JPH0248000B2 - - Google Patents
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- JPH0248000B2 JPH0248000B2 JP58166200A JP16620083A JPH0248000B2 JP H0248000 B2 JPH0248000 B2 JP H0248000B2 JP 58166200 A JP58166200 A JP 58166200A JP 16620083 A JP16620083 A JP 16620083A JP H0248000 B2 JPH0248000 B2 JP H0248000B2
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- Peptides Or Proteins (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
Description
この発明はマイタケの新菌株グリフオラ・フロ
ンドツサ・バル・トカチアーナの子実体に由来す
る新規な抗腫瘍活性物質GF−1に関するもので
ある。 近年、ある種の多糖類の制がん効果が知られて
から、当分野における多糖類に対する関心が高ま
り、種々研究がなされ、また、その成果が発表さ
れている。なかでも担子菌であるきのこ由来の多
糖類に関する研究が盛んで、例えば特公昭52−
44386号公報にはマイタケ属に属するきのこ菌株
の培養済培地を原料として製造する制ガん多糖類
が提案されている。また、カワラタケの一系統で
あるCM−101株より得られる蛋白多糖体PSK(一
般名)が担がん生体に投与して低下した機能を回
復させる免疫賦活の効果を有するが、腫瘍内に投
与した場合には、ほとんどその効果を示さないも
のである。これに対して、本発明のグリフオラ・
フロンドツサ・バル・トカチアーナの子実体由来
の抗腫瘍活性物質GF−1は、(1)担がんのごく初
期から腫瘍増殖阻止効果を示すこと、(2)腫瘍内投
与が有効であること、(3)正常生体においても、投
与により免疫機能を増強する効果が期待できるこ
と、などの点で顕著な生理作用を認めるに至つた
もので、新規な多糖構造と有用な効果から新規な
抗腫瘍活性物質と認め、この発明に到達したもの
である。 この発明で、原料として用いるマイタケ子実体
は人工栽培によつて生産されたマイタケ子実体で
あつて、「原色日本菌類図鑑」(保育社版 今関六
也、本郷次男共著)に準拠するサルノコシカケ科
に属するマイタケ(Grifola frondosa(Fr.)S.F.
Gray)の新菌株グリフオラ・フロンドツサ・バ
ル・トカチアーナで近年おがくず培地による人工
栽培が確立していて、60日程度の栽培期間で子実
体として多量生産できるものである。 マイタケ子実体からこの発明の抗腫瘍活性物質
を抽出するには、生の子実体、乾燥した子実体を
使用し、生の子実体の場合には千切りとし、乾燥
品の場合には粉砕するとよい、千切りあるいは粉
砕した子実体はエチルアルコールで脱脂処理した
後熱水等で抽出する。この処理によつて得た抽出
液を透析して低分子量成分を除去し、透析液を濃
縮する。この濃縮液にエチルアルコールを加え、
生成した沈殿物を別し、この沈殿物を希アルカ
リ溶液に溶解し、次いで、銅塩溶液を加えて多糖
を銅−多糖錯化合物として沈殿せしめる。沈殿を
別して酢酸に溶解し、これを透析、イオン交換
樹脂脱塩、その他公知の精製手段により脱塩精製
し、精製液を濃縮した後、常法によつて凍結乾燥
すると灰白色をした粉末体を得る。 上記で得た粉末体が抗腫瘍性物質GF−1で以
