JP7186843B1 - 回転電機 - Google Patents

Abstract

【課題】冷却性能を維持しつつ、耐水性に優れ、安価で小型化した回転電機を得ること。【解決手段】回転子、固定子、及びハウジングを設けた電動機と、板状に形成された放熱部材と、軸方向の一方側の面が放熱部材の軸方向の他方側の面に熱的に接続されたパワーモジュールと、有底筒状に形成され、放熱部材及びパワーモジュールを軸方向他方側及び径方向外側から覆ったカバーとを設けた電力供給ユニットと、冷媒流路とを備え、ハウジングと電力供給ユニットとの間に、電動機と電力供給ユニットとを接続した接続部を有し、カバーの筒状部は軸方向の一方側に延出して接続部を径方向外側から覆い、冷媒流路は、放熱部材と、放熱部材とハウジングとの間の領域との一方又は双方に設けられ、冷媒流路は軸方向に見てパワーモジュールと重複し、カバーの筒状部は、接続部の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に、冷媒が通過する開口部を有している。【選択図】図２

Description

本願は、回転電機に関するものである。

車両用の回転電機は、電動機に加えて、電動機を制御するパワー回路を有した電力供給ユニットを備えている。車両用の回転電機には、省スペース性と搭載性の容易さ、そして、電動機と電力供給ユニットを接続する配線ハーネスの縮小化などが要求されている。そのため、電動機と電力供給ユニットとを一体化させた回転電機である制御装置一体型の回転電機が開発されている。

また、ＨＶ（Ｈｙｂｒｉｄ Ｖｅｈｉｃｌｅ）などに搭載される制御装置一体型の回転電機においては、高い冷却性能が求められている。制御装置一体型の回転電機の温度上昇が大きい場合、制御装置一体型の回転電機の電流密度を下げる必要が生じるため、制御装置一体型の回転電機の性能が低下してしまう。電動機と整流器とが一体化された車両用交流発電機において、電動機と整流器の冷却性を改善する構造が開示されている（例えば、特許文献１参照）。開示された構造では、回転電機はロータの両端面に固定されたファンを有し、熱伝導性に優れた材料で形成された流路を備えた整流器用ヒートシンクがブラケットの側面に配置されている。その流路に外部から冷媒が流通する。さらに、ブラケットと保護カバーの開口部によって流路が規定されている。

特開平３－１７８５４０号公報

上記特許文献１においては、流通した冷媒により整流器を冷却することができる。しかしながら、開示された構造を制御装置一体型の回転電機に適用した場合、保護カバーの開口部が大きいため、回転電機が被水した際、回転電機の内部に塩泥水が入るので、回転電機の内部が腐食しやすいという課題があった。また、腐食の抑制には活電部を保護する部品が必要になるため、回転電機のコストは上昇し、回転電機が大型化して重くなるという課題があった。

また、特に自動車のエンジンルームに回転電機を搭載する場合、限られた空間に回転電機が設置できることが求められている。回転電機の径方向のスペースが僅かしか確保できない車種においては、部品が干渉する不具合、外部機器との接続コネクタ及び固定用のねじを取り付けるための作業空間が確保できない不具合が生じている。最悪の場合、スペースに回転電機が入らず回転電機を設置できない場合もある。このようにエンジンルーム内のレイアウトにより、回転電機の取り付けが制約されているため、回転電機を大型化できないという課題があった。また、回転電機の温度上昇に伴った回転電機の性能の低下を回避するためには、耐熱性が高い部品を回転電機に使用することになるため、回転電機のコストが上がるという課題があった。

そこで、本願は、電動機及び電力供給ユニットの冷却性能を維持しつつ、耐水性に優れ、安価で小型化した回転電機を得ることを目的としている。

本願に開示される回転電機は、界磁巻線が巻装された界磁鉄心を有し、回転軸と一体回転する回転子と、回転子の径方向外側に配置され、固定子巻線が巻装された固定子鉄心を有する固定子と、界磁鉄心及び固定子鉄心の外側を覆うと共にベアリングを介して回転軸の一端側及び他端側を保持するハウジングと、を設けた電動機と、板状に形成され、軸方向の一方側の面がハウジングの軸方向の他方側に配置された放熱部材と、固定子巻線への供給電流をオンオフする電力用半導体素子を有し、軸方向の一方側の面が放熱部材の軸方向の他方側の面に熱的に接続されたパワーモジュールと、有底筒状に形成され、放熱部材、及びパワーモジュールを軸方向他方側及び径方向外側から覆ったカバーと、を設け、ハウジングの軸方向の他方側に配置された電力供給ユニットと、冷媒流路とを備え、ハウジングと電力供給ユニットとの間に、電動機と電力供給ユニットとを電気的に接続した接続部を有し、カバーの筒状の部分である筒状部は、軸方向の一方側に延出して接続部を径方向外側から覆い、冷媒流路は、放熱部材と、放熱部材とハウジングとの間の領域と、の一方又は双方に設けられ、冷媒流路の少なくとも一部は、軸方向に見てパワーモジュールと重複し、カバーの筒状部は、接続部の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に、冷媒流路の冷媒が通過する少なくとも一つの開口部を有しているものである。

