JPH0569886B2 - - Google Patents
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- JPH0569886B2 JPH0569886B2 JP1318342A JP31834289A JPH0569886B2 JP H0569886 B2 JPH0569886 B2 JP H0569886B2 JP 1318342 A JP1318342 A JP 1318342A JP 31834289 A JP31834289 A JP 31834289A JP H0569886 B2 JPH0569886 B2 JP H0569886B2
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- Control Of Heat Treatment Processes (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、熱延鋼板の冷却制御方法に係り、よ
り詳しくは、熱延鋼板全長やロツト間にわたつて
安定した材質を得るために、或いは所望の材質を
得るために、鋼板の冷却停止温度、冷却速度、或
いは冷却パターン、更には巻取温度などを目標ど
おりに厳密に制御しながら冷却する方法に関する
ものである。 (従来の技術及び解決しようとする課題) 熱延ストリツプなどの鋼板を、目標とする冷却
条件で冷却するためには、温度計算により必要冷
却水量と注水バルブを正確に決定する必要があ
る。 このためには、連続冷却途中の各温度における
比熱、変態発熱量、水冷熱伝達率、輻射熱伝達率
などの材料物性値を精度よく予測できていること
が前提となる。 従来、この冷却時の温度制御精度に大きな影響
を及ぼす一つの因子である比熱、変態発熱量につ
いては、これらの物性値が鋼板の温度によつて
刻々と変化するため、その取り扱いが技術的に難
しかつた。また、鋼板の冷却速度も、材質に大き
な影響を及ぼさない程度であつたため、物性値を
厳密に取り扱う必要性は小さく、一定の比熱を冷
却温度区間にわたつて用いる場合が多かつた。 しかし、一定の等価比熱を用いると、冷却途中
では実際の比熱と計算に用いている比熱が異なつ
ているため、冷却途中の被冷却材の実際温度を予
測することはできない。そして、これに対応して
被冷却材の表面温度の関数である熱伝達率が異な
つてくるため、冷却停止温度や巻取温度が目標値
から外れ、特に、変態発熱量の大きい高強度材で
はその誤差が大きくなる。更に、冷却過程におけ
る冷却速度の制御が不可能となる。 したがつて、このため、一定の比熱では、任意
の鋼について鋼板全長に亘り均一の材質を作り込
むとか、複雑な組織にして特異な特性を安定して
得るということがなされ得なかつた。 省合金、鋼種統合、在庫削減、コストダウン等
を行う目的で、緩急自在冷却する中で強冷却、低
温巻取が行われようとされつつある咋今、所望の
材質を得ることを目的として、このような冷却制
御を行うためには、連続冷却途中の各温度におけ
る比熱、変態発熱量などの材料性値に基づいて、
抜熱量を求めるための温度計算をする必要があ
る。 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決
し、制御の応答性よく、制御温度精度を損なうこ
となく極めて有効に熱延鋼板の冷却時の温度を制
御できる方法を提供することにある。 また、本発明の他の目的は、極めて簡単にオン
ラインでの巻取温度制御が可能であり、かつ、制
御の応答性よく、制御温度精度を損なうことなく
極めて有効に熱延鋼板の巻取時の温度を制御でき
る方法を提供することにある。 (課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者は、鋼板の
冷却制御に当たり鋼板の抜熱を計算する際の種々
の要因並びに対策について鋭意研究を重ねた。 その結果、断熱、恒温状態で実用鋼の比熱を測
定することにより、平衡状態での各温度における
比熱、変態発熱量を極めて簡単に一般化して求め
ることができることを見い出した。更に、この事
実を、冷却過程に適用するに際し、冷却時に生じ
る組織変態の温度区間において独自のモデル比を
行うことで、冷却途中の温度が精度良く制御でき
るように冷却過程の比熱、変態発熱量の物性値を
温度計算式に反映させることに成功し、ここに以
下の本発明をなしたものである。 すなわち、本発明に係る熱延鋼板の冷却制御方
法(以下、「本発明1」という)は、鋼板の抜熱
を計算して温度制御しながら鋼板を冷却するに当
たり、鋼の変態開始点Tsと変態終了点Tfの間で
発生する変態発熱量を考慮して抜熱量を決定する
際に、要するに、 温度降下量の計算式において変態発熱による
温度上昇量と熱伝達による温度降下量とを分離
することを前提にし、 組織変態温度区間Ts〜Tfにおいては、その
温度区間での発熱量と比熱につき、発熱量Q
は、磁気変態に起因する発熱量Qmと組織変態
に起因する発熱量Qapに分け、Qm及びQapを
以下の式により求めた総和とし、その際、比熱
Cはオーステナイト域の比熱Cγとし、 Qm=∫Tq TfCα・dT+∫Ae3 TqC4・dT −∫Ae3 TfCγ・dT ここで、Cγ=a0+a1T Cα=a2+a3T+a4T2+a5T3 C4=a6+a7T+a8T2 Tq:キユーリ温度 Ae3:γα変態温度(平衡状態) T:温度 a0〜a8:定数 Qap=Qa+Qp ここで、Qa=a9+a10[%C] Qp=a11+a12[%C] [%C]:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 組織変態区間外のオーステナイト状態の高温
度域においては比熱Cγを用い、フエライト状
