以下、本開示の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
但し、本開示はこれら具体的に例示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本明細書において「外面」、「内面」とは、積層体10を用いてチューブ容器30を作製した場合における「外面」および「内面」を意味する。また「上側」、「下側」とは、チューブ容器30を、口部36及びキャップ20を上向きにした際に、「上側」とは口部36側を意味し、「下側」とは口部36の反対側(図1における34B側、図2における39側)を意味する。
図1は、キャップを装着した状態の本実施形態に係るチューブ容器の部分断面図である。図2は、内容物入りのチューブ容器の包装製品の部分断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るチューブ容器30は、積層体10で構成される胴部31と、胴部31に対して圧縮成形、射出成形などの方法により合成樹脂を設けることにより作製される頭部成形体37とを備えている。頭部成形体37は、さらに肩部35、口部36を備えている。またチューブ容器30の口部36には、キャップ20が装着される。
チューブ容器30は、吐出用の開口を含む筒状体の口部36と、口部36に連設され下側に向うにつれて外周が広がる錘台筒状の肩部35とによって構成される頭部成形体37を有する。図1において、頭部成形体37は、右半分にその正面が示されており、左半分に、その径方向中心を通って正面と平行に切断した面が示されている。図1の左半分においてハッチングがなされた部分は、頭部成形体37の実体を示し、空白部分が空洞である。肩部35は、口部36から離れるほど、チューブ容器30の径方向の外側に広がる例えば円錐台筒状に構成されている。例えば、肩部35は、水平に対して30度の傾きを有している。肩部35は、下側において胴部31に連設されている。
略円筒状の口部36は、外面側にネジ山として機能する螺旋状の凸部を有する。口部36の内周面は開口を規定する。口部36の開口は、内容物38を吐出するための吐出口となる。胴部31に収容される中身は、開口を通過することによってチューブ容器30から吐出される。頭部成形体37は、上記のような構造により、内側にネジ溝を有するキャップ20と、螺合することにより着脱可能になっている。
胴部31は、フィルム状の積層体が筒状に成形されたものである。そして、筒状に延びる胴部31の一端が肩部35と接合されている。一方で、筒状の胴部31の内面が重ねられて接合された底シール部39によって胴部31の他端が封止されている(図2参照)。底シール部39は、胴部31に内容物38中身が充填された後に接合されれば良い。チューブ容器30の特に胴部31は、多少の粘度を有する中身であっても所望の量を容易に押し出すことが可能な可撓性(柔軟性、スクイズ性)を有するように構成されているとよい。胴部31の寸法は、中身の種類等によって適宜設計されれば良く、例えば、直径が40mmとされている。
上記のような構成からなるチューブ容器30は、以下のような製造工程を経て得られる。まず、図3に示すように、積層体10を用いて、積層体10の一対の端部(以下、両端部と呼ぶことがある。)33A、33Bを突き合わせる。そして、その突き合せ部分の外面及び内面には接合用テープ60をヒートシールして接合し、胴貼り部32(サイドシーム部とも呼ばれる)を形成する。このようにして、筒状の胴部31を製造する。接合用テープ60により接合された部分が、胴部31の胴貼り部32となる。ヒートシールする方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、火炎シールなどの従来公知の方法で行うことができる。
図4は、図3における両端部33A、33Bを突き合わせた部分を、筒状の胴部31の軸方向から見た図である。図4(a)は、積層体10の両端部33A、33Bが、積層体10の面に垂直に形成されている場合を示しており、図4(b)は、積層体10の両端部33A、33Bが、積層体10の面に対して斜めに形成されている場合を示している。図4においては、説明の便宜上、胴部31を構成する積層体10を、易接着コート層12、紙基材層13、バリア層14、シーラント層15の四層構造で示している。図4(a)(b)に示すように、両端部33A、33Bの態様により、接合の態様も異なるが、いずれの場合も、積層体10の両端部33A、33Bが接する部分を覆うようにして接合用テープ60が配置されヒートシールされることにより、両端部33A、33Bが接合される。この際、外面側(紙基材層13側)においては、易接着コート層12を介してヒートシールされる。
