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JP7638424B1 - 金属印刷用インキ組成物 - Google Patents

金属印刷用インキ組成物 Download PDF

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JP7638424B1
JP7638424B1 JP2024083453A JP2024083453A JP7638424B1 JP 7638424 B1 JP7638424 B1 JP 7638424B1 JP 2024083453 A JP2024083453 A JP 2024083453A JP 2024083453 A JP2024083453 A JP 2024083453A JP 7638424 B1 JP7638424 B1 JP 7638424B1
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康太 斎藤
曹太郎 加藤
隆史 荒木
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Abstract

【課題】印刷中におけるミスチングの発生を低減させるとともに、印刷後の金属印刷物がレトルト処理を受けた後であっても良好な耐衝撃性を維持することのできる金属印刷用インキ組成物を提供すること。
【解決手段】カーボンブラック、樹脂及び溶剤を含んでなる金属印刷用インキ組成物であって、上記カーボンブラックとして中性カーボンブラックを含み、上記溶剤として溶解度パラメータ(sp値)が10.0(cal/cm1/2未満であり、かつ下記一般式(1)で表す化合物よりなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする金属印刷用インキ組成物を用いればよい。一般式(1)中、各Aは、それぞれ独立に、分岐を有してもよい炭素数2~4のアルキレン基であり、Rは、分岐及び/又は環構造を備えてもよい炭素数1~13のアルキル基であり、nは、2~8の整数である。

Description

本発明は、金属印刷用インキ組成物に関するものである。
金属素材、例えば亜鉛引き又は錫引き鉄板、アルミニウム板あるいはこれら金属素材からなる金属缶などの金属外面の印刷には、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などのバインダー樹脂と鉱物油または高級アルコールなどの有機溶剤を主たるビヒクル成分とする金属印刷用インキ組成物が使用されている。
また、これら印刷表面には、インキ塗膜の密着性、耐折り曲げ性、耐衝撃性、耐摩擦性等を向上させるため、オーバープリントニスによるコーティングが行われるのが一般的である。これらオーバープリントニスとしては、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダー樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の硬化剤、及び鉱物油やセロソルブ系等の有機溶剤からなる溶剤タイプのものが広く使用されていた。
そして、金属外面の印刷に際しては、オフセット印刷機、ドライオフセット印刷機等を用いてインキの印刷を行ってから、コーター等を用いてウエットオンウエットでオーバープリントニスをインキ被膜上に塗布し、その後150~280℃で焼付けが行われていた。
しかしながら、近年では、溶剤による大気汚染の問題、印刷作業環境における衛生面あるいは安全性の面から、金属印刷の分野においても、従来用いてきた溶剤タイプのオーバープリントニスではなく、水性タイプのものを採用するのが一般的となっている。しかし、従来の金属印刷用インキ組成物のインキ塗膜上に、水性オーバープリントニスを塗布した場合、水性オーバープリントニスのはじき、水性オーバープリントニスのインキ膜中へのもぐり込みなどの現象を生じ、その結果、塗膜の光沢又は密着性等の品質が著しい低下をきたすという問題があった。そこで、インキ組成物においても、水性オーバープリントニスに対する優れた適性を有することが要求されてきた。
このような水性オーバープリントニスに対する適性を改善する方法として、例えば、特許文献1には、炭素数4~8のアルキレングリコール系溶剤の使用が、特許文献2には、ポリオキシアルキレングリコール系溶剤の使用が、特許文献3には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系有機溶剤の使用が、特許文献4には、ポリオキシアルキレンアルキルエステル系溶剤の使用がそれぞれ提案されている。これらのインキ組成物に用いられる有機溶剤は、インキ組成物の水性オーバープリントニスに対する適性を改善する上では効果があるが、印刷中にミスチングを生じがちである等の点で改善の余地があった。
また、金属印刷物の用途によっては、例えばコーヒーやお茶等の飲料や缶詰等に用いられる2ピース缶や3ピース缶のように殺菌等を目的としてレトルト処理、すなわち100℃以上の蒸気や熱水による加圧及び加熱処理が行われることがある。このような処理がなされることで金属印刷物の印刷皮膜が脆弱化し、印刷面に衝撃が加えられた際に印刷皮膜を維持する性能である耐衝撃性が著しく低下してしまうことがあった。
特公平5-75031号公報 特公平5-40791号公報 特公平5-40792号公報 特開昭64-60670号公報