態の温度域においては比熱Cαをそれぞれ用い、
発熱量は無とする。 以上の〜の3点を条件として、鋼板を冷却
制御することを特徴とするものである。 また、更には、実ラインにおける変態点を正確
に予測したり、オンラインでそれを正確に検出す
ることが必ずしも容易ではない現状では、任意の
冷却パターンをとる任意の鋼種に対して適用する
ことが難いしことに鑑みて、任意の冷却パターン
での広範囲の成分系鋼に対して、特に巻取温度を
正確に確保できる冷却制御方法も見い出すべく、
更に研究を重ねた結果、以下の本発明をなしたも
のである。 すなわち、他の本発明に係る熱延鋼板の冷却制
御方法(以下、「本発明2」という)は、鋼板の
抜熱を計算して温度制御しながら熱延鋼板を冷却
するに当たり、 鋼板の温度計算式において変態発熱による温
度上昇量と熱伝達による温度降下量とを分離す
ることを前提とし、 連続冷却下のもとで、上限値Tsmax=Ae3
と下限値Tsmin=−250×〔%C〕+550とで定
まる範囲の温度Ts(計算値)に至るまでは、発
熱量Qと比熱Cγにつき、 Q=0 Cγ=a0+a1T として抜熱量を計算し、 温度Ts以降、巻取るまでの時間tにおいて
は、発熱量Qと比熱Cγにつき、次式の設定条
件のもとで、 t=t1+t2 0≦t1/t2≦7 ここで、t1:未変態時間 t2:発熱時間 t1までは、次式のもとで抜熱量を決定し、 Q=0 Cγ=a0+a1T t1以降、巻取るまでは、次式のもとで抜熱量
を決定し、 Q=QM+Qa+Qp Q/t2(発熱速度) Cγ=a0+a1T 但し、 QM=∫Tq CTCα・dT+∫Ae3 TqC4・dT −∫Ae3 CTCγ・dT ここで、CT:巻取温度目標値 Qa=a9+a10〔%C〕 Qp=a11+a12〔%C〕 ここで、〔%C〕:単素含有量(wt%) a9〜a12:定数 以上の〜の条件で、熱延鋼板を冷却制御す
ることを特徴とするものである。 以下に本発明を更に詳細に説明する。 (作用) 前述の如く、本発明においては、鋼板の温度計
算式において変態発熱による温度上昇と被冷却材
の表面からの熱伝達による温度降下量とを分離す
ることを前提としている。このように発熱量と比
熱に分ける理由は、発熱量が大きい鋼での冷却途
中の温度上昇を考慮するためである。したがつ
て、本発明によれば、鋼板の温度計算において、
従来より用いられている熱伝達による温度降下量
計算式に、変態発熱による温度上昇(変態発熱
量、比熱)を反映させることにより、より高精度
の温度制御が可能となる。 そして、本発明では、鋼板の抜熱量を計算して
温度制御する手法として、以下に説明するとお
り、2通りの手法を採用している。 (1) 第1の手法(本発明1) 第1の手法は、平衡状態の比熱−温度曲線か
らモデル化した比熱Cと変態発熱Q(組織変態
と磁気変態に基づく発熱)を、γ→α変態開始
まで、変態中、そして変態終了以降のそれぞれ
の温度領域においてC、Qを使い分けて、温度
計算式に付与する方式である。これにより、特
定の冷却パターンと幾つかの鋼種において極め
て精度よく温度制御ができる。 すなわち、まず、発熱量に関し、更に組織変
態温度区間(Ts〜Tf)内における発熱量Qを、
磁気変態に起因する発熱量Qmと組織変態に起
因する発熱量Qapに分けて求めるが、その理由
は、変態発熱量が化学成分だけの簡単な関数で
極めて精度よく求められることに基づくもので
ある。 磁気変態に起因する発熱量Qmは、温度の
高々3次の関数とした比熱Cを、組織変態終了
温度TfからAe3までをキユーリ温度Tqを境に
区分して積分することにより、任意の実用鋼の
組織変態区間中の磁気だけに起因する発熱量を
正確に求められるものである。 具体的には、次式により求めることができ
る。 Qm=∫Tq TfCα・dT+∫Ae3TqC4・dT −∫Ae3 TfCγ・dT ここで、Cγ=a0+a1T Cα=a2+a3T+a4T2+a5T3 C4=a6+a7T+a8T2 Tq:キユーリ温度 Ae3:γα変態温度(平衡状態) T:温度 a0〜a8:定数 また、組織変態に起因する発熱量Qapは、恒
温状態でのフエライト変態とパーライト変態の
組織変態による変態発熱量である。実用鋼のこ
れらの値は、変態量のみに比例するため、炭素
以外の合金元素の影響を殆ど受けない。したが
つて、炭素含有量の関数とする。 具体的には、次式により求めることができ
る。 Qap=Qa+Qp ここで、Qa=a9+a10[%C] Qp=a11+a12[%C] [%C]:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 また、組織変態区間内における比熱Cをオー
ステナイト域の比熱Cγとする理由は、発熱量
を上記のように考えると必然的に決まることで
ある。 一方、組織変態区間外のオーステナイト状態
の高温度域においては、比熱Cとして比熱Cγ
を用い、フエライト状態の温度域においては比
熱Cとして比熱Cαをそれぞれ用い、発熱量は
無とする理由は、冷却過程の変態が関与しない
領域のある温度での物性値は、平衡状態のその
値で一義的に決まることに基づくものである。 なお、本発明1における温度降下量の計算式
において、熱伝達による温度降下量の計算は従
来と同様でよく、一例を示すと以下のとおりで
ある。 −dT/dt=α/ρ・C・h(T−Tw) ここで、 α:熱伝達率 C:比熱 h:板厚 ρ:密度 Tw:水温(空冷の場合はair温度) T:温度 t:時間 また、本発明1における温度降下量の計算式
としては、従来の熱伝達による温度降下量計算
式に上述の如く変態発熱量QT、比熱Cjを考慮
すればよい。例えば、次の式を用いる。 −dT/dt=α/ρ・Cj・h(T−Tw)+QT/tT・ 1/ρ・Cγ ここで、 QT:変態発熱量(=Qm+Qap) tT:変態時間 Cγ:オーステナイト域の比熱 Cj:Cα(フエライト域の比熱)又はCγ (2) 第2の手法(本発明2) 実ラインにおける変態点を正確に予測した
