以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
また、以下の説明において、n+、n、n-及び、p+、p、p-の表記がある場合、それらの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn+はnよりもn型不純物濃度が相対的に高く、n-はnよりもn型不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p+はpよりもp型不純物濃度が相対的に高く、p-はpよりもp型不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n+型、n-型を単にn型、p+型、p-型を単にp型と記載する場合もある。
なお、本明細書中、別段の記載がない限り、「不純物濃度」とは、反対導電型の不純物の濃度を補償した濃度を意味するものとする。すなわち、n型の炭化珪素領域のn型不純物濃度とは、n型不純物の濃度からp型不純物の濃度を引いた濃度を意味する。また、p型の炭化珪素領域のp型不純物濃度とは、p型不純物の濃度からn型不純物の濃度を引いた濃度を意味する。なお、本明細書中、別段の記載がない限り、「炭化珪素領域の不純物濃度」は、該当する炭化珪素領域の最大不純物濃度である。
不純物濃度は、例えば、Time of Flight-Secondary Ion Mass Spectrometry(TOF-SIMS)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、Scanning Capacitance Microscopy(SCM)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さなどの距離は、例えば、TOF-SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とAtomic Force Microscope(AFM)像との合成画像から求めることが可能である。
また、配線の幅は、例えば、Scanning Electron Microscope(SEM)又はTransmission Electron Microscope(TEM)で測定することが可能である。また、配線の電気抵抗又はシート抵抗は、例えば、配線を構成する材料の比抵抗に基づき算出することができる。また、配線の電気抵抗又はシート抵抗は、例えば、配線抵抗の直接測定に基づき算出することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、トランジスタ及び第1のダイオードを含む素子領域と、素子領域を囲み、第2のダイオードを含む終端領域と、素子領域と終端領域との間に設けられ、トランジスタ、第1のダイオード、及び第2のダイオードを含まない中間領域と、
を備える。素子領域は、第1の電極と、第2の電極と、ゲート電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられ、第1の電極の側の第1の面と、第2の電極の側の第2の面とを有する炭化珪素層であって、第1の面に接しゲート電極と対向する第1の領域と、第1の面に接し第1の電極と接する第2の領域と、を有する第1導電型の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の領域と隣り合い、ゲート電極に対向し、第1の電極と電気的に接続された第2導電型の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の電極と電気的に接続された第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、ゲート電極と第2の炭化珪素領域との間、ゲート電極と第1の領域との間、及びゲート電極と第3の炭化珪素領域との間に設けられたゲート絶縁層と、を含む。終端領域は、第1の電極に電気的に接続され、第1の面に平行な第1の方向に垂直で第1の面に平行な第2の方向に延びる第1の部分と、第2の方向に延び第1の部分との間に第1の電極を挟む第2の部分と、第1の方向に延びる第3の部分と、第1の方向に延び第3の部分との間に第1の電極を挟む第4の部分を有する第1の配線層と、第2の電極と、第1の面に接し第1の配線層と接する第3の領域を有する第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ第1の配線層と電気的に接続された第2導電型の第4の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、を含む。中間領域は、ゲート電極パッドと、ゲート電極パッド及びゲート電極に電気的に接続され、第2の方向に延び第1の部分と第1の電極との間に設けられた第1線と、第2の方向に延び第2の部分と第1の電極との間に設けられた第2線と、を有する第2の配線層と、第2の電極と、第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電型の第5の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、第1の電極と第4の部分とを電気的に接続する第1の接続層と、第1の電極と第3の部分とを電気的に接続する第2の接続層と、を含む。トランジスタは、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、第1の領域と、第2の炭化珪素領域と、第3の炭化珪素領域と、を含み、第1のダイオードは、第1の電極と、第2の領域と、を含み、第2のダイオードは、第1の配線層と、第3の領域と、を含む。
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図1(a)は、素子領域、終端領域、及び中間領域のレイアウトパターンを示す。図1(b)は、第1の電極、第1の配線層、第1の接続層、第2の接続層、ゲートパッド電極、及び第2の配線層のレイアウトパターンを示す。
図2は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図2(a)は、素子領域、終端領域、及び中間領域のレイアウトパターンを示す。図2(b)は、ゲート電極、ゲート配線層、及びゲートパッド電極のレイアウトパターンを示す。
図3は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図3は、図1、図2に示すAA’断面である。
図4は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図4は、図3に対応する上面図である。図4は、半導体層の第1の面の側のレイアウトパターンを示す。図4は、第1の電極及び層間絶縁層を除いた状態を示す。
図5は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図5は、図1、図2に示すBB’断面である。
図6は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図6は、図1、図2に示すCC’断面である。
図7は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図7は、図1、図2に示すDD’断面である。
図8は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図8は、図1、図2に示すEE’断面である。
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET100である。MOSFET100は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、Double Implantation MOSFET(DIMOSFET)である。また、第1の実施形態の半導体装置は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。MOSFET100は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
MOSFET100は、素子領域101、終端領域102、及び中間領域103を、備える。
素子領域101は、複数のMOSFET領域と複数のSBD領域を含む。MOSFET領域は、トランジスタTrを含む。SBD領域は、第1のダイオードD1を含む。終端領域102は、第2のダイオードD2を含む。
MOSFET100は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、第1の配線層20、第1の接続層21、第2の接続層22a、第2の接続層22b、ゲート電極パッド24、ゲート配線層25、第2の配線層26、層間絶縁層28、及びフィールド絶縁層30を備える。第1の配線層20は、第1の部分20a、第2の部分20b、第3の部分20c、及び第4の部分20dを有する。第2の配線層26は、第1線26a及び第2線26bを有する。
ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
以下の説明において、第2の接続層22aと第2の接続層22bを総称して、第2の接続層22と称する場合がある。
炭化珪素層10は、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域36(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域38(第3の炭化珪素領域)、p型のリサーフ領域40(第4の炭化珪素領域)、及びp型の接続領域42(第5の炭化珪素領域)を含む。ドリフト領域34は、JFET領域34a(第1の領域)、第1のJBS領域34b(第2の領域)、第2のJBS領域34c(第3の領域)、及び下部領域34dを有する。ボディ領域36は、低濃度ボディ領域36aと高濃度ボディ領域36bを有する。リサーフ領域40は、低濃度リサーフ領域40a及び高濃度リサーフ領域40bを有する。
ドリフト領域34は、第1の炭化珪素領域の一例である。ボディ領域36は、第2の炭化珪素領域の一例である。JFET領域34aは、第1の領域の一例である。第1のJBS領域34bは、第2の領域の一例である。第2のJBS領域34cは、第3の領域の一例である。ソース領域38は、第3の炭化珪素領域の一例である。リサーフ領域40は、第4の炭化珪素領域の一例である。接続領域42は、第5の炭化珪素領域の一例である。なお、JBSは、Junction Barrier Schotkkyの省略形である。
素子領域101は、図3に示すように、複数のMOSFET領域と複数のSBD領域を含む。MOSFET領域は、トランジスタTrを含む。SBD領域は、第1のダイオードD1を含む。
MOSFET領域は、第1の方向に延びる。MOSFET領域は、第2の方向に繰り返し配置される。
SBD領域は、第1の方向に延びる。SBD領域は、第2の方向に繰り返し配置される。第2の方向において隣り合うSBD領域の間には、2つのMOSFET領域が設けられる。MOSFET100では、MOSFET領域とSBD領域の割合は2対1である。
MOSFET領域とSBD領域の割合は2対1に限定されない。例えば、1対1、又は3対1、あるいは、その他の割合であっても構わない。
