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JP7124534B2 - シリコーンゴム系硬化性組成物および構造体 - Google Patents

シリコーンゴム系硬化性組成物および構造体 Download PDF

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JP7124534B2 JP2018147595A JP2018147595A JP7124534B2 JP 7124534 B2 JP7124534 B2 JP 7124534B2 JP 2018147595 A JP2018147595 A JP 2018147595A JP 2018147595 A JP2018147595 A JP 2018147595A JP 7124534 B2 JP7124534 B2 JP 7124534B2
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Description

本発明は、シリコーンゴム系硬化性組成物および構造体に関する。
これまでシリコーンゴムについて様々な検討がなされてきた。この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、オルガノポリシロキサン、シリカおよび白金触媒を含む付加硬化型シリコーンゴム組成物が記載されている(特許文献1の請求項1、表1等)。
特開2017-105930号公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、上記特許文献1に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物において、シリコーンゴムの耐久性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、オルガノポリシロキサン、シリカ粒子および有機過酸化物を含むシリコーンゴム系硬化性組成物において、そのシリコーンゴム物性を指標とすることにより、シリコーンゴムの耐久性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、
分子内に-O-O-構造を有する有機過酸化物(B)と、
シリカ粒子(C)と、
を含む、シリコーンゴム系硬化性組成物であって、
25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定される、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の引裂強度が、25N/mm以上70N/mm以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物が提供される。
また本発明によれば、上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を備える構造体が提供される。
本発明によれば、耐久性に優れたシリコーンゴムを実現できるシリコーンゴム系硬化性組成物および構造体が提供される。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物について説明する。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、分子内に-O-O-構造を有する有機過酸化物(B)と、シリカ粒子(C)と、を含むものである。
<<ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含む。上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01~12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
本明細書中、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 0007124534000001
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(1)中、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。また、式(1)中、複数あるRおよびRの少なくとも1つがアルケニル基である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1-1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007124534000002
式(1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)(「低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)」と呼称することもある)と、ビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)(「高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)」と呼称することもある)とを含有するものであるのが好ましい。
シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が、例えば、0.01~0.2モル%が好ましく、0.02~0.15モル%がより好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、例えば、0.5~12モル%が好ましく、0.8~8モル%がより好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が、50:50~95:5、好ましくは60:40~92:8、より好ましくは80:20~90:10である。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<有機過酸化物(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、有機過酸化物(B)を含む。
上記有機過酸化物(B)は、過酸化水素(H-O-O-H)の誘導体で、過酸化水素の水素原子1個又は2個を、有機の遊離基で置換した構造を有しており、分子内に-O-O-構造を有する化合物であれば、特に限定されない。この有機過酸化物(B)は、熱や光により容易に分解し、遊離基(フリーラジカル)を発生する。
本実施形態において、架橋剤として有機過酸化物(B)を使用することにより、白金の場合と比べて、不純物による硬化阻害を受けにくく、また、窒素原子、リン原子、イオウ原子などを含む化合物の併用の場合でも、硬化阻害が生じることを抑制できる。
