成相の分率、平均生成温度、フェライト粒径および各
元素の固溶・析出状態などが製造工程の任意の段階で求
めることができる。これにより、製造段階で材質予測を
行うことができ、また要求される材質仕様を確実に実現
可能な製造条件が設定可能であり、従来のように完成品
に対する検査測定が不要になる。
【0009】
【実施例】図1は本発明による鋼板の材質予測方法を示
す演算フローチャート、図2は本発明が適用される鋼板
製造ラインの一例を示す設備構成図である。なお、以下
においては厚鋼板の製造を例に説明する。
す演算フローチャート、図2は本発明が適用される鋼板
製造ラインの一例を示す設備構成図である。なお、以下
においては厚鋼板の製造を例に説明する。
【0010】図2に示すように、製造設備は圧延の前に
鋼片(例えば、長さ1〜5m、幅1〜2.5m、厚み2
50mm前後)を加熱する加熱炉1、大まかな圧延を行
う粗圧延機2、粗圧延された鋼板を要求板厚に圧延する
仕上圧延機3、この仕上圧延機3によって圧延された鋼
板に生じた反りを調整するホットレベラー(HL)4、
このホットレベラー4を出た厚鋼板を冷却する冷却装置
5、および厚鋼板を熱処理する熱処理装置6の各々を備
えて構成されている。
鋼片(例えば、長さ1〜5m、幅1〜2.5m、厚み2
50mm前後)を加熱する加熱炉1、大まかな圧延を行
う粗圧延機2、粗圧延された鋼板を要求板厚に圧延する
仕上圧延機3、この仕上圧延機3によって圧延された鋼
板に生じた反りを調整するホットレベラー(HL)4、
このホットレベラー4を出た厚鋼板を冷却する冷却装置
5、および厚鋼板を熱処理する熱処理装置6の各々を備
えて構成されている。
【0011】なお、加熱炉1、粗圧延機2、仕上圧延機
3、ホットレベラー4、冷却装置5および熱処理装置6
の各々には、その駆動を制御し、また稼動中の情報を得
るためにプロセスコンピュータ(以下、プロコンとい
う)が接続されている(加熱プロコン7、圧延プロコン
8、冷却プロコン9および熱処理プロコン10)。これ
らプロコンは、中央制御室12に設置された上位コンピ
ュータ(不図示)に接続され、この上位コンピュータは
生産計画にしたがって加熱プロコン7、圧延プロコン
8、冷却プロコン9および熱処理プロコン10を管理す
る。また製品となった厚鋼板に対し、材質試験を行うた
めの機械試験システム11が設けられ、その試験結果は
中央制御室12に送られる。
3、ホットレベラー4、冷却装置5および熱処理装置6
の各々には、その駆動を制御し、また稼動中の情報を得
るためにプロセスコンピュータ(以下、プロコンとい
う)が接続されている(加熱プロコン7、圧延プロコン
8、冷却プロコン9および熱処理プロコン10)。これ
らプロコンは、中央制御室12に設置された上位コンピ
ュータ(不図示)に接続され、この上位コンピュータは
生産計画にしたがって加熱プロコン7、圧延プロコン
8、冷却プロコン9および熱処理プロコン10を管理す
る。また製品となった厚鋼板に対し、材質試験を行うた
めの機械試験システム11が設けられ、その試験結果は
中央制御室12に送られる。
【0012】次に、図1に示す鋼板の材質予測法につい
て説明する。
て説明する。
【0013】図1の処理を実行するには、これを実現す
るソフトウェアを作成し、これをコンピュータにロード
すればよい。
るソフトウェアを作成し、これをコンピュータにロード
すればよい。
【0014】本発明による鋼板の材質予測法は、大別す
ると製造工程に対応した初期状態モデル、熱間加工モデ
ル、変態モデル、熱処理モデルと各工程を通して元素の
固溶・析出状態を演算する析出モデルおよびそれらの演
算結果から材質を計算する組織−材質モデルの6つのモ
デルから構成されている。
ると製造工程に対応した初期状態モデル、熱間加工モデ
ル、変態モデル、熱処理モデルと各工程を通して元素の
固溶・析出状態を演算する析出モデルおよびそれらの演
算結果から材質を計算する組織−材質モデルの6つのモ
デルから構成されている。
【0015】初期状態モデル20は、鋼片情報15およ
び加熱条件21により加熱組織(オーステナイト、γ)
情報22を演算する。熱間加工モデル30は、初期状態