り、オンラインでそれを正確に検出することが
必ずしも容易ではない現状では、任意の冷却パ
ターンをとる任意の鋼種に対して適用すること
が難しいことに鑑みて、任意の冷却パターンで
の広範囲の成分系鋼に対して、特に巻取温度を
正確に確保できる冷却制御方法(第2の手法)
を開発した。 第2の手法は、「%C」で規定される温度Ts
まで、発熱量Q=0、比熱Cγ=a0+a1Tで抜熱
量を計算して温度制御し、巻取までの時間t内
においては、未変態時間をt×(7/8)以下に抑
え、以降は巻取るまでの間にモデル式に基づい
て求められる総発熱量(QM+Qa+Qp)を付与
することにより、抜熱量を決定して温度制御す
る方式である。これにより、第1の手法による
効果のほか、更に、極めて簡単にオンラインで
の巻取温度制御が可能となる。 まず、連続冷却のもとで、上限値Tsmax=
Ae3(平衡状態でのγ=変態温度)と下限値
Tsmin=−250×〔%C〕+550で定まる範囲の
温度Ts(計算値)までを発熱量Q=0、比熱Cγ
=a0+a1Tとして抜熱量を計算して温度制御す
る理由は、実ラインにおいては、熱延鋼板の冷
却速度や〔C〕以外の合金元素が添加されてい
ることを考慮しても、γ→α変態は完了しない
領域にあるため、この範囲においてはQ=0、
Cγ=a0+a1Tとすることで、大きな影響を及ぼ
さないためである。 ここで、温度Tsの範囲は、第1図に示すよ
うに〔%C〕に応じて計算される範囲であり、
上限値TsmaxであるAe3に関しては、例えば、
〔%C〕≦0.765%の場合は、Ae3=1115−150.3
〔%C〕+216(0.765−〔%C〕)4.26−273とし、
〔%C〕>0.765%の場合は、Ae3=723とするこ
とができる。 このTs以降、巻取りまでの間に変態が完了
するという条件のもとで、Tsに達した以降、
巻取るまでの時間tにおいて、未変態時間
(t1)をtの7/8以下とする理由は、第2図に示
すように、それ以上では実績値と計算値との解
離が顕著になるためである。これは、巻取るま
での変態総発熱量(QM+Qa+Qp)を正確に求
めたうえで、変態発熱時間(t2)を、Ts以降、
巻取るまでの間でできるだけ長く見積つて温度
予測し制御することが良いということを意味し
ている。 具体的には、未変態時間(t1)までは、Q=
0、Cγ=a0+a1Tとして抜熱量を決定する。 そして、この未変態時間(t1)以降、巻取る
までは、次式のもとで抜熱量を決定し、温度制
御する。 Q=QM+Qa+Qp Q/t2(発熱速度) Cγ=a0+a1T 但し、 QM=∫TqCTCα・dT+∫Ae3TqC4・dT −∫Ae3CTCγ・dT ここで、CT:巻取温度目標値 Qa=a9+a10〔%C〕 Qp=a11+a12〔%C〕 ここで、〔%C〕:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 なお、本発明2における温度効果量の計算に
おいて、熱伝達による温度降下量の計算は従来
と同様でよく、例えば、本発明1の説明で例示
した次式を用いる。 −dT/dt=α/ρ・C・h(T−Tw ここで、 α:熱伝達率 C:比熱 h:板厚 ρ:密度 Tw:水温(空冷の場合はair温度) T:温度 t:時間 また、本発明2における温度降下量の計算式
としては、上述の如く変態発熱量QT、比熱Cj
を考慮すればよく、例えば、次式を用いる。 −dT/dt=α/ρ・Cj・h(T−Tw)+QT/tT・ 1/ρ・Cj ここで、 QT:変態発熱量(0又はQM+Ta+Qp) tT:変態時間 Cj:Cγ(オーステナイト域の比熱)又はa0+
a1T つまり、従来の熱伝達による温度降下量計算
式において、物性値Cj、QT、tTに、連続冷却下
でのその値を反映させるのである。 なお、上述の本発明1、2は、1段冷却(水
冷)、2段冷却(水冷、空冷)のいずれの場合に
も適用できることは云うまでもなく、2段冷却の
場合には、前述の温度降下量計算式中の熱伝達率
αについて水冷の場合(αw)と空冷の場合
(αair)とで使い分ける。 具体的な温度制御方法の一例について説明すれ
ば、本発明2の場合、第3図に示すように、Ts
及びt1まで温度降下量を計算した時点で、t2後の
水冷バンク#24の出側温度T24を計算し、この
T24と目標温度CTとが所定の温度差(例、3℃)
よりも大きい時はバンク#24を追加する。このバ
ンク追加により計算される出側温度T24′を求め
る。それでも出側温度T24′と目標温度CTとが所
定の温度差よりも大きい時は、更にバンク#23を
追加し、同様にして出側温度T24″を求める。温度
差が所定の差内になるまで後段の水冷バンクを追
加していき、コイル全長にわたるダイナミツクな
水冷バンクの設定を行うことにより、オンライン
で正確な温度制御ができる。 (実施例) 次に本発明の実施例を示す。 実施例 1 本例は本発明1の実施例である。 2種類の供試鋼A(C≦0.05wt%、Mn≦0.80wt
%)、B(0.05wt%≦C≦0.80wt%、Mn≧0.80wt
%)を用い、実圧延ラインにおいて自動冷却制御
実験を実施した。その際、巻取温度CTの目標温
度=650℃とし、冷却途中の温度CTMの目標温度
=500℃とした。 具体的には、比較例では、巻取温度CTまで比
熱を0.192の一定値とし、発熱量は無として温度
降下量を求めた。 一方、本発明例では、以下の点を考慮して、前
述の各式を用いて温度降下量を求めた。 まず、組織変態区間内における発熱速度は一定
とし、また、変態開始点Tsは化学成分、残留歪、
γ粒径の簡単な関係で定式化した次式により計算
