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JP7060411B2 - ワイピングシート - Google Patents

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JP7060411B2 JP2018040256A JP2018040256A JP7060411B2 JP 7060411 B2 JP7060411 B2 JP 7060411B2 JP 2018040256 A JP2018040256 A JP 2018040256A JP 2018040256 A JP2018040256 A JP 2018040256A JP 7060411 B2 JP7060411 B2 JP 7060411B2
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Description

本発明は、ワイピングシートに関する。
様々な物品の汚れをふき取るワイピングシートについて、これまで種々の提案がなされてきた。例えば、特許文献1には、液透過性の表面シートからなる拭取部と、該拭取部で拭き取った液を吸収する液吸収体とを具備する清掃シートが記載されている。該清掃シートは、床のしみ汚れ等の除去とともに、ワックス剤等を床に拭き広げる際に泡立ちを抑えて仕上がり性を優れたものとする観点から、被清掃面に接触する多数の凸部を表面シートに有する。
特開平9-131288号公報
ワイピングシートが拭き取る汚れには、皮脂や調理油といった油の汚れも含まれる。しかし、従来のワイピングシートでは、油汚れを吸収しながらもワイピング対象面に広げてしまうことがあり、完全に拭き取ることが難しかった。
従って、本発明は、油汚れの拭き取り性が高く、拭き取りに伴うワイピング対象物における油汚れの広がりを抑制できるワイピングシートに関する。
本発明は、複数の繊維層が積層されたワイピングシートであって、前記ワイピングシートのワイピング面を構成する繊維層は、他の繊維層よりも繊維間距離を大きくされており、前記複数の繊維層はいずれもエンボス凹部を有し、前記ワイピング面を構成する繊維層のエンボス凹部が、前記ワイピング面に向けて配されている、ワイピングシートを提供する。
本発明のワイピングシートは、油汚れの拭き取り性が高く、拭き取りに伴うワイピング対象物における油汚れの広がりを抑制できる。
本発明のワイピングシートの好ましい形態を模式的に示す、一部拡大断面図である。 (A)は図1の断面図における油汚れの流れを模式的に示す説明図であり、(B)はその変形例である。 本発明のワイピングシートの別の好ましい形態を模式的に示す、一部拡大断面図である。 本発明のワイピングシートの更に別の好ましい形態を模式的に示す、一部拡大断面図である。
以下、本発明のワイピングシートについて、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
なお、本発明においては、特に断らない限り、ワイピングシートの、清掃対象面の油汚れ等に接触する面をワイピング面又は下面といい、これと反対の面を上面という。ワイピングシートの積層された各繊維層について、相対的にワイピング面(下面)及び上面に近い側の面をそれぞれ、ワイピング面(下面)側の面、上面側の面という。ワイピングシートのワイピング面(下面)又は上面の法線方向を厚み方向という。
また、ここで言う「ワイピング」とは、清掃対象物に接触して汚れを拭き取ることをいい、拭き取る汚れは種々のものが含まれ、特に油汚れを対象とする。本発明のワイピングシートにおける清掃対象物は特に制限されず、汚れの付着した種々ものが挙げられる。
さらに、本発明のワイピングシートは、乾式、湿式のいずれであってもよく、構成する繊維以外に、汚れの拭取りを助ける成分を含まないものであってもよく、含むものであってもよい。含まない場合、ワイピング時に、別途、汚れの拭取りを助ける成分を併用するようにしてもよい。