素子領域101は、図1(b)、図2(b)、及び図3に示されるように、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、及び層間絶縁層28を含む。
素子領域101の炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
炭化珪素層10は、第1の面(図3中“P1”)と第2の面(図3中“P2”)とを備える。以下、第1の面P1を表面、第2の面P2を裏面と称する場合がある。第1の面P1は、炭化珪素層10のソース電極12側に位置する。また、第2の面P2は、炭化珪素層10のドレイン電極14側に位置する。第1の面P1と第2の面P2は対向する。なお、以下、「深さ」とは、第1の面を基準として第2の面に向かう方向の深さを意味する。
第1の面は、第1の方向及び第2の方向に平行である。第2の方向は、第1の方向に垂直である。
第1の面P1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。また、第2の面P2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。
炭化珪素層10の厚さは、例えば、5μm以上150μm以下である。
素子領域101の炭化珪素層10は、図3に示されるように、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域36(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域38(第3の炭化珪素領域)を含む。ドリフト領域34は、JFET領域34a(第1の領域)、第1のJBS領域34b(第2の領域)、及び下部領域34dを有する。ボディ領域36は、低濃度ボディ領域36aと高濃度ボディ領域36bを有する。
n+型のドレイン領域32は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドレイン領域32のn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32と第1の面P1との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、ゲート電極18とドレイン電極14との間に設けられる。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32上に設けられる。ドリフト領域34は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドリフト領域34のn型不純物濃度は、ドレイン領域32のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域34のn型不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。ドリフト領域34の厚さは、例えば、5μm以上150μm以下である。
n-型のドリフト領域34は、JFET領域34a、第1のJBS領域34b、及び、下部領域34dを有する。
JFET領域34aは、下部領域34dと第1の面P1との間に設けられる。JFET領域34aは、第1の面P1に接する。JFET領域34aは、隣り合う2つのボディ領域36の間に設けられる。
JFET領域34aは、第1の方向に延びる。JFET領域34aは、ゲート絶縁層16を間に挟んでゲート電極18と対向する。
JFET領域34aは、MOSFET100の電流経路として機能する。JFET領域34aのn型不純物濃度は、例えば、下部領域34dのn型不純物濃度よりも高い。JFET領域34aのn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上2×1017cm-3以下である。
第1のJBS領域34bは、下部領域34dと第1の面P1との間に設けられる。第1のJBS領域34bは、第1の面P1に接する。第1のJBS領域34bは、隣り合う2つのボディ領域36の間に設けられる。
第1のJBS領域34bは、第1の方向に延びる。第1のJBS領域34bは、ソース電極12に接する。
第1のダイオードD1は、SBDである。第1のJBS領域34bのn型不純物濃度は、例えば、下部領域34dのn型不純物濃度よりも高い。第1のJBS領域34bのn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上2×1017cm-3以下である。
p型のボディ領域36は、ドリフト領域34と第1の面P1との間に設けられる。ボディ領域36は、第1の方向に延びる。ボディ領域36は、MOSFET100のチャネル領域として機能する。ボディ領域36は、トランジスタTrのチャネル領域として機能する。
ボディ領域36の深さは、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
ボディ領域36は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディ領域36は、ソース電極12の電位に固定される。
ボディ領域36の一部は第1の面P1に接する。ボディ領域36の一部はゲート電極18に対向する。ボディ領域36の一部は、MOSFET100のチャネル領域となる。ボディ領域36の一部とゲート電極18との間に、ゲート絶縁層16が挟まれる。
ボディ領域36は、JFET領域34aと隣り合う。ボディ領域36は、JFET領域34aに接する。
ボディ領域36は、低濃度ボディ領域36aと高濃度ボディ領域36bを有する。高濃度ボディ領域36bは、低濃度ボディ領域36aとソース電極12との間に設けられる。高濃度ボディ領域36bは、ソース電極12と接する。
ボディ領域36は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。低濃度ボディ領域36aのp型不純物は、高濃度ボディ領域36bのp型不純物濃度よりも低い。低濃度ボディ領域36aのp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である。高濃度ボディ領域36bのp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
ボディ領域36は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディ領域36と、ソース電極12との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。ボディ領域36は、ソース電極12の電位に固定される。
n+型のソース領域38は、ボディ領域36と第1の面P1との間に設けられる。ソース領域38は、第1の方向に延びる。
ソース領域38は、例えば、リン(P)又は窒素(N)をn型不純物として含む。ソース領域38のn型不純物濃度は、ドリフト領域34のn型不純物濃度よりも高い。
ソース領域38のn型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。ソース領域38の深さは、ボディ領域36の深さよりも浅い。ソース領域38の深さは、例えば、0.05μm以上0.2μm以下である。
ソース領域38は、ソース電極12に接する。ソース領域38は、ソース電極12に電気的に接続される。ソース領域38とソース電極12との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。ソース領域38は、ソース電極12の電位に固定される。
ゲート電極18は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ゲート電極18は、例えば、第1の方向に延びる。複数のゲート電極18が、第2の方向に、互いに並行に配置される。ゲート電極18は、ストライプ形状を有する。
ゲート電極18は、導電層である。ゲート電極18は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
ゲート電極18は、ボディ領域36と対向する。ゲート電極18は、JFET領域34aと対向する。
ゲート絶縁層16は、ゲート電極18とボディ領域36との間に設けられる。ゲート絶縁層16は、ゲート電極18とJFET領域34aとの間に設けられる。ゲート絶縁層16は、ゲート電極18とソース領域38との間に設けられる。
ゲート絶縁層16は、例えば、酸化シリコンである。ゲート絶縁層16には、例えば、High-k絶縁材料(高誘電率絶縁材料)が適用可能である。
層間絶縁層28は、ゲート電極18上及び炭化珪素層10上に設けられる。層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコンである。
ソース電極12は、炭化珪素層10に接する。ソース電極12は、ソース領域38に接する。ソース電極12は、ボディ領域36に接する。ソース電極12は、高濃度ボディ領域36bに接する。ソース電極12は、第1のJBS領域34bに接する。
ソース電極12は、例えば、シリサイド層12xとメタル層12yとを有する。シリサイド層12xは、炭化珪素層10とメタル層12yとの間に設けられる。シリサイド層12xは、第1の方向に延びる。
シリサイド層12xは、ソース領域38に接する。シリサイド層12xは、ボディ領域36に接する。シリサイド層12xは、高濃度ボディ領域36bに接する。
ソース電極12は第1のダイオードD1のアノードとして機能する。
ソース電極12のシリサイド層12xは、シリサイドを含む。シリサイド層12xは、例えば、ニッケルシリサイド又はチタンシリサイドである。
ソース電極12と、ソース領域38との間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。ソース電極12と、ボディ領域36との間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。ソース電極12と、高濃度ボディ領域36bとの間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。
ソース電極12のメタル層12yは、金属を含む。メタル層12yは、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
メタル層12yは、第1のJBS領域34bに接する。ソース電極12と、第1のJBS領域34bとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。メタル層12yと、第1のJBS領域34bとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域32に接する。
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
図3に示すように、トランジスタTrは、ゲート電極18と、ゲート絶縁層16と、JFET領域34aと、ボディ領域36と、ソース領域38と、ソース電極12と、ドレイン電極14を含む。MOSFET100がオン状態の時には、トランジスタTrによって、ドレイン電極14から、ソース電極12に電流が流れる。
図3に示すように、第1のダイオードD1は、ソース電極12と、第1のJBS領域34bと、ドレイン電極14を含む。第1のダイオードD1に順バイアスが印加された時には、ソース電極12から、ドレイン電極14に電流が流れる。