した値を用いた。 Ts=AE3−(a−b/dγ)exp(−Cεr) ここで、AE3:1115−150.3[%C]+216×
(0.765−[%C])4.26−273(KirKaldyの式) dγ:オーステナイト粒径 εr:残留歪 a:1.87×102 b:0.3 C:2.7 また、変態終了点Tfも、便宜的に、一定の値
(CT+20℃)を与えた。 なお、本例に用いた温度計算式に組み入れた比
熱、変態発熱量の計算式の係数の値を以下に示
す。 a0:0.140、 a1:1.58×10-5、 a2:9.367×10-2、 a3:3.623×-4 a4:−1.153×10-6 a5:1.299×10-9 a6:10.943 a7:−2.530×10-2 a8:1.483×10-5 a9:4.2 a10:−7.37 a11:0.0 a12:22.86 第1表は、上記自動冷却制御において目標温度
(巻取温度CTの目標値=650℃、冷却途中の中間
温度CTMの目標値=500℃)に対するそれぞれの
温度実績の精度(偏差値)を示したものである。 同表より、本発明方法によると、鋼種によらず
に、巻取温度CTのみならず冷却途中の中間温度
CTMも、比較例に比べて目標値に対し良い実績
が得られていることがわかる。
り詳しくは、熱延鋼板全長やロツト間にわたつて
安定した材質を得るために、或いは所望の材質を
得るために、鋼板の冷却停止温度、冷却速度、或
いは冷却パターン、更には巻取温度などを目標ど
おりに厳密に制御しながら冷却する方法に関する
ものである。 (従来の技術及び解決しようとする課題) 熱延ストリツプなどの鋼板を、目標とする冷却
条件で冷却するためには、温度計算により必要冷
却水量と注水バルブを正確に決定する必要があ
る。 このためには、連続冷却途中の各温度における
比熱、変態発熱量、水冷熱伝達率、輻射熱伝達率
などの材料物性値を精度よく予測できていること
が前提となる。 従来、この冷却時の温度制御精度に大きな影響
を及ぼす一つの因子である比熱、変態発熱量につ
いては、これらの物性値が鋼板の温度によつて
刻々と変化するため、その取り扱いが技術的に難
しかつた。また、鋼板の冷却速度も、材質に大き
な影響を及ぼさない程度であつたため、物性値を
厳密に取り扱う必要性は小さく、一定の比熱を冷
却温度区間にわたつて用いる場合が多かつた。 しかし、一定の等価比熱を用いると、冷却途中
では実際の比熱と計算に用いている比熱が異なつ
ているため、冷却途中の被冷却材の実際温度を予
測することはできない。そして、これに対応して
被冷却材の表面温度の関数である熱伝達率が異な
つてくるため、冷却停止温度や巻取温度が目標値
から外れ、特に、変態発熱量の大きい高強度材で
はその誤差が大きくなる。更に、冷却過程におけ
る冷却速度の制御が不可能となる。 したがつて、このため、一定の比熱では、任意
の鋼について鋼板全長に亘り均一の材質を作り込
むとか、複雑な組織にして特異な特性を安定して
得るということがなされ得なかつた。 省合金、鋼種統合、在庫削減、コストダウン等
を行う目的で、緩急自在冷却する中で強冷却、低
温巻取が行われようとされつつある咋今、所望の
材質を得ることを目的として、このような冷却制
御を行うためには、連続冷却途中の各温度におけ
る比熱、変態発熱量などの材料性値に基づいて、
抜熱量を求めるための温度計算をする必要があ
る。 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決
し、制御の応答性よく、制御温度精度を損なうこ
となく極めて有効に熱延鋼板の冷却時の温度を制
御できる方法を提供することにある。 また、本発明の他の目的は、極めて簡単にオン
ラインでの巻取温度制御が可能であり、かつ、制
御の応答性よく、制御温度精度を損なうことなく
極めて有効に熱延鋼板の巻取時の温度を制御でき
る方法を提供することにある。 (課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者は、鋼板の
冷却制御に当たり鋼板の抜熱を計算する際の種々
の要因並びに対策について鋭意研究を重ねた。 その結果、断熱、恒温状態で実用鋼の比熱を測
定することにより、平衡状態での各温度における
比熱、変態発熱量を極めて簡単に一般化して求め
ることができることを見い出した。更に、この事
実を、冷却過程に適用するに際し、冷却時に生じ
る組織変態の温度区間において独自のモデル比を
行うことで、冷却途中の温度が精度良く制御でき
るように冷却過程の比熱、変態発熱量の物性値を
温度計算式に反映させることに成功し、ここに以
下の本発明をなしたものである。 すなわち、本発明に係る熱延鋼板の冷却制御方
法(以下、「本発明1」という)は、鋼板の抜熱
を計算して温度制御しながら鋼板を冷却するに当
たり、鋼の変態開始点Tsと変態終了点Tfの間で
発生する変態発熱量を考慮して抜熱量を決定する
際に、要するに、 温度降下量の計算式において変態発熱による
温度上昇量と熱伝達による温度降下量とを分離
することを前提にし、 組織変態温度区間Ts〜Tfにおいては、その
温度区間での発熱量と比熱につき、発熱量Q
は、磁気変態に起因する発熱量Qmと組織変態
に起因する発熱量Qapに分け、Qm及びQapを
以下の式により求めた総和とし、その際、比熱
Cはオーステナイト域の比熱Cγとし、 Qm=∫Tq TfCα・dT+∫Ae3 TqC4・dT −∫Ae3 TfCγ・dT ここで、Cγ=a0+a1T Cα=a2+a3T+a4T2+a5T3 C4=a6+a7T+a8T2 Tq:キユーリ温度 Ae3:γα変態温度(平衡状態) T:温度 a0〜a8:定数 Qap=Qa+Qp ここで、Qa=a9+a10[%C] Qp=a11+a12[%C] [%C]:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 組織変態区間外のオーステナイト状態の高温
