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JP7548703B2 - 吸収性物品用不織布及び吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品用不織布及び吸収性物品 Download PDF

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JP7548703B2 JP2020028859A JP2020028859A JP7548703B2 JP 7548703 B2 JP7548703 B2 JP 7548703B2 JP 2020028859 A JP2020028859 A JP 2020028859A JP 2020028859 A JP2020028859 A JP 2020028859A JP 7548703 B2 JP7548703 B2 JP 7548703B2
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Description

本発明は、吸収性物品用不織布及びこれを備える吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、一般的に、圧縮された包装形態で流通されている。包装形態から開封された後において柔らかさやクッション感を得る観点から、吸収性物品は、その嵩が回復することが望まれている。そのため、吸収性物品に用いられる不織布として、嵩高性及び嵩回復性に優れるものが検討されている。例えば、特許文献1には、所定の芯成分及び鞘成分を有し、且つスパイラル状に捲縮された偏心芯鞘型複合繊維ウェブからなる不織布であって、繊維間相互が熱接着されてなる比容積、及び24時間圧縮直後の厚さ回復率それぞれが所定の範囲である、嵩回復性に優れたシートが開示されている。
また、本出願人は、先に、エラストマー成分を所定量含む繊維集合体、又は規則的に配列された多数の凸部が形成されている繊維集合体からなり、坪量が15~100g/mであり、無荷重厚みが1~10mmであり、圧縮回復率が60%以上である圧縮回復性シートを提案している(特許文献2、3)。
特開平8-92851号公報 特開2001-20167号公報 特開2001-20168号公報
空気などの熱風や水蒸気を繊維ウエブに吹き付けることで製造されたエアスルー不織布は、製造直後では、ふっくらとしたクッション感を有している。しかしながら、エアスルー不織布を吸収性物品の構成部材に用いた場合、前述した包装形態で封入されると、圧縮により本来のクッション感を生じ難い傾向にある。特許文献1~3に記載の各シートは、厚み(嵩)の回復性が考慮されているものの、当該厚みの回復性について更なる改善の余地があった。
本発明の課題は、圧縮に対する厚みの回復性に優れ、クッション性が良好な吸収性物品用不織布及びこれを備える吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、エアスルー不織布からなる吸収性物品用不織布であって、
非伸縮性繊維からなり、該非伸縮性繊維が、繊維径が15μm以下である細繊維を含んでおり、
全ての構成繊維に対する、前記細繊維の割合が30%以上であり、
坪量が30g/m以下であり、両面が平坦であり、30cN/cmの荷重を24時間印加後の厚みが1.6mm以上である、吸収性物品用不織布を提供するものである。
また本発明は、前記吸収性物品用不織布を構成部材として備える、吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、圧縮に対する厚みの回復性に優れ、クッション性が良好な吸収性物品用不織布及びこれを備える吸収性物品が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施形態の吸収性物品用不織布(以下、単に「不織布」ともいう)は、エアスルー不織布である。「エアスルー不織布」とは、所定温度以上の流体、例えば気体や水蒸気を、不織布の前駆体である繊維ウエブ又は不織布に吹き付ける工程(エアスルー工程)を経て製造された不織布をいう。斯かる流体の吹き付けは、熱風等の流体が繊維ウエブ又は不織布を貫通する、いわゆるエアスルー方式(貫通方式)で行われる。本発明のエアスルー不織布には、斯かるエアスルー方式による熱処理工程のみで製造される不織布のみならず、他の方法で作製された不織布に該熱処理工程を付加して製造した不織布、あるいはエアスルー工程の後に何らかの工程を行って製造した不織布が包含される。
本実施形態の不織布は、構成繊維どうしの交点が熱融着した熱融着部を複数有している。斯かる熱融着部は、構成繊維どうしが接する部分に形成されており、不織布内に三次元的に分散して配置されている。
