JPH0413419B2 - - Google Patents
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- JPH0413419B2 JPH0413419B2 JP59182582A JP18258284A JPH0413419B2 JP H0413419 B2 JPH0413419 B2 JP H0413419B2 JP 59182582 A JP59182582 A JP 59182582A JP 18258284 A JP18258284 A JP 18258284A JP H0413419 B2 JPH0413419 B2 JP H0413419B2
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Description
[産業上の利用分野]
本発明は、メツキ密着性の優れた深絞り用溶融
亜鉛メツキ鋼板に関するものである。 [従来の技術] 近年、省資源、省エネルギーに対する社会的要
求から溶融亜鉛メツキ鋼板の用途が拡大し、それ
と同時に品質に対する要求も高まりつつある。自
動車用溶融亜鉛メツキ鋼板もその一つで、寒冷地
域における塩害対策のために従来冷延鋼板が使用
されていた部材に亜鉛メツキ鋼板が使われるよう
になり、その結果高度の加工性が要求されるよう
になつてきた。亜鉛メツキ鋼板がプレス成形等の
加工を受けると、加工度の高い部分ではメツキ層
に割れが発生したり、場合によつてはメツキ層が
鋼板から剥離する現象が起こる。この場合、剥離
したメツキ小片がプレス型等にビルドアツプし製
品表面にキズを作つたり、また、剥離によつて鉄
地が露出するために、メツキ鋼板の加工後の耐食
性も低下する。このようなメツキ密着性不良につ
いては従来からシリコンキルド鋼や他の高強度溶
融亜鉛メツキ鋼板に関して研究されており、それ
らの原因は鋼中に含まれるSiやAl等、Feより酸
化され易い元素が、連続溶融亜鉛メツキライン
(以下CGLという)内の焼鈍炉内で選択的に酸化
され、それらがメツキ後もメツキ層鉄地界面に残
るための考えられている(日戸ら:日本鉄鋼協会
第74回西山記念技術講座テキスト、P129〜)。こ
のような場合、メツキ密着性を改善させるために
は、成分設計の際に有害な鋼中元素を極力少なく
するか、あるいは亜鉛浴温を上昇させる方法等が
知られている(S.Harperら:Edited Proc. 11
th Int.Conference on Hot Dip Galvanizing,
Madrid, 1976,P11〜)。 また、CGLは短時間焼鈍であるために、通常
の鋼種をCGLだけで処理した鋼板はランクフオ
ード値(値)で代表される深絞り性が悪く、ま
た固溶Cが多量に残留しているために、腰折れと
呼ばれる表面欠陥や、時効劣化が現われやすい。
このような、深絞り用メツキ鋼板としての致命的
な欠陥を補うため、CGLでメツキを施した後の
鋼板をさらに箱型焼鈍炉にて過時効処理する方法
が従来から実施されているが、この方法は言うま
でもなくコスト上昇につながり好ましい方法とは
言えない。 一方、最近の製鋼技術の進歩により、深絞り冷
延鋼板用素材として特性の優れた極低C系鋼種が
工業的に安定製造されるようになり、溶融亜鉛メ
ツキ鋼板用素材としても使用されはじめた。この
方法では、鋼中において炭素化物を作り易い元素
すなわちTi,Nb,B等の元素を規定量添加し、
Nの固定をAlではなくTiとBに分担させ、熱延
の仕上げ圧延以前に窒化物を析出させることによ
りコイル内の材質変動を少なくし、さらにNbに
よつてCを固定するようにしたものであつた。こ
のように炭窒化物形成元素を添加してC,N等の
固溶元素を固定した鋼は、深絞り性および時効性
に優れ、深絞り用溶融亜鉛メツキ鋼板の素材とし
て最も適した鋼種の一つである。 [発明が解決しようとする課題] このような深絞り用亜鉛メツキ鋼板として、本
発明者らはCを0.001〜0.005%含む極低C系鋼種
にTi,BおよびNbを添加することにより深絞り
性に優れた深絞り用亜鉛メツキ鋼板の開発を行
い、先に特開昭58−110659号公報で提案した。し
かしながら、このような極低C系溶融亜鉛メツキ
鋼板を加工した場合、通常の加工方法(例えば
180°密着曲げ程度の加工)においては何ら問題な
いが、加工が衝撃的あるいは加工度が厳しい場合
(例えばデユポン衝撃試験など)には、メツキ層
の密着性がCを0.01%程度含む一般的な溶融亜鉛
メツキ鋼板と比較して劣ることが判明した。 [課題を解決するための手段] 本発明者らは、上述の従来技術における問題点
を解決すべく数々の検討を行つた結果、極低C系
溶融亜鉛メツキ鋼板特有のメツキ層の密着性の低
下が、メツキした際に下地鋼板とメツキ層の界面
に形成される鉄−亜鉛合金相が、下地鋼板の結晶
粒界を起点として異常成長する現象(Outburst
反応)によつて起ること、さらに鋼中にPを積極
的に添加することによつて、このOutburst反応
が効果的に抑制できるとの知見を得たことによ
り、本発明に到達したものである。以下その実験
データを引用しながら本発明の内容について詳述
する。 極低C系鋼種の熱延板を実験室的に脱炭焼鈍
し、固溶C量を変化させた材料について酸洗・冷
間圧延後、実機CGLで焼鈍及びメツキ(メツキ
溶温:470℃、浴中Al濃度:0.17%、合金化なし)
した。この材料について合金相厚さとメツキ密着
性との関係を調査した結果を第2図に示す。この
第2図から合金相の厚い方がメツキ密着性が悪い
ことが明らかで、特に鉄−亜鉛合金相の厚さが
1μmをこえる場合はことに著るしい。また、メ
ツキ後の鋼中固溶C量と、メツキ後の合金化処理
していないメツキ鋼板のメツキ層−鋼板界面に形
成された鉄−亜鉛合金相の金属組織の発達状況と
