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JP7053114B2 - 構造体の劣化探査装置と劣化探査方法 - Google Patents

構造体の劣化探査装置と劣化探査方法 Download PDF

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JP7053114B2 JP2017042217A JP2017042217A JP7053114B2 JP 7053114 B2 JP7053114 B2 JP 7053114B2 JP 2017042217 A JP2017042217 A JP 2017042217A JP 2017042217 A JP2017042217 A JP 2017042217A JP 7053114 B2 JP7053114 B2 JP 7053114B2
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Description

本発明は、建物の外壁等の構造体の劣化探査装置とその方法に関するものである。
一般に、駅舎や公共施設等の外壁は、保守点検作業で経年劣化の度合いを確認するようにしている。目視による検査だけでなく、ハンマで打撃し、打撃音を電気的に処理してタイルの剥離劣化を診断する場合に、健全なタイルの打撃音から教師データ(リファレンスデータ)を求め、この教師データと個々のタイルの検査データとをパターン認識により、両者間の相関係数を用いることにより、タイルが健全かどうかを診断できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、建物の外壁に張付けたタイル、モルタル等の探傷試験にあたり、基準となる標本を打叩部で打叩し、標本からの音を集音して基準となる音の周波数データを基準音サンプリング部で生成し、一方、探査対象物を打叩部で打叩し、探査対象物からの音を集音して実測した音の周波数データを実測音サンプリング部で生成し、これらの生成された基準音の周波数データと実測音の周波数データとを判別部で比較し、探査対象物の形態を判定するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、特許文献1に記載の剥離判定方法では、打撃装置を、駆動回路とロータリーソレノイドとを備えて構成し、駆動回路から出力される電流によりロータリーソレノイドを駆動して順次移動し、個々のタイルを一定の力で順次打撃するようになっている。また、特許文献2に記載の打叩部は、ハンマ部と、ハンマ部を支点を中心として上下動させる梃子と、梃子を下方に付勢するばねと、ばねに抗して梃子を介してハンマ部を上方に押し上げるカムとを備えて構成され、カムで梃子を介してハンマ部を上方に押し上げ、カムと梃子との係合をカムの回転角により解き、ハンマ部をばねにより下方に引き下げ、タイルやモルタルを一定の力で個別に打叩し発音させるようにしている。
特開平11-304773号公報 特開平9-152427号公報
しかしながら、駅舎などの外壁の場合、高い位置の被探査部位では、マイクロホン付きインパクトハンマが用いられる。このインパクトハンマは、グリップから延びる長寸で細長い棒竿の先端に、対象物に打撃を加えるハンマと打撃音を測定するマイクロホンとを取り付けて構成される。外壁劣化部の探査では、作業員は、グリップを手に持ち、ハンマを作業員の力で外壁に打ち当てて順次叩打し、その音をマイクロホンで拾うようになっている。このように人力によりハンマを打ち当てるので、打撃の力が一定にならず、拾った音を周波数変換して、教師データと検査データと比較したり、基準音の周波数データと実測音の周波数データとを比較しても、判別不可能だったり、正確に判定できないという問題がある。また、作業員は、経験や勘により打撃を行うので、ハンマで打撃した打撃力が適正な打撃力かどうかわかりにくいという問題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、ハンマの打撃力が適正かどうか判別することができ、ハンマの打撃力が弱すぎたり強すぎたりして適正な打撃力で打撃していない場合には、作業者に適正でないことを注意喚起し、たとえ、人力による打撃探査であっても、適正な打力に基づいて構造体の劣化探査を行うことができる構造体の劣化探査装置とその方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る構造体の劣化探査装置は、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る構造体の劣化探査装置では、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えたことにより、判定対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打力判別閾値として設定し、探査対象の構造体の探査時、構造体をハンマで打撃すると、力ピックアップにより受け取った打力の信号を、周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換し、変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の判別対象周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出し、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較し、打力が適正の範囲内にあるか否か判別するようになっている。このため、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、打力判別閾値に基づいて、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