終端領域102は、図1(a)に示されるように、素子領域101を囲む。終端領域102は第2のダイオードD2を含む。終端領域102は、MOSFET100がオフ状態の際に、素子領域101のpn接合の終端部に印加される電界の強度を緩和する。終端領域102は、MOSFET100の絶縁破壊耐圧を向上させる機能を有する。
終端領域102は、図1(b)、図5、図6、図7、及び図8に示されるように、炭化珪素層10、第1の配線層20、ドレイン電極14(第2の電極)、層間絶縁層28、及びフィールド絶縁層30を含む。
終端領域102の炭化珪素層10は、第1の配線層20とドレイン電極14との間に設けられる。
終端領域102の炭化珪素層10は、図5~図8に示されるように、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、及びp型のリサーフ領域40(第4の炭化珪素領域)を含む。ドリフト領域34は、第2のJBS領域34c(第3の領域)、及び下部領域34dを有する。リサーフ領域40は、低濃度リサーフ領域40a及び高濃度リサーフ領域40bを有する。
n+型のドレイン領域32は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32と第1の面P1との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、第1の配線層20とドレイン電極14との間に設けられる。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32上に設けられる。ドリフト領域34は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、第2のJBS領域34c、及び、下部領域34dを有する。
第2のJBS領域34cは、下部領域34dと第1の面P1との間に設けられる。第2のJBS領域34cは、第1の面P1に接する。第2のJBS領域34cは、隣り合う2つのリサーフ領域40の間に設けられる。第2のJBS領域34cは、第1の配線層20に接する。
第2のダイオードD2はSBDである。第2のJBS領域34cのn型不純物濃度は、例えば、下部領域34dのn型不純物濃度よりも高い。第2のJBS領域34cのn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上2×1017cm-3以下である。
p型のリサーフ領域40は、ドリフト領域34と第1の面P1との間に設けられる。リサーフ領域40の深さは、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
リサーフ領域40は、第1の配線層20に電気的に接続される。リサーフ領域40と第1の配線層20との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。リサーフ領域40は、第1の配線層20の電位に固定される。
リサーフ領域40は、低濃度リサーフ領域40aと高濃度リサーフ領域40bを有する。高濃度リサーフ領域40bは、低濃度リサーフ領域40aと第1の配線層20との間に設けられる。高濃度リサーフ領域40bは、第1の配線層20と接する。
リサーフ領域40は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。低濃度リサーフ領域40aのp型不純物は、高濃度リサーフ領域40bのp型不純物濃度よりも低い。低濃度リサーフ領域40aのp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である。高濃度リサーフ領域40bのp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
層間絶縁層28は、フィールド絶縁層30上に設けられる。層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコンである。
フィールド絶縁層30は、炭化珪素層10上に設けられる。フィールド絶縁層30は、例えば、酸化シリコンである。
図1(b)に示されるように、第1の配線層20は、ソース電極12を囲む。第1の配線層20は、ソース電極12に電気的に接続される。
第1の配線層20は、第1の部分20a、第2の部分20b、第3の部分20c、及び第4の部分20dを有する。第1の部分20aは、第2の方向に延びる。第2の部分20bは、第2の方向に延びる。ソース電極12は、第1の部分20aと第2の部分20bとの間に挟まれる。第3の部分20cは、第1の方向に延びる。第4の部分20dは、第1の方向に延びる。ソース電極12は、第3の部分20cと第4の部分20dとの間に挟まれる。
第1の配線層20は、炭化珪素層10に接する。第1の配線層20は、リサーフ領域40に接する。第1の配線層20は、高濃度リサーフ領域40bに接する。
第1の配線層20は、例えば、シリサイド層20xとメタル層20yとを有する。シリサイド層20xは、炭化珪素層10とメタル層20yとの間に設けられる。
シリサイド層20xは、リサーフ領域40に接する。シリサイド層20xは、高濃度リサーフ領域40bに接する。
第1の配線層20は第2のダイオードD2のアノードとして機能する。
第1の配線層20のシリサイド層20xは、シリサイドを含む。シリサイド層20xは、例えば、ニッケルシリサイド又はチタンシリサイドである。
第1の配線層20と、リサーフ領域40との間のコンタクトは、シリサイド層20xを設けることでオーミックコンタクトとなる。第1の配線層20と、高濃度リサーフ領域40bとの間のコンタクトは、シリサイド層20xを設けることでオーミックコンタクトとなる。
第1の配線層20のメタル層20yは、金属を含む。メタル層20yは、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
メタル層12yは、第2のJBS領域34cに接する。第1の配線層20と、第1のJBS領域34bとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。メタル層20yと、第2のJBS領域34cとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域32に接する。
図5~図8に示すように、第2のダイオードD2は、第1の配線層20と、第2のJBS領域34cと、ドレイン電極14を含む。第2のダイオードD2に順バイアスが印加された時には、第1の配線層20から、ドレイン電極14に電流が流れる。
中間領域103は、図1(a)に示されるように、素子領域101と終端領域102との間に設けられる。中間領域103は、素子領域101を囲む。終端領域102は、中間領域103を囲む。
中間領域103は、トランジスタTr、第1のダイオードD1、及び第2のダイオードD2を含まない。
中間領域103は、図1(b)、図2(b)、図5~図8に示されるように、炭化珪素層10、第1の接続層21、第2の接続層22a、第2の接続層22b、ゲート電極パッド24、ゲート配線層25、第2の配線層26、ドレイン電極14(第2の電極)、層間絶縁層28、及びフィールド絶縁層30を含む。
中間領域103の炭化珪素層10は、第1の接続層21とドレイン電極14との間、第2の接続層22とドレイン電極14との間、第2の配線層26とドレイン電極14との間、及びゲート電極パッド24とドレイン電極14との間に設けられる。
中間領域103の炭化珪素層10は、図5~図8に示されるように、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、及びp型の接続領域42(第5の炭化珪素領域)を含む。
n+型のドレイン領域32は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32と第1の面P1との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、第1の接続層21とドレイン電極14との間に設けられる。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32上に設けられる。ドリフト領域34は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、下部領域34dを有する。
p型の接続領域42は、ドリフト領域34と第1の面P1との間に設けられる。接続領域42の深さは、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
接続領域42は、ボディ領域36とリサーフ領域40との間に設けられる。接続領域42は、例えば、ボディ領域36と接する。接続領域42は、例えば、リサーフ領域40と接する。接続領域42、ボディ領域36、及びリサーフ領域40は、例えば、連続している。接続領域42、ボディ領域36、及びリサーフ領域40は、例えば、同一の製造工程を用いて同時に形成される。
接続領域42は、例えば、ボディ領域36を経由してソース電極12に電気的に接続される。接続領域42は、例えば、リサーフ領域40を経由して第1の配線層20に電気的に接続される。
接続領域42は、例えば、ソース電極12の電位に固定される。接続領域42は、例えば、第1の配線層20の電位に固定される。
接続領域42は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。接続領域42のp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である。
ゲート配線層25は、第2の配線層26と炭化珪素層10との間に設けられる。ゲート配線層25は、ゲート電極パッド24に電気的に接続される。ゲート配線層25は、ゲート電極18に電気的に接続される。ゲート配線層25は、第1の配線層20に電気的に接続される。
ゲート配線層25は、第2の方向に延びる第1のゲート線25aと、第2の方向に延びる第2のゲート線25bを含む。第1のゲート線25aと第2のゲート線25bとの間に、ゲート電極18が挟まれる。
ゲート配線層25は、導電層である。ゲート配線層25は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
層間絶縁層28は、フィールド絶縁層30上に設けられる。層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコンである。
フィールド絶縁層30は、炭化珪素層10上に設けられる。フィールド絶縁層30は、例えば、酸化シリコンである。
第1の接続層21は、炭化珪素層10の第1の面P1側に設けられる。第1の接続層21は、ソース電極12と第1の配線層20との間に設けられる。第1の接続層21は、ソース電極12と、第1の配線層20の第4の部分20dとの間に設けられる。
第1の接続層21はソース電極12に接する。第1の接続層21は、第1の配線層20の第4の部分20dに接する。第1の接続層21は、ソース電極12及び第1の配線層20の第4の部分20dに電気的に接続される。
第1の接続層21は、金属を含む。第1の接続層21は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
