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JP7632152B2 - 紙積層体 - Google Patents

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JP7632152B2 JP2021121735A JP2021121735A JP7632152B2 JP 7632152 B2 JP7632152 B2 JP 7632152B2 JP 2021121735 A JP2021121735 A JP 2021121735A JP 2021121735 A JP2021121735 A JP 2021121735A JP 7632152 B2 JP7632152 B2 JP 7632152B2
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Description

本発明は、紙積層体に関する。
ヒートシール方式を利用した包装体は、一般の工業製品の包装の他、食品、医薬、医療器具の包装など広く利用されている。たとえば、特許文献1には、少なくともフィルム基材とシーラントを含む積層体からなり、積層体の特定の波長における平行透過光が特定値以下であり、該積層体中に透明ガスバリア層が設けられている包装材料が記載されている。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量のうち、包装容器セクターでのプラスチック生産量が多く、プラスチックごみの原因となっている。プラスチックは半永久的に分解されず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。その対策として、プラスチックを紙に代替することが提案されている。
たとえば、特許文献2には、紙基材と、紙基材の一面にコーティングされたコーティング層と、紙基材の他面に接着層を介して配される熱接着性樹脂層とを備え、コーティング層がガスバリア性を有するとともに、接着層がガスバリア性接着剤により形成される包装紙が記載されている。
特開2020-132263号公報 特開2020-196529号公報
しかしながら、特許文献2に記載の包装紙は、耐衝撃性および加工性について検討されておらず、優れた耐衝撃性および加工性を有する包装紙の開発が望まれている。
そこで、本発明は、耐衝撃性および加工性に優れた紙積層体を提供することを目的とする。
本発明の課題は、以下の構成によって解決することができる。
<1> バリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層をこの順に積層してなる紙積層体であって、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、横方向の引張エネルギー吸収量をY、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、かつ、XおよびYの相乗平均が1.8J/g以上である、紙積層体。
<2> 前記紙基材の坪量が、50g/m以上120g/m以下である、<1>に記載の紙積層体。
<3> 紙積層体の坪量に対する紙基材の坪量の比が、0.5以上である、<1>または<2>に記載の紙積層体。
<4> JIS P 8116:2000に準拠して測定される縦方向および方向の引裂強さの相乗平均が、1000mN以上である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<5> 23℃、50%RHで測定される酸素透過度が10mL/m・atm・day以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<6> 40℃、90%RHで測定される水蒸気透過度が50g/m・day以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<7> 紙積層体の坪量が80g/m以上200g/m以下である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<8> 前記バリアフィルム層の厚さが、5μm以上30μm以下である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<9> 前記バリアフィルム層が、紙基材層側から、基材フィルム、蒸着層、およびオーバーコート層をこの順に有する、<1>~<8>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<10> 前記ヒートシール層の厚さが、70μm以下である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<11> 前記ヒートシール層が、ポリオレフィン樹脂および水分散性樹脂バインダーからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の紙積層体。
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載の紙積層体を用いてなる包装袋。
本発明によれば、耐衝撃性および加工性に優れた紙積層体を提供できる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20~25℃)/相対湿度40~50%の条件で行う。また、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む総称である。
[紙積層体]
本実施形態に係る紙積層体(以下、単に紙積層体ともいう)は、バリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層をこの順に積層してなる紙積層体であって、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、横方向の引張エネルギー吸収量をY、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、かつ、XおよびYの相乗平均が1.8J/g以上である。本実施形態に係る紙積層体は、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、かつ、XおよびYの相乗平均が1.8J/g以上であることにより、耐衝撃性および加工性に優れる。
