JP7203123B2 - 通信システム、通信端末、制御方法、プログラム、およびプログラムを記憶する記憶媒体 - Google Patents

Description

本発明は、車車間通信が可能な通信システム、通信端末、制御方法、プログラム、およびプログラムを記憶する記憶媒体に関する。

車車間通信や路車間通信が実行可能な環境において、走行性を高めることや利便性を向上させることが広く行われている。特許文献１には、車両間の通話やメッセージ送信を行う操作を簡易にするために、連絡を取りたい相手の車両を画面上で直接指定することによって通話やメッセージの送信を行うことが記載されている。また、特許文献２には、通信用ＩＤを変更せずに隊列の再編成を可能にすることが記載されている。また、特許文献３には、カーナビ画面などの表示部の地図上に、車車間通信により取得した他の車両の位置と通信エリアとが合わせて表示されることが記載されている。

特開２００５－２８６５５７号公報 特開２００８－４６８２０号公報 特開２０１１－１９１８１４号公報

車車間通信や路車間通信が実行可能な環境においては、例えばチャネルの共有化などによって通信資源を効率的に使用するために、同報通信が行われる場合がある。そのような場合であっても、通信対象を適切に識別することが求められる。

本発明は、通信対象を適切に識別する通信システム、通信端末、制御方法、プログラム、プログラムを記憶する記憶媒体を提供することを目的とする。

本発明に係る通信システムは、送信側端末と受信側端末とを含む通信システムであって、前記送信側端末は、カメラとセンサの少なくとも一方を用いて、前記受信側端末の位置を取得する送信側取得手段と、前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を送信する送信手段と、を備え、前記受信側端末は、前記受信側端末の位置を取得する受信側取得手段と、前記受信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置が、前記送信手段により送信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記送信側端末との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記送信側端末との通信を終了するよう制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。

また、本発明に係る通信端末は、外部の装置と通信可能な通信端末であって、前記通信端末の位置を取得する取得手段と、カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信手段と、前記取得手段により取得された前記通信端末の位置が、前記受信手段により受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。

また、本発明に係る制御方法は、送信側端末と受信側端末とを含む通信システムにおいて実行される制御方法であって、前記送信側端末が、カメラとセンサの少なくとも一方を用いて、前記受信側端末の位置を取得する送信側取得工程と、前記送信側取得工程において取得された前記受信側端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を送信する送信工程、を有し、前記受信側端末が、前記受信側端末の位置を取得する受信側取得工程と、前記受信側取得工程において取得された前記受信側端末の位置が、前記送信工程において送信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定工程と、前記判定工程において、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記送信側端末との通信を継続するよう制御し、前記判定工程において、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記送信側端末との通信を終了するよう制御する制御工程と、を有することを特徴とする。

また、本発明に係る制御方法は、外部の装置と通信可能な通信端末において実行される制御方法であって、前記通信端末の位置を取得する取得工程と、カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信工程と、前記取得工程において取得された前記通信端末の位置が、前記受信工程において受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定工程と、前記判定工程において、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定工程において、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御工程と、を有することを特徴とする。

また、本発明に係るプログラムは、外部の装置と通信可能な通信端末の位置を取得する取得手段、カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信手段、前記取得手段により取得された前記通信端末の位置が、前記受信手段により受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御手段、としてコンピュータを機能させる。

また、本発明に係るプログラムを記憶する記憶媒体は、外部の装置と通信可能な通信端末の位置を取得する取得手段、カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信手段、前記取得手段により取得された前記通信端末の位置が、前記受信手段により受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶する。

本発明によれば、通信対象を適切に識別することができる。

本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。

添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
車両用制御装置の構成を示す図である。 制御ユニットの機能ブロックを示す図である。 通信システムを説明するための図である。 通信データを送信する場合の処理を示すフローチャートである。 識別情報の生成処理を示すフローチャートである。 識別情報の生成処理を示すフローチャートである。 車両の走行中に行われる処理を示すフローチャートである。 通信データを受信する場合の処理を示すフローチャートである。 通信データのフォーマットを示す図である。 車両間の位置関係を説明するための図である。 識別情報の生成処理を示すフローチャートである。

以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。

図１は、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置（走行制御装置）のブロック図であり、車両１を制御する。図１において、車両１はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両１は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。

図１の制御装置は、制御ユニット２を含む。制御ユニット２は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のＥＣＵ２０～２９を含む。各ＥＣＵは、ＣＰＵに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ＥＣＵはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。また、図１の制御装置の構成は、プログラムに係る本発明を実施するコンピュータとなり得る。

以下、各ＥＣＵ２０～２９が担当する機能等について説明する。なお、ＥＣＵの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合することが可能である。

ＥＣＵ２０は、車両１の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両１の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。後述する制御例では、操舵と加減速の双方を自動制御する。

ＥＣＵ２１は、電動パワーステアリング装置３を制御する。電動パワーステアリング装置３は、ステアリングホイール３１に対する運転者の運転操作（操舵操作）に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置３は操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両１の運転状態が自動運転の場合、ＥＣＵ２１は、ＥＣＵ２０からの指示に対応して電動パワーステアリング装置３を自動制御し、車両１の進行方向を制御する。

ＥＣＵ２２および２３は、車両の周囲状況を検知する検知ユニット４１～４３の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット４１は、車両１の前方を撮影するカメラであり（以下、カメラ４１と表記する場合がある。）、本実施形態の場合、車両１のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ４１が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線（白線等）を抽出可能である。

検知ユニット４２は、Light Detection and Ranging（LIDAR）であり、車両１の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、検知ユニット４２は５つ設けられており、車両１の前部の各隅部に１つずつ、後部中央に１つ、後部各側方に１つずつ設けられている。検知ユニット４３は、ミリ波レーダであり（以下、レーダ４３と表記する場合がある）、車両１の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、レーダ４３は５つ設けられており、車両１の前部中央に１つ、前部各隅部に１つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。

