JPH0140139B2 - - Google Patents
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- JPH0140139B2 JPH0140139B2 JP59107572A JP10757284A JPH0140139B2 JP H0140139 B2 JPH0140139 B2 JP H0140139B2 JP 59107572 A JP59107572 A JP 59107572A JP 10757284 A JP10757284 A JP 10757284A JP H0140139 B2 JPH0140139 B2 JP H0140139B2
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Description
<技術分野>
本発明は人工皮革用に適した不織布の製造方法
に関するものであり、特に製靴性及び着用性に必
要な長手方向(以後タテ方向と略す)とそれに直
角な方向(以後ヨコ方向と略す)の物性バランス
に優れた人工皮革用の不織布の製造法に関するも
のである。 <従来技術> 従来の人工皮革用の乾式不織布は主として長手
方向に繊維が配列したもの、例えば空気流で繊維
を積層したウエブ1枚か又は複数枚重ね合せたも
のであつた。しかしながら、かかるウエブよりな
る不織布はタテとヨコの物性バランスが良くない
欠点がある。即ち、空気流で繊維を積層すると、
繊維は比較的タテ、ヨコ方向にランダムに分布さ
れているものの、ニードル絡合以降の不織布製造
方法において、繊維は工程張力とともに配向され
易く、タテ方向繊維成分が多くなると同時に幅
(ヨコ方向)が狭くなつてしまう。特に収縮させ
るさいには張力によりヨコ方向の収縮率は大きく
なり、人工皮革にした場合ヨコ方向の伸び止め感
が不足し、更にヨコ方向に折り曲げると折り段の
ある角のでやすい欠点がある。一方、繊維フリー
スをクロスラツパーを利用してヨコ方向のみに積
層したウエブの場合には、絡合処理後の収縮処理
時にタテ方向の張力により伸び易いため、タテ方
向の収縮率は小さくなり、人工皮革にした場合ヨ
コ方向の伸び止め感が不足し、更にタテ方向に折
り曲げると折れ段のある角のでやすい欠点があ
る。 このようにタテ方向の伸び止め感不足(20%伸
長時の応力が低い)や柔軟性と腰のバランス物性
が劣るものは製靴性に劣るものにしかなり得ない
し、またヨコ方向の20%伸長時応力や柔軟性と腰
の物性が劣るものは着用時のフイツト感や型くづ
れのし易いものにしかなり得ない。 この解消方法として、繊維原料をカードから紡
出したフリースを一枚ずつタテ方向とヨコ方向と
に交互に積層することが考えられるが、かかる方
法は工業生産では非常に複雑となり、生産効率が
悪いため実用的でない。 <目的> 本発明は以上の事情を背景として為されたもの
で、生産効率がよく且つ人工皮革としたとき、タ
テとヨコ方向の物性バランスの良い不織布を提供
することにある。 <発明の構成> 即ち、本発明は高収縮性繊維と潜在自発伸長性
繊維との混合繊維からなり繊維が主として長手方
向に配列したウエブに、高収縮性繊維と潜在自
発伸長性繊維との混合繊維からなりカードより紡
出されたフリースを、該ウエブに対する該フ
リースの重量比が70〜30:30〜70となる量、交
叉角度が90゜未満となるように折り返し交叉積層
して積層ウエブとなし、該積層ウエブに絡合処理
を施した後収縮処理することによつて該積層ウエ
ブをその表面積において30%以上収縮させると共
に長手方向に対しそれに直角な方向の収縮率の比
が1〜0.7となる量収縮させ、次いで前記潜在自
発伸長性繊維が自発伸張性を発現する温度で且つ
該積層ウエブの面積を実質的に拡大しないように
拘速熱処理することを特徴とする不織布の製造方
法である。 このようにタテとヨコ方向の収縮率を調整する
収縮処理によつて高収縮繊維が収縮することと、
更に拘束熱処理で潜在自発伸長性繊維が伸長する
ことを利用することによつて人工皮革に要求され
る柔軟性と腰を保持し、且つ不織布を構成する繊
維が長手方向(タテ)と長手方向と直角な方向
(ヨコ)との両方に分布しているため、製靴及び
実着用で要求される20%伸長時の応力も含め、タ
テとヨコ方向ともに優れた物性の確保が可能とな
るのである。 本発明で使用する高収縮性繊維は、70℃の温水
中で45%以上の収縮率を有するポリエステル繊維
であるのが好ましい。かかる繊維は強度もあり、
且つウエブとして60℃から80℃の温水浸漬による
収縮処理によつてその表面積を30%以上収縮させ
ることが可能となる。ウエブの表面積の収縮が30
%未満となると折れ段のある角の発生する人工皮
革になり易い。 かかる高収縮繊維は、具体的にポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
のポリエステルや、これらポリエステルに芳香族
又は脂肪族ジカルボン酸、又はグリコールを共重
合したコポリエステルを溶融紡糸し、次いで60〜
65℃の温水中で1.5〜3.5倍に延伸し、65℃以下で
乾燥することによつて容易に得られる。 一方、潜在自発伸長性繊維は、具体的にはポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レートなどのポリエステルや、これらポリエステ
ルに芳香族又は脂肪族ジカルボン酸あるいはグリ
コールを共重合したコポリエステルを溶融紡糸
し、60〜65℃の温水中で2〜4倍に延伸し、次い
で85〜95℃の温水中で熱処理し、100℃以下で乾
燥することによつて容易に得られる。特に収縮処
理時には自発伸長せずに、面積を拘束する加圧処
理温度130〜200℃の温度において少なくとも5%
の自発伸長率を有するものが望ましい。自発伸長
率が5%未満の場合には面積を拘束して不織布を
高める際の均一性が劣り好ましくない。 以上の高収縮性繊維と潜在自発性繊維とを混綿
することによつて高密度でかつ均一な人工皮革用
不織布が可能となるのである。このための混合比
率は、高収縮性繊維と潜在自発伸長性繊維との重
量混合比率が40〜80:60〜20の範囲が好ましく、
60〜70:40〜30の範囲が特に好ましい。混綿方法