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、印刷中におけるミスチングの発生を低減させるとともに、印刷後の金属印刷物がレトルト処理を受けた後であっても良好な耐衝撃性を維持することのできる金属印刷用インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カーボンブラックを着色顔料としたブラックインキにおいて、特に中性のカーボンブラックを用い、かつ溶解度パラメータ(sp値)が10.00(cal/cm1/2未満となる疎水性の溶剤を用いることにより上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、カーボンブラック、樹脂及び溶剤を含んでなる金属印刷用インキ組成物であって、上記カーボンブラックとして中性カーボンブラックを含み、上記樹脂として、ペンタエリスリトール骨格又はネオペンチルグリコール骨格を有し、質量平均分子量が10,000未満のアルキッド樹脂を組成物全体に対して10~40質量%含み、上記溶剤として溶解度パラメータ(sp値)が10.00(cal/cm1/2未満であり、かつ下記一般式(1)で表す化合物よりなる群より選択される少なくとも1つを含み、さらに、ロジンエステル樹脂を含むことを特徴とする金属印刷用インキ組成物である。
Figure 0007638424000001
(上記一般式(1)中、各Aは、それぞれ独立に、分岐を有してもよい炭素数2~4のアルキレン基であり、Rは、分岐及び/又は環構造を備えてもよい炭素数1~13のアルキル基であり、nは、2~8の整数である。)
)また本発明は、一般式(1)にてAOで表す2価の基がオキシプロピレン基である(1)項記載の金属印刷用インキ組成物である。
)また本発明は、さらに、アルカノールアミンを含有する(1)項又は(2)項記載の金属印刷用インキ組成物である。
本発明によれば、印刷中におけるミスチングの発生を低減させるとともに、印刷後の金属印刷物がレトルト処理を受けた後であっても良好な耐衝撃性を維持することのできる金属印刷用インキ組成物が提供される。
以下、本発明の金属印刷用インキ組成物の一実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の金属印刷用インキ組成物(以下、「本発明のインキ組成物」と適宜省略する。)は、金属印刷用であり、刷版として凸版を用いるいわゆるドライオフセット印刷方式や、刷版として平版を用いるオフセット印刷方式での印刷に好ましく適用されるが、金属印刷において通常用いられる印刷方式全般に適用が可能である。また、本発明のインキ組成物では印刷中のミスチングの発生が抑制されており、印刷中に発生した微小なインキ滴による印刷機周辺の汚れの発生が抑制される。さらに、本発明のインキ組成物で印刷された後に焼付け処理により形成された印刷皮膜は、レトルト処理を受けた後も良好な耐衝撃性を備えるので、本発明のインキ組成物は、一般的な金属印刷物への適用は勿論、コーヒーやお茶等の飲料や缶詰等に用いられる2ピース缶や3ピース缶のようにレトルト処理を必要とする金属への印刷にも好ましく適用される。
本発明のインキ組成物は、カーボンブラック、樹脂及び溶剤を含んでなり、このカーボンブラックとして特に中性のものを含むとともに、溶剤として特定の溶解度パラメータ(sp値)を備えた、一般式(1)で表すグリコールモノエーテル系溶剤を含む点を特徴とする。以下、各成分について説明する。
[カーボンブラック]
本発明のインキ組成物は、着色顔料としてカーボンブラックを含む。カーボンブラックは、その表面官能基の違いにより酸性、中性又はアルカリ性を示すものが各種市販されており、本発明においては特に中性のカーボンブラックを用いる。なお、本発明における中性カーボンブラックとは、pHが6.0以上9.5以下の範囲となるものを指す。本発明においてこのような中性カーボンブラックを用いる理由は、金属印刷用インキ組成物で使用されてきた酸性カーボンブラックに代えて中性のカーボンブラックを用いることにより、金属上に形成されたインキ皮膜のレトルト処理後における耐衝撃性を向上させることができるとの本発明者らの知見によるものである。
カーボンブラックのpHは、カーボンブラックと蒸留水の混合液をガラス電極pHメーターで測定することにより求められる。具体的には、測定対象となるカーボンブラック1gを、炭酸を除いた蒸留水(pH7.0)20mLに添加してマグネチックスターラーで混合して水性懸濁液を調製し、ガラス電極を用いて25℃でpHを測定することで求められる(ドイツ工業品規格 DIN ISO 787/9)。
カーボンブラックの添加量としては、インキ組成物の全体に対して5~50質量%程度が例示されるが、特に限定されない。なお、カーボンブラックに加えて、他の色の顔料や他の色のインキ組成物を補色としてインキ組成物に加えてもよい。
[樹脂]
本発明のインキ組成物で用いられる樹脂としては、これまで金属印刷用インキ組成物に用いられてきたものを特に制限なく挙げることができる。こうした樹脂の中でも、本発明のインキ組成物ではアルキッド樹脂が好ましく用いられる。また、アルキッド樹脂にロジン変性樹脂を組み合わせて用いてもよい。次に、これらの樹脂について説明する。
アルキッド樹脂は、多価アルコールと多塩基酸との縮重合体であり、ポリエステルの一種だが、これらに加えて動植物油及び/又はそれらの脂肪酸とともに縮重合を行うことでも調製される。このとき、動植物油は、多価アルコールとの間でエステル交換されて脂肪酸となり、アルキッド樹脂の構造中に組み込まれる。アルキッド樹脂中における動植物油の脂肪酸を由来とする割合を油長といい、本発明で用いられるアルキッド樹脂の油長としては、20~50質量%が好ましく挙げられる。なお、動植物油の脂肪酸成分を含まないアルキッド樹脂であるオイルフリーアルキッドを用いてもよい。
