JPH0335403B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0335403B2 JPH0335403B2 JP2874982A JP2874982A JPH0335403B2 JP H0335403 B2 JPH0335403 B2 JP H0335403B2 JP 2874982 A JP2874982 A JP 2874982A JP 2874982 A JP2874982 A JP 2874982A JP H0335403 B2 JPH0335403 B2 JP H0335403B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- polyester
- weight
- color development
- spinning
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Description
本発明は発色性の良好なポリエステル繊維を効
率良く製造する方法に関するものである。さらに
詳しくは粒子表面のシラノール基を封鎖した疎水
性乾式法のシリカを含むポリエステルを高速で紡
糸した後、溶剤で表面溶出処理する方法に関す
る。 ポリエステル系繊維の製造工程の典型的な例は
1000m/分前後の紡糸速度で紡出した未延伸糸
を、1度パツケージに巻取つた後、延伸工程にて
3〜4倍に延伸熱処理するものであるが、かかる
方法は紡糸工程と延伸熱処理工程の2工程を要す
るため、近年、生産性の面からあるいは熱エネル
ギーの面から、必ずしも有用なものとは言えなく
なつてきた。 このエネルギーコストの増大を押える方法とし
て紡糸工程のみで実用に耐え得る糸を得ることに
対する要求は極めて強い。 本発明者らはポリエステルを紡糸工程のみで製
造する方法を検討した結果、得られる糸の強度特
性面から5000m/min以上の紡糸速度が必要であ
るが、5000m/min以上の紡糸速度で製糸した糸
は、通常の紡糸・延伸糸に比べ若干の発色性向上
効果があるにもかかわらず、その発色性は未だ満
足できるレベルにはないことを見い出した。その
理由は、通常のポリエステル繊維は他の繊維たと
えばアセテート、レーヨン、羊毛、綿などの繊維
に比べて染色布の発色性(黒の深味あるいは有彩
色の鮮明性)が劣つていたためである。特に該染
色布を構成するポリエステル繊維の単繊維繊度が
1デニール以下の場合には布帛表面での光の表面
反射率が高くなり発色性が劣つていた。 そこで、前記紡糸工程のみで製造した糸の発色
性をさらに向上させるため、アルカリ溶剤による
表面処理(以下アルカリ処理という)により繊維
表面を粗面化する技術について検討を行なつてき
た。 従来、アルカリ処理により繊維表面を粗面化す
る方法としては (1) 平均粒径100mμ以下であるシリカゾルなど
の無機微粒子を0.5〜10重量%含有するポリエ
ステル繊維をアルカリ処理し、特定の表面構造
を付与した繊維(特開昭55−107512号公報) (2) 平均粒径100mμ以下であるシリカゾルなど
の無機微粒子を0.5〜10重量%含有せしめたポ
リエステル繊維をアルカリ処理し、特定の表面
構造を付与せしめた単繊維繊度1デニール以下
の極細繊維(特開昭55−112306号公報) などが提案されている。 しかしながら、前記粗面化技術に使用されてい
たシリカ系の粒子は、いずれも表面シラノール基
の活性のため添加粒子の凝集が起こりやすいとい
う問題があり、凝集粒による粗大粒子のための紡
糸時の糸切れ、層の目づまりによる圧上昇が
激しく、5000m/min以上でポリエステル糸を製
造する際には全く実用に供することができなかつ
た。 また、凝集粒が多いためアルカリ処理後に極端
な粗面化が起り、布帛を摩擦した際、たて長の凹
みが破壊され鏡面になりやすく、部分的に光を反
射しやすくなるため色目がかわるという問題点が
あつた。 本発明者らは上記問題点に鑑み、発色性の良好
なポリエステル繊維を紡糸工程のみで得る際に適
用可能であり、前記凝集による問題のないシリカ
系粒子を見い出し本発明に到達したものである。 すなわち本発明は、平均の一次粒子径が100m
μ以下であり、粒子表面にアルキル基を有し、か
つ粒子表面のシラノール基を30%以上封鎖した疎
水性乾式法のシリカ粒子を0.12重量%以上1.0重
量%以下含有するポリエステルを5000m/min以
上で紡糸した後、該繊維に対し可溶性あるいは分
解性を有する溶剤で表面溶出処理することを特徴
とする発色性の良好なポリエステル繊維の製造方
法である。 本発明におけるポリエステルとは、エチレング
リコールまたは1,4ーブタンジオールを主たる
グリコール成分とし、テレフタル酸またはそのエ
ステルを主たるジカルボン酸成分とするポリエス
テルを対象とする。 このジカルボン酸成分の一部をたとえば5−ス
ルホイソフタル酸のモノアルカリ金属塩、イソフ
タル酸、ジフエニルジカルボン酸、ナフタレンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸なのジカルボン酸またはそのエステル、p−
オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香
酸などのオキシカルボン酸またはそのエステルで
置き換えても良く、エチレングリコールまたは
1,4−ブタンジオールの一部をたとえば炭素数
2〜10のアルキレングリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、1,4−ビス(β−オキ
シエトキシ)ベンゼン、ビスフエノールAのビス
グリコールエーテルなどの主グリコール成分以外
のグリコールで置き換えても良い。 さらにペンタエリスリトール、トリメチロール
プロパン、トリメリツト酸、トリメシン酸などの
鎖分岐剤やモノハイドリツクポリアルキレンオキ
サイド、フエニル酢酸などの重合停止剤を少割合
使用することも可能である。 かかる原料からポリエステルを製造するには、
たとえばテレフタル酸ジメチルをエチレングリコ
ールまたは1,4−ブタンジオールでエステル交
換反応せしめるか、テレフタル酸を該グリコール
で直接エステル化反応せしめるか、またはテレフ
タル酸にエチレンオキサイドを付加反応せしめる
かしてテレフタル酸の該グリコールエステルおよ
び/またはその低重合体を合成し、次いで該生成
物を常法により重合反応せしめる方法が最も広く
採用される。 さらに本発明を実施するポリエステルの合成に
当つては、当業界周知の触媒、着色防止剤、艶消
剤、エーテル結合副生防止剤、抗酸化剤、難燃剤
などを適宜使用することができる。 本発明で前記ポリエステル中に含有するシリカ
系粒子は粒子表面にアルキル基を有し、かつ粒子
表面のシラノール基を封鎖した疎水性乾式法のシ
リカ粒子である必要がある。 前記疎水性乾式法のシリカ粒子とは、たとえば
乾式法二酸化ケイ素とジアルキルジクロルシラン
を反応させることによつて得られる粒子表面のシ
ラノール基を30%以上封鎖した酸化ケイ素であ
り、封鎖率を50%以上とするのが好ましい。 なお、本発明におけるシリカ粒子の製造法と
は、たとえば「プラスチツク用およびゴム用添加
剤実用便覧」(化学工業社、昭和45年8月10日発
行)の524ページに記載されているような一般に
ハロゲン化ケイ素を水素および酸素とともに気相
で熱分解させる方法である。 また、本発明におけるシリカ粒子表面のシラノ
ール基を封鎖するアルカリ基は特に限定しないが
メチル基およびエチル基が好ましい。 前記表面をアルキル基で封鎖したシリカ粒子を
使用する理由を以下に述べる。 5000m/min以上で紡糸する際は、従来の紡糸
速度で紡糸する場合に比べ、紡糸パツク口金から
吐出量を多くする必要がある。従つて紡糸パツク
の層での目詰りが従来に比べ多くなるので、紡
糸パツク内圧の上昇を防止するために、ポリエス
テル重合段階からポリマー中に、層で捕捉され
る様な粗大粒子を極力少なくする必要がある。 また、5000m/min以上の高速で紡糸する場合
は、紡糸時の変形、細化が超高速で行なわれるた
め、層を通過して糸に入る粗大粒子による糸切
れが起りやすくなる。そこで糸中に入る粗大粒子
を減少させる必要があり、そのために紡糸パツク
での過を強化する必要がある。 紡糸速度が5000m/min以上の高速では、通常
のポリエステルを使用した場合でも、糸中の異物
等により糸切れが多くなるが、従来発色性改善の
ためポリエステル中に添加していた通常の乾式法
シリカ等では、シリカ粒子の凝集による粗大粒子
のため、5000m/min以上の高速で紡糸するのは
困難であつた。 すなわち、従来の発色性向上技術で使用されて
いたシリカゾル、通常の乾式法シリカ等はポリエ
ステル重合時の凝集が激しく、粗大粒子の生成が
極めて多いため、通常の紡糸パツクの過条件で
は粗大粒子により糸切れが多発し全く紡糸ができ
ない。さらに紡糸パツクの過を強化すると、粗
大粒子が層に目づまりし紡糸パツクの内圧が上
