JP7352939B2 - 複合銅部材 - Google Patents
複合銅部材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7352939B2 JP7352939B2 JP2019152552A JP2019152552A JP7352939B2 JP 7352939 B2 JP7352939 B2 JP 7352939B2 JP 2019152552 A JP2019152552 A JP 2019152552A JP 2019152552 A JP2019152552 A JP 2019152552A JP 7352939 B2 JP7352939 B2 JP 7352939B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper member
- copper
- composite copper
- less
- metal layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
- Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
Description
このような酸化銅の凹凸の各凸状部間の距離は可視光の波長域(例えば750nm~380nm)よりも短く、粗化処理層に入射した可視光は、微細凹凸構造内で乱反射を繰り返す結果、減衰する。従って、粗面化処理層は、光を吸収する吸光層として機能し、当該粗化処理面の表面は粗化処理前と比較すると黒色化、茶褐色化等に暗色化する。それ故、銅箔の粗化処理面は、その色調にも特色があり、L*a*b*表色系の明度L*の値は25以下となることが知られている(特許文献4)。
本発明は以下の実施態様を有する:
[1] 銅部材の少なくとも一部の表面の、銅および銅酸化物を含む微細凹凸上に銅以外の金属からなる金属層が形成されている複合銅部材であって、
前記金属層が形成されている前記複合銅部材の表面が微細な凹凸を有し、前記複合銅部材の前記表面の粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)が550nm以下で、表面積率が1.3以上2.2以下であり、
前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下である、複合銅部材。
[2] 前記複合銅部材の前記表面の、明度L*の値が35未満である、[1]に記載の複合銅部材。
[3] 前記金属層が、Sn、Ag、Zn、Al、Ti、Bi、Cr、Fe、Co、Ni、Pd、AuおよびPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を含む、[1]又は[2]に記載の複合銅部材。
[4] 前記複合銅部材の前記表面の微細な凹凸において、Rzが0.25μm以上1.2μm以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の複合銅部材。
[5] 前記複合銅部材の前記表面の微細な凹凸において、共焦点走査電子顕微鏡を用いた観察結果から輪郭曲線を作成し、JIS B 0601:2001に定められた方法により算出されたRzが0.25μm以上1.2μm以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の複合銅部材。
[6] 前記共焦点走査電子顕微鏡が、OPTELICS H1200(レーザーテック株式会社製)である、[5]に記載の複合銅部材。
[8] [1]~[4]のいずれか一項に記載の複合銅部材を用いて作製された電子部品。
1GHz以上で使用する高周波伝送のための、複合銅部材。
[2A]前記銅部材を形成する銅の純度が、99%以上である、[1A]に記載の複合銅部材。
[3A] 前記金属層は、Fe、Co、Cr及びNiからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属原子を含む、[1A]又は[2A]のいずれか一項に記載の複合銅部材。
[4A] 前記金属層が形成されている前記複合銅部材に対する、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)による深さ方向分析において、最表面よりSiO2換算で300nmまでの深さを連続測定して得られるCu原子数とO原子数に関し、Cu/(Cu+O)の割合が連続して50%以上95%以下となる深さの範囲が50nm以上である、[1A]~[3A]のいずれか一項に記載の複合銅部材。
[5A] 前記金属層に含まれる金属原子がNiであり、
前記金属層が形成されている前記複合銅部材に対する、XPSによるイオンスパッタリングを用いた深さ方向分析において、最表面よりSiO2換算で300nmまでの深さを連続測定して得られるNi原子数、Cu原子数、及びO原子数に関し、Ni/(Ni+Cu+O)の割合が連続して1%以上98%以下となる深さの範囲が100nm以上である、[4A]に記載の複合銅部材。
[6A] 前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下である、[1A]~[5A]に記載の複合銅部材。