の関係を第1図に示す。図に示す写真はメツキ層
断面の走査型電子顕微鏡観察結果であり、中央の
白い部分が鉄−亜鉛系合金相である。この第1図
から、鋼中の固溶C量が低下するとOutburst組
織(図中、代表例を矢印で示す)と呼ばれる合金
相の異常発生が多く観察され、特に固溶Cが
11ppm以下であると、ことに著るしいことがわか
つた。 以上の結果から、極低C系鋼種を溶融亜鉛メツ
キ鋼板に適用した場合に認められる加工が衝撃的
な場合等のメツキ密着性の低下が下地鋼板とメツ
キ層の界面に形成される鉄−亜鉛合金相の
Outburst量と関係し、Outburst量が多くなると、
メツキ密着性が低下することが明らかになつた。 次に、本発明者らは、メツキ密着性を低下させ
るOutburst組織がどのような条件下で形成され
るのかを調査した。試験に使用した鋼種はNbと
Bを添加した極低C系鋼種(C:0.0019%、Si:
0.01%、Mn:0、26%、P:0.005%、Al:0.006
%、N:0.0017%、Nb:0.020%.B:0.0010%)
であり、実験室的に0.6mmまで冷間圧延した後、
実機CGLにおいて焼鈍(800℃、約30秒)メツキ
(メツキ浴温:470℃、浴中Al濃度:0.16%)を施
し合金化処理をしないメツキ板を得た。このメツ
キ鋼板の鉄−亜鉛合金相および下地鋼板組織の走
査形電子顕微鏡観察結果を第3図に示す。第3図
中(a)図はη相(亜鉛相)を希塩酸で溶解した後上
方から観察した鉄−亜鉛合金相を示す。この(a)図
からNbやBを添加することにより固溶Cおよび
固溶Nを無くした鋼種では、Outburst組織が多
量に形成されている。次に、(b)図は、(a)図のサン
プルの合金相を走査形電子顕微鏡観察後さらに希
塩酸にて溶解除去し、硝酸アルコールで下地鋼板
の結晶粒界を現出させ、同一視野を観察した結果
を示す。さらに(c)図は(a)図と(b)図のネガを重ね合
せて焼いたものである。これらの写真から、
Outburst組織は下地鋼板の結晶粒界を起点とし
て形成されていることが明らかとなつた。尚、第
3図(a)図および(b)図において符号A−Eは、夫々
同一箇所であることを示し、(c)図においては、下
地鋼板の代表的結晶粒界を矢印で示した。 本発明においては、このようなOuburst組織の
形成を防止する方法について種々検討した結果、
鋼中にPを積極的に添加することによつてメツキ
下地鋼板結晶粒界にPを偏析させ、その結果下地
鋼板、結晶粒界部における鉄−亜鉛反応を抑制す
ることが可能であることを発見した。 なお、前述の特開昭58−110659号公報において
も、Pの添加量を規定しているが、その目的は単
に強度調整をするためであり、メツキ密着性を改
善するために軟質材であつても積極的にPを添加
する本発明の技術思想とは根本的に異なるもので
ある。 本発明は、上記の知見によりなされたものであ
つて、C:0.001〜0.0035%、Si:0.10%以下、
Mn:0.06〜0.25%、P:0.025〜0.1%、S:0.001
〜0.020%、Sol.Al:0.01〜0.06%、N:0.0035%
以下、O:0.0050%以下、Nb:0.015〜0.035%、
更にB:0.0035%以下、Ti:0.030%以下の1種
又は2種を含有し、残りがFeおよび不可避不純
物からなり、溶融亜鉛メツキ後の鋼中固溶C量が
実質的に11ppm以下である溶融亜鉛メツキ鋼板で
あつて、メツキ−下地界面に生成した鉄−亜鉛合
金相の平均厚さが1μm以下であるものである。 [作用] 以下、本発明において成分組成およびその条件
を限定した理由と作用について説明する。 まず、鋼種をキルド鋼としたのは、添加する
Nb,Ti,B等の歩留りを向上させ、且つ鋼中介
在物の増加を防ぐためである。 Cは、深絞り性の観点からは少ないほうが望ま
しいが、現状の製鋼技術では耐火物や保温材から
の混入が避けられず、0.001%未満にするために
はコストの著しい上昇を招くため下限を0.001%
とした。又、前述したようにCをNbで固定する
ため、Cに比例してNbの添加量が増し、その結
果再結晶温度が高くなるため、コスト上昇につな
がるので、Cの上限を0.0035%とした。また、溶
融亜鉛メツキ後の鋼中固有Cの量を11ppm以下に
限定したのは、前述のように、極低C系溶融亜鉛
メツキ鋼板に特有のメツキ密着性の劣化をもたら
すOutburst反応が11ppm以下で特に顕著となる
が、実はこの固溶Cの領域で以下にも述べるよう
に、本発明による特有の効果が発揮できるからで
らある。 Siは、メツキ密着性に対して有害な元素である
ため、特に高度の加工性を要求される場合には添
加しないほうが良い。上限値はメツキ密着性によ
つて規定される。第4図はSi添加量とメツキ密着
性の関係を表わすグラフである。この第4図から
衝撃曲げ試験の評点を4以上とするためにはSiの
上限値を0.10%とする必要がある。 Mnは、本発明において深絞り性およびメツキ
密着性には寄与せず、製鋼作業として特に添加し
なくても良い。通常の製鋼作業(Mn含有量を低
減するための特別な作業を必要としない)で限ら
れるMn量の下限から、その下限を0.06%とし、
上限を材質劣化を防止するため0.50%とした。し
かし、後述するS%関連で0.18〜0.25%とするこ
とがコスト上最も好ましい。 Sは、本発明の鋼では深絞り性やメツキ密着性
に影響を与えないので、製鋼段階で容易に脱硫で
きる0.001%を下限とした。又、S%が0.020%を
越えるとMnが0.25%でMn/Sが12.5以下とな
り、熱延での脆化に起因する表面傷が増加するの
で上限を0.020%とした。 Sol.Alは、脱ガス精練後Nb,Ti,Bを添加す
る前に、鋼中Oを脱酸するために添加される。そ
の結果、それら添加元素の歩留りが一定となり、