上記有機過酸化物(B)は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーオキシエステル類およびパーオキシジカーボネート類からなる群から選択される一種以上を含むことができる。この中でも、取扱容易の観点から、ジアシルパーオキサイド類またはジアルキルパーオキサイド類が好ましく、ビニル基反応性の観点から、ジアルキルパーオキサイド類が好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機過酸化物(B)は、下記一般式(I)または(II)で表されるジアルキルパーオキサイド類を含むことができる。幅広い硬度で引裂強度に優れる観点から、下記一般式(I)で表されるジアルキルパーオキサイド類が好ましい。
-O-O-R ・・・一般式(I)
-O-O-R-O-O-R ・・・一般式(II)
上記一般式(I)中、RおよびRは、互いに独立して同一または異なってもよく、置換または無置換のアルキル基またはシクロアルキル基を表し、フェニル基、アルキルフェニル基、シクロアルキル基、又はアルキルシクロアルキル基で置換されていてもよい。なお、RおよびRのいずれか一方が水素原子であってもよい。
上記一般式(II)中、R~Rは、互いに独立して同一または異なってもよく、RおよびRは、置換または無置換のアルキル基またはシクロアルキル基を表し、フェニル基、アルキルフェニル基、シクロアルキル基、又はアルキルシクロアルキル基で置換されていてもよく、Rは、アルキレン基を表す。なお、RおよびRのいずれか一方が水素原子であってもよい。
上記一般式(I)または(II)中、上記RおよびRのアルキル基は、例えば、炭素数1~16、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数4~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を用いることができる。このアルキル基の末端の1個または2個以上の水素原子はフェニル基で置換されていてもよい。
上記一般式(I)または(II)中、上記RおよびRのシクロアルキル基は、例えば、炭素数5~8のシクロアルキル基を用いることができる。
上記一般式(II)中、Rのアルキレン基は、例えば、炭素数1~16、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数4~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を用いることができる。
上記ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ―t―ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-2,5アミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-モノ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。
上記有機過酸化物(B)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)およびシランカップリング剤(D)の合計値100重量部に対して、例えば、0.001重量部以上、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上である。これにより、硬化物としての最低限の強度を担保することができる。一方、上記有機過酸化物(B)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)およびシランカップリング剤(D)の合計値100重量部に対して、例えば、10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。これにより、副生成物による影響を抑制できる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シリカ粒子(C)を含む。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリカ粒子(C)は、シランカップリング剤(D)で表面処理されたシリカ粒子を1種または2種以上含んでもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば、30~500m/gであり、50~400m/gであるのが好ましく、100~400m/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1~100nmであるのが好ましく、5~20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含む。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
シランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。疎水性基を有するシランカップリング剤として、トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤を用いることができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
また、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、ネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、架橋反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
上記シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。これにより、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。シランカップリング剤(D)は、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
-Si-(X)4-n・・・(4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、次の通りである。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記官能基としてビニル基を有するものとして、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
またシランカップリング剤(D)がトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤の2種を含む場合、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンを含むことが好ましい。
トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤(D1)およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤(D2)を併用する場合、(D1)と(D2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(D1):(D2)が、1:0.001~1:0.35、好ましくは1:0.01~1:0.20、より好ましくは1:0.03~1:0.15である。このような数値範囲とすることにより、シリコーンゴム中の所望のシリコーンゴムの物性を得ることができる。具体的には、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。