本発明で用いるアルキッド樹脂としては、分子中にペンタエリスリトール骨格を備えたものが好ましく挙げられる。このような骨格を備えたアルキッド樹脂を用いることにより、印刷皮膜におけるレトルト処理後の耐衝撃性を向上させることができるので好ましい。このようなアルキッド樹脂は、ペンタエリスリトールを多価アルコールとして用いて調製される。なお、本発明で用いるアルキッド樹脂は、ペンタエリスリトールに加えて、その他の多価アルコールを用いて調製されてもよい。
分子中にペンタエリスリトール骨格を備えたアルキッド樹脂は、一例として、脂肪酸及び多塩基酸からなる酸成分と、少なくともペンタエリスリトールを含む多価アルコールとの縮重合体として得られる。次に、このようなアルキッド樹脂の調製方法について説明する。
脂肪酸は、植物油や動物油のような天然油脂を加水分解することにより得られるものであり、1個のカルボキシ基を有するので、後述する多価アルコールとエステルを形成することができる。アルキッド樹脂にこうした脂肪酸が導入されることにより、それを用いたインキ組成物の転移性を高めたり、バイオマス由来の成分比率を高めたりすることができる。このような観点から、樹脂全体の質量に対する脂肪酸部分の質量の割合(質量%)である油長が20~50質量%程度になるような量の脂肪酸を用いることが好ましい。このような脂肪酸としては、ヤシ油が好ましく挙げられる。なお、脂肪酸としては各種のものを挙げることができるが、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多塩基酸は、複数のカルボキシ基を有する化合物であり、後述する多価アルコールと縮重合して高分子量化させるための成分である。このような多塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、トリメリト酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキセンジカルボン酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5-ソディオスルホイソフタル酸、フマル酸、安息香酸、tert-ブチル安息香酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、セバシン酸、アゼライン酸、テトラブロム無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラクロロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリト酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、フタル酸又は無水フタル酸が好ましく挙げられる。これらの多塩基酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールは、上記の酸成分とエステルを形成し、これらの成分を高分子量化するものである。多価アルコールとしては、これまでアルキッド樹脂の合成に用いられてきたものを制限なく用いることができ、2又は3以上の水酸基を備える化合物が挙げられる。
このような化合物としては、上述のペンタエリスリトールに加えて、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ジオキサングリコール、アダマンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、メチルオクタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクチレングリコール、9-ノナンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAのような二官能フェノールのエチレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのような二官能フェノールのプロピレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド共重合変性化合物、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合系ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、アダマンタンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキッド樹脂を調製するには、これら酸成分と多価アルコールとを仕込んだ反応釜に、窒素ガス等不活性ガスを流入させた状態でキシレン等の溶剤を少量加えて加熱を行い、縮合水と共沸させて水を除きながら縮重合させる方法を挙げることができる。また、これら酸成分と多価アルコールの縮重重合反応を第1段階目とし、第2段階目として、トリメリト酸等のような3官能以上の多塩基酸を用いて縮重合することで、架橋度の高い、強靱な硬化皮膜を与えるアルキッド樹脂を得ることもできる。反応温度としては170~250℃程度を挙げることができ、反応時間としては5~25時間程度を挙げることができるが特に限定されない。反応終了の判断は、反応時間の経過に応じて反応混合物の酸価をモニターすることで行うことができる。すなわち、縮重合に伴う反応混合物の酸価の低下が止まった時点で反応終了とすればよい。縮重合反応は、縮重合によって生じた水を系外に留出させるか反応触媒を用いることで、より短時間で行うことができる。反応触媒としては、テトラブチルジルコネート、モノブチルチンオキサイド(モノブチルすずオキサイド)、ジルコニウムナフテート、テトラブチルチタネート等を挙げることができる。
