JP7562363B2 - 非熱可塑性ポリイミドフィルム、ポリイミド積層フィルム、非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造方法およびポリイミド積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のポリイミド積層フィルムに用いる非熱可塑性ポリイミドフィルムは、下記に示す一部エステル化された構造を分子中に有する非熱可塑性ポリイミド前駆体、および、熱可塑性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)との混合物をイミド化させることにより非熱可塑性ポリイミドフィルムを作製し、そのフィルム中に10μm以下の島構造の熱可塑性ポリイミドのドメインを有する相分離構造を形成させることを特徴とする非熱可塑性ポリイミドフィルムである。(但し、R1は2価の有機基、R2は4価の有機基、R3は、炭素数1~20で示される有機基である)
耐熱性を高く保ちながら、ポリマーとしての柔軟性を調整できることから、4,4´-ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを組み合わせて用いることが好ましく、その際の4,4´-ジアミノジフェニルエーテルの含有量は、40~70モル%であることが好ましく、45~65モル%であることがより好ましく、50~65モル%であることが更に好ましく、パラフェニレンジアミンの含有量は、10~50モル%であることが好ましく、15~40モル%であることがより好ましく、15~30モル%であることが更に好ましい。
本発明における一部エステル化された非熱可塑性ポリイミド前駆体の製造方法としては、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
非熱可塑性ポリイミド前駆体の製造における重合方法の特徴は、そのモノマーの添加順序にあり、このモノマーの添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明において非熱可塑性ポリイミド前駆体の製造にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として以下のような方法が挙げられる。
(A-a)工程:芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族ジアミンが過剰の状態で有機極性溶媒中にて反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る工程、
(A-b)工程:(A-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを追加添加する工程。更に、工程(A-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程。
(B-a)工程:芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族酸二無水物が過剰の状態で有機極性溶媒中にて反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る工程、
(B-b)工程:(B-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を追加添加する工程。更に、工程(B-a)工程で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程。
また本発明で用いる非熱可塑性ポリイミド、および、その前駆体において、より高分子量である方が熱可塑性ポリイミドとの相分離構造を形成しやすく、応力緩和によるクラック改善効果に優れるという観点から好ましく、その前駆体(ポリアミド酸)の平均分子量がGPCによるPEG(ポリエチレングリコール)換算で測定した際の重量平均分子量が150,000以上である事が好ましく、さらに好ましくは200,000以上である事が好ましい。
本発明の一部エステル化された非熱可塑性ポリイミド前駆体については、上記の方法で得られたポリイミド前駆体分子中のカルボキシル基をエステル化する事で得られ、特にその方法について限定されるものではない。特に、簡単に狙った当量分のカルボキシル基をエステル化できることから、エステル化剤を用いる事が好ましい。具体的なエステル化剤としては、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジメエチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジtertブチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジブチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジベンジルアセタール、N,N‘-ジイソプロピル-O-メチルイソ尿素、N,N‘-ジイソプロピル-O-エチルイソ尿素、N,N‘-ジイソプロピル-O-プロピルイソ尿素、N,N‘-ジイソプロピル-O-tertブチルイソ尿素、N,N‘-ジイソプロピル-O-ベンジルイソ尿素などが挙げられる。特に入手性の観点から、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジメエチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジtertブチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジブチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジベンジルアセタールが好ましい。
また本発明における島構造にあたる熱可塑性ポリイミド、および、その前駆体(ポリアミド酸)の製造に使用する芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物には、上記にある非熱可塑性ポリイミド、および、その前駆体に使用されるそれらと同じものが挙げられるが、特に、熱可塑性とするためには、屈曲性を有するジアミンと酸二無水物(特に芳香族酸二無水物)とを反応させることが好ましい。屈曲性を有するジアミンの例として、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、などが挙げられ、これらの中でも、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパンがより応力緩和効果が大きいポリマーが得られるという観点より望ましい。