第2の接続層22は、炭化珪素層10の第1の面P1側に設けられる。第2の接続層22は、ソース電極12と第1の配線層20との間に設けられる。第2の接続層22は、ソース電極12と、第1の配線層20の第3の部分20cとの間に設けられる。第2の接続層22と第1の接続層21との間にソース電極12が挟まれる。
第2の接続層22は、例えば、第2の方向において、ゲート電極パッド24と第2の配線層26との間に設けられる。ゲート電極パッド24と第2の配線層26は、例えば、第2の接続層22と炭化珪素層10との間のゲート配線層25を経由して電気的に接続される。ゲート電極パッド24と第2の配線層26は、例えば、第2の接続層22の下のゲート配線層25を経由して電気的に接続される。
第2の接続層22はソース電極12に接する。第2の接続層22は、第1の配線層20の第3の部分20cに接する。第2の接続層22は、ソース電極12と第1の配線層20の第3の部分20cを電気的に接続する。
例えば、第2の接続層22aは、ソース電極12と、第1の配線層20の第3の部分20cとの間に設けられる。例えば、第2の接続層22bは、ソース電極12と、第1の配線層20の第3の部分20cとの間に設けられる。
第2の接続層22は、金属を含む。第2の接続層22は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
ゲート電極パッド24は、炭化珪素層10の第1の面P1側に設けられる。ゲート電極パッド24は、金属を含む。ゲート電極パッド24は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
第2の配線層26は、炭化珪素層10の第1の面P1側に設けられる。第2の配線層26は、ゲート電極パッド24に電気的に接続される。
第2の配線層は、第1線26a及び第2線26bを有する。第1線26aの一部は、第2の方向に延びる。第2線26bの一部は、第2の方向に延びる。
第1線26aは、第1の配線層20の第1の部分20aと、ソース電極12との間に設けられる。第2線26bは、第1の配線層20の第2の部分20bと、ソース電極12との間に設けられる。
第2の配線層26は、金属を含む。第2の配線層26は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
例えば、ソース電極12、第1の配線層20、第1の接続層21、第2の接続層22、ゲート電極パッド24、及び第2の配線層26は、同一材料を含む。例えば、ソース電極12、第1の配線層20、第1の接続層21、第2の接続層22、ゲート電極パッド24、及び第2の配線層26は、チタン及びアルミニウムを含む。例えば、ソース電極12、第1の配線層20、第1の接続層21、第2の接続層22、ゲート電極パッド24、及び第2の配線層26は、同一の製造工程を用いて同時に形成される。
素子領域101に設けられたゲート電極18は、ゲート配線層25及び第2の配線層26を経由してゲート電極パッド24に電気的に接続される。
第2の配線層26は、金属を含む。第2の配線層26は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域32に接する。
次に、第1の実施形態のMOSFET100の作用及び効果について説明する。
図9は、第1の実施形態の半導体装置の等価回路図である。MOSFET100では、素子領域101のソース電極12とドレイン電極14との間に、トランジスタに並列にpn接合ダイオードとSBDとが内蔵ダイオードとして接続される。ボディ領域36がpn接合ダイオードのアノード側であり、ドリフト領域34がpn接合ダイオードのカソード側である。また、ソース電極12がSBDのアノードであり、ドレイン電極14がSBDのカソードとなる。
例えば、MOSFET100が、誘導性負荷に接続されたスイッチング素子として用いられる場合を考える。MOSFET100のオフ時に、誘導性負荷に起因する誘導電流により、ソース電極12にドレイン電極14に対し正となる電圧が印加される場合がある。この場合、内蔵ダイオードに順方向電流が流れる。この状態は、逆導通状態とも称される。
仮にMOSFETがSBDを備えない場合、pn接合ダイオードに順方向電流が流れる。pn接合ダイオードはバイポーラ動作をする。バイポーラ動作するpn接合ダイオードを用いて還流電流を流すと、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層中に積層欠陥が成長する。炭化珪素層中に積層欠陥が成長すると、MOSFETのオン抵抗が増大するという問題が生ずる。MOSFETのオン抵抗の増大は、MOSFETの信頼性の低下を招く。
MOSFET100は、SBDを備える。SBDに順方向電流が流れ始める順方向電圧(Vf)は、pn接合ダイオードの順方向電圧(Vf)よりも低い。したがって、pn接合ダイオードに先立ち、SBDに順方向電流が流れる。
SBDの順方向電圧(Vf)は、例えば、1.0V以上2.0V未満である。pn接合ダイオードの順方向電圧(Vf)は、例えば、2.0V以上3.0V以下である。
SBDはユニポーラ動作をする。このため、順方向電流が流れても、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層10中に積層欠陥が成長することはない。したがって、MOSFET100のオン抵抗の増大が抑制される。よって、MOSFET100の信頼性が向上する。
また、SBDに順方向電流が流れることにより、pn接合ダイオードのN側の電圧が上昇し、SBD近傍のpn接合に加わる電圧が実効的に低下する。したがって、SBDを設けることにより、SBD近傍のpn接合ダイオードの順方向電圧(Vf)を実効的に高くすることができる。したがって、pn接合ダイオードに順方向電流が流れることが抑制される。言い換えれば、pn接合ダイオードの動作開始電圧を高くすることができる。よって、MOSFET100の信頼性が向上する。
ここで、MOSFETのソース電極とドレイン電極との間に、瞬間的にソース電極12を正とする大きなサージ電圧が印加される場合がある。大きなサージ電圧が印加されると、MOSFETに大きなサージ電流が流れ、MOSFETが破壊する場合がある。
MOSFETに許容されるサージ電流の最大許容ピーク電流値はサージ電流耐量と称される。SBDを設けたMOSFETにおいて、信頼性を向上させる観点から、サージ電流耐量を向上させることが望まれる。
図10は、比較例の半導体装置の模式上面図である。図10は、比較例の半導体装置の模式断面図である。比較例の半導体装置は、MOSFET900である。図10は、第1の実施形態の図1に対応する図である。
比較例のMOSFET900は、中間領域103に第2の接続層22が設けられない点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
図11は、比較例の半導体装置の模式断面図である。図11は、図10に示すEE’断面である。図11は、第1の実施形態の図8に対応する図である。
図11に示すように、MOSFET900には、MOSFET100と異なり、ソース電極12と第1の配線層20の第3の部分20cを電気的に接続する第2の接続層22は設けられない。ソース電極12と第3の部分20cとの間には、第2の配線層26が設けられる。
図12は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図12(a)は比較例の半導体装置の上面図である。図12(b)は、第1の実施形態の半導体装置の上面図である。図12(a)は、図10(b)に対応する図である。図12(b)は、図1(b)に対応する図である。
図12(a)及び図12(b)には、MOSFETのソース電極12にサージ電圧が印加された場合の、サージ電流の経路を矢印で示す。図12(a)には、サージ電流による破壊個所を星印で示す。
MOSFET900にソース電極12を正とするサージ電圧が印加され、ソース電極12に印加されるサージ電圧が、素子領域101の第1のダイオードD1の順方向電圧(Vf)を超えると、第1のダイオードD1に順方向電流が流れ出す。
また、MOSFET900にソース電極12を正とするサージ電圧が印加されると、ソース電極12に電気的に接続された第1の配線層20にもサージ電圧が印加される。第1の配線層20に印加されるサージ電圧が、終端領域102の第2のダイオードD2の順方向電圧(Vf)を超えると、第2のダイオードD2に順方向電流が流れ出す。
第2のダイオードD2に順方向電流が流れ出すと、図12(a)に黒矢印で示すように、ソース電極12から、第1の接続層21、第1の配線層20の第4の部分20d、第1の配線層20の第1の部分20a、第1の配線層20の第3の部分20cに電流が流れる。
例えば、第3の部分20cの位置Yにおける電位は、第1の配線層20の電気抵抗に基づく電圧降下により、ソース電極12の位置Xにおける電位よりも低くなる。このため、例えば、第3の部分20cの位置Yの下にある第2のダイオードD2に流れる順方向電流は、ソース電極12の位置Xの下にある第1のダイオードD1に流れる順方向電流よりも小さくなる。
第2のダイオードD2に順方向電流が流れることにより、第2のダイオードD2の近傍のpn接合ダイオードのN側の電圧が上昇し、pn接合に加わる電圧が実効的に低下する。しかし、第2のダイオードD2に流れる順方向電流が小さいと、pn接合に加わる電圧の低下が抑制される。
よって、第2のダイオードD2の近傍のpn接合ダイオードに順方向電流が流れやすくなる。言い換えれば、第2のダイオードD2の近傍のpn接合ダイオードの動作開始電圧が低くなる。
このため、例えば、位置Xの下にある第1のダイオードD1の近傍のpn接合ダイオードよりも、位置Yの下にある第2のダイオードD2の近傍のpn接合ダイオードの動作の開始が早くなる。言い換えれば、位置Yの下のpn接合ダイオードが早くバイポーラ動作を開始し、位置Yの下のpn接合ダイオードに大きな順方向電流が流れる。
位置Yの下にあるpn接合ダイオードに大きな順方向電流が流れることにより、第1の配線層20に大きな電流が流れることになる。第1の配線層20に大きな電流が流れることで、第1の接続層21と第4の部分20dとが接する角部(図12(a)中の星印)の電流密度が高くなる。この結果、第1の接続層21と第4の部分20dとが接する角部(図12(a)中の星印)の発熱量が大きくなり、第1の配線層20が溶断する。よって、MOSFET900のサージ電流耐量が低下する。
第1の実施形態のMOSFE100では、ソース電極12と第1の配線層20の第3の部分20cとを電気的に接続する第2の接続層22が設けられる。第2の接続層22が設けられることで、第3の部分20cの位置Yとソース電極12の位置Xとの間の電気抵抗は、比較例のMOSFET900に比べて小さくなる。したがって、第3の部分20cの位置Yとソース電極12の位置Xとの間の電位差は小さくなる。したがって、第1の配線層20の第3の部分20cのソース電極12に対する電圧降下が小さくなる。
したがって、MOSFET100にソース電極12を正とするサージ電圧が印加された場合に、第1の配線層20に流れる電流が抑制される。したがって、第1の配線層20の溶断が抑制される。よって、MOSFET100のサージ電流耐量が向上する。
なお、MOSFET100にソース電極12を正とするサージ電圧が印加された場合、第1の配線層20の第1の部分20aの位置Zに電圧降下が生じる。しかし、MOSFET900の位置Yの電圧降下よりも、MOSFET100の位置Zの電圧降下は配線長が短くなるため小さくなる。したがって、MOSFET900に比べ、終端領域102でのpn接合ダイオードの動作開始が抑制される。よって、MOSFET100のサージ電流耐量が向上する。