としては任意の方法が採用される。 本発明にあつては、上記混合繊維を用いて繊維
が主として長手(タテ)方向に配列したウエブ
を作成し、これに上記混合繊維を用いてカードよ
り紡出したフリースを折り返し交叉積層する。
繊維がタテ方向に配列したウエブを作成するに
は、任意の方法が採用される。例えば上記混合繊
維をカードで開繊し紡出したフリースを複数重ね
合わせる方法でも良いが、通常はカード等で開繊
された繊維を空気流を利用して繊維を堆積させて
ウエブを形成させる方法が採用される。かかるウ
エブ作成機としては市販されているものも使用で
きる。 このようにして得られるウエブに、カードよ
り紡出したフリースを折り返し交叉積層するに
は、例えばローラーカード、フラツトカードなど
を用いて開繊して紡出したフリースをクロスラツ
パーで折り返し交叉積層して積層ウエブとするの
が好ましい。このように主に繊維がタテ方向に配
列した、例えば空気流を利用したウエブにクロ
スラツパーでフリースを折り返し交叉積層する
ことにより、両方の欠点を補い長所を備えたウエ
ブを工業的に効率よく生産することができる。こ
の場合、クロスラツパー利用のフリースと空気流
利用ウエブの積層はどちらが上層になつても良い
が、クロスラツパー利用のフリースを上層にした
方が、物性上は好ましい。この積層ウエブに必要
なことはクロスラツパー利用のフリースの折り返
し交叉角度が90゜未満となることであり、好まし
くは20゜未満になることが望ましい。該角度が90゜
以上になると、繊維は略ヨコ方向に配列している
とは言えず、不織布のヨコ方向の物性が劣る結果
を招くこととなる。また、空気流利用ウエブと
クロスラツパー利用フリースとの積層重量比率
はタテとヨコとの物性バランス上から70:30〜
30:70にすべきであり、60:40〜40:60が好まし
い。ここで言う交叉角度とは、ウエブにカード
により紡出されたフリースをクロスラツパーで
積層する際にフリースの折り返し時に形成する角
度であり、第1図中θで示される角である。 次いで積層ウエブに、例えばキツクを有する針
などで絡合処理を施した後、収縮処理を60〜80℃
の温水中で行い、積層ウエブをその表面積におい
て30%以上、好ましくは35%以上収縮させる。積
層ウエブの表面積の収縮率が小さすぎると、不織
布の緻密性が不足し、折れ段やしわが発生し易
く、人工皮革用不織布には適さない。 このようにウエブ表面積の収縮率を30%以上、
好ましくは35%以上とするには、高収縮繊維の重
量混綿比率が前記のように40%以上必要となる。
更に、この収縮処理によるタテ方向とヨコ方向と
の収縮率の比は、本発明における積層ウエブにお
いては、工程張力によつてヨコ方向の収縮率をタ
テ方向の収縮率とほぼ等しいか又は大きく、即ち
(タテ収縮率÷ヨコ収縮率)=1〜0.7とすべきで
ある。これに対し空気流によるウエブのみではこ
の比が容易に0.60以下となり、0.70以上にするに
はウエブにシワが入り易くなり連続生産上、難し
く、このためヨコ方向の伸び止め感が不足する結
果となる。クロスラツパーを利用したフリースの
みではタテ収縮率は低く該比は0.40以下となり、
タテ方向の折り曲げしわが角のあるものとなつて
しまう。この比は収縮時の工程張力にも影響を受
けるが、大部分は繊維のタテとヨコ方向の分布に
よるものであり、収縮率がタテ、ヨコ方向にほぼ
等しい方が、タテ、ヨコ方向の物性としては好ま
しい。この結果から見ても本発見における積層ウ
エブは有効である。 更に、このようにして得られる収縮ウエブに、
このウエブ中の潜在自発伸長性繊維が自発伸長性
発現する温度で且つこのウエブの面積が実質的に
拡大しないようにウエブを拘束した状態で熱処理
する。例えば収縮ウエブをベルトと加熱シリンダ
ー間に加圧把持してウエブの表面積が実質的に拡
大しないように拘束し、加熱温度を130℃〜200
℃、好ましくは150℃〜180℃にすればよく、こう
することによつて潜在自発伸長性の繊維の自発伸
長性が発現し、同時に拘束加圧されることにより
ウエブは高密度で且つ均一になる。また、特に使
用繊維の繊度には制限はないが、不織布の高密度
化には、高収縮繊維と潜在自発伸長性繊維の単糸
繊度が小さい方が積層ウエブの収縮率が同一でも
可能であるが、一方カードの生産性が考えると
0.5デニール以上が好ましく、1.0デニール以上が
特に好ましい。従つて、カードを通過させる時の
単糸繊度が0.5デニール以上である海島型複合紡
止繊維や分割型繊維であつて不織布後に単糸繊度
が0.5デニール未満になる繊維の使用は好ましい
ことである。 なお、本発明の不織布を人工皮革にするには、
通常合成皮革の製造に用いられる高分子重合体、
例えばポリウレタンエラストマー、アクリロニト
リレ−ブタジエン重合体、ポリ塩化ビニール、ポ
リアミド等が任意に使用され、これらに必要な各
種添加物を含有したものの溶液又は分散液を含浸
させることにより得られ、更に得られた含浸基材
に必要に応じて、色・艶をグラビアロールで塗布
したり、ラミネートして仕上層を形成し、エンボ
スロール等で柄を付与することによつて得られ
る。 <実施例> 更に本発明の特徴を具体的な実施例を挙げて説
明する。以下実施例及び比較例中における各測定
値・評価は下記の方法により実施した。 (1) 繊維の収縮率=l0−l1/l0×100(%) l0:収縮処理前に繊維に初荷重20mg/deをかけ
て測定した長さ l1:収縮処理後に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ (2) 繊維の収縮率=l1−l0/l0×100(%) l0:伸長処理前に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ l1:伸長熱処理後に荷重20mg/deをかけて測定
した長さ (3) ウエブの面積収縮率=S0−S1/S0×100(%) S0:収縮処理前のウエブの面積 S1:収縮処理後のウエブの面積 (4) 伸び止め状態:(JIS−6505−5・2・3) (20%伸長応力) テンシロンで下記条件でサンプルをタテ方向
とヨコ方向での20%伸長時の応力値(Kg/cm)
で表わす。 サンプルサイズ 9cm×1cm ゲージレングス 50mm チヤートスピード 50mm/mm ヘツドスピード 50mm/mm (5) 曲げ硬さ: (RB) タテ方向とヨコ方向に各々2.5cm×9.0cmのサ
