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JP7540168B2 - 強酸性陽イオン交換体及びその製造方法 - Google Patents

強酸性陽イオン交換体及びその製造方法 Download PDF

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JP7540168B2 JP2020041646A JP2020041646A JP7540168B2 JP 7540168 B2 JP7540168 B2 JP 7540168B2 JP 2020041646 A JP2020041646 A JP 2020041646A JP 2020041646 A JP2020041646 A JP 2020041646A JP 7540168 B2 JP7540168 B2 JP 7540168B2
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Description

本発明は、強酸性陽イオン交換体及びその製造方法に関するものである。
強酸性陽イオン交換体は強酸性陽イオン交換基を有しているため、カルボキシル基等の弱酸性陽イオン交換基を有する陽イオン交換体とは異なり、pHが中性域であっても陽イオンの捕捉が可能であり、イオン交換体として優れた特性を有している。この優れたイオン交換特性を利用して、強酸性陽イオン交換体はイオン交換樹脂やイオン交換膜として純水・超純水製造装置や電気透析装置、糖類の精製や異性化、クロマト充填剤、触媒、燃料電池等幅広い分野で用いられている。しかし、従来の強酸性陽イオン交換体は、ポリスチレンやスチレン-ジビニルベンゼン共重合体、フッ素系ポリマー等の母体ポリマーにスルホン酸基などの強酸性陽イオン交換基を導入したものであるため母体ポリマーの疎水性が強く、疎水吸着により油等の疎水性物質や疎水部を有するタンパク質等がイオン交換体に吸着し、イオン交換体を汚染、イオン交換特性が低下するといった問題点があった。
一方、親水性の高い多糖類を母体ポリマーに選定し、硫酸基等の強酸性陽イオン交換基を導入して強酸性陽イオン交換体を製造することが提案されている(特許文献1~3参照)。母体ポリマーに多糖類を用いることで疎水吸着の抑制は可能になったが、これらの方法では、硫酸基導入反応時母体ポリマーの分子鎖切断反応も併発するため強酸性陽イオン交換体の分子量が低下し、機械的特性が著しく低下してしまうといった問題点を有していた。
特開昭59-133201号公報 特開2005-344073号公報 特開2008-27767号公報
本発明の目的は、従来技術では困難であった強酸性陽イオン交換容量が大きく、かつ、高分子量の強酸性陽イオン交換体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、特定の条件下で多糖類と硫酸化試薬を反応させることで、硫酸基導入率が高い、即ち強酸性陽イオン交換容量が大きく、かつ、硫酸化反応時の多糖類の分解が抑制された高分子量の強酸性陽イオン交換体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の各態様は、以下に示す[1]~[5]に係るものである。
[1]硫酸基及び/又は硫酸アルカリ金属塩基を有する多糖類であり、重量平均分子量が30,000~500,000であり、硫酸基に由来する強酸性陽イオン交換容量が2.5~4.9meq/gである強酸性陽イオン交換体。
[2]硫酸基を有する多糖類である請求項1に記載の強酸性陽イオン交換体。
[3]下記一般式(1)で示される構造である請求項1に記載の強酸性陽イオン交換体。
(式中、m及びnは互いに独立して1以上の整数を表し、Rは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属または-R-O-Rで示される基を表し、Rは炭素数2~6の炭化水素基、Rは水素またはSOM(Mは水素またはアルカリ金属)を表し、Rの少なくとも1つはSOMである。)
[4]非プロトン極性溶媒中、多糖類と硫酸化試薬を反応させる強酸性陽イオン交換体の製造方法であって、多糖類の構成単位である単糖に対し硫酸化試薬を1~5倍モル用い、均一系で反応させることを特徴とする、硫酸基を有する強酸性陽イオン交換体の製造方法。
[5]硫酸基を有する強酸性陽イオン交換体をアルカリ金属イオンを含む溶液と接触させ、アルカリ金属塩型にイオン交換することを特徴とする、硫酸アルカリ金属塩基を有する強酸性陽イオン交換体の製造方法。
以下、詳細に説明する。
本発明の一態様である強酸性陽イオン交換体は、硫酸基及び/又は硫酸アルカリ金属塩基を有する多糖類である。