ソース電極12、第1の配線層20、第1の接続層21、ゲート電極パッド24、及び第2の配線層26は、同一材料を含むことが好ましい。第1の配線層20、第1の接続層21、ゲート電極パッド24、及び第2の配線層26を、同一の製造工程を用いて同時に形成することが可能となる。したがって、MOSFET100の製造コストが低減できる。
以上、第1の実施形態によれば、配線層の溶断が抑制され、サージ電流耐量が向上するMOSFETが実現する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、中間領域は、第1の電極と第1の部分とを電気的に接続する第3の接続層を、更に含む点で第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
図13は、第2の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図13(a)は、素子領域、終端領域、及び中間領域のレイアウトパターンを示す。図13(b)は、第1の電極、第1の配線層、第1の接続層、第2の接続層、第3の接続層、ゲートパッド電極、及び第2の配線層のレイアウトパターンを示す。図13は、第1の実施形態の図1に対応する図である。
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET200である。MOSFET200は、例えば、DIMOSFETである。また、第2の実施形態の半導体装置は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
MOSFET200の中間領域103は、第3の接続層23を含む。第3の接続層23は、第3の接続層23aと第3の接続層23bを含む。以下、第3の接続層23aと第3の接続層23bを総称して、第3の接続層23と称する場合がある。
図13に示すように、中間領域103は、ソース電極12と第1の配線層20の第1の部分20aとを電気的に接続する第3の接続層23aを含む。第1の部分20aは、第3の接続層23aを間に挟んで第2の方向に分離されている。分離された2つの第1の部分20aは、例えば、第3の接続層23aと炭化珪素層10との間のゲート配線層25を用いて電気的に接続される。
また、図13に示すように、中間領域103は、ソース電極12と第1の配線層20の第2の部分20bとを電気的に接続する第3の接続層23bを含む。第2の部分20bは、第3の接続層23bを間に挟んで第2の方向に分離されている。分離された2つの第2の部分20bは、第3の接続層23bと炭化珪素層10との間のゲート配線層25を用いて電気的に接続される。第3の接続層23aと第3の接続層23bとの間にソース電極12が挟まれる。
第3の接続層23aを設けることにより、MOSFET200にソース電極12を正とするサージ電圧が印加された場合の、第1の部分20aの電圧降下が抑制される。同様に、第3の接続層23bを設けることにより、MOSFET200にソース電極12を正とするサージ電圧が印加された場合の、第2の部分20bの電圧降下が抑制される。したがって、第1の配線層20に流れる電流が抑制され、第1の配線層20の溶断が抑制される。よって、MOSFET200のサージ電流耐量が向上する。
以上、第2の実施形態によれば、配線層の溶断が抑制され、サージ電流耐量が向上するMOSFETが実現する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第2の接続層と炭化珪素層との間に、第2の配線層が設けられる点で第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
図14は、第3の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図14(a)は、素子領域、終端領域、及び中間領域のレイアウトパターンを示す。図14(b)は、第1の電極、第1の配線層、第1の接続層、第2の接続層、ゲートパッド電極、及び第2の配線層のレイアウトパターンを示す。図14は、第1の実施形態の図1に対応する図である。
図15は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図15は、図14に示すEE’断面である。図15は、第1の実施形態の図8に対応する図である。
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET300である。MOSFET300は、例えば、DIMOSFETである。また、第3の実施形態の半導体装置は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
MOSFET300の中間領域103は、第2の接続層22を含む。第2の接続層22は、第2の接続層22aと第2の接続層22bを含む。以下、第2の接続層22aと第2の接続層22bを総称して、第2の接続層22と称する場合がある。
MOSFET300の中間領域103は、保護絶縁層50を含む。保護絶縁層50は、第2の配線層26の上に設けられる。保護絶縁層50は、例えば、酸化シリコンを含む。
第2の接続層22と第2の配線層26との間に保護絶縁層50が設けられる。第2の接続層22と炭化珪素層10との間に第2の配線層26が設けられる。
第3の実施形態のMOSFE300では、第2の接続層22が設けられることで、第1の配線層20の第3の部分20cのソース電極12に対する電圧降下が小さくなる。したがって、MOSFET300にソース電極12を正とするサージ電圧が印加された場合に、第1の配線層20に流れる電流が抑制される。したがって、第1の配線層20の溶断が抑制される。よって、MOSFET300のサージ電流耐量が向上する。
以上、第3の実施形態によれば、配線層の溶断が抑制され、サージ電流耐量が向上するMOSFETが実現する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、トランジスタ及び第1のダイオードを含む素子領域と、素子領域を囲み、第2のダイオードを含む終端領域と、素子領域と終端領域との間に設けられ、トランジスタ、第1のダイオード、及び第2のダイオードを含まない中間領域と、を備える。素子領域は、第1の電極と、第2の電極と、第1の方向に延びるゲート電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられ、第1の電極の側の第1の方向に平行な第1の面と、第2の電極の側の第2の面とを有する炭化珪素層であって、第1の面に接しゲート電極と対向する第1の領域と、第1の面に接し第1の電極と接する第2の領域と、を有する第1導電型の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の領域と隣り合い、ゲート電極に対向し、第1の電極と電気的に接続された第2導電型の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の電極と電気的に接続された第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、ゲート電極と第2の炭化珪素領域との間、ゲート電極と第1の領域との間、及びゲート電極と第3の炭化珪素領域との間に設けられたゲート絶縁層と、を含む。終端領域は、第1の電極と、第2の電極と、第1の面に接し第1の電極と接する第3の領域を有する第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ第1の電極と電気的に接続された第2導電型の第4の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、を含む。中間領域は、ゲート電極パッドと、第1の電極と、第2の電極と、第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電型の第5の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、第1の電極と炭化珪素層との間に設けられ、ゲート電極パッド及びゲート電極に電気的に接続され、第1の面に平行で第1の方向に垂直な第2の方向に延びる第1のゲート線と、第2の方向に延び第1のゲート線との間にゲート電極を挟む第2のゲート線とを有するゲート配線層と、を含む。トランジスタは、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、第1の領域と、第2の炭化珪素領域と、第3の炭化珪素領域と、を含み、第1のダイオードは、第1の電極と、第2の領域と、を含み、第2のダイオードは、第1の電極と、第3の領域と、を含み、第1のゲート線の第2の方向の単位長あたりの電気抵抗は、ゲート電極の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低い。
図16は、第4の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図16(a)は、素子領域、終端領域、及び中間領域のレイアウトパターンを示す。図16(b)は、第1の電極及びゲートパッド電極のレイアウトパターンを示す。
図17は、第4の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図17(a)は、素子領域、終端領域、及び中間領域のレイアウトパターンを示す。図17(b)は、ゲート電極、ゲート配線層、及びゲートパッド電極のレイアウトパターンを示す。
図18は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図18は、図16、図17に示すAA’断面である。
図19は、第4の実施形態の半導体装置の模式上面図である。図19は、図18に対応する上面図である。図19は、半導体層の第1の面の側のレイアウトパターンを示す。図19は、第1の電極及び層間絶縁層を除いた状態を示す。
図20は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図20は、図16、図17に示すBB’断面である。
図21は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図21は、図16、図17に示すCC’断面である。
図22は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図22は、図16、図17に示すDD’断面である。
図23は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図23は、図16、図17に示すEE’断面である。
第4の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET400である。MOSFET400は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成するDIMOSFETである。また、第4の実施形態の半導体装置は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。MOSFET400は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