モデルの演算結果22および圧延条件31により圧延組
織情報32を演算する。変態モデル40は、熱間加工モ
デルの演算結果32および冷却条件41により変態組織
情報42を演算する。熱処理モデル50は、変態モデル
の演算結果42および熱処理条件51により熱処理後の
組織情報52を演算する。
び加熱条件21により加熱組織(オーステナイト、γ)
情報22を演算する。熱間加工モデル30は、初期状態
モデルの演算結果22および圧延条件31により圧延組
織情報32を演算する。変態モデル40は、熱間加工モ
デルの演算結果32および冷却条件41により変態組織
情報42を演算する。熱処理モデル50は、変態モデル
の演算結果42および熱処理条件51により熱処理後の
組織情報52を演算する。
【0016】析出モデル60は、鋼片情報15と製造条
件(加熱条件21、圧延条件31、冷却条件41、熱処
理条件51)とから各元素の固溶・析出状態を演算する
ものである。この析出モデル60は上記各モデルと並行
して演算が行われ、逐次各モデルの演算に利用される一
方、それらの演算結果(組織情報)がモデルにフィード
バックされる。最終目的は、熱処理を終えた最終的な固
溶・析出情報65を演算することにある。また、組織−
材質モデル70は、熱処理モデルの演算結果52と析出
モデルの最終演算結果61により強度、靭性などの材質
を演算する。
件(加熱条件21、圧延条件31、冷却条件41、熱処
理条件51)とから各元素の固溶・析出状態を演算する
ものである。この析出モデル60は上記各モデルと並行
して演算が行われ、逐次各モデルの演算に利用される一
方、それらの演算結果(組織情報)がモデルにフィード
バックされる。最終目的は、熱処理を終えた最終的な固
溶・析出情報65を演算することにある。また、組織−
材質モデル70は、熱処理モデルの演算結果52と析出
モデルの最終演算結果61により強度、靭性などの材質
を演算する。
【0017】なお、組織および固溶・析出情報算出のた
めの分割時間間隔、鋼板板厚方向分割数などは必要に応
じて任意に設定でき、板厚方向の組織・材質偏差情報も
得ることができる。
めの分割時間間隔、鋼板板厚方向分割数などは必要に応
じて任意に設定でき、板厚方向の組織・材質偏差情報も
得ることができる。
【0018】次に、各モデルの演算の詳細について図3
〜図8を参照して説明する。
〜図8を参照して説明する。
【0019】図3は初期状態モデル20の処理の詳細を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【0020】入力項目は成分・サイズなどの鋼片情報1
5および加熱条件21としての鋼片の温度・時間情報2
04である。この鋼片の温度・時間情報204は製造前
に設定される条件202(昇温速度、保定温度・時間)
もしくは加熱実績201(炉雰囲気温度、在炉時間な
ど)に基づいて加熱モデル203から計算される。
5および加熱条件21としての鋼片の温度・時間情報2
04である。この鋼片の温度・時間情報204は製造前
に設定される条件202(昇温速度、保定温度・時間)
もしくは加熱実績201(炉雰囲気温度、在炉時間な
ど)に基づいて加熱モデル203から計算される。
【0021】計算の実行は、まず必要な定数および初期
値を設定することから始まる(ステップ205)。次い
で加熱中であれば状態図の計算を行う(ステップ20
7)。周知のように鋼は温度によって結晶構造が変化
(変態)するため、ステップ207で計算された各状態
ごとに異なった手法で加熱組織状態(オーステナイト粒
径)を算出する。すなわち、温度に応じてオーステナイ
ト+フェライト+セメンタイト域、オーステナイト+フ
ェライト域およびオーステナイト単相域の各々について
オーステナイト粒成長の計算を行うのである(ステップ
208)。このとき、並行して析出モデル60を演算さ
せ、加熱中の各元素の固溶・析出状態61を加熱組織
(オーステナイト粒径)算出条件に加える。
値を設定することから始まる(ステップ205)。次い
で加熱中であれば状態図の計算を行う(ステップ20
7)。周知のように鋼は温度によって結晶構造が変化