これら屈曲性を有するジアミンの含有量は、40~90モル%であることが好ましく、60~85モル%であることがより好ましく、65~80モル%であることが更に好ましい。
また本発明で用いる熱可塑性ポリイミド、および、その前駆体において、より高分子量である方が応力緩和によるクラック耐性効果に優れるという観点からも好ましく、その前駆体(ポリアミド酸)の平均分子量がGPCによるPEG(ポリエチレングリコール)換算で測定した際の重量平均分子量が150,000以上である事が好ましく、さらに好ましくは200,000以上である事が好ましい。また分子量について、低分子過ぎると非熱可塑性ポリイミドと相溶し均一な相分離構造を形成しない観点から好ましくない。
本発明の島構造にあたる熱可塑性ポリイミドにおいて、動的粘弾性測定によるガラス領域での貯蔵弾性率の変曲点が示す温度(E’変曲点温度という)は、フィルム積層体をレーザー加工する際に発生する高熱の冷却時に生じるフィルム内の応力を緩和しやすい観点から、280℃以下である事が好ましく、さらに好ましくは250℃以下である事が好ましい。また、180℃以下となるとフレキシブル基板のはんだ実装時にかかる温度に耐えられず発泡などの不具合が生じる恐れがあるため好ましくない。
本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムは、フィルム中に10μm以下の島構造の熱可塑性ポリイミドのドメインと海構造の非熱可塑性ポリイミドのドメインを有する相分離構造を有することを特徴としており、ポリイミド積層フィルムを用いて製造されるフレキシブル金属張積層板におけるレーザー加工によるホール形成時、発生する熱によってフィルム中に残留する応力を緩和することで、デスミア工程後のクラックの発生を抑制できる。
また島構造の熱可塑性ポリイミドのドメインのサイズとしては、サイズが大きすぎると海構造と島構造との界面が少なくなり、十分に発生応力の分散が出来ないため、10μm以下である事が好ましく、7μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが更に好ましい。サイズの下限としては、0.3μm以上であることが応力緩和の観点より好ましい。
またこのドメインのサイズは一般的なTEM観察によって観察・計測することができる。
本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムは、フィルム中に10μm以下の島構造の熱可塑性ポリイミドのドメインと海構造の非熱可塑性ポリイミドのドメインを有する相分離構造を形成していることを特徴としており、その製造方法については特に限定されるものではない。特に、簡便かつフィルム中に均一な相分離構造を形成する方法として、非熱可塑性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)、および、熱可塑性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を予め混合し、その混合物をイミド化させることで得る方法が挙げられる。
この場合、混合温度については、-20℃~50℃程度であり、10℃~45℃が好ましく、更に好ましくは、20℃~40℃が好ましい。この範囲より、低い温度の場合、トルクが高くなり過ぎ、均一に混合できない可能性があり、また高い温度の場合には、一部相溶化する、もしくは、前駆体が分解してしまうなどの均一な相分離構造が形成できなくなる可能性がある。
本発明における非熱可塑性ポリイミドフィルムを得る方法も特に制限されず、種々の公知の方法を適用できる。例えば、以下のi)~iv)の工程を含むことが好ましい。
i)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させた後、エステル化剤により分子中のカルボキシル基の一部エステル化させた非熱可塑性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)および、熱可塑性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)との混合物を得る工程、
ii)上記ポリイミド前駆体を含む製膜ドープをダイスから支持体上に流延して、樹脂層(液膜ともいうことがある)を形成する工程、
iii)樹脂層を支持体上で加熱して自己支持性を持ったゲルフィルムとした後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったアミド酸をイミド化し、かつ乾燥させ非熱可塑性ポリイミドフィルムを得る工程。
本発明のポリイミド積層フィルムは、前記非熱可塑性ポリイミドフィルムを用いて、その少なくとも片面に、熱可塑性のポリイミド樹脂層を積層したポリイミド積層フィルム積層体であり、ポリイミド積層フィルムを製造する方法も特に制限されず、種々の公知の方法を適用できる。例えば、共押出しダイを使用して、本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムの前駆体であるポリイミド前駆体および接着層となりうる熱可塑性ポリイミド前駆体を含む複層の樹脂層を同時に形成しても良い。
ポリイミド積層フィルムの少なくとも片面に金属箔を貼り合わせることより、フレキシブル金属張積層板を製造することが可能である。フレキシブル金属張積層板を製造する方法も特に制限されず、種々の公知の方法を適用できる。例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することも好ましい。
フレキシブル基板製造において、銅張積層板にレーザー加工によりビア形成する場合、加工部位にレーザー照射することで、基板を貫通させてスルーホール(TH)や上面の銅箔およびポリイミド樹脂のみを除去しブランインドビアホール(BVH)を形成することできる。レーザーの種類としては公知のものを用いることができる。UV-YAGレーザーやエキシマ―レーザーなどの短波長レーザーは樹脂に対しても銅に対しても非常に高い吸収率を示し加工が可能であるため好ましい。なおTHに関しては直接ドリルを用いて貫通孔を開ける方法も広く用いられている。
