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JP7636157B2 - 澱粉分解物および増粘・ゲル化剤を含む改質剤 - Google Patents

澱粉分解物および増粘・ゲル化剤を含む改質剤 Download PDF

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Description

本技術は、澱粉分解物および増粘・ゲル化剤を含む改質剤、該改質剤が用いられた飲食品組成物、および飲食品、並びに、飲食品の製造方法に関する。
従来から、飲食品分野においては、甘味料、味質調整、浸透圧調整、保湿剤、保形・増粘剤、粉末化基材等の用途に澱粉分解物が利用されている。例えば、特許文献1には、グルコース重合度(DP)8~19の含量が32%以上、かつ、グルコース重合度(DP)20以上の含量が30%以下で、同一のDE値を示す既存の澱粉分解物に比べ、低粘度、低甘味、低浸透圧を示す新規な澱粉分解物が開示されている。
また、特許文献2には、加工食品組成物の調製に、(a)青価が0.4~1.2の範囲である;(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度が4N/cm以上である;(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が、25℃条件下で100mPa・s以下である;(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下である:A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm)、B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm)、という性質を有するデキストリンを用いることで、加工食品に種々の特性を付与する技術が開示されている。
ところで、各種の増粘・ゲル化剤も、飲食品の増粘やゲル化、テクスチャー変化などを目的に様々な飲食品に利用されており、自ずと澱粉分解物と増粘・ゲル化剤が併用されている飲食品は数多く知られている。
また、増粘・ゲル化剤のランピングと呼ばれる現象を、澱粉分解物を併用することで抑制できることが知られている。例えば、特許文献3には、嚥下障害をもつ者を対象にした液状食品粘稠剤に関して、要求される多岐に渡る品質特性を満足する液状食品粘稠剤、特に液状食品に添加・混合する際に発生するダマを軽減化し、かつ微小化したものを提供することを目的に、グアガム単独物、もしくはグアガムとキサンタンガムの混合物においてキサンタンガムの含有率が50%以下の増粘多糖類についてダマの発生が軽減化されることを見出し、さらに、これら増粘多糖類にデキストリンの含有率が20~80%になるように混合することにより、ダマの発生が軽減化し、かつ発生するダマのサイズが微小化して、目的とする液状食品粘稠化剤として好適であることを見出したことが開示されている。以上のことからも、澱粉分解物と増粘・ゲル化剤が併用される機会が多い。
特開2010-226988号公報 特開2010-11781号公報 特開平10-108633号公報
上記のように、飲食品の増粘やゲル化、テクスチャー変化などを目的として、各種の増粘・ゲル化剤を用いる場合、澱粉分解物と併用される機会が多いが、澱粉分解物の分解度が低いと、期待される増粘・ゲル化剤の改質効果が得られない場合があった。また、澱粉分解物の分解度が高いと、飲食品の甘味が増してしまったり、浸透圧が高くなってしまったりする場合があった。さらに澱粉分解物の分解度が高いと、乾燥品の場合吸湿性が高いといった課題もあった。
そこで、本技術では、飲食品に応じた様々な改質を実現し得る澱粉分解物および増粘・ゲル化剤を含む改質剤を提供することを主目的とする。
本技術では、まず、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物と、
増粘・ゲル化剤と、
を含有する、改質剤を提供する。
本技術に係る改質剤は、グルコース重合度(DP)8以上の含有量が50%以上の澱粉分解物を用いることができる。
また、本技術に係る改質剤は、β-アミラーゼ消化試験において残存率が20%以下である澱粉分解物を用いることができる。
本技術に係る改質剤に用いる前記増粘・ゲル化剤としては、澱粉を主体とした穀粉類、澱粉類、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、大豆多糖類、ローカストビンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される一以上の増粘・ゲル化剤を用いることができる。
本技術に係る改質剤は、飲食品組成物に用いることができる。
また、本技術に係る改質剤または本技術に係る飲食品組成物は、飲食品に用いることができる。
本技術に係る飲食品には、前記澱粉分解物を2~50質量%配合することができる。
本技術では、次に、澱粉分解物と増粘・ゲル化剤を含む飲食品の製造方法であって、
前記澱粉分解物が、
グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物であり、
前記澱粉分解物と増粘・ゲル化剤を添加する添加工程を含む、飲食品の製造方法を提供する。
本技術に係る飲食品の製造方法では、前記澱粉分解物と増粘・ゲル化剤を液体材料と混合する混合工程を行うことができる。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
1.改質剤
本技術に係る改質剤は、特定の澱粉分解物と、増粘・ゲル化剤と、を含有する。また、必要に応じて、その他の成分を含有させることもできる。以下、各成分について、詳細に説明する。
(1)澱粉分解物
本技術に用いる澱粉分解物は、グルコース重合度(以下「DP」と称する)8~19の含有量が32%以上、かつ、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である。本技術に用いる澱粉分解物は、一般的な澱粉分解物、具体的には、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼにより分解して得られた澱粉分解物と比較して、DP20以上の含有量が少ないにもかかわらず、DP8~19の含有量が多く、ヨウ素呈色値が高い。DP20以上の含有量が少ないため、飲食物等の風味を損なう恐れのある澱粉分解物特有の風味が少ない。また、DP8~19の含有量が多いため、すなわちDP1~7の含有量が低いため、低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。さらに、ヨウ素呈色値が高いため、詳細は後述するがすなわちDP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれるため、直鎖状糖分子が相互作用により結晶化しやすく、飲食品に応じた様々な改質に貢献する。
本技術に用いる澱粉分解物は、DP8~19の含有量が32%以上であれば、その含有量は特に限定されないが、好ましくは40%以上、より好ましくは43%以上、さらに好ましくは48%である。DP8~19の含有量が増加するほど、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に用いる澱粉分解物は、DP20以上の含有量が30%以下であれば、その含有量は特に限定されないが、好ましくは10~30%、より好ましくは15~28%、さらに好ましくは18~25%である。DP20以上の含有量が少なくなるほど、デキストリン特有の風味がより低減されるが、少なすぎるとDP16以上の直鎖状糖分子が自ずと少なくなり、結晶化による飲食品の改質効果が小さくなる。