<紙基材>
(原料パルプ)
本実施形態に係る紙積層体に用いられる紙基材層を構成する紙基材(以下、単に紙基材ともいう)は、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなることが好ましい。「針葉樹パルプを主成分とする原料パルプ」とは、原料パルプ中、針葉樹パルプの含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹パルプの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。針葉樹パルプは、平均繊維長が長く、針葉樹パルプを原料パルプとして用いた紙基材は、優れた耐衝撃性および加工性を有する傾向にある。
針葉樹パルプとしては、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙積層体を得る観点から、好ましくはダグラスファーおよびマツからなる群より選ばれる1種以上から得られたパルプであり、より好ましくはダグラスファーから得られたパルプである。
紙基材を構成する原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
(カッパー価)
JIS P 8211:2011に準拠して測定される、紙基材を構成するパルプのカッパー価は、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙積層体を得る観点から、好ましくは30以上であり、そして、好ましくは60以下、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下である。紙基材を構成するパルプのカッパー価は、JIS P 8220-1:2012に準拠して離解した紙基材パルプを試料として、JIS P 8211:2011に準拠して測定される。
(引張エネルギー吸収量(TEA))
紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をx、横方向の引張エネルギー吸収量をyとしたとき、xおよびyの相乗平均(xとyの積の平方根)が、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙積層体を得る観点から、好ましくは150J/m以上、より好ましくは200J/m以上、さらに好ましくは230J/m以上、よりさらに好ましくは250J/m以上であり、そして、加工性の観点から、好ましくは800J/m以下、より好ましくは700J/m以下、さらに好ましくは600J/m以下、よりさらに好ましくは530J/m以下、よりさらに好ましくは460J/m以下、よりさらに好ましくは420以下J/mである。TEA物性が上記範囲内である紙基材を使用すると、本実施形態のTEA物性を有する紙積層体を得ることができる。
紙基材は、Yに対するXの比(X/Y)が、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下である。
(比引張エネルギー吸収量(TEAI))
紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をx、横方向の比引張エネルギー吸収量をyとしたとき、xおよびyの相乗平均が、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙積層体を得る観点から、好ましくは1.9J/g以上、より好ましくは2.5J/g以上、さらに好ましくは3.0J/g以上であり、そして、その上限は特に限定されないが、好ましくは8.0J/g以下、より好ましくは7.0J/g以下である。TEAI物性が上記範囲内である紙基材を使用すると、本実施形態のTEAI物性を有する紙積層体を得ることができる。
(坪量)
紙基材の坪量は、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙積層体を得る観点から、好ましくは50g/m以上、より好ましくは60g/m以上、さらに好ましくは70g/m以上であり、そして、好ましくは120g/m以下、より好ましくは110g/m以下、さらに好ましくは105g/m以下である。紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
後述する紙積層体の坪量に対する紙基材の坪量の比は、リサイクル性の観点から、好ましくは0.5以上であり、そして、その上限は特に限定されないが、好ましくは0.9以下である。
(厚さ)
紙基材の厚さは、紙積層体の耐衝撃性および加工性の観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは60μm以上、よりさらに好ましくは80μm以上、よりさらに好ましくは100μm以上であり、そして、好ましくは200μm以下、より好ましくは170μm以下、さらに好ましくは150μm以下、よりさらに好ましくは140μm以下である。紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(密度)
紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.3g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上であり、そして、好ましくは1.2g/cm以下、より好ましくは1.0g/cm以下である。紙基材の密度は、上述した測定方法により得られた、紙基材の坪量および厚さから算出される。
(引裂強さ)
紙基材は、耐衝撃性の観点から、JIS P 8116:2000に準拠して測定される縦方向および横方向の引裂強さの相乗平均が、好ましくは1000mN以上、より好ましくは1100mN以上であり、そして、好ましくは1700mN以下、より好ましくは1600mN以下である。