ＥＣＵ２２は、一方のカメラ４１と、各検知ユニット４２の制御および検知結果の情報処理を行う。ＥＣＵ２３は、他方のカメラ４１と、各レーダ４３の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラやレーダ等、種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。

ＥＣＵ２４は、ジャイロセンサ５、ＧＰＳセンサ２４ｂ、通信装置２４ｃの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ５は車両１の回転運動を検知する。ジャイロセンサ５の検知結果や、車輪速等により車両１の進路を判定することができる。ＧＰＳセンサ２４ｂは、車両１の現在位置（例えば、緯度及び経度）を検知する。通信装置２４ｃは、地図情報や交通情報、気象情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ＥＣＵ２４は、記憶デバイスに構築されたデータベース２４ａにアクセス可能である。データベース２４ａは、例えば、地図情報のデータベースであり、ＥＣＵ２４は現在地から目的地へのルート探索等を行う。また、本実施形態においては、データベース２４ａは、車両１の速度情報と時刻情報とが対応づけられて格納されたデータベースを含む。また、データベース２４ａとして、上記の交通情報や気象情報などのデータベースが構築されても良い。

ＥＣＵ２５は、車車間通信および路車間通信用の通信装置２５ａを備える。通信装置２５ａは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。通信装置２５ａは、各種の通信機能を有し、例えば、専用狭域通信（ＤＳＲＣ：Dedicated Short Range Communications）機能やセルラー通信機能 を有する。通信装置２５ａは、送受信アンテナを含むＴＣＵ（Telematics Communication Unit）として構成されても良い。ＤＳＲＣは、単方向又は双方向の狭域～中域における通信機能であり、車両間、路車間の高速なデータ通信を可能とする。

ＥＣＵ２６は、パワープラント６を制御する。パワープラント６は車両１の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ＥＣＵ２６は、例えば、アクセルペダル７Ａに設けた操作検知センサ７ａにより検知した運転者の運転操作（アクセル操作あるいは加速操作）に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ７ｃが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替える。車両１の運転状態が自動運転の場合、ＥＣＵ２６は、ＥＣＵ２０からの指示に対応してパワープラント６を自動制御し、車両１の加減速を制御する。

ＥＣＵ２７は、方向指示器８（ウィンカ）を含む灯火器（ヘッドライト、テールライト等）を制御する。図１の例の場合、方向指示器８は車両１の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。

ＥＣＵ２８は、入出力装置９の制御を行う。入出力装置９は、運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置９１は、運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置９２は、運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置９２は、例えば運転席正面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル（例えば緊急度）に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせてもよい。また、表示装置９２は、ナビゲーション装置を含む。

入力装置９３は、運転者が操作可能な位置に配置され、車両１に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置が含まれてもよい。

ＥＣＵ２９は、ブレーキ装置１０やパーキングブレーキ（不図示）を制御する。ブレーキ装置１０は、例えばディスクブレーキ装置であり、車両１の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両１を減速あるいは停止させる。ＥＣＵ２９は、例えば、ブレーキペダル７Ｂに設けた操作検知センサ７ｂにより検知した運転者の運転操作（ブレーキ操作）に対応してブレーキ装置１０の作動を制御する。車両１の運転状態が自動運転の場合、ＥＣＵ２９は、ＥＣＵ２０からの指示に対応してブレーキ装置１０を自動制御し、車両１の減速および停止を制御する。ブレーキ装置１０やパーキングブレーキは、車両１の停止状態を維持するために作動することができる。また、パワープラント６の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両１の停止状態を維持するために作動することもできる。

ＥＣＵ２０が実行する車両１の自動運転に関わる制御について説明する。ＥＣＵ２０は、運転者により目的地と自動運転が指示されると、ＥＣＵ２４により探索された案内ルートにしたがって、目的地へ向けて車両１の走行を自動制御する。自動制御の際、ＥＣＵ２０は、ＥＣＵ２２および２３から車両１の周囲状況に関する情報（外界情報）を取得し、取得した情報に基づきＥＣＵ２１、ＥＣＵ２６および２９に指示して、車両１の操舵、加減速を制御する。車両１の周囲状況に関する情報には、例えば、他車両、歩行者、標識、信号等の公共設備、などが含まれる。

図２は、制御ユニット２の機能ブロックを示す図である。制御部２００は、図１の制御ユニット２に対応し、外界認識部２０１、自己位置認識部２０２、車内認識部２０３、行動計画部２０４、駆動制御部２０５、デバイス制御部２０６、通信制御部２０７を含む。各ブロックは、図１に示す１つのＥＣＵ、若しくは、複数のＥＣＵにより実現される。

外界認識部２０１は、外界認識用カメラ２０８及び外界認識用センサ２０９からの信号に基づいて、車両１の外界情報を画像認識や信号解析により認識する。ここで、外界認識用カメラ２０８は例えば図１のカメラ４１であり、外界認識用センサ２０９は例えば図１の検知ユニット４２、４３である。外界認識部２０１は、外界認識用カメラ２０８及び外界認識用センサ２０９からの信号に基づいて、例えば、交差点や踏切、トンネル等のシーン、路肩等のフリースペース、他車両の挙動（速度や進行方向）を認識する。自己位置認識部２０２は、ＧＰＳセンサ２１２からの信号に基づいて車両１の現在位置を認識する。ここで、ＧＰＳセンサ２１２は、例えば、図１のＧＰＳセンサ２４ｂに対応する。