本願に開示される回転電機によれば、ハウジングと電力供給ユニットとの間に、電動機と電力供給ユニットとを電気的に接続した接続部を有し、カバーの筒状部が軸方向の一方側に延出して接続部を径方向外側から覆い、冷媒流路が、放熱部材と、放熱部材とハウジングとの間の領域と、の一方又は双方に設けられ、冷媒流路の少なくとも一部が、軸方向に見てパワーモジュールと重複し、カバーの筒状部が、接続部の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に、冷媒流路の冷媒が通過する少なくとも一つの開口部を有しているため、ハウジングと電力供給ユニットとの間の部分は開口部の箇所を除いて径方向外側から筒状部により覆われ、保護部品を追加することなく、水及び異物の回転電機への外部からの侵入を抑制することができるので、冷媒流路により冷却性能を維持しつつ、耐水性に優れ、安価で小型化した回転電機を得ることができる。

実施の形態１に係る回転電機の概略を示す斜視図である。 実施の形態１に係る回転電機の概略を示す断面図である。 図２のＡ－Ａ断面位置で切断した回転電機の断面図である。 実施の形態１に係る別の回転電機の概略を示す断面図である。 実施の形態１に係る別の回転電機の概略を示す断面図である。 実施の形態２に係る回転電機の概略を示す断面図である。 図６のＢ－Ｂ断面位置で切断した回転電機の断面図である。 実施の形態３に係る回転電機の放熱部材を示す平面図である。 実施の形態４に係る回転電機の放熱部材を示す平面図である。 実施の形態５に係る回転電機の放熱部材を示す斜視図である。 実施の形態６に係る回転電機の放熱部材を示す斜視図である。

以下、本願の実施の形態による回転電機を図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。なお、各図間の図示では、対応する各構成部のサイズ及び縮尺は、それぞれ独立している。

実施の形態１．
図１は実施の形態１に係る回転電機３００の概略を示す斜視図、図２は回転電機３００の概略を示す断面図で、回転電機３００を軸方向に切断した図、図３は図２のＡ－Ａ断面位置で切断した回転電機３００の断面図、図４は実施の形態１に係る別の回転電機３００の概略を示す断面図で、図３と同等の位置で切断した図、図５は実施の形態１に係る別の回転電機３００の概略を示す断面図で、回転電機３００を軸方向に切断した図である。図３及び図４では放熱部材６の外周壁６ａを省略している。回転電機３００は、図１に示すように、回転電機本体である電動機１００と、制御装置である電力供給ユニット２００とを備えた制御装置一体型の回転電機である。

電動機１００は回転子３及び固定子４を有し、負荷であるエンジン（図示せず）を駆動する。あるいは、電動機１００はエンジンより駆動されて発電する発電機として機能する。電力供給ユニット２００は電動機１００が有したハウジング２０の軸方向の他方側に配置され、電動機１００に供給する電力を制御する。電力供給ユニット２００は電動機１００に固定され、電動機１００と電力供給ユニット２００とは一体化されている。

＜電動機１００＞
電動機１００は、図２に示すように、回転軸であるシャフト１４と一体回転する回転子３と、回転子３の径方向外側に配置された固定子４と、これらを収容すると共にシャフト１４を回転自在に保持するハウジング２０とを備える。回転子３は、固定子４に対して同軸に回転するように設けられる。

回転子３は、界磁巻線３ｂ、及び界磁巻線３ｂが巻装された界磁鉄心３ａを有する。固定子４は、複数相の固定子巻線４ｂ、及び固定子巻線４ｂが巻装された固定子鉄心４ａを有する。複数相の固定子巻線４ｂは、例えば、１組の３相巻線もしくは２組の３相巻線であるがこれらに限るものではなく、回転電機３００の種類に応じて設定される。ハウジング２０は、界磁鉄心３ａ及び固定子鉄心４ａの外側を覆う。

