JP7131991B2 - 金属/樹脂複合構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
これら特許文献には、各種の薬液や電解酸化を用いて金属表面に微細な凹凸もしくは孔を形成させた後、例えばポリフェニレンスルィドやポリアミド等の各種のエンジニアリングプラスチックを接合させる方法が開示されている。
金属部材と、上記金属部材に接合された樹脂部材とを備え、
上記樹脂部材が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(A)および下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン(B)を含む樹脂組成物(C)により形成されたものである金属/樹脂複合構造体。
上記樹脂組成物(C)に含まれる上記熱可塑性ポリイミド(A)および上記ポリエーテルエーテルケトン(B)の合計量を100質量部としたとき、上記熱可塑性ポリイミド(A)の含有量が40質量部以上95質量部以下であり、上記ポリエーテルエーテルケトン(B)の含有量が5質量部以上60質量部以下である上記[1]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[3]
上記樹脂組成物(C)が繊維状補強材をさらに含む上記[1]または[2]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[4]
上記樹脂組成物(C)の全体を100質量部としたとき、上記繊維状補強材の含有量が5質量部以上50質量部以下である上記[3]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[5]
上記金属部材は鉄系金属、アルミニウム系金属、マグネシウム系金属、銅系金属およびチタン系金属から選択される一種または二種以上を含む上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
[6]
上記金属部材は上記樹脂部材との接合部表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を有する上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
[7]
上記微細凹凸形状は、間隔周期が5μm以上300μm以下の範囲にある上記[6]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[8]
上記金属部材の上記微細凹凸形状が形成された微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(I)および要件(II)を同時に満たす上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
(I)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
(II)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
[9]
上記[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に金属部材を配置する工程と、
上記キャビティ部に上記樹脂組成物(C)を射出することにより上記金属部材と上記樹脂部材と、を接合する工程と、を含み、
上記樹脂組成物(C)の射出開始から保圧完了までの間、上記金型の表面温度を250℃以上300℃以下の温度に維持し、その後、上記金型の表面温度を170℃以上230℃以下まで冷却する金属/樹脂複合構造体の製造方法。
金属/樹脂複合構造体1は、金属部材2と、樹脂部材3とが接合されており、金属部材2と樹脂部材3とを接合することにより得られる。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1は、金属部材2と、金属部材2に接合された樹脂部材3とを備え、樹脂部材3が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(A)および下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン(B)を含む樹脂組成物(C)により形成されたものである。
微細凹凸表面の微細凹凸形状の間隔周期は、金属部材2と樹脂部材3との接合部の断面SEM画像を用いて測定することができる。接合部の表面SEMないし断面SEM画像は、通常、金属部材2と樹脂部材3とを引き剥がした後、必要に応じて樹脂部材を溶離または焼成除去した後の接合部の金属面に観察されるものである。このようにして求められる間隔周期は、金属部材2と樹脂部材3とを引き剥がす前の金属/樹脂複合構造体における接合部の断面SEM観察から求められる値であってもよいし、樹脂接合前の粗化金属表面のSEM観察から求められる値であってもよい。本発明者らは、これら3つの方法について得られた間隔周期は実質的に同一値であることを別途確認している。
なお、SEM画像における間隔周期は、通常は画像内の任意の20か所について測定した凸部と最隣接凸部間の距離の平均値である。
上記6直線部は、例えば、図2に示すような6直線部B1~B6を選択することができる。まず、基準線として、金属部材2の微細凹凸表面104の中心部Aを通る中心線B1を選択する。次いで、中心線B1と平行関係にある直線B2およびB3を選択する。次いで、中心線B1と直交する中心線B4を選択し、中心線B1と直交し、中心線B4と並行関係にある直線B5およびB6を選択する。ここで、各直線間の垂直距離D1~D4は、例えば、2~5mmである。
なお、通常、金属部材2の表面には接合部表面だけでなく、金属部材2の表面全体に表面粗化処理が施されている。金属部材2の表面全体に対して表面粗化処理が施されている場合は、金属部材2の接合部表面と同一面で、接合部表面以外の箇所から6直線部を適宜選択することもできる。
本実施形態に係る樹脂部材3を構成する樹脂組成物(C)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド(A)を好ましくは40~95質量部、より好ましくは45~90質量部、さらに好ましくは50~85質量部、特に好ましくは55~80質量部含む。