車内認識部２０３は、車内認識用カメラ２１０及び車内認識用センサ２１１からの信号に基づいて、車両１の搭乗者を識別し、また、搭乗者の状態を認識する。車内認識用カメラ２１０は、例えば、車両１の車内の表示装置９２上に設置された近赤外カメラであり、例えば、搭乗者の視線の方向を検出する。また、車内認識用センサ２１１は、例えば、搭乗者の生体信号を検知するセンサである。車内認識部２０３は、それらの信号に基づいて、搭乗者の居眠り状態、運転以外の作業中の状態、であることなどを認識する。

行動計画部２０４は、外界認識部２０１、自己位置認識部２０２による認識の結果に基づいて、最適経路、リスク回避経路など、車両１の行動を計画する。行動計画部２０４は、例えば、交差点や踏切等の開始点や終点に基づく進入判定、他車両の挙動予測に基づく行動計画を行う。駆動制御部２０５は、行動計画部２０４による行動計画に基づいて、駆動力出力装置２１３、ステアリング装置２１４、ブレーキ装置２１５を制御する。ここで、駆動力出力装置２１３は、例えば、図１のパワープラント６に対応し、ステアリング装置２１４は、図１の電動パワーステアリング装置３に対応し、ブレーキ装置２１５は、ブレーキ装置１０に対応する。

デバイス制御部２０６は、制御部２００に接続されるデバイスを制御する。例えば、デバイス制御部２０６は、スピーカ２１６を制御し、警告やナビゲーションのためのメッセージ等、所定の音声メッセージを出力させる。また、例えば、デバイス制御部２０６は、表示装置２１７を制御し、所定のインタフェース画面を表示させる。表示装置２１７は、例えば表示装置９２に対応する。また、例えば、デバイス制御部２０６は、ナビゲーション装置２１８を制御し、ナビゲーション装置２１８での設定情報を取得する。

通信制御部２０７は、各種の通信プロトコルに従って通信データを生成し、通信装置２１９を介して通信データを送受信することにより車車間通信、路車間通信を行う。通信方式としては、例えばＤＳＲＣが用いられる。ＤＳＲＣを用いることにより、通信制御部２０７は、ＤＳＲＣ車載器として機能し、他のＤＳＲＣを用いた通信システムとの車車間通信、路側設備（ＲＳＥ）との路車間通信が可能となる。また、通信制御部２０７は、ＤＳＲＣに対応した携帯端末とも通信可能である。ＤＳＲＣの通信プロトコルは、ＯＳＩ（Open System Interconnection）の７層のうち、物理層、データリンク層、アプリケーション層を含んで構成され、通信データは、各層（レイヤ）の少なくともいずれかにおいて生成される。また、他の通信方式としては、例えばセルラー通信が用いられる。セルラー通信を用いることにより、通信制御部２０７は、セルラー通信用車載器として機能し、他のセルラー回線を用いた通信システムとの車車間通信、路側設備（ＲＳＥ）との路車間通信が可能となる。また、セルラー通信の通信プロトコルは、ＯＳＩ（Open System Interconnection）の７層のうち、物理層、データリンク層、アプリケーション層を含んで構成され、通信データは、各層（レイヤ）の少なくともいずれかにおいて生成される。

制御部２００は、図２に示す以外の機能ブロックを適宜含んでも良く、例えば、通信装置２４ｃを介して取得した地図情報に基づいて目的地までの最適経路を算出する最適経路算出部を含んでも良い。また、制御部２００が、図２に示すカメラやセンサ以外から情報を取得しても良く、例えば、通信装置２５ａを介して他の車両の情報を取得するようにしても良い。また、制御部２００は、ＧＰＳセンサ２１２だけでなく、車両１に設けられた各種センサからの検知信号を受信する。例えば、制御部２００は、車両１のドア部に設けられたドアの開閉センサやドアロックの機構センサの検知信号を、ドア部に構成されたＥＣＵを介して受信する。それにより、制御部２００は、ドアのロック解除や、ドアの開閉動作を検知することができる。

次に、図３を参照しながら、本実施形態の動作について説明する。図３は、中央分離帯を挟んで片側二車線の車道を示している。また、図３は、車道に沿って路側帯が設けられている様子を示している。図３において、車両３０１、３０２、３０３、３０４、３０８が車道を走行しており、歩行者３０６、人力による自転車３０５が路側帯を移動している。また、路側帯には、上記各方式の通信（以下、単に通信と呼ぶ場合もある）が可能な路側設備が設けられている。また、歩行者３０６や自転車３０５の乗員は、携帯端末を所持している。各車両、携帯端末、路側設備は、通信が可能な通信装置（通信端末）であり、それぞれが、送信側端末と受信側端末のいずれにもなり得る。図３は、車両３０１が送信側端末である様子を示しており、通信範囲３０９は、たとえば通信方式がDSRCなど短距離、近距離の通信方式である場合の車両３０１による車車間通信、路車間通信が可能な通信範囲を示している。通信範囲は、電波強度等にもよるが、例えば数十、数百ｍである。

車両３０１は、通信範囲３０９において他の通信装置と通信が可能である。ここで、通信装置には、車両３０２、３０３、３０４に搭載されたＤＳＲＣ車載器、セルラー通信用車載器、ＴＣＵ（送受信アンテナ含む）として構成されたユニット、歩行者３０６や自転車３０５の乗員が所持する携帯端末、路側設備が含まれる。 つまり、通信装置は、車両のような移動体に搭載されたものや、携帯端末、道路等に設けられた設備を含む。本実施形態では、車両３０１は、通信範囲３０９内の通信装置に対して、通信データをブロードキャスト送信（同報通信）する。そして、車両３０１は、通信範囲３０９内で特定の通信対象と通信を行うために、通信データ内に通信対象を識別するための識別情報を含める。通信対象となる通信装置は、受信した通信データ内の識別情報により自装置が対象とされていることを認識し、以降の通信を継続する。一方、通信対象でない通信装置は、通信データ内の識別情報により自装置が対象とされていないことを認識し、受信した通信データを破棄して車両３０１との通信を終了する。

