JPH0122009B2 - - Google Patents
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- JPH0122009B2 JPH0122009B2 JP58194408A JP19440883A JPH0122009B2 JP H0122009 B2 JPH0122009 B2 JP H0122009B2 JP 58194408 A JP58194408 A JP 58194408A JP 19440883 A JP19440883 A JP 19440883A JP H0122009 B2 JPH0122009 B2 JP H0122009B2
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- Japan
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- membrane
- sulfonated
- sulfonation
- polysulfone
- selectively permeable
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- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Description
本発明は精密過膜、限外過膜あるいは逆浸
透過膜として使用出来る選択透過膜およびその
製造方法に関する。その目的とする所は主として
機械強度の大きなスルホン化ポリスルホン選択透
過膜を提供するにある。ポリスルホンは耐熱性、
耐酸、耐アルカリ性に優れ、さらにい機械強度
があるので膜素材あるいは複合膜の支持体として
有用であるが、レジン自体の疎水性のために透水
量が少く、特に分画分子量の小さな膜とした場合
には大きな欠点となる。親水化を目的として、ポ
リスルホンをあらかじめスルホン化しておく方法
が知られているがスルホン化されたポリスルホン
は機械強度が低下し、ポリスルホンの特長の一つ
が失なわれてしまう。さらに親水性の向上ととも
に、湿式製膜時凝固が遅くなるという製膜上の問
題も生じてくる。スルホン化ポリスルホンの機械
強度保持の為にスルホン化度をスルホン化試薬の
仕込比で調整する方法が提唱されている(特開昭
51−90397号公報)。しかしスルホン化反応を制御
して均一に行なはしめるのは困難でほとんど全部
の繰返し単位がスルホン化された分子から、全く
スルホン化されない分子まで広い分布が出来、製
膜性、膜特性の安定に問題が生じる。またスルホ
ン化可能な繰り返し単位と、実質上スルホン化さ
れない繰返し単位とを共に有するポリマーをスル
ホン化する事によりスルホン化度を制御する方法
も提唱されている(特開昭55−36296号公報およ
び特開昭55−48222号公報)。この方法は特殊なレ
ジンの組合せにおいてのみ可能なだけであり、合
成工程が繁雑であり、また異なる繰返し単位を有
している事から、相分離による膜特性の不均質化
の問題が生じる。 発明者らは従来のスルホン化ポリスルホンの上
記の問題を解決せんとして研究した結果、ポリス
ルホン選択透過膜の表面のみスルホン化するだけ
で機械強度の低下をきたす事なく容易に、充分な
親水性が得られる事を見出し更にこの知見に基づ
き、種々検討を進め、本発明を完成するに至つた
ものである。 すなわち、本発明は、スルホン化試薬が無水硫
酸及び/またはクロルスルホン酸であり、スルホ
ン化試薬の貧溶媒で且つポリスルホンの非溶媒で
ある液体Aと、スルホン化試薬およびポリスルホ
ンの両方に対し良溶媒である液体Bとの混合重量
比A/Bが100/1〜100/20である混合溶媒とス
ルホン化試薬からなる溶液にポリスルホン選択透
過膜を接触させる事により表面をスルホン化する
事を特徴とする表面スルホン化ポリスルホン選択
透過膜の製造方法である。 本発明でスルホン化に用いられるポリスルホン
は、スルホン化試薬でスルホン化可能な分子構造
を有するものであればよく、例として下記の繰返
し単位をあげる事が出来る。 これらの単独またはこれらの共重合体、さらに
必要ならば他の繰り返し単位との共重合及び/ま
たは他のレジンとの混合物を用いる事も出来る。
重合度については、特に限定されるものではない
が重合体としての熱変形温度は18.6Kg/cm2荷重で
150℃以上であることが耐熱性の面から好ましい。
主鎖中の芳香環あるいはアルキル基が、一部ハロ
ゲン、水酸基、チオアルコール、アルデヒド基、
カルボキシル基、ビニル基、アリル基、アリール
基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、酸アミド、
ケトキシム、エポキシあるいはシラノール基等の
官能基及び/またはこれらの官能基を含む化合物
で置換されたものも利用する事が出来る。またこ
れらの官能基が架橋反応に利用され、膜特性を向
上させたものも利用することができる。 本発明で用いるポリスルホン選択透過膜は、精
密過、限外過、逆浸透過、気体分離等いず
れの用途の膜でもよい。また形状について、平
膜、中空糸状膜、また他のシート基材あるいは多
孔体を支持体とする複合膜、さらにポリスルホン
膜を支持体とする複合膜のいずれも利用できる。
膜組織についても、表層が電子顕微鏡でも孔が認
められない程緻密な、いわゆるスキン層で覆われ
た膜なるいは覆われていない膜、また内部が多孔
体状であるものも指状構造であるものも用いる事
が出来る。 既に膜表面に他の官能基や化合物が結合してい
たり膜表面層上で架橋反応させたものでもよい。 本発明でスルホン化に用いられるポリスルホン
選択透過膜の製造方法は任意のものを利用する事
が出来る。例へば押し出し後延伸する製膜法ある
いはレジン溶液を流延した後乾燥工程を加へるか
又は加へないものを凝固性の液に浸漬する湿式製
膜法等をあげる事が出来る。多孔性膜を形成する
