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JP7574611B2 - 注射針及び注射器 - Google Patents

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JP7574611B2
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Description

本発明は、医療用の注射針及び注射器に関する。
従来、医療用の注射針は、患者の皮膚を通して血管に穿刺されることで使用される。注射針が患者の皮膚を通して血管に穿刺される際には、注射針が皮膚を切開しながら皮膚を貫通するため、注射針には、皮膚を破断する際の破断力や皮膚を貫通する際の摩擦力が生じる。注射針に生じた破断力や摩擦力が大きい場合には、患者は痛みを強く感じることになる。
これに対して、基端側から先端側に向かうに従って下り傾斜して形成される刃面部を備える医療用の注射針が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の注射針は、基端側に配置される第1刃面と先端側に配置される第2刃面とが連続して形成される刃面部を備えるランセットポイント型の注射針である。特許文献1に記載の医療用の注射針は、軸方向の先端側において刃面部の径方向の反対側に切欠面を形成することで、皮膚への刺入が容易であり、刺入時における患者の痛みを軽減できるとされている。
特開2008-154843号公報
特許文献1に記載の技術においては、注射針が患者の皮膚を通して血管に穿刺される際の患者の痛みを軽減するための形状の工夫が施されている。注射針において、患者の痛みを軽減する更なる工夫が求められている。
本発明は、患者の痛みを軽減できる注射針を提供することを目的とする。
本発明は、筒状の注射針であって、前記注射針の軸方向において基端側から先端側に向かうに従って下り傾斜して形成される刃面部と、前記注射針の径方向における前記刃面部と反対側に位置する底面において前記底面から前記刃面部側に近づくように窪んで形成される凹部と、を備え、前記刃面部は、前記注射針の軸方向において基端側に配置される第1刃面と、前記第1刃面の先端側に連続して形成される第2刃面と、前記第1刃面の基端に形成されたヒールと、前記第2刃面の先端に形成されたポイントと、前記ヒールと前記ポイントとの間に配置され前記第1刃面と前記第2刃面との切り替わり部分に形成されるジャンクションと、を有し、前記凹部は、前記注射針の軸方向において先端側から基端側に向かうに従って前記刃面部側に近づくように上り傾斜して形成される先端側傾斜底面部を有し、前記先端側傾斜底面部の上り傾斜における傾斜変化率は、0.2~0.4の範囲である、注射針に関する。
また、前記凹部は、前記注射針の軸方向において、前記ジャンクションが形成される位置を挟んで、前記注射針の先端側から基端側に連続して形成されることが好ましい。
また、前記第1刃面は、前記注射針の軸方向において、基端から先端に向かうに従って下り傾斜して形成される第1刃面傾斜部を有し、前記第1刃面傾斜部と前記先端側傾斜底面部とは、略平行に形成されることが好ましい。
前記凹部は、前記先端側傾斜底面部の基端側に連続して形成され前記注射針の軸方向において先端側から基端側に向かうに従って前記刃面部から離れるように下り傾斜する基端側傾斜底面部を有することが好ましい。
本発明は、前記注射針と、先端に前記注射針が取り付けられるシリンジと、前記シリンジに進退可能に設けられるプランジャーと、を備える注射器に関する。
本発明によれば、患者の痛みを軽減できる注射針を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る注射針を斜め上方側から見た斜視図である。 一実施形態に係る注射針を斜め下方側から見た斜視図である。 一実施形態に係る注射針の平面図である。 一実施形態に係る注射針の側面図である。 一実施形態に係る注射針の底面図である。 従来の注射針を斜め上方側から見た斜視図である。 従来の注射針の側面図である。 従来の注射針の穿刺距離に対する穿刺抵抗を示すグラフである。 従来の注射針及び本発明の注射針のサンプルを用いた場合において、第1ピーク、第2ピーク及び第3ピークの穿刺抵抗を示す試験結果の表である。