ンプルを曲率半径を2.0cmに曲げたときの反撥
力を1cm幅に換算した値(g/cm)で表わす。 (6) 圧縮応力: (P5) タテ方向とヨコ方向に各々2.5cm×9.0cmのサ
ンプルを2つに折り曲げ、厚さの3倍まで折り
曲げ圧縮したときの反撥力を歪計で測定し、1
cm幅に換算した値(g/cm)で表わす。 (7) レザーライク性: 圧縮応力÷曲げ硬さで表わし、この値が大き
いほど折り曲げしわが丸味のあることを示す。 (8) 製靴性: つり込時のイセの発生状態、つり込み部分の
修正やバフ掛け時間の加工性評価 (9) 着用性: 着用時のフイツト感や型くずれ等の着用面の
評価 実施例 1 ポリエチレンテレフタレート(o−クロロフエ
ノール中35℃で測定した固有粘度0.60)を紡糸温
度290℃、紡糸口金孔数500個、紡糸速度1500m/
minの条件で溶融紡糸して単糸繊度4.6デニール
の未延伸糸を得た。この未延伸糸を64℃の温水で
2.3倍に延伸し、次いで押込捲縮機によりクリン
プを付与し、油剤処理し、カツトして単糸繊度
2.0デニールで繊維長51mmの高収縮性繊維(A)を得
た。この繊維(A)を70℃中の温水中で2分間浸漬し
たときの収縮率は47%であつた。 一方、ポリエチレンテレフタレート/イソフタ
レート(共重合モル比93/7)コポリエステル
(o−クロロフエノール中35℃で測定した固有粘
度0.61)を溶融紡糸して得た未延伸糸を60℃の温
水浴中で3.0倍に延伸し、次いで90℃の温水浴中
で温水処理し、クリンプを付与し、油剤処理した
後51mmにカツトした。得られた繊維の単糸繊度は
2.0デニールで遠赤外加熱炉で110℃、160℃、180
℃で夫々60秒間処理したとき、夫々0.5%、6.3
%、9.6%の伸長率を示した。また、この繊維は
70℃の温水中で全く収縮も伸長もしなかつた。こ
の繊維を潜在自発伸長性繊維(B)とする。 これらの高収縮性繊維(A)と潜在自発伸長性繊維
(B)とを70:30の重量比率で混合して混打綿機で開
繊し、開繊された混合繊維を空気流を利用したウ
エブ作成機で目付150g/m2のウエブを作成し
た。更にその上に2山のローラーカードから上記
同一の混合繊維を使用してフリースを紡出し、
クロスラツパーでフリース折り返し交叉角度16゜
で積層して目付300g/m2の積層ウエブを作成し
た。この積層ウエブを40番レギユラーバーブ9個
を有する針を装着したニードルロツカールームで
打込本数800本/cm2のパンチングし、得られたニ
ードルパンチウエブを66℃の温水に2分間浸漬し
たところウエブは41%の面積収縮率を示した。こ
のときのタテ、ヨコ収縮率は各々21%、25%とな
つた。 この収縮ウエブを真空脱水したのち、80℃で5
分間乾燥し、次いで160゜の熱シリンダと120メツ
シユのステンレスネツトベルト間に把持加圧して
実質的にウエブ表面積が変化しないようにして1
分間処理した。得られた不織分はソフトな風合に
富んでおり、特に不織布は折り曲げたときの折曲
線に折れ段の発生がないものであつた。 この不織布にシリコーン水分散液で対繊維付着
量が0.05%になるように含浸させ、更にポリウレ
タン樹脂の14%ジメチルホルムアミド溶液を均一
に含浸させ、スクイズロールで絞つた後20℃の温
水、更に40℃の温水中に浸漬し凝固させ、更に溶
媒が殆んどなくなるまで洗浄し、乾燥した。 この含浸基材をグラビアロールで仕上塗装し、
更にエンボスロールで柄を刻印して人工皮革を得
た。得られた人工皮革の特徴を第1表に示した。
表より明らわな通りタテ、ヨコ方向とも伸び止め
感があり、柔軟性にとみ且つ厚さ方向に弾力性が
あり、折り曲げ時の折曲線の発生のない、すぐれ
た性質をもつた人工皮革であつた。 この人工皮革をテニスシユーズに製靴したとこ
ろ加工性もよく、実着用上もフイツト感のある型
くづれの発生のないものであつた。 比較例 1 実施例1の開繊された混合繊維を使つて空気流
利用により目付300g/m2のウエブを得、実施例
と同様に絡合処理し、収縮させたところ、タテ、
ヨコ収縮率は16%、30%でウエブ表面積は41%の
収縮率であり、実施例1と同様に加熱加圧処理し
て不織布にし、更に実施例1と同様に人工皮革と
し、その物性を第1表に示した。このものは特に
ヨコ方向の伸び止め感が不足し、実着用時の型く
づれが発生し易いものであり、本発明品より劣る
ものであつた。 比較例 2 実施例1の開繊された混合繊維を使い2山のロ
ーラーカードからフリースを紡出し、クロスラツ
パーでフリース折り返し交叉角度16゜でウエブ目
付300g/m2のウエブを作成後、絡合処理し、実
施例1と同様に収縮処理を行つた結果、タテ、ヨ
コ収縮率は各々14%、28%、面積収縮率38%とな
つた。この収縮基材を実施例1と同様に加熱加圧
処理して不織布を作成した。この不織布を実施例
1と同様に人工皮革とし、その物性を第1表に示
した。ヨコ方向の伸び止め感が不足し、タテ方向
に折れ段の発生するもので、製靴性に劣るもので
あつた。 実施例 2 実施例1の開繊された混合繊維を使い、空気流
で積層した150g/m2のウエブ上に、2山のロ
ーラーカードからフリースを紡出し、クロスラツ
パーでフリース折り返し角度80゜で積層して目付
300g/m2の積層ウエブを得、この積層ウエブを
実施例1と同様に絡合処理し、収縮処理した結
果、タテ、ヨコ収縮率は各々19%、26%で、面積
収縮率は40%であつた。この収縮基材を実施例1
と同様に、加熱加圧処理して不織布を得た。この
不織布を実施例1と同様にして人工皮革とし、そ
の物性を第1表に示した。実施例1よりヨコ方向
の伸び止め感が若干劣るものの製靴性及び実着用
性での問題もなく良好な評価を得た。 比較例 3 実施例2の2山ローラーカードから紡出してク
ロスラツパーで積層したフリースの交叉角度を
100゜とする以外は実施例2と同様に行なつて不織
布を得、次いで実施例1と同様にして人工皮革と
し、その物性を第1表に示した。この人工皮革は
ヨコ方向の伸び止め感が劣り、更に圧縮応力もな
く、実着用時に型くづれのするものしかならなか
つた。 実施例 3 実施例1の高収縮性繊維(A)と潜在自発伸長性繊
