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JP7131991B2 - 金属/樹脂複合構造体およびその製造方法 - Google Patents

金属/樹脂複合構造体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属/樹脂複合構造体およびその製造方法に関する。
各種の金属部品を軽量化するために、金属の代わりに樹脂が使用されている。しかし、金属部品を丸ごと樹脂で代替することは難しい場合も多い。そのような場合には、金属部品の一部を樹脂と置き換え、これらを接合一体化することより新たな複合部品を製造することが考えられる。接合一体化する技術として、金属部材の表面に微細な凹凸形状を形成させたものに、その金属部材と親和性を有する極性基を持つエンジニアリングプラスチックを接合させる方法が開示されている(例えば、特許文献1~3等)。
これら特許文献には、各種の薬液や電解酸化を用いて金属表面に微細な凹凸もしくは孔を形成させた後、例えばポリフェニレンスルィドやポリアミド等の各種のエンジニアリングプラスチックを接合させる方法が開示されている。
特開2004-216425号公報 国際公開第2004/055248号 特開2013-52671号公報
さて、エンジニアリングプラスチックの中でも熱可塑性ポリイミドは、耐熱性、難燃性、耐薬品性等に秀逸に優れているため、航空・宇宙用部品、エンジン周辺部品、電気・電子部品を中心に幅広く採用されてきた。しかしながら、熱可塑性ポリイミドを金属表面に高い接合強度で接合する技術はいまだ開示されていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、接合性に優れた、熱可塑性ポリイミドを含む樹脂部材と金属部材との金属/樹脂複合構造体およびその製造方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を進めた。その結果、本発明者らは、熱可塑性ポリイミドの結晶化速度が遅いことが十分な接合性能を発現しない主原因であることを見出した。そこで、このような低結晶化性の改善に主眼をおいて各種の検討を起こった結果、熱可塑性ポリイミドに特定のポリエーテルエーテルケトンを組み合わせることで、優れた接合特性を備えた金属/樹脂複合構造体が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、以下に示す金属/樹脂複合構造体およびその製造方法が提供される。
[1]
金属部材と、上記金属部材に接合された樹脂部材とを備え、
上記樹脂部材が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(A)および下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン(B)を含む樹脂組成物(C)により形成されたものである金属/樹脂複合構造体。
Figure 0007131991000001
(上記式(1)中、Xは直接結合、-SO-、-CO-、-C(CH-、-C(CF-または-S-であり、Yは下記式(2)に示す化合物群から選ばれる一種または二種以上である。)
Figure 0007131991000002
Figure 0007131991000003
[2]
上記樹脂組成物(C)に含まれる上記熱可塑性ポリイミド(A)および上記ポリエーテルエーテルケトン(B)の合計量を100質量部としたとき、上記熱可塑性ポリイミド(A)の含有量が40質量部以上95質量部以下であり、上記ポリエーテルエーテルケトン(B)の含有量が5質量部以上60質量部以下である上記[1]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[3]
上記樹脂組成物(C)が繊維状補強材をさらに含む上記[1]または[2]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[4]
上記樹脂組成物(C)の全体を100質量部としたとき、上記繊維状補強材の含有量が5質量部以上50質量部以下である上記[3]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[5]
上記金属部材は鉄系金属、アルミニウム系金属、マグネシウム系金属、銅系金属およびチタン系金属から選択される一種または二種以上を含む上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
[6]
上記金属部材は上記樹脂部材との接合部表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を有する上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
[7]
上記微細凹凸形状は、間隔周期が5μm以上300μm以下の範囲にある上記[6]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[8]
上記金属部材の上記微細凹凸形状が形成された微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(I)および要件(II)を同時に満たす上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
(I)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
