JPH0130913B2 - - Google Patents
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- Publication number
- JPH0130913B2 JPH0130913B2 JP21443783A JP21443783A JPH0130913B2 JP H0130913 B2 JPH0130913 B2 JP H0130913B2 JP 21443783 A JP21443783 A JP 21443783A JP 21443783 A JP21443783 A JP 21443783A JP H0130913 B2 JPH0130913 B2 JP H0130913B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- crankshaft
- strength
- less
- cold pressing
- internal combustion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
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- Forging (AREA)
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
- Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)
Description
本発明は、内燃機関用クランク軸の機械的特性
改善処理方法に関する。 内燃機関の高出力化を達成するためには、それ
に耐え得るようにクランク軸の強度を向上させる
必要がある。従来は、クランク軸全体に焼入れお
よび焼戻し処理を施す、または高周波焼入れ、窒
化処理等の表面硬化処理を施すといつた手段を採
用しているが、前者の場合は後の切削加工時被削
性の悪化により生産性の低下を来たし、また面粗
度の悪化に伴い強度の低下をもたらすという不具
合がある。一方、後者の場合は処理時間が長くな
り、生産性の低下および生産コストの上昇を招来
するといつた不具合がある。 本発明は上記不具合を解消し得る前記改善処理
方法を提供することを目的とし、鉄材料より成形
されたクランク軸における軸状部分の応力集中箇
所に、加工深さが軸状部分の直径の100分の1以
上となるような冷間押圧加工を施し、次いでクラ
ンク軸全体に軟窒化処理を施すことを特徴とす
る。 下記の表は各種鋼種を示す。
改善処理方法に関する。 内燃機関の高出力化を達成するためには、それ
に耐え得るようにクランク軸の強度を向上させる
必要がある。従来は、クランク軸全体に焼入れお
よび焼戻し処理を施す、または高周波焼入れ、窒
化処理等の表面硬化処理を施すといつた手段を採
用しているが、前者の場合は後の切削加工時被削
性の悪化により生産性の低下を来たし、また面粗
度の悪化に伴い強度の低下をもたらすという不具
合がある。一方、後者の場合は処理時間が長くな
り、生産性の低下および生産コストの上昇を招来
するといつた不具合がある。 本発明は上記不具合を解消し得る前記改善処理
方法を提供することを目的とし、鉄材料より成形
されたクランク軸における軸状部分の応力集中箇
所に、加工深さが軸状部分の直径の100分の1以
上となるような冷間押圧加工を施し、次いでクラ
ンク軸全体に軟窒化処理を施すことを特徴とす
る。 下記の表は各種鋼種を示す。
【表】
【表】
本発明を適用して所期の効果を得ることのでき
る鋼種としてはJIS S43C〜S48C等の機械構造用
炭素鋼、新規炭素鋼およびJIS FCD50で代表さ
れる球状黒鉛鋳鉄である。 新規炭素鋼C〜Fは、必須化学成分として、
C0.30〜0.60%、Cr0.50%以下、Al0.20%以下、
V0.30%以下を含むことが必要である。 Cはクランク軸の芯部強度と軟窒化時の表面硬
化に不可決な成分であり、0.30%を下回ると硬度
が不足して十分な強度を図ることができず、一方
0.60%を上回ると芯部硬度が高くなり、被削性が
低下する。 Cr、Alは軟窒化性を向上させる特性を有する