多糖類とは、単糖がグリコシド結合により多数連結した構造を有するものを指し、本発明の強酸性陽イオン交換体は、多糖類構造中に含まれる水酸基の水素がSOM(Mは水素またはアルカリ金属)に置換されたものである。
多糖類の例としては、アミロース、アミロペクチン、デキストリン、グリコーゲン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アセチルセルロース、ペクチン、プルラン、カードラン、キチン、キトサン、アガロース、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キシログルカン、グルコマンナン等が挙げられる。本発明においては、中性多糖類や酸性多糖類が好ましく用いられる。具体例としては、アミロース、アミロペクチン、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、アガロース、カラギーナン、コンドロイチン硫酸が挙げられる。好ましくは、下記一般式(2)で示されるアルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステルが好適に用いられる。
(式中、m及びnは互いに独立して1以上の整数を表し、Rは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属または-R-OHで示される基を表し、Rは炭素数2~6の炭化水素基を表す。)
の炭素数2~6の炭化水素基としては、エチレン基、エチリデン基、ビニレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルエチリデン基、プロペニレン基、テトラメチレン基、メチルトリメチレン基、ジメチルエチレン基、1-エチルエチリデン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、メチルテトラメチレン基、ジメチルトリメチレン基、メチルエチルエチレン基、ヘキサメチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘキシリデン基が挙げられ、-R-OHで示される基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシシクロヘキシル基等が挙げられ。
アルギン酸とは、式(2)中のRが水素の場合であり、アルギン酸塩とは式(2)中のRがアルカリ金属やアルカリ土類金属の場合であり、アルキン酸エステルとは式(2)中のRが-R-OH(Rは炭素数2~6の炭化水素基)で示される基の場合をし、アルギン酸とエポキシ化合物を反応させることにより製造できる。
アルギン酸の構成成分であるマンヌロン酸とグルロン酸の比率は任意であり、柔軟なゲルを生成するマンヌロン酸比率の高いアルギン酸、剛直なゲルが得られるグルロン酸比率の高いアルギン酸、いずれも用いることができる。
上記多糖類に導入される硫酸基は、塩基性塩のみならずNaClやCaCl等の中性塩もイオン交換可能なイオン交換基である。硫酸基の導入位置は、多糖類構造中に含まれる水酸基の部位であり、水酸基の水素がSOHに置換されて導入される。硫酸基は再生型(-SOH)である場合と、硫酸基がアルカリ金属塩にイオン交換された硫酸アルカリ金属塩基(-SOM’、M‘はアルカリ金属を表す)の両方が含まれる。
硫酸基の多糖類への導入量である強酸性陽イオン交換容量(中性塩分解容量)は、2.5~4.9meq/gであり、好ましくは2.7~4.9meq/gである。イオン交換容量が2.5meq/g未満であるとイオン交換特性が十分でないため好ましくなく、一方、イオン交換容量を4.9meq/gを超えて導入しようとすると多糖類の分解反応が顕著に進行し、分子量が低下してしまうため好ましくない。
強酸性陽イオン交換体の分子量は、重量平均分子量で30,000~500,000である。重量平均分子量が30,000未満であるとイオン交換体が脆くなり、機械的特性に劣るため好ましくなく、一方、重量平均分子量が500,000を超えると、陽イオン交換基導入反応の際に系の粘性が大きくなりすぎて反応が困難になるため好ましくない。
また、下記一般式(1)の構造で示されるものが好ましい。
(式中、m及びnは互いに独立して1以上の整数を表し、Rは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属または-R-O-Rで示される基を表し、Rは炭素数2~6の炭化水素基、Rは水素またはSOM(Mは水素またはアルカリ金属)を表し、Rの少なくとも1つはSOMである。)
本発明の一態様である硫酸基を有する強酸性陽イオン交換体の製造方法は、非プロトン極性溶媒中、多糖類と硫酸化試薬を反応させる際に、多糖類の構成単位である単糖に対し硫酸化試薬を1~5倍モル用い、均一系で反応させることを特徴とするものである。