また、本実施形態に係る樹脂部材3を構成する樹脂組成物(C)は、下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン(B)を好ましくは5~60質量部、より好ましくは10~55質量部、さらに好ましくは15~50質量部、特に好ましくは20~45質量部含む。ただし、樹脂組成物(C)に含まれる熱可塑性ポリイミド(A)およびポリエーテルエーテルケトン(B)の合計量を100質量部とする。
熱可塑性ポリイミド(A)は下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドである。一般式(1)において、Xは直接結合、-SO2-、-CO-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-および-S-から選ばれる。熱可塑性ポリイミドの原料ジアミンの入手容易性、イミド化反応のし易さ等の視点から、Xは直接結合または-C(CH3)2-であることが好ましい。上記一般式(1)において、Yは下記式(2)に示す化合物群から選ばれる一種または二種以上である。原料であるテトラカルボン酸二無水物の入手容易性からYとしてはベンゼン核(式(2)の最左端表記の基)が好ましい。
ポリエーテルエーテルケトン(B)は下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンである。この繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンは、例えば、VICTREX社製の商品名PEEK151G、PEEK381G、PEEK450G、PEEK150P、PEEK150G等として市販されているものをそのまま用いることができる。本実施形態においては、成形性を考慮して、ASTM-D1238に規定される方法に準じて、360℃、2.16kg加重下で測定したメルトフローインデックスが、0.5~5g/10minの範囲にあることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂部材3を構成する樹脂組成物(C)は、樹脂組成物(C)の全体を100質量部としたとき、繊維状補強材を好ましくは5~50質量部、より好ましくは10~40質量部、さらに好ましくは15~30質量部さらに含んでもよい。
樹脂組成物(C)が、繊維状補強材を含むことにより、機械的強度を飛躍的に向上できる。
繊維状補強材の含有量が上記下限値以上であると、機械的強度の向上効果をより一層効果的に得ることができる。また、繊維状補強材の含有量が上記上限値以下であると、成形性が向上し、また樹脂組成物(C)または樹脂部材3において空隙が発生しにくく、溶融流動性や樹脂部材3の表面平滑性が向上する傾向を示すため好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物(C)は、成形性、結晶性等の観点から、その他成分を含んでもよい。その他成分としては、例えば、結晶化促進剤、難燃剤、銅系熱安定剤やリン系熱安定剤等の熱安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、離型剤、耐侯性改良剤、造核剤、発泡剤、耐衝撃改良剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤等が挙げられる。その他の成分を含む場合は、その他の成分の含有量は樹脂組成物(C)100質量部当たり通常0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部である。
金属部材2を構成する金属材料は特に限定されないが、例えば、鉄系金属(鉄、鉄合金、鉄鋼材、ステンレス鋼等)、アルミニウム系金属(アルミニウム単体、アルミニウム合金等)、マグネシウム系金属(マグネシウム、マグネシウム合金等)、銅系金属(銅、銅合金等)、チタン系金属(チタン、チタン合金)等を挙げることができる。これらの金属は単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
金属部材2を構成する金属材料は、好ましくは鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金を挙げることができる。
金属/樹脂複合構造体1に軽量性が強く求められる用途においては、上記金属材料の中でもアルミニウム合金およびマグネシウム合金が好ましく用いられ、アルミニウム合金がより好ましく用いられる。このようなアルミニウム合金としては、例えばJIS H4000に規定された合金番号1050、1100、2014、2024、3003、5052、7075等を例示することができる。
一方で、金属/樹脂複合構造体1に強度が強く求められる用途においては、上記金属材料の中でも鉄およびステンレス鋼が好ましく用いられ、ステンレス鋼が特に好ましい。このようなステンレス鋼としては、オーステナイト系が好ましく、具体的にはSUS301、SUS304、SUS316およびSUS316L等を例示することができる。
また、樹脂部材3と接合する接合部表面の形状は、特に限定されない。例えば、平面、曲面等が挙げられる。
(1)前処理工程
金属部材1の樹脂部材2との接合側の表面に存在する酸化膜や水酸化物等からなる被膜を除去する。例えば、機械研磨や化学研磨処理が行われる。接合側表面に機械油等の著しい汚染がある場合は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液による処理や、脱脂を行ってもよい。
水酸化アルカリ(MOH)と亜鉛イオン(Zn2+)とを質量比(MOH/Zn2+)1~100の割合で含む亜鉛イオン含有アルカリ水溶液中に、前処理後の金属部材を浸漬し、金属部材の表面に亜鉛含有被膜形成させる。
上記工程(2)終了後の金属部材を、第二鉄イオンと第二銅イオンの少なくとも一方と、酸を含む酸系エッチング剤により処理して金属部材の表面上の亜鉛含有被膜を溶離させると共に、上記間隔周期を満たし、好ましくは十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)をも満たした微細凹凸形状を形成させる。
上記工程(3)の後に、例えば、金属部材の表面の水洗浄および乾燥をおこなう。スマット除去のために水洗を超音波照射下におこなってもよい。