本技術において、澱粉分解物のヨウ素呈色値は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。
ヨウ素による呈色反応は、DP16以上の直鎖状の糖鎖の存在を示すものであり、DP20以上の含有量が多い澱粉分解物においてはDP16以上の直鎖状の糖鎖が多く存在するため呈色反応を示すが、DP20以上の含有量が少ない澱粉分解物では通常呈色反応を示さないか、示したとしてもヨウ素呈色値は非常に低い値となる。本技術に用いる澱粉分解物は、DP20以上の含有量が少ないにも関わらず、DP16以上の直鎖状糖分子が含まれるため、ヨウ素による呈色反応を示す。本技術に用いる澱粉分解物は、ヨウ素呈色値が0.15以上であれば、特に限定されないが、より好ましくは0.30以上である。ヨウ素呈色値が高いほど、DP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれ、結晶化による飲食品の改質効果が高くなる。
本技術に用いる澱粉分解物は、澱粉原料、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)、あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等を分解(糖化)することによって得られるものである。使用する澱粉原料は、特に限定されず、あらゆる澱粉原料を用いることができる。
本技術に用いる澱粉分解物のDP8以上の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。DP8以上の含有量が高い澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に用いる澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験における残存率は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。β-アミラーゼ消化試験における残存率が低い澱粉分解物、詳細は後述するがすなわち直鎖状糖分子が多く含まれる澱粉分解物を用いることで、結晶化による飲食品の改質効果が高くなる。
本技術において、β-アミラーゼ消化試験における残存率は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。なお、β-アミラーゼは、グルコースポリマーを非還元末端からマルトース単位で分解する酵素で、α-1,6結合などの分岐結合があると、分解が止まることが知られている。そのため、澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験による評価は、構造的な視点でα-1,4結合が連続する直鎖状部分を有する程度を示す指標となる。すなわち、ヨウ素による呈色反応ではDP16以上の直鎖状糖分子、β-アミラーゼ消化試験による評価では澱粉分解物全体の直鎖状糖分子についての指標となる。
本技術に用いる澱粉分解物の結晶化比率は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、100%を上限とし、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、よりさらに好ましくは0%である。結晶化比率が低い澱粉分解物を用いることで、水などの液体材料にも溶けやすく、飲食品において特に良好な口溶けとなる。
本技術において、澱粉分解物中の結晶画分は、粉末X線回折分析により、2-θが「5°-6.5°」,「8.5°-12.5°」,「13°-16°」,「16°-19°」,「19°-21°」,「21°-25.5°」,「25.5°-27.5°」,「27.5°-32°」,「32°-35.5°」,「37°-40°」の各区間に正のピークとして測定されるので、当該各区間の面積値を基に算出することで澱粉分解物の結晶化比率を特定することができる。
より具体的には、粉末X線回折測定結果のY軸:回折強度/X軸:2-θのチャートにおいて以下の基準により、「全体面積」および「結晶面積」を算出し、下記(3)の計算式により、結晶化比率を求めることができる。
(1)全体面積(2-θが「3°-40°」の区間における面積);
2-θが3°と40°の測定値を結んだ直線を基準線とし、基準線と回折強度の曲線で囲まれる範囲のうち、基準線よりも回折強度が強い領域の面積を「全体面積」として算出する。
(2)結晶面積;
2-θが「5°-6.5°」,「8.5°-12.5°」,「13°-16°」,「16°-19°」,「19°-21°」,「21°-25.5°」,「25.5°-27.5°」,「27.5°-32°」,「32°-35.5°」,「37°-40°」の各区間における面積を(1)全体面積と同様にして算出し、前記全区間の面積の合計値を「結晶面積」として算出する。
(3)計算式;結晶化比率=(結晶面積/全体面積)×100
なお、本技術における「結晶化比率」は、MiniFlex600(株式会社リガク製)を用い、X線波長はCu Kα、X線出力は40kV、15mAで分析した粉末X線回折測定結果を用いて算出した値である。
本技術に用いる澱粉分解物のDE(dextrose equivalent)は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくはDE30以下、より好ましくはDE10~25、さらに好ましくはDE13~20である。DEがこの範囲の澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示し、かつ、飲食品において特に良好な口溶けとなる。
なお、「DE(dextrose equivalent)」とは、デキストロース当量とも称され、還元糖をグルコースとして測定し、その全固形分に対する割合(下記数式(1)参照)を示す値である。このDE値は、澱粉の加水分解の程度(分解度)、すなわち糖化の進行の程度を示す指標である。
本技術に係る改質剤における澱粉分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30~99.9質量%、さらに好ましくは50~99質量%である。澱粉分解物の含有量がこの範囲の改質剤を用いることで、飲食品において特に良好な改質効果を得ることができる。なお、改質剤が液状である場合、改質剤の澱粉分解物の好ましい含有量は、固形分換算で前記の範囲である。
本技術に用いる澱粉分解物の製造方法については、本技術の効果を損なわない限り、特に限定されることはない。例えば、澱粉原料を、一般的な酸や酵素を用いた処理や、各種クロマトグラフィー、膜分離、エタノール沈殿等の所定操作を、適宜組み合わせて行うことによって澱粉分解物を得ることができる。
本技術に用いる澱粉分解物を効率的に得る方法として、澱粉原料に、少なくとも枝切り酵素と枝作り酵素を作用させる方法がある。一例としては、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼで液化した後、枝作り酵素、枝切り酵素の順で作用させる。枝切り酵素(debranching enzyme)は、澱粉の分岐点であるα-1,6-グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素の総称である。枝作り酵素(branching enzyme)とは、α-1,4-グルコシド結合でつながった直鎖グルカンに作用して、α-1,6-グルコシド結合を作る働きを持った酵素の総称である。