ここで、識別情報について説明する。本実施形態において、識別情報とは、通信対象となる通信装置の位置情報と、その位置情報に基づいて決定された範囲情報とを含むものである。通信対象となる通信装置（受信側端末）は、受信した通信データ内の位置情報および範囲情報とから示されるエリアに、自装置の現在位置が含まれるのであれば、受信した通信データは自装置宛てであると認識する。一方、受信した通信データ内の位置情報および範囲情報とから示されるエリアに、自装置の現在位置が含まれないのであれば、受信した通信データは自装置宛てではないと認識する。このように、本実施形態では、アルファベットや数字等のような所定のルールに基づいたＩＤ情報を用いずに、通信対象の位置情報に基づいた識別情報を用いる。その結果、一定の情報量で一意性が高く、且つ、電波の強度や周波数の調整等を必要としない、通信対象を簡易に且つ適切に識別可能な通信システムを構築することができる。

図４は、通信データを送信する処理を示すフローチャートである。図４の処理は、例えば、制御部２００がＲＯＭ等の記憶領域に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。以下の説明においては、車両３０１が送信側端末であり、車両３０２が通信対象となる受信側端末として説明する。

Ｓ１０１において、車両３０１の制御部２００（以下、単に制御部２００という）は、車両３０２に送信すべき通信情報を取得する。本実施形態では、通信対象の通信装置との間で送受信される情報であれば、通信情報の内容は特に限定されず、例えば、自車両の挙動情報（速度、経路等）、他車両への指令情報（例えば、他車両への路肩寄せの要求）、交通情報、などであっても良い。また、通信情報は、外部から取得した情報であっても良いし、車両３０１内で生成された情報であっても良い。

Ｓ１０２において、制御部２００は、通信対象の通信装置を識別するための識別情報を生成する。Ｓ１０２の処理については、図５を参照しながら説明する。

図５は、Ｓ１０２の処理を示すフローチャートである。Ｓ２０１において、制御部２００は、車両３０２の位置情報を取得する。例えば、車両３０１の外界認識部２０１が、外界認識用カメラ２０８による撮影画像を画像認識し、若しくは、外界認識用センサ２０９による検知信号を信号解析することにより、車両３０１と車両３０２との間の車間距離を取得する。そして、外界認識部２０１は、取得した車間距離と、車両３０１の現在の位置情報とに基づいて、車両３０２の絶対位置を求める。ここで、絶対位置とは、例えば緯度及び経度である。若しくは、地図上での座標を特定するためのＩＤであっても良い。若しくは、制御部２００は、外部のサーバとの通信やデータベース２４ａの地図情報を参照することにより、車両３０２の絶対位置を取得しても良い。

Ｓ２０２において、制御部２００は、Ｓ２０１で車両３０２の位置情報を取得した時刻を取得する。Ｓ２０３において、制御部２００は、車両３０２の速度情報を取得する。制御部２００は、例えば、車両３０１の速度情報と、車両３０２との間の車間距離とから、車両３０２の速度を求めても良い。また、求める速度は、絶対速度であっても良いし、相対速度であっても良い。ここでは、通信対象が移動体である車両の場合を説明しているが、路側設備３０７の場合には、例えば地図情報や交通情報から路側設備３０７であることを取得可能であれば、速度情報はゼロとしてＳ２０３の処理を行わなくても良い。

Ｓ２０４において、制御部２００は、Ｓ２０３で取得された車両３０２の速度情報に応じて、識別範囲を決定する。ここで、識別範囲とは、Ｓ２０１で取得された車両３０２の絶対位置を基準とした一定の範囲の領域をいう。例えば、識別範囲として、車両３０２の絶対位置を中心とした円状の範囲が決定されても良いし、車両３０２の絶対位置を中心として各軸方向に所定長を有する四方状の範囲が決定されても良い。また、車両３０１の位置と、車両３０２の絶対位置とを含むように範囲が決定されても良い。また、車両３０２からの相対距離で表しても良い。また、制御部２００は、車両３０２の速度情報に応じて、その識別範囲を決定する。識別範囲を決定する際には、様々な基準が用いられても良い。例えば、制御部２００は、速度情報と識別範囲とが対応づけられたテーブルなどの情報を予め保持しておき、その情報に従って識別範囲を決定するようにしても良い。また、例えば、制御部２００は、Ｓ２０３で取得された速度情報から、車両３０２の速度が閾値以下である場合には、識別範囲をデフォルトよりも小さくするように決定し、車両３０２の速度が閾値より大きい場合には、識別範囲をデフォルトよりも大きくするように決定しても良い。

このように、通信対象の移動速度に応じて識別範囲を変更することで、受信側端末において、自装置が通信対象とされているか否かの判断のロバスト性を通信対象の速度、特に高速度での変動に対して維持することができる。

また、識別範囲を決定する際には、車両３０２の速度情報ではなく、他の情報が用いられても良い。例えば、制御部２００は、渋滞情報から渋滞度合いが高いことを認識した場合には識別範囲を小さくするように決定し、一方、渋滞度合いが低いことを認識した場合には識別範囲を大きくするように決定するようにしても良い。そのような構成により、渋滞状態においても、識別性の低下を防ぐことができる。また、上記の他、識別範囲を決定する際に、複数の基準が組み合わされても良い。

Ｓ２０５において、制御部２００は、Ｓ２０１で取得された位置情報と、Ｓ２０４で決定された識別範囲とを合成したものを識別情報として生成する。その後、図５の処理を終了する。図５の処理の終了後は、図４のＳ１０３に進む。