(任意成分)
紙基材には、必要に応じて、たとえば、アニオン性、カチオン性もしくは両性の歩留剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、填料等の内添助剤、耐水化剤、染料、蛍光増白剤等の任意成分を含んでいてもよい。
乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。乾燥紙力増強剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤等の内添サイズ剤、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体等の表面サイズ剤が挙げられる。サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
定着剤としては、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等が挙げられる。定着剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機填料、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機填料が挙げられる。
紙基材としては、たとえば、紙匹を収縮させるクルパック処理を施したクルパック紙等を用いることができる。
<バリアフィルム層>
本実施形態に係る紙積層体は、バリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層をこの順に有するように、紙基材の一方の面に、少なくとも1層のバリアフィルム層を有する。バリアフィルム層は、紙基材層の側から、基材フィルム、蒸着層、およびオーバーコート層をこの順に有することが好ましい。
(厚さ)
バリアフィルム層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。バリアフィルム層の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(基材フィルム)
基材フィルムとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高分子を、必要に応じて延伸し、膜状に形成した樹脂フィルム等が挙げられる。これらの高分子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの中でも、基材フィルムを構成する高分子は、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびナイロンからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などが例示され、ナイロン6が好ましい。
基材フィルムの厚さは、特に限定されないが、たとえば、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは50μm以下、よりさらに好ましくは25μm以下である。
(蒸着層)
蒸着層は、金属からなる層およびセラミックからなる層の少なくともいずれかである。すなわち、蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、および金属層とセラミック層の積層体のいずれであってもよい。なお、蒸着層が金属層とセラミック層との積層体である場合、金属層が基材フィルム側であってもよく、セラミック層が基材フィルム側であってもよく、特に限定されない。
蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、これらの積層体のいずれであってもよいが、セラミックからなる層が好ましい。
蒸着層が金属からなる層である場合、金属の具体例としては、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。
蒸着層がセラミックからなる層である場合、セラミックの具体例としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、および酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素からなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、酸化アルミニウムおよびシリカアルミナからなる群より選択される1種以上であることがさらに好ましい。
蒸着層の厚さは、特に限定されないが、ガスバリア性の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは7nm以上であり、そして、取扱いやすさの観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下、よりさらに好ましくは70nm以下、よりさらに好ましくは50nm以下である。
基材フィルム上に、蒸着層を形成する方法は、特に限定されず、蒸着層を構成する金属またはセラミックを直接真空蒸着する方法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法が挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法が好ましい。
(オーバーコート層)
オーバーコート層は、蒸着層を保護するための層である。オーバーコート層は、特に限定されず、有機化合物、無機化合物、またはその両方を含んでいてもよい。すなわち、オーバーコート層は、有機層、無機層、有機無機ハイブリッド層のいずれであってもよい。有機化合物としては、たとえば、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリロイル化合物または/およびその反応生成物などが挙げられる。無機化合物としては、ケイ素、アルミニウムなどの酸化物等が挙げられる。オーバーコート層は、たとえば、ポリビニルアルコールとケイ素酸化物、(メタ)アクリロイル化合物または/およびその反応生成物を含む層であることが好ましい。