が、Crが0.50%を、Alが0.20%をそれぞれ上回る
と硬化深さが増大し、歪み取り等の矯正能が低下
する。 Vは中炭素鋼ベースに添加されて熱間鍛造後の
適切な空冷処理にて内外均一な析出硬化を生起
し、焼入れ焼戻し等の熱処理を行うことなく、そ
れを行つた場合と同等の硬度を得る上に有効な成
分である。したがつてクランク軸における軸状部
分の応力集中箇所に冷間押圧加工としてのロール
加工を施した場合、一層の加工硬化が得られ、以
後の軟窒化処理時にも材料自体の優れた焼戻し軟
化抵抗性に起因して、処理温度が600℃以下であ
れば芯部を含めたクランク軸全体の硬度が低下す
るようなことはない。ただし、Vが0.30%を上回
ると、靭性の低下を招来する。 なお、上記必須化学成分に、下記グループ(a)〜
(c)より選択される化学成分を単独または二種以上
組合せて添加することもある。 (a) Ti、Zr、Nb+Taより選択される一種また
は二種の化学成分を、何れについても0.30化下
添加すると、析出硬化を利用して強度を向上さ
せることができるが、0.30%を上回ると軟窒化
性が低下する。 (b) Si、Mn、Cu、Mo、W、Coをそれぞれ1.5%
以下添加すると、基地を強化することができる
が、1.5%を上回ると軟窒化性が低下する。 (c) S0.15%以下、Pb0.30%以下、Te0.10%以下、
Se0.30%以下添加すると被削性が向上するが、
各化学成分が前記値を上回ると靭性が低下す
る。 表の比較炭素鋼は、強度または被削性の何れ
かの点において劣るためクランク軸の構成材料と
しては不適切である。 前記FC35等のねずみ鋳鉄、FCD50等の球状黒
鉛鋳鉄を用いると、炭素鋼を用いて鍛造によりク
ランク軸を成形する場合に比べて成形法および材
料費の面で有利であるだけでなく、冷間押圧加工
と軟窒化処理を施した鋳鉄製クランク軸は冷間押
圧加工のみを施した鍛造クランク軸に比べて強度
の面においても優れていることが確認された。こ
れは鋳鉄においては、冷間押圧加工による加工硬
化と同時に黒鉛が凝集されるため以後の軟窒化処
理時における窒化品質の向上と黒鉛による切欠感
受性の低下が図られるためである。ただし、引張
強さが40Kg/mm2以下では、低価格であつても鋳鉄
自体の強度が低過ぎ、内燃機関の高出力化に対応
した要求特性を満足し得ないことから、引張強さ
は40Kg/mm2以上であることが必要である。このこ
とからFCD50等の球状黒鉛鋳鉄が最適である。 第1図は表の鋼種Aを用いて製造されたクラ
ンク軸1を示し、そのクランク軸1は、圧延によ
り得られた直径80mmの棒鋼を1200℃に加熱して鍛
造し、次いでコンベア上で鍛造空冷処理を施し、
さらに内外部の硬度および組織の均一化を図るた
め900℃、60分間の焼準処理を施して得られたも
のである。 上記クランク軸1における軸状部分の応力集中
箇所、即ちクランク主軸部2、クランクピン部3
およびプーリ軸部4のフイレツト部には冷間押圧
加工としてのロール加工により環状凹入部5が形
成されている。 このロール加工は、クランク軸1の両端部を心
出しを行つて支持部材に支持し、その後各フイレ
ツト部を、それにロールを圧接して第2図鎖線示
の状態により実線示の状態に凹入するものであ
る。 第3図は、ロール加工後におけるフイレツト部
の深さ方向の硬度分布を示し、線x1はロール加工
を行わなかつた場合、線x2〜x4はそれぞれロール
の押圧力を430、600、820Kg/mm2とした場合であ
り、第3図から明らかなようにロール加工を行う
ことにより表面から所定の深さに亘つて硬度が著
しく増大することが判る。 この場合、ロールの押圧力が増加すれば、硬度
も増大するが、その押圧力が800Kg/mm2を上回る
と異常面圧により“むしれ”を発生し強度がばら
つくという不具合が生じるので好ましくない。 下記の表は、フイレツト部の加工深さ、面粗
度およびクランク軸の曲りの関係を示す。各加工
深さは、例えばクランク主軸部2について言え
ば、その直径Dに対する加工量t(第2図)の比
t/Dで表わしたものであり、またクランク軸の
曲りは、その両端部を支持した状態における、中
央部のクランク主軸部2の振れにより表わしたも
のである。
る鋼種としてはJIS S43C〜S48C等の機械構造用