(II)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
[9]
上記[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に金属部材を配置する工程と、
上記キャビティ部に上記樹脂組成物(C)を射出することにより上記金属部材と上記樹脂部材と、を接合する工程と、を含み、
上記樹脂組成物(C)の射出開始から保圧完了までの間、上記金型の表面温度を250℃以上300℃以下の温度に維持し、その後、上記金型の表面温度を170℃以上230℃以下まで冷却する金属/樹脂複合構造体の製造方法。
本発明によれば、接合性に優れた、熱可塑性ポリイミドを含む樹脂部材と金属部材との金属/樹脂複合構造体およびその製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体の構造の一例を模式的に示した外観図である。 本発明に係る実施形態の金属部材の微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。 実施例1で得られた金属/樹脂複合構造体の、23℃引張りせん断試験後の破断面(金属面側)のルーペ観察結果を示す図である。 比較例1で得られた金属/樹脂複合構造体の、23℃引張りせん断試験後の破断面(金属面側)のルーペ観察結果を示す図である。 比較例2で得られた金属/樹脂複合構造体の、23℃引張りせん断試験後の破断面(金属面側)のルーペ観察結果を示す図である。 実施例1で得られた金属/樹脂複合構造体の、200℃引張りせん断試験後の破断面(金属面側)のルーペ観察結果を示す図である。 比較例1で得られた金属/樹脂複合構造体の、200℃引張りせん断試験後の破断面(金属面側)のルーペ観察結果を示す図である。 比較例2で得られた金属/樹脂複合構造体の、200℃引張りせん断試験後の破断面(金属面側)のルーペ観察結果を示す図である。
以下に、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。文中の数字の間にある「~」は特に断りがない限り、以上から以下を示す。なお、本明細書において熱可塑性ポリイミドとは構造単位として芳香核、エーテル結合およびイミド結合を必須単位として含むポリイミドとして定義される。
図1は、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1の構造の一例を模式的に示した外観図である。
金属/樹脂複合構造体1は、金属部材2と、樹脂部材3とが接合されており、金属部材2と樹脂部材3とを接合することにより得られる。
≪金属/樹脂複合構造体≫
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1は、金属部材2と、金属部材2に接合された樹脂部材3とを備え、樹脂部材3が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(A)および下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン(B)を含む樹脂組成物(C)により形成されたものである。
Figure 0007131991000004
(上記式(1)中、Xは直接結合、-SO-、-CO-、-C(CH-、-C(CF-または-S-であり、Yは下記式(2)に示す化合物群から選ばれる一種または二種以上である。)
Figure 0007131991000005
Figure 0007131991000006
本実施形態に係る金属部材2は、接合性向上の観点から、樹脂部材3との接合部表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を有することが好ましい。金属部材2の微細凹凸表面は、間隔周期が好ましくは5μm~300μmの範囲、より好ましくは10μm~200μmの範囲、さらに好ましくは20μm~150μmの範囲にある微細凹凸形状を有することが望ましい。ここで、微細凹凸形状が形成されている、金属部材2の表面を微細凹凸表面と呼ぶ。
微細凹凸表面の微細凹凸形状の間隔周期は、金属部材2と樹脂部材3との接合部の断面SEM画像を用いて測定することができる。接合部の表面SEMないし断面SEM画像は、通常、金属部材2と樹脂部材3とを引き剥がした後、必要に応じて樹脂部材を溶離または焼成除去した後の接合部の金属面に観察されるものである。このようにして求められる間隔周期は、金属部材2と樹脂部材3とを引き剥がす前の金属/樹脂複合構造体における接合部の断面SEM観察から求められる値であってもよいし、樹脂接合前の粗化金属表面のSEM観察から求められる値であってもよい。本発明者らは、これら3つの方法について得られた間隔周期は実質的に同一値であることを別途確認している。
なお、SEM画像における間隔周期は、通常は画像内の任意の20か所について測定した凸部と最隣接凸部間の距離の平均値である。
本実施形態に係る微細凹凸形状が形成された、金属部材2の微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(I)および要件(II)を同時に満たすことがより好ましい。
要件(I);評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が好ましくは10μm~30μm、より好ましくは12μm~28μm、さらに好ましくは15μm~25μm、特に好ましくは15μm~23μmの範囲にある。なお、上記の十点平均粗さ(Rz)の平均値は、前述の任意の6直線部のRzを平均したものを採用することができる。金属部材2の表面の少なくとも樹脂部材3との接合面が、上記Rzを満たすことによって、得られる金属/樹脂複合構造体1を高温・高湿度下等の過酷な環境下で長期使用した場合であっても接合強度や耐リーク性能の低下をより抑制することができ、耐久性をより一層良好にすることができる。