以下、本発明の注射針1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の注射針1は、医療用の注射針である。注射針1は、例えば、ディスポーザブルの注射器に使用される注射針として用いられる。注射器は、注射針1と、先端に注射針1が取り付けられるシリンジ(注射筒)と、シリンジに進退可能に設けられるプランジャー(押子)と、を備える。
図1~図5に示すように、注射針1は、先端側に刃面部2が設けられ筒状に形成される。注射針1の筒状部分は、所定の厚みを有する円筒状に形成され、軸方向に延びる。注射針1は、軸方向において基端側から先端側に向かうに従って下り傾斜して形成される刃面部2と、径方向において刃面部2と反対側に形成される凹部5と、を備える。
刃面部2は、図1及び図2に示すように、注射針1の軸方向において、基端側に配置される第1刃面3と、先端側に配置される第2刃面4と、を備え、第1刃面3及び第2刃面4が連続して形成される。注射針1は、基端側に配置される第1刃面3と先端側に配置される第2刃面4とが連続して形成される刃面部2を備えるランセットポイント型の注射針である。
第1刃面3は、図3に示すように、刃面部2の基端側に配置される。第1刃面3は、平面視で、先端側が開放すると共に幅を有するU字形状に形成される。第1刃面3の基端側の端部には、ヒール21(後述)が形成される。第1刃面3は、図3及び図4に示すように、注射針1の軸方向の先端側のU字形状の開放側において、基端から先端に向かうに従って下り傾斜して形成される一対の第1刃面傾斜部31を有する。
第2刃面4は、図3~図5に示すように、第1刃面3の先端側に形成される。第2刃面4は、平面視で、先端が尖って形成されると共に基端側が開放するV字形状に形成される。第2刃面4は、一対の第2刃面傾斜部41を有する。一対の第2刃面傾斜部41の基端は、それぞれ、ジャンクション23(後述)において、第1刃面3の第1刃面傾斜部31の先端側の開放側の端部に接続される。一対の第2刃面傾斜部41の先端は互いが接続されて形成されており、第2刃面4のV字形状の尖った先端を構成する。
一対の第2刃面傾斜部41は、それぞれ、幅を有して形成され、注射針1の軸方向において、図4に示すように、基端側から先端側に向かうに従って上方から下方に向かうように下り傾斜して湾曲すると共に、図3に示すように、注射針1の厚み部分において、内側から外側に下り傾斜して形成される。一対の第2刃面傾斜部41の先端の接続部分は、図3に示すように、注射針1の軸方向に延びて形成されると共に、図4に示すように、先端に形成されるポイント(後述)に向かうに従って下り傾斜して形成される。
以上のように構成される刃面部2には、第1刃面3と第2刃面4とが連続して形成されることにより、前述のように、図3及び図4に示すように、ヒール21と、ポイント22と、ジャンクション23と、が形成される。
ヒール21は、注射針1の軸方向において、第1刃面3におけるU字形状の閉じた部分の最も基端に形成される。
ポイント22は、注射針1の軸方向において、第2刃面4の最も先端に形成される。ポイント22は、一対の第2刃面傾斜部41の先端の接続部分の最も先端の部分であり、第2刃面4のV字形状の先端の頂点の部分である。
ジャンクション23は、注射針1の軸方向において、ヒール21とポイント22との間に配置される。ジャンクション23は、第1刃面3と第2刃面4との切り替わり部分に形成される。
ジャンクション23は、図3及び図4に示すように、第1刃面3の第1刃面傾斜部31の先端において、第1刃面3の第1刃面傾斜部31と第2刃面4の第2刃面傾斜部41との接続部分に形成される。ジャンクション23は、図4に示すように、側面視で、第1刃面3の第1刃面傾斜部31と同じ傾斜角度で先端側に下り傾斜で延びると共に、図3に示すように、平面視で、基端側から先端側に向かうに従って、注射針1の径方向の外側から内側に向かうように傾斜する線状に形成される。