昇する上に、粗大粒子の一部が層を通過し糸切
れを起こすという問題を有していた。 一方本発明で使用する粒子表面にアルキル基を
有し、かつ粒子表面のシラノール基を封鎖した疎
水性乾式法のシリカ粒子は、表面のシラノール基
が封鎖されているので、ポリエステル重合時の凝
集がほとんど起らず粗大粒子の生成もわずかであ
る。 従つて過を強化しても、紡糸パツク層での
目詰りがほとんどなく、また紡糸パツクを通過し
て糸中へ入る粗大粒子をなくせるので圧上昇、
紡糸糸切れの問題がなく5000m/min以上の高速
紡糸を行なうことができる。 しかも本発明におけるシリカ粒子は、粒子の凝
集がなく均一に分散しているので、表面溶出処理
後の微細凹凸が均一に生成することができ発色性
改善効果が大きい。さらに本発明で使用する前記
シリカ粒子を含有したポリエステルを5000m/
min以上で紡糸した場合、同じポリマーを通常の
方法で紡糸延伸して得た糸より良好な発色性を示
すことがわかつた。 本発明における前記シリカ粒子の平均の一次粒
子径は100mμ以下とする必要があり、好ましく
は50mμ以下、特に好ましくは20mμ以下であ
る。平均の一次粒子径が100mμを越えると発色
性向上効果が低下する欠点がある。一次粒子径が
20mμ以下であると発色性向上効果が最も高くよ
り好ましい。 本発明におけるシリカ粒子の含有率は生成する
ポリエステル組成物に対し0.12重量%以上1.0重
量%以下とする必要があり、0.3重量%以上0.48
重量%以下が特に好ましい。0.12重量%未満で
は、表面に形成される微細凹凸数が不十分であ
り、発色性向上効果が十分でない。また1.0重量
%を越えると得られるポリマー中の粗大粒子数が
増加し、製糸性が悪化し、仮撚加工糸とした場
合、伸縮伸長率(CR値)が低下する欠点がある。
また、得られる染色布のフイブリル化性も悪化す
るので好ましくない。発色性向上効果から0.3重
量%以上がより好ましい。また粗大粒子によるパ
ツク内圧上昇、製糸性の悪化、糸切れの点から
0.48重量%以下がより好ましい。 さらに本発明では、紡糸速度を5000m/min以
上とすることが必要である。5000m/min未満で
は、紡糸工程のみで実用に耐え得る従来の延伸糸
と同等のポリエステル繊維は得られない。 第2図は本発明の工程を示す概略図であり、口
金11から吐出されたポリエステル糸条Yは冷却
装置12を通つて固化された後、油剤付与装置1
3により油剤が付与されて、第1ゴデイロール1
4と第2ゴデイロール15により糸道及び糸速を
規制されて巻取装置16により巻取られる。巻取
装置16の巻取速度5000m/min以上に設定す
る。この場合第2ゴデイロール15の周速は、巻
取装置との間の巻取張力によつて異なつてくる
が、ほぼ巻取速度と等しい速度になる。なお、第
2ゴデイロールと巻取装置の間に必要に応じて糸
条に交絡を与えるインタレース装置17を設置し
てもよい。18は綾振り支点ガイドである。 油剤付与装置13は、第2図に示すようなガイ
ド給油方式の他オイリングローラ給油方式、噴霧
給油方式等であつても何ら構わない。 本発明の方法において油剤付与装置13の位置
は、特願昭56−79265号で提案されている超高速
紡糸に適した位置にするのが好ましい。油剤付与
装置13の設置位置Lを吐出糸条が冷却固化して
糸温度が、室温にまで冷却される位置よりも長く
かつ、4.26×1010×D1.61/V1.39(m)よりも短い範囲 に設定して、かつ巻取り速度を5000m/min以上
として巻取ることが好ましい。 D(cm)…単糸の直径〔異形断面糸の場合は丸断
面に換算したときの相当直径すなわち(断面積
×4)/(周長)とする〕 V(cm/sec)…巻取速度 従来のように糸温度がTgにまで冷却された程
度の位置で油剤付与すると紡糸中に単糸切れが多
発し、そしてTg以降室温までの間で油剤付与し
ても、この紡糸中の単糸切れトラブルは解決され
ない。室温まで冷却せしめてから油剤付与して、
やつとこのトラブルは解決されることが判明し
た。この原因は明確にはわからないが推察するに
糸の温度が室温にまで冷却されるまでは、糸条の
密度が増大するため、糸条の断面積が漸時減少し
てゆくことが問題のようである。このようにわず
かな糸条の断面積の変形過程で油剤付与すると、
紡糸速度が5000m/min以上では紡糸中の単糸切
れの発生が顕著になるのである。 本発明の表面溶出処理は苛性ソーダ、苛性カリ
などのアルカリ金属の水酸化物、水に溶かした時
にアルカリ金属水酸化物の形になるアルカリ金属
化合物、アルカリ金属の炭酸塩など、塩基性アル
カリ金属化合物の水溶液からなる溶剤中で繊維ま
たは織編物を加熱するか、または塩基性アルカリ
金属化合物の水溶液からなる溶剤を織編物にパツ
ト/スチーム処理することなどによつて達成され
るが、取扱性の点からパツト/スチームによる処
理が最も好ましい。 また、アルカリ処理にはセチルトリメチルアン
モニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジル
アンモニウムクロライドなどのアルカリ溶解促進
剤を適宜使用することができる。 本発明におけるアルカリ処理は上述のような処
理法等で減量率を繊維または織編物に対し5〜50
重量%とするのが好ましい。より好ましくは10〜
30重量%である。5重量%未満では発色性向上効
果が十分でないため好ましくなく、また50重量%
を超えると糸の強度が低下しすぎるので好ましく
ない。 本発明のポリエステルにおいて、ポリマー中の
40μ以上の粗大粒子数は、製糸前のポリマー1g
あたり150個以下とすることが好ましく、100個以
下がより好ましい。150個を越える数では本発明
で目的とする5000m/min以上で紡糸を行ないポ
リエステル繊維を製造する際に、通常の過条件
を採用すれば、製糸時の糸切れが発生し、過強
化を行なうと圧上昇が大きくなるという問題が
ある。 また前記ポリエステルのポリマー中の粗大粒子
数が同じでも、従来発色性向上技術に使用されて
いた粒子、例れば乾式法シリカ粒子では、本発明
に好ましく用いられる表面にアルキル基を有し、
かつ粒子表面のシラノール基を封鎖した疎水性乾
式法のシリカ粒子に比べ、圧上昇が大きく、
層へのシリカ成分の目詰りも多い。その理由は前
記アルキル基を有するシリカの凝集粒は層での
シエアーにより粒子が分散しやすいためと考えら
れる。従つて前記表面にアルキル基を有する疎水
性乾式法のシリカ粒子は本発明に好ましく用いる
ことができる。 また、粗大粒子数がポリマー1gあたり100個
以下であれば、圧上昇も小さく、紡糸パツクの
材として通常のモランダムサンド等を使用する
ことができるが、100〜150個の範囲では採用する
条件によつては圧上昇が大きくなるので、メタ
ルサンド、ステンレス製の不織布フイルター等を
用いて圧上昇を防止するのが好ましい。 本発明に用いる発色性向上効果が大きい、シリ
カ粒子の添加量が0.5重量%以上のポリエステル
を通常の方法で重合すると、シリカ粒子の添加量
が多いため粗大粒子の生成が激しく、粗大粒子に
起因する製糸性の悪化、発色性の低下、糸の強力
低下等の問題が起こりやすい。特にこの粗大粒子
の生成はポリマーの重合バツチを継続して行なう
と漸増する傾向がみられる。 前記粗大粒子の生成をポリマー1g当り150個
以下とするためには、粒子種、添加量を適正化す
ると共に、後述するように重合条件の適正化を行
なうのが好ましい。 本発明におけるシリカ粒子の平均の一次粒子径
の3倍以上の径を有する二次粒子の数は10平方ミ
クロンあたり5個以上が好ましい。5個未満では
発色性向上効果が小さくなる傾向がある。この理
由は、繊維をアルカリ処理した際に発生する縦長
の凹みの形態、数などが異なつてくるためと考え
られる。 なお、本発明において平均の一次粒子径の3倍
以上の径を有する二次粒子の数は、ミクロトーム
で100mμに切断した糸サンプルを日立(株)製HU
−12型透過型電子顕微鏡(加速電圧75KV)を用
いて30000倍で撮影した写真を7.3cm×11cmあたり
の二次粒子の数をカウントし、ポリマー10μ2あた
りに換算し、試料20個の平均として求めた値をい
う。 本発明によるポリエステル繊維の極限粘度
[η]は、好ましくは0.36以上であり、特に好ま
しくは0.53以上である。0.36未満の場合用途によ
つては強度、フイブリル化性などが問題となるこ
とがあり、この理由から0.53以上がより好まし
い。 本発明におけるジエチレングリコール(DEG)
含有率は好ましくは2重量%以下、特に好ましく
は1重量%以下である。2重量%を超える量では
後述する様に仮撚加工糸のCR値が低下し、布帛
の風合が悪化する傾向がある。DEG含有率を2
重量%以下とするためには、重合時の条件の選
定、触媒系の選定などで工夫する。 本発明における発色性の良好なポリエステル繊
維の単繊維繊度は特に限定しない。ただし、一般
にポリエステル繊維の単繊維繊度が1デニール以
下の場合は布帛表面での光の反射率が増加し、深
味が低下するため、本発明に単繊維繊度1デニー