すなわち、枝切り酵素は、澱粉の分岐鎖の分解に関与する酵素であり、枝作り酵素は、澱粉の分岐鎖の合成に用いる酵素である。従って、両者は通常、一緒に用いられることはない。しかし、全く逆の作用を示す両酵素を組み合わせて用いることにより、本技術に用いる澱粉分解物を確実に製造することができる。両酵素の作用順序は、実施例の実験例1でわかるように、同時または枝作り酵素作用後に枝切り酵素を作用させた方が、それにより得られた澱粉分解物の改質剤を用いることで良好な口溶けとなるため、好ましい。
前記枝切り酵素は、特に限定されない。例えば、プルラナーゼ(Pullulanase, pullulan 6-glucan hydrolase)、アミロ-1,6-グルコシダーゼ/4-α-グルカノトランスフェラーゼ(amylo-1,6-glucosidase/4-α-glucanotransferase)を挙げることができ、より好適な一例としては、イソアミラーゼ(Isoamylase, glycogen 6-glucanohydrolase)を用いることができる。
また、前記枝作り酵素も特に限定されない。例えば、動物や細菌等から精製したもの、または、馬鈴薯、イネ種実、トウモロコシ種実等の植物から精製したもの、市販された酵素製剤等を用いることができる。
本技術に用いる澱粉分解物の製造方法では、前記酵素反応の後に、不純物を除去する工程を行うことも可能である。不純物の除去方法としては、特に限定されず、公知の方法を1種または2種以上自由に組み合わせて用いることができる。例えば、ろ過、活性炭脱色、イオン精製等の方法を挙げることができる。
更に、本技術に用いる澱粉分解物は、酵素反応後の澱粉分解物を含む液状品として用いることも可能であるが、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等により脱水乾燥し、粉末化することも可能である。また、クロマトグラフィーや膜分離によって一部成分を分画して用いることも可能である。
(2)増粘・ゲル化剤
本技術に係る改質剤に用いる増粘・ゲル化剤は、本技術の効果を損なわない限り、一般的に飲食品分野において用いることができる増粘・ゲル化剤を、1種または2種以上、自由に組み合わせて用いることができる。なお、本技術に係る改質剤に用いる増粘・ゲル化剤は、飲食品の製造工程で、液体材料と混合された後、加熱されることで増粘する素材も含む。例えば、澱粉を主体とした穀粉類、澱粉類、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、大豆多糖類、ローカストビンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウムなどを単独または組み合わせて使用することができる。ここで、本発明に係る澱粉を主体とした穀粉類は、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、ホワイトソルガム粉等であり、澱粉類は、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等が含まれる。本技術に係る改質剤に用いる増粘・ゲル化剤は、好ましくは、澱粉を主体とした穀粉類、澱粉類、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、大豆多糖類、ローカストビンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウムの単独または組み合わせ、より好ましくは、澱粉を主体とした穀粉類、澱粉類、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビンガム、タマリンドシードガムの単独または組み合わせ、さらに好ましくは、澱粉を主体とした穀粉類、アセチル化された澱粉類、寒天、ゼラチン、キサンタンガムの単独または組み合わせである。
本技術に係る改質剤における増粘・ゲル化剤の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは80質量%以下、より好ましくは0.1~70質量%、さらに好ましくは1~50質量%である。増粘・ゲル化剤の含有量がこの範囲の改質剤を用いることで、飲食品において特に良好な改質効果を得ることができる。なお、改質剤が液状である場合、改質剤の増粘・ゲル化剤の好ましい含有量は、固形分換算で前記の範囲である。
(3)その他の成分
本発明に係る改質剤は、本技術の効果を損なわない限り、飲食品分野において用いることができるその他の成分を1種または2種以上、自由に選択して含有させることもできる。その他の成分としては、例えば、本発明に係る澱粉分解物以外の糖質;グルテン等の小麦由来たん白質、卵由来たん白質、大豆由来たん白質、乳由来たん白質等のたん白素材;粉末油脂、サラダ油、ショートニング等の油脂;粉末セルロース、結晶セルロース、イヌリン、難消化性澱粉等の食物繊維;重曹等の膨張剤;食塩等の塩類;乳化剤、pH調整剤、香辛料、調味料、酵素、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料等の成分を用いることができる。
2.飲食品組成物
本技術に係る改質剤は、本技術の効果を損なわない限り、飲食品の材料と共に、飲食品組成物として流通させることができる。具体的には、例えば、各種飲食品用ミックス(ベーカリー製品用ミックス、麺皮類用ミックス、揚げ衣用ミックス等)、各種飲食品用の素(菓子の素、アイスクリームの素、スープの素、ソースの素、飲料の素等)等が挙げられる。本技術に係る飲食品組成物における改質剤の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
飲食品の材料としては、例えば、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、大豆粉、ホワイトソルガム粉等の穀粉類;コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等の澱粉類;デキストリン、オリゴ糖、ぶどう糖、粉末水あめ、砂糖等の糖質;グルテン等の小麦由来たん白質、卵由来たん白質、大豆由来たん白質、乳由来たん白質等のたん白素材;粉末油脂、サラダ油、ショートニング等の油脂;粉末セルロース、結晶セルロース、イヌリン、難消化性澱粉等の食物繊維;増粘剤;重曹等の膨張剤;食塩等の塩類;乳化剤、pH調整剤、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビンガム等が挙げられる。
3.飲食品
前述した本技術に係る改質剤または本技術に係る飲食品組成物は、飲食品に好適に用いることができる。本技術に係る飲食品組成物を用いることができる飲食品としては、特に限定されず、例えば、たれ類、ソース類、クリーム類、スープ類、各種乳製品類、ベーカリー製品、畜肉・水産加工品、飲料等の飲食品を挙げることができる。また、保健機能飲食品(特定保健機能食品、機能性表示食品、栄養機能食品を含む)や、いわゆる健康食品(飲料を含む)、流動食、乳児・幼児食、ダイエット食品、糖尿病用食品等にも本技術を用いることができる。
4.飲食品の製造方法、飲食品の改質方法
本技術に係る飲食品の製造方法は、前述した澱粉分解物と前述した増粘・ゲル化剤を添加する添加工程を含むことを特徴とする。好ましくは、前述した澱粉分解物と前述した増粘・ゲル化剤を液体材料に混合する混合工程を含むことを特徴とする。液体材料としては、水、液卵(全卵、卵黄、卵白等)、牛乳、果汁、茶、コーヒー、豆乳、アーモンドミルク、ブランデー等のアルコール飲料等が挙げられる。
混合工程においては、前述した澱粉分解物と前述した増粘・ゲル化剤を前記液体材料に溶解する溶解工程を行うことが好ましい。前述した澱粉分解物と前述した増粘・ゲル化剤を前記液体材料に溶解させることで、飲食品の全体に改質効果をもたらすことができる。