凹部5は、図4に示すように、注射針1の径方向における刃面部2と反対側において、側面視で、注射針1の底面1aから刃面部2側に近づくように略三角形状に窪んで形成される。凹部5は、注射針1の軸方向において、ジャンクション23が形成される位置を挟んで、注射針1の先端側から基端側に連続して形成される。凹部5は、注射針1の底面1aに形成された貫通穴6を有する。貫通穴6は、平面視で、図3に示すように、先端側が丸みを帯びると共に基端側が尖るような卵形に開口する。貫通穴6は、例えば、バックアイとも呼ばれる。
凹部5は、図4に示すように、側面視において、先端側傾斜底面部51と、基端側傾斜底面部52と、を有する。
先端側傾斜底面部51は、注射針1の軸方向において、先端側から基端側に向かうに従って刃面部2側に近づくように上り傾斜して形成される。先端側傾斜底面部51は、凹部5の切削開始点53から切削最大点54まで延びており、先端側から基端側に向かうに従って上り傾斜する略直線状に形成される。先端側傾斜底面部51は、第1刃面3の第1刃面傾斜部31と略平行に形成される。なお、先端側傾斜底面部51は、注射針1の軸方向の切削最大点54付近において僅かに湾曲して形成され、基端側傾斜底面部52に接続されている。
切削開始点53は、注射針1に凹部5を切削して形成する場合に、切削を開始する点であり、凹部5における最も先端の部分である。切削開始点53は、注射針1の軸方向において、第2刃面4が形成される範囲の略中央の位置に配置される。
切削最大点54は、注射針1に凹部5を切削して形成する場合に、凹部5において注射針1の底面1aから最も大きく窪んだ部分である。切削最大点54は、注射針1の軸方向において、ジャンクション23と同じ位置、又はジャンクション23よりも僅かにヒール21側に配置される。
基端側傾斜底面部52は、先端側傾斜底面部51の基端側に連続して形成される。基端側傾斜底面部52は、注射針1の軸方向において、先端側から基端側に向かうに従って刃面部2から離れるように下り傾斜する。基端側傾斜底面部52は、凹部5の切削最大点54から切削終了点55まで延びており、先端側から基端側に向かうに従って下方側に傾斜する略直線状に形成される。なお、基端側傾斜底面部52は、注射針1の軸方向の切削最大点54付近において僅かに湾曲して形成され、先端側傾斜底面部51に接続されている。
切削終了点55は、注射針1に凹部5を切削して形成する場合に、切削を終了する点であり、凹部5における最も基端の部分である。切削終了点55は、注射針1の軸方向において、ヒール21と略同じ位置に配置される。
本実施形態においては、図4に示すように、注射針1の軸方向において、ポイント22から切削開始点53までの距離L1は、例えば1.0mmである。
切削開始点53から切削最大点54までの距離L2は、例えば1.0mmである。
切削最大点54から切削終了点55までの距離L3は、例えば2.0mmである。
注射針1の底面1aから切削最大点54までの高さH1は、例えば0.3mmである。
先端側傾斜底面部51と第1刃面3の第1刃面傾斜部31との平行部分の最短距離L4は、例えば0.37mmである。
なお、本実施形態においては、距離L1、距離L2、距離L3、高さH1及び最短距離L4の数値は、一例であり、この数値に限定されない。また、先端側傾斜底面部51は直線状に限定されず、曲線状に形成されていてもよい。
先端側傾斜底面部51の上り傾斜における傾斜変化率Rは、0.2~0.4の範囲である。本実施形態においては、先端側傾斜底面部51における上り傾斜の傾斜変化率Rとは、図4に示すように、先端側傾斜底面部51の側面視において、注射針1の軸方向における切削開始点53から切削最大点54までの距離L2に対する注射針1の底面1aから切削最大点54までの高さH1の変化の割合(R=H1/L2)を意味する。
