JPH0128817B2 - - Google Patents
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- JPH0128817B2 JPH0128817B2 JP58065218A JP6521883A JPH0128817B2 JP H0128817 B2 JPH0128817 B2 JP H0128817B2 JP 58065218 A JP58065218 A JP 58065218A JP 6521883 A JP6521883 A JP 6521883A JP H0128817 B2 JPH0128817 B2 JP H0128817B2
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- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
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- C21D8/02—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
- C21D8/04—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips to produce plates or strips for deep-drawing
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- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
本発明は極めて優れた二次加工性を有する超深
絞り用鋼板の製造方法に関するものである。 従来、連続焼鈍用の深絞り性鋼板として、炭窒
化物形成元素を添加した極低炭素鋼が開発されて
いるが、かかる鋼板は苛酷な深絞り加工後に二次
加工を受けると脆性的に破壊する傾向を有してお
り、特にP,Si,Mn等を添加して高強度鋼板を
製造する場合には、P,Siは鋼板を脆化させる性
質が強いため、上記二次加工脆性は極めて発生し
易くなる。BはCと同様に結晶粒界を強化する働
きがあるとされるが、本発明者等は実際に調査検
討した結果、B添加による鋼板材質への影響は鋼
種、製造条件によつて様々に異なるという以下の
新規な知見を得、これに基づき本発明を完成した
ものである。 Ti添加極低炭素鋼にBを添加した場合には、
二次加工性は改善される傾向を示すが、その改善
効果は比較的小さく、またB未添加材と比較して
深絞り性(r値)、延性(El)の劣化が極めて大
きいものがある。Ti添加鋼ではTiが鋼中のO,
N,S,Cとの析出物形成傾向が極めて強いため
に粒界が極めて清浄であり、粒界強度は非常に弱
い。Bを添加した場合にも、脆弱な粒界の性質は
残存するため、二次加工性の改善効果は比較的小
さいのである。 Nb添加極低炭素鋼にBを添加した場合には、
添加するB量が微量の場合には二次加工性の改善
効果は小さく、逆に二次加工性を改善する効果が
現れる程度に、B添加量を増加した場合には、前
記Ti単独添加鋼と同様r値、Elの劣化が極めて
大きい。 かかる現象の原因は、Nb添加鋼の場合には、
窒化物形成傾向がNb,Alと比較してBの方が大
きいために、添加したBはBNを形成し、二次加
工性を改善する効果を有する固溶Bの状態で存在
するものが少ないために、微量のB添加時には効
果が小さいものである。 固溶Bとして存在するBを確保するためにはN
とBNを形成する量以上のB量を添加する必要が
ある。しかしながらBNはr値、Elを劣化させる
傾向が強いために、材質劣化が大きく深絞り用鋼
板として好ましくない。 更に、BNとなるB量は鋼巾N量によつて決ま
るために、実機製造時のN含有量の変動を考慮す
れば、添加B量は安全性を考えて多くする必要が
ある。 固溶Bとして存在する場合においても、Bは材
質を劣化させる傾向があることから、B添加量を
多くする必要のあるNb添加鋼では材質劣化、材
質変動が極めて大きい欠点を有するのである。 本発明者等はB添加に起因する上記の問題点以
外に、従来の極低炭素系深絞り用鋼板は以下の欠
点があるとの新規知見を得た。 Ti単独添加鋼は、Ti添加量をCとNの当量以
下にした場合には、炭化物(TiC)が微細に析出
するために延性、降伏強度、深絞り性、時効性等
の材質が著しく劣化する傾向がある。 従つて深絞り性に優れた材質を得るには、Ti
添加量をCとNの当量以上にする必要があり、こ
の場合には、固溶Cが鋼板中にほとんど存在せず
に二次加工性は極めて劣化し、更にTi添加量が
多くなるために、塗装下地処理として施されるリ
ン酸塩処理性の劣化が大きい。 Nb添加鋼では、熱延巻取温度、焼鈍温度、焼
鈍後の冷却速度に対する制限である。Nb添加鋼
では熱延で高温巻取(巻取温度≧700℃)を必要
とする。 通常の巻取温度では完全再結晶温度が非常に高
くなつて連続焼鈍炉の可能温度範囲(通常は約
850℃以下)では未再結晶部が残つていたり、ま
たNb量の多少によつて材質の変動が大きい。 これはAlN,NbCの生成に関係しており、こ
れら析出物が熱延板中にて十分な大きさを持つた
析出物になつていないために、再結晶を抑制する
ためと考えられる。 高温巻取を行なつた場合には、熱延コイルのコ
イル長手方向端部を除いては、約800〜850℃の焼
鈍温度で高いr値の鋼板が得られることは種々報
告されている通りである。 これはAlN,NbCの生成に関係し、高温巻取
では熱延板中にこれら析出物が、大きな寸法の析
出物として生成するためである。 しかし高温巻取を行なうということは、スケー
ルが厚くなり酸洗能率を極端に落とすだけでな
く、コイル端部は冷却速度が速いために、通常の
巻取温度と同じ程度の材質となり、十分な材質が
得られないので、歩留りの低下はNb添加鋼では
特に大きいものがある。 第2は冷延後の焼鈍温度と焼鈍後の冷却速度の
問題である。 特開昭55−141526号、特開昭55−141555号公報