(変態)するため、ステップ207で計算された各状態
ごとに異なった手法で加熱組織状態(オーステナイト粒
径)を算出する。すなわち、温度に応じてオーステナイ
ト+フェライト+セメンタイト域、オーステナイト+フ
ェライト域およびオーステナイト単相域の各々について
オーステナイト粒成長の計算を行うのである(ステップ
208)。このとき、並行して析出モデル60を演算さ
せ、加熱中の各元素の固溶・析出状態61を加熱組織
(オーステナイト粒径)算出条件に加える。
【0022】図4は熱間加工モデル30の処理の詳細を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【0023】入力項目は、初期状態モデル20の演算結
果22、圧延時の温度・時間情報302および相当歪・
相当歪速度304などである。
果22、圧延時の温度・時間情報302および相当歪・
相当歪速度304などである。
【0024】温度・時間情報302は、加熱温度、圧延
スケジュール(各パス毎の入・出側厚、パス間時間な
ど)および圧延ロール径・回転数などの圧延条件31に
基づいて圧延温度モデル301から計算される。また相
当歪・相当歪速度304は、同じく圧延条件31に基づ
き歪モデル303から計算される。
スケジュール(各パス毎の入・出側厚、パス間時間な
ど)および圧延ロール径・回転数などの圧延条件31に
基づいて圧延温度モデル301から計算される。また相
当歪・相当歪速度304は、同じく圧延条件31に基づ
き歪モデル303から計算される。
【0025】鋼板を複数回パスさせて圧延を行った場
合、各パス間において、圧延→回復→再結晶を経る過程
で転位密度が図5のように変化する。このため各パス毎
に再結晶、回復を計算する必要がある。各パス毎および
圧延終了後のオーステナイト粒径、平均転位密度などの
計算は以下のように行う。
合、各パス間において、圧延→回復→再結晶を経る過程
で転位密度が図5のように変化する。このため各パス毎
に再結晶、回復を計算する必要がある。各パス毎および
圧延終了後のオーステナイト粒径、平均転位密度などの
計算は以下のように行う。
【0026】まず、計算に必要な定数・初期値を設定す
る(ステップ305)。次いで、前記入力条件に基づ
き、圧延後のオーステナイトの単位体積当りの粒界面積
を計算する(ステップ307)。
る(ステップ305)。次いで、前記入力条件に基づ
き、圧延後のオーステナイトの単位体積当りの粒界面積
を計算する(ステップ307)。
【0027】圧延の圧下量が大きいと、瞬時的に再結晶
すなわち動的再結晶を生じる。そこで、動的再結晶が生
じているか否かを判定し、生じている場合には転位密度
および再結晶粒径を計算する(ステップ308)。動的
再結晶が完了しない場合には、この後再結晶が生じるま
での時間を計算し、さらに回復の時間および静的再結晶
を計算(再結晶率、再結晶粒径)する(ステップ30
9)。
すなわち動的再結晶を生じる。そこで、動的再結晶が生
じているか否かを判定し、生じている場合には転位密度
および再結晶粒径を計算する(ステップ308)。動的
再結晶が完了しない場合には、この後再結晶が生じるま
での時間を計算し、さらに回復の時間および静的再結晶
を計算(再結晶率、再結晶粒径)する(ステップ30
9)。
【0028】また、再結晶が終了している場合には粒成
長を計算し(ステップ310)、さらに結晶粒の平均粒
径および平均転位密度を算出(ステップ311)する。
これを最終パスまで繰り返すことにより最終パス情報
(オーステナイト粒界面積およびその転位密度)を得
る。なお、並行して析出モデル60を演算させ、圧延中
の各元素の固溶・析出状態62を上記圧延組織算出条件
に加える。
長を計算し(ステップ310)、さらに結晶粒の平均粒
径および平均転位密度を算出(ステップ311)する。
これを最終パスまで繰り返すことにより最終パス情報
(オーステナイト粒界面積およびその転位密度)を得
る。なお、並行して析出モデル60を演算させ、圧延中
の各元素の固溶・析出状態62を上記圧延組織算出条件
に加える。