正確に添加量を制御することが可能となる。下限
を0.010%としたのは、これ未満ではNb,Ti,B
の添加量がばらつくためであり、上限を0.060%
としたのは、これを超えるとBNよりもAlNの微
細な析出物が出てきて再結晶温度が高くなるため
である。 Nは、少ないほうが好ましい。その理由はB及
びTiの添加量が少なくてすみ、コスト的にも有
利であるばかりでなく、析出する窒化物も少なく
なり、再結晶温度、粒成長、表面欠陥など総ての
点で好ましいからである。上限値を0.0035%とし
たのは、主として表面欠陥の理由からであり、N
がこの値を越えるとB及びTiの必要添加量が増
し、その結果表面欠陥が増加するためである。 Oは、0.0050%を越えると鋼中介在物が増加す
るため、鋼中の加工性が低下し、さらにNb,B
及びTiの添加量と材質の相関が乱れるために、
これを上限とした。 Nbは、C量によつてその必要添加量が決めら
れるが、下限値の0.015%未満ではCの固定が不
充分で深絞り性の向上が望めない。その理由はN
を固定すべきB,Ti,Al等が添加されていても、
少量のNbがNと結合するためと推定される。上
限値の0.035%を越えると再結晶温度が高くなる
傾向が認められる。その理由はNbCの量が多く
なるためで、Cが少ないとBが添加されていても
Nb(C+N)のようにNにも結び付きNbの析出
物が増加するためと推定される。 Bは、Nの限定理由で述べたことと同じで、上
限値を0.0035%とした。その理由はBがこの量を
超えるとスラブの表面欠陥が増加し、鋼板の表面
品質が悪くなるからである。 Tiは、コスト的に少ないほうが好ましいが、
上限値を0.030%としたのはTiCが生成するのを
防止するためである。Tiが0.030%を超えると
TiCが生成しやすく、鋼の再結晶温度が高くなる
傾向がある。 Pは、本発明の場合、溶融亜鉛メツキ後の鋼中
固溶Cが11ppm以下の極低C鋼のメツキ密着性を
改善するための積極的に添加含有させる。下限値
はOutburst組織の抑制効果で規定される。第5
図はP添加量と合金相の量及びメツキ密着性との
関係を表わす。この第5図からPが0.025%以下
では合金相の異常成長を抑制できないことがわか
る。NbやTiの単独添加鋼では、Pを添加すると
添加量とともに値が低下する傾向が認められる
が、Nb添加鋼にB及びTiの1種又は2種を添加
すると、Pを多量に添加しても値は殆んど低下
しない。Pの上限値は合金化反応の不均一性によ
つて規定される。鋼中にPを多量に添加すると合
金化時に焼けむらと呼ばれる合金化反応の不均一
性を生じるため、Pの上限値を0.1%とした。 さらに、第8図は第1表に示した7個の鋼につ
いて、とくにCとPの含有量の関係をプロツトし
たグラフである。図の横軸に全C量、縦軸にP量
を示して、実施例鋼A,B,C,D(黒丸ドツト)
と比較鋼E,F,G(白丸ドツト)とを図示した。 図から明らかなように、第2表および第3表に
示したメツキ密着性やその他の特性のよい実施例
鋼A,B,C及びDはC(炭素)が10〜35ppm、
Pが0.025〜0.10%の点線枠内に分布するのに対
してほぼ同量のCを含有する特性不良の比較鋼E
及びG(FはSi量が特許請求の範囲の含有量外の
ため除外する)はとくにP量が0.025%未満の枠
内に存在している。以上のことから、前記合金鋼
のOutburst組織の抑制にPが大きく作用してい
ることが裏付けされている。なお、第8図には、
参考のため、特開昭58−110659号公報に記載され
たデータも示した。 次に、本発明の深絞り用溶融亜鉛メツキ鋼板の
製造方法について述べる。 まず、メツキ浴温は430℃以上とし500℃以下が
望ましい。その理由は、実操業面からの理由であ
る。すなわち、CGLにおけるメツキ厚さの制御
は現在ガスワイピング法により行われている。こ
れはメツキ後の鋼板表面にノズルから高圧のガス
を吹き付けることによつて余剰のメツキを下方へ
払い落とす方法である。この方法では、メツキ浴
温が低い場合にはワイピングを行う以前にメツキ
層が凝固してしまい、メツキ厚さの制御ができな
くなるため、メツキ浴温の下限を430℃とした。
また、上限を500℃としているが、その理由は、
鋼中のPによるOutburst組織抑制効果が500℃で
は無くなるためである。すなわち、本発明の主旨
は下地鋼板の結晶粒界にPを偏析させることによ
つて結晶粒界におけるFe原子の拡散を抑制する
ところにあることから、メツキ浴温を高めて拡散
反応を活発に起こさせるとPの効果がなくなり、
Outburst組織が生成してしまうことからメツキ
密着性が低下する。このような理由から、メツキ
浴温は430℃〜500℃とするのが最良条件である。 メツキ浴中Al濃度も同様にメツキ密着性に対
して異存性が高い。すなわち、メツキ浴中のAl
は鉄と亜鉛の合金化反応を抑制するために添加さ
れている。従つて、Al濃度が0.05%よりも低い場
合には、鋼中にPが添加されていても鉄−亜鉛合
金相が多量に生成され、メツキ密着性が低下する
ことから、その下限値を0.05%としている。 このように、本発明では鋼中への積極的なPの
添加、メツキ浴温、メツキ浴中Al濃度を複合規
制することにより顕著な効果が得られる。 なお、本発明はメツキ後合金化処理をする合金
化溶融亜鉛メツキ鋼板についても密着性向上の効
果を発揮する。 [実施例] 以下本発明の実施例について説明する。 (1) 実施例 1 第1表に示す鋼は転炉出鋼後、50トンあるいは
250トンの脱ガス精練設備で低Cおよば低N化を
図り、鋼塊またはCC鋳片として製造されたもの
である。これらのスラブを所定の方法で手入れ
後、3.2mm厚さの熱延コイルとした。熱延条件は、
加熱温度1150℃、仕上出口温度910℃、巻取温度
700℃であつた。次に、このコイルを酸洗・冷圧