オーバーコート層が(メタ)アクリロイル化合物または/およびその反応生成物を含む層である場合、特に限定されないが、たとえば以下の態様であってもよい。
(メタ)アクリロイル化合物としては、たとえば、(メタ)アクリロイル基を持ちシランカップリング剤ではない化合物と、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤とを架橋共重合した化合物等が挙げられる。(メタ)アクリロイル化合物は、(メタ)アクリロイル基を1分子あたり2個以上有するものが好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤は、少なくとも(メタ)アクリロイル基と加水分解性基とを有する有機ケイ素化合物をいう。
蒸着層上にオーバーコート層を形成する方法としては、たとえば、オーバーコート層を構成するオーバーコート層用の塗工液を塗工および乾燥する方法、オーバーコート層を接着剤により接着する方法、フラッシュ蒸着などの蒸着法等が挙げられる。
オーバーコート層の厚さは、蒸着層の保護の観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上であり、そして、密着性の観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは350nm以下である。
バリアフィルム層としては、市販のバリアフィルムを使用してもよく、たとえば、凸版印刷株式会社製のGL-AE、GL-AEY-W、東洋紡株式会社製のVA607、VN508、東レフィルム加工株式会社製の1011HG-CR等が挙げられる。
<ヒートシール層>
本実施形態に係る紙積層体は、バリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層をこの順に有するように、紙基材の一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有する。ヒートシール層は、加熱、超音波等で溶融し、接着する層である。紙基材上にヒートシール層を欠点なく均質に形成する観点から、本実施形態に係る紙積層体は、紙基材の一方の面に、ヒートシール層を2層以上有することが好ましい。この際、2層以上のヒートシール層の組成は、同じであっても異なっていてもよい。
(厚さ)
ヒートシール層の厚さは、ヒートシール性の観点およびリサイクル性の観点から、たとえば、ヒートシール層を溶融押出や接着剤等を用いて積層して形成した場合、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは70μm以下、より好ましくは60μm以下である。また、たとえば、ヒートシール層用の塗工液を作製して該塗工液を塗工することによりヒートシール層を形成した場合、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、そして、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。ヒートシール層の厚さは、紙積層体の垂直断面について、走査電子顕微鏡(たとえば、株式会社日立ハイテク製、S-3600N)を用いて拡大写真を撮影して測定できる。
ヒートシール層は、ポリオレフィン樹脂および水分散性樹脂バインダーからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。水分散性樹脂バインダーとは、水溶性ではないが、エマルションやサスペンションのように水中で微分散された状態となる樹脂バインダーをいう。なお、水分散性樹脂バインダーが下記の滑剤にも該当する場合は、滑剤に分類するものとする。
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂としては、たとえば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエチレンであり、より好ましくは低密度ポリエチレンである。
(水分散性樹脂バインダー)
水分散性樹脂バインダーとしては、たとえば、エチレン/酢酸ビニル共重合体およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体からなる群より選択される1種以上が好ましく、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、およびエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、エチレン/酢酸ビニル共重合体およびエチレン/(メタ)アクリル酸共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい。
エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体としては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、マイケルマンジャパン合同会社製のMP498345N、MP4983R、MP4990R、住友精化株式会社製のザイクセン(登録商標)A、ザイクセン(登録商標)AC、三井化学株式会社製のケミパールSシリーズ等が挙げられる。
ヒートシール層中の水分散性樹脂バインダーの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上であり、そして、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であれば、高いヒートシール強度を有する紙積層体を得ることができる。
ヒートシール層は、上記樹脂以外に、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、顔料、滑剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
[紙積層体の物性]
<引張エネルギー吸収量(TEA)>
