JP7586729B2 - 非水系リチウム型蓄電素子の製造方法 - Google Patents
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Description
<1>
非水系リチウム型蓄電素子の製造方法であって、
前記非水系リチウム型蓄電素子は、複数の外装体を含み、
前記複数の外装体は、各々正極、負極、セパレータ、及び非水系電解液が収納され、かつ電気的に結合されており、
以下の工程:
(1)炭素材料から成る正極活物質、及び炭酸リチウムを含有する正極前駆体と、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる負極活物質を含有する前記負極とを、前記セパレータを介して積層することにより得られた積層体を前記外装体の各々に収納する収納工程;
(2)リチウムイオンを含む前記非水系電解液を前記外装体の各々に注液する注液工程;
(3)前記複数の外装体を電気的に結合して、非水系リチウム型蓄電素子前駆体を得る蓄電素子前駆体形成工程;
(4)前記複数の外装体の全個数を基準として、30%以上70%以下の外装体群Iと、残りの外装体群IIとに分け、前記外装体群IIに属する外装体のうち連続して隣接する最大の個数が、前記複数の外装体の全個数に対して0%~10%になるように、前記外装体群I,IIを配列して、前記外装体群Iに電圧を印加する第一電圧印加工程;並びに
(5)前記第一電圧印加工程から一定の遅延時間経過後、前記外装体群IIに電圧を印加する第二電圧印加工程;
を含む、非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<2>
前記第一電圧印加工程では、前記外装体群IIに属する外装体のうち連続して隣接する最大の個数が、3以下である、項目1に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<3>
前記第一電圧印加工程では、前記外装体群I及びIIに属する外装体の全個数が10~50の範囲内であるときに、前記外装体群IIに属する外装体のうち連続して隣接する最大の個数が、3以下である、項目1又は2に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<4>
前記複数の外装体は、それぞれ表面及び裏面を有し、
前記蓄電素子前駆体形成工程では、1つの外装体の表裏のいずれか一方の面が、他の外装体の表裏のいずれか一方の面と対向するように配置された後に、前記複数の外装体が電気的に結合され、かつ
前記第一電圧印加工程では、前記外装体群IとIIの両群において、同じ外装体群に属する複数の外装体同士が隣接して面対向している面数が、前記両群に属する外装体全体の面の数の0%~50%になるように、両群に属する複数の外装体を配列して、前記外装体群Iに電圧を印加する、項目1~3のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<5>
前記第一電圧印加工程では、前記外装体群Iに属する外装体が隣接しない、項目1~4のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<6>
前記第一電圧印加工程では、前記外装体群Iに属する外装体と、前記外装体群IIに属する外装体とが、交互に配列される、項目1~5のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<7>
前記遅延時間をX(min.)として、かつ電圧印加時の充電レートをAとすると、前記第一及び第二電圧印加工程は、次の関係式:
(120/A-10)≦X、かつ、
1≦A≦8
を満たすように行われる、項目1~6のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<8>
前記第一及び第二電圧印加工程の印加電圧が4.3V~4.5Vの範囲内にあるときに、単位時間当たりの前記炭酸リチウムの分解速度が、4.5%/0.1V~7.5%/0.1Vである、項目1~7のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<9>
前記第一及び第二電圧印加工程開始直後の前記非水系リチウム型蓄電素子前駆体の温度をT1(℃)とし、前記第一及び第二電圧印加工程中の前記非水系リチウム型蓄電素子前駆体の最大温度をT2(℃)とするとき、
35≦T1≦50かつ0≦T2-T1≦10である、項目1~8のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
<10>
前記群Iに属する外装体に含まれる前記負極、及び前記群IIに属する外装体に含まれる前記負極に対するリチウムイオンのドープが、逐次的に行われる、項目1~9のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
正極は、正極集電体と、その片面又は両面に存在する正極活物質層とを有する。また、正極は、負極へのアルカリ金属イオンドープ工程前の正極前駆体として、アルカリ金属化合物を含むことを特徴とする。後述のように、本実施形態では、蓄電素子組み立て工程内で、負極にアルカリ金属イオンをプレドープすることが好ましいが、そのプレドープ方法としては、アルカリ金属化合物を含む正極前駆体、負極、セパレータ、外装体、及び非水系電解液を用いて蓄電素子を組み立てた後に、正極前駆体と負極との間に電圧を印加することが好ましい。アルカリ金属化合物は、正極前駆体に含まれることが好ましく、正極前駆体の正極集電体上に形成された正極活物質層に含有されることがより好ましい。
正極活物質層は、炭素材料を含む正極活物質を含有することが好ましく、これ以外に、必要に応じて、リチウム遷移金属酸化物、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
正極活物質としては、炭素材料を含むことが好ましい。この炭素材料としては、カーボンナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン、導電性高分子、又は多孔性の炭素材料を使用することがより好ましく、さらに好ましくは活性炭である。正極活物質には1種類以上の材料を混合して使用してもよく、炭素材料以外の材料(例えばリチウムと遷移金属との複合酸化物等)を含んでもよい。
(1)高い入出力特性のためには、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が1,500m2/g以上3,000m2/g以下である活性炭(以下、活性炭1ともいう。)が好ましく、また、
(2)高いエネルギー密度を得るためには、0.8<V1≦2.5、及び0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が2,300m2/g以上4,000m2/g以下である活性炭(以下、活性炭2ともいう。)が好ましい。
活性炭1のメソ孔量V1は、正極材料を蓄電素子に組み込んだときの入出力特性を大きくする点で、0.3cm3/gより大きい値であることが好ましい。一方で、正極の嵩密度の低下を抑える点から、0.8cm3/g以下であることが好ましい。前記V1は、より好ましくは0.35cm3/g以上0.7cm3/g以下、更に好ましくは0.4cm3/g以上0.6cm3/g以下である。
活性炭2のメソ孔量V1は、正極材料を蓄電素子に組み込んだときの出力特性を大きくする観点から、0.8cm3/gより大きい値であることが好ましい一方、蓄電素子の容量の低下を抑える観点から、2.5cm3/g以下であることが好ましい。前記V1は、より好ましくは1.00cm3/g以上2.0cm3/g以下、さらに好ましくは、1.2cm3/g以上1.8cm3/g以下である。
活性炭1及び2は、それぞれ、1種の活性炭であってもよいし、2種以上の活性炭の混合物であって前記した各々の特性値を混合物全体として示すものであってもよい。
