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JP7272909B2 - 電力変換装置及び電力変換方法 - Google Patents

電力変換装置及び電力変換方法 Download PDF

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JP7272909B2 JP2019158326A JP2019158326A JP7272909B2 JP 7272909 B2 JP7272909 B2 JP 7272909B2 JP 2019158326 A JP2019158326 A JP 2019158326A JP 2019158326 A JP2019158326 A JP 2019158326A JP 7272909 B2 JP7272909 B2 JP 7272909B2
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Description

本開示は、電力変換装置及び電力変換方法に関する。
非特許文献1には、誘導電動機の制御における電流指令の基本波に、直流成分と調整波とを加え、出力電圧の直流成分と出力電流の直流成分とに基づいて誘導電動機の抵抗を算出する方法が開示されている。調整波は、基本波の周波数の2倍に等しい周波数と、直流成分の大きさに等しい振幅とを有する。
本開示は、運転中における電動機の抵抗の検出精度の向上と、電動機の駆動力リプルの抑制との両立に更に有効な電力変換装置を提供する。
本開示の一側面に係る電力変換装置は、電源と電動機との間で電力変換を行う電力変換部と、少なくとも交流の基本波を含む制御指令を生成する指令生成部と、電動機側の電力が制御指令に追従するように電力変換部を制御する電力変換制御部と、電力変換部が電動機側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、電動機の抵抗を算出する抵抗算出部と、を備え、指令生成部は、電動機の動作速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成する直流成分生成部と、基本波の周波数と、直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成する調整波生成部と、を有し、基本波と、直流成分と、調整波とを含む制御指令を生成する。
本開示の他の側面に係る電力変換方法は、少なくとも交流の基本波を含む制御指令を生成することと、電源と電動機との間で電力変換を行う電力変換部を、電動機側の電力が制御指令に追従するように制御することと、電力変換部が電動機側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、電動機の抵抗を算出することと、を含み、制御指令を生成することは、電動機の動作速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成することと、基本波の周波数と、直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成することと、基本波と、直流成分と、調整波とを含む制御指令を生成することと、を含む。
本開示によれば、運転中における電動機の抵抗の検出精度の向上と、電動機の駆動力リプルの抑制との両立に更に有効な電力変換装置を提供することができる。
電力変換装置の構成を例示する模式図である。 電流指令生成部の構成を例示するブロック図である。 固定座標系及び回転座標系を例示する図である。 直流成分プロファイル、ブーストプロファイル及びキャリアプロファイルの一例を示すグラフである。 直流成分プロファイル、ブーストプロファイル及びキャリアプロファイルの変形例を示すグラフである。 制御回路のハードウェア構成を例示するブロック図である。 電力変換手順を例示するフローチャートである。
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
〔電力変換装置〕
図1に示す電力変換装置1は、電源2と電動機3との間で電力変換を行う装置である。電源2は、例えば三相交流電源である。電源2の具体例としては、三相交流の電力系統、又は三相交流の無停電電源等が挙げられる。
電動機3は、交流(例えば三相交流)の供給により動作する誘導電動機である。電動機3は、交流の供給により動作する同期電動機であってもよい。電動機3は、回転型であってもよいし、リニア型であってもよい。以下においては、電動機3が回転型である場合を説明するので、電動機3の動作量を「回転角度」といい、電動機3の動作速度を「回転速度」といい、電動機3が発生する駆動力を「トルク」という。なお、電動機3がリニア型である場合、電動機3が発生する駆動力は、例えば推力である。
電力変換装置1は、電力変換回路10と、制御回路100とを有する。電力変換回路10(電力変換部)は、電源2と電動機3との間で電力変換を行う。例えば電力変換回路10は、電源2からの交流電力(以下、「一次側電力」という。)を駆動用の交流電力(以下、「二次側電力」という。)に変換して電動機3に供給する。一例として、電力変換回路10は、整流回路11と、平滑コンデンサ12と、インバータ回路13と、電流センサ14とを有する。
整流回路11は、例えばダイオードブリッジ回路又はPWMコンバータ回路であり、上記一次側電力を直流電力に変換する。平滑コンデンサ12は、上記直流電力を平滑化する。インバータ回路13は、上記直流電力と上記二次側電力との間の電力変換を行う。
例えばインバータ回路13は、力行状態において、直流電力を二次側電力に変換して電動機3に供給し、回生状態において、電動機3から戻った二次側電力を直流電力に変換する。なお、力行状態とは、インバータ回路13から供給された電力により電動機3が動作する状態であり、回生状態とは、動作に応じた電力を電動機3がインバータ回路13に戻す状態である。
例えばインバータ回路13は、複数のスイッチング素子15を有し、複数のスイッチング素子15のオン・オフを切り替えることによって上記電力変換を行う。スイッチング素子15は、例えばパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であり、ゲート駆動信号に応じてオン・オフを切り替える。
