以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<全体構成例>
図1は、搬送装置の例を示す図である。例えば、搬送装置は、図示するような画像形成装置である。このような画像形成装置110では、吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。以下、搬送装置が画像形成装置110である例で説明する。
被搬送物は、例えば、記録媒体等である。図示する例では、画像形成装置110は、ローラ130等によって搬送される記録媒体の例であるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状のシート等である。
このように、画像形成装置110は、いわゆるプロダクション・プリンタである。以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)にウェブ120が搬送される例で説明する。さらに、図では、搬送方向10に直交する方向を直交方向20とする例である。
また、この例では、画像形成装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインクを吐出してウェブ120の所定の箇所に画像を形成するインクジェットプリンタである。したがって、以下の説明では、液体がインクである例で説明する。
図2は、搬送装置の全体構成例を示す図である。図示するように、画像形成装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。このようにして、複数の液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色の液体を吐出する。
また、ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。以下、この2対のニップローラのうち、それぞれの液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120等の被搬送物を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120等を所定の方向へ搬送する機構等である。
また、記録媒体は、長尺であるのが望ましい。具体的には、記録媒体の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、記録媒体は、ウェブに限られない。すなわち、記録媒体は、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等でもよい。
以下、図示する全体構成では、液体吐出ヘッドユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。このブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。
このように、インクを吐出する位置(以下「着弾位置」という。)は、液体吐出ヘッドユニットから吐出される液体が記録媒体に着弾する位置にほぼ等しい。すなわち、着弾位置は、液体吐出ヘッドユニットの直下等である。
この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの着弾位置(以下「ブラック着弾位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの着弾位置(以下「シアン着弾位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの着弾位置(以下「マゼンタ着弾位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの着弾位置(以下「イエロー着弾位置PY」という。)に吐出される。
なお、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するそれぞれのタイミングは、各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520が制御する。
また、画像形成装置110は、液体吐出ヘッドユニットごとに、複数のローラがそれぞれ設置されるのが望ましい。具体的には、図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置されるのが望ましい。
図示する例では、液体吐出ヘッドユニットごとに、各着弾位置へウェブ120を搬送するのに用いられるローラ(以下「第1ローラ」という。)が、各液体吐出ヘッドユニットより上流側にそれぞれ設置される。
また、各着弾位置から下流へウェブ120を搬送するのに用いられるローラ(以下「第2ローラ」という。)が、各液体吐出ヘッドユニットより下流側にそれぞれ設置される。
このように、搬送回転体の一例である第1ローラ及び第2ローラがそれぞれ設置されると、各着弾位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくできる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、記録媒体を搬送するのに用いられ、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等により回転駆動されるローラであってもよい。
具体的には、ウェブ120の所定の箇所に、ブラックのインクを吐出させるため、ブラック着弾位置PKへウェブ120を搬送させるのに用いられるブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック着弾位置PKから下流側へウェブ120を搬送させるのに用いられるブラック用第2ローラCR2Kが設置される。
同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設置される。
図3は、液体吐出ヘッドユニットの例を示す図である。
図3(a)は、画像形成装置110が有する液体吐出ヘッドユニット210K乃至210Yの例を示す概略平面図である。図示するように、液体吐出ヘッドユニットは、例えば、ライン型のヘッドユニットである。すなわち、画像形成装置110は、搬送方向10において、上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応して、4つの液体吐出ヘッドユニット210K、210C、210M、及び、210Yを有する。
例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kは、直交方向20に、4つのヘッド210K-1、210K-2、210K-3及び210K-4を千鳥状に配置する。これにより、画像形成装置110は、画像形成領域(すなわち、印刷領域である。)の幅方向(この例では、直交方向20である。)において、全域に画像を形成できる。なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、この例では、4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、液体吐出ヘッドユニットは、単一のヘッドで構成されてもよい。
