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JP7245715B2 - パン類用品質向上剤、パン類の品質向上方法およびパン類の製造方法 - Google Patents

パン類用品質向上剤、パン類の品質向上方法およびパン類の製造方法 Download PDF

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JP7245715B2 JP2019099188A JP2019099188A JP7245715B2 JP 7245715 B2 JP7245715 B2 JP 7245715B2 JP 2019099188 A JP2019099188 A JP 2019099188A JP 2019099188 A JP2019099188 A JP 2019099188A JP 7245715 B2 JP7245715 B2 JP 7245715B2
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Description

本発明は、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせた積層生地を用いるパン類に好適なパン類用品質向上剤、前記パン類用品質向上剤を用いるパン類の品質向上方法およびパン類の製造方法に関する。
パン類の中で、例えば、デニッシュ、クロワッサン、パイ、ペストリー、ミルフィーユなどは、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせた積層生地を用いて製造される。
製造の際、リテールベーカリー等の小規模な製造施設では生じ難いが、パン工場等の比較的に規模が大きい製造施設では、取扱うパン生地の量が多いために、フロア時間終了後、パン生地の全てが分割されるまでに時間差が生じてしまう。そのため、パン生地が縮んでしまったり、積層生地を用いて製造されるパン類では油脂等をきれいに折り込めなかったりしてしまい、その結果、ボリュームや内相等の外観や食感などの点で、ばらつきが発生してしまうという問題がある。この問題は、短時間の発酵を行った後、冷蔵下に置くことで生地の発酵を抑制・遅延させる製法であるリタード製法を用いる場合に、特に生じやすい。
これまでに、パン類等の品質を向上させるための様々な技術が提案されており、例えば、パン類のボリュームおよび食感を向上する品質改良剤として、6-α-グルカノトランスフェラーゼと、改質グルテンとを含有するパン類品質改良剤(例えば、特許文献1参照)やグルタミナーゼおよびエキソペプチダーゼからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質分解酵素を含有するパン類品質改良剤(例えば、特許文献2参照)、ベーキング製品の体積の増加、新鮮さの改善、構造および柔らかさの改善、並びに感覚刺激の質を改善するパン改質またはドー改質組成物として、有効量の分枝酵素を含むパン改質またはドー改質組成物(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
また、酵素を用いて食品の品質を向上させる技術としては、例えば、マルトトリオシル転移酵素を利用した餅類または麺類の老化を抑制する技術(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
また、基質である分岐状グルカンに、ブランチングエンザイムと4-α-グルカノトランスフェラーゼを作用させる方法(例えば、特許文献5参照)などにより製造することができる分岐環状デキストリンは、エネルギー素材、粉末化基材、品質改良剤、味質改良剤などとして用いられている。
しかしながら、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせた積層生地を用いる、特に積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類の製造方法において、積層生地の安定性を向上させ、製造されるパン類の内相等の外観や、歯切れや口溶けといった食感を優れたものとすることができる技術としては、未だ満足のいくものは提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
特開2017-143747号公報 特開2017-143746号公報 特表2000-513568号公報 国際公開第2012/105532号 特開2012-120471号公報
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせた積層生地を用いる、特に積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類の製造方法において、積層生地の安定性を向上させ、製造されるパン類の内相等の外観や、歯切れや口溶けといった食感を優れたものとすることができるパン類用品質向上剤、パン類の品質向上方法およびパン類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、パン生地の製造時にα-グルコシルトランスフェラーゼと分枝環状デキストリンを添加・配合することにより、積層生地の安定性を向上させ、製造されるパン類の内相等の外観や、歯切れや口溶けといった食感を優れたものとすることができることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> α-グルコシルトランスフェラーゼおよび分岐環状デキストリンを含有することを特徴とするパン類用品質向上剤である。
<2> 小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、α-グルコシルトランスフェラーゼ3~100Uで用いられる前記<1>に記載のパン類用品質向上剤である。
<3> 小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、分岐環状デキストリン0.03~1.5gで用いられる前記<1>または<2>に記載のパン類用品質向上剤である。