電流センサ14は、インバータ回路13と電動機3との間に流れる電流を検出する。例えば電流センサ14は、三相交流の全相(a相、b相及びc相)の電流を検出するように構成されていてもよいし、三相交流のいずれか2相の電流を検出するように構成されていてもよい。漏れ電流が生じない限り、a相、b相、及びc相の電流の合計はゼロなので、2相の電流を検出する場合にも全相の電流の情報が得られる。
制御回路100は、少なくとも交流の基本波を含む制御指令を生成することと、二次側電力が制御指令に追従するように電力変換回路10を制御することと、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電圧(すなわち二次側電力の電圧)の直流成分と、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電流(すなわち二次側電力の電流)の直流成分とに基づいて、電動機3の抵抗を算出することと、を実行するように構成されている。
上記制御指令を生成することは、電動機3の回転速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成することと、基本波の周波数と、直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成することと、基本波と、直流成分と、調整波とを含む制御指令を生成することと、を含む。
制御指令は、電流指令であってもよいし、電圧指令であってもよい。制御指令が電流指令である場合、二次側電力を制御指令に追従させることは、二次側電力の電流(以下、「実電流」という。)を電流指令に追従させることを意味する。制御指令が電圧指令である場合、二次側電力を制御指令に追従させることは、二次側電力の電圧(以下、「実電圧」という。)を電圧指令に追従させることを意味する。以下、制御指令が電流指令である場合の構成を例示する。
例えば制御回路100は、機能上の構成(以下、「機能ブロック」という。)として、電流制御部111と、電力変換制御部112と、座標変換部113と、3相・2相変換部114と、抵抗算出部115と、磁束推定部116と、フィルタ処理部117と、電流指令生成部120とを有する。
電流制御部111は、実電流を電流指令に近付けるための演算を行う。例えば電流制御部111は、電流指令と実電流との偏差を縮小するように電圧指令を算出する。なお、ここでの電圧指令は、上述した制御指令としての電圧指令ではない。制御指令としての電圧指令との区別のために、以下においては、電流制御部111が算出する電圧指令を「電流制御用の電圧指令」という。
例えば電流制御部111は、電流指令と実電流との偏差に比例演算、比例・積分演算、又は比例・積分・微分演算を行って電流制御用の電圧指令を算出する。一例として、電流制御部111は、dq座標系において、d軸電流指令id_ref及びq軸電流指令iq_refと、d軸電流id及びq軸電流iqとの偏差を縮小するように、d軸電圧指令Vd_ref及びq軸電圧指令Vq_refを算出する。
dq座標系は、電動機3の可動子と共に回転する(動く)座標系であり、座標軸としてd軸とq軸とを含む(図3参照)。d軸は、電動機3の可動子の磁束方向に沿っている。q軸は、上記磁束方向に垂直である。d軸電流指令id_refは電流指令のd軸方向成分であり、q軸電流指令iq_refは電流指令のq軸方向成分であり、d軸電流idは実電流のd軸方向成分であり、q軸電流iqは実電流のq軸方向成分であり、d軸電圧指令Vd_refは電流制御用の電圧指令のd軸方向成分であり、q軸電圧指令Vq_refは電流制御用の電圧指令のq軸方向成分である。
電力変換制御部112は、二次側電力が制御指令に追従するように電力変換回路10を制御する。例えば電力変換制御部112は、実電流が電流指令に追従するように電力変換回路10を制御する。一例として、電力変換制御部112は、実電圧が上記電流制御用の電圧指令に従った大きさになるように電力変換回路10を制御する。より具体的に、電力変換制御部112は、実電圧が上記電流制御用の電圧指令に従った大きさになるように、所定のキャリア周期で複数のスイッチング素子15のオン・オフを切り替える。
例えば電力変換制御部112は、二次側電力の3相(a相、b相及びc相)のそれぞれにおいて、実電圧が電流制御用の電圧指令に従った大きさになるようにスイッチング素子15のオン・オフを切り替える。一例として、電力変換制御部112は、a相電圧Vaがa相電圧指令Va_refに実質的に一致し、b相電圧Vbがb相電圧指令Vb_refに実質的に一致し、c相電圧Vcがc相電圧指令Vc_refに実質的に一致するように、複数のスイッチング素子15のオン・オフを切り替える。a相電圧Vaはa相の実電圧であり、a相電圧指令Va_refは電流制御用の電圧指令のa相成分である。b相電圧Vbはb相の実電圧であり、b相電圧指令Vb_refは電流制御用の電圧指令のb相成分である。c相電圧Vcはc相の実電圧であり、c相電圧指令Vc_refは電流制御用の電圧指令のc相成分である。
座標変換部113は、dq座標系と、αβ座標系との間の座標変換を行う演算部である。αβ座標系は、電動機3の固定子に固定された座標系であり、座標軸としてα軸とβ軸とを含む(図3参照)。α軸は、例えば二次側電力のa相の方向に沿っている。β軸は、a相の方向に垂直である。3相・2相変換部114は、α軸方向の成分及びβ軸方向の成分と、a相の成分、b相の成分及びc相の成分との間の変換を行う演算部である。
例えば、座標変換部113は、上記d軸電圧指令Vd_ref及びq軸電圧指令Vq_refを、α軸電圧指令Vα_ref及びβ軸電圧指令Vβ_refに変換し、3相・2相変換部114に出力する。α軸電圧指令Vα_refは電流制御用の電圧指令のα軸方向成分であり、β軸電圧指令Vβ_refは電流制御用の電圧指令のβ軸方向成分である。3相・2相変換部114は、α軸電圧指令Vα_ref及びβ軸電圧指令Vβ_refを、上記a相電圧指令Va_ref、b相電圧指令Vb_ref及びc相電圧指令Vc_refに変換し、電力変換制御部112に出力する。