度域においては比熱Cγを用い、フエライト状
態の温度域においては比熱Cαをそれぞれ用い、
発熱量は無とする。 以上の〜の3点を条件として、鋼板を冷却
制御することを特徴とするものである。 また、更には、実ラインにおける変態点を正確
に予測したり、オンラインでそれを正確に検出す
ることが必ずしも容易ではない現状では、任意の
冷却パターンをとる任意の鋼種に対して適用する
ことが難いしことに鑑みて、任意の冷却パターン
での広範囲の成分系鋼に対して、特に巻取温度を
正確に確保できる冷却制御方法も見い出すべく、
更に研究を重ねた結果、以下の本発明をなしたも
のである。 すなわち、他の本発明に係る熱延鋼板の冷却制
御方法(以下、「本発明2」という)は、鋼板の
抜熱を計算して温度制御しながら熱延鋼板を冷却
するに当たり、 鋼板の温度計算式において変態発熱による温
度上昇量と熱伝達による温度降下量とを分離す
ることを前提とし、 連続冷却下のもとで、上限値Tsmax=Ae3
と下限値Tsmin=−250×〔%C〕+550とで定
まる範囲の温度Ts(計算値)に至るまでは、発
熱量Qと比熱Cγにつき、 Q=0 Cγ=a0+a1T として抜熱量を計算し、 温度Ts以降、巻取るまでの時間tにおいて
は、発熱量Qと比熱Cγにつき、次式の設定条
件のもとで、 t=t1+t2 0≦t1/t2≦7 ここで、t1:未変態時間 t2:発熱時間 t1までは、次式のもとで抜熱量を決定し、 Q=0 Cγ=a0+a1T t1以降、巻取るまでは、次式のもとで抜熱量
を決定し、 Q=QM+Qa+Qp Q/t2(発熱速度) Cγ=a0+a1T 但し、 QM=∫Tq CTCα・dT+∫Ae3 TqC4・dT −∫Ae3 CTCγ・dT ここで、CT:巻取温度目標値 Qa=a9+a10〔%C〕 Qp=a11+a12〔%C〕 ここで、〔%C〕:単素含有量(wt%) a9〜a12:定数 以上の〜の条件で、熱延鋼板を冷却制御す
ることを特徴とするものである。 以下に本発明を更に詳細に説明する。 (作用) 前述の如く、本発明においては、鋼板の温度計
算式において変態発熱による温度上昇と被冷却材
の表面からの熱伝達による温度降下量とを分離す
ることを前提としている。このように発熱量と比
熱に分ける理由は、発熱量が大きい鋼での冷却途
中の温度上昇を考慮するためである。したがつ
て、本発明によれば、鋼板の温度計算において、
従来より用いられている熱伝達による温度降下量
計算式に、変態発熱による温度上昇(変態発熱
量、比熱)を反映させることにより、より高精度
の温度制御が可能となる。 そして、本発明では、鋼板の抜熱量を計算して
温度制御する手法として、以下に説明するとお
り、2通りの手法を採用している。 (1) 第1の手法(本発明1) 第1の手法は、平衡状態の比熱−温度曲線か
らモデル化した比熱Cと変態発熱Q(組織変態
と磁気変態に基づく発熱)を、γ→α変態開始
まで、変態中、そして変態終了以降のそれぞれ
の温度領域においてC、Qを使い分けて、温度
計算式に付与する方式である。これにより、特
定の冷却パターンと幾つかの鋼種において極め
て精度よく温度制御ができる。 すなわち、まず、発熱量に関し、更に組織変
態温度区間(Ts〜Tf)内における発熱量Qを、
磁気変態に起因する発熱量Qmと組織変態に起
因する発熱量Qapに分けて求めるが、その理由
は、変態発熱量が化学成分だけの簡単な関数で
極めて精度よく求められることに基づくもので
ある。 磁気変態に起因する発熱量Qmは、温度の
高々3次の関数とした比熱Cを、組織変態終了
温度TfからAe3までをキユーリ温度Tqを境に
区分して積分することにより、任意の実用鋼の
組織変態区間中の磁気だけに起因する発熱量を
正確に求められるものである。 具体的には、次式により求めることができ
る。 Qm=∫Tq TfCα・dT+∫Ae3TqC4・dT −∫Ae3 TfCγ・dT ここで、Cγ=a0+a1T Cα=a2+a3T+a4T2+a5T3 C4=a6+a7T+a8T2 Tq:キユーリ温度 Ae3:γα変態温度(平衡状態) T:温度 a0〜a8:定数 また、組織変態に起因する発熱量Qapは、恒
温状態でのフエライト変態とパーライト変態の
組織変態による変態発熱量である。実用鋼のこ
れらの値は、変態量のみに比例するため、炭素
以外の合金元素の影響を殆ど受けない。したが
つて、炭素含有量の関数とする。 具体的には、次式により求めることができ
る。 Qap=Qa+Qp ここで、Qa=a9+a10[%C] Qp=a11+a12[%C] [%C]:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 また、組織変態区間内における比熱Cをオー
ステナイト域の比熱Cγとする理由は、発熱量
を上記のように考えると必然的に決まることで
ある。 一方、組織変態区間外のオーステナイト状態
の高温度域においては、比熱Cとして比熱Cγ
を用い、フエライト状態の温度域においては比
熱Cとして比熱Cαをそれぞれ用い、発熱量は
無とする理由は、冷却過程の変態が関与しない
領域のある温度での物性値は、平衡状態のその
値で一義的に決まることに基づくものである。 なお、本発明1における温度降下量の計算式
において、熱伝達による温度降下量の計算は従
来と同様でよく、一例を示すと以下のとおりで
ある。 −dT/dt=α/ρ・C・h(T−Tw) ここで、 α:熱伝達率 C:比熱 h:板厚 ρ:密度 Tw:水温(空冷の場合はair温度) T:温度 t:時間 また、本発明1における温度降下量の計算式
としては、従来の熱伝達による温度降下量計算
式に上述の如く変態発熱量QT、比熱Cjを考慮