リチウム遷移金属酸化物は、リチウムを吸蔵及び放出可能な遷移金属酸化物を含む。正極活物質として用いられる遷移金属酸化物には、特に制限はない。遷移金属酸化物としては、例えば、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、バナジウム、及びクロムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物が挙げられる。遷移金属酸化物として具体的には、下記式:
LixCoO2{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixNiO2{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixNiyM(1-y)O2{式中、Mは、Co、Mn、Al、Fe、Mg、及びTiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、xは0≦x≦1を満たし、かつyは0.02<y<0.97を満たす。}、
LixNi1/3Co1/3Mn1/3O2{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixMnO2{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
α-LixFeO2{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixVO2{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixCrO2{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixFePO4{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixMnPO4{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LizV2(PO4)3{式中、zは0≦z≦3を満たす。}、
LixMn2O4{式中、xは0≦x≦1を満たす。}、
LixMyMn(2-y)O4{式中、Mは、Co、Mn、Al、Fe、Mg、及びTiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、xは0≦x≦1を満たし、かつyは0.02<y<0.97を満たす。}、
LixNiaCobAl(1-a-b)O2{式中、xは0≦x≦1を満たし、かつa及びbは0.02<a<0.97と0.02<b<0.97を満たす。}、
LixNicCodMn(1-c-d)O2{式中、xは0≦x≦1を満たし、かつc及びdは0.02<c<0.97と0.02<d<0.97を満たす。}
で表される化合物等が挙げられる。これらの中でも、高容量、低抵抗、サイクル特性、アルカリ金属化合物の分解、及びプレドープ時の正極活物質の欠落の抑制の観点から、上記式LixNiaCobAl(1-a-b)O2、LixNicCodMn(1-c-d)O2、LixCoO2、LixMn2O4、LixFePO4、LixMnPO4、又はLizV2(PO4)3で表される化合物が好ましい。
本実施形態において、アルカリ金属化合物は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、酸化リチウム、及び水酸化リチウムから成る群から選択される少なくとも一つの化合物でよい。正極前駆体中で分解されて陽イオンを放出し、負極で還元されることでプレドープすることが可能であることから、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、及び炭酸セシウムからなる群から選択される少なくとも一つが好ましく、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一つがより好ましい。中でも、単位重量当たりの容量が高いという観点から、炭酸リチウムが好適に用いられる。正極塗工液中に含まれるアルカリ金属化合物は1種でもよく、2種以上のアルカリ金属化合物を含んでいてもよい。
本実施形態における正極前駆体の正極活物質層には、必要に応じて、正極活物質及びアルカリ金属化合物の他に、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤、pH調整剤等の任意成分を含んでいてもよい。
本実施形態に係る正極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化が起こらない材料であれば特に制限はないが、金属箔が好ましい。本実施形態に係る非水系リチウム型蓄電素子における正極集電体としては、アルミニウム箔がより好ましい。
後述されるプロドープ処理の観点からは、無孔状のアルミニウム箔が更に好ましく、アルミニウム箔の表面が粗面化されていることが特に好ましい。
本実施形態において、非水系リチウム型蓄電素子の正極となる正極前駆体は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等における電極の製造技術によって製造することが可能である。例えば、正極活物質及びアルカリ金属化合物、並びに必要に応じて使用されるその他の任意成分を水又は有機溶剤中に分散又は溶解してスラリー状の塗工液を調製し、この塗工液を正極集電体上の片面又は両面に塗工して塗膜を形成し、これを乾燥することにより正極前駆体を得ることが出来る。さらに得られた正極前駆体にプレスを施して、正極活物質層の膜厚又は嵩密度を調整してもよい。代替的には、溶剤を使用せずに、正極活物質及びアルカリ金属化合物、並びに必要に応じて使用されるその他の任意成分を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて正極集電体に貼り付ける方法、又は得られた混合物を正極集電体上に加熱プレスして正極活物質層を形成する方法も可能である。
<正極活物質層中の炭素材料、リチウム遷移金属酸化物、アルカリ金属化合物の定量>
正極活物質層中に含まれる炭素材料の質量割合A1、リチウム遷移金属酸化物の質量割合A2、及びアルカリ金属化合物の質量割合A3の定量の方法は特に限定されないが、例えば下記の方法により定量することができる。
A3=(M0-M1)/(M0-M2)×100 (1)式
続いて、A1、A2を算出するため、上記アルカリ金属化合物を取り除いて得られた正極活物質層について、以下の条件にてTG曲線を測定する。
・試料パン:白金
・ガス:大気雰囲気下、又は圧縮空気
・昇温速度:0.5℃/min以下
・温度範囲:25℃~500℃以上リチウム遷移金属酸化物の融点マイナス50℃の温度以下
得られるTG曲線の25℃の質量をM3とし、500℃以上の温度にて質量減少速度がM3×0.01/min以下となった最初の温度における質量をM4とする。
そのため、正極活物質層におけるリチウム遷移金属酸化物の含有量A2は以下の(2)式で算出できる。
A2=(M4/M3)×{1-(M0-M1)/(M0-M2)}×100 (2)式
また、正極活物質層における炭素材料の含有量A1は以下の(3)式で算出できる。
A1={(M3-M4)/M3}×{1-(M0-M1)/(M0-M2)}×100 (3)式
正極中に含まれるアルカリ金属化合物の同定方法は、特に限定されないが、例えば下記の方法により同定することができる。アルカリ金属化合物の同定には、以下に記載する複数の解析手法を組み合わせて同定することが好ましい。