また、3相・2相変換部114は、a相電流ia、b相電流ib及びc相電流icを、α軸電流iα及びβ軸電流iβに変換し、座標変換部113に出力する。a相電流iaはa相の実電流であり、b相電流ibはb相の実電流であり、c相電流icはc相の実電流である。α軸電流iαは、実電流のα軸方向成分であり、β軸電流iβは、実電流のβ軸方向成分である。座標変換部113は、α軸電流iα及びβ軸電流iβを、上記d軸電流id及びq軸電流iqに変換し、電流制御部111にフィードバックする。
抵抗算出部115は、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、電動機3の抵抗を算出する。例えば抵抗算出部115は、上記実電圧の直流成分を、上記実電流の直流成分で除算することによって電動機3の抵抗を算出する。抵抗算出部115は、抵抗を算出する際に、実電流の直流成分として、実電流の直流成分の検出値(例えば、電流センサ14による検出値の直流成分)を使用してもよいし、上記電流指令の直流成分を使用してもよい。例えば抵抗算出部115は、抵抗を算出する際に、実電流の直流成分として、電流センサ14による検出値の直流成分を使用する。
抵抗算出部115は、抵抗を算出する際に、実電圧の直流成分として、実電圧の直流成分の検出値を使用してもよいし、上記制御指令に基づく電圧指令(例えば上記電流制御用の電圧指令)の直流成分を使用してもよい。例えば抵抗算出部115は、抵抗を算出する際に、上記電流制御用の電圧指令の直流成分を使用する。
例えば抵抗算出部115は、実電圧の直流成分と実電流の直流成分として、所定の積分期間の実電圧の積分値(以下、「電圧積分値」という。)と、当該積分期間の実電流の積分値(以下、「電流積分値」という。)とに基づいて抵抗を算出する。例えば抵抗算出部115は、基本波の1周期における電圧積分値を、当該1周期における電流積分値で除算することで電動機3の抵抗を算出する。なお、積分期間は、基本波の1周期に2以上の整数を乗算した期間であってもよい。一例として、抵抗算出部115は、次式によって電動機3の抵抗を算出する。
Figure 0007272909000001

R:電動機3の抵抗
θ1:αβ座標系に対するdq座標系の回転角度(図3参照)
磁束推定部116は、抵抗算出部115が算出した抵抗Rと、実電流と、実電圧とに基づいて、電動機3の可動子導体が発生する磁束λを推定する。磁束推定部116は、磁束を推定する際に、実電流として、実電流の検出値を使用してもよいし、電流指令を使用してもよい。例えば磁束推定部116は、磁束を推定する際に、実電流として、実電流の検出値(例えばα軸電流iα及びβ軸電流iβ)を使用する。
また、磁束推定部116は、磁束を推定する際に、実電圧として、実電圧の検出値を使用してもよいし、上記制御指令に基づく電圧指令(例えば上記電流制御用の電圧指令)を使用してもよい。例えば磁束推定部116は、磁束を推定する際に、実電圧として、上記電流制御用の電圧指令(例えばα軸電圧指令Vα_ref及びβ軸電圧指令Vβ_ref)を使用する。
電流指令生成部120(指令生成部)は、少なくとも上記基本波を含む制御指令を生成する。例えば電流指令生成部120は、上記基本波と、直流成分と、基本波の周波数と直流成分の大きさとに基づく調整波とを含む制御指令を生成し、電流制御部111に出力する。
電流指令生成部120は、電動機3の回転速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように上記直流成分を生成し、これを上記制御指令に含める。また、電流指令生成部120は、基本波の周波数と直流成分の大きさとに基づき調整波を生成し、これを上記制御指令に含める。図2に示すように、例えば電流指令生成部120は、より細分化された機能ブロックとして、基本波生成部121と、直流成分生成部122と、調整波生成部123とを有する。
基本波生成部121は、抵抗算出部115が算出した抵抗Rと、電動機3に発生させるトルクの目標値(トルク目標値T_ref)とに基づいて基本波を算出する。例えば基本波生成部121は、d軸基本波Idsと、磁束推定部116による磁束λの推定値と、トルク目標値T_refとに基づいて、トルク目標値T_refに一致するトルクを発生させるためのq軸基本波Iqsを算出する。
d軸基本波Idsは、例えば操作者の数値入力により設定される。d軸基本波Idsは、二次側電流の磁束発生成分に相当する。磁束発生成分とは、電動機3の可動子導体に磁束λを発生させる成分である。q軸基本波Iqsは、二次側電流の駆動力発生成分に相当する。
直流成分生成部122は、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成する。例えば直流成分生成部122は、動作速度が小さくなるのに従って直流成分が大きくなるように設定された動作速度と直流成分との関係(以下、「直流成分プロファイル」という。)に従って、電動機3の動作速度に対応する直流成分を算出する。なお、動作速度が小さくなるのに従って直流成分が大きくなるように動作速度と直流成分との関係が設定されることは、動作速度が大きくなるのに従って直流成分が小さくなるように動作速度と直流成分との関係が設定されることと同義である。直流成分プロファイルは、関数として設定されていてもよいし、動作速度と直流成分との対応を離散的に示すテーブルとして設定されていてもよい。
直流成分プロファイルの例を図4及び図5に示す。図4及び図5は、回転速度と直流成分との関係を示すグラフであり、横軸が動作速度を示し、縦軸が直流成分の大きさを示している。図4及び図5のいずれにおいても、実線で示されるプロットが、直流成分プロファイルである。
図4の直流成分プロファイルにおいては、回転速度が大きくなるのに従って直流成分が徐々に小さくなり、回転速度が所定の閾値ω21以上になると直流成分が一定値になる。換言すると、回転速度が閾値ω21を下回ると直流成分が上記一定値よりも大きくなり、回転速度が更に小さくなるのに従って、直流成分が徐々に大きくなる。このような直流成分プロファイルによれば、閾値ω21よりも大きい回転速度ω11(上記第1速度の例)に対応する直流成分に比較して、閾値ω21よりも小さい回転速度ω12(上記第2速度の例)に対応する直流成分が大きくなる。
図5の直流成分プロファイルにおいては、閾値ω21よりも大きい速度域に比較して、閾値ω21よりも小さい速度域における直流成分がステップ状に大きくなっており、各速度域における直流成分は一定である。このような直流成分プロファイルによっても、閾値ω21よりも大きい回転速度ω11(上記第1速度の例)に対応する直流成分に比較して、閾値ω21よりも小さい回転速度ω12(上記第2速度の例)に対応する直流成分が大きくなる。