のに後工程で溶解抽出する為の物質をレジン溶液
に混入しておく方法が知られているが、スルホン
化試薬と好ましくない反応を生じない限り本発明
を利用出来る。 本発明で言う選択性透過膜の表面とは、膜の外
表面層および膜内組織の表面を意味する。 本発明の表面スルホン化ポリスルホン選択透過
膜のスルホン化度は、親水性が発現する程度必要
であり表面抵抗が1013Ω−cm以下であることが好
ましい。表面スルホン化膜の表面抵抗が1013Ω−
cm以上であれば膜の親水性に関し著るしい改善は
認められない。 本発明の方法によつて得られる選択透過膜に
は、膜の組織の全表面がスルホン化されたものだ
けでなく部分的にスルホン化されたものも含まれ
る。例へば、スキン層表面が全面スルホン化され
たもの、スキン層表面が部分的にスルホン化され
たもの、さらに膜組織内の指状あるいは多孔体状
の微細組織内表面の全面または部分的にスルホン
化されたものおよびこれらの複合体も含む。表面
が部分的にスルホン化されたものとは、ミクロン
オーダーあるいはそれ以下の10Åオーダーの微細
な海状、島状、帯状のスルホン化領域からなるも
のあるいは比較的大きなスケールで膜の表面の一
部が全面スルホン化されたものを言う。表面のス
ルホン化度が部分によつて異なるものでもよく、
またスルホン化部分のスルホン化度が連続的に変
化しているものも含まれる。 本発明の方法による表面スルホン化ポリスルホ
ン選択透過膜は、以下に示す様な多くの利点を有
している。 (1) 表面のみスルホン化されているので、従来の
スルホン化ポリスルホン選択透過膜の問題点で
あつた機械強度の低下を防ぐ事が出来る。機械
強度の保持は製膜、モジユール化工程において
も望ましいことである。 (2) あらかじめスルホン化ポリスルホンを合成す
る従来の方法に比較し、この合成工程が省略出
来る。従つて反応溶媒の使用およびその後処
理、スルホン化ポリスルホンの精製等の問題を
考慮する必要がなく、著るしい工程の簡略化と
なる。さらにスルホン化ポリスルホンは湿式製
膜時、凝固が遅くなり、製膜が困難となるがこ
の問題を考慮する必要がない。本発明の表面ス
ルホン化方法はきわめて簡単でありかつ後処理
も容易である。 (3) 部分スルホン化膜の適用範囲を拡大する事が
出来る。すなわち、従来の様に、スルホン化可
能なポリスルホンと、スルホン化されないレジ
ンとのブレンドあるいは共重合体を利用する事
で部分スルホン化膜を得るのは、相溶性の点か
ら、スルホン化度、レジンの種類、重合度、混
成比率等に制約があつた。本発明によればスル
ホン化していないポリスルホンあるいは任意の
スルホン化度にスルホン化されたポリスルホン
も利用する事が出来るので相溶性の点で制約が
大きく軽減される。スルホン化度、他のレジン
との組合せに関し、多種類の膜が可能となるの
で、従来のスルホン化ポリスルホンでは得られ
なかつた過特性、選択過性、抵血栓性、生
体適合性等の性質が期待される。 (4) 従来得られなかつたスキン層のみスルホン化
したり、あるいは内部組織のみスルホン化した
表面スルホン化ポリスルホン選択透過膜を利用
すればより度な膜性能を設計する事が出来
る。例へばスキン層のみスルホン化したものは
膜透過による酵素の失活を最小限に止めること
が出来る。また内部組織のみスルホン化したも
のは透過物の膜組織内部での付着、滞留防止が
出来る。 (5) 膜内でのスルホン化度に分布のある表面スル
ホン化ポリスルホン分離膜は、モジユールとし
た場合に以下に述べる特長があげられる。例へ
ば末端の封止部分が表面スルホン化されている
選択透過膜は、封止樹脂との親和性が向上す
る。またモジユール内でゲル層が形成し易い部
分あるいは圧力損失等により透水量が低下する
部分の膜面をスルホン化する事により、他の特
性を大きく変化させる事なくモジユール性能を
向上させる事が出来る。 (6) 本発明の表面スルホン化ポリスルホン膜の膜
表面に結合したスルホン基はさらにアルカリ金
属、アルカリ土類金属のイオンおよびそれらの
塩、その他アジリジル基等スルホン基と結合し
得る官能基を有する化合物と反応させる事が出
来る。スルホン化試薬によつては、スルホン化
反応で先づスルホニルクロライド基(−
SO2Cl)が膜表面に結合するが、その時点でア
ミン、エポキシ、水酸基等このスルホニルクロ
ライドと反応し得る官能基をもつ化合物と反応
させる事も出来る。これらの反応は、スルホン
化膜の改質、複合化に有効に利用する事が出来
る。 以下に表面スルホン化方法の一例を述べる。 表面スルホン化膜の製造には、通常知られてい
る無水硫酸、クロルスルホン酸、濃硫酸等のスル
ホン化試薬が利用され、スルホン化反応は溶液系
あるいは気体系のいずれの形で行なつてもよい。
その内、従来知られている他のレジンにおける溶
液系の表面スルホン化は、スルホン化試薬とは反
応せずこれを溶解しかつレジンを劣化さない溶媒
に、スルホン化試薬を溶解させた溶液とレジンと
を接触させる事によつて行なわれている。この様
な溶媒としては、レジンによつて異るが例へばシ
クロヘキサンをあげる事が出来る。ところがこれ
をポリスルホンに適用した場合、スルホン化の所
用時間が長くかつスルホン化度に関し、意図せぬ
不均一が生じてしまう。この原因としてはスルホ
ン化試薬の溶解度が低く、且つスルホン化が容易
に進行するので、スルホン化試薬の濃度に不均一
が生じる事が考へられる。 発明者らは、比較的穏和な条件で安定して表面
スルホン化の出来る方法を見出すべく研究を進
め、前述の製造方法を発明するに至つた。 本発明で用いる溶媒Aの例としては前述の様に
シクロヘキサンをあげる事が出来る。また溶媒B
として例へば塩化メチレンをあげる事が出来る。
特に塩化メチレン、シクロルエタン等は、ポリス
ルホンに対しては良溶媒であるが、スルホン化ポ
リスルホンに対しては貧溶媒となるので表面だけ
がスルホン化され、それ以上内部への進行が防が
れていると考えられる。溶媒A、Bともに単一組