正極活物質としてリチウム遷移金属酸化物を含まない場合、アルカリ金属化合物及び正極活物質は、観察倍率を1000倍~4000倍にして測定した正極表面のSEM-EDX画像による酸素マッピングにより判別できる。SEM-EDX画像の測定例として、加速電圧を10kV、エミッション電流を10μA、測定画素数を256×256ピクセル、積算回数を50回として測定できる。試料の帯電を防止するために、金、白金、オスミウム等を真空蒸着やスパッタリング等の方法により表面処理することもできる。SEM-EDX画像の測定方法については、マッピング像において最大輝度値に達する画素がなく、輝度値の平均値が最大輝度値の40%~60%の範囲に入るように輝度及びコントラストを調整することが好ましい。得られた酸素マッピングに対し、輝度値の平均値を基準に二値化した明部を面積50%以上含む粒子をアルカリ金属化合物とする。
アルカリ金属化合物及び正極活物質は、観察倍率を1000倍~4000倍にして測定した正極表面の炭酸イオンのラマンイメージングにより判別できる。測定条件の例として、励起光を532nm、励起光強度を1%、対物レンズの長作動を50倍、回折格子を1800gr/mm、マッピング方式を点走査(スリット65mm、ビニング5pix)、1mmステップ、1点当たりの露光時間を3秒、積算回数を1回、ノイズフィルター有りの条件にて測定することができる。測定したラマンスペクトルについて、1071~1104cm-1の範囲で直線のベースラインを設定し、ベースラインより正の値を炭酸イオンのピークとして面積を算出し、頻度を積算するが、この時にノイズ成分をガウス型関数で近似した炭酸イオンピーク面積に対する頻度を前記炭酸イオンの頻度分布から差し引く。
正極前駆体の電子状態をXPSにより解析することにより、正極前駆体中に含まれる化合物の結合状態を判別することができる。測定条件の例として、X線源を単色化AlKα、X線ビーム径を100μmφ(25W、15kV)、パスエネルギーをナロースキャン:58.70eV、帯電中和を有り、スイープ数をナロースキャン:10回(炭素、酸素)20回(フッ素)30回(リン)40回(アルカリ金属)50回(ケイ素)、エネルギーステップをナロースキャン:0.25eVの条件にて測定できる。XPSの測定前に正極の表面をスパッタリングにてクリーニングすることが好ましい。スパッタリングの条件として例えば、加速電圧1.0kV、2mm×2mmの範囲を1分間(SiO2換算で1.25nm/min)の条件にて正極の表面をクリーニングすることができる。得られたXPSスペクトルについて、Li1sの結合エネルギー50~54eVのピークをLiO2またはLi-C結合、55~60eVのピークをLiF、Li2CO3、LixPOyFz(式中、x、y、zは1~6の整数)、C1sの結合エネルギー285eVのピークをC-C結合、286eVのピークをC-O結合、288eVのピークをCOO、290~292eVのピークをCO3 2-、C-F結合、O1sの結合エネルギー527~530eVのピークをO2-(Li2O)、531~532eVのピークをCO、CO3、OH、POx(式中、xは1~4の整数)、SiOx(式中、xは1~4の整数)、533eVのピークをC-O、SiOx(式中、xは1~4の整数)、F1sの結合エネルギー685eVのピークをLiF、687eVのピークをC-F結合、LixPOyFz(式中、x、y、zは1~6の整数)、PF6 -、P2pの結合エネルギーについて、133eVのピークをPOx(式中、xは1~4の整数)、134~136eVのピークをPFx(式中、xは1~6の整数)、Si2pの結合エネルギー99eVのピークをSi、シリサイド、101~107eVのピークをSixOy(式中、x、yは任意の整数)として帰属することができる。得られたスペクトルについて、ピークが重なる場合には、ガウス関数又はローレンツ関数を仮定してピーク分離し、スペクトルを帰属することが好ましい。前記で得られた電子状態の測定結果及び存在元素比の結果から、存在するアルカリ金属化合物を同定することができる。
正極の蒸留水洗浄液をイオンクロマトグラフィーで解析することにより、水中に溶出したアニオン種を同定することができる。使用するカラムとしては、イオン交換型、イオン排除型、逆相イオン対型を使用することができる。検出器としては、電気伝導度検出器、紫外可視吸光光度検出器、電気化学検出器等を使用することができ、検出器の前にサプレッサーを設置するサプレッサー方式、またはサプレッサーを配置せずに電気伝導度の低い溶液を溶離液に用いるノンサプレッサー方式を用いることができる。また、質量分析計及び/又は荷電化粒子検出器を組み合わせて測定することもできる。
正極前駆体について、濃硝酸、濃塩酸、王水等の強酸を用いて酸分解し、得られた溶液を2%~3%の酸濃度になるように純水で希釈する。酸分解については、適宜加熱、加圧し分解することもできる。得られた希釈液をICP-MSにより解析するがこの際に内部標準として既知量の元素を加えておくことが好ましい。測定対象のアルカリ金属元素が測定上限濃度以上になる場合には、酸濃度を維持したまま前記希釈液を更に希釈することが好ましい。得られた測定結果に対し、化学分析用の標準液を用いて予め作成した検量線を基に、各元素を定量することができる。
負極は、負極集電体と、その片面又は両面に存在する負極活物質層とを有する。
負極活物質層は、アルカリ金属イオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含み、これ以外に、必要に応じて、導電性フィラー、バインダー、分散剤等の任意成分を含んでよい。
負極活物質は、アルカリ金属イオンを吸蔵・放出可能な物質を用いることができる。具体的には、炭素材料、チタン酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素合金、ケイ素化合物、錫及び錫化合物等が例示される。好ましくは負極活物質の総量に対する炭素材料の含有率が50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。炭素材料の含有率が100質量%であることができるが、他の材料の併用による効果を良好に得る観点から、例えば、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下でもよい。炭素材料の含有率の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
複合炭素材料のBET比表面積は、100m2/g以上350m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは150m2/g以上300m2/g以下である。BET比表面積が100m2/g以上であれば、アルカリ金属イオンのプレドープ量を十分大きくできるため、負極活物質層を薄膜化することができる。また、BET比表面積が350m2/g以下であれば、負極活物質層の塗工性に優れる。
(1)前述のBJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)Vm1(cm3/g)が、0.01≦Vm1<0.10の条件を満たす。
(2)前述のMP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)Vm2(cm3/g)が、0.01≦Vm2<0.30の条件を満たす。
本実施形態に係る負極活物質層は、必要に応じて、負極活物質の他に、バインダー、導電性フィラー、分散剤等の任意成分を含んでよい。
本実施形態に係る負極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化が起こらない金属箔であることが好ましい。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。本実施形態に係る非水系リチウム蓄電素子における負極集電体としては、銅箔が好ましい。金属箔は凹凸又は貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等を施した凹凸を有する金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。
負極は、負極集電体の片面上又は両面上に負極活物質層を有して成る。典型的な態様において負極活物質層は負極集電体に固着している。