維(B)の混合割合を50:50とし、混合繊維を使用
し、空気流で作成した目付150g/m2のウエブ
に、2山ローラーカードから紡出したフリース
をクロスラツパーでフリース折り返し交叉角度
83゜で積層して目付300g/m2の積層ウエブを得、
これに実施例1と同様に絡合処理及び収縮処理を
行つたところ、ウエブの面積収縮率は32%、タ
テ、ヨコ収縮率は各々17%、18%となつた。この
収縮基材を実施例1と同様に加熱加圧処理して不
織布を得た。これを実施例1と同様に人工皮革に
し、その物性を第1表に示した。タテ、ヨコ方向
の伸び止め感、柔軟性及び圧縮応力(腰)も良
く、製靴性及び実着用性に問題はない良好なもの
であつた。 比較例 4 実施例3の絡合処理ウエブを34℃の温水中で収
縮処理を行なつたところウエブの収縮率は27%で
あつた。この収縮基材を実施例1と同様に加熱加
圧処理を行い不織布を得た。このものを実施例1
と同様にして人工皮革にし、その物性を第1表に
示した。折り曲げ時角のでるもので、タテ、ヨコ
方向とも圧縮応力(腰)の劣るもので、製靴性と
着用感に劣るものであつた。 実施例 4 実施例1の開繊された混合繊維を使い、空気流
で作成した目付210g/m2のウエブに、ローラ
ーカードから紡出したフリースをクロスラツパ
ーでフリース折り返し交叉角度16゜で積層して目
付300g/m2の積層ウエブとし、絡合処理、収縮
処理及び加熱加圧処理を実施例1と同様に行い不
織布を得た。この不織布を実施例1と同様にして
人工皮革とし、その物性を第1表に示した。ヨコ
方向の伸び止め感が若干劣るものの、製靴性、加
工性において良い結果が得られた。 実施例 5 実施例4の収縮基材を使い、加熱加圧処理にお
いて加熱シリンダー温度を110℃にして不織布を
得た。この不織布を実施例1と同様にして人工皮
革とし、その物性を第1表に示した。柔軟性にや
や欠け、圧縮応力とのバランスが劣り、折れ段に
角が発生し、製靴性、着用性ともに本発明品より
やや劣る結果であつた。 実施例 5 実施例1のポリエチレンテレフタレートを使用
して、溶融紡糸して単糸繊度2.2デニールの未延
糸を得た。この未延伸糸を62℃の温水中で3.0倍
に延伸し、クリンプ付与及びオイル処理し、カツ
トして単糸繊度0.7デニール、繊維長38mmの高収
縮性繊維(A)を得た。この繊維を70℃の温水中で2
分間漬したときの収縮率は45%であつた。 一方、実施例1のコポリエステルを溶融紡糸し
て単糸繊度2.0デニールの未延伸糸を得た。この
未延伸糸を64℃の温水浴中で3.9倍に延伸し、次
いで90℃の温水浴中で温水処理し、クリンプ付与
及び油剤処理した後、38mmにカツトした。得られ
た繊維の単糸繊度は0.8デニールで、遠赤外加熱
炉で130℃、160℃、190℃で夫々60秒間処理した
時夫々5.1%、6.4%、10.3%の伸長率を示した。 この繊維は70℃の温水中では全く伸長も収縮も
なく、この繊維を潜在自発伸長性繊維(B)とした。 これらの高収縮性繊維(A)と潜在自発伸長性繊維
(B)を50:50に混合して開繊した。開繊した混合繊
維を空気流を利用して目付150g/m2のウエブ
を作成し、これにフラツトカードで紡出したフリ
ースをクロスラツパーでフリース折り返し交叉
角度8゜で積層して300g/m2の積層ウエブを作成
した。両方式とも実施例1の単糸繊度2.0デニー
ルに比較した生産性が劣るものであつた。この積
層ウエブに40番のレギユラーバーブ3個を有する
針で1000本/cm2の打込み密度でパンチングし、収
縮処理を66℃の温水中に浸漬して行なつた結果、
タテ、ヨコ収縮率22%、24%で面積収縮率41%で
あつた。次に真空脱水して乾燥した後、加熱加圧
処理を160℃の熱シリンダーと120メツシユステン
レスベルト間に加圧把持して行ない不織布を得
た。この不織布はソフトな風合の良好なるもので
あつた。この不織布を実施例1と同様にして人工
皮革とし、その物性を第1表に示した。このもの
は特に柔軟性に富み、伸び止め感及び圧縮圧力に
優れたもので、製靴性及び実着用性に優れたもの
であつた。
に関するものであり、特に製靴性及び着用性に必
要な長手方向(以後タテ方向と略す)とそれに直
角な方向(以後ヨコ方向と略す)の物性バランス
に優れた人工皮革用の不織布の製造法に関するも
のである。 <従来技術> 従来の人工皮革用の乾式不織布は主として長手
方向に繊維が配列したもの、例えば空気流で繊維
を積層したウエブ1枚か又は複数枚重ね合せたも
のであつた。しかしながら、かかるウエブよりな
る不織布はタテとヨコの物性バランスが良くない
欠点がある。即ち、空気流で繊維を積層すると、
繊維は比較的タテ、ヨコ方向にランダムに分布さ
れているものの、ニードル絡合以降の不織布製造
方法において、繊維は工程張力とともに配向され
易く、タテ方向繊維成分が多くなると同時に幅
(ヨコ方向)が狭くなつてしまう。特に収縮させ
るさいには張力によりヨコ方向の収縮率は大きく
なり、人工皮革にした場合ヨコ方向の伸び止め感
が不足し、更にヨコ方向に折り曲げると折り段の
ある角のでやすい欠点がある。一方、繊維フリー
スをクロスラツパーを利用してヨコ方向のみに積
層したウエブの場合には、絡合処理後の収縮処理
時にタテ方向の張力により伸び易いため、タテ方
向の収縮率は小さくなり、人工皮革にした場合ヨ
コ方向の伸び止め感が不足し、更にタテ方向に折
り曲げると折れ段のある角のでやすい欠点があ
る。 このようにタテ方向の伸び止め感不足(20%伸
長時の応力が低い)や柔軟性と腰のバランス物性
が劣るものは製靴性に劣るものにしかなり得ない
し、またヨコ方向の20%伸長時応力や柔軟性と腰
の物性が劣るものは着用時のフイツト感や型くづ
れのし易いものにしかなり得ない。 この解消方法として、繊維原料をカードから紡
出したフリースを一枚ずつタテ方向とヨコ方向と
に交互に積層することが考えられるが、かかる方
法は工業生産では非常に複雑となり、生産効率が
悪いため実用的でない。 <目的> 本発明は以上の事情を背景として為されたもの
で、生産効率がよく且つ人工皮革としたとき、タ
テとヨコ方向の物性バランスの良い不織布を提供
することにある。 <発明の構成> 即ち、本発明は高収縮性繊維と潜在自発伸長性
繊維との混合繊維からなり繊維が主として長手方