要件(II);評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が、好ましくは50μm~250μm、より好ましくは70μm~230μm、さらに好ましくは90μm~200μm、特に好ましくは100μm~170μmの範囲にある。なお、上記粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値は、前述の任意の6直線部のRSmを平均したものを採用することができる。上記RSmを満たすことによって、得られる金属/樹脂複合構造体1を高温・高湿度下等の過酷な環境下で長期使用した場合であっても接合強度や耐リーク性能の低下をより抑制することができ、耐久性をより一層良好にすることができる。
図2は、金属部材2の微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部を説明するための模式図である。
上記6直線部は、例えば、図2に示すような6直線部B1~B6を選択することができる。まず、基準線として、金属部材2の微細凹凸表面104の中心部Aを通る中心線B1を選択する。次いで、中心線B1と平行関係にある直線B2およびB3を選択する。次いで、中心線B1と直交する中心線B4を選択し、中心線B1と直交し、中心線B4と並行関係にある直線B5およびB6を選択する。ここで、各直線間の垂直距離D1~D4は、例えば、2~5mmである。
なお、通常、金属部材2の表面には接合部表面だけでなく、金属部材2の表面全体に表面粗化処理が施されている。金属部材2の表面全体に対して表面粗化処理が施されている場合は、金属部材2の接合部表面と同一面で、接合部表面以外の箇所から6直線部を適宜選択することもできる。
≪樹脂部材≫
本実施形態に係る樹脂部材3を構成する樹脂組成物(C)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(A)を好ましくは40~95質量部、より好ましくは45~90質量部、さらに好ましくは50~85質量部、特に好ましくは55~80質量部含む。
また、本実施形態に係る樹脂部材3を構成する樹脂組成物(C)は、下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン(B)を好ましくは5~60質量部、より好ましくは10~55質量部、さらに好ましくは15~50質量部、特に好ましくは20~45質量部含む。ただし、樹脂組成物(C)に含まれる熱可塑性ポリイミド(A)およびポリエーテルエーテルケトン(B)の合計量を100質量部とする。
〔熱可塑性ポリイミド(A)〕
熱可塑性ポリイミド(A)は下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドである。一般式(1)において、Xは直接結合、-SO-、-CO-、-C(CH-、-C(CF-および-S-から選ばれる。熱可塑性ポリイミドの原料ジアミンの入手容易性、イミド化反応のし易さ等の視点から、Xは直接結合または-C(CH-であることが好ましい。上記一般式(1)において、Yは下記式(2)に示す化合物群から選ばれる一種または二種以上である。原料であるテトラカルボン酸二無水物の入手容易性からYとしてはベンゼン核(式(2)の最左端表記の基)が好ましい。
Figure 0007131991000007
Figure 0007131991000008
本実施形態においては、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドとして、下式(4)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(例えば、三井化学社製:商品名オーラム)が好ましい。
Figure 0007131991000009
本実施形態では、熱可塑性ポリイミド(A)として一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド単体を用いてもよいが、流動性改良等の目的に応じてポリスルホン樹脂や一般式(1)以外のポリエーテルイミド樹脂等を添加したポリマーアロイとしてもよい。
〔ポリエーテルエーテルケトン(B)〕
ポリエーテルエーテルケトン(B)は下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンである。この繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンは、例えば、VICTREX社製の商品名PEEK151G、PEEK381G、PEEK450G、PEEK150P、PEEK150G等として市販されているものをそのまま用いることができる。本実施形態においては、成形性を考慮して、ASTM-D1238に規定される方法に準じて、360℃、2.16kg加重下で測定したメルトフローインデックスが、0.5~5g/10minの範囲にあることが好ましい。
Figure 0007131991000010
〔繊維状補強材〕
本実施形態に係る樹脂部材3を構成する樹脂組成物(C)は、樹脂組成物(C)の全体を100質量部としたとき、繊維状補強材を好ましくは5~50質量部、より好ましくは10~40質量部、さらに好ましくは15~30質量部さらに含んでもよい。
樹脂組成物(C)が、繊維状補強材を含むことにより、機械的強度を飛躍的に向上できる。