[7A] 前記金属層が形成されている複合銅部材の表面において、共焦点走査電子顕微鏡を用いた観察結果から輪郭曲線を作成し、JIS B 0601:2001に定められた方法により算出されたRzが0.25μm以上1.2μm以下である、[1A]~[6A]のいずれか一項に記載の複合銅部材。
[8A] 前記共焦点走査電子顕微鏡が、OPTELICS H1200(レーザーテック株式会社製)である、[7A]に記載の複合銅部材。
[2B] 前記樹脂基材は、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリシクロオレフィン、ビスマレイミド樹脂、及び低誘電率ポリイミドからなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を含む、[1B]に記載の積層体。
[3B] [1B]又は[2B]に記載の積層体から製造された配線基板。
[4B] [3B]に記載の配線基板を含む電子部品。
銅部材表面に酸化処理によって微細な凹凸部を形成する第1の工程と、
前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下で、前記金属層が形成されている前記複合銅部材の表面が微細凹凸を有し、前記複合銅部材の前記表面の粗さ曲線要素の平均長さRsmが550nm以下で、表面積率が1.3以上2.2以下になるように、前記銅部材表面の微細な凹凸部の上に、銅以外の金属を用いてめっき処理する第2の工程と、
を含む複合銅部材の製造方法。
[2C] 前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下である、[1C]に記載の複合銅部材の製造方法。
[3C]第2の工程において、前記めっき処理が電解めっき処理である、[1C]または[2C]に記載の複合銅部材の製造方法。
銅部材表面に酸化処理によって、銅部材を形成する銅よりも導電率が低い銅酸化物層を形成する第1の工程と、
前記銅酸化物層の上に常温で強磁性を示す金属層を形成する第2の工程と、
を含む複合銅部材を製造する方法。
[2D] 前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下である、[1D]に記載の複合銅部材の製造方法。
[3D] 第2の工程において、電解めっき処理により前記常温で強磁性を示す金属層が形成される、[1D]または[2D]に記載の複合銅部材の製造方法。
本発明の一実施態様は、銅部材の少なくとも一部の表面に銅および銅酸化物で形成された微細凹凸上に銅以外の金属からなる金属層が形成されている複合銅部材である。銅部材とは、構造の一部となる、Cuを主成分として含む材料のことであり、電解銅箔や圧延銅箔およびキャリア付き銅箔等の銅箔、銅線、銅板、銅製リードフレームが含まれるが、これらに限定されない。
ここで、表面積率とは、所定の範囲において、面積に対する表面積の比率である。例えば表面積率が1であれば、表面粗さのない完全な平面の状態にあり、表面積率が大きくなるほど、表面の凹凸が激しくなる。なお、所定の範囲における面積とは、その範囲の表面がフラットであるとした場合の、その範囲の表面積に等しい。
表面積率は一例として以下の方法で算出することができる。銅以外の金属を含む複合銅部材の微細な凹凸の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により観察し、AFMの形状像を得る。これを無作為に選び出された10箇所において繰り返し行い、表面積S1、S2、・・・、S10をAFMにより求める。次に、これらの表面積S1、S2、・・・、S10と、それぞれの観察領域の面積との比(表面積/面積)SR1、SR2、・・・、SR10を単純に算術平均して、複合銅部材の表面の平均表面積率を求めることができる。
ここで、明度L*は、L*a*b*表色系において、表面の粗さを測る指標の一つとして使用されており、測定サンプル表面に光を照射した際の光の反射量を測定して算出することができる。たとえば、L*=0は黒、L*=100は白の拡散色を表す。具体的な算出方法は、JIS Z8105(1982)にしたがえばよい。
金属層が形成されている、複合銅部材の表面の明度を測定する時、表面の凹凸部の隙間(すなわちRsm)が狭い時には、光の反射量が少なくなるため明度値が低くなり、凹凸部の隙間が広い時には光の反射量が大きくなり明度値が高くなる傾向がある。
ここで、最大高さ粗さ(Rz)とは、基準長さlにおいて、輪郭曲線(y=Z(x))の山の高さZpの最大値と谷の深さZvの最大値の和を表す。
RzはJIS B 0601:2001(国際基準ISO13565-1準拠)に定められた方法により算出できる。
なお、金属層に含まれる銅以外の金属の垂直方向の平均の厚さは、金属層を酸性溶液で溶解し、ICP分析によって金属量を測定し、複合銅部材の面積で除して算出できる。あるいは、複合銅部材そのものを溶解し、金属層を形成する金属の量のみを検出測定することにより、算出できる。
本発明の一実施態様は、複合銅部材の製造方法であって、酸化処理によって銅部材表面に微細な凹凸を形成する第1の工程と、微細な凹凸が形成された銅部材表面にめっき処理する第2の工程と、を含む複合銅部材の製造方法である。