次に、図3に示した筒状の胴部31を金型(図示省略)内に装着し、胴部31の一方の開口部(上側)34Aに、例えば、圧縮成形、射出成形などの方法によって、頭部成形体37(肩部35、口部36)を形成する。このようにして胴部31の一方の開口部(上側)34Aに、頭部成形体37(肩部35、口部36)が一体に成形されてチューブ容器30が作製される。そして、図1に示すように、チューブ容器30の口部36側にキャップ20が装着される。
次に、図1に示したチューブ容器30の筒状の胴部31の他方の開口部(下側)34Bから、例えば、ハンドクリーム、日焼け止め、歯磨き粉、その他の内容物38が適量分だけ充填される。その後、開口部(下側)34Bを溶着して底シール部39を形成する。この結果、図2に示すように、内容物38を充填包装したチューブ容器30を含む包装製品30Aが得られる。
頭部成形体37の詳細についてさらに説明する。頭部成形体37には、口部36、肩部35が適度の硬さとなるように成形することができ、胴部31の材料との接着性が高く、中身の品質に影響を与えず、中身に接触しても衛生的に支障のない材料が用いられる。このような材料として頭部成形体37には熱可塑性樹脂が用いられ、より具体的には高密度ポリエチレン(HDPE)が用いられる。
更に、頭部成形体37には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、ランダムポリプロピレン)等のポリオレフィン樹脂や、オレフィンと、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、不飽和カルボン酸等の共重合性モノマーとの共重合体やこれらのブレンド組成物等のポリオレフィン系樹脂、及び上述の樹脂が、高密度ポリエチレンにブレンドされた樹脂等が用いられても良い。更に、耐熱性や、胴部31との熱接着性の観点からは頭部成形体37には、直鎖状低密度ポリエチレンに高密度ポリエチレンがブレンドされた樹脂が用いられると良い。更に、頭部成形体37の特に肩部35には、酸素等の気体の透過を防止するためにバリア材としての円錐台状筒体が積層されていても良い。肩部35には、植物由来性樹脂が含まれてもよい。
頭部成形体37の肩部35の形成に用いる高密度ポリエチレンは化石原料由来のものを使用してもよいが、環境負荷の低減のためカーボンニュートラル材料として知られるバイオマス由来の高密度ポリエチレンを使用してもよい。頭部やキャップはチューブ容器に占める質量割合が大きいため、頭部成形体37をバイオマス由来の高密度ポリエチレンを用いて成形することにより、チューブ容器全体として化石原料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、チューブ容器30の頭部成形体37は、従来の化石原料から得られる原料から製造された頭部と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の頭部を代替することができる。
環境負荷低減の観点からは、バイオマス由来のポリエチレンのみを用いることが好ましいと言えるが、製造コスト等を考慮して、化石原料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとをブレンドしたものを用いてもよい。ここで、バイオマス由来のポリエチレンとは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマー重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。原料モノマー中のバイオマス由来のエチレンの含有量は、100質量%である必要は無く、例えば、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。
原料モノマーには、化石原料由来のエチレンが含まれていてもよく、ブチレン、ヘキセン、およびオクテン等のα-オレフィンのモノマーが含まれていてもよい。このような場合であっても、得られた重合体をバイオマスポリエチレンと呼ぶ。バイオマス由来のポリエチレンを使用する場合、異なるバイオマス度のポリオレフィンを2種以上含むものであってもよい。また、化石原料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとをブレンドする場合、混合方法は特に限定されず、ドライブレンドやメルトブレンドでもよい。また、両者を混合する場合の化石原料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとの混合割合は、質量比において1:9~9:1が好ましく、より好ましくは2:8~8:2である。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。すなわち、植物由来性樹脂を用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
本開示において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