繊維状補強材の含有量が上記下限値以上であると、機械的強度の向上効果をより一層効果的に得ることができる。また、繊維状補強材の含有量が上記上限値以下であると、成形性が向上し、また樹脂組成物(C)または樹脂部材3において空隙が発生しにくく、溶融流動性や樹脂部材3の表面平滑性が向上する傾向を示すため好ましい。
繊維状補強材としては、例えば、無機繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、ウィスカー、ワラストナイト等)、有機繊維[例えば、ポリエステル繊維(例えば、ポリアルキレンアリレート繊維等)等]等が挙げられる。これらの繊維状補強材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。繊維状補強材のなかでも、少なくとも無機繊維(特にガラス繊維及び/又は炭素繊維)を含むのが好ましい。なかでも炭素繊維は軽量でありまた機械的強度発現効果にも優れるので好ましい。
ガラス繊維を形成するガラス成分としては、例えば、Eガラス(無アルカリ電気絶縁用ガラス)、Sガラス(高強度ガラス)、Cガラス(化学用ガラス)、Aガラス(一般用含アルカリガラス)、YM-31-Aガラス(高弾性ガラス)等が挙げられる。これらの中でも、機械的特性等の点から、Eガラス、Cガラス、Sガラスが好ましく、Eガラスが特に好ましい。これらのガラス成分で形成されるガラス繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維(例えば、等方性ピッチ系炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維等)、気相成長炭素繊維等が挙げられる。これらの炭素繊維のうち、機械的強度の点から、PAN系炭素繊維が好ましい。これらの炭素繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
繊維状補強材は、長繊維であってもよいが、短繊維であるのが好ましい。繊維状補強材の平均繊維長は、例えば、0.1~10mm程度の範囲から選択でき、好ましくは0.2~8mm、より好ましくは0.5~6mm、さらに好ましくは1~4mmである。また、繊維状補強材と樹脂との混合(又は混練)や成形加工によるせん断力等の影響により、組成物又は成形体中の繊維状補強材の平均繊維長は、混合前より短くなってもよく、例えば、0.05~5mm、好ましくは0.1~3mm、さらに好ましくは0.2~1mm程度であってもよい。
繊維状補強材の平均繊維径は、特に制限されない。そのため、繊維状補強材は、平均繊維径がナノメータオーダーのサイズを有する繊維状補強材(例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノファイバー等)であってもよい。また、繊維状補強材の平均繊維径は、機械的強度等の点から、例えば、1~200μm程度の範囲から選択でき、好ましくは2~120μm、より好ましくは3~50μm、さらに好ましくは5~20μm、さらにより好ましくは6~15μm、特に好ましくは8~13μmである。
〔その他の成分〕
本実施形態に係る樹脂組成物(C)は、成形性、結晶性等の観点から、その他成分を含んでもよい。その他成分としては、例えば、結晶化促進剤、難燃剤、銅系熱安定剤やリン系熱安定剤等の熱安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、離型剤、耐侯性改良剤、造核剤、発泡剤、耐衝撃改良剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤等が挙げられる。その他の成分を含む場合は、その他の成分の含有量は樹脂組成物(C)100質量部当たり通常0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部である。
≪金属部材≫
金属部材2を構成する金属材料は特に限定されないが、例えば、鉄系金属(鉄、鉄合金、鉄鋼材、ステンレス鋼等)、アルミニウム系金属(アルミニウム単体、アルミニウム合金等)、マグネシウム系金属(マグネシウム、マグネシウム合金等)、銅系金属(銅、銅合金等)、チタン系金属(チタン、チタン合金)等を挙げることができる。これらの金属は単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
金属部材2を構成する金属材料は、好ましくは鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金を挙げることができる。
金属/樹脂複合構造体1に軽量性が強く求められる用途においては、上記金属材料の中でもアルミニウム合金およびマグネシウム合金が好ましく用いられ、アルミニウム合金がより好ましく用いられる。このようなアルミニウム合金としては、例えばJIS H4000に規定された合金番号1050、1100、2014、2024、3003、5052、7075等を例示することができる。
一方で、金属/樹脂複合構造体1に強度が強く求められる用途においては、上記金属材料の中でも鉄およびステンレス鋼が好ましく用いられ、ステンレス鋼が特に好ましい。このようなステンレス鋼としては、オーステナイト系が好ましく、具体的にはSUS301、SUS304、SUS316およびSUS316L等を例示することができる。
金属部材2の形状は、樹脂部材3と接合できる形状であれば特に限定されず、例えば、平板状、曲板状、棒状、筒状、塊状等とすることができる。また、これらの組み合わせからなる構造体であってもよい。