紙積層体は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、横方向の引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均(XとYの積の平方根)が、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙積層体を得る観点から、120J/m以上であり、好ましくは160J/m以上、より好ましくは200J/m以上、さらに好ましくは230J/m以上、よりさらに好ましくは250J/m以上であり、そして、加工性の観点から、好ましくは800J/m以下、より好ましくは700J/m以下、さらに好ましくは600J/m以下、よりさらに好ましくは550J/m以下である。
<比引張エネルギー吸収量(TEAI)>
紙積層体は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙積層体を得る観点から、1.8J/g以上であり、好ましくは2.0J/g以上、より好ましくは2.2J/g以上であり、そして、その上限は特に限定されないが、好ましくは8.0J/g以下、より好ましくは7.0J/g以下である。
<坪量>
紙積層体の坪量は、好ましくは80g/m以上、より好ましくは100g/m以上、さらに好ましくは105g/m以上であり、そして、好ましくは200g/m以下、より好ましくは180g/m以下、さらに好ましくは170g/m以下である。紙積層体の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
<厚さ>
紙積層体の厚さは、紙積層体の耐衝撃性および加工性の観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは120μm以上、さらに好ましくは140μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは250μm以下である。紙積層体の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
<密度>
紙積層体の密度は、加工性の観点から、好ましくは0.4g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上、さらに好ましくは0.6g/cm以上であり、そして、好ましくは1.5g/cm以下、より好ましくは1.2g/cm以下、さらに好ましくは1.0g/cm以下である。紙積層体の密度は、上述した測定方法により得られた、紙積層体の坪量および厚さから算出される。
<引裂強さ>
紙積層体は、耐衝撃性の観点から、JIS P 8116:2000に準拠して測定される縦方向および横方向の引裂強さの相乗平均が、好ましくは1000mN以上、より好ましくは1100mN以上であり、そして、好ましくは1900mN以下、より好ましくは1800mN以下である。
<酸素透過度>
紙積層体は、23℃、50%RHで測定される酸素透過度が、好ましくは10mL/m・atm・day以下、より好ましくは5.0mL/m・atm・day以下、さらに好ましくは2.0mL/m・atm・day以下、よりさらに好ましくは1.0mL/m・atm・day以下、よりさらに好ましくは0.5mL/m・atm・day以下である。酸素透過度の下限は特に限定されない。紙積層体の酸素透過度は、実施例に記載の方法により測定される。
<水蒸気透過度>
紙積層体は、40℃、90%RHで測定される水蒸気透過度は、好ましくは50g/m・day以下、より好ましくは30g/m・day以下、さらに好ましくは10g/m・day以下、よりさらに好ましくは5.0g/m・day以下、よりさらに好ましくは3.0g/m・day以下、よりさらに好ましくは2.0g/m・day以下、よりさらに好ましくは1.8g/m・day以下である。水蒸気透過度の下限は特に限定されない。紙積層体の水蒸気透過度は、実施例に記載の方法により測定される。
[紙積層体の製造方法]
本実施形態の紙積層体の製造方法は、特に限定されない。たとえば、原料パルプのカッパー価を30以上60以下とする蒸解処理を行なう蒸解工程と、蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する叩解工程と、叩解処理した原料パルプを抄紙する抄紙工程と、を含む方法により得られた紙基材の一方の面上に少なくとも1層のバリアフィルム層を積層するバリアフィルム層積層工程と、該紙基材の他方の面上に少なくとも1層のヒートシール層を積層や塗工により形成するヒートシール層形成工程とを含む製造方法が挙げられる。なお、バリアフィルム層積層工程およびヒートシール層形成工程は、いずれを先に行ってもよく、また、たとえばヒートシール層形成工程を2回以上行う場合には、第1のヒートシール層形成工程、バリアフィルム層積層工程、第2のヒートシール層形成工程のように行ってもよく、特に限定されない。当該製造方法のそれぞれの工程について、以下に説明する。
<紙基材の製造方法>
(蒸解工程)
蒸解工程は、原料パルプのカッパー価を好ましくは30以上60以下とする蒸解処理を行なう工程である。特に限定されないが、原料パルプの材料として用いられる原料チップを、水酸化ナトリウムを含む薬液で処理することにより、カッパー価が30以上60以下である原料パルプが得られる。水酸化ナトリウムを含む薬液による処理方法としては、公知の薬液を使用する公知の処理方法を用いることができる。
原料パルプのカッパー価を30以上60以下とすることにより、上記のTEA物性およびTEAI物性を満たし、耐衝撃性および加工性を有する紙基材および該紙基材を用いた紙積層体が得られる。当該観点から、原料パルプのカッパー価は、50以下とすることが好ましく、45以下とすることがより好ましい。
原料パルプの材料として用いられる原料チップは、針葉樹パルプを主成分とすることが好ましい。「針葉樹パルプを主成分とする原料チップ」とは、原料チップ中、針葉樹の含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
原料パルプに、漂白処理を施さなくてもよいし、漂白処理を施してもよい。原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