調整波生成部123は、基本波生成部121が生成した基本波の周波数と、直流成分生成部122が生成した直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成する。例えば調整波生成部123は、基本波生成部121が生成した基本波の周波数の2倍に実質的に等しい周波数と、直流成分生成部122が生成した直流成分の大きさに実質的に等しい振幅とを有する調整波を生成する。ここでの「実質的に等しい」とは、誤差レベル(例えば±10%)の差異が存在する場合を含む。
電流指令生成部120は、加え合わせ点125で示されるように、基本波生成部121が生成した基本波と、直流成分生成部122が生成した直流成分と、調整波生成部123が生成した調整波成分とを足し合わせた制御指令を生成する。一例として、電流指令生成部120は、次式によって、dq座標系における電流指令を生成する。
Figure 0007272909000002
なお、上記式(2)を、αβ座標系に変換すると、次式が得られる。
Figure 0007272909000003

θ2:dq座標系における基本波の位相角(図3参照)
式(3)において、α軸電流指令iα_refは電流指令のα軸成分であり、β軸電流指令iβ_refは電流指令のβ軸成分である。Is・cos(θ1+θ2)は基本波のα軸成分であり、Is・sin(θ1+θ2)は基本波のβ軸成分である。Iinjは直流成分である。また、Iinj・cos(2・θ1)は調整波のα軸成分であり、Iinj・sin(2・θ1)は調整波のβ軸成分である。すなわち、式(3)は、基本波と直流成分と調整波とを足し合わせて電流指令を生成することの一例を示しており、この例ではα軸成分のみに直流成分が足されている。従って、dq座標系における電流指令を式(2)によって算出することは、基本波と直流成分と調整波とを足し合わせて電流指令を生成することに相当する。
電流指令生成部120が式(2)によって電流指令を算出する場合、基本波生成部121が基本波を算出することは、式(2)におけるIds及びIqsを算出することに相当する。直流成分生成部122が直流成分を算出することは、式(2)におけるIinjを算出することに相当する。調整波生成部123が調整波を算出することは、式(2)において2・Iinj・cos(θ1)を算出することに含まれる。すなわち、式(2)によれば、調整波生成部123による調整波の算出と、基本波、直流成分及び調整波の足し合わせとが同時に行われることとなる。
制御回路100は、電動機3の回転速度が上記第1速度であるときよりも、上記第2速度であるときの方が、電動機3側の電流の磁束発生成分が大きくなり当該電流の駆動力発生成分が小さくなるように基本波を変更するように構成されていてもよい。例えば、電流指令生成部120は、基本波変更部124を更に有する。
基本波変更部124は、電動機の回転速度が上記第1速度であるときよりも、上記第2速度であるときの方が、d軸基本波Idsが大きくなりq軸基本波Iqsが小さくなるように基本波を変更する。例えば基本波変更部124は、動作速度が小さくなるのに従って、d軸基本波Idsの拡大率が大きくなるように設定された動作速度と拡大率との関係(以下、「ブーストプロファイル」という。)に従って、電動機3の動作速度に対応する拡大率を算出する。
ブーストプロファイルの例を図4及び図5に示す。図4及び図5において、ブーストプロファイルに対する縦軸は、拡大率の大きさを示す。図4及び図5のいずれにおいても、一点鎖線で示されるプロットが、ブーストプロファイルである。
図4のブーストプロファイルにおいては、回転速度が閾値ω21よりも大きい場合には拡大率が1である。回転速度が閾値ω21を下回ると拡大率が1よりも大きくなり、回転速度が更に小さくなるのに従って、拡大率が徐々に大きくなる。このようなブーストプロファイルによれば、閾値ω21よりも大きい回転速度ω11(上記第1速度の例)に対応する拡大率に比較して、閾値ω21よりも小さい回転速度ω12(上記第2速度の例)に対応する拡大率が大きくなる。
図5のブーストプロファイルにおいては、閾値ω21よりも大きい速度域に比較して、閾値ω21よりも小さい速度域における拡大率がステップ状に大きくなっている。例えば、閾値ω21よりも大きい速度域における拡大率は1であり、閾値ω21よりも小さい速度域における拡大率は1より大きい定数である。このようなブーストプロファイルによっても、閾値ω21よりも大きい回転速度ω11(上記第1速度の例)に対応する拡大率に比較して、閾値ω21よりも小さい回転速度ω12(上記第2速度の例)に対応する拡大率が大きくなる。
基本波変更部124は、拡大率の算出結果が1よりも大きい場合に、当該拡大率にてd軸基本波Idsを拡大し、拡大後のd軸基本波Idsによって基本波生成部121に基本波を変更させる。基本波生成部121においては、トルク目標値T_refにトルクを一致させるために、d軸基本波Idsの拡大に応じてq軸基本波Iqsが縮小される。このため、上記拡大率にてd軸基本波Idsが大きくなり、その分q軸基本波Iqsが小さくなるように基本波が変更される。
制御回路100は、電力変換制御部112が制御指令に従って電力変換部に電力変換を実行させる前に、制御指令にローパス型のフィルタリングを施すことを更に実行するように構成されていてもよい。例えば制御回路100は、フィルタ処理部117を更に有する。
フィルタ処理部117は、磁束推定部116による磁束λの推定結果にローパス型のデジタルフィルタリングを施して、フィルタリング後の磁束λを基本波生成部121に出力する。デジタルフィルタリングの具体例としては、有限インパルス応答方式のフィルタリングが挙げられる。上述したように、基本波生成部121は、磁束λに基づいて電流指令の基本波を生成するので、磁束λにローパス型のフィルタリングを施すことによって、基本波にもローパス型のフィルタリングが施されたこととなる。