負極活物質層の厚さは、好ましくは片面当たり5μm以上100μm以下であり、より好ましくは10μm以上60μm以下である。この厚さが10μm以上であれば、良好な充放電容量を発現することができる。他方、この厚さが100μm以下であれば、セル体積を縮小することができるから、エネルギー密度を高めることができる。集電体に孔がある場合には、負極の活物質層の厚さとは、それぞれ、集電体の孔を有していない部分の片面当たりの厚さの平均値をいう。また、固形分(質量%)/材料真密度(g/cc)で表される真密度(cm3/g)と、1/電極嵩密度(g/cm3)で表される実体積(cm3/g)とから算出される空孔率(%)=(1-真密度/実体積)*100が、50%以上であることが好ましい。
本明細書におけるBET比表面積及び平均細孔径、メソ孔量、マイクロ孔量は、それぞれ以下の方法によって求められる値である。試料を200℃で一昼夜真空乾燥し、窒素を吸着質として吸脱着の等温線の測定を行なう。ここで得られる吸着側の等温線を用いて、BET比表面積はBET多点法又はBET1点法により、平均細孔径は質量当たりの全細孔容積をBET比表面積で除すことにより、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法により、それぞれ算出される。
先ず、本実施形態における負極活物質層をエチルメチルカーボネート又はジメチルカーボネートで洗浄し風乾した後、メタノール及びイソプロパノールから成る混合溶媒により抽出した抽出液と、抽出後の負極活物質層と、を得る。この抽出は、典型的にはArボックス内にて、環境温度23℃で行われる。
本明細書中、分散度は、JIS K5600に規定された粒ゲージによる分散度評価試験により求められる値である。すなわち、粒のサイズに応じた所望の深さの溝を有する粒ゲージに対して、溝の深い方の先端に十分な量の試料を流し込み,溝から僅かに溢れさせる。次いで、スクレーパーの長辺がゲージの幅方向と平行になり、粒ゲージの溝の深い先端に刃先が接触するように置き、スクレーパーをゲージの表面になるように保持しながら、溝の長辺方向に対して直角に、ゲージの表面を均等な速度で、溝の深さ0まで1~2秒間かけて引き、引き終わってから3秒以内に20°以上30°以下の角度で光を当てて観察し、粒ゲージの溝に粒が現れる深さを読み取る。
本実施形態の電解液は、非水系電解液である。すなわち、この電解液は、後述する非水溶媒を含む。非水系電解液は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5mol/L以上のリチウム塩を含有することが好ましい。すなわち、非水系電解液は、リチウムイオンを電解質として含むことが好ましい。
本実施形態の非水系電解液は、リチウム塩として、例えば、(LiN(SO2F)2)、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C2F5)、LiN(SO2CF3)(SO2C2F4H)、LiC(SO2F)3、LiC(SO2CF3)3、LiC(SO2C2F5)3、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiPF6、LiBF4等を単独で用いることができ、2種以上を混合して用いてもよい。高い伝導度を発現できることから、非水系電解液は、LiPF6、LiN(SO2F)2及びLiBF4から成る群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、LiPF6及び/又はLiBF4とLiN(SO2F)2とを含むことがより好ましい。
本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、好ましくは、環状カーボネートを含有する。非水系電解液が環状カーボネートを含有することは、所望の濃度のリチウム塩を溶解させる点、及び正極活物質層にリチウム化合物を適量堆積させる点で有利である。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
本実施形態の非水系電解液は、更に添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、特に制限されないが、例えば、含硫黄化合物、リン酸エステル化合物、非環状含フッ素エーテル、環状ホスファゼン、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、及び環状酸無水物等を単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いてもよい。
{一般式(1-3)中のR9~R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、及び炭素数1~12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そしてnは0~3の整数である。}
{一般式(1-4)中のR15~R20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、及び炭素数1~12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そしてnは0~3の整数である。}
{一般式(1-5)中のR21~R26は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、及び炭素数1~12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれるいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。}
{一般式(1-6)中のR27~R30は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、及び炭素数1~12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そしてnは0~3の整数である}
正極前駆体及び負極は、セパレータを介して積層され、又は積層及び捲回され、正極前駆体、セパレータ、及び負極を有する電極積層体又は電極捲回体が形成される。
本実施形態の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法は、後述する電極積層体又は電極捲回体が、上記で説明された非水系電解液とともに上記外装体内に収納されて構成される非水系リチウム型蓄電素子に関する。
(1)炭素材料から成る正極活物質、及び炭酸リチウムを含有する正極前駆体と、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる負極活物質を含有する負極とを、セパレータを介して積層することにより得られた積層体を複数用意し、複数の外装体の各々に収納する収納工程;
(2)リチウムイオンを含む非水系電解液を外装体の各々に注液する注液工程;
(3)複数の外装体を電気的に結合して、非水系リチウム型蓄電素子前駆体を得る蓄電素子前駆体形成工程;
(4)上記複数の外装体の全個数を基準として、30%以上70%以下の外装体群Iと、残りの外装体群IIとに分け、外装体群IIに属する外装体のうち連続して隣接する最大の個数が、上記複数の外装体の全個数に対して0%~10%になるように、外装体群I,IIを配列して、外装体群Iに電圧を印加する第一電圧印加工程;並びに
(5)第一電圧印加工程から一定の遅延時間経過後、外装体群IIに電圧を印加する第二電圧印加工程;
を含み、複数の外装体には、各々正極、負極、セパレータ、及び非水系電解液が収納され、かつ電気的に結合されている非水系リチウム型蓄電素子を提供することができる。