めっきイオンの供給剤として、例えば、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ジアンミンジクロロパラジウム、硫酸鉄、塩化鉄、無水クロム酸、塩化クロム、硫酸クロムナトリウム、硫酸銅、ピロリン酸銅、硫酸コバルト、硫酸マンガン、次亜リン酸ナトリウム、などが用いることができる。
pH緩衝剤や光沢剤などを含むその他添加剤として、例えば、ほう酸、酢酸ニッケル、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、ギ酸カリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム、シアン化ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、チオシアン酸カリウム、硫酸、塩酸、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、チオシアンナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、臭酸カリウム、ピロリン酸カリウム、エチレンジアミン、硫酸ニッケルアンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ケイフッ酸、ケイフッ化ナトリウム、硫酸ストロンチウム、クレゾールスルホン酸、β-ナフトール、サッカリン、1,3,6-ナフタレントリスルホン酸、ナフタレン(ジ、トリ)、スルホン酸ナトリウム、スルホンアミド、スルフィン酸など1-4ブチンジオール、クマリン、ラウリル硫酸ナトリウムが使用される。
ニッケルめっきにおいて、その浴組成は、例えば、硫酸ニッケル(100g/L以上~350g/L以下)、スルファミンニッケル(100g/L以上~600g/L以下)、塩化ニッケル(0g/L以上~300g/L以下)及びこれらの混合物を含むものが好ましいが、添加剤としてクエン酸ナトリウム(0g/L以上~100g/L以下)やホウ酸(0g/L以上~60g/L以下)が含まれていてもよい。
本発明の複合銅部材は、プリント配線板に使用される銅箔、基板に配線される銅線、LIB負極集電体用の銅箔などとして、電子部品に用いることができる。
樹脂基材の誘電率は公知の方法で測定することができ、例えば、IPC TM(The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits Test Method)-650 2.5.5.5やIPC TM-650 2.5.5.9といった規格に従って測定することができる。
本発明に係る複合銅箔を誘電率の低い(例えば、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、または3以下)樹脂基材に積層することにより、高周波(例えば1GHz以上、5GHz以上、または10GHz以上)の電流の伝送損失を抑えることができる。
比較例5~14並びに実施例1~6は、銅箔としてDR-WS(古河電工株式会社製、厚さ:18μm)のシャイニー面(S面)(光沢面。反対面と比較したときに平坦である面。)を用いた。実施例7は、同じくDR-WSであるがマット面(M面)(艶消し面。反対面と比較したときに粗い面。)を用いた。比較例1~4は、すでに粗化処理され、めっきが施されたFV-WS(古河電工株式会社製、厚さ:18μm)のマット面を用いた。なお、比較例1及び5の銅箔には、本発明に係る酸化処理、還元処理、めっき処理などの表面処理は行っていない。比較例2~4は市販されているFV-WSのめっき層を一度剥離してから用いた。剥離は、液温50℃の234ml/Lの塩酸に6分間浸漬することにより行った。
[アルカリ脱脂処理]
銅箔を、液温50℃、40g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬した後、水洗を行った。
[酸洗浄処理]
アルカリ脱脂処理を行った銅箔を、液温25℃、10重量%の硫酸水溶液に2分間浸漬した後、水洗を行った。
[プレディップ処理]
酸洗浄処理を行った銅箔を、液温40℃、水酸化ナトリウム(NaOH)1.2g/Lのプレディップ用薬液に1分間浸漬した。
アルカリ処理を行った銅箔を、実施例1~7及び比較例9~13は酸化処理用水溶液(NaClO2 60g/L;NaOH 9g/L;3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン 2g/L)で73℃、2分間、酸化処理を行った。比較例14は、酸化処理用水溶液(NaClO2 37.5g/L;NaOH 100g/L)で73℃、4分間、酸化処理を行った。これらの処理後、銅箔を水洗した。
実施例1~7及び比較例11~14については、酸化処理を行った銅箔に対し、ニッケルめっき用電解液(硫酸ニッケル 240g/L;塩化ニッケル 45g/L;クエン酸三ナトリウム 20g/L)を用いて電解めっきを施した(電流密度0.5A/dm2 銅箔面積当たり)。比較例3、4、6~8は酸化処理を行わずに、同じニッケルめっき用電解液を用いて電解めっきを施した。処理時間は、それぞれ50秒(実施例1)、60秒(実施例2)、70秒(実施例3)、80秒(実施例4)、100秒(実施例5)、120秒(実施例6)、130秒(実施例7)、20秒(比較例3)、60秒(比較例4)、10秒(比較例6)、20秒(比較例7)、60秒(比較例8)、40秒(比較例11)、150秒(比較例12)、350秒(比較例13)、220秒(比較例14)であった。