そして、これらのような樹脂が用いられる頭部成形体37の厚さは0.5 mm以上、2.0 mm以下であることが好ましい。本実施形態では、頭部成形体37は、圧縮成形(コンプレッション成形)によって作製される。このため、コンプレッション成形物である頭部成形体37では、天面等の厚肉の部分にも、成形時の収縮によって生じるくぼみ、いわゆるヒケが生じないようにすることができる。更に、ゲート部のような材料の無駄も削減することができる。なお、頭部成形体37を射出成形(インジェクション成形)によって作製してもよい。
次に、図5により、筒状の胴部31を形成する積層体10について説明する。チューブ容器30の胴部31を形成する積層体10は、図5に示すように、外面から内面に向かって順に配置された易接着コート層12と、紙基材層13と、接着層16と、バリア層14と、シーラント層15とを有する積層体である。紙基材層13、接着層16、バリア層14、シーラント層15の各厚みは、現実にはそれぞれ異なっているが、図5においては、便宜上、同一の厚みで示している。また、各層間は、接着剤を用いたドライラミネートにより接着することもできるが、ドライラミネートによる接着の際に形成される接着剤層は、他の層に比べて薄いため図示を省略している。
易接着コート層12は、紙基材層の一部または全面に形成されている。易接着コート層12は、全面に形成されていてもよいが、接合用テープ60に対応する範囲にのみ形成されていればよい。本実施形態では、易接着コート層12は、接合用テープ60と重なる範囲を含む位置に形成されている。具体的には、易接着コート層12は、両端部33A、33Bから、それぞれWE(mm)の範囲にのみ易接着コート層12が形成されている。接合用テープ60の幅をWT(mm)とすると、WE≧WT/2であることが好ましい。WE≧WT/2であることにより、接合用テープ60の全面に易接着コート層12が存在することになり、胴貼り部32における密着性が高まる。本実施形態では、WE=(WT/2+1)である。これにより、正確な位置に接合用テープ60が貼られた場合に、易接着コート層12の形成位置に接合用テープ60の全体が含まれ、接合用テープ60の両幅に1mmずつ易接着コート層12が残ることになる。なお、両端部33A、33Bから、易接着コート層12が形成される範囲は、両端部33A、33Bにおいて異なっていてもよい。また、接合用テープとの密着性をより高めるために、易接着コート層12は、外面印刷部13Aと重ならない位置に形成されることが好ましい。
紙基材層13の外面には印刷インキを用いて所望の模様を含む外面印刷部13Aが形成されている。また、易接着コート層12は、紙基材層13の外面に、易接着コート剤を塗布、乾燥することにより、形成されている。易接着コート層12は、例えば、ロ-ルコ-ト、グラビアコ-ト、ナイフコ-ト、デップコ-ト、スプレイコ-ト、その他のコ-ティング法等により、紙基材層13に塗布し、コ-ティング膜を乾燥させて形成される。あるいは、外面印刷部13Aと同じ工程で形成されてもよい。易接着コート層12については、紙基材層13に用いる紙の平滑性が足りない場合はフレキソ印刷により塗布することもできる。
また、紙基材層13とバリア層14とは押出しラミネートによる接着層16により接合されている。また、バリア層14とシーラント層15とは押出しラミネート(接着層16:図示省略)またはドライラミネートにより接合されている。バリア層14とシーラント層15の層間が押出しラミネートにて積層される場合、バリア層14とシーラント層15を押出樹脂と相溶させることで耐内容物性を維持することができる。
両端部33A、33Bを重ね合わせて最外面の第1シーラント層と最内面の第2シーラント層をヒートシールにより接合する場合は、最外面の第1シーラント層が必要であるが、両端部33A、33Bを突き合わせて接合用テープ60で覆う場合は、最外面の第1シーラント層は必要なく、最内面のシーラント層だけでよい。
ドライラミネートにより2つの層を接着する場合、積層しようとする層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される接着剤層とすることができる。接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で積層体を構成する層の塗布面に塗布することができる。
押出しラミネートに使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、上記したポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。
また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、上記したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用して、バイオマス度をさらに向上させることができる。