以上に説明した構成によれば、トルクリプルを抑制しつつ基本波に直流成分を加えることができる。具体的には、直流成分を調整波と共に基本波に加えることによって、直流成分の加算に起因するトルクリプルを抑制することができる。仮に、直流成分のみを基本波に加える場合、dq座標系においては、d軸電流指令id_ref及びq軸電流指令iq_refの両方にリプル(振動成分)が生じ、これらのリプルに起因してトルクリプルが生じる。これに対し、直流成分を調整波と共に基本波に加えると、q軸電流指令iq_refのリプルが削減される。例えば、式(2)に示されるように、q軸電流指令iq_refのリプルは消える。
d軸電流指令id_refにはリプルが残るものの、この振動成分は、d軸電流idにより磁束λが生成される過程で大幅に減衰する。このため、直流成分を調整波と共に基本波に加える場合に生じるトルクリプルは、直流成分のみを基本波に加える場合のトルクリプルに比較して大幅に抑制される。このように、トルクリプルを抑制しつつ基本波に直流成分を加えることによって、直流成分に基づく抵抗の算出精度が高められる。
ただし、抵抗の算出精度は、電動機3の動作速度が小さくなるにつれて低下する傾向がある。この傾向に合わせ、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成することによって、第2速度における抵抗の算出精度を更に向上させることができる。一方、第1速度における直流成分を第2速度における直流成分よりも小さくすることによって、第1速度における駆動力リプルを更に抑制することができる。
抵抗の算出精度には、電圧の誤差(電圧を示す情報と実際の電圧との差)等が影響を及ぼす。電圧の誤差の具体例としては、電流制御用の電圧指令(d軸電圧指令Vd_ref及びq軸電圧指令Vq_ref)と実電圧との差が挙げられる。電圧の誤差は、例えば電力変換回路10におけるスイッチング(複数のスイッチング素子15のオン・オフ切り替え)等に起因して生じる。
電圧の誤差が抵抗の算出精度に及ぼす影響は、電動機3の回転速度が小さくなるにつれて大きくなる傾向がある。そこで、制御回路100は、電動機3の動作速度が上記第1速度であるときよりも、上記第2速度であるときの電力変換回路10におけるスイッチング周期(複数のスイッチング素子15のオン・オフを切り替える周期)を長くするように構成されていてもよい。これにより、上記影響の拡大を抑制することができる。例えば電力変換制御部112は、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも、上記第2速度であるときの電力変換回路10におけるキャリア周期を長くする。一例として、電力変換制御部112は、動作速度が小さくなるのに従って、キャリア周期が長くなるように設定された動作速度とキャリア周期との関係(以下、「キャリアプロファイル」という。)に従って、電動機3の動作速度に対応するキャリア周期を算出する。
キャリアプロファイルの例を図4及び図5に示す。図4及び図5において、キャリアプロファイルに対する縦軸は、キャリア周期の長さを示す。図4及び図5のいずれにおいても、破線で示されるプロットがキャリアプロファイルである。
図4のキャリアプロファイルにおいては、回転速度が閾値ω22よりも大きい場合にはキャリア周期が一定値(以下、「通常周期」という。)とされている。閾値ω22は、上述した閾値ω21よりも小さい。閾値ω22は、閾値ω21と同等以上であってもよい。
回転速度が閾値ω22を下回るとキャリア周期が通常周期よりも長くなり、回転速度が更に小さくなるのに従って、キャリア周期が徐々に長くなる。このようなキャリアプロファイルによれば、閾値ω22よりも大きい回転速度ω11(上記第1速度の例)に対応するキャリア周期に比較して、閾値ω22よりも小さい回転速度ω12(上記第2速度の例)に対応するキャリア周期が長くなる。
図5のキャリアプロファイルにおいては、閾値ω22よりも大きい速度域に比較して、閾値ω22よりも小さい速度域におけるキャリア周期がステップ状に長くなっている。例えば、閾値ω22よりも大きい速度域におけるキャリア周期は上記通常周期である。このようなキャリアプロファイルによっても、閾値ω22よりも大きい回転速度ω11(上記第1速度の例)に対応するキャリア周期に比較して、閾値ω22よりも小さい回転速度ω12(上記第2速度の例)に対応するキャリア周期が長くなる。
なお、電力変換制御部112は、キャリア周期を変更するのに代えて、何周期ごとにスイッチング素子15のオン・オフを切り替えるのかを変更することで、スイッチング周期を変更してもよい。
上述したように、抵抗算出部115が算出した抵抗は、トルク目標値T_refに一致したトルクを発生させるためのq軸基本波Iqsの算出に用いられる。なお、ここでの「q軸基本波Iqsの算出に用いられる」とは、q軸基本波Iqsの算出に間接的に用いられること(例えば、抵抗が磁束の算出に用いられ、磁束の算出結果がq軸基本波Iqsの算出に用いられること)を含む。トルク目標値T_refに一致したトルクを発生させるためのq軸基本波Iqsの算出に抵抗が用いられる場合、抵抗の算出精度は、トルク制御の精度に影響するが、その影響は電動機3の動作速度が大きくなるにつれて小さくなる。そこで、制御回路100は、電動機3の動作速度が上記第1速度であるときには電動機3の抵抗の算出を停止し、電動機3の抵抗を一定値として基本波を生成するように構成されていてもよい。例えば抵抗算出部115は、閾値ω21よりも小さい速度域においては電動機3の抵抗の算出を行い、閾値ω21よりも大きい速度域においては電動機3の抵抗の算出を停止してもよい。また、抵抗算出部115は、動作速度がゼロであるか、ゼロに極めて近い場合に、電動機3の抵抗の算出を停止してもよい。これに合わせ、直流成分生成部122は、図4及び図5に例示したように、動作速度が小さくなるのに従って直流成分が大きくなる直流成分プロファイルに従う場合であっても、動作速度がゼロであるか、ゼロに極めて近い場合に、直流成分をゼロにしてもよい。
抵抗算出部115が抵抗の算出を停止している期間において、基本波生成部121は、電動機3の抵抗を一定値として基本波を生成する。例えば基本波生成部121は、抵抗の算出を停止する直前に抵抗算出部115が算出した抵抗を、上記一定値として使用してもよいし、電動機3の停止中に予め測定された抵抗を上記一定値として使用してもよい。直流成分生成部122は、閾値ω21よりも大きい速度域における直流成分をゼロにする。これにより、トルク制御の精度の低下を抑制しつつ、直流成分の加算に伴うトルクリプルを更に削減することができる。また、直流成分の加算に伴うエネルギーロスも削減することができる。
