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JP7401435B2 - カルボキシエステラーゼ生体触媒 - Google Patents

カルボキシエステラーゼ生体触媒 Download PDF

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Description

本開示は、改良されたカルボキシエステラーゼ生体触媒およびその生体触媒を使用してアミドを製造する方法に関する。
発明の背景
アミド結合の形成は、有機合成で非常によく行われる反応の1つであり、アミドは、有効医薬成分、生理活性分子、合成ポリマー、ペプチドおよびタンパク質によく見られる。ノバルティスバイオメディカル研究所(Novartis Institute for BioMedical Research)による研究では、アミド結合の形成および関連のアシル化化学は最近40年にわたる医薬の合成で行われた総ての化学反応の21.3%を占めていたことが分かった(Schneider, et al., J. Med. Chem. 59, 4385-4402, 2016)。従来のアミド合成法はカルボン酸およびアミン基質を使用し、化学量論的カップリング試薬を必要とする。この反応は反応性の高い活性化された中間体を介して進むので、望まない副反応が起こって尿素などの望ましくない副生成物が形成することがある。低いアトムエコノミーと生成する相当な量の(金属を含有し、多くの場合毒性の)廃棄物によってコストのかかるアミド形成法となる。従来のアミド合成法の他の欠点として、エナンチオ選択性および化学選択性の欠如、揮発性または毒性のカップリング試薬の使用、および反応物に存在する他の官能基を保護する必要が挙げられる。
化学量論的カップリング試薬の必要をなくし、従って、アトムエコノミーを改善し、生成する廃棄物の量を減らす化学触媒アプローチが開発されている(Pattabiraman and Bode, Nature, 480, 471-479, 2011およびde Figueiredo, et al., Chemical Reviews, 12029-12122, 2016に総説)。ボロン酸触媒反応は、ボロン酸アリールによる一時的なカルボン酸の活性化が触媒的アミド形成を可能とする、化学的アミド化の最も古いアプローチである。しかしながら、これらの方法は、基質範囲が限定されていることおよび高温を必要とする場合が多いことに加え、溶媒耐性が極めて低いという問題があり、それらのより幅広い使用を限定する。さらに最近の研究は、金属により触媒されるアミド化の使用を含み、アミド化を補助することを目的としたカルボン酸の一時的な活性化のためにルイス酸として金属塩が用いられる。これまでに、これらの研究はボロン酸触媒反応と同じ欠点の多くを有し、高温、触媒添加を必要とし、溶媒範囲および基質耐性が限定される。また、アルコール、アルデヒド、ケトンまたはニトリルのそれらの相当するアミドへの酸化変換を可能とする、N-複素環式カルベン(NHC)または金属触媒のいずれかを用いる酸化還元に基づく方法も探究された。残念なことに、金属触媒もNHC触媒も高価で、それら自体、極めて有毒であり、有害な補助溶媒を必要とする場合が多く、一般に官能基耐性が低いという問題がある。
リパーゼは、エステル出発材料を直接活性化した後にアミンとカップリングすることにより、有機溶媒中でアミド結合を形成するために生体触媒として使用されてきた。有利には、これらの酵素は一般に、エナンチオ選択性が高く、熱耐性がある(総説としては、Gotor, Bioorg Med Chem, 7, 2189-2197, 1999参照)。しかしながら、現在研究されているリパーゼのほとんどは、基質特異性が狭いと思われ、さらに、望まない加水分解を防ぐために乾燥有機溶媒中で使用しなければならない。この特異性の問題は第三級アミドの合成においては特に顕著であり、わずかながらでも活性のあることが示されている酵素は極めて少ない(van Pelt, Green, Chem. 13, 1791-1798, 2011で研究されている)。
このような限定を克服するために、一般に、酵素変異体がハイスループット様式で発現および研究される指向性進化法が使用される。しかしながら、これらの酵素はシュードモナス株またはバチルス株に由来する場合が多く、大腸菌(E. coli)または枯草菌(S. cerevisiae)などの、ロバストな遺伝子操作技術が存在する実験室株で容易に発現させることはできない。さらに、乾燥溶媒およびモレキュラーシーブを必要とすることは、細胞溶解液の水分含量が高いことと何百という反応を平行して乾燥させることが技術的に難しいことの両方のために、指向性進化法を極めて難しいものにする。
図1は、野生型カルボキシエステラーゼ酵素A.アシドカルダリウス(A. acidocaldarius)エステラーゼ2(配列番号1)に関して最適化された大腸菌コドンをコードするポリヌクレオチド配列の、以下の表3に言及され、以下の配列表(配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、および125)に示される操作されたカルボキシエステラーゼをコードするポリヌクレオチド配列のそれぞれに対する配列アラインメントを示す。これらの開示されるポリヌクレオチド配列は総て、互いに95~99%同一である。 図2は、野生型カルボキシエステラーゼ酵素A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2(配列番号2)に由来するポリペプチド配列の、以下の表3に言及され、以下の配列表(配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、および126)に示される操作されたポリペプチドカルボキシエステラーゼ配列のそれぞれに対する配列アラインメントを示す。これらの開示されるポリペプチド配列は総て、互いに95~99%同一である。
従来技術の限定を鑑みて、本発明者らは、熱耐性の大きい野生型カルボキシエステラーゼ酵素A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2(配列番号2)から一連の突然変異体を開発し、このような変異酵素は、野生型酵素の785,000倍を超える、改良されたアミド化活性を有する。この劇的に変化した活性のために、これらの突然変異酵素は、実質的な水およびアルコール耐性を有し、単純なエステルおよびアミン前駆体からのアミドの大規模な直接的合成を可能とする。この直接的合成戦略は、アミド合成を1~2化学工程短縮し、有機溶媒の使用を減らし、化学量論的活性化剤の使用をなくし、総合的に当技術分野の化学水準に劇的な改善を示す。
本開示は、特に、1-イソプロピルピペラジン(「アミン基質」)の存在下での、オキサゾール-5-カルボン酸エチル(「エステル基質」)から(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノン(「生成物」)への生体触媒変換のための、ポリペプチド、そのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびそのポリペプチドを使用する方法を提供する。本開示はまた、特に、アミン基質であるシス-2,6-ジメチルモルホリンの存在下での、オキサゾール-5-カルボン酸エチル(「エステル基質」)エステル基質から((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)(オキサゾール-5-イル)メタノン(もう1つの生成物)への生体触媒変換のための、ポリペプチド、そのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびそのポリペプチドを使用する方法を提供する。これらの生成物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための開発において注目される医薬の出発材料である。具体的には、これらの生成物は、炎症、自己免疫疾患、および癌を治療するために使用される薬物種であるホスホイノシチド3-キナーゼδ阻害剤(PI3Kδ阻害剤)を合成するために使用可能である。本発明の組成物はまた、他の医薬種の出発材料としても同様に使用可能である。
表3に示されるように、野生型ポリペプチド、カルボキシエステラーゼ酵素A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2(配列番号2)は、極めて低効率でしかエステル基質に作用しないが(生成物に変換されるのが基質の1%未満)、本開示の操作されたカルボキシエステラーゼ(E.C.3.1.1)は、アミン基質の存在下で、エステル基質から生成物への容易な変換を行うことができる。よって、一つの側面において、本開示は、1-イソプロピルピペラジン「アミン基質」の存在下で、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを、生成物である(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンへ、HPLC-UV吸光度などの分析技術によって約0.1%変換まで測定可能なレベルに変換することができる改良されたカルボキシエステラーゼに関する。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一の、またはそれを超える同一性のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなり、改良されたカルボキシエステラーゼミノ酸配列は、X198に相当する残基が非極性残基、芳香族残基、および脂肪族残基から選択されるという特徴を含む。指定された残基位置に存在し得る種々のアミノ酸残基の選択の指針は、以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲に示される。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126で示されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126で示されるアミノ酸配列からなる。
いくつかの実施態様において、本開示は、配列番号122で示されるアミノ酸配列を含んでなるカルボキシエステラーゼポリペプチドを提供する。別の実施態様において、本開示は、配列番号122で示されるカルボキシエステラーゼポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。さらに別の実施態様において、本開示は、カルボキシエステラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供し、このポリヌクレオチドは、配列番号121で示されるポリヌクレオチド配列を含んでなる。さらに別の実施態様において、このポリヌクレオチドは、配列番号121で示されるポリヌクレオチド配列からなるカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードする。
別の側面において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、アミドを製造するための方法において使用することができ、(a)R-COOR〔Rが0~3個のアルキル置換基を有するsp炭素および芳香環から選択され、かつ、Rがメチル基;エチル基;および1~6炭素アルキル鎖から選択される〕の構造ののエステル;(b)アミン基質;(c)配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一の、またはそれを超える同一性のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなる改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチド(そのカルボキシエステラーゼポリペプチドアミノ酸配列は、配列番号4のX198に相当する残基が非極性残基、芳香族残基、および脂肪族残基から選択されるという特徴を含む);ならびに(d)溶媒(olvent)を含有する成分が合わせられる。
発明の具体的説明
本開示は、ある特定のアミド基アクセプターのアミド化を含む変換、例えば、式IIIの化合物の合成を媒介し得る高効率の生体触媒を提供する。生体触媒は、以下のように、式IIのアミン基質(1-イソプロピルピペラジン)の存在下で、式Iの基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチル(「エステル基質」)を、式IIIの生成物である(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノン(「生成物」)に変換することができる操作されたアミド化ポリペプチドである。
Figure 0007401435000001
特定の実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼは、A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2由来の天然カルボキシエステラーゼに由来し、アシル酵素中間体アミンの形成および分解を介してエステルの加水分解を触媒するカルボキシエステラーゼ酵素である。配列番号4のカルボキシエステラーゼは、野生型カルボキシエステラーゼであるA.アシドカルダリウス・エステラーゼ2(配列番号2)に由来する天然酵素とは、残基位置X198にグルタマート(E)のロイシン(L)での置換を有し、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチル(式I)に対して測定可能な活性を有することで異なる。配列番号4のカルボキシエステラーゼは、1-イソプロピルピペラジン(式II)などのアミン基質の存在下で、式Iのエステル基質の式IIIの生成物への効率的変換を媒介するように操作されている。この変換は、温和な条件下で行うことができ(30℃、高い変換率%)、これはこの方法を式IIIおよび式Vのアミドの大容量生産に適用可能とする。
略語および定義
本明細書において、遺伝的にコードされるアミノ酸に使用される略号は慣例であり、表1のとおりである。
Figure 0007401435000002
3文字略語を使用する場合、「L」もしくは「D」が特に頭に付かなければ、またはその略語が使用される文脈から明らかでなければ、そのアミノ酸はα-炭素(Cα)についてL型またはD型のいずれかであり得る。例えば、「Ala」は、α-炭素について配置を特定せずにアラニンを表すが、「D-Ala」および「L-Ala」は、それぞれD-アラニンおよびL-アラニンを表す。1文字略語が使用される場合、大文字はα-炭素についてL型のアミノ酸を表し、小文字はα-炭素についてD型のアミノ酸を表す。例えば、「A」はL-アラニンを表し、「a」はD-アラニンを表す。ペプチド配列は、一連の1文字または3文字略語(またはそれらの混合)として表され、それらの配列は、慣例に従ってN→C方向に示される。
本明細書で使用される技術用語および科学用語は、そうではないことが特に定義されない限り、当業者に一般に理解されている意味を有する。よって、以下の用語は以下の意味を有することを意図する。本明細書に引用されている総ての米国特許および公開されている米国特許出願は、そのような特許および特許出願内に開示されている総ての配列を含め、引用することにより明白に本明細書の一部とされる。
「酸副生成物」または「加水分解副生成物」とは、カルボキシエステラーゼ酵素の結果としてエステル基質と水の反応から生じるカルボン酸を指す。酸副生成物は、Rが-Hである一般式(3)の分子である。Rは上記されている。
Figure 0007401435000003
「酸性アミノ酸または残基」とは、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチドに含まれる場合、約6未満のpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。酸性アミノ酸は一般に、水素イオンの喪失のために生理学的pHにおいて負電荷を帯びた側鎖を有する。一般に、コードされる酸性アミノ酸は、L-Glu(E)およびL-Asp(D)を含む。
「アルキル」とは、指定された長さの、直鎖状または分岐鎖いずれかの構成のアルキル基を含むことを意図する。例示的アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシルなどである。アルキル基は、置換されていないかまたはハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、アミノ、Cl-4アルコキシ、およびCl-4アルキルチオから独立に選択される1~3個の基で置換されている。
「アミド」とは、窒素原子に連結されたカルボニル基を含有する官能基を意味することを意図する。アミドはまた、アミド官能基を含有するいずれの化合物も指す。アミドはカルボン酸およびアミンに由来する。
「アミデート」または「アミド化」とは、一般にカルボン酸とアミン官能基の反応から生じ、またここではエステルとアミン官能基からも形成されるカルボニル含有化合物からのアミド官能基の形成を意味することを意図する。
「アミン」とは、sp3混成窒素原子を含有する官能基を意味することを意図する。アミンはまた、アミン官能基を含有するいずれの化合物も意味する。
「アミン基質」とは、カルボキシエステラーゼの作用下でエステル基質のアルコール側鎖を置換し、それによりアミド生成物を生じ得るアミノ化合物を指す。アミン基質は一般式(5)の分子であり、式中、RおよびRのそれぞれは、独立している場合、アルキル、または置換されていないかもしくは少なくとも1つの酵素的に阻害しない基で置換されているアリール基である。基RおよびRは、一体となる場合、置換されてないか、置換されているか、または他の環に縮合している環を形成していてもよい。本発明とともに使用可能な典型的アミン基質としては、限定されるものではないが、環状ピペラジニルまたはモルホリノ部分、ならびに第一級アミンまたは芳香族アミンが挙げられる。本開示に関して、アミン基質としては、とりわけ、式IIの化合物である1-イソプロピルピペラジン、および式IVの化合物であるシス-2,6-ジメチルモルホリンが含まれる。
Figure 0007401435000004
「アミノ酸」または「残基」とは、本明細書で開示されるポリペプチドに関して使用される場合、ある配列位置にある特定の単量体を指す(例えば、P5は、配列番号2の5番の位置の「アミノ酸」または「残基」がプロリンであることを示す)。
「アミノ酸差異」または「残基差異」とは、参照配列と比較した場合の、ポリペプチド配列の指定された位置における残基の変化を指す。特定のアミノ酸またはアミノ酸変化(「残基差異」)が存在するポリペプチド配列の位置は、本明細書では「Xn」または「位置n」と記載される場合があり、ここで、nは、参照配列に対する残基位置を指す。
例えば、参照配列がセリンを有するX8の位置の残基差異は、X8の位置における残基のセリン以外のいずれかの残基への変化を指す。本明細書で開示されるように、酵素は、参照配列に対する1以上の残基差異を含むことができ、この場合、複数の残基差異は一般に、参照配列に対して変化があった指定された位置の一覧によって示される(例えば、「以下の残基位置:X27、X30、X35、X37、X57、X75、X103、X185、X207、X208、X271、X286、またはX296における、配列番号4と比較した場合の1以上の残基差異」)。
参照配列の特定の残基の、指定された異なる残基での置換である特定の置換突然変異は、慣例の表記法「X(番号)Y」で表すことができ、Xは、参照配列の残基の1文字識別子であり、「番号」は、参照配列における残基位置であり、Yは、操作された配列における残基置換の1文字識別子である。
「脂肪族アミノ酸または残基」とは、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Leu(L)およびL-Ile(I)が含まれる。
「芳香族アミノ酸または残基」とは、少なくとも1つの芳香族環または複素芳香環を含む側鎖を有する親水性または疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝的にコードされる芳香族アミノ酸としては、L-Phe(F)、L-Tyr(Y)およびL-Trp(W)が含まれる。その複素芳香族窒素原子のpKaのために、L-His(H)は塩基性残基として、またはその側鎖が複素芳香環を含むので芳香族残基として分類されることもあるが、本明細書では、ヒスチジンは親水性残基としてまたは「拘束された残基」(下記参照)として分類される。
「アリール」とは、フェニルおよびナフチルを含む芳香族基を意味することが意図される。「アリール」は、置換されていないか、またはフルオロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、アミノ、Cl-4アルキル、およびCl-4アルコキシから独立に選択される1~5個の置換基で置換されている。