FPC製造におけるビア内壁に発生したクラックは、通常はFPC製造後に外観検査などで検出される。本発明者らは、材料となる長尺フレキシブル金属張積層板から試験片を切り出して、ビア形成工程のレーザー加工からデスミア処理まで実施した段階でホール内壁に発生するクラックを評価するホールクラック試験をすることにより、簡便にFPC製造工程でのビア内壁のクラック発生が評価できることを見出した。
SIIナノテクノロジー社製 DM6100を用い、空気雰囲気下にて動的粘弾性を測定し、各温度での貯蔵弾性率、および、変曲点温度を測定した。
サンプル測定範囲;幅9mm、つかみ具間距離;20mm
測定温度範囲;0℃~440℃
昇温速度;3℃/min
歪み振幅;10μm
測定周波数;1Hz,5Hz,10Hz
最小張力/圧縮力;100mN
張力/圧縮ゲイン;1.5
力振幅初期値;100mN
観察に用いるフィルムを樹脂包埋し、ウルトラミクロトーム(ライカ製UCT)で超薄切片を作成。透過型電子顕微鏡(TEM、日立ハイテクノロジーズ製、H-7650)を用いて、加速電圧100kVの条件で40000倍のTEM像から、海島構造の有無、および、ドメインサイズを計測した。
実施例および比較例で得られたポリイミドフィルム積層体の両面にそれぞれ12μm電解銅箔(3EC-M3S-HTE、三井金属製)を配し、さらに銅箔の両側に保護フィルムとして(アピカル125NPI;カネカ製、厚み125μm)を用い、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板とした。次に、5.0cm×20.0cm角の大きさにフレキシブル金属張積層板を切り取り、UV-YAGレーザーを用いて直径100μmの大きさのブラインドビアホールを表2のプロセスでレーザー加工した。条件ごとに1mm間隔で縦10個ずつ10列のパターンを形成した(各100個)。レーザー加工後、デスミア処理を表3のプロセスで行った。
銅箔をエッチングで除去した後、クロスニコル下にて倍率200倍で偏光顕微鏡観察した。ホール部を光漏れしたものをクラックと見なした。光漏れの程度が弱く判断がつかないものは、ホール断面を切削し電子顕微鏡等のより高倍率の観察を行いクラックか否かを判別し分類した。図1に実際の判別に用いた光学顕微鏡像の一例を示す。100個観察した後、クラックの生じた比率を百分率で求めた。
(合成例1)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMF)334.13g、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODA)17.70g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDA)18.01gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDA)7.79gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後、4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(以下、m-TB)5.78gを加え、p-フェニレンジアミン(以下、PDA)7.11gを加え、続いて、PMDA11.85gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.46gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMF溶液を調整し、上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加をやめ非熱可塑性ポリイミド前駆体Aを得た。この時の平均重量分子量は156,000であった。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMF334.13g、ODA5.27g、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPP)16.20gを加え、を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、PMDA7.17gを徐々に添加した。PMDAの溶解を目視で確認後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDA)8.48gを添加し、30分間攪拌を行った。その後、PDA3.76gを加え、続いて、PMDA15.32gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.46gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加をやめ、非熱可塑性ポリイミド前駆体Bを得た。この時の平均重量分子量は159,000であった。
(合成例3)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを673.24g、BAPP71.83gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA51.00gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、30分間攪拌を行った。最後に、1.47gのBPDAを固形分濃度7.2%となるようにDMF溶液を調整し、この溶液を上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2000ポイズに達した時点で添加をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体Cを得た。この時の重量平均分子量は163,000であった。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを673.24g、BAPP71.83gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA51.00gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、30分間攪拌を行った。最後に、1.47gのBPDAを固形分濃度7.2%となるようにDMF溶液を調整し、この溶液を上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が8200ポイズに達した時点で添加をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体Dを得た。この時の重量平均分子量は247,000であった。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを673.24g、BAPP71.83gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA7.72gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA31.30gを添加し、30分間攪拌を行った。最後に、1.15gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が300ポイズに達した時点で添加をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体Eを得た。