また、本発明に係る構造体の劣化探査装置では、打力データに基づいて、打撃時の打力が適正か否かを判別した結果を報知する報知手段を備えたことにより、判別結果を作業員に報知することができ、その場で直ちに注意を喚起して不適正な打撃をやり直すことができ、たとえ、人力による打撃探査であっても、適正な打力に基づいて探査を行うことができる。また、適正な打力に基づいて探査のデータを収集することができ、より正確な探査を行うことができる。さらに、本発明に係る構造体の劣化探査装置では、ハンマによる打撃時の打音を検知し打音の信号を出力するマイクと、打撃時、マイクからの打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込む測定打音データ取得手段と、打音データを周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第2の周波数スペクトル変換手段と、パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導く基準化手段と、基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出するピーク値算出手段と、算出された基準化音圧スペクトルのピーク値に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第1の健全部判定閾値として設定する第1の健全部判定閾値設定手段と、算出されたピーク値を第1の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部位の健全性を判定して判定結果を表示する第1の健全性判定手段とを備えて構成され、探査対象の構造体の探査時、構造体をハンマで打撃すると,マイクからの打音の信号を周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換し、算出されたパーシャルオーバーオールを用いて変換された第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを導き、基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出し、算出されたピーク値を、設定された第1の健全部判定閾値と比較し、被打撃部が健全か否かを判定して表示するように構成することが好ましい。係る構成とすることにより、リファレンスデータがなくとも、探査対象の構造体を打撃した打音の測定結果に基づいて健全性を判定することができる。
また、本発明に係る構造体の劣化探査装置では、測定打音データ取得手段により、予め探査対象の構造体に対応する構造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部のみを形成して製作された第1の試験体を打撃して、マイクにより打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込み、第3の周波数スペクトル変換手段により第1の試験体について取り込まれた打音データを周波数解析して打音に関する第3の周波数スペクトルに変換し、基準化手段により、パーシャルオーバーオール算出手段で算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第3の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導き、健全部を基準とするリファレンスデータとして記録するリファレンスデータ作成手段と、探査対象の構造体を打撃して測定された打音の測定結果から求められた音圧スペクトルのピーク値と、リファレンスデータに記録された音圧スペクトルのピーク値とを比較し誤差を算出する誤差算出手段と、算出された誤差に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第2の健全部判定閾値として設定する第2の健全部判定閾値設定手段と、算出された誤差を第2の健全部判定閾値と比較し、被打撃部の健全性を判定して判定結果を表示する第2の健全性判定手段とを備えて構成され、リファレンスデータ作成手段により作成された健全部を基準とするリファレンスデータの音圧スペクトルのピーク値と、探査対象の構造体を打撃して得られた音圧スペクトルのピーク値とを比較して求められた誤差を、設定された第2の健全部判定閾値と比較し、被打撃部が健全か否かを判定して表示するように構成することが好ましい。係る構成とすることにより、リファレンスデータを用いて健全性を判定することができるので、判定の精度が向上する。
さらに、本発明に係る構造体の劣化探査装置では、打力判別手段は、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較し、打力下限値より小さい場合、打撃時の打力が弱、打力下限値以上かつ打力上限値以下の場合、打撃時の打力が適正、打力上限値より大きい場合、打撃時の打力が強と判別するよう構成され、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較する際、打力下限値より小さい場合、打撃時の打力が弱、打力下限値以上かつ打力上限値以下の場合、打撃時の打力が適正、打力上限値より大きい場合、打撃時の打力が強と判別し、弱と強の場合、適正の範囲外と判別し、適正の場合、適正の範囲内と判別することが好ましい。係る構成とすることにより、打力の適正範囲と適正範囲外とをより明確に区別することができる。さらに、打力判別閾値は、予め探査対象の構造体に対応する構造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部と浮き部とを形成した第2の試験体を製作し、第2の試験体の打撃により健全部と浮き部との各周波数スペクトルの差異を求め、この差異に基づいて判定対象周波数範囲を決定するとともに、複数の検査員が異なる打力で前記第2の試験体に打撃試験を行った結果に基づいて打力上限値と打力下限値とを決定するようにしてもよい。さらに、打力判別閾値は、探査対象の構造体に対応する既知の判定パラメータを用いて設定され、判定パラメータに示された判定対象周波数範囲または打力上下限値のうちいずれか1により決定されるようにしてもよい。