向に配列したウエブに、高収縮性繊維と潜在自
発伸長性繊維との混合繊維からなりカードより紡
出されたフリースを、該ウエブに対する該フ
リースの重量比が70〜30:30〜70となる量、交
叉角度が90゜未満となるように折り返し交叉積層
して積層ウエブとなし、該積層ウエブに絡合処理
を施した後収縮処理することによつて該積層ウエ
ブをその表面積において30%以上収縮させると共
に長手方向に対しそれに直角な方向の収縮率の比
が1〜0.7となる量収縮させ、次いで前記潜在自
発伸長性繊維が自発伸張性を発現する温度で且つ
該積層ウエブの面積を実質的に拡大しないように
拘速熱処理することを特徴とする不織布の製造方
法である。 このようにタテとヨコ方向の収縮率を調整する
収縮処理によつて高収縮繊維が収縮することと、
更に拘束熱処理で潜在自発伸長性繊維が伸長する
ことを利用することによつて人工皮革に要求され
る柔軟性と腰を保持し、且つ不織布を構成する繊
維が長手方向(タテ)と長手方向と直角な方向
(ヨコ)との両方に分布しているため、製靴及び
実着用で要求される20%伸長時の応力も含め、タ
テとヨコ方向ともに優れた物性の確保が可能とな
るのである。 本発明で使用する高収縮性繊維は、70℃の温水
中で45%以上の収縮率を有するポリエステル繊維
であるのが好ましい。かかる繊維は強度もあり、
且つウエブとして60℃から80℃の温水浸漬による
収縮処理によつてその表面積を30%以上収縮させ
ることが可能となる。ウエブの表面積の収縮が30
%未満となると折れ段のある角の発生する人工皮
革になり易い。 かかる高収縮繊維は、具体的にポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
のポリエステルや、これらポリエステルに芳香族
又は脂肪族ジカルボン酸、又はグリコールを共重
合したコポリエステルを溶融紡糸し、次いで60〜
65℃の温水中で1.5〜3.5倍に延伸し、65℃以下で
乾燥することによつて容易に得られる。 一方、潜在自発伸長性繊維は、具体的にはポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レートなどのポリエステルや、これらポリエステ
ルに芳香族又は脂肪族ジカルボン酸あるいはグリ
コールを共重合したコポリエステルを溶融紡糸
し、60〜65℃の温水中で2〜4倍に延伸し、次い
で85〜95℃の温水中で熱処理し、100℃以下で乾
燥することによつて容易に得られる。特に収縮処
理時には自発伸長せずに、面積を拘束する加圧処
理温度130〜200℃の温度において少なくとも5%
の自発伸長率を有するものが望ましい。自発伸長
率が5%未満の場合には面積を拘束して不織布を
高める際の均一性が劣り好ましくない。 以上の高収縮性繊維と潜在自発性繊維とを混綿
することによつて高密度でかつ均一な人工皮革用
不織布が可能となるのである。このための混合比
率は、高収縮性繊維と潜在自発伸長性繊維との重
量混合比率が40〜80:60〜20の範囲が好ましく、
60〜70:40〜30の範囲が特に好ましい。混綿方法
としては任意の方法が採用される。 本発明にあつては、上記混合繊維を用いて繊維
が主として長手(タテ)方向に配列したウエブ
を作成し、これに上記混合繊維を用いてカードよ
り紡出したフリースを折り返し交叉積層する。
繊維がタテ方向に配列したウエブを作成するに
は、任意の方法が採用される。例えば上記混合繊
維をカードで開繊し紡出したフリースを複数重ね
合わせる方法でも良いが、通常はカード等で開繊
された繊維を空気流を利用して繊維を堆積させて
ウエブを形成させる方法が採用される。かかるウ
エブ作成機としては市販されているものも使用で
きる。 このようにして得られるウエブに、カードよ
り紡出したフリースを折り返し交叉積層するに
は、例えばローラーカード、フラツトカードなど
を用いて開繊して紡出したフリースをクロスラツ
パーで折り返し交叉積層して積層ウエブとするの
が好ましい。このように主に繊維がタテ方向に配
列した、例えば空気流を利用したウエブにクロ
スラツパーでフリースを折り返し交叉積層する
ことにより、両方の欠点を補い長所を備えたウエ
ブを工業的に効率よく生産することができる。こ
の場合、クロスラツパー利用のフリースと空気流
利用ウエブの積層はどちらが上層になつても良い
が、クロスラツパー利用のフリースを上層にした
方が、物性上は好ましい。この積層ウエブに必要
なことはクロスラツパー利用のフリースの折り返
し交叉角度が90゜未満となることであり、好まし
くは20゜未満になることが望ましい。該角度が90゜
以上になると、繊維は略ヨコ方向に配列している
とは言えず、不織布のヨコ方向の物性が劣る結果
を招くこととなる。また、空気流利用ウエブと
クロスラツパー利用フリースとの積層重量比率
はタテとヨコとの物性バランス上から70:30〜
30:70にすべきであり、60:40〜40:60が好まし
い。ここで言う交叉角度とは、ウエブにカード
により紡出されたフリースをクロスラツパーで
積層する際にフリースの折り返し時に形成する角
度であり、第1図中θで示される角である。 次いで積層ウエブに、例えばキツクを有する針
などで絡合処理を施した後、収縮処理を60〜80℃
の温水中で行い、積層ウエブをその表面積におい
て30%以上、好ましくは35%以上収縮させる。積
層ウエブの表面積の収縮率が小さすぎると、不織
布の緻密性が不足し、折れ段やしわが発生し易
く、人工皮革用不織布には適さない。 このようにウエブ表面積の収縮率を30%以上、
好ましくは35%以上とするには、高収縮繊維の重
量混綿比率が前記のように40%以上必要となる。
更に、この収縮処理によるタテ方向とヨコ方向と
の収縮率の比は、本発明における積層ウエブにお
いては、工程張力によつてヨコ方向の収縮率をタ
テ方向の収縮率とほぼ等しいか又は大きく、即ち
(タテ収縮率÷ヨコ収縮率)=1〜0.7とすべきで
ある。これに対し空気流によるウエブのみではこ
の比が容易に0.60以下となり、0.70以上にするに
はウエブにシワが入り易くなり連続生産上、難し
く、このためヨコ方向の伸び止め感が不足する結
果となる。クロスラツパーを利用したフリースの
みではタテ収縮率は低く該比は0.40以下となり、