「塩基性アミノ酸または残基」とは、そのアミノ酸がペプチドまたはポリペプチドに含まれる場合には、約6を超えるpKa値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。塩基性アミノ酸は一般に、ヒドロニウムイオンとの会合のために生理学的pHで正電荷を帯びた側鎖を有する。遺伝的にコードされる塩基性アミノ酸としては、L-Arg(R)およびL-Lys(K)が含まれる。
「カルボキシエステラーゼ」は、エステル基質(1)の側鎖と供与化合物(2)の側鎖を相互変換し、エステル基質(1)をその相当するエステル生成物(3)と遊離アルコール型のエステル側鎖(4)に変換する酵素能を有するポリペプチドを指して使用される。
Figure 0007401435000005
「コドンが最適化された」とは、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンを、そのコードされるタンパク質が特定の生物で効率的に発現されるように、その対象生物で優先的に使用されているものに変更することを指す。ほとんどのアミノ酸は、「同義(“synonyms” or “synonymous”)」コドンと呼ばれるいくつかのコドンで表されるという点で遺伝暗号は縮重しているが、特定の生物によるコドン使用頻度はランダムではなく、特定のコドントリプレットに偏っていることがよく知られている。このコドン使用頻度のバイアスは、所与の遺伝子、共通の機能または先祖起源の遺伝子、低コピー数のタンパク質に対して高発現タンパク質、および生物のゲノムの凝集したタンパク質コード領域に関してはより高いと見られる。いくつかの実施態様において、カルボキシエステラーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドは、発現のために選択された宿主生物からの最適な産生のためにコドンを最適化され得る。
「比較ウィンドウ」とは、少なくとも約20の連続するヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念的セグメントを指し、配列は少なくとも20の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較することができ、比較ウィンドウ内の配列の位置は、2配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20パーセント以下の付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでもよい。比較ウィンドウは、20より長い連続する残基であってもよく、場合により30、40、50、100、またはそれより長いウィンドウを含んでもよい。
「保存的」アミノ酸置換または突然変異とは、類似の側鎖を有する残基の互換性を指し、従って一般に、そのポリペプチドのアミノ酸の、同じまたは類似の、規定のクラスのアミノ酸内のアミノ酸での置換を含む。しかしながら、本明細書で使用する場合、いくつかの実施態様において、保存的突然変異は、脂肪族残基から脂肪族残基へ、非極性残基から非極性残基へ、極性残基から極性残基へ、酸性残基から酸性残基へ、塩基性残基から塩基性残基へ、芳香族残基から芳香族残基へ、または拘束された残基から拘束された残基への置換であり得る場合には、その保存的突然変異は、そうではない親水性残基から親水性残基へ、疎水性残基から疎水性残基へ、ヒドロキシル含有残基からヒドロキシル含有残基へ、または小型残基から小型残基への置換は含まない。さらに、本明細書で使用する場合、A、V、L、またはIは、別の脂肪族残基または別の非極性残基に保存的に突然変異させることもできる。下表2は、保存的置換の例を示す。
Figure 0007401435000006
「拘束されたアミノ酸または残基」とは、拘束幾何学を有するアミノ酸または残基を指す。本明細書において、拘束された残基としてL-Pro(P)およびL-His(H)が含まれる。ヒスチジンは、比較的小さいイミダゾール環を有するので、拘束幾何学を有する。プロリンも5員環を有するので拘束幾何学を有する。
本明細書において「制御配列」は、本開示のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現に必要なまたは有利な総ての成分を含むと定義される。各制御配列は、対象ポリヌクレオチドに対して天然または外来であり得る。このような制御配列としては、限定されるものではないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが含まれる。
「変換」とは、基質の、相当する生成物への酵素的変換を指す。
「~に相当する」、「~を参照する」または「~に対する」は、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の番号に関して使用する場合、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列が参照配列と比較される場合の、明示された参照配列の残基の番号を指す。言い換えれば、所与のポリマーの残基番号または残基位置は、参照配列でない所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の番号の位置によるのではなく、参照配列に関して示される。例えば、操作されたカルボキシエステラーゼのアミノ酸配列などの所与のアミノ酸配列は、2配列間の残基の一致を最適化するためにギャップを導入することによって参照配列に対してアラインすることができる。これらの場合、ギャップは存在するが、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列内の残基の番号は、それがアラインされた参照配列に関して付される。
「システイン」またはL-Cys(C)は、他のL-Cys(C)アミノ酸または他のスルファニル含有アミノ酸またはスルフヒドリル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成することができるという点で特異である。「システイン様残基」には、システイン、およびジスルフィド架橋の形成に利用できるスルフヒドリル部分を含有する他のアミノ酸が含まれる。L-Cys(C)(および-SH含有側鎖を有する他のアミノ酸)の、還元遊離型-SHまたは酸化ジスルフィド架橋型のいずれかでペプチド内に存在する能力は、L-Cys(C)が正味の疎水性または親水性をペプチドに与えるかどうかに影響を及ぼす。L-Cys(C)は、アイゼンバーグの正規化コンセンサススケール(Eisenberg et al., 1984, 前掲)に従うと0.29の疎水性を示すが、本開示の目的で、L-Cys(C)はその独自の群に分類されると理解されるべきである。
「欠失」とは、参照ポリペプチドから1以上のアミノ酸を除去することによるポリペプチドの改変を指す。欠失は、酵素活性を保持しつつ、および/または操作されたカルボキシエステラーゼ酵素の改良された特性を保持しつつ、そのポリペプチドを構成する1以上のアミノ酸、2以上のアミノ酸、5以上のアミノ酸、10以上のアミノ酸、15以上のアミノ酸、または20以上のアミノ酸、アミノ酸総数の10%まで、アミノ酸総数の20%まで、またはアミノ酸総数の30%までの除去を含んでなり得る。欠失は、ポリペプチドの内部の部分および/または末端の部分に対するものであり得る。種々の実施態様において、欠失は、連続するセグメントを含んでなってもよいし、または不連続であってもよい。
「~に由来する」とは、操作された酵素に関して本明細書で使用する場合、起源酵素、および/またはその操作が基づいた酵素をコードする遺伝子を特定する。例えば、配列番号4の操作されたカルボキシエステラーゼ酵素は、配列番号2のカルボキシエステラーゼの突然変異誘発により得られた。よって、この配列番号4の操作されたカルボキシエステラーゼ酵素は、配列番号2のポリペプチド「に由来する」。
「操作されたカルボキシエステラーゼ」は、本明細書で使用する場合、新たなアミノ酸のその参照配列への挿入、その参照配列に存在するアミノ酸の欠失、またはランダム突然変異誘発法とその後の特定の特性を有する突然変異体の選択か、もしくはタンパク質配列への特定のアミノ酸の意図的な導入による、その参照配列内のアミノ酸の、別のアミノ酸への突然変異を介して系統的に改変されたカルボキシエステラーゼ型タンパク質を指す。
「エステル」とは、酸素原子に連結され、その後に炭素原子に連結されたカルボニル基を含有する官能基を意味することが意図される。エステルはまた、エステル官能基を含有するいずれの化合物も指す。エステルは、カルボン酸およびアルコールから誘導される。
「エステル基質」とは、特に、操作されたカルボキシエステラーゼと反応するエステルを含有する式(1)の化合物を指す。本開示に関して、エステル基質としては、とりわけ、式Iの化合物であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルが挙げられる。
Figure 0007401435000007
「フラグメント」とは、本明細書で使用する場合、アミノ末端欠失および/またはカルボキシ末端欠失を有するが、残りのアミノ酸配列はその配列の対応する位置と同一であるポリペプチドを指す。フラグメントは、少なくとも14アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長、少なくとも50以上のアミノ酸長で、全長カルボキシエステラーゼポリペプチド、例えば、配列番号4のポリペプチドの70%、80%、90%、95%、98%、および99%、またはそれを超えるパーセンテージまでであり得る。
本明細書において互換的に使用される「機能的フラグメント」または「生物学的活性なフラグメント」とは、アミノ末端欠失および/またはカルボキシ末端欠失および/または内部欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は、それが比較される配列(例えば、本発明の操作された全長T.フスカ(fusca)酵素)の対応する位置と同一であり、全長ポリペプチドの実質的に総ての活性を保持するポリペプチドを指す。
「ハロゲン」は、ハロゲン原子であるフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含むことを意図する。
「異種」ポリヌクレオチドとは、実験室技術により宿主細胞に導入されるいずれのポリヌクレオチドも指し、宿主細胞から取り出され、実験室操作を受け、その後、宿主細胞に再導入されるポリヌクレオチドを含む。
「ハイブリダイゼーションストリンジェンシー」は、核酸のハイブリダイゼーションにおける、洗浄条件などのハイブリダイゼーション条件に関する。一般に、ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシーの条件下で行われ、その後、様々な、しかしながらより高いストリンジェンシーの洗浄が行われる。「中等度ストリンジェントハイブリダイゼーション」とは、標的DNAが標的DNAと約60%の同一性、好ましくは約75%の同一性、約85%の同一性を有する、または標的ポリヌクレオチドと約90%を超える同一性を有する相補的核酸と結合できる条件を指す。例としての中等度ストリンジェント条件は、50%ホルムアミド、5×デンハート溶液、5×生理食塩水-リン酸ナトリウム-EDTA(SSPE)、0.2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中、42℃でのハイブリダイゼーションとその後の0.2×SSPE、0.2%SDS中、42℃での洗浄に相当する条件である。「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」とは、一般に、規定のポリヌクレオチド配列に関して溶液条件下で決定される熱融点Tから約10℃低い条件を指す。いくつかの実施態様において、高ストリンジェンシー条件は、0.018M NaCl中、65℃で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみにハイブリダイゼーションを許容する条件を指す(すなわち、ハイブリッドが0.018M NaCl中、65℃で安定でない場合、それは本明細書で企図されるような高ストリンジェンシー条件下で安定でない)。高ストリンジェンシー条件は、例えば、42℃での50%ホルムアミド、5×デンハート溶液、5×SSPE、0.2%SDSに相当する条件でのハイブリダイゼーションとその後の0.1×SSPE、および0.1%SDS中、65℃での洗浄により提供され得る。別の高ストリンジェンシー条件は、0.1%(w:v)SDSを含有する5×SSC中、65℃に相当する条件でのハイブリダイゼーションおよび0.1%SDSを含有する0.1×SSC中、65℃での洗浄である。他の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、ならびに中等度ストリンジェント条件は、上記で引用された参照文献に記載される。
「親水性アミノ酸または残基」とは、Eisenberg et al., 1984, J. Mol. Biol. 179:125-142の正規化コンセンサス疎水性スケールに従って0より小さい疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝的にコードされる親水性アミノ酸としては、L-Thr(T)、L-Ser(S)、L-His(H)、L-Glu(E)、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Asp(D)、L-Lys(K)およびL-Arg(R)が含まれる。「疎水性アミノ酸または残基」とは、Eisenberg et al., 1984, J. Mol. Biol. 179:125-142の正規化コンセンサス疎水性スケールに従って0より大きい疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝的にコードされる疎水性アミノ酸としては、L-Pro(P)、L-Ile(I)、L-Phe(F)、L-Val(V)、L-Leu(L)、L-Trp(W)、L-Met(M)、L-Ala(A)およびL-Tyr(Y)が含まれる。
「ヒドロキシル含有アミノ酸または残基」とは、ヒドロキシル(-OH)部分を含有するアミノ酸を指す。遺伝的にコードされるヒドロキシル含有アミノ酸としては、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Tyr(Y)が含まれる。
「改良された酵素特性」とは、参照酵素に見られる特性と比較して、特定の目的に対してより良好なまたはより望ましいいずれの酵素特性も指す。本明細書に記載の操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドについては、一般に野生型カルボキシエステラーゼ酵素と比較が行われるが、いくつかの実施態様において、参照カルボキシエステラーゼは、別の改良された、操作されたカルボキシエステラーゼであり得る。改良が行われ得る酵素特性としては、限定されるものではないが、酵素活性(一定期間中の基質の変換率%として表すことができる)、熱安定性、溶媒安定性、pH活性プロファイル、補酵素要求性、阻害剤(例えば、生成物阻害)に対する耐性、立体特異性、および酸副生成物生産の抑制が含まれる。
「酵素活性の増大」または「活性の増大」とは、参照酵素と比較した場合の、比活性(例えば、生産された生成物/時間/タンパク質重量)の増加または基質から生成物への変換率%(例えば、明示された量のカルボキシエステラーゼを用いて、明示された期間における出発量の基質から生成物への変換率%)の増大によって表すことができる操作された酵素の改善された特性を指す。酵素活性を測定するための例示的方法は、実施例に示される。酵素活性の増大に至り得るK、Vmaxまたはkcatの古典的酵素特性を含め、酵素活性に関するいずれの特性にも影響を与えることができる。酵素活性の改善は、対応する野生型または操作された酵素の酵素活性の約1.5倍から、天然酵素(例えば、カルボキシエステラーゼ)または活性の増大を示す酵素が由来する別の操作された酵素の2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、1000倍、10,000倍、100,000倍、500,000倍、785,000倍以上もの酵素活性であり得る。特定の実施態様において、本開示の操作されたカルボキシエステラーゼ酵素は、親カルボキシエステラーゼ酵素(すなわち、それらが由来した野生型または操作されたカルボキシエステラーゼ)の酵素活性の1.5~50倍、1.5~100倍またはそれを超える範囲の改善された酵素活性を示す。当業者ならば、いずれの酵素の活性も、触媒ターンオーバー速度が必要とされるいずれの補酵素も含め、基質の拡散速度を超えることができないように拡散が制限されることを理解する。拡散限界の理論的最大値は一般に、約10~10(M-1-1)である。従って、カルボキシエステラーゼの酵素活性のいずれの改善も、カルボキシエステラーゼ酵素が作用する基質の拡散速度に関して上限を有する。カルボキシエステラーゼ活性は、基質もしくは生成物濃度の変化、またはアミン基質濃度の変化などの、カルボキシエステラーゼを測定するために使用される標準的アッセイのいずれかによって測定することができる。酵素活性の比較は、本明細書にさらに詳細に記載されるように、規定の酵素製法、ある設定条件下での規定のアッセイ、および1以上の規定の基質を用いて行われる。一般に、細胞溶解液中の酵素が比較される場合、宿主細胞により産生されるおよび溶解液中に存在する酵素の量の変動を最小にするために、同一の発現系および同一の宿主細胞を使用するとともに、細胞の数およびアッセイされるタンパク質の量が決定される。
「挿入」とは、参照ポリペプチドへの1以上のアミノ酸の付加によるポリペプチドの改変を指す。いくつかの実施態様において、改良された、操作されたカルボキシエステラーゼ酵素は、天然カルボキシエステラーゼポリペプチドへの1以上のアミノ酸の挿入ならびに他の改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドへの1以上のアミノ酸の挿入を含んでなる。挿入は、ポリペプチドの内部部分にあってもよいし、またはカルボキシ末端もしくはアミノ末端に対するものでもよい。挿入は、本明細書で使用する場合、当技術分野で公知のような融合タンパク質を含む。挿入は連続するアミノ酸セグメントであってもよいし、または天然ポリペプチドのアミノ酸の1以上によって分離されていてもよい。
「単離されたポリペプチド」とは、天然にそれに付随する他の夾雑物、例えば、タンパク質、脂質、およびポリヌクレオチドから実質的に分離されたポリペプチドを指す。この用語は、それらの天然環境または発現系(例えば、宿主細胞またはin vitro合成)から取り出されたまたは精製されたポリペプチドを包含する。改良されたカルボキシエステラーゼ酵素は、細胞内に存在し得るか、細胞媒体中に存在し得るか、または溶解液もしくは単離された調製物などの種々の形態で調製され得る。従って、いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼ酵素は、単離されたポリペプチドであり得る。
「非保存的置換」とは、ポリペプチド内のアミノ酸の、有意に異なる側鎖特性を有するアミノ酸での置換または突然変異を指す。非保存的置換は、上記で列挙した、規定の群内ではなく、群間のアミノ酸を使用し得る。一つの実施態様において、非保存的突然変異は、(a)ペプチド骨格の構造の置換面積(例えば、グリシンの代わりにプロリン);(b)電荷もしくは疎水性;または(c)側鎖の嵩に影響を及ぼす。
「非極性アミノ酸」または「非極性残基」とは、生理学的pHにおいて電荷がなく、2つの原子によって共有されている電子対が、一般には、その2つの原子のそれぞれにより等しく保持されている、結合を有する側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基を指す(すなわち、側鎖は非極性である)。遺伝的にコードされる非極性アミノ酸としては、L-Gly(G)、L-Leu(L)、L-Val(V)、L-Ile(I)、L-Met(M)およびL-Ala(A)が含まれる。
「変換率%」とは、明示された条件下である期間内に生成物に変換される基質のパーセントを指す。よって、例えば、「酵素活性」またはカルボキシエステラーゼポリペプチドの「活性」は、基質から生成物への「変換率%」として表すことができる。