下に説明する理化学的性質を有し、後述する動物
試験の結果から、抗腫瘍活性の高い物質と認めら
れる。 1 理化学的性質 (イ) 元素分析の結果C40.5%、H6.0%、N1.0%
の窒素成分を僅少含む物質であり、フエノー
ル硫酸法によるグルコースとしての糖成分が
93.0%、Lowry−Folin法による蛋白質が4.4
%、更にP.H.Chem等の方法による燐酸が0.6
%であることから、僅少の蛋白質を含有する
多糖類である。構成糖はアルジトール・アセ
テートのガスクロマトグラフイーによる分析
でグルコースのみを認める。更に、メチル化
(箱守法)分析により、構成メチル糖成分と
して、2,3,4,6−テトラ−O−メチル
−D−グルコース(a)、2,4,6−トリ−O
−メチル−D−グルコース(b)、2,3,6−
トリ−O−メチル−D−グリコース(c)、2,
4−ジ−O−メチル−D−グリコース(d)及び
2,3−ジ−O−メチル−D−グルコース(e)
を分離同定し、そのモル比はa:b:c:
d:e=1.0:0.2:6.7:0.4:0.1であつた。
このことから、グルコースの結合様式として 及び
ンドツサ・バル・トカチアーナの子実体に由来す
る新規な抗腫瘍活性物質GF−1に関するもので
ある。 近年、ある種の多糖類の制がん効果が知られて
から、当分野における多糖類に対する関心が高ま
り、種々研究がなされ、また、その成果が発表さ
れている。なかでも担子菌であるきのこ由来の多
糖類に関する研究が盛んで、例えば特公昭52−
44386号公報にはマイタケ属に属するきのこ菌株
の培養済培地を原料として製造する制ガん多糖類
が提案されている。また、カワラタケの一系統で
あるCM−101株より得られる蛋白多糖体PSK(一
般名)が担がん生体に投与して低下した機能を回
復させる免疫賦活の効果を有するが、腫瘍内に投
与した場合には、ほとんどその効果を示さないも
のである。これに対して、本発明のグリフオラ・
フロンドツサ・バル・トカチアーナの子実体由来
の抗腫瘍活性物質GF−1は、(1)担がんのごく初
期から腫瘍増殖阻止効果を示すこと、(2)腫瘍内投
与が有効であること、(3)正常生体においても、投
与により免疫機能を増強する効果が期待できるこ
と、などの点で顕著な生理作用を認めるに至つた
もので、新規な多糖構造と有用な効果から新規な
抗腫瘍活性物質と認め、この発明に到達したもの
である。 この発明で、原料として用いるマイタケ子実体
は人工栽培によつて生産されたマイタケ子実体で
あつて、「原色日本菌類図鑑」(保育社版 今関六
也、本郷次男共著)に準拠するサルノコシカケ科
に属するマイタケ(Grifola frondosa(Fr.)S.F.
Gray)の新菌株グリフオラ・フロンドツサ・バ
ル・トカチアーナで近年おがくず培地による人工
栽培が確立していて、60日程度の栽培期間で子実
体として多量生産できるものである。 マイタケ子実体からこの発明の抗腫瘍活性物質
を抽出するには、生の子実体、乾燥した子実体を
使用し、生の子実体の場合には千切りとし、乾燥
品の場合には粉砕するとよい、千切りあるいは粉
砕した子実体はエチルアルコールで脱脂処理した
後熱水等で抽出する。この処理によつて得た抽出
液を透析して低分子量成分を除去し、透析液を濃
縮する。この濃縮液にエチルアルコールを加え、
生成した沈殿物を別し、この沈殿物を希アルカ
リ溶液に溶解し、次いで、銅塩溶液を加えて多糖
を銅−多糖錯化合物として沈殿せしめる。沈殿を
別して酢酸に溶解し、これを透析、イオン交換
樹脂脱塩、その他公知の精製手段により脱塩精製
し、精製液を濃縮した後、常法によつて凍結乾燥