<<水(E)>>
また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(D)以外に、水(E)が含まれていてもよい。
水(E)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)~(E)成分の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される公知の添加成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
なお、シリコーンゴム系硬化性組成物において、各成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、以下のように設定される。
本実施形態において、シリカ粒子(C)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、例えば、60重量部以下でもよく、好ましくは50重量部以下でもよく、さらに好ましくは35重量部以下でもよい。これにより、硬さや引張強等の機械的強度のバランスを図ることができる。また、シリカ粒子(C)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、特に限定されないが、例えば、20重量部以上でもよい。
上記シランカップリング剤(D)の含有量は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、例えば、1重量部以上50重量部以下、好ましくは5重量部以上45重量部以下、より好ましくは8重量部以上40重量部以下である。上記下限値以上とすることにより、シリカ粒子(C)のシリコーンゴム系硬化性組成物中における分散性を確実に向上させることができる。
触媒の有機過酸化物(B)には、他の触媒を併用してもよい。他の触媒として、例えば、白金または白金化合物が用いられる。白金または白金化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
さらに、水(E)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(D)100重量部に対して、例えば、10~100重量部の範囲であるのが好ましく、30~70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
<シリコーンゴムの製造方法>
次に、本実施形態のシリコーンゴムの製造方法について説明する。
本実施形態のシリコーンゴムの製造方法としては、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製し、このシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを得ることができる。
以下、詳述する。
まず、シリコーンゴム系硬化性組成物の各成分を、任意の混練装置により、均一に混合してシリコーンゴム系硬化性組成物を調製する。
[1]たとえば、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、シリカ粒子(C)と、シランカップリング剤(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分(A)、(C)、(D)を含有する混練物を得る。
なお、この混練物は、予めビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とシランカップリング剤(D)とを混練し、その後、シリカ粒子(C)を混練(混合)して得るのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)中におけるシリカ粒子(C)の分散性がより向上する。
また、この混練物を得る際には、水(E)を必要に応じて、各成分(A)、(C)、および(D)の混練物に添加するようにしてもよい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
さらに、各成分(A)、(C)、(D)の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、シリカ粒子(C)の表面をカップリング剤(D)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、シリカ粒子(C)とカップリング剤(D)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。その後、必要に応じて、得られた混練物に対して、成分(A)を添加し、更に混練してもよい。これにより、混練物の成分のなじみを向上させることができる。
第1温度は、例えば、40~120℃程度であるのが好ましく、例えば、60~90℃程度であるのがより好ましい。第2温度は、例えば、130~210℃程度であるのが好ましく、例えば、160~180℃程度であるのがより好ましい。
また、第1ステップにおける雰囲気は、窒素雰囲気下のような不活性雰囲気下であるのが好ましく、第2ステップにおける雰囲気は、減圧雰囲気下であるのが好ましい。
さらに、第1ステップの時間は、例えば、0.3~1.5時間程度であるのが好ましく、0.5~1.2時間程度であるのがより好ましい。第2ステップの時間は、例えば、0.7~3.0時間程度であるのが好ましく、1.0~2.0時間程度であるのがより好ましい。
第1ステップおよび第2ステップを、上記のような条件とすることで、前記効果をより顕著に得ることができる。
[2]次に、有機過酸化物(B)を所定量秤量し、その後、任意の混練装置を用いて、上記工程[1]で調製した混練物に、有機過酸化物(B)を混練することで、シリコーンゴム系硬化性組成物を得る。得られたシリコーンゴム系硬化性組成物は溶剤を含むペーストであってもよい。
有機過酸化物(B)を混練する際の温度は、ロール設定温度として、例えば、10~70℃程度であるのが好ましく、25~30℃程度であるのがより好ましい。
さらに、混練する時間は、例えば、5分~1時間程度であるのが好ましく、10~40分程度であるのがより好ましい。
上記工程[1]および上記工程[2]において、温度を上記範囲内とすることにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。また、上記工程[1]および上記工程[2]において、混練時間を上記範囲内とすることにより、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中により確実に分散させることができる。
なお、各工程[1]、[2]において使用される混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
また、本工程[2]において、混練物中に1-エチニルシクロヘキサノールのような反応抑制剤を添加するようにしてもよい。これにより、混練物の温度が比較的高い温度に設定されたとしても、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。