「配列同一性パーセンテージ」、「同一性パーセント」および「~パーセント同一」は、本明細書において、ポリヌクレオチド配列間またはポリペプチド配列間の比較を指して使用され、最適にアラインされた2つの配列を比較ウィンドウにおいて比較することにより決定され、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、2配列の最適アラインメントのための参照配列と比較した場合に、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。パーセンテージは、両方の配列で同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が見られる位置の数を決定し、または核酸塩基もしくはアミノ酸残基は、一致した位置の数を求めるためにギャップを用いてアラインされ、一致した位置の数を比較ウィンドウの位置の総数で割り、100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。最適アラインメントおよび配列同一性パーセントの決定は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズム(例えば、Altschul, et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410 and Altschul, et al., 1977, Nucleic Acids Res. 3389-3402参照)を用いて行われる。BLAST分析を実行するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトで公的に利用できる。
簡単に述べれば、BLAST分析は、問い合わせ配列中の長さWの短いワードを特定することによって最初に高スコア配列対(high scoring sequence pair)(HSP)を特定することを含み、これは、データベースの配列中の同じ長さのワードとアラインされた場合に、一致するかまたはある正値の閾値スコアTを満たすかのいずれかである。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschul, et al, 前掲)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むさらに長いHSPを見つけるために検索を開始するためのシードとして働く。累積アライメントスコアが増加可能な限り、ワードヒットはそれぞれ配列に沿って両方向に伸長される。ヌクレオチド配列に関して、パラメータM(一致する残基の対に対するリワードスコア;常に>0)およびN(不一致残基に対するペナルティスコア;常に<0)を使用して累積スコアが計算される。アミノ酸配列に関して、累積スコアを計算するためにスコア行列が使用される。それぞれの方向へのワードヒットの伸長は、累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ減少するか;1以上の負のスコアの残基アライメントの蓄積により累積スコアがゼロ以下になるか;またはいずれかの配列の末端に達した場合に中止される。BLASTアルゴリズムのパラメータW、TおよびXがアライメントの感度および速さを決める。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、ワード長(W)が11、期待値(E)が10、M=5、N=-4および両鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、ワード長(W)が3、および期待値(E)が10、ならびにBLOSUM62スコア行列(Henikoff and Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915を参照)をデフォルトとして使用する。
2配列の同一性パーセントを得る上でBLASTと同様に機能する多くの他のアルゴリズムが利用可能である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math. 2:482のローカルホモロジーアルゴリズムによるか、Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443のホモロジーアラインメントアルゴリズムによるか、Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性検索法によるか、これらのアルゴリズム(GCGウィスコンシンソフトウエアパッケージのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピューター実装形態によるか、または目視検査(一般に、Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel, et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (1995 Supplement) (Ausubel)参照)により行うことができる。さらに、配列アラインメントおよび配列同一性パーセントの決定には、GCGウィスコンシンソフトウエアパッケージ(Accelrys、マディソン WI)のBESTFITまたはGAPプログラムを、提供されているデフォルトパラメーターを用いて使用することができる。
「pH安定」とは、低いまたは高いpH(例えば、4.5~6または8~12)に一定期間(例えば、0.5~24時間)曝された後に、無処理の酵素に比べて同等の活性(例えば60%~80%を超える)を維持するポリペプチドを指す。
「極性アミノ酸または残基」とは、生理学的pHで電荷がないが、2つの原子によって共有されている電子対がそれらの原子の一方によってより密接に保持されている少なくとも1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。遺伝的にコードされる極性アミノ酸としては、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Ser(S)およびL-Thr(T)が含まれる。
「好ましい、最適な、高い、コドン使用頻度バイアスコドン」とは、同じアミノ酸をコードするコドン以外のタンパク質コード領域でより高い頻度で使用されているコドンを互換的に指す。好ましいコドンは、単一の遺伝子におけるコドン使用頻度、共通の機能もしくは起源の遺伝子セットにおけるコドン使用頻度、発現の高い遺伝子におけるコドン使用頻度、生物全体の凝集したタンパク質コード領域におけるコドン頻度、関連生物の凝集したタンパク質コード領域におけるコドン頻度、またはそれらの組合せに関して決定され得る。頻度が遺伝子発現のレベルとともに増すコドンが一般に、発現にとって最適なコドンである。特定の生物におけるコドン頻度(例えば、コドン使用頻度、相対同義語コドン使用頻度)およびコドン選択を決定するためには、例えば、クラスター分析またはコレスポンデンス分析、およびある遺伝子に使用されているコドンの有効数を用いる多変量解析を含め、様々な方法が知られている(GCG CodonPreference, Genetics Computer Group Wisconsin Package; CodonW, John Peden, University of Nottingham; McInerney, J. O, 1998, Bioinformatics 14:372-73; Stenico, et al., 1994, Nucleic Acids Res. 222437-46; Wright, F., 1990, Gene 87:23-29参照)。コドン使用頻度表は、ますます多くの生物に対して利用可能となっている(例えば、Wada, et al., 1992, Nucleic Acids Res. 20:2111-2118; Nakamura, et al., 2000, Nucl. Acids Res. 28:292; Duret, et al., 前掲; Henaut and Danchin, “Escherichia coli and Salmonella,” 1996, Neidhardt, et al.編, ASM Press, Washington D.C., p. 2047-2066参照)。コドン使用頻度を得るためのデータ源は、タンパク質をコードし得る利用可能ないずれのヌクレオチド配列に頼ってもよい。これらのデータセットには、発現タンパク質(例えば、完全タンパク質コード配列-CDS)、発現配列タグ(EST)、またはゲノム配列の推定コード領域をコードすることが実際に知られている核酸配列が含まれる(例えば、Mount, D., Bioinformatics: Sequence and Genome Analysis, Chapter 8, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2001; Uberbacher, E. C., 1996, Methods Enzymol. 266:259-281; Tiwari, et al.., 1997, Comput. Appl. Biosci. 13:263-270参照)。
「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」は、本明細書において、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリストイル化、ユビキチン化など)に関わらず、アミド結合によって共有結合された少なくとも2個のアミノ酸のポリマーを表して互換的に使用される。この定義の中には、D-アミノ酸とL-アミノ酸、およびD-アミノ酸とL-アミノ酸の混合物が含まれる。
「参照配列」とは、別の(例えば変更された)配列が比較される、規定の配列を指す。参照配列は、より大きな配列のサブセット、例えば、全長遺伝子配列または全長ポリペプチド配列のセグメントであってもよい。一般に、参照配列は、少なくとも20ヌクレオチド長もしくはアミノ酸残基長、少なくとも25残基長、少なくとも50残基長、または核酸もしくはポリペプチドの全長である。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドはそれぞれ、その2配列間で類似の配列(すなわち、完全な配列の一部)を含んでなり、(2)その2配列間で互いに異なる配列をさらに含んでなることがあるので、2つの(またはそれより多い)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列比較は一般に、配列類似性の局部領域を特定して比較するために、比較ウィンドウにおいて2つのポリヌクレオチドの配列を比較することによって行われる。
用語「参照配列」とは、野生型配列に限定することを意図せず、操作または変更された配列を含み得る。例えば、いくつかの実施態様において、「参照配列」は、従前に操作または変更されたアミノ酸配列であり得る。例えば、「X12の位置にグリシン残基を有する配列番号2に基づく参照配列」とは、X12にグリシン残基を有する配列番号2に相当する参照配列を指す(配列番号2の非変更型は、X12にアスパルタートを有する)。
「小型アミノ酸」または「小型残基」とは、合計3個以下の炭素および/またはヘテロ原子(α-炭素および水素を除く)から構成される側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。小型アミノ酸または残基は、上記の定義に従って、さらに脂肪族、非極性、極性または酸性小型アミノ酸または残基に分類され得る。遺伝的にコードされる小型アミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Cys(C)、L-Asn(N)、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Asp(D)が含まれる。
「溶媒安定」または「溶媒安定性」とは、無処理酵素に比べて、種々の濃度(例えば、5~99%)の溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、ブチルアセテート、メチルtert-ブチルエーテル、アセトニトリルなど)に一定期間(例えば、0.5~24時間)曝した後に同等の(例えば、60%~80%より大きい)活性を維持するポリペプチドを指す。
「実質的に同一」とは、少なくとも20残基の位置の比較ウィンドウにおいて、多くの場合では、少なくとも30~50残基のウィンドウにおいて、参照配列と比較した場合に少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、91、93、94、95、96、97、98、99またはそれを超える配列同一性パーセントを有するポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列を指す。配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウにおいて、参照配列と参照配列の合計20パーセント以下の欠失または付加を含む配列とを比較することにより計算される。ポリペプチドに適用される特定の実施態様において、用語「実質的に同一」とは、2つのポリペプチド配列が、最適にアラインされた場合に、デフォルトギャップウエイトを用いてGAPまたはBESTFITプログラムによるなどして、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも89パーセントの配列同一性、少なくとも95パーセントの配列同一性またはそれを超える配列同一性(例えば、99パーセントの配列同一性)を有することを意味する。好ましくは、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
「実質的に純粋なポリペプチド」とは、そのポリペプチド種が存在する優勢な種である(すなわち、モルまたは重量に基づいて、それがその組成物中で他のいずれの個々の高分子種よりも豊富である)組成物を指し、一般に、モルまたは重量%で、対象種が存在する高分子種の少なくとも約50パーセントを占める場合の実質的に精製された組成物である。一般に、実質的に純粋なカルボキシエステラーゼ組成物は、モルまたは重量%で、組成物中に存在する総ての高分子種の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上または約99%以上を占める。いくつかの実施態様において、対象種は、本質的に均質(すなわち、夾雑種が従来の検出方法によっては組成物中に検出できない)まで精製され、この組成物は、本質的に単一の高分子種からなる。溶媒種および元素イオン種は高分子種であるとは考えない。いくつかの実施態様において、単離された、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
「基質」は、本明細書で使用する場合、エステル(1)、アミン(5)、またはアルコール(2)を含有する化合物からなるカルボキシエステラーゼ反応性化合物を指す。本開示に関して、カルボキシエステラーゼの基質としては、とりわけ、本明細書にさらに記載されるような式Iの化合物および式IIの化合物が含まれる。
「耐熱性」または「熱安定性」は、無処理酵素に比べて、ある温度条件セット(例えば、40~80℃)に一定期間(例えば、0.5~24時間)曝した際に不活性化に対して耐性がある、従って、高温に曝した後にあるレベルの残留活性(例えば、60%~80%を超える)を保持するポリペプチドを指して互換的に使用される。
本明細書で使用される場合、「溶媒安定」とは、無処理酵素に比べて、種々の濃度(例えば、5~99%)の溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、ブチルアセテート、メチルtert-ブチルエーテルなど)に一定期間(例えば、0.5~24時間)曝した後に同等の活性(例えば、60%~80%を超える)を維持するポリペプチドの能力を指す。
発明の実施態様の詳細な説明
本明細書における実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼは、野生型カルボキシエステラーゼ酵素A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2(配列番号2)に比べて、アミン基質である1-イソプロピルピペラジンの存在下で、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを生成物である(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンに変換する能力が改善されている。本明細書に記載のものを含むカルボキシエステラーゼは、化学補因子を欠く自立型酵素であり、溶解酵素として、樹脂に固定化された酵素として、または1種類以上の塩の存在下で凍結乾燥された粉末として製剤し得る水溶性酵素である。
いくつかの実施態様において、酵素活性の改善は、配列番号4のポリペプチドなどの別の操作されたカルボキシエステラーゼに関するものである。エステル基質に対する活性の改善は、規定の条件下で、参照酵素(例えば、野生型、配列番号2)に比べて、操作された酵素により生成物に変換された基質の量の増加(例えば、変換率%)によって表すことができる。活性の改善には、規定の条件下、規定の期間、アミン基質の存在下で、エステル基質の生成物への変換の増加をもたらす生成物形成速度の増大を含み得る。活性の増大(例えば、変換率%および/または変換速度の増大)はまた、より少ない量の酵素で基質を同量の生成物へ変換することによって特徴付けることもできる。生成物の量は、様々な技術、例えば、反応混合物の分離(例えば、クロマトグラフィーによる)および分離された生成物のUV吸光度による検出またはタンデム質量分析(MS/MS)によって評価することができる(例えば、実施例4参照)。配列番号2の活性と比較するための規定の反応条件の例は、約40g/Lのオキサゾール-5-カルボン酸エチル(エステル基質)、44g/Lの1-イソプロピルピペラジン(アミン基質)、および20g/Lの、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、92、または94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126から選択されるアミノ酸配列に相当するカルボキシエステラーゼポリペプチドであり、この酵素は、表3に挙げられているカルボキシエステラーゼに関する反応条件の説明で後述されるように、硫酸ナトリウムの存在下で製造され、メチルイソブチルケトン(MIBK)中約10g/L~約20g/Lの水の存在下で働く。特定の操作されたカルボキシエステラーゼと比較するための規定の反応条件はまた、表3に挙げられているカルボキシエステラーゼに関する説明、および実施例7の対応する説明にも示される。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼは、規定の反応条件下で、配列番号2のポリペプチドの活性の少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、1,500倍、2,000倍、10,000倍、100,000倍、500,000倍、785,000倍、またはそれを超える。
いくつかの実施態様において、改良された酵素活性はまた、酵素特性の他の改善とも関連している。いくつかの実施態様において、酵素特性の改善は、60℃以上といった熱安定性に関するものである。
いくつかの実施態様において、改良された酵素活性は、メチルイソブチルケトン(MIBK)またはtert-ブチルメチルエーテル(TBME)中、98%(容量/容量)で実施される場合など、溶媒安定性の改善と関連している。
いくつかの実施態様において、本開示の操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、アミン基質、例えば、1-イソプロピルピペラジンの存在下、配列番号2のポリペプチドの活性よりも大きい活性で、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを生成物である(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンへ変換することができ、配列番号2の参照配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一の、またはそれを超える同一性のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなる。
いくつかの実施態様において、本開示の操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、1-イソプロピルピペラジンなどのアミン基質の存在下、配列番号2のポリペプチドよりも大きい活性で、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを生成物である(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンへ変換することができ、以下にさらに記載されるように、表3に挙げられている参照配列、例えば、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、もしくは126と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一の、またはそれを超える同一性のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなる。
いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、カルボキシエステラーゼ参照配列と比較した場合に1以上の残基の差異を有するアミノ酸配列を含んでなる。残基の差異は、非保存的置換、保存的置換、または非保存的置換と保存的置換の組合せであり得る。残基の差異および残基位置の記載に関して、本明細書で提供されるカルボキシエステラーゼは、A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2(配列番号2)の天然カルボキシエステラーゼ、配列番号2のカルボキシエステラーゼ、または配列番号4のポリペプチドなどの操作されたカルボキシエステラーゼのアミノ酸配列を参照して記載することができる。本明細書における記載に関して、参照配列内のアミノ酸残基の位置は、カルボキシエステラーゼにおいて、開始メチオニン(M)残基から初めて決定されるが(すなわち、Mは残基位置1を示す)、当業者には、開始メチオニン残基を欠く成熟タンパク質を生成するために、宿主細胞またはin vitro翻訳系などのこの開始メチオニン残基は生体処理機構によって除去され得ることが理解されるであろう。
いくつかの実施態様において、残基の差異は、以下の残基位置:X2、X7、X9、X10、X19、X20、X22、X27、X28、X29、X30、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X46、X48、X54、X57、X66、X75、X85、X86、X87、X96、X103、X139、X160、X176、X181、X183、X185、X188、X190、X197、X198、X205、X207、X208、X212、X216、X248、X249、X255、X263、X266、X270、X271、X278、X280、X286、X290およびX296の1以上に見られ得る。いくつかの実施態様において、残基の差異またはそれらの組合せは、酵素特性の改善に関連する。いくつかの実施態様において、カルボキシエステラーゼポリペプチドは、上記の「Xn」で表された特定の位置以外の残基位置に1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13,1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~22、1~24、1~26、1~28、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55、1~60、または1~62残基の差異をさらに有し得る。いくつかの実施態様において、差異の数は、他のアミノ酸残基位置における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60、または62残基の差異であり得る。いくつかの実施態様において、他の残基位置における残基の差異は、保存的アミノ酸残基による置換を含んでなる。
本明細書の実施態様において、配列番号2と比較した場合の、カルボキシエステラーゼへの基質結合に影響を及ぼす残基位置における残基の差異は、以下にさらに記載される構造式(I)のエステル基質、特に、エステル基質オキサゾール-5-カルボン酸エチルの適応を可能とする。理論に拘束されるものではないが、少なくとも2つの領域、すなわち、第1の基質結合領域と第2の基質結合領域は、エステル基質の異なる構造要素と相互作用する。第1の結合領域は、残基X85、X185、X214、X215およびX254を含んでなり、第2の結合領域は、残基位置X30、X33、X34、X37、X82、X205、X210、X283、X286およびX287を含んでなるが、X83、X84、X155、X156、X206、X214およびX282の位置はこれらの2つの部位で重複する。これらの残基はX線結晶学によって決定された。よって、本明細書においてカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X30、X33、X34、X37、X85、X185、X205、およびX286を含んでなる残基位置に1以上の残基の差異を有する。いくつかの実施態様において、本明細書においてカルボキシエステラーゼポリペプチドは、基質結合に関連する明示された残基位置に少なくとも2以上、または3以上の残基の差異を有する。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、改良されたカルボキシエステラーゼアミノ酸配列は、X198に相当する残基が非極性残基、芳香族残基、および脂肪族残基から選択されるという特徴を有する。さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X198がF、L、I、Y、およびMから選択されるという特徴を含む。いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4の配列と比較した場合に、X27、X30、X35、X37、X57、X66、X75、X103、X207、X208、X271 X286、およびX296に相当する残基位置に1以上の残基の差異を含んでなるアミノ酸配列を含んでなり得る。明示された残基位置に存在し得る種々のアミノ酸残基の選択に関する指針は、以下の詳細な説明に示される。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X27に相当する残基が拘束された残基であること;X30に相当する残基が脂肪族残基であること;X35に相当する残基が塩基性残基および極性残基から選択されること;X37に相当する残基が脂肪族残基および極性残基から選択されること;X57に相当する残基が非極性残基であること;X75に相当する残基が塩基性残基および極性残基から選択されること;X103に相当する残基が非極性および芳香族残基から選択されること;X185に相当する残基が脂肪族残基、非極性残基、および芳香族残基から選択されること;X207に相当する残基が酸性残基および極性残基から選択されること;X208に相当する残基が脂肪族残基、塩基性残基、および極性残基から選択されること;X271に相当する残基が酸性残基および極性残基から選択されること;X286に相当する残基が脂肪族残基、極性残基および小型残基から選択されること;ならびにX296に相当する残基が脂肪族残基および塩基性残基から選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む。
さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X27がPであること;X30がI、L、およびVから選択されること;X35がHであること;X37がI、L、T、およびVから選択されること;X57がMであること;X75がRであること;X103がF、M、およびWから選択されること;X185がF、I、およびMから選択されること;X207がEであること;X208がR、LおよびHから選択されること;X271がDであること;X286がM、V、およびGから選択されること;ならびにX296がV、L、およびRから選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む。いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X35が塩基性残基および極性残基から選択されること;ならびにX185が極性残基および脂肪族残基から選択されることを含むアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X35がHであること;ならびにX185がF、I、およびMから選択されることを含むアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号24で示されるアミノ酸配列と比較した場合に、X9、X19、X34、X35、X37、X46、X48、X66、X87、X103、X139、X190、X207、X216、X263、X271、X278およびX296から選択される少なくとも1つの残基位置に残基の差異を含んでなる。他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X9に相当する残基が芳香族残基であること;X19に相当する残基が塩基性残基および極性残基から選択されること;X34に相当する残基が拘束された残基、酸性残基、および極性残基から選択されること;X35に相当する残基が極性残基から選択されること;X46に相当する残基が脂肪族残基であること;X48に相当する残基が脂肪族残基であること;X66に相当する残基が脂肪族残基であること;X87に相当する残基が脂肪族残基および小型残基から選択されること;X103に相当する残基が芳香族残基から選択されること;X139に相当する残基が塩基性残基であること;X190に相当する残基が芳香族残基であること;X207に相当する残基が塩基性残基であること;X216に相当する残基が芳香族残基、塩基性残基、および極性残基から選択されること;X263に相当する残基が脂肪族残基、および極性残基から選択されること;X271に相当する残基が酸性残基および極性残基から選択されること;X278に相当する残基が脂肪族残基および芳香族残基から選択されること、ならびにX296に相当する残基が脂肪族残基および塩基性残基から選択されることのうち少なくとも1つを含むアミノ酸配列を含んでなる。
さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X9がYであること;X19がRであること;X34がE、NまたはPから選択されること;X35がSであること、X37がTであること;X46がI、LまたはVから選択されること;X48がLであること;X66がVであること;X87がAであること;X103がWまたはFから選択されること;X139がRであること;X190がYであること;X207がEであること;X216がNおよびWから選択されること;X263がTおよびAから選択されること;X271がDであること;X278がWおよびLから選択されること;ならびにX296がV、L、およびRから選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む。さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X9が芳香族残基であること、およびX87が脂肪族残基であることを含むアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X9がYであること;およびX87がAであることを含むアミノ酸配列を含んでなる。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X20、X28、X29、X30、X33、X34、X188、X216およびX286から選択される少なくとも1つの残基位置に、配列番号54で示されるアミノ酸配列とは異なる残基を含んでなるアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X20が脂肪族残基および塩基性残基から選択されること;X28に相当する残基が酸性残基、極性残基、および拘束された残基から選択されること;X29に相当する残基が酸性残基および極性残基から選択されること;X30に相当する残基が脂肪族残基であること;X33に相当する残基が芳香族残基であること;X34に相当する残基が小型残基であること;X188に相当する残基が小型残基および芳香族残基から選択されること;X216に相当する残基が極性残基であること、ならびにX286に相当する残基が脂肪族残基、小型残基、非極性残基および極性残基から選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号54で示されるアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X20がIおよびRから選択されること;X28がD、P、およびSから選択されること;X29がDであること;X30がVであること;X33がWであること;X34がGであること;X188がGおよびFから選択されること;X216がNであること、ならびにX286がS、M、V、GおよびAから選択されることから選択される少なくとも1つの特定の突然変異を含む。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X216が極性残基であるという特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X216がNであるという特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X10、X20、X22、X28、X30、X33、X36、X37、X46、X66、X75、X103、X197、X263、X266、X280、およびX290から選択される1つの残基位置に、配列番号68で示されるアミノ酸配列とは異なる残基を含んでなるアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X10に相当する残基が脂肪族残基であること;X20に相当する残基が脂肪族残基および塩基性残基から選択されること;X22に相当する残基が芳香族残基であること;X28に相当する残基が酸性残基、極性残基、および拘束された残基から選択されること;X30に相当する残基が脂肪族残基であること;X33に相当する残基が芳香族残基であること;X36に相当する残基が脂肪族残基または芳香族残基であること;X37に相当する残基が芳香族残基または小型残基であること;X46に相当する残基が塩基性残基であること;X66に相当する残基が極性残基であること;X75に相当する残基が塩基性残基であること;X103に相当する残基が芳香族残基であること;X197に相当する残基が脂肪族残基であること;X263に相当する残基が塩基性残基であること;X266に相当する残基が極性残基であること;X280に相当する残基が脂肪族残基および極性残基から選択されること;ならびにX290に相当する残基が脂肪族残基および芳香族残基から選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。
さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号68で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X10がLおよびMから選択されること;X20がIおよびRから選択されること;X22がWであること;X28がD、P、およびSから選択されること;X30がVであること;X33がWであること;X36がF、I、およびMから選択されること;X37がGおよびYから選択されること;X46がRであること;X66がTであること;X75がRであること;X103がWであること;X197がLであること;X263がRであること;X266がTであること;X280がMおよびTから選択されること;ならびにX290がWおよびIから選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X30が脂肪族残基であること、X33が芳香族残基であること、X75が塩基性残基であること、ならびにX103が芳香族残基であることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。さらに別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X30がVであること;X33がWであること;X75がRであること;ならびにX103がWであることを含むアミノ酸配列を含んでなる。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X28、X38、X46、X54、X66、X75、X85、X86、X96、X160、X176、X183、X188、X205、X212、X248、X249、X255、X270、およびX286から選択される1つの残基位置に、配列番号68で示されるアミノ酸配列とは異なる残基を含んでなるアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X28に相当する残基が酸性残基、極性残基、小型残基および拘束された残基から選択されること;X38に相当する残基が脂肪族残基および塩基性残基から選択されること;X46に相当する残基が酸性残基および塩基性残基から選択されること;X54に相当する残基が酸性残基および極性残基から選択されること;X66に相当する残基が極性残基であること;X75に相当する残基が塩基性残基であること;X85に相当する残基が芳香族残基または塩基性残基および小型残基から選択されること;X86に相当する残基が極性残基であること;X96に相当する残基が非極性残基および脂肪族残基から選択されること;X160に相当する残基が極性残基および拘束された残基から選択されること;X176に相当する残基が脂肪族残基、芳香族残基または塩基性残基および非極性残基から選択されること;X183に相当する残基が非極性残基であること;X188に相当する残基が芳香族残基および小型残基から選択されること;X205に相当する残基が芳香族残基であること;X212に相当する残基が酸性残基であること;X248に相当する残基が脂肪族残基であること;X249に相当する残基が芳香族残基であること;X255に相当する残基が極性残基であること;X270に相当する残基が脂肪族残基および極性残基から選択されること;ならびにX286に相当する残基が脂肪族残基、非極性残基、小型残基および極性残基から選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。
さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号68で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X28がC、D、S、H、P、GおよびRから選択されること;X38がEおよびLから選択されること;X46がK、RおよびQから選択されること;X54がR、Q、およびSから選択されること;X66がL、TおよびVから選択されること;X75がRであること;X85がGおよびHから選択されること;X86がTであること;X96がMおよびLから選択されること;X160がTおよびPから選択されること;X176がM、LおよびHから選択されること;X183がQであること;X188がGおよびFから選択されること;X205がFであること;X212がDであること;X248がVであること;X249がWであること;X255がNであること;X270がNおよびLから選択されること;ならびにX286がM、V、G、NおよびSから選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X28が極性残基であること、X38が塩基性残基であること、およびX85が小型残基であることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。さらに別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X28がCであること;X38がEであること;およびX85がGであることを含むアミノ酸配列を含んでなる。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X7、X22、X36、X38、X46、X54、X66、およびX75から選択される1つの残基位置に、配列番号100で示されるアミノ酸配列とは異なる残基を含んでなるアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X7に相当する残基が脂肪族残基であること;X22に相当する残基が脂肪族残基および芳香族残基から選択されること;X36に相当する残基が極性残基および非極性残基から選択されること;X38に相当する残基が芳香族残基であること;X46に相当する残基が極性残基および塩基性残基から選択されること;X54に相当する残基が極性残基および塩基性残基から選択されること;X66に相当する残基が極性残基であること;ならびにX75に相当する残基が塩基性残基および非極性残基から選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。
さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号100で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X7がLであること;X22がWおよびLから選択されること;X36がTおよびMから選択されること;X38がWであること;X46がKおよびQから選択されること;X54がS、Q、およびKから選択されること;X66がGおよびTから選択されること;ならびにX75がMおよびRから選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X36が極性残基であること、X38が芳香族残基であること、およびX75が塩基性残基であることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。さらに別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、以下の特徴:X36がTであること;X38がWであること;およびX75がRであることを含むアミノ酸配列を含んでなる。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X2、X181、およびX286から選択される1つの残基位置に、配列番号114で示されるアミノ酸配列とは異なる残基を含んでなるアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X2に相当する残基が脂肪族残基、塩基性残基、極性残基および芳香族残基から選択されること;X181に相当する残基が塩基性残基であること;ならびにX286に相当する残基が極性残基および非極性残基から選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。
さらに他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号114で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含んでなり、このアミノ酸配列は、X2がL、Q、R、およびHから選択されること;X181がQであること;ならびにX286がCおよびSから選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む。別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X286が非極性残基であることから選択される少なくとも1つの特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。さらに別の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、X286がCであるという特徴を含むアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126で示されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
さらなる側面において、本開示は、上記の改良された、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドのそれぞれをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施態様において、これらのポリヌクレオチドは、カルボキシエステラーゼポリペプチドの発現に関する1以上の制御配列を有する発現ベクターの一部であり得る。別の実施態様において、このポリヌクレオチドは、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、または125で示されるヌクレオチド配列のいずれか1つに相当する。
別の側面において、本開示は、操作されたカルボキシエステラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞または操作されたカルボキシエステラーゼを発現し得る発現ベクターを提供する。いくつかの実施態様において、宿主細胞は、大腸菌(E. coli)などの細菌宿主細胞であり得る。これらの宿主細胞は、本明細書に記載の操作されたカルボキシエステラーゼ酵素の発現および単離のために使用することができ、あるいは、宿主細胞はエステル基質の生成物への変換に直接使用することもできる。いくつかの実施態様において、操作されたアミドは、全細胞、粗抽出物、単離されたポリペプチド、または精製されたポリペプチドの形態で、個々に、種々の操作されたアミドの組合せとして使用することができる。
当業者ならば、酵素の製造の際に、特に、使用する細胞株および酵素の特定のアミノ酸配列によって、翻訳後修飾が起こり得ることを認識するであろう。例えば、このような翻訳後修飾は、特定のリーダー配列の切断、種々のグリコシル化およびリン酸化パターンにおける種々の糖部分の付加、脱アミド化、酸化、ジスルフィド結合スクランブル化、異性化、C末端リシンクリッピング、およびN末端グルタミン環化を含み得る。本発明は、1以上の翻訳後修飾を受けている、または受けた可能性のある操作されたカルボキシエステラーゼ酵素の使用を包含する。よって、本発明の操作されたカルボキシエステラーゼは、本明細書に記載されるものなどの翻訳後修飾を受けているものを含み得る。
脱アミド化は、主としてアスパラギン(N)をイソアスパラギン酸(イソアスパルタート)とアスパラギン酸(アスパルタート)(D)におよそ3:1比で変換する酵素反応である。従って、この脱アミド化反応は、アスパルタート(D)のイソアスパルタートへの異性化に関連する。アスパラギンの脱アミド化およびアスパルタートの異性化は両方とも、中間体スクシンイミドを伴う。程度ははるかに低いが、脱アミド化はグルタミン残基でも同様に生じ得る。
酸化は、製造および貯蔵中に(すなわち、酸化条件の存在下で)起こり得、反応性酸素種によって直接的に、または酸化ストレスの二次的副生成物との反応によって間接的に誘導されるタンパク質の共有結合的修飾を生じる。酸化は主としてメチオニン残基で起こるが、トリプトファン残基および遊離システイン残基において起こることもある。
ジスルフィド結合スクランブル化は、製造および塩基性貯蔵条件で起こり得る。特定の状況下で、ジスルフィド結合は破断または不適切に形成して、不対のシステイン残基(-SH)を生じることがある。これらの遊離(不対の)スルフヒドリル(-SH)がシャッフリングを促進し得る。
操作されたカルボキシエステラーゼ中のN末端グルタミン(Q)およびグルタマート(グルタミン酸)(E)は、環化を介してピログルタマート(pGlu)を形成する可能性がある。ほとんどのpGluの形成は製造中に起こるが、処理条件および貯蔵条件のpHおよび温度によって、非酵素的に形成される場合もある。
C末端リシンクリッピングは、カルボキシペプチダーゼにより触媒される酵素反応であり、酵素には共通に見られる。このプロセスの変形として、組換え宿主細胞に由来する酵素からのリシンの除去が含まれる。
本発明において、上記の一次アミノ酸配列における翻訳後修飾および変化は、操作されたカルボキシエステラーゼ酵素の活性に有意な変化を生じることは知られていない。
下表3に操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドの例を示すが、各列に2つの配列番号を挙げ、奇数は偶数によって示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を表す。残基の差異は、実施例6に示される野生型A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2に相当するカルボキシエステラーゼである配列番号2の参照配列との比較に基づく。活性の列において、活性増強のレベル(すなわち、「+」「++」「+++」など)は、以下のように定義した:「-」は、1`%未満の基質から生成物への変換率で、0.9%以下の変換率を示し(175μLの溶解液、TBME中、100mMのエステル、100mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「+」は、配列番号2の活性の少なくとも1.1~80倍で、配列番号4の活性を超えないことを示し(175μLの溶解液、TBME中、100mMのエステル、100mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「++」は、配列番号4の活性の少なくとも1.1~11倍で、配列番号18の活性を超えないことを示し(150μLの溶解液、MIBK中、200mMのエステル、200mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「+++」は、配列番号18の活性の少なくとも1.1~5倍で、配列番号54の活性を超えないことを示し(120μLの溶解液、MIBK中、300mMのエステル、300mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「++++」は、配列番号54の活性の少なくとも1.5~2倍で、配列番号68の活性を超えないことを示し(90μLの溶解液、MIBK中、300mMのエステル、300mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「+++++」は、配列番号68の活性の少なくとも1.1~2.0倍を示し(50μLの溶解液、MIBK中、300mMのエステル、300mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「$」は、配列番号68の活性の少なくとも1.1~2倍で、配列番号100の活性を超えないことを示し(50μLの溶解液、MIBK中、354mMのエステル、425mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「$$」は、配列番号100の活性の少なくとも1.1~5倍で、配列番号114の活性を超えないことを示し(50μLの溶解液、MIBK中、354mMのエステル、425mMのイソプロピルピペラジン、2%の水);「$$$」は、配列番号114の活性の少なくとも1.1~2倍を示す(50μLの溶解液、MIBK中、354mMのエステル、354mMのイソプロピルピペラジン、2%の水)。各場合において、活性は、実施例5に記載されるように、種々の量の溶解液を用いて決定し、溶解液をマルチウェル凍結乾燥および活性スクリーンに添加し、次いで、示された溶媒系にて200μLの容量で16時間にわたって示された濃度の基質と反応させた。
Figure 0007401435000008
Figure 0007401435000009
Figure 0007401435000010
Figure 0007401435000011
上記のように、いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126の参照配列と少なくとも約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一、またはそれを超える同一性のアミノ酸配列を含んでなる。いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号2に示されるカルボキシエステラーゼと比較した場合に、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~22、1~24、1~26、1~28、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55、1~60、または1~62の残基の差異を有し得る。いくつかの実施態様において、残基の差異の数は、配列番号2と比較した場合に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60、または62の差異であり得る。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126に基づく参照配列と少なくとも約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、8%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなり、ただし、改良されたカルボキシエステラーゼアミノ酸配列は、配列番号2と比較した場合に、表3に列挙されたポリペプチド配列のいずれか1つに含まれる残基の差異のセットのいずれか1つを含んでなる。いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、参照配列と比較した場合に、他のアミノ酸残基位置に、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~14、1~15、1~16、1~18、1~20、1~22、1~24、1~26、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55、1~60、または1~62の残基の差異をさらに有し得る。いくつかの実施態様において、差異の数は、他の残基位置において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、18、20、22、24、26、30、35、40、45、50、55、または62の残基の差異であり得る。いくつかの実施態様において、他の残基位置の残基の差異は、保存的アミノ酸残基による置換を含んでなる。
いくつかの実施態様において、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを、アミン基質の存在下で、水飽和MIBK中でHPLC-UVにより230nmで検出可能な生成物レベルまで変換することができる改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126の配列から選択されるアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号2のポリペプチドの2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、1000倍、10,000倍、100,000倍、500,000倍、785,000倍またはそれを超える活性で変換することができる。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号2のポリペプチドの50~100倍またはそれを超える活性で変換することができ、配列番号16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号24のポリペプチドの約1.1~5倍またはそれを超える活性で変換することができる。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号24のポリペプチドの約1.1~5倍またはそれを超える活性で変換することができ、配列番号36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126の配列に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号54のポリペプチドの約1.1~5倍またはそれを超える活性で変換することができる。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号54のポリペプチドの約1.1~5倍またはそれを超える活性で変換することができ、配列番号56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126の配列に相当する配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号68のポリペプチドの約1.1~6倍またはそれを超える活性で変換することができる。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号68のポリペプチドの約1.1~5倍またはそれを超える活性で変換することができ、配列番号76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126の配列に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号100のポリペプチドの約1.1~5倍またはそれを超える活性で変換することができる。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号100のポリペプチドの約1.7倍またはそれを超える活性で変換することができ、配列番号108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126の配列に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号114のポリペプチドの約1.1~2倍またはそれを超える活性で変換することができる。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、エステル基質を生成物に、配列番号114のポリペプチドの約1.1~5倍またはそれを超える活性で変換することができ、配列番号122、124、または126の配列に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、改良された操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、本明細書に記載の操作されたカルボキシエステラーゼポリペプチドの特定のアミノ酸残基に欠失を含んでなり得る。よって、本開示のカルボキシエステラーゼポリペプチドのそれぞれの実施態様に関して、欠失は、カルボキシエステラーゼ活性の機能活性が維持される限り、カルボキシエステラーゼポリペプチドの1以上のアミノ酸、2以上のアミノ酸、3以上のアミノ酸、4以上のアミノ酸、5以上のアミノ酸、6以上のアミノ酸、8以上のアミノ酸、10以上のアミノ酸、15以上のアミノ酸、または20以上のアミノ酸、アミノ酸総数の5%まで、アミノ酸総数の10%まで、アミノ酸総数の20%まで、またはアミノ酸総数の30%までを含んでなり得る。いくつかの実施態様において、欠失は、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~14、1~15、1~16、1~18、1~20、1~22、1~24、1~26、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55、1~60、または1~62までのアミノ酸残基を含んでなり得る。いくつかの実施態様において、欠失の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、18、20、22、24、26、30、35、40、45、50、55、60、または62までのアミノ酸であり得る。本明細書に記載されるように、本開示のカルボキシエステラーゼポリペプチドは、カルボキシエステラーゼポリペプチドが、例として、限定されるものではないが、抗体タグ(例えば、mycエピトープ)、精製配列(例えば、金属との結合のためのHisタグ)、および細胞局在シグナル(例えば、分泌シグナル)などの他のポリペプチドと融合されている融合ポリペプチドの形態であり得る。よって、カルボキシエステラーゼポリペプチドは、他のポリペプチドと融合させて、または融合させずに使用することができる。