本実施形態においては、例えば、距離L2を1.0mmとし、高さH1を0.3mmとすることにより、先端側傾斜底面部51の上り傾斜における傾斜変化率Rを、例えば、0.3とした。しかし、距離L2及び高さH1は、これに限定されない。例えば、距離L2を1.0mmとし、高さH1を0.2とすることで、先端側傾斜底面部51の上り傾斜における傾斜変化率Rを、例えば、0.2としてもよいし、例えば、距離L2を1.0mmとし、高さH1を0.4とすることにより、先端側傾斜底面部51の上り傾斜における傾斜変化率Rを、例えば、0.4としてもよい。なお、本実施形態においては、傾斜変化率Rを、先端側傾斜底面部51の傾斜を直線状に形成することで注射針1の軸方向において全て一定の値とした。しかし、これに限定されず、例えば、先端側傾斜底面部51の傾斜を曲線状に形成することで軸方向の位置において変化した値としてもよい。
本実施形態の注射針1を製作する方法について簡単に説明する。
まず、筒状の管の先端側を先端側が下り傾斜する平面で竹割状に切断又は切削することにより、先端側が開放するU字形状の第1刃面3を形成する。
続けて、第1刃面3のU字形状の先端側において、一対の第2刃面傾斜部41それぞれを形成するように切断又は切削することで、平面視で先端が尖ったV字形状の第2刃面4を形成する。
その後、注射針1における刃面部2の径方向の反対側に位置する底面1aにおいて、図4に示すように、切削開始点53から切削最大点54を経由して切削終了点55までの範囲において、先端側傾斜底面部51及び基端側傾斜底面部52を切削して形成することにより、注射針1の底面1aから略三角形状に窪む凹部5を形成する。
以上の注射針1においては、傾斜変化率Rが0.2~0.4の範囲の先端側傾斜底面部51を有する凹部5を形成することで、注射針1の穿刺抵抗が低減される。これにより、注射針1を刺した場合の患者の痛みを軽減できる。
ここで、本発明の注射針1において、傾斜変化率Rが0.2~0.4の範囲の先端側傾斜底面部51を有する凹部5を形成することで、注射針1の穿刺抵抗を低減できる理由について、従来の注射針10と本発明の注射針1とを比較することにより説明する。まず、従来の注射針10の構成について説明する。なお、従来の注射針10の説明において、前述の本発明の注射針1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
従来の注射針10は、図6及び図7に示すように、刃面部11の径方向の反対側に貫通穴14が設けられることで、刃面部11の径方向の反対側が僅かに窪んで形成されている。なお、従来の注射針10には、本発明の注射針1に形成される傾斜変化率Rが0.2~0.4の範囲の傾斜を有する凹部5は設けられていない。
従来の注射針10は、図6及び図7に示すように、刃面部11と、貫通穴14(バックアイ)と、を備える。刃面部11は、第1刃面12と、第2刃面13と、を有する。刃面部11は、ヒール111と、ポイント112と、ジャンクション113と、を有する。従来の注射針10は、本発明の注射針1と同様に、2段の刃面を有するランセットポイント型の注射針である。
従来の注射針10と本発明の注射針1とについて、従来の注射針10における刃面部11、貫通穴14、ヒール111、ポイント112及びジャンクション113は、本発明の注射針1の刃面部2、貫通穴6、ヒール21、ポイント22及びジャンクション23と同様の構成であるため、その説明を省略する。従来の注射針10は、貫通穴14(バックアイ)が設けられているが、本発明の注射針1に形成される傾斜変化率Rが0.2~0.4の範囲の傾斜を有する凹部5は設けられていない。
従来の注射針10の穿刺時の抵抗は、注射針10が皮膚を切開しながら皮膚を貫通する際の力に起因し、皮膚を切開する力は皮膚の破断力となり、皮膚を貫通する力は摩擦力となる。従って、皮膚を切開する距離を大きくすれば、皮膚を貫通する際の摩擦力を小さくできる。しかし、穿刺時の痛みを軽減するためには、皮膚を切開する距離を小さくする必要がある。そこで、皮膚を切開する距離を、注射針が皮膚を貫通するための最小限とし、皮膚を貫通する際の摩擦力を押さえることが求められている。