タテ方向の折り曲げしわが角のあるものとなつて
しまう。この比は収縮時の工程張力にも影響を受
けるが、大部分は繊維のタテとヨコ方向の分布に
よるものであり、収縮率がタテ、ヨコ方向にほぼ
等しい方が、タテ、ヨコ方向の物性としては好ま
しい。この結果から見ても本発見における積層ウ
エブは有効である。 更に、このようにして得られる収縮ウエブに、
このウエブ中の潜在自発伸長性繊維が自発伸長性
発現する温度で且つこのウエブの面積が実質的に
拡大しないようにウエブを拘束した状態で熱処理
する。例えば収縮ウエブをベルトと加熱シリンダ
ー間に加圧把持してウエブの表面積が実質的に拡
大しないように拘束し、加熱温度を130℃〜200
℃、好ましくは150℃〜180℃にすればよく、こう
することによつて潜在自発伸長性の繊維の自発伸
長性が発現し、同時に拘束加圧されることにより
ウエブは高密度で且つ均一になる。また、特に使
用繊維の繊度には制限はないが、不織布の高密度
化には、高収縮繊維と潜在自発伸長性繊維の単糸
繊度が小さい方が積層ウエブの収縮率が同一でも
可能であるが、一方カードの生産性が考えると
0.5デニール以上が好ましく、1.0デニール以上が
特に好ましい。従つて、カードを通過させる時の
単糸繊度が0.5デニール以上である海島型複合紡
止繊維や分割型繊維であつて不織布後に単糸繊度
が0.5デニール未満になる繊維の使用は好ましい
ことである。 なお、本発明の不織布を人工皮革にするには、
通常合成皮革の製造に用いられる高分子重合体、
例えばポリウレタンエラストマー、アクリロニト
リレ−ブタジエン重合体、ポリ塩化ビニール、ポ
リアミド等が任意に使用され、これらに必要な各
種添加物を含有したものの溶液又は分散液を含浸
させることにより得られ、更に得られた含浸基材
に必要に応じて、色・艶をグラビアロールで塗布
したり、ラミネートして仕上層を形成し、エンボ
スロール等で柄を付与することによつて得られ
る。 <実施例> 更に本発明の特徴を具体的な実施例を挙げて説
明する。以下実施例及び比較例中における各測定
値・評価は下記の方法により実施した。 (1) 繊維の収縮率=l0−l1/l0×100(%) l0:収縮処理前に繊維に初荷重20mg/deをかけ
て測定した長さ l1:収縮処理後に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ (2) 繊維の収縮率=l1−l0/l0×100(%) l0:伸長処理前に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ l1:伸長熱処理後に荷重20mg/deをかけて測定
した長さ (3) ウエブの面積収縮率=S0−S1/S0×100(%) S0:収縮処理前のウエブの面積 S1:収縮処理後のウエブの面積 (4) 伸び止め状態:(JIS−6505−5・2・3) (20%伸長応力) テンシロンで下記条件でサンプルをタテ方向
とヨコ方向での20%伸長時の応力値(Kg/cm)
で表わす。 サンプルサイズ 9cm×1cm ゲージレングス 50mm チヤートスピード 50mm/mm ヘツドスピード 50mm/mm (5) 曲げ硬さ: (RB) タテ方向とヨコ方向に各々2.5cm×9.0cmのサ
ンプルを曲率半径を2.0cmに曲げたときの反撥
力を1cm幅に換算した値(g/cm)で表わす。 (6) 圧縮応力: (P5) タテ方向とヨコ方向に各々2.5cm×9.0cmのサ
ンプルを2つに折り曲げ、厚さの3倍まで折り
曲げ圧縮したときの反撥力を歪計で測定し、1
cm幅に換算した値(g/cm)で表わす。 (7) レザーライク性: 圧縮応力÷曲げ硬さで表わし、この値が大き
いほど折り曲げしわが丸味のあることを示す。 (8) 製靴性: つり込時のイセの発生状態、つり込み部分の
修正やバフ掛け時間の加工性評価 (9) 着用性: 着用時のフイツト感や型くずれ等の着用面の
評価 実施例 1 ポリエチレンテレフタレート(o−クロロフエ
ノール中35℃で測定した固有粘度0.60)を紡糸温
度290℃、紡糸口金孔数500個、紡糸速度1500m/
minの条件で溶融紡糸して単糸繊度4.6デニール
の未延伸糸を得た。この未延伸糸を64℃の温水で
2.3倍に延伸し、次いで押込捲縮機によりクリン
プを付与し、油剤処理し、カツトして単糸繊度
2.0デニールで繊維長51mmの高収縮性繊維(A)を得
た。この繊維(A)を70℃中の温水中で2分間浸漬し
たときの収縮率は47%であつた。 一方、ポリエチレンテレフタレート/イソフタ
レート(共重合モル比93/7)コポリエステル
(o−クロロフエノール中35℃で測定した固有粘
度0.61)を溶融紡糸して得た未延伸糸を60℃の温
水浴中で3.0倍に延伸し、次いで90℃の温水浴中
で温水処理し、クリンプを付与し、油剤処理した
後51mmにカツトした。得られた繊維の単糸繊度は
2.0デニールで遠赤外加熱炉で110℃、160℃、180
℃で夫々60秒間処理したとき、夫々0.5%、6.3
%、9.6%の伸長率を示した。また、この繊維は
70℃の温水中で全く収縮も伸長もしなかつた。こ
の繊維を潜在自発伸長性繊維(B)とする。 これらの高収縮性繊維(A)と潜在自発伸長性繊維
(B)とを70:30の重量比率で混合して混打綿機で開
繊し、開繊された混合繊維を空気流を利用したウ
エブ作成機で目付150g/m2のウエブを作成し
た。更にその上に2山のローラーカードから上記
同一の混合繊維を使用してフリースを紡出し、
クロスラツパーでフリース折り返し交叉角度16゜
で積層して目付300g/m2の積層ウエブを作成し
た。この積層ウエブを40番レギユラーバーブ9個
を有する針を装着したニードルロツカールームで
打込本数800本/cm2のパンチングし、得られたニ
ードルパンチウエブを66℃の温水に2分間浸漬し
たところウエブは41%の面積収縮率を示した。こ
のときのタテ、ヨコ収縮率は各々21%、25%とな
つた。 この収縮ウエブを真空脱水したのち、80℃で5
分間乾燥し、次いで160゜の熱シリンダと120メツ
シユのステンレスネツトベルト間に把持加圧して
実質的にウエブ表面積が変化しないようにして1
分間処理した。得られた不織分はソフトな風合に
富んでおり、特に不織布は折り曲げたときの折曲