また、本発明に係る構造体の劣化探査装置では、第1の健全部判定閾値設定手段は、算出された基準化音圧スペクトルのピーク値に対し被打撃部がほぼ健全性ありと見なす第1の健全閾値とこの第1の健全閾値より高い値であってこれを超えるとほぼ浮き部ありと見なす第1の境界閾値とを含む判定閾値を、第1の健全部判定閾値として設定されるよう構成されるとともに、第1の健全性判定手段は、算出されたピーク値が第1の健全閾値以下のとき、健全と判定し、ピーク値が第1の健全閾値より大きく第1の境界閾値以下のとき、健全性不明と判定し、ピーク値が第1の境界閾値より大きいとき、浮きありと判定することが好ましい。係る構成とすることにより、測定結果の打音に基づいてより正確に健全性を判定することができる。さらに、第1の健全部判定閾値は、現場の探査対象の構造体を打撃して得られた打撃試験の打音データ、第2の試験体を打撃して得られた打撃試験の打音データまたは探査対象の構造体に対応する既知の判定パラメータのうちいずれか1に基づいて設定されるようにしてもよい。また、第1の健全部判定閾値は、現場の探査対象の構造体の打撃試験の打音データまたは第2の試験体の打撃試験の打音データに基づく場合、測定打音データ取得手段によりパソコンに取り込まれた打音データを、第2の周波数スペクトル変換手段により打音に関する第2の周波数スペクトルに変換し、この変換された第2の周波数スペクトルを基準化手段により基準化して基準化音圧スペクトルを導き、導かれた基準化音圧スペクトルからピーク値算出手段によりピーク値を導き、健全部と浮き部とのピーク値の差に基づいて、作業者が被打撃部が健全か否かの判定を行う第1の健全閾値と第1の境界閾値とを決定するようにしてもよい。さらに、第2の健全部判定閾値設定手段は、算出された誤差に対し、被打撃部がほぼ健全性ありと見なす第2の健全閾値とこの第2の健全閾値より高い値であってこれを超えるとほぼ浮き部ありと見なす第2の境界閾値とを含む判定閾値を、第2の健全部判定閾値として設定するよう構成されるとともに、第2の健全性判定手段は、算出された誤差が第2の健全閾値以下のとき、健全と判定し、誤差が第2の健全閾値より大きく第2の境界閾値以下のとき、健全性不明と判定し、誤差が第2の境界閾値より大きいとき、浮きありと判定することが好ましい。また、打力判別手段により打力が適正範囲と判別された打音のデータについて、健全性の判定が行われることが好ましい。さらに、力ピックアップから受け取った打力データとマイクから受け取った打音データとを関連付けて記録する打撃データ関連付け手段を備え、健全性の判定を、探査対象の構造体に対する打撃時の打力が適正範囲と判別された打音データについて行うとともに判定結果を記録するようにしてもよい。また、探査対象の構造体を打撃した位置を特定して記録する打撃箇所特定手段と、健全性の判定結果と打撃位置とを関連づけて記録するとともに構造体に浮きが存在する場所を表示して分布図を作成する分布図作成手段とを備えるようにしてもよい。さらに、リファレンスデータは、探査対象の構造体に対応する既知のリファレンスデータが用いられるようにしてもよい。
本発明の請求項16に係る構造体の劣化探査装置は、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する打力判別閾値設定手段と、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の請求項16に係る構造体の劣化探査装置では、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する打力判別閾値設定手段と、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段と、判別結果を報知する報知手段とを備えたことにより、探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の打撃データを設定した閾値に基づいて打力の適否を判別するようになっている。このため、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、打力判別閾値に基づいて、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
本発明の請求項17に係る構造体の劣化探査方法は、探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の衝撃を周波数解析し、設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する劣化探査装置を用いた構造体の劣化探査方法であって、劣化探査装置を、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えて構成し、判定対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打力判別閾値として設定する第1の工程と、探査対象の構造体の打撃時、力ピックアップからの打力の信号を処理して打力データとして取り込む第2の工程と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第3の工程と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、第1の工程で設定された打力判別閾値の判別対象周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出する第4の工程と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較し、打力が適正の範囲内にあるか否か判別する第5の工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の請求項17に係る構造体の劣化探査方法では、探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の衝撃を周波数解析し、設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する劣化探査装置を用いた構造体の劣化探査方法であって、劣化探査装置を、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えて構成し、判定対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打力判別閾値として設定する第1の工程と、探査対象の構造体の打撃時、力ピックアップからの打力の信号を処理して打力データとして取り込む第2の工程と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第3の工程と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、第1の工程で設定された打力判別閾値の判別対象周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出する第4の工程と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較し、打力が適正の範囲内にあるか否か判別する第5の工程とを有することにより、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、打力判別閾値に基づいて、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