にある如く、高温(約900℃以上)で焼鈍すると
AlN,NbCが再溶解するために固溶C,Nが出
来て、焼鈍後徐冷をしなければ遅時効性にはなら
ない。従つて操業性、経済性の面から問題とな
る。 本発明は、これら従来のTi添加鋼及びNb添加
鋼の持つ欠点をなくした鋼の製造に関するもので
もある。 即ち、優れた深絞り性と苛酷な深絞り加工を受
けた場合にも、二次加工割れの発生しにくい性能
を有し、熱延巻取条件に鈍感な鋼板の開発を目的
として行なわれたものであり、その骨子は、C:
0.005%以下、Si:0.8%以下、Mn:1.0%以下、
P:0.1%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.005%以
下及び他の不可避的不純物から成り、かつB,
Ti,Nbを複合添加することを必須条件とし、B
は2ppm以上10ppm未満の範囲内で添加し、Tiは
48/14〔N(%)−0.003%〕≦Ti(%)≦48/12C
(%)+48/14N(%)の条件を満たす範囲内で含
有し、Nbは7C(%)>Nb(%)>2C(%)でかつ
0.003%≦Nb<0.035%を満たす範囲内の含有量
で、かつ0.017%<Ti+Nb(%)<0.06%を満たす
成分の鋼を加熱温度1300℃以下の条件で熱間圧延
した後、脱スケール処理、延間圧延後、再結晶温
度以上AC3点以下の温度で連続焼鈍を施した後、
650℃から450℃の間を平均50℃/sec超の冷却速
度で冷却することを特徴とする極めて優れた二次
加工性を有する超深絞り用冷延鋼板の製造方法で
ある。 本発明鋼の基本原理を以下に述べる。 本発明鋼は、鋼板中に存在する固溶Bおよび固
溶Cの粒界濃化による粒界強度を著しく高め、極
めて優れた二次加工性を付与することを発明の根
本思想とする。 さらに、鋼中に添加したBを固溶Bとして上記
効果を発揮せしめるために、Tiを複合添加する。
複合添加するTiの効果は、鋼中のNをTiNとし
て析出固定することにより、添加したBがBNを
形成するのを妨げ、固溶Bとなすものである。 従つて、添加B量は微量で有効であり、B添加
による延性(El)、深絞り性(r値)の劣化を抑
制できる。更に、複合添加するNbの効果は、鋼
中のCの一部をNbCとして析出固定し、固溶C
量を実質的に非時効となる如く低減することを目
的とするものである。 本発明鋼が従来のTi単独添加鋼、Nb単独添加
鋼と比較して優れた深絞り性と、二次加工性を共
に兼備しているのは、微量のB,Ti,Nbを複合
添加することによるものである。 即ち、複合添加した微量のTiによつて、鋼中
のNはTiNとして既に熱延加熱炉中で析出固定
されている。 TiNは窒化物として極めて安定であるので熱
延、冷延、再結晶焼鈍の各工程において何ら変化
するものではなく、従つて熱延の巻取温度や連続
焼鈍温度やその後の冷却速度によつてその析出形
態は変わらない。 鋼中に添加したBは、窒化物形成傾向がTiに
比べて小さいため、固溶Bとして存在し、微量の
添加量で粒界強度を高める効果を有するのであ
る。これに対して、Nb単独添加鋼にBを添加し
た場合、窒化物形成傾向はNb,Alに比べてBの
方が大きいため、添加したBはBNを形成する。 従つてB添加量が少ない場合は、二次加工性を
改善する効果を有する固溶Bが存在しない(Bは
BNとして存在)ために、二次加工性改善効果は
ない。 固溶Bとして存在するBを確保するには、Nと
BNを形成する量以上のBを添加する必要がある
が、BN及び固溶Bはr値、Elを劣化させる傾向
が強いために、B添加量を多くすることは材質劣
化を招き、深絞り用鋼板として好ましくない。 また、Ti単独添加鋼にBを添加した場合は、
公知の如く、B未添加材と比較してr値、Elの劣
化が極めて大きい。更に、Tiは鋼中のO,N,
S,Cとの析出物形成傾向が極めて強いために、
粒界が極めて清浄で粒界強度は非常に弱い。 従つてBを添加して脆弱な粒界の性質を改善す
るためには、B添加量を多くする必要があり、材
質の観点から好ましくない。 これに対して本発明鋼におけるTiの添加は、
NをTiNとして析出固定するための役割をなす
ものであり、上記Ti単独添加鋼にみられる欠点
を引き起こすものではない。 添加B量を種々の添加量で一定値に固定し、本
発明鋼と上記Ti,Nb単独添加鋼の材質を繰り返
し比較調査した結果においても、本発明鋼は最も
延性、深絞り性が優れており、二次加工性の点か
らも、明確な優位性を示した。 本発明鋼はB,Tiと共にNbを複合添加するも
のであるが、Ti,Nbの共存により(Ti,Nb)
Cの如き複合析出物が熱間圧延時の仕上前(即ち
オーステナイト温度域)から形成されて析出を始
めるために、巻方温度が低目でもかなり良好な材
質を得ることができる。 本発明鋼が従来のNb単独添加鋼と比較して優
れた材質特性を有するのは、NをTiNとして
析出固定することにより、微量B添加により安定
して二次加工性を著しく向上できる点Nを
TiNとして熱延加熱炉中で、既に析出させてN
に起因する巻取温度の材質への変動要因をなくし
たことTi,Nbの複合添加により、(Ti,Nb)
Cの如き複合析出物を仕上前から形成して巻取温
度が低目でもかなり良好な材質を得ることができ
る点にある。 次に成分範囲について述べる。 まずB添加量については、2ppm以上10ppm未
満の範囲内で添加する必要がある。本発明鋼にお
けるBの添加は、二次加工性の向上効果にあり、
その効果は固溶状態で存在するBによるものであ
る。 本発明鋼では、Tiの複合添加によりNをTiN
として析出せしめているため、添加したBは固溶
Bとなり、添加量は微量で十分に有効である。 B添加量が増加するとr値、Elが若干劣化する
傾向にあり、超深絞り用鋼板という本発明鋼の特
性から、上限を2ppm以上10ppm未満とする。 TiはNを固定してその害をなくすために添加
するものであり、48/14〔N(%)−0.003%〕以上
の添加を必要とする。即ちTi添加量の下限は、
計算上Tiで析出固定できないN量が30ppm以下
である。 通常のアルミキルド鋼では、30ppmのNは悪影