線に折れ段の発生がないものであつた。 この不織布にシリコーン水分散液で対繊維付着
量が0.05%になるように含浸させ、更にポリウレ
タン樹脂の14%ジメチルホルムアミド溶液を均一
に含浸させ、スクイズロールで絞つた後20℃の温
水、更に40℃の温水中に浸漬し凝固させ、更に溶
媒が殆んどなくなるまで洗浄し、乾燥した。 この含浸基材をグラビアロールで仕上塗装し、
更にエンボスロールで柄を刻印して人工皮革を得
た。得られた人工皮革の特徴を第1表に示した。
表より明らわな通りタテ、ヨコ方向とも伸び止め
感があり、柔軟性にとみ且つ厚さ方向に弾力性が
あり、折り曲げ時の折曲線の発生のない、すぐれ
た性質をもつた人工皮革であつた。 この人工皮革をテニスシユーズに製靴したとこ
ろ加工性もよく、実着用上もフイツト感のある型
くづれの発生のないものであつた。 比較例 1 実施例1の開繊された混合繊維を使つて空気流
利用により目付300g/m2のウエブを得、実施例
と同様に絡合処理し、収縮させたところ、タテ、
ヨコ収縮率は16%、30%でウエブ表面積は41%の
収縮率であり、実施例1と同様に加熱加圧処理し
て不織布にし、更に実施例1と同様に人工皮革と
し、その物性を第1表に示した。このものは特に
ヨコ方向の伸び止め感が不足し、実着用時の型く
づれが発生し易いものであり、本発明品より劣る
ものであつた。 比較例 2 実施例1の開繊された混合繊維を使い2山のロ
ーラーカードからフリースを紡出し、クロスラツ
パーでフリース折り返し交叉角度16゜でウエブ目
付300g/m2のウエブを作成後、絡合処理し、実
施例1と同様に収縮処理を行つた結果、タテ、ヨ
コ収縮率は各々14%、28%、面積収縮率38%とな
つた。この収縮基材を実施例1と同様に加熱加圧
処理して不織布を作成した。この不織布を実施例
1と同様に人工皮革とし、その物性を第1表に示
した。ヨコ方向の伸び止め感が不足し、タテ方向
に折れ段の発生するもので、製靴性に劣るもので
あつた。 実施例 2 実施例1の開繊された混合繊維を使い、空気流
で積層した150g/m2のウエブ上に、2山のロ
ーラーカードからフリースを紡出し、クロスラツ
パーでフリース折り返し角度80゜で積層して目付
300g/m2の積層ウエブを得、この積層ウエブを
実施例1と同様に絡合処理し、収縮処理した結
果、タテ、ヨコ収縮率は各々19%、26%で、面積
収縮率は40%であつた。この収縮基材を実施例1
と同様に、加熱加圧処理して不織布を得た。この
不織布を実施例1と同様にして人工皮革とし、そ
の物性を第1表に示した。実施例1よりヨコ方向
の伸び止め感が若干劣るものの製靴性及び実着用
性での問題もなく良好な評価を得た。 比較例 3 実施例2の2山ローラーカードから紡出してク
ロスラツパーで積層したフリースの交叉角度を
100゜とする以外は実施例2と同様に行なつて不織
布を得、次いで実施例1と同様にして人工皮革と
し、その物性を第1表に示した。この人工皮革は
ヨコ方向の伸び止め感が劣り、更に圧縮応力もな
く、実着用時に型くづれのするものしかならなか
つた。 実施例 3 実施例1の高収縮性繊維(A)と潜在自発伸長性繊
維(B)の混合割合を50:50とし、混合繊維を使用
し、空気流で作成した目付150g/m2のウエブ
に、2山ローラーカードから紡出したフリース
をクロスラツパーでフリース折り返し交叉角度
83゜で積層して目付300g/m2の積層ウエブを得、
これに実施例1と同様に絡合処理及び収縮処理を
行つたところ、ウエブの面積収縮率は32%、タ
テ、ヨコ収縮率は各々17%、18%となつた。この
収縮基材を実施例1と同様に加熱加圧処理して不
織布を得た。これを実施例1と同様に人工皮革に
し、その物性を第1表に示した。タテ、ヨコ方向
の伸び止め感、柔軟性及び圧縮応力(腰)も良
く、製靴性及び実着用性に問題はない良好なもの
であつた。 比較例 4 実施例3の絡合処理ウエブを34℃の温水中で収
縮処理を行なつたところウエブの収縮率は27%で
あつた。この収縮基材を実施例1と同様に加熱加
圧処理を行い不織布を得た。このものを実施例1
と同様にして人工皮革にし、その物性を第1表に
示した。折り曲げ時角のでるもので、タテ、ヨコ
方向とも圧縮応力(腰)の劣るもので、製靴性と
着用感に劣るものであつた。 実施例 4 実施例1の開繊された混合繊維を使い、空気流
で作成した目付210g/m2のウエブに、ローラ
ーカードから紡出したフリースをクロスラツパ
ーでフリース折り返し交叉角度16゜で積層して目
付300g/m2の積層ウエブとし、絡合処理、収縮
処理及び加熱加圧処理を実施例1と同様に行い不
織布を得た。この不織布を実施例1と同様にして
人工皮革とし、その物性を第1表に示した。ヨコ
方向の伸び止め感が若干劣るものの、製靴性、加
工性において良い結果が得られた。 実施例 5 実施例4の収縮基材を使い、加熱加圧処理にお
いて加熱シリンダー温度を110℃にして不織布を
得た。この不織布を実施例1と同様にして人工皮
革とし、その物性を第1表に示した。柔軟性にや
や欠け、圧縮応力とのバランスが劣り、折れ段に
角が発生し、製靴性、着用性ともに本発明品より
やや劣る結果であつた。 実施例 5 実施例1のポリエチレンテレフタレートを使用
して、溶融紡糸して単糸繊度2.2デニールの未延
糸を得た。この未延伸糸を62℃の温水中で3.0倍
に延伸し、クリンプ付与及びオイル処理し、カツ
トして単糸繊度0.7デニール、繊維長38mmの高収
縮性繊維(A)を得た。この繊維を70℃の温水中で2
分間漬したときの収縮率は45%であつた。 一方、実施例1のコポリエステルを溶融紡糸し
て単糸繊度2.0デニールの未延伸糸を得た。この
未延伸糸を64℃の温水浴中で3.9倍に延伸し、次
いで90℃の温水浴中で温水処理し、クリンプ付与
及び油剤処理した後、38mmにカツトした。得られ
た繊維の単糸繊度は0.8デニールで、遠赤外加熱
炉で130℃、160℃、190℃で夫々60秒間処理した
時夫々5.1%、6.4%、10.3%の伸長率を示した。 この繊維は70℃の温水中では全く伸長も収縮も
なく、この繊維を潜在自発伸長性繊維(B)とした。 これらの高収縮性繊維(A)と潜在自発伸長性繊維
(B)を50:50に混合して開繊した。開繊した混合繊
維を空気流を利用して目付150g/m2のウエブ