フィルムに注射針10を穿刺する場合を例にとると、注射針10の穿刺抵抗は、フィルムの破断力とフィルムの摩擦力との合計となる。フィルムの破断力は、フィルムを切る開口距離に関係する。フィルムの摩擦力は、フィルムの開口距離に対するフィルムを貫通する注射針の断面積に関係する。フィルムの開口距離を大きくすれば、注射針10が貫通する際の摩擦力は小さくなり、フィルムの開口距離を小さくすれば、注射針10が貫通する際の摩擦力は大きくなる。
ここで、図8に示すように、従来の注射針10において、従来の注射針10の穿刺距離に対する穿刺抵抗を測定したグラフがある。
まず、注射針10の穿刺抵抗を測定するための試験条件について説明する。
試験方法としては、開口径56mmの開口部にフィルムを張り付け、注射針によりフィルムを穿刺する場合の注射針10の穿刺抵抗を測定した。フィルムとして、厚さ0.05mmのポリエチレン(PE)のフィルムを使用した。
試験機として、テンシロン試験機を用いた。テンシロン試験機において、ロードセルの設定値を50Nとし、穿刺速度を24mm/sとし、穿刺角度を90°とし、穿刺距離を10mmとした。
注射針として、ゲージが18G(外径1.2mm)のものを使用した。
試験環境温度を約23℃とした。試験環境湿度を約30%とした。
このような試験条件下において、従来の注射針10をフィルムに穿刺した場合の穿刺抵抗を測定した。図8に示すグラフを考察すると、主に、注射針10の穿刺距離に対する穿刺抵抗の傾きの変化が5箇所(第1抵抗傾斜S1、第2抵抗傾斜S2、第3抵抗傾斜S3、第4抵抗傾斜S4、第5抵抗傾斜S5)存在することが分かった。また、注射針1の穿刺抵抗において、主に、3つのピーク(第1ピークP1、第2ピークP2、第3ピークP3)が存在することが分かった。
第1抵抗傾斜S1は、注射針1の先端がフィルムを破断して、注射針10がフィルムを貫通するときの穿刺抵抗である。第1抵抗傾斜S1の最大ピークは、第1ピークP1である。第1ピークP1に達した後には、Stick-Slip現象(注射針1の摩擦が静摩擦から動摩擦に移るときに不連続に摩擦が低下する現象)により、穿刺抵抗が大きく低下している。
第2抵抗傾斜S2は、注射針1の第2刃面13の先端側がフィルムを破断することで、注射針1の第2刃面13により径方向に開口が大きくなるようにフィルムを破断するときの穿刺抵抗である。
第3抵抗傾斜S3は、注射針1が第2刃面13において第1刃面12及び第2刃面13の境界のジャンクション113まで移動することで、注射針1の第2刃面13により径方向に開口が大きくなるようにフィルムを破断すると共に、注射針10の第2刃面13が軸方向に移動することによる摩擦力が増加するときの穿刺抵抗である。第3抵抗傾斜S3の最大ピークは、ジャンクション113付近において生じる第2ピークP2である。第2ピークP2に達した後には、Stick-Slip現象(注射針1の摩擦が静摩擦から動摩擦に移るときに不連続に摩擦が低下する現象)により、穿刺抵抗が大きく低下している。
第4抵抗傾斜S4及び第5抵抗傾斜S5は、注射針1が第1刃面12においてジャンクション113からヒール111まで移動することで、注射針10がフィルムを破断せずに、注射針10とフィルムとの摩擦力のみの抵抗である。注射針10におけるフィルムの破断は、注射針10の刃面の直径が最大となる部分まで生じており、それ以降は、フィルムを破断せず、摩擦力のみが生じる。第5抵抗傾斜S5の最大ピークは、第3ピークP3である。第3ピークP3に達した後には、Stick-Slip現象(注射針1の摩擦が静摩擦から動摩擦に移るときに不連続に摩擦が低下する現象)により、穿刺抵抗が大きく低下している。
注射針10の穿刺抵抗について更に考察すると、図8に示すように、第2ピークP2及び第3ピークP3は、第1ピークP1よりも大きい。従来の注射針10の穿刺抵抗を低減するためには、第2ピークP2及び第3ピークP3を低減することが好ましい。