飲食品の製造方法における添加工程を行うタイミングは、本発明の効果を損なわない限り、各飲食品の製造工程に応じて、自由に設定することができる。例えば、飲食品と本技術に係る改質剤をそれぞれ製造した上で、飲食品に本技術に係る改質剤を添加する方法、飲食品の製造工程の任意のタイミングにおいて、飲食品に用いる液体材料の全部または一部と、本技術に係る改質剤と、を混合する方法、飲食品の製造工程の任意のタイミングにおいて、飲食品に用いる液体材料の全部または一部と、前述した澱粉分解物と、前述した増粘・ゲル化剤と、を混合する方法、等を挙げることができる。
本技術に係る飲食品の製造方法において、飲食品への前述した澱粉分解物の配合量は、本技術の効果を損なわない限り、目的に応じて自由に設定することができる。本技術では、飲食品に、前述した澱粉分解物を2質量%以上配合することが好ましく、2~50質量%配合することがより好ましく、2~40質量%配合することがさらに好ましく、5~20質量%配合することがよりさらに好ましい。飲食品中に前述した澱粉分解物を2質量%以上配合することで、飲食品への改質効果を十分に発揮することができる。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<分析方法>
[枝作り酵素の活性]
基質溶液として、0.1M酢酸緩衝液(pH5.2)にアミロース(シグマ アルドリッチ社製、A0512)を0.1質量%溶解したアミロース溶液を用いた。50μLの基質液に50μLの酵素液を添加し、30℃で30分間反応させた後、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液(0.39mMヨウ素-6mMヨウ化カリウム-3.8mM塩酸混合用液)を2mL加え反応を停止させた。ブランク溶液として、酵素液の代わりに水を添加したものを調製した。反応停止から15分後に660nmの吸光度を測定した。枝作り酵素の酵素活性量1単位は、上記の条件で試験する時、660nmの吸光度を1分間に1%低下させる酵素活性量とした。
[DP8~19、DP20以上、DP8以上の含有量]
下記の表1に示す条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析を行い、検出されたピーク面積比率に基づいて、DP8~19およびDP20以上、DP8以上の含有量を測定した。
[ヨウ素呈色値測定]
5mLの水を分注した試験管に、試料(澱粉分解物)を固形分として25mg添加して10分間煮沸し、溶解、混合した。これに、ヨウ素呈色液(0.2質量/体積%ヨウ素、および2質量/体積%ヨウ化カリウム)を100μL添加し、撹拌後、30℃で20分間放置後、分光光度計にて、光路長10mmのガラスセルを用いて、660nmの吸光度を測定し、試料を添加しない場合の吸光度測定値との差をヨウ素呈色値とした。
[β-アミラーゼ消化試験における残存率]
澱粉分解物を10mM酢酸緩衝液(pH5.5)に煮沸で溶解し調製した固形分濃度10質量%溶液10mLに、β-アミラーゼ(ナガセケムテックス株式会社製)10μLを添加し、55℃で72時間反応させた後、100℃で10分加熱処理をすることで反応を停止した。反応液をイオン交換樹脂にて脱塩し、下記の方法によりDP4以上の含有量を測定し、その値を残存率とした。
[DP4以上の含有量]
下記の表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、検出されたピーク面積比率に基づいて、DP4以上の含有量を測定した。
[結晶化比率]
前述した方法で、結晶化比率を測定した。
[DE]
DEの測定は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)の5~6ページに記載のレインエイノン法に従って算出した。
[結晶化試験]
澱粉分解物を20℃の水に溶解または分散させて調製した固形分濃度30質量%溶液および分散液を、4℃で24時間保管し、その外観を観察した。
<澱粉分解物の製造>
澱粉分解物の製造では、枝作り酵素の一例として、Eur. J. Biochem. 59, p615-625 (1975)の方法に則って、精製した馬鈴薯由来の酵素(以下「馬鈴薯由来枝作り酵素」とする)と、Branchzyme(ノボザイムズ株式会社製、以下「細菌由来枝作り酵素」とする)を用いた。
[澱粉分解物A]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で40時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で48時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Aを得た。
[澱粉分解物B]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE9になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり800ユニット添加し、65℃で30時間反応させた。その後、枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、50℃で30時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Bを得た。
[澱粉分解物C]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のタピオカ粉末スラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE15になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、馬鈴薯由来枝作り酵素を固形分(g)当たり2000ユニット添加し、35℃で30時間反応させた。その後pHを4.2に調整し、枝切り酵素(イソアミラーゼ、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、45℃で30時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度60質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Cを得た。
[澱粉分解物D]
10質量%塩酸にてpH2に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、130℃の温度条件でDE13まで分解した。常圧に戻した後、10質量%水酸化ナトリウムを用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり400ユニット添加し、65℃で48時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、50℃で60時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Dを得た。
[澱粉分解物E]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり600ユニット添加し、65℃で15時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で40時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度45質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Eを得た。
[澱粉分解物F]