図1は、本実施形態のワイピングシート10のシート厚み方向の断面を示している。ワイピングシート10は、複数の繊維層が積層されてなる。具体的には、2つの繊維層1、2を積層しシート状にされている。繊維層2は、ワイピングシート10のワイピング面10Aを構成し、繊維層1は、繊維層2のワイピング面とは反対側の上面側に積層されている(以下、繊維層1及び繊維層2をそれぞれ第1繊維層1及び第2繊維層2という。)。すなわち、本実施形態においては、ワイピングシート10は、2層から構成され、第2繊維層2がワイピング面10Aを構成し、第1繊維層1が上面10Bを構成している。ただし、積層される繊維層の数は、本実施形態における2層に限定されず、3層以上とする形態であってもよい。ここで、積層される繊維層の区分は、平均繊維間距離、平均繊維径、繊維材質などによって行うことができる。
ワイピングシート10において、ワイピング面10Aを構成する第2繊維層2は、上面10B側の第1繊維層1よりも平均繊維間距離を大きくされている。すなわち、ワイピング面側の第2繊維層2の方が、上面10B側の第1繊維層1よりも繊維間の吸油のための空間を広くとり、かつ、両層の毛管力差が生じるようにしている。該毛管力差が生じ、第2繊維層2から第1繊維層1へと油汚れを有効に移行させ得る限り、第1繊維層1と第2繊維層2とは、直接積層させていてもよく、両層の間に更なる繊維層を介在させていてもよい。後者の場合、例えば、ワイピング面10A側の第2繊維層2と上面10B側の第1繊維層1との間に更なる繊維層を介在させて、ワイピングシート10を、親疎水性の異なる繊維層が交互に配される積層構造を有するものとすることが挙げられる。このような積層構造をワイピングシート10が有する限り、介在させる更なる繊維層は単層であってもよく、2以上の複数層であってもよい。ただし、ワイピング面側の第2繊維層2に油汚れの残存をできるだけ少なくし、上面側の第1繊維層1に油汚れを素早くできるだけ多く移行させる観点から、第1繊維層1と第2繊維層2とは直接積層されていることが好ましい。
加えて、ワイピングシート10は、第1繊維層1及び第2繊維層2のいずれにもエンボス凹部を有する(以下、第1繊維層1のエンボス凹部31、第2繊維層2のエンボス凹部32という)。これにより、各層のエンボス凹部31、32の窪み周辺の繊維圧密部分が厚み方向に配置されて、第2繊維層2から第1繊維層1への、拭き取った油の移行の道筋を作る。また、前述の平均繊維間距離の差による両層の毛管力差による液の引き込み性をワイピング面側に伝える道筋ともなる。
加えて、ワイピング面10Aを構成する第2繊維層2のエンボス凹部32が、ワイピング面10Aに向けて配されている。これにより、エンボス凹部の空間に油汚れを囲い込み、また清掃対象物の油汚れに直接毛管力を作用させて、第1繊維層1よりも平均繊維間距離を広げた第2繊維層2の広い空間に入り込ませるようにしている。
ワイピングシート10は、上記の平均繊維間距離の差とエンボス凹部の構成によって、清掃対象物にある油汚れを素早く取り込み(吸油性、拭き取り性が高まり)、繊維層間において液(油)移行性が向上する。そのため、ワイピングシート10による清掃対象面への接触範囲において油汚れの広がりを抑えることができる。以下、この点についてより詳細に説明する。
上記の平均繊維間距離は、以下の式[I]によって求めることができる。
Figure 0007060411000001
ここで、πは円周率である。
すなわち、ワイピングシートを構成する各層において、坪量、繊維径、シート厚み、及び比重を測定することで、平均繊維間距離を算出できる。
一般に、毛管圧は、以下の式[II]に従うことが知られている。
Figure 0007060411000002
上記の式により導き出されるPcは不織布の測定により導き出される要約統計量を用いた値である。ここで、Pcは繊維の毛管圧(N/m)であり、γは液の表面張力(N/m)であり、θは繊維と液体との接触角(rad)であり、rは毛管半径(m)である。毛管半径は繊維間距離に対応することから、rに平均繊維間距離の値を用いることで、繊維の平均的な毛管圧を求めることができる。