そこで、本発明の注射針1においては、第3抵抗傾斜S3において生じる破断力及び摩擦力のうちの破断力の影響を低減することによって第2ピークP2を小さくするように、従来の注射針10から形状を変更することで、穿刺抵抗を低減する。注射針の摩擦力は注射針がフィルムを貫通する断面積に関係するため、注射針の摩擦力を小さくするためには、注射針の断面積を小さくすることが好ましい。そのため、本発明の注射針1では、第2ピークP2が発生する前後の部分に凹部5を形成することで、注射針1の断面積を小さくする。
より具体的には、本発明の注射針1においては、図4に示すように、刃面部2の径方向の反対側に、第2ピークP2が発生するジャンクション23の軸方向の前後の部分において、傾斜変化率Rが0.2~0.4の範囲の先端側傾斜底面部51を有する凹部5を形成する。これにより、注射針1の刃面部2から刃面部2の径方向の反対側までの間の距離を小さくして、注射針1の断面積を小さくすることで、注射針1の穿刺抵抗の第2ピークP2を低減できる。
ここで、従来の注射針10及び本発明の注射針1のサンプル品を複数用意して、図9に示すように、注射針がフィルムを貫通する場合の穿刺抵抗を比較した。本発明の注射針1は、傾斜変化率Rが0.2~0.4の範囲の先端側傾斜底面部51を有する凹部5を備えている点のみが、従来の注射針10と異なる。
図9を参照すると、本発明の注射針1の穿刺抵抗の第2ピークP2(平均値:0.11N)は、従来の注射針10の穿刺抵抗の第2ピークP2(平均値:0.15N)よりも小さくなった。詳細には、図9に示すように、従来の注射針10の穿刺抵抗の第2ピークP2が0.15N(サンプル数5つの平均値)であるのに対して、本発明の注射針1の穿刺抵抗の第2ピークは0.11N(サンプル数3つの平均値))であった。これにより、本発明の注射針1の穿刺抵抗の第2ピークP2(平均値:0.11N)を、従来の注射針10の穿刺抵抗の第2ピークP2(平均値:0.15N)に対して、約27%((0.15-0.11)/0.15=約0.27)小さくできた。よって、本発明においては、注射針1の穿刺抵抗を低減できるため、患者の痛みを軽減できる。
また、図9の試験結果を参照すると、本発明の注射針1の穿刺抵抗の最大ピークであるサンプルNo.1~3の第3ピークP3(0.13N)は、従来の注射針10の穿刺抵抗の最大ピークであるサンプルNo.3~5の第2ピークP2(0.15N)よりも小さくなった。詳細には、図9に示すように、従来の注射針10の穿刺抵抗の最大ピークであるサンプルNo.3~5の第2ピークP2が0.15Nであるのに対して、本発明の注射針1の穿刺抵抗の最大ピークであるサンプルNo.1~3の第3ピークP3は0.13Nであった。これにより、本発明の注射針1の穿刺抵抗の最大ピークである第3ピークP3(0.13N)を、従来の注射針10の穿刺抵抗の最大ピークであるサンプルNo.3~5の第2ピークP2(0.15N)に対して、約13%((0.15-0.13)/0.15=約0.13)小さくできた。よって、本発明においては、注射針1の穿刺抵抗を低減できるため、患者の痛みを軽減できる。
以上説明した本実施形態の注射針1によれば、以下のような効果を奏する。
注射針1を、軸方向において基端側から先端側に向かうに従って下り傾斜して形成される刃面部2と、注射針1の径方向における刃面部2と反対側に位置する底面1aにおいて底面1aから刃面部2側に近づくように窪んで形成される凹部5と、を備えて構成し、刃面部2を、第1刃面3と、第1刃面3に連続して形成される第2刃面4と、第1刃面3の基端に形成されたヒール21と、第2刃面4の先端に形成されたポイント22と、ヒール21とポイント22との間に配置され第1刃面3と第2刃面4との切り替わり部分に形成されるジャンクション23と、を有して構成し、凹部5を、注射針1の軸方向において先端側から基端側に向かうに従って刃面部2側に近づくように上り傾斜して形成される先端側傾斜底面部51を有して構成し、先端側傾斜底面部51の上り傾斜における傾斜変化率Rを、0.2~0.4の範囲とした。これにより、注射針1の穿刺抵抗を低減して、例えば第2ピークP2及び最大ピークを下げることができる。よって、注射針1の穿刺抵抗を低減することで、患者の痛みを軽減できる。