<検出部の例>
液体吐出ヘッドユニットごとに、検出部の例であるセンサが設置される。このセンサには、LED(Light Emitting Diode)、レーザ、空気圧、光電、超音波又は赤外線等の光を利用する光学センサ等が用いられる。
記録媒体には、LED等の光源から投射される光を当て、センサで記録媒体の表面を撮影する。このようにすると、記録媒体の表面上にある凹凸に光が投射されて生成されるパターン(以下「表面上パターン」という。)を検出できる。表面上パターンは、位置ごとに異なるパターンであるため、同じパターンを検出することで変位等が検出できる。
なお、光学センサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等でもよい。また、センサは、例えば、記録媒体のエッジを検出できるセンサ等でもよい。
図2に戻り、以下の説明では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対して設置される検出装置等の装置を「ブラック用センサSENK」という。
同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して設置される検出装置等の装置を「シアン用センサSENC」という。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して設置される検出装置等の装置を「マゼンタ用センサSENM」という。さらにまた、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して設置される検出装置等の装置を「イエロー用センサSENY」という。
また、以下の説明では、ブラック用センサSENK、シアン用センサSENC、マゼンタ用センサSENM及びイエロー用センサSENYを総じて、単に「センサ」という場合がある。
さらに、以下の説明において、「センサが設置される位置」は、検出等が行われる位置を指す。したがって、「センサが設置される位置」に、検出装置を構成する装置がすべて設置される必要はなく、ケーブル等で接続され、センサ以外の装置は、他の位置に設置されてもよい。
なお、図2に図示するブラック用センサSENK、シアン用センサSENC、マゼンタ用センサSENM及びイエロー用センサSENYは、センサが設置される位置の例を示す。
このように、センサが設置される位置は、着弾位置に近い位置であるのが望ましい。それぞれの着弾位置に対して近くにセンサが設置されると、着弾位置とセンサの距離が短くなる。そして、着弾位置とセンサの距離が短くなると、検出における誤差を少なくできる。そのため、画像形成装置110は、センサによって、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
着弾位置に近い位置は、具体的には、第1ローラ及び第2ローラの間である。すなわち、この例では、ブラック用センサSENKが設置される位置は、図示するように、ブラック用ローラ間INTK1であるのが望ましい。
同様に、シアン用センサSENCが設置される位置は、図示するように、シアン用ローラ間INTC1であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサSENMが設置される位置は、図示するように、マゼンタ用ローラ間INTM1であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサSENYが設置される位置は、図示するように、イエロー用ローラ間INTY1であるのが望ましい。
このように、各ローラ間に、センサが設置されると、それぞれのセンサは、着弾位置に近い位置で記録媒体の位置等を検出できる。また、ローラ間では、搬送速度が比較的安定している場合が多い。そのため、画像形成装置110は、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
さらに、センサが設置される位置は、ローラ間において、着弾位置より第1ローラに近い位置であるのが望ましい。すなわち、センサが設置される位置は、着弾位置より上流側であるのが望ましい。
具体的には、ブラック用センサSENKが設置される位置は、ブラック着弾位置PKから上流側に向かってブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置までの間(以下「ブラック用上流区間INTK2」という。)であるのが望ましい。
同様に、シアン用センサSENCが設置される位置は、シアン着弾位置PCから上流側に向かってシアン用第1ローラCR1Cが設置される位置までの間(以下「シアン用上流区間INTC2」という。)であるのが望ましい。
さらに、マゼンタ用センサSENMが設置される位置は、マゼンタ着弾位置PMから上流側に向かってマゼンタ用第1ローラCR1Mが設置される位置までの間(以下「マゼンタ用上流区間INTM2」という。)であるのが望ましい。
さらにまた、イエロー用センサSENYが設置される位置は、イエロー着弾位置PYから上流側に向かってイエロー用第1ローラCR1Yが設置される位置までの間(以下「イエロー用上流区間INTY2」という。)であるのが望ましい。
ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2、及び、イエロー用上流区間INTY2にセンサが設置されると、画像形成装置110は、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
このような位置にセンサが設置されると、センサが着弾位置より上流側に設置される。そのため、画像形成装置110は、まず、上流側でセンサによって記録媒体の位置を精度良く検出でき、かつ、液体吐出ヘッドユニットが吐出するタイミングを計算できる。すなわち、この計算が行われる間等に、ウェブ120が下流側へ搬送されると、計算されたタイミングで液体吐出ヘッドユニットは、液体を吐出できる。
なお、液体吐出ヘッドユニットの直下をセンサが設置される位置とすると、制御動作分の遅れ等によって、色ズレが生じてしまう場合がある。したがって、センサが設置される位置は、着弾位置より上流側であると、画像形成装置110は、色ズレを少なくし、画質を向上できる。
また、着弾位置の付近にセンサ等を設置する位置とするのは、制約される場合がある。そのため、センサが設置される位置は、着弾位置より各第1ローラに近い位置であるのが望ましい。
ただし、センサの位置は、液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下等でもよい。以下の説明では、センサが各液体吐出ヘッドユニットの直下にある例を図示して説明する。この例のように、センサが直下にあると、直下における正確な移動量が、センサによって検出できる。また、この場合は、センサの位置及び着弾位置がほぼ一致する例となる。