ル以下の極細繊維に特に好ましく適用できる。1
デニール以下の極細繊維を製造する場合、一般に
紡糸あるいは延伸時の糸切れなどが多くなり、紡
糸時の過強化が必要となるためポリマー中の粗
大粒子が多いと紡糸時の過を強化する必要があ
るためスタート時の内圧が高く、また紡糸時の
圧上昇も大きくなるという問題がある。 たとえば、特開昭55−112306号公報に開示され
ているような公知の方法では、発色性向上効果は
確かに大きいが、上記のような問題があるため1
デニール以下の極細繊維を安定生産することは困
難であつた。 本発明における粒子種、添加量、粗大粒子数、
平均の一次粒子径の3倍以上の二次粒子の数、極
限粘度などを最適化することにより、1デニール
以下の極細繊維も好ましく安定生産できるように
することができる。 本発明による発色性の良好なポリエステル繊維
は、たとえば該ポリエステルの重合が完結するま
での任意の段階で平均の一次粒子径が100mμ以
下のシリカ粒子を0.12重量%以上、1.0重量%以
下を添加して重合を完結し、さらに5000m/min
以上で紡糸後、水酸化ナトリウムなどのアルカリ
性水溶液中で加熱し、繊維表面を溶解処理するこ
とによつて得られる。 本発明におけるシリカ粒子は、脂肪族グリコー
ル、脂肪族アルコールあるいは水などに、すでに
公知の方法で分散させ、重合反応が完結する以
前、たとえばエステル化反応、エステル交換反応
または重合反応の任意の段階で添加することがで
きるが、得られるポリマー中の粗大粒子数の面で
エステル交換前またはエステル交換後が特に好ま
しい。 一般にポリエステル重合時にシリカ粒子を添加
する場合、反応速度の低下、増粘等のため、重合
時の仕込量を少なくする必要があり、そのためエ
ステル交換缶中の加熱コイルが反応液面より上に
露出するため粗大粒子が増大するという問題があ
る。 本発明のシリカ粒子を添加したポリエステル
で、ポリマー1g中に存在する40μ以上の粗大粒
子数が200個以上であるポリエステルを得るため
には、本願出願人が既に提案した特願昭56−
144020号記載の方法を用いるのが特に好ましい。
具体的には粗大粒子の生成を防ぐために、原料を
エステル交換缶の加熱コイルが反応液中に埋没す
るように仕込んで、エステル交換反応を行なわせ
る方法を採用するのが特に好ましい。本発明では
シリカ粒子を0.12重量%以上1.0重量%以下添加
する場合に、前記仕込み方法を採用することによ
り粗大粒子生成量をポリマー1g当り200個以下
とすることができる。 なお、本発明におけるシリカ粒子は紡糸工程で
の砂の目詰り、あるいは糸切れなどのトラブル
を防止するため、自然沈降法、遠心分離法など、
一般に良く知られた方法で分級し、粗大粒子をな
るべく除いたものを使用することが好ましい。 また、本発明ではシリカ粒子をグリコール、水
などの分散させる際に、従来公知に分散剤も好ま
しく使用できる。粒子種によつて好適な分散剤は
異なるが、本発明の場合には水酸化テトラエチル
アンモニウムのような第4級アンモニウム化合物
が特に好ましい。 本発明ではエステル交換触媒あるいは重合触媒
は特に限定しないが、本発明の疎水性乾式法のシ
リカ粒子の場合、重合中にDEGが発生しやすい
ため、エステル交換触媒はリチウム、カルシウ
ム、マグネシウム化合物などが好ましく、重合触
媒はアンチモン化合物が特に好ましい。 本発明で得られた繊維の繊維表面の縦長の微細
な凹みの大きさは、最大幅を0.05〜1.5μ、長さ/
最大幅の比を1.5以上とすると繊維の発色性の面
で特に好ましい。なお、縦長の凹みの最大幅と
は、該凹みの横方向の最短距離の最大のものをい
う。たとえば該凹みがだ円形の場合は短径をい
う。また、縦長の凹みの長さとは該凹みの最大直
線距離をいう。たとえば該縦長の凹みがだ円形の
場合は長径をいう。 本発明の効果を以下に述べる。 (1) 表面にアルキル基を有し、かつ表面のシラノ
ール基を封鎖した疎水性乾式法のシリカ粒子を
使用しているので、重合時の凝集が少なく、紡
糸時の糸切れ、紡糸パツク内圧上昇が少ない。 (2) 前記シリカ粒子は均一に分散しているので、
発色性向上に寄与する表面凹凸が均一に形成さ
れ、凝集粒による大きな凹みができないので、
発色性向上効果が高く、強力特性面からも有利
である。 (3) 通常シリカ粒子径が小さい程発色性向上効果
は大きいが、一方粒子の凝集による問題も起こ
りやすい。しかしながら本発明の前記シリカ粒
子は重合時の凝集が少ないので発色性が良好な
粒子径の小さいシリカを使用することができ
る。 (4) 前記シリカ粒子は結晶化核剤として作用し、
5000m/min以上で紡糸する際の結晶化による
糸の内部構造を形成させる効果がある。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 なお、実施例中の部は重量部を、%は重量%を
意味する。 また、以下の実施例における不活性微粒子の平
均の一次粒子径、極限粘度[η]、ジエチレング
リコール(DEG)含有率、粗大粒子数、筒編の
作成方法、発色性評価方法、アルカリ溶解条件、
フイブリル化性評価方法は次のとおりである。 (平均の一次粒子径) シリカ粒子を電子顕微鏡で10万倍に拡大した写
真を撮影し、得られた像から各一次粒子の最長径
を測定し、1000個の平均として求めた値をいう。 (極限粘度[η]の測定法) ポリマーをo−クロルフエノールに溶解し、25
℃で測定した値である。 (ジエチレングリコール(DEG)含有率) ポリマー1gにモノエタノールアミン2.5g加
え還流加熱して解重合する。冷却後メチルアルコ
ール20ml加え、酢酸で中和後ガスクロで定量し、
ポリマーに対する得られるジエチレングリコール
の比(%)で表示する。 (粗大粒子数) ポリエステルチツプを常法で厚さ25μの二軸延
伸フイルムに製膜し、このフイルム25cm2を実体顕
微鏡(60倍)で観察、最大長さ40μ以上の粗大粒
子を測定して試料1gあたりの粗大粒子数を算出
した。 なお、粗大粒子数は1水準あたり10回測定し、
その平均値で表示した。 (筒編の作成方法) 評価すべきフイラメント糸を27ゲージの靴下編
機(小池機械製作所(株)製)により、筒編地を編成
した。 (発色性評価方法) 評価すべき布帛を常法により0.2%のイオン活
性剤[サンデツトG−900(三洋化成(株)製)]と0.2
%のソーダ灰を含む沸騰水中で5分間煮沸精練
し、次いで水洗、乾燥した。 次に180℃に調整したベーキング試験装置[大
栄科学精器製作所(株)製MODEL−DK−IH]を用
いて30秒間無緊張状態で乾燥処理を行ない筒編地
をセツトした。 次いで Sumikaron Black S−BB(住友化学(株)製分散染
料) 10%owf 酢 酸 0.5c.c./ 酢酸ソーダ 0.2g/ からなる浴比1:30の130℃の水溶液中で60分間
染色を行なつた後、常法に従い ハイドロサルフアイト 2g/ 苛性ソーダ 2g/ 非イオン活性剤(サンデツトG−900) 2g/ からなる80℃の水溶液中で20分間還元洗浄を行な
い、水洗、乾燥した。 発色性の評価は、デジタル測色色差計算機[ス
ガ試験機(株)製]で、筒編地を6枚以上重ね照射光
が透過しない状態で測定されるL値で行なつた。
L値は濃色なほど値が小さく、淡色であるほど値
が大きい。 (アルカリ溶解条件) 筒編地1重量部を水酸化ナトリウム(3重量
%)の沸騰水溶液50重量部中に浸漬し、攪拌しな
がら所定時間処理した後水洗し、次いで1%酢酸
水溶液で中和し、さらに水洗および乾燥した。ア
ルカリ溶解処理時間は、あらかじめ予備検討し、
所定の減量率になるように設定した。なお、減量
率の算出は、処理前後の筒編地を100℃の熱風中
で20分間乾燥し、重量を測定[この時の重量を
A、Bとする]して、 式A−B/A×100=減量率(%) より求めた。 (フイブリル化性評価方法) 第1図にフイブリル化試験機の概略図を示す。 湿潤状態の試料(染色した編織物)1を摩擦布
2との摩擦面積が12.5cm2になるように、ヘツド3
にホルダー4を使つて取り付け、その上に荷重5
の和が750gになるようにする。 一方、摩擦台6を滑り止め用のサンドペーパー
7を介して取り付け、85rpmで偏心回転させ、10
分間摩擦を行なつた後、試料1をはずしフイブリ
ル化の程度を肉眼で判定する。 すなわち、フイブリル化が起つている場合には
摩擦された部分が摩擦されていない部分に比べて
白く見えるので、摩擦された部分が白く見える状
態を観察し次の5段階に分けて判定した。 5級:フロステイングが認められない。 4級:わずかにフロステイングが認められる程
度。 3級:ややフロステイングが認められる。 2級:かなりフロステイングが目立つ。 1級:フロステイングが著しく認められる。 以上の中で3級以上を合格レベルとする。 実施例 1 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコ
ール60部、酢酸マンガン・4水和物0.05部、三酸