実施例1~7及び比較例2~14については、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(1重量%)を用いて銅箔を室温で1分処理した後、110℃で1分焼付けを行った。
評価面は比較例6~14及び実施例1~6は表面処理を施したシャイニー面、実施例7及び比較例2~4は表面処理を施したマット面、比較例1は粗面化処理され、めっきが施された面(マット面)、比較例5はシャイニー面を用いた。
実施例及び比較例の試験片を、共焦点走査電子顕微鏡 OPTELICS H1200(レーザーテック株式会社製)を用いた観察結果から輪郭曲線を作成し、JIS B 0601:2001に定められた方法によりRzを算出した。測定条件として、スキャン幅は100μm、スキャンタイプはエリアとし、Light sourceはBlue、カットオフ値は1/5とした。オブジェクトレンズはx100、コンタクトレンズはx14、デジタルズームはx1、Zピッチは10nmの設定とし、3箇所のデータを取得し、Rzは3箇所の平均値とした。
実施例及び比較例の試験片のRSm及び表面積率を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により観察し、JIS R 1683:2007に準じて算出した。比較例1のみRa=150nmとして計算した。
装置:日立ハイテクサイエンス製
プローブステーション AFM5000II
接続機種:AFM5300E
カンチレバー:SI-DF40
AFM5000IIにおける自動設定機能を使用して設定
(振幅減衰率、走査周波数、Iゲイン、Pゲイン、Aゲイン、Sゲイン)
走査領域:5μm角
画素数:512 x 512
測定モード:DFM
測定視野:5μm
SISモード:使用しない
スキャナ:20μmスキャナ
測定方法:3次補正を行い計測した。
◆RSm→平均断面解析(lr=5μm)
◆表面積率→面粗さ解析
L*a*b*表色系における明度L*の測定は、日本電色工業株式会社製 分光色差計 NF999(照明条件:C;視野角条件:2;測定項目:L*a*b*)を用いて行った。
5.1 めっき厚さの測定
めっきの垂直方向の平均の厚さの測定方法としては、12%硝酸に銅部材を溶解させ、溶解液をICP発光分析装置5100 SVDV ICP-OES(アジレント・テクノロジー社製)を用いて解析して金属の濃度を測定し、金属の密度、金属層の表面積を考慮することで層状としての金属層の厚さを算出した。
5.2 表面元素分析
表面元素分析として、QuanteraSPM(ULVAC-PHI製)を用いて以下の工程で最表面Narrow分析を行い、金属層が形成されている表面上において銅と銅以外の金属が検出できるかを確認した。
(1)Survey spectrum
まず、以下の条件で元素を検出した。
X線ビーム径: 100μm(25w15kV)
パスエネルギー: 280eV,1eVステップ
ライン分析: φ100μm×700μm
積算回数 6回
(2)Narrow spectrum
(1)で検出した元素について、Narrow Spectrumを以下の条件で取得し、検出した成分中、N、C以外の元素量の合計を100%としたときの、各検出成分比を定量値として算出した。
X線ビーム径: 100μm(25w15kV)
パスエネルギー: 112eV,0.1eVステップ
ライン分析: φ100μm×700μm
5.3 深さ方向の分析
得られた実施例及び比較例の試験片を用いて、深さ方向の元素分析を、以下の条件で行った。
分析した元素は、炭素(C)、酸素(O)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)であり、これらの元素の合計を100% として、各元素の濃度(at%)を算出した。算出した各元素濃度から、Cu/Cu+O(%)及びNi/Ni+Cu(%)を算出した。深さは、SiO2換算での距離(nm)として表した。
XPS装置としては、アルバック・ファイ株式会社製5600MCを用い、到達真空度:5.7×10- 9Torr、励起源: 単色化AlKα、出力:210W、検出面積:800μmΦ、入射角:45度、取り出し角:45度、中和銃なしとし、以下のスパッタ条件で測定した。
イオン種: Ar+
加速電圧: 3kV
掃引領域: 3mm × 3mm
レート: SiO2換算
Cu原子数/Cu原子数+O原子数の比(図7)、及びNi原子数/Ni原子数+Cu原子数+O原子の比(図8)を示す。
さらに、得られたデータから推定される、実施例1及び比較例8、13の垂直断面の模式図を図9に示す。実施例1は銅酸化物層によってNi層と銅部材が隔てられているのに対して、比較例8では銅酸化物層が存在せず、Ni層が直接銅部材表面に積層されている。比較例13は実施例1と同様、銅酸化物層は存在するものの、Ni層が厚すぎて、XPSによる深さ方向分析(300nmまで)では銅酸化物層を検出できない。
実施例及び比較例の試験片について、加熱による色変化により耐熱性を調べた。熱処理前の試験片の色差(L*、a*、b*)を測定後、225℃のオーブンで30分間処理し、熱処理後の試験片の色差を測定した。得られた値から、以下の式に従い、ΔE*abを算出した。
[数2]