本実施形態の不織布は、該不織布の厚み方向と直交する方向に沿い、該厚み方向に離間した2つの面を有している。本実施形態の不織布が吸収性物品の構成部材として使用された場合、該不織布の表面は通常、吸収性物品の着用者の肌に向けられる面(肌対向面)となるか、又は着用者の肌とは反対側に向けられる面(非肌対向面)若しくはショーツ等の着衣に向けられる面(着衣対向面)となる。
本実施形態の不織布は、非伸縮性繊維からなる。非伸縮性繊維は、非弾性の構成成分からなる繊維である。「非伸縮性繊維」は、「伸ばすことができ、かつ元の長さに対して50%伸ばした状態(元の長さの150%の長さになる)から力を解放したときに、元の長さの3%以下の長さまで戻る性質」を有さない繊維を意味する。
上述した熱融着部を形成する観点から、本実施形態の不織布は、非伸縮性繊維として、熱可塑性繊維を含むことが好ましい。即ち、本実施形態の不織布は、非伸縮性且つ熱可塑性の繊維を含むことが好ましい。斯かる繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の不織布に用いられる非伸縮性且つ熱可塑性の繊維は、1種類の合成樹脂又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯部と鞘部とからなる芯鞘構造を備える芯鞘型や、サイドバイサイド型等が挙げられる。
生産コストの観点から、非伸縮性且つ熱可塑性の繊維は、PE、PP、及びPETからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂成分を含むことが好ましい。
非伸縮性繊維は、構成樹脂としてPEを含むことが好ましく、少なくとも表面にPEを含むことがより好ましく、PEからなることが更に好ましい。
例えば、非伸縮性繊維として芯鞘構造を備える繊維を含む場合、芯部の樹脂成分(以下、「芯成分」ともいう)がPETであり、前記鞘部の樹脂成分(以下、「鞘成分」ともいう)がポリエチレンであることが好ましい。
非伸縮性且つ熱可塑性の繊維の好ましい一例として、芯鞘型複合繊維からなる熱可塑性繊維であって、芯成分がPET及びPPからなる群から選択される1種以上であり、鞘成分がPEであるものが挙げられる。
本実施形態の不織布は、非伸縮性且つ熱可塑性の繊維に加えて、他の非伸縮性繊維を含有していてもよい。斯かる他の非伸縮性繊維としては、例えば、パルプやコットン等の天然繊維、レーヨン、リヨセル及びテンセル等のセルロース系繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
特に不織布が、芯成分がPETであり、鞘成分がPEである芯鞘型複合繊維を含む場合、コットンを混綿して用いることが好ましい。
上述した熱融着部を形成する観点から、全構成繊維に占める他の非伸縮性繊維の割合は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上であり、また好ましくは100質量%以下である。
上述した非伸縮性繊維は非弾性の樹脂からなる繊維であるが、これと相反する特性を有する繊維に伸縮性繊維がある。伸縮性繊維は、弾性樹脂からなる繊維である。斯かる繊維の構成樹脂としては、例えば、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、SEBS(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン)、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられる。本実施形態の不織布は、このような伸縮性繊維を含んでいない。
本実施形態の不織布において、非伸縮性繊維は、繊維径が15μm以下の繊維(以下、「細繊維」ともいう。)を含んでいる。本実施形態の不織布は、全構成繊維に対する細繊維の割合が30%以上である。斯かる割合を、以下「細繊維率」ともいう。不織布の柔軟性を向上させる観点から、細繊維率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは100%以下である。細繊維率は、不織布を構成する全構成繊維の質量に対する、細繊維の質量の割合(%)であり、不織布を製造するときに用いた繊維の質量に基づいて求めることができる。また、不織布の細繊維率は、以下の表面観察による方法により求めことができる。細繊維の使用量(質量)の割合から求める方法、及び以下の表面観察による方法の少なくとも一方の方法により求めた細繊維率が30%以上であれば、本発明における「全ての構成繊維に対する、前記細繊維の割合が30%以上である」という条件を満たす。本実施形態の不織布は、後述するように、坪量が30g/m以下であり且つ両面が平坦な不織布であるため、以下の表面観察により大部分の繊維を観察することができる。そのために細繊維率は以下のように定義してよい。