Pcを測定するためには液の表面張力、繊維径、繊維と液体との接触角を測定する必要がある。表面張力は協和界面科学社製DY-200のようなプレート法に基づく自動表面張力計で、20℃、65%R.H.の環境下で10回測定した平均値とする。繊維径は、走査型電子顕微鏡による観察から、観察倍率350倍で1観察あたり30本測定し、これをランダムに計5か所、150本の繊維径を測定した平均値とする。繊維と液体との接触角はフーリエ変換赤外分光法(FTIR)により不織布の構成繊維を同定し、同一組成の樹脂プレート上における接触角を測定する。具体的には、協和界面科学社製DMo-901のような全自動接触角計で1μLを滴下した後に3秒経過したときの接触角をプレート上5か所で測定し、その平均値とする。なお、繊維の材質が複数存在する場合は、それぞれの材質ごとに同様に接触角を測定し、Pc計算時の値としては、各繊維成分の表面積比に基づき接触角を加重平均した値を式内のθとする。
上記式からも明らかなように、毛管半径(平均繊維間距離)を小さくするほど、毛管圧は高くなる。本実施形態では、第1繊維層1の毛管圧を、平均繊維間距離を小さくすることによって高める。本実施形態のワイピングシート10を用いて油汚れを拭き取るとき、まず油汚れはワイピング面を有する第2繊維層2が始めに油汚れを吸い取る。その後、第1繊維層1と第2繊維層2との毛管圧の差によって、第2繊維層2に担持されていた油汚れが第1繊維層1に引き込まれる。これによって、一旦第2繊維層2に取り込んだ油汚れが忽ち第1繊維層1に移行し、第2繊維層2は常に油汚れを拭き取ることができる状態になる。
第1繊維層1の平均繊維間距離と第2繊維層2の平均繊維間距離との差は、毛管力差をより明確にする観点から、0.001mm以上が好ましく、0.005mm以上がより好ましく、0.01mm以上が更に好ましい。また、前記平均繊維間距離の差は、繊維間に形成する液膜の安定性の観点から、10mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。具体的には、0.001mm以上10mm以下が好ましく、0.005mm以上1mm以下がより好ましく、0.01mm以上0.5mm以下が更に好ましい。
上記の平均繊維間距離の差に加え、前述のとおり、第1繊維層1及び第2繊維層2はいずれも、圧縮により凹部壁で圧密されたエンボス凹部31、32を有する。かつ、第2繊維層2のエンボス凹部32が、ワイピング面10Aに向けて配されている。
これにより、ワイピングシート10においては、前述のとおり、ワイピング面における油汚れの取り込み性を高め、該油汚れはエンボス凹部の近傍を通り、第2繊維層2から第1繊維層1へ移動しやすくなる。その結果、ワイピングシートの厚み方向に油汚れの流れ(図2(A)及び(B)の矢印A1~A5に示すような油汚れQの流れ)が出来上がり、ワイピングシートの油移行性及び拭き取り性が向上する。そして、ワイピングシート10による清掃対象面への接触範囲において油汚れの広がりを抑えることができる。
なお、第1繊維層1のエンボス凹部31と第2繊維層2のエンボス凹部32とは、厚み方向に完全に同じ位置ある場合に限らない。上記の油移行性及び拭き取り性に貢献し得る範囲において、例えば図2(B)に示すようにエンボス凹部31とエンボス凹部32とがずれた配置としてもよい。
第1繊維層1及び第2繊維層2のいずれにおいても、エンボス凹部31、32は片面にあっても良く、両面にあってもよい。また、エンボス凹部は第1繊維層1又は第2繊維層2を厚み方向において貫通し、孔を形成していてもよい。
第2繊維層2においては、エンボス凹部32は少なくともワイピング面10A(下面側)にある限り、ワイピング面10A(下面側)以外に存在してもよく、例えば上面10B側に存在してもよい。また、エンボス凹部32が第2繊維層2を厚み方向において貫通し、第2繊維層2が下面側及び上面側にエンボス凹部を有する態様であってもよい(図示せず)。
第1繊維層1において、エンボス凹部31は、図1に示すように、ワイピング面10A(下面)側にあることが好ましい。第1繊維層1における下面側のエンボス凹部が、ワイピングシートの油移行性及び拭き取り性を向上させる。
一方で、第1繊維層1において、図3に示すように、エンボス凹部がワイピング面10A側と反対側の上面側にあってもよい。第1繊維層1における上面10B側のエンボス凹部31も同様に、ワイピングシートの油移行性及び拭き取り性を向上させることができる。