このようにして、金属部材表面上に形成された微細凹凸形状は、上記したように樹脂が接合された状態、あるいは接合樹脂を金属表面から除去した後であってもそのままの形状を保ち、形状を変化させることはない。すなわち、間隔周期、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の値は、樹脂の接合前後で実質的に変化しない。
つづいて、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1の製造方法について説明する。
金属/樹脂複合構造体1の製造方法は、上記化方法によって粗化処理を行った金属部材2に対して、樹脂組成物(C)を所望の樹脂部材3の形状になるように成形しながら接合させることにより得られる。
(i)樹脂組成物(C)を調製する工程
(ii)金属部材2を射出成形用の金型内に設置する工程
(iii)樹脂組成物(C)を、金属部材2の少なくとも一部と接するように、上記金型内に射出成形し、樹脂部材3を形成する工程
以下、各工程について説明する。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体1は、生産性が高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に展開することが可能である。
金属/樹脂複合構造体の金属部材表面の間隔周期の測定方法について述べる。
本実施例・比較例では、金属/樹脂複合構造体の引張せん断強度試験によって破壊された金属部材側の表面の断面部を走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM-6701F)を用いて観察し、得られた写真から間隔周期を算出した。
電子顕微鏡写真から間隔周期を求める方法は、具体的には、以下のとおりである。まず金属部材表面の断面写真を撮影し、得られた写真から、任意の凸部を20個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定した。次いで、凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して20で除したものを間隔周期とした。隣接する凸部の定義としては、任意の凸部から隣接する凸部間にある凹部(最低部)と隣接凸部との高低差が10μm以上存在したときに、隣接凸部としてみなした。
表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を測定した。なお、測定条件は以下のとおりである。
・触針先端半径:5μm
・基準長さ:0.8mm
・評価長さ:4mm
・測定速度:0.06mm/sec
測定は、金属部材の微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部についておこなった(図4参照)。
図1に示すような、樹脂部材2が金属部材1の一端側で上下に重なり合った試験片について、引っ張り試験機「モデル1323(アイコーエンジニヤリング社製)」を使用し、引張試験機に専用の治具を取り付け、所定の温度(23℃および200℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて、図1に示すx方向に引っ張って測定をおこなった。破断荷重(N)を金属/樹脂接合部分の面積で除することにより接合強度(MPa)を得た。なお、重なり部分(接合部分)aの長さは5mm、bの長さは10mmとした。
引張試験後の金属部材側について、破壊断面をz方向(図1)からルーペを用いて観察した。図3~図8に添付した写真は、金属部材短辺側を上にして、重なり部(a×b)の全面が写るように配置した写真である。接合部が黒色になっている部分は樹脂残りを示し、この部分を母材破壊とした。一方で灰色部分は樹脂残りがないことを示し、この部分は界面破壊と判定した。接合部全体の面積(500mm2)に占める黒色部分の面積を計測し、70面積%以上をA判定、50~70面積%未満をB判定、50面積%未満をC判定とした。Aは母材破壊モード優先、Cは界面破壊モード優先、Bはその中間に破壊モードであることを示す。
(樹脂組成物の調製)
熱可塑性ポリイミド(オーラムPL450、三井化学社製)48質量部、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK150G、ビクトレックス社製)32質量部、およびチョップドファイバー形態の炭素繊維(IM600、東邦テナックス社製)20質量部を配合した。次いで、タンブラーミキサーで十分に混合し、二軸押出機にて420℃で溶融混合後、押し出してペレット状の樹脂組成物を得た。
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム合金板(厚み:2.0mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム合金板を脱脂処理した後、水酸化ナトリウムを15質量%と酸化亜鉛を3質量%含有するアルカリ系エッチング剤(30℃)が充填された処理槽1に3分間浸漬(以下の説明では「アルカリ系エッチング剤処理」と略称する場合がある)後、30質量%の硝酸(30℃)に1分間浸漬し、次いで、アルカリ系エッチング剤処理をさらに1回繰り返し実施した。次いで、得られたアルミニウム合金板を、塩化第二鉄を3.9質量%と、塩化第二銅を0.2質量%と、硫酸を4.1質量%とを含有する酸系エッチング水溶液が充填された処理槽2に、30℃下で5分間浸漬し搖動させた(以下の説明では「酸系エッチング剤処理」と略称する場合がある)。次いで、超音波照射下で水洗(水中、1分間)を行い、その後乾燥させることによって表面処理済みのアルミニウム合金板を得た。
日本製鋼所社製のJ85AD110Hに小型ダンベル金属インサート金型を装着し、この金型内に表面処理済みアルミニウム合金板を設置した。次いで高速ヒートサイクル成形を行った。すなわち、金型内に上記方法で調製した樹脂組成物をシリンダー温度420℃、金型温度280℃、射出速度20mm/sec、保圧120MPa、保圧時間2秒の条件にて射出成形を行い、次いで、冷却媒体である水にて金型の表面温度を40秒間で200℃まで急冷し2秒保圧して、金属/樹脂複合構造体を得た。