押出しラミネート法により接着樹脂層である接着層16を積層する場合には、積層される側の層の表面に、アンカーコート剤を塗布して乾燥させることにより形成されるアンカーコート(AC)層を設けてもよい。アンカーコート剤としては、耐熱温度が135℃以上である任意の樹脂、例えばビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンイミン等からなるアンカーコート剤が挙げられる。特に、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系又はポリメタクリル系樹脂(ポリオール)と、硬化剤としてのイソシアネート化合物との硬化物であるアンカーコート剤を、好ましく使用することができる。また、これに添加剤としてシランカップリング剤を併用してもよい。また、硝化綿を、耐熱性を高めるために併用してもよい。アンカーコート剤としては、例えば、東洋モートン社製「EL-510」を用いることができる。また、硬化剤としては、例えば、東洋モートン社製「RT-80」を用いることができる。
乾燥後のアンカーコート層は、0.1μm以上1μm以下、好ましくは0.3μm以上0.5μm以下の厚さを有するものである。乾燥後の接着剤層は、好ましくは1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有するものである。接着樹脂層は好ましくは5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下の厚さを有するものである。
次に筒状の胴部31の積層体10を構成する各部分の材料について説明する。
易接着コート層12としては、接合用テープ60と紙基材層13との接着を容易にするものであればよく、例えば、ポリエチレンイミン、酢酸ビニル樹脂・エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂を主体とした接着剤、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を用いることができる。エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂を主体とした接着剤としては、例えば、大日精化工業社製「セイカダイン」を用いることができる。また、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体としては、例えば、ユニチカ社製のアローベース(登録商標)を用いることができる。
また、紙基材層13としては、未晒クラフト紙や晒クラフト紙、カップ原紙、パーチメント紙、コート紙を用いることができ、紙基材層13に印刷を施すことによって紙基材層13に印刷インキからなる外面印刷部13Aを設けることができる。また、紙基材層13は、チューブ容器の剛性保持や遮光性を担っている。
バリア層14としては、水蒸気その他のガスバリア性など、必要とされる機能に応じて、適切なものが選択され、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムや蒸着フィルムや金属箔を用いることができる。バリア層14として金属箔を用いる場合、金属箔としては、例えば、銅、すず等、バリア性を有する様々な金属箔を用いることができるが、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
バリア層14として蒸着フィルムを用いる場合、蒸着フィルムのベースとなるフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン等を用いることができる。ベースとなるフィルムに蒸着する金属としては、銅、すず等、一般に金属蒸着に用いられる様々なものを用いることができる。また、酸化アルミニウムなどの金属酸化物や酸化珪素などの無機酸化物の蒸着膜を設けることもできる。
バリア層14として蒸着フィルムを用いる場合、少なくとも一方の面に金属蒸着膜を有しガスバリア性をもったPET層を用いてもよく、また少なくとも一方の面に金属蒸着膜を有しガスバリア性をもったナイロン層を用いてもよい。
また、少なくとも一方の面にシリカ蒸着膜を有しガスバリア性をもったPET層を用いてもよく、また少なくとも一方の面にシリカ蒸着膜を有しガスバリア性をもったナイロン層を用いてもよい。
また、少なくとも一方の面に酸化アルミ蒸着膜を有しガスバリア性をもったPET層を用いてもよく、また少なくとも一方の面に酸化アルミ蒸着膜を有しガスバリア性をもったナイロン層を用いてもよい。
ナイロン層を用いた場合は、PET層よりも機械的強度が優れる場合が多い。また、各種蒸着膜を備えたフィルムは、基材となるフィルムよりもガスバリア性が優れる。さらに、蒸着膜上にガスバリア性塗布膜を設けてもよい。これにより酸素や水蒸気などの透過を抑制するとともに、蒸着膜と隣接して設けることにより、蒸着膜のクラックの発生を効果的に防止することができる。上記のガスバリア性塗布膜は、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で、ゾルゲル法によって重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜である。