成でも、混合溶媒でもよい。溶媒AとBとの相溶
性については、相溶性のある場合にはスルホン化
が均一に行なわれる。 本発明で用いる溶媒AとBとの混合溶媒の混合
重量比はA/Bが100/1〜100/20好ましくは
100/3〜100/8が用いられる。100/1より小
さい溶液のスルホン化試薬濃度が低く、常温で数
分膜と接触させた程度では膜の透水量等への向上
が認められない。また100/20以上であれば膜が
劣化される。スルホン化試薬の濃度は混合溶媒の
溶解度まで任意に選択する事が出来るが、スルホ
ン化反応によつて消費された分をただちに補充出
来る様、溶解度以上のスルホン化試薬を混入して
おくのが実用的である。例へばシクロヘキサン/
塩化メチレンの混合比が94.4/5.6である混合溶
液の場合、スルホン化試薬としてクロルスルホン
酸を用いるなら3重量%、望ましくは5重量%以
上にしておく方がいスルホン化度が、速くまた
安定して得られる。スルホン化反応は膜をスルホ
ン化試薬溶液に接触させるだけで室温で数分で容
易に進行し、加熱あるいは長時間接触の必要はな
い。 上記の様に過剰のスルホン化試薬が存在する場
合、溶液は不均一系である。スルホン化試薬の
濃度に存在する相を直接選択透過膜に接触させる
と、膜の劣化をひきおこすので注意する必要があ
る。しかし濃度相は比重がく、ほとんどの溶
液系では下部に沈降するので、膜との接触を防止
するのは容易である。膜とスルホン化試薬との接
触方法は、膜の形状により適当な方法を選ぶこと
が出来る。また膜表面全体をスルホン化するか、
あるいは部分的にスルホン化するかによつても適
当な手段を選ぶことが出来る。例へば平板膜ある
いはチユーブラー膜の場合、表面スルホン化を行
なつた後、モジユール化する事も、またモジユー
ル化した後表面スルホン化を行う事も出来るが、
モジユールに金属部分のある場合には前者の方法
による方が望ましい。また中空糸状膜の場合、単
に膜をスルホン化試薬溶液に浸漬しただけでは、
特に内表面の充分な表面スルホン化が行なわれな
いので、後述の様に、先にモジユール化してお
き、これにスルホン化試薬溶液を通す方法が適当
である。膜内部組織のみスルホン化するには膜表
層面にあらかじめスルホン化試薬に溶けない物質
を塗布し、保護してからスルホン化するか、ある
いはスルホン化試薬を含まない液体に膜表層面を
接触させたまま、反対側からスルホン化試薬溶液
を浸透させる方法がある。特に選択性透過膜がス
キン層をもたない、多孔体状のものである場合に
は後者の方法が適当である。スキン層のみスルホ
ン化するには、この逆にあらかじめスルホン化試
薬を含まない液体またはスルホン化試薬溶液に溶
けない物質で膜内組織を充した後、膜とスルホン
化試薬溶液とを接触させる方法が選ばれる。スル
ホン化試薬を含まない液体としてスルホン化試薬
溶液と相溶性に貧しく且つ比重差のあるものを利
用すればより効果的である。膜表面に微細なスル
ホン化領域を作るにはスルホン化し得る繰り返し
単位をもつポリスルホンとスルホン化しないレジ
ンとの混合物あるいは共重合体を用い表面スルホ
ン化する方法が適当である。スルホン化試薬溶液
としてスルホン化試薬リツチ層とそうでない層と
が乳状に相分離したものを利用する方法もある
が、温度に対してスルホン化度の安定性を保つの
に注意を払う必要がある。膜内でスルホン化度に
分布のある表面スルホン化ポリスルホンを得るに
は、上記の方法を利用する他に、膜を部分的にス
ルホン化試薬溶液に浸漬する方法がある。特に中
空糸状膜の場合一方の入口からスルホン化試薬溶
液を、また他方の入口からはスルホン化試薬を含
まない液をそれぞれ所定の圧力で流入させる事に
より、スルホン化度に分布をもたせる事が出来
る。スルホン化膜は、スルホン基をナトリウム塩
の形に安定化処理する事が多い。それにはスルホ
ン化の後、膜をナトリウムメチラートのメタノー
ルあるいはエタノール溶液に常温で数分浸漬して
おけばよい。処理反応は穏和であるが同時にスル
ホン化試薬のナトリウム塩も出来るので、処理反
応後膜を水洗しておく必要がある。水溶性塩であ
るから、水洗は容易である。 本発明の表面のスルホン化ポリスルホン選択透
過膜の製造方法は以下の様な利点をもつ。 (1) いスルホン化度の膜が速やかに且つ安定し
て得られる。 (2) 従来得られなかつた、部分的にスルホン化さ
れた選択透過膜を作製する事が出来る。 (3) 選択透過膜の形状、分画性を間はず、多くの
種類の膜に適用可能である。 (4) 用いるスルホン化試薬は中和処理を行えば全
て毒性の低いものである。中和処理には例へば
ナトリウム塩とする方法をあげる事が出来る。
また溶媒も、通常容易に入手出来る安価なもの
が利用できるので工業的に有利である。 (5) ポリスルホン以外のレジンに対しても応用出
来る。 以下実施例によつて本発明を説明する。 実施例 1 (平膜状ポリスルホン選択透過膜) 芳香族ポリスルホンP−1700(ユニオンカーバ
イド社製)14重量部をN−メチル−2−ピロリド
ン86重量部に70℃4時間加熱溶解させ、レジン溶
液を作る。脱泡後室温にてレジン溶液をガラス板
上に流延し、さらに20℃の水に浸漬して厚さ60〜
70μの膜を得た。この膜を18℃エチルアルコール
に10分浸漬した後80℃、30分乾燥し、平膜状の乾
燥ポリスルホン選択透過膜を得た。 次に、シクロヘキサン/塩化メチレン/クロル
スルホン酸を所定の混合比率でよく撹拌したのち
静置する。クロルスルホン酸リツチ層は下部にた
だちに沈降する。18℃の上澄液に上記の乾燥膜を
5分間浸漬し、表面をスルホン化する。さらに5
重量%のナトリウムメチラートのエタノール溶液
に5分間浸漬し、ナトリウム塩とした後水に浸
漬、水洗して表面スルホン化ポリスルホン選択透
過膜を得た。 膜の表面抵抗および透水率の測定結果を第1表
に示す。 (表面抵抗の測定) 表面スルホン化ポリスルホン選択透過膜をメチ
ルアルコールに10分浸漬した後80℃、30分風乾す