10質量%塩酸にてpH2に調整した30質量%のワキシーコーンスターチスラリーを、130℃の温度条件でDE6まで分解した。常圧に戻した後、10質量%水酸化ナトリウムを用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット、枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で72時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Fを得た。
[澱粉分解物G]
スプレードライヤーに供す前の澱粉分解物A濃縮液を50℃で5日保持し、得られた沈殿を含有した糖液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Gを得た。
[澱粉分解物H]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE11になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し50℃で30時間反応させた。その後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で30時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Hを得た。
[澱粉分解物I]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.3質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE30になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Iを得た。
[澱粉分解物J]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE13になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Jを得た。
[澱粉分解物K]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した15質量%の馬鈴薯澱粉スラリーにα-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を固形分当たり0.05質量%添加し、80℃で保温し、継続的にDEを測定し、DE6になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し90℃まで加熱して反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色し、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Kを得た。
[澱粉分解物L]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した20質量%のワキシーコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.05質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE5になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Lを得た。
[澱粉分解物M]
スプレードライヤーに供す前の澱粉分解物B濃縮液を4℃で3日保持し、得られた沈殿を、固形分が溶け出さなくなるまで水洗と遠心分離を繰り返して分離した後、凍結乾燥して粉末化した澱粉分解物Mを得た。
<各澱粉分解物の分析>
前記で得られた澱粉分解物A~MのDP8~19、DP20以上、およびDP8以上の含有量、ヨウ素呈色値、β-アミラーゼ消化試験における残存率、結晶化比率、DE、結晶化試験について、前述した方法で評価した。結果を下記の表3に示す。結晶化試験において、DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A~Hは、結晶化して白濁した。
<実験例1>
実験例1では、各種澱粉分解物と増粘・ゲル化剤とを併用した場合における効果の違いを検証した。
(1)加工澱粉ゲルの調製
1.各澱粉分解物10gに水85gを加え、スターラーで3分間混合した。
2.上記溶液に増粘・ゲル化剤としてアセチル化リン酸架橋澱粉(SF-1700、昭和産業株式会社製)を5g添加し、良く撹拌しながら20分煮沸した。
3.4℃で2日保存した。
(2)評価
[溶解性評価]
3 加工澱粉ゲルの調製工程1において、1分未満に完全に溶解する
2 加工澱粉ゲルの調製工程1において、1分以上3分以内に完全に溶解する
1 加工澱粉ゲルの調製工程1において、溶け残りがある
[粘性評価]
5 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例1と比較して非常に粘性がある
4 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例1と比較して粘性がある
3 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例1と比較してやや粘性がある
2 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例1と同程度の粘性である
1 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例1以上の流動性がある
[甘味評価]
3 参考例1と比較してほとんど甘味を感じない
2 参考例1と比較してやや甘味を感じる
1 参考例1と同程度の甘味を感じる
[口溶け評価]
3 参考例1と比較して口溶けがより良好である
2 参考例1と同程度に口溶けが良好である
1 参考例1と比較して口溶けが悪い
(3)結果
結果を下記の表4に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A~Hを用いた試験例は、澱粉分解物Iを用いた参考例1と比べ、粘性があり、甘味が低く、また、口溶けは参考例1と同程度かそれ以上に良好であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物J,Lを用いた試験例1-9、1-11は、参考例1に比べ流動性が高かった。また、DP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超え、ヨウ素呈色値が極めて高く、また結晶化試験で結晶化により固形化した澱粉分解物Kを用いた試験例1-10では、参考例1より粘性が高かったものの、口溶けが悪かった。ヨウ素呈色値が0.15を超え、DP8~19が32%を超えるもののDP20以上が30%を超え、結晶化比率が高く、結晶化試験で20℃の水に溶解しなかった澱粉分分解物Mを用いた試験例1-12は、参考例1より粘性が高かったものの、口溶けが悪かった。
<実験例2>
実験例2では、各種澱粉分解物と各種増粘・ゲル化剤との組み合わせの違いによる保形性および口溶けの効果の違いを検証した。
(1)増粘・ゲル化剤含有ゲルの調製
[参考例2~5、試験例2-1~4、3-1~4、4-1~4、5-1~4]
1.各澱粉分解物20gと砂糖30gに最終重量が100gとなる量の水を加え、煮沸で溶解した。
2.上記溶液を80℃に保温し、スターラーで撹拌しながら各種増粘・ゲル化剤1g(ペクチンの場合は3g)を添加し、20分撹拌、分散した。
3.4℃で2日保存した。
[試験例3-5~7]
1.増粘・ゲル化剤としてゼラチン1gと砂糖30gに49gの水を加え、80℃で溶解した。
2.上記溶液を冷却し、約50℃になったところで各澱粉分解物を加え、撹拌した。