すると灰白色をした粉末体を得る。 上記で得た粉末体が抗腫瘍性物質GF−1で以
下に説明する理化学的性質を有し、後述する動物
試験の結果から、抗腫瘍活性の高い物質と認めら
れる。 1 理化学的性質 (イ) 元素分析の結果C40.5%、H6.0%、N1.0%
の窒素成分を僅少含む物質であり、フエノー
ル硫酸法によるグルコースとしての糖成分が
93.0%、Lowry−Folin法による蛋白質が4.4
%、更にP.H.Chem等の方法による燐酸が0.6
%であることから、僅少の蛋白質を含有する
多糖類である。構成糖はアルジトール・アセ
テートのガスクロマトグラフイーによる分析
でグルコースのみを認める。更に、メチル化
(箱守法)分析により、構成メチル糖成分と
して、2,3,4,6−テトラ−O−メチル
−D−グルコース(a)、2,4,6−トリ−O
−メチル−D−グルコース(b)、2,3,6−
トリ−O−メチル−D−グリコース(c)、2,
4−ジ−O−メチル−D−グリコース(d)及び
2,3−ジ−O−メチル−D−グルコース(e)
を分離同定し、そのモル比はa:b:c:
d:e=1.0:0.2:6.7:0.4:0.1であつた。
このことから、グルコースの結合様式として 及び
【式】の4種が存在し、
【式】が大部分で他のものは僅少
であることを認める。一方、図2に示す
13CNMRスペクトルにおいて、105.5ppm域
のシグナルはβ−結合グルカンのC−1位に
帰属し、103.3ppm域のシグナルはα−結合
グルカンのC−1位に帰属し、80.7ppm域の
シグナルはα−結合グルカンのC−4位に帰
属し、78.4ppm域のシグナルはβ−結合グル
カンのC−3位に帰属し、更に77.7ppm域の
シグナルがβ−結合グルカンのC−6位に帰
属する。このシグナルの帰属と前記メチル化
分析による結果を考え合せることにより、糖
の結合としてα−1,4、β−1,3、β−
1,6が存し、前記モル比及びシグナルの形
状からα−1,4結合が大部分で、β−1,
3結合及びβ−1,6結合が小なることを知
る。なお図2に 13CNMRスペクトルを示す
(0.2M−NaOD中) (ロ) ゲル過法によつて求めた分子量は約100
万である。 (ハ) 融点測定による結果は230℃で分解する。 (ニ) 比旋光度〔α〕Dは+110゜(C=0.01,H2O)
で右旋性を示す。 (ホ) 赤外吸収スペクトルをKBr錠剤法に測定
しこれを図1に示す。 (ヘ) 水、酸、アルカリおよびDMSO(ジメチル
スルフオキシド)に溶解し、アセトン、エー
テルには不溶である。 (ト) 1%水溶液はPH約6を示す。 (チ) 各種呈色反応アンスロン硫酸試薬、トリプ
トフアン硫酸反応試薬、モーリツシユ反応試
薬に陽性で、ビウレツト反応試薬、ニンヒド
リン反応試薬に対し擬陽性を示す。 (リ) 凍結乾燥によつて得られた物質は粉末体で
灰白色を呈する。 (ヌ) 急性毒性試験 ICR系統6週令のマウス(雄、体重24〜
25g)に下の条件で、経口および静脈内に投
与したところ35日経過後も変化は認められず
マウスに対する急性毒性はないものと判断す
る。
13CNMRスペクトルにおいて、105.5ppm域
のシグナルはβ−結合グルカンのC−1位に
帰属し、103.3ppm域のシグナルはα−結合
グルカンのC−1位に帰属し、80.7ppm域の
シグナルはα−結合グルカンのC−4位に帰
属し、78.4ppm域のシグナルはβ−結合グル
カンのC−3位に帰属し、更に77.7ppm域の
シグナルがβ−結合グルカンのC−6位に帰
属する。このシグナルの帰属と前記メチル化
分析による結果を考え合せることにより、糖
の結合としてα−1,4、β−1,3、β−