すればよい。例えば、次の式を用いる。 −dT/dt=α/ρ・Cj・h(T−Tw)+QT/tT・ 1/ρ・Cγ ここで、 QT:変態発熱量(=Qm+Qap) tT:変態時間 Cγ:オーステナイト域の比熱 Cj:Cα(フエライト域の比熱)又はCγ (2) 第2の手法(本発明2) 実ラインにおける変態点を正確に予測した
り、オンラインでそれを正確に検出することが
必ずしも容易ではない現状では、任意の冷却パ
ターンをとる任意の鋼種に対して適用すること
が難しいことに鑑みて、任意の冷却パターンで
の広範囲の成分系鋼に対して、特に巻取温度を
正確に確保できる冷却制御方法(第2の手法)
を開発した。 第2の手法は、「%C」で規定される温度Ts
まで、発熱量Q=0、比熱Cγ=a0+a1Tで抜熱
量を計算して温度制御し、巻取までの時間t内
においては、未変態時間をt×(7/8)以下に抑
え、以降は巻取るまでの間にモデル式に基づい
て求められる総発熱量(QM+Qa+Qp)を付与
することにより、抜熱量を決定して温度制御す
る方式である。これにより、第1の手法による
効果のほか、更に、極めて簡単にオンラインで
の巻取温度制御が可能となる。 まず、連続冷却のもとで、上限値Tsmax=
Ae3(平衡状態でのγ=変態温度)と下限値
Tsmin=−250×〔%C〕+550で定まる範囲の
温度Ts(計算値)までを発熱量Q=0、比熱Cγ
=a0+a1Tとして抜熱量を計算して温度制御す
る理由は、実ラインにおいては、熱延鋼板の冷
却速度や〔C〕以外の合金元素が添加されてい
ることを考慮しても、γ→α変態は完了しない
領域にあるため、この範囲においてはQ=0、
Cγ=a0+a1Tとすることで、大きな影響を及ぼ
さないためである。 ここで、温度Tsの範囲は、第1図に示すよ
うに〔%C〕に応じて計算される範囲であり、
上限値TsmaxであるAe3に関しては、例えば、
〔%C〕≦0.765%の場合は、Ae3=1115−150.3
〔%C〕+216(0.765−〔%C〕)4.26−273とし、
〔%C〕>0.765%の場合は、Ae3=723とするこ
とができる。 このTs以降、巻取りまでの間に変態が完了
するという条件のもとで、Tsに達した以降、
巻取るまでの時間tにおいて、未変態時間
(t1)をtの7/8以下とする理由は、第2図に示
すように、それ以上では実績値と計算値との解
離が顕著になるためである。これは、巻取るま
での変態総発熱量(QM+Qa+Qp)を正確に求
めたうえで、変態発熱時間(t2)を、Ts以降、
巻取るまでの間でできるだけ長く見積つて温度
予測し制御することが良いということを意味し
ている。 具体的には、未変態時間(t1)までは、Q=
0、Cγ=a0+a1Tとして抜熱量を決定する。 そして、この未変態時間(t1)以降、巻取る
までは、次式のもとで抜熱量を決定し、温度制
御する。 Q=QM+Qa+Qp Q/t2(発熱速度) Cγ=a0+a1T 但し、 QM=∫TqCTCα・dT+∫Ae3TqC4・dT −∫Ae3CTCγ・dT ここで、CT:巻取温度目標値 Qa=a9+a10〔%C〕 Qp=a11+a12〔%C〕 ここで、〔%C〕:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 なお、本発明2における温度効果量の計算に
おいて、熱伝達による温度降下量の計算は従来
と同様でよく、例えば、本発明1の説明で例示
した次式を用いる。 −dT/dt=α/ρ・C・h(T−Tw ここで、 α:熱伝達率 C:比熱 h:板厚 ρ:密度 Tw:水温(空冷の場合はair温度) T:温度 t:時間 また、本発明2における温度降下量の計算式
としては、上述の如く変態発熱量QT、比熱Cj
を考慮すればよく、例えば、次式を用いる。 −dT/dt=α/ρ・Cj・h(T−Tw)+QT/tT・ 1/ρ・Cj ここで、 QT:変態発熱量(0又はQM+Ta+Qp) tT:変態時間 Cj:Cγ(オーステナイト域の比熱)又はa0+
a1T つまり、従来の熱伝達による温度降下量計算
式において、物性値Cj、QT、tTに、連続冷却下
でのその値を反映させるのである。 なお、上述の本発明1、2は、1段冷却(水
冷)、2段冷却(水冷、空冷)のいずれの場合に
も適用できることは云うまでもなく、2段冷却の
場合には、前述の温度降下量計算式中の熱伝達率
αについて水冷の場合(αw)と空冷の場合
(αair)とで使い分ける。 具体的な温度制御方法の一例について説明すれ
ば、本発明2の場合、第3図に示すように、Ts
及びt1まで温度降下量を計算した時点で、t2後の
水冷バンク#24の出側温度T24を計算し、この
T24と目標温度CTとが所定の温度差(例、3℃)
よりも大きい時はバンク#24を追加する。このバ
ンク追加により計算される出側温度T24′を求め
る。それでも出側温度T24′と目標温度CTとが所
定の温度差よりも大きい時は、更にバンク#23を
追加し、同様にして出側温度T24″を求める。温度
差が所定の差内になるまで後段の水冷バンクを追
加していき、コイル全長にわたるダイナミツクな
水冷バンクの設定を行うことにより、オンライン
で正確な温度制御ができる。 (実施例) 次に本発明の実施例を示す。 実施例 1 本例は本発明1の実施例である。 2種類の供試鋼A(C≦0.05wt%、Mn≦0.80wt
%)、B(0.05wt%≦C≦0.80wt%、Mn≧0.80wt
%)を用い、実圧延ラインにおいて自動冷却制御
実験を実施した。その際、巻取温度CTの目標温
度=650℃とし、冷却途中の温度CTMの目標温度
=500℃とした。 具体的には、比較例では、巻取温度CTまで比
熱を0.192の一定値とし、発熱量は無として温度
降下量を求めた。 一方、本発明例では、以下の点を考慮して、前
述の各式を用いて温度降下量を求めた。 まず、組織変態区間内における発熱速度は一定
とし、また、変態開始点Tsは化学成分、残留歪、