響を及ぼす量であるが、Tiを複合添加すると、
TiNを析出核としてAlNを析出した(Ti,Al)
Nの複合析出物が形成され、極めて高温から安定
析出物となるため、実質上全N量をTiNとして
析出させたのと同様の効果を有するとの知見を得
た。 上記効果を十分顕著ならしめるには、0.002%
以上のTi添加量が望ましい。またCとNの和の
当量を越えて添加すると、Ti添加鋼と同様の性
質が強くなり、二次加工割れが発生し易くなるた
め、上限を48/12C(%)+48/14N(%)未満と
する。延性、降伏強度および経済的観念からは
Ti添加量はTiCを生成しない48/14N(%)以下
で、0.015%以下が最も好ましい。 Nbの添加量は、複合析出物を形成するために
は、2C(%)以上の添加を必要とし、かつ0.003%
未満ではその効果は小さく、またNb添加量が7C
(%)以上の場合は、NbCの組成に近い析出物に
なり、Nb単独添加鋼の持つ欠点が如実に現れる
ことになり望ましくない。最も好ましくはNb<
0.025%の添加量である。 又本発明の特徴は固溶Cを残存させることにあ
り、NbをCとの化学当量すなわち93/12C(%)
〔=7.75C(%)〕以上入れると固溶Cがなくなり、
本発明の特徴が出せなくなる。 このためNbは7.75C(%)以下にしなければな
らないが、優れた二次加工性を得るためには更に
Nbの量を下げ、最低限の固溶C量を確保する必
要があり、このためNbの上限は7.0C(%)とす
る。 また冷延鋼板は、塗装下地処理としてリン酸塩
処理(ボンデ処理)を施されるが、いわゆるボン
デ性にも優れたものである必要がある。しかし、
極低炭素鋼では、NbやTiを添加するとボンデ性
が大きく劣化する性質がある。 特に溶接部をグラインダー手入れして新生面の
露出した場所についても、良好な化成処理性を保
障するには、Ti,Nb添加量をTi(%)+Nb(%)
<0.06%に制限することが必要である。最も望ま
しくはTi(%)+Nb(%)<0.05%の範囲である。 (Ti,Nb)Cの如き複合析出物を生成させる
ためには、TiとNbの量は実施例に示す如くTi
(%)+Nb(%)>0.017%が必要である。 次にB,Ti,Nb以外の元素の範囲について記
す。 Cは量が多いと、必然的にCを固定するための
Nb量が多くなり、製造コストが高くなり、また
複合析出物の生成量が増えるため、析出強化要素
が大きくなり材質の低下を招く。このため0.005
%以下とする。 Siは高強度鋼板にする場合添加することがある
が、脆性を助長する元素であり、かつ化成処理性
を阻害する元素でもあり、0.8%以下にすべきで
ある。 Mnも高強度化するに際して、使用することが
できる。しかしr値を劣化させる性質があるこ
と、合金鉄のコストが高いことから1.0%以下に
する。 Pは、最も強化能の大きな元素であり、高強度
化する場合添加されるが、多量に含まれると粒界
偏析量が多くなつて脆化、即ち二次加工割れをひ
き起こすので上限は0.1%とする。 Nは、(Ti,Al)Nとして実質的に全N量が固
定されるが、N含有量が多いと、Ti添加量も多
く必要になるので0.005%以下とする。C,Nを
50ppm以下の極低量範囲に制限することにより、
析出物量が減少し、延性が良好で降伏強度が低く
なり、Ti,Nb添加量が増加した場合の悪影響は
軽減される傾向を示す。 次に製造条件について述べる。 本発明鋼は、NをTiによつて析出固定するこ
とにより無害化しており、またTi,Nbの複合添
加により(Ti,Nb)C複合析出物を高温から析
出させているが、熱延加熱温度を1300℃以下とす
ることにより、これら析出物あるいは析出核が加
熱炉中で十分存在することになる。 この結果、微量のTi添加量で実質上全N量を
(Ti,Al)Nとして析出させることが可能となつ
たものであり、また、(Ti,Nb)C複合析出物
が、仕上前の高温域から析出し始めることにな
る。 従つて、低目の巻取温度でも、熱延板の状態で
析出物がかなり凝集し、巻取温度に鈍感な材質挙
動を示すとの新規知見を得たのである。加熱温度
を1300℃以下に制限することにより、析出物の凝
集度がよくなり、その悪影響が低下することか
ら、Ti添加量、Nb添加量の上限も若干緩和され
る。 また、材質特にr値が向上することから、二次
加工性に対しても好影響を与え、B添加効果は顕
著に現われ2ppm以上の添加量で十分有効である。 析出物の粗大凝集を促進することは、化成処理
性に対しても好影響を及ぼし、Ti,Nb添加量総
和の上限を緩和する。即ち(Ti,Nb)C、(Ti,
Al)N等の析出物は、Fe3Cに比べて酸に溶解し
にくいため、リン酸塩結晶が析出しにくく、化成
処理性に悪影響を及ぼすものであるが、凝集させ
ることで、かかる析出物密度が減少し、化成処理
性が改善されるのである。 本発明鋼では、他の熱間圧延条件は特に規定す
る必要はない。ただし熱延仕上温度が低下するに
伴い、r値、Elが低下する傾向があることから、
850℃以上の仕上温度が好ましい。巻取温度に関
しても前記理由により特に規定する必要はない。 冷間圧延条件についても特に規定する必要はな
い。冷延率を増加するに伴い、深絞り性は向上す
る傾向があり、二次加工脆性割れは鋼板のr値が
高い程発生し難いことから、本発明鋼の特性を更
に優位づけるためは、50%以上の冷延率が最も好
ましい。 本発明鋼はTi,Nb添加量が微量でよいため、
再結晶温度は低いが、冷延率を増加することは、
更に再結晶温度を低下させ焼鈍温度を下げること
に対しても有効である。 焼鈍条件については、再結晶温度以上AC3点以
下の温度で連続焼鈍することとする。箱型焼鈍は
冷却速度が極めて遅いため、冷却中にPの粒界へ
の拡散が起こり望ましくない。 冷延鋼板を製造する場合には、焼なまし処理後
の冷却速度の制限が必要である。本発明鋼は二次
加工性には極めて優れた材料であるが、あまり遅
い冷却速度では、P等の粒界偏析により二次加工
性は発生し易くなる傾向はある。 Pの粒界への拡散を考えると、650℃から450℃
の間の冷却速度が問題で、その冷却速度を50℃/