上記した測定法に準拠して、23℃と200℃下で引張りせん断強度を測定した結果、各々57MPaおよび19MPaであった。いずれの破壊面も金属側接合面側に70%以上の樹脂残りがルーペ観測され、母材破壊が主に起こっていることが確認された。図3に、23℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真、図6に200℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真を示す。また破壊面の断面をSEM観察して間隔周期を求めたところ、49μmであった。また、23℃引張せん断強度試験後の金属面から樹脂をプラスチック製スパチュラで剥ぎ落したのち、過剰のN,N-ジエチルアセトアミド中に1週間浸漬後、100℃に加温して樹脂分を完全除去した金属部材を得た。この表面粗さをサーフコム1400D(東京精密社製)を用いて、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定した結果、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)、各々20μm、RSmの平均値は102μmであった。これらの結果を表1にまとめた。
実施例1において、射出成形を、シリンダー温度420℃、金型温度220℃、射出速度20mm/sec、保圧120MPa、保圧時間2秒の条件にて射出成形を行い、次の、冷却媒体である水による金型の表面温度の冷却をしなかった、すなわち高速ヒートサイクル成形を採用しなかった以外は実施例1と同様に実験を行い金属/樹脂複合構造体を得た。23℃下で引張りせん断強度を測定した結果、37MPaであった。破壊面の金属側接合面側に70%以上の樹脂残りがルーペ観測され、母材破壊が主に生起していることが確認された。結果を表1にまとめた。
実施例1において、熱可塑性ポリイミド(オーラムPL450、三井化学社製)70質量部およびチョップドファイバー形態の炭素繊維(IM600、東邦テナックス社製)30質量部から得られたペレット状の樹脂組成物を用いた以外は実施例1とまったく同様な実験を行い金属/樹脂複合構造体を得た。23℃と200℃下で引張りせん断強度を測定した結果、各々36MPaおよび27MPaであった。破壊面の金属側接合面側の樹脂残り(ルーペ観測)は各々50%未満、および50~70%未満であり、界面破壊がメインで進行していることが分かった。図4に、23℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真、図7に200℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真を示す。結果を表1にまとめた。
実施例1において、樹脂組成物としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK150G、ビクトレックス社製)70質量部およびチョップドファイバー形態の炭素繊維(IM600、東邦テナックス社製)30質量部から得られたペレット状の樹脂組成物を用いた以外は実施例1とまったく同様な実験を行い金属/樹脂複合構造体を得た。23℃と200℃下で引張りせん断強度を測定した結果、各々61MPaおよび18MPaであった。破壊面の金属側接合面側の樹脂残り(ルーペ観測)は共に50%未満であり、界面破壊がメインで進行していることが分かった。図5に、23℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真、図8に200℃引張せん断強度試験後の金属側破断面の写真を示す。結果を表1にまとめた。
2 金属部材
3 樹脂部材
Claims (9)
- 前記樹脂組成物(C)に含まれる前記熱可塑性ポリイミド(A)および前記ポリエーテルエーテルケトン(B)の合計量を100質量部としたとき、前記熱可塑性ポリイミド(A)の含有量が40質量部以上95質量部以下であり、前記ポリエーテルエーテルケトン(B)の含有量が5質量部以上60質量部以下である請求項1に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記樹脂組成物(C)が繊維状補強材をさらに含む請求項1または2に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記樹脂組成物(C)の全体を100質量部としたとき、前記繊維状補強材の含有量が5質量部以上50質量部以下である請求項3に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記金属部材は鉄系金属、アルミニウム系金属、マグネシウム系金属、銅系金属およびチタン系金属から選択される一種または二種以上を含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記金属部材は前記樹脂部材との接合部表面の少なくとも一部に微細凹凸形状を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記微細凹凸形状は、間隔周期が5μm以上300μm以下の範囲にある請求項6に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記金属部材の前記微細凹凸形状が形成された微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(I)および要件(II)を同時に満たす請求項1乃至7のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
(I)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
(II)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に金属部材を配置する工程と、
前記キャビティ部に前記樹脂組成物(C)を射出することにより前記金属部材と前記樹脂部材と、を接合する工程と、を含み、
前記樹脂組成物(C)の射出開始から保圧完了までの間、前記金型の表面温度を250℃以上300℃以下の温度に維持し、その後、前記金型の表面温度を170℃以上230℃以下まで冷却する金属/樹脂複合構造体の製造方法。
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