アルキッド樹脂の質量平均分子量としては、10,000未満を好ましく挙げることができ、8,500以下をより好ましく挙げることができ、7,000以下をさらに好ましく挙げることができる。上記の通り、本発明では中性カーボンブラックを用いることで金属上に形成されたインキ皮膜のレトルト処理後における耐衝撃性を向上させることができるが、このような比較的低分子量のアルキッド樹脂を用いることで、この耐衝撃性をさらに向上させることができるので好ましい。
本発明における樹脂の質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWaters Acquity APC(ウォーターズ社)を、カラムとしてACQUITY APC XT 45 1.7μm 4.6×150mm、ACQUITY APC XT 200 2.5μm 4.6×75mm、ACQUITY APC XT 900 2.5μm 4.6×75mm(ウォーターズ社)をそれぞれ使用し、移動相としてテトラヒドロフラン、カラム温度40℃、流速0.8ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/5ミリリットル、注入量10マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の質量平均分子量として求めた値を挙げることができる。
インキ組成物中におけるアルキッド樹脂の含有量としては、組成物全体に対して10~40質量%が好ましく挙げられ、組成物全体に対して20~40質量%がより好ましく挙げられる。
ロジン変性樹脂は、原料の一つとしてロジンを用いて調製された樹脂である。ロジンには、アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸、レボピマール酸等の樹脂酸が混合物として含まれ、これら樹脂酸は、親水性で化学活性なカルボキシ基を含み、中には共役二重結合を備えるものもある。そのため、多価アルコールや多塩基酸を組み合わせて縮重合させたり、ロジン骨格に含まれるベンゼン環にフェノールの縮合体であるレゾールを付加させたり、ジエノフィルである無水マレイン酸やマレイン酸とディールスアルダー反応をさせてマレイン酸や無水マレイン酸骨格を付加させさせたりすること等により、様々なロジン変性樹脂が調製されている。このようなロジン変性樹脂は、各種のものが市販されており、それを入手して用いることも可能である。
ロジン変性樹脂としては、ロジンエステル樹脂、マレイン化ロジン、フマル化ロジン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。本発明においては、いずれのロジン変性樹脂を用いてもよいが、これらの中でも、ロジンエステル樹脂が好ましく用いられる。
本発明で用いるロジン変性樹脂としては、水酸基価10mgKOH/g以上のものを用いることが好ましい。本発明のインキ組成物がこうした高水酸基価のロジン変性樹脂を含むことにより、印刷時におけるインキ組成物の転移性をより向上させることができるほか、組成物自体の極性が高くなることに伴って、同じく極性の高い水性OPニスへの親和性が高くなり、これをウエットオンウエットで塗工してもハジキが抑制されるという効果も奏される。ロジン変性樹脂の水酸基価としては、15mgKOH/g以上であることがより好ましく、20mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。また、ロジン変性樹脂の水酸基価の上限としては、特に限定されないが、一例として200mgKOH/g程度が挙げられ、150mgKOH/g程度が好ましく挙げられ、100mgKOH/g程度がより好ましく挙げられる。
また、特に限定されないが、ロジン変性樹脂の酸価としては、100mgKOH/g以下を好ましく挙げることができる。ロジン変性樹脂の酸価が100mgKOH/g以下であることにより、水性OPニスをウエットオンウエットで塗工したときのハジキの抑制と、ミスチングや壷上がりの抑制といった印刷適性とを両立できるので好ましい。ロジン変性樹脂の酸価としては、80mgKOH/g以下であることをより好ましく挙げることができ、50mgKOH/g以下であることをさらに好ましく挙げることができる。
ロジン変性樹脂は、後述する溶剤とともに加熱されることにより溶解又は分散されてワニスとされた状態で使用される。ロジン変性樹脂は、溶剤に溶解又は分散されたままの状態である溶解ワニスとして用いてもよいし、ワニスを調製する際、樹脂を溶解させて得た溶解ワニス中に2価以上の金属アルコキシ化合物をゲル化剤として投入し、ゲル化ワニスとされた状態で用いてもよい。これらの中でも、ロジン変性樹脂から溶解ワニスを調製し、これをインキ組成物の調製に用いることにより、印刷中におけるインキ組成物の転移性を向上できるので好ましい。また、ロジン変性樹脂からゲル化ワニスを調製し、これをインキ組成物の調製に用いることにより、インキ組成物に適度な粘弾性が付与され、流動性の向上とミスチングの低減を図ることができるほか、より強靱な硬化被膜を形成できる。