sec超にすべきである。 以下、実施例について述べる。 実施例 1 第1表に示す成分の鋼スラブを溶製し、第1表
に示す熱延条件により熱間圧延をした。 仕上温度はいずれも890〜910℃である。熱延板
厚さは3.8mmであり、酸洗後0.8mmに冷間圧延した
後、連続焼鈍炉にて焼鈍した。焼鈍サイクルは約
10℃/secで、780〜820℃まで加熱して、該温度
範囲に40秒保持した後、室温まで平均冷速50〜
100℃/secで冷却した。 第1図は焼鈍サイクルを示す。 スキンパスを0.8%かけた後材質試験に供して、
その結果を化成処理性、二次加工割れ試験の結果
と共に第2表に示す。巻取温度の高い一部の材料
については熱延コイル長手方向中心部(上段)、
長手方向端部(下段)相当位置の材質を示した。
絞り用鋼板の製造方法に関するものである。 従来、連続焼鈍用の深絞り性鋼板として、炭窒
化物形成元素を添加した極低炭素鋼が開発されて
いるが、かかる鋼板は苛酷な深絞り加工後に二次
加工を受けると脆性的に破壊する傾向を有してお
り、特にP,Si,Mn等を添加して高強度鋼板を
製造する場合には、P,Siは鋼板を脆化させる性
質が強いため、上記二次加工脆性は極めて発生し
易くなる。BはCと同様に結晶粒界を強化する働
きがあるとされるが、本発明者等は実際に調査検
討した結果、B添加による鋼板材質への影響は鋼
種、製造条件によつて様々に異なるという以下の
新規な知見を得、これに基づき本発明を完成した
ものである。 Ti添加極低炭素鋼にBを添加した場合には、
二次加工性は改善される傾向を示すが、その改善
効果は比較的小さく、またB未添加材と比較して
深絞り性(r値)、延性(El)の劣化が極めて大
きいものがある。Ti添加鋼ではTiが鋼中のO,
N,S,Cとの析出物形成傾向が極めて強いため
に粒界が極めて清浄であり、粒界強度は非常に弱
い。Bを添加した場合にも、脆弱な粒界の性質は
残存するため、二次加工性の改善効果は比較的小
さいのである。 Nb添加極低炭素鋼にBを添加した場合には、
添加するB量が微量の場合には二次加工性の改善
効果は小さく、逆に二次加工性を改善する効果が
現れる程度に、B添加量を増加した場合には、前
記Ti単独添加鋼と同様r値、Elの劣化が極めて
大きい。 かかる現象の原因は、Nb添加鋼の場合には、
窒化物形成傾向がNb,Alと比較してBの方が大
きいために、添加したBはBNを形成し、二次加
工性を改善する効果を有する固溶Bの状態で存在
するものが少ないために、微量のB添加時には効
果が小さいものである。 固溶Bとして存在するBを確保するためにはN
とBNを形成する量以上のB量を添加する必要が
ある。しかしながらBNはr値、Elを劣化させる
傾向が強いために、材質劣化が大きく深絞り用鋼
板として好ましくない。 更に、BNとなるB量は鋼巾N量によつて決ま
るために、実機製造時のN含有量の変動を考慮す
れば、添加B量は安全性を考えて多くする必要が
ある。 固溶Bとして存在する場合においても、Bは材
質を劣化させる傾向があることから、B添加量を
多くする必要のあるNb添加鋼では材質劣化、材
質変動が極めて大きい欠点を有するのである。 本発明者等はB添加に起因する上記の問題点以
外に、従来の極低炭素系深絞り用鋼板は以下の欠
点があるとの新規知見を得た。 Ti単独添加鋼は、Ti添加量をCとNの当量以
下にした場合には、炭化物(TiC)が微細に析出
するために延性、降伏強度、深絞り性、時効性等
の材質が著しく劣化する傾向がある。 従つて深絞り性に優れた材質を得るには、Ti
添加量をCとNの当量以上にする必要があり、こ
の場合には、固溶Cが鋼板中にほとんど存在せず
に二次加工性は極めて劣化し、更にTi添加量が
多くなるために、塗装下地処理として施されるリ
ン酸塩処理性の劣化が大きい。 Nb添加鋼では、熱延巻取温度、焼鈍温度、焼
鈍後の冷却速度に対する制限である。Nb添加鋼
では熱延で高温巻取(巻取温度≧700℃)を必要
とする。 通常の巻取温度では完全再結晶温度が非常に高
くなつて連続焼鈍炉の可能温度範囲(通常は約
850℃以下)では未再結晶部が残つていたり、ま
たNb量の多少によつて材質の変動が大きい。 これはAlN,NbCの生成に関係しており、こ
れら析出物が熱延板中にて十分な大きさを持つた
析出物になつていないために、再結晶を抑制する
ためと考えられる。 高温巻取を行なつた場合には、熱延コイルのコ
イル長手方向端部を除いては、約800〜850℃の焼
鈍温度で高いr値の鋼板が得られることは種々報
告されている通りである。 これはAlN,NbCの生成に関係し、高温巻取
では熱延板中にこれら析出物が、大きな寸法の析
出物として生成するためである。 しかし高温巻取を行なうということは、スケー
ルが厚くなり酸洗能率を極端に落とすだけでな
く、コイル端部は冷却速度が速いために、通常の
巻取温度と同じ程度の材質となり、十分な材質が
得られないので、歩留りの低下はNb添加鋼では
特に大きいものがある。 第2は冷延後の焼鈍温度と焼鈍後の冷却速度の
問題である。 特開昭55−141526号、特開昭55−141555号公報
にある如く、高温(約900℃以上)で焼鈍すると
AlN,NbCが再溶解するために固溶C,Nが出
来て、焼鈍後徐冷をしなければ遅時効性にはなら
ない。従つて操業性、経済性の面から問題とな
る。 本発明は、これら従来のTi添加鋼及びNb添加
鋼の持つ欠点をなくした鋼の製造に関するもので
もある。 即ち、優れた深絞り性と苛酷な深絞り加工を受
けた場合にも、二次加工割れの発生しにくい性能
を有し、熱延巻取条件に鈍感な鋼板の開発を目的
として行なわれたものであり、その骨子は、C:
0.005%以下、Si:0.8%以下、Mn:1.0%以下、
P:0.1%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.005%以
下及び他の不可避的不純物から成り、かつB,
Ti,Nbを複合添加することを必須条件とし、B
は2ppm以上10ppm未満の範囲内で添加し、Tiは
48/14〔N(%)−0.003%〕≦Ti(%)≦48/12C