正極前駆体及び負極は、二次乾燥をすることによって残存溶媒を更に低減することができる。二次乾燥は、好ましくは熱風乾燥や赤外線(IR)乾燥、真空乾燥等の方法で行われる。より好ましくは遠赤外線乾燥、熱風乾燥、真空乾燥の方法が用いられ、また、複数の乾燥方法を組み合わせて乾燥させてもよい。また、二次乾燥は、単一の温度で乾燥させてもよいし、多段的に温度を変えて乾燥させてもよい。熱風乾燥や赤外線(IR)乾燥であれば、ロールtoロール方式で乾燥することで、長尺の電極を個別に搬送する手間を省略し、量産性が向上する。また、赤外線(IR)乾燥は、対流のように大気を通じた伝熱ではなく、熱源から放射されたエネルギーが直接、被乾燥物に向かうため短時間で効率よく乾燥することが可能である。また、乾燥炉内は大気である必要はなく、不活性気体で充填させて被乾燥物の酸化を防ぐことも容易である。乾燥炉内は酸化防止と引火爆発の要素除去の観点から不活性気体を給気かつ排気することで、乾燥炉内の酸素濃度を20%未満に保つことが好ましい。また、真空乾燥であれば、減圧環境下で溶媒の沸点が低下し蒸発速度が加速される。減圧の程度は、10-5Pa以上1000Pa以下が好ましく、0.1Pa以上10Pa以下がより好ましい。10-5Pa以上であれば、装置コストを抑えることができる。他方、1000Pa以下であれば、溶媒の沸点が低下し蒸発速度が十分に加速されるため、効率よく乾燥できる。
本明細書における残存溶媒量は以下の方法によって求められる値である。正極前駆体及び集電体を80mm×80mmに切り出し、電子天秤を用いて重量測定を実施し、得られた測定値をそれぞれ重量W1[g]、重量W2[g]とする。次いで、加熱乾燥式水分計を用いて、170℃の温度で表面を5分間加熱乾燥する。また、正極活物質層が両面に塗布されている場合は、裏面も同様に170℃の温度で5分間加熱乾燥する。加熱乾燥後の正極前駆体を電子天秤に移し、加熱乾燥終了時点から10秒経過後の重量W3[g]を記録する。以下の式によって、残存溶媒量は算出される。
残存溶媒量={(W1-W3)/(W1-W2)}×100 (%)
本明細書における残存溶媒量は、溶媒が水の場合は0.0010質量%以上7.0質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上3.0質量%以下であればさらに好ましい。0.0010質量%以上であれば正極活物質層が剥がれることなく適度な強度を保つことができる。他方、7.0質量%以下であれば、良好なエネルギー密度が得られる。また、溶媒が有機溶媒を含む場合は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上6質量%以下であればさらに好ましい。0.1質量%以上であれば正極活物質層が剥がれることなく適度な強度を保つことができる。他方、10質量%以下であれば、良好なエネルギー密度が得られる。
工程(1)と関連して、組立工程では、典型的には、枚葉の形状にカットした正極前駆体及び負極を、セパレータを介して積層して電極積層体(本明細書では単に「積層体」ということがある)を得て、例えば電極積層体に正極端子及び負極端子、並びに所望によりリード線、タブ、電線、コネクター等を接続することなどによって、電気的に結合する。代替的には、正極前駆体及び負極を、セパレータを介して積層及び捲回して電極捲回体を得て、例えば電極捲回体に正極端子及び負極端子、並びに所望によりリード線、タブ、電線、コネクター等を接続することなどによって、電気的に統合する。電極捲回体の形状は円筒型であっても、扁平型であってもよい。
工程(1)と関連して、電極積層体又は電極捲回体は、金属缶やラミネート包材に代表される外装体の中に収納し、開口部を1方だけ残した状態で封止することが好ましい。外装体の封止方法は特に限定されず、ラミネート包材を用いる場合は、ヒートシール、インパルスシール等の方法を用いることができる。
外装体へ収納した電極積層体又は電極捲回体は、乾燥することで残存溶媒を除去することが好ましい。乾燥方法は限定されず、真空乾燥等により乾燥することができる。残存溶媒は、正極活物質層又は負極活物質層の質量当たり、1.5質量%以下が好ましい。残存溶媒が1.5質量%以下であれば、自己放電特性やサイクル特性が低下し難いため好ましい。
乾燥された電極積層体又は電極捲回体が収納された外装体の外側から、電極の面に対して垂直方向に、両側から圧力を掛けることが好ましい。圧力は0.01kgf/cm2以上1000kgf/cm2以下が好ましく、0.01kgf/cm2以上100kgf/cm2以下がより好ましく、0.01kgf/cm2以上30kgf/cm2以下がさらに好ましい。圧力が0.01kgf/cm2以上であると、正極前駆体および負極の歪みが圧力により矯正され、対向した正極前駆体と負極と距離が面内で均一になるため、リチウムドープ工程にて面内でドープが均一に行われ、耐久性が向上するため好ましい。
圧力の測定方法には、面圧分布測定システムI-SCAN(ニッタ株式会社製)を用いる。面圧測定のためのセンサーシートは、外装体の加圧面全体を覆う面積であることが好ましい。例えば、加圧面が縦60mm×横100mmであれば、I-SCAN100センサー(測定面の寸法:112mm×112mm)を用いることができる。
組立工程の終了後に、工程(2)と関連して、外装体の中に収納された電極積層体又は電極捲回体に、非水系電解液を注液する。注液の方法としては、電極積層体又は電極捲回体を大気圧下、又は減圧下において注液する方法があり、減圧下で注液することが好ましい。減圧下で注液することにより、注液工程の時間を短縮でき、生産効率が向上する。また、正極、負極、及びセパレータに均一に非水系電解液を浸すことができる。
注液後に、外装体の外側から掛ける圧力を強めることが好ましい。圧力は0.1kgf/cm2以上1000kgf/cm2以下が好ましく、0.5kgf/cm2以上100kgf/cm2以下がより好ましく、1kgf/cm2以上10kgf/cm2以下がさらに好ましい。圧力が0.1kgf/cm2以上であると、正極前駆体および負極の歪みが圧力により矯正され、対向した正極前駆体と負極と距離が面内で均一になるため、リチウムドープ工程にて面内でドープが均一に行われ、耐久性が向上するため好ましい。圧力が1000kgf/cm2以下であれば、電極積層体又は電極捲回体に過度な圧力がかからず、構成材料である正極前駆体、負極及びセパレータにダメージを与えないため、好ましい。
リチウムドープの好ましい操作としては、正極前駆体と負極との間に電圧を印加して、正極前駆体中のリチウム化合物を分解してリチウムイオンを放出し、負極でリチウムイオンを還元することにより負極活物質層にリオチウムイオンをプレドープする方法が挙げられる。具体的には、リチウムドープ初期では定電流を印加することで電圧を上昇させ、任意の電圧に到達後に定電圧を印加する方法を取ることができる。
リチウムドープで印加する定電圧時の電圧は、4.4V以上4.8V以下が好ましく、4.4V以上4.6V以下がより好ましい。リチウムドープで印加する電圧が4.4V以上であれば、正極前駆体に含まれるリチウム化合物が効率よく分解し、リチウムを非水系電解液中に放出できるため、好ましい。電圧が4.8V以下であれば、セパレータの耐電圧が正負極間の電位差に勝り、リチウムドープで微短絡を抑制できるため、好ましい。
複数の非水系リチウム型蓄電素子前駆体を同時にドープする際には、蓄電素子前駆体を複数個連結したユニットを用いる。ユニットは、蓄電素子前駆体の外装体の両側を層間板で加圧する機構設けている。層間板の材質はアルミニウム、鉄、銅の内いずれか一つを主とする材料であることが好ましい。材質がアルミニウム、鉄、銅のいずれかであれば、熱容量が大きくドープ中に発生した熱を蓄えることができるため、蓄電素子前駆体への蓄熱を緩和させることができる。また、層間板の表面は蓄電素子の外部短絡などの不具合をなくすため、電気的に絶縁することが好ましい。例えば、層間板の材質がアルミニウムであれば、表面をアルマイト処理する方法が挙げられる。層間板の厚みは隣り合う蓄電素子前駆体の間の距離を表し、5mm以上、20mm以下であることが好ましい。5mm以上であれば、隣り合う蓄電素子前駆体同士の熱の干渉を低減することができる。20mm以下であれば、製造時のユニットのサイズを小型化できる。1ユニット当たりの蓄電素子前駆体の数は、5個以上50個以下が好ましく、10個以上40個以下がより好ましい。蓄電素子前駆体の数が5個/ユニット以上であれば、製造時のユニットの数を削減できる。蓄電素子前駆体の数が50個/ユニット以下であれば、製造時のユニットのサイズを小型化できる。