溶媒としては非プロトン極性溶媒が好ましく、具体的にはジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラメチル尿素、N,N’-ジメチルプロピレン尿素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジン、ビピリジン、フェナントロリン等が挙げられる。
多糖類としては、非プロトン極性溶媒に対する溶解性に優れた多糖類が好ましく、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、アガロース、カラギーナン、コンドロイチン硫酸等が挙げられ、更に好ましくはアルギン酸、アルギン酸エステルが用いられる。
硫酸化試薬とは、水酸基と反応して硫酸基を導入できる試薬であり、具体例としては、濃硫酸、クロロスルホン酸、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド錯体、三酸化硫黄ジメチルスルホキシド錯体、三酸化硫黄ジオキサン錯体等が挙げられる。これら硫酸化試薬のうち、多糖類の分子量低下が少ない試薬が本発明では好ましく用いられる。好ましい硫酸化試薬としては、三酸化硫黄錯体が挙げられ、特に好ましい硫酸化試薬としては、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド錯体が挙げられる。
これら硫酸化試薬の使用量は、多糖類の構成単位である単糖に対し1~5倍モル、好ましくは2~4倍モルである。硫酸化試薬をこの範囲で用いると、硫酸基導入量が大きく、高分子量の強酸性陽イオン交換体が得られるため好ましい。硫酸化試薬使用量が多糖類の構成単位である単糖に対し1倍モル未満であると、硫酸基導入量が少なくなるため好ましくない。一方、硫酸化試薬使用量が多糖類の構成単位である単糖に対し5モルを超えると、多糖類の分解反応が顕著となり、低分子量化が進行するため好ましくない。
硫酸化反応は、均一系で行うことがポイントであり、反応初期もしくは反応の進行とともに多糖類が溶媒に溶解した状態で硫酸化反応を実施する。均一系で反応を行うことで、硫酸基導入量が大きくかつ高分子量の強酸性陽イオン交換体が得られる。
その他の反応条件は任意に設定可能であり、反応温度は0℃~100℃、反応時間は30分~12時間、反応中の多糖類の濃度は0.1~20%の範囲から選択できる。
反応終了後の反応液から強酸性陽イオン交換体を単離する方法についても特に制限はなく、溶媒を加熱除去し強酸性陽イオン交換体を単離する方法や、貧溶媒中に反応溶液を滴下して強酸性陽イオン交換体を沈殿させ、ろ過回収する方法等が採用可能である。
上記の製造方法で得られる強酸性陽イオン交換体は、導入された硫酸基が再生型(-SOH)のものが得られるが、用途に応じてアルカリ金属塩型(-SOM‘、M’はアルカリ金属を表す)にイオン交換することも本発明の範囲内である。上記再生型からアルカリ金属塩型へのイオン交換は、通常の強酸性イオン交換体と同様に、再生型の強酸性陽イオン交換体をアルカリ金属イオンを含む溶液と接触させることで塩型にイオン交換できる。具体的には、再生型強酸性陽イオン交換体を、中性もしくは塩基性のアルカリ金属塩水溶液に溶解させ、一定時間混合した後、透析により過剰の塩を除去する。イオン交換を行う際の再生型強酸性陽イオン交換体の濃度には特に限定はないが、濃度が高すぎると撹拌が困難になるため好ましくなく、0.1~5重量%の範囲が好ましい。アルカリ金属塩水溶液の濃度も特に限定はないが、濃度が希薄すぎると処理液量が増加し、後工程への負荷が過大となるため、0.05~5mol/Lの範囲が好ましい。なお、用いる塩基性アルカリ金属塩の量がイオン交換体の総交換容量(カルボキシル基と硫酸基の両方に由来する交換容量)と同等もしくは少ない場合は、透析は不要である。イオン交換反応時間にも特に制約はなく、10分~5時間の範囲内で適宜選択可能である。また、イオン交換反応に用いられるアルカリ金属塩としては、水溶性であることが必要である。アルカリ金属塩の若干の例としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。
また、本発明の強酸性陽イオン交換体は水に可溶な場合が多いが、用途によっては水中で形状を保持することが要求される。そのような場合には、適宜、母体ポリマーである多糖類を架橋させればよい。例えば、母体ポリマーがアルギン酸ナトリウムの場合、ナトリウムをカルシウムやマグネシウム、亜鉛といった二価カチオンにイオン交換することで母体ポリマーをイオン架橋し、水中でも形状保持が可能なハイドロゲルを調製することができる。