したがって、制御動作等が速く行えるのであれば、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下に対して、より近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサの位置は、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下又は各第1ローラ及び各第2ローラの間であって、各液体吐出ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
<記録媒体に変位が生じる例>
図4は、変位が生じる場合の例を示す図である。以下、図4(A)に示すようにウェブ120が搬送方向10に搬送される例で説明する。この例で示すように、ウェブ120は、ローラ等によって搬送される。このように、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120は、例えば、図4(B)に示すように、直交方向20において変位が生じる。すなわち、ウェブ120は、図4(B)に示すように、「蛇行」する場合がある。
なお、図示する例は、ローラが斜めに配置されてしまった場合である。図では、「斜め」となっている状態を分かりやすく記載しており、ローラの傾き等は、図示する例より少ない場合等でもよい。
ウェブ120の変位、すなわち、「蛇行」は、例えば、搬送に係るローラの偏心、ミスアライメント又はブレードによるウェブ120の切断等によって発生する。また、ウェブ120が直交方向20に対して幅が狭い場合等には、ローラの熱膨張等が、直交方向20におけるウェブ120の変位に対して影響する場合もある。
例えば、ローラの偏心又はブレードの切断等によって、振動が発生すると、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。他にも、ブレードによる切断が一様にならず、ウェブ120の物理的特性、すなわち、ウェブ120が切断された後の形状等によって、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。
図5は、色ずれが起こる原因の一例を示す図である。図4で説明するように、直交方向20において、変位が生じる、すなわち、「蛇行」が起こると、図示するような原因等によって、色ずれが起きやすい。
具体的には、複数の色を用いて記録媒体に画像を形成する場合、すなわち、カラー画像が形成される場合には、図示するように、画像形成装置110は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出する各色のインクを重ねて、いわゆるカラープレーンによるカラー画像をウェブ120上に形成する。
これに対して、図4で説明するような変位が生じる場合がある。例えば、参照線320を基準に、「蛇行」が起きる場合がある。この場合において、各液体吐出ヘッドユニットが同一の位置に対してインクをそれぞれ吐出すると、液体吐出ヘッドユニットの間で「蛇行」によって、直交方向20において、変位が生じると、色ずれ330が起きる場合がある。
すなわち、色ずれ330は、変位によって生じる。このように、色ずれ330が起きると、ウェブ120に形成される画像の画質が劣化することがある。
<制御部の例>
制御部の例であるコントローラ520は、例えば、以下に説明する構成である。
図6は、制御部のハードウェア構成例を示す図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72とを有する。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、制御線70LCを介して、上位装置71と制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、制御線72LCを介して、プリンタエンジン72Eと制御データを送受信する。このような制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力されると、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD-C、70LD-M、70LD-Y及び70LD-K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図7は、データ管理装置の例を示す図である。例えば、複数のデータ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EKは、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD-Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図8は、画像出力装置の例を示す図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yとを有する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットに出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。
なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、プリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ヘッドユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ヘッドユニットによって、それぞれブラック用のインクが吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ヘッドユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ecは、ウェブ120を搬送させるモータ、機構及びドライバ装置等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。
<全体処理例>
図9は、全体処理例を示す図である。例えば、あらかじめウェブ120に形成される画像を示す画像データが画像形成装置110に入力されるとする。次に、画像形成装置110は、画像データに基づいて処理を行い、ウェブ120に画像データが示す画像を形成する。
なお、図示する処理は、1つの液体吐出ヘッドユニットに対する処理を示す。すなわち、例えば、図2に示す例では、図示する処理は、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対する処理である。また、他の色の液体吐出ヘッドユニットに対しては、例えば、図示する処理が並列又は前後して別途行われる。
ステップS01では、画像形成装置110は、搬送方向、直交方向、又は、これらの両方の方向において、記録媒体の位置を検出する。すなわち、ステップS01では、画像形成装置は、センサによって、ウェブ120の位置を検出する。
ステップS02では、画像形成装置110は、液体吐出ヘッドユニットによる吐出の制御を補正する、液体吐出ヘッドユニットをウェブ120に対して移動させる、又は、補正及び移動の両方を行う。
