JP7310080B2 - 樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
特に、機械的強度が要求される分野に用いられる場合、強化繊維を配合することが行われている。また、難燃性が要求する分野に用いられる場合、難燃剤を配合することが行われている。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、難燃性および機械的強度に優れた樹脂組成物およびその成形品の提供を目的とする。
(B)35~60質量%の円形断面を有する強化繊維、
(C)1~15質量%の、ホスフィン酸塩およびジホスフィン酸塩の少なくとも1種を含むリン系難燃剤、
(D)0.01~2質量%のワックス、ならびに、
(E)0~20質量%の添加剤のみからなり、
前記添加剤は、ホウ酸亜鉛およびポリフェニレンエーテルを含まず、
前記成分(A)~(E)の総量が100質量%である、樹脂組成物。
<2>(B)強化繊維がガラス繊維を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>(A)ポリアミド樹脂が、半芳香族ポリアミド樹脂である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記難燃剤が、下記式(I)で表される化合物および下記式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5><1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
かかる構成とすることにより、成形品としたときに、優れた難燃性を維持しつつ、機械的物性を向上させることができる。
このメカニズムは以下の通りであると推定される。ポリアミド樹脂と強化繊維と難燃剤を含む樹脂組成物において、リン系難燃剤の含有量が多いと、リン系難燃剤由来のガスが放出しやすい。そこで、難燃剤の含有量を減らすことが考えられる。しかしながら、難燃剤の含有量を減らすと当然に難燃性が劣ってしまう。そこで、強化繊維の含有量を相対的に多くすることで、機械的強度を向上させると同時に、ポリアミド樹脂の含有量を相対的に少なくし、燃えやすい樹脂成分の含有量を減らすことが考えられる。しかしながら、強化繊維の含有量が多く、ポリアミド樹脂の割合が比較的少ない樹脂組成物においては、強化繊維とポリアミド樹脂とのせん断応力が高くなり、コンパウンドや成形加工時の発熱が危惧される。そこに、離型剤として、脂肪酸金属塩が含まれると、難燃剤であるホスフィン酸塩と複分解反応を起こし、リン由来の酸を放出してしまう。このような酸はポリアミド樹脂に攻撃し機械的強度を低下させてしまう。これに対して、本発明の樹脂組成物では、離型剤として、脂肪酸金属塩に代えて、ワックスを採用したため、ガラス繊維とポリアミド樹脂とのせん断を低減し、さらには酸を放出する反応を抑制することができた。これにより、難燃性と機械的強度の両立を実現できたものと考えられる。
また、本発明の樹脂組成物が、ホウ酸亜鉛およびポリフェニレンエーテルを含まない構成とすることにより、難燃性の低下をより効果的に抑制できる。さらに、ホウ酸亜鉛を含まない構成とすることにより、機械的強度の低下もより効果的に抑制できる。
以下、本発明について説明する。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、その種類を特に定めるものではなく、公知のポリアミド樹脂を用いることができる。ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂であっても、半芳香族ポリアミド樹脂であってもよく、両方を含んでいてもよい。本発明では、半芳香族ポリアミド樹脂を含むことが好ましい。
キシリレンジアミンにおける、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの比率は、100:0~10:90であることが好ましく、95:5~15:85であってもよく、90:10~50:50であってよもく、80:20~60:40であってもよい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、一層好ましくは70モル%以上、より一層好ましくは80モル%以上、さらに一層好ましくは90モル%以上、よりさらに一層好ましくは95モル%以上がキシリレンジアミンに由来する。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素数が4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。
<<ポリアミド樹脂(a1)>>
ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸(好ましくはアジピン酸)に由来し、前記キシリレンジアミンの90モル%以上がメタキシリレンジアミンであるポリアミド樹脂
<<ポリアミド樹脂(a2)>>
ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸(好ましくはアジピン酸)に由来し、前記メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとのモル比率が、95:5~15:85であるポリアミド樹脂
上記ポリアミド樹脂(a1)およびポリアミド樹脂(a2)のより好ましい範囲は、上記齟齬が無い限り、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のところで述べたものが援用される。
ポリアミド樹脂は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、特に、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が樹脂成分の85質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、99質量%以上を占めることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は円形断面を有する強化繊維を含む。ここでの円形は、幾何学的な意味での真円に加え、本発明の技術分野において通常円形と称されるものを含む趣旨である。扁平断面を有する強化繊維に比べて、円形断面を有する強化繊維は、難燃性が低くなりやすい。本発明では、このような円形断面等を有する強化繊維を用いつつ、高い難燃性の維持に成功したものである。
本発明の成形品は、強化繊維を、1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ホスフィン酸塩およびジホスフィン酸塩の少なくとも1種を含むリン系難燃剤を含む。