上記合成例3~5で得られたポリイミド前駆体C~E(60g)に無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比6.89/2.14/20.97)からなる硬化剤を30.0g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を120℃×3分間秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×1分間、300℃×200秒で乾燥・イミド化させて厚み20μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムを金属製の固定枠に固定し、450℃で2分間加熱したところ形態を保持せず、熱可塑性であることを確認出来た。
500mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体A2(55g)、および、合成例3で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体C(11g)を入れ、窒素雰囲気下、室温で攪拌翼を用い5時間攪拌混合し、前駆体混合物を得た。この前駆体混合物に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、N2雰囲気下のオーブン中で250℃10分さらに、380℃2時間でイミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
500mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体A2(55g)、および、合成例4で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体D(11g)を入れ、窒素雰囲気下、室温で攪拌翼を用い5時間攪拌混合し、前駆体混合物を得た。この前駆体混合物に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、N2雰囲気下のオーブン中で250℃10分、380℃2時間でイミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
合成例2で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体B(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、N2雰囲気下のオーブン中で250℃10分、380℃2時間でイミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。またこのフィルムを金属製の固定枠に固定し、450℃で2分間加熱したところ形態を保持していることから、非熱可塑性であることを確認した。
上記比較例2において、合成例2で得られた非熱可塑性ポリイミド前駆体Bの代わりに、合成例1で得られたエステル化されていない非熱可塑性ポリイミド前駆体Aを用いる以外は同様の方法でポリイミド積層体を得た。
Claims (8)
- 前記熱可塑性ポリイミド前駆体の分子量が150,000以上であることを特徴とする請求項1に記載の非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性ポリイミド前駆体が、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、及び2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパンから選択されるジアミン由来の構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記一部アルキルエステル化された構造を分子中に有する非熱可塑性ポリイミド前駆体が4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル由来の構造を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造方法。
- 請求項1~4のいずれかに記載の非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成させることを特徴とするポリイミド積層フィルムの製造方法。
- フィルム中に10μm以下の島構造の熱可塑性ポリイミドのドメインと海構造の非熱可塑性ポリイミドのドメインを有する相分離構造を形成していることを特徴とする非熱可塑性ポリイミドフィルムであり、島構造の熱可塑性ポリイミドが、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、及び1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンから選択されるジアミン由来の構造を有し、
前記熱可塑性ポリイミドの貯蔵弾性率の変曲点温度が280℃以下である、非熱可塑性ポリイミドフィルム。 - 前記島構造の熱可塑性ポリイミドが、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物由来の構造を有することを特徴とする請求項6に記載の非熱可塑性ポリイミドフィルム。
- 請求項6または7に記載の非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を有することを特徴とするポリイミド積層フィルム。
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