本明細書に記載のポリペプチドは、遺伝的にコードされるアミノ酸に限定されない。遺伝的にコードされるアミノ酸に加え、本明細書に記載のポリペプチドは、全体的にまたは部分的に天然および/または合成非コードアミノ酸から構成され得る。本明細書に記載のポリペプチドを構成し得る一般的に遭遇するある特定の非コードアミノ酸としては、限定されるものではないが、遺伝的にコードされるアミノ酸のD-立体異性体;2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr);α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-アミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノ吉草酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコシン(MeGlyまたはSar);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(Bua);t-ブチルグリシン(Bug);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);2-クロロフェニルアラニン(Ocf);3-クロロフェニルアラニン(Mcf);4-クロロフェニルアラニン(Pcf);2-フルオロフェニルアラニン(Off);3-フルオロフェニルアラニン(Mff);4-フルオロフェニルアラニン(Pff);2-ブロモフェニルアラニン(Obf);3-ブロモフェニルアラニン(Mbf);4-ブロモフェニルアラニン(Pbf);2-メチルフェニルアラニン(Omf);3-メチルフェニルアラニン(Mmf);4-メチルフェニルアラニン(Pmf);2-ニトロフェニルアラニン(Onf);3-ニトロフェニルアラニン(Mnf);4-ニトロフェニルアラニン(Pnf);2-シアノフェニルアラニン(Ocf);3-シアノフェニルアラニン(Mcf);4-シアノフェニルアラニン(Pcf);2-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Otf);3-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Mtf);4-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Ptf);4-アミノフェニルアラニン(Paf);4-ヨードフェニルアラニン(Pif);4-アミノメチルフェニルアラニン(Pamf);2,4-ジクロロフェニルアラニン(Opef);3,4-ジクロロフェニルアラニン(Mpcf);2,4-ジフルオロフェニルアラニン(Opff);3,4-ジフルオロフェニルアラニン(Mpff);ピリド-2-イルアラニン(2pAla);ピリド-3-イルアラニン(3pAla);ピリド-4-イルアラニン(4pAla);ナフト-1-イルアラニン(1nAla);ナフト-2-イルアラニン(2nAla);チアゾリルアラニン(taAla);ベンゾチエニルアラニン(bAla);チエニルアラニン(tAla);フリルアラニン(fAla);ホモフェニルアラニン(hPhe);ホモチロシン(hTyr);ホモトリプトファン(hTrp);ペンタフルオロフェニルアラニン(5ff);スチリルアラニン(styrylkalanine)(sAla);アントリルアラニン(authrylalanine)(aAla);3,3-ジフェニルアラニン(Dfa);3-アミノ-5-フェニルペンタン酸(phenypentanoic acid)(Afp);ペニシラミン(Pen);1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);β-2-チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(Mso);N(w)-ニトロアルギニン(nArg);ホモリシン(hLys);ホスホノメチルフェニルアラニン(pmPhe);ホスホセリン(pSer);ホスホトレオニン(pThr);ホモアスパラギン酸(hAsp);ホモグルタミン酸(hGlu);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4カルボン酸;ピペコリン酸(PA)、アゼチジン-3-カルボン酸(ACA);1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸;アリルグリシン(aOly);プロパルギルグリシン(pgGly);ホモアラニン(hAla);ノルバリン(nVal);ホモロイシン(hLeu)、ホモバリン(hVal);ホモイソロイシン(hIle);ホモアルギニン(hArg);N-アセチルリシン(AcLys);2,4-ジアミノ酪酸(Dbu);2,3-ジアミノ酪酸(Dab);N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)およびホモプロリン(hPro)が含まれる。本明細書に記載のポリペプチドを構成し得るさらなる非コードアミノ酸は当業者には明らかであろう(例えば、Fasman, 1989, CRC Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology, CRC Press, Boca Raton, FL, at pp. 3-70およびそこに引用されている参照文献に示されている種々のアミノ酸を参照)。これらのアミノ酸はL型またはD型であり得る。
当業者は、側鎖保護基を有するアミノ酸または残基もまた、本明細書に記載のポリペプチドを構成し得ることを認識するであろう。そのような保護されたアミノ酸(この場合、芳香族のカテゴリーに属する)の限定されない例(保護基が括弧内に列挙される)としては、限定されるものではないが、Arg(tos)、Cys(メチルベンジル)、Cys(ニトロピリジンスルフェニル)、Glu(δ-ベンジルエステル)、Gln(キサンチル)、Asn(N-δ-キサンチル)、His(bom)、His(ベンジル)、His(tos)、Lys(fmoc)、Lys(tos)、Ser(O-ベンジル)、Thr(O-ベンジル)およびTyr(O-ベンジル)が挙げられる。
本明細書に記載のポリペプチドを構成し得る立体配座的に拘束された非コードアミノ酸としては、限定されるものではないが、N-メチルアミノ酸(L型);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4-カルボン酸;ピペコリン酸;アゼチジン-3-カルボン酸;ホモプロリン(hPro);および1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸が挙げられる。
上記のように、操作されたカルボキシエステラーゼ酵素を作出するために天然ポリペプチド導入される種々の改変は、活性、その基質に対する特異性、および熱安定性などの酵素の特定の特性に影響を与えることを目的とし得る。
別の側面において、本開示は、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。これらのポリヌクレオチドは、そのカルボキシエステラーゼポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを作出するために遺伝子発現を制御する1以上の異種調節配列と作動可能に連結してもよい。操作されたカルボキシエステラーゼをコードする異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物は、対応するカルボキシエステラーゼポリペプチドを発現するように適当な宿主細胞に導入することができる。
種々のアミノ酸に対応するコドンの知識のために、タンパク質配列の利用可能性は、対象をコードすることができる総てのポリヌクレオチドの説明を提供する。同じアミノ酸が別のコドンまたは同義コドンによってコードされる遺伝コードの縮重により、その総てが本明細書に開示される改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードする極めて多数の核酸を作製することが可能になる。従って、特定のアミノ酸配列を同定したならば、当業者は、そのタンパク質のアミノ酸配列を変化させずに1つ以上のコドンの配列を単純に改変することによって、任意の数の異なる核酸を作製することができる。この点において、本開示は、可能性のあるコドン選択に基づいて組合せを選択することによって作出することができる、ポリヌクレオチドの可能性のあるそれぞれの変種を具体的に企図し、そのような変種は総て、表3に示されるアミノ酸配列を含め、本明細書に開示されるいずれのポリペプチドに関しても具体的に開示されていると見なされるべきである。
いくつかの実施態様において、これらのポリヌクレオチドは、そのタンパク質が産生されている宿主細胞に適合するように選択されるコドンを含んでなるように選択および/または操作することができる。例えば、細菌において使用される好ましいコドンは、細菌における遺伝子の発現のために使用され;酵母において使用される好ましいコドンは、酵母における発現のために使用され;哺乳動物において使用される好ましいコドンは、哺乳動物細胞における発現のために使用される。カルボキシエステラーゼのコドン使用頻度を最適化するために総てのコドンを置換する必要があるわけでないので(例えば、天然配列が好ましいコドンを持っている場合があるので、また、好ましいコドンの使用が総てのアミノ酸残基に必要とされるわけでないので)、カルボキシエステラーゼポリペプチドをコードする、コドンが最適化されたポリヌクレオチドは、全長コード領域の約40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超えるコドンの位置に好ましいコドンを含み得る。
いくつかの実施態様において、このポリヌクレオチドは、配列番号4の参照配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一の、またはそれを超える同一性のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなるカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、アミン基質の存在下でエステル基質を、A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2由来の配列番号2のカルボキシエステラーゼの活性に比べて改善されている活性で変換することができる。
いくつかの実施態様において、このポリヌクレオチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126に相当するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドと少なくとも約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなるカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、アミン基質である1-イソプロピルピペラジンの存在下で、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを生成物である(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンに変換する上で少なくとも1つの改善された特性を有する。いくつかの実施態様において、コードされるカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号2のポリペプチドの活性と同等以上の活性を有する。
いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126に基づく参照配列と少なくとも約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなるカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードし、ただし、改良されたカルボキシエステラーゼアミノ酸配列は、配列番号2と比較した場合に、表3に列挙されたポリペプチド配列のいずれか1つに含まれる残基の差異のセットのいずれか1つを含んでなる。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、または125から選択される。
いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、もしくは125を含んでなるポリヌクレオチド、またはその相補物と高ストリンジェント条件下でハイブリダイズすることができ、高ストリンジェントでハイブリダイズするポリヌクレオチドは、アミン基質の存在下、配列番号2のポリペプチドと同等以上の活性で生成物に変換することができるカルボキシエステラーゼポリペプチドをコードする。
いくつかの実施態様において、これらのポリヌクレオチドは、本明細書に記載のポリペプチドをコードするが、本明細書に記載の操作されたカルボキシエステラーゼをコードする参照ポリヌクレオチドとヌクレオチドレベルで約80%以上の配列同一性、約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の配列同一性を有する。いくつかの実施態様において、参照ポリヌクレオチドは、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、または125から選択される。
いくつかの実施態様において、カルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号122で示されるアミノ酸配列を含んでなる。別の実施態様において、本開示は、配列番号122で示されるカルボキシエステラーゼポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。さらに別の実施態様において、本開示は、カルボキシエステラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供し、このポリヌクレオチドは、配列番号121で示されるポリヌクレオチド配列を含んでなる。さらに別の実施態様において、このカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号122で示されるポリペプチド配列からなる。別の実施態様において、このカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号122の残基2~310からなる。
このようなポリペプチドをコードする改良されたカルボキシエステラーゼおよびポリヌクレオチドは、当業者に慣用されている方法を用いて製造することができる。上記のように、親配列配列番号2が由来した野生型カルボキシエステラーゼ酵素A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2をコードする天然アミノ酸配列および対応するポリヌクレオチドは、WO02/057411(配列番号10参照)で入手可能である。いくつかの実施態様において、親ポリヌクレオチド配列は、明示された宿主細胞においてカルボキシエステラーゼの発現を増強するようにコドンが最適化されている。操作されたカルボキシエステラーゼは、天然カルボキシエステラーゼをコードするポリヌクレオチドに突然変異誘発および/または指向性進化法を行うことによって得ることができる。指向性進化技術の例は、Stemmer, 1994, Proc Natl Acad Sci USA 91:10747-10751;WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767;および米国特許第6,537,746号に記載されているように、突然変異誘発および/またはDNAシャッフリングである。
使用可能な他の指向性進化法としては、とりわけ、付着伸長プロセス(staggered extension process)(StEP)、in vitro組換え(Zhao, et al., 1998, Nat. Biotechnol. 16:258-261)、変異誘発PCR(Caldwell, et al., 1994, PCR Methods Appl. 3:S136-S140)、およびカセット変異誘発(Black, et al., 1996, Proc Natl Acad Sci USA 93:3525-3529)が挙げられる。本明細書の目的に有用な変異誘発および指向性進化技術は、以下の参照文献にも記載されている:Ling, et al., 1997, “Approaches to DNA mutagenesis: an overview,” Anal. Biochem. 254(2):157-78; Dale, et al., 1996, “Oligonucleotide-directed random mutagenesis using the phosphorothioate method,” Methods Mol. Biol. 57:369-74; Smith, 1985, “In vitro mutagenesis,” Ann. Rev. Genet. 19:423-462; Botstein, et al., 1985, “Strategies and applications of in vitro mutagenesis,” Science 229:1193-1201; Carter, 1986, “Site-directed mutagenesis,” Biochem. J. 237:1-7; Kramer, et al., 1984, “Point Mismatch Repair,” Cell 38:879-887; Wells, et al., 1985, “Cassette mutagenesis: an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites,” Gene 34:315-323; Minshull, et al., 1999, “Pro
tein evolution by molecular breeding,” Curr Opin Chem Biol 3:284-290; Christians, et al., 1999, “Directed evolution of thymidine kinase for AZT phosphorylation using DNA family shuffling,” Nature Biotech 17:259-264; Crameri, et al., 1998, “DNA shuffling of a family of genes from diverse species accelerates directed evolution,” Nature 391:288-291; Crameri, et al., 1997, “Molecular evolution of an arsenate detoxification pathway by DNA shuffling,” Nature Biotech 15:436-438; Zhang, et al., 1997, “Directed evolution of an effective fructosidase from a galactosidase by DNA shuffling and screening,” Proc Natl Acad Sci USA 94:45-4-4509; Crameri, et al., 1996, “Improved green fluorescent protein by molecular evolution using DNA shuffling,’ Nature Biotech 14:315-319; and Stemmer, 1994, “Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling,” Nature 370:389-391。
いくつかの実施態様において、変異誘発処理後に得られたクローンは、所望の改善された酵素特性を有するカルボキシエステラーゼに関してスクリーニングされる。発現ライブラリーからのカルボキシエステラーゼ酵素活性の測定は、生成物の分離(例えば、HPLCによる)および分離された基質および生成物のUV吸光度の測定による生成物の検出および/またはタンデム質量分析(例えば、MS/MS)を用いた検出などの標準的な技術を用いて行うことができる。アッセイ例を以下の実施例4に記載する。単位時間当たりの目的生成物の増加速度は、固定量の溶解液(またはそれから作製された凍結乾燥粉末)中のカルボキシエステラーゼポリペプチドの相対的(酵素)活性を示す。酵素特性の所望の改善が熱安定性である場合には、酵素活性は、酵素調製物を規定の温度に曝した後に、熱処理の後に残留する酵素活性の量を測定して測定され得る。次いで、所望のカルボキシエステラーゼをコードするポリヌクレオチドを含有するクローンを単離し、配列決定を行ってヌクレオチド配列の変化(もしあれば)を同定し、宿主細胞において酵素を発現させるために使用する。
当技術分野で周知の他の実施態様において、酵素は、中立ドリフト(neutral drift)の技術によるなど、それらの標的活性を維持しつつ遺伝的に多様化させてもよい。
操作されたポリペプチドの配列が、公知である場合、その酵素をコードするポリヌクレオチドは、公知の合成法に従って、標準的な固相法によって作製することができる。いくつかの実施態様において、約100塩基までのフラグメントが個々に合成され、次いで、連結し(例えば、酵素的もしくは化学的なリチゲーション(litigation)法、またはポリメラーゼ媒介法による)、任意の所望の連続した配列を形成することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、例えば、通常、自動化された合成方法で実施されるように、例えば、Beaucage, et al., 1981, Tet Lett 22:1859-69が記載している古典的ホスホルアミダイト法またはMatthes, et al., 1984, EMBO J. 3:801-05が記載している方法を使用する化学合成によって作製することができる。ホスホルアミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置において合成され、精製され、アニールされ、ライゲートされ、適切なベクターにクローニングされる。さらに、本質的にいずれの核酸も、The Great American Gene Company、Ramona、CA、ExpressGen Inc、シカゴ、IL、Operon Technologies Inc、アラミダ、CA、およびその他多数の様々な商業ソースのいずれかから入手することができる。