【0029】図6は変態モデル40の処理を詳細に示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【0030】入力項目は、熱間加工モデル30の演算結
果32、冷却条件41(板厚、空冷・水冷区分、水量密
度、水冷装置内通板速度など)に基づいて冷却温度モデ
ル401から計算される冷却時の温度・時間情報402
および析出モデル60で計算される冷却中の固溶・析出
状態63である。
果32、冷却条件41(板厚、空冷・水冷区分、水量密
度、水冷装置内通板速度など)に基づいて冷却温度モデ
ル401から計算される冷却時の温度・時間情報402
および析出モデル60で計算される冷却中の固溶・析出
状態63である。
【0031】鋼の変態挙動は変態前のオーステナイト状
態(オーステナイト粒径あるいは単位体積当りの粒界面
積、残留転位密度、析出物の固溶・析出状態)、冷却速
度の影響を受ける。本モデルは、上記入力項目から変態
の進行および粒界フェライト、粒内フェライト、パーラ
イト、ベイナイト、マルテンサイトなどの各組織分率、
さらにフェライトのうち形状が粒状のものについては、
その粒径および分率を計算するものである。この計算方
法は以下の通りである。
態(オーステナイト粒径あるいは単位体積当りの粒界面
積、残留転位密度、析出物の固溶・析出状態)、冷却速
度の影響を受ける。本モデルは、上記入力項目から変態
の進行および粒界フェライト、粒内フェライト、パーラ
イト、ベイナイト、マルテンサイトなどの各組織分率、
さらにフェライトのうち形状が粒状のものについては、
その粒径および分率を計算するものである。この計算方
法は以下の通りである。
【0032】まず、当該成分における状態図を計算し
(ステップ403)、各組織が熱力学的に生成可能な条
件(温度領域)を求める。次に、生成可能と判断された
組織について任意の微小時間内の変態量の増分(ステッ
プ406)およびフェライトについてはこの間の生成粒
数の増分(ステップ405)を求める。
(ステップ403)、各組織が熱力学的に生成可能な条
件(温度領域)を求める。次に、生成可能と判断された
組織について任意の微小時間内の変態量の増分(ステッ
プ406)およびフェライトについてはこの間の生成粒
数の増分(ステップ405)を求める。
【0033】また、フェライトが生成する場合には形状
が針状か粒状かの判断を行い、粒状である場合にはステ
ップ405で求めた生成粒数を粒状フェライト粒数の増
分、ステップ406で求めた変態数の増分を粒状フェラ
イト量の増分とし、針状である場合には変態量の増分の
みを求める(ステップ407)。次に、変態に伴う発熱
などを冷却温度情報としてフィードバックするためにス
テップ406で得られた変態量に応じた温度変化を計算
する(ステップ408)。なお、この温度変化は並行す
る析出モデル60にもフィードバックされ、冷却中の固
溶・析出状態算出に用いられる。
が針状か粒状かの判断を行い、粒状である場合にはステ
ップ405で求めた生成粒数を粒状フェライト粒数の増
分、ステップ406で求めた変態数の増分を粒状フェラ
イト量の増分とし、針状である場合には変態量の増分の
みを求める(ステップ407)。次に、変態に伴う発熱
などを冷却温度情報としてフィードバックするためにス
テップ406で得られた変態量に応じた温度変化を計算
する(ステップ408)。なお、この温度変化は並行す
る析出モデル60にもフィードバックされ、冷却中の固
溶・析出状態算出に用いられる。
【0034】以上の計算を冷却(変態)終了まで繰り返
し、変態量および粒状フェライト粒数の増分を加算する
ことにより、最終的な組織の各組織分率、粒状フェライ
トの粒径をその分率および粒数から求める(ステップ4
09)。また、ステップ406、408の計算結果を基
にフェライト、パーライト、ベイナイトなどの各々が生
成した平均温度(平均生成温度)を計算して(ステップ
410)処理を終了する。
し、変態量および粒状フェライト粒数の増分を加算する
ことにより、最終的な組織の各組織分率、粒状フェライ
トの粒径をその分率および粒数から求める(ステップ4
09)。また、ステップ406、408の計算結果を基