る。得られた乾燥膜を気温40℃、湿度90%の条件
で96時間放置した後、膜上に同心円状に電極を設
置し、JIS規格K−6911に示される方法に準じて
表面絶縁抵抗を測定した(印加電圧DC−100V1
分)。
透過膜として使用出来る選択透過膜およびその
製造方法に関する。その目的とする所は主として
機械強度の大きなスルホン化ポリスルホン選択透
過膜を提供するにある。ポリスルホンは耐熱性、
耐酸、耐アルカリ性に優れ、さらにい機械強度
があるので膜素材あるいは複合膜の支持体として
有用であるが、レジン自体の疎水性のために透水
量が少く、特に分画分子量の小さな膜とした場合
には大きな欠点となる。親水化を目的として、ポ
リスルホンをあらかじめスルホン化しておく方法
が知られているがスルホン化されたポリスルホン
は機械強度が低下し、ポリスルホンの特長の一つ
が失なわれてしまう。さらに親水性の向上ととも
に、湿式製膜時凝固が遅くなるという製膜上の問
題も生じてくる。スルホン化ポリスルホンの機械
強度保持の為にスルホン化度をスルホン化試薬の
仕込比で調整する方法が提唱されている(特開昭
51−90397号公報)。しかしスルホン化反応を制御
して均一に行なはしめるのは困難でほとんど全部
の繰返し単位がスルホン化された分子から、全く
スルホン化されない分子まで広い分布が出来、製
膜性、膜特性の安定に問題が生じる。またスルホ
ン化可能な繰り返し単位と、実質上スルホン化さ
れない繰返し単位とを共に有するポリマーをスル
ホン化する事によりスルホン化度を制御する方法
も提唱されている(特開昭55−36296号公報およ
び特開昭55−48222号公報)。この方法は特殊なレ
ジンの組合せにおいてのみ可能なだけであり、合
成工程が繁雑であり、また異なる繰返し単位を有
している事から、相分離による膜特性の不均質化
の問題が生じる。 発明者らは従来のスルホン化ポリスルホンの上
記の問題を解決せんとして研究した結果、ポリス
ルホン選択透過膜の表面のみスルホン化するだけ
で機械強度の低下をきたす事なく容易に、充分な
親水性が得られる事を見出し更にこの知見に基づ
き、種々検討を進め、本発明を完成するに至つた
ものである。 すなわち、本発明は、スルホン化試薬が無水硫
酸及び/またはクロルスルホン酸であり、スルホ
ン化試薬の貧溶媒で且つポリスルホンの非溶媒で
ある液体Aと、スルホン化試薬およびポリスルホ
ンの両方に対し良溶媒である液体Bとの混合重量
比A/Bが100/1〜100/20である混合溶媒とス
ルホン化試薬からなる溶液にポリスルホン選択透
過膜を接触させる事により表面をスルホン化する
事を特徴とする表面スルホン化ポリスルホン選択
透過膜の製造方法である。 本発明でスルホン化に用いられるポリスルホン
は、スルホン化試薬でスルホン化可能な分子構造
を有するものであればよく、例として下記の繰返
し単位をあげる事が出来る。 これらの単独またはこれらの共重合体、さらに
必要ならば他の繰り返し単位との共重合及び/ま
たは他のレジンとの混合物を用いる事も出来る。
重合度については、特に限定されるものではない
が重合体としての熱変形温度は18.6Kg/cm2荷重で
150℃以上であることが耐熱性の面から好ましい。
主鎖中の芳香環あるいはアルキル基が、一部ハロ
ゲン、水酸基、チオアルコール、アルデヒド基、
カルボキシル基、ビニル基、アリル基、アリール
基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、酸アミド、
ケトキシム、エポキシあるいはシラノール基等の
官能基及び/またはこれらの官能基を含む化合物
で置換されたものも利用する事が出来る。またこ
れらの官能基が架橋反応に利用され、膜特性を向
上させたものも利用することができる。 本発明で用いるポリスルホン選択透過膜は、精
密過、限外過、逆浸透過、気体分離等いず
れの用途の膜でもよい。また形状について、平
膜、中空糸状膜、また他のシート基材あるいは多
孔体を支持体とする複合膜、さらにポリスルホン
膜を支持体とする複合膜のいずれも利用できる。
膜組織についても、表層が電子顕微鏡でも孔が認
められない程緻密な、いわゆるスキン層で覆われ
た膜なるいは覆われていない膜、また内部が多孔
体状であるものも指状構造であるものも用いる事
が出来る。 既に膜表面に他の官能基や化合物が結合してい
たり膜表面層上で架橋反応させたものでもよい。 本発明でスルホン化に用いられるポリスルホン
選択透過膜の製造方法は任意のものを利用する事
が出来る。例へば押し出し後延伸する製膜法ある
いはレジン溶液を流延した後乾燥工程を加へるか
又は加へないものを凝固性の液に浸漬する湿式製
膜法等をあげる事が出来る。多孔性膜を形成する
のに後工程で溶解抽出する為の物質をレジン溶液
に混入しておく方法が知られているが、スルホン
化試薬と好ましくない反応を生じない限り本発明
を利用出来る。 本発明で言う選択性透過膜の表面とは、膜の外
表面層および膜内組織の表面を意味する。 本発明の表面スルホン化ポリスルホン選択透過
膜のスルホン化度は、親水性が発現する程度必要
であり表面抵抗が1013Ω−cm以下であることが好
ましい。表面スルホン化膜の表面抵抗が1013Ω−
cm以上であれば膜の親水性に関し著るしい改善は
認められない。 本発明の方法によつて得られる選択透過膜に
は、膜の組織の全表面がスルホン化されたものだ
けでなく部分的にスルホン化されたものも含まれ
る。例へば、スキン層表面が全面スルホン化され
たもの、スキン層表面が部分的にスルホン化され
たもの、さらに膜組織内の指状あるいは多孔体状
の微細組織内表面の全面または部分的にスルホン
化されたものおよびこれらの複合体も含む。表面
が部分的にスルホン化されたものとは、ミクロン
オーダーあるいはそれ以下の10Åオーダーの微細
な海状、島状、帯状のスルホン化領域からなるも
のあるいは比較的大きなスケールで膜の表面の一
部が全面スルホン化されたものを言う。表面のス