化アンチモン0.04部をエステル交換缶に仕込み、
窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230℃ま
で昇温して生成するメタノールを連続的に系外へ
留去しながらエステル交換反応を行なつた。エス
テル交換時、加熱コイルが反応液中に埋没するよ
うに原料を仕込んだ。続いて得られた生成物にリ
ン酸トリメチルを0.05部加えた。 さらに第1表に示した各種無機微粒子、水酸化
テトラエチルアンモニウム20%水溶液、エチレン
グリコールの重量比が5:2.5:92.5の混合物を
Janke & Kunkel社製Ultra Turrax T45DX
(10000rpm)で45分間分散せしめたスラリーを無
機微粒子が得られるポリエステルに対して各種の
添加量になるように添加した。次いで系を徐々に
減圧にして1時間30分かけて760mmHgから1mm
Hgまで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃か
ら280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重
合温度280℃でさらに2時間、合計3時間30分重
合した。反応終了後水中に吐出し、常法によりポ
リエステルチツプを得た。 得られたポリエチレンテレフタレートを160℃
で4時間減圧乾燥後、36ホール口金、100メツシ
ユサンドおよび絶対過径が20μのステンレス製
不織布フイルターを用いて、紡糸温度305℃、引
取速度6000m/minで第2図に示す装置を用いて
紡糸し、76デニール−36フイラメントの紡糸工程
のみで延伸糸を得た。 得られた延伸糸を用いて、前記の方法により筒
編地を作成し、次いで精練し、減量率が20%にな
るようにアルカリ処理した後発色性を評価した。 紡糸工程での製糸性、および上記発色性評価結
果を第1表に示した。 なお、第1表におけるメチル基封鎖乾式法シリ
カとは、粒子表面にメチル基を有し、かつ粒子表
面のシラノール基を75%封鎖した乾式法シリカで
ある。 また、糸中の粒子の分散状態とは、平均の一次
粒子径の3倍以上の粒子の数を(個/10μ2)で表
わしたものである。
率良く製造する方法に関するものである。さらに
詳しくは粒子表面のシラノール基を封鎖した疎水
性乾式法のシリカを含むポリエステルを高速で紡
糸した後、溶剤で表面溶出処理する方法に関す
る。 ポリエステル系繊維の製造工程の典型的な例は
1000m/分前後の紡糸速度で紡出した未延伸糸
を、1度パツケージに巻取つた後、延伸工程にて
3〜4倍に延伸熱処理するものであるが、かかる
方法は紡糸工程と延伸熱処理工程の2工程を要す
るため、近年、生産性の面からあるいは熱エネル
ギーの面から、必ずしも有用なものとは言えなく
なつてきた。 このエネルギーコストの増大を押える方法とし
て紡糸工程のみで実用に耐え得る糸を得ることに
対する要求は極めて強い。 本発明者らはポリエステルを紡糸工程のみで製
造する方法を検討した結果、得られる糸の強度特
性面から5000m/min以上の紡糸速度が必要であ
るが、5000m/min以上の紡糸速度で製糸した糸
は、通常の紡糸・延伸糸に比べ若干の発色性向上
効果があるにもかかわらず、その発色性は未だ満
足できるレベルにはないことを見い出した。その
理由は、通常のポリエステル繊維は他の繊維たと
えばアセテート、レーヨン、羊毛、綿などの繊維
に比べて染色布の発色性(黒の深味あるいは有彩
色の鮮明性)が劣つていたためである。特に該染
色布を構成するポリエステル繊維の単繊維繊度が
1デニール以下の場合には布帛表面での光の表面
反射率が高くなり発色性が劣つていた。 そこで、前記紡糸工程のみで製造した糸の発色
性をさらに向上させるため、アルカリ溶剤による
表面処理(以下アルカリ処理という)により繊維
表面を粗面化する技術について検討を行なつてき
た。 従来、アルカリ処理により繊維表面を粗面化す
る方法としては (1) 平均粒径100mμ以下であるシリカゾルなど
の無機微粒子を0.5〜10重量%含有するポリエ
ステル繊維をアルカリ処理し、特定の表面構造
を付与した繊維(特開昭55−107512号公報) (2) 平均粒径100mμ以下であるシリカゾルなど
の無機微粒子を0.5〜10重量%含有せしめたポ
リエステル繊維をアルカリ処理し、特定の表面
構造を付与せしめた単繊維繊度1デニール以下
の極細繊維(特開昭55−112306号公報) などが提案されている。 しかしながら、前記粗面化技術に使用されてい
たシリカ系の粒子は、いずれも表面シラノール基
の活性のため添加粒子の凝集が起こりやすいとい
う問題があり、凝集粒による粗大粒子のための紡
糸時の糸切れ、層の目づまりによる圧上昇が
激しく、5000m/min以上でポリエステル糸を製
造する際には全く実用に供することができなかつ
た。 また、凝集粒が多いためアルカリ処理後に極端
な粗面化が起り、布帛を摩擦した際、たて長の凹
みが破壊され鏡面になりやすく、部分的に光を反
射しやすくなるため色目がかわるという問題点が
あつた。 本発明者らは上記問題点に鑑み、発色性の良好
なポリエステル繊維を紡糸工程のみで得る際に適
用可能であり、前記凝集による問題のないシリカ
系粒子を見い出し本発明に到達したものである。 すなわち本発明は、平均の一次粒子径が100m
μ以下であり、粒子表面にアルキル基を有し、か
つ粒子表面のシラノール基を30%以上封鎖した疎
水性乾式法のシリカ粒子を0.12重量%以上1.0重
量%以下含有するポリエステルを5000m/min以
上で紡糸した後、該繊維に対し可溶性あるいは分
解性を有する溶剤で表面溶出処理することを特徴
とする発色性の良好なポリエステル繊維の製造方
法である。 本発明におけるポリエステルとは、エチレング
リコールまたは1,4ーブタンジオールを主たる
グリコール成分とし、テレフタル酸またはそのエ
ステルを主たるジカルボン酸成分とするポリエス
テルを対象とする。 このジカルボン酸成分の一部をたとえば5−ス
ルホイソフタル酸のモノアルカリ金属塩、イソフ
タル酸、ジフエニルジカルボン酸、ナフタレンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸なのジカルボン酸またはそのエステル、p−
オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香
酸などのオキシカルボン酸またはそのエステルで
置き換えても良く、エチレングリコールまたは
1,4−ブタンジオールの一部をたとえば炭素数
2〜10のアルキレングリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、1,4−ビス(β−オキ
シエトキシ)ベンゼン、ビスフエノールAのビス
グリコールエーテルなどの主グリコール成分以外
のグリコールで置き換えても良い。 さらにペンタエリスリトール、トリメチロール
プロパン、トリメリツト酸、トリメシン酸などの
鎖分岐剤やモノハイドリツクポリアルキレンオキ
サイド、フエニル酢酸などの重合停止剤を少割合
使用することも可能である。 かかる原料からポリエステルを製造するには、
たとえばテレフタル酸ジメチルをエチレングリコ
ールまたは1,4−ブタンジオールでエステル交
換反応せしめるか、テレフタル酸を該グリコール
で直接エステル化反応せしめるか、またはテレフ
タル酸にエチレンオキサイドを付加反応せしめる
かしてテレフタル酸の該グリコールエステルおよ
び/またはその低重合体を合成し、次いで該生成
物を常法により重合反応せしめる方法が最も広く
採用される。 さらに本発明を実施するポリエステルの合成に
当つては、当業界周知の触媒、着色防止剤、艶消
剤、エーテル結合副生防止剤、抗酸化剤、難燃剤
などを適宜使用することができる。 本発明で前記ポリエステル中に含有するシリカ
系粒子は粒子表面にアルキル基を有し、かつ粒子
表面のシラノール基を封鎖した疎水性乾式法のシ
リカ粒子である必要がある。 前記疎水性乾式法のシリカ粒子とは、たとえば
乾式法二酸化ケイ素とジアルキルジクロルシラン
を反応させることによつて得られる粒子表面のシ
ラノール基を30%以上封鎖した酸化ケイ素であ
り、封鎖率を50%以上とするのが好ましい。 なお、本発明におけるシリカ粒子の製造法と
は、たとえば「プラスチツク用およびゴム用添加
剤実用便覧」(化学工業社、昭和45年8月10日発
行)の524ページに記載されているような一般に
ハロゲン化ケイ素を水素および酸素とともに気相
で熱分解させる方法である。 また、本発明におけるシリカ粒子表面のシラノ
ール基を封鎖するアルカリ基は特に限定しないが
メチル基およびエチル基が好ましい。 前記表面をアルキル基で封鎖したシリカ粒子を
使用する理由を以下に述べる。 5000m/min以上で紡糸する際は、従来の紡糸
速度で紡糸する場合に比べ、紡糸パツク口金から
吐出量を多くする必要がある。従つて紡糸パツク
の層での目詰りが従来に比べ多くなるので、紡
糸パツク内圧の上昇を防止するために、ポリエス