シーラント層15は例えばポリエチレン(PE)を含んでいてもよい。具体的には、シーラント層15を以下の材料から作製してもよい。シーラント層15としては、熱によって溶融し、接合用テープ60の接合層と相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。
シーラント層15に用いられる材料として上記した樹脂は、化石原料由来のものだけでなく、バイオマス由来の樹脂を用いてもよい。例えば、上記したバイオマス由来のポリエチレン樹脂の他、特開2012-116082号公報に記載されているようなバイオマス由来のエチレングリコールをジオール成分として使用したバイオマスポリエステルや、ポリ乳酸樹脂、セロハン、でんぷん、セルロース等を使用することができる。バイオマス由来の樹脂としては植物由来性樹脂を用いることが好ましい。
紙基材層13の外面に設けられた外面印刷部13Aは、紙基材層13にグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷により形成されることから、美粧性に秀でた印刷をすることが可能である。また、外面印刷部13Aの表面には、キズ防止のためにOPニス等を塗布してもよい。
次に、図6により、積層体10の両端部33A、33Bを覆って貼り合わせるための接合用テープ60について説明する。接合用テープ60は、図6に示すように、テープ基材63の両面に第1接合層61、第2接合層62が積層された積層体である。第1接合層61、第2接合層62、テープ基材63の各厚みは、現実にはそれぞれ異なっているが、図6においては、便宜上、同一の厚みで示している。また、各層間は、接着剤を用いたドライラミネートにより接着することもできるが、ドライラミネートによる接着の際に形成される接着剤層は、他の層に比べて薄いため図示を省略している。または、第1接合層61、第2接合層62は、テープ基材63に対して押出しラミネートにより形成されている。
次に接合用テープ60を構成する各部分の材料について説明する。
第1接合層61および第2接合層62は例えばポリエチレン(PE)を含んでいてもよい。具体的には、第1接合層61および第2接合層62は、積層体10のシーラント層15と同様、以下の材料から作製してもよい。
接合用テープ60の第1接合層61および第2接合層62としては、熱によって溶融し、積層体10のシーラント層15と相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。
接合用テープ60のテープ基材63としては、紙や樹脂を用いることができる。例えば、紙としては、未晒クラフト紙や晒クラフト紙、カップ原紙、パーチメント紙を用いることができる。ただし、紙基材のテープを用いる場合には、紙端面が露出し内容物が浸透する可能性があるため、内面には使用しないことが望ましい。
テープ基材63として樹脂を用いる場合は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系のフィルムを用いることができる。ポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いることができる。積層体10のシーラント層15として用いられるポリオレフィン系のフィルムと同一のものを用いてもよい。またテープ基材63としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)層やナイロン層を用いてもよい。
接合用テープ60としては、第1接合層61および第2接合層62を備えた両面接合タイプであってもよいし、第1接合層61のみを備えた片面接合タイプであってもよい。
次に、筒状の胴部31の積層体10の製造方法について図5を用いて説明する。
まず、紙基材層13の外面に印刷を施して、紙基材層13の外面に印刷インキからなる外面印刷部13Aを設ける。
次に、紙基材層13の内面に接着層16を押し出して、バリア層14を押出しラミネートにて積層する。これにより、紙基材層13とバリア層14が積層された積層体が準備される。次に、上記にて準備された紙基材層13とバリア層14の積層体の内面に、押出しラミネートまたはドライラミネートにより、シーラント層15を接合する。そして、紙基材層13の外面に、易接着コート剤を塗布して乾燥させることにより易接着コート層12を形成する。
上記のようにして、胴部31の積層体10が得られる。なお、所望の積層体10が得られるようであれば、上記の製造方法には限られない。