非水系リチウム型蓄電素子前駆体を複数個連結した(すなわち、複数の外装体が、各々電極積層体又は電極捲回体と非水系電解液を含み、かつ電気的に統合されている)ユニットを構成した後、蓄電素子に電圧を印加することによってドープを行う。ユニットを構成する蓄電素子前駆体数の内、30%以上70%以下の非水系リチウム型蓄電素子前駆体に電圧を印加し、一定の遅延時間経過後、残りの70%未満、又は30%より大の非水系リチウム型蓄電素子前駆体に電圧を印加することが好ましい。40%以上60%以下の非水系リチウム型蓄電素子前駆体に電圧を印加し、一定の遅延時間経過後、残りの60%未満、又は40%より大の非水系リチウム型蓄電素子前駆体に電圧を印加することがより好ましい。30%以上70%以下の非水系リチウム型蓄電素子前駆体に先に電圧を印加し、残りの70%未満、又は30%より大に遅延時間を設けて電圧を印加することで、ドープ工程における分解熱が発生するピークを好適に分散し、蓄電素子前駆体の異常な温度上昇が抑制される。これにより電解液の分解やドープされたリチウムイオンと電解液の反応による被膜化などの副反応を低減することができるため、負極へのリチウムイオンのドープが促進されるとともに、優れた入出力特性が得られる。また、ユニット内の熱斑が軽減されることから、自己放電速度も安定し、微短絡も抑制される。
電圧印加の遅延時間X(min)は、電圧印加時の充電レート(Aとする)を用いて、(120/A-10)≦Xかつ1≦A≦8であることが好ましい。ここで、充電レートAは、非水系リチウム型蓄電素子の4V-2V放電時の初期容量を基準とする。Xが(120/A-10)以上であれば、分解熱が発生するピークを効率的に分散することができる。充電レートAが1以上であれば、ドープに要する時間を削減できるため好ましい。充電レートAが8以下であれば、正極のリチウム化合物の分解がより均一に生じ、負極のリチウムドープ状態が均一になるため好ましい。
非水系リチウム型蓄電素子前駆体に電圧を印加すると、正極前駆体に含まれるリチウム化合物が分解し、発熱が生じる。分解熱はリチウム化合物の分解速度に応じて増減するため、適切な範囲に制御することが必要である。非水系リチウム型蓄電素子の電圧(例えば第一及び第二電圧印加工程の印加電圧)が4.3V~4.5Vの範囲における0.1Vの電圧上昇当たりのリチウム化合物(例えば、炭酸リチウム等)の分解速度(%/0.1V)が、4.5以上7.5以下であることが好ましい。分解速度(%/0.1V)が4.5以上であれば、蓄電素子内で適度な発熱が生じ、リチウム化合物の分解が促進されるため、負極へのリチウムドープが促進される。分解速度(%/0.1V)が7.5以下であれば、過剰な発熱を抑え、負極にドープされたリチウムイオンと電解液との副反応を抑制できるため、負極にドープされたリチウムイオンの脱ドープを抑制することができる。
非水系リチウム型蓄電素子前駆体が複数個連結したユニットから成り、電圧印加工程開始直後の非水系リチウム型蓄電素子前駆体の温度T1(℃)、電圧印加工程中の非水系リチウム型蓄電素子前駆体の最大温度T2(℃)とするとき、35≦T1≦50かつ0≦T2-T1≦10であることが好ましい。35≦T1であれば、リチウム化合物(例えば、炭酸リチウム等)の分解開始電圧を下げることができるため、効率良くリチウム化合物を分解し、リチウムイオンを負極へドープすることができる。T1≦50であれば、負極にドープされたリチウムイオンの脱ドープを抑制することができる。また、0≦T2-T1であれば、ドープ工程中のリチウム化合物の分解速度が低下することなくドープできる。T2-T1≦10であれば、ユニット内の発熱斑を低減することができるため、自己放電速度のばらつきが抑制され、微短絡率を下げることができる。
電極積層体又は電極捲回体に、充放電を繰り返す、充放電サイクル工程を施すことが好ましい。サイクル工程の効果としては、(i)充放電を繰り返すことにより、正極活性炭細孔に、非水系電解液中のカチオン、アニオン、アニオンに配位した溶媒が出入りするため、特に正極活物質である活性炭表面の不安定な官能基、安定化し、サイクル耐久性を向上する効果、(ii)正極を高電位にさらすことで、ドープ工程で分解しきれなかったアルカリ金属化合物を完全に分解し、高温耐久性を向上する効果、(iii)ドープ工程で生成したアルカリ金属化合物の酸化分解反応の副生成物を消費することで、高温耐久性を向上する効果がある。必要以上の負荷でサイクル工程を実施すると、非水系リチウム型蓄電素子の抵抗が上昇してしまうため、適切な条件(温度、電圧、充放電回数など)で充放電サイクル工程を行う必要がある。
電極積層体又は電極捲回体を、加温する高温エージング工程を施すことが好ましい。エージング工程の効果としては、(ア)非水系電解液中の溶媒や添加剤が分解し、正極や負極の表面に有機被膜や無機被膜が形成されることによる耐久性を向上する効果、(イ)正極活物質である活性炭表面の不安定な官能基、正極・負極・セパレータ・電解液中に含まれる不純物が、化学的に反応し、安定化することによるサイクル耐久性の向上効果が挙げられる。有機被膜や無機被膜は、高温耐久性を向上する効果があるが、必要以上の被膜が生成すると、非水系リチウム型蓄電素子の抵抗が上昇してしまうため、適切な条件(温度、電圧、時間など)で高温エージング工程を行う必要がある。
(1HVS)高電圧保管工程;非水系リチウム型蓄電素子前駆体の電圧を高電圧に調整した後、非水系リチウム型蓄電素子前駆体の温度を45℃以上100℃以下に調整し、保管する工程を有する。電圧としては、4.03V以上5.0V以下が好ましく、4.05V以上4.8V以下がより好ましく、4.1V以上4.5V以下が特に好ましい。4.03V以上であれば、高温高負荷サイクル試験後の抵抗上昇率を抑制することができる。5.0V以下であれば、必要以上に被膜が形成されることを防げるため、非水系リチウム型蓄電素子を低抵抗に保つことができる。
(2LVS)低電圧保管工程;非水系リチウム型蓄電素子前駆体の電圧を低電圧に調整した後、非水系リチウム型蓄電素子前駆体の温度を45℃以上100℃以下に調整し、保管する工程を有する。電圧としては、1.5V以上2.8V以下が好ましく、1.6V以上2.7V以下がより好ましく、1.7V以上2.5V以下が特に好ましい。2.8V以下であれば、高温高負荷サイクル試験後の容量維持率を向上することができる。1.5V以上であれば、負極の集電体である銅の溶出を抑制でき、低抵抗に保てる。
また、上記ドープ工程、サイクル工程、エージング工程を行う順序としては、第一にドープ工程を行うのが望ましい。その後に、サイクル工程、エージング工程を行う順序、回数は特に制限されない。また、ドープ工程を複数回行ってもよい。
エージング工程の終了後に、更にガス抜きを行い、非水系電解液、正極、及び負極中に残存しているガスを確実に除去してもよい。ガス抜きを行うことで、耐久性が向上する。上記ガス抜きの方法としては、特に制限されないが、例えば、前記外装体を開口した状態で電極積層体又は電極捲回体を減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にする方法等を用いることができる。
[分解速度測定]
ドープ工程において、非水系リチウム型蓄電素子前駆体に定電流を印加したとき、非水系リチウム型蓄電素子前駆体の電圧が4.3Vから4.5Vの範囲において、0.1V上昇当たりの正極前駆体に含まれるリチウム化合物の分解率(%)を分解速度(%/0.1V)と定義する。非水系リチウム型蓄電素子前駆体を3個準備し、それぞれ電圧が4.3V、4.4V、4.5Vになった後、3.0Vに放電する。その後、取り出した非水系リチウム型蓄電素子前駆体を解体し、正極を取り出し、上述のXRDを用いて残存炭酸リチウム量X1(%)、X2(%)、X3(%)を定量する。横軸電圧(4.3V、4.4V、4.5V)、縦軸(X1(%)、X2(%)、X3(%))をプロットし、最小二乗法により当てはめた近似直線の傾きから、0.1V上昇当たりの分解速度(%/0.1V)を算出する。