(%)+48/14N(%)の条件を満たす範囲内で含
有し、Nbは7C(%)>Nb(%)>2C(%)でかつ
0.003%≦Nb<0.035%を満たす範囲内の含有量
で、かつ0.017%<Ti+Nb(%)<0.06%を満たす
成分の鋼を加熱温度1300℃以下の条件で熱間圧延
した後、脱スケール処理、延間圧延後、再結晶温
度以上AC3点以下の温度で連続焼鈍を施した後、
650℃から450℃の間を平均50℃/sec超の冷却速
度で冷却することを特徴とする極めて優れた二次
加工性を有する超深絞り用冷延鋼板の製造方法で
ある。 本発明鋼の基本原理を以下に述べる。 本発明鋼は、鋼板中に存在する固溶Bおよび固
溶Cの粒界濃化による粒界強度を著しく高め、極
めて優れた二次加工性を付与することを発明の根
本思想とする。 さらに、鋼中に添加したBを固溶Bとして上記
効果を発揮せしめるために、Tiを複合添加する。
複合添加するTiの効果は、鋼中のNをTiNとし
て析出固定することにより、添加したBがBNを
形成するのを妨げ、固溶Bとなすものである。 従つて、添加B量は微量で有効であり、B添加
による延性(El)、深絞り性(r値)の劣化を抑
制できる。更に、複合添加するNbの効果は、鋼
中のCの一部をNbCとして析出固定し、固溶C
量を実質的に非時効となる如く低減することを目
的とするものである。 本発明鋼が従来のTi単独添加鋼、Nb単独添加
鋼と比較して優れた深絞り性と、二次加工性を共
に兼備しているのは、微量のB,Ti,Nbを複合
添加することによるものである。 即ち、複合添加した微量のTiによつて、鋼中
のNはTiNとして既に熱延加熱炉中で析出固定
されている。 TiNは窒化物として極めて安定であるので熱
延、冷延、再結晶焼鈍の各工程において何ら変化
するものではなく、従つて熱延の巻取温度や連続
焼鈍温度やその後の冷却速度によつてその析出形
態は変わらない。 鋼中に添加したBは、窒化物形成傾向がTiに
比べて小さいため、固溶Bとして存在し、微量の
添加量で粒界強度を高める効果を有するのであ
る。これに対して、Nb単独添加鋼にBを添加し
た場合、窒化物形成傾向はNb,Alに比べてBの
方が大きいため、添加したBはBNを形成する。 従つてB添加量が少ない場合は、二次加工性を
改善する効果を有する固溶Bが存在しない(Bは
BNとして存在)ために、二次加工性改善効果は
ない。 固溶Bとして存在するBを確保するには、Nと
BNを形成する量以上のBを添加する必要がある
が、BN及び固溶Bはr値、Elを劣化させる傾向
が強いために、B添加量を多くすることは材質劣
化を招き、深絞り用鋼板として好ましくない。 また、Ti単独添加鋼にBを添加した場合は、
公知の如く、B未添加材と比較してr値、Elの劣
化が極めて大きい。更に、Tiは鋼中のO,N,
S,Cとの析出物形成傾向が極めて強いために、
粒界が極めて清浄で粒界強度は非常に弱い。 従つてBを添加して脆弱な粒界の性質を改善す
るためには、B添加量を多くする必要があり、材
質の観点から好ましくない。 これに対して本発明鋼におけるTiの添加は、
NをTiNとして析出固定するための役割をなす
ものであり、上記Ti単独添加鋼にみられる欠点
を引き起こすものではない。 添加B量を種々の添加量で一定値に固定し、本
発明鋼と上記Ti,Nb単独添加鋼の材質を繰り返
し比較調査した結果においても、本発明鋼は最も
延性、深絞り性が優れており、二次加工性の点か
らも、明確な優位性を示した。 本発明鋼はB,Tiと共にNbを複合添加するも
のであるが、Ti,Nbの共存により(Ti,Nb)
Cの如き複合析出物が熱間圧延時の仕上前(即ち
オーステナイト温度域)から形成されて析出を始
めるために、巻方温度が低目でもかなり良好な材
質を得ることができる。 本発明鋼が従来のNb単独添加鋼と比較して優
れた材質特性を有するのは、NをTiNとして
析出固定することにより、微量B添加により安定
して二次加工性を著しく向上できる点Nを
TiNとして熱延加熱炉中で、既に析出させてN
に起因する巻取温度の材質への変動要因をなくし
たことTi,Nbの複合添加により、(Ti,Nb)
Cの如き複合析出物を仕上前から形成して巻取温
度が低目でもかなり良好な材質を得ることができ
る点にある。 次に成分範囲について述べる。 まずB添加量については、2ppm以上10ppm未
満の範囲内で添加する必要がある。本発明鋼にお
けるBの添加は、二次加工性の向上効果にあり、
その効果は固溶状態で存在するBによるものであ
る。 本発明鋼では、Tiの複合添加によりNをTiN
として析出せしめているため、添加したBは固溶
Bとなり、添加量は微量で十分に有効である。 B添加量が増加するとr値、Elが若干劣化する
傾向にあり、超深絞り用鋼板という本発明鋼の特
性から、上限を2ppm以上10ppm未満とする。 TiはNを固定してその害をなくすために添加
するものであり、48/14〔N(%)−0.003%〕以上
の添加を必要とする。即ちTi添加量の下限は、
計算上Tiで析出固定できないN量が30ppm以下
である。 通常のアルミキルド鋼では、30ppmのNは悪影
響を及ぼす量であるが、Tiを複合添加すると、
TiNを析出核としてAlNを析出した(Ti,Al)
Nの複合析出物が形成され、極めて高温から安定
析出物となるため、実質上全N量をTiNとして
析出させたのと同様の効果を有するとの知見を得
た。 上記効果を十分顕著ならしめるには、0.002%
以上のTi添加量が望ましい。またCとNの和の
当量を越えて添加すると、Ti添加鋼と同様の性
質が強くなり、二次加工割れが発生し易くなるた
め、上限を48/12C(%)+48/14N(%)未満と
する。延性、降伏強度および経済的観念からは
Ti添加量はTiCを生成しない48/14N(%)以下
で、0.015%以下が最も好ましい。 Nbの添加量は、複合析出物を形成するために
は、2C(%)以上の添加を必要とし、かつ0.003%
未満ではその効果は小さく、またNb添加量が7C
(%)以上の場合は、NbCの組成に近い析出物に
なり、Nb単独添加鋼の持つ欠点が如実に現れる
ことになり望ましくない。最も好ましくはNb<