にフェライト、パーライト、ベイナイトなどの各々が生
成した平均温度(平均生成温度)を計算して(ステップ
410)処理を終了する。
【0035】以上の計算でフェライトを粒状、針状に分
離しておく理由は、粒状や針状の形状が材質に関与する
ことに着目したものであって、材質の予測を高精度に行
うことを可能にするためである。また、平均生成温度は
生成した温度によって材質が異なることから必要になる
もので、後記する組織−材質モデル70などで用いられ
るものである。
離しておく理由は、粒状や針状の形状が材質に関与する
ことに着目したものであって、材質の予測を高精度に行
うことを可能にするためである。また、平均生成温度は
生成した温度によって材質が異なることから必要になる
もので、後記する組織−材質モデル70などで用いられ
るものである。
【0036】図7は熱処理モデル50の処理の詳細を示
すフローチャートである。
すフローチャートである。
【0037】入力項目は変態モデル40の演算結果4
2、熱処理条件51(板厚、昇温速度、保定温度・時
間、空冷・水冷区分、水量密度など)に基づいて熱処理
モデル501から計算される熱処理の温度・時間情報5
02および析出モデル60で演算される熱処理前の固溶
・析出状態63である。
2、熱処理条件51(板厚、昇温速度、保定温度・時
間、空冷・水冷区分、水量密度など)に基づいて熱処理
モデル501から計算される熱処理の温度・時間情報5
02および析出モデル60で演算される熱処理前の固溶
・析出状態63である。
【0038】ここでの熱処理は焼入−焼戻処理を意味
し、モデルは焼入演算部53と焼戻演算部54とに分か
れている。焼入演算部53は、前述の初期状態モデル2
0および変態モデル40で構成され、再加熱組織状態と
焼入条件に応じた変態(焼入)組織を演算する。焼戻演
算部54は、焼入時の組織情報505および固溶・析出
状態64とから焼戻条件に基づいて炭化物・析出物の状
態、組織の分解・生成を算出する(ステップ507)。
このとき析出モデル60を並行して演算し、その結果は
ステップ507の演算に用いられる。
し、モデルは焼入演算部53と焼戻演算部54とに分か
れている。焼入演算部53は、前述の初期状態モデル2
0および変態モデル40で構成され、再加熱組織状態と
焼入条件に応じた変態(焼入)組織を演算する。焼戻演
算部54は、焼入時の組織情報505および固溶・析出
状態64とから焼戻条件に基づいて炭化物・析出物の状
態、組織の分解・生成を算出する(ステップ507)。
このとき析出モデル60を並行して演算し、その結果は
ステップ507の演算に用いられる。
【0039】以上の計算により、最終組織構成各相の分
率、平均生成・分解温度およびフェライト粒径を算出さ
れる(ステップ508)。
率、平均生成・分解温度およびフェライト粒径を算出さ
れる(ステップ508)。
【0040】図8は組織−材質モデル70の処理の詳細
を示すフローチャートである。
を示すフローチャートである。
【0041】ここでは、鋼板の材質を表現する降伏点、
引張強さおよび靭性を計算することを目的としている。
入力項目は、熱処理モデル50の演算結果52と析出モ
デル60の演算結果である最終的な各元素の固溶・析出
状態65である。
引張強さおよび靭性を計算することを目的としている。
入力項目は、熱処理モデル50の演算結果52と析出モ
デル60の演算結果である最終的な各元素の固溶・析出
状態65である。
【0042】まず、上記入力項目に基づいて、各組織
(フェライト、ベイナイトおよびパーライトなど)の各
々の硬さの計算(ステップ601)、および降伏点の計
算(ステップ602)を行う。次いでステップ601に
よる硬度計算値を用いて引張強さを計算(ステップ60
3)する。さらに入力項目に基づいて靭性を計算(ステ
ップ604)し、処理を終了する。
(フェライト、ベイナイトおよびパーライトなど)の各
々の硬さの計算(ステップ601)、および降伏点の計
算(ステップ602)を行う。次いでステップ601に
よる硬度計算値を用いて引張強さを計算(ステップ60
3)する。さらに入力項目に基づいて靭性を計算(ステ
ップ604)し、処理を終了する。