γ粒径の簡単な関係で定式化した次式により計算
した値を用いた。 Ts=AE3−(a−b/dγ)exp(−Cεr) ここで、AE3:1115−150.3[%C]+216×
(0.765−[%C])4.26−273(KirKaldyの式) dγ:オーステナイト粒径 εr:残留歪 a:1.87×102 b:0.3 C:2.7 また、変態終了点Tfも、便宜的に、一定の値
(CT+20℃)を与えた。 なお、本例に用いた温度計算式に組み入れた比
熱、変態発熱量の計算式の係数の値を以下に示
す。 a0:0.140、 a1:1.58×10-5、 a2:9.367×10-2、 a3:3.623×-4 a4:−1.153×10-6 a5:1.299×10-9 a6:10.943 a7:−2.530×10-2 a8:1.483×10-5 a9:4.2 a10:−7.37 a11:0.0 a12:22.86 第1表は、上記自動冷却制御において目標温度
(巻取温度CTの目標値=650℃、冷却途中の中間
温度CTMの目標値=500℃)に対するそれぞれの
温度実績の精度(偏差値)を示したものである。 同表より、本発明方法によると、鋼種によらず
に、巻取温度CTのみならず冷却途中の中間温度
CTMも、比較例に比べて目標値に対し良い実績
が得られていることがわかる。
【表】
実施例 2
本例は本発明2の実施例である。
4種類の供試鋼A(C:0.14wt%、Mn:1.0wt
%)、B(C:0.4wt%、Mn:0.75wt%、Mo:
0.2wt%)、C(C:6.5wt%、Mn:0.45wt%、
Cr:0.3wt%)、D(C:0.90wt%、Mn:0.65wt
%)を用いて、実圧延ラインにおいて自動冷却制
御実験を実施した。その際、巻取温度の実績値
は、450〜680℃の範囲である。 本発明例では、Ts(Q=0、Cγ=a0+a2Tとし
て温度計算して制御する温度範囲)は、第1図に
斜線で示した範囲内とし、t1/t2(Ts以降巻取ま
での時間に占める変態時間の比)は7以下の条件
のもとで、また比較例ではそれらの範囲外の条件
のもとで、それぞれ、実ラインにおいて冷却制御
を行つた。 なお、計算式は本発明2の説明で示した式を用
い、その際の定数は実施例1の場合の値を利用し
た。 巻取温度の計算値と実績値との差を第2表に示
す。 同表より、本発明例によれば、比較例に比べ、
各種鋼板において精度よく巻取温度が確保されて
いることがわかる。しかも、実施例1の場合より
も巻取温度制御の精度が向上している。
%)、B(C:0.4wt%、Mn:0.75wt%、Mo:
0.2wt%)、C(C:6.5wt%、Mn:0.45wt%、
Cr:0.3wt%)、D(C:0.90wt%、Mn:0.65wt
%)を用いて、実圧延ラインにおいて自動冷却制
御実験を実施した。その際、巻取温度の実績値
は、450〜680℃の範囲である。 本発明例では、Ts(Q=0、Cγ=a0+a2Tとし
て温度計算して制御する温度範囲)は、第1図に
斜線で示した範囲内とし、t1/t2(Ts以降巻取ま
での時間に占める変態時間の比)は7以下の条件
のもとで、また比較例ではそれらの範囲外の条件
のもとで、それぞれ、実ラインにおいて冷却制御
を行つた。 なお、計算式は本発明2の説明で示した式を用
い、その際の定数は実施例1の場合の値を利用し
た。 巻取温度の計算値と実績値との差を第2表に示
す。 同表より、本発明例によれば、比較例に比べ、
各種鋼板において精度よく巻取温度が確保されて
いることがわかる。しかも、実施例1の場合より
も巻取温度制御の精度が向上している。
【表】
【表】
(発明の効果)
以上詳述したように、本発明1によれば、鋼板
の抜熱を計算して温度制御しながら鋼板を制御す
るに当たり、被冷却材の熱伝達と分離して変態発
熱量を考慮し、しかもその際に発熱量を磁気変態
に起因するものと組織変態に起因するもとのに区
分すると共に、冷却区間毎に固有の比熱を用い、
且つ変態区間外(オーステナイト状態の高温度域
とフエライト状態の温度域)での発熱量を無とし
て、抜熱量を求めるので、温度計算の精度が良
く、比較的簡単な計算であるため、制御の応答性
が良く、しかも温度制御精度が極めて良好であ
る。 また、本発明2によれば、〔%C〕で規定され
る温度Tsまでは、発熱量Q=0、比熱Cγ=a0+
a1Tで抜熱量を計算して温度制御し、巻取るまで
の時間t内においては、未変態時間をt×(7/8)
以下に抑え、以降は巻取るまでの間にモデル式に
基づいて求められる総発熱量(QM+Qa+Qp)を
付与することにより、抜熱量を決定して温度制御
するので、任意の冷却パターンの広範囲の成分系
鋼に対して、極めて精度よく巻取温度を確保でき
る。 したがつて、任意の鋼種について鋼板全長にわ
たり均一の材質の鋼板を得ることができ、或いは
特異な特性を安定して得ることが可能となり、更
には極めて簡単にオンラインでの巻取温度制御が
できる等、顕著な効果が得られる。
の抜熱を計算して温度制御しながら鋼板を制御す
るに当たり、被冷却材の熱伝達と分離して変態発
熱量を考慮し、しかもその際に発熱量を磁気変態
に起因するものと組織変態に起因するもとのに区
分すると共に、冷却区間毎に固有の比熱を用い、
且つ変態区間外(オーステナイト状態の高温度域
とフエライト状態の温度域)での発熱量を無とし
て、抜熱量を求めるので、温度計算の精度が良
く、比較的簡単な計算であるため、制御の応答性
が良く、しかも温度制御精度が極めて良好であ
る。 また、本発明2によれば、〔%C〕で規定され
る温度Tsまでは、発熱量Q=0、比熱Cγ=a0+
a1Tで抜熱量を計算して温度制御し、巻取るまで
の時間t内においては、未変態時間をt×(7/8)
以下に抑え、以降は巻取るまでの間にモデル式に
基づいて求められる総発熱量(QM+Qa+Qp)を