1,6が存し、前記モル比及びシグナルの形
状からα−1,4結合が大部分で、β−1,
3結合及びβ−1,6結合が小なることを知
る。なお図2に 13CNMRスペクトルを示す
(0.2M−NaOD中) (ロ) ゲル過法によつて求めた分子量は約100
万である。 (ハ) 融点測定による結果は230℃で分解する。 (ニ) 比旋光度〔α〕Dは+110゜(C=0.01,H2O)
で右旋性を示す。 (ホ) 赤外吸収スペクトルをKBr錠剤法に測定
しこれを図1に示す。 (ヘ) 水、酸、アルカリおよびDMSO(ジメチル
スルフオキシド)に溶解し、アセトン、エー
テルには不溶である。 (ト) 1%水溶液はPH約6を示す。 (チ) 各種呈色反応アンスロン硫酸試薬、トリプ
トフアン硫酸反応試薬、モーリツシユ反応試
薬に陽性で、ビウレツト反応試薬、ニンヒド
リン反応試薬に対し擬陽性を示す。 (リ) 凍結乾燥によつて得られた物質は粉末体で
灰白色を呈する。 (ヌ) 急性毒性試験 ICR系統6週令のマウス(雄、体重24〜
25g)に下の条件で、経口および静脈内に投
与したところ35日経過後も変化は認められず
マウスに対する急性毒性はないものと判断す
る。
【表】
投与は試料を0.8%食塩水に溶解し、1回
投与量0.2ml中に15mg,20mg濃度とした。 次に本発明の抗腫瘍活性物質(以下単に本発明
の物質という)の動物実験結果について説明す
る。 2 動物実験 実験例 1 本発明の物質の同種の(Allogeneic)腫瘍に対
する抗腫瘍活性をマウスを用いて動物実験した。 ICR系統の7週令マウス(雄、体重27〜30g)
の右そけい部にサルコーマ180固形肉腫細胞を5
×106/マウスで移植し、(イ)移植翌日から1日1
回、10日間連日、本発明の物質を腹腔内に投与す
る、(ロ)移植の前、後にわたり、各種投与スケジユ
ールで本発明の物質を投与する、(ハ)投与経路を変
えて移植の翌日から1日1回で連日投与する、の
3つの要領によつて投与を行つた。 移植35日に腫瘍を摘出し、重量(g)測定により腫
瘍増殖阻止率(%)を求め、その他、腫瘍の完全
退縮、投与1週間ごとの腫瘍面積(mm2:最大径×
最小径より求める)を求めた。この結果を表1〜
表3に示す。
投与量0.2ml中に15mg,20mg濃度とした。 次に本発明の抗腫瘍活性物質(以下単に本発明
の物質という)の動物実験結果について説明す
る。 2 動物実験 実験例 1 本発明の物質の同種の(Allogeneic)腫瘍に対
する抗腫瘍活性をマウスを用いて動物実験した。 ICR系統の7週令マウス(雄、体重27〜30g)
の右そけい部にサルコーマ180固形肉腫細胞を5
×106/マウスで移植し、(イ)移植翌日から1日1
回、10日間連日、本発明の物質を腹腔内に投与す
る、(ロ)移植の前、後にわたり、各種投与スケジユ
ールで本発明の物質を投与する、(ハ)投与経路を変
えて移植の翌日から1日1回で連日投与する、の
3つの要領によつて投与を行つた。 移植35日に腫瘍を摘出し、重量(g)測定により腫
瘍増殖阻止率(%)を求め、その他、腫瘍の完全
退縮、投与1週間ごとの腫瘍面積(mm2:最大径×
最小径より求める)を求めた。この結果を表1〜
表3に示す。
【表】
【表】
本発明の物質1000〜5000μg/マウス×10の投
与は92〜99.5%のきわめて高い腫瘍増殖阻止率を
示し、腫瘍の完全退縮の程度も500μg/マウス×
10日を除き5/10〜7/10と高い退縮を示す。こ
れを市販のPSKの効果と比べても全く遜色なく、
本発明の物質の投与2000μg/マウス×10日が
PSKの投与3000μg/マウス×10日の阻止率98.0%