0.025%の添加量である。 又本発明の特徴は固溶Cを残存させることにあ
り、NbをCとの化学当量すなわち93/12C(%)
〔=7.75C(%)〕以上入れると固溶Cがなくなり、
本発明の特徴が出せなくなる。 このためNbは7.75C(%)以下にしなければな
らないが、優れた二次加工性を得るためには更に
Nbの量を下げ、最低限の固溶C量を確保する必
要があり、このためNbの上限は7.0C(%)とす
る。 また冷延鋼板は、塗装下地処理としてリン酸塩
処理(ボンデ処理)を施されるが、いわゆるボン
デ性にも優れたものである必要がある。しかし、
極低炭素鋼では、NbやTiを添加するとボンデ性
が大きく劣化する性質がある。 特に溶接部をグラインダー手入れして新生面の
露出した場所についても、良好な化成処理性を保
障するには、Ti,Nb添加量をTi(%)+Nb(%)
<0.06%に制限することが必要である。最も望ま
しくはTi(%)+Nb(%)<0.05%の範囲である。 (Ti,Nb)Cの如き複合析出物を生成させる
ためには、TiとNbの量は実施例に示す如くTi
(%)+Nb(%)>0.017%が必要である。 次にB,Ti,Nb以外の元素の範囲について記
す。 Cは量が多いと、必然的にCを固定するための
Nb量が多くなり、製造コストが高くなり、また
複合析出物の生成量が増えるため、析出強化要素
が大きくなり材質の低下を招く。このため0.005
%以下とする。 Siは高強度鋼板にする場合添加することがある
が、脆性を助長する元素であり、かつ化成処理性
を阻害する元素でもあり、0.8%以下にすべきで
ある。 Mnも高強度化するに際して、使用することが
できる。しかしr値を劣化させる性質があるこ
と、合金鉄のコストが高いことから1.0%以下に
する。 Pは、最も強化能の大きな元素であり、高強度
化する場合添加されるが、多量に含まれると粒界
偏析量が多くなつて脆化、即ち二次加工割れをひ
き起こすので上限は0.1%とする。 Nは、(Ti,Al)Nとして実質的に全N量が固
定されるが、N含有量が多いと、Ti添加量も多
く必要になるので0.005%以下とする。C,Nを
50ppm以下の極低量範囲に制限することにより、
析出物量が減少し、延性が良好で降伏強度が低く
なり、Ti,Nb添加量が増加した場合の悪影響は
軽減される傾向を示す。 次に製造条件について述べる。 本発明鋼は、NをTiによつて析出固定するこ
とにより無害化しており、またTi,Nbの複合添
加により(Ti,Nb)C複合析出物を高温から析
出させているが、熱延加熱温度を1300℃以下とす
ることにより、これら析出物あるいは析出核が加
熱炉中で十分存在することになる。 この結果、微量のTi添加量で実質上全N量を
(Ti,Al)Nとして析出させることが可能となつ
たものであり、また、(Ti,Nb)C複合析出物
が、仕上前の高温域から析出し始めることにな
る。 従つて、低目の巻取温度でも、熱延板の状態で
析出物がかなり凝集し、巻取温度に鈍感な材質挙
動を示すとの新規知見を得たのである。加熱温度
を1300℃以下に制限することにより、析出物の凝
集度がよくなり、その悪影響が低下することか
ら、Ti添加量、Nb添加量の上限も若干緩和され
る。 また、材質特にr値が向上することから、二次
加工性に対しても好影響を与え、B添加効果は顕
著に現われ2ppm以上の添加量で十分有効である。 析出物の粗大凝集を促進することは、化成処理
性に対しても好影響を及ぼし、Ti,Nb添加量総
和の上限を緩和する。即ち(Ti,Nb)C、(Ti,
Al)N等の析出物は、Fe3Cに比べて酸に溶解し
にくいため、リン酸塩結晶が析出しにくく、化成
処理性に悪影響を及ぼすものであるが、凝集させ
ることで、かかる析出物密度が減少し、化成処理
性が改善されるのである。 本発明鋼では、他の熱間圧延条件は特に規定す
る必要はない。ただし熱延仕上温度が低下するに
伴い、r値、Elが低下する傾向があることから、
850℃以上の仕上温度が好ましい。巻取温度に関
しても前記理由により特に規定する必要はない。 冷間圧延条件についても特に規定する必要はな
い。冷延率を増加するに伴い、深絞り性は向上す
る傾向があり、二次加工脆性割れは鋼板のr値が
高い程発生し難いことから、本発明鋼の特性を更
に優位づけるためは、50%以上の冷延率が最も好
ましい。 本発明鋼はTi,Nb添加量が微量でよいため、
再結晶温度は低いが、冷延率を増加することは、
更に再結晶温度を低下させ焼鈍温度を下げること
に対しても有効である。 焼鈍条件については、再結晶温度以上AC3点以
下の温度で連続焼鈍することとする。箱型焼鈍は
冷却速度が極めて遅いため、冷却中にPの粒界へ
の拡散が起こり望ましくない。 冷延鋼板を製造する場合には、焼なまし処理後
の冷却速度の制限が必要である。本発明鋼は二次
加工性には極めて優れた材料であるが、あまり遅
い冷却速度では、P等の粒界偏析により二次加工
性は発生し易くなる傾向はある。 Pの粒界への拡散を考えると、650℃から450℃
の間の冷却速度が問題で、その冷却速度を50℃/
sec超にすべきである。 以下、実施例について述べる。 実施例 1 第1表に示す成分の鋼スラブを溶製し、第1表
に示す熱延条件により熱間圧延をした。 仕上温度はいずれも890〜910℃である。熱延板
厚さは3.8mmであり、酸洗後0.8mmに冷間圧延した
後、連続焼鈍炉にて焼鈍した。焼鈍サイクルは約
10℃/secで、780〜820℃まで加熱して、該温度
範囲に40秒保持した後、室温まで平均冷速50〜
100℃/secで冷却した。 第1図は焼鈍サイクルを示す。 スキンパスを0.8%かけた後材質試験に供して、
その結果を化成処理性、二次加工割れ試験の結果
と共に第2表に示す。巻取温度の高い一部の材料
については熱延コイル長手方向中心部(上段)、
長手方向端部(下段)相当位置の材質を示した。
【表】
【表】
【表】
本発明品(供試鋼No.1〜4)はいずれも良好な
結果を示している。 供試鋼No.5はTi,Nb添加量が多い(Ti(%)+
Nb(%)>0.06%)ために化成処理性が劣る。No.