【0043】以上、一連の演算を行うことにより、材質
予測を行うことができる。この結果は、フロッピーディ
スクなどの記録媒体に保存されると共にプリンタによっ
て打ち出される。 〈試験例〉図9は本発明に供した鋼の化学成分、図10
は製造条件、図11は粒径・分率などの組織因子および
材質の実測値と上記予測法による計算値を示すものであ
る。
予測を行うことができる。この結果は、フロッピーディ
スクなどの記録媒体に保存されると共にプリンタによっ
て打ち出される。 〈試験例〉図9は本発明に供した鋼の化学成分、図10
は製造条件、図11は粒径・分率などの組織因子および
材質の実測値と上記予測法による計算値を示すものであ
る。
【0044】図11より明らかなように、実測値と計算
値とは近似し、きわめて高い精度で予測できたことがわ
かる。
値とは近似し、きわめて高い精度で予測できたことがわ
かる。
【0045】このように、高信頼な予測が可能になるこ
とから、将来的には、客先が要求する材質に応じ製品の
製造条件を容易に算出することも可能になる。
とから、将来的には、客先が要求する材質に応じ製品の
製造条件を容易に算出することも可能になる。
【0046】なお、以上の説明においては、厚鋼板のス
ラブ再加熱プロセスを例にしたが、熱延鋼材全般および
そのスラブ直送プロセスに本発明は適用することが可能
である。
ラブ再加熱プロセスを例にしたが、熱延鋼材全般および
そのスラブ直送プロセスに本発明は適用することが可能
である。
【0047】
【発明の効果】本発明は、上記の通り構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。
で、次に記載する効果を奏する。
【0048】請求項1の鋼板の材質予測方法において
は、連続鋳造または鋼塊法によって作られた鋼片に圧延
および冷却を施して製造される鋼板に対し、前記鋼片の
厚みと鋼成分情報および圧延条件に基づいて圧延後のオ
ーステナイト粒径を算出し、この算出結果および冷却条
件に基づいてフェライト粒径、組織分率および各組織の
平均生成温度を算出し、さらに熱処理条件に基づいて最
終組織情報および固溶・析出情報を算出し、これらによ
って前記鋼板の材質を推定するようにしたので、製造段
階で材質仕様を確実に実現可能な製造条件が設定可能で
あり、従来のように完成品に対する検査測定が不要にな
る。
は、連続鋳造または鋼塊法によって作られた鋼片に圧延
および冷却を施して製造される鋼板に対し、前記鋼片の
厚みと鋼成分情報および圧延条件に基づいて圧延後のオ
ーステナイト粒径を算出し、この算出結果および冷却条
件に基づいてフェライト粒径、組織分率および各組織の
平均生成温度を算出し、さらに熱処理条件に基づいて最
終組織情報および固溶・析出情報を算出し、これらによ
って前記鋼板の材質を推定するようにしたので、製造段
階で材質仕様を確実に実現可能な製造条件が設定可能で
あり、従来のように完成品に対する検査測定が不要にな
る。
【0049】請求項2の鋼板材質予測方法においては、
圧延条件に加え、加熱炉による加熱条件を入力条件に加
えるようにしたので、加熱炉を通した場合の影響を材質
予測に加味させることができ、より正確な材質予測が可
能になる。
圧延条件に加え、加熱炉による加熱条件を入力条件に加
えるようにしたので、加熱炉を通した場合の影響を材質
予測に加味させることができ、より正確な材質予測が可
能になる。
【図1】本発明による材質予測方法を示す演算フローチ
ャートである。
ャートである。
【図2】本発明が適用される鋼板製造ラインの一例を示
す設備構成図である。
す設備構成図である。
【図3】初期状態モデルの詳細処理を示すフローチャー
トである。
トである。
【図4】熱間加工モデルの詳細処理を示すフローチャー
トである。
トである。
【図5】圧延時の転位密度変化を示す特性図である。
【図6】変態モデルの詳細処理を示すフローチャートで
ある。
ある。
【図7】熱処理モデルの詳細処理を示すフローチャート
である。
である。
【図8】組織−材質モデルの詳細処理を示すフローチャ
ートである。
ートである。
【図9】本発明の実施に供した鋼の化学成分を示す説明