[3]次に、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを形成する。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100~250℃で1~30分間加熱(1次硬化)した後、200℃で1~4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
以上のような工程を経ることで、本実施形態のシリコーンゴムが得られる。
次に、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物およびシリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)の特性について説明する。
シリコーンゴム系硬化性組成物の、キュラストメーター170℃でのt(10)の下限値は、例えば30秒以上でもよく、好ましくは60秒以上でもよく、より好ましくは90秒以上でもよい。これにより、成形時の流動性を担保することができる。また、t(10)の上限値は、特に限定されないが、例えば420秒以下でもよく、好ましくは360秒以下でもよく、より好ましくは300秒以下でもよい。これにより、短時間硬化性を担保することができる。
<誘導時間(キュラストメーター170℃でのt(10)の測定条件>
上記シリコーンゴム系硬化性組成物について、JIS K6300-2(2001)に準拠して、キュラストメーターを用い、金型温度170℃の条件で、硬化トルクを経時的に測定する。測定結果に基づいて、測定開始から15分の間における最大トルク値Mから、測定開始から15分の間における最小トルク値Mを引いた値を、M(M=M-M)とする。測定開始からMの10%に到達するまでの時間を誘導時間t(10)とする。
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、デュロメータ硬さAの上限値は、特に限定されないが、例えば、80以下でもよく、好ましくは75以下でもよく、より好ましくは70以下でもよい。これにより、シリコーンゴムの硬化物性のバランスを図ることができる。また、変形容易性の観点から、デュロメータ硬さAの上限値は、50以下でもよく、45以下でもよく、40以下でもよい。これにより、シリコーンゴムにおいて、屈曲や伸張などの変形が容易となる変形容易性を高められる。一方、上記デュロメータ硬さAの下限値は、特に限定されないが、例えば、10以上、好ましくは20以上、より好ましくは25以上でもよい。これにより、シリコーンゴムの機械的強度を高められる。また、上記構造体の形状保持性を高めることができる。
(デュロメータ硬さAの測定条件)
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を用いてシート状試験片を作製し、得られたシート状試験片について、25℃、JIS K6253(1997)に準拠して、デュロメータ硬さAを測定する。
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、引裂強度の下限値としては、例えば、25N/mm以上、好ましくは28N/mm以上、より好ましくは30N/mm以上、さらに好ましくは33N/mm以上、一層好ましくは35N/mm以上である。これにより、シリコーンゴムの繰り返し使用時における耐久性を向上できる。また、シリコーンゴムの耐傷付き性や機械的強度を向上できる。一方、上記引裂強度の上限値としては、特に限定されないが、例えば、70N/mm以下としてもよく、60N/mm以下としてもよい。これにより、シリコーンゴムの諸特性のバランスをとることができる。
(引裂強度の測定条件)
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を用いてクレセント形試験片を作製し、得られたクレセント形試験片について、25℃、JIS K6252(2001)に準拠して、引裂強度を測定する。
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、引張強度の下限値としては、例えば、5.0MPa以上であり、好ましくは6.0MPa以上であり、より好ましくは7.0MPa以上である。これにより、シリコーンゴムの機械的強度を向上させることができる。また、繰り返しの変形に耐えられる耐久性に優れた構造体を実現できる。一方、上記引張強度の上限値としては、特に限定されないが、例えば、15MPa以下としてもよく、13MPa以下としてもよい。これにより、シリコーンゴムの諸特性のバランスをとることができる。
(引張強度の測定条件)
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を用いてダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片について、25℃、JIS K6251(2004)に準拠して、引張強度を測定する。
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、100%伸張時における引張応力M100の上限値は、例えば、4.0MPa以下であり、好ましくは3.0MPa以下であり、より好ましくは2.0MPa以下であり、一層好ましくは1.0MPa以下である。これにより、変形容易性を担保できる。また、上記引張応力M100の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1MPa以上でもよく、0.3MPa以上でもよい。これにより、上記硬化物の機械的強度を向上させることができる。
(引張応力の測定条件)
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を用いてダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片について、25℃、JIS K6251(2004)に準拠して、100%伸張時の応力(引張応力M100)を測定する。
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、破断伸びの下限値としては、例えば、300%以上であり、好ましくは400%以上であり、より好ましくは500%以上である。これにより、シリコーンゴムの高伸縮性および耐久性を向上させることができる。一方、上記破断伸びの上限値としては、特に限定されないが、例えば、2000%以下としてもよく、1500%以下としてもよく、1100%以下としてもよい。これにより、シリコーンゴムの諸特性のバランスをとることができる。
(破断伸びの測定条件)
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を用いてダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片について、25℃、JIS K6251(2004)に準拠して、破断伸びを測定する。
(圧縮永久ひずみ)