ステップS02は、ステップS01による検出結果に基づいて行われる。さらに、ステップS02は、ステップS01による検出結果が示すウェブ120の変位を補償するように、液体吐出ヘッドユニットを移動させる。例えば、ステップS01で検出された位置の変動分、ステップS02では、画像形成装置110は、液体吐出ヘッドユニットを直交方向において移動させて、ウェブ120の変位を補償する。
なお、画像形成装置110は、液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出するタイミングを補正して変位を補償してもよい。そして、搬送方向及び直交方向の両方について変位を補償する場合には、タイミングの補正及び液体吐出ヘッドユニットの移動の両方を行う。また、どちらの方向を移動させるかは、液体吐出ヘッドユニットを移動させる向きによって定まる。
図10は、移動を行うための構成の例を示す図である。例えば、画像形成装置110は、センサの他に、時間ずらし装置81、演算装置82、LPF(low pass filter)83及びアクチュエータコントローラ84を有する。
時間ずらし装置81は、センサの検出結果を記憶し、1周期前の記録媒体の位置を示すデータを記憶する。すなわち、時間ずらし装置81は、記憶装置である。
演算装置82は、センサが検出する現在の記録媒体の位置と、時間ずらし装置81が記憶する1周期前の記録媒体の位置とを減算し、記録媒体の位置の変動を算出する。すなわち、演算装置82は、いわゆる蛇行量を算出する。すなわち、演算装置82は、CPU又は電子回路等である。
LPF83は、演算装置82が算出する蛇行量に対してフィルタ処理を行う。これによって、LPF83は、蛇行量の急激な変化を減らす。「蛇行」の周波数は、記録媒体の速度等によってある程度、範囲が定まる。したがって、LPF83は、あらかじめ定まる「蛇行」の周波数より、高周波の値、すなわち、急激な変化を示す値を減衰させる。急激な変化は、ノイズ又は誤検出である場合が多い。そのため、LPF83によって蛇行量の急減な変化を減らすと、画像形成装置は、アクチュエータの誤動作を少なくできる。
アクチュエータコントローラ84は、液体吐出ヘッドユニットを移動させるアクチュエータを制御する。例えば、アクチュエータコントローラ84が制御する対象は、以下のような移動機構である。
図11は、移動を行うための移動機構の例を示す図である。例えば、アクチュエータコントローラ84は、図示する構成においてアクチュエータコントローラCTLであって、図示するような移動機構を制御する。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる構成を例に説明する。
まず、図示する例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させるリニアアクチュエータ等のアクチュエータACTが、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに設置される。そして、アクチュエータACTには、アクチュエータACTを制御するアクチュエータコントローラCTLが接続される。
アクチュエータACTは、例えば、リニアアクチュエータ又はモータである。また、アクチュエータACTは、制御回路、電源回路及び機構部品等を有してもよい。
アクチュエータコントローラCTLは、例えば、ドライバ回路等である。そして、アクチュエータコントローラCTLは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを位置制御する。
アクチュエータコントローラCTLには、ステップS01による検出結果が入力される。そして、アクチュエータコントローラCTLは、検出結果が示すウェブ120の変位を補償するように、アクチュエータACTによって、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる(ステップS02)。
図示する例では、検出結果は、例えば、変位Δを示す。したがって、この例では、アクチュエータコントローラCTLは、変位Δを補償するように、直交方向20へ、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる。
なお、コントローラ520のハードウェアと、図示する各装置とは、一体であってもよいし、別々であってもよい。
図12は、変位の算出例を示す図である。図示するように、画像形成装置110は、1つ前の周期の記録媒体の位置と、現在の記録媒体の位置とを減算して、記録媒体の変位を算出する。
以下、検出周期が「0」回である場合を例に説明する。この例では、図示するように、画像形成装置は、1つ前の周期における記録媒体の位置を示す値である「X(-1)」と、現在の記録媒体の位置を示す値である「X(0)」とを減算して、記録媒体の位置の変動を「X(0)-X(-1)」によって算出する。
なお、この例では、1つ前の周期では、記録媒体の位置は、センサによって「-1」回の際に検出され、時間ずらし装置81にデータが記憶される。次に、画像形成装置は、センサが検出する「X(0)」と、時間ずらし装置81が記憶するデータが示す「X(-1)」とを減算して記録媒体の位置の変動を算出する。
このように、液体吐出ヘッドユニットの移動を行い、ウェブ120に対して、液体が吐出されると、画像等が、記録媒体に形成される。
図13は、テストパターンの例を示す図である。まず、図示するように、画像形成装置110は、1色目の例であるブラックで、搬送方向10に直線が形成する。このようにして、画像形成装置110は、テスト印刷を行う。このテスト印刷の結果から、エッジからの距離Lkが求まる。このようにして、直交方向において、手動又は装置によって、エッジからの距離Lkが調整されると、1色目、すなわち、基準となるブラックのインクが吐出される位置が決定される。なお、ブラックのインクが吐出される位置の決定方法は、この方法に限定されない。
図14は、処理結果の例を示す図である。例えば、図14(A)に示すように、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの順に、画像形成が行われるとする。また、図14(B)は、図14(A)を上面から見た図、いわゆる平面図である。
以下、ローラ230に偏心がある例で説明する。具体的には、図14(C)に示すように、偏心ECがあるとする。このように、偏心ECがあると、ウェブ120を搬送する際に、ローラ230には、揺れOSが発生する。そして、揺れOSが発生すると、ウェブ120の位置POSが変動する。すなわち、揺れOSによって、「蛇行」等が生じる。
ブラックに対する色ずれが少なくなるようにするには、画像形成装置は、例えば、センサが検出する現在の記録媒体の位置と、1つ前の周期の記録媒体の位置とを減算し、記録媒体の位置の変動を算出する。
具体的には、以下の説明では、まず、ブラック用センサSENKが検出するウェブ120の位置と、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの下でのウェブ120の位置との差を「Pk」とする。