(叩解工程)
叩解工程は、蒸解処理した原料パルプを好ましくは20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する工程である。叩解処理の方法は特に限定されないが、蒸解処理した原料パルプを水中に分散させて、上記の原料パルプ濃度の分散液を作製し、叩解することが好ましい。叩解処理方法としては、特に限定されないが、たとえば、ダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、コニカルリファイナー等の叩解機を用いて行うことができる。
蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理することにより、上記のTEA物性およびTEAI物性を満たし、耐衝撃性および加工性に優れる紙基材および該紙基材を用いた紙積層体が得られるとともに、生産性に優れる。
(抄紙工程)
抄紙工程は、叩解処理した原料パルプを抄紙する工程である。抄紙方法については、特に限定されず、たとえばpHが4.5付近で抄紙を行う酸性抄紙法、pHが約6~約9で抄紙を行う中性抄紙法等が挙げられる。抄紙工程では、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙工程用薬剤を適宜添加できる。抄紙機についても、特に限定されず、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。
本実施形態の紙積層体に用いられる紙基材は、上述した蒸解工程と、叩解工程と、抄紙工程と、を含む方法により得ることができる。抄紙工程の後に、必要に応じて、クルパック設備を用いて紙匹を収縮させるクルパック工程を有していてもよい。クルパック設備としては、公知のものを用いることができる。なお、本実施形態の紙積層体に用いられる紙基材の製造方法は、上記方法に限定されない。
また、本実施形態の紙積層体の製造方法は、紙基材の表面を薬剤で処理する表面処理工程を含んでいてもよい。表面処理工程に用いられる薬剤としては、サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤等が挙げられる。表面処理工程に用いられる装置としては、公知の装置を用いることができる。
<バリアフィルム層積層工程>
本実施形態の紙積層体の製造方法は、上記のように得られた紙基材の一方の面上に、バリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層をこの順に有するように、バリアフィルム層を積層するバリアフィルム層積層工程を含む。たとえば、紙基材上に接着剤等を用いてバリアフィルム層を接着し、積層することができる。接着剤としては、公知の接着剤を使用することができる。なお、バリアフィルム層を2層以上積層してもよい。
<ヒートシール層形成工程>
本実施形態の紙積層体の製造方法は、上記のように得られた紙基材上の一方の面上に、バリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層をこの順に有するように、ヒートシール層を形成するヒートシール層形成工程を含む。
ヒートシール層を形成する方法としては、ヒートシール層を、溶融押出、接着剤等により積層して形成する方法、ヒートシール層用の塗工液を作製して該塗工液を塗工することにより形成する方法等が例示される。接着剤としては、公知の接着剤を使用することができる。なお、ヒートシール層を二層以上形成してもよい。
紙基材に複数のヒートシール層を形成する場合において、逐次的にヒートシール層を形成する上記の方法が好ましいが、これに限定されるものではなく、同時多層塗工法を採用してもよい。同時多層塗工法とは、複数種の塗工液をそれぞれ別個にスリット状ノズルから吐出させて、液体状の積層体を形成し、それを紙基材上に塗工することにより、多層のヒートシール層を同時に形成する方法である。
ヒートシール層塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、ヒートシール層塗工液の分散媒としては、水系溶媒(好ましくは水)が好ましい。すなわち、ヒートシール層塗工液は、ヒートシール層用水系組成物であることが好ましい。また、ヒートシール層を水系塗工で形成すると、リサイクル性に有利となるとともに、プラスチック使用量の削減によるさらなる環境負荷の低減が見込める。本明細書中、「水系」とは、溶媒中の水の含有量が50質量%以上、好ましくは80質量%以上であることをいう。
ヒートシール層塗工液を紙基材に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いればよい。
ヒートシール層を乾燥するための乾燥設備も、特に限定されず、公知の設備を用いることができる。
ヒートシール層の合計塗工量(乾燥後)は、好ましくは1~50g/mであり、より好ましくは2~30g/mであり、さらにより好ましくは5~20g/mである。
本実施形態の紙積層体は、ヒートシール性、加工性および耐衝撃性に優れるとともに、酸素バリア性および水蒸気バリア性にも優れるため、食品、生活雑貨、日用品(石鹸、入浴剤、粉末洗剤、ウェットティッシュ)、医療医薬品、エレクトロニクスなどの包装袋として好適に使用できる。
以下に、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、以下の操作は23℃、50%RHの条件で行った。また、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[分析および評価]
実施例および比較例の紙積層体について、以下の分析および評価を行った。
<引張エネルギー吸収量、比引張エネルギー吸収量>
引張エネルギー吸収量、比引張エネルギー吸収量は、JIS P 8113:2006に準拠して測定した。
<坪量>
坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定した。
<厚さ>