を上まわる99.3%を示すことから、本発明の物質
の抗腫瘍活性がきわめて高いことが知れる。 また、図3に示す経時による腫瘍面積の傾向か
ら、本発明の物質投与で腫瘍増殖阻止率が90%以
上を示したもののうちに、投与後1週ないし2週
目のごとく早期に腫瘍増殖阻止の効果のあること
が認められ(図3において(ハ)…4000μg/マウス
×10日、(ニ)…2000μg/マウス×10日)、この点で
PSKの投与3000μg/マウス×10日と大きな相違
を認めることができる。
与は92〜99.5%のきわめて高い腫瘍増殖阻止率を
示し、腫瘍の完全退縮の程度も500μg/マウス×
10日を除き5/10〜7/10と高い退縮を示す。こ
れを市販のPSKの効果と比べても全く遜色なく、
本発明の物質の投与2000μg/マウス×10日が
PSKの投与3000μg/マウス×10日の阻止率98.0%
を上まわる99.3%を示すことから、本発明の物質
の抗腫瘍活性がきわめて高いことが知れる。 また、図3に示す経時による腫瘍面積の傾向か
ら、本発明の物質投与で腫瘍増殖阻止率が90%以
上を示したもののうちに、投与後1週ないし2週
目のごとく早期に腫瘍増殖阻止の効果のあること
が認められ(図3において(ハ)…4000μg/マウス
×10日、(ニ)…2000μg/マウス×10日)、この点で
PSKの投与3000μg/マウス×10日と大きな相違
を認めることができる。
【表】
* 対照を示す。
投与方式の±n(n=1,2,3,…)はそれ
ぞれ移植日の翌日から(+n)、および移植日の
前日(−n)の投与を示す。 移植後の投与において、腫瘍増殖阻止率88〜98
%を認めるが、移植前投与のみの場合には、最終
的に殆んどその効果を認めることができない。し
かしながら経時による腫瘍の面積(Ω4をみると
きは、図4から知れるように4000μg/マウス×
5(−5〜−1)…(ヘ)が1週目に他に比して低い
増殖を示す。また、移植前後にわたる場合にも80
%程度の阻止率を示す。かように移植前のみの投
与は効果を示さないが、移植後の投与2000μg/
マウス×5(+1〜+5)の阻止率が28.7%であ
り、移植前後の投与2000μg/マウス×10(−5〜
+5)が8.04%を示すことを考えあわせると、後
者の投与に含まれる2000μg/マウス×5(−5〜
−1)の投与区分が何等かの形で腫瘍増殖の阻止
に機能したことをうかがわせる。
投与方式の±n(n=1,2,3,…)はそれ
ぞれ移植日の翌日から(+n)、および移植日の
前日(−n)の投与を示す。 移植後の投与において、腫瘍増殖阻止率88〜98
%を認めるが、移植前投与のみの場合には、最終
的に殆んどその効果を認めることができない。し
かしながら経時による腫瘍の面積(Ω4をみると
きは、図4から知れるように4000μg/マウス×
5(−5〜−1)…(ヘ)が1週目に他に比して低い
増殖を示す。また、移植前後にわたる場合にも80
%程度の阻止率を示す。かように移植前のみの投
与は効果を示さないが、移植後の投与2000μg/
マウス×5(+1〜+5)の阻止率が28.7%であ
り、移植前後の投与2000μg/マウス×10(−5〜
+5)が8.04%を示すことを考えあわせると、後
者の投与に含まれる2000μg/マウス×5(−5〜
−1)の投与区分が何等かの形で腫瘍増殖の阻止
に機能したことをうかがわせる。
【表】
腹腔内および静脈内投与はほぼ同程度の効果を
示し、腫瘍内投与の場合には、前2者を上まわる
効果を示した。かような腫瘍内投与による高い効
果は、本発明物質の大きな特長である。 実験例 2 本発明の物質の同系の(Syngeneic)腫瘍に対