本実施形態のワイピングシート10において、第2繊維層2のワイピング面におけるエンボス凹部が第2繊維層2を厚み方向に貫通し、第1繊維層1まで達するよう貫通している態様もまた好ましい(図4参照)。この場合、第1繊維層1は下面側にエンボス凹部を有することとなる。このような、第1繊維層1及び第2繊維層2が一体となって一連のエンボス凹部を形成する態様では、油汚れを第2繊維層2から第1繊維層1へ移行させる際に、油汚れの平面方向の移動を少なくすることができ、油汚れを厚み方向へ素早く移行させることができる。
ワイピング面を構成する第2繊維層2のエンボス凹部32は、油汚れの取り込み性の観点から、平面視したときの大きさを0.01mm以上とすることが好ましく、0.05mm以上とすることがより好ましく、0.1mm以上とすることが更に好ましい。また、前記エンボス凹部32は、エンボス凹部の数の観点から、平面視したときの大きさを10mm以下とすることが好ましく、8mm以下とすることがより好ましく、5mm以下とすることが更に好ましい。具体的には、0.01mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上8mm以下がより好ましく、0.1mm以上5mm以下がさらに好ましい。
また、第2繊維層2のエンボス凹部32の深さは、拭き取った油汚れの広がり抑制の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましい。また、前記エンボス凹部32の深さは、加工性の観点から、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、5mm以下が更に好ましい。具体的には、0.01mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上8mm以下がより好ましく、0.1mm以上5mm以下がさらに好ましい。
上面側の第1繊維層1のエンボス凹部31についても、前述の第2繊維層2のエンボス凹部32と同様の平面視した大きさ及び深さとすることが好ましい。
(エンボス凹部32及び31の測定方法)
エンボス凹部32の平面視の大きさは、ワイピング面を平面視して、光学顕微鏡(例えば、KEYENCE社製、デジタルマイクロスコープ(商品名))を用いて測定することができる。エンボス31は、第1繊維層1の上面側に露出している場合は上記と同様の方法によって測定することができる。エンボス凹部31が第1繊維層1の第2繊維層2側に向けられている場合は、測定対象のワイピングシートをカミソリ刃等の切断手段によって層毎に切り出し、上記と同様の方法によって測定することができる。
また、エンボス凹部32及び31の深さは、測定対象のワイピングシートの厚み方向の断面をカミソリ刃等の切断手段によって切り出し、上記と同様の方法によって測定することができる。
エンボス凹部は、通常用いられる種々の方法によって形成することができる。例えば、熱エンボス処理、超音波エンボス処理などが挙げられる。
本実施形態では、第1繊維層1及び第2繊維層2それぞれに対して別々にエンボス処理を行った後に積層させてもよく、第1繊維層1及び第2繊維層2を積層させた一体のシートに対してエンボス処理を行ってもよい。特に、第2繊維層2を貫通して第1繊維層1まで達している一連のエンボス凹部を形成するには、第1繊維層1及び第2繊維層2を積層させた後にエンボス処理を行うことが好ましい。
本実施形態に用いられる第1繊維層1及び第2繊維層2を構成する繊維は、本実施形態のワイピングシートの油移行性及び拭き取り性が損なわれない限りでは特に限定されない。例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース繊維や、各種金属、ガラス、鉱物を原料とする繊維が代表的である。このうち、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース繊維が好ましい。また、これらの混合繊維、例えば、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートなども挙げられる。