し、0.7mm厚さの冷延コイルとし、NOFタイプの
連続溶融亜鉛メツキライン(CGL)に通板した。 CGLにおける主なメツキ条件は、焼鈍温度750
〜780℃、焼鈍時間約30秒、メツキ浴温465℃、メ
ツキ浴組成0.17%Al−0.22%Pbであつた。 尚、ここで鋼A,B,C,Dは本発明鋼であ
り、鋼E,F,Gは比較鋼である。 第2表は、第1表に示された各鋼の合金相の厚
さおよびメツキ密着性を示している。この第2表
から明らかなように、本発明鋼の合金相の厚さは
全て0.6μ以下であり、比較鋼と比べて合金相の発
達が抑制されていることがわかる。更に、メツキ
密着性をみると180°密着曲げのように比較的厳し
くない条件では差異は殆んど現われないが、デユ
ポン衝撃試験のよに衝撃的に加工される場合には
メツキ密着性に及ぼす合金相厚さの影響が明瞭に
現われている。 第3表は、第1表に示された各鋼の材料特性値
を示している。この第3表から本発明鋼は優れた
深絞り性(値が1.8以上)を有していることが
明らかである。 (2) 実施例 2 第1表に示した鋼種の内、鋼A,B及び鋼E,
Fの冷延板を使用し、実験室的に溶融亜鉛メツキ
を行ない、メツキ密着性に及ぼすメツキ浴温及び
浴中Al量の影響を調査した。尚、主なメツキ条
件は焼鈍温度750℃、焼鈍時間30秒であり、炉内
雰囲気は25%H2−N2Balであつた。 第6図にメツキ密着性とメツキ浴温の関係を、
又第7図にメツキ密着性と浴中Al量の関係をそ
れぞれ示す。これらの第6,7図から明らかなよ
うに、メツキ密着性は本発明の製造方法で限定す
る430℃≦メツキ浴温≦500℃、及び浴中Al量0.05
%以上において優れた値を示している。
亜鉛メツキ鋼板に関するものである。 [従来の技術] 近年、省資源、省エネルギーに対する社会的要
求から溶融亜鉛メツキ鋼板の用途が拡大し、それ
と同時に品質に対する要求も高まりつつある。自
動車用溶融亜鉛メツキ鋼板もその一つで、寒冷地
域における塩害対策のために従来冷延鋼板が使用
されていた部材に亜鉛メツキ鋼板が使われるよう
になり、その結果高度の加工性が要求されるよう
になつてきた。亜鉛メツキ鋼板がプレス成形等の
加工を受けると、加工度の高い部分ではメツキ層
に割れが発生したり、場合によつてはメツキ層が
鋼板から剥離する現象が起こる。この場合、剥離
したメツキ小片がプレス型等にビルドアツプし製
品表面にキズを作つたり、また、剥離によつて鉄
地が露出するために、メツキ鋼板の加工後の耐食
性も低下する。このようなメツキ密着性不良につ
いては従来からシリコンキルド鋼や他の高強度溶
融亜鉛メツキ鋼板に関して研究されており、それ
らの原因は鋼中に含まれるSiやAl等、Feより酸
化され易い元素が、連続溶融亜鉛メツキライン
(以下CGLという)内の焼鈍炉内で選択的に酸化
され、それらがメツキ後もメツキ層鉄地界面に残
るための考えられている(日戸ら:日本鉄鋼協会
第74回西山記念技術講座テキスト、P129〜)。こ
のような場合、メツキ密着性を改善させるために
は、成分設計の際に有害な鋼中元素を極力少なく
するか、あるいは亜鉛浴温を上昇させる方法等が
知られている(S.Harperら:Edited Proc. 11
th Int.Conference on Hot Dip Galvanizing,
Madrid, 1976,P11〜)。 また、CGLは短時間焼鈍であるために、通常
の鋼種をCGLだけで処理した鋼板はランクフオ
ード値(値)で代表される深絞り性が悪く、ま
た固溶Cが多量に残留しているために、腰折れと
呼ばれる表面欠陥や、時効劣化が現われやすい。
このような、深絞り用メツキ鋼板としての致命的
な欠陥を補うため、CGLでメツキを施した後の
鋼板をさらに箱型焼鈍炉にて過時効処理する方法
が従来から実施されているが、この方法は言うま
でもなくコスト上昇につながり好ましい方法とは
言えない。 一方、最近の製鋼技術の進歩により、深絞り冷
延鋼板用素材として特性の優れた極低C系鋼種が
工業的に安定製造されるようになり、溶融亜鉛メ
ツキ鋼板用素材としても使用されはじめた。この
方法では、鋼中において炭素化物を作り易い元素
すなわちTi,Nb,B等の元素を規定量添加し、
Nの固定をAlではなくTiとBに分担させ、熱延
の仕上げ圧延以前に窒化物を析出させることによ
りコイル内の材質変動を少なくし、さらにNbに
よつてCを固定するようにしたものであつた。こ
のように炭窒化物形成元素を添加してC,N等の
固溶元素を固定した鋼は、深絞り性および時効性
に優れ、深絞り用溶融亜鉛メツキ鋼板の素材とし
て最も適した鋼種の一つである。 [発明が解決しようとする課題] このような深絞り用亜鉛メツキ鋼板として、本
発明者らはCを0.001〜0.005%含む極低C系鋼種
にTi,BおよびNbを添加することにより深絞り
性に優れた深絞り用亜鉛メツキ鋼板の開発を行
い、先に特開昭58−110659号公報で提案した。し
かしながら、このような極低C系溶融亜鉛メツキ
鋼板を加工した場合、通常の加工方法(例えば
180°密着曲げ程度の加工)においては何ら問題な
いが、加工が衝撃的あるいは加工度が厳しい場合
(例えばデユポン衝撃試験など)には、メツキ層
の密着性がCを0.01%程度含む一般的な溶融亜鉛
メツキ鋼板と比較して劣ることが判明した。 [課題を解決するための手段] 本発明者らは、上述の従来技術における問題点
を解決すべく数々の検討を行つた結果、極低C系
溶融亜鉛メツキ鋼板特有のメツキ層の密着性の低
下が、メツキした際に下地鋼板とメツキ層の界面
に形成される鉄−亜鉛合金相が、下地鋼板の結晶
粒界を起点として異常成長する現象(Outburst
反応)によつて起ること、さらに鋼中にPを積極
的に添加することによつて、このOutburst反応