本発明によれば、親水性に優れた多糖類を母体ポリマーとし、強酸性陽イオン交換容量が大きく、かつ、高分子量の強酸性陽イオン交換体を提供することができる。
本発明の一態様である強酸性陽イオン交換体は、イオン交換容量が大きく機械的特性にも優れるため、イオン交換樹脂やイオン交換膜として純水・超純水製造装置や電気透析装置、糖類の精製や異性化、クロマト充填剤、触媒、燃料電池等幅広い分野に応用でき、実用性に優れたものである。
以下に、本発明を更に詳細に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
ジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)150mlにアルギン酸エステル(株式会社キミカ製、キミロイドHV)3.0g(単糖ユニットとして13.2mmol)を撹拌下少量ずつ添加し、均一溶解させた。次いで、三酸化硫黄ピリジン錯体5.25g(33.0mmol)を撹拌下添加し、均一に溶解させた後昇温し、40℃で5時間反応させた。反応は、最後まで均一系で進行した。反応終了後、反応液をエタノールに滴下し、析出した生成物をガラスフィルターで捕集し、更にエタノールで洗浄した後、室温で減圧乾燥し生成物を単離した。単離収量は4.3g、元素分析で求めた硫黄含有量は9.2重量%、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量は310,000であった。下記に示す方法で測定した強酸性陽イオン交換容量(中性塩分解容量)は2.9meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
(強酸性陽イオン交換容量測定方法)
反応生成物を所定量採取し水に溶解させた後、この水溶液を1N塩酸水溶液に滴下して硫酸化アルギン酸エステルをH型として沈殿させ、沈殿をろ過回収後エタノールで洗浄し乾燥・単離した。得られたH型硫酸化アルギン酸エステルを所定量採取し、飽和塩化ナトリウム水溶液に2時間浸漬した後、水溶液を分取してフェノールフタレインを指示薬として水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定により生成した塩酸量を定量し、強酸性陽イオン交換容量を求めた。
実施例2
三酸化硫黄ピリジン錯体添加量を6.20g(39.0mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で硫酸化アルギン酸エステルを製造した。単離収量は5.2g、元素分析で求めた硫黄含有量は11.9重量%、GPCで測定した重量平均分子量は150,000、強酸性陽イオン交換容量は3.8meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例3
多糖類としてH型アルギン酸(株式会社キミカ製、キミカアシッドSA)を用いたことと三酸化硫黄ピリジン錯体添加量を6.75g(42.5mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で硫酸化アルギン酸を製造した。H型アルギン酸は、反応初期はDMSOに懸濁・分散していたが反応の進行に伴って溶解し、反応終了時には均一溶液となった。単離収量は5.0g、元素分析で求めた硫黄含有量は10.1重量%、GPCで測定した重量平均分子量は48,000、強酸性陽イオン交換容量は3.2meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例4
実施例3で得られた硫酸化アルギン酸を1.0g分取し、1mol/Lの塩化リチウム水溶液50mlに溶解させ3時間撹拌することで、硫酸基中の水素イオンをリチウムイオンに交換した。この水溶液を透析チューブに入れ、3日間透析した後凍結乾燥してLi形硫酸化アルギン酸を得た。元素分析で求めた硫黄含有量は9.9重量%、リチウム含有量は2.1%であり、硫酸基がLi形になっていることを確認した。また、GPCで測定した重量平均分子量は48,000、強酸性陽イオン交換容量は3.1meq/gであった。
実施例5
1mol/Lの塩化リチウム水溶液に代えて1mol/Lの水酸化リチウム水溶液を用いたことを除いて、実施例4と同様の操作を行い、Li形硫酸化アルギン酸を得た。元素分析で求めた硫黄含有量は9.8重量%、リチウム含有量は3.2重量%であり、硫酸基とカルボキシル基がLi形になっていることを確認した。また、GPCで測定した重量平均分子量は50,000、強酸性陽イオン交換容量は3.1meq/gであった。
実施例6