付与することにより、抜熱量を決定して温度制御
するので、任意の冷却パターンの広範囲の成分系
鋼に対して、極めて精度よく巻取温度を確保でき
る。 したがつて、任意の鋼種について鋼板全長にわ
たり均一の材質の鋼板を得ることができ、或いは
特異な特性を安定して得ることが可能となり、更
には極めて簡単にオンラインでの巻取温度制御が
できる等、顕著な効果が得られる。
第1図はTsの温度範囲と〔%C〕の関係を示
す図、第2図はTs以降、巻取までの時間に占め
る未変態時間の割合を示す図、第3図は本発明2
の具体的な温度制御方法を説明する図である。
す図、第2図はTs以降、巻取までの時間に占め
る未変態時間の割合を示す図、第3図は本発明2
の具体的な温度制御方法を説明する図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鋼板の抜熱を計算して温度制御しながら熱延
鋼板を冷却するに当たり、 温度降下量の計算式において変態発熱による
温度上昇量と熱伝達による温度降下量とを分離
することを前提にし、 組織変態温度区間Ts〜Tfにおいては、その
温度区間での発熱量と比熱につき、発熱量Q
は、磁気変態に起因する発熱量Qmと組織変態
に起因する発熱量Qapに分け、Qm及びQapを
以下の式により求めた総和とし、その際、比熱
Cはオーステナイト域の比熱Cγとし、 Qm=∫Tq TfCα・dT+∫Ae3 TqC4・dT −∫Ae3 TfCγ・dT ここで、Cγ=a0+a1T Cα=a2+a3T+a4T2+a5T3 C4=a6+a7T+a8T2 Tq:キユーリ温度 Ae3:γα変態温度(平衡状態) T:温度 a0〜a8:定数 Qap=Qa+Qp ここで、Qa=a9+a10×[%C] Qp=a11+a12×[%C] [%C]:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 組織変態区間外のオーステナイト状態の高温
度域においては比熱Cγを用い、フエライト状
態の温度域においては比熱Cαをそれぞれ用い、
発熱量は無とする、 の〜の3点により、鋼の変態開始点Tsと変
態終了点Tfの間で発生する変態発熱量を考慮し
て抜熱量を決定して、鋼板を冷却制御することを
特徴とする鋼板の冷却制御方法。 2 鋼板の抜熱を計算して温度制御しながら熱延
鋼板を冷却するに当たり、 鋼板の温度計算式において変態発熱による温
度上昇量と熱伝達による温度降下量とを分離す
ることを前提とし、 連続冷却下のもとで、上限値Tsmax=Ae3
と下限値Tsmin=−250×〔%C〕+550とで定
まる範囲の温度Ts(計算値)に至るまでは、発
熱量Qと比熱Cγにつき、 Q=0 Cγ=a0+a1T として抜熱量を計算し、 温度Ts以降、巻取るまでの時間tにおいて
は、発熱量Qと比熱Cγにつき、次式の設定条
件のもとで、 t=t1+t2 0≦t1/t2≦7 ここで、t1:未変態時間 t2:発熱時間 t1までは、次式のもとで抜熱量を決定し、 Q=0 Cγ=a0+a1T t1以降、巻取るまでは、次式のもとで抜熱量
を決定し、 Q=QM+Qa+Qp Q/t2(発熱速度) Cγ=a0+a1T 但し、 QM=∫Tq CTCα・dT+∫Ae3 TqC4・dT −∫Ae3 CTCγ・dT ここで、CT:巻取温度目標値 Qa=a9+a10〔%C〕 Qp=a11+a12〔%C〕 ここで、〔%C〕:炭素含有量(wt%) a9〜a12:定数 以上の〜の条件で、熱延鋼板を冷却制御す
ることを特徴とする熱延鋼板の冷却制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1318342A JPH02258932A (ja) | 1988-12-09 | 1989-12-07 | 熱延鋼板の冷却制御方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31168288 | 1988-12-09 | ||
JP63-311682 | 1988-12-09 | ||
JP1318342A JPH02258932A (ja) | 1988-12-09 | 1989-12-07 | 熱延鋼板の冷却制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02258932A JPH02258932A (ja) | 1990-10-19 |
JPH0569886B2 true JPH0569886B2 (ja) | 1993-10-04 |
Family
ID=18020201
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1318342A Granted JPH02258932A (ja) | 1988-12-09 | 1989-12-07 | 熱延鋼板の冷却制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH02258932A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5610819B2 (ja) * | 2010-04-02 | 2014-10-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 変態発熱量を考慮した鋼板の温度予測方法 |
-
1989
- 1989-12-07 JP JP1318342A patent/JPH02258932A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02258932A (ja) | 1990-10-19 |
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