が効果的に抑制できるとの知見を得たことによ
り、本発明に到達したものである。以下その実験
データを引用しながら本発明の内容について詳述
する。 極低C系鋼種の熱延板を実験室的に脱炭焼鈍
し、固溶C量を変化させた材料について酸洗・冷
間圧延後、実機CGLで焼鈍及びメツキ(メツキ
溶温:470℃、浴中Al濃度:0.17%、合金化なし)
した。この材料について合金相厚さとメツキ密着
性との関係を調査した結果を第2図に示す。この
第2図から合金相の厚い方がメツキ密着性が悪い
ことが明らかで、特に鉄−亜鉛合金相の厚さが
1μmをこえる場合はことに著るしい。また、メ
ツキ後の鋼中固溶C量と、メツキ後の合金化処理
していないメツキ鋼板のメツキ層−鋼板界面に形
成された鉄−亜鉛合金相の金属組織の発達状況と
の関係を第1図に示す。図に示す写真はメツキ層
断面の走査型電子顕微鏡観察結果であり、中央の
白い部分が鉄−亜鉛系合金相である。この第1図
から、鋼中の固溶C量が低下するとOutburst組
織(図中、代表例を矢印で示す)と呼ばれる合金
相の異常発生が多く観察され、特に固溶Cが
11ppm以下であると、ことに著るしいことがわか
つた。 以上の結果から、極低C系鋼種を溶融亜鉛メツ
キ鋼板に適用した場合に認められる加工が衝撃的
な場合等のメツキ密着性の低下が下地鋼板とメツ
キ層の界面に形成される鉄−亜鉛合金相の
Outburst量と関係し、Outburst量が多くなると、
メツキ密着性が低下することが明らかになつた。 次に、本発明者らは、メツキ密着性を低下させ
るOutburst組織がどのような条件下で形成され
るのかを調査した。試験に使用した鋼種はNbと
Bを添加した極低C系鋼種(C:0.0019%、Si:
0.01%、Mn:0、26%、P:0.005%、Al:0.006
%、N:0.0017%、Nb:0.020%.B:0.0010%)
であり、実験室的に0.6mmまで冷間圧延した後、
実機CGLにおいて焼鈍(800℃、約30秒)メツキ
(メツキ浴温:470℃、浴中Al濃度:0.16%)を施
し合金化処理をしないメツキ板を得た。このメツ
キ鋼板の鉄−亜鉛合金相および下地鋼板組織の走
査形電子顕微鏡観察結果を第3図に示す。第3図
中(a)図はη相(亜鉛相)を希塩酸で溶解した後上
方から観察した鉄−亜鉛合金相を示す。この(a)図
からNbやBを添加することにより固溶Cおよび
固溶Nを無くした鋼種では、Outburst組織が多
量に形成されている。次に、(b)図は、(a)図のサン
プルの合金相を走査形電子顕微鏡観察後さらに希
塩酸にて溶解除去し、硝酸アルコールで下地鋼板
の結晶粒界を現出させ、同一視野を観察した結果
を示す。さらに(c)図は(a)図と(b)図のネガを重ね合
せて焼いたものである。これらの写真から、
Outburst組織は下地鋼板の結晶粒界を起点とし
て形成されていることが明らかとなつた。尚、第
3図(a)図および(b)図において符号A−Eは、夫々
同一箇所であることを示し、(c)図においては、下
地鋼板の代表的結晶粒界を矢印で示した。 本発明においては、このようなOuburst組織の
形成を防止する方法について種々検討した結果、
鋼中にPを積極的に添加することによつてメツキ
下地鋼板結晶粒界にPを偏析させ、その結果下地
鋼板、結晶粒界部における鉄−亜鉛反応を抑制す
ることが可能であることを発見した。 なお、前述の特開昭58−110659号公報において
も、Pの添加量を規定しているが、その目的は単
に強度調整をするためであり、メツキ密着性を改
善するために軟質材であつても積極的にPを添加
する本発明の技術思想とは根本的に異なるもので
ある。 本発明は、上記の知見によりなされたものであ
つて、C:0.001〜0.0035%、Si:0.10%以下、
Mn:0.06〜0.25%、P:0.025〜0.1%、S:0.001
〜0.020%、Sol.Al:0.01〜0.06%、N:0.0035%
以下、O:0.0050%以下、Nb:0.015〜0.035%、
更にB:0.0035%以下、Ti:0.030%以下の1種
又は2種を含有し、残りがFeおよび不可避不純
物からなり、溶融亜鉛メツキ後の鋼中固溶C量が
実質的に11ppm以下である溶融亜鉛メツキ鋼板で
あつて、メツキ−下地界面に生成した鉄−亜鉛合
金相の平均厚さが1μm以下であるものである。 [作用] 以下、本発明において成分組成およびその条件
を限定した理由と作用について説明する。 まず、鋼種をキルド鋼としたのは、添加する
Nb,Ti,B等の歩留りを向上させ、且つ鋼中介
在物の増加を防ぐためである。 Cは、深絞り性の観点からは少ないほうが望ま
しいが、現状の製鋼技術では耐火物や保温材から
の混入が避けられず、0.001%未満にするために
はコストの著しい上昇を招くため下限を0.001%
とした。又、前述したようにCをNbで固定する
ため、Cに比例してNbの添加量が増し、その結
果再結晶温度が高くなるため、コスト上昇につな
がるので、Cの上限を0.0035%とした。また、溶
融亜鉛メツキ後の鋼中固有Cの量を11ppm以下に
限定したのは、前述のように、極低C系溶融亜鉛
メツキ鋼板に特有のメツキ密着性の劣化をもたら
すOutburst反応が11ppm以下で特に顕著となる
が、実はこの固溶Cの領域で以下にも述べるよう
に、本発明による特有の効果が発揮できるからで
らある。 Siは、メツキ密着性に対して有害な元素である
ため、特に高度の加工性を要求される場合には添
加しないほうが良い。上限値はメツキ密着性によ
つて規定される。第4図はSi添加量とメツキ密着
性の関係を表わすグラフである。この第4図から
衝撃曲げ試験の評点を4以上とするためにはSiの
上限値を0.10%とする必要がある。 Mnは、本発明において深絞り性およびメツキ
密着性には寄与せず、製鋼作業として特に添加し