測定対象の不織布について、鋭利なかみそりを用いて、10mm×10mmの領域を厚み方向の全体に亘って切り出し、これを測定サンプルとする。測定サンプルの何れか一方の面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM、JCM-6000 商品名、日本電子株式会社製。本明細書におけるSEMは全てこれである。)を用いて表面観察する。この際、倍率200倍で500μm×400μmの領域(観察領域)を撮影する。このSEMによる撮影では、測定サンプルの被撮影面において最表に位置する繊維に焦点を合わせる。1枚の測定サンプルにつき、互いに位置が異なる5箇所を撮影し、計5枚のSEM画像を得る。次いで、各SEM画像において、焦点の合った繊維を選択する。焦点の合った繊維それぞれについて、熱融着部以外の任意の部分を選択し、その選択した部分における繊維の長手方向と直交する線を引く。この直交する線に沿う前記繊維の差し渡し長さを繊維径として測定する。斯かる測定は、前記焦点の合った繊維において、前記差し渡し長さを示す差し渡し線、即ち繊維の長手方向と直交する線と、繊維の輪郭を示す線とが互いに直交する位置で測定する。前記「焦点の合った繊維」とは、SEM画像において繊維の輪郭が500μm×400μmの領域内でぼやけていない繊維である。測定した繊維径が15μm以下の繊維の本数を細繊維の本数としてカウントし、SEM画像における前記焦点の合った繊維の本数に対する該細繊維の本数の割合、即ち「細繊維の本数/焦点の合った繊維の本数」の百分率(%)を求める。斯かる割合を、測定サンプルから取得した計5枚のSEM画像ごとに求め、これらの平均を、「片面細繊維率」とする。次いで、前記「片面細繊維率」の測定を、該不織布の両面それぞれについて行い、これらの平均を、細繊維率とする。
本実施形態の不織布の坪量は、30g/m以下である。クッション性をより確実に奏させるとともに、生産コストを抑制する観点から、本実施形態の不織布の坪量は、好ましくは8g/m以上、より好ましくは10g/m以上であり、また好ましくは28g/m以下、より好ましくは26g/m以下である。
本実施形態の不織布は、両面が平坦である。換言すれば、本実施形態の不織布は、両面に凹凸形状を有していない。前記「凹凸形状」は、例えば平面方向に複数の凸部又は凹部が形成されたものや、一方向に延びる凸条部と溝部とが交互に形成されたものが含まれる。即ち、本実施形態の不織布は、両面にこれら凸部、凹部、凸条部、及び溝部を有しない。
本実施形態の不織布は、30cN/cmの荷重を24時間印加後の厚みが1.6mm以上である。斯かる厚みを、以下「回復厚み」ともいう。後述する厚みの回復性をより確実に奏させる観点から、回復厚みは、好ましくは1.7mm以上、より好ましくは1.8mm以上であり、また好ましくは8mm以下、より好ましくは5mm以下である。回復厚みに関し、「30cN/cmの荷重」は、包装体内に圧縮された状態で封入された吸収性物品に印加される荷重の1.1倍の荷重として設定されたものである。回復厚みは、以下の測定方法により測定される。
〔回復厚みの測定方法〕
測定対象の不織布について、鋭利なかみそりを用いて、100mm×140mmの領域を厚み方向の全体に亘って切り出し、これを測定サンプルとする。次いで、測定サンプルを、サンプル以上の面積を有する2枚の加圧板であって、アクリル板若しくはPET板(厚みは3mm以内)からなるものに挟み、これの上に10kgの錘を載せて、30cN/cmの荷重を測定サンプルに対し印加する。このように、測定サンプルを24時間圧縮状態にした後、加圧板と錘とを外してから30秒以内に、0.5g荷重下における該測定サンプルの厚みを、オムロン株式会社製レーザー厚み計ZSLD-80を用いて測定する。以上の測定を各測定サンプルについて行い、これらの平均を回復厚みとする。
吸収性物品は、一般的に包装体内に圧縮された状態で流通される。本実施形態の不織布を吸収性物品の構成部材に用いた場合、包装体が開封されて圧縮状態が解除されると、当該不織布は、回復厚みが1.6mm以上であるので、厚みが良好に回復する。斯かる厚みの回復性は以下の理由によるものと考えられる。本実施形態の不織布の両面が平坦であり、全ての構成繊維に対する細繊維の割合、及び該不織布の坪量が前述した範囲であるので、不織布全体の柔軟性が高く、包装形態において構成繊維が高密度化し易い。また当該不織布を形成する非伸縮性繊維は、非弾性であることから、圧縮に対する変形が生じ難いので、圧縮に対する反発力が作用し易い。斯かる不織布を、圧縮状態から圧縮が解除された開放状態にすると、非伸縮性繊維の反発力により構成繊維間の隙間が元に近い状態に戻る。即ち構成繊維の密度が包装前の密度に戻り易くなるので、該不織布の厚みが良好に回復するとともに、これに起因して良好なクッション性が得られる。