テル重合段階からポリマー中に、層で捕捉され
る様な粗大粒子を極力少なくする必要がある。 また、5000m/min以上の高速で紡糸する場合
は、紡糸時の変形、細化が超高速で行なわれるた
め、層を通過して糸に入る粗大粒子による糸切
れが起りやすくなる。そこで糸中に入る粗大粒子
を減少させる必要があり、そのために紡糸パツク
での過を強化する必要がある。 紡糸速度が5000m/min以上の高速では、通常
のポリエステルを使用した場合でも、糸中の異物
等により糸切れが多くなるが、従来発色性改善の
ためポリエステル中に添加していた通常の乾式法
シリカ等では、シリカ粒子の凝集による粗大粒子
のため、5000m/min以上の高速で紡糸するのは
困難であつた。 すなわち、従来の発色性向上技術で使用されて
いたシリカゾル、通常の乾式法シリカ等はポリエ
ステル重合時の凝集が激しく、粗大粒子の生成が
極めて多いため、通常の紡糸パツクの過条件で
は粗大粒子により糸切れが多発し全く紡糸ができ
ない。さらに紡糸パツクの過を強化すると、粗
大粒子が層に目づまりし紡糸パツクの内圧が上
昇する上に、粗大粒子の一部が層を通過し糸切
れを起こすという問題を有していた。 一方本発明で使用する粒子表面にアルキル基を
有し、かつ粒子表面のシラノール基を封鎖した疎
水性乾式法のシリカ粒子は、表面のシラノール基
が封鎖されているので、ポリエステル重合時の凝
集がほとんど起らず粗大粒子の生成もわずかであ
る。 従つて過を強化しても、紡糸パツク層での
目詰りがほとんどなく、また紡糸パツクを通過し
て糸中へ入る粗大粒子をなくせるので圧上昇、
紡糸糸切れの問題がなく5000m/min以上の高速
紡糸を行なうことができる。 しかも本発明におけるシリカ粒子は、粒子の凝
集がなく均一に分散しているので、表面溶出処理
後の微細凹凸が均一に生成することができ発色性
改善効果が大きい。さらに本発明で使用する前記
シリカ粒子を含有したポリエステルを5000m/
min以上で紡糸した場合、同じポリマーを通常の
方法で紡糸延伸して得た糸より良好な発色性を示
すことがわかつた。 本発明における前記シリカ粒子の平均の一次粒
子径は100mμ以下とする必要があり、好ましく
は50mμ以下、特に好ましくは20mμ以下であ
る。平均の一次粒子径が100mμを越えると発色
性向上効果が低下する欠点がある。一次粒子径が
20mμ以下であると発色性向上効果が最も高くよ
り好ましい。 本発明におけるシリカ粒子の含有率は生成する
ポリエステル組成物に対し0.12重量%以上1.0重
量%以下とする必要があり、0.3重量%以上0.48
重量%以下が特に好ましい。0.12重量%未満で
は、表面に形成される微細凹凸数が不十分であ
り、発色性向上効果が十分でない。また1.0重量
%を越えると得られるポリマー中の粗大粒子数が
増加し、製糸性が悪化し、仮撚加工糸とした場
合、伸縮伸長率(CR値)が低下する欠点がある。
また、得られる染色布のフイブリル化性も悪化す
るので好ましくない。発色性向上効果から0.3重
量%以上がより好ましい。また粗大粒子によるパ
ツク内圧上昇、製糸性の悪化、糸切れの点から
0.48重量%以下がより好ましい。 さらに本発明では、紡糸速度を5000m/min以
上とすることが必要である。5000m/min未満で
は、紡糸工程のみで実用に耐え得る従来の延伸糸
と同等のポリエステル繊維は得られない。 第2図は本発明の工程を示す概略図であり、口
金11から吐出されたポリエステル糸条Yは冷却
装置12を通つて固化された後、油剤付与装置1
3により油剤が付与されて、第1ゴデイロール1
4と第2ゴデイロール15により糸道及び糸速を
規制されて巻取装置16により巻取られる。巻取
装置16の巻取速度5000m/min以上に設定す
る。この場合第2ゴデイロール15の周速は、巻
取装置との間の巻取張力によつて異なつてくる
が、ほぼ巻取速度と等しい速度になる。なお、第
2ゴデイロールと巻取装置の間に必要に応じて糸
条に交絡を与えるインタレース装置17を設置し
てもよい。18は綾振り支点ガイドである。 油剤付与装置13は、第2図に示すようなガイ
ド給油方式の他オイリングローラ給油方式、噴霧
給油方式等であつても何ら構わない。 本発明の方法において油剤付与装置13の位置
は、特願昭56−79265号で提案されている超高速
紡糸に適した位置にするのが好ましい。油剤付与
装置13の設置位置Lを吐出糸条が冷却固化して
糸温度が、室温にまで冷却される位置よりも長く
かつ、4.26×1010×D1.61/V1.39(m)よりも短い範囲 に設定して、かつ巻取り速度を5000m/min以上
として巻取ることが好ましい。 D(cm)…単糸の直径〔異形断面糸の場合は丸断
面に換算したときの相当直径すなわち(断面積
×4)/(周長)とする〕 V(cm/sec)…巻取速度 従来のように糸温度がTgにまで冷却された程
度の位置で油剤付与すると紡糸中に単糸切れが多
発し、そしてTg以降室温までの間で油剤付与し
ても、この紡糸中の単糸切れトラブルは解決され
ない。室温まで冷却せしめてから油剤付与して、
やつとこのトラブルは解決されることが判明し
た。この原因は明確にはわからないが推察するに
糸の温度が室温にまで冷却されるまでは、糸条の
密度が増大するため、糸条の断面積が漸時減少し
てゆくことが問題のようである。このようにわず
かな糸条の断面積の変形過程で油剤付与すると、
紡糸速度が5000m/min以上では紡糸中の単糸切
れの発生が顕著になるのである。 本発明の表面溶出処理は苛性ソーダ、苛性カリ
などのアルカリ金属の水酸化物、水に溶かした時
にアルカリ金属水酸化物の形になるアルカリ金属
化合物、アルカリ金属の炭酸塩など、塩基性アル
カリ金属化合物の水溶液からなる溶剤中で繊維ま
たは織編物を加熱するか、または塩基性アルカリ
金属化合物の水溶液からなる溶剤を織編物にパツ
ト/スチーム処理することなどによつて達成され
るが、取扱性の点からパツト/スチームによる処
理が最も好ましい。 また、アルカリ処理にはセチルトリメチルアン
モニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジル
アンモニウムクロライドなどのアルカリ溶解促進
剤を適宜使用することができる。 本発明におけるアルカリ処理は上述のような処
理法等で減量率を繊維または織編物に対し5〜50
重量%とするのが好ましい。より好ましくは10〜
30重量%である。5重量%未満では発色性向上効
果が十分でないため好ましくなく、また50重量%
を超えると糸の強度が低下しすぎるので好ましく
ない。 本発明のポリエステルにおいて、ポリマー中の
40μ以上の粗大粒子数は、製糸前のポリマー1g
あたり150個以下とすることが好ましく、100個以
下がより好ましい。150個を越える数では本発明
で目的とする5000m/min以上で紡糸を行ないポ
リエステル繊維を製造する際に、通常の過条件
を採用すれば、製糸時の糸切れが発生し、過強
化を行なうと圧上昇が大きくなるという問題が
ある。 また前記ポリエステルのポリマー中の粗大粒子
数が同じでも、従来発色性向上技術に使用されて
いた粒子、例れば乾式法シリカ粒子では、本発明
に好ましく用いられる表面にアルキル基を有し、
かつ粒子表面のシラノール基を封鎖した疎水性乾
式法のシリカ粒子に比べ、圧上昇が大きく、
層へのシリカ成分の目詰りも多い。その理由は前
記アルキル基を有するシリカの凝集粒は層での
シエアーにより粒子が分散しやすいためと考えら
れる。従つて前記表面にアルキル基を有する疎水
性乾式法のシリカ粒子は本発明に好ましく用いる
ことができる。 また、粗大粒子数がポリマー1gあたり100個
以下であれば、圧上昇も小さく、紡糸パツクの
材として通常のモランダムサンド等を使用する
ことができるが、100〜150個の範囲では採用する
条件によつては圧上昇が大きくなるので、メタ
ルサンド、ステンレス製の不織布フイルター等を
用いて圧上昇を防止するのが好ましい。 本発明に用いる発色性向上効果が大きい、シリ
カ粒子の添加量が0.5重量%以上のポリエステル
を通常の方法で重合すると、シリカ粒子の添加量
が多いため粗大粒子の生成が激しく、粗大粒子に
起因する製糸性の悪化、発色性の低下、糸の強力
低下等の問題が起こりやすい。特にこの粗大粒子
の生成はポリマーの重合バツチを継続して行なう
と漸増する傾向がみられる。 前記粗大粒子の生成をポリマー1g当り150個
以下とするためには、粒子種、添加量を適正化す
ると共に、後述するように重合条件の適正化を行
なうのが好ましい。 本発明におけるシリカ粒子の平均の一次粒子径
の3倍以上の径を有する二次粒子の数は10平方ミ
クロンあたり5個以上が好ましい。5個未満では
発色性向上効果が小さくなる傾向がある。この理
由は、繊維をアルカリ処理した際に発生する縦長
の凹みの形態、数などが異なつてくるためと考え
られる。 なお、本発明において平均の一次粒子径の3倍
以上の径を有する二次粒子の数は、ミクロトーム
で100mμに切断した糸サンプルを日立(株)製HU