ΔE*ab = [(ΔL*)2 + (Δa*)2 + (Δb*)2 ]1/2
また、実施例1~6及び比較例1~14の試験片について、酸処理前後のピール強度を測定した。具体的には、まず、各試験片に対し、プリプレグ R5670KJ(パナソニック株式会社製、厚さ100μm)を積層し、真空高圧プレス機を用いてプレス圧2.9MPa、温度210℃、プレス時間120分の条件で加熱圧着することにより、積層体を得た。
同様に、アドフレマNC0207を用いて、酸処理前後のピール強度を測定した。各試験片に対し、アドフレマNC0207(ナミックス社製)を積層し、真空高圧プレス機を用いてプレス圧1.0MPa、温度200℃、プレス時間1時間の条件で加熱圧着することにより、積層体を得た。
実施例及び比較例について、各々同じ条件で複数の積層体を作製した。酸に対する耐性を調べるため、積層体の一つはそのまま(常態)、もう一つは酸液浸漬後(耐酸試験後)、測定試料とした。なお、酸液浸漬は、積層体を4N HClに60℃で90分浸漬することにより行った。これらの測定試料に対して90°剥離試験(日本工業規格(JIS)C5016)によりピール強度(kgf/cm)を測定した。
実施例2及び比較例1の試験片に樹脂基材プリプレグ R5670KJ(パナソニック株式会社製)を熱加圧成形により積層した後に、伝送特性測定用のサンプルを作製して高周波帯域における伝送損失を測定した。伝送特性の評価には、0~40GHz帯域の測定に適する公知のストリップライン共振器法を用いて測定した。具体的には、S21パラメーターを、以下の条件でカバーレイフィルムなしの状態で測定した。
測定条件:マイクロストリップ構造;基材プリプレグ R5670KJ;回路長さ100mm;導体幅250μm;導体厚さ28μm;基材厚さ100μm;特性インピーダンス50Ω
結果を図6に示す。
さらに、実施例1~7及び比較例1~14の試験片に樹脂基材アドフレマNC0207(ナミックス社製)を熱加圧成形により積層した後に、伝送特性測定用のサンプルを作製して高周波帯域における伝送損失を測定した。伝送特性の評価には、0~40GHz帯域の測定に適する公知のストリップライン共振器法を用いて測定した。具体的には、S21パラメーターを、以下の条件でカバーレイフィルムなしの状態で測定した。
測定条件:マイクロストリップ構造;基材プリプレグ アドフレマNC0207;回路長さ200mm;導体幅280μm;導体厚さ28μm;基材厚さ100μm;特性インピーダンス50Ω
それに対して、表面の粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)が550nm以下で(図1)、表面積率が1.3以上2.2以下であり(図2)、金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下であり(図5)、明度L*の値が35未満である(図3)実施例1~7の複合銅箔は、ピール強度が高く、耐熱変色(ΔE*ab)が小さく(図4)、耐酸性試験を経てもピール強度が低下しなかった。また、実施例2の高周波特性も良好であった。
Claims (8)
- 銅部材の少なくとも一部の表面の、銅および銅酸化物を含む微細凹凸上に銅以外の金属からなる金属層が形成されている複合銅部材であって、
前記金属層が形成されている前記複合銅部材の表面が微細な凹凸を有し、前記複合銅部材の前記表面の粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)が550nm以下で、表面積率が1.3以上2.2以下であり、
前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下である、複合銅部材。 - 前記複合銅部材の前記表面の、明度L*の値が35未満である、請求項1に記載の複合銅部材。
- 前記金属層が、Sn、Ag、Zn、Al、Ti、Bi、Cr、Fe、Co、Ni、Pd、AuおよびPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を含む、請求項1または2に記載の複合銅部材。
- 前記複合銅部材の前記表面の微細な凹凸において、共焦点走査電子顕微鏡を用いた観察結果から輪郭曲線を作成し、JIS B 0601:2001に定められた方法により算出されたRzが0.25μm以上1.2μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合銅部材。
- 前記共焦点走査電子顕微鏡が、OPTELICS H1200(レーザーテック株式会社製)である、請求項4に記載の複合銅部材。
- 請求項1に記載の複合銅部材を製造する方法であって、
銅部材表面に酸化処理によって微細な凹凸部を形成する第1の工程と、
前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下で、前記金属層が形成されている前記複合銅部材の表面が微細凹凸を有し、前記複合銅部材の前記表面の粗さ曲線要素の平均長さRsmが550nm以下で、表面積率が1.3以上2.2以下になるように、前記銅部材表面の微細な凹凸部の上に、銅以外の金属を用いてめっき処理する第2の工程と、
を含む複合銅部材の製造方法。 - 前記金属層の垂直方向の平均の厚さが15nm以上150nm以下である、請求項6に記載の複合銅部材の製造方法。