する抗腫瘍活性をマウスを用いて動物実験した。 BALB/C系統7週令のマウス(雄、体重22
〜24g)にMeth−A繊維肉腫細胞を2×105個/
マウスで、マウスに右そけい部に移植した翌日か
ら連日、前記実験例1と同様にして本発明の物質
およびPSKをマウスの腹腔内に投与した。この
結果を表4に示す。
示し、腫瘍内投与の場合には、前2者を上まわる
効果を示した。かような腫瘍内投与による高い効
果は、本発明物質の大きな特長である。 実験例 2 本発明の物質の同系の(Syngeneic)腫瘍に対
する抗腫瘍活性をマウスを用いて動物実験した。 BALB/C系統7週令のマウス(雄、体重22
〜24g)にMeth−A繊維肉腫細胞を2×105個/
マウスで、マウスに右そけい部に移植した翌日か
ら連日、前記実験例1と同様にして本発明の物質
およびPSKをマウスの腹腔内に投与した。この
結果を表4に示す。
【表】
本発明の物質の投与2000μg/マウス以上では
いずれもPSKの投与の効果を上まわり、本発明
の物質が同系の腫瘍に対しても有効であることが
示された。なお、表4と表1を対比すると全体的
に表4の値が低くなつているが、これは実験に使
用したBALB/C系統のマウスが多糖低感受性
であること(「がん征圧への化学」117〜131頁
(社)日本薬学会編集、発行、昭56.5.25)による
ものと考えられる。しかし、このように多糖低感
受性の生体においても本発明の物質が高い腫瘍増
殖阻止率を示したことは注目に値し、他の同種多
糖物質には見られない特性の1つである。 実験例 3 本発明の物質の生体内抗体産生系に及ぼす効果
について実験した。 ICR系統6週令のマウス(雄、体重24〜25g)
に抗原として赤ヒツジ赤血球細胞(SRBC)を1
×107個/マウスで静脈内に注入し、同じく本発
明の物質を注入する。その4日後に脾臓を摘出し
て、その脾細胞中の抗SRBC抗体産生細胞数を直
接プラーク形成細胞(PFC)として測定し、表
5にその結果を示す。
いずれもPSKの投与の効果を上まわり、本発明
の物質が同系の腫瘍に対しても有効であることが
示された。なお、表4と表1を対比すると全体的
に表4の値が低くなつているが、これは実験に使
用したBALB/C系統のマウスが多糖低感受性
であること(「がん征圧への化学」117〜131頁
(社)日本薬学会編集、発行、昭56.5.25)による
ものと考えられる。しかし、このように多糖低感
受性の生体においても本発明の物質が高い腫瘍増
殖阻止率を示したことは注目に値し、他の同種多
糖物質には見られない特性の1つである。 実験例 3 本発明の物質の生体内抗体産生系に及ぼす効果
について実験した。 ICR系統6週令のマウス(雄、体重24〜25g)
に抗原として赤ヒツジ赤血球細胞(SRBC)を1
×107個/マウスで静脈内に注入し、同じく本発
明の物質を注入する。その4日後に脾臓を摘出し
て、その脾細胞中の抗SRBC抗体産生細胞数を直
接プラーク形成細胞(PFC)として測定し、表
5にその結果を示す。
【表】
本発明の物質が生体内の抗体産生系を活性化
し、抗体産生機能を高めることが示された。 実験例 4 本発明の物質の生体内における炭素排除活性に
及ぼす効果について実験した。 ICR系統6週令のマウス(雄、体重24〜25g)
の静脈内に本発明の物質、コリネ菌の死菌(C.
parvum)を注入し、48時間後の食細胞指数を測
定する。表6にその結果を示す。
し、抗体産生機能を高めることが示された。 実験例 4 本発明の物質の生体内における炭素排除活性に
及ぼす効果について実験した。 ICR系統6週令のマウス(雄、体重24〜25g)
の静脈内に本発明の物質、コリネ菌の死菌(C.