インキ組成物中におけるロジン変性樹脂の含有量としては、組成物全体に対して5~50質量%が好ましく挙げられ、組成物全体に対して5~25質量%がより好ましく挙げられ、組成物全体に対して7~20質量%がさらに好ましく挙げられる。
本発明のインキ組成物には、上記のアルキッド樹脂やロジン変性樹脂に加えて、従来金属印刷用インキ組成物の調製に用いられている樹脂を併用することもできる。すなわち、印刷適性、塗膜物性等の要求性能に応じて、上記のアルキッド樹脂ロジン変性樹脂と相溶する公知の樹脂を単独又は複数混合して用いることができる。このような樹脂としては、ポリエステル樹脂、石油樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、アミノ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。
[溶剤]
本発明のインキ組成物で用いる溶剤としては、これまで金属印刷用インキ生物の分野で用いられてきたものを特に制限なく挙げることができる。このような溶剤としては、例えば沸点範囲230~400℃程度の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、アルキルベンゼン、ポリアルキレングリコール等を挙げることができる。本発明のインキ組成物は、これらの中でも、溶解度パラメータ(sp値)が10.00(cal/cm1/2未満であり、かつ下記一般式(1)で表す化合物よりなる群より選択される少なくとも1つを必須として含む。以下、溶解度パラメータ(sp値)が10.00(cal/cm1/2未満であり、かつ下記一般式(1)で表す化合物よりなる群から選択される少なくとも1つの溶剤のことを特定溶剤とも呼ぶ。特定溶剤におけるsp値は、9.80(cal/cm1/2以下であることを好ましく挙げられる。また、特定溶剤におけるsp値の下限値としては、8.50(cal/cm1/2程度を好ましく挙げられ、9.00(cal/cm1/2程度をより好ましく挙げられる。このようなsp値をもつ特定溶剤は、疎水的な性質を備えたポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルということもできる。本発明においてこのように疎水的な性質を備えた特定溶剤を用いる理由は、これまで金属印刷用インキ組成物の分野で盛んに用いられたアルキルベンゼン系の溶剤や親水性のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル系の溶剤に代えて、疎水的なポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(すなわち特定溶剤)を用いることにより、印刷中におけるミスチングの発生を相当軽減できるようになるとの本発明者らの知見によるものである。
Figure 0007638424000002
上記一般式(1)中、各Aは、それぞれ独立に、分岐を有してもよい炭素数2~4のアルキレン基である。このようなアルキレン基としては、エチレン基[-(CH-]、プロピレン基[-CH(CH)-CH-、又は-CHCH(CH)-]、トリメチレン基[-(CH-]、イソプロピリデン基[-C(CH-]等を挙げることができる。これらの中でも、プロピレン基が好ましく挙げられる。この場合、一般式(1)にてAOで表す2価の基は、オキシプロピレン基となる。
上記一般式(1)中、Rは、分岐及び/又は環構造を備えてもよい炭素数1~13のアルキル基である。なお、このアルキル基は、脂肪族基のみならす脂環式基であってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、nは、2~8の整数である。nが2以上であることにより、印刷機上でのインキ組成物の安定性を付与するだけの、特定溶剤の十分な沸点を確保できるので好ましく、nが8以下であることにより、インキ組成物の溶剤として好ましい粘度とすることができる。
上記一般式(1)で表す化合物の例としては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノオクチルエーテル、ジプロピレングリコールトリデシルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノデシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノブチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
なお、本願発明におけるsp値としては、フェドロス(Fedros)法により算出されたものを用いられる(文献:R.F.Fedros,Polym.Eng.Sci.,14(2)147(1974)を参照)。
本発明のインキ組成物中の溶剤の含有量としては、組成物全体に対して10~50質量%が好ましく挙げられ、組成物全体に対して20~45質量%がより好ましく挙げられる。なお、溶剤の中でも特定溶剤の含有量が組成物全体に対して15~40質量%であることが好ましく、組成物中の溶剤のすべてが特定溶剤であることが好ましい。