このようにして得られた胴部31の積層体10は円筒状に巻かれ、上述のようにその両端部33A、33Bの端面が突き合わされる。そして、両端部33A、33Bにおいて積層体10の外面と内面に接合用テープ60が接触した状態でヒートシールされて、胴貼り部32が形成され、筒状の胴部31が作製される。この場合、積層体10の外面側に設けられた易接着コート層12と、易接着コート層12側に重ねられた接合用テープ60の第1接合層61(または第2接合層62)とが溶融して接合されるとともに、内面側に設けられたシーラント層15と、シーラント層15側に重ねられた接合用テープ60の第1接合層61(または第2接合層62)とが溶融して接合され、筒状の胴部31が得られる。
次に、図3に示した筒状の胴部31の開口部(上側)34Aが金型(図示省略)内に挿着され、筒状の胴部31に圧縮成形、射出成形などの方法を用いて、筒状の胴部31の開口部(上側)34Aに肩部35と口部36が形成されて、チューブ容器30が得られる(図1参照)。
次に、上記のようにして製造されたチューブ容器30の口部36に、キャップ20が装着され、キャップ20が装着されたチューブ容器30は複数まとめてダンボール箱内に収納される。その後、キャップ20が装着された複数のチューブ容器30は、ダンボール箱毎に搬送される。その後、搬送先において、ハンドクリーム、日焼け止め、歯磨き粉、その他の内容物38が適量分だけ充填され、開口部(下側)34Bを溶着して底シール部39が形成される。これにより、チューブ容器30に内容物38が充填包装された包装製品30Aが得られる。
<実施例1>
易接着コート層12として厚み1.0μmのポリエチレンイミン、紙基材層13として厚み70μmの紙(大興製紙株式会社製「片艶クラフト(坪量50g/m2)」)、接着層16として厚み20μmのエチレン-メタクリル酸共重合体樹脂層(EMAA)、バリア層14として厚み12μmの透明蒸着PETフィルム、シーラント層15の中心基材として厚み100μmのPEフィルムを用いた。
具体的には、まず、紙基材層13となる厚み70μmの紙の外面側に外面印刷部13Aを形成した。次に紙基材層13の内面に、押出しラミネートにより熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)を厚み15μmの接着層として、厚み120μmの未晒クラフト紙(80g/m2)をさらに貼り合わせた。
次に、押出しラミネートにより、熱可塑性樹脂であるEMAAを厚み20μmの接着層16として、バリア層14となる厚み12μmの透明蒸着PETフィルムを貼り合わせた。さらに、バリア層14となる厚み12μmの透明蒸着PETフィルムの内面側にアンカーコート層を形成して、押出しラミネートにより熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)を厚み20μmの接着層として、シーラント層15の中心基材となる厚み100μmのPEフィルムを貼り合わせた。
この結果、ポリエチレンイミン/印刷層(インキ)/紙70μm/PE15μm/紙120μm/EMAA20μm/透明蒸着PETフィルム12μm/PE20μm/PEフィルム100μmの構成となる積層体10が得られた。
そして、テープ基材63として厚み25μmのPETフィルム、第1接合層61、第2接合層62として共に厚み30μmのPE樹脂を用いた接合用テープ60を用意した。接合用テープ60は、両面にPE樹脂の接合層を備えている。
さらに、積層体10を円筒状に巻き、上述のようにその両端部33A、33Bの端面を突き合わせ、両端部33A、33Bを覆うようにして積層体10の外面と内面に接合用テープ60をヒートシールして、胴貼り部32を形成した。このようにして、筒状の胴部31を作製した。
チューブ形状を特定する筒状の胴部31の内径は、40mmとした。次に、筒状の胴部31の開口部34Aを金型内に挿着し、圧縮成形にて、筒状の胴部31の開口部34Aに肩部35と口部36を形成した。肩部35と口部36は高密度ポリエチレン(HDPE)とした。
また、図1に示す肩部35側の端部と開口部34Bまでの胴部31の長さを120mmとした。そして、筒状の胴部31の他方の開口部34Bから、水80mlを充填した。その後、開口部34Bを溶着して底シール部39を形成して、封止した包装製品30Aを作製した。
<実施例2>
易接着コート層12として厚み1.0μmのエチレン・酢酸ビニル共重合体系接着剤、紙基材層13として厚み200μmの紙(BillerudKorsnas(スウェーデン・ビレルドコルスネス)社製「FibreForm(坪量150g/m2)」)、接着層16として厚み20μmのエチレン-メタクリル酸共重合体樹脂層(EMAA)、バリア層14として厚み9μmのアルミニウム箔(ALM)、シーラント層15の中心基材として厚み120μmのPEフィルムを用いた。
具体的には、まず、紙基材層13となる厚みが200μmの紙の外面側に外面印刷部13Aを形成した。次に紙基材層13の内面に、押出しラミネートにより、熱可塑性樹脂であるEMAAを厚み20μmの接着層16として、バリア層14となる厚み9μmのアルミニウム箔と厚み12μmのPETフィルムを接着剤で貼り合わせたフィルムを貼り合わせた。