<4> さらにα-アミラーゼを含有し、その使用量が、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、2~100Uである前記<1>~<3>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤である。
<5> α-グルコシルトランスフェラーゼとα-アミラーゼの配合比が、1:5~5:1の範囲である前記<4>に記載のパン類用品質向上剤である。
<6> さらにアスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩を含有する前記<1>~<5>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤である。
<7> 前記<1>~<6>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とするパン類の品質向上方法である。
<8> 前記<1>~<6>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とするパン類の製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせた積層生地を用いる、特に積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類の製造方法において、積層生地の安定性を向上させ、製造されるパン類の内相等の外観や、歯切れや口溶けといった食感を優れたものとすることができるパン類用品質向上剤、パン類の品質向上方法およびパン類の製造方法を提供することができる。
(パン類用品質向上剤)
本発明のパン類用品質向上剤は、α-グルコシルトランスフェラーゼと、分岐環状デキストリンとを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<パン類>
本発明におけるパン類(菓子類を含む)としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせた積層生地を用いて製造されるパン類が好適に挙げられ、特に、積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類が好適に挙げられる。このようなパン類の具体例としては、デニッシュ、クロワッサン、パイ、ペストリー、ミルフィーユ等が挙げられる。
<α-グルコシルトランスフェラーゼ>
前記α-グルコシルトランスフェラーゼは、1,4-α-グルカンの一部分を、グルコースまたは1,4-α-D-グルカン等の炭化水素の別の部分に転移させる酵素である。
前記α-グルコシルトランスフェラーゼとしては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができるが、国際公開第2012/105532号に記載のα-グルコシルトランスフェラーゼ(マルトトリオシル転移酵素)が好ましい。前記α-グルコシルトランスフェラーゼは市販品を適宜使用することができる。
前記α-グルコシルトランスフェラーゼの前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
<分岐環状デキストリン>
前記分岐環状デキストリン(「高度分岐環状デキストリン」と称することもある。)は、多数のグルコースが分枝しながら連結し、環状構造を有するデキストリンであり、詳細にはグルコースがα-1,4グリコシド結合により結合しているアミロペクチン鎖に、さらにα-1,6グリコシド結合により分岐し、分子内に1つの環状構造を有するデキストリンである。前記分岐環状デキストリンは、澱粉(アミロペクチン)に酵素を作用させることにより製造される。
これに対し、シクロデキストリンはグルコースがα-1,4グリコシド結合により結合し環状構造となった環状オリゴ糖であり、本発明における分岐環状デキストリンとは全く異なる物質である。
前記分岐環状デキストリンとしては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、グリコ栄養食品株式会社のクラスターデキストリンなどの市販品を適宜使用することができる。
前記分岐環状デキストリンの前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量などに応じて適宜選択することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、α-アミラーゼ;アスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩;グルテン等の食品素材などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、製造されるパン類の内相等の外観や食感がより向上するため、α-アミラーゼを含有させることが好ましい。
また、パン生地の安定性や製造されるパン類の内相等の外観や食感がより向上するため、アスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩を含有させることが好ましい。
前記その他の成分の前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
<<α-アミラーゼ>>
前記α-アミラーゼとしては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記α-アミラーゼの種類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、アスペルギウス・オリゼ(Aspergillus oryzae)等のアスペルギウス属、バチルス・サブチリス(Bacillus subtillis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)等のバチルス属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属等の微生物由来のα-アミラーゼ、大麦や小麦など穀物由来のα-アミラーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記α-アミラーゼは、例えば、天野エンザイム株式会社のビオザイムA、新日本化学工業株式会社のスミチームASなどの市販品を適宜使用することができる。