上記繊維のなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ナイロン類およびセルロース繊維がより好ましい。アクリル樹脂(特に、アクリル酸)は、そのエステル、メタクリル酸もしくはそのエステルから得られる繰り返し単位を有するものが好ましい。
本発明のワイピングシートは、油汚れの拭き取りを伴う限り、様々な種類の清掃対象面に対して特に制限なく用いることができる。例えば、床面、壁面等の建物、戸棚、窓ガラス、鏡、ドア、ドアノブ等の建具、ラグ、カーペット、机食卓等の家具、キッチン、トイレ等の備品のワイピングに使用できる。また清掃ワイパーに使用でき、さらに、顔、体などの清拭や、衛生用品、土木、包装などにも使用できる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(繊維層の作製例)
後述の各実施例及び各比較例において用いる繊維層A及びBを下記の通り製造した。
(繊維層A)
メルトフローレート(MFR)が1300g/10min(230℃、2.16kg)のポリプロピレン樹脂ペレット(Moplen HP461Y(商品名)、Lyondell Basell社製)を用い、ダイエアー流量300Nm/hr、熱風風速79.8m/s、コンベア速度5m/mimの条件で、メルトブローン法によりシート状の繊維層Aを作製した。
(繊維層B)
ダイエアー流量を100Nm/hr、熱風風速を26.6m/sとしたこと以外は繊維層Aと同様にして、シート状の繊維層Bを作製した。
得られた繊維層A及びBの繊維径、シート厚み、坪量は次のとおりであった。
(1)繊維径
繊維層A:4.25μm 繊維層B:14.11μm
なお、繊維層Aについては、走査型電子顕微鏡(SEM)としてJSM-6510(商品名、日本電子株式会社製)を用い、繊維層Bについては、光学顕微鏡としてVHX-1000(商品名、キーエンス社製)を用いて測定した。
(2)シート厚み
繊維層A:437.27μm 繊維層B:526.93μm
なお、厚み計としてマイクロメータ SMD-565(商品名、TECLOCK社製)を用いて測定した。
(3)坪量
繊維層A:48.24g/m 繊維層B:46.37g/m
なお、天秤 GH-202(商品名、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した。
(4)比重
比重は、原料であるポリプロピレン樹脂ペレットをピクノメーターによって測定し、0.886g/mlであった。
(5)平均繊維間距離
上記(1)~(4)の測定値を基に、前述の式[I]を用いて、繊維層A及びBそれぞれの平均繊維間距離を算出した。
繊維層A:10.68μm 繊維層B:39.68μm
すなわち、繊維層Bの方が、繊維層Aよりも繊維間距離を大きくされていた。
各実施例、各比較例は、上記繊維層A及びBを用いて、下記の通り、各ワイピングシート試料を作製した。
(実施例1)
シリンダー径76mm、型幅205mm、面積率22.5%のエンボス型を用いて、繊維層A及び繊維層Bそれぞれの片面に対して、エンボス処理を行った。このとき、加工速度は3m/min、圧力は2.48kg/cm、線圧は0.005488MPaとした。
エンボス処理後、繊維層Bをワイピング面を構成する繊維層とし、その上に繊維層Aを積層した。その際、繊維層Bのエンボス凹部、繊維層Aのエンボス凹部がいずれもワイピング面の側に向くように配置した。また、繊維層Bと繊維層Aとの接合は、熱融着によって行った。このようにして実施例1のワイピングシート試料を作製した。
(実施例2)
繊維層Bと繊維層Aとを積層する際に、繊維層Aのエンボス凹部が上面側に配置されるように積層したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のワイピングシート試料を作製した。
(実施例3)
エンボス処理を行う前に、繊維層Bと繊維層Aとを熱融着により積層し、一体化した。
一体化したシートのワイピング面側(繊維層Bが配されている側の面)に対して、実施例1と同様の条件でエンボス処理を行い、実施例3のワイピングシート試料を作製した。実施例3のワイピングシート試料では、エンボス凹部が繊維層Bを貫通し、繊維層Aに達していた。
(比較例1)
エンボス処理を施さない繊維層Aを2枚積層させて比較例1のワイピングシート試料を作製した。