ルホン化度が部分によつて異なるものでもよく、
またスルホン化部分のスルホン化度が連続的に変
化しているものも含まれる。 本発明の方法による表面スルホン化ポリスルホ
ン選択透過膜は、以下に示す様な多くの利点を有
している。 (1) 表面のみスルホン化されているので、従来の
スルホン化ポリスルホン選択透過膜の問題点で
あつた機械強度の低下を防ぐ事が出来る。機械
強度の保持は製膜、モジユール化工程において
も望ましいことである。 (2) あらかじめスルホン化ポリスルホンを合成す
る従来の方法に比較し、この合成工程が省略出
来る。従つて反応溶媒の使用およびその後処
理、スルホン化ポリスルホンの精製等の問題を
考慮する必要がなく、著るしい工程の簡略化と
なる。さらにスルホン化ポリスルホンは湿式製
膜時、凝固が遅くなり、製膜が困難となるがこ
の問題を考慮する必要がない。本発明の表面ス
ルホン化方法はきわめて簡単でありかつ後処理
も容易である。 (3) 部分スルホン化膜の適用範囲を拡大する事が
出来る。すなわち、従来の様に、スルホン化可
能なポリスルホンと、スルホン化されないレジ
ンとのブレンドあるいは共重合体を利用する事
で部分スルホン化膜を得るのは、相溶性の点か
ら、スルホン化度、レジンの種類、重合度、混
成比率等に制約があつた。本発明によればスル
ホン化していないポリスルホンあるいは任意の
スルホン化度にスルホン化されたポリスルホン
も利用する事が出来るので相溶性の点で制約が
大きく軽減される。スルホン化度、他のレジン
との組合せに関し、多種類の膜が可能となるの
で、従来のスルホン化ポリスルホンでは得られ
なかつた過特性、選択過性、抵血栓性、生
体適合性等の性質が期待される。 (4) 従来得られなかつたスキン層のみスルホン化
したり、あるいは内部組織のみスルホン化した
表面スルホン化ポリスルホン選択透過膜を利用
すればより度な膜性能を設計する事が出来
る。例へばスキン層のみスルホン化したものは
膜透過による酵素の失活を最小限に止めること
が出来る。また内部組織のみスルホン化したも
のは透過物の膜組織内部での付着、滞留防止が
出来る。 (5) 膜内でのスルホン化度に分布のある表面スル
ホン化ポリスルホン分離膜は、モジユールとし
た場合に以下に述べる特長があげられる。例へ
ば末端の封止部分が表面スルホン化されている
選択透過膜は、封止樹脂との親和性が向上す
る。またモジユール内でゲル層が形成し易い部
分あるいは圧力損失等により透水量が低下する
部分の膜面をスルホン化する事により、他の特
性を大きく変化させる事なくモジユール性能を
向上させる事が出来る。 (6) 本発明の表面スルホン化ポリスルホン膜の膜
表面に結合したスルホン基はさらにアルカリ金
属、アルカリ土類金属のイオンおよびそれらの
塩、その他アジリジル基等スルホン基と結合し
得る官能基を有する化合物と反応させる事が出
来る。スルホン化試薬によつては、スルホン化
反応で先づスルホニルクロライド基(−
SO2Cl)が膜表面に結合するが、その時点でア
ミン、エポキシ、水酸基等このスルホニルクロ
ライドと反応し得る官能基をもつ化合物と反応
させる事も出来る。これらの反応は、スルホン
化膜の改質、複合化に有効に利用する事が出来
る。 以下に表面スルホン化方法の一例を述べる。 表面スルホン化膜の製造には、通常知られてい
る無水硫酸、クロルスルホン酸、濃硫酸等のスル
ホン化試薬が利用され、スルホン化反応は溶液系
あるいは気体系のいずれの形で行なつてもよい。
その内、従来知られている他のレジンにおける溶
液系の表面スルホン化は、スルホン化試薬とは反
応せずこれを溶解しかつレジンを劣化さない溶媒
に、スルホン化試薬を溶解させた溶液とレジンと
を接触させる事によつて行なわれている。この様
な溶媒としては、レジンによつて異るが例へばシ
クロヘキサンをあげる事が出来る。ところがこれ
をポリスルホンに適用した場合、スルホン化の所
用時間が長くかつスルホン化度に関し、意図せぬ
不均一が生じてしまう。この原因としてはスルホ
ン化試薬の溶解度が低く、且つスルホン化が容易
に進行するので、スルホン化試薬の濃度に不均一
が生じる事が考へられる。 発明者らは、比較的穏和な条件で安定して表面
スルホン化の出来る方法を見出すべく研究を進
め、前述の製造方法を発明するに至つた。 本発明で用いる溶媒Aの例としては前述の様に
シクロヘキサンをあげる事が出来る。また溶媒B
として例へば塩化メチレンをあげる事が出来る。
特に塩化メチレン、シクロルエタン等は、ポリス
ルホンに対しては良溶媒であるが、スルホン化ポ
リスルホンに対しては貧溶媒となるので表面だけ
がスルホン化され、それ以上内部への進行が防が
れていると考えられる。溶媒A、Bともに単一組
成でも、混合溶媒でもよい。溶媒AとBとの相溶
性については、相溶性のある場合にはスルホン化
が均一に行なわれる。 本発明で用いる溶媒AとBとの混合溶媒の混合
重量比はA/Bが100/1〜100/20好ましくは
100/3〜100/8が用いられる。100/1より小
さい溶液のスルホン化試薬濃度が低く、常温で数
分膜と接触させた程度では膜の透水量等への向上
が認められない。また100/20以上であれば膜が
劣化される。スルホン化試薬の濃度は混合溶媒の
溶解度まで任意に選択する事が出来るが、スルホ
ン化反応によつて消費された分をただちに補充出
来る様、溶解度以上のスルホン化試薬を混入して
おくのが実用的である。例へばシクロヘキサン/
塩化メチレンの混合比が94.4/5.6である混合溶
液の場合、スルホン化試薬としてクロルスルホン
酸を用いるなら3重量%、望ましくは5重量%以
上にしておく方がいスルホン化度が、速くまた
安定して得られる。スルホン化反応は膜をスルホ
ン化試薬溶液に接触させるだけで室温で数分で容
易に進行し、加熱あるいは長時間接触の必要はな
い。 上記の様に過剰のスルホン化試薬が存在する場
合、溶液は不均一系である。スルホン化試薬の
濃度に存在する相を直接選択透過膜に接触させる