−12型透過型電子顕微鏡(加速電圧75KV)を用
いて30000倍で撮影した写真を7.3cm×11cmあたり
の二次粒子の数をカウントし、ポリマー10μ2あた
りに換算し、試料20個の平均として求めた値をい
う。 本発明によるポリエステル繊維の極限粘度
[η]は、好ましくは0.36以上であり、特に好ま
しくは0.53以上である。0.36未満の場合用途によ
つては強度、フイブリル化性などが問題となるこ
とがあり、この理由から0.53以上がより好まし
い。 本発明におけるジエチレングリコール(DEG)
含有率は好ましくは2重量%以下、特に好ましく
は1重量%以下である。2重量%を超える量では
後述する様に仮撚加工糸のCR値が低下し、布帛
の風合が悪化する傾向がある。DEG含有率を2
重量%以下とするためには、重合時の条件の選
定、触媒系の選定などで工夫する。 本発明における発色性の良好なポリエステル繊
維の単繊維繊度は特に限定しない。ただし、一般
にポリエステル繊維の単繊維繊度が1デニール以
下の場合は布帛表面での光の反射率が増加し、深
味が低下するため、本発明に単繊維繊度1デニー
ル以下の極細繊維に特に好ましく適用できる。1
デニール以下の極細繊維を製造する場合、一般に
紡糸あるいは延伸時の糸切れなどが多くなり、紡
糸時の過強化が必要となるためポリマー中の粗
大粒子が多いと紡糸時の過を強化する必要があ
るためスタート時の内圧が高く、また紡糸時の
圧上昇も大きくなるという問題がある。 たとえば、特開昭55−112306号公報に開示され
ているような公知の方法では、発色性向上効果は
確かに大きいが、上記のような問題があるため1
デニール以下の極細繊維を安定生産することは困
難であつた。 本発明における粒子種、添加量、粗大粒子数、
平均の一次粒子径の3倍以上の二次粒子の数、極
限粘度などを最適化することにより、1デニール
以下の極細繊維も好ましく安定生産できるように
することができる。 本発明による発色性の良好なポリエステル繊維
は、たとえば該ポリエステルの重合が完結するま
での任意の段階で平均の一次粒子径が100mμ以
下のシリカ粒子を0.12重量%以上、1.0重量%以
下を添加して重合を完結し、さらに5000m/min
以上で紡糸後、水酸化ナトリウムなどのアルカリ
性水溶液中で加熱し、繊維表面を溶解処理するこ
とによつて得られる。 本発明におけるシリカ粒子は、脂肪族グリコー
ル、脂肪族アルコールあるいは水などに、すでに
公知の方法で分散させ、重合反応が完結する以
前、たとえばエステル化反応、エステル交換反応
または重合反応の任意の段階で添加することがで
きるが、得られるポリマー中の粗大粒子数の面で
エステル交換前またはエステル交換後が特に好ま
しい。 一般にポリエステル重合時にシリカ粒子を添加
する場合、反応速度の低下、増粘等のため、重合
時の仕込量を少なくする必要があり、そのためエ
ステル交換缶中の加熱コイルが反応液面より上に
露出するため粗大粒子が増大するという問題があ
る。 本発明のシリカ粒子を添加したポリエステル
で、ポリマー1g中に存在する40μ以上の粗大粒
子数が200個以上であるポリエステルを得るため
には、本願出願人が既に提案した特願昭56−
144020号記載の方法を用いるのが特に好ましい。
具体的には粗大粒子の生成を防ぐために、原料を
エステル交換缶の加熱コイルが反応液中に埋没す
るように仕込んで、エステル交換反応を行なわせ
る方法を採用するのが特に好ましい。本発明では
シリカ粒子を0.12重量%以上1.0重量%以下添加
する場合に、前記仕込み方法を採用することによ
り粗大粒子生成量をポリマー1g当り200個以下
とすることができる。 なお、本発明におけるシリカ粒子は紡糸工程で
の砂の目詰り、あるいは糸切れなどのトラブル
を防止するため、自然沈降法、遠心分離法など、
一般に良く知られた方法で分級し、粗大粒子をな
るべく除いたものを使用することが好ましい。 また、本発明ではシリカ粒子をグリコール、水
などの分散させる際に、従来公知に分散剤も好ま
しく使用できる。粒子種によつて好適な分散剤は
異なるが、本発明の場合には水酸化テトラエチル
アンモニウムのような第4級アンモニウム化合物
が特に好ましい。 本発明ではエステル交換触媒あるいは重合触媒
は特に限定しないが、本発明の疎水性乾式法のシ
リカ粒子の場合、重合中にDEGが発生しやすい
ため、エステル交換触媒はリチウム、カルシウ
ム、マグネシウム化合物などが好ましく、重合触
媒はアンチモン化合物が特に好ましい。 本発明で得られた繊維の繊維表面の縦長の微細
な凹みの大きさは、最大幅を0.05〜1.5μ、長さ/
最大幅の比を1.5以上とすると繊維の発色性の面
で特に好ましい。なお、縦長の凹みの最大幅と
は、該凹みの横方向の最短距離の最大のものをい
う。たとえば該凹みがだ円形の場合は短径をい
う。また、縦長の凹みの長さとは該凹みの最大直
線距離をいう。たとえば該縦長の凹みがだ円形の
場合は長径をいう。 本発明の効果を以下に述べる。 (1) 表面にアルキル基を有し、かつ表面のシラノ
ール基を封鎖した疎水性乾式法のシリカ粒子を
使用しているので、重合時の凝集が少なく、紡
糸時の糸切れ、紡糸パツク内圧上昇が少ない。 (2) 前記シリカ粒子は均一に分散しているので、
発色性向上に寄与する表面凹凸が均一に形成さ
れ、凝集粒による大きな凹みができないので、
発色性向上効果が高く、強力特性面からも有利
である。 (3) 通常シリカ粒子径が小さい程発色性向上効果
は大きいが、一方粒子の凝集による問題も起こ
りやすい。しかしながら本発明の前記シリカ粒
子は重合時の凝集が少ないので発色性が良好な
粒子径の小さいシリカを使用することができ
る。 (4) 前記シリカ粒子は結晶化核剤として作用し、
5000m/min以上で紡糸する際の結晶化による
糸の内部構造を形成させる効果がある。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 なお、実施例中の部は重量部を、%は重量%を
意味する。 また、以下の実施例における不活性微粒子の平
均の一次粒子径、極限粘度[η]、ジエチレング
リコール(DEG)含有率、粗大粒子数、筒編の
作成方法、発色性評価方法、アルカリ溶解条件、
フイブリル化性評価方法は次のとおりである。 (平均の一次粒子径) シリカ粒子を電子顕微鏡で10万倍に拡大した写
真を撮影し、得られた像から各一次粒子の最長径
を測定し、1000個の平均として求めた値をいう。 (極限粘度[η]の測定法) ポリマーをo−クロルフエノールに溶解し、25
℃で測定した値である。 (ジエチレングリコール(DEG)含有率) ポリマー1gにモノエタノールアミン2.5g加
え還流加熱して解重合する。冷却後メチルアルコ
ール20ml加え、酢酸で中和後ガスクロで定量し、
ポリマーに対する得られるジエチレングリコール
の比(%)で表示する。 (粗大粒子数) ポリエステルチツプを常法で厚さ25μの二軸延
伸フイルムに製膜し、このフイルム25cm2を実体顕
微鏡(60倍)で観察、最大長さ40μ以上の粗大粒
子を測定して試料1gあたりの粗大粒子数を算出
した。 なお、粗大粒子数は1水準あたり10回測定し、
その平均値で表示した。 (筒編の作成方法) 評価すべきフイラメント糸を27ゲージの靴下編
機(小池機械製作所(株)製)により、筒編地を編成
した。 (発色性評価方法) 評価すべき布帛を常法により0.2%のイオン活
性剤[サンデツトG−900(三洋化成(株)製)]と0.2
%のソーダ灰を含む沸騰水中で5分間煮沸精練
し、次いで水洗、乾燥した。 次に180℃に調整したベーキング試験装置[大
栄科学精器製作所(株)製MODEL−DK−IH]を用
いて30秒間無緊張状態で乾燥処理を行ない筒編地
をセツトした。 次いで Sumikaron Black S−BB(住友化学(株)製分散染
料) 10%owf 酢 酸 0.5c.c./ 酢酸ソーダ 0.2g/ からなる浴比1:30の130℃の水溶液中で60分間
染色を行なつた後、常法に従い ハイドロサルフアイト 2g/ 苛性ソーダ 2g/ 非イオン活性剤(サンデツトG−900) 2g/ からなる80℃の水溶液中で20分間還元洗浄を行な
い、水洗、乾燥した。 発色性の評価は、デジタル測色色差計算機[ス
ガ試験機(株)製]で、筒編地を6枚以上重ね照射光
が透過しない状態で測定されるL値で行なつた。
L値は濃色なほど値が小さく、淡色であるほど値
が大きい。 (アルカリ溶解条件) 筒編地1重量部を水酸化ナトリウム(3重量
%)の沸騰水溶液50重量部中に浸漬し、攪拌しな
がら所定時間処理した後水洗し、次いで1%酢酸
水溶液で中和し、さらに水洗および乾燥した。ア
ルカリ溶解処理時間は、あらかじめ予備検討し、
所定の減量率になるように設定した。なお、減量
率の算出は、処理前後の筒編地を100℃の熱風中
で20分間乾燥し、重量を測定[この時の重量を
A、Bとする]して、 式A−B/A×100=減量率(%) より求めた。 (フイブリル化性評価方法) 第1図にフイブリル化試験機の概略図を示す。 湿潤状態の試料(染色した編織物)1を摩擦布