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、圧縮永久ひずみの下限値としては、特に限定されないが、例えば、0.1%以上、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1.0%以上でもよい。これにより、シリコーンゴムの諸物性のバランスを図ることができる。一方、上記圧縮永久ひずみの上限値としては、例えば、20.0%以下、好ましくは16.0%以下、より好ましくは13.0%以下である。これにより、シリコーンゴムを復元性に優れたものとすることができる。
(円盤状試験片の作製)
上記シリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで15分間プレスし、直径29mm、厚さ12.5mmの円盤状に成形すると共に、1次硬化する。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化する。以上により、円盤状試験片(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得る。
(圧縮永久ひずみの測定条件)
JIS K6262(2013)に準拠して、圧縮永久ひずみ試験器と厚さ9.38mmのスペーサーを用いて、円盤状試験片を圧縮率25%圧縮し固定する。その状態のまま、150℃の恒温槽に22時間静置する。その後JIS K6262(2013)記載のB法に則り、以下の手順で試験を終了する。試験器を恒温槽から出し、25℃で1時間放置して冷却する。その後、試験器から試験片を開放し、25℃で30分間放置した後、試験片の厚さを測定し、以下の式で圧縮永久ひずみを計算する。単位は%である。
試験前の円盤状試験片の厚さ:h0
試験後の円盤状試験片の厚さ:h1
スペーサーの高さ :hs
圧縮永久ひずみ(%)=((h0-h1)/(h0-hs))×100
本実施形態において、上記シリコーンゴム系硬化性組成物における、硬度、引張応力、破断伸び、引張強度、引裂強度の測定する場合、加熱対象および測定対象として、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を用いることができる。この硬化物として、例えば、シリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで15分間プレスし、厚さ1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化し、続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化することにより得られた、シート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を使用してもよい。
本実施形態では、たとえばシリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、シリコーンゴム系硬化性組成物を形成するための組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記硬度、引張応力、破断伸び、引張強度、引裂強度、圧縮永久ひずみを制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、シリコーンゴム系硬化性組成物を構成する樹脂の種類や配合比率、樹脂の架橋密度や架橋構造等を適切に制御すること、過酸化物の種類や添加量を調整すること、無機充填材の配合比率や無機充填材の分散性を向上させること等が、上記硬度、引張応力、破断伸び、引張強度、引裂強度、圧縮永久ひずみを所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
本発明者が検討した結果以下の知見を得た。シリコーンゴム中のフィラー量を低減させると、硬度を小さくしたり、引張応力を低減することができるが、一方、引裂強度が低下し、シリコーンゴムの耐久性が低下することが判明した。
そこで、鋭意検討した結果、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)などの樹脂組成物を適切に選択することにより、架橋密度や架橋構造の偏在を制御でき、幅広いひずみ領域における低応力や低硬度を実現しつつ、シリコーンゴムの引裂強度を高められることを見出した。また、シリコーンゴムの引張強度も高めることができることが分かった。詳細なメカニズムは定かでないが、高ビニル基含有オルガノポリシロキサンと低ビニル基含有オルガノポリシロキサンの併用により、架橋構造の偏在を制御できるため、硬度を小さくしつつも、シリコーンゴムの引裂強度を高められると考えられる。このように、他の物性を維持しつつも、引裂強度を高めることにより、シリコーンゴムの破断エネルギーを高めることができる。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物(シリコーンゴム)を備える構造体としては、例えば、医療器具・機器用途等の医療用途;自動車用途;産業用ロボット等のロボット用途;電子機器用途;防振材、免震材、食品用ホース等の生産設備・生活用途;ローラー部材;等に用いることができる。本実施形態のシリコーンゴムは、各種用途応じて、シート状、筒状、袋状などの各種の形状に加工成形され得る。
本実施形態のシリコーンゴムは、医療器具・機器用途の一例として、例えば、医療用のチューブ材;シーリング材;パッキン材;コネクタ材;キーパッド材;駆動機構;センサー;等の一部を構成することができる。例えば、本実施形態の樹脂製可動部材を医療用チューブに適用することで、この医療用チューブは、耐キンク性、耐傷付き性、挿入性及び透明性に優れ、さらに復元性に優れたものとなる。また、医療用チューブとしては、例えば、医療用のカテーテル、マニュピレーターまたはリード等が挙げられる。
本実施形態のシリコーンゴムは、産業用ロボット等のロボット用途の一例として、例えば、関節等の駆動機構;配線ケーブル、コネクタ等の配線機構;マニュピレーター等の操作機構;などの一部を構成することができる。
本実施形態のシリコーンゴムは、電子機器用途の一例として、例えば、人間の身体等に着用可能なウェアラブルデバイスに用いられる、伸縮性を有する配線あるいは配線基板;光ファイバー、フラットケーブル、配線構造体、ケーブルガイド等のケーブル;タッチパネル、力覚センサー、MEMS、座席センサー等のセンサー;等の一部を構成することができる。
その他、本実施形態のシリコーンゴムは、ガスバリアフィルム等の包装材料;調理器具;ホース;定着ベルト;スイッチ;シート材;パッキン材;等の可撓性、伸展性または折りたたみ性を有する生活品の一部を構成することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、
分子内に-O-O-構造を有する有機過酸化物(B)と、
シリカ粒子(C)と、
を含む、シリコーンゴム系硬化性組成物であって、
25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定される、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の引裂強度が、25N/mm以上70N/mm以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