と、膜の劣化をひきおこすので注意する必要があ
る。しかし濃度相は比重がく、ほとんどの溶
液系では下部に沈降するので、膜との接触を防止
するのは容易である。膜とスルホン化試薬との接
触方法は、膜の形状により適当な方法を選ぶこと
が出来る。また膜表面全体をスルホン化するか、
あるいは部分的にスルホン化するかによつても適
当な手段を選ぶことが出来る。例へば平板膜ある
いはチユーブラー膜の場合、表面スルホン化を行
なつた後、モジユール化する事も、またモジユー
ル化した後表面スルホン化を行う事も出来るが、
モジユールに金属部分のある場合には前者の方法
による方が望ましい。また中空糸状膜の場合、単
に膜をスルホン化試薬溶液に浸漬しただけでは、
特に内表面の充分な表面スルホン化が行なわれな
いので、後述の様に、先にモジユール化してお
き、これにスルホン化試薬溶液を通す方法が適当
である。膜内部組織のみスルホン化するには膜表
層面にあらかじめスルホン化試薬に溶けない物質
を塗布し、保護してからスルホン化するか、ある
いはスルホン化試薬を含まない液体に膜表層面を
接触させたまま、反対側からスルホン化試薬溶液
を浸透させる方法がある。特に選択性透過膜がス
キン層をもたない、多孔体状のものである場合に
は後者の方法が適当である。スキン層のみスルホ
ン化するには、この逆にあらかじめスルホン化試
薬を含まない液体またはスルホン化試薬溶液に溶
けない物質で膜内組織を充した後、膜とスルホン
化試薬溶液とを接触させる方法が選ばれる。スル
ホン化試薬を含まない液体としてスルホン化試薬
溶液と相溶性に貧しく且つ比重差のあるものを利
用すればより効果的である。膜表面に微細なスル
ホン化領域を作るにはスルホン化し得る繰り返し
単位をもつポリスルホンとスルホン化しないレジ
ンとの混合物あるいは共重合体を用い表面スルホ
ン化する方法が適当である。スルホン化試薬溶液
としてスルホン化試薬リツチ層とそうでない層と
が乳状に相分離したものを利用する方法もある
が、温度に対してスルホン化度の安定性を保つの
に注意を払う必要がある。膜内でスルホン化度に
分布のある表面スルホン化ポリスルホンを得るに
は、上記の方法を利用する他に、膜を部分的にス
ルホン化試薬溶液に浸漬する方法がある。特に中
空糸状膜の場合一方の入口からスルホン化試薬溶
液を、また他方の入口からはスルホン化試薬を含
まない液をそれぞれ所定の圧力で流入させる事に
より、スルホン化度に分布をもたせる事が出来
る。スルホン化膜は、スルホン基をナトリウム塩
の形に安定化処理する事が多い。それにはスルホ
ン化の後、膜をナトリウムメチラートのメタノー
ルあるいはエタノール溶液に常温で数分浸漬して
おけばよい。処理反応は穏和であるが同時にスル
ホン化試薬のナトリウム塩も出来るので、処理反
応後膜を水洗しておく必要がある。水溶性塩であ
るから、水洗は容易である。 本発明の表面のスルホン化ポリスルホン選択透
過膜の製造方法は以下の様な利点をもつ。 (1) いスルホン化度の膜が速やかに且つ安定し
て得られる。 (2) 従来得られなかつた、部分的にスルホン化さ
れた選択透過膜を作製する事が出来る。 (3) 選択透過膜の形状、分画性を間はず、多くの
種類の膜に適用可能である。 (4) 用いるスルホン化試薬は中和処理を行えば全
て毒性の低いものである。中和処理には例へば
ナトリウム塩とする方法をあげる事が出来る。
また溶媒も、通常容易に入手出来る安価なもの
が利用できるので工業的に有利である。 (5) ポリスルホン以外のレジンに対しても応用出
来る。 以下実施例によつて本発明を説明する。 実施例 1 (平膜状ポリスルホン選択透過膜) 芳香族ポリスルホンP−1700(ユニオンカーバ
イド社製)14重量部をN−メチル−2−ピロリド
ン86重量部に70℃4時間加熱溶解させ、レジン溶
液を作る。脱泡後室温にてレジン溶液をガラス板
上に流延し、さらに20℃の水に浸漬して厚さ60〜
70μの膜を得た。この膜を18℃エチルアルコール
に10分浸漬した後80℃、30分乾燥し、平膜状の乾
燥ポリスルホン選択透過膜を得た。 次に、シクロヘキサン/塩化メチレン/クロル
スルホン酸を所定の混合比率でよく撹拌したのち
静置する。クロルスルホン酸リツチ層は下部にた
だちに沈降する。18℃の上澄液に上記の乾燥膜を
5分間浸漬し、表面をスルホン化する。さらに5
重量%のナトリウムメチラートのエタノール溶液
に5分間浸漬し、ナトリウム塩とした後水に浸
漬、水洗して表面スルホン化ポリスルホン選択透
過膜を得た。 膜の表面抵抗および透水率の測定結果を第1表
に示す。 (表面抵抗の測定) 表面スルホン化ポリスルホン選択透過膜をメチ
ルアルコールに10分浸漬した後80℃、30分風乾す
る。得られた乾燥膜を気温40℃、湿度90%の条件
で96時間放置した後、膜上に同心円状に電極を設
置し、JIS規格K−6911に示される方法に準じて
表面絶縁抵抗を測定した(印加電圧DC−100V1
分)。
【表】
【表】
実施例 2
(中空糸状選択透過膜)
実施例1で用いたのと同じ芳香族ポリスルホン
と、N−メチル−2−ピロリドンと硝酸リチウム
を所定量混合し、レジン溶液をを調節した。次に
水を凝固定とした通常の湿式製膜法により、透水
率が30/m2hratmのポリスルホン選択透過膜
(M1)と、透水率が100/m2hratmの膜(M2)
を得た。50本づつモジユール化し、さらにこれら
のモジユールをエチルアルコールに10分浸漬し、
80℃、30分風乾して乾燥モジユールとした。 (表面スルホン化) 実施例1と同じくシクロヘキサン/塩化メチレ
ン/クロルスルホン酸を所定の混合比率でよく撹
拌した後静置する。液が2相に分かれた後18℃で
上澄部を、モジユール化してある乾燥ポリスルホ
ン中空糸状膜の内管部に5分間循環させる。この
時、スルホン化試薬溶液が少ない場合には一旦中
空糸内を通過した液を、下層に沈降しているクロ
ルスルホン酸リツチ層に接触させ再度中空糸内を
