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JPH05271097A - アクレアシン類の可溶化剤および医薬組成物 - Google Patents

アクレアシン類の可溶化剤および医薬組成物

Info

Publication number
JPH05271097A
JPH05271097A JP4261285A JP26128592A JPH05271097A JP H05271097 A JPH05271097 A JP H05271097A JP 4261285 A JP4261285 A JP 4261285A JP 26128592 A JP26128592 A JP 26128592A JP H05271097 A JPH05271097 A JP H05271097A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aculeacin
composition
group
acreasins
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4261285A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Endo
健 遠藤
Hideo Sakakibara
秀夫 榊原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Publication of JPH05271097A publication Critical patent/JPH05271097A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明はアクレアシン類とグリチルリチン類
とを含有することを特徴とするアクレアシン類水性組成
物またはその乾燥組成物である。また、上記組成物にア
クレアシン類の可溶化を高めるための溶解補助剤として
サリチル酸ナトリウムまたは安息香酸ナトリウムを添加
してなる組成物である。さらにまた、本発明は、上記組
成物を輪液に溶解したときに白濁を防止するために、上
記組成物にアミノ酸を添加してなる組成物である。 【効果】 水に難溶性であるアクレアシン類の対して、
可溶化剤としてグリチルリチン類を用いることにより、
安全性が高く、可溶化された水性組成物またはその乾燥
組成物を提供することが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクレアシン類の可溶
化剤及び医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクレアシン類は、アスペルギルス属に
属する微生物により生産され、抗真菌作用を有する抗生
物質として知られている(特公昭59−20350号公
報、特公昭59−20351号公報、特公昭59−20
352号公報、特公昭59−20353号公報)。また
ニューモシスチス・カリニ肺炎に対する予防及び治療薬
としても期待されている〔特開平2−288837号公
報、Tetrahedron Letters,414
7−4150(1976)、Helv.Chim.Ac
ta.,62(4),1252−1267(197
9)〕。
【0003】しかしながら、アクレアシン類は水に極め
て難溶であり、水溶液中で均一に分散し、肉眼的に完全
に澄明な状態になるまでに可溶化することは困難であ
る。このため従来可溶化方法としてはアルコール、多価
アルコール、コール酸類等の可溶化剤が用いられていた
(特開平2−288837号公報)。これらの方法で
は、可溶化した後、生理食塩水等で希釈した場合、白濁
することがあるので、さらに非イオン性界面活性剤、例
えば、HCO−60、TWEEN−80などの添加が必
要である。一方、非イオン性界面活性剤単独での可溶化
は困難であった。さらに上記の界面活性剤などの溶解補
助剤の添加では、安全性の面でも問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにアクレアシ
ン類を可溶化するためには、アルコール、多価アルコー