同様に、シアン用センサSENCが検出するウェブ120の位置と、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの下でのウェブ120の位置との差を「Pc」とする。さらに、マゼンタ用センサSENMが検出するウェブ120の位置と、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの下でのウェブ120の位置との差を「Pm」とする。さらにまた、イエロー用センサSENYが検出するウェブ120の位置と、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの下でのウェブ120の位置との差を「Py」とする。
続いて、着弾位置とウェブ120端部の距離、すなわち、ウェブ120が有するエッジから着弾位置までの距離を色ごとに、「Lk3」、「Lc3」、「Lm3」及び「Ly3」とする。このような場合には、センサによって、ウェブ120の位置が検出されるため、「Pk=0」、「Pc=0」、「Pm=0」及び「Py=0」となる。この関係より、下記(1)式のような関係が示せる。
Lc3=Lk3-Pc=Lk3
Lm3=Lk3
Ly3=Lk3-Py=Lk3 (1)
よって、上記(1)式より、「Lk3=Lm3=Lc3=Ly3」となる。このようにして、画像形成装置110は、ウェブ120の変位を液体吐出ヘッドユニットを移動させることで、直交方向において、着弾位置の精度をより向上できる。また、画像形成を行う場合には、各色の液体が精度良く着弾するため、色ずれが少なくでき、形成される画像の画質を向上させることができる。
センサが設置される位置は、着弾位置から搬送ローラの外周長dを整数倍した位置であるのが望ましい。
以下、センサが設置される位置について、ブラック用センサSENKを例に説明する。例えば、ブラック用センサSENKは、「d×0」とすると、着弾位置に近い位置に設置される。また、「d×1」とすると、ブラック用センサSENKは、着弾位置から搬送ローラの外周長dを1倍した距離(以下「第1距離d1」という。)に設置される。
図示するように、「d×1」の場合には、ブラック用センサSENKは、着弾位置から第1距離d1離れた位置に設置される。
同様に、「d×2」とすると、ブラック用センサSENKは、着弾位置から搬送ローラの外周長dを2倍した距離(以下「第2距離d2」という。)に設置される。図示するように、「d×2」の場合には、ブラック用センサSENKは、着弾位置から第2距離d2離れた位置に設置される。なお、整数倍は、3倍以上でもよい。
なお、第1距離d1及び第2距離d2等の距離には、センサの取り付け誤差、着弾位置の誤差又はこの両方等が更に加算されてもよい。また、他の色についても、同様にセンサが設置されてもよい。
図15は、センサを設置する位置の例を示す図である。以下、色をブラックとする例に説明する。この例では、ブラック用センサSENKは、ブラック用第1ローラCR1K及びブラック用第2ローラCR2Kの間であって、ブラック着弾位置PKよりブラック用第1ローラCR1Kに近い位置に設置されるのが望ましい。
なお、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、制御動作に必要な時間等に基づいて定める。例えば、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、「20mm」とする。この場合には、ブラック用センサSENKが設置される位置は、ブラック着弾位置PKより「20mm」上流側とする例である。
このように、センサが設置される位置が、着弾位置に近いと、検出誤差E1が小さくなる。さらに、検出誤差E1が小さいと、画像形成装置は、各色の液体を精度良く着弾させることができる。そのため、画像形成を行う場合には、画像形成装置は、各色の液体が精度良く着弾するため、色ずれが少なくでき、形成される画像の画質を向上させることができる。
また、このような構成にすると、例えば、各液体吐出ヘッドユニット間の距離をローラの外周長dの整数倍にしなければならない等の制約がないため、液体吐出ヘッドユニットを設置する位置を自由にできる。すなわち、画像形成装置は、各液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの外周長dの非整数倍であっても、各色の液体を精度良く着弾させることができる。
図16は、第1比較例を示す図である。第1比較例は、液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出させる位置に達する前に、ウェブ120の位置を検出する。例えば、第1比較例では、センサが設置される位置は、液体吐出ヘッドユニットの直下から上流に「200mm」となる位置である。この場合における検出結果に基づいて、第1比較例では、画像形成装置は、液体吐出ヘッドユニットを動かして、記録媒体の位置変動を補償する。
図17は、第1比較例における処理結果を示す図である。第1比較例では、液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの外周長dの整数倍となるように、液体吐出ヘッドユニットが設置される。この場合には、各センサが検出するウェブの位置と、液体吐出ヘッドユニットの直下におけるウェブの位置との差は、「0」となる。したがって、この比較例では、各色のインクのウェブに対する液体の着弾位置をウェブ端部からの距離「Lk1」、「Lc1」、「Lm1」及び「Ly1」とすると、「Lk1=Lc1=Lm1=Ly1」となる。このようにして、位置ずれを補正する。
図18は、第2比較例を示す図である。なお、第2比較例は、第1比較例と同様のハードウェア構成とする。第1比較例と比較すると、第2比較例は、ブラック及びシアンの液体吐出ヘッドユニット間の距離及びマゼンタ及びイエローの液体吐出ヘッドユニット間の距離がそれぞれ「1.75d」である点が異なる。すなわち、第2比較例は、ブラック及びシアンの液体吐出ヘッドユニット間の距離及びマゼンタ及びイエローの液体吐出ヘッドユニット間の距離がそれぞれローラの外周長dの非整数倍となる例である。
第2比較例において、図14と同様に、ブラック用センサSENKが検出するウェブの位置と、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの下でのウェブの位置との差を「Pk」とする。
同様に、シアン用センサSENCが検出するウェブの位置と、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの下でのウェブの位置との差を「Pc」とする。さらに、マゼンタ用センサSENMが検出するウェブの位置と、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの下でのウェブ120の位置との差を「Pm」とする。さらにまた、イエロー用センサSENYが検出するウェブの位置と、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの下でのウェブ120の位置との差を「Py」とする。