厚みの回復性をより向上させる観点から、本実施形態の不織布における構成繊維の平均繊維径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また好ましくは18μm以下、より好ましくは15μm以下である。
不織布は、繊維径が互いに異なる複数種類の繊維から構成されてもよいが、上記と同様の観点から、繊維径が20μm以下の構成繊維からなることが好ましく、繊維径が15μm以下の構成繊維からなることがより好ましい。不織布が、繊維径が互いに異なる複数種類の繊維を含んでいる場合、前記「平均繊維径」は、不織布全体における構成繊維の繊維径の平均である。
不織布の構成繊維の繊維径は、以下の方法により求められる。前述した〔細繊維率の測定方法〕と同様の方法によって不織布をSEM観察する。この不織布のSEM画像における前述した「焦点の合った繊維」を任意に10本選択する。次いで、これら10本の繊維それぞれについて、前述した繊維径を測定する。次いで、測定サンプルから取得した計5枚のSEM画像ごとに、前記10本の繊維について、繊維径の算術平均値を求める。斯かる算術平均値を、不織布の両面それぞれについて求め、これらの平均を平均繊維径とする。
本実施形態の不織布は吸収性物品用であり、吸収性物品の構成部材として使用される。ここでいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。
吸収性物品は、典型的には、着用者の肌から相対的に近い位置に配された液透過性の表面シートと、着用者の肌から相対的に遠い位置に配された液透過性又は液難透過性若しくは撥水性の裏面シートと、両シート間に介在配置された液保持性の吸収体とを具備する。吸収性物品は、その外面を形成する外装体を具備するものであってもよい。
本実施形態の不織布を吸収性物品に用いる場合、該吸収性物品は、該不織布を構成部材として備える。
本実施形態の不織布は、基本的には、エアスルー法で得られた不織布単層からなるものであるが、吸収性物品の構成部材として用いられる場合、他の不織布やフィルム等をはじめとする他のシート材料と積層された状態になっていてもよい。
良好なクッション性により、吸収性物品の肌触りや装着感をより向上させる観点から、本実施形態の不織布が用いられた吸収性物品は、該不織布を、該吸収性物品の最外面を形成するシートに用いることが好ましい。具体的には、本実施形態の不織布を表面シート及び前記裏面シートの何れか一方又は双方として備えることが好ましく、該不織布を裏面シートとして備えることがより好ましい。防漏性をより確実に確保する観点から、斯かる裏面シートは、液難透過性シートと前記不織布との積層シートからなることが好ましい。
上記と同様の観点から、前記吸収性物品は、本実施形態の不織布を、該吸収性物品の外面を形成する外装体として備えることが好ましい。特に、本実施形態の不織布は、両面が平坦であるので、外装体に用いることにより滑らかな手触りが得られる。
本実施形態の不織布が市販の吸収性物品等の製品に組み込まれている場合、該吸収性物品に対して、コールドスプレーを噴霧して、吸収性物品の構成部材を接着している接着剤を固化させ、表面シート、吸収性シート、裏面シートなどの各部材ごとに分解することで、不織布を取り出す。この取り出し方法は、特に断らない限り、本明細書における他の測定方法にも共通して適用可能である。
次に、上述した実施形態の不織布の製造方法について説明する。本製造方法は、熱可塑性繊維を含む繊維ウエブにエアスルー方式で熱風を吹き付ける熱処理工程を有する。前記熱処理工程は、繊維ウエブの構成繊維どうしの交点を融着させて熱融着部を形成することで不織布化する工程である。
繊維ウエブは、典型的には、熱可塑性繊維等の原料繊維を開繊機で開繊し、開繊された原料繊維をカード機でウエブ化することで製造される。繊維ウエブは不織布に形成される前の段階のシート状物であり、繊維ウエブ中では繊維同士は熱融着していない。原料繊維すなわち繊維ウエブの構成繊維としては、前述した不織布の構成繊維と同じものを用いることが好ましい。また、繊維ウエブの坪量は、上述した不織布の坪量の範囲に合わせることが好ましい。
繊維ウエブは、繊維径が互いに異なった複数種類の繊維を積層してなる積層ウエブ又は混合してなる混合ウエブであってもよい。
三層以上の積層ウエブを用いる場合、該積層ウエブの表面を形成する層は熱可塑性の繊維を含んで構成され、且つ該表面を形成する層間に介在する中間層はコットン等の非熱可塑性の繊維を含んで構成されてもよい。