ル、コール酸類、非イオン界面活性剤等の使用が必須で
あったが、安全性の面で問題があった。従って、本発明
は、安全で、安定なアクレアシン類組成物の提供を目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の問題点を解決すべ
く、可溶化方法について鋭意研究した結果、意外にもグ
リチルリチン類を可溶化剤として用いることにより、安
全性が高く効率的にアクレアシン類を可溶化ができる組
成物を得ることが可能となった。しかも、その組成物は
保存安定性にも優れていることを見出した。
【0006】すなわち、本発明は、グリチルリチン類を
有効成分とするアクレアシン類の可溶化剤を提供するも
のである。また、本発明は、アクレアシン類とグリチル
リチン類とを含有することを特徴とするアクレアシン類
水性組成物またはその乾燥組成物を提供するものであ
る。本発明者は、さらに、アクレアシン類の可溶化力を
高めるために溶解補助剤の検討を行ったところ、驚くべ
きことにサリチル酸ナトリウムまたは安息香酸ナトリウ
ムを上記組成物に添加することにより、アクレアシン類
の溶解量が著しく増量することを見出した。
【0007】すなわち、本発明は、アクレアシン類とグ
リチルリチン類とサリチル酸ナトリウムまたは安息香酸
ナトリウムとを含有することを特徴とするアクレアシン
類水性組成物またはその乾燥組成物を提供するものであ
る。一般に、医薬品を投与する方法としては、静脈内、
筋肉内、皮内および皮下投与などが考えられ、静脈内投
与する場合、医薬品を輸液に混ぜた後、静脈内投与する
方法が使用頻度の最も高い方法の一つであるが、本発明
者は、さらに、上記アクレアシン類組成物の投与方法に
ついて検討を行ない、上記組成物を輸液に混ぜたとこ
ろ、可溶化剤の含有量が著しく少量の場合は、混ぜた後
に白濁が見られた。この白濁を防止するために、種々検
討を加えた結果、上記組成物に特定のアミノ酸、例えば
グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン塩酸塩など
を添加することにより白濁が防げることを見出した。
【0008】すなわち、本発明は、アクレアシン類とグ
リチルリチン類とアミノ酸とを含有することを特徴とす
るアクレアシン類水性組成物またはその乾燥組成物を提
供するものである。ここで本発明にいう可溶化とは、ア
クレアシン類が水性溶媒中で均一に分散し、肉眼的に完
全に澄明な状態になることをいう。この水性溶媒として
は蒸留水が好適な例として挙げられる。さらにこれに適
宜塩類、糖類や酸などが添加されていてもよく、これら
の例として注射用蒸留水、生理食塩液、糖液、緩衝液等
が挙げられる。さらに前記の水性溶媒は毒性を示さない
限り水溶性有機溶媒、例えば少量のエタノール等を含ん
でいてもよい。本発明で水性組成物とは上記水性溶媒に
よりアクレアシン類が可溶化した溶液状の組成物を意味
し、その水性組成物は適宜常法の乾燥手段により乾燥組
成物として調製してもよい。
【0009】本発明の有効成分のアクレアシン類とは一
般式(1)
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1 −O−は長鎖飽和または不飽
和脂肪酸残基またはベンゼン環、ピリジン環、酸素原
子、イオウ原子または窒素原子を分子中に含有してもよ
い有機酸残基を示し、R2 は水素原子、分鎖を有しても
よい低級アルキル基、ベンジル基またはアミノ基がモノ
低級アルキル基またはジ低級アルキル基で置換されても
よいアミノ−低級アルキル基を示し、R3 は水素原子ま
たは−CONH2 基を示し、R4 は水素原子または水酸
基を示す)で表される物質である。
【0012】さらに、一般式(1)において、基R1
例としては、例えば、
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】などが挙げられる。また、基R2 の例とし
ては、例えば水素原子、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t
−ブチル、ペンチル、ヘキシル、3−メチルブチル、2