ハウジング２０は、負荷側に設けられる負荷側ブラケット（以下、フロントブラケット１と称する）、及び反負荷側に設けられる反負荷側ブラケット（以下、リヤブラケット２と称する）を備える。フロントブラケット１は、ベアリング７１を介してシャフト１４の一端側を保持し、回転子３及び固定子４の一方側であるフロント側を覆う。リヤブラケット２は、ベアリング７２を介してシャフト１４の他端側を保持し、回転子３及び固定子４の他方側であるリヤ側を覆う。固定子４は、フロントブラケット１及びリヤブラケット２に支持されて固定される。ハウジング２０は、リヤブラケット２の軸方向の他方側の壁に、冷媒の流入する冷媒流入口１２を少なくとも一つ備える。冷媒流入口１２は、壁を貫通した孔である。フロントブラケット１とリヤブラケット２とは、軸方向に間隔を空けて配置され、図１に示すように、軸方向に延びたボルト１５によって連結される。

シャフト１４は、フロントブラケット１の貫通孔から突出したシャフト１４の一端側の端部に、プーリー１６を備える。プーリー１６とエンジンの回転軸とはベルト（図示せず）を介して連結され、プーリー１６は回転エネルギーをエンジンに伝達する。

図２に示すように、回転子３の界磁鉄心３ａの軸方向の一方側であるフロント側の端面にファン１１ａが固定される。回転子３の界磁鉄心３ａの軸方向の他方側であるリヤ側の端面にファン１１ｂが固定される。ファン１１ａとファン１１ｂとは、回転子３と一体回転する。

＜電力供給ユニット２００＞
電力供給ユニット２００は、放熱部材６と、パワーモジュール７と、カバー８とを有する。ハウジング２０と電力供給ユニット２００との間に、電動機１００と電力供給ユニット２００とを電気的に接続した接続部である配線５が設けられる。放熱部材６は、板状に形成され、軸方向の一方側の面がハウジング２０の軸方向の他方側に配置される。放熱部材６は、例えば、アルミ合金、銅合金等の金属の鋳造品、もしくは板金部材を用いて形成される。放熱部材６は、電力供給ユニット２００に電流が流れるときに発生する熱を外部に放熱する役割を有している。放熱部材６は、径方向外側からパワーモジュール７を取り囲む外周壁６ａをさらに有する。外周壁６ａは、例えば、絶縁性を備えた樹脂材で作製される。

パワーモジュール７は、固定子巻線４ｂへの供給電流をオンオフする電力用半導体素子を有する。上下アームを構成する１組以上の電力用半導体素子がパワーモジュール７に設けられ、複数のパワーモジュール７からパワー回路部が構成される。複数組の電力用半導体素子をパワーモジュール７が備えることで、一つのパワーモジュール７からパワー回路部を構成しても構わない。パワーモジュール７は、軸方向の一方側の面が放熱部材６の軸方向の他方側の面に熱的に接続される。電力用半導体素子は、例えば、電気配線を形成するリードフレーム上に配置され、周辺回路と共に樹脂材で封止される。

カバー８は、有底筒状に形成され、放熱部材６、及びパワーモジュール７を軸方向他方側及び径方向外側から覆う。カバー８は、例えば、金属である鉄またはアルミニウムから、板金または鋳造により作製される。カバー８の材料は金属に限るものではなく、樹脂材により作製されても構わない。カバー８が金属からなる場合、外部から電力供給ユニット２００に侵入するノイズを抑制することができる。電力供給ユニット２００へのノイズの侵入が抑制されるので、電力供給ユニット２００の性能を向上させることができる。

カバー８の筒状の部分である筒状部８ａは、軸方向の一方側に延出して配線５を径方向外側から覆う。このように構成することで、配線５の部分への被水が抑制されるので、配線５の腐食を抑制することができる。

カバー８の筒状部８ａは、配線５の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に、後述する冷媒流路９の冷媒が通過する少なくとも一つの開口部１０を有している。配線５の径方向外側の周方向位置は、図３において、筒状部８ａの外側に矢印で示した位置である。本実施の形態では、図３に示すように、２つの開口部１０を備える。開口部１０の数は２つに限るものではなく、１つまたは３つ以上であっても構わない。このように構成することで、ハウジング２０と電力供給ユニット２００との間の部分が開口部１０の箇所を除いて径方向外側から筒状部８ａにより覆われるので、水及び異物の回転電機３００への外部からの侵入を抑制することができ、保護部品を追加することなく、回転電機３００の耐水性を向上させることができる。保護部品を追加することがないため、回転電機３００を安価で小型にすることができる。