- 第2の工程において、前記めっき処理が電解めっき処理である、請求項6または7に記載の複合銅部材の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2020/018579 WO2020226160A1 (ja) | 2019-05-09 | 2020-05-07 | 複合銅部材 |
KR1020217026936A KR20220006035A (ko) | 2019-05-09 | 2020-05-07 | 복합 구리 부재 |
CN202080016300.2A CN113474486A (zh) | 2019-05-09 | 2020-05-07 | 复合铜材料 |
JP2023017290A JP7479617B2 (ja) | 2019-05-09 | 2023-02-08 | 複合銅部材 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019089120 | 2019-05-09 | ||
JP2019089120 | 2019-05-09 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2023017290A Division JP7479617B2 (ja) | 2019-05-09 | 2023-02-08 | 複合銅部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020186464A JP2020186464A (ja) | 2020-11-19 |
JP7352939B2 true JP7352939B2 (ja) | 2023-09-29 |
Family
ID=73221688
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019152552A Active JP7352939B2 (ja) | 2019-05-09 | 2019-08-23 | 複合銅部材 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7352939B2 (ja) |
CN (1) | CN113474486A (ja) |
TW (1) | TWI818164B (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013534054A (ja) | 2010-07-06 | 2013-08-29 | イーサイオニック・スリーサウザンド・インコーポレーテッド | プリント配線板において使用するために、銅表面を処理して有機基板への接着を強化する方法 |
WO2013147116A1 (ja) | 2012-03-29 | 2013-10-03 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 表面処理銅箔 |
JP6726780B1 (ja) | 2019-03-04 | 2020-07-22 | ナミックス株式会社 | 銅箔並びにそれを含むリチウムイオン電池の負極集電体及びその製造方法 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS586800B2 (ja) * | 1975-12-12 | 1983-02-07 | ニホンコウギヨウ カブシキガイシヤ | インサツカイロヨウドウハクオヒヨウメンシヨリスル ホウホウ |
US4549950A (en) * | 1984-11-13 | 1985-10-29 | Olin Corporation | Systems for producing electroplated and/or treated metal foil |
KR100852863B1 (ko) * | 2004-02-17 | 2008-08-18 | 닛코킨조쿠 가부시키가이샤 | 흑화 처리 면 또는 층을 가지는 동박 |
TW200704833A (en) * | 2005-06-13 | 2007-02-01 | Mitsui Mining & Smelting Co | Surface treated copper foil, process for producing surface treated copper foil, and surface treated copper foil with very thin primer resin layer |
SG181631A1 (en) * | 2009-12-24 | 2012-07-30 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | Surface-treated copper foil |
JP5242710B2 (ja) * | 2010-01-22 | 2013-07-24 | 古河電気工業株式会社 | 粗化処理銅箔、銅張積層板及びプリント配線板 |
CN104040035B (zh) * | 2011-12-22 | 2017-05-03 | Om产业股份有限公司 | 镀品及其制造方法 |