−エチルブチル、1−エチルブチルなどの直鎖または分
鎖状の炭素数1〜6の低級アルキル基、ベンジル基、2
−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチ
ル、2−アミノプロピル、2−アミノブチルなどのアミ
ノ−低級アルキル基、アミノ基がメチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブ
チルなどのモノ低級アルキルまたはジ低級アルキル基で
置換された2−アミノエチル、3−アミノプロピルなど
のアミノ−低級アルキル基などが挙げられる。
【0019】基R3 としては、水素原子または−CON
2 が挙げられ、基R4 としては水素原子または水酸基
が挙げられる。上記一般式(1)において、R1 −CO
−が長鎖飽和または不飽和脂肪酸残基、例えば炭素数1
4〜18(C14〜C18)であり、R2 が水素原子、R3
が水素原子、R4 が水素原子または水酸基であるアクレ
アシン誘導体が好ましく、さらに好ましい例として、R
1 −CO−がミリスチン酸残基(C14)、R4 が水酸基
で示されるアクレアシンAα、R1 −CO−がパルミチ
ン酸残基(C16)、R4が水酸基で示されるアクレアシ
ンAγ、R1 −CO−がミリスチン酸残基、R4が水素
原子で示されるアクレアシンDα、R1 −CO−がパル
ミチン酸残基、R 4 が水素原子で示されるアクレアシン
Dγが挙げられ、さらにR1 −CO−がステアリン酸残
基(C18)、R4 が水素原子で示されるエキノキャンデ
ィンC、R 1 −CO−がリノール酸残基(C18, 2重結
合2個)、R4 が水酸基で示されるエキノキャンディン
Bなども好ましい例として挙げられる。
【0020】また、グリチルリチン類は、天然の甘草か
ら抽出される成分として知られ、化粧品または甘味剤と
して幅広く用いられている。本発明で使用されるグリチ
ルリチン類とは、一般式(2)
【0021】
【化7】
【0022】(式中、R11〜R15は水素原子または適宜
の置換基を示す)で表される基本骨格を共通とする化合
物の総称であり、これらの単一の化合物またはこれらの
化合物の混合物であってもよく、具体的には18α−グ
リチルリチン酸〔上記一般式(2)におけるR11はグル
クロニル−グルクロン酸残基、R12はCOOH基、R 13
はCH3 基、R14は=O基、R15はCH3 基をそれぞれ
示す〕、18β−グリチルリチン酸(同前)、18α−
グリチルレチン酸(R11;OH基、R12;COOH基、
13;CH3 基、R14;=O基、R15;CH3 基)、1
8β−グリチルレチン酸(同前)、3β−グルクロニル
−18β−グリチルレチン酸(R11;グルクロン酸残
基、R12;COOH基、R13;CH3 基、R14;=O
基、R15;CH3 基)、カルベノキソロン(R11;CO
OCH2 CH2 COOH基、R12;COOH基、R13
CH3 基、R14;=O基、R15;CH3 基)、デオキソ
グリチルレチン酸(R11;OH基、R12;COOH基、
13;CH3 基、R14;水素原子、R15;CH3 基)、
3α−デヒドロキシグリチルレチン酸(R11;=O基、
12;COOH基、R13;CH3 基、R14;=O基、R
15;CH3 基)、ヘデラゲニン(R11;OH基、R12
CH3 基、R13;COOH基、R14;水素原子、R15
CH3 基)、11−オキソヘデラゲニン(R11;OH
基、R12;CH3 基、R13;COOH基、R14;=O
基、R15;CH2 CH基)、オレアノール酸(R11;O
H基、R12;CH3 基、R13;COOH基、R14;水素
原子、R15;CH3 基)、11−オキソオレアノール酸
(R11;OH基、R12;CH3 基、R13;COOH基、
14;=O基、R15;CH3 基)およびそれらの非毒性
塩などが例示される。
【0023】特に溶解性の高いグリチルリチン酸塩が好
ましく、その非毒性塩としてはカリウム塩、ナトリウム
塩、アンモニウム塩、ヘミサクシネートなどが例示され
る。グリチルリチン類のカルボン酸の数により、モノ、
ジ、トリ塩などとすることができ、通常、18β−グリ
チルリチン酸、同ジカリウム塩、同モノアンモニウム