本発明のインキ組成物は、上記の各成分に加えてアルカノールアミンを含有することが好ましい。本発明のインキ組成物がアルカノールアミンを含有することにより、印刷中のミスチングの低減と、印刷皮膜におけるレトルト処理後の耐衝撃性の両方を向上させることができる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、n-ブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、n-ブチルジエタノールアミン、ジ-n-ブチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。これらの中でもトリエタノールアミンが好ましく挙げられる。
本発明のインキ組成物中のアルカノールアミンの含有量としては、組成物全体に対して0.1~3質量%が好ましく挙げられ、0.1~1質量部がより好ましく挙げられる。
本発明のインキ組成物には、その他の成分として、必要に応じて公知の硬化剤;顔料分散剤;ワックス;シリカ粒子、炭酸カルシウム、ベントンクレー、カオリン、タルク等の体質顔料;安定剤等を添加することができる。
硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂を用いることができる。
シリカ粒子は、SiOのパウダーとして市販されているものであり、特に表面処理がされていないか親水化処理のされた親水性のものや、疎水化処理された疎水性のもの等を容易に入手することができる。これらのシリカ粒子の中でも、本発明のインキ組成物では、疎水性のシリカ粒子が好ましく用いられる。疎水性のシリカ粒子を用いることにより、印刷中におけるインキ組成物の転移性をより良好なものにすることができるとともに、インキ組成物の流動性を高めることができるので好ましい。インキ組成物中におけるシリカ粒子の含有量としては、0.5~15質量%が好ましく挙げられ、1~5質量%がより好ましく挙げられる。
本発明のインキ組成物は、上述の各成分を混合し、ロールミル、ボールミル、ビーズミル等を用いて常法によって調製できる。インキ組成物の粘度としては、ラレー粘度計による25℃での値が10~70Pa・sであることを例示できるが、特に限定されない。
本発明のインキ組成物における金属印刷用の金属としては、特に限定されないが、例えば亜鉛引き又は錫引き鉄板、アルミニウム板、あるいはこれら金属素材からなる金属缶等が挙げられる。
以下、実施例を示すことにより本発明のインキ組成物をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[アルキッド樹脂ワニス1の調製]
ネオペンチルグリコール5.98質量部、ペンタエリスリトール8.53質量部、ヤシ油脂肪酸11.00質量部、イソフタル酸7.30質量部及び無水フタル酸6.50質量部を、混合物の酸価が7mgKOH/gになるまで窒素雰囲気下にて220℃で反応させて1段階目のエステル化を行い、その後無水トリメリト酸0.70質量部を加えて、窒素雰囲気下にて165℃で30分間加熱して2段階目のエステル化を行った。これらのエステル化反応は、常法に従って行い質量平均分子量4,376、数平均分子量1,995のアルキッド樹脂1を得た。このアルキッド樹脂1に、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル15.0質量部を加えてアルキッド樹脂ワニス1とした。なお、このトリプロピレングリコールモノブチルエーテルのsp値は9.73(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[アルキッド樹脂ワニス2の調製]
ネオペンチルグリコール5.00質量部、ペンタエリスリトール9.18質量部、ヤシ油脂肪酸11.00質量部、イソフタル酸7.30質量部及び無水フタル酸6.50質量部を、混合物の酸価が7mgKOH/gになるまで窒素雰囲気下にて220℃で反応させて1段階目のエステル化を行い、その後無水トリメリト酸0.70質量部を加えて、窒素雰囲気下にて165℃で30分間加熱して2段階目のエステル化を行った。これらのエステル化反応は、常法に従って行い質量平均分子量4,764、数平均分子量2,348のアルキッド樹脂2を得た。このアルキッド樹脂2に、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル10.0質量部を加えてアルキッド樹脂ワニス2とした。なお、このトリプロピレングリコールモノブチルエーテルのsp値は9.73(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[アルキッド樹脂ワニス3の調製]
ネオペンチルグリコール5.00質量部、トリメチロールプロパン10.80質量部、ヤシ油脂肪酸11.00質量部、イソフタル酸7.30質量部及び無水フタル酸6.50質量部を、混合物の酸価が7mgKOH/gになるまで窒素雰囲気下にて220℃で反応させて1段階目のエステル化を行い、その後無水トリメリト酸0.70質量部を加えて、窒素雰囲気下にて165℃で30分間加熱して2段階目のエステル化を行った。これらのエステル化反応は、常法に従って行い質量平均分子量2,785、数平均分子量1,639のアルキッド樹脂3を得た。このアルキッド樹脂3に、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル10.0質量部を加えてアルキッド樹脂ワニス3とした。なお、このトリプロピレングリコールモノブチルエーテルのsp値は9.73(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[アルキッド樹脂ワニス4の調製]