前記α-アミラーゼの前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
<<アスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩>>
前記アスコルビン酸もしくはその塩およびシステインもしくはその塩としては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、市販品を適宜選択することができる。
前記アスコルビン酸もしくはその塩およびシステインもしくはその塩は、いずれか一方を使用してもよいし、両方を使用してもよい。
前記塩としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩などが挙げられる。前記塩は、1種の塩を用いてもよいし、2種以上の塩を併用してもよい。
前記アスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩の前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量などに応じて適宜選択することができる。
<態様>
前記パン類用品質向上剤は、前記α-グルコシルトランスフェラーゼと、前記分岐環状デキストリンと、必要に応じて前記その他の成分とを同一の包材に含む態様であってもよいし、前記各成分の1つまたは複数を別々の包材に入れ、使用時に各成分を混合して穀粉原料に添加する態様や、各成分をそれぞれ穀粉原料に添加する態様であってもよい。
<使用量>
前記パン類用品質向上剤の使用量としては、特に制限はなく、後述する各成分の使用量に応じて、適宜選択することができる。
<<α-グルコシルトランスフェラーゼ>>
前記α-グルコシルトランスフェラーゼの使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料(以下、単に「穀粉原料」と称することがある。)100gに対して、通常3~100U(「U」は活性単位(ユニット)を表す。以下同様。)であり、5~90Uであるのが好ましく、15~60Uであるのがより好ましい。前記α-グルコシルトランスフェラーゼの使用量が、3U未満であると、パン生地に十分な安定性を付与できないことがあり、また、パン類に良好な外観や食感を十分に付与できないことがあり、100Uを超えて配合しても、奏される効果が上がらない。
本発明において、前記α-グルコシルトランスフェラーゼの活性単位の定義は、以下の条件下、1分間に反応液2.5mL中に1μmolのグルコースを生成する酵素量を1Uとする。
-条件-
1%マルトテトラオースを含む10mmol/L MES緩衝液(pH6.5)2mLに酵素溶液0.5mLを添加して、40℃で60分間放置する。放置後、沸騰水浴中で5分間加熱した後、流水中で冷却し、生成したグルコースを定量する。
<<分岐環状デキストリン>>
前記分岐環状デキストリンの使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、通常0.03~1.5gであり、0.05~1.0gであるのが好ましく、0.1~0.6gであるのがより好ましい。前記分岐環状デキストリンの使用量が、0.03g未満であると、パン生地に十分な安定性を付与できないことがあり、また、パン類に良好な外観や食感を十分に付与できないことがあり、1.5gを超えると、奏される効果が上がらないだけでなく、却って冷蔵した積層生地の伸展性を低下させるだけでなく、風味を低下させるおそれがある。
<<α-アミラーゼ>>
前記α-アミラーゼを使用する場合の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、2~100Uであるのが好ましく、5~70Uであるのがより好ましく、10~50Uであるのが特に好ましい。前記αアミラーゼの使用量が、2U未満であると、十分な添加効果が得られないことがあり、100Uを超えると、冷蔵した積層生地の安定性に悪影響が生じるおそれがある。
本発明において、前記α-アミラーゼの活性単位の定義は、デンプンを基質として、pH5.0、30℃において、25分間反応させた後にヨウ素で呈色させ、吸光度(620nm)における可溶性デンプンの変換率が毎時1.0gである酵素量を1Uとする。
<<α-グルコシルトランスフェラーゼとα-アミラーゼの配合比>>
前記α-グルコシルトランスフェラーゼとα-アミラーゼの配合比としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、活性単位の比として、1:5~5:1の範囲とするのが好ましく、1:2~3:1の範囲とするのがより好ましい。前記配合比が好ましい範囲内であると、パン生地の安定性、得られるパン類の外観及び食感がより良好である点で、有利である。
<<アスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩>>
前記アスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩を使用する場合の合計使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.1~50mgが好ましく、1~5mgがより好ましい。前記アスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩の合計使用量が好ましい範囲内であると、パン生地の安定性や製造されるパン類の外観や食感がより向上する点で、有利である。