塩、同ジアンモニウム塩、同ジナトリウム塩、同トリナ
トリウム塩、18β−グリチルレチン酸、カルベノキソ
ロンジナトリウムなどが好ましく使用される。本発明の
グリチルリチン類とは、上記の遊離酸、塩またはこれら
の混合物を包含する。
【0024】本発明の有効成分のアクレアシン類の使用
量は、医薬品として有効な作用(抗菌作用、生理活性作
用)を発現する量とし、一般的には成人1日あたり10
mg〜2g程度である。アクレアシン類とグリチルリチ
ン類の組成比は、アクレアシン類とグリチルリチン類の
種類およびその組合せにより異なり、各々のアクレアシ
ン類が可溶化する組成比を適宜選択すればよい。例え
ば、通常、アクレアシンAγを使用する場合、その1重
量部に対して、グリチルリチン酸ジカリウム塩は約1〜
4重量部以上、グリチルリチン酸モノアンモニウム塩で
は約2重量部以上で可溶化する。また、例えばアクレア
シンDγを使用する場合、その1重量部に対して通常グ
リチルリチン酸ジカリウム約1重量部以上で可溶化す
る。
【0025】アクレアシンの溶解量は可溶化の方法を工
夫することによりさらに増加する。例えば、超音波洗浄
器を使用して可溶化すると、使用時間に比例してアクレ
アシン類の溶解量は増加し、60分間超音波処理をした
場合、アクレアシンAγ1重量部に対してグリチルリチ
ン酸ジカリウム塩またはグリチルリチン酸モノアンモニ
ウム塩は約0.15重量部以上で可溶化する。
【0026】グリチルリチン類の添加量の上限はグリチ
ルリチン類自体が澄明な溶液となる量であり、その量は
グリチルリチン類の種類により異なるが、グリチルリチ
ン酸ジカリウム塩では85g/100ml程度である。
本発明の組成物の溶液の濃度は、適宜選択し得るが、例
えばアクレアシン類の濃度として0.001〜30%程
度、グリチルリチン類濃度はアクレアシン類が可溶化す
るのに必要な濃度であり、例えば0.001〜85%、
好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.5〜2
%が挙げられる。
【0027】本発明の組成物を製造するためには、例え
ば、上記組成のアクレアシン類とグリチルリチン類とを
混合し、必要であれば、さらに公知のpH調整剤、等張
化剤、安定化剤、増量剤、防腐剤等を適宜混合してもよ
い。混合に際しては、例えば、グリチルリチン類を前記
の水性溶媒にて溶解した溶液とアクレアシン類を混合す
るか、アクレアシン類を分散した水性溶媒と、グリチル
リチン類の乾燥または溶液を混合するか、または、それ
ぞれの組成物の構成成分の乾燥物を直接水性溶媒に混合
してもよい。
【0028】可溶化に際してその手段は特に限定されな
いが、前述したように超音波処理すると特に好ましく、
処理時間の長さに依存して溶解量は増加する。5〜12
0分間の処理時間が好ましいが、さらに好ましくは30
〜60分である。水性組成物等の溶液を調製するに際し
ては、滅菌状態の溶液、例えば滅菌蒸留水等を用いるこ
とが好ましい。また、0.22μmのメンブランフィル
ターなどによる無菌処理や、その他の加熱処理、殺菌ガ
ス等による無菌処理を行うことが好ましい。
【0029】本発明の組成物は水性組成物あるいはその
乾燥組成物のいずれでもよいが、乾燥組成物は、アクレ
アシン類が安定に保存されることから特に好ましい。乾
燥組成物を簡単に得るには、一度水性組成物とした溶液
を各種の乾燥手段により乾燥物とする方法などが挙げら
れる。乾燥手段としては、例えば、凍結乾燥、スプレー
ドライ法、減圧乾燥などが汎用されているが、特に凍結
乾燥法が好ましい。
【0030】以上の製造法を具体的に例示すると、上記
の組成の各成分を滅菌蒸留水にて可溶化した後、0.2
2μmのメンブランフィルターにより無菌濾過し、バイ
アル、アンプルなどに分注するか、または凍結乾燥する
ことにより調製し、必要により用時、注射用蒸留水など
で溶解して水性組成物とすればよい。このようにして得
られた本発明の水性または乾燥組成物は、注射剤として
用いられることが多いが、その他経口や経鼻投与用の製
剤として使用することもできる。
【0031】本発明の組成物は安全性の高いグリチルリ