次に、厚み12μmのPETフィルムの内面側にアンカーコート層を形成して、押出しラミネートにより熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)を厚み20μmの接着層として、シーラント層15の中心基材となる厚み120μmのPEフィルムを貼り合わせた。
この結果、エチレン・酢酸ビニル共重合体系接着剤/印刷層(インキ)/紙200μm/EMAA20μm/ALM9μm/接着剤/PETフィルム12μm/PE20μm/PEフィルム120μmの構成となる積層体10が得られた。
そして、テープ基材63として厚み25μmのPETフィルム、第1接合層61として厚み50μmのPE樹脂を用いた接合用テープ60を用意した。接合用テープ60は、片面にのみPE樹脂の接合層を備えている。
さらに、実施例1と同様にして、積層体10の外面と内面に接合用テープ60を用いて筒状の胴部31を作製した。そして、実施例1と同様にして、水80mlが充填された、封止された包装製品30Aを作製した。
<比較例1>
比較例1では、両端部33A、33Bにおいて、最外面のシーラント層と最内面のシーラント層を重ね合わせてヒートシールにより接合するため、二層のシーラント層を設け、最外面を第1シーラント層、最内面を第2シーラント層とした。また、紙基材層の外面に易接着コート層は形成されていない。比較例1では、第1シーラント層として厚み60μmのPE樹脂、紙基材層として厚み120μmの紙(大王製紙社製「ナゴヤ晒竜王(坪量100g/m2)」)、接着層として厚み20μmのエチレン-メタクリル酸共重合体樹脂層(EMAA)、バリア層として厚み12μmの透明蒸着PETフィルム、第2シーラント層の中心基材として厚み100μmのPEフィルムを用いた。
具体的には、まず、紙基材層となる厚みが120μmの紙の外面側に外面印刷部を形成した。次に、紙基材層となる厚み120μmの紙の外面に押出しラミネートにより、第1シーラント層を積層した。具体的には、紙基材層の外面において、押出しラミネートにより熱可塑性樹脂であるPEを厚み60μmの第1シーラント層として、紙基材層に積層した。
次に紙基材層13の内面に、押出しラミネートにより、熱可塑性樹脂であるEMAAを厚み20μmの接着層として、バリア層となる厚み12μmの透明蒸着PETフィルムを貼り合わせた。
次に、バリア層となる厚み12μmの透明蒸着PETフィルムの内面側にアンカーコート層を形成して、押出しラミネートにより熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)を厚み20μmの接着層として、第2シーラント層の中心基材となる厚み100μmのPEフィルムを貼り合わせた。
この結果、PE60μm/印刷層(インキ)/紙120μm/EMAA20μm/透明蒸着PET12μm/PE20μm/PEフィルム100μmの構成となる積層体が得られた。
さらに、積層体10を円筒状に巻き、その両端部33A、33Bを重ね合わせ、両端部33A、33Bにおいて積層体10の外面と内面をヒートシールして、筒状の胴部31を作製した。両端部33A、33Bを重ね合わせて第1シーラント層と第2シーラント層をヒートシールにより接合するため、接合用テープは使用しなかった。
その後、実施例1と同様にして、水80mlが充填された、封止された包装製品30Aを作製した。
<比較例2>
第1シーラント層として厚み20μmのPE樹脂、厚み80μmのPEフィルム、厚み20μmのPE樹脂の構成を用い、紙基材層として厚み200μmの紙(BillerudKorsnas(スウェーデン・ビレルドコルスネス)社製「FibreForm(坪量150g/m2)」)、接着層として厚み20μmのエチレン-メタクリル酸共重合体樹脂層(EMAA)、バリア層として厚み9μmのアルミニウム箔(ALM)、第2シーラント層の中心基材として厚み100μmのPEフィルムを用いた。そして、比較例1と同様にして、適宜各層を積層して積層体を構成した。
この結果、印刷層(インキ)/PE20μm/PEフィルム80μm/PE20μm/紙200μm/EMAA20μm/アルミニウム箔9μm/接着剤/PET12μm/PE20μm/PEフィルム100μmの構成となる積層体が得られた。
そして、比較例1と同様にして、積層体10を円筒状に巻き、上述のようにその両端部33A、33Bを重ね合わせ、両端部33A、33Bにおいて積層体10の外面と内面をヒートシールして、筒状の胴部31を作製した。両端部33A、33Bを重ね合わせて第1シーラント層と第2シーラント層をヒートシールにより接合するため、接合用テープは使用しなかった。
その後、実施例1と同様にして、水80mlが充填された、封止された包装製品30Aを作製した。
<評価>
実施例1、2、比較例1、2の積層体およびチューブ容器ついて、紙らしさ、肩部接着強度、サイドシーム強度、サイドシーム部の酸素バリア性の4つの指標を用いて評価を行った。