Ｓ１０３において、制御部２００は、Ｓ１０１で取得された通信情報と、Ｓ１０２で生成された識別情報とを用いて、車両３０２に送信する通信データを生成する。

図９は、Ｓ１０３で生成される通信データのフォーマットの一例を示す図である。通信データは、通信プロトコルとしてＤＳＲＣが用いられる場合、例えば、データリンク層、アプリケーション層のいずれかにおいて送信される。図９に示すように、通信データは、各層固有のヘッダ９０１とペイロードとから成る。ペイロードには、種別９０２、識別情報９０３、時刻情報９０４、通信情報９０５が含まれている。通信情報９０５は、Ｓ１０１で取得された通信情報である。時刻情報９０４は、Ｓ２０２で取得された時刻情報である。識別情報９０３は、Ｓ２０５で生成された識別情報である。種別９０２は、識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要する情報であるか否かを示す種別情報である。種別情報については後述する。

Ｓ１０３で通信データが生成された後、Ｓ１０４において、制御部２００は、その生成された通信データを通信装置２１９を介して送信する。その際、図３において説明したように、通信データは、通信範囲３０９内においてブロードキャスト送信される。Ｓ１０４の後、図４の処理を終了する。

次に、通信対象となる車両側（受信側端末）の処理について図７を参照しながら説明する。車道を走行する車両３０１、３０２、３０３、３０４、３０８は、走行中に図７の処理を実行している。

図７は、車両において実行される履歴情報の格納処理を示すフローチャートである。図７の処理は、例えば、制御部２００がＲＯＭ等の記憶領域に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。

Ｓ４０１において、制御部２００は、自車両が走行中であるか否かを判定する。ここで、車両が走行中でないと判定された場合、図７の処理を終了する。一方、車両が走行中であると判定された場合、Ｓ４０２に進む。

Ｓ４０２において、制御部２００は、自車両の位置情報を取得する。例えば、制御部２００は、ＧＰＳセンサ２１２により自車両の位置情報を取得しても良い。そして、Ｓ４０３において、制御部２００は、現在の時刻情報を取得する。つまり、ここで取得される時刻情報は、Ｓ４０２で取得された自車両の位置に対応する時刻を示している。

Ｓ４０４において、制御部２００は、Ｓ４０２で取得された位置情報と、Ｓ４０３で取得された時刻情報とを対応づけてデータベース２４ａに格納する。Ｓ４０５において、制御部２００は、所定時間の経過を待機する。所定時間が経過したと判定された場合、Ｓ４０１からの処理を繰り返す。

以上のように、図３に示す車両３０１、３０２、３０３、３０４、３０８は、走行中、自車両の速度情報と時刻情報を互いに対応づけて履歴情報としてデータベース２４ａに蓄積する。図７の処理は、車両３０１、３０２、３０３、３０４、３０８において実行されると説明したが、歩行者３０６や自転車３０５の乗員が所持する携帯端末において図７の処理が実行されるようにしても良い。

次に、通信対象となる車両３０２が通信データを受信したときの処理について図８を参照しながら説明する。図８の処理は、例えば、制御部２００がＲＯＭ等の記憶領域に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。

Ｓ５０１において、車両３０２の制御部２００（以下、単に制御部２００という）は、通信データを受信したか否かを判定する。ここで、通信データを受信したと判定された場合、Ｓ５０２に進み、通信データを受信していないと判定された場合、Ｓ５０１の処理を繰り返す。

Ｓ５０２において、制御部２００は、受信した通信データから種別情報、識別情報を取得する。ここで取得する種別情報、識別情報とは、図９の種別９０２、識別情報９０３である。例えば、制御部２００は、受信した通信データの層に対応したヘッダ９０１を識別すると、ペイロードの先頭から所定長分のフィールドを参照し、種別９０２と識別情報９０３を取得するようにしても良い。

Ｓ５０３において、制御部２００は、種別９０２により、識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要する情報であるか否かを判定する。ここでは、説明上、種別９０２の内容が「Ａ」であれば、識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要する情報であるとし、種別９０２の内容が「Ｂ」であれば、識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要さない情報であるとする。

Ｓ５０３で種別９０２の内容が「Ａ」であると判定された場合、Ｓ５０４において、制御部２００は、受信した通信データから時刻情報９０４を取得する。そして、Ｓ５０５において、制御部２００は、Ｓ５０４で取得した時刻情報９０４の時刻に対応する履歴情報をデータベース２４ａから取得する。そして、Ｓ５０６において、制御部２００は、Ｓ５０５で取得した履歴情報から自車両の位置情報を取得する。

つまり、車両３０２は、通信データを受信すると、その通信データに含まれる時刻情報が示す時刻（過去の時点）における自車両の位置を取得する。図７において説明したように、各車両は走行中において自車両の履歴情報をデータベース２４ａに蓄積しているので、通信データを受信した車両３０２は、時刻情報９０４が示す時刻での車両の位置情報を取得することができる。なお、ここでは、受信側端末が車両である場合を説明しているが、歩行者３０６や自転車３０５の乗員が所持する携帯端末であっても、同様であり、自装置の位置を取得する。

Ｓ５０８において、制御部２００は、Ｓ５０６で取得した自車両の位置、即ち過去の時点での自車両の位置が、Ｓ５０２で取得した識別情報９０３が示す識別範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、自車両の位置が識別範囲に含まれると判定された場合、Ｓ５０９に進み、制御部２００は、送信側端末、即ち車両３０１との通信を継続し、例えば、制御部２００は、通信情報９０５の内容を取得し、その内容に応じて、自車両内での制御（駆動制御、ドライバへの報知など）、車両３０１へのレスポンス、等の処理を実行する。Ｓ５０９の後、図８の処理を終了する。