宿主細胞において発現された操作されたカルボキシエステラーゼ酵素は、とりわけ、リゾチーム処理、音波処理、濾過、塩析、超遠心分離、およびクロマトグラフィーを含むタンパク質精製のための周知の技術のいずれか1以上を用い、細胞および/または培養培地から回収することができる。溶解および大腸菌などの細菌からのタンパク質の高効率抽出に好適な溶液は、セントルイス、MOのSigma-Aldrichから商標CelLytic BTMとして市販されている。
カルボキシエステラーゼポリペプチドの単離のためのクロマトグラフィー技術としては、とりわけ、逆相クロマトグラフィー 高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、およびアフィニティークロマトグラフィーが含まれる。特定の酵素を精製するための条件は、ある程度、正味電荷、疎水性、親水性、分子量、分子形状などの因子によって異なり、当業者には自明であろう。いくつかの実施態様において、操作されたカルボキシエステラーゼは、金属に対して親和性を有するHisタグ、または抗体との結合のための抗体タグ、例えば、mycエピトープタグなどの精製タグとの融合タンパク質として発現させることができる。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼ酵素を精製するために親和性技術が使用され得る。アフィニティークロマトグラフィー精製のためには、カルボキシエステラーゼポリペプチドと特異的に結合するいずれの抗体も使用可能である。抗体の生産のためには、限定されるものではないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含む種々の宿主動物を、操作されたポリペプチドを注射することによって免疫することができる。このポリペプチドは、側鎖官能基または側鎖官能基に結合されているリンカーによってBSAなどの好適な担体に結合させ得る。宿主種に応じて、限定されるものではないが、フロイントの(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルション、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールなどの界面活性物質、ならびにBCG(bacilli Calmette Guerin)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントを含む様々なアジュバントが免疫応答を増強するために使用可能である。
さらなる側面において、本明細書に記載の改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、アミン基質の存在下で特定のアミド基アクセプター(例えば、エステル基質)をアミド化するための方法において使用可能である。
いくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼは、
(a)R-COOR〔Rが0~3個のアルキル置換基を有するsp炭素および芳香環から選択され、かつ、Rがメチル基;エチル基;および1~6炭素アルキル鎖から選択される〕の構造のエステル;
(b)アミン基質;
(c)改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチド;ならびに
(d)溶媒
を含有する成分を合わせる、アミドを製造するための方法において使用可能である。
一つの実施態様において、溶媒は、約0.5%(vol/vol)~約3%(vol/vol)の量のエステル基質に対して3モル当量までの水を含有する有機溶媒である。
この方法のいくつかの実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼは、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、および126から選択される。
他の実施態様において、改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチドは、(a)R-COOR〔Rが0~3個のアルキル置換基を有するsp炭素および芳香環から選択され、かつ、Rがメチル基;エチル基;および1~6炭素アルキル鎖から選択される〕の構造のエステル基質;(b)アミン基質;(c)上記の改良されたカルボキシエステラーゼポリペプチド;ならびに(d)溶媒を含有する成分を合わせる、アミド分子を作製するための方法で使用することができる。この方法の別の実施態様において、有機溶媒が使用される。一つの実施態様において、有機溶媒は、トルエン;2-メチルテトラヒドロフラン;テトラヒドロフラン;ジメチルアセトアミド;メチルイソブチルケトン(MIBK);ジクロロメタン;tert-ブチルメチルエーテル;シクロペンチルメチルエーテル;メチルシクロヘキサン;ジクロロメタン;アセトニトリル;メチルエチルケトン;酢酸イソプロピル;エタノール;イソプロパノール;酢酸エチル;ヘプタン;キサンタン(xathane);および2-メチルテトラヒドロフラン(2-Me-THF);および水から選択される。さらに別の実施態様において、有機溶媒は、約0.5%(vol/vol)~約3%(vol/vol)の量のエステル基質に対して3モル当量までの水を含有する。この方法の別の実施態様において、工程(c)におけるカルボキシエステラーゼポリペプチドは、反応中にその物理的形態を安定化させるために塩の存在下で製造される。さらに別の実施態様において、塩は付加的反応成分として添加される。この方法の一つの実施態様において、エステルは、式:
Figure 0007401435000012
を有するオキサゾール-5-カルボン酸エチルであり;アミン基質は、式:
Figure 0007401435000013
を有する1-イソプロピルピペラジンであり;アミドは、式:
Figure 0007401435000014
を有する(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンである。
この方法のさらに別の実施態様において、エステルは、式:
Figure 0007401435000015
を有するオキサゾール-5-カルボン酸エチルであり、アミン基質は、式:
Figure 0007401435000016
を有するシス-2,6-ジメチルモルホリンであり、アミドは、式:
Figure 0007401435000017
を有する((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)(オキサゾール-5-イル)メタノンである。
別の実施態様において、この方法におけるこの反応物は、約50g/Lのオキサゾール-5-カルボン酸エチル、44g/Lの1-イソプロピルピペラジン、および約25g/Lの、配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126のアミノ酸配列に相当するカルボキシエステラーゼポリペプチドを含んでなり、このカルボキシエステラーゼは、硫酸ナトリウムの存在下で製造され、MIBK中約10g/L~約20g/Lの水の存在下で働く。
いくつかの実施態様において、本発明は、改良されたカルボキシエステラーゼを用いてこれらの方法によって作製されるアミドである。別の実施態様において、本発明は、アミドである、式:
Figure 0007401435000018
を有する4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンであり、式IIIのアミドが上記の方法により作製される。
別の実施態様において、本発明は、アミドである、式:
Figure 0007401435000019
を有する((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)(オキサゾール-5-イル)メタノンであり、式Vのアミドが上記の方法により作製される。
式I(Astatech、AS-23210)、式II(Oakwood Products Inc、OAK-008910)、および式IV(Oakwood Products Inc、OAK-091224)の化合物は商業的供給者から入手した。
いくつかの実施態様において、この方法は、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを、好適な反応条件下、アミン基質の存在下で、改良されたカルボキシエステラーゼと接触させるか、またはそれとともにインキュベートして、配列番号2の場合の約50~約785,000倍またはそれを超える変換率および/または活性で、エステル基質を生成物(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノンに変換することを含んでなる。ポリペプチド例は、配列番号16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、または126に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
上記の方法のいくつかの実施態様において、この方法を行うための反応溶媒は、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)または2-メチルテトラヒドロフラン(2-Me-THF)から選択される。
上記の方法のいくつかの実施態様において、反応のための酵素調製物は、リン酸カリウム(KPi)、硫酸カリウム、または硫酸ナトリウムのうち1つから選択される塩を含む。
いくつかの実施態様において、この方法を行うための反応条件は、約15℃~約30℃の温度を含んでなり得る。一つの実施態様において、この方法において使用されるアミン基質は、キラルアミンまたはアキラルアミンであり得る。アキラルアミン基質は、その反応において特定の立体異性体に限定されない、従って、アミン基質をそれほど必要としないという利点を有する。種々の好適なアミン基質が使用可能であり、例として、限定されるものではないが、1-イソプロピルピペラジンおよびシス-2,6-ジメチルモルホリンが挙げられる。いくつかの実施態様において、他のアミン基質も使用可能であり、とりわけ、α-フェネチルアミン(1-フェニルエタンアミンとも呼ばれる)、およびその鏡像異性体(S)-1-フェニルエタンアミンおよび(R)-1-フェニルエタンアミン、2-アミノ-4-フェニルブタン、グリシン、L-グルタミン酸、L-グルタマート、グルタミン酸一ナトリウム、L-アスパラギン酸、L-リシン、L-オルニチン、β-アラニン、タウリン、n-オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、6-アミノヘキサン酸、4-アミノ酪酸、チラミン、およびベンジルアミン、2-アミノブタン、2-アミノ-1-ブタノール、1-アミノ-1-フェニルエタン、l-アミノ-1-(2-メトキシ-5-フルオロフェニル)エタン、1-アミノ-1-フェニルプロパン、1-アミノ-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1-アミノ-1-(4-ブロモフェニル)プロパン、1-アミノ-1-(4-ニトロフェニル)プロパン、l-フェニル-2-アミノプロパン、1-(3-トリフルオロメチルフェニル)-2-アミノプロパン、2-アミノプロパノール、l-アミノ-l-フェニルブタン、l-フェニル-2-アミノブタン、1-(2,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-2-アミノブタン、l-フェニル-3-アミノブタン、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3-アミノブタン、1-アミノ-2-メチルシクロペンタン、l-アミノ-3-メチルシクロペンタン、l-アミノ-2-メチルシクロヘキサン、l-アミノ-1-(2-ナフチル)エタン、3-メチルシクロペンチルアミン、2-メチルシクロペンチルアミン、2-エチルシクロペンチルアミン、2-メチルシクロヘキシルアミン、3-メチルシクロヘキシルアミン、1-アミノテトラリン、2-アミノテトラリン、2-アミノ-5-メトキシテトラリン、および1-アミノインダンが挙げられ、可能であれば、(R)および(S)両方の単一異性体が含まれる。
いくつかの実施態様において、エステル基質であるオキサゾール-5-カルボン酸エチルを変換するための方法は、約36mL/Lのエステル基質をMIBK中、43mL/Lの1-イソプロピルピペラジンの存在下、約30℃の温度で、約20g/Lの本明細書に記載のカルボキシエステラーゼと接触させることを含んでなり、そのエステル基質の少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、96%、または98%以上が24時間で生成物に変換される。いくつかの実施態様において、上記反応を行うことができるカルボキシエステラーゼポリペプチドは、配列番号122に相当するアミノ酸配列を含んでなる。
いくつかの実施態様において、上記の方法は、構造式IIIの化合物または構造式Vの化合物を反応溶媒から単離する工程をさらに含んでなり得る。
また、本明細書において、カルボキシエステラーゼおよび基質/生成物の組成物も提供される。いくつかの実施態様において、これらの組成物は、式IIIまたは化合物Vの化合物、および本開示の改良されたカルボキシエステラーゼを含んでなり得る。
改良された、操作されたカルボキシエステラーゼのいずれか1以上がこの組成物の一部であり得る。
本開示の種々の特徴および実施態様を以下の代表的実施例に示すが、これらは例示であって限定を意図するものではない。
実施例1:A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2野生型カルボキシエステラーゼ遺伝子の獲得および発現ベクターの構築
カルボキシエステラーゼ(CE)コード遺伝子は、カルボキシエステラーゼであるA.アシドカルダリウ・エステラーゼ2(配列番号2)の報告されているアミノ酸配列、および特許出願US2008/0248539の実施例1に記載されるコドン最適化アルゴリズムに基づいて、大腸菌で発現させるために設計した。オリゴヌクレオチドを個別に合成した後、一般に42のヌクレオチドから構成されるオリゴヌクレオチドを用いて連結した。次に、この遺伝子を発現ベクターpCK110900(米国出願2006/195947の図3に示される、両方ともあらゆる目的でそれらの全内容が引用することにより本明細書の一部とされる)内の、lacプロモーターの制御下にクローニングした。この発現ベクターは、P15a複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子も含む。得られたプラスミドを、標準的な方法を用いて大腸菌W3110に形質転換した。コドンが最適化された遺伝子およびコードされるポリペプチドをそれぞれ表3および以下の配列表に配列番号1および2として示す。
同様に、表3に挙げられている(配列番号3~94)本開示の操作されたカルボキシエステラーゼをコードする遺伝子を、大腸菌W3110で発現させるためにベクターpCK110900にクローニングした。
実施例2:カルボキシエステラーゼ粉末の生産-振盪フラスコ法
対象とするカルボキシエステラーゼをコードするプラスミドを含有する大腸菌の単一の微生物コロニーを30μg/mLのクロラムフェニコールおよび1%のグルコースを含有する50mLのLuria Bertoni培養液に植え込んだ。細胞をインキュベーター内で30℃にて250rpmで振盪しながら一晩(少なくとも16時間)増殖させた。培養物を、30μg/mLのクロラムフェニコールを含有する1000mLのTerrific培養液で希釈してOD600およそ0.2とし、30℃にて250rpmで振盪しながら増殖させた。カルボキシエステラーゼ遺伝子の発現は、培養物のOD6000.6~0.8となった際に終濃度1mMまでイソプロピルβD-チオガラクトシド(IPTG)を添加することにより誘導し、その後、インキュベーションを一晩(少なくとも16時間)続けた。遠心分離(3738RCF、20分、4℃)によって細胞を採取し、上清を廃棄した。ペレットを-80℃で2時間凍結させた。次に、ペレットを解凍し、最終ペレット質量1グラム当たり3mLの硫酸ナトリウムバッファー(水中15g/Lの無水硫酸ナトリウムからなる)に再懸濁させた(例えば、10gの凍結ペレットを30mLの硫酸ナトリウムバッファーに懸濁させる)。細胞残渣を遠心分離(15,777RCF、40min、4℃)により除去した。透明な溶解液の上清を回収し、プールし、凍結乾燥させて粗カルボキシエステラーゼ酵素の乾燥粉末を得た。
実施例3:カルボキシエステラーゼ粉末の生産-発酵法
凍結ワーキングストック(対象とするカルボキシエステラーゼ遺伝子を有するプラスミドを含有する大腸菌)のアリコートを冷凍庫から取り出し、室温で解凍させた。1Lフラスコにて、このワーキングストック300μLを、30μg/mlのクロラムフェニコールおよび1%のグルコースを含有する250mlのM9YE培養液(1.0g/Lの塩化アンモニウム、0.5g/Lの塩化ナトリウム、6.0g/Lのリン酸一水素二ナトリウム、3.0g/Lのリン酸二水素カリウム、2.0g/LのTastone-154酵母抽出物、1L/Lの脱イオン水)の一次シードステージに植え込んだ。26℃にて220pmで振盪しながら増殖させた。培養物のOD600が0.5~1.0となった際にフラスコをインキュベーターから取り出し、すぐに二次シードステージを植え込むために使用した。
二次シードステージは、ベンチスケールの5Lファーメンターにて、120℃で40分間滅菌した4Lの増殖培地(0.88g/Lの硫酸アンモニウム、0.98g/Lのクエン酸ナトリウム;12.5g/Lのリン酸水素二カリウム三水和物、6.25g/Lのリン酸二水素カリウム、3.3g/LのSpringer 0251酵母抽出物、0.083g/Lのクエン酸アンモニウム第二鉄、0.5mL/Lの消泡剤、ならびに2g/Lの塩化カルシウム二水和物、2.2g/Lの硫酸亜鉛七水和物、0.5g/Lの硫酸マンガン一水和物、1g/Lの硫酸第一銅七水和物、0.1g/Lのモリブデン酸アンモニウム四水和物および0.02g/Lの四ホウ酸ナトリウムを含有する8.3ml/Lの微量元素溶液)を用いて行った。ファーメンターにOD0.5~1.0の一次シード2mlを植え込み、30℃、300rpmおよび0.5vvmの曝気でインキュベートした。培養物のOD600が0.5~1.0 OD600となった際に、二次シードをすぐに最終ステージの発酵に移行した。
最終ステージの発酵は、ベンチスケールにて、10Lのファーメンターで、121Cで40分間滅菌し、滅菌後に20g/Lのグルコース一水和物、0.48g/Lの塩化アンモニウムおよび0.204g/Lの硫酸マグネシウム七水和物を補った6Lの増殖培地(0.88g/Lの硫酸アンモニウム、0.98g/Lのクエン酸ナトリウム;12.5g/Lのリン酸水素二カリウム三水和物、6.25g/Lのリン酸二水素カリウム、3.3g/LのSpringer 0251酵母抽出物、0.083g/Lのクエン酸アンモニウム第二鉄、0.5mL/Lの消泡剤、ならびに2g/Lの塩化カルシウム二水和物、2.2g/Lの硫酸亜鉛七水和物、0.5g/Lの硫酸マンガン一水和物、1g/Lの硫酸第一銅七水和物、0.1g/Lのモリブデン酸アンモニウム四水和物および0.02g/L四ホウ酸ナトリウムを含有する8.3ml/Lの微量元素溶液)中で行った。ファーメンターにOD600 0.5~1.0の二次シード500mlを植え込み、30Cおよび1.6vvmの曝気でインキュベートした。溶存酸素は、300~950rpmの可変振盪速度によって30%に制御した。pHは、20%v/vの水酸化アンモニウムに添加によって7.0に維持した。培養物の増殖は、500g/Lのグルコース一水和物、12g/Lの塩化アンモニウムおよび5.1g/Lの硫酸マグネシウム七水和物を含有する供給溶液を添加することによって維持した。
培養物がOD600 80+/-10に達した後に、カルボキシエステラーゼの発現を、イソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)を終濃度1mMまで添加することによって誘導し、発酵をさらに24時間続けた。次に、培養物を8℃に冷却し、採取するまでこの温度で維持した。Sorvall RC12BP遠心機にて4℃、5000Gで40分の遠心分離によって細胞を回収した。採取した細胞ペレットを次いで-80℃で凍結させ、以下に記載されるような下流の処理および再生まで保存した。
ペレットを-80℃で2時間凍結させた。次に、ペレットを解凍し、最終ペレット質量1グラム当たり3mLの硫酸ナトリウムバッファー(水中15g/Lの無水硫酸ナトリウムからなる)に再懸濁させた(例えば、10gの凍結ペレットを30mLの硫酸ナトリウムバッファーに懸濁させる)。再懸濁の後に、細胞を200umのメッシュで濾過した後、12000psigでマイクロフルイダイザーに2回通した。細胞残渣を遠心分離(15,777RCF、40min、4℃)により除去した。透明な溶解液の上清を回収し、プールし、凍結乾燥させて粗カルボキシエステラーゼ酵素の乾燥粉末を得た。カルボキシエステラーゼ粉末を-80℃で保存した。