得られた繊維ウエブに対して熱処理工程を行う。より具体的には、例えば樹脂製のメッシュベルトや、ワイヤーメッシュからなる金属製の無端縁ネット、通気孔が開いた金属製プレート、又は通気孔が開いていない金属製プレート等の上に載置して、該繊維ウエブ側から熱風又は水蒸気を吹き付けることで、繊維どうしの交点を熱融着させる。これにより、得られる不織布には、プレート又はネットと対向する面(以下、非吹き付け面ともいう)と、熱風の吹き付け面(以下、吹き付け面ともいう)との2つの面が形成される。
通常のエアスルー処理における熱風の温度は、繊維ウエブの構成繊維の融点のうち最も低い最低融点(例えば芯鞘型複合繊維の鞘部における融点)よりも10℃程度高い範囲に設定されるが、不織布化をより容易にする観点から、熱風の温度と構成繊維の融点との温度差は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、また好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下である。
なお、構成繊維の最低融点とは、芯鞘型複合繊維のように複数種類の樹脂を繊維が有する場合、それらの樹脂の中で最も融点が低いものの融点を指す。明確な融点が存在しない樹脂の場合は軟化点を指す。
不織布の厚みを大きくして、クッション性をより確実に奏させる観点から、熱処理工程において繊維ウエブに吹き付けられる熱風の風速は、0.3m/秒以上、好ましくは0.5m/秒以上、より好ましくは0.8m/秒以上、そして、10m/秒以下、好ましくは5m/秒以下、より好ましくは3m/秒以下である。
熱処理工程において、繊維ウエブに熱風を吹き付ける時間(熱処理時間)は、従来のエアスルー不織布の製造方法と同程度であってもよいが、上記と同様の観点から、熱処理時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは3秒以上であり、また製造スピードをできるだけ早くし製造コストを下げる観点から好ましくは60秒以下、より好ましくは30秒以下である。
不織布の厚みをより大きくする観点から、本製造方法は、繊維ウエブ内部に別体のシートを介在させた状態で熱処理工程を行うことが好ましい。斯かる構成により、熱風を吹き付けて不織布化しても、嵩高な状態を容易に維持することができる。前記別体のシートは、繊維材料を含む各種のシートを用いることができる。例えば湿式抄造紙や乾式抄造紙などの紙、織布、不織布若しくは編み物地又はそれらの複合シートなどが挙げられる。コストを下げる観点から、紙や不織布を用いることが好ましい。
以下、繊維ウエブ内部に介在される別体のシートであって、該繊維ウエブを不織布化した後、その不織布から取り除かれるシートを「介在シート」という。なお、三層以上の積層ウエブにおいて、該積層ウエブの表面を形成する層間に介在する中間層を形成し、且つ不織布化した後に、その不織布から取り除かれないシートは、介在シートではない。
繊維ウエブ内部に介在シートを配置する方法としては、間に介在シートを挟んで積層した積層ウエブを形成する方法、具体的には、間にPET等のPEの溶融温度よりもはるかに高い高溶融温度を有する繊維シートを挟む方法や、該高溶融温度を有する繊維を混綿させる方法等が挙げられる。
繊維ウエブ内部に介在シートを配置した状態で熱処理工程を行った後、該介在シートは得られた不織布から除かれる。例えば、間に介在シートを挟んで積層した積層ウエブに熱処理(エアスルー処理)を施した後、得られた不織布から介在シートを引き抜いて取り除く。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず適宜変更可能である。また上述した各構成を適宜組み合わせてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
原料繊維として、芯成分がPET、鞘成分がPEからなる同心の芯鞘型複合繊維(芯鞘比50質量%:50質量%)からなる1.2dtexの熱可塑性繊維を用いた。斯かる原料繊維は、最低融点が120℃であった。公知のカード機を用い常法に従って、坪量が10g/mとなるように繊維ウエブを2枚製造した。次いで、介在シートとして1枚のキムワイプ(登録商標)(日本製紙クレシア株式会社製、S-200)を2枚の繊維ウエブの間に挟んで、積層ウエブを作製した。この積層ウエブを樹脂製のメッシュベルトに載置した状態で、エアスルー方式により熱風を吹き付ける熱処理工程を行い不織布化した後、キムワイプを引き抜いて不織布を製造した。熱処理工程(エアスルー処理)における熱処理条件は表1に示すとおりであった。
〔実施例2〕