MOSFET400は、素子領域101、終端領域102、及び中間領域103を、備える。
素子領域101は、複数のMOSFET領域と複数のSBD領域を含む。MOSFET領域は、トランジスタTrを含む。SBD領域は、第1のダイオードD1を含む。終端領域102は、第2のダイオードD2を含む。
MOSFET400は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、ゲート電極パッド24、ゲート配線層25、層間絶縁層28、及びフィールド絶縁層30を備える。
ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
炭化珪素層10は、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域36(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域38(第3の炭化珪素領域)、p型のリサーフ領域40(第4の炭化珪素領域)、及びp型の接続領域42(第5の炭化珪素領域)を含む。ドリフト領域34は、JFET領域34a(第1の領域)、第1のJBS領域34b(第2の領域)、第2のJBS領域34c(第3の領域)、及び下部領域34dを有する。ボディ領域36は、低濃度ボディ領域36aと高濃度ボディ領域36bを有する。リサーフ領域40は、低濃度リサーフ領域40a及び高濃度リサーフ領域40bを有する。
ドリフト領域34は、第1の炭化珪素領域の一例である。ボディ領域36は、第2の炭化珪素領域の一例である。JFET領域34aは、第1の領域の一例である。第1のJBS領域34bは、第2の領域の一例である。第2のJBS領域34cは、第3の領域の一例である。ソース領域38は、第3の炭化珪素領域の一例である。リサーフ領域40は、第4の炭化珪素領域の一例である。接続領域42は、第5の炭化珪素領域の一例である。
素子領域101は、図18に示すように、複数のMOSFET領域と複数のSBD領域を含む。MOSFET領域は、トランジスタTrを含む。SBD領域は、第1のダイオードD1を含む。
MOSFET領域は、第1の方向に延びる。MOSFET領域は、第2の方向に繰り返し配置される。
SBD領域は、第1の方向に延びる。SBD領域は、第2の方向に繰り返し配置される。第2の方向において隣り合うSBD領域の間には、2つのMOSFET領域が設けられる。MOSFET400では、MOSFET領域とSBD領域の割合は2対1である。
MOSFET領域とSBD領域の割合は2対1に限定されない。例えば、1対1、又は3対1、あるいは、その他の割合であっても構わない。
素子領域101は、図16(b)、図17(b)、及び図18に示されるように、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、及び層間絶縁層28を含む。
素子領域101の炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
炭化珪素層10は、第1の面(図18中“P1”)と第2の面(図18中“P2”)とを備える。以下、第1の面P1を表面、第2の面P2を裏面と称する場合がある。第1の面P1は、炭化珪素層10のソース電極12側に位置する。また、第2の面P2は、炭化珪素層10のドレイン電極14側に位置する。第1の面P1と第2の面P2は対向する。なお、以下、「深さ」とは、第1の面を基準として第2の面に向かう方向の深さを意味する。
第1の面は、第1の方向及び第2の方向に平行である。第2の方向は、第1の方向に垂直である。
第1の面P1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。また、第2の面P2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。
炭化珪素層10の厚さは、例えば、5μm以上150μm以下である。
素子領域101の炭化珪素層10は、図18に示されるように、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域36(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域38(第3の炭化珪素領域)を含む。ドリフト領域34は、JFET領域34a(第1の領域)、第1のJBS領域34b(第2の領域)、及び下部領域34dを有する。ボディ領域36は、低濃度ボディ領域36aと高濃度ボディ領域36bを有する。
n+型のドレイン領域32は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドレイン領域32のn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32と第1の面P1との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、ゲート電極18とドレイン電極14との間に設けられる。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32上に設けられる。ドリフト領域34は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドリフト領域34のn型不純物濃度は、ドレイン領域32のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域34のn型不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。ドリフト領域34の厚さは、例えば、5μm以上150μm以下である。
n-型のドリフト領域34は、JFET領域34a、第1のJBS領域34b、及び、下部領域34dを有する。
JFET領域34aは、下部領域34dと第1の面P1との間に設けられる。JFET領域34aは、第1の面P1に接する。JFET領域34aは、隣り合う2つのボディ領域36の間に設けられる。
JFET領域34aは、第1の方向に延びる。JFET領域34aは、ゲート絶縁層16を間に挟んでゲート電極18と対向する。
JFET領域34aは、MOSFET400の電流経路として機能する。JFET領域34aのn型不純物濃度は、例えば、下部領域34dのn型不純物濃度よりも高い。JFET領域34aのn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上2×1017cm-3以下である。
第1のJBS領域34bは、下部領域34dと第1の面P1との間に設けられる。第1のJBS領域34bは、第1の面P1に接する。第1のJBS領域34bは、隣り合う2つのボディ領域36の間に設けられる。
第1のJBS領域34bは、第1の方向に延びる。第1のJBS領域34bは、ソース電極12に接する。
第1のダイオードD1は、SBDである。第1のJBS領域34bのn型不純物濃度は、例えば、下部領域34dのn型不純物濃度よりも高い。第1のJBS領域34bのn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上2×1017cm-3以下である。
p型のボディ領域36は、ドリフト領域34と第1の面P1との間に設けられる。ボディ領域36は、第1の方向に延びる。ボディ領域36は、MOSFET400のチャネル領域として機能する。ボディ領域36は、トランジスタTrのチャネル領域として機能する。
ボディ領域36の深さは、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
ボディ領域36は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディ領域36は、ソース電極12の電位に固定される。
ボディ領域36の一部は第1の面P1に接する。ボディ領域36の一部はゲート電極18に対向する。ボディ領域36の一部は、MOSFET400のチャネル領域となる。ボディ領域36の一部とゲート電極18との間に、ゲート絶縁層16が挟まれる。
ボディ領域36は、JFET領域34aと隣り合う。ボディ領域36は、JFET領域34aに接する。
ボディ領域36は、低濃度ボディ領域36aと高濃度ボディ領域36bを有する。高濃度ボディ領域36bは、低濃度ボディ領域36aとソース電極12との間に設けられる。高濃度ボディ領域36bは、ソース電極12と接する。
ボディ領域36は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。低濃度ボディ領域36aのp型不純物は、高濃度ボディ領域36bのp型不純物濃度よりも低い。低濃度ボディ領域36aのp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である。高濃度ボディ領域36bのp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
ボディ領域36は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディ領域36と、ソース電極12との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。ボディ領域36は、ソース電極12の電位に固定される。
n+型のソース領域38は、ボディ領域36と第1の面P1との間に設けられる。ソース領域38は、第1の方向に延びる。
ソース領域38は、例えば、リン(P)又は窒素(N)をn型不純物として含む。ソース領域38のn型不純物濃度は、ドリフト領域34のn型不純物濃度よりも高い。
ソース領域38のn型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。ソース領域38の深さは、ボディ領域36の深さよりも浅い。ソース領域38の深さは、例えば、0.05μm以上0.2μm以下である。
ソース領域38は、ソース電極12に接する。ソース領域38は、ソース電極12に電気的に接続される。ソース領域38とソース電極12との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。ソース領域38は、ソース電極12の電位に固定される。
ゲート電極18は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ゲート電極18は、第1の方向に延びる。複数のゲート電極18が、第2の方向に、互いに並行に配置される。ゲート電極18は、ストライプ形状を有する。
ゲート電極18は、導電層である。ゲート電極18は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
ゲート電極18は、ボディ領域36と対向する。ゲート電極18は、JFET領域34aと対向する。
ゲート絶縁層16は、ゲート電極18とボディ領域36との間に設けられる。ゲート絶縁層16は、ゲート電極18とJFET領域34aとの間に設けられる。ゲート絶縁層16は、ゲート電極18とソース領域38との間に設けられる。
ゲート絶縁層16は、例えば、酸化シリコンである。ゲート絶縁層16には、例えば、High-k絶縁材料(高誘電率絶縁材料)が適用可能である。