ネオペンチルグリコール5.98質量部、ペンタエリスリトール8.53質量部、ヤシ油脂肪酸10.10質量部、イソフタル酸11.95質量部及びテレフタル酸2.48質量部を、混合物の酸価が7mgKOH/gになるまで窒素雰囲気下にて220℃で反応させて1段階目のエステル化を行い、その後無水トリメリト酸0.70質量部を加えて、窒素雰囲気下にて165℃で30分間加熱して2段階目のエステル化を行った。これらのエステル化反応は、常法に従って行い質量平均分子量6,049、数平均分子量2,591のアルキッド樹脂4を得た。このアルキッド樹脂4に、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル21.8質量部を加えてアルキッド樹脂ワニス4とした。なお、このトリプロピレングリコールモノブチルエーテルのsp値は9.73(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[アルキッド樹脂ワニス5の調製]
上記アルキッド樹脂ワニス2の調製の手順で得たアルキッド樹脂2に対して、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルに代えてトリエチレングリコールモノブチルエーテルを加えることでアルキッド樹脂ワニス5を得た。なお、このトリエチレングリコールモノブチルエーテルのsp値は10.32(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当しない。
[アルキッド樹脂ワニス6の調製]
上記アルキッド樹脂ワニス2の調製の手順で得たアルキッド樹脂2に対して、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルに代えてペンタプロピレングリコールモノブチルエーテルを加えることでアルキッド樹脂ワニス6を得た。なお、ペンタプロピレングリコールモノブチルエーテルのsp値は9.42(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[アルキッド樹脂ワニス7の調製]
上記アルキッド樹脂ワニス2の調製の手順で得たアルキッド樹脂2に対して、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルに代えてテトラプロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテルを加えることでアルキッド樹脂ワニス7を得た。なお、テトラプロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテルのsp値は9.32(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[ロジン変性樹脂ワニス1の調製]
ロジンエステル樹脂(水酸基価20~30mgKOH/g、酸価<10mgKOH/g、質量平均分子量632、数平均分子量565)63.2質量部及びトリプロピレングリコールモノブチルエーテル35.9質量部を130℃にて1時間加熱してこれらを溶解させ、ロジン変性樹脂ワニス1を得た。なお、このトリプロピレングリコールモノブチルエーテルのsp値は9.73(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[ロジン変性樹脂ワニス2の調製]
トリプロピレングリコールモノブチルエーテルに代えてトリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いたことを除き、上記ロジン変性樹脂ワニス1の調製と同様の手順でロジン変性樹脂ワニス2を得た。なお、このトリエチレングリコールモノブチルエーテルのsp値は10.32(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当しない。
[ロジン変性樹脂ワニス3の調製]
トリプロピレングリコールモノブチルエーテルに代えてペンタプロピレングリコールモノブチルエーテルを用いたことを除き、上記ロジン変性樹脂ワニス1の調製と同様の手順でロジン変性樹脂ワニス3を得た。なお、このペンタプロピレングリコールモノブチルエーテルのsp値は9.42(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[ロジン変性樹脂ワニス4の調製]
トリプロピレングリコールモノブチルエーテルに代えてテトラプロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテルを用いたことを除き、上記ロジン変性樹脂ワニス1の調製と同様の手順でロジン変性樹脂ワニス4を得た。なお、このテトラプロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテルのsp値は9.32(cal/cm1/2であり、本発明における特定溶剤に該当する。
[実施例1~12、比較例1~3]