実施例4:水性条件下でエステル基質をアミドに変換することができるA.アシドカルダリウス・エステラーゼ2の変異体の同定のためのハイスループット分析法
エステル基質IのアミドIIIへの変換を判定するためのUPLC法: 式Iのエステル基質(市販、CAS番号118994-89-1)の式IIIのアミドへの酵素的変換は、流速2mL/分、カラム温度60℃で、水中5mMのNHAc(移動相A)およびアセトニトリル(移動相B)の勾配を用いるAgilent Zorbax RRHD Eclipse Plus Phenyl-Hexylカラム(3.0×50mm、1.8μm)を備えたAgilent 1290 UPLCを用いて判定した。99.9:0.1比のA:Bから始め、この方法は、0.25分保持、その後、80:20 A:Bへの0.05分勾配、その後、60:40 A:Bへの0.5分勾配、次いで、0:100 A:Bへの0.1分のパージ勾配、0:100 A:Bでの0.2分の保持、および99.9:0.1 A:Bへの0.1分勾配、最後に99.9:0.1 A:Bで0.3分保持に従った。化合物の溶出を210nmおよび230nmでモニタリングし、エステルは0.56分に溶出し、アミドは0.52分に溶出し、反応の酸副生成物は0.14分の溶媒前線付近の狭いピークとして溶出する。
式Iのエステル基質の式IIIのアミドへの変換を判定するためのUPLC法: 式Iのエステル基質の式IIIのアミドへの酵素的変換は、流速2mL/分、カラム温度60℃で、水中0.05%TFA(移動相A)およびアセトニトリル中0.05%TFA(移動相B)の勾配を用いるAgilent Zorbax SB-C18 RRHDカラム(3.0×50mm、1.8μm)を備えたAgilent 1290 UPLCを用いて判定した。99.9:0.10比のA:Bから始め、この方法は、0.25分保持、その後、80:20 A:Bへの0.0.25分勾配、その後、100:0 A:Bへの0.1分勾配、その後、0.1分保持、その後、99.9:0.1 A:Bへの0.1分勾配、その後、0.2分保持に従った。化合物の溶出を210nmおよび230nmでモニタリングし、エステルは0.53分に溶出し、アミドは0.23分に溶出し、反応の酸副生成物は0.2分の溶媒前線付近の狭いピークとして溶出し、1uLの注入容量とした。
式Iのエステル基質の式Vのアミドへの変換を判定するためのUPLC法: 式Iのエステル基質の式Vのアミドへの酵素的変換は、流速1.5mL/分、カラム温度60℃で、水中0.05%TFA(移動相A)およびアセトニトリル中0.05%TFA(移動相B)の勾配を用いるAgilent Zorbax SB-C18カラム(3.0×50mm、1.8μm)を備えたAgilent 1290 UPLCを用いて判定した。80:20比のA:Bで始め、この方法は、0.9分保持、その後、0:100 A:Bへの0.1分勾配、その後、80:20 A:Bへの0.1分勾配、その後、0.4分保持に従った。化合物の溶出を210nmおよび230nmでモニタリングし、エステルは0.5分に溶出し、アミドは0.39分に溶出し、反応の酸副生成物は0.14分の溶媒前線付近の狭いピークとして溶出する。
実施例5:エステル基質をアミドに変換することができるA.アシドカルダリウス・エステラーゼ2の変異体の同定のためのハイスループットスクリーニング
実施例1に記載されるように構築されたA.アシドカルダリウス・エステラーゼ2(配列番号2)をコードする遺伝子、下記の方法を用いて変異誘発し、変更されたDNA分子の集団を用いて好適な大腸菌宿主株を形質転換した。抗生物質耐性形質転換体を選択し、式(II)または(IV)のいずれかのアミン基質の存在下で、それぞれ式Iのエステル基質を式(III)および(V)の化合物に変換する能力が改善されたカルボキシエステラーゼを発現するものを同定するために処理した。細胞選択、増殖、カルボキシエステラーゼ変異体酵素の発現誘導および細胞ペレットの収集を以下に記載した。
カルボキシエステラーゼをコードする遺伝子を有する組換え大腸菌コロニーを、Q-PIX molecular devices robotic colony picker(Genetix USA,Inc.、ボストン、MA)を用いて、各ウェルに180μLのLB培養液、1%のグルコースおよび30μg/mLのクロラムフェニコール(CAM)を含有する96ウェル浅底マイクロタイタープレートに採取した。細胞を200rpmで振盪しながら30℃で一晩増殖させた。次に、この培養物の20μLアリコートを、380μLのTB培養液および30μg/mL CAMを含有する96ウェル深底プレートに移した。250rpmで振盪しながら30℃で2~3時間、これらの深底プレートをインキュベートした後、培養細胞内の組換え遺伝子の発現を、IPTGを終濃度1mMまで添加することによって誘導した。次に、これらのプレートを250rpmで振盪しながら30℃で18時間インキュベートした。
遠心分離(3738RCF、10分、4℃)によって細胞をペレットとし、200μLの溶解バッファーに再懸濁させ、室温で2時間振盪することによって溶解させた。凍結乾燥スクリーニング条件の場合、溶解バッファーは、100mMの硫酸ナトリウム(14.2g/L)、1mg/mLのリゾチーム、500μg/mLの硫酸ポリミキシンB(PMBS)、および12.5U/mLのベンゾナーゼを含有した。水性スクリーニング条件の場合、溶解バッファーは、10mMのリン酸カリウム、pH7.0、1mg/mLのリゾチーム、および500μg/mLのPMBSを含有した。これらのプレートを通気性ナイロンシールで密封した後、それらを室温で2時間、激しく振盪した。細胞残渣を遠心分離(3738RCF、10分、4℃)によってペレットとし、透明な上清をそのままアッセイし、使用まで4℃で保存した。
初期段階の操作されたカルボキシエステラーゼを用いる半水性条件でのスクリーニングでは、基質溶液(720mL/LのDMSO、90mL/Lの200-プルーフエタノール、19.67mL/Lのイソプロピル-ピペラジン、23.5mL/Lのエステル基質および8.5mL/Lの6N HCl)の120μLアリコートをCostar深底プレートの各ウェルに加えた後、回収した溶解液上清80μLを、Biomek FX robotic instrument(Beckman Coulter、フラートン、CA)を用いて添加した。100mMのエステル基質、100mMのイソプロピル-ピペラジン、45%DMSO、5%EtOHを含んでなる、最終pH9.0の溶液が得られた。これらのプレートをアルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃にて4秒間、熱封止した後、50℃で一晩(少なくとも16時間)振盪した。反応物をBiomex FXにより200μLのアセトニトリルを添加することによって急冷した。プレートを再密封し、5分間振盪した後、3738RCFで10分間遠心分離した。20μLの基質サンプルを、水中75%アセトニトリル180μLを含有する浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)に移し、密封し、10分間振盪した後、実施例4に記載されるように分析した。
初期段階の操作されたカルボキシエステラーゼを用いる有機条件でのスクリーニングでは、回収した溶解液上清の150μLアリコートを、1mLガラスバイアルインサート(S11168、Unchained Labs、プレザントン、CA)を挿入したアルミニウム96ウェルラック(F158359、Unchained Labs、プレザントン、CA)に加えた。次に、この装置を凍結乾燥にかけ、穏やかに室温に温め、Multidrop Combi Reagent Dispenser(Thermo Scientific、ウォルサム、MA)を用いて4μLの蒸留水、次いで、tert-ブチルメチルエーテル(tBME)中、有機基質溶液(10.93mL/Lのイソプロピル-ピペラジン、23.5mL/Lのエステル基質)200μLを添加した。次に、これらのプレートを、2つのゴムガスケット(S13086、Unchained Labs、プレザントン、CA)の下に積層されたテフロンシート(S11690-2、Unchained Labs、プレザントン、CA)および7つのねじ(C151943-050、Unchained Labs、プレザントン、CA)によって取り付けられた金属ラックリッド(F158424、Unchained Labs、プレザントン、CA)の使用によって密封した。次に、これらの構築物を振盪しながら50℃で一晩(少なくとも16時間)インキュベートした。反応物を、Biomek FXにより200μLのイソプロピルアルコールを添加することによって急冷した後、密封し、10分間振盪し、235RCFで2分間遠心分離して残留する固体を沈降させた。次に、200μLのサンプルを、各ウェルに200μLのイソプロパノールを含有するCostar深底プレートに移し、アルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃にて4秒間、熱封止し、10分間振盪した後、3738RCFで10分間遠心分離した。40μLの基質サンプルを、160μLのイソプロパノールを含有する浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)に移し、密封し、10分間振盪した後、実施例4に記載されるように分析した。
後期段階の操作されたカルボキシエステラーゼを用いる有機条件でのスクリーニングでは、回収した溶解液上清の120μLアリコートを、1mLガラスバイアルインサート(S11168、Unchained Labs、プレザントン、CA)を挿入したアルミニウム96ウェルラック(F158359、Unchained Labs、プレザントン、CA)に加えた。次に、この装置を凍結乾燥にかけ、穏やかに室温に温め、メチルイソブチルエステル(MIBK)中、有機基質溶液(53.2mL/L のイソプロピル-ピペラジン、43mL/Lのエステル基質)200μL、次いで、Multidrop Combi Reagent Dispenser(Thermo Scientific、ウォルサム、MA)を用いて4μLの蒸留水を添加した。次に、これらのプレートを、1つのゴムガスケット(S13086、Unchained Labs、プレザントン、CA)の下に積層されたテフロンシート(S11690-2、Unchained Labs、プレザントン、CA)および5つのねじ(C151943-050、Unchained Labs、プレザントン、CA)によって取り付けられた金属ラックリッド(F158424、Unchained Labs、プレザントン、CA)の使用によって密封した。次に、これらの構築物を振盪しながら15℃で一晩(少なくとも16時間)インキュベートした。反応物をインキュベーターから取り出し、235RCFで遠心分離した。20μLの上清サンプルを、各ウェルに180μLのイソプロパノール(5g/Lナフタレンを含む)を含有する浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)に移し、アルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃にて4秒間、熱封止し、10分間振盪した後、3738RCFで10分間遠心分離した。10μLの基質サンプルを、190μLのイソプロパノールを含有する浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)に移し、密封し、10分間振盪した後、実施例4に記載されるように分析した。
実施例6:A.アシドカルダリウス・エステラーゼ2に由来する操作されたカルボキシエステラーゼによる、メチルイソブチルエステル(MIBK)中での式Iのエステル基質および式IIのアミン基質のアミド化
表3に記載される改良された後期段階のカルボキシエステラーゼを、以下のようにMIBK中で分取スケールで評価した。10mgの凍結乾燥酵素粉末を1.5mLのHPLCバイアルに、15μLの蒸留水とともに加えた。次に、485μLの基質溶液(42.93mLのイソプロピルピペラジン/L MIBK、36.4mLのエステル/L MIBK)を加え、これらのバイアルを密封した。この反応物をEppendorf Thermomixer C加熱バイアルシェーカー上、50℃、850rpmで16時間振盪した。反応物を500μLのイソプロパノールの添加によって急冷した。次に、50μLのサンプルを、150μLのイソプロパノールを含有する浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)に移し、10分間振盪した後、3738RCFで10分間遠心分離した。10μLの基質サンプルを、190μLのイソプロパノールを含有する浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)に移し、密封し、10分間振盪した後、実施例4に記載されるように分析した。
表3に記載される改良された後期段階のカルボキシエステラーゼを、以下のようにMIBK中で分取スケールで評価した。11.25mgの凍結乾燥酵素粉末を1.5mLのHPLCバイアルに加え、次に、750μLの基質溶液(53.2mLのイソプロピルピペラジン/L MIBK、43mLのエステル/L MIBK)を15μLの蒸留水とともに加え、これらのバイアルを密封した。この反応物をEppendorf Thermomixer C加熱バイアルシェーカー上、15℃、850rpmで16時間振盪した。反応物を、実施例5で後期段階の操作されたカルボキシエステラーゼスクリーニングにおいて記載されているように20uLを取り出すことによって急冷した。表3は、この方法で試験されたカルボキシエステラーゼ変異体に相当する配列番号ならびにA.アシドカルダリウス・エステラーゼ2野生型カルボキシエステラーゼ(配列番号2)からのアミノ酸残基の差異の数を示す。
実施例7:A.アシドカルダリウス・エステラーゼに由来する操作されたカルボキシエステラーゼによる、メチルイソブチルエステル(MIBK)中でのエステル基質Iおよびアミン基質IIのアミド化
以下の実施例は、エステル基質である式Iの化合物オキサゾール-2-カルボン酸エチルおよびアミン基質である式IIの化合物1-イソプロピルピペラジンの変換を増大させるために使用されるグラムスケールの方法を説明する。この方法は、基質の生成物への変換を増大させるために大スケールで改良された液体混合を利用する。関連のモニタリングによれば、生成物の総収量の70%を超える捕捉および単離が可能である。
大スケール反応法は以下の反応成分を含有する。
Figure 0007401435000020
方法 オーバーヘッドスターラーを取り付けた2LのCLRリアクターに、340mLのMIBKを加え、周囲温度での撹拌に設定した。次に、11mLの水を加えた後、穏やかに30℃まで加熱した。14gのカルボキシエステラーゼ、次いで、20mLのMIBK洗浄液を添加した。次に、23.62gの1-イソプロピルピペラジン、次いで、20mLのMIBK洗浄液を添加した。最後に、20gのオキサゾール2-カルボン酸エチル、次いで、最終の20mLのMIBK洗浄液を加えた。16時間後、変換率は90%を超えた。
残留した固体を濾過し、80mLのMIBKで洗浄して吸着された材料を単離した。その後、洗浄液をプールし、20mLの10%w/w塩化ナトリウムで洗浄し、撹拌し、分離した。有機相を回収し、真空下で60mLに濃縮した後、15℃に冷却し、この時点で結晶化が起こり始めた。70mLのn-ヘプタンを10分かけて添加し、2時間かけて結晶化を完全に進行させ、次いで、結晶材料を濾取した。結晶性生成物を80mLの1:4MIBK:n-ヘプタンで2回洗浄し、真空下、50℃で乾燥させた。この方法により、生成物の質量により評価した場合、66%の総収率(w/w)が得られた。
実施例8:A.アシドカルダリウス・エステラーゼに由来する操作されたカルボキシエステラーゼによる、メチルイソブチルエステル(MIBK)中でのエステル基質Iおよびアミン基質IVのアミド化
操作されたカルボキシエステラーゼを用い、式Vのアミドを生産するためにバイアルスケールの反応を行った。25mgの凍結乾燥酵素粉末を1.5mLのHPLCバイアルに、10μLの蒸留水とともに加えた。次に、490μLの基質溶液(26.72mLの(2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリン/L MIBK、24.27mLのエステル/L MIBK)を加え、これらのバイアルを密封した。この反応物を、加熱バイアルシェーカー上、50℃、800rpmで16時間振盪した。各反応溶液の100μLアリコートを、100μLのイソプロパノールを含有する浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)に加え、密封し、10分間振盪した後、3738RCFで10分間遠心分離した。次に、上清の10μLアリコートを、浅底ポリプロピレンプレート(Costar#3365)にて、25%の水を含有する190μLのアセトニトリルに希釈し、密封し、次いで、850rpmで5分間振盪した。反応は実施例4に記載されているように分析した。観察された総ての場合で、酵素活性は実施例6および表3に記載される反応の酵素活性と厳密に適合した。
種々の特定の実施態様を例示し、説明したが、発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができることが理解されるであろう。
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Claims (14)

  1. 配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%同一の、またはそれを超える同一性のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含んでなるカルボキシエステラーゼポリペプチドであって、カルボキシエステラーゼポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号4のX198に相当する残基がLであるという特徴を含む、カルボキシエステラーゼポリペプチドであって、
    前記カルボキシエステラーゼポリペプチドのアミノ酸配列が、X35、X37、X57、X75、X103、X185、X207、X208、X271、X286、およびX296から選択される少なくとも1つの残基位置に、配列番号4で示されるアミノ酸配列とは異なる残基を含んでなる、カルボキシエステラーゼポリペプチド。
  2. カルボキシエステラーゼポリペプチドのアミノ酸配列が、
    X103に相当する残基が脂肪族残基および芳香族残基から選択されること;
    から選択される少なくとも1つの特徴を含む、請求項1に記載のカルボキシエステラーゼポリペプチド。
  3. X103が芳香族残基から選択される、請求項に記載のカルボキシエステラーゼポリペプチド。
  4. X103がWである、請求項に記載のカルボキシエステラーゼポリペプチド。
  5. カルボキシエステラーゼポリペプチドのアミノ酸配列が、X185に相当する残基が非極性残基、脂肪族残基、および芳香族残基から選択される特徴を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のカルボキシエステラーゼポリペプチド。
  6. X185が芳香族残基である、請求項に記載のカルボキシエステラーゼポリペプチド。
  7. X185がFである、請求項に記載のカルボキシエステラーゼポリペプチド。
  8. カルボキシエステラーゼポリペプチドのアミノ酸配列が、X27がPであること;X30がI、L、およびVから選択されること;X35がHであること;X37がI、L、T、およびVから選択されること;X57がMであること;X75がRであること;X103がF、M、およびWから選択されること;X185がF、I、およびMから選択されること;X207がEであること;X208がR、L、およびHから選択されること;X271がDであること;X286がM、V、およびGから選択されること;ならびにX296がV、L、およびRから選択されることから選択される少なくとも1つの特徴を含む、請求項1または2に記載のカルボキシエステラーゼポリペプチド。
  9. アミノ酸配列が配列番号4で示されるアミノ酸配列の、またはその機能的フラグメントを含んでなる、カルボキシエステラーゼポリペプチド。
  10. 請求項1~のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
  11. 配列番号3を有する、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
  12. 請求項10または11に記載のポリヌクレオチドを含んでなる、ベクター。
  13. 請求項12に記載のベクターを含んでなる、宿主細胞。
  14. 請求項1~のいずれか一項に記載の少なくとも1つの操作されたカルボキシエステラーゼを含んでなる、組成物。
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