また、本発明に係る構造体の劣化探査方法では、劣化探査装置は、打力データに基づいて、打撃時の打力が適正か否かを判別した結果を報知する報知手段を備えて構成し、判別結果を報知する第6の工程を有するので、その場で直ちに注意を喚起して不適正な打撃をやり直すことができ、たとえ、人力による打撃探査であっても、適正な打力に基づいて探査を行うことができ、探査の正確性が向上する。また、適正な打力に基づいて探査のデータを収集することができ、より正確な探査を行うことができる。さらに、本発明に係る構造体の劣化探査方法では、劣化探査装置は、ハンマによる打撃時の打音を検知し打音の信号を出力するマイクと、打撃時、マイクからの打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込む測定打音データ取得手段と、打音データを周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第2の周波数スペクトル変換手段と、パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導く基準化手段と、基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出するピーク値算出手段と、算出された基準化音圧スペクトルのピーク値に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第1の健全部判定閾値として設定する第1の健全部判定閾値設定手段と、算出されたピーク値を第1の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部位の健全性を判定して表示する第1の健全性判定手段とを備えて構成され、判定閾値を第1の健全部判定閾値として設定する第7の工程と、探査対象の構造体の打撃時、マイクからの打音の信号を処理して打音データとして取り込む第8の工程と、打音データを周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第9の工程と、パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを導く第10の工程と、基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出する第11の工程と、算出されたピーク値を、設定された第1の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部が健全か否かを判定して表示する第12の工程とを有するようにすることが好ましい。係る構成とすることにより、リファレンスデータがなくとも、探査対象の構造体を打撃した打音の測定結果に基づいて健全性を判定することができる。
また、本発明に係る構造体の劣化探査方法では、劣化探査装置は、測定打音データ取得手段により、予め探査対象の構造体に対応する構造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部のみを形成して製作された第1の試験体を打撃して、マイクにより打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込み、第3の周波数スペクトル変換手段により第1の試験体について取り込まれた打音データを周波数解析して打音に関する第3の周波数スペクトルに変換し、基準化手段により、パーシャルオーバーオール算出手段で算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第3の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導き、健全部を基準とするリファレンスデータとして記録するリファレンスデータ作成手段と、探査対象の構造体を打撃して測定された打音の測定結果から求められた音圧スペクトルのピーク値と、リファレンスデータに記録された音圧スペクトルのピーク値とを比較し誤差を算出する誤差算出手段と、算出された誤差に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第2の健全部判定閾値として設定する第2の健全部判定閾値設定手段と、算出された誤差を第2の健全部判定閾値と比較し、被打撃部の健全性を判定して表示する第2の健全性判定手段とを備えて構成され、予め探査対象の構造体に対応する構造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部のみを形成した第1の試験体を製作する第13の工程と、第1の試験体をハンマで打撃し、マイクからの打音の信号を処理して打音データとして取り込む第14の工程と、取り込まれた打音の信号を周波数解析して第1の試験体の打音に関する第3の周波数スペクトルに変換する第15の工程と、パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第3の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを、健全部を基準とするリファレンスデータとして記録する第16の工程と、ピーク値算出手段により、リファレンスデータの基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出する第17の工程と、誤差に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第2の健全部判定閾値として設定する第18の工程と、探査対象の構造体をハンマで打撃し、マイクからの打音の信号を処理して打音データとして取り込む第19の工程と、取り込まれた打音の信号を周波数解析して探査対象の構造体の打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第20の工程と、パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを導く第21の工程と、ピーク値算出手段により、第2の周波数スペクトルが基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出する第22の工程と、構造体の打音に関する第2の周波数スペクトルが基準化された基準化音圧スペクトルのピーク値とリファレンスデータに基づく第3の周波数スペクトルが基準化された基準化音圧スペクトルのピーク値とを比較して誤差を算出する第23の工程と、算出された誤差を第2の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部が健全か否かを判定する第24の工程と、判定結果を表示する第25の工程とを有することが好ましい。係る構成とすることにより、リファレンスデータを用いて健全性を判定することができるので、判定の精度が向上する。