紙らしさについては、実施例1、2、比較例1、2で作製した、水80mlの入ったチューブ容器の胴部について、見た目と手で触った触感の点で、被験者の主観で評価した。紙らしい場合は〇、紙らしくない場合は×、その中間(紙らしさが不足している)の場合は△とした。
肩部接着強度については、胴部と肩部の接着箇所より、胴部を底シール部方向に15mm巾で帯状にカットした試験体を用いて、胴部と肩部の剥離強度を測定する引っ張り試験を行なった。試験体における胴部の15mm巾の帯状部分は、胴貼り部のものと、胴部において胴貼り部から180°反対側の部分のものを用いた。そして、引張試験装置により試験体の胴部と肩部を一対のチャックで引っ張った。具体的には、一方のチャックで肩部35を挟み、他方のチャックで胴部31の下端側(開口部34B、底シール部39の側)を挟んで引っ張った。そして、胴部と肩部が分離するまで引張荷重を加え、その間の最大荷重を肩部接着強度とした。そして、帯状部分を胴貼り部とした試験体と、帯状部分を胴部において胴貼り部から180°反対側の部分とした試験体の平均値を求めた。引張試験装置としては、(株)オリエンテック製「テンシロン万能試験機RTF」を用いた。引張試験速度は300mm/minとした。肩部接着強度(剥離強度)については、各実施例、比較例について、それぞれ3回測定して平均値を記録し、40N/15mm以上の場合は○、40N/15mm未満の場合は×とした。なお、図1、図2においては、一例として、胴部31と肩部35の接合部分を、比較的単純な構造として示している。しかし、実際には、圧縮成形、射出成形などの方法により、肩部35の樹脂を溶融させて胴部31に接合するため、肩部35の形状は図1、図2とは異なっている場合がある。したがって、肩部35の形状は、図1、図2の例と異なっていてもよい。また、胴部31の端部が肩部35の樹脂で覆われている場合がある。
サイドシーム強度については、胴貼り部を含むようにして、胴部を周方向に延びるように15mm巾で帯状にカットした試験片を用いて、試験片が破断する際の破断強度を測定する引っ張り試験を行なった。具体的には、引張試験装置により試験片の対向する2箇所を一対のチャックで引っ張り、試験片が破断するまで引張荷重を加え、その間の最大荷重をサイドシーム強度とした。ここで、「試験片が破断する」とは、接合用テープ60の剥離や接合用テープ60の破断ではなく、胴部31を構成する積層体10自身の破断を意味する。引張試験装置としては、(株)オリエンテック製「テンシロン万能試験機RTF」を用いた。引張試験速度は300mm/minとした。サイドシーム強度については、各実施例、比較例について、それぞれ3回測定して平均値を記録し、80N/15mm以上の場合は○、80N/15mm未満の場合は×とした。
サイドシーム部の酸素バリア性については、ロイコメチレンブルー寒天溶液を以下の通り調整し、チューブ容器にヘッドスペースができないよう充填シールし、常温23℃下に1週間放置し、中身を取り出して染色状態を目視確認した。サイドシーム部(胴貼り部32およびその近傍)に線状の青い染色がほぼない場合を〇、青い染色がはっきり見える場合を×とした。
ロイコメチレンブルー寒天溶液の調整は、次のように行った。まず、寒天20gを水1Lで加熱溶解させ、70~75℃まで冷却し、メチレンブルー0.2gを入れて攪拌した。さらに65~70℃まで冷まし、ハイドロサルファイトナトリウム0.8gを入れて攪拌し、溶液を調整した。
以上の4指標についての評価結果を表1に示す。
表1に示すように、シーラント層を最内面の1層のみとし、両端部33A、33Bが接する部分を外面側と内面側の両方において、接合用テープで接合した実施例1、2は、4つの指標全てにおいて良好な結果であった。これに対して、最外面の第1シーラント層と最内面の第2シーラント層を両端部33A、33Bにおいて重ね合わせて接合した比較例1、2は、紙らしさ、サイドシーム部の酸素バリア性の指標において、良好な結果が得られなかった。
表1に示した評価結果より、少なくとも紙基材層13、バリア層14、シーラント層15が、外面側から順に積層されて、端面どうしを突き合わせることによりチューブ容器の胴部に用いられる積層体であって、紙基材層13の外面側の少なくとも一部に、易接着コート層12が形成されている積層体は、紙らしさ(紙の風合い)を表現することができ、胴貼り部32(サイドシーム部とも呼ばれる)の酸素バリア性を保つことが明らかになった。
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、キャップとして、口部の外周面にネジ山を設け、ネジ山に螺合するように、キャップ内面にネジ溝を備えたスクリュータイプのものを用いたが、上下方向の直線運動のみにより容器に対してキャップを着脱させるような、いわゆるワンタッチ嵌合により結合されるタイプのもの等、他のタイプのものを用いてもよい。