紙基材、バリアフィルム層の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定した。ヒートシール層の厚さは、紙積層体の垂直断面について、走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、S-3600N)を用いて拡大写真を撮影して測定した。
<引裂強さ>
引裂強さは、JIS P 8116:2000に準拠して測定した。
<酸素透過度>
酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を使用し、23℃かつ50%RHの条件にて測定した。
<水蒸気透過度>
水蒸気透過度は、JIS Z 0208:1976に準拠し、紙積層体のバリアフィルム貼り合わせ面が内側となるように、透湿カップを作製して測定した(条件B:温度40±0.5℃、相対湿度90±2%)。
<ヒートシール性>
得られた紙積層体を幅2.5cm、長さ15cmにカットし、表面と裏面とを14.85cmの面積で重ね合わせたのち、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製)を用いて、温度150℃、圧力0.2MPaで2秒間シールした後、室温まで冷却したのち、手で剥がした時の様子を以下の基準に基づいて評価した。以下の基準でAであれば、実用上問題がない。
A:完全に接着しており、手で簡単に剥がすことが困難である
B:少なくとも一部に接着していない箇所がある
C:まったく接着していない
<ピロー成形加工性の評価>
紙積層体を用いて、縦型ピロー成形機(株式会社川島製作所製、KBF6000X2)により縦15cm、横11cmのピロー袋を作製し、以下の基準で出来栄えを評価した。
A:問題なくピロー袋を成形できる
B:若干成形しづらいが、ピロー袋を成形でき、不具合はない
C:袋形状にはできるが、シワが入る、形が崩れる、シール不良になる等の不具合がある
D:ピロー袋の形にすることが不可能
<耐衝撃性の評価>
縦400mm×横760mmに切った紙積層体を、縦400mm×横380mmになるようにヒートシール層面同士が向き合う形で2つ折りにし、内部に3kgの砂利を入れた状態でシール幅10mmのインパルスシーラー(富士インパルス株式会社製、VG-400)でシールして、三方シール袋を5袋作製した。60cmの高さから「1:底角→2:ボトム→3:サイド→4:サイド→5:トップ→6:表面→7:裏面」の順で三方シール袋をコンクリート床へ落下させ、袋の破損状態を以下の基準で目視にて評価した。
A:上記1から7までを1セットとして、3セット落下させても袋は破損しない(5袋全てが3セットで破損しない)
B:上記1から7までを1セットとして、1セット以内に袋が破損することはないが、2~3セットで袋が破損することがある(5袋中1袋以上が2~3セットで破損する)
C:上記1から7までを1セットとして、1セット以内に袋が破損することがある(5袋中1袋以上が1セット以内に破損する)
D:上記1から7までを1セットとして、5袋全てが1セット以内に袋が破損する
実施例1
<紙基材の作製>
原料チップとして針葉樹であるダグラスファーを用いて、水酸化ナトリウムを含む薬液を用いて蒸解処理を行い、カッパー価45の未晒クラフトパルプである原料パルプを得た。次いで、蒸解処理で得られた原料パルプを水中に分散させて30質量%の分散液を調製した。その後、叩解機として、シングルディスクリファイナーおよびダブルディスクリファイナーを用いて、分散液を叩解し、クラフトパルプを得た。得られたクラフトパルプに、クラフトパルプの絶乾質量中、合成サイズ剤(荒川化学工業株式会社製、サイズパインMXE2)0.2質量%、硫酸バンド1.0質量%、ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製、DS744)0.8質量%、カチオン化澱粉(イングレディオン・ジャパン株式会社製、OPTIBOND3922)0.8質量%を添加し、紙料(紙基材原料)とした。得られた紙料を、クルパック設備を備えた抄紙機を用いて抄紙し、目標坪量100g/mの紙基材(超伸張紙)を作製した(実測坪量は表1に記載、以下同様)。
<紙積層体の作製>
紙基材の一方の面に、延伸PETフィルム上に、酸化アルミニウム蒸着層、オーバーコート層をこの順に積層したバリアフィルム(凸版印刷株式会社製、GL-AE、厚さ12μm)の延伸PETフィルム面を、接着剤(昭和電工株式会社製、ポリゾールAX505ZH)を用いて貼り合せた。さらに、紙基材の反対側の面に低密度ポリエチレン(旭化成株式会社製、L2340)を溶融押出し、厚み50μmになるようラミネートして、ヒートシール層を形成し、紙積層体を作製した。分析および評価結果を表1に示す。
実施例2
紙基材を目標坪量80g/mで抄紙した以外は実施例1と同様にして紙積層体を得た。
実施例3
紙基材として、実施例1の蒸解処理で得られた原料パルプを3質量%に分散させて叩解し、目標坪量83g/mで抄紙して作製した紙基材(伸張紙セメント)を用いたこと以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。
実施例4
紙基材を目標坪量78g/mで抄紙した以外は実施例3と同様にして紙積層体を作製した。
実施例5
紙基材を目標坪量73g/mで抄紙した以外は実施例3と同様にして紙積層体を作製した。
実施例6
実施例1と同様にして得られた紙基材原料を、長網式の連続抄紙機を用いて、目標坪量84g/mで抄紙して紙基材(重包装用紙)を作製した以外は実施例3と同様にして紙積層体を作製した。
実施例7
実施例1で作製した紙基材(超伸張紙)の一方の面に、PETフィルムに酸化アルミニウムを蒸着し、その上にオーバーコート層を積層したバリアフィルム(東洋紡株式会社製、VA607、厚さ12μm)のPETフィルム面を接着剤(昭和電工株式会社製、ポリゾールAX505ZH)を用いて貼り合せた以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。
実施例8