また、樹脂部材3と接合する接合部表面の形状は、特に限定されない。例えば、平面、曲面等が挙げられる。
金属部材2は、金属材料を切断、プレス等による塑性加工、打ち抜き加工、切削、研磨、放電加工等の除肉加工によって上述した所定の形状に加工された後に、後述する粗化処理がなされたものが好ましい。要するに、種々の加工法により、必要な形状に加工されたものを用いることが好ましい。
上記の通り、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1を構成する金属部材1の少なくとも樹脂との接合部表面の少なくとも一部には上記間隔周期を満たし、好ましくはさらに十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を同時に満たす微細凹凸形状が形成されている。金属部材表面に、この微細凹凸形状を形成する方法は特に制限されないが、金属部材がアルミニウム合金を含む場合は例えば、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸とを含む酸系エッチング剤を用いて金属部材を処理する酸処理工程を含む方法によって製造できる。このような酸系エッチング剤を用いる粗化方法としては、例えば国際公開第2015/8847号、特開2001-348684号公報、国際公開第2008/81933号等に開示された公知方法をそのまま採用することができる。
本実施形態においては、上記酸系エッチング剤による酸処理工程の前に、両性金属イオン、好ましくは亜鉛金属イオンと水酸化物イオンとを含むアルカリ系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理するアルカリ処理工程をおこなうことが好ましい。このようなアルカリエッチング剤による処理を加えることによって、優れた長期耐久性能を備えた金属/樹脂複合構造体1を得ることができる。なお、亜鉛イオン含有アルカリ水溶液による処理方法については、例えば国際公開第2013/47365号に開示された処理方法を採用することができる。
本実施形態において、アルミニウム系金属部材の表面を粗化する特に好ましい方法は、次のステップ(1)~(4)をこの順に実施する方法である。
(1)前処理工程
金属部材1の樹脂部材2との接合側の表面に存在する酸化膜や水酸化物等からなる被膜を除去する。例えば、機械研磨や化学研磨処理が行われる。接合側表面に機械油等の著しい汚染がある場合は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液による処理や、脱脂を行ってもよい。
(2)亜鉛イオン含有アルカリ水溶液による処理工程
水酸化アルカリ(MOH)と亜鉛イオン(Zn2+)とを質量比(MOH/Zn2+)1~100の割合で含む亜鉛イオン含有アルカリ水溶液中に、前処理後の金属部材を浸漬し、金属部材の表面に亜鉛含有被膜形成させる。
(3)酸系エッチング剤による処理工程
上記工程(2)終了後の金属部材を、第二鉄イオンと第二銅イオンの少なくとも一方と、酸を含む酸系エッチング剤により処理して金属部材の表面上の亜鉛含有被膜を溶離させると共に、上記間隔周期を満たし、好ましくは十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)をも満たした微細凹凸形状を形成させる。
(4)後処理工程
上記工程(3)の後に、例えば、金属部材の表面の水洗浄および乾燥をおこなう。スマット除去のために水洗を超音波照射下におこなってもよい。
このようにして、金属部材表面上に形成された微細凹凸形状は、上記したように樹脂が接合された状態、あるいは接合樹脂を金属表面から除去した後であってもそのままの形状を保ち、形状を変化させることはない。すなわち、間隔周期、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の値は、樹脂の接合前後で実質的に変化しない。
≪金属/樹脂複合構造体の製造方法≫
つづいて、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1の製造方法について説明する。
金属/樹脂複合構造体1の製造方法は、上記化方法によって粗化処理を行った金属部材2に対して、樹脂組成物(C)を所望の樹脂部材3の形状になるように成形しながら接合させることにより得られる。
金属部材2の上に樹脂部材3を接合一体化する方法としては、射出成形、押出成形、加熱プレス成形、圧縮成形、トランスファーモールド成形、注型成形、レーザー溶着成形、反応射出成形(RIM成形)、リム成形(LIM成形)、溶射成形等の各種の公知成形方法を制限なく採用できる。
これらの中でも、金属/樹脂複合構造体1の製造方法としては、生産性の視点から射出成形法が好ましく、具体的には、金属部材2を射出成形金型のキャビティ部にインサートし、樹脂組成物を金型に射出する射出成形法により製造することが好ましい。具体的には、以下の(i)~(iii)の工程を含む方法が好ましい。
(i)樹脂組成物(C)を調製する工程
(ii)金属部材2を射出成形用の金型内に設置する工程
(iii)樹脂組成物(C)を、金属部材2の少なくとも一部と接するように、上記金型内に射出成形し、樹脂部材3を形成する工程
以下、各工程について説明する。
(i)樹脂組成物(C)を調製する工程は、例えば、熱可塑性ポリイミド(A)と、ポリエーテルエーテルケトン(B)と、さらに必要に応じて繊維状補強材やその他の成分と、をバンバリーミキサー、ヘンシャルミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機等の公知の混合装置を用いて、ドライブレンドまたは溶融混合する方法を挙げることができる。