ホスフィン酸塩またはジホスフィン酸塩は、下記式(I)で表される化合物および下記式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含むことが好ましい。
式(II)において、R4およびR5は、それぞれ独立に、直鎖もしくは分枝鎖の炭素数1~6のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基であることが好ましい。R3は直鎖もしくは分枝鎖の炭素数1~10のアルキレン基、炭素数6~10のアリーレン基、炭素数7~10のアルキルアリーレン基、または炭素数7~10のアリールアルキレン基を表し、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基であることが好ましい。Mはカルシウムイオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、または亜鉛イオンを表す。nはMの価数を表す自然数である。n、a、bは、2×b=n×aの関係式を満たす自然数である。nは2または3であることが好ましい。bは1、2または3であることが好ましく、1または3であることがより好ましい。aは1または2であることが好ましい。
他の難燃剤の含有量としては、ホスフィン酸塩およびジホスフィン酸塩の少なくとも1種リン系難燃剤の合計量の30質量%以下であることをいい、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよく0.1質量%以下であってもよい。
本発明の樹脂組成物はワックスを含む。ワックスとは、常温以上である油脂状の物質をいい、通常融点が50℃以上である。ワックスとしては、ポリオレフィンワックスおよびケトンワックス、アミドワックス、エステルワックス、パラフィンワックス、が好ましい。
ポリオレフィンワックスの例には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリエチレン共重合体、またはそれらを酸化変性または酸変性することによって極性基を導入した、変性ポリエチレンワックスが含まれる。また、酸化変性または酸変性することによって、極性基を導入した、変性ポリエチレンワックスをポリオレフィンワックスの1~10質量%の量で配合すると、ポリアミド樹脂中での分散性を向上させることができ、より好ましい。
ポリオレフィンワックスの数平均分子量(Mn)は、適宜選択して決定すればよいが、20,000未満であることが好ましく、500~15,000がより好ましく、1,000~10,000であることがさらに好ましく、1,000~9,000であることが特に好ましい。ポリオレフィンワックスのMnは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定できる。その他の詳細な分析条件は、特開2017-171880の段落0020を参照することができ、この内容を本明細書に組み込む。
本発明において用いられるポリオレフィンワックスは、融点が60~145℃であることが好ましい。
ポリオレフィンワックスとしては、ハイワックス800P(商品名) HDPE-WAX 三井化学社製、Mn8000が挙げられる。
ケトンワックスは下記式(G1)で表される化合物が挙げられる。
式(G1):R11-CO-R12
式(G1)において、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が9以上25以下である直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。
ケトンワックスとして、具体的には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジミリスチルケトン、ジラウリルケトン、ラウリルミリスチルケトン、ラウリルパルミチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、ミリスチルステアリルケトン、ミリスチルベヘニルケトン、パルミチルステアリルケトン、パルミチルベヘニルケトンおよびステアリルベヘニルケトンが挙げられる。
具体的な商品としては、カオワックスT1(花王社製、ケトンワックス(ジステアリルケトン))が挙げられる。
アミドワックスは脂肪酸のモノアミドおよび/またはビスアミドである。脂肪酸モノアミドとしてはオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド等が挙げられ、脂肪酸ビスアミドとしてはメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド等が挙げられる。
具体的な商品としては、ライトアマイドWH255(共栄社化学社製、脂肪酸ビスアミド(ステアリン酸、セバシン酸およびエチレンジアミンの重縮合物))が挙げられる。
エステルワックスは脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルである。脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。具体例としては、モンタン酸エステルワックス、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
パラフィンワックスは主成分がn-パラフィンおよび/またはi-パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、あるいは低分子量のポリエチレンで末端に水酸基を有し、蝋状の外観を有する物質が挙げられる。上記飽和脂肪族炭化水素のGPC法で測定された分子量は、通常300~1500、好ましくは300~1000である。
本発明の樹脂組成物は、ワックス以外の他の離型剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本発明の樹脂組成物は、離型剤が実質的にワックスのみからなることが好ましい。ここでの実質的にとは、例えば、他の離型剤の含有量が、ワックスの10質量%以下であることをいい、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよく、0.1質量%以下であってもよく、0.01質量%以下であってもよい。また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲で脂肪酸金属塩を含んでいてもよいことは言うまでもない。
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)~(D)以外の(E)0~20質量%の添加剤を含んでいてもよい。すなわち、本発明の樹脂組成物は、前記成分(A)~(E)の総量が100質量%である。