開口部１０は、図１に示すように、筒状部８ａの軸方向の一方側の端部から、筒状部８ａを軸方向の他方側に切欠いて設けた切欠きである。このように構成することで、開口部１０を有した筒状部８ａを容易に作製することができるので、カバー８の製造性、組付け性が向上するため、回転電機３００を安価に製造でき、回転電機３００の生産性を向上させることができる。開口部１０は切欠きに限るものではなく、図５に示すように、貫通孔であっても構わない。

＜冷媒流路９＞
回転電機３００は、冷媒流路９を備える。冷媒流路９は、放熱部材６と、放熱部材６とハウジング２０との間の領域と、の一方又は双方に設けられる。本実施の形態では、図２に示すように、冷媒流路９は、放熱部材６に設けられた第１冷媒流路９ａと、放熱部材６とハウジング２０との間の領域に設けられた第２冷媒流路９ｂとの双方に設けられる。第１冷媒流路９ａの冷媒は電力供給ユニット２００を冷却し、第２冷媒流路９ｂの冷媒は電動機１００を冷却する。このように構成することで、第１冷媒流路９ａと第２冷媒流路９ｂのそれぞれにおける冷媒の冷却する部位が異なるので、それぞれの部位の冷却効率を向上させることができる。また、第１冷媒流路９ａの冷媒、及び第２冷媒流路９ｂの冷媒は、同じ開口部１０を通過する。このように構成することで、電動機１００及び電力供給ユニット２００の冷却性能を維持しつつ、開口部１０の数を減らすことができるので、水及び異物の回転電機３００への外部からの侵入をさらに抑制することができ、回転電機３００の耐水性を向上させることができる。

本実施の形態では、第１冷媒流路９ａの冷媒は、液体または気体であり、第２冷媒流路９ｂの冷媒は、気体である。ファン１１ｂの回転に伴って、第２冷媒流路９ｂに冷却風Ｗ１が発生する。放熱部材６とハウジング２０との間を、冷却風Ｗ１が径方向に通過する。その後冷却風Ｗ１は、冷媒流入口１２から電動機１００の内部に流入する。冷媒流入口１２から電動機１００の内部に流入した冷媒は、電動機１００の内部に設けられた回転子３及び固定子４を冷却する。このように構成することで、電動機１００を効率よく冷却することができる。

図５に示すように、冷媒流路９は、放熱部材６とハウジング２０との間の領域のみに設けても構わない。冷媒流路９の冷媒は、気体である。ファン１１ｂの回転に伴って、冷媒流路９に冷却風Ｗ２が発生する。放熱部材６とハウジング２０との間を、冷却風Ｗ２が径方向に通過して、冷媒は電力供給ユニット２００を冷却する。その後冷却風Ｗ２は、冷媒流入口１２から電動機１００の内部に流入する。冷媒流入口１２から電動機１００の内部に流入した冷媒は、電動機１００の内部に設けられた回転子３及び固定子４を冷却する。図５に示した構成の場合、開口部１０は一つでも構わない。

第１冷媒流路９ａの少なくとも一部は、図３に示すように、軸方向に見てパワーモジュール７と重複する。図３において破線で示した部分が、第１冷媒流路９ａである。熱源であるパワーモジュール７に隣接させて第１冷媒流路９ａを設けることで、パワーモジュール７の冷却効率を向上させることができる。

図３においてパワーモジュール７を一つ設けた例を示したが、パワーモジュール７の数は一つに限るものではない。図４に示すように、複数のパワーモジュール７を設けても構わない。複数のパワーモジュール７は、周方向に並べて設けられる。第１冷媒流路９ａは、軸方向に見て、複数のパワーモジュール７と重複するように、周方向に延出している。このように構成することで、短い距離で設けた第１冷媒流路９ａにより複数のパワーモジュール７を効率よく冷却することができる。

配線５は、図４に示すように、周方向の一箇所に設けられる。配線５が複数ある場合は、複数の配線５が周方向の一箇所にまとめて設けられる。図４において破線で示した部分が、第１冷媒流路９ａである。第１冷媒流路９ａは、軸方向に見て、シャフト１４と配線５を取り囲むように周方向に延出している。このように構成することで、複数のパワーモジュール７を設けても、配線５の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に開口部１０を容易に設けることができるので、配線５の部分への被水を確実に抑制することができる。