2との摩擦面積が12.5cm2になるように、ヘツド3
にホルダー4を使つて取り付け、その上に荷重5
の和が750gになるようにする。 一方、摩擦台6を滑り止め用のサンドペーパー
7を介して取り付け、85rpmで偏心回転させ、10
分間摩擦を行なつた後、試料1をはずしフイブリ
ル化の程度を肉眼で判定する。 すなわち、フイブリル化が起つている場合には
摩擦された部分が摩擦されていない部分に比べて
白く見えるので、摩擦された部分が白く見える状
態を観察し次の5段階に分けて判定した。 5級:フロステイングが認められない。 4級:わずかにフロステイングが認められる程
度。 3級:ややフロステイングが認められる。 2級:かなりフロステイングが目立つ。 1級:フロステイングが著しく認められる。 以上の中で3級以上を合格レベルとする。 実施例 1 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコ
ール60部、酢酸マンガン・4水和物0.05部、三酸
化アンチモン0.04部をエステル交換缶に仕込み、
窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230℃ま
で昇温して生成するメタノールを連続的に系外へ
留去しながらエステル交換反応を行なつた。エス
テル交換時、加熱コイルが反応液中に埋没するよ
うに原料を仕込んだ。続いて得られた生成物にリ
ン酸トリメチルを0.05部加えた。 さらに第1表に示した各種無機微粒子、水酸化
テトラエチルアンモニウム20%水溶液、エチレン
グリコールの重量比が5:2.5:92.5の混合物を
Janke & Kunkel社製Ultra Turrax T45DX
(10000rpm)で45分間分散せしめたスラリーを無
機微粒子が得られるポリエステルに対して各種の
添加量になるように添加した。次いで系を徐々に
減圧にして1時間30分かけて760mmHgから1mm
Hgまで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃か
ら280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重
合温度280℃でさらに2時間、合計3時間30分重
合した。反応終了後水中に吐出し、常法によりポ
リエステルチツプを得た。 得られたポリエチレンテレフタレートを160℃
で4時間減圧乾燥後、36ホール口金、100メツシ
ユサンドおよび絶対過径が20μのステンレス製
不織布フイルターを用いて、紡糸温度305℃、引
取速度6000m/minで第2図に示す装置を用いて
紡糸し、76デニール−36フイラメントの紡糸工程
のみで延伸糸を得た。 得られた延伸糸を用いて、前記の方法により筒
編地を作成し、次いで精練し、減量率が20%にな
るようにアルカリ処理した後発色性を評価した。 紡糸工程での製糸性、および上記発色性評価結
果を第1表に示した。 なお、第1表におけるメチル基封鎖乾式法シリ
カとは、粒子表面にメチル基を有し、かつ粒子表
面のシラノール基を75%封鎖した乾式法シリカで
ある。 また、糸中の粒子の分散状態とは、平均の一次
粒子径の3倍以上の粒子の数を(個/10μ2)で表
わしたものである。
【表】
【表】
第1表における実験No.1、7、10、11および12
は本発明の効果を明確にするための比較例であ
る。 比較例である実験No.1は添加粒子量が0.12重量
%未満であり、平均の一次粒子径の3倍以上の粒
子の数も少なく、発色性も不良であつた。 また、同じく比較例である実験No.7は粒子添加
量が1.0重量%を越えているため、製糸性が悪く、
パツク内圧上昇も大きい。 同じく比較例である、実験No.10は粒子の平均一
次粒子径が100mμを越えており、平均の一次粒
子径の3倍以上の粒子の数も少なく発色性が不十
分である。 比較例である実験No.11および12は表面のシラノ
ール基を封鎖していないシリカを使用しているた
め発色性向上効果は認められるが製糸性が悪く、
パツク内圧上昇も大きい。 一方、本発明例である、実験No.2、3、4、
5、6、8および9は製糸性も良好であり、発色
性も十分なレベルであつた。 さらに実験No.4の延伸糸を用いて、タフタ、強
撚織物、仮撚加工糸織物、仮撚加工糸強撚織物、
トリコツト、丸編などに製編織後アルカリによる
減量処理を行ない、さらに通常の方法により染
色、捺染を行なつた。 得られた布帛は淡色から濃色および黒染のいず
れも同一ポリマーで通常の紡糸・延伸を行なつて
得た延伸糸を使用した場合より良好な発色性を示
した。 実施例 2 実施例1の実験No.5および12で使用したポリマ
ーを用いて、72ホールの口金および絶対過径が
15μのステンレス製不織布フイルターを使用し
5500m/minで引取つた以外は実施例1と同一条
件で紡糸し、75デニール−72フイラメントの延伸
糸を得た。 得られた延伸糸を用いて、前記した方法によ
り、筒編地とし発色性および評価した。 紡糸工程での製糸性および発色性評価結果を第
2表に示した。
は本発明の効果を明確にするための比較例であ
る。 比較例である実験No.1は添加粒子量が0.12重量
%未満であり、平均の一次粒子径の3倍以上の粒
子の数も少なく、発色性も不良であつた。 また、同じく比較例である実験No.7は粒子添加
量が1.0重量%を越えているため、製糸性が悪く、
パツク内圧上昇も大きい。 同じく比較例である、実験No.10は粒子の平均一
次粒子径が100mμを越えており、平均の一次粒
子径の3倍以上の粒子の数も少なく発色性が不十
分である。 比較例である実験No.11および12は表面のシラノ
ール基を封鎖していないシリカを使用しているた
め発色性向上効果は認められるが製糸性が悪く、
パツク内圧上昇も大きい。 一方、本発明例である、実験No.2、3、4、
5、6、8および9は製糸性も良好であり、発色
性も十分なレベルであつた。 さらに実験No.4の延伸糸を用いて、タフタ、強
撚織物、仮撚加工糸織物、仮撚加工糸強撚織物、
トリコツト、丸編などに製編織後アルカリによる
減量処理を行ない、さらに通常の方法により染
色、捺染を行なつた。 得られた布帛は淡色から濃色および黒染のいず
れも同一ポリマーで通常の紡糸・延伸を行なつて
得た延伸糸を使用した場合より良好な発色性を示
した。 実施例 2 実施例1の実験No.5および12で使用したポリマ
ーを用いて、72ホールの口金および絶対過径が
15μのステンレス製不織布フイルターを使用し
5500m/minで引取つた以外は実施例1と同一条
件で紡糸し、75デニール−72フイラメントの延伸
糸を得た。 得られた延伸糸を用いて、前記した方法によ
り、筒編地とし発色性および評価した。 紡糸工程での製糸性および発色性評価結果を第
2表に示した。
【表】
第2表における実験No.14は本発明の効果を確認
するための比較例である。 比較例である実験No.14は過を強化したにもか
かわらず製糸性が不十分であり、内圧上昇も大き
かつた。 本発明例である実験No.13は発色性、製糸性共に
満足されるレベルであつた。 実施例 3 実施例1実験No.4のポリマーの重合時間を変更
し、重合度の異なるポリマーを得た。 得られたポリマーを実施例1と同様に紡糸し、
75デニール−36フイラメントの延伸糸を得た。 得られた延伸糸をヒーター長110cmのスピンド
ル式仮撚加工機を用いてヒーター温度210℃、仮
撚加工速度100m/min、仮撚数3450tpm、3%
のアンダーフイード率で仮撚加工し、次いで前記
方法で編製およびアルカリ溶解処理を実施した後
発色性を評価した。 得られた仮撚加工紙の伸縮伸張率(CR値)と
アルカリ溶解処理後の筒編地のフイブリル化性を
第3表に示した。
するための比較例である。 比較例である実験No.14は過を強化したにもか
かわらず製糸性が不十分であり、内圧上昇も大き
かつた。 本発明例である実験No.13は発色性、製糸性共に
満足されるレベルであつた。 実施例 3 実施例1実験No.4のポリマーの重合時間を変更
し、重合度の異なるポリマーを得た。 得られたポリマーを実施例1と同様に紡糸し、
75デニール−36フイラメントの延伸糸を得た。 得られた延伸糸をヒーター長110cmのスピンド
ル式仮撚加工機を用いてヒーター温度210℃、仮
撚加工速度100m/min、仮撚数3450tpm、3%
のアンダーフイード率で仮撚加工し、次いで前記
方法で編製およびアルカリ溶解処理を実施した後
発色性を評価した。 得られた仮撚加工紙の伸縮伸張率(CR値)と
アルカリ溶解処理後の筒編地のフイブリル化性を
第3表に示した。
【表】
第3表において実験No.19〜21は本発明の効果を
明確にするための比較例である。 実験No.19は重合度が低いためフイブリル化性が
低目である。 また、実験No.20、21はDEGが2.0重量%を越え
ており仮撚加工系CRが低目である。 実験No.15〜18は仮撚加工糸のCR値も高く、抗