3.4℃で2日保存した。
(2)評価
[保形性評価]
5 各参考例と比較して非常に保形性がある
4 各参考例と比較して保形性がある
3 各参考例と比較してやや保形性がある
2 各参考例と同程度の保形性である
1 各参考例と比較して保形性が悪い
[口溶け評価]
3 各参考例と比較して口溶けがより良好である
2 各参考例と同程度に口溶けが良好である
1 各参考例と比較して口溶けが悪い
(3)結果
結果を下記の表5に示す。
(4)考察
参考例2~5、試験例2-1~4、3-1~4、4-1~4、5-1~4において、DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A、C、E、Gを用いた試験例では、増粘・ゲル化剤の種類に関わらず、澱粉分解物Iを用いた各参考例と比較して保形性があり、また、口溶けは各参考例と同程度に良好、もしくはそれ以上に良好であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例では、増粘・ゲル化剤の種類に関わらず、各参考例と同等かそれ以下の保形性であった。
また、試験例3-5~7において、DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A、Gを用いた試験例3-5、3-6では、DP8~19の含有量が32%以上、ヨウ素呈色値が0.15以上ではあるが、DP20以上の含有量が30%を超える澱粉分解物Mを用いた試験例3-7と比較して、保形性および口溶けの結果が良好であった。結晶化比率の違いについて比較すると、結晶化比率が7%である澱粉分解物Gを用いた試験例3-6に比べて、結晶化比率が0%である澱粉分解物Aを用いた試験例3-5の方が、口溶けが良好であった。
<実験例3>
実験例3では、各種澱粉分解物と各種増粘・ゲル化剤との組み合わせの違いによる粘性の効果の違いを検証した。
(1)増粘・ゲル化剤含有増粘物の調製
前記実験例2の参考例2~5、試験例2-1~4、3-1~4、4-1~4、5-1~4と同様の方法で、増粘物を調製した。なお、増粘・ゲル化剤の添加量は、グアーガムは3g、大豆多糖類、アラビアガムは5g、それ以外は1gとした。
(2)評価
[粘性評価]
5 バットに1g取り出し20度傾けたときに、各参考例と比較して非常に粘性がある
4 バットに1g取り出し20度傾けたときに、各参考例と比較して粘性がある
3 バットに1g取り出し20度傾けたときに、各参考例と比較してやや粘性がある
2 バットに1g取り出し20度傾けたときに、各参考例と同程度の粘性である
1 バットに1g取り出し20度傾けたときに、各参考例以上の流動性がある
(3)結果
結果を下記の表6に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A、C、Eを用いた試験例では、増粘・ゲル化剤の種類に関わらず、澱粉分解物Iを用いた各参考例と比べ、粘性の結果が良好であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例では、増粘・ゲル化剤の種類に関わらず、各参考例と同等かそれ以下の粘性であった。
<実験例4>
本技術を用いて、ゼリーを製造した。
(1)ゼリーの製造
下記の表7の材料を用いて下記の方法に従って、ゼリーを製造した。
1.鍋に全ての材料を量り取った。
2.加熱しながら溶解・攪拌した。
3.重量で水の量を調整してから容器に移し4℃で1日保存した。
(2)評価
[保形性評価]
5 参考例13と比較して非常に保形性がある
4 参考例13と比較して保形性がある
3 参考例13と比較してやや保形性がある
2 参考例13と同程度の保形性がある
1 参考例13と比較して保形性が悪い
[歯切れ評価]
5 参考例13と比較して非常に歯切れがよい
4 参考例13と比較して歯切れがよい
3 参考例13と比較してやや歯切れがよい
2 参考例13と同程度の歯切れである
1 参考例13と比較して歯切れが悪い
[離水評価]
5 参考例13と比較して非常に離水が少ない
4 参考例13と比較して離水が少ない
3 参考例13と比較してやや離水が少ない
2 参考例13と同程度の離水がある
1 参考例13と比較して離水が多い
(3)結果
結果を表7に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Bを用いた試験例では、保形性、歯切れ、離水の全てにおいて、参考例13と比較して、良好な結果であった。添加量の違いについて比較すると、澱粉分解物Bを2質量%配合した試験例13-1に比べて、澱粉分解物Bを5質量%以上配合した試験例13-2~4の方が、全ての結果がより優れていた。
一方、参考例13の澱粉分解物Iの半量を、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jに代えた試験例13-5では、澱粉分解物の総量が試験例13-1~4と同量であるにも関わらず、参考例13と比較して、保形性および離水の結果が劣っていた。
<実験例5>
本技術を用いて、たれを製造した。
(1)たれの製造
下記の表8の材料を用いて下記の方法に従って、たれを製造した。
1.鍋に澱粉分解物、砂糖、増粘・ゲル化剤としてキサンタンガム、アセチル化リン酸架橋澱粉を量り取った。
2.醤油、みりんと水を添加し、加熱しながら攪拌した。
3.重量で水の量を調整してから容器に移し4℃で5日保存した。
(2)評価
[粘性評価]
5 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例14と比較して非常に粘性がある
4 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例14と比較して粘性がある
3 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例14と比較してやや粘性がある
2 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例14と同程度の粘性である
1 バットに1g取り出し20度傾けたときに、参考例14以上の流動性がある
[濃厚感評価]
5 参考例14と比較して非常に濃厚感がある
4 参考例14と比較して濃厚感がある
3 参考例14と比較してやや濃厚感がある
2 参考例14と同程度の濃厚感である
1 参考例14と比較して濃厚感がない
[口溶け]
5 参考例14と比較して口溶けが非常に良好である
4 参考例14と比較して口溶けが良好である
3 参考例14と比較して口溶けがやや良好である
2 参考例14と同程度の口溶けである
1 参考例14と比較して口溶けが悪い
(3)結果
結果を下記の表8に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Dを用いた試験例は、全ての評価において、参考例14と比較して、良好な結果であった。添加量の違いについて比較すると、澱粉分解物Dを2質量%配合した試験例14-1に比べて、澱粉分解物Dを5質量%以上配合した試験例14-2~4の方が、全ての結果がより優れていた。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例14-5は、参考例14と比較し、粘性および濃厚感の結果が劣っていた。
<実験例6>
本技術を用いてグミを製造した。
(1)グミの製造
下記の表9の材料を用いて下記の方法に従って、グミを製造した。
1.分量の澱粉分解物、ハイマルトース水あめ、砂糖、フルーツパウダーおよび分量より多めの水を鍋に量り取り、弱火で加熱しながら溶解させた。
2.100℃以下まで冷まして増粘・ゲル化剤としてゼラチン溶液、クエン酸溶液を加えて撹拌し、全体が100gになるよう水で調整した。