チン類を用いることにより、他の可溶化剤を用いる製剤
よりも安全性の面で有利であり、さらに組成物中でのア
クレアシン類の安定性は、乾燥状態で特に熱に対する保
存安定性において優れた結果を示した。本発明において
は、アクレアシン類の可溶化力を高めるために、溶解補
助剤としてサリチル酸ナトリウムまたは安息香酸ナトリ
ウムを上記組成物に添加することにより、アクレアシン
類の溶解量が著しく増加する。
【0032】サリチル酸ナトリウムまたは安息香酸ナト
リウムを添加する場合は、グリチルリチン類1重量部に
対してサリチル酸ナトリウムは0.1重量部以上、また
安息香酸ナトリウムは2重量部以上添加することにより
用量依存的にアクレアシン類の溶解量は増える。例え
ば、グリチルリチン酸ジカリウム1重量部に対して、サ
リチル酸ナトリウム0.2重量部添加したときのアクレ
アシンAγの溶解量は、グリチルリチン酸ジカリウム1
重量部に対して約6.5重量部であるが、サリチル酸ナ
トリウムの添加量を5重量部にすると、アクレアシンの
溶解量は約3倍の18重量部まで増加する。
【0033】同様に、グリチルリチン酸ジカリウム1重
量部に対して、安息香酸ナトリウム2重量部添加したと
きのアクレアシンAγの溶解量は、グリチルリチン酸ジ
カリウム1重量部に対して約6重量部であるが、安息香
酸ナトリウムの添加量を10重量部にすると、アクレア
シンの溶解量は16重量部まで増加する。以上に述べた
アクレアシン類とグリチルリチン類を含有する水性組成
物またはその凍結乾燥組成物、あるいはアクレアシン類
とグリチルリチン類とサリチル酸ナトリウムまたは安息
香酸ナトリウムを含有する水性組成物またはその凍結乾
燥組成物の再溶解物は澄明であり、医薬品として安全に
投与できるものである。
【0034】上記のアクレアシン類組成物を公知の輸液
に混ぜたところ、可溶化剤の含有量が著しく少量の場合
は、混ぜた後に白濁が見られる。この白濁を防止するた
めに、特定のアミノ酸、例えばグルタミン酸、アスパラ
ギン酸、システイン塩酸塩を添加することにより白濁が
防止することができる。例えば、アクレアシンAγ1重
量部に対して、グリチルリチン酸ジカリウム2重量部以
下で可溶化させ、生理食塩液で50倍以上に希釈すると
白濁する。このとき、Lーアスパラギン酸、Lーグルタ
ミン酸、システイン塩酸塩などのアミノ酸を、グリチル
リチン酸ジカリウム1重量部に対して0.1重量部以上
添加すると白濁が防止できる。
【0035】上記のアミノ酸類を、アクレアシン類とグ
リチルリチン類を含有する組成物に添加してもよいし、
アクレアシン類とグリチルリチン類とサリチル酸ナトリ
ウムまたは安息香酸ナトリウムを含有する組成物に添加
してもよい。アミノ酸類の添加量は、可溶化剤の種類お
よびその使用量により異なるが、通常は可溶化剤1重量
部に対して0.1〜0.5重量部あるいは水性組成物の
約1〜2%程度含有するように使用すればよい。アミノ
酸類の添加と上記のサリチル酸ナトリウムまたは安息香
酸ナトリウムの添加順序などの限定はない。
【0036】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
【実施例1】アクレアシンAγ100mgとグリチルリ
チン酸ジカリウム(丸善化成社製)1000mgをと
り、無菌蒸留水100mlを加え、超音波洗浄器(BR
ANSON社製 Type2200型 45KHz、8
0W)にて10分間超音波処理し、可溶化させて澄明な
溶液を得た。次いで0.22μmのメンブランフィルタ
ーにより無菌濾過後、バイアルに1mlずつ分注し、凍
結乾燥を行い、窒素置換、打栓、巻き締めし、用時溶解
型凍結乾燥製剤(製剤A)を得た。
【0038】次にアクレアシンAγ100mgとデオキ
シコール酸ナトリウム(シグマ社製)1000mgをと
り、以下同様に処理し、凍結乾燥製剤(製剤B)を得
た。製剤Aおよび製剤Bを50℃に保存し、各時点で3
バイアルずつを取り出し、各々を水:アセトニトリル
(48:52)1mlにて溶解して、高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)を用いて、アクレアシンAγ含
量を測定した。