parvum)を注入し、48時間後の食細胞指数を測
定する。表6にその結果を示す。
【表】
本発明の物質5000μg/マウス以上の投与で、
食細胞指数(K)が対照に比べて2.5〜3.6倍と大とな
り、コリネ死菌100μg/マウス投与に匹敵する炭
素排除機能の増進効果を示した。 以上の各種動物実験例の結果から、本発明の抗
腫瘍活性物質GF−1は宿主仲介性の免疫機能を
増強する免疫賦活剤としての効能と、同時に腫瘍
内に投与して高い抗腫瘍活性を有することに特色
があり、同系の(Syngeneic)腫瘍に対しても高
い抗腫瘍活性を示すことは特筆されることであ
り、本発明を大きく意義づけるものである。従つ
て本発明は制がん性物質として極めて有用な物質
を提供するもので、きわめて有益である。 以下実施例によつて更に説明する。 実施例 マイタケ菌株グリフオラ・フロンドツサ・バル
トカチアーナ(Grifola frondosa var
tokachiaba,微工研菌寄第4979号)の継代培養
種菌をならおがくず、大豆粕、〓および土壌の熱
抽出液から調製した培養基に接種し、約60日間培
養して得たマイタケ子実体の乾燥品100gを80%
(V/V)エチルアルコール10で脱脂した後、
約2の水によるオートクレーブ(121℃、60分)
の熱抽出を5回行い、得た抽出液9をVisking
セルロースチユーブ(白井松器械(株))を用い、
蒸留水で36時間透析し、透析液を0.3に減圧濃
縮する。これに99%(V/V)以上のエチルアル
コール1.2を加え生成した沈殿を別し、この
沈殿を1%(W/V)苛性ソーダ水溶液500mlに
溶解し、これに7%(W/V)硫酸銅水溶液500
mlを加える。生成した沈殿を別し、液につい
て同様の処理をそれぞれ2回行い3回の処理で得
た沈殿を10%(V/V)酢酸水溶液1000mlに溶解
する。この溶解液を前記セルロースチユーブによ
り蒸留水中で72時間透析し、透析液をイオン交換
樹脂Dowex50W×8(H型)に通して脱塩精製し
た後、再び前記セルロースチユーブを用いて蒸留
水中で24時間透析し、透析液を0.3になるまで
減圧濃縮した。濃縮液を常法により凍結乾燥して
灰白色に抗腫瘍活性物質GF−1粉末品3.4Kgを得
た。
食細胞指数(K)が対照に比べて2.5〜3.6倍と大とな
り、コリネ死菌100μg/マウス投与に匹敵する炭
素排除機能の増進効果を示した。 以上の各種動物実験例の結果から、本発明の抗
腫瘍活性物質GF−1は宿主仲介性の免疫機能を
増強する免疫賦活剤としての効能と、同時に腫瘍
内に投与して高い抗腫瘍活性を有することに特色
があり、同系の(Syngeneic)腫瘍に対しても高
い抗腫瘍活性を示すことは特筆されることであ
り、本発明を大きく意義づけるものである。従つ
て本発明は制がん性物質として極めて有用な物質
を提供するもので、きわめて有益である。 以下実施例によつて更に説明する。 実施例 マイタケ菌株グリフオラ・フロンドツサ・バル
トカチアーナ(Grifola frondosa var
tokachiaba,微工研菌寄第4979号)の継代培養
種菌をならおがくず、大豆粕、〓および土壌の熱
抽出液から調製した培養基に接種し、約60日間培
養して得たマイタケ子実体の乾燥品100gを80%
(V/V)エチルアルコール10で脱脂した後、
約2の水によるオートクレーブ(121℃、60分)
の熱抽出を5回行い、得た抽出液9をVisking
セルロースチユーブ(白井松器械(株))を用い、
蒸留水で36時間透析し、透析液を0.3に減圧濃
縮する。これに99%(V/V)以上のエチルアル
コール1.2を加え生成した沈殿を別し、この
沈殿を1%(W/V)苛性ソーダ水溶液500mlに
溶解し、これに7%(W/V)硫酸銅水溶液500
mlを加える。生成した沈殿を別し、液につい
て同様の処理をそれぞれ2回行い3回の処理で得
た沈殿を10%(V/V)酢酸水溶液1000mlに溶解
する。この溶解液を前記セルロースチユーブによ
り蒸留水中で72時間透析し、透析液をイオン交換
樹脂Dowex50W×8(H型)に通して脱塩精製し
た後、再び前記セルロースチユーブを用いて蒸留
水中で24時間透析し、透析液を0.3になるまで
減圧濃縮した。濃縮液を常法により凍結乾燥して
灰白色に抗腫瘍活性物質GF−1粉末品3.4Kgを得
た。
図1は本発明の抗腫瘍活性物質GF−1の赤外
吸収スペクトル、図2は本発明の抗腫瘍活性物質
GF−1の 13CNMRスペクトル、図3,4は多
糖物質投与によるサルコーマ180肉腫移植後経時
による増殖阻止傾向を説明する図面である。
吸収スペクトル、図2は本発明の抗腫瘍活性物質