以上のように、実施の形態１による回転電機３００において、ハウジング２０と電力供給ユニット２００との間に、電動機１００と電力供給ユニット２００とを電気的に接続した配線５を有し、カバー８の筒状部８ａが軸方向の一方側に延出して配線５を径方向外側から覆い、冷媒流路９が、放熱部材６と、放熱部材６とハウジング２０との間の領域との一方又は双方に設けられ、冷媒流路９の少なくとも一部が、軸方向に見てパワーモジュール７と重複し、カバー８の筒状部８ａが、配線５の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に、冷媒流路９の冷媒が通過する少なくとも一つの開口部１０を有しているため、ハウジング２０と電力供給ユニット２００との間の部分が開口部１０の箇所を除いて径方向外側から筒状部８ａにより覆われ、保護部品を追加することなく、水及び異物の回転電機３００への外部からの侵入を抑制することができるので、冷媒流路９により冷却性能を維持しつつ、耐水性に優れ、安価で小型化した回転電機３００を得ることができる。

複数のパワーモジュール７が周方向に並べて設けられ、第１冷媒流路９ａが軸方向に見て、複数のパワーモジュール７と重複するように周方向に延出している場合、短い距離で設けた第１冷媒流路９ａにより複数のパワーモジュール７を効率よく冷却することができる。また、配線５が周方向の一箇所に設けられ、第１冷媒流路９ａが軸方向に見て、シャフト１４と配線５を取り囲むように周方向に延出している場合、複数のパワーモジュール７を設けても、配線５の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に開口部１０を容易に設けることができるので、配線５の部分への被水を確実に抑制することができる。

冷媒流路９は、放熱部材６に設けられた第１冷媒流路９ａと、放熱部材６とハウジング２０との間の領域に設けられた第２冷媒流路９ｂとを有し、第１冷媒流路９ａの冷媒、及び第２冷媒流路９ｂの冷媒が同じ開口部１０を通過する場合、電動機１００及び電力供給ユニット２００の冷却性能を維持しつつ、開口部１０の数を減らすことができるので、水及び異物の回転電機３００への外部からの侵入をさらに抑制することができ、回転電機３００の耐水性をさらに向上させることができる。また、第１冷媒流路９ａの冷媒が、電力供給ユニット２００を冷却し、第２冷媒流路９ｂの冷媒が、電動機１００を冷却する場合、第１冷媒流路９ａと第２冷媒流路９ｂのそれぞれにおける冷媒の冷却する部位が異なるので、それぞれの部位の冷却効率を向上させることができる。

開口部１０が、筒状部８ａの軸方向の一方側の端部から、筒状部８ａを軸方向の他方側に切欠いて設けた切欠きである場合、開口部１０を有した筒状部８ａを容易に作製することができるので、カバー８の製造性、組付け性が向上するため、回転電機３００を安価に製造でき、回転電機３００の生産性を向上させることができる。また、カバー８が金属からなる場合、外部から電力供給ユニット２００に侵入するノイズを抑制することができる。

回転子３が、界磁鉄心３ａの軸方向の他方側の端面に固定されたファン１１ｂを備え、ハウジング２０が、軸方向の他方側に冷媒の流入する冷媒流入口１２を少なくとも一つ有している場合、冷媒流入口１２から電動機１００に流入した冷媒が電動機１００を冷却するので、電動機１００を効率よく冷却することができる。

実施の形態２．
実施の形態２に係る回転電機３００について説明する。図６は回転電機３００の概略を示す断面図で、回転電機３００を軸方向に切断した図、図７は図６のＢ－Ｂ断面位置で切断した回転電機３００の断面図である。実施の形態２に係る回転電機３００は、配線５が配電部材５ａを有した構成になっている。

配線５は、周方向に延出した配電部材５ａを有している。電動機１００と電力供給ユニット２００とは、それぞれを電気的に接続するための部分である端子部１００ａと端子部２００ａをそれぞれが有する。端子部１００ａと端子部２００ａとが同じ周方向位置に設けられている場合、端子部１００ａと端子部２００ａを直接接続することができる。端子部１００ａと端子部２００ａとが異なる周方向位置に設けられている場合、周方向に延出した配電部材５ａを介して端子部１００ａと端子部２００ａとは接続される。配電部材５ａは、それぞれの部分を電気的に接続する導線５ａ１をインサート成形した部材である。配電部材５ａは、端子部１００ａと端子部２００ａとの接続距離が短くなるように設けられる。そのため、配電部材５ａが周方向に延出する距離は、半周以内になる。

端子部１００ａ及び端子部２００ａと、配電部材５ａとは、例えば、溶接により接続される。溶接により接続された部分は、活電部である。開口部１０は、筒状部８ａにおける配電部材５ａの径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に設けられている。配電部材５ａの径方向外側の周方向位置は、図７において、筒状部８ａの外側に矢印で示した位置である。このように構成することで、活電部は外部に露出することはなく、活電部は筒状部８ａにより径方向外側から覆われている。