フロステイング性も良好であり、この仮撚加工糸
を用いた織物をアルカリ減量処理後染色した結
果、良好な発色性が得られた。
明確にするための比較例である。 実験No.19は重合度が低いためフイブリル化性が
低目である。 また、実験No.20、21はDEGが2.0重量%を越え
ており仮撚加工系CRが低目である。 実験No.15〜18は仮撚加工糸のCR値も高く、抗
フロステイング性も良好であり、この仮撚加工糸
を用いた織物をアルカリ減量処理後染色した結
果、良好な発色性が得られた。
第1図はフイブリル化性を測定する装置の概略
図である。第2図は本発明の紡糸プロセスの好ま
しい実施形態例を示す概略図である。 11:口金、12:冷却装置、13:油剤付与
装置、14:第1ゴデイロール、15:第2ゴデ
イロール、16:巻取装置、Y:糸条。
図である。第2図は本発明の紡糸プロセスの好ま
しい実施形態例を示す概略図である。 11:口金、12:冷却装置、13:油剤付与
装置、14:第1ゴデイロール、15:第2ゴデ
イロール、16:巻取装置、Y:糸条。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 平均の一次粒子径が100mμ以下であり、粒
子表面にアルキル基を有し、かつ粒子表面のシラ
ノール基を30%以上封鎖した疎水性乾式法のシリ
カ粒子を0.12重量%以上1.0重量%以下含有する
ポリエステルを5000m/min以上で紡糸した後、
該繊維に対し可溶性あるいは分解性を有する溶剤
で表面溶出処理することを特徴とする発色性の良
好なポリエステル繊維の製造方法。 2 シリカ粒子の平均の一次粒子径が50mμ以下
であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
載の発色性の良好なポリエステル繊維の製造方
法。 3 シリカ粒子の平均の一次粒子径が20mμ以下
であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
載の発色性の良好なポリエステル繊維の製造方
法。 4 シリカ粒子の含有率が0.3重量%以上0.48重
量%以下であることを特徴とする特許請求の範囲
第1項ないし第3項記載の発色性の良好なポリエ
ステル繊維の製造方法。 5 ポリエステル1g中に存在する40μ以上のシ
リカ粒子の数が150個以下であることを特徴とす
る特許請求の範囲第1項ないし第4項記載の発色
性の良好なポリエステル繊維の製造方法。 6 シリカ粒子の平均の一次粒子径の3倍以上の
径を有する二次粒子が10平方ミクロンあたり少な
くとも5個存在することを特徴とする特許請求の
範囲第1項ないし第5項記載の発色性の良好なポ
リエステル繊維の製造方法。 7 ポリエステルの極限粘度が0.36以上であるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第5
項記載の発色性の良好なポリエステル繊維の製造
方法。 8 ポリエステルの極限粘度が0.53以上であるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第6
項記載の発色性の良好なポリエステル繊維の製造
方法。 9 ポリエステルにおけるジエチレングリコール
の含有率が2重量%以下であることを特徴とする
特許請求の範囲第1項ないし第8項記載の発色性
の良好なポリエステル繊維の製造方法。 10 ポリエステルにおけるジエチレングリコー
ルの含有率が1重量%以下であることを特徴とす
る特許請求の範囲第1項ないし第8項記載の発色
性の良好なポリエステル繊維の製造方法。 11 表面溶出処理後の単繊維繊度が1.0デニー
ル以下であることを特徴とする特許請求の範囲第
1項ないし第10項記載の発色性の良好なポリエ
ステル繊維の製造方法。 12 繊維の溶剤が苛性ソーダ溶液であることを
特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第11項
記載の発色性の良好なポリエステル繊維の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2874982A JPS58149323A (ja) | 1982-02-26 | 1982-02-26 | 発色性の良好なポリエステル繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2874982A JPS58149323A (ja) | 1982-02-26 | 1982-02-26 | 発色性の良好なポリエステル繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58149323A JPS58149323A (ja) | 1983-09-05 |
JPH0335403B2 true JPH0335403B2 (ja) | 1991-05-28 |
Family
ID=12257052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2874982A Granted JPS58149323A (ja) | 1982-02-26 | 1982-02-26 | 発色性の良好なポリエステル繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58149323A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6366322A (ja) * | 1986-09-04 | 1988-03-25 | Kuraray Co Ltd | ポリエステル繊維の製造方法 |
GB2354225B (en) * | 1999-07-07 | 2001-08-08 | Ricoh Kk | Commodity carrying and storing apparatus |
JP5546993B2 (ja) * | 2010-08-13 | 2014-07-09 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 異形多孔性中空糸膜の製造方法、異形多孔性中空糸膜、異形多孔性中空糸膜を用いたモジュール、異形多孔性中空糸膜を用いたろ過装置及び異形多孔性中空糸膜を用いたろ過方法 |
-
1982
- 1982-02-26 JP JP2874982A patent/JPS58149323A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58149323A (ja) | 1983-09-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4361617A (en) | Hollow water-absorbing polyester filaments and a process for producing the same | |
EP1142955B1 (en) | Polyester resin composition and fiber | |
JPH0335403B2 (ja) | ||
JPS58149316A (ja) | 発色性の良好な紡績糸風ポリエステル繊維およびその製造方法 | |
JPH0753689A (ja) | ポリエステルの製造方法 | |
JPH0233378A (ja) | 良好な染色性を有するポリエステル繊維布帛及びその製造法 | |
JPS584818A (ja) | ポリエステル繊維およびその製造方法 | |
JPH0335404B2 (ja) | ||
JPS6319628B2 (ja) | ||
JPS58197309A (ja) | ポリエステル系繊維およびその製造法 | |
CN114341264B (zh) | 聚酯组合物及聚酯纤维 | |
JPH08209528A (ja) | 吸水性ポリエステル繊維の製造法 | |
JPS6219523B2 (ja) | ||
JPS6354807B2 (ja) | ||
JPS58149336A (ja) | 発色性の良好なポリエステル延伸仮撚糸の製造方法 | |
JPS6360147B2 (ja) | ||
JP2004256965A (ja) | 複合仮撚加工糸の製造方法 | |
JPH0524267B2 (ja) | ||
JPH11240944A (ja) | 改質ポリエステル、その繊維およびその極細繊維 | |
JP3973575B2 (ja) | 易フィブリル性ポリエステル繊維 | |
JPS6175873A (ja) | 改質ポリエステル繊維の製造方法 | |
JP2772923B2 (ja) | ポリエステル霜降り調太細繊維及びその中間体並びにポリエステル霜降り調太細繊維の製造方法 | |
JPS58149320A (ja) | 改質ポリエステル繊維の製造方法 | |
JP3657398B2 (ja) | 複合繊維の製造方法 | |
JPS6131232B2 (ja) |