炭素鋼、新規炭素鋼およびJIS FCD50で代表さ
れる球状黒鉛鋳鉄である。 新規炭素鋼C〜Fは、必須化学成分として、
C0.30〜0.60%、Cr0.50%以下、Al0.20%以下、
V0.30%以下を含むことが必要である。 Cはクランク軸の芯部強度と軟窒化時の表面硬
化に不可決な成分であり、0.30%を下回ると硬度
が不足して十分な強度を図ることができず、一方
0.60%を上回ると芯部硬度が高くなり、被削性が
低下する。 Cr、Alは軟窒化性を向上させる特性を有する
が、Crが0.50%を、Alが0.20%をそれぞれ上回る
と硬化深さが増大し、歪み取り等の矯正能が低下
する。 Vは中炭素鋼ベースに添加されて熱間鍛造後の
適切な空冷処理にて内外均一な析出硬化を生起
し、焼入れ焼戻し等の熱処理を行うことなく、そ
れを行つた場合と同等の硬度を得る上に有効な成
分である。したがつてクランク軸における軸状部
分の応力集中箇所に冷間押圧加工としてのロール
加工を施した場合、一層の加工硬化が得られ、以
後の軟窒化処理時にも材料自体の優れた焼戻し軟
化抵抗性に起因して、処理温度が600℃以下であ
れば芯部を含めたクランク軸全体の硬度が低下す
るようなことはない。ただし、Vが0.30%を上回
ると、靭性の低下を招来する。 なお、上記必須化学成分に、下記グループ(a)〜
(c)より選択される化学成分を単独または二種以上
組合せて添加することもある。 (a) Ti、Zr、Nb+Taより選択される一種また
は二種の化学成分を、何れについても0.30化下
添加すると、析出硬化を利用して強度を向上さ
せることができるが、0.30%を上回ると軟窒化
性が低下する。 (b) Si、Mn、Cu、Mo、W、Coをそれぞれ1.5%
以下添加すると、基地を強化することができる
が、1.5%を上回ると軟窒化性が低下する。 (c) S0.15%以下、Pb0.30%以下、Te0.10%以下、
Se0.30%以下添加すると被削性が向上するが、
各化学成分が前記値を上回ると靭性が低下す
る。 表の比較炭素鋼は、強度または被削性の何れ
かの点において劣るためクランク軸の構成材料と
しては不適切である。 前記FC35等のねずみ鋳鉄、FCD50等の球状黒
鉛鋳鉄を用いると、炭素鋼を用いて鍛造によりク
ランク軸を成形する場合に比べて成形法および材
料費の面で有利であるだけでなく、冷間押圧加工
と軟窒化処理を施した鋳鉄製クランク軸は冷間押
圧加工のみを施した鍛造クランク軸に比べて強度
の面においても優れていることが確認された。こ
れは鋳鉄においては、冷間押圧加工による加工硬
化と同時に黒鉛が凝集されるため以後の軟窒化処
理時における窒化品質の向上と黒鉛による切欠感
受性の低下が図られるためである。ただし、引張
強さが40Kg/mm2以下では、低価格であつても鋳鉄
自体の強度が低過ぎ、内燃機関の高出力化に対応
した要求特性を満足し得ないことから、引張強さ
は40Kg/mm2以上であることが必要である。このこ
とからFCD50等の球状黒鉛鋳鉄が最適である。 第1図は表の鋼種Aを用いて製造されたクラ
ンク軸1を示し、そのクランク軸1は、圧延によ
り得られた直径80mmの棒鋼を1200℃に加熱して鍛
造し、次いでコンベア上で鍛造空冷処理を施し、
さらに内外部の硬度および組織の均一化を図るた
め900℃、60分間の焼準処理を施して得られたも
のである。 上記クランク軸1における軸状部分の応力集中
箇所、即ちクランク主軸部2、クランクピン部3
およびプーリ軸部4のフイレツト部には冷間押圧
加工としてのロール加工により環状凹入部5が形
成されている。 このロール加工は、クランク軸1の両端部を心
出しを行つて支持部材に支持し、その後各フイレ
ツト部を、それにロールを圧接して第2図鎖線示
の状態により実線示の状態に凹入するものであ
る。 第3図は、ロール加工後におけるフイレツト部
の深さ方向の硬度分布を示し、線x1はロール加工
を行わなかつた場合、線x2〜x4はそれぞれロール
の押圧力を430、600、820Kg/mm2とした場合であ
り、第3図から明らかなようにロール加工を行う
ことにより表面から所定の深さに亘つて硬度が著
しく増大することが判る。 この場合、ロールの押圧力が増加すれば、硬度