以上のように、実施の形態２による回転電機３００において、配線５が周方向に延出した配電部材５ａを有し、開口部１０が筒状部８ａにおける配電部材５ａの径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に設けられているため、電動機１００及び電力供給ユニット２００を電気的に接続した配電部材５ａは筒状部８ａにより径方向外側から覆われているので、水及び異物の配電部材５ａの部分への外部からの侵入を抑制することができ、配電部材５ａの耐水性を向上させることができる。また、配電部材５ａを別部材として設けることで、固定子４の端末線である端子部１００ａが周方向のどの位置から軸方向他方側に突出しても、配電部材５ａの活電部を略半周以内に収めることができる。活電部を略半周以内に収めることができるので、開口部１０の位置の自由度を高めることができる。そのため、冷媒流路９の配置の自由度を高めることができるので、回転電機３００の冷却効果を向上させることができる。

実施の形態３．
実施の形態３に係る回転電機３００について説明する。図８は実施の形態３に係る回転電機３００の放熱部材６を示す平面図で、放熱部材６を軸方向一方側から見た図である。実施の形態３に係る回転電機３００は、冷媒流路９の配置がさらに規定された構成になっている。

パワーモジュール７は、軸方向に見て、外形が多角形に設けられる。図８において、破線で示した部分が、パワーモジュール７の外形である。実施の形態３では、パワーモジュール７の外形を長方形に設けたが、パワーモジュール７の外形は長方形に限るものではなく他の多角形であっても構わない。冷媒流路９は、軸方向に見て、冷媒流路９の中心線９ｃが、パワーモジュール７の外側から、パワーモジュール７の一辺を交差し、パワーモジュール７の内側を延びた後、パワーモジュール７の他の一辺を交差し、パワーモジュール７の外側に延びる。冷媒流路９の配置は、冷媒流路９を放熱部材６に設けることで規定できる。また、放熱部材６とハウジング２０との間の領域に冷媒流路９を設ける場合、冷媒流路９の配置は、開口部１０と冷媒流入口１２の配置により規定できる。

以上のように、実施の形態３による回転電機３００において、冷媒流路９の中心線９ｃが、パワーモジュール７の一辺を交差し、パワーモジュール７の内側を延びた後、パワーモジュール７の他の一辺を交差するため、電力供給ユニット２００における特に高発熱の熱源であるパワーモジュール７に交差して冷媒流路９が配置されるので、パワーモジュール７を効率よく冷却することができる。パワーモジュール７が効率よく冷却されるので、電力供給ユニット２００の冷却効率を向上させることができる。

実施の形態４．
実施の形態４に係る回転電機３００について説明する。図９は実施の形態４に係る回転電機３００の放熱部材６を示す平面図で、放熱部材６を軸方向一方側から見た図である。実施の形態４に係る回転電機３００は、放熱部材６が側壁部６ｂを有した構成になっている。

放熱部材６は、軸方向の一方側の面から、軸方向の一方側に突出すると共に、冷媒流路９に沿って延出し、冷媒流路９の両側の側壁を形成する２つの側壁部６ｂを有している。側壁部６ｂは、例えば、放熱部材６と同じ材料で放熱部材６と一体化して形成される。側壁部６ｂを放熱部材６と異なる材料で作製して、放熱部材６に取り付けても構わない。図９において、破線で示した部分は、パワーモジュール７の外形である。冷媒流路９は、軸方向に見て、パワーモジュール７に重複するように配置される。図９に示した矢印は、冷媒の流れを示している。放熱部材６は、２つの側壁部６ｂに挟まれた部分に、軸方向の一方側に突出すると共に、冷媒流路９に沿って延出した突出部６ｃをさらに備えても構わない。

以上のように、実施の形態４による回転電機３００において、放熱部材６が冷媒流路９に沿って延出した側壁部６ｂを有しているため、冷媒の流れる箇所がパワーモジュール７の配置された箇所に制限されるので、パワーモジュール７を効率よく冷却することができる。また、放熱部材６が突出部６ｃを備えた場合、冷媒流路９の表面積が増加するため、パワーモジュール７の冷却効率をさらに向上させることができる。

実施の形態５．
実施の形態５に係る回転電機３００について説明する。図１０は実施の形態５に係る回転電機３００の放熱部材６を示す斜視図で、軸方向一方側を示した図である。実施の形態５に係る回転電機３００は、実施の形態４に示した回転電機３００の構成に加えて蓋部材１３を有した構成になっている。