添加剤としては、核剤、難燃助剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、着色剤等の添加剤が挙げられる。これらの詳細は、特許第4894982号公報の段落番号0130~0155の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
これらの合計は、樹脂組成物の0~20質量%であり、0.1質量%以上であることが好ましい。また、上限値としては、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましい。これらの添加剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
なお、本発明における、ホウ酸亜鉛を含まないとは、ホウ酸亜鉛の含有量が完全に0の場合に加え、本発明の効果に影響を与えない範囲で、微量のホウ酸亜鉛が含まれている場合も含まれる趣旨である。例えば、不純物として混入する場合や通常の測定方法で検出限界以下の場合などが例示される。
なお、本発明における、ポリフェニレンエーテルを含まないとは、ポリフェニレンエーテルの含有量が完全に0の場合に加え、本発明の効果に影響を与えない範囲で、微量のポリフェニレンエーテルが含まれている場合も含まれる趣旨である。例えば、不純物として混入する場合や通常の測定方法で検出限界以下の場合などが例示される。
核剤は、タルクおよび炭酸カルシウムが好ましく、タルクがより好ましい。
核剤の平均粒径は、下限値が、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。核剤の平均粒径は、上限値が、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、28μm以下であることが一層好ましく、15μm以下であることがより一層好ましく、10μm以下であることがさらに一層好ましい。
核剤の含有量は、樹脂組成物中、0.1~2質量%であることが好ましい。
着色剤としては、無機顔料(カーボンブラックなどの黒色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、酸化チタンなどの白色顔料)、有機顔料(黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料など)などが挙げられる。
着色剤の含有量は、組成物の0.01~10質量%であることが好ましい。着色剤は1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を、ISO178に準拠して、ISO引張り試験片(4mm厚)に成形したときの、温度23℃、湿度50%の環境下での曲げ強さが330MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがより好ましく、360MPa以上であることがさらに好ましく、368MPa以上であることが一層好ましい。前記曲げ強さの上限値は、特に定めるものではないが、400MPa以下でも要求性能を満たすものである。
上記機械的特性は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
本発明において、樹脂組成物の製造方法は、特に定めるものではなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。具体的には、各成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどで溶融混練することによって樹脂組成物を製造することができる。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって、ペレットを製造することもできる。
本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物から形成される。
本発明の成形品の製造方法は、特に定めるものではない。
例えば、本発明の成形品は、各成分を溶融混練した後、直接に各種成形法で成形してもよいし、各成分を溶融混練してペレット化した後、再度、溶融して、各種成形法で成形してもよい。
本発明の成形品の利用分野については特に定めるものではなく、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、防衛および航空宇宙製品等に広く用いられる。
(A)ポリアミド樹脂
MXD6(6000):ポリメタキシリレンアジパミド、三菱ガス化学社製、MXナイロン 6000
変性MXD6(MP6):下記合成例に従って合成した。
<MP6の合成>
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロートおよび窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、アジピン酸(Roadia社製)7220g(49.4mol)および酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)11.66gを仕込み、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら170℃まで加熱溶融した。
メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンのモル比が70/30である混合キシリレンジアミン6647g(メタキシリレンジアミン34.16mol、パラキシリレンジアミン14.64mol、三菱ガス化学社製)を、反応容器内の溶融物に撹拌下で滴下し、生成する縮合水を系外に排出しながら、内温を連続的に2.5時間かけて260℃まで昇温した。滴下終了後、内温を上昇させ、270℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、さらに内温を上昇させて280℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、ペレット化することにより、ポリアミド樹脂を得た。以下、「MP6」ということがある。
T275H:円形断面を有するガラス繊維(日本電気硝子社製、Eガラス、3mmにカットされたチョップドストランド、数平均繊維径10μm)
EXOLIT OP1400:クラリアントケミカルズ社製、ホスフィン酸金属塩
ケトンワックス:花王社製、カオワックスT1
PEワックス:三井化学社製、ハイワックス800P
アミドワックス:共栄社化学社製、ライトアマイドWH255
(D’)ワックス以外の離型剤
CS-8CP:モンタン酸カルシウム、日東化成工業社製
St-Ca:ステアリン酸カルシウム、日東化成工業社製
核剤 MW5000S:タルク、林化成社製、数平均粒子径5μm
(F)着色剤
カーボンブラック:三菱化学製、カーボンブラック#45(ファーネスブラ