また、凹部5を、注射針1の軸方向において、ジャンクション23が形成される位置を挟んで、注射針1の先端側から基端側に連続して形成した。これにより、凹部5をジャンクション23が形成される位置を挟んで連続して形成することで、ジャンクション23の前後において、注射針1の穿刺抵抗を連続して低減させることができる。よって、患者の痛みを軽減できる。
また、第1刃面3を、注射針1の軸方向において、基端から先端に向かうに従って下り傾斜して形成される第1刃面傾斜部31を有して構成し、第1刃面傾斜部31と先端側傾斜底面部51とを略平行に形成した。これにより、注射針1における径方向の刃面部2と反対側に凹部5を形成しても、第1刃面傾斜部31と先端側傾斜底面部51とが平行な部分の注射針1の周方向の長さを確保できるため、凹部5において折り曲がることを抑制でき、注射針1の強度を確保できる。
また、凹部5を、先端側傾斜底面部51の基端側に連続して形成され注射針1の軸方向において先端側から基端側に向かうに従って刃面部2から離れるように下り傾斜する基端側傾斜底面部52を有して構成した。これにより、基端側傾斜底面部52を形成することで、刃面部2の基端側に向かうに従って注射針1の径を徐々に大きくできるため、注射針1の強度を確保できる。
以上、本発明の注射針1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、凹部5に、注射針1における刃面部2と反対側の部分を貫通する貫通穴6(バックアイ)を設けたが、これに限定されない。凹部5に、貫通穴を設けなくてもよい。
1 注射針
1a 底面
2 刃面部
3 第1刃面
4 第2刃面
5 凹部
21 ヒール
22 ポイント
23 ジャンクション
31 第1刃面傾斜部
51 先端側傾斜底面部
52 基端側傾斜底面部
R 傾斜変化率

Claims (4)

  1. 筒状の注射針であって、
    前記注射針の軸方向において基端側から先端側に向かうに従って下り傾斜して形成される刃面部と、前記注射針の径方向における前記刃面部と反対側に位置する底面において前記注射針の軸方向における前記刃面部が設けられる範囲に配置され前記底面から前記刃面部側に近づくように窪んで形成される凹部と、を備え、
    前記刃面部は、前記注射針の軸方向において基端側に配置される第1刃面と、前記第1刃面の先端側に連続して形成される第2刃面と、前記第1刃面の基端に形成されたヒールと、前記第2刃面の先端に形成されたポイントと、前記ヒールと前記ポイントとの間に配置され前記第1刃面と前記第2刃面との切り替わり部分に形成されるジャンクションと、を有し、
    前記凹部は、前記注射針の軸方向において先端側から基端側に向かうに従って前記刃面部側に近づくように上り傾斜して形成される先端側傾斜底面部を有し、
    前記先端側傾斜底面部の上り傾斜における傾斜変化率は、0.2~0.4の範囲であり、
    前記凹部は、前記注射針の軸方向において、前記ジャンクションが形成される位置を挟んで、前記注射針の先端側から基端側に連続して形成される、注射針。
  2. 前記第1刃面は、前記注射針の軸方向において、基端から先端に向かうに従って下り傾斜して形成される第1刃面傾斜部を有し、
    前記第1刃面傾斜部と前記先端側傾斜底面部とは、略平行に形成される、請求項に記載の注射針。
  3. 前記凹部は、前記先端側傾斜底面部の基端側に連続して形成され前記注射針の軸方向において先端側から基端側に向かうに従って前記刃面部から離れるように下り傾斜する基端側傾斜底面部を有する、請求項1又は2に記載の注射針。
  4. 請求項1~のいずれかに記載の注射針と、
    先端に前記注射針が取り付けられるシリンジと、
    前記シリンジに進退可能に設けられるプランジャーと、を備える注射器。
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