【0039】HPLC条件 カラム:内経4.6×150mm 充填剤:YMC AM−302 ODS S−5 12
0Å(YMC社製) 移動相:水:アセトニトリル(48:52) 検出:UV220nm 流速:0.8ml/min 試料:サンプルに移動相1mlを加え溶解後5μl注入 結果
【0040】
【表1】
【0041】表1に示したように、50℃2週間保存後
のアクレアシンAγ含量(残存%)は、LotAが7
2.6%、LotBが30.0%であり、デオキシコー
ル酸ナトリウムで製剤化したものに比べグルチルリチン
酸ジカリウムを用いて製剤化した方がはるかに熱に対す
る保存安定性が勝っていた。なおいずれのサンプルも水
または水:アセトニトリルの添加により澄明な溶液とな
った。
【0042】
【実施例2】アクレアシンAγ100mgにグリチルリ
チン酸ジカリウム400mgを添加し、これに無菌蒸留
水100mlを加え、攪拌し可溶化した後、0.22μ
のメンブランフィルターで無菌濾過し、無菌的に1ml
ずつアンプルに分注・熔閉し、水性注射剤を得た。
【0043】
【実施例3】グリチルリチン酸モノアンモニウム(丸善
化成社製)800mgに無菌蒸留水400mlを加え、
水酸化ナトリウム及び塩酸を用いてpHを7.0に調製
した後無菌蒸留水を加え全量を500mlとした。これ
にアクレアシンAγ100mgを添加し、超音波洗浄器
(10分間)によって可溶化させた後0.22μmのメ
ンブランフィルターにて無菌濾過後、無菌的に5mlず
つアンプルに分注し熔閉した。
【0044】
【実施例4】アクレアシンDγ50mgにグリチルリチ
ン酸ジカリウム500mgを添加し、無菌蒸留水50m
lを加え超音波洗浄器を利用し可溶化した。0.22μ
mのメンブランフィルターにて無菌濾過後、無菌的にバ
イアルに1mlずつ分注し、凍結乾燥を行い窒素充填、
打栓、巻き締めし、用時溶解型製剤を得た。
【0045】
【実施例5】アクレアシンAγ100mg、グリチルリ
チン酸ジカリウム600mg、マンニット400mgを
とり、これに無菌蒸留水100mlを加えて攪拌し可溶
化した。0.22μmのメンブランフィルターにて無菌
濾過後、無菌的に1mlずつバイアルに分注し凍結乾燥
を行い用時溶解注射剤を得た。
【0046】
【実施例6】アクレアシンAγ100mg、グリチルリ
チン酸ジカリウム500mg、グルコース500mgを
とり、これに無菌蒸留水100mlを加えて攪拌し可溶
化し、0.22μmのメンブランフィルターにて無菌濾
過後、無菌的に1mlずつアンプルに分注した。そのう
ち1本をとり、注射筒で全量吸引し500mlの点滴用
生理食塩液に加え、点滴用注射剤を得た。
【0047】
【実施例7】アクレアシンAα40mgとグリチルリチ
ン酸ジカリウム160mgをとり、無菌蒸留水40ml
を加えて攪拌し可溶化し、0.22μmのメンブランフ
ィルターにて無菌濾過後、無菌的に1mlずつバイアル
に分注し凍結乾燥を行い、用時溶解注射剤を得た。
【0048】
【実施例8】アクレアシンDα40mgとグリチルリチ
ン酸ジカリウム400mgをとり、無菌蒸留水100m
lを加え、超音波洗浄器を用いて可溶化した。0.22
μmのメンブランフィルターにて無菌濾過後、無菌的に
バイアルに1mlずつ分注し、凍結乾燥を行い、窒素充
填、打栓、巻締めし、用時溶解注射剤を得た。
【0049】
【実施例9】アクレアシンAγ500mgとグリチルリ
チン酸ジカリウム200mgをとり、無菌蒸留水20m
lを加え、超音波洗浄器(60分)を用いて可溶化し
た。0.22μmのメンブランフィルターにて無菌濾過
後、無菌的にバイアルに0.5mlずつ分注し、凍結乾
燥を行い、用時溶解注射剤を得た。
【0050】
【実施例10】アクレアシンAγ1500mg、グリチ
ルリチン酸ジカリウム100mg及びサリチル酸ナトリ
ウム500mgをとり、無菌蒸留水10mlを加え、超
音波洗浄器(60分)を用いて可溶化した。0.22μ
mのメンブランフィルターにて無菌濾過後、無菌的にバ
イアルに0.5mlずつ分注し、凍結乾燥を行い、用時
溶解注射剤を得た。
【0051】
【実施例11】グリチルリチン酸モノアンモニウム(丸
善化成社製)100mgに無菌蒸留水8mlを加え、水