なくても良い。通常の製鋼作業(Mn含有量を低
減するための特別な作業を必要としない)で限ら
れるMn量の下限から、その下限を0.06%とし、
上限を材質劣化を防止するため0.50%とした。し
かし、後述するS%関連で0.18〜0.25%とするこ
とがコスト上最も好ましい。 Sは、本発明の鋼では深絞り性やメツキ密着性
に影響を与えないので、製鋼段階で容易に脱硫で
きる0.001%を下限とした。又、S%が0.020%を
越えるとMnが0.25%でMn/Sが12.5以下とな
り、熱延での脆化に起因する表面傷が増加するの
で上限を0.020%とした。 Sol.Alは、脱ガス精練後Nb,Ti,Bを添加す
る前に、鋼中Oを脱酸するために添加される。そ
の結果、それら添加元素の歩留りが一定となり、
正確に添加量を制御することが可能となる。下限
を0.010%としたのは、これ未満ではNb,Ti,B
の添加量がばらつくためであり、上限を0.060%
としたのは、これを超えるとBNよりもAlNの微
細な析出物が出てきて再結晶温度が高くなるため
である。 Nは、少ないほうが好ましい。その理由はB及
びTiの添加量が少なくてすみ、コスト的にも有
利であるばかりでなく、析出する窒化物も少なく
なり、再結晶温度、粒成長、表面欠陥など総ての
点で好ましいからである。上限値を0.0035%とし
たのは、主として表面欠陥の理由からであり、N
がこの値を越えるとB及びTiの必要添加量が増
し、その結果表面欠陥が増加するためである。 Oは、0.0050%を越えると鋼中介在物が増加す
るため、鋼中の加工性が低下し、さらにNb,B
及びTiの添加量と材質の相関が乱れるために、
これを上限とした。 Nbは、C量によつてその必要添加量が決めら
れるが、下限値の0.015%未満ではCの固定が不
充分で深絞り性の向上が望めない。その理由はN
を固定すべきB,Ti,Al等が添加されていても、
少量のNbがNと結合するためと推定される。上
限値の0.035%を越えると再結晶温度が高くなる
傾向が認められる。その理由はNbCの量が多く
なるためで、Cが少ないとBが添加されていても
Nb(C+N)のようにNにも結び付きNbの析出
物が増加するためと推定される。 Bは、Nの限定理由で述べたことと同じで、上
限値を0.0035%とした。その理由はBがこの量を
超えるとスラブの表面欠陥が増加し、鋼板の表面
品質が悪くなるからである。 Tiは、コスト的に少ないほうが好ましいが、
上限値を0.030%としたのはTiCが生成するのを
防止するためである。Tiが0.030%を超えると
TiCが生成しやすく、鋼の再結晶温度が高くなる
傾向がある。 Pは、本発明の場合、溶融亜鉛メツキ後の鋼中
固溶Cが11ppm以下の極低C鋼のメツキ密着性を
改善するための積極的に添加含有させる。下限値
はOutburst組織の抑制効果で規定される。第5
図はP添加量と合金相の量及びメツキ密着性との
関係を表わす。この第5図からPが0.025%以下
では合金相の異常成長を抑制できないことがわか
る。NbやTiの単独添加鋼では、Pを添加すると
添加量とともに値が低下する傾向が認められる
が、Nb添加鋼にB及びTiの1種又は2種を添加
すると、Pを多量に添加しても値は殆んど低下
しない。Pの上限値は合金化反応の不均一性によ
つて規定される。鋼中にPを多量に添加すると合
金化時に焼けむらと呼ばれる合金化反応の不均一
性を生じるため、Pの上限値を0.1%とした。 さらに、第8図は第1表に示した7個の鋼につ
いて、とくにCとPの含有量の関係をプロツトし
たグラフである。図の横軸に全C量、縦軸にP量
を示して、実施例鋼A,B,C,D(黒丸ドツト)
と比較鋼E,F,G(白丸ドツト)とを図示した。 図から明らかなように、第2表および第3表に
示したメツキ密着性やその他の特性のよい実施例
鋼A,B,C及びDはC(炭素)が10〜35ppm、
Pが0.025〜0.10%の点線枠内に分布するのに対
してほぼ同量のCを含有する特性不良の比較鋼E
及びG(FはSi量が特許請求の範囲の含有量外の
ため除外する)はとくにP量が0.025%未満の枠
内に存在している。以上のことから、前記合金鋼
のOutburst組織の抑制にPが大きく作用してい
ることが裏付けされている。なお、第8図には、
参考のため、特開昭58−110659号公報に記載され
たデータも示した。 次に、本発明の深絞り用溶融亜鉛メツキ鋼板の
製造方法について述べる。 まず、メツキ浴温は430℃以上とし500℃以下が
望ましい。その理由は、実操業面からの理由であ
る。すなわち、CGLにおけるメツキ厚さの制御
は現在ガスワイピング法により行われている。こ
れはメツキ後の鋼板表面にノズルから高圧のガス
を吹き付けることによつて余剰のメツキを下方へ
払い落とす方法である。この方法では、メツキ浴
温が低い場合にはワイピングを行う以前にメツキ
層が凝固してしまい、メツキ厚さの制御ができな
くなるため、メツキ浴温の下限を430℃とした。
また、上限を500℃としているが、その理由は、
鋼中のPによるOutburst組織抑制効果が500℃で
は無くなるためである。すなわち、本発明の主旨
は下地鋼板の結晶粒界にPを偏析させることによ
つて結晶粒界におけるFe原子の拡散を抑制する
ところにあることから、メツキ浴温を高めて拡散
反応を活発に起こさせるとPの効果がなくなり、
Outburst組織が生成してしまうことからメツキ
密着性が低下する。このような理由から、メツキ
浴温は430℃〜500℃とするのが最良条件である。 メツキ浴中Al濃度も同様にメツキ密着性に対
して異存性が高い。すなわち、メツキ浴中のAl
は鉄と亜鉛の合金化反応を抑制するために添加さ
れている。従つて、Al濃度が0.05%よりも低い場
合には、鋼中にPが添加されていても鉄−亜鉛合
金相が多量に生成され、メツキ密着性が低下する