<小麦粉を主体とする穀粉原料>
前記小麦粉を主体とする穀粉原料とは、強力粉、準強力粉、中力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉を主として含有するものであり、これら各種小麦粉を組み合わせたものでもよい。また、小麦粉として全粒粉を用いてもよいが、この場合、全粒粉に含まれる小麦ふすま部分は、ふすまとして換算する。当該穀粉は、小麦粉の他に、大麦粉、ライ麦粉、ライ小麦粉、そば粉、米粉、オーツ麦粉を含んでいてもよい。
(パン類の製造方法)
本発明のパン類の製造方法は、パン類の製造工程において、少なくとも本発明のパン類用品質向上剤を用い、必要に応じて更にその他の成分を用いる。
前記パン類の製造方法は、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせて折込んだ積層生地を用いる製造方法が好適に挙げられ、パン生地の調製工程に冷蔵(リタード)工程を設けるものがより好適に挙げられる。
パン生地の冷蔵工程は、小麦粉を主体とする穀粉原料とイースト、塩、水とその他の原料を混合・混捏してパン生地を製造した後であればいずれの段階に設定してもよく、例えばフロアタイム後、折込工程前~途中~後、成型後等が挙げられる。これ以外は通常の手順で発酵、成型、焼成する方法が挙げられる。
パン類の製造方法においては、前述の穀粉原料において、水、イースト(生イースト、ドライイースト等)、油脂、所望によりその他の製パン原料を混合・混捏する工程を含むが、その他の製パン原料として、通常、パン類の製造に用いられるもの、例えばサワー種、ルヴァン種等の各種発酵種;イーストフード;砂糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、麦芽糖、乳糖等の糖類;卵又は卵粉;脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ粉末、ヨーグルト粉末、ホエー粉末などの乳製品;ショートニングやバター、マーガリンやその他の動植物油等の油脂類;乳化剤;膨張剤;増粘剤;甘味料;香料;着色料;アスコルビン酸;食塩等の無機塩類;グルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素類;食物繊維を適宜使用することができる。
<使用量>
前記パン類の製造方法における本発明のパン類用品質向上剤の使用量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(パン類用品質向上剤)の<使用量>の項目に記載した量とすることができる。
前記パン類用品質向上剤は、通常、パン生地の製造時に、添加・配合する。
(パン類の品質向上方法)
本発明のパン類の品質向上方法は、パン類の製造工程において、少なくとも本発明のパン類用品質向上剤を用い、必要に応じて更にその他の成分を用いる。
前記パン類の品質向上方法は、上述した本発明のパン類の製造方法と同様にして行うことができる。
本発明のパン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質向上方法によれば、パン生地と油脂、各種クリーム等を重ね合わせた積層生地を用いる、特に積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類の製造方法において、積層生地の安定性を向上させ、製造されるパン類の内相等の外観や、歯切れや口溶けといった食感を優れたものとすることができる。
以下、製造例、比較製造例および試験例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(製造例1、比較製造例1~4:各種パン類用品質向上剤の製造)
下記の表1の配合により、製造例1及び比較製造例1~4のパン類用品質向上剤を製造した。なお、各パン類用品質向上剤は、食品素材(グルテン)の量を適宜変更し、全量が1.0gになるように調整した。また、食品素材(グルテン)のみからなるものを対照として用意した。
なお、使用した成分の詳細は、以下の通りである。
・ α-グルコシルトランスフェラーゼ:製品名「アマノL」、天野エンザイム株式会社製
・ α-アミラーゼ:製品名「ビオザイムA」、天野エンザイム株式会社製
・ 分岐環状デキストリン:製品名「クラスターデキストリン」、グリコ栄養食品株式会社製
Figure 0007245715000001
(試験例1:クロワッサンの製造)
上記製造例1、比較製造例1~4または対照のパン類用品質向上剤を用いて、下記の配合・工程によりクロワッサンを製造した。
<配合>
・ 強力粉 100質量部
・ 生イースト 5.0質量部
・ パン類用品質向上剤 1.0質量部
・ 砂糖 10.0質量部
・ 食塩 1.8質量部
・ ショートニング 8.0質量部
・ 水 50.0質量部
〔※ ロールイン油脂(マーガリン) 25.0質量部(対生地)〕
<工程>
・ ミキシング ↓(油脂)低速3分中速2分
・ 捏上温度 21℃
・ フロア時間 30分
・ リタード条件 0℃/20時間
・ 折込条件 3つ折り/3回
・ 分割重量 60g
・ 成型 クロワッサン成型
・ ホイロ時間 70分(32℃、湿度85%)
・ 焼成条件 200℃、14分間
<評価>
上記工程において折込後の積層生地の物性・状態を下記の評価基準「生地安定性(伸展性と物性安定性)」に従って評価した。また、製造したクロワッサンについて、外観(パンの内相)と食感(歯切れ、口溶け)についても下記の評価基準に従って10名で評価した。得られた結果の平均点を下記の表2に示す。
-生地安定性(伸展性と物性安定性)-
5点 : 伸展性に優れ、折込後の生地の縮みがない。
4点 : 伸展性があり、折込後の生地の縮みもほぼない。
3点 : 伸展性がややあり、折込後の生地の縮みも少ない、あるいは伸展性がやや過度になり、わずかに粘りが生じる。
2点 : 伸展性にやや劣り、折込後の生地の縮みがややある、あるいは生地の伸展性が過度になり、やや粘りが生じる。
1点 : 伸展性に劣り、折込後の生地が縮む、あるいは生地の伸展性が過度になり、過度な粘りが生じる。