酸化ナトリウム及び塩酸を用いてpHを6.0に調製し
た後無菌蒸留水を加え全量を10mlとした。これにア
クレアシンAγ1000mgを添加し、超音波洗浄器
(60分間)によって可溶化させた後0.22μmのメ
ンブランフィルターにて無菌濾過後、無菌的に0.5m
lずつアンプルに分注し熔閉した。
【0052】
【実施例12】アクレアシンAγ500mg、グリチル
リチン酸ジカリウム100mg及び安息香酸ナトリウム
500mgをとり、無菌蒸留水10mlを加え、超音波
洗浄器(60分)を用いて可溶化した。0.22μmの
メンブランフィルターにて無菌濾過後、無菌的にバイア
ルに0.5mlずつ分注し、凍結乾燥を行い、用時溶解
注射剤を得た。
【0053】
【実施例13】アクレアシンAγ250mg、グリチル
リチン酸ジカリウム100mg及びアスパラギン酸10
mgをとり、無菌蒸留水10mlを加え、超音波洗浄器
(60分)を用いて可溶化した。0.22μmのメンブ
ランフィルターにて無菌濾過後、無菌的にバイアルに1
mlずつ分注し、凍結乾燥を行い、用時溶解注射剤を得
た。このバイアル1本をとり無菌蒸留水1mlを加えて
溶解し、これを生理食塩液50ml中に混合し澄明な点
滴用製剤を得た。
【0054】
【実施例14】アクレアシンAγ230mg、グリチル
リチン酸ジカリウム100mg及びグルタミン酸10m
gをとり、無菌蒸留水10mlを加え、超音波洗浄器
(60分)を用いて可溶化した。0.22μmのメンブ
ランフィルターにて無菌濾過後、無菌的にバイアルに1
mlずつ分注し、凍結乾燥を行い、用時溶解注射剤を得
た。このバイアル1本をとり無菌蒸留水1mlを加えて
溶解し、これを生理食塩液50ml中に混合し澄明な点
滴用製剤を得た。
【0055】
【実施例15】アクレアシンAγ220mg、グリチル
リチン酸ジカリウム100mg及びシステイン塩酸塩1
0mgをとり、無菌蒸留水10mlを加え、超音波洗浄
器(60分)を用いて可溶化した。0.22μmのメン
ブランフィルターにて無菌濾過後、無菌的にバイアルに
1mlずつ分注し、凍結乾燥を行い、用時溶解注射剤を
得た。このバイアル1本をとり無菌蒸留水1mlを加え
て溶解し、これを生理食塩液50ml中に混合し澄明な
点滴用製剤を得た。
【0056】
【発明の効果】水難溶性であるアクレアシン類に対し
て、可溶化剤としてグリチルリチン類を用いることによ
り、安全性が高く可溶化された水性組成物またはその乾
燥組成物を提供することが可能となった。さらに、本発
明の組成物はアクレアシン類の保存安定性に優れてい
る。また、上記組成物にサリチル酸ナトリウムまたは安
息香酸ナトリウムを添加することにより、アクレアシン
類の溶解量を増加させることが可能となった。さらに、
アミノ酸類を添加することにより輸液に混注しても白濁
しない製剤を得ることが可能となった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/26 G 7433−4C // C07K 7/56 7306−4H C07K 99:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリチルリチン類を有効成分とするアク
    レアシン類の可溶化剤。
  2. 【請求項2】 アクレアシン類とグリチルリチン類とを
    含有することを特徴とするアクレアシン類水性組成物ま
    たはその乾燥組成物。
  3. 【請求項3】 アクレアシン類とグリチルリチン類とサ
    リチル酸ナトリウムまたは安息香酸ナトリウムとを含有
    することを特徴とするアクレアシン類水性組成物または
    その乾燥組成物。
  4. 【請求項4】 アクレアシン類とグリチルリチン類とア
    ミノ酸とを含有することを特徴とするアクレアシン類水
    性組成物またはその乾燥組成物。
JP4261285A 1991-10-07 1992-09-30 アクレアシン類の可溶化剤および医薬組成物 Withdrawn JPH05271097A (ja)

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