表1~3の処方にて各成分を混合し、得られた混合物を三本ロールミルで混練することで実施例1~12及び比較例1~3の各インキ組成物を調製した。なお、表1~3において、「中性CB1」は、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製のHIBLACK200L(中性カーボンブラック、一次粒子径28nm、DBP給油量62ml/100g、pH8.0)であり、「中性CB2」は、キャボット社製のELFTEX415(中性カーボンブラック、一次粒子径25nm、DBP給油量55ml/100g、pH6.0以上8.0以下)であり、「中性CB3」は、キャボット社製のRegal250R(中性カーボンブラック、一次粒子径34nm、DBP給油量48ml/100g、pH6.0以上8.0以下)であり、「中性CB4」は、キャボット社製のRegal350R(中性カーボンブラック、一次粒子径48nm、DBP給油量46ml/100g、pH6.0以上8.0以下)であり、「酸性CB1」は、三菱ケミカル株式会社製の三菱カーボンブラックMA7(酸性カーボンブラック、一次粒子径24nm、DBP給油量66ml/100g、pH3.0)であり、「酸性CB2」は、キャボット社製のMogul E(酸性カーボンブラック、一次粒子径48nm、DBP給油量49ml/100g、pH2.5)である。また、表1~3において、「特定溶剤1」は、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(sp値9.73(cal/cm1/2)であり、「特定溶剤2」は、ペンタプロピレングリコールモノブチルエーテル(sp値9.42(cal/cm1/2)であり、「特定溶剤3」は、テトラプロピレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(sp値は9.32(cal/cm1/2)であり、「非特定溶剤」は、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(sp値10.32(cal/cm1/2)であり、「シリカ」は、表面疎水処理シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製、製品名アエロジルR972)である。表1~3における各配合量の数値は、いずれも質量部である。
[ミスチング量評価]
各実施例及び比較例のインキ組成物のそれぞれについて、インキ組成物2.6ccをとってインコメーターの回転ローラーに塗布して均一にならした後、1200rpmで3分間回転させた。この間、ローラーの下に白紙を置いておき、その表面へのミスチングによるインキ組成物の付着量を比較した。測定はローラーを40℃に保って行った。測定前後の白紙の質量変化を求め、これをミスチング量(mg)とした。測定前後の白紙の質量変化が大きいほど、インキ組成物の飛散量が多いことになるので、この値が小さいほど良好な結果といえる。算出されたミスチング量(mg)をもとに、以下の基準にて評価した。その評価結果を表1~3の「ミスチング」欄に示す。
○:ミスチング量が5mg未満だった
△:ミスチング量が5mg以上かつ10mg未満だった
×:ミスチング量が10mg以上だった
[レトルト処理後の耐衝撃性評価]
各実施例及び比較例のそれぞれについて、インキ組成物0.2ccを、RI展色機を用いて肉厚50μmのアルミニウム基材の上に展色して展色物を得た。その後、展色物の展色面に対して、0.4号バーコーター(メイヤーバー)を使用してレトルト用オーバープリントニス(AkzoNobel社製)を塗布して、240℃のオーブンで2分間保持して、レトルト用サンプルを得た。その後、レトルト用サンプルをオートクレーブ(高圧蒸気滅菌機、株式会社平山製作所製のHG-50)を用いて、125℃、30分の条件でレトルト処理を行い、レトルト処理物を得た。得られたレトルト処理物をデュポン衝撃試験機(株式会社東洋精機製作所社製、製品名H-50)を用いて、撃芯の径:1/4Φ(6.35mm)、重り重さ:300g、重り落下高さ:50mmの条件にて展色面の反対側から衝撃を4箇所に与え、展色面側の塗膜の剥がれ度合いを以下の基準で評価した。その結果を表1~3の「レトルト後の耐衝撃性」欄に示す。
○:4箇所全てについて、撃芯と接触した箇所の塗膜は剥がれなかった
×:4箇所のうち1箇所以上について、撃芯と接触した箇所の塗膜の少なくとも一部が剥がれ、アルミニウム基材が露出した
Figure 0007638424000003
Figure 0007638424000004
Figure 0007638424000005
表1~3から明らかなように、中性カーボンブラックと所定の溶解度パラメータを満足する特定溶剤とを組み合わせて金属印刷用インキ組成物とすることにより、ミスチング適性とレトルト後の耐衝撃性が良好になることが理解できる。

Claims (3)

  1. カーボンブラック、樹脂及び溶剤を含んでなる金属印刷用インキ組成物であって、
    前記カーボンブラックとして中性カーボンブラックを含み、
    前記樹脂として、ペンタエリスリトール骨格又はネオペンチルグリコール骨格を有し、質量平均分子量が10,000未満のアルキッド樹脂を組成物全体に対して10~40質量%含み、
    前記溶剤として溶解度パラメータ(sp値)が10.00(cal/cm1/2未満であり、かつ下記一般式(1)で表す化合物よりなる群より選択される少なくとも1つを含み、
    さらに、ロジンエステル樹脂を含むことを特徴とする金属印刷用インキ組成物。
    Figure 0007638424000006
    (上記一般式(1)中、各Aは、それぞれ独立に、分岐を有してもよい炭素数2~4のアルキレン基であり、Rは、分岐及び/又は環構造を備えてもよい炭素数1~13のアルキル基であり、nは、2~8の整数である。)
  2. 一般式(1)にてAOで表す2価の基がオキシプロピレン基である請求項1記載の金属印刷用インキ組成物。
  3. さらに、アルカノールアミンを含有する請求項1記載の金属印刷用インキ組成物。
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