も増大するが、その押圧力が800Kg/mm2を上回る
と異常面圧により“むしれ”を発生し強度がばら
つくという不具合が生じるので好ましくない。 下記の表は、フイレツト部の加工深さ、面粗
度およびクランク軸の曲りの関係を示す。各加工
深さは、例えばクランク主軸部2について言え
ば、その直径Dに対する加工量t(第2図)の比
t/Dで表わしたものであり、またクランク軸の
曲りは、その両端部を支持した状態における、中
央部のクランク主軸部2の振れにより表わしたも
のである。
【表】
表から明らかなように、加工深さが1/100〜
1/30の範囲にあれば、ロールの面粗度が転写され
て、0.8μ程度の良好な面粗度が得られるが、加工
深さが1/150の場合はフイレツト部の面の粗さが
部分的に残存し、強度の改善効果が乏しいことが
判明した。 一方、クランク軸の曲りは、加工深さが大きく
なる程増加する傾向にあり、例えば加工深さを1/
30にすると、約0.16mmの振れが発生し、次工程の
研磨加工において部分的に研磨代が増加したり、
軟窒化処理後の曲り取りにおいて特別な配慮が必
要であるといつた不具合を生じ、生産性および品
質保証面において不利となる。 したがつて、加工深さは1/100以上、1/30未満
の範囲が適当である。 下記の表は、表の鋼種Dを用いて第1図と
同様のクランク軸を熱間鍛造、コンベア上での鍛
造空冷処理を経て製造し、そのクランク軸のフイ
レツト部にそれぞれ押圧力150、200、400、800、
900Kg/mm2のロール加工を施し、次いで各クラン
ク軸全体に塩浴を用いて580℃、60分間の軟窒化
処理を施し、各クランク軸の強度向上比率および
表面傷を調べたものである。 強度評価方法は、油圧サーボ型疲れ試験機を用
いて各クランク軸に両振りの繰返し曲げ荷重を与
え、N=1.0×107回の荷重レベルを以て評価し
た。また強度向上比率は、表の鋼種AまたはB
を用いて製造された第1図と同様のクランク軸に
ロール加工を施さずに、前記同様の軟窒化処理の
みを施し、これに前記同様の疲れ試験を行い、こ
れから得られる荷重レベルを基準として算出し
た。
1/30の範囲にあれば、ロールの面粗度が転写され
て、0.8μ程度の良好な面粗度が得られるが、加工
深さが1/150の場合はフイレツト部の面の粗さが
部分的に残存し、強度の改善効果が乏しいことが
判明した。 一方、クランク軸の曲りは、加工深さが大きく
なる程増加する傾向にあり、例えば加工深さを1/
30にすると、約0.16mmの振れが発生し、次工程の
研磨加工において部分的に研磨代が増加したり、
軟窒化処理後の曲り取りにおいて特別な配慮が必
要であるといつた不具合を生じ、生産性および品
質保証面において不利となる。 したがつて、加工深さは1/100以上、1/30未満
の範囲が適当である。 下記の表は、表の鋼種Dを用いて第1図と
同様のクランク軸を熱間鍛造、コンベア上での鍛
造空冷処理を経て製造し、そのクランク軸のフイ
レツト部にそれぞれ押圧力150、200、400、800、
900Kg/mm2のロール加工を施し、次いで各クラン
ク軸全体に塩浴を用いて580℃、60分間の軟窒化
処理を施し、各クランク軸の強度向上比率および
表面傷を調べたものである。 強度評価方法は、油圧サーボ型疲れ試験機を用
いて各クランク軸に両振りの繰返し曲げ荷重を与
え、N=1.0×107回の荷重レベルを以て評価し
た。また強度向上比率は、表の鋼種AまたはB
を用いて製造された第1図と同様のクランク軸に
ロール加工を施さずに、前記同様の軟窒化処理の
みを施し、これに前記同様の疲れ試験を行い、こ
れから得られる荷重レベルを基準として算出し
た。
【表】
上記表から明らかなように、押圧力が200
Kg/mm2を下回る、例えば150Kg/mm2では強度向上
比率が5%と低く効果が乏しく、一方800Kg/mm2
を上回る、例えば900Kg/mm2では“むしれ”を発
生し、この“むしれ”の切欠効果により強度のば
らつきを生じて強度向上比率が低くなる。 したがつて押圧力が200〜800Kg/mm2の範囲にあ
れば、強度向上比率も20〜40%と向上し、また表
面傷も無いことから、高品質なものが得られる。 前記表の鋼種Kを用いて鋳造され、鋳放し状