層間絶縁層28は、ゲート電極18上及び炭化珪素層10上に設けられる。層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコンである。
ソース電極12は、炭化珪素層10に接する。ソース電極12は、ソース領域38に接する。ソース電極12は、ボディ領域36に接する。ソース電極12は、高濃度ボディ領域36bに接する。ソース電極12は、第1のJBS領域34bに接する。
ソース電極12は、例えば、シリサイド層12xとメタル層12yとを有する。シリサイド層12xは、炭化珪素層10とメタル層12yとの間に設けられる。シリサイド層12xは、第1の方向に延びる。
シリサイド層12xは、ソース領域38に接する。シリサイド層12xは、ボディ領域36に接する。シリサイド層12xは、高濃度ボディ領域36bに接する。
ソース電極12は第1のダイオードD1のアノードとして機能する。
ソース電極12のシリサイド層12xは、シリサイドを含む。シリサイド層12xは、例えば、ニッケルシリサイド又はチタンシリサイドである。
ソース電極12と、ソース領域38との間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。ソース電極12と、ボディ領域36との間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。ソース電極12と、高濃度ボディ領域36bとの間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。
ソース電極12のメタル層12yは、金属を含む。メタル層12yは、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
メタル層12yは、第1のJBS領域34bに接する。ソース電極12と、第1のJBS領域34bとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。メタル層12yと、第1のJBS領域34bとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域32に接する。
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
図18に示すように、トランジスタTrは、ゲート電極18と、ゲート絶縁層16と、JFET領域34aと、ボディ領域36と、ソース領域38と、ソース電極12と、ドレイン電極14を含む。MOSFET400がオン状態の時には、トランジスタTrによって、ドレイン電極14から、ソース電極12に電流が流れる。
図18に示すように、第1のダイオードD1は、ソース電極12と、第1のJBS領域34bと、ドレイン電極14を含む。第1のダイオードD1に順バイアスが印加された時には、ソース電極12から、ドレイン電極14に電流が流れる。
終端領域102は、図16(a)に示されるように、素子領域101を囲む。終端領域102は第2のダイオードD2を含む。終端領域102は、MOSFET400がオフ状態の際に、素子領域101のpn接合の終端部に印加される電界の強度を緩和し、MOSFET400の絶縁破壊耐圧を向上させる機能を有する。
終端領域102は、図16(b)、図20、図21、図22、及び図23に示されるように、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、層間絶縁層28、及びフィールド絶縁層30を含む。
終端領域102の炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。
終端領域102の炭化珪素層10は、図20~図23に示されるように、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、及びp型のリサーフ領域40(第4の炭化珪素領域)を含む。ドリフト領域34は、第2のJBS領域34c(第3の領域)、及び下部領域34dを有する。リサーフ領域40は、低濃度リサーフ領域40a及び高濃度リサーフ領域40bを有する。
n+型のドレイン領域32は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32と第1の面P1との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32上に設けられる。ドリフト領域34は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、第2のJBS領域34c、及び、下部領域34dを有する。
第2のJBS領域34cは、下部領域34dと第1の面P1との間に設けられる。第2のJBS領域34cは、第1の面P1に接する。第2のJBS領域34cは、隣り合う2つのリサーフ領域40の間に設けられる。第2のJBS領域34cは、ソース電極12に接する。
第2のダイオードD2はSBDである。第2のJBS領域34cのn型不純物濃度は、例えば、下部領域34dのn型不純物濃度よりも高い。第2のJBS領域34cのn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上2×1017cm-3以下である。
p型のリサーフ領域40は、ドリフト領域34と第1の面P1との間に設けられる。リサーフ領域40の深さは、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
リサーフ領域40は、第1の配線層20に電気的に接続される。リサーフ領域40とソース電極12との間のコンタクトは、例えば、オーミックコンタクトである。リサーフ領域40は、ソース電極12の電位に固定される。
リサーフ領域40は、低濃度リサーフ領域40aと高濃度リサーフ領域40bを有する。高濃度リサーフ領域40bは、低濃度リサーフ領域40aとソース電極12との間に設けられる。高濃度リサーフ領域40bは、ソース電極12と接する。
リサーフ領域40は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。低濃度リサーフ領域40aのp型不純物は、高濃度リサーフ領域40bのp型不純物濃度よりも低い。低濃度リサーフ領域40aのp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である。高濃度リサーフ領域40bのp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
層間絶縁層28は、フィールド絶縁層30上に設けられる。層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコンである。
フィールド絶縁層30は、炭化珪素層10上に設けられる。フィールド絶縁層30は、例えば、酸化シリコンである。
ソース電極12は、例えば、シリサイド層12xとメタル層12yとを有する。シリサイド層12xは、炭化珪素層10とメタル層12yとの間に設けられる。
シリサイド層12xは、リサーフ領域40に接する。シリサイド層12xは、高濃度リサーフ領域40bに接する。
ソース電極12は第2のダイオードD2のアノードとして機能する。
ソース電極12のシリサイド層12xは、シリサイドを含む。シリサイド層12xは、例えば、ニッケルシリサイド又はチタンシリサイドである。
ソース電極12と、リサーフ領域40との間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。ソース電極12と、高濃度リサーフ領域40bとの間のコンタクトは、シリサイド層12xを設けることでオーミックコンタクトとなる。
ソース電極12のメタル層12yは、金属を含む。メタル層12yは、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
メタル層12yは、第2のJBS領域34cに接する。ソース電極12と、第1のJBS領域34bとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。メタル層12yと、第2のJBS領域34cとの間のコンタクトは、ショットキーコンタクトとなる。
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域32に接する。
図20~図23に示すように、第2のダイオードD2は、ソース電極12と、第2のJBS領域34cと、ドレイン電極14を含む。第2のダイオードD2に順バイアスが印加された時には、ソース電極12から、ドレイン電極14に電流が流れる。
中間領域103は、図16(a)に示されるように、素子領域101と終端領域102との間に設けられる。中間領域103は、素子領域101を囲む。終端領域102は、中間領域103を囲む。
中間領域103は、トランジスタTr、第1のダイオードD1、及び第2のダイオードD2を含まない。
中間領域103は、図16(b)、図17(b)、図20~図23に示されるように、炭化珪素層10、ソース電極12、ゲート電極パッド24、ゲート配線層25、ドレイン電極14(第2の電極)、層間絶縁層28、及びフィールド絶縁層30を含む。
中間領域103の炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間、及びゲート電極パッド24とドレイン電極14との間に設けられる。
中間領域103の炭化珪素層10は、図20~図23に示されるように、n+型のドレイン領域32、n-型のドリフト領域34(第1の炭化珪素領域)、及びp型の接続領域42(第5の炭化珪素領域)を含む。
n+型のドレイン領域32は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32と第1の面P1との間に設けられる。n-型のドリフト領域34は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。
n-型のドリフト領域34は、ドレイン領域32上に設けられる。ドリフト領域34は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。
n-型のドリフト領域34は、下部領域34dを有する。
p型の接続領域42は、ドリフト領域34と第1の面P1との間に設けられる。接続領域42の深さは、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
接続領域42は、ボディ領域36とリサーフ領域40との間に設けられる。接続領域42は、例えば、ボディ領域36と接する。接続領域42は、例えば、リサーフ領域40と接する。接続領域42、ボディ領域36、及びリサーフ領域40は、例えば、連続している。接続領域42、ボディ領域36、及びリサーフ領域40は、例えば、同一の製造工程を用いて同時に形成される。
接続領域42は、例えば、ボディ領域36を経由してソース電極12に電気的に接続される。接続領域42は、例えば、リサーフ領域40を経由してソース電極12に電気的に接続される。接続領域42は、例えば、ソース電極12の電位に固定される。
接続領域42は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。接続領域42のp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である。