次いで、(ii)、(iii)の工程による射出成形方法について説明する。
まず、射出成形用の金型を用意し、その金型を開いてその一部に金属部材2を設置する。その後、金型を閉じ、樹脂組成物(C)の少なくとも一部が金属部材2の表面の化学エッチングされた領域と接するように、上記金型内に(i)工程で得られた樹脂組成物(C)を射出して固化する。その後、金型を開き離型することにより、金属/樹脂複合構造体1を得ることができる。
また、上記(i)~(iii)の工程による射出成形の際には、金型を急速に加熱冷却する高速ヒートサイクル成形(RHCM、ヒート&クール成形)を用いることが好ましい。高速ヒートサイクル成形を採用することにより、金属と樹脂間の接合強度を高められるからである。具体的には、樹脂組成物(C)の射出開始から保圧完了までの間、金型の表面温度を250~300℃の温度に維持し、その後、金型の表面温度170~230まで冷却する方法を例示できる。
本実施形態においては、射出発泡成形により金属/樹脂複合構造体を形成させてもよい。射出発泡成形の方法として、化学発泡剤を樹脂に添加する方法や、射出成形機のシリンダー部に直接、窒素ガスや炭酸ガスを注入する方法、あるいは、窒素ガスや炭酸ガスを超臨界状態で射出成形機のシリンダー部に注入するMuCell射出発泡成形法があるが、いずれの方法でも樹脂部材が発泡体である金属/樹脂複合構造体を得ることができる。また、いずれの方法でも、金型の制御方法として、カウンタープレッシャーを使用したり、成形品の形状によってはコアバックを利用したりすることも可能である。
≪金属/樹脂複合構造体の用途≫
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1は、生産性が高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に展開することが可能である。
例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、建築部材、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
以上、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1の用途について述べたが、これらは本発明の用途の例示であり、上記以外の様々な用途に用いることもできる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を含む。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
以下、実施例および比較例で採用した各種分析法、接合強度評価法を示す。
<微細凹凸形状の測定>
金属/樹脂複合構造体の金属部材表面の間隔周期の測定方法について述べる。
本実施例・比較例では、金属/樹脂複合構造体の引張せん断強度試験によって破壊された金属部材側の表面の断面部を走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM-6701F)を用いて観察し、得られた写真から間隔周期を算出した。
電子顕微鏡写真から間隔周期を求める方法は、具体的には、以下のとおりである。まず金属部材表面の断面写真を撮影し、得られた写真から、任意の凸部を20個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定した。次いで、凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して20で除したものを間隔周期とした。隣接する凸部の定義としては、任意の凸部から隣接する凸部間にある凹部(最低部)と隣接凸部との高低差が10μm以上存在したときに、隣接凸部としてみなした。
<金属部材表面の、RzおよびRSmの測定>
表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を測定した。なお、測定条件は以下のとおりである。
・触針先端半径:5μm
・基準長さ:0.8mm
・評価長さ:4mm
・測定速度:0.06mm/sec
測定は、金属部材の微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部についておこなった(図4参照)。
<引張せん断強度の測定>
図1に示すような、樹脂部材2が金属部材1の一端側で上下に重なり合った試験片について、引っ張り試験機「モデル1323(アイコーエンジニヤリング社製)」を使用し、引張試験機に専用の治具を取り付け、所定の温度(23℃および200℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて、図1に示すx方向に引っ張って測定をおこなった。破断荷重(N)を金属/樹脂接合部分の面積で除することにより接合強度(MPa)を得た。なお、重なり部分(接合部分)aの長さは5mm、bの長さは10mmとした。
<強度測定後の破壊断面の観察>
引張試験後の金属部材側について、破壊断面をz方向(図1)からルーペを用いて観察した。図3~図8に添付した写真は、金属部材短辺側を上にして、重なり部(a×b)の全面が写るように配置した写真である。接合部が黒色になっている部分は樹脂残りを示し、この部分を母材破壊とした。一方で灰色部分は樹脂残りがないことを示し、この部分は界面破壊と判定した。接合部全体の面積(500mm)に占める黒色部分の面積を計測し、70面積%以上をA判定、50~70面積%未満をB判定、50面積%未満をC判定とした。Aは母材破壊モード優先、Cは界面破壊モード優先、Bはその中間に破壊モードであることを示す。