(比較例2)
エンボス処理を施さない繊維層Bを2枚積層させて比較例2のワイピングシート試料を作製した。
(比較例3)
繊維層B及び繊維層Aにエンボス処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のワイピングシート試料を作製した。
(比較例4)
繊維層Bと繊維層Aとを積層する代わりに繊維層Aを2枚積層したこと以外は実施例1と同様にして、比較例4のワイピングシート試料を作製した。この試料において、積層した2枚の繊維層Aのエンボス凹部はいずれもワイピング面の側に向けて配しされていた。
(比較例5)
繊維層Bと繊維層Aとを積層する代わりに繊維層Bを2枚積層したこと以外は実施例1と同様にして、比較例5のワイピングシート試料を作製した。この試料において、積層した2枚の繊維層Bのエンボス凹部はいずれもワイピング面の側に向けて配しされていた。
(比較例6)
繊維層Bと繊維層Aとを積層する際に、繊維層Bのエンボス凹部を、ワイピング面とは反対側の上面側に向けて配置して積層したこと以外は実施例1と同様にして、比較例6のワイピングシート試料を作製した。
(比較例7)
繊維層Bと繊維層Aとを積層する際に、繊維層Bのエンボス凹部と繊維層Aのエンボス凹部とがいずれも上面側に向けて配置して積層したこと以外は実施例1と同様にして、比較例7のワイピングシート試料を作製した。
(比較例8)
繊維層Bにエンボス処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例8のワイピングシート試料を作製した。
(比較例9)
繊維層Aにエンボス処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例9のワイピングシート試料を作製した。
(比較例10)
一体化したシートのワイピング面側(繊維層Bが配されている側の面)ではなく上面側(繊維層Aが配されている側の面)に対してエンボス処理を行ったこと以外は、実施例3と同様にして、比較例10のワイピングシート試料を作製した。比較例10のワイピングシート試料では、エンボス凹部が繊維層Aを貫通し、繊維層Bに達していた。
(試験)
上記の各試料に対して、室内温度20℃、湿度65%の環境下にて、下記(1)~(3)の試験を行った。
(1)油保持量(吸油性、繊維層間の油の移行性)
予め、試料を5cm角の大きさに切り出し、繊維層Aと繊維層Bとを別々に秤量した。
油汚れのサンプルとして、着色したオレイン酸液滴1μL(約30mg)を複合フローロング床材に垂らし、その上に5cm角の試料(繊維層Bと繊維層Aとの積層体)をワイピング面(繊維層B側)から被せた。試料の上に550gの錘を乗せ、5秒間放置後、繊維層Aと繊維層Bとを別々に再度秤量した。
オレイン酸液滴を吸い取る前後における試料の各繊維層の質量を比較し、試料の各繊維層における油保持量を評価した。なお、油汚れとしてオレイン酸を用いたのは、一般的な生活環境における皮脂汚れの成分として一般的なものであることによる。
(2)拭き取り性
試料を5cm角の大きさに切り出した。
油汚れのサンプルとして、染色したオレイン酸液滴1μL(約30mg)を複合フローロング床材に垂らし、その上に5cm角の試料を被せた。試料の上に550gの錘を乗せつつ、円を描くように5秒間清拭操作を行い、オレイン酸液滴が拭き取れているか否かを、複合フローロング床材から190cm離れた白色蛍光灯からの光の反射度合で目視により確認し、以下の基準により評価した。
4:反射を確認できない程度(目視では油のテカリが分からない程度)まで、オレイン酸液滴を3秒以内に拭き取れる。
3:反射を確認できない程度(目視では油のテカリが分からない程度)までオレイン酸液滴を拭き取れるが、3秒より多く掛かる。
2:油のテカリが残り、オレイン酸液滴を完全には拭き取ることができない。
1:油のテカリが多く、オレイン酸液滴の残りが多い。
(3)液伸ばし評価
試料を5cm角の大きさに切り出した。