ック、DBP吸収量53g/100cm3)
PPE:以下の製造法で得られた変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE)、SEBS含有量13質量%
<製造法>
ポリフェニレンエーテル樹脂(ポリキシレノールシンガポール社製「商品名:PX100L」、温度30℃、クロロホルム中で測定した固有粘度が0.47dL/gの、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル)100質量部と無水マレイン酸(試薬一級)0.8質量部とスチレン系樹脂(スチレン系化合物/共役ジエン系化合物ブロック共重合体の水素添加物(シェル社製「商品名:クレイトンG1652」、数平均分子量49,000)15質量部をスーパーミキサーで十分に混合し、得られた混合物を二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30XCT」)を用いて溶融混練し、ペレット化し作製した。
ホウ酸亜鉛:硼酸亜鉛、ボラックス・ジャパン社製「商品名:ファイヤーブレイクZB」、2ZnO・3B2O3・3.5H2O、数平均粒子径7~9μm
<コンパウンド>
表1または表2に記載の成分のうち、ガラス繊維を除く成分を、それぞれ秤量(表1および表2は質量部で示している)し、タンブラーにてブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)の根元から投入し、溶融した。その後、ガラス繊維をサイドフィードしてポリアミド樹脂のペレットを作製した。二軸押出機の温度設定は、280℃とした。
上述の製造方法で得られたポリアミド樹脂のペレットを120℃で3時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃、成形サイクル50秒の条件で、ISO引張り試験片(4mm厚)を射出成形した。
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下で曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。結果を下記表1または表2に示す。
ISO179-1,2に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下で1Jハンマーを用いノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。結果を下記表1または表2に示す。
上述の製造方法で得られたポリアミド樹脂のペレットを120℃で4時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50-EP型射出成形機を用いて、射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mmのUL試験用燃焼片を成形した。シリンダー温度および金型温度は、それぞれ、280℃、130℃の間とした。
上述の方法で得られたUL試験用燃焼片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、UL94試験に準拠して行なった。結果を下記表1または表2に示す。
上述のUL試験用燃焼片を成形する際の、樹脂交換時にノズルから噴出するガスの量を目視で評価した。
結果を下記表1または表2に示す。
A:薄いガスが、ノズルから排出された樹脂から上へ穏やかに上る様子
B:上記Aよりもガスが濃い、および/または、ガスがAよりもノズルから排出された樹脂と共に勢いよく噴射した
<離型性>
上述の製造方法で得られたポリアミド樹脂のペレットを120℃で3時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃、成形サイクル30秒の条件で、100mm×100mm×2mmの平板を射出成形し、成形品を金型から取り出す際の反りの有無を確認した。材料の離型性が極端に低いと、平板成形品の離型抵抗が高まり、突出しピンに強く押されることによって、変形し、反りとして確認される。
結果を下記表1または表2に示す。
A:反りは確認されなかった
B:目視で認識できるレベルの反りが確認された(上記A以外)
これに対して、ワックスの代わりに脂肪酸金属塩を用いた比較例1、2、5では、機械的強度が向上しなかった。また、ワックスを用いても難燃剤の量が多い場合(比較例3)、機械的強度が向上しなかった。さらに、ノズルからガスが噴出してしまった。ガラス繊維の含有量が少ない場合(比較例4、5)、難燃性が劣っていた。
また、ワックスを含まない場合(比較例6)、離型性が劣っていた。
さらに、難燃剤の量が少ない場合(比較例7)、難燃性が劣っていた。
加えて、ポリフェニレンエーテルまたはホウ酸亜鉛を含む場合(比較例8、9)、難燃性が劣っていた。特に、ホウ酸亜鉛を含む比較例9は機械的強度も劣っていた。
特に、ガラス繊維の含有量が少ない場合(比較例4、5)では、離型剤の種類(ワックス、脂肪酸金属塩)にかかわらず、機械的強度や難燃性は同等にもかかわらず、ガラス繊維の含有量が増えると(実施例1、比較例1)、機械的強度に顕著な差が出る点で、本発明の効果が驚くべきものであることが分かった。
Claims (4)
- (A)40~55質量%のポリアミド樹脂、
(B)35~55質量%の円形断面を有する強化繊維、
(C)1~15質量%のホスフィン酸塩およびジホスフィン酸塩の少なくとも1種を含むリン系難燃剤、
(D)0.01~2質量%のワックス、ならびに、
(E)0~10質量%の添加剤のみからなり、
前記添加剤は、ホウ酸亜鉛およびポリフェニレンエーテルを含まず、
前記(A)ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するポリアミド樹脂を含み、
前記(D)ワックスは、ポリオレフィンワックス、ケトンワックス、アミドワックス、および、パラフィンワックスから選ばれる少なくとも1種を含み、
前記(E)添加剤は、核剤、難燃助剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤および着色剤からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記(A)~(E)の総量が100質量%である、
樹脂組成物。 - (B)強化繊維がガラス繊維を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記リン系難燃剤が、下記式(I)で表される化合物および下記式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
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