GF−1の 13CNMRスペクトル、図3,4は多
糖物質投与によるサルコーマ180肉腫移植後経時
による増殖阻止傾向を説明する図面である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 グルコースのα−1,4、β−1,3及びβ
−1,6結合を多糖構造に含み、下記理化学的性
質を有するグリフオラ・フロンドツサ・バル・ト
カチアーナの子実体由来の抗腫瘍活性物質GF−
1。 (イ) 元素分析 C40.5% H6.0% N1.0% (ロ) 分子量 約100万(ゲル濾過法による) (ハ) 融点 230℃で分解 (ニ) 比旋光度 〔α〕D=+110゜(C=0.01,H2O) (ホ) 赤外吸収スペクトル(KBr法) 図1に示す。 (ヘ) 溶剤に対する溶解性 水、酸、アルカリおよびDMSO(ジメチルス
ルフオキシド)に溶解、アセトン、エーテルに
不溶 (ト) 溶液のPH 1%水溶液の示すPH約6 (チ) 呈色反応 アンスロン硫酸試薬、トリプトフアン硫酸反
応試薬、モーリツシユ反応試薬に対し陽性。ビ
ウレツト反応試薬、ニンヒドリン反応試薬に対
し擬陽性 (リ) 色 相 灰白色。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58166200A JPS6058925A (ja) | 1983-09-09 | 1983-09-09 | 抗腫瘍活性物質 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58166200A JPS6058925A (ja) | 1983-09-09 | 1983-09-09 | 抗腫瘍活性物質 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6058925A JPS6058925A (ja) | 1985-04-05 |
JPH0248000B2 true JPH0248000B2 (ja) | 1990-10-23 |
Family
ID=15826943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58166200A Granted JPS6058925A (ja) | 1983-09-09 | 1983-09-09 | 抗腫瘍活性物質 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6058925A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2689244B2 (ja) * | 1993-04-30 | 1997-12-10 | 株式会社雪国まいたけ | 肝疾患改善剤の製造方法 |
JP2732008B2 (ja) * | 1993-04-30 | 1998-03-25 | 株式会社雪国まいたけ | 育毛促進剤の製造方法 |
JP2753935B2 (ja) * | 1993-04-30 | 1998-05-20 | 株式会社雪国まいたけ | 免疫抑制剤の製造方法 |
JPH08119874A (ja) * | 1994-10-24 | 1996-05-14 | Takumi Sogabe | エイズウィルス・癌細胞の抑制剤の製造方法 |
CN100432212C (zh) * | 2006-05-15 | 2008-11-12 | 徐泽平 | 灰树花菌株、培养方法及其应用 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59210901A (ja) * | 1983-05-17 | 1984-11-29 | Nippon Kinoko Kenkyusho | プロテオグルカン及びそれからなる抗ガン剤 |
-
1983
- 1983-09-09 JP JP58166200A patent/JPS6058925A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59210901A (ja) * | 1983-05-17 | 1984-11-29 | Nippon Kinoko Kenkyusho | プロテオグルカン及びそれからなる抗ガン剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6058925A (ja) | 1985-04-05 |
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