3.瓶に移し、80℃で20分脱泡した。
4.スターチモールドに流し込み、室温で1晩固め、取り出した。
(2)評価
[硬さ評価]
3 参考例15と比較して硬い
2 参考例15と同程度の硬さである
1 参考例15と比較して柔らかい
[歯切れ評価]
3 参考例15と比較して歯切れが良い
2 参考例15と同程度の歯切れである
1 参考例15と比較して歯切れが悪い
[色彩評価]
3 参考例15と比較して色彩が鮮やかである
2 参考例15と同程度の色彩である
1 参考例15と比較して色彩がくすんでいる
(3)結果
結果を下記の表9に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物B、F、Gを用いた試験例は、全ての評価において、澱粉分解物Iを用いた参考例15と比較して、良好な結果であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例15-4は、参考例15と比較し、硬さの結果が劣っていた。
<実験例7>
本技術を用いて、ホワイトソースを製造した。
(1)ホワイトソースの製造
下記の表10の材料を用いて下記の方法に従って、ホワイトソースを製造した。
1.鍋に水以外の材料を量り取った。
2.水を添加し、加熱しながら攪拌した。
3.重量で水の量を調整してから容器に移し4℃で1日保存した。
(2)評価
[保形性評価]
3 参考例16と比較して保形性が高い
2 参考例16と同程度の保形性である
1 参考例16と比較して保形性が低い
[保形性(加熱後)評価]
3 沸騰浴で10分加熱後に参考例16と比較して保形性が高い
2 沸騰浴で10分加熱後に参考例16と同程度の保形性である
1 沸騰浴で10分加熱後に参考例16と比較して保形性が低い
[濃厚感評価]
3 参考例16と比較して濃厚感がある
2 参考例16と同程度の濃厚感である
1 参考例16と比較して濃厚感が少ない
[口溶け評価]
3 参考例16と比較して口溶けが良好である
2 参考例16と同程度の口溶けである
1 参考例16と比較して口溶けが悪い
(3)結果
結果を下記の表10に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例16-1は、全ての評価において、澱粉分解物Iを用いた参考例16と比較して、良好な結果であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例16-2は、参考例16と比較して、保形性、濃厚感の結果が劣っていた。
<実験例8>
本技術を用いて、ジャムを製造した。
(1)ジャムの製造
下記の表11の材料を用いて下記の方法に従って、ジャムを製造した。
1.鍋に水以外の材料を量り取った。
2.水を添加し、加熱しながら攪拌した。
3.重量で水の量を調整してから容器に移し、4℃で3日保存した。
(2)評価
[粘性評価]
3 参考例17と比較して粘性が高い
2 参考例17と同程度の粘性である
1 参考例17と比較して粘性が低い
[濃厚感評価]
3 参考例17と比較して濃厚感がある
2 参考例17と同程度の濃厚感である
1 参考例17と比較して濃厚感が少ない
[果肉感評価]
3 参考例17と比較して果肉感が強い
2 参考例17と同程度の果肉感である
1 参考例17と比較して果肉感が弱い
(3)結果
結果を表11に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例17-1は、全ての評価において、澱粉分解物Iを用いた参考例17と比較して、良好な結果であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例17-2は、参考例17と比較して、濃厚感の結果が劣っていた。
<実験例9>
本技術を用いて、半固体状ドレッシングを製造した。
(1)半固体状ドレッシングの製造
下記の表12の材料を用いて下記の方法に従って、半固体状ドレッシングを製造した。
1.キャノーラ油以外の材料を量り取り、良く撹拌、溶解した。
2.ホモミキサーで撹拌しながら少しずつキャノーラ油を加えた。
3.4℃で1日保存した。
(2)評価
[粘性評価]
3 参考例18と比較して粘性が高い
2 参考例18と同程度の粘性である
1 参考例18と比較して粘性が低い
[保形性評価]
3 参考例18と比較して保形性が高い
2 参考例18と同程度の保形性である
1 参考例18と比較して保形性が低い
(3)結果
結果を表12に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例18-1は、全ての評価において、澱粉分解物Iを用いた参考18と比較して、良好な結果であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例18-2は、参考18と比較して、粘性および保形性の結果がいずれも劣っていた。
<実験例10>
本技術を用いて、野菜飲料を製造した。
(1)野菜飲料の製造
下記の表13の材料を用いて下記の方法に従って、野菜飲料を製造した。
1.野菜ジュースに澱粉分解物を添加し、溶解した。
2.80℃で保温・撹拌しながら増粘・ゲル化剤としてHMペクチン、ローカストビンガムを添加した。
3.4℃で3日保存した。
(2)評価
[粘性評価]
3 参考例19と比較して粘性が高い
2 参考例19と同程度の粘性である
1 参考例19と比較して粘性が低い
[濃厚感評価]
3 参考例19と比較して濃厚感がある
2 参考例19と同程度の濃厚感である
1 参考例19と比較して濃厚感が少ない
(3)結果
結果を表13に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例19-1は、全ての評価において、澱粉分解物Jを用いた参考例19と比較して、良好な結果であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例19-2は、参考例19と同程度の粘性および濃厚感であったが、試験例19-1に比べていずれも劣っていた。
<実験例11>
本技術を用いて、チーズ様食品を製造した。
(1)チーズ様食品の製造
下記の表14の材料を用いて下記の方法に従って、チーズ様食品を製造した。
1.鍋に水を量り取った。
2.水以外の材料を量り取り混合した後、水に加え加熱しながら攪拌した。
3.重量で水の量を調整してから容器に移し、4℃で1日保存した。
(2)評価
[保形性評価]
3 参考例20と比較して保形性が高い
2 参考例20と同程度の保形性である
1 参考例20と比較して保形性が低い
[加熱後の伸び]
3 参考例20と比較して加熱後の伸びが大きい
2 参考例20と同程度の加熱後の伸びである
1 参考例20と比較して加熱後の伸びが小さい
[外観]
2 白く不透明でチーズに近い外観である
1 透明感があり、チーズとは違う外観である
(3)結果
結果を表14に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例20-1は、全ての評価において、参考例20と比較して、良好な結果であった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例20-2は、参考例20と比較して、保形性の結果が劣っていた。また、外観において、試験例20-1のように、白く不透明でチーズに近い外観にはならなかった。
<実験例12>
本技術を用いて、カスタードクリームを製造した。
(1)カスタードクリームの製造
下記の表15の材料を用いて下記の方法に従って、カスタードクリームを製造した。
1.鍋に澱粉分解物、砂糖、マルトース水あめ、脱脂粉乳、卵黄、全卵、増粘・ゲル化剤としてキサンタンガム、エーテル化リン酸架橋澱粉を量り取った。
2.牛乳、水とキャノーラ油を添加し、加熱しながら攪拌した。