6は熱延加熱温度が高いために、Tiの複合添加
効果が小さく、No.1と比較して材質、二次加工性
が劣る。 No.7はBを添加していないために二次加工割れ
が発生し易く、逆にNo.8はB添加量が多過ぎて
YP,El,r値が良くない。 No.9はTi添加量が多いために、Ti添加鋼に近
い性質となり、二次加工性、化成処理性が劣る。
No.10はNb量が少ないため固溶Cが多くなり、時
効性が大きく材質も劣る。 No.11はNb量が多すぎてNb添加鋼に近い材質と
なり、700℃以下の巻取温度では良好な材質が得
られない。 No.12〜14はTiを添加しない材料で、この場合
はBはNとBNを形成するために、Bによる二次
加工性改善効果がない(No.12)。 また巻取温度の低い場合(No.13)に材質劣化が
大きい。No.14の如くB添加量を増やすと二次加工
性は改善されるが、材質が劣る。 No.15,16はTi添加鋼にNbを添加せずにBだけ
を添加した場合であるが、この場合はB添加によ
る材質劣化が大きく、二次加工性自体の改善効果
が小さく、更に化成処理性が劣る。 比較例 1 次に冷却速度が低い場合について述べる。 第1表に示すNo.2,4の成分の鋼スラブを用い
て、加熱温度1200℃、仕上温度900℃、巻取温度
各々700℃,650℃で3.8mm厚のコイルに巻取つた。 酸洗後、冷間圧延をして0.8mmのコイルにして
から第2図、第3図のイ〜ホのサイクルで、連続
焼鈍後0.8%のスキンパスをかけた。 第3表は連続焼鈍後の冷却条件を示し、第4表
はかかる条件下で得られた冷延鋼板の材質結果を
示す。
結果を示している。 供試鋼No.5はTi,Nb添加量が多い(Ti(%)+
Nb(%)>0.06%)ために化成処理性が劣る。No.
6は熱延加熱温度が高いために、Tiの複合添加
効果が小さく、No.1と比較して材質、二次加工性
が劣る。 No.7はBを添加していないために二次加工割れ
が発生し易く、逆にNo.8はB添加量が多過ぎて
YP,El,r値が良くない。 No.9はTi添加量が多いために、Ti添加鋼に近
い性質となり、二次加工性、化成処理性が劣る。
No.10はNb量が少ないため固溶Cが多くなり、時
効性が大きく材質も劣る。 No.11はNb量が多すぎてNb添加鋼に近い材質と
なり、700℃以下の巻取温度では良好な材質が得
られない。 No.12〜14はTiを添加しない材料で、この場合
はBはNとBNを形成するために、Bによる二次
加工性改善効果がない(No.12)。 また巻取温度の低い場合(No.13)に材質劣化が
大きい。No.14の如くB添加量を増やすと二次加工
性は改善されるが、材質が劣る。 No.15,16はTi添加鋼にNbを添加せずにBだけ
を添加した場合であるが、この場合はB添加によ
る材質劣化が大きく、二次加工性自体の改善効果
が小さく、更に化成処理性が劣る。 比較例 1 次に冷却速度が低い場合について述べる。 第1表に示すNo.2,4の成分の鋼スラブを用い
て、加熱温度1200℃、仕上温度900℃、巻取温度
各々700℃,650℃で3.8mm厚のコイルに巻取つた。 酸洗後、冷間圧延をして0.8mmのコイルにして
から第2図、第3図のイ〜ホのサイクルで、連続
焼鈍後0.8%のスキンパスをかけた。 第3表は連続焼鈍後の冷却条件を示し、第4表
はかかる条件下で得られた冷延鋼板の材質結果を
示す。
【表】
【表】
は割れの発生しない最大絞り比を示した
。 引張試験値はホツトコイル長手方向中
心部に相当する位置のものを示した。
650℃から450℃の間の平均冷却速度が30℃/
sec,10℃/sec,3℃/sec,2℃/secと遅いサ
イクルでは、二次加工性は高いレベルにあるもの
の実施例1と比較すると低下する傾向を示す。 二次加工性の著しく優れた本発明鋼の特性を最
大限に発揮せしめるためには、冷却速度を50℃/
sec超にすべきである。 実施例 2 第5表に示す成分の鋼スラブを用いて加熱温度
1180℃、仕上温度890℃、巻取温度680℃にて熱間
圧延し、3.8mmのコイルとした。酸洗、冷間圧延
を行なつて0.8mmのコイルとした後、第1図に示
すサイクルで連続焼鈍し、スキンパスを0.8%か
けた後、材質試験に供した。その結果を第6表に
示す。
。 引張試験値はホツトコイル長手方向中
心部に相当する位置のものを示した。
650℃から450℃の間の平均冷却速度が30℃/
sec,10℃/sec,3℃/sec,2℃/secと遅いサ
イクルでは、二次加工性は高いレベルにあるもの
の実施例1と比較すると低下する傾向を示す。 二次加工性の著しく優れた本発明鋼の特性を最
大限に発揮せしめるためには、冷却速度を50℃/
sec超にすべきである。 実施例 2 第5表に示す成分の鋼スラブを用いて加熱温度
1180℃、仕上温度890℃、巻取温度680℃にて熱間
圧延し、3.8mmのコイルとした。酸洗、冷間圧延
を行なつて0.8mmのコイルとした後、第1図に示
すサイクルで連続焼鈍し、スキンパスを0.8%か
けた後、材質試験に供した。その結果を第6表に
示す。
【表】
【表】
従来、高r値を有する高強度鋼板は、TS=40
Kgf/mm2級が限界であつた。これは更に強度を付
与するためにはP,Si等の強化元素を添加する必
要があるが、これらの元素は著しく脆化を促進す
るために、二次加工割れを起こし易いことが阻害
要因であつた。Bを添加して、二次加工性を改善
することを試みれば、材質が著しく劣化するとの
欠点も同時に有していたものである。 第6表に示す如く、従来のTi,Nb単独添加鋼
にBを添加すると、材質が著しく劣化すると共
に、微量のBでは二次加工性改善効果も非常に小
さい。本発明鋼は微量のB添加量で、二次加工性
は著しく優れたものとなり、材質の観点でも、B
添加、P,Si,Mnの添加の悪影響がない。 従つて本発明鋼は、強度の高い高強度鋼板や、
二次加工性を起こし易い厚手鋼板の製造に関して
も極めて有利なものである。
Kgf/mm2級が限界であつた。これは更に強度を付
与するためにはP,Si等の強化元素を添加する必
要があるが、これらの元素は著しく脆化を促進す
るために、二次加工割れを起こし易いことが阻害
要因であつた。Bを添加して、二次加工性を改善
することを試みれば、材質が著しく劣化するとの
欠点も同時に有していたものである。 第6表に示す如く、従来のTi,Nb単独添加鋼
にBを添加すると、材質が著しく劣化すると共
に、微量のBでは二次加工性改善効果も非常に小
さい。本発明鋼は微量のB添加量で、二次加工性
は著しく優れたものとなり、材質の観点でも、B
添加、P,Si,Mnの添加の悪影響がない。 従つて本発明鋼は、強度の高い高強度鋼板や、
二次加工性を起こし易い厚手鋼板の製造に関して
も極めて有利なものである。
第1,2,3図は本発明の実施例に於ける熱処
理サイクルを示す説明図である。
理サイクルを示す説明図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量比で C:0.005%以下、 Si:0.8%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.1%以下、 Al:0.01〜0.1%、 N:0.005%以下 及び不可避不純物から成り、かつB,Ti,Nb
を複合添加することを必須条件とし、Bは2ppm
以上10ppm未満の範囲内で添加し、Tiは48/14
〔N(%)−0.003%〕≦Ti(%)≦48/12C(%)+
48/14N(%)の条件を満たす範囲内で含有し、
Nbは7C(%)>Nb>2C(%)で、かつ0.003%≦
Nb(%)<0.035%を満たす範囲内の含有量で、か
つ0.017%<Ti(%)+Nb(%)<0.06%を満たす成
分の鋼を、熱延加熱温度1300℃以下の条件で熱間
圧延した後、脱スケール処理、冷間圧延後、再結
晶温度以上AC3点以下の温度で連続焼鈍を施した
後、650℃から450℃の間を平均50℃/sec超の冷
却速度で冷却することを特徴とする極めて優れた