循環させるとよい。 次にモジユールをナトリウムメチラート5重量
%エタノール溶液に浸漬し、同時に中空糸内部に
循環させる。5〜10分後にモジユールを水に浸漬
し、同様に中空糸内にも水を循環して水洗、中空
糸状表面スルホン化ポリスルホン選択透過膜を得
た。透水率の速定結果を第2表にまとめて示す。 (膜強度の測定) 選択透過膜M1、M2を、クロルスルホン酸/塩
化メチレン/シクロヘキサン=5/5/90のスル
ホン化試薬を用い、同様の方法でスルホン化、後
処理を行なつた。得られた膜の機械強度の測定結
果を第3表に示す。
と、N−メチル−2−ピロリドンと硝酸リチウム
を所定量混合し、レジン溶液をを調節した。次に
水を凝固定とした通常の湿式製膜法により、透水
率が30/m2hratmのポリスルホン選択透過膜
(M1)と、透水率が100/m2hratmの膜(M2)
を得た。50本づつモジユール化し、さらにこれら
のモジユールをエチルアルコールに10分浸漬し、
80℃、30分風乾して乾燥モジユールとした。 (表面スルホン化) 実施例1と同じくシクロヘキサン/塩化メチレ
ン/クロルスルホン酸を所定の混合比率でよく撹
拌した後静置する。液が2相に分かれた後18℃で
上澄部を、モジユール化してある乾燥ポリスルホ
ン中空糸状膜の内管部に5分間循環させる。この
時、スルホン化試薬溶液が少ない場合には一旦中
空糸内を通過した液を、下層に沈降しているクロ
ルスルホン酸リツチ層に接触させ再度中空糸内を
循環させるとよい。 次にモジユールをナトリウムメチラート5重量
%エタノール溶液に浸漬し、同時に中空糸内部に
循環させる。5〜10分後にモジユールを水に浸漬
し、同様に中空糸内にも水を循環して水洗、中空
糸状表面スルホン化ポリスルホン選択透過膜を得
た。透水率の速定結果を第2表にまとめて示す。 (膜強度の測定) 選択透過膜M1、M2を、クロルスルホン酸/塩
化メチレン/シクロヘキサン=5/5/90のスル
ホン化試薬を用い、同様の方法でスルホン化、後
処理を行なつた。得られた膜の機械強度の測定結
果を第3表に示す。
【表】
【表】
比較例 1
実施例1と同じ方法で平膜状の乾燥ポリスルホ
ン選択透過膜を作製し、シクロヘキサン/塩化メ
チレン/クロルスルホン酸のうち、塩化メチレ
ン、クロルスルホン酸の一方もしくは双方を含ま
ない溶液に浸漬する他は、実施例1と同様の処理
を行つた。得られた膜の透水率および表面抵抗の
測定結果を第1表にまとめて示す。この様にスル
ホン化処理により透水率が向上する事が判る。 比較例 2 実施例2と同じ方法で、中空糸状の乾燥ポリス
ルホン膜M11、M2のモジユールを作製し、シク
ロヘキサン/塩化メチレン=95/5の混合溶媒に
5分浸漬、実施例2と同様にエタノール、水の順
で中空糸内部にも循環する様注意しながら各々5
分づつ浸漬した。得られたモジユールの透水率お
よび中空糸の機械強度の測定結果を表2、表3に
それぞれまとめて示す。 比較例 3 実施例2において、クロルスルホン酸/塩化メ
チレン/シクロヘキサンの比を、5/20/75にし
た他は、同じ方法で得られたモジユールの透水率
および機械強度の測定結果を、第2表および第3
表に示す。 比較例 4 実施例1と同じポリスルホンを用い、Noshay
らの方法(J・AppL・Polym・Sci・、201885
(’76))に従つて各スルホン化度のポリスルホン
を合成した。ここで言うスルホン化度とは、ポリ
スルホンの繰り返し単位当り、何個のスルホン基
が存在するかを表わしたものである。スルホン化
度1.0のレジンは、N−メチル−2−ピロリドン
の14重量%の溶液として、実施例1と同様の製膜
を試みたが凝固が遅く良好な膜を得る事が出来な
かつた。25%とすると、製膜可能になるが、透水
率の著るしく低い膜しか得られなかつた。スルホ
ン化度の0.5のレジンは14重量%で平膜の作製は
可能であるが、実施例2と同じ方法で中空糸状膜
を作ろうとすると、やはり凝固の遅さの為に困難
をきたした。また膜の弾性率はスルホン化しない
ものと比較し、6割弱であつた。スルホン化度
0.1のレジンは、中空糸状膜の作製も可能である
が得られた透水量は同じ条件で製膜したスルホン
化していないポリスルホン中空糸膜(M1)が30
/m2hratmであるのに対し、120/m2hratm
と約4倍向上した。膜の機械強度は表3に示す様
に表面スルホン化した(M1)に比して低下して
いる。透水率は表面スルホン化したもの(M1)
は、透水は220/m2hratmで、かつ機械強度の
低下はほとんど認められない事が判る。
ン選択透過膜を作製し、シクロヘキサン/塩化メ
チレン/クロルスルホン酸のうち、塩化メチレ
ン、クロルスルホン酸の一方もしくは双方を含ま
ない溶液に浸漬する他は、実施例1と同様の処理
を行つた。得られた膜の透水率および表面抵抗の
測定結果を第1表にまとめて示す。この様にスル
ホン化処理により透水率が向上する事が判る。 比較例 2 実施例2と同じ方法で、中空糸状の乾燥ポリス
ルホン膜M11、M2のモジユールを作製し、シク
ロヘキサン/塩化メチレン=95/5の混合溶媒に
5分浸漬、実施例2と同様にエタノール、水の順
で中空糸内部にも循環する様注意しながら各々5
分づつ浸漬した。得られたモジユールの透水率お
よび中空糸の機械強度の測定結果を表2、表3に
それぞれまとめて示す。 比較例 3 実施例2において、クロルスルホン酸/塩化メ
チレン/シクロヘキサンの比を、5/20/75にし
た他は、同じ方法で得られたモジユールの透水率
および機械強度の測定結果を、第2表および第3
表に示す。 比較例 4 実施例1と同じポリスルホンを用い、Noshay
らの方法(J・AppL・Polym・Sci・、201885
(’76))に従つて各スルホン化度のポリスルホン
を合成した。ここで言うスルホン化度とは、ポリ
スルホンの繰り返し単位当り、何個のスルホン基
が存在するかを表わしたものである。スルホン化
度1.0のレジンは、N−メチル−2−ピロリドン