1mol/Lの塩化リチウム水溶液に代えて1mol/Lの塩化ナトリウム水溶液を用いたことを除いて、実施例4と同様の操作を行い、Na形硫酸化アルギン酸を得た。元素分析で求めた硫黄含有量は9.4重量%、ナトリウム含有量は6.8重量%であり、硫酸基がNa形になっていることを確認した。また、GPCで測定した重量平均分子量は50,000、強酸性陽イオン交換容量は2.9meq/gであった。
実施例7
反応時間を10時間としたこと以外は実施例3と同様の方法で硫酸化アルギン酸を製造した。H型アルギン酸は、反応初期はDMSOに懸濁・分散していたが反応の進行に伴って溶解し、反応終了時には均一溶液となった。単離収量は5.8g、元素分析で求めた硫黄含有量は15.5重量%、GPCで測定した重量平均分子量は96,000、強酸性陽イオン交換容量は4.8meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例8
多糖類としてH型アルギン酸(株式会社キミカ製、キミカアシッドSA)を6.0g(34.1mmol)用いたことと三酸化硫黄ピリジン錯体添加量を13.5g(85.0mmol)としたこと以外は実施例3と同様の方法で硫酸化アルギン酸を製造した。H型アルギン酸は、反応初期はDMSOに懸濁・分散していたが反応の進行に伴って溶解し、反応終了時には均一溶液となった。単離収量は12.7g、元素分析で求めた硫黄含有量は15.8重量%、GPCで測定した重量平均分子量は77,000、強酸性陽イオン交換容量は4.9meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例9
多糖類としてカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製、#1220、エーテル化度0.9)を3.0g(12.4mmol)用いたことと三酸化硫黄ピリジン錯体添加量を6.0g(37.8mmol)としたこと以外は実施例3と同様の方法で硫酸化カルボキシメチルセルロースを製造した。カルボキシメチルセルロースは、反応初期からDMSOに溶解し、反応終了時まで均一溶液であった。単離収量は5.4g、元素分析で求めた硫黄含有量は14.0重量%、GPCで測定した重量平均分子量は72,000、強酸性陽イオン交換容量は4.4meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例10
多糖類としてグアーガム(オルガノフードテック株式会社製、MI-804)を3.0g(18.6mmol)用いたこと以外は実施例9と同様の方法で硫酸化グアーガムを製造した。グアーガムは、反応初期はDMSOに懸濁・分散していたが反応の進行に伴って溶解し、反応終了時には均一溶液となった。単離収量は4.1g、元素分析で求めた硫黄含有量は8.6重量%、GPCで測定した重量平均分子量は475,000、強酸性陽イオン交換容量は2.7meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例11
多糖類としてキサンタンガム(オルガノフードテック株式会社製、オルノーX-2)を3.0g(15.3mmol)用いたこと以外は実施例9と同様の方法で硫酸化キサンタンガムを製造した。キサンタンガムは、反応初期からDMSOに溶解し、反応終了時まで均一溶液であった。単離収量は4.1g、元素分析で求めた硫黄含有量は9.8重量%、GPCで測定した重量平均分子量は301,000、強酸性陽イオン交換容量は3.1meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例12
多糖類としてカッパカラギーナン(オルガノフードテック株式会社製、オルピンO-WG)を3.0g(15.5mmol)用いたこと以外は実施例9と同様の方法で硫酸化カッパカラギーナンを製造した。カッパカラギーナンは、反応初期からDMSOに溶解し、反応終了時まで均一溶液であった。単離収量は4.1g、元素分析で求めた硫黄含有量は14.0重量%、GPCで測定した重量平均分子量は76,000、強酸性陽イオン交換容量は4.4meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例13
多糖類としてイオタカラギーナン(オルガノフードテック株式会社製、オルピンJ)を3.0g(12.9mmol)用いたこと以外は実施例9と同様の方法で硫酸化イオタカラギーナンを製造した。イオタカラギーナンは、反応初期からDMSOに溶解し、反応終了時まで均一溶液であった。単離収量は4.4g、元素分析で求めた硫黄含有量は14.1重量%、GPCで測定した重量平均分子量は96,000、強酸性陽イオン交換容量は4.4meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
実施例14