態のクランク軸のフイレツト部に押圧力400Kg/
mm2のロール加工を施し、次いで前記同様の軟窒化
処理を施したところ20%の強度向上比率が認めら
れたが、ロール加工のみの場合には強度上の変化
が認められなかつた。 また鋼種Jの場合はロール加工および軟窒化処
理を行つた場合とロール加工のみの場合とでは強
度上の変化が認められなかつた。 第4図は、前記表の鋼種Dを用いて前記同様
の工程を経て得られたクランク軸のフイレツト部
にロール加工を施す、または施さずに次工程で前
記同様の軟窒化処理を施した場合におけるフイレ
ツト部の深さ方向の硬度分布を示し、線y1はロー
ル加工を施さない場合、線y2〜y4はそれぞれロー
ルの押圧力を250,430,600Kg/mm2とした場合で
あり、第4図によりロール加工と軟窒化処理を組
合せるとロール加工無しに比べて硬度の向上が認
められた。 なお、冷間押圧加工と軟窒化処理を組合せた場
合、冷間押圧加工により得られた残留応力が熱処
理とも言い得る軟窒化処理時に消失し、強度低下
を来たすと一般に考えられているが、本発明にお
いて強度の向上が認められるのは、材料自体の特
性にもよるが、冷間押圧加工を施された部分に窒
素が拡散すると、その部分の再結晶化が妨げら
れ、これにより残留応力が消失しにくくなること
も一因であると考えられる。 以上のように本発明によれば、クランク軸にお
ける軸状部分の応力集中箇所に冷間押圧加工を施
し、次いで全体に軟窒化処理を施すことにより、
内燃機関の高出力化に十分に耐えることのできる
高強度で、且つ耐摩耗性の優れたクランク軸を得
ることができる。また冷間押圧加工および軟窒化
処理の採用により、それらに要する時間を短縮し
て生産性を向上させ、また生産コストを低減する
ことができる。
Kg/mm2を下回る、例えば150Kg/mm2では強度向上
比率が5%と低く効果が乏しく、一方800Kg/mm2
を上回る、例えば900Kg/mm2では“むしれ”を発
生し、この“むしれ”の切欠効果により強度のば
らつきを生じて強度向上比率が低くなる。 したがつて押圧力が200〜800Kg/mm2の範囲にあ
れば、強度向上比率も20〜40%と向上し、また表
面傷も無いことから、高品質なものが得られる。 前記表の鋼種Kを用いて鋳造され、鋳放し状
態のクランク軸のフイレツト部に押圧力400Kg/
mm2のロール加工を施し、次いで前記同様の軟窒化
処理を施したところ20%の強度向上比率が認めら
れたが、ロール加工のみの場合には強度上の変化
が認められなかつた。 また鋼種Jの場合はロール加工および軟窒化処
理を行つた場合とロール加工のみの場合とでは強
度上の変化が認められなかつた。 第4図は、前記表の鋼種Dを用いて前記同様
の工程を経て得られたクランク軸のフイレツト部
にロール加工を施す、または施さずに次工程で前
記同様の軟窒化処理を施した場合におけるフイレ
ツト部の深さ方向の硬度分布を示し、線y1はロー
ル加工を施さない場合、線y2〜y4はそれぞれロー
ルの押圧力を250,430,600Kg/mm2とした場合で
あり、第4図によりロール加工と軟窒化処理を組
合せるとロール加工無しに比べて硬度の向上が認
められた。 なお、冷間押圧加工と軟窒化処理を組合せた場
合、冷間押圧加工により得られた残留応力が熱処
理とも言い得る軟窒化処理時に消失し、強度低下
を来たすと一般に考えられているが、本発明にお
いて強度の向上が認められるのは、材料自体の特
性にもよるが、冷間押圧加工を施された部分に窒
素が拡散すると、その部分の再結晶化が妨げら
れ、これにより残留応力が消失しにくくなること
も一因であると考えられる。 以上のように本発明によれば、クランク軸にお
ける軸状部分の応力集中箇所に冷間押圧加工を施
し、次いで全体に軟窒化処理を施すことにより、
内燃機関の高出力化に十分に耐えることのできる
高強度で、且つ耐摩耗性の優れたクランク軸を得
ることができる。また冷間押圧加工および軟窒化
処理の採用により、それらに要する時間を短縮し
て生産性を向上させ、また生産コストを低減する
ことができる。
第1図はクランク軸の正面図、第2図は第1図
矢示部の拡大断面図、第3図は冷間押圧加工後
のフイレツト部表面からの距離と硬度の関係を示