油汚れのサンプルとして、着色したオレイン酸3mgを複合フローロング床材に滴下した。その上に5cm角の試料と500gの錘を乗せ、3秒間放置した。その後、試料を錘とともに秒速8cmの速度で一方向に40cm(5秒間)移動させ、即座に試料と錘を複合フローロング床材から取り除いた。次に、取り除いた試料と錘を、オレイン酸を滴下していない複合フローロング床材の上に置き、同じ速度で40cm(5秒間)移動させ、即座に試料と錘を複合フローロング床材から取り除いた。このような拭き取り作業を合計4回(移動距離の合計:160cm)行い、オレイン酸が伸びた距離を測定した。
測定は各試料それぞれ3回行い、3回の測定値の平均値により液伸ばしを評価した。
測定値が小さいほど、拭き取り性が良いことを示す。
結果を表1に示す。なお、表中の「-」は、エンボス凹部の位置の項目においてはエンボスを有しないことを、油保持量評価の項目においては第1繊維層1と第2繊維層2とが融着されて測定困難なことを、それぞれ示す。
Figure 0007060411000003
表1から明らかなように、繊維層間の繊維間距離に差が無い比較例1及び2では、ワイピング面側の繊維層から上面側の繊維層への油の移行性が悪く、床面に油のテカリが多く残るほどに拭き取り性が悪かった。そのため、拭き取りによる床面の液伸ばしでは最も悪い160cmであった。また、エンボス凹部を2層両方に備えるという要件を満たさない比較例3、8及び9、エンボス凹部を有しつつも繊維層間に繊維間距離の差が無い比較例4及び5、エンボス凹部を第2繊維層2のワイピング面(下面)側に有しない比較例6、7及び10では、上面側の繊維層への油移行性が十分でなく、拭き取り性が劣るものであった。さらに、液伸ばし評価において40cm以内に抑えられない(1回の拭き取り作業では拭き取れない)ものであった。
これに対し、本発明のワイピングシートである実施例1~3では、いずれも上面側の繊維層がワイピング面側の繊維層よりも3倍以上多くのオレイン酸を吸収し、上面側の繊維層への油移行性が高いものであった。加えて、実施例1~3ではオレイン酸液滴を3秒以内に素早く拭き取ることができ、高い拭き取り性を示した。さらに、実施例1~3では液伸ばし評価においてはいずれも6cm以下であり、拭き取りに伴う油汚れに広がりが極めて小さく抑えられ、油汚れを清掃面に残しにくいものであった。
1 第1繊維層
2 第2繊維層
10 ワイピングシート
10A ワイピング面
10B 上面
31、32 エンボス凹部

Claims (6)

  1. 複数の繊維層が積層されたワイピングシートであって、
    前記ワイピングシートのワイピング面を構成する繊維層は、他の繊維層よりも繊維間距離を大きくされており、
    前記複数の繊維層はいずれもエンボス凹部を有し、前記ワイピング面を構成する繊維層のエンボス凹部が、前記ワイピング面に向けて配されており、
    前記ワイピング面を構成する繊維層及び前記他の繊維層にはそれぞれ、前記エンボス凹部の窪みの壁周辺に繊維圧密部が厚み方向に配置され、
    前記ワイピング面を構成する繊維層は、前記他の繊維層との対向面を平坦面とし、前記ワイピング面を構成する繊維層の前記繊維圧密部を含む繊維層部分が少なくとも一部において、前記平坦面を介して、前記他の繊維層の前記繊維圧密部を含む繊維層部分と直接積層されている、ワイピングシート。
  2. 前記他の繊維層は、ワイピング面側の面に前記エンボス凹部を有する、請求項1記載のワイピングシート。
  3. 前記ワイピング面を構成する繊維層のエンボス凹部は、前記他の繊維層を貫通して配されている、請求項1または2に記載のワイピングシート。
  4. 前記他の繊維層は、ワイピング面側と反対側の面に前記エンボス凹部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  5. 前記ワイピング面を構成する繊維層のエンボス凹部は、平面視したときの大きさを0.01mm以上10mm以下とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  6. 前記ワイピング面を構成する繊維層及び前記他の繊維層それぞれにおいて、前記エンボス凹部間の領域にある、前記繊維圧密部を含む繊維層部分が、中実の凸部とされている、請求項1~5のいずれか1項に記載のワイピングシート。
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