本発明の請求項21に係る構造体の劣化探査方法は、探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の打撃データを設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する構造体の劣化探査方法であって、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する工程と、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する工程と、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の請求項21に係る構造体の劣化探査方法では、探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の打撃データを設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する構造体の劣化探査方法であって、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する工程と、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する工程と、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する工程とを有するようにしたことにより、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、打力判別閾値に基づいて、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
本発明の第1の発明に係る構造体の劣化探査装置は、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えるようにしたので、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
本発明の第2の発明に係る構造体の劣化探査装置は、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する打力判別閾値設定手段と、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えるようにしたので、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
本発明の第3の発明に係る構造体の劣化探査方法は、探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の衝撃を周波数解析し、設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する劣化探査装置を用いた構造体の劣化探査方法であって、劣化探査装置を、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えて構成し、判定対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打力判別閾値として設定する第1の工程と、探査対象の構造体の打撃時、力ピックアップからの打力の信号を処理して打力データとして取り込む第2の工程と、打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第3の工程と、変換された第1の周波数スペクトルのうち、第1の工程で設定された打力判別閾値の判別対象周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出する第4の工程と、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較し、打力が適正の範囲内にあるか否か判別する第5の工程とを有するようにしたので、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
本発明の第4の発明に係る構造体の劣化探査方法は、探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の打撃データを設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する構造体の劣化探査方法であって、ハンマに接続され、打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する工程と、判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する工程と、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する工程とを有するようにしたので、作業員がハンマで打撃する際、打力が弱すぎたり強すぎたりすると、不適正な打力か、適正な打力か判別することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置を示す説明図である。 図2の(A)、(B)は、それぞれ、図1の劣化探査装置のインパクトハンマを示す組み立て構成図である。 図3は、図1の劣化探査装置のコンピュータにおける各機能を示す説明図である。 図4は、前記コンピュータの表示部に表示される判定条件を設定する画面を示す説明図である。 図5は、第2の試験体として製作された模擬外壁を示す写真で、(A)は塗装仕上げの片面を、(B)はタイル仕上げの片面をそれぞれ示す。 図6は、模擬外壁の塗装仕上げの概要を示す表である。 図7は、模擬外壁のタイル仕上げの概要を示す表である。 図8は、模擬外壁における塗装仕上げの浮き部の配置を示す説明図である。 図9は、模擬外壁におけるタイル仕上げの下地浮きとタイル浮きの配置を示す説明図である。 図10は、既知の現状の判定パラメータを示す表である。 