また、第2比較例では、各色のインクのウェブに対する液体の着弾位置をウェブ端部からの距離「Lk2」、「Lc2」、「Lm2」及び「Ly2」とすると、下記(2)式のような関係が示せる。
Lc2=Lk2-Pc
Lm2=Lk2
Ly2=Lk2-Py (2)
よって、「Lk2=Lm2≠Lc2=Ly2」となる。このように、液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの外周長dの非整数倍であると、この比較例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C及びマゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの直下でのウェブの位置が「Pc」及び「Py」分ずれるため、異なる。そのため、ウェブの位置変動が補償されず、色ずれ等が発生しやすい。
図19は、センサを設置する位置の比較例を示す図である。図示するように、比較例では、センサが着弾位置より、遠い位置に設置される場合である。そのため、比較例における検出誤差E2は、大きくなる場合が多い。
<相関演算例>
図20は、相関演算例を示す図である。例えば、検出部は、図示するような構成によって、相関演算を行うと、センサの位置におけるウェブの相対位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等を演算することができる。
具体的には、検出部は、図示するように、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する構成である。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、検出部は、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図21は、ピーク位置を探索する例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画像の輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SRは、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。
そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。
次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。
このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。
そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。
このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。
なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図22は、演算結果の例を示す図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SRによって探索される。
演算部CALは、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して、搬送速度を計算できる。
以上のようにして、検出部は、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、検出部は、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
まず、検出部は、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、検出部は、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、検出部は、相対位置を検出してもよい。
また、検出部は、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、検出部は、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
<検出間距離、及び、ヘッド間距離の例>
図23は、検出間距離、及び、ヘッド距離間の例を示す図である。以下、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K、及び、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの組み合わせを例に説明する。
以下、ブラック用第1ローラCR1Kの外周長を単に「外周長LE1」という。
また、この例では、センサは、着弾位置よりも上流に設置されるとする。ただし、着弾位置及びセンサが設置される位置は、一致してもよい。
また、この例では、検出間距離LE2は、ブラック用センサSENK、及び、シアン用センサSENCの間の距離である。このように、検出間距離LE2は、いずれかの検出部が検出を行う位置から、他の検出部が検出を行うまでの距離をいう。
検出間距離LE2は、外周長LE1の整数倍の距離である。この関係を数式にすると、下記(3)式のような関係となる。
検出間距離LE2 = 外周長LE1 × α (α=1、2、3・・・) (3)
上記(3)式における「α」は、外周長LE1に乗じる整数を示す値である。上記(3)式のような関係であると、搬送ローラによって生じることが多い高い周波数の変位がキャンセルできる。
また、ウェブ120が搬送される搬送速度を「V120」とする。そして、検出部によるサンプル周期を「TS」という。搬送速度「V120」、及び、サンプル周期「TS」と外周長LE1は、下記(4)式のような関係が望ましい。
搬送速度V120 × サンプル周期TS < 外周長LE1 × 1/2 (4)
上記(4)式が示すように、サンプル間隔(搬送速度「V120」とサンプル周期「TS」の乗算した値であって、上記(4)式における左辺である。)が、外周長LE1の1/2より大きい値であるのが望ましい。このような関係であると、サンプリング定理に基づいて、センサによって変位が検出できる。
なお、外周長LE1は、変位に影響がある搬送ローラの値が採用されるのが望ましい。この例は、センサによる検出精度には、最も近い上流に設置される搬送ローラが影響する例である。
具体的には、ブラック用センサSENKによる検出には、ブラック用第1ローラCR1Kによる変位が最も影響する。この例では、ブラック用第1ローラCR1Kは、ブラック用センサSENKより上流に位置するため、ブラック用第1ローラCR1Kを介して搬送されるウェブ120が、ブラック用センサSENKによる検出の対象となるため、影響が大きい。また、ブラック用第1ローラCR1Kは、ブラック用センサSENKに最も近い距離に設置される搬送ローラであるため、ブラック用センサSENKによる検出に影響が大きい。