を作成し、これにフラツトカードで紡出したフリ
ースをクロスラツパーでフリース折り返し交叉
角度8゜で積層して300g/m2の積層ウエブを作成
した。両方式とも実施例1の単糸繊度2.0デニー
ルに比較した生産性が劣るものであつた。この積
層ウエブに40番のレギユラーバーブ3個を有する
針で1000本/cm2の打込み密度でパンチングし、収
縮処理を66℃の温水中に浸漬して行なつた結果、
タテ、ヨコ収縮率22%、24%で面積収縮率41%で
あつた。次に真空脱水して乾燥した後、加熱加圧
処理を160℃の熱シリンダーと120メツシユステン
レスベルト間に加圧把持して行ない不織布を得
た。この不織布はソフトな風合の良好なるもので
あつた。この不織布を実施例1と同様にして人工
皮革とし、その物性を第1表に示した。このもの
は特に柔軟性に富み、伸び止め感及び圧縮圧力に
優れたもので、製靴性及び実着用性に優れたもの
であつた。
【表】
【表】
表中における製靴性、着用性の評価結果は、
◎…優秀、○…良好、△…やや不良、×…不良を
意味する。
<効果> 以上説明したように本発明の方法による不織布
は、人工皮革用してタテ、ヨコ方向の20%伸長時
の応力、柔軟性と圧縮応力(腰)及び柔軟性と圧
縮応力とのバランスに優れたもので、実用上も製
靴性、実着用性に良好な人工皮革用の不織布とし
て有効なものである。
◎…優秀、○…良好、△…やや不良、×…不良を
意味する。
<効果> 以上説明したように本発明の方法による不織布
は、人工皮革用してタテ、ヨコ方向の20%伸長時
の応力、柔軟性と圧縮応力(腰)及び柔軟性と圧
縮応力とのバランスに優れたもので、実用上も製
靴性、実着用性に良好な人工皮革用の不織布とし
て有効なものである。
第1図は主として長手方向に繊維が配列したウ
エブ上に、カードから紡出されたフリースを
クロスラツパーで折り返し積層する状態を表わす
モデル図である。 図中Aはウエブ、Bはフリース、θはウエ
ブ上のフリースの折り返し交叉角度を示す。
エブ上に、カードから紡出されたフリースを
クロスラツパーで折り返し積層する状態を表わす
モデル図である。 図中Aはウエブ、Bはフリース、θはウエ
ブ上のフリースの折り返し交叉角度を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 温度70℃の温水中で45%以上の収縮性を有す
る高収縮性ポリエステル系繊維(A)と乾燥温度130
〜200℃において少なくとも5%の自発伸長率を
有する潜在自発伸長性ポリエステル系繊維(B)との
混合割合が40〜80:60〜20である混合繊維が主と
して長手方向に配列したウエブに、該高収縮性
ポリエステル系繊維(A)と該潜在自発伸長性ポリエ
ステル系繊維(B)との混合重量割合が40〜80:60〜
20である混合繊維からなるカードより紡出された
フリースを、該ウエブに対する該フリース
の重量比が70〜30:30〜70となり、かつ、折り返
し交叉角度が90゜未満となるよう交叉積層して積
層ウエブとなし、該積層ウエブに絡合処理を施し
た後収縮処理することによつて該積層ウエブをそ
の表面積において30%以上収縮させると共に長手
方向に対しそれに直角な方向の収縮率の比が1〜
0.7となるよう収縮させ、次いで前記潜在自発伸
長性ポリエステル系繊維(B)が自発伸長性を発現す
る温度で且つ該積層ウエブの面積を実質的に拡大
しないように拘束熱処理することを特徴とする不
織布の製造方法。 2 拘束熱処理温度が、潜在自発伸長性ポリエス
テル系繊維(B)を少なくとも5%自発伸長せしめる
温度である特許請求の範囲第1項記載の不織布の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59107572A JPS60252757A (ja) | 1984-05-29 | 1984-05-29 | 不織布の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59107572A JPS60252757A (ja) | 1984-05-29 | 1984-05-29 | 不織布の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60252757A JPS60252757A (ja) | 1985-12-13 |
JPH0140139B2 true JPH0140139B2 (ja) | 1989-08-25 |
Family
ID=14462569
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59107572A Granted JPS60252757A (ja) | 1984-05-29 | 1984-05-29 | 不織布の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60252757A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101536368B1 (ko) * | 2007-08-28 | 2015-07-13 | 가부시키가이샤 구라레 | 피혁양 시트 및 그 제조 방법 |
CN108893866A (zh) * | 2018-08-24 | 2018-11-27 | 芜湖跃飞新型吸音材料股份有限公司 | 一种无毒无味、减震环保复合棉及其制备工艺 |
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1984
- 1984-05-29 JP JP59107572A patent/JPS60252757A/ja active Granted
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Publication number | Publication date |
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JPS60252757A (ja) | 1985-12-13 |
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