〔実施例1〕
(樹脂組成物の調製)
熱可塑性ポリイミド(オーラムPL450、三井化学社製)48質量部、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK150G、ビクトレックス社製)32質量部、およびチョップドファイバー形態の炭素繊維(IM600、東邦テナックス社製)20質量部を配合した。次いで、タンブラーミキサーで十分に混合し、二軸押出機にて420℃で溶融混合後、押し出してペレット状の樹脂組成物を得た。
(金属部材の準備)
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム合金板(厚み:2.0mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム合金板を脱脂処理した後、水酸化ナトリウムを15質量%と酸化亜鉛を3質量%含有するアルカリ系エッチング剤(30℃)が充填された処理槽1に3分間浸漬(以下の説明では「アルカリ系エッチング剤処理」と略称する場合がある)後、30質量%の硝酸(30℃)に1分間浸漬し、次いで、アルカリ系エッチング剤処理をさらに1回繰り返し実施した。次いで、得られたアルミニウム合金板を、塩化第二鉄を3.9質量%と、塩化第二銅を0.2質量%と、硫酸を4.1質量%とを含有する酸系エッチング水溶液が充填された処理槽2に、30℃下で5分間浸漬し搖動させた(以下の説明では「酸系エッチング剤処理」と略称する場合がある)。次いで、超音波照射下で水洗(水中、1分間)を行い、その後乾燥させることによって表面処理済みのアルミニウム合金板を得た。
得られた表面処理済みのアルミニウム合金板の表面粗さを、表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)をそれぞれ測定した。その結果、Rz平均値は19μm、RSmの平均値は104μmであった。なお、Rz平均値およびRSm平均値は、測定場所を変えた6点の測定値の平均である。なお、測定場所は、図2に示すように、金属部材1の微細凹凸表面上の任意の3直線部、および当該直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について行ったものである。
(射出成形)
日本製鋼所社製のJ85AD110Hに小型ダンベル金属インサート金型を装着し、この金型内に表面処理済みアルミニウム合金板を設置した。次いで高速ヒートサイクル成形を行った。すなわち、金型内に上記方法で調製した樹脂組成物をシリンダー温度420℃、金型温度280℃、射出速度20mm/sec、保圧120MPa、保圧時間2秒の条件にて射出成形を行い、次いで、冷却媒体である水にて金型の表面温度を40秒間で200℃まで急冷し2秒保圧して、金属/樹脂複合構造体を得た。
(引張せん断強度の測定と破壊面の観察)
上記した測定法に準拠して、23℃と200℃下で引張りせん断強度を測定した結果、各々57MPaおよび19MPaであった。いずれの破壊面も金属側接合面側に70%以上の樹脂残りがルーペ観測され、母材破壊が主に起こっていることが確認された。図3に、23℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真、図6に200℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真を示す。また破壊面の断面をSEM観察して間隔周期を求めたところ、49μmであった。また、23℃引張せん断強度試験後の金属面から樹脂をプラスチック製スパチュラで剥ぎ落したのち、過剰のN,N-ジエチルアセトアミド中に1週間浸漬後、100℃に加温して樹脂分を完全除去した金属部材を得た。この表面粗さをサーフコム1400D(東京精密社製)を用いて、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定した結果、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)、各々20μm、RSmの平均値は102μmであった。これらの結果を表1にまとめた。
〔実施例2〕
実施例1において、射出成形を、シリンダー温度420℃、金型温度220℃、射出速度20mm/sec、保圧120MPa、保圧時間2秒の条件にて射出成形を行い、次の、冷却媒体である水による金型の表面温度の冷却をしなかった、すなわち高速ヒートサイクル成形を採用しなかった以外は実施例1と同様に実験を行い金属/樹脂複合構造体を得た。23℃下で引張りせん断強度を測定した結果、37MPaであった。破壊面の金属側接合面側に70%以上の樹脂残りがルーペ観測され、母材破壊が主に生起していることが確認された。結果を表1にまとめた。
〔比較例1〕
実施例1において、熱可塑性ポリイミド(オーラムPL450、三井化学社製)70質量部およびチョップドファイバー形態の炭素繊維(IM600、東邦テナックス社製)30質量部から得られたペレット状の樹脂組成物を用いた以外は実施例1とまったく同様な実験を行い金属/樹脂複合構造体を得た。23℃と200℃下で引張りせん断強度を測定した結果、各々36MPaおよび27MPaであった。破壊面の金属側接合面側の樹脂残り(ルーペ観測)は各々50%未満、および50~70%未満であり、界面破壊がメインで進行していることが分かった。図4に、23℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真、図7に200℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真を示す。結果を表1にまとめた。