JP6111017B2 (ja) * | 2012-02-03 | 2017-04-05 | Jx金属株式会社 | プリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層体、プリント配線板及び電子部品 |
WO2014126193A1 (ja) * | 2013-02-14 | 2014-08-21 | 三井金属鉱業株式会社 | 表面処理銅箔及び表面処理銅箔を用いて得られる銅張積層板 |
JP5705381B2 (ja) * | 2013-02-28 | 2015-04-22 | 三井金属鉱業株式会社 | 黒色化表面処理銅箔、黒色化表面処理銅箔の製造方法、銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板 |
MY182166A (en) * | 2013-09-20 | 2021-01-18 | Namics Corp | Copper foil, copper foil with carrier foil, and copper-clad laminate |
-
2019
- 2019-08-23 JP JP2019152552A patent/JP7352939B2/ja active Active
-
2020
- 2020-03-24 TW TW109109833A patent/TWI818164B/zh active
- 2020-05-07 CN CN202080016300.2A patent/CN113474486A/zh active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013534054A (ja) | 2010-07-06 | 2013-08-29 | イーサイオニック・スリーサウザンド・インコーポレーテッド | プリント配線板において使用するために、銅表面を処理して有機基板への接着を強化する方法 |
WO2013147116A1 (ja) | 2012-03-29 | 2013-10-03 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 表面処理銅箔 |
JP6726780B1 (ja) | 2019-03-04 | 2020-07-22 | ナミックス株式会社 | 銅箔並びにそれを含むリチウムイオン電池の負極集電体及びその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
TW202106931A (zh) | 2021-02-16 |
CN113474486A (zh) | 2021-10-01 |
TWI818164B (zh) | 2023-10-11 |
JP2020186464A (ja) | 2020-11-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11781236B2 (en) | Composite copper foil | |
JP7601400B2 (ja) | シランカップリング剤で処理された複合銅部材 | |
JP7456578B2 (ja) | 銅表面の加工装置 | |
JP7479617B2 (ja) | 複合銅部材 | |
EP4050123A1 (en) | Composite copper member | |
KR20220148865A (ko) | 공극을 갖는 복합 구리 부재 | |
JP7352939B2 (ja) | 複合銅部材 | |
JP7409602B2 (ja) | 複合銅部材 | |
JP7328671B2 (ja) | 積層体 | |
JP7456579B2 (ja) | 金属層を有する金属部材の製造方法 | |
JP2023051784A (ja) | 銅部材 | |
WO2024219163A1 (ja) | 金属部材 | |
WO2022050001A1 (ja) | 銅箔および積層体、並びにそれらの製造方法 | |
WO2024219162A1 (ja) | 金属部材 | |
WO2022201563A1 (ja) | 配線基板用積層体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200424 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220204 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230104 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230530 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230728 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230911 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7352939 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20230928 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20231002 |