2. 1.に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
下記の手順で測定される、当該シリコーンゴム系硬化性組成物の、tc(10)が、30秒以上420秒以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
(手順)
当該シリコーンゴム系硬化性組成物について、JIS K6300-2(2001)に準拠して、キュラストメーターを用い、金型温度170℃の条件で、硬化トルクを経時的に測定する。硬化トルクの測定結果に基づいて、測定開始から15分の間における最大トルク値MHから、測定開始から15分の間における最小トルク値MLを引いた値を、ME(ME=MH-ML)とする。測定開始からMEの10%に到達するまでの時間を誘導時間tc(10)とする。
3. 1.または2.に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定されるデュロメータ硬さが、10以上80以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
4. 1.~3.のいずれか一つに記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度が、5.0MPa以上である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
5. 1.~4.のいずれか一つに記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定される100%伸張時における引張応力M100が、0.1MPa以上4.0MPa以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
6. 1.~5.のいずれか一つに記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びが、300%以上2000%以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
7. 1.~6.のいずれか一つに記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
前記有機過酸化物(B)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、および前記シリカ粒子(C)の合計値100質量%に対して、0.001重量部以上10重量部以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
8. 1.~7.のいずれか一つに記載のシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を備える構造体。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
表1に示す実施例および比較例で用いた原料成分を以下に示す。
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))
・低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1):合成スキーム1により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1-1)で表わされる構造でR(末端)のみがビニル基である構造)
・高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2):合成スキーム2により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1-1)で表わされる構造でRおよびRがビニル基である構造)
(有機過酸化物(B))
・有機過酸化物(B-1):下記式で表されるジクミルパーオキサイド(ジアルキルパーオキサイド類、モメンティブ社製、TC-3)
Figure 0007124534000003
・有機過酸化物(B-2):下記式で表されるジターシャリーブチルパーオキサイド(ジアルキルパーオキサイド類、モメンティブ社製、TC-4N)
Figure 0007124534000004
(シリカ粒子(C))
・シリカ粒子(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(シランカップリング剤(D))
・シランカップリング剤(D-1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelest社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
・シランカップリング剤(D-2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelest社製、「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)
・モメンティブ社製:「TC-25D」
(白金または白金化合物)
・モメンティブ社製:「TC-25A」
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合成)
[合成スキーム1:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)の合成]
下記式(5)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、カリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を得た(Mn=2,2×10、Mw=4,8×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
Figure 0007124534000005
[合成スキーム2:高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)の合成]
上記(A1-1)の合成工程において、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)に加えて2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン0.86g(2.5mmol)を用いたこと以外は、(A1-1)の合成工程と同様にすることで、下記式(6)のように、高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)を合成した(Mn=2,3×10、Mw=5,0×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
Figure 0007124534000006
(実施例1:シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