〔比較例2〕
実施例1において、樹脂組成物としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK150G、ビクトレックス社製)70質量部およびチョップドファイバー形態の炭素繊維(IM600、東邦テナックス社製)30質量部から得られたペレット状の樹脂組成物を用いた以外は実施例1とまったく同様な実験を行い金属/樹脂複合構造体を得た。23℃と200℃下で引張りせん断強度を測定した結果、各々61MPaおよび18MPaであった。破壊面の金属側接合面側の樹脂残り(ルーペ観測)は共に50%未満であり、界面破壊がメインで進行していることが分かった。図5に、23℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真、図8に200℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真を示す。結果を表1にまとめた。
Figure 0007131991000011
実施例1、比較例1および比較例2は、射出成型法としていずれも高速ヒートサイクル成形法を採用して、樹脂組成物の種類のみを変更した実験である。比較例1に示したように、熱可塑性ポリイミドのみでは引張せん断強度(23℃測定)は36MPaと低いが、PEEKをブレンド使用することによって57MPaまで向上することがわかる。200℃の測定条件においては、PEEKブレンドは引張せん断強度を低下させる方向に働くが、破壊モードは母材破壊モードを優先させるように変化し極めて実用的であるといえる。なお、実施例2が示すように、本願発明においては射出成型法として高速ヒートサイクル成形を用いず、通常の、すなわち金型冷却を行わない射出成型法においても母材破壊メインの破壊形態の金属/樹脂複合構造体が得られることが分かった。また、比較例2に示されるように、PEEK単独では、23℃引張せん断強度は極めて高い値を示すものの、界面破壊で破壊が進行するため実用性は低い。
1 金属/樹脂複合構造体
2 金属部材
3 樹脂部材

Claims (9)

  1. 金属部材と、前記金属部材に接合された樹脂部材とを備え、
    前記樹脂部材が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(A)および下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン(B)を含む樹脂組成物(C)により形成されたものであり、
    前記樹脂部材が射出成形体である金属/樹脂複合構造体。
    Figure 0007131991000012
    (前記式(1)中、Xは直接結合、-SO-、-CO-、-C(CH-、-C(CF-または-S-であり、Yは下記式(2)に示す化合物群から選ばれる一種または二種以上である。)
    Figure 0007131991000013
    Figure 0007131991000014
  2. 前記樹脂組成物(C)に含まれる前記熱可塑性ポリイミド(A)および前記ポリエーテルエーテルケトン(B)の合計量を100質量部としたとき、前記熱可塑性ポリイミド(A)の含有量が40質量部以上95質量部以下であり、前記ポリエーテルエーテルケトン(B)の含有量が5質量部以上60質量部以下である請求項1に記載の金属/樹脂複合構造体。
  3. 前記樹脂組成物(C)が繊維状補強材をさらに含む請求項1または2に記載の金属/樹脂複合構造体。
  4. 前記樹脂組成物(C)の全体を100質量部としたとき、前記繊維状補強材の含有量が5質量部以上50質量部以下である請求項3に記載の金属/樹脂複合構造体。
  5. 前記金属部材は鉄系金属、アルミニウム系金属、マグネシウム系金属、銅系金属およびチタン系金属から選択される一種または二種以上を含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  6. 前記金属部材は前記樹脂部材との接合部表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  7. 前記微細凹凸形状は、間隔周期が5μm以上300μm以下の範囲にある請求項6に記載の金属/樹脂複合構造体。
  8. 前記金属部材の前記微細凹凸形状が形成された微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(I)および要件(II)を同時に満たす請求項1乃至7のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
    (I)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
    (II)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
    金型のキャビティ部に金属部材を配置する工程と、
    前記キャビティ部に前記樹脂組成物(C)を射出することにより前記金属部材と前記樹脂部材と、を接合する工程と、を含み、
    前記樹脂組成物(C)の射出開始から保圧完了までの間、前記金型の表面温度を250℃以上300℃以下の温度に維持し、その後、前記金型の表面温度を170℃以上230℃以下まで冷却する金属/樹脂複合構造体の製造方法。
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