非水系リチウム型蓄電素子を4.0Vに電圧調整をした後、解体して負極を取り出す。両面負極の場合は、ウエス等で片面を剥がして打ち抜き、金属リチウム、セパレータ、ガラスフィルター、打ち抜いた負極を積層し、負極単極セルを構成する。各部材に電解液を含浸させ、電圧が2.5Vになるまで充電する。得られた容量をq(mAh)、負極活物質重量をm(g)とすると、負極ドープ量Q=q/m(mAh/g)で算出される。負極ドープ量は、十分な耐久性を確保する観点から、260mAh以上が好ましく、より好ましくは290mAh以上であり、更に好ましくは、320mAh以上である。
電圧印加工程開始直後の非水系リチウム型蓄電素子前駆体の外装体に熱電対を貼り付け、温度T1(℃)及び電圧印加中の外装体の最大温度T2(℃)を測定する。測定箇所は、最も蓄熱し易いと考えられるユニットの中心付近に位置する蓄電素子前駆体の外装体を選択する。
本明細書では、常温放電内部抵抗Ra(Ω)とは、以下の方法によって得られる値である:
先ず、非水系リチウム型蓄電素子と対応するセルを25℃に設定した恒温槽内で、20Cの電流値で4.0Vに到達するまで定電流充電し、続いて4.0Vの定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分間行う。続いて、20Cの電流値で2.0Vまで定電流放電を行って、放電カーブ(時間-電圧)を得る。この放電カーブにおいて、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から、直線近似にて外挿して得られる放電時間=0秒における電圧をEoとしたときに、降下電圧△E=4.0-Eo、及びRa=△E/(20C(電流値A))により算出される値である。
Raは、大電流に対して十分な容量を発現させる観点から、2.8mΩ以下であることが好ましく、より好ましくは2.0mΩ以下であり、更に好ましくは、1.1mΩ以下である。
本明細書では、非水系リチウム型蓄電素子の微短絡とは以下の手法により判断する。
先ず、1Cの電流値で2.5Vまで定電流放電し、その後1Cの電流値で電圧4.0Vまで定電流充電した後に続けて4.0V定電圧充電を1時間継続する手法により、電圧を4.0Vに調整する。続いて45℃に設定した恒温槽内で、電極体を100kPaの圧力で加圧した状態で1週間静置し、電圧が3.8V以下に低下したものを微短絡と判断する。加温、加圧することにより、微短絡している非水系リチウム型蓄電素子を高感度に検出することが可能となる。微短絡しなかった蓄電素子の数を製造した蓄電素子の数で除することで、収率を算出する。収率は、製造時のコストを削減する観点から、60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
[活性炭1の調製]
破砕されたヤシ殻炭化物を小型炭化炉内へ入れ、窒素雰囲気下、500℃で3時間炭化処理して炭化物を得た。得られた炭化物を賦活炉内へ入れ、予熱炉で加温した水蒸気を1kg/hで賦活炉内へ導入し、900℃まで8時間かけて昇温して賦活した。賦活後の炭化物を取り出し、窒素雰囲気下で冷却して、賦活された活性炭を得た。得られた賦活された活性炭を10時間通水洗浄した後に水切りし、115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後に、ボールミルで1時間粉砕を行うことにより、活性炭1を得た。
[正極前駆体1の製造]
活性炭1を正極活物質として用いて正極前駆体を製造した。
活性炭1を正極活物質として用いて正極前駆体を製造した。
平均粒子径4.5μmの人造黒鉛を83質量部、複合炭素材料を4質量部、アセチレンブラックを9質量部、粉末状態でプラネタリーミキサーにてドライブレンドし、そこに、スチレン-ブタジエン共重合体を2質量部、CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液を添加し、固形分を徐々に下げながら分散させる。最終的にはCMCが2質量部になるように添加し、固形分の質量割合が39%になるように水を混合溶液へ添加し、負極塗工液を得る。
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):メチルエチルカーボネート(EMC)=34:44:22(体積比)の混合溶媒を用い、全非水系電解液に対してLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度比が25:75(モル比)であり、かつLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解した。
[非水系リチウム型蓄電素子の製造]
実施例1では正極前駆体として正極前駆体1を、実施例2では正極前駆体2をそれぞれ使用した。
正極前駆体及び負極を、温度80℃、乾燥時間5分、乾燥炉内の酸素濃度1000ppmの条件で遠赤外線によるロールtoロール乾燥をした。乾燥炉から出てきた正極前駆体を露点-45℃のドライ環境下で巻き取った。
得られた正極前駆体を、正極活物質層が10.0cm×10.0cm(100cm2)の大きさに正極前駆体(両面)を20枚切り出した。続いて負極1を、負極活物質層が10.1cm×10.1cm(102cm2)の大きさに21枚切り出し、10.3cm×10.3cm(106cm2)のポリエチレン製のセパレータ(旭化成株式会社製、厚み10μm)40枚を用意した。これらを、最外層が負極1になるように、正極前駆体、セパレータ、負極の順にセパレータを挟んで正極活物質層と負極活物質層が対向するように積層し、電極積層体を得た。得られた電極積層体に正極端子及び負極端子を超音波溶接し、アルミラミネート包材で形成された容器に入れ、電極端子部を含む3辺をヒートシールによりシールした。
アルミラミネート包材の外側から、一対の金属製の板(高さ150mm×幅150mm×厚み5mm)で挟み、金属製の板の四隅をねじ止めすることで、圧力を加えた。面圧分布測定システムI-SCAN(ニッタ株式会社製)及びI-SCAN100センサー(測定面の寸法:112mm×112mm)を用い、圧力を測定したところ、拘束圧力は0.08kgf/cm2であった。
温度25℃、露点-40℃以下のドライエアー環境下にて、アルミラミネート包材の中に収納された電極積層体を減圧チャンバーの中に入れ、常圧から-100kPaまで減圧した後、液温25℃の上記非水系電解液を約80g注入した。その後、常圧に戻して、60分間静置した。続いて、非水系リチウム型蓄電素子を減圧シール機に入れ、-95kPaに減圧した状態で、180℃で10秒間、0.1MPaの圧力でシールすることによりアルミラミネート包材を封止した。
非水系リチウム型蓄電素子前駆体の外装体の両側を層間板で加圧する機構を設けたユニットを準備した。層間板には、表面をアルマイト処理した厚み10mmのアルミニウムの板を用いた。ユニットは30個の非水系リチウム型蓄電素子前駆体を設置でき、なおかつばね加圧できるものを準備した。
注液後の非水系リチウム蓄電素子前駆体を30個ユニットに設置し、拘束して圧力が1.2kgf/cm2になるように、ばねの縮み量を調整した。
ユニットに30個の非水系リチウム型蓄電素子前駆体を取り付け、45℃環境の恒温槽内にユニットごと設置した。非水系リチウム型蓄電素子前駆体の外装体の温度が45℃になったことを確認した後、表2に示すように30個の非水系リチウム型蓄電素子前駆体の内、15個の非水系リチウム型蓄電素子前駆体を端から1個間隔で外装体群Iを選択し、電圧印加を開始した。その後、20minの遅延時間を設けて、残りの外装体群IIの電圧印加を開始した。電圧印加は、アスカ電子株式会社製の充放電試験装置(ACD-10APS(01))を用いて、電流値6Aで電圧4.5Vに到達するまで定電流充電を行った後、続けて4.5V定電圧充電を1時間継続する手法により初期充電を行い、負極にリチウムドープを行った。