ことから、その下限値を0.05%としている。 このように、本発明では鋼中への積極的なPの
添加、メツキ浴温、メツキ浴中Al濃度を複合規
制することにより顕著な効果が得られる。 なお、本発明はメツキ後合金化処理をする合金
化溶融亜鉛メツキ鋼板についても密着性向上の効
果を発揮する。 [実施例] 以下本発明の実施例について説明する。 (1) 実施例 1 第1表に示す鋼は転炉出鋼後、50トンあるいは
250トンの脱ガス精練設備で低Cおよば低N化を
図り、鋼塊またはCC鋳片として製造されたもの
である。これらのスラブを所定の方法で手入れ
後、3.2mm厚さの熱延コイルとした。熱延条件は、
加熱温度1150℃、仕上出口温度910℃、巻取温度
700℃であつた。次に、このコイルを酸洗・冷圧
し、0.7mm厚さの冷延コイルとし、NOFタイプの
連続溶融亜鉛メツキライン(CGL)に通板した。 CGLにおける主なメツキ条件は、焼鈍温度750
〜780℃、焼鈍時間約30秒、メツキ浴温465℃、メ
ツキ浴組成0.17%Al−0.22%Pbであつた。 尚、ここで鋼A,B,C,Dは本発明鋼であ
り、鋼E,F,Gは比較鋼である。 第2表は、第1表に示された各鋼の合金相の厚
さおよびメツキ密着性を示している。この第2表
から明らかなように、本発明鋼の合金相の厚さは
全て0.6μ以下であり、比較鋼と比べて合金相の発
達が抑制されていることがわかる。更に、メツキ
密着性をみると180°密着曲げのように比較的厳し
くない条件では差異は殆んど現われないが、デユ
ポン衝撃試験のよに衝撃的に加工される場合には
メツキ密着性に及ぼす合金相厚さの影響が明瞭に
現われている。 第3表は、第1表に示された各鋼の材料特性値
を示している。この第3表から本発明鋼は優れた
深絞り性(値が1.8以上)を有していることが
明らかである。 (2) 実施例 2 第1表に示した鋼種の内、鋼A,B及び鋼E,
Fの冷延板を使用し、実験室的に溶融亜鉛メツキ
を行ない、メツキ密着性に及ぼすメツキ浴温及び
浴中Al量の影響を調査した。尚、主なメツキ条
件は焼鈍温度750℃、焼鈍時間30秒であり、炉内
雰囲気は25%H2−N2Balであつた。 第6図にメツキ密着性とメツキ浴温の関係を、
又第7図にメツキ密着性と浴中Al量の関係をそ
れぞれ示す。これらの第6,7図から明らかなよ
うに、メツキ密着性は本発明の製造方法で限定す
る430℃≦メツキ浴温≦500℃、及び浴中Al量0.05
%以上において優れた値を示している。
【表】
【表】
【表】
[発明の効果]
以上説明した実施例の効果からも明らかなよう
に、本発明によれば極低C系鋼種の成分組成を改
善し、溶融亜鉛メツキ鋼板のメツキ密着性に悪影
響を与えるOutburst組織の発生を抑制し、メツ
キ−下地界面の鉄−亜鉛合金相の平均厚さを1μ
m以下としたことにより、従来のものより深絞り
性なかんずく加工度の高い場合にも充分耐えるこ
とのできるメツキ密着性を有する深絞り用溶融亜
鉛メツキ鋼板が得られた。
に、本発明によれば極低C系鋼種の成分組成を改
善し、溶融亜鉛メツキ鋼板のメツキ密着性に悪影
響を与えるOutburst組織の発生を抑制し、メツ
キ−下地界面の鉄−亜鉛合金相の平均厚さを1μ
m以下としたことにより、従来のものより深絞り
性なかんずく加工度の高い場合にも充分耐えるこ
とのできるメツキ密着性を有する深絞り用溶融亜
鉛メツキ鋼板が得られた。
第1図は鋼中固溶C量と、メツキ鋼板のメツキ
層−鋼板界面に生成した鉄−亜鉛系合金相の金属
組織の発達状況との関係を示す走査型電子顕微鏡
写真、第2図は鉄−亜鉛系合金相の厚さとメツキ
密着性との関係を示すグラフ、第3図(a)(b)(c)はメ
ツキ鋼板の鉄−亜鉛系合金相及び下地鋼板組織を
示す走査型電子顕微鏡写真であり、(a)はη相(亜
鉛相)を希塩酸で溶解した後の鉄−亜鉛合金相を
示し、(b)は前記(a)のサンプルの合金相を更に希塩
酸で溶解除去し、硝酸アルコールで下地鋼板の結
晶粒界を示し、(c)は前記(a)と(b)の写真を重ね焼き
した写真、第4図はメツキ密着性とSi添加量との
関係を示すグラフ、第5図はP添加量と合金相の
量及びメツキ密着性との関係を示すグラフ、第6
図はメツキ密着性とメツキ浴温の関係を示すグラ
フ、第7図はメツキ密着性と浴中Al量との関係
を示すグラフ、第8図は実施例鋼A,B,C,D
及び比較例鋼E,F,GのCとPとの含有量の関
係を示すために第1表からプロツトしたグラフで
ある。
層−鋼板界面に生成した鉄−亜鉛系合金相の金属
組織の発達状況との関係を示す走査型電子顕微鏡
写真、第2図は鉄−亜鉛系合金相の厚さとメツキ
密着性との関係を示すグラフ、第3図(a)(b)(c)はメ
ツキ鋼板の鉄−亜鉛系合金相及び下地鋼板組織を
示す走査型電子顕微鏡写真であり、(a)はη相(亜
鉛相)を希塩酸で溶解した後の鉄−亜鉛合金相を
示し、(b)は前記(a)のサンプルの合金相を更に希塩
酸で溶解除去し、硝酸アルコールで下地鋼板の結
晶粒界を示し、(c)は前記(a)と(b)の写真を重ね焼き
した写真、第4図はメツキ密着性とSi添加量との
関係を示すグラフ、第5図はP添加量と合金相の
量及びメツキ密着性との関係を示すグラフ、第6
図はメツキ密着性とメツキ浴温の関係を示すグラ
フ、第7図はメツキ密着性と浴中Al量との関係
を示すグラフ、第8図は実施例鋼A,B,C,D
及び比較例鋼E,F,GのCとPとの含有量の関
係を示すために第1表からプロツトしたグラフで
ある。
Claims (1)
- 1 C:0.001〜0.0035%、Si:0.10%以下、
Mn:0.08〜0.50%、P:0.025〜0.1%、S:0.001
〜0.020%、Sol Al:0.01〜0.08%、N:0.0035%
以下、O:0.0050%以下、Nb:0.015〜0.035%、