２つの側壁部６ｂの軸方向の一方側の開口は、蓋部材１３によって覆われている。蓋部材１３は、例えば、放熱部材６と同じ材料で作製される。蓋部材１３は、溶接、または超音波接合等により、冷媒流路９が密閉されるように固定される。蓋部材１３の固定はこれに限るものではなく、蓋部材１３は、シール材を介してねじ止め等により側壁部６ｂに固定されても構わない。また、別体で設けられた蓋部材１３を放熱部材６に固定する構成ではなく、蓋部材１３と放熱部材６とが、ダイカスト等により、一体成形して形成されても構わない。蓋部材１３は、冷媒流路９の側に突出した突起部６ｄを少なくとも一つ有していても構わない。

以上のように、実施の形態５による回転電機３００において、２つの側壁部６ｂの軸方向の一方側の開口が蓋部材１３によって覆われているため、図９に示した構成と比較して、冷媒が流れる箇所がさらに制限されるので、パワーモジュール７の冷却効率をさらに向上させることができる。蓋部材１３が、シール材を介して側壁部６ｂに固定されている場合、冷媒流路９に流れる冷媒に液体を使用することができるため、パワーモジュール７の冷却効率を向上させることができる。蓋部材１３と放熱部材６とが一体成形して形成されている場合、冷媒流路９の気密性が安定し、部品点数を削減することができる。また、ねじ等の蓋部材１３を固定する部材が不要になるため、部品点数がさらに削減されるので、回転電機３００を安価に作製することができる。蓋部材１３が突起部６ｄを有した場合、冷媒流路９内において乱流の形成が促進されるので、パワーモジュール７の冷却効率を向上させることができる。

実施の形態６．
実施の形態６に係る回転電機３００について説明する。図１１は実施の形態６に係る回転電機３００の放熱部材を示す斜視図で、軸方向一方側を示した図である。実施の形態６に係る回転電機３００は、２つの開口部１０の間に冷媒流路９を設けた構成になっている。

カバーは、２つの開口部１０を有する。冷媒流路９の冷媒の流入口が一方の開口部１０に設けられ、冷媒流路９の冷媒の流出口が他方の開口部１０に設けられる。冷媒流路９は、流入口と流出口のみが開口している。本実施の形態では、冷媒流路９は放熱部材６と別体で設けられた管状の部材である。放熱部材６は、冷媒流路９の両側に位置決め部（図示せず）を有しても構わない。位置決め部は、放熱部材６の軸方向の一方側の面から、軸方向の一方側に突出すると共に、冷媒流路９の両側に沿って延出した部分である。放熱部材６が位置決め部を有した場合、別体で設けられた冷媒流路９を容易に位置決めすることができる。冷媒流路９が容易に位置決めされるので、冷媒流路９を容易に放熱部材６に組付けることができる。冷媒流路９が容易に放熱部材６に組付けられるので、回転電機３００の生産性を向上させることができる。

以上のように、実施の形態６による回転電機３００において、冷媒流路９の冷媒の流入口が一方の開口部１０に設けられ、冷媒流路９の冷媒の流出口が他方の開口部１０に設けられ、冷媒流路９は流入口と流出口のみが開口しているため、冷媒流路９の冷媒に液体が利用でき、冷媒流路９にシール構造が不要なので、回転電機３００の部品点数を削減することができる。回転電機３００の部品点数が削減されるので、回転電機３００の生産性を向上させることができる。

また本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、１つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも１つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも１つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。

１ フロントブラケット、２ リヤブラケット、３ 回転子、３ａ 界磁鉄心、３ｂ 界磁巻線、４ 固定子、４ａ 固定子鉄心、４ｂ 固定子巻線、５ 配線、５ａ 配電部材、５ａ１ 導線、６ 放熱部材、６ａ 外周壁、６ｂ 側壁部、６ｃ 突出部、６ｄ 突起部、７ パワーモジュール、８ カバー、８ａ 筒状部、９ 冷媒流路、９ａ 第１冷媒流路、９ｂ 第２冷媒流路、９ｃ 中心線、１０ 開口部、１１ａ ファン、１１ｂ ファン、１２ 冷媒流入口、１３ 蓋部材、１４ シャフト、１５ ボルト、１６ プーリー、２０ ハウジング、７１ ベアリング、７２ ベアリング、１００ 電動機、１００ａ 端子部、２００ 電力供給ユニット、２００ａ 端子部、３００ 回転電機、Ｗ１ 冷却風、Ｗ２ 冷却風

Claims (16)