図11の(A)は、各試験体毎に、専門家が健全と判定した箇所数と、検査員が健全と判定した箇所の判定の一致割合とを比較して示す表で、図11の(B)は、各試験体毎に、専門家が浮き部ありと判定した箇所数と、検査員が浮き部ありと判定した箇所の判定の一致割合とを比較して示す表である。 図12の(A)、(B)はそれぞれ、模擬外壁の所定部位の浮き部について、各測定員がそれぞれ、打撃試験を行った際の打力を異ならせて打撃した打力の変化を示すグラフである。 図13の(A)、(B)はそれぞれ、模擬外壁の、図12と異なる部位の浮き部について、各測定員がそれぞれ、打撃試験を行った際の打力を異ならせて打撃した打力の変化を示すグラフである。 図14は、閾値を入力し判定基準に関する設定を行う画面を示す説明図である。 図15は、コンピュータの表示部に表示される判定画面を示す説明図である。 図16は、本発明の第1の実施形態に係る構造体の劣化探査方法により打力の判別を行う工程を示すフローチャートである。 図17は、本発明の第2の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置のコンピュータにおける各機能を示す説明図である。 図18は、第2第3の各実施形態に係る打音判定の条件および閾値の設定を示す説明図である。 図19の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装2)の浮き部(No.2)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図20の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装2)の浮き部(No.2)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図21の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装5)の浮き部(No.2)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図22の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装5)の浮き部(No.2)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図23の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装2)の浮き部(No.4)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図24の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装2)の浮き部(No.4)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図25の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装5)の浮き部(No.4)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図26の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員が模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装5)の浮き部(No.4)に対し打力を異ならせて打撃した際の打音の周波数特性の変化を示すグラフである。 図27の(A)、(B)はそれぞれ、模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装2)に対し、浮き部を有する部位と健全部を有する部位とに対し打撃位置を変えながら繰り返し実験し、打撃位置毎に基準化音圧Pa/Nを導いたグラフである。 図28の(A)、(B)はそれぞれ、模擬外壁のある構造と材質が特定された部位(塗装5)に対し、浮き部を有する部位と健全部を有する部位とに対し打撃位置を変えながら繰り返し実験し、打撃位置毎に基準化音圧Pa/Nを導いたグラフである。 図29は、本発明の第2の実施形態に係る構造体の劣化探査方法により健全性の判定を行う工程を示すフローチャートである。 図30の(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第3の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる構造体とその構造体に対応した健全部のみを有する第1の試験体を示す説明図である。 図31は、本発明の第3の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置のコンピュータにおける各機能を示す説明図である。 図32の(A)、(B)はそれぞれ、健全部のみを有する第1の試験体の測定結果を示すグラフおよび探査対象の構造体の浮き部の存在する部位の測定結果を示すグラフである。 図33は、第1の試験体の測定結果から得られたリファレンスデータを示すグラフである。 図34は、設定される閾値の単位を示す説明図である。 図35は、打音判定に用いられる打音診断パラメータの一例を示す表である。 図36は、本発明の第3の実施形態に係る構造体の劣化探査方法により健全性の判定を行う工程を示すフローチャートである。
以下、図面に示す実施形態により本発明を説明する。本発明の第1の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置2は、図1に示すように、探査対象の構造体を打撃するインパクトハンマ(ハンマ)3と、このインパクトハンマ3のパールヘッド(打撃部)4とそれぞれ接続されて一体に設けられた衝撃力測定用(打力測定用)力ピックアップ5および打音収録用マイク6と、これら力ピックアップ5とマイク6と電気的に接続され、打撃時の打力(打撃力)Pと打音Sdとをそれぞれアナログの電気信号からデジタル信号に変換して出力するA/D変換器(A/D変換装置)7と、A/D変換器7と電気的に接続されA/D変換器7により変換されたデジタル信号を受け取り、データ処理するパーソナルコンピュータ(データ処理手段、以下パソコンという)8とを備えて構成される。パソコン8は、それぞれ図示しない中央演算処理装置(CPU)と、記憶装置(記憶部、メモリ)と、入力装置(入力部、キーボード、マウス、入力端子)と、出力装置(出力表示部、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、出力端子)とを備えて構成される。探査対象の構造体Wとして、例えば、図示しない駅舎などの外壁が挙げられる。