すグラフ、第4図は冷間押圧加工後軟窒化処理を
施した場合のフイレツト部表面からの距離と硬度
の関係を示すグラフである。 1……クランク軸、2,3……軸状部分として
のクランク主軸部、クランクピン部。
矢示部の拡大断面図、第3図は冷間押圧加工後
のフイレツト部表面からの距離と硬度の関係を示
すグラフ、第4図は冷間押圧加工後軟窒化処理を
施した場合のフイレツト部表面からの距離と硬度
の関係を示すグラフである。 1……クランク軸、2,3……軸状部分として
のクランク主軸部、クランクピン部。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鉄材料より成形されたクランク軸における軸
状部分の応力集中箇所に、加工深さが前記軸状部
分の直径の100分の1以上となるような冷間押圧
加工を施し、次いで前記クランク軸全体に軟窒化
処理を施すことを特徴とする、内燃機関用クラン
ク軸の機械的特性改善処理方法。 2 前記冷間押圧加工は、押圧力200Kg/mm2以上
の条件の下に行われるロール加工である、特許請
求の範囲第1項記載の内燃機関用クランク軸の機
械的特性改善処理方法。 3 前記鉄系材料は、C0.30%以上、Cr0.50%以
下、Al0.20%以下、V0.30%以下を含む炭素鋼で
ある、前記特許請求の範囲第1または第2項記載
の内燃機関用クランク軸の機械的特性改善処理方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21443783A JPS60106641A (ja) | 1983-11-15 | 1983-11-15 | 内燃機関用クランク軸の機械的特性改善処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21443783A JPS60106641A (ja) | 1983-11-15 | 1983-11-15 | 内燃機関用クランク軸の機械的特性改善処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60106641A JPS60106641A (ja) | 1985-06-12 |
JPH0130913B2 true JPH0130913B2 (ja) | 1989-06-22 |
Family
ID=16655762
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21443783A Granted JPS60106641A (ja) | 1983-11-15 | 1983-11-15 | 内燃機関用クランク軸の機械的特性改善処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60106641A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0757406B2 (ja) * | 1985-11-18 | 1995-06-21 | マシ−ネンフアブリ−ク・アルフインク・ケツセラ−・ゲ−・エム・ベ−・ハ− | 疲労強度向上装置 |
DE3916421C1 (ja) * | 1989-05-19 | 1990-08-30 | Man Nutzfahrzeuge Ag, 8000 Muenchen, De | |
JP5585758B2 (ja) * | 2009-12-04 | 2014-09-10 | 大同特殊鋼株式会社 | クランクシャフトの製造方法 |
US8826773B2 (en) | 2012-05-29 | 2014-09-09 | Honda Motor Co., Ltd. | Middle web crankshaft having forged stress relief |
-
1983
- 1983-11-15 JP JP21443783A patent/JPS60106641A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60106641A (ja) | 1985-06-12 |
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