実施例1において、次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。まず、下記の表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(E)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り10%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、有機過酸化物(B-1)0.15重量部を加えて、ロールで混練し、実施例1のシリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
(実施例2:シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
実施例2において、実施例1と同様にしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。まず、表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(E)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、実施例1と同様に行った。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、有機過酸化物(B-1)0.35重量部を加えて、ロールで混練し、実施例2のシリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
(実施例3:シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
実施例3において、実施例1と同様にしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。まず、表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(E)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、実施例1と同様に行った。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、有機過酸化物(B-1)0.25重量部を加えて、ロールで混練し、実施例3のシリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
(実施例4:シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
実施例4において、実施例1と同様にしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。まず、表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(E)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、実施例1と同様に行った。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、有機過酸化物(B-2)0.5重量部を加えて、ロールで混練し、実施例4のシリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
(比較例1:シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
比較例1において、実施例1と同様にしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。まず、表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(E)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、実施例1と同様に行った。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(TC-25D)3.0重量部および白金または白金化合物(TC-25A)0.5重量部を加えて、ロールで混練し、比較例1のシリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
Figure 0007124534000007
(シリコーンゴムの作製)
実施例1~4、比較例1において、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで15分間プレスし、厚さ1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。以上により、シート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。
得られたシート状シリコーンゴム(シート状のエラストマー)に対して、下記の評価項目に基づいて評価を行った。評価結果を表2に示す。引張応力、破断伸び、引張強度、については、3つのサンプルで行い、3つの平均値を測定値とした。引裂強度については、5つのサンプルで行い、5つの平均値を測定値とした。硬度については、2つのサンプルを用いて、各サンプルでn=5で測定を行い、計10個の測定の平均値を測定値とした。それぞれの平均値を表2に示す。
Figure 0007124534000008
<硬度>
得られた厚さ1mmの、各実施例および比較例のシート状シリコーンゴムを6枚積層し、6mmの試験片を作製した。得られた試験片に対して、25℃において、JIS K6253(1997)に準拠してタイプAデュロメータ硬さ(硬度A)を測定した。
(硬度の測定条件)
シート状試験片に対して、25℃における、シート状試験片のJIS K6253(1997)に準拠して測定される硬度とする。
<引裂強度>
得られた厚さ1mmの、各実施例および比較例のシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6252(2001)に準拠して、クレセント形試験片を作製し、得られたクレセント形試験片の引裂強度を測定した。単位は、N/mmである。
(引裂強度の測定条件)
クレセント形試験片に対して、25℃における、クレセント形試験片のJIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度とする。
<引張強度>
得られた厚さ1mmの、各実施例および比較例のシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片の引張強度を測定した。単位はMPaである。
(引張強度の測定条件)
ダンベル状3号形試験片に対して、25℃における、ダンベル状3号形試験片のJIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度とする。
<破断伸び>
得られた厚さ1mmの、各実施例および比較例のシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片の破断伸びを測定した。破断伸びは、[チャック間移動距離(mm)]÷[初期チャック間距離(60mm)]×100で計算した。単位は%である。