また、ヘッド間距離LE3も、外周長LE1の整数倍となる距離であるのが望ましい。例えば、液体吐出ヘッドユニットとセンサが同じ位置、及び、同じ間隔で設置されると、「検出間距離LE2 = ヘッド間距離LE3」となる。そのため、上記(3)式に基づいて、「検出間距離LE2 = ヘッド間距離LE3 = 外周長LE1 × α」という関係になる。ただし、検出間距離LE2及びヘッド間距離LE3が常に等しくなくともよい。すなわち、検出間距離LE2及びヘッド間距離LE3が異なり、かつ、いずれの距離も外周長LE1の整数倍の値である関係でもよい。
なお、センサの組み合わせ、及び、液体吐出ヘッドユニットの組み合わせは、上記の組み合わせに限られず、他の組み合わせでもよい。
また、ローラ230には、図示するようにエンコーダ240が設置されるのが望ましい。以下、エンコーダ240を用いる構成を例に説明する。例えば、「検出間距離LE2 = ヘッド間距離LE3」であって、ウェブ120が「検出間距離LE2」分、搬送される場合に、エンコーダ240は、「N」パルス出力する。パルスは、一定の間隔ごとに出力される。
以下、ブラック用センサSENKで検出した後、「N」分のカウントがあった時点において、シアン用センサSENCでウェブ120を検出した結果に基づく2つのセンサ間で検出される搬送方向10における変位を「ΔL」とする。このような変位「ΔL」が検出結果となり、サンプル周期で変位「ΔL」が検出される。
このように検出される変位「ΔL」を補償するように、液体吐出ヘッドユニットの移動、液体吐出ヘッドユニットによる吐出の制御を補正、又は、両方が行われる。
<実験結果>
上記(3)式に示すような関係の検出間距離LE2、及び、ヘッド間距離LE3とすると、以下のような検出結果となる。
以下、搬送速度が「800mm/sec」である場合を「低速な搬送速度」の例として説明する。一方で、搬送速度が「2000mm/sec」である場合を「高速な搬送速度」の例として説明する。以下、「低速な搬送速度」の場合と、「高速な搬送速度」の場合を比較して説明する。ただし、搬送速度、検出間距離LE2、及び、ヘッド間距離LE3は、以下のような関係及び値に限られない。
また、以下に説明する例は、「ヘッド間距離LE3 = 検出間距離LE2 = 外周長LE1 × α =200mm」の関係とする例である。
図24は、低速な搬送速度における検出結果の例を示す図である。図では、横軸に時間を示し、縦軸に時間に対する変位「ΔL」を示す。
また、この場合において、サンプル間隔が「50mm」であるとする。
図示するように、変位「ΔL」は、搬送ローラによる高い周波数の成分がキャンセルされる。一方で、図示するように、キャンセルされても、搬送ローラによる高い周波数の成分と比較して、第1成分CY1のような低い周波数の変位が残る。そして、第1成分CY1に対してサンプリング数を増やすことができると、実際の変位と、センサ間で検出する変位との間に生じる誤差が小さくなる。したがって、記録媒体の変位が高精度に検出できる。
図25は、高速な搬送速度における検出結果の例を示す図である。縦軸及び横軸は、図24と同様である。すなわち、図示する検出結果は、図24に示す場合よりも搬送速度が高速である。ゆえに、図24に示す場合より、搬送ローラを要因とする変位が高い周波数で発生しやすい状況である。
また、この場合において、サンプル間隔は、「117mm」となる。
このような場合であっても、ヘッド間距離LE3、及び、検出間距離LE2が外周長LE1の整数倍であると、搬送ローラを要因とする変位がキャンセルされる。そして、検出部は、第2成分CY2のような低い周波数の変位を検出する。したがって、高速な搬送速度となっても、キャンセルによって変位が第2成分CY2のような低い周波数となる。ゆえに、サンプリング数を増やして、実際の変位と、センサ間で検出する変位との間に生じる誤差を小さくできる。
このように検出される検出結果を用いると、液体吐出ヘッドユニットの移動及び補正を変位に合わせて精度よく行うことができる。
<比較例>
比較例は、ヘッド間距離LE3、及び、検出間距離LE2が外周長LE1の整数倍でない場合の例である。以下、「ヘッド間距離LE3 = 検出間距離LE2 = 352mm」である。一方で、「外周長LE1 × α =200mm」である。したがって、比較例は、上記に示す実験結果とは、ヘッド間距離LE3、検出間距離LE2、及び、外周長LE1が上記(3)式に示す関係でない点が異なる。
図26は、低速な搬送速度における検出結果の比較例を示す図である。縦軸及び横軸は、図24と同様である。また、搬送速度は、「800mm/sec」である。すなわち、この比較例は、ヘッド間距離LE3、及び、検出間距離LE2の条件は、上記に示す実験で「低速な搬送速度」の場合と同様である。
このような比較例では、変位は、第3成分CY3のように現れる。第3成分CY3は、4Hzの周波数である。第1成分CY1等と比較して、第3成分CY3は、周期が短い、すなわち、高い周波数の変位である。
図27は、高速な搬送速度における検出結果の比較例を示す図である。縦軸及び横軸は、図24と同様である。この比較例は、上記の図26に示す比較例に対して、搬送速度が高速となる点が異なる。
このような比較例では、変位は、第4成分CY4のように現れる。第4成分CY4は、7.3Hzの周波数である。第1成分CY1等と比較して、第4成分CY4は、周期が短い、すなわち、高い周波数の変位である。
この比較例では、搬送ローラの周期は、10Hzである。一方で、第4成分CY4は、7.3Hzの周波数であり、周波数が一致しない。
搬送ローラを要因とする変位の周期は、搬送速度が速くなるほど、短くなる場合が多い。すなわち、搬送速度が速くなるほど、搬送ローラを要因とする変位の周波数は、高い周波数となる場合が多い。
このように、搬送速度に応じて短くなる搬送ローラを要因とする変位の周期に対して、変位を検出するには、サンプル周期を短くしないと検出が難しくなる。ところが、サンプル周期は、センサの仕様等に基づいて、短くできる範囲が限られている場合が多い。
そして、サンプル間隔が外周長LE1の1/2以上に長くなると、サンプリング定理に基づいて変位の検出が難しくなる。つまり、液体吐出ヘッドユニットの間で、搬送ローラの周期で着弾位置のずれを生じさせる変位があっても、センサが検出する変位は、7.3Hzと異なるため、10Hzの変位に基づくずれを液体吐出ヘッドユニットの移動及び補正で補償するのが難しい。
ウェブ120が伸縮すると、高い周波数の変位が生じる場合がある。このような高い周波数の変位が発生する場合でも、検出間距離LE2等の配置を上記のように工夫すると、キャンセルすることができる。また、高い周波数より周波数が低い変位は、センサが検出を行う周期、すなわち、検出周期を設定することで精度よく検出できる。
一方で、実験結果が示すように、検出間距離LE2が外周長LE1の整数倍であると、搬送ローラを要因とする変位がキャンセルできる。このようなキャンセルにより、低い周波数の変位が残る。このような低い周波数の変位であると、センサによって検出することができる。
<変形例>