Ｓ５０８で自車両の位置が識別範囲に含まれないと判定された場合、Ｓ５１０に進み、制御部２００は、Ｓ５０１で受信した通信データは自車両宛てではないと判断し、受信した通信データを破棄する。即ち、通信情報９０５の内容の取得は行わず、車両３０１との通信を終了する。Ｓ５１０の後、図８の処理を終了する。

次に、Ｓ５０３で種別９０２の内容が「Ｂ」である、即ち、識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要さない情報であると判定された場合について図６及び図８を参照しながら説明する。

図６は、Ｓ１０２の処理を示す他のフローチャートである。Ｓ３０１～Ｓ３０４は、図５のＳ２０１～Ｓ２０４における説明と同じであるので、それらの説明を省略する。図６では、Ｓ３０５において、車両３０１の制御部２００（以下、単に制御部２００という）は、Ｓ３０１で取得した車両３０２の位置情報を調整する。

Ｓ３０５での位置情報の調整では、制御部２００は、Ｓ３０３で取得した車両３０２の速度情報と、所定時間とから、車両３０２の移動距離を算出し、Ｓ３０１で取得された位置情報が示す車両３０２の位置から、算出された移動量の分、移動した位置を求める。そして、Ｓ３０６において、制御部２００は、Ｓ３０５で調整された位置情報と、Ｓ３０４で決定された識別範囲をＳ３０５での調整量に応じて調整したものとを合成したものを識別情報として生成する。その後、図６の処理を終了し、図４のＳ１０３に進む。車両３０２の移動距離を算出するために用いられる所定時間は、例えば、Ｓ３０１での取得時刻と、Ｓ１０４での送信時刻との差分に相当する仕様上で決定され得る時間である。

図５の処理では、車両３０１の制御部２００は、車両３０２の位置情報に基づく識別情報を車両３０２に送信するとともに、位置情報の取得時刻も合わせて送信していた。そして、車両３０２側では、受信した取得時刻において自車両が存在していた位置を自車両のデータベース２４ａの履歴情報から取得し、受信した識別情報の識別範囲と比較していた。一方、図６の処理では、車両３０１の制御部２００は、車両３０２の位置情報を取得すると、通信データを送信するまでの間に車両３０２が移動することを考慮して、取得した位置情報を調整する。車両３０１の制御部２００は、図５の処理によって識別情報９０３を生成した場合は、種別９０２に「識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要する情報である」旨の情報を含める。これは、車両３０２側で、時刻情報９０４を用いてデータベース２４ａの履歴情報から位置情報を取得する必要があるからである。一方、車両３０１の制御部２００は、図６の処理によって識別情報９０３を生成した場合は、種別９０２に「識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要さない情報である」旨の情報を含める。

再び、図８を参照する。Ｓ５０３で種別９０２の内容が「Ｂ」である、即ち、識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要さない情報であると判定された場合、Ｓ５０７において、車両３０２の制御部２００は、自車両の現在の位置情報を取得する。例えば、制御部２００は、ＧＰＳセンサ２１２により、自車両の現在の位置情報を取得する。その後、既に説明したように、Ｓ５０８以降の処理が行われる。

このように、車両３０１の制御部２００が図６の処理により識別情報９０３を生成した場合には、車両３０２でデータベース２４ａから履歴情報を取得する処理は行われない。その結果、車両３０２側での処理負荷を低減することができる。

車両３０１の制御部２００は、図６の処理によって識別情報９０３を生成した場合は、種別９０２に「識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要さない情報である」旨の情報を含めるとして説明したが、別の構成でも良い。例えば、図６の処理によって識別情報９０３を生成した場合、Ｓ３０５で用いた所定時間を現在時刻に加算した時刻情報を時刻情報９０４として送信しても良い。その場合、車両３０２においては、受信した時刻情報９０４と、現在時刻とを比較し、一致している場合には、Ｓ５０８の判定を行うようにしても良い。

以上では、通信対象となる車両３０２が等速で移動していることを前提としていた。しかしながら、車両３０２が加速や減速を行う場合もあり得る。以下、そのようなケースについて説明する。

図１０は、図３と同様に、本実施形態における通信を行う車両が走行している様子を示す図である。車両１００１は図３の車両３０１に対応し、車両１００２は図３の車両３０２に対応する。また、下段の車両１００１は、上段の車両１００１の位置から、Ｔ３－Ｔ１の時間分に対応する距離Ｙを移動した様子を示している。車両１００１が車両１００２に対して追従走行をし、車両１００２が等速で移動する場合には、車間距離Ｘと車間距離Ｚは等しい。また、車両１００２が加速する場合には、車間距離Ｚは車間距離Ｘよりも大きくなり、車両１００２が減速する場合には、車間距離Ｚは車間距離Ｘよりも小さくなる。

上記のように、車両１００２の速度が変動するケースにおいては、車両１００１は、通信データを送信する前の時刻Ｔ１からＴ２までの期間において、車両１００２の速度の変動を監視する。そして、その変動量に応じて、車両１００２の位置情報を調整する。

図１１は、Ｓ１０２の処理を示す他のフローチャートである。Ｓ６０１、Ｓ６０２は、図５のＳ２０１、Ｓ２０２における説明と同じであるので、それらの説明を省略する。図１１では、車両３０１の制御部２００は、車両３０２の位置情報及び時刻情報を取得した後、所定時間の間、車両３０２の速度情報の取得を繰り返す。