の14重量%の溶液として、実施例1と同様の製膜
を試みたが凝固が遅く良好な膜を得る事が出来な
かつた。25%とすると、製膜可能になるが、透水
率の著るしく低い膜しか得られなかつた。スルホ
ン化度の0.5のレジンは14重量%で平膜の作製は
可能であるが、実施例2と同じ方法で中空糸状膜
を作ろうとすると、やはり凝固の遅さの為に困難
をきたした。また膜の弾性率はスルホン化しない
ものと比較し、6割弱であつた。スルホン化度
0.1のレジンは、中空糸状膜の作製も可能である
が得られた透水量は同じ条件で製膜したスルホン
化していないポリスルホン中空糸膜(M1)が30
/m2hratmであるのに対し、120/m2hratm
と約4倍向上した。膜の機械強度は表3に示す様
に表面スルホン化した(M1)に比して低下して
いる。透水率は表面スルホン化したもの(M1)
は、透水は220/m2hratmで、かつ機械強度の
低下はほとんど認められない事が判る。
Claims (1)
- 1 スルホン化試薬が無水硫酸及び/またはクロ
ルスルホン酸であり、スルホン化試薬の貧溶媒で
且つポリスルホンの非溶媒である液体Aと、スル
ホン化試薬およびポリスルホンの両方に対し良溶
媒である液体Bとの混合重量比A/Bが100/1
〜100/20である混合溶媒とスルホン化試薬から
なる溶液にポリスルホン選択透過膜を接触させる
事により表面をスルホン化する事を特徴とする表
面スルホン化ポリスルホン選択透過膜の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19440883A JPS6087803A (ja) | 1983-10-19 | 1983-10-19 | ポリスルホン選択透過膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19440883A JPS6087803A (ja) | 1983-10-19 | 1983-10-19 | ポリスルホン選択透過膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6087803A JPS6087803A (ja) | 1985-05-17 |
JPH0122009B2 true JPH0122009B2 (ja) | 1989-04-25 |
Family
ID=16324103
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19440883A Granted JPS6087803A (ja) | 1983-10-19 | 1983-10-19 | ポリスルホン選択透過膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6087803A (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS614505A (ja) * | 1984-06-15 | 1986-01-10 | Nitto Electric Ind Co Ltd | ポリスルホン複合半透膜及びその製造方法 |
JPS614506A (ja) * | 1984-06-15 | 1986-01-10 | Nitto Electric Ind Co Ltd | ポリスルホン複合半透膜及びその製造方法 |
JPS6219205A (ja) * | 1985-07-17 | 1987-01-28 | Nok Corp | 限外ロ過膜の製造方法 |
JPH02157026A (ja) * | 1988-12-08 | 1990-06-15 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 荷電型限外濾過膜及びその製造方法 |
US5009678A (en) * | 1989-10-31 | 1991-04-23 | Union Carbide Industrial Gases Technology Corporation | Process for recovery of ammonia from an ammonia-containing gas mixture |
JPH03154625A (ja) * | 1989-11-09 | 1991-07-02 | Agency Of Ind Science & Technol | 高分離性非対称膜の製造方法 |
CN1232338C (zh) | 2001-04-18 | 2005-12-21 | 旭医学株式会社 | 非对称多孔膜及其制造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50124851A (ja) * | 1974-03-20 | 1975-10-01 | ||
JPS58111832A (ja) * | 1981-12-25 | 1983-07-04 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 親水性膜の製造方法 |
-
1983
- 1983-10-19 JP JP19440883A patent/JPS6087803A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50124851A (ja) * | 1974-03-20 | 1975-10-01 | ||
JPS58111832A (ja) * | 1981-12-25 | 1983-07-04 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 親水性膜の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6087803A (ja) | 1985-05-17 |
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