(破断伸びの測定条件)
ダンベル状3号形試験片に対して、25℃における、ダンベル状3号形試験片のJIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びとする。
<引張応力>
得られた厚さ1mmの、各実施例および比較例のシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、引張速度:500mm/分で、得られたダンベル状3号形試験片の、所定%伸張時における引張応力Mを測定した。単位はMPaである。
(引張応力の測定条件)
ダンベル状3号形試験片に対して、25℃における、ダンベル状3号形試験片の100%伸張時における引張応力M100とする。
<誘導時間(キュラストメーター170℃でのt(10))>
実施例1~4、および比較例1~3において、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて、JIS K6300-2(2001)に準拠して、硬化トルクを経時的に測定した。測定結果に基づいて、誘導時間t(10)を算出した。対応する誘導時間t(10)の評価を、それぞれ試験1~7とした。
(誘導時間(キュラストメーター170℃でのt(10)の測定条件)
キュラストメーター(JSRトレーディング社製、製品名:キュラストメーターV型)を用い、金型温度170℃にて、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物4gの硬化トルクを経時的に測定した。測定開始から15分の間における最大トルク値Mから、測定開始から15分の間における最小トルク値Mを引いた値を、M(M=M-M)とする。測定開始からMの10%に到達するまでの時間を誘導時間t(10)とした。値を表3に示す。単位は秒である。
試験1~4のシリコーンゴムは、試験5と比べて、誘導時間t(10)が長く、熱流動安定性に優れることが分かった。このようなシリコーンゴム系硬化性組成物は、金型成形に用いられる成形材料に好適に用いることが可能である。
<耐久性の評価>
実施例1~4、比較例1において、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて、170℃で15分、200℃で4時間の条件で硬化し、厚み:1mm×内径:2mmを有する筒状部材(チューブ)を作成した。得られた筒状部材にスチール針金(TRUSCO製、スチール針金、小巻タイプ、線径1.6mm×15m)を挿入した耐久性試験サンプルを準備して、耐久試験を行った。具体的には、耐久性試験サンプルの90°曲げ試験を100回繰り返して実施し、耐久性を判断した。対応する耐久性の評価を、それぞれ試験1~5とした。試験後に外観異常がなかった筒状部材を○、試験後に亀裂や破損があるものを×とした。
Figure 0007124534000009
上記試験1~4のシリコーンゴム系硬化性組成物で得られた筒状部材(シリコーンゴム)は、試験5と比べて、繰り返し使用時における耐久性に優れることが分かった。
以上より、実施例1~4のシリコーンゴム系硬化性組成物は、比較例1と比べて耐久性に優れたシリコーンゴムを実現できることが分かった。また、実施例1~4のシリコーンゴム系硬化性組成物は、各種の機械的物性に優れたシリコーンゴムを実現できることが分かった。

Claims (7)

  1. ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、
    分子内に-O-O-構造を有する有機過酸化物(B)と、
    シリカ粒子(C)と、
    シランカップリング剤(D)と、
    を含む、シリコーンゴム系硬化性組成物であって、
    前記シランカップリング剤(D)が、トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤を含み、
    25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定される、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の引裂強度が、25N/mm以上70N/mm以下であり、
    下記の手順で測定される、当該シリコーンゴム系硬化性組成物の、tc(10)が、30秒以上420秒以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
    (手順)
    当該シリコーンゴム系硬化性組成物について、JIS K6300-2(2001)に準拠して、キュラストメーターを用い、金型温度170℃の条件で、硬化トルクを経時的に測定する。硬化トルクの測定結果に基づいて、測定開始から15分の間における最大トルク値MHから、測定開始から15分の間における最小トルク値MLを引いた値を、ME(ME=MH-ML)とする。測定開始からMEの10%に到達するまでの時間を誘導時間tc(10)とする。
  2. 請求項1に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
    当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定されるデュロメータ硬さが、10以上80以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
  3. 請求項1または2に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
    当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度が、5.0MPa以上である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
    当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定される100%伸張時における引張応力M100が、0.1MPa以上4.0MPa以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
  5. 請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
    当該シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びが、300%以上2000%以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
    前記有機過酸化物(B)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、および前記シリカ粒子(C)の合計値100質量%に対して、0.001重量部以上10重量部以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を備える構造体。
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