Ｓ６０３において、制御部２００は、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していないと判定した場合、Ｓ６０４において、制御部２００は、Ｓ２０３と同様に、車両３０２の速度情報を取得する。制御部２００は、取得した速度情報を記憶領域に蓄積していく。その後、Ｓ６０３の処理を繰り返す。Ｓ６０３で所定時間が経過したと判定された場合、Ｓ６０５に進む。

Ｓ６０５において、制御部２００は、蓄積した速度情報に基づいて、車両３０２の所定時間内の速度変化を求める。速度変化として、所定時間内の速度の変化の傾向を取得するようにしても良い。例えば、所定時間内で最初に取得された速度と最後に取得された速度とから求められる線形的な変化の傾向を取得するようにしても良い。

Ｓ６０６において、制御部２００は、Ｓ６０５で取得された速度の変化情報に基づいて、識別範囲を決定する。例えば、制御部２００は、速度の変化率が大きいほど、識別範囲を大きくするようにしても良い。同様に、速度の変化率が小さいほど、識別範囲を小さくするようにしても良い。

Ｓ６０７において、制御部２００は、Ｓ６０５で取得された速度の変化情報に基づいて、Ｓ６０１で取得された位置情報を調整する。例えば、Ｓ６０５で速度の変化を取得した結果、車両３０２で一定の加速／減速が行われていると判断される場合には、Ｓ６０１で取得した位置情報に対してＳ３０５と同様の処理を行った上で、走行線上での位置の加減操作を行う。

Ｓ６０８において、制御部２００は、Ｓ６０７で調整された位置情報と、Ｓ６０６で決定された識別範囲をＳ６０７での調整量に応じて調整したものとを合成したものを識別情報として生成する。その後、図１１の処理を終了し、図４のＳ１０３に進む。なお、図１１の処理により識別情報が生成された場合には、Ｓ１０３において、制御部２００は、種別９０２に「識別情報９０３が時刻情報９０４の参照を要さない情報である」旨の情報を含める。

もしくは、図６と同様に、Ｓ６０７で用いた所定時間を現在時刻に加算した時刻情報を時刻情報９０４として送信しても良い。その場合、車両３０２においては、受信した時刻情報９０４と、現在時刻とを比較し、一致している場合には、Ｓ５０８の判定を行うようにしても良い。

以上のように、本実施形態によれば、一定の情報量で一意性が高く、且つ、電波の強度や周波数の調整等を必要としない、通信対象を簡易に且つ適切に識別可能な通信システムを構築することができる。

＜実施形態のまとめ＞
上記実施形態の通信システムは、送信側端末と受信側端末とを含む通信システムであって、前記送信側端末は、通信対象の位置を含む範囲が特定された識別情報を送信する送信手段（図４、図９）、を備え、前記受信側端末は、前記受信側端末の位置を取得する受信側取得手段と（図８のＳ５０６、Ｓ５０７）、前記送信手段により送信された前記識別情報と、前記受信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置とに基づいて、前記送信側端末との通信を継続するよう制御する制御手段と（図８のＳ５０８、Ｓ５０９、Ｓ５１０）、を備えることを特徴とする。そのような構成により、通信対象の位置を含む範囲の情報を用いて、通信対象を適切に識別することができる。

また、前記送信側端末と前記受信側端末との少なくともいずれかは、移動体（車両３０１、３０２）に搭載されることを特徴とする。また、前記送信側端末と前記受信側端末との少なくともいずれかは、携帯端末（歩行者３０６や自転車３０５の携帯端末）であることを特徴とする。そのような構成により、車車間通信や、携帯端末を含む通信システムにおいても、通信対象の位置を含む範囲の情報を用いて、通信対象を適切に識別することができる。

また、前記送信側端末は、前記受信側端末の位置を取得する送信側取得手段と（Ｓ２０１、Ｓ３０１、Ｓ６０１）、前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置を含む範囲を特定する特定手段と（Ｓ２０４、Ｓ３０４、Ｓ６０６）、をさらに備えることを特徴とする。また、前記送信側取得手段は、前記送信側端末が備えるカメラ（外界認識用カメラ２０８）とセンサ（外界認識用センサ２０９）の少なくともいずれかを用いて、前記受信側端末の位置を取得することを特徴とする。また、前記送信側取得手段は、外部との通信により、前記受信側端末の位置を取得することを特徴とする。そのような構成により、例えば、車両に設けられたカメラやセンサ、外部サーバから取得した地図情報に基づいて通信対象の位置を取得し、その取得した位置を用いて範囲を特定することができる。

また、前記特定手段は、前記受信側端末の移動速度に応じて、前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置を含む範囲を特定することを特徴とする。また、前記特定手段は、前記送信側端末の位置と、前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置とを含むように範囲を特定することを特徴とする。そのような構成により、通信対象の移動速度の変動に対してロバスト性の高い範囲の特定を行うことができる。

また、前記受信側端末は、前記受信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置が、前記送信手段により送信された前記識別情報で特定される範囲に含まれるか否かを判定する判定手段（図８のＳ５０８）、をさらに備え、前記制御手段は、前記判定手段により前記識別情報で特定される範囲に含まれると判定された場合、前記送信側端末との通信を継続するよう制御し（図８のＳ５０９）、前記判定手段により前記識別情報で特定される範囲に含まれないと判定された場合、前記送信側端末との通信を終了する（図８のＳ５１０）ことを特徴とする。そのような構成により、通信対象の位置を含む範囲の情報を用いて、通信継続の制御を行うことができる。

また、前記送信手段はさらに、前記送信側取得手段による取得時刻（時刻情報９０４）を送信することを特徴とする。また、前記受信側端末は、前記受信側端末の位置と時刻とが対応づけられた履歴情報を記憶する記憶手段（データベース２４ａ）、をさらに備え、前記受信側取得手段は、送信された前記取得時刻における前記受信側端末の位置を前記記憶手段から取得することを特徴とする。そのような構成により、例えば、受信側端末において、該取得時刻における自車両の位置を取得することができる。