図28は、全体構成の変形例を示す図である。図2と比較すると、図示する構成では、搬送ローラの配置が異なる。図示するように、搬送ローラは、例えば、第1搬送ローラRL1、第2搬送ローラRL2、第3搬送ローラRL3、第4搬送ローラRL4及び第5搬送ローラRL5によって実現されてもよい。すなわち、各液体吐出ヘッドユニットの上流側に設けられる搬送ローラと、各液体吐出ヘッドユニットの下流側に設けられる搬送ローラとは、兼用されてもよい。
図29は、変位の算出の変形例を示す図である。変位は、図示するような方法で算出されてもよい。図示するように、画像形成装置は、複数の検出結果に基づいて、変位を算出する。具体的には、第1検出結果S1及び第2検出結果S2に基づいて、制御装置CTRLは、変位を示す算出結果を出力する。まず、第1検出結果S1及び第2検出結果S2は、複数のセンサのうち、いずれか2つのセンサから、出力されるセンサデータがそれぞれ示す検出結果である。
変位は、液体吐出ヘッドユニットごとに算出される。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の変位を算出する例で説明する。この例では、変位は、例えば、シアン用センサSENCによる検出結果と、シアン用センサSENCより1つ上流側に設置されるブラック用センサSENKによる検出結果とに基づいて算出される。
図14では、第1検出結果S1は、ブラック用センサSENKによる検出結果である。一方で、第2検出結果S2は、シアン用センサSENCによる検出結果である。
ブラック用センサSENKと、シアン用センサSENCとの間隔、すなわち、センサ間の距離が、「L2」であるとする。また、速度検出回路SCRによって検出される移動速度が、「V」であるとする。さらに、ブラック用センサSENKの位置からシアン用センサSENCの位置まで被搬送物が搬送されるのにかかる移動時間が「T2」であるとする。この場合には、移動時間は、「T2=L2/V」と算出される。
また、センサによるサンプリング間隔を「A」とする。さらに、ブラック用センサSENKと、シアン用センサSENCとの間でのサンプリング回数を「n」とする。この場合には、サンプリング回数は、「n=T2/A」と算出される。
図示する算出結果、すなわち、変位を「ΔX」とする。例えば、図示するように、検出周期が「0」である場合には、変位は、移動時間「T2」前の第1検出結果S1と、検出周期「0」の第2検出結果S2とを比較して算出される。具体的には、変位は、「ΔX=X2(0)-X1(n)」と算出される。そして、センサの位置が着弾位置よりも第1ローラに近い位置である場合には、画像形成装置は、センサの位置まで用紙が移動した場合の記録媒体の位置の変動を計算してアクチュエータを駆動させる。
次に、画像形成装置は、変位である「ΔX」を補償するように、アクチュエータを制御し、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを直交方向において、移動させる。このようにすると、被搬送物の位置が変動しても、画像形成装置は、被搬送物に対して、画像を精度良く画像形成することができる。また、図示するように、2つの検出結果、すなわち、2つのセンサによる検出結果に基づいて、変位を算出すると、各センサの位置情報を積算せずに、変位が算出できる。そのため、このようにすると、各センサによる検出誤差の累積が少なくできる。
なお、変位の算出は、他の液体吐出ヘッドユニットにおいて同様に行われてもよい。例えば、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の変位は、ブラック用センサSENKによる第1検出結果S1と、シアン用センサSENCによる第2検出結果S2とによって算出される。
同様に、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M用の変位は、シアン用センサSENCによる第1検出結果S1と、マゼンタ用センサSENMによる第2検出結果S2とによって算出される。
さらに、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y用の変位は、マゼンタ用センサSENMによる第1検出結果S1と、イエロー用センサSENYによる第2検出結果S2とによって算出される。
また、ブラック用にセンサが更に設けられ、ブラック用センサSENKによる第2検出結果S2によって、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の変位が算出されてもよい。
また、第1検出結果S1に用いられる検出結果は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより1つ上流側に設置されるセンサによって検出される検出結果に限られない。すなわち、第1検出結果S1は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるセンサによって検出される検出結果であればよい。
例えば、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y用の変位は、第1検出結果S1に、第2センサSEN2、ブラック用センサSENK又はシアン用センサSENCのうち、いずれかのセンサによる検出結果が用いられて算出されてもよい。
一方で、第2検出結果S2は、移動させる液体吐出ヘッドユニットに最も近い位置に設置されるセンサによる検出結果であるのが望ましい。
また、変位は、3つ以上の検出結果によって算出されてもよい。
このように、複数の検出結果から算出される変位に基づいて、液体吐出ヘッドユニットの移動を行い、ウェブに対して、液体が吐出されると、画像等が、記録媒体に形成される。
なお、本発明に係る液体を吐出する装置は、1以上の装置を有する液体を吐出するシステムによって実現されてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが同じ筐体の装置であり、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが同じ筐体の装置であり、この両者を有する液体を吐出するシステムによって実現されても良い。
また、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムでは、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
したがって、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、画像を形成するに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
さらに被搬送物は、用紙等の記録媒体に限られない。被搬送物は、液体が付着可能な材質であればよい。例えば、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、本発明に係る実施形態では、画像形成装置、情報処理装置又はこれらの組み合わせ等のコンピュータに液体を吐出させる方法のうち、一部又は全部を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。