図である。
図である。
【図10】本発明における鋼の製造条件の一例を示す説
明図である。
明図である。
【図11】粒径・分率などの組織因子及び材質の実測値
及び本発明による予測方法による計算結果を示す説明図
である。
及び本発明による予測方法による計算結果を示す説明図
である。
1 加熱炉 2 粗圧延機 3 仕上圧延機 4 ホットレベラー 5 冷却装置 6 熱処理装置 7 加熱プロセスコンピュータ 8 圧延プロセスコンピュータ 9 冷却プロセスコンピュータ 10 熱処理プロセスコンピュータ 11 機械試験システム 12 中央制御室 15 鋼片情報 20 初期状態モデル 21 加熱条件 30 熱間加工モデル 31 圧延条件 40 変態モデル 41 冷却条件 50 熱処理モデル 51 熱処理条件 60 析出モデル 70 組織−材質モデル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 政昭 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社中央研究本部内 (72)発明者 西岡 潔 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内
Claims (2)
- 【請求項1】 連続鋳造または鋼塊法によってつくられ
た鋼片に圧延および冷却を施して製造される鋼板に対
し、前記鋼片のサイズ、成分情報および圧延条件に基づ
いて圧延後のオーステナイト粒径および平均転位密度を
算出し、この算出結果および冷却条件に基づいて変態組
織の構成各相の分率、平均生成温度およびフェライト粒
径を算出し、さらにその後の熱処理条件に基づいて最終
的な組織の分率、平均生成温度、フェライト粒径および
各元素の固溶・析出状態を算出し、これらによって前記
鋼板の材質を推定することを特徴とする鋼板の材質予測
方法。 - 【請求項2】 前記圧延条件に加え、加熱炉による加熱
条件を前記オーステナイト粒径の算出に用いることを特
徴とする請求項1記載の鋼板の材質予測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3146535A JPH0587801A (ja) | 1991-05-23 | 1991-05-23 | 鋼板の材質予測方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3146535A JPH0587801A (ja) | 1991-05-23 | 1991-05-23 | 鋼板の材質予測方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0587801A true JPH0587801A (ja) | 1993-04-06 |
Family
ID=15409847
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3146535A Pending JPH0587801A (ja) | 1991-05-23 | 1991-05-23 | 鋼板の材質予測方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0587801A (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62158816A (ja) * | 1985-12-28 | 1987-07-14 | Nippon Steel Corp | 熱間圧延鋼材の製造方法 |
-
1991
- 1991-05-23 JP JP3146535A patent/JPH0587801A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62158816A (ja) * | 1985-12-28 | 1987-07-14 | Nippon Steel Corp | 熱間圧延鋼材の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19960402 |