-外観(パンの内相)-
5点 : 膜薄で均一な層であり、はっきりとした積層構造の内相である。
4点 : 膜薄でやや均一であり、積層構造の内相である。
3点 : やや膜薄だが、わずかに不均一な積層構造の内相である。
2点 : 膜厚で不均一であり、積層構造が一部つぶれた内相である。
1点 : 膜厚で不均一であり、積層構造が全体的につぶれた内相である。
-食感(歯切れ、口溶け)-
5点 : 歯切れ、口溶けのいずれにも優れる。
4点 : 歯切れがよく、口溶けもよい
3点 : やや歯切れがよく、口溶けもややよい。
2点 : やや弾きがあり、ややパサつきがある。
1点 : 弾きがあり、パサつきがある。
Figure 0007245715000002
表2に示したように、本発明の製剤の一例である製造例1の製剤を用いた場合には、生地が安定であり、製造されたパン類の外観や食感が良好であることが確認された。
(試験例2)
<各種パン類用品質向上剤の製造>
小麦粉を主体とする穀粉原料(本試験例では強力粉)100gに対して、パン類用品質向上剤を下記の表3に記載の量添加した場合の各成分の使用量が下記の表3に記載の量となるように、食品素材(グルテン)の量を適宜変更し、全量が1.0gになるように調整した試験例2-1~2-4および対照のパン類用品質向上剤を製造した。
また、小麦粉を主体とする穀粉原料(本試験例では強力粉)100gに対して、パン類用品質向上剤を下記の表3に記載の量添加した場合の各成分の使用量が下記の表3に記載の量となるように、食品素材(グルテン)の量を適宜変更し、全量が2.0g(試験例2-5)、3.0g(試験例2-6)または4.0g(試験例2-7)になるように調整した各種パン類用品質向上剤を調製した。
<クロワッサンの製造>
上記で製造した試験例2-1~2-7または対照のパン類用品質向上剤を用いて、試験例1の配合・工程によりクロワッサンを製造した。ただし、パン類用品質向上剤の配合量は、下記の表3に記載の量に変更した。
また、積層生地の物性・状態、製造したクロワッサンの外観(パンの内相)および食感(歯切れ、口溶け)を試験例1と同様の評価基準に従って評価した。得られた結果を下記の表3に示す。
Figure 0007245715000003
表3に示したように、α-グルコシルトランスフェラーゼや分岐環状デキストリンの量を変えた場合でも、本発明の効果が得られることが確認された。
(試験例3)
<各種パン類用品質向上剤の製造>
下記の表4の配合により、試験例3-1~3-5および対照のパン類用品質向上剤を製造した。なお、各パン類用品質向上剤は、食品素材(グルテン)の量を適宜変更し、全量が1.0gになるように調整した。
<クロワッサンの製造>
上記で製造した試験例3-1~3-5または対照のパン類用品質向上剤を用いて、試験例1の配合・工程によりクロワッサンを製造した。
また、積層生地の物性・状態、製造したクロワッサンの外観(パンの内相)および食感(歯切れ、口溶け)を試験例1と同様の評価基準に従って評価した。得られた結果を下記の表4に示す。
Figure 0007245715000004
表4に示したように、α-グルコシルトランスフェラーゼとα-アミラーゼとの配合比やα-アミラーゼの配合量を変えた場合でも、本発明の効果が得られることが確認された。また、L-システインまたはその塩を用いることによっても、優れた効果が得られることが確認された。
本発明のパン類用品質向上剤によれば、積層生地を用いるパン類の製造方法において、積層生地の安定性を向上させ、製造されるパン類の内相等の外観や、歯切れや口溶けといった食感を良好なものとすることができるので、積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類に好適に用いることができるので、本発明のパン類用品質向上剤は上記実施例の項目に記載したパン類に限らず、デニッシュ、パイ、ペストリー、ミルフィーユ等のパン類にも好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 4-α-グルカノトランスフェラーゼおよび分岐環状デキストリンを含有するパン類用品質向上剤であって、
    前記パン類が、積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類であることを特徴とするパン類用品質向上剤。
  2. 小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、4-α-グルカノトランスフェラーゼ3~100Uで用いられる請求項1に記載のパン類用品質向上剤。
  3. 小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、分岐環状デキストリン0.03~1.5gで用いられる請求項1または2に記載のパン類用品質向上剤。
  4. さらにα-アミラーゼを含有し、その使用量が、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、2~100Uである請求項1~3のいずれかに記載のパン類用品質向上剤。
  5. 4-α-グルカノトランスフェラーゼとα-アミラーゼの配合比が、1:5~5:1の範囲である請求項4に記載のパン類用品質向上剤。
  6. さらにアスコルビン酸もしくはその塩および/またはシステインもしくはその塩を含有する請求項1~5のいずれかに記載のパン類用品質向上剤。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とする、積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類の品質向上方法。
  8. 請求項1~6のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とする、積層したパン生地を用い、パン生地の調製工程に冷蔵工程を有するパン類の製造方法。
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