上述したように、直流成分を調整波と共に基本波に加算しても、磁束λにはd軸電流指令id_refのリプルに起因する微小なリプルが生じる。基本波生成部121は、トルクをトルク目標値T_refに一致させるようにq軸基本波Iqsを算出するので、磁束λのリプルが生じると、これを打ち消すように、q軸基本波Iqs自体にも微小なリプルが生じることとなる。
q軸基本波Iqsにリプルが生じると、インバータ回路13が上記力行状態である期間(以下、「力行期間」という。)と、インバータ回路13が上記回生状態である期間(以下、「回生期間」という。)とで、抵抗算出部115による抵抗の算出精度に差が生じる。具体的には、回生期間における抵抗の算出精度が、力行期間における抵抗の算出精度よりも低くなる。一例として、微小なリプルが生じたq軸基本波Iqsは次式で表される。
Figure 0007272909000004

Iqs_ave:q軸基本波Iqsの平均値
ω1:αβ座標系に対するdq座標系の回転角速度
τ:フィルタ処理部117によるフィルタリングの時定数
式(4)で示されるq軸基本波Iqsのリプルを考慮すると、αβ座標系において基本波に加算される直流成分は、次式で示される。
Figure 0007272909000005

iα_dc:α軸電流指令iα_refの直流成分
力行期間においては、式(5)におけるIqs_aveが正の値となり、回生期間においては、式(5)におけるIqs_aveが負の値となる。このため、回生期間においては、力行期間に比較して、基本波に加算される直流成分が小さくなる。従って、回生期間における抵抗の算出精度が、力行期間における抵抗の算出精度よりも低くなる。
回生期間における抵抗の算出精度の低下を抑制するために、制御回路100は、回生期間における上記フィルタリングの時定数を、力行期間における上記フィルタリングの時定数に比較して大きくするように構成されていてもよい。例えばフィルタ処理部117は、力行期間において磁束λに施すフィルタリングの時定数に比較して、回生期間において磁束λに施すフィルタリングの時定数(式(5)における時定数τ)を大きくしてもよい。時定数τが大きくなると、式(5)の右辺第2項の絶対値が小さくなる。このため、右辺第2項による直流成分の削減幅が小さくなる。従って、回生期間における抵抗の算出精度の低下が抑制される。
制御回路100は、回生期間においては抵抗の算出を行わずに、直前の力行期間において算出された抵抗を当該回生期間の抵抗とするように構成されていてもよい。例えば抵抗算出部115は、力行期間においては上述したように抵抗を算出し、回生期間においては、直前の力行期間において算出された抵抗を当該回生期間における抵抗としてもよい。この場合、抵抗算出部115は、例えばq軸基本波Iqsが正の値であるか負の値であるかに基づいて、インバータ回路13が力行状態であるか回生状態であるかを判定してもよい。
図6は、制御回路100のハードウェア構成を例示するブロック図である。図6に示すように、制御回路100は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、スイッチング制御回路194とを有する。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。ストレージ193は、上述のように制御指令を生成することと、二次側電力が制御指令に追従するように電力変換回路10を制御することと、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電圧(すなわち二次側電力の電圧)の直流成分と、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電流(すなわち二次側電力の電流)の直流成分とに基づいて、電動機3の抵抗を算出することと、を制御回路100に実行させるためのプログラムを記憶している。
メモリ192は、ストレージ193からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能ブロックを構成する。スイッチング制御回路194は、プロセッサ191からの指令により、上記ゲート駆動信号を生成する。
なお、制御回路100は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば制御回路100は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
〔電力変換手順〕
続いて、電力変換方法の一例として、電力変換装置1が実行する電力変換手順を例示する。この手順は、少なくとも交流の基本波を含む制御指令を生成することと、電動機3側の電力が制御指令に追従するように電力変換回路10を制御することと、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、電動機3の抵抗を算出することと、を含み、制御指令を生成することは、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも大きい第2速度であるときの方が小さくなるように直流成分を生成することと、基本波の周波数と、直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成することと、基本波と、直流成分と、調整波とを含む制御指令を生成することと、を含む。この手順において、制御回路100は、所定の制御周期で電流の検出と電力変換回路10の制御とを繰り返す。
図7は、1つの制御周期において制御回路100が実行する制御手順を例示するフローチャートである。図7に示すように、制御回路100は、ステップS01,S02,S03,S04,S05,S06,S07,S08を順に実行する。ステップS01では、基本波生成部121が上記基本波を生成し、直流成分生成部122が上記直流成分を生成し、調整波生成部123が上記調整波を生成し、電流指令生成部120が、基本波と直流成分と調整波とを足し合わせた電流指令を生成する。基本波の生成に際し、基本波生成部121は、1つ前の制御周期で算出された抵抗Rと磁束λとを使用する。
ステップS02では、電流制御部111が、3相・2相変換部114及び座標変換部113を介して電流センサ14による実電流の検出値を取得する。ステップS03では、電流制御部111が、電流指令と実電流との偏差を縮小するように上記電流制御用の電圧指令を算出する。