1. 界磁巻線が巻装された界磁鉄心を有し、回転軸と一体回転する回転子と、前記回転子の径方向外側に配置され、固定子巻線が巻装された固定子鉄心を有する固定子と、前記界磁鉄心及び前記固定子鉄心の外側を覆うと共にベアリングを介して前記回転軸の一端側及び他端側を保持するハウジングと、を設けた電動機と、
   板状に形成され、軸方向の一方側の面が前記ハウジングの軸方向の他方側に配置された放熱部材と、前記固定子巻線への供給電流をオンオフする電力用半導体素子を有し、軸方向の一方側の面が前記放熱部材の軸方向の他方側の面に熱的に接続されたパワーモジュールと、有底筒状に形成され、前記放熱部材、及び前記パワーモジュールを軸方向他方側及び径方向外側から覆ったカバーと、を設け、前記ハウジングの軸方向の他方側に配置された電力供給ユニットと、
   冷媒流路と、を備え、
   前記ハウジングと前記電力供給ユニットとの間に、前記電動機と前記電力供給ユニットとを電気的に接続した接続部を有し、
   前記カバーの筒状の部分である筒状部は、軸方向の一方側に延出して前記接続部を径方向外側から覆い、
   前記冷媒流路は、前記放熱部材と、前記放熱部材と前記ハウジングとの間の領域と、の一方又は双方に設けられ、
   前記冷媒流路の少なくとも一部は、軸方向に見て前記パワーモジュールと重複し、
   前記カバーの前記筒状部は、前記接続部の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に、前記冷媒流路の冷媒が通過する少なくとも一つの開口部を有している回転電機。
2. 複数の前記パワーモジュールが、周方向に並べて設けられ、
   前記冷媒流路は、軸方向に見て、複数の前記パワーモジュールと重複するように、周方向に延出している請求項１に記載の回転電機。
3. 前記接続部は、周方向の一箇所に設けられ、
   前記冷媒流路は、軸方向に見て、前記回転軸と前記接続部を取り囲むように周方向に延出している請求項２に記載の回転電機
4. 前記冷媒流路は、前記放熱部材に設けられた第１冷媒流路と、前記放熱部材と前記ハウジングとの間の領域に設けられた第２冷媒流路とを有し、
   前記第１冷媒流路の冷媒、及び前記第２冷媒流路の冷媒は、同じ前記開口部を通過する請求項１から３のいずれか１項に記載の回転電機。
5. 前記第１冷媒流路の冷媒は、前記電力供給ユニットを冷却し、
   前記第２冷媒流路の冷媒は、前記電動機を冷却する請求項４に記載の回転電機。
6. 前記開口部は、前記筒状部の軸方向の一方側の端部から、前記筒状部を軸方向の他方側に切欠いて設けた切欠きである請求項１から５のいずれか１項に記載の回転電機。
7. 前記カバーは金属からなる請求項１から６のいずれか１項に記載の回転電機。
8. 前記接続部は、周方向に延出した配電部材を有し、
   前記開口部は、前記筒状部における前記配電部材の径方向外側の周方向位置とは異なる周方向位置に設けられている請求項１から７のいずれか１項に記載の回転電機。
9. 前記回転子は、前記界磁鉄心の軸方向の他方側の端面に固定されたファンを備え、
   前記ハウジングは、軸方向の他方側に冷媒の流入する冷媒流入口を少なくとも一つ有している請求項１から８のいずれか１項に記載の回転電機。
10. 前記パワーモジュールは、軸方向に見て、外形が多角形に設けられ、
    前記冷媒流路は、軸方向に見て、前記冷媒流路の中心線が、前記パワーモジュールの外側から、前記パワーモジュールの一辺を交差し、前記パワーモジュールの内側を延びた後、前記パワーモジュールの他の一辺を交差し、前記パワーモジュールの外側に延びる請求項１から９のいずれか１項に記載の回転電機。
11. 前記放熱部材は、軸方向の一方側の面から、軸方向の一方側に突出すると共に、前記冷媒流路に沿って延出し、前記冷媒流路の両側の側壁を形成する２つの側壁部を有している請求項１から１０のいずれか１項に記載の回転電機。
12. ２つの前記側壁部の軸方向の一方側の開口は、蓋部材によって覆われている請求項１１に記載の回転電機。
13. 前記蓋部材は、前記冷媒流路の側に突出した突起を少なくとも一つ有している請求項１２に記載の回転電機。
14. 前記蓋部材は、シール材を介して前記側壁部に固定されている請求項１２または１３に記載の回転電機。
15. 前記蓋部材と前記放熱部材とは一体成形して形成されている請求項１２に記載の回転電機。
16. 前記カバーは、２つの前記開口部を有し、
    前記冷媒流路の冷媒の流入口が、一方の前記開口部に設けられ、前記冷媒流路の冷媒の流出口が、他方の前記開口部に設けられ、
    前記冷媒流路は、前記流入口と前記流出口のみが開口している請求項１から１０のいずれか１項に記載の回転電機。

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