2枚の繊維ウエブの間に中間層を挟んで作製した積層ウエブを用いた点以外は、実施例1と同様の方法により、不織布を製造した。中間層は、PET繊維(帝人フロンティア株式会社製、商品名「テイジンテトロン 3.3dtex」)を用いて、坪量が2g/mとなるように作製した繊維ウエブであった。実施例2では、中間層は引き抜かずに不織布を製造した。
〔実施例3〕
実施例1の原料繊維を用いて、坪量が12g/mとなるように繊維ウエブを2枚製造した。同様の方法で丸三産業製コットンを原料繊維として坪量が4g/mとなるように繊維ウエブを1枚製造し、これを真ん中の層(中間層)にした積層ウエブを製造した。この積層ウエブを用いた点、及び実施例1と熱処理工程(エアスルー処理)における熱処理条件を異ならせた点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。実施例3では、中間層は引き抜かずに不織布を製造した。
〔比較例1〕
2枚の繊維ウエブの間に介在シートを挟まないで、積層ウエブを作製した点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
〔比較例2〕
坪量及び熱処理工程(エアスルー処理)における熱処理条件を異ならせた点以外は、比較例1と同様の方法により不織布を製造した。
〔比較例3〕
坪量を異ならせた点以外は、比較例2と同様の方法により不織布を製造した。熱処理工程(エアスルー処理)における熱処理条件は表1に示すとおりであった。
〔比較例4〕
坪量を異ならせた点以外は、比較例2と同様の方法により不織布を製造した。熱処理工程(エアスルー処理)における熱処理条件は表1に示すとおりであった。
〔厚みの測定〕
実施例及び比較例において得られた製造直後の不織布について、前述した方法により厚みを測定した。測定結果を表1に示す。
〔回復厚みの測定〕
実施例及び比較例において得られた不織布について、前述した方法により回復厚みを測定した。測定結果を表1に示す。
〔クッション性の評価〕
実施例及び比較例の不織布について、クッション性を評価した。評価方法は以下のとおりである。不織布から、10cm×10cmの大きさで切り出したものを試験片として用い、パネラーとして3名のクッション性の評価に関して熟練した成人男性が、該試験片を触ることで、そのクッション性(ふっくらさ)を評価した。試験片の触り方は規定しておらず、パネラー各々が自由に試験片を触って評価した。斯かる評価は、市販のおむつから取り出した外層シートを触ったときのクッション性を評価基準とした。具体的には、市販のおむつ「メリーズ寵愛の抱擁」(花王株式会社、2019年製、中国販売品)の外層シートを3点とし、別の市販のおむつ「メリーズさらさらエアスルーMサイズ」(花王株式会社、2019年製、日本販売品)の外層シートを1点とした。外層シートは、おむつの外面を形成するシートである。前記評価基準において、評価点が高いほど試験片がふっくらしており、クッション性が高いと評価した。また、評価基準が3点のおむつよりもクッション性が高いと評価した場合、評価点を3点より高い点数とし、最高評価を5点とした。評価点は、パネラー3人の平均値を整数桁に四捨五入して算出した。評価結果を表1に示す。
Figure 0007548703000001
表1に示すとおり、実施例1~3の不織布は、回復厚みが1.6mm以上であった。斯かる不織布は、比較例1~4よりも、回復厚みが大きく、クッション性が高い評価となった。表1の結果より、各実施例における不織布は、比較例における不織布に比して、圧縮に対する嵩の回復性に優れ、クッション性が良好であることが判る。

Claims (6)

  1. エアスルー不織布からなる吸収性物品用不織布であって、
    非伸縮性繊維(ただし、コア偏心複合フィラメント又はサイドバイサイド複合フィラメントから作製される捲縮性繊維を除く)からなり、該非伸縮性繊維が、繊維径が15μm以下である細繊維を含んでおり、
    全ての構成繊維に対する、前記細繊維の割合が30%以上であり、
    坪量が30g/m以下であり、両面が平坦であり、30cN/cmの荷重を24時間印加後の厚みが1.6mm以上である、吸収性物品用不織布。
  2. 前記非伸縮性繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂成分を含む、請求項1に記載の吸収性物品用不織布。
  3. 繊維径が20μm以下の繊維からなる、請求項1又は2に記載の吸収性物品用不織布。
  4. 坪量が28g/m以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品用不織布を構成部材として備える、吸収性物品。
  6. 前記構成部材が、吸収性物品の外面を形成する外装体である、請求項5に記載の吸収性物品。
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