ゲート配線層25は、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。ゲート配線層25は、ゲート電極パッド24に電気的に接続される。ゲート配線層25は、ゲート電極18に電気的に接続される。ゲート配線層25は、例えば、ゲート電極18に接する。
ゲート配線層25は、第2の方向に延びる第1のゲート線25aと、第2の方向に延びる第2のゲート線25bを含む。第1のゲート線25aと第2のゲート線25bとの間に、ゲート電極18が挟まれる。
ゲート配線層25は、導電層である。ゲート配線層25は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。ゲート配線層25は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンとシリサイドとの積層構造である。
ゲート配線層25の第2の方向の単位長あたりの電気抵抗は、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低い。単位長は、例えば、1μm以上100μm以下の任意の長さである。
例えば、第1のゲート線25aの第2の方向の単位長あたりの電気抵抗は、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低い。また、例えば、第2のゲート線25bの第2の方向の単位長あたりの電気抵抗は、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低い。
例えば、ゲート配線層25の第1の方向の幅は、ゲート電極18の第2の方向の幅の20倍以上100倍以下である。例えば、第1のゲート線25aの第1の方向の幅(図17(b)のw1x)は、ゲート電極18の第2の方向の幅(図17(b)のw2)の20倍以上100倍以下である。例えば、第2のゲート線25bの第1の方向の幅(図17(b)のw2x)は、ゲート電極18の第2の方向の幅(図17(b)のw2)の20倍以上100倍以下である。
ゲート配線層25の第1の方向の幅を、ゲート電極18の第2の方向の幅の20倍以上とすることで、ゲート配線層25の第2の方向の単位長あたりの電気抵抗が、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低くなる。
例えば、ゲート配線層25のシート抵抗は、ゲート電極18のシート抵抗よりも低い。例えば、第1のゲート線25aのシート抵抗は、ゲート電極18のシート抵抗よりも低い。また、例えば、第2のゲート線25bのシート抵抗は、ゲート電極18のシート抵抗よりも低い。
ゲート配線層25のシート抵抗を、ゲート電極18のシート抵抗よりも低くすることで、ゲート配線層25の第2の方向の単位長あたりの電気抵抗が、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低くなる。
例えば、ゲート配線層25はn型不純物を含む多結晶シリコンであり、ゲート電極18はp型不純物を含む多結晶シリコンである。例えば、第1のゲート線25aはn型不純物を含む多結晶シリコンであり、ゲート電極18はp型不純物を含む多結晶シリコンである。また、例えば、第2のゲート線25bはn型不純物を含む多結晶シリコンであり、ゲート電極18はp型不純物を含む多結晶シリコンである。
n型不純物は、例えば、リン(P)又はヒ素(As)である。p型不純物は、例えば、ボロン(B)である。
ゲート配線層25はn型不純物を含む多結晶シリコン、ゲート電極18はp型不純物を含む多結晶シリコンとすることで、ゲート配線層25のシート抵抗を、ゲート電極18のシート抵抗よりも低くすることが容易となる。よって、ゲート配線層25の第2の方向の単位長あたりの電気抵抗が、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低くすることが容易となる。
例えば、ゲート配線層25はn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンとシリサイドの積層構造であり、ゲート電極18はn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンの単層構造である。例えば、第1のゲート線25aはn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンとシリサイドの積層構造であり、ゲート電極18はn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンの単層構造である。また、例えば、第2のゲート線25bはn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンとシリサイドの積層構造であり、ゲート電極18はn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンの単層構造である。
ゲート配線層25をn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンをシリサイドの積層構造、ゲート電極18をn型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンの単層構造とすることで、ゲート配線層25のシート抵抗を、ゲート電極18のシート抵抗よりも低くすることが容易となる。よって、ゲート配線層25の第2の方向の単位長あたりの電気抵抗が、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低くすることが容易となる。
層間絶縁層28は、フィールド絶縁層30上に設けられる。層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコンである。
フィールド絶縁層30は、炭化珪素層10上に設けられる。フィールド絶縁層30は、例えば、酸化シリコンである。
ゲート電極パッド24は、炭化珪素層10の第1の面P1側に設けられる。ゲート電極パッド24は、金属を含む。ゲート電極パッド24は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
素子領域101に設けられたゲート電極18は、ゲート配線層25を経由してゲート電極パッド24に電気的に接続される。
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域32に接する。
次に、第4の実施形態のMOSFET400の作用及び効果について説明する。
MOSFET400は、第1の実施形態のMOFET100と同様、素子領域101のソース電極12とドレイン電極14との間に、トランジスタに並列にpn接合ダイオードとSBDとが内蔵ダイオードとして接続される。したがって、逆導通状態ではSBDに順方向電流が流れ、pn接合ダイオードの動作による積層欠陥の成長が抑制される。よって、MOSFET100と同様、オン抵抗の増大が抑制され、MOSFET400の信頼性が向上する。
MOSFETのソース電極とドレイン電極との間に、瞬間的にソース電極を正とする大きなサージ電圧が印加される場合がある。大きなサージ電圧が印加されると、MOSFETに大きなサージ電流が流れ、MOSFETが破壊する場合がある。
MOSFETに許容されるサージ電流の最大許容ピーク電流値はサージ電流耐量と称される。SBDを設けたMOSFETにおいて、信頼性を向上させる観点から、サージ電流耐量を向上させることが望まれる。
図24は、第4の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図24(a)は比較例の半導体装置の上面図である。図24(b)は、第4の実施形態の半導体装置の上面図である。図24(a)は、図10(b)に対応する図である。図24(b)は、図16(b)に対応する図である。
比較例の半導体装置は、第1の実施形態において、図10及び図11を用いて説明したMOSFET900である。
図24(a)には、MOSFET900のソース電極12にサージ電圧が印加された場合の、サージ電流の経路を矢印で示す。図24(a)には、サージ電流による破壊個所を星印で示す。
第1の実施形態で説明したように、MOSFET900にソース電極12を正とするサージ電圧が印加されると、例えば、位置Xの下にある第1のダイオードD1の近傍のpn接合ダイオードよりも、位置Yの下にある第2のダイオードD2の近傍のpn接合ダイオードの動作の開始が早くなる。言い換えれば、位置Yの下のpn接合ダイオードが早くバイポーラ動作を開始し、位置Yの下のpn接合ダイオードに大きな順方向電流が流れる。
位置Yの下にあるpn接合ダイオードに大きな順方向電流が流れることにより、第1の配線層20に大きな電流が流れることになる。第1の配線層20に大きな電流が流れることで、第1の接続層21と第4の部分20dとが接する角部(図24(a)中の星印)の電流密度が高くなる。この結果、第1の接続層21と第4の部分20dとが接する角部(図24(a)中の星印)の発熱量が大きくなり、第1の配線層20が溶断する。よって、MOSFET900のサージ電流耐量が低下する。
第4の実施形態のMOSFE400では、ソース電極12が終端領域102の第2のダイオードD2のアノードとなる。このため、第1の配線層20は不要となる。
したがって、MOSFET400にソース電極12を正とするサージ電圧が印加された場合の配線層の溶断は生じない。よって、MOSFET400のサージ電流耐量が向上する。
なお、MOSFET400では、ゲート電極18とゲート電極パッド24は、ゲート配線層25を経由して電気的に接続される。ゲート配線層25の電気抵抗が高くなると、例えば、ゲート配線層25を通って、ゲート電極18とゲート電極パッド24との間を伝達されるゲート信号が遅延する。ゲート信号が遅延すると、例えば、MOSFET400のスイッチング損失が増加するおそれがある。
MOSFET400では、ゲート配線層25の第2の方向の単位長あたりの電気抵抗は、ゲート電極18の第1の方向の単位長あたりの電気抵抗よりも低い。ゲート配線層25の電気抵抗を低減することで、ゲート信号の遅延が抑制される。したがって、MOSFET400のスイッチング損失の増加が抑制される。
以上、第4の実施形態によれば、配線層の溶断が抑制され、サージ電流耐量が向上するMOSFETが実現する。
第1ないし第4の実施形態では、SiCの結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造のSiCを用いたデバイスに適用することも可能である。また、炭化珪素層10の表面に(0001)面以外の面を適用することも可能である。
第1ないし第4の実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合を例に説明したが、第1導電型をp型、第2導電型をn型とすることも可能である。
第1ないし第4の実施形態では、p型不純物としてアルミニウム(Al)を例示したが、ボロン(B)を用いることも可能である。また、n型不純物として窒素(N)及びリン(P)を例示したが、砒素(As)、アンチモン(Sb)等を適用することも可能である。
第1ないし第3の実施形態では、素子領域101において、ゲート電極18がストライプ形状を有する場合を例に説明したが、例えば、ゲート電極18がメッシュ形状を有する構造とすることも可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。