更にB:0.0035%以下、Ti:0.030%以下の1種
又は2種を含有し、残りがFeおよび不可避不純
物からなり、溶融亜鉛メツキ後の鋼中固溶C量が
実質的に11ppm以下である溶融亜鉛メツキ鋼板で
あつて、メツキ−下地界面に生成した鉄−亜鉛合
金相の平均厚さが1μm以下であることを特徴と
するメツキ密着性の優れた深絞り用溶融亜鉛メツ
キ鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18258284A JPS6160860A (ja) | 1984-09-03 | 1984-09-03 | メツキ密着性の優れた深絞り用亜鉛メツキ鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18258284A JPS6160860A (ja) | 1984-09-03 | 1984-09-03 | メツキ密着性の優れた深絞り用亜鉛メツキ鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6160860A JPS6160860A (ja) | 1986-03-28 |
JPH0413419B2 true JPH0413419B2 (ja) | 1992-03-09 |
Family
ID=16120801
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18258284A Granted JPS6160860A (ja) | 1984-09-03 | 1984-09-03 | メツキ密着性の優れた深絞り用亜鉛メツキ鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6160860A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0696749B2 (ja) * | 1987-03-16 | 1994-11-30 | 株式会社神戸製鋼所 | 溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法 |
JP2610948B2 (ja) * | 1988-06-29 | 1997-05-14 | 川崎製鉄 株式会社 | スポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JPH0627313B2 (ja) * | 1988-12-19 | 1994-04-13 | 川崎製鉄株式会社 | 耐パウダリング性に優れる加工用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
US5997664A (en) * | 1996-04-01 | 1999-12-07 | Nkk Corporation | Method for producing galvanized steel sheet |
BE1011066A3 (fr) * | 1997-03-27 | 1999-04-06 | Cockerill Rech & Dev | Acier au niobium et procede de fabrication de produits plats a partir de celui-ci. |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58110659A (ja) * | 1981-12-25 | 1983-07-01 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 深絞り用亜鉛めつき鋼板およびその製造方法 |
JPS5974232A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Nippon Steel Corp | 極めて優れた二次加工性を有する超深絞り用焼付硬化性溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法 |
JPS5974231A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Nippon Steel Corp | 超深絞性溶融亜鉛メツキ鋼板の製造法 |
-
1984
- 1984-09-03 JP JP18258284A patent/JPS6160860A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58110659A (ja) * | 1981-12-25 | 1983-07-01 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 深絞り用亜鉛めつき鋼板およびその製造方法 |
JPS5974232A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Nippon Steel Corp | 極めて優れた二次加工性を有する超深絞り用焼付硬化性溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法 |
JPS5974231A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Nippon Steel Corp | 超深絞性溶融亜鉛メツキ鋼板の製造法 |
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---|---|
JPS6160860A (ja) | 1986-03-28 |
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