ステップS04では、電力変換制御部112が、電動機3の回転速度ω1の情報を取得しθ1を演算する。電動機3に位置センサや速度センサが設けられている場合、電力変換制御部112は当該センサを用いて回転速度の情報を取得してもよい。電動機3にセンサが設けられていない場合、電力変換制御部112は、上記実電流の検出値等に基づく回転速度の推定値を取得してもよい。
ステップS05では、電力変換制御部112が、電動機3の回転速度に基づいて、上記スイッチング周期を設定する。例えば電力変換制御部112は、上記キャリアプロファイルに基づいて、電動機3の回転速度に対応するキャリア周期を設定する。ステップS06では、実電圧が上記電流制御用の電圧指令に従った大きさになるように、電力変換制御部112が複数のスイッチング素子15のオン・オフ切り替えを開始する。
ステップS07では、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、抵抗算出部115が電動機3の抵抗を算出する。ステップS08では、抵抗算出部115が算出した抵抗Rと、実電流と、実電圧とに基づいて、電動機3の可動子導体が発生する磁束λを磁束推定部116が推定する。以上で、1つの制御周期における制御回路100の制御手順が完了する。
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、電力変換装置1は、電源2と電動機3との間で電力変換を行う電力変換回路10と、少なくとも交流の基本波を含む制御指令を生成する電流指令生成部120と、電動機3側の電力が制御指令に追従するように電力変換回路10を制御する電力変換制御部112と、電力変換回路10が電動機3側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、電動機3の抵抗を算出する抵抗算出部115と、を備え、電流指令生成部120は、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成する直流成分生成部122と、基本波の周波数と、直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成する調整波生成部123と、を有し、基本波と、直流成分と、調整波とを含む制御指令を生成する。
この電力変換装置1によれば、基本波に、直流成分と、調整波とが加えられる。仮に直流成分のみを基本波に加えると、電動機3の電流の駆動力発生成分にリプルが生じ、これに起因して電動機3の駆動力のリプル(以下、「駆動力リプル」という。)が生じる。これに対し、基本波に直流成分及び調整波の両方を加えることによって、駆動力発生成分のリプルを抑制することができる。電動機3の電流の磁束発生成分にはリプルが生じるが、磁束発生成分のリプルに起因する駆動力リプルは微小である。このため、駆動力リプルを抑制しつつ、基本波に直流成分を加え、電動機3の抵抗を高い精度で算出することができる。
ただし、抵抗の算出精度は、電動機3の動作速度が小さくなるにつれて低下する傾向がある。この傾向に合わせ、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも、第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成することによって、第2速度における抵抗の算出精度を更に向上させることができる。一方、第1速度における直流成分を第2速度における直流成分よりも小さくすることによって、第1速度における駆動力リプルを更に抑制することができる。従って、運転中における電動機3の抵抗の検出精度の向上と、電動機3の駆動力リプルの抑制との両立に更に有効である。
例えば調整波生成部123は、基本波の周波数の2倍に実質的に等しい周波数と、直流成分の大きさに実質的に等しい振幅とを有する調整波を生成してもよい。
電流指令生成部120は、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも、第2速度であるときの方が、電動機3側の電流の磁束発生成分が大きくなり当該電流の駆動力発生成分が小さくなるように基本波を変更する基本波変更部124を更に有していてもよい。直流成分と調整波とを基本波に加える場合であっても、磁束発生成分にはリプルが生じる。このため、電動機3が誘導電動機である場合、磁束発生成分のリプルの大きさと駆動力発生成分の大きさとに応じた駆動力リプルが生じる。直流成分が大きくなるにつれて、磁束発生成分のリプルが拡大するので、上記駆動力リプルも拡大する。これに対し、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも第2速度であるときの方が磁束発生成分が大きくなり駆動力発生成分が小さくなるように基本波を変更することによって、第1速度と第2速度とでトルクの大きさを変えることなく、第2速度における駆動力リプルを小さくすることができる。
抵抗算出部115は、電圧の直流成分と電流の直流成分として、所定の積分期間の電圧の積分値と、当該積分期間の電流の積分値とに基づいて抵抗を算出してもよい。この場合、積分によって直流成分が容易且つ正確に抽出されるので、容易且つ正確に抵抗を算出することができる。
電力変換制御部112は、電動機3の動作速度が第1速度であるときよりも、第2速度であるときの電力変換回路10におけるスイッチング周期を長くし、抵抗算出部115は、抵抗を算出する際に、電圧の直流成分として、電動機3に印加される電圧の直流成分の検出値、又は制御指令に基づく電圧指令の直流成分を使用してもよい。電動機3の動作速度が小さくなるにつれて、スイッチングに起因する電圧の誤差(電圧を示す情報と実際の電圧との差)が抵抗の算出精度に及ぼす影響が大きくなる。これに対し、第2速度におけるスイッチング周期を第1速度におけるスイッチング周期よりも長くすることで、上記影響の拡大を抑制することができる。従って、抵抗の検出精度を更に向上させることができる。
抵抗算出部115は、抵抗を算出する際に、電圧の直流成分として、電圧指令の直流成分を使用してもよい。この場合、抵抗算出用の電圧値として、電圧指令を用いる場合、電圧検出値を用いる場合に比較して、スイッチングに起因する上記誤差が大きくなる。このため、電動機3の速度が小さくなるのに応じてキャリア周期を長くすることがより有効である。