3.重量で水の量を調整してから容器に移し、4℃で1日保存した。
(2)評価
[粘性評価]
3 参考例21と比較して粘性が高い
2 参考例21と同程度の粘性である
1 参考例21と比較して粘性が低い
[濃厚感評価]
3 参考例21と比較して濃厚感がある
2 参考例21と同程度の濃厚感である
1 参考例21と比較して濃厚感が少ない
[口溶け評価]
3 参考例21と比較して口溶けが良好である
2 参考例21と同程度の口溶けである
1 参考例21と比較して口溶けが悪い
(3)結果
結果を表15に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例21-1は、全ての評価において、参考例21と比較して、良好な結果であった。
一方、澱粉分解物Aの代わりに、マルトース水あめ、エーテル化リン酸架橋澱粉を増量した試験例21-2は、参考例21と比較して口溶けが劣っていた。マルトース水あめのみを増量した試験例21-3は、口溶けの効果は向上したものの、試験例21-1にはおよばなかった。
<実験例13>
本技術を用いて、シャーベットを製造した。
(1)シャーベットの製造
下記の表16の材料を用いて下記の方法に従って、シャーベットを製造した。
1.容器に澱粉分解物、増粘・ゲル化剤としてHMペクチン、ローカストビンガム、タマリンドシードガム、砂糖を量り取った。
2.80℃に保温しながらぶどうジュースを加え、撹拌、分散した。
3.10000rpmで3分間ホモジナイズした。
4.容器に移し4℃で1日エージングした。
5.アイスクリームメーカー(KID665,ツインバード工業株式会社製)で15分間撹拌しながらフリージングした。
6.容器に移し、-35℃で1日保存した。
(2)評価
[粘性評価]
3 シャーベットの製造工程4終了後の粘性が、参考例22と比較して高い
2 シャーベットの製造工程4終了後の粘性が、参考例22と同程度である
1 シャーベットの製造工程4終了後の粘性が、参考例22と比較して低い
[オーバーラン]
工程5の後に、オーバーラン(%)を測定した。
(3)結果
結果を表16に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例22-1は、澱粉分解物Iを用いた参考例22と比較して、粘性の評価が高く、オーバーランも高かった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例20-2は、参考例22と比較して、粘性は同程度であったが、オーバーランは低かった。
<実験例14>
本技術を用いて、魚肉ソーセージを製造した。
(1)魚肉ソーセージの製造
下記の表17の材料を用いて下記の方法に従って、魚肉ソーセージを製造した。
1.スケソウダラすり身に澱粉分解物、増粘・ゲル化剤としてリン酸架橋澱粉、キャノーラ油、食塩、水を添加し、よく混錬した。
2.ケーシングに充填し、80℃で20分間ボイルした。
3.冷蔵で1日保存した。
(2)評価
[硬さ評価]
3 参考例23と比較して硬く歯ごたえがある
2 参考例23と同程度の歯ごたえである
1 参考例23と比較して柔らかく歯ごたえがない
(3)結果
結果を表17に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例23-1は、澱粉分解物Iを用いた参考例23と比較して、硬さの評価が高かった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例23-2は、参考例23と同程度の硬さであったが、試験例23-1よりの評価が低かった。
<実施例15>
本技術を用いて、ホイップクリームを製造した。
(1)ホイップクリームの製造
下記の表18の材料を用いて下記の方法に従って、ホイップクリームを製造した。
1.クリームに澱粉分解物、増粘・ゲル化剤としてキサンタンガム、砂糖を添加し、混合、分散した。
2.ミキサー(ケンミックス シェフKM300,株式会社愛工舎製作所製)でホイップした。
3.容器に移し、冷蔵で1日保存した。
(2)評価
[口溶け評価]
3 参考例24と比較して口溶けが良好である
2 参考例24と同程度の口溶けである
1 参考例24と比較して口溶けが悪い
[風味評価]
3 参考例24と比較して風味が良好である
2 参考例24と同程度の風味である
1 参考例24と比較して風味が悪い
(3)結果
結果を表18に示す。
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いた試験例24-1は、澱粉分解物Iを用いた参考例24と比較して、口溶け、風味の評価が高かった。
一方、ヨウ素呈色値が0.15を超えるもののDP8~19が32%未満で、DP20以上が30%を超える澱粉分解物Jを用いた試験例24-2は、参考例24と比較して、風味の評価が低かった。

Claims (8)

  1. グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物と、
    コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、これら澱粉に物理的及び/又は化学的な加工を単独又は複数組み合せて施した加工澱粉、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、ホワイトソルガム粉、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、大豆多糖類、ローカストビンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される一以上の増粘・ゲル化剤と、
    を含有する、改質剤。
  2. 前記澱粉分解物が、グルコース重合度(DP)8以上の含有量が50%以上である、請求項1に記載の改質剤。
  3. 前記澱粉分解物が、β-アミラーゼ消化試験において残存率が20%以下である、請求項1または2に記載の改質剤。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の改質剤を含有する、飲食品組成物。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の改質剤、または、請求項に記載の飲食品組成物が用いられた飲食品。
  6. 前記澱粉分解物を2~50質量%配合する、請求項に記載の飲食品。
  7. 澱粉分解物と増粘・ゲル化剤を含む飲食品の製造方法であって、
    前記澱粉分解物が、
    グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物であり、
    前記増粘・ゲル化剤が、
    コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、これら澱粉に物理的及び/又は化学的な加工を単独又は複数組み合せて施した加工澱粉、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、ホワイトソルガム粉、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、大豆多糖類、ローカストビンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される一以上の増粘・ゲル化剤であり、
    前記澱粉分解物と増粘・ゲル化剤を添加する添加工程を含む、飲食品の製造方法。
  8. 前記澱粉分解物と増粘・ゲル化剤を液体材料と混合する混合工程を含む、請求項に記載の飲食品の製造方法。
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