加圧力を1.2kgf/cm2のまま、ドープ後の非水系リチウム型蓄電素子を、30℃環境下に置いた。
(1)10.0Aで電圧4.3Vに到達するまで定電流充電を行った後、4.3V定電圧充電を5分間行った。
(2)10.0Aで電圧2.0Vに到達するまで定電流放電を行った後、2.0V定電圧放電を5分間行った。
(1)、(2)を1サイクルとして、合計5サイクルを実施した。
(1)高電圧保管工程;加圧力を1.2kgf/cm2のまま、充放電サイクル工程後の非水系リチウム型蓄電素子を、25℃環境下、10.0Aで電圧4.2Vに到達するまで定電流放電を行った後、4.2V定電流充電を30分間行うことにより電圧を4.2Vに調整した。その後、非水系リチウム型蓄電素子を60℃の恒温槽に10時間保管した。
(2)低電圧保管工程;加圧力を1.2kgf/cm2のまま、低電圧工程後の非水系リチウム型蓄電素子を、25℃環境下、10.0Aで電圧2.0Vに到達するまで定電流放電を行った後、2.0V定電流充電を30分間行うことにより電圧を2.0Vに調整した。その後、非水系リチウム型蓄電素子を60℃の恒温槽に10時間保管した。
エージング後の非水系リチウム型蓄電素子を、温度25℃、露点-40℃のドライエアー環境下でアルミラミネート包材の一部を開封した。次いで、減圧チャンバーの中に前記非水系リチウム型蓄電素子を入れ、KNF社製のダイヤフラムポンプ(N816.3KT.45.18)を用いて大気圧から-80kPaまで3分間かけて減圧した後、3分間かけて大気圧に戻す工程を合計3回繰り返した。その後、減圧シール機に非水系リチウム型蓄電素子を入れ、-90kPaに減圧した後、200℃で10秒間、0.1MPaの圧力でシールすることによりアルミラミネート包材を封止した。
[分解速度測定]
ユニットに設置された30個の非水系リチウム蓄電素子の内、無作為に3個を選び、上述の分解速度測定を行ったところ、実施例1において炭酸リチウムの分解速度は、5.5(%/0.1V)であった。
ユニットに設置された30個の非水系リチウム型蓄電素子前駆体の内、端から15番目の蓄電素子前駆体に熱電対(理化工業:ST-51)を貼り付け、データロガーで温度の推移を読み取ったところ、実施例1においてT1は45℃、T2は50℃であり、T2-T1=5℃であった。
作製した27個の非水系リチウム型蓄電素子の内、無作為に5個を選び、上述の負極ドープ量測定を行ったところ、実施例1において負極ドープ量の平均値は、340mAh/gであった。
作製した27個の非水系リチウム型蓄電素子について、上述の微短絡検査試験を行ったところ、実施例1において微短絡数は0個であった。よって、実施例1の収率は100%であった。
ドープ工程における製造条件以外は、実施例1と同様にして、非水系リチウム型蓄電素子を製造し、以降の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
正極前駆体の種類とドープ工程における製造条件を表1又は表2のように変更し、実施例1と同様に組立工程及び評価を実施した。その結果を表1及び表2に示す。
Claims (10)
- 非水系リチウム型蓄電素子の製造方法であって、
前記非水系リチウム型蓄電素子は、複数の外装体を含み、
前記複数の外装体は、各々正極、負極、セパレータ、及び非水系電解液が収納され、かつ電気的に結合されており、
以下の工程:
(1)炭素材料から成る正極活物質、及び炭酸リチウムを含有する正極前駆体と、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる負極活物質を含有する前記負極とを、前記セパレータを介して積層することにより得られた積層体を前記外装体の各々に収納する収納工程;
(2)リチウムイオンを含む前記非水系電解液を前記外装体の各々に注液する注液工程;
(3)前記複数の外装体を電気的に結合して、非水系リチウム型蓄電素子前駆体を得る蓄電素子前駆体形成工程;
(4)前記複数の外装体の全個数を基準として、30%以上70%以下の外装体群Iと、残りの外装体群IIとに分け、前記外装体群IIに属する外装体のうち連続して隣接する最大の個数が、前記複数の外装体の全個数に対して0%~10%になるように、前記外装体群I,IIを配列して、前記外装体群Iに電圧を印加する第一電圧印加工程;並びに
(5)前記第一電圧印加工程から一定の遅延時間経過後、前記外装体群IIに電圧を印加する第二電圧印加工程;
を含み、前記遅延時間をX(min.)として、かつ電圧印加時の充電レートをAとすると、前記第一及び第二電圧印加工程は、次の関係式:
(120/A-10)≦X、かつ、
1≦A≦8
を満たすように行われる、非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。 - 前記第一電圧印加工程では、前記外装体群IIに属する外装体のうち連続して隣接する最大の個数が、3以下である、請求項1に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記第一電圧印加工程では、前記外装体群I及びIIに属する外装体の全個数が10~50の範囲内であるときに、前記外装体群IIに属する外装体のうち連続して隣接する最大の個数が、3以下である、請求項1又は2に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記複数の外装体は、それぞれ表面及び裏面を有し、
前記蓄電素子前駆体形成工程では、1つの外装体の表裏のいずれか一方の面が、他の外装体の表裏のいずれか一方の面と対向するように配置された後に、前記複数の外装体が電気的に結合され、かつ
前記第一電圧印加工程では、前記外装体群IとIIの両群において、同じ外装体群に属する複数の外装体同士が隣接して面対向している面数が、前記両群に属する外装体全体の面の数の0%~50%になるように、両群に属する複数の外装体を配列して、前記外装体群Iに電圧を印加する、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。 - 前記第一電圧印加工程では、前記外装体群Iに属する外装体が隣接しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記第一電圧印加工程では、前記外装体群Iに属する外装体と、前記外装体群IIに属する外装体とが、交互に配列される、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記充電レートAは、前記非水系リチウム型蓄電素子の4V-2V放電時の初期容量を基準とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記第一及び第二電圧印加工程の印加電圧が4.3V~4.5Vの範囲内にあるときに、単位時間当たりの前記炭酸リチウムの分解速度が、4.5%/0.1V~7.5%/0.1Vである、請求項1~7のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記第一及び第二電圧印加工程開始直後の前記非水系リチウム型蓄電素子前駆体の温度をT1(℃)とし、前記第一及び第二電圧印加工程中の前記非水系リチウム型蓄電素子前駆体の最大温度をT2(℃)とするとき、
35≦T1≦50かつ0≦T2-T1≦10である、請求項1~8のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。 - 前記群Iに属する外装体に含まれる前記負極、及び前記群IIに属する外装体に含まれる前記負極に対するリチウムイオンのドープが、逐次的に行われる、請求項1~9のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
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