電力変換装置1は、電力変換制御部112が制御指令に従って電力変換回路10に電力変換を実行させる前に、制御指令にローパス型のフィルタリングを施すフィルタ処理部117を更に備え、フィルタ処理部117は、電力変換回路10から電動機3に電力が出力される力行期間におけるフィルタリングの時定数に比較して、電動機3から電力変換回路10に電力が戻る回生期間におけるフィルタリングの時定数を大きくしてもよい。この場合、力行期間及び回生期間における抵抗の検出精度の差を抑制することができる。
抵抗算出部115は、電動機3に電力が出力される力行期間においては、電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて抵抗を算出し、電動機3から電力が戻る回生期間においては、直前の力行期間において算出された抵抗を当該回生期間における抵抗としてもよい。この場合、力行期間及び回生期間における抵抗の検出精度の差を抑制することができる。
電流指令生成部120は、抵抗算出部115が算出した抵抗と、電動機3に発生させる駆動力の目標値とに基づいて基本波を算出する基本波生成部121を更に有していてもよい。この場合、抵抗の算出結果を、より高精度な力制御に活かすことができる。
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
1…電力変換装置、2…電源、3…電動機、10…電力変換回路(電力変換部)、112…電力変換制御部、115…抵抗算出部、117…フィルタ処理部、120…電流指令生成部(指令生成部)、121…基本波生成部、122…直流成分生成部、123…調整波生成部、124…基本波変更部。

Claims (10)

  1. 電源と電動機との間で電力変換を行う電力変換部と、
    少なくとも交流の基本波を含む制御指令を生成する指令生成部と、
    前記電動機側の電力が前記制御指令に追従するように前記電力変換部を制御する電力変換制御部と、
    前記電力変換部が前記電動機側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、前記電動機の抵抗を算出する抵抗算出部と、を備え、
    前記指令生成部は、
    前記電動機の動作速度が第1速度であるときよりも、前記第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成する直流成分生成部と、
    前記基本波の周波数と、前記直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成する調整波生成部と、
    を有し、
    前記基本波と、前記直流成分と、前記調整波とを含む前記制御指令を生成する、電力変換装置。
  2. 前記調整波生成部は、前記基本波の周波数の2倍に実質的に等しい周波数と、前記直流成分の大きさに実質的に等しい振幅とを有する調整波を生成する、請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記指令生成部は、前記電動機の動作速度が前記第1速度であるときよりも、前記第2速度であるときの方が、前記電動機側の電流の磁束発生成分が大きくなり当該電流の駆動力発生成分が小さくなるように前記基本波を変更する基本波変更部を更に有する、請求項1又は2記載の電力変換装置。
  4. 前記抵抗算出部は、前記電圧の直流成分と前記電流の直流成分として、所定の積分期間の前記電圧の積分値と、当該積分期間の前記電流の積分値とに基づいて前記抵抗を算出する、請求項1~3のいずれか一項記載の電力変換装置。
  5. 前記電力変換制御部は、前記電動機の動作速度が前記第1速度であるときよりも、前記第2速度であるときの前記電力変換部におけるスイッチング周期を長くし、
    前記抵抗算出部は、前記抵抗を算出する際に、前記電圧の直流成分として、前記電動機に印加される電圧の直流成分の検出値、又は前記制御指令に基づく電圧指令の直流成分を使用する、請求項1~4のいずれか一項記載の電力変換装置。
  6. 前記抵抗算出部は、前記抵抗を算出する際に、前記電圧の直流成分として、前記電圧指令の直流成分を使用する、請求項5記載の電力変換装置。
  7. 前記電力変換制御部が前記制御指令に従って前記電力変換部に電力変換を実行させる前に、前記制御指令にローパス型のフィルタリングを施すフィルタ処理部を更に備え、
    前記フィルタ処理部は、前記電力変換部から前記電動機に電力が出力される力行期間における前記フィルタリングの時定数に比較して、前記電動機から前記電力変換部に電力が戻る回生期間における前記フィルタリングの時定数を大きくする、請求項1~6のいずれか一項記載の電力変換装置。
  8. 前記抵抗算出部は、
    前記電動機に電力が出力される力行期間においては、前記電圧の直流成分と前記電流の直流成分とに基づいて前記抵抗を算出し、
    前記電動機から電力が戻る回生期間においては、直前の前記力行期間において算出された前記抵抗を当該回生期間における前記抵抗とする、請求項1~7のいずれか一項記載の電力変換装置。
  9. 前記指令生成部は、前記抵抗算出部が算出した前記抵抗と、前記電動機に発生させる駆動力の目標値とに基づいて前記基本波を算出する基本波生成部を更に有する、請求項1~7のいずれか一項記載の電力変換装置。
  10. 少なくとも交流の基本波を含む制御指令を生成することと、
    電源と電動機との間で電力変換を行う電力変換部を、前記電動機側の電力が前記制御指令に追従するように制御することと、
    前記電力変換部が前記電動機側に発生させる電圧の直流成分と電流の直流成分とに基づいて、前記電動機の抵抗を算出することと、を含み、
    前記制御指令を生成することは、
    前記電動機の動作速度が第1速度であるときよりも、前記第1速度よりも小さい第2速度であるときの方が大きくなるように直流成分を生成することと、
    前記基本波の周波数と、前記直流成分の大きさとに基づいて、交流の調整波を生成することと、
    前記基本波と、前記直流成分と、前記調整波とを含む前記制御指令を生成することと、を含む、電力変換方法。
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