また、前記送信側取得手段は、前記送信手段により前記識別情報が送信されるまでの前記受信側端末の移動量を算出し、該算出された移動量に基づいて前記受信側端末の位置を取得することを特徴とする（図６）。また、前記送信手段はさらに、前記算出された移動量に応じた時刻（時刻情報９０４）を送信することを特徴とする。そのような構成により、通信対象の移動量を考慮した位置情報に基づく識別情報を送信することができる。

また、前記送信手段による前記識別情報の送信は、通信プロトコルのデータリンク層、もしくはアプリケーション層において行われることを特徴とする。そのような構成により、例えばＤＳＲＣにおけるデータリンク層、もしくはアプリケーション層での送信を行うことができる。

本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。

１ 車両： ２ 制御ユニット： ２０、２１、２２、２３、２４、２５、２６、２７、２８、２９ ＥＣＵ： ２００ 制御部： ３０１、３０２、３０３、３０４、３０８ 車両

Claims (17)

1. 送信側端末と受信側端末とを含む通信システムであって、
   前記送信側端末は、
   カメラとセンサの少なくとも一方を用いて、前記受信側端末の位置を取得する送信側取得手段と、
   前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を送信する送信手段と、を備え、
   前記受信側端末は、
   前記受信側端末の位置を取得する受信側取得手段と、
   前記受信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置が、前記送信手段により送信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段と、
   前記判定手段により、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記送信側端末との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記送信側端末との通信を終了するよう制御する制御手段と、を備える、
   ことを特徴とする通信システム。
2. 前記送信側端末と前記受信側端末との少なくともいずれかは、移動体に搭載されることを特徴とする請求項１に記載の通信システム。
3. 前記送信側端末と前記受信側端末との少なくともいずれかは、携帯端末であることを特徴とする請求項１又は２に記載の通信システム。
4. 前記送信側端末は、
   前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置を含む前記識別範囲を特定する特定手段、
   をさらに備えることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の通信システム。
5. 前記送信側取得手段は、外部との通信により、前記受信側端末の位置を取得することを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の通信システム。
6. 前記特定手段は、前記受信側端末の移動速度に応じて、前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置を含む前記識別範囲を特定することを特徴とする請求項４に記載の通信システム。
7. 前記特定手段は、前記送信側端末の位置と、前記送信側取得手段により取得された前記受信側端末の位置とを含むように前記識別範囲を特定することを特徴とする請求項４に記載の通信システム。
8. 前記送信手段はさらに、前記送信側取得手段による前記受信側端末の位置の取得時刻を送信することを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１項に記載の通信システム。
9. 前記受信側端末は、
   前記受信側端末の位置と時刻とが対応づけられた履歴情報を記憶する記憶手段、をさらに備え、
   前記受信側取得手段は、送信された前記取得時刻における前記受信側端末の位置を前記記憶手段から取得する、
   ことを特徴とする請求項８に記載の通信システム。
10. 前記送信側取得手段は、前記送信手段により前記識別情報が送信されるまでの前記受信側端末の移動量を算出し、該算出された移動量に基づいて前記受信側端末の位置を取得することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載の通信システム。
11. 前記送信手段はさらに、前記算出された移動量に応じた時刻を送信することを特徴とする請求項１０に記載の通信システム。
12. 前記送信手段による前記識別情報の送信は、通信プロトコルのデータリンク層、もしくはアプリケーション層において行われることを特徴とする請求項１乃至１１のいずれか１項に記載の通信システム。
13. 外部の装置と通信可能な通信端末であって、
    前記通信端末の位置を取得する取得手段と、
    カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信手段と、
    前記取得手段により取得された前記通信端末の位置が、前記受信手段により受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする通信端末。
14. 送信側端末と受信側端末とを含む通信システムにおいて実行される制御方法であって、
    前記送信側端末が、
    カメラとセンサの少なくとも一方を用いて、前記受信側端末の位置を取得する送信側取得工程と、
    前記送信側取得工程において取得された前記受信側端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を送信する送信工程、を有し、
    前記受信側端末が、
    前記受信側端末の位置を取得する受信側取得工程と、
    前記受信側取得工程において取得された前記受信側端末の位置が、前記送信工程において送信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程において、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記送信側端末との通信を継続するよう制御し、前記判定工程において、前記受信側端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記送信側端末との通信を終了するよう制御する制御工程と、を有する、
    ことを特徴とする制御方法。
15. 外部の装置と通信可能な通信端末において実行される制御方法であって、
    前記通信端末の位置を取得する取得工程と、
    カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信工程と、
    前記取得工程において取得された前記通信端末の位置が、前記受信工程において受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程において、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定工程において、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御工程と、
    を有することを特徴とする制御方法。
16. 外部の装置と通信可能な通信端末の位置を取得する取得手段、
    カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信手段、
    前記取得手段により取得された前記通信端末の位置が、前記受信手段により受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段、
    前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御手段、
    としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
17. 外部の装置と通信可能な通信端末の位置を取得する取得手段、
    カメラとセンサの少なくとも一方を用いて取得された前記通信端末の位置を含む識別範囲が特定された識別情報を前記外部の装置から受信する受信手段、
    前記取得手段により取得された前記通信端末の位置が、前記受信手段により受信された前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれるか否かを判定する判定手段、
    前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれると判定された場合、前記外部の装置との通信を継続するよう制御し、前記判定手段により、前記通信端末の位置が前記識別情報で特定される前記識別範囲に含まれないと判定された場合、前記外部の装置との通信を終了するよう制御する制御手段、
    としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶する記憶媒体。

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