二次加工性を有する超深絞り用冷延鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6521883A JPS59193221A (ja) | 1983-04-15 | 1983-04-15 | 極めて優れた二次加工性を有する超深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6521883A JPS59193221A (ja) | 1983-04-15 | 1983-04-15 | 極めて優れた二次加工性を有する超深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59193221A JPS59193221A (ja) | 1984-11-01 |
JPH0128817B2 true JPH0128817B2 (ja) | 1989-06-06 |
Family
ID=13280547
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6521883A Granted JPS59193221A (ja) | 1983-04-15 | 1983-04-15 | 極めて優れた二次加工性を有する超深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59193221A (ja) |
Families Citing this family (15)
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JPS61246344A (ja) * | 1985-04-22 | 1986-11-01 | Kawasaki Steel Corp | 耐2次加工脆性に優れる超深絞り用冷延鋼板 |
JPS61276927A (ja) * | 1985-05-31 | 1986-12-06 | Kawasaki Steel Corp | 深絞り性の良好な冷延鋼板の製造方法 |
JPH0647706B2 (ja) * | 1986-08-04 | 1994-06-22 | 日新製鋼株式会社 | 耐二次加工割れ性の優れた深絞り用冷延鋼板およびその製造方法 |
JPS63121623A (ja) * | 1986-11-11 | 1988-05-25 | Kawasaki Steel Corp | 耐リジング性と化成処理性に優れる深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
US4889566A (en) * | 1987-06-18 | 1989-12-26 | Kawasaki Steel Corporation | Method for producing cold rolled steel sheets having improved spot weldability |
JPH0699779B2 (ja) * | 1987-09-14 | 1994-12-07 | 川崎製鉄株式会社 | 耐2次加工脆性の良好な超深紋り用熱延鋼板 |
JPH0668129B2 (ja) * | 1988-07-13 | 1994-08-31 | 川崎製鉄株式会社 | 深絞り性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
JPH0670255B2 (ja) * | 1988-11-21 | 1994-09-07 | 川崎製鉄株式会社 | 表面性状に優れた深絞り用熱延鋼板の製造方法 |
JPH02173242A (ja) * | 1988-12-26 | 1990-07-04 | Kawasaki Steel Corp | 加工用高張力冷延鋼板およびその製造方法 |
JPH0832952B2 (ja) * | 1989-12-28 | 1996-03-29 | 川崎製鉄株式会社 | 化成処理性,溶接性,打ち抜き性および摺動性の極めて優れたプレス加工用冷延鋼板の製造方法 |
JPH0756051B2 (ja) * | 1990-06-20 | 1995-06-14 | 川崎製鉄株式会社 | 加工用高張力冷延鋼板の製造方法 |
US5279683A (en) * | 1990-06-20 | 1994-01-18 | Kawasaki Steel Corporation | Method of producing high-strength cold-rolled steel sheet suitable for working |
JP3111462B2 (ja) * | 1990-07-19 | 2000-11-20 | 住友金属工業株式会社 | 高強度焼付硬化性鋼板の製造方法 |
JPH0670267B2 (ja) * | 1991-05-29 | 1994-09-07 | 株式会社神戸製鋼所 | 溶接部の強度特性に優れる加工用冷延鋼板 |
JP5050459B2 (ja) * | 2006-09-14 | 2012-10-17 | Jfeスチール株式会社 | 磁気特性及び耐バリ性に優れた自動車用オルタネータ用の巻きコア用冷延鋼板 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5819465A (ja) * | 1981-07-27 | 1983-02-04 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | プレス成形性に優れた溶融亜鉛メツキ鋼板の製造方法 |
JPS5825436A (ja) * | 1981-08-10 | 1983-02-15 | Kawasaki Steel Corp | 遅時効性、異方性小なる深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
JPS58110659A (ja) * | 1981-12-25 | 1983-07-01 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 深絞り用亜鉛めつき鋼板およびその製造方法 |
JPS5974232A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Nippon Steel Corp | 極めて優れた二次加工性を有する超深絞り用焼付硬化性溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法 |
-
1983
- 1983-04-15 JP JP6521883A patent/JPS59193221A/ja active Granted
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5819465A (ja) * | 1981-07-27 | 1983-02-04 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | プレス成形性に優れた溶融亜鉛メツキ鋼板の製造方法 |
JPS5825436A (ja) * | 1981-08-10 | 1983-02-15 | Kawasaki Steel Corp | 遅時効性、異方性小なる深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
JPS58110659A (ja) * | 1981-12-25 | 1983-07-01 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 深絞り用亜鉛めつき鋼板およびその製造方法 |
JPS5974232A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Nippon Steel Corp | 極めて優れた二次加工性を有する超深絞り用焼付硬化性溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59193221A (ja) | 1984-11-01 |
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