多糖類としてカードラン(オルガノフードテック株式会社製、カードランNS)を3.0g(18.5mmol)用いたこと以外は実施例9と同様の方法で硫酸化カードランを製造した。カードランは、反応初期はDMSOに懸濁・分散していたが反応の進行に伴って溶解し、反応終了時には均一溶液となった。単離収量は5.8g、元素分析で求めた硫黄含有量は11.8重量%、GPCで測定した重量平均分子量は267,000、強酸性陽イオン交換容量は3.7meq/gであった。結果を表1にまとめて示す。
比較例1
多糖類としてアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ製、キミカアルギンI-3G)を用いたことと三酸化硫黄ピリジン錯体添加量を6.00g(37.8mmol)とした以外は実施例1と同様の方法で硫酸化アルギン酸ナトリウムを製造した。アルギン酸ナトリウムは、反応終期でもDMSOに懸濁・分散しており、溶解しなかった。得られた硫酸化アルギン酸ナトリウムの単離収量は3.6gであった。反応後GPCで測定した重量平均分子量は310,000と高分子量で分子鎖切断は抑制されていたものの、元素分析で求めた硫黄含有量は6.9重量%と低く、強酸性陽イオン交換容量も2.2meq/gと小さかった。結果を表1にまとめて示す。
比較例2
三酸化硫黄ピリジン錯体添加量を18.0g(113.4mmol)、反応温度を60℃とした以外は比較例1と同様の方法で硫酸化アルギン酸ナトリウムを製造した。アルギン酸ナトリウムは、反応終期でもDMSOに懸濁・分散しており、溶解しなかった。得られた硫酸化アルギン酸ナトリウムの単離収量は4.8gであった。元素分析で求めた硫黄含有量は15.1重量%と高く、強酸性陽イオン交換容量も4.7meq/gと大きな値を示したが、反応後GPCで測定した重量平均分子量は23,000と低く、分子鎖切断による低分子量化が進行していた。結果を表1にまとめて示す。
比較例3
カッパカラギーナンは元々硫酸基を含有しているため、硫酸化反応前のカッパカラギーナン(オルガノフードテック株式会社製、オルピンO-WG)について、硫黄含有量、強酸性陽イオン交換容量、重量平均分子量を測定した。結果を表1にまとめて示す。硫酸化反応前のカッパカラギーナンの硫黄含有量は6.1重量%、強酸性陽イオン交換容量は1.9meq/gであり、実施例に比べて低い値であった。また、重量平均分子量は1,045,000と非常に大きく、濃厚溶液では撹拌が困難であった。
比較例4
イオタカラギーナンも元々硫酸基を含有しているため、硫酸化反応前のイオタカラギーナン(オルガノフードテック株式会社製、オルピンJ)について、硫黄含有量、強酸性陽イオン交換容量、重量平均分子量を測定した。結果を表1にまとめて示す。硫酸化反応前のイオタカラギーナンの硫黄含有量は6.7重量%、強酸性陽イオン交換容量は2.1meq/gであり、実施例に比べて低い値であった。また、重量平均分子量は844,000と大きく、濃厚溶液では撹拌が困難であった。
本発明の強酸性陽イオン交換体は、イオン交換容量が大きく機械的特性にも優れ、親水性が高く耐汚染性にも優れるため、イオン交換樹脂やイオン交換膜として純水・超純水製造装置や電気透析装置、糖類の精製や異性化、クロマト充填剤、触媒、燃料電池等幅広い分野に応用可能である。

Claims (4)

  1. 硫酸基及び/又は硫酸アルカリ金属塩基を有する多糖類であり、重量平均分子量が30,000~500,000であり、硫酸基に由来する強酸性陽イオン交換容量が2.5~4.9meq/gであり、多糖類がアルギン酸、アルギン酸塩、またはアルギン酸エステルである強酸性陽イオン交換体。
  2. アルギン酸、アルギン酸塩、またはアルギン酸エステルが硫酸基を有する請求項1に記載の強酸性陽イオン交換体。
  3. 下記一般式(1)で示される構造である請求項1に記載の強酸性陽イオン交換体。
    (式中、m及びnは互いに独立して1以上の整数を表し、Rは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはR-O-Rで示される基を表し、Rは炭素数2~6の炭化水素基、Rは水素またはSOM(Mは水素またはアルカリ金属)を表し、Rの少なくとも1つはSOMである。)
  4. 非プロトン極性溶媒中、アルギン酸、アルギン酸塩、またはアルギン酸エステルと硫酸化試薬を反応させる強酸性陽イオン交換体の製造方法であって、アルギン酸、アルギン酸塩、またはアルギン酸エステルの構成単位である単糖に対し硫酸化試薬を1~5倍モル用い、均一系で反応させることを特徴とする、硫酸基を有する強酸性陽イオン交換体の製造方法。
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