インパクトハンマ3は、図2の(A)、(B)に示すように、太径の握り部10とこの握り部10に連結される棒材11とを備えて構成される。棒材11の先端には、ハンマ部12が設けられ、このハンマ部12に力ピックアップ5を介してパールヘッド4が螺挿される。ハンマ部12には、防振ゴム13を介してマイク6が取り付けられる。力ピックアップ5は、作業員がインパクトハンマ3で探査対象の構造体Wを打撃した際、打撃力(打撃時の打力の大きさ)P(単位:N)の強弱を電気信号に変換してA/D変換器7に出力する。マイク6は、打撃時、打音(打撃音)Sdを電気信号に変換してA/D変換器7に出力するようになっている。
パソコン8は、図3に示すように、打力判別閾値設定部(打力判別閾値設定手段)20、打力データ取得部(打力データ取得手段)21と、第1の周波数スペクトル変換部(第1の周波数スペクトル変換手段)22と、パーシャルオーバーオール算出部(パーシャルオーバーオール算出手段)23と、打力判別部(打力判別手段)24と打撃データ関連付け部(打撃データ関連付け手段)25とを備えている。打力判別閾値設定部20は、図4に示すように、パソコン8の表示部に表示される判別条件設定画面V1において、作業員がハンマで打撃する際の打力の強弱または適正を判別する打力判別の閾値を入力すると、打力判別閾値として設定するようになっている。打力判別閾値は、作業員の判断により、周波数について判定対象とする周波数範囲FRと、打力Pの強弱について判定対象とする打力下限値PL(単位:N)および打力上限値PH(単位:N)とにより決定される。
打力データ取得部21は、力ピックアップ5が計測した打力Pの電気信号をA/D変換器7を介してパソコン8が受け取ると打力のデジタルデータとして記録するようになっている(単位N)。第1の周波数スペクトル変換部22は、A/D変換器7を介して受け取った打力データを高速フーリエ変換(FFT)により周波数解析を行い、打力に関する第1の周波数スペクトルに変換するようになっている。本実施形態では、打撃データ関連付け部25により力ピックアップ5からの打力Pのデータとマイク6からの打音Sdのデータとを関連付けし、測定データとして記録するようになっている。パーシャルオーバーオール算出部23は、第1の周波数スペクトル変換部22により変換された打力に関する第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲FRの成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオール(POA)を算出する。このパーシャルオーバーオール(POA)とオーバーオール(OA)とは次式で表される。オーバーオール(OA)は変換され解析された全周波数範囲の合計結果であり、パーシャルオーバーオール(POA)は、設定された打力判別閾値の周波数範囲FRの成分のみを抽出して合計した合計結果である。
Figure 0007053114000001
打力判別部24は、算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を、打力判別閾値の打力下限値PLと打力上限値PHと比較し、打力下限値PLより小さい場合、打撃時の打力が弱、打力下限値PL以上かつ打力上限値PH以下の場合、打撃時の打力が適正、打力上限値PHより大きい場合、打撃時の打力が強と判定し、判定結果をパソコン8の画面に表示するようになっている。
まず、打力判別閾値設定部20により設定される打力判別閾値について説明する。この打力判別の閾値は、変換された打力に関する第1の周波数スペクトルに対し、探査対象の構造体の構造と材質とに応じてそれぞれ決定される上限周波数FU(単位:Hz)と下限周波数FL(単位:Hz)との間で導かれる周波数範囲FRと、打撃時の打力Pに対し、探査対象の構造体Wの構造と材質とに応じてそれぞれ決定される打力上限値PHおよび打力下限値PLとに基づいて決定される。
この第1の実施形態では、打力判別の閾値設定に当たっては、試験体(第2の試験体)M(M1~M16)の実験を通じて、構造体Wの浮き部の打音結果のピーク値は大きく、浮きが全くないか、あるいは、顕著な浮きがない部分は、絶対値が小さくなることに着目してなされたもので、打撃時の打力Pが適正な範囲を外れた打力下限値PL未満の小さい打力の時では、「打力が弱い」と判定し、打力上限値PHを超えた大きい打力の時は「打力が強い」と判別し、打撃の失敗を注意喚起するようにしたものである。そして、適正と判断される範囲は、打力下限値PL以上、打力上限値PH以下とするようにしたことにある。
まず、打力判別の閾値設定に当たり、図5の(A)、(B)に示すように、(1)探査対象となる構造体に対応して構造や材質から導かれ健全部と浮き部とを有して試作された複数の試験体(第2の試験体)M1~M6、M11~M16として、模擬外壁W1を制作する。模擬外壁W1は、片面が塗装仕上げ、片面がタイル仕上げとなっており、各面が750mm×1000mmを1区画として6区画に分けられ、それぞれ異なる仕上げ条件が設定される(図6、図7参照)。
(2)塗装仕上げについては、塗装2種類(リシン吹き付け)、塗装下地厚3種類(30mm、20mm、10mm、図6参照)を組み合わせた6種類の条件(M1~M6)が用意されている。浮き部分は、塗装下地の下に厚さ1mmのコルクボードを挟むことで作製される。
(3)タイル仕上げについては、図7に示すように、各区画は1種類のタイルで仕上げられており、合計6種類のタイル(材質、表面形状、大きさおよび厚さ)で仕上げ条件が用意されている(下地厚さは全て10mm)。浮き部分は、厚さ1mmのコルクシートをタイルと下地の間に挟む条件(タイル浮き)とタイル下地の下にコルクシートを挟む条件(下地浮き)との2条件がそれぞれのタイル仕上げに対して用意されている(M11~M16参照)。模擬外壁W1の各区分の塗装仕上げ条件を図6および図7に、塗装仕上げの浮き部(中抜き矩形部で表示)の配置を図8に、タイル仕上げの下地浮き(中抜き矩形部で表示)とタイル浮き(斜線入り矩形部で表示)との各配置を図9にそれぞれ示す。
(4)この模擬外壁W1を用いて打撃試験を行い打力データと打音データとを収集するにあたり、模擬外壁W1では、塗装仕上げとタイル仕上げとの両方を有する試験体となっているが、探査対象となる構造体に鑑みて、塗装仕上げのデータを用いて打力判別の閾値を求める。