実施例1で作製した紙基材の一方の面に、ナイロンフィルムに酸化アルミニウムを蒸着し、その上にオーバーコート層を積層したバリアフィルム(東洋紡株式会社製、VN508、厚さ15μm)のPETフィルム面を接着剤(昭和電工株式会社製、ポリゾールAX505ZH)を用いて貼り合せた以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。
実施例9
実施例1において、紙基材のガスバリアフィルムを貼り合せた面と反対側の面に、低密度ポリエチレンをラミネートする代わりに、エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー(三井化学株式会社製、ケミパールS-300)を塗工量(固形分)が16g/mとなるように塗工した以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。
比較例1
紙基材を目標坪量75g/mで抄紙した以外は実施例6と同様にして紙積層体を作製した。分析および評価結果を表2に示す。
比較例2
紙基材を目標坪量78g/mで抄紙した以外は実施例6と同様にして紙積層体を作製した。分析および評価結果を表2に示す。
比較例3
紙基材として未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、坪量80g/m)を使用した以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。分析および評価結果を表2に示す。
比較例4
紙基材として未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、坪量100g/m)を使用した以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。分析および評価結果を表2に示す。
比較例5
紙基材として未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、坪量120g/m)を使用した以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。分析および評価結果を表2に示す。
比較例6
紙基材として未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、坪量130g/m)を使用した以外は実施例1と同様にして紙積層体を作製した。分析および評価結果を表2に示す。
表1からわかるように、実施例1~9の紙積層体は、ピロー成形加工性および耐衝撃性に優れていた。一方、表2からわかるように、比較例1~6の紙積層体は、ピロー成形加工性および耐衝撃性に劣っていた。
本発明に係る紙積層体は、ヒートシール性、加工性および耐衝撃性に優れるとともに、酸素バリア性および水蒸気バリア性にも優れるため、食品、生活雑貨、日用品(石鹸、入浴剤、粉末洗剤、ウェットティッシュ)、医療医薬品、エレクトロニクスなどの包装袋として好適に使用できる。

Claims (12)

  1. バリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層をこの順に積層してなる紙積層体であって、該バリアフィルム層が、紙基材側から、基材フィルム、蒸着層、およびオーバーコート層をこの順に有し、基材フィルムを構成する高分子が、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される1種以上であり、JIS P 8113:2006に準拠して測定される、紙積層体の縦方向の引張エネルギー吸収量をX紙積層体の横方向の引張エネルギー吸収量をY、JIS P 8113:2006に準拠して測定される、紙積層体の縦方向の比引張エネルギー吸収量をX紙積層体の横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が250J/m以上であり、かつ、XおよびYの相乗平均が1.8J/g以上である、紙積層体。
  2. 前記紙基材の坪量が、50g/m以上120g/m以下である、請求項1に記載の紙積層体。
  3. 紙積層体の坪量に対する紙基材の坪量の比が、0.5以上である、請求項1または2に記載の紙積層体。
  4. JIS P 8116:2000に準拠して測定される、紙積層体の縦方向および横方向の引裂強さの相乗平均が、1000mN以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の紙積層体。
  5. 23℃、50%RHで測定される、紙積層体の酸素透過度が10mL/m・atm・day以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の紙積層体。
  6. 40℃、90%RHで測定される、紙積層体の水蒸気透過度が50g/m・day以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の紙積層体。
  7. 紙積層体の坪量が80g/m以上200g/m以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の紙積層体。
  8. 前記バリアフィルム層の厚さが、5μm以上30μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の紙積層体。
  9. 前記紙基材を構成するパルプのカッパー価が、30以上60以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の紙積層体。
  10. 前記ヒートシール層の厚さが、70μm以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の紙積層体。
  11. 前記ヒートシール層が、ポリオレフィン樹脂および水分散性樹脂バインダーからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の紙積層体。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の紙積層体を用いてなる包装袋。
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