(5)次に、既知の現状の判定パラメータを設定する(図10、図34参照)。既知の現状の判定パラメータは模擬外壁W1に対応した外壁を用いた打撃試験により収集されたデータに基づいて設定される。この現状の判定パラメータでは、打音の周波数範囲を500~10,000Hzとし、最適打撃力範囲を10~25Nとしている。最適打撃力範囲10~25Nは後述するように、きわめて弱い打力である。
打力判別の閾値のうち、打力に基づく周波数範囲FRについては、試験体M1~M6(M1~M6はそれぞれ塗装1~塗装6に相当し、中抜き矩形部は下地浮きを示す。図8参照)を用いた検査において、専門家が健全と判断した箇所および浮き部あり(空隙あり、劣化あり)と判断した箇所について、複数の検査員(例えば、検査員1と検査員2)で所定間隔毎に打撃試験(官能試験)を行い、各試験体毎に、専門家が健全または浮き部ありと判定した箇所と、それぞれの検査員1、2が健全または浮き部ありと判定した箇所との比較を行い(図11参照、「塗装1~6(M1~M6)」に相当するのが試験体)、一致の割合が高いと判定の信憑性が高くなる。このように、これら試験体M1~M6は、図8に示すように、一部に浮き部を設けて構成される。打撃時に、打力に関する第1の周波数スペクトル成分が導かれるので、健全部と浮き部との差が反映された周波数スペクトル成分から上限周波数FU(Hz)と下限周波数FL(Hz)とを求め、これら上限周波数FUと下限周波数FLとの間で打力閾値となる周波数範囲FR(FU~FL(Hz))を導くことができる(図4の画面V1の「打力閾値」の「トリガモード」における「上限周波数」、「下限周波数」の欄参照)。
打力判別の閾値のうち、打力P(単位N)については、前記試験体(塗装1~6)のうち、例えば、探査対象の構造体に対応する2個の試験体(塗装2(M2)と塗装5(M3))について、予め、適切な打撃力の範囲を予想により設定する。例えば、現状の判定パラメータに示されるように、非常に軽く構造体壁面を打撃する打力である10~25Nの範囲に設定する(「打撃力:弱」と仮定)。次に、前記試験体M2、M5に打撃を行う複数の測定員(例えば、一方の測定員1と他方の測定員2とによる官能試験)に、前記予想により設定した10~25Nの範囲より強い打撃力で、しかも、各測定員が適度に打撃しやすい強さで打撃を行ってもらい打力の強さ(単位N)を、「打撃力:中」とする。さらに、非常に強く打撃する場合で、探査対象の構造体壁面を破損する恐れがある程度の強さを「打撃力:強」とする。
次に、複数の測定員1、2がそれぞれ、打撃力を変化させて2個の試験体M2、M5(塗装2と塗装5)を所定の間隔(2cm)で多数回(49回)打撃した際の打撃力の変化を図12の(A)、(B)と図13の(A)、(B)にそれぞれ示す。図12の(A)、(B)はそれぞれ、模擬外壁W1の塗装2:M2の浮き部No.2について、一方の測定員1の打撃試験の結果と他方の測定員2の打撃試験の結果を示す。打撃力の変化を見ると、各測定員に打撃力を弱の感覚で打撃してもらった「打撃力:弱」については、いずれの測定員1、2の結果も現状の判定パラメータにおける25N以下に収まっており、変動幅も小さい。打撃力を中にして打撃してもらった「打撃力:中」については、下限値として25Nを設定し、各測定員が診断しやすい強さで実験を行ったが、概ね50N以下の状態が多く見られる。打撃力を強の感覚で打撃してもらった「打撃力:強」については、各測定員が壁面を破損しない程度に可能な限り強く打撃したが、各打撃毎に打撃力にばらつきが見られるとともに、実際には、打撃力が50N以下の、「打撃力:中」とあまり変わらない強さで打撃を行っているケースが多く見られる。このことから、測定員にとって診断のしやすい打撃強さは、概ね、50N以下であることが推認される。
同様に、図13の(A)、(B)はそれぞれ、模擬外壁W1の塗装5:M5の浮き部No.2について、一方の測定員1の打撃試験の結果と他方の測定員2の打撃試験の結果を示す。これらの結果から打撃力の変化を見ると、各測定員に打撃力を弱で打撃してもらった「打撃力:弱」については、いずれの測定員1、2の結果も現状の判定パラメータにおける25N以下に収まっており、「打撃力:中」については、下限値として25Nを設定し、各測定員が診断しやすい強さで実験を行ったが、概ね50N以下の状態が多く見られる。「打撃力:強」については、一方の測定員1に関しては、実際に打撃力が50N以下の、「打撃力:中」とあまり変わらない強さで打撃を行っているケースが多く見られる(図13の(A)参照)。他方、測定員2については、50N以上が多数であるものの、測定員2の「打撃力:中」については、概ね50N以下の状態がほとんどである。このため、各測定員にとって診断のしやすい打撃強さは、概ね、50N以下であることが導かれる。これらのことから、現状の判定パラメータで最適打撃力で設定された設定値10~25Nに対して、模擬外壁W1の構造および材質について実際に測定された結果から、適正な打力の範囲を25~50Nと導く。
こうして、健全部と浮き部との差が反映された打力に関する第1の周波数スペクトル成分から上限周波数FUと下限周波数FLとが求められ、これら上限周波数FUと下限周波数FLとの間の周波数範囲FR(FU~FL(Hz)、例えば、0~5,000Hz)と、打力下限値PL(例えば、25N)と打力上限値PH(例えば、50N)とが、パソコン8の表示部に表示される判別条件設定画面V1において、作業員により入力されると、打力判別閾値設定部20は、打力判別閾値として設定する(図4、図14参照)。すると、パーシャルオーバーオール算出部23は、周波数範囲FRの成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオール(POA)を算出する。打力判別部24は、算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を、打力判別閾値の打力下限値PLと打力上限値PHと比較し、打力下限値PLより小さい場合、打撃時の打力が弱、打力下限値PL以上かつ打力上限値PH以下の場合、打撃時の打力が適正、打力上限値PHより大きい場合、打撃時の打力が強と判定して、パソコン8の表示部に表示される判定画面V2(図15参照)で、打力の強弱を表示し、打力下限値PLより小さい場合と打力上限値PH以上の場合、警告音を発して打撃を行う作業者に注意を喚起するようになっている。なお、図15の判定画面V2において、○符号1は、打撃の打力判定結果を、○符号2は、計測された打撃の時間波形を、○符号3は、打音の判定結果を、○符号4は、基準化された打音の周波数解析結果をそれぞれ表示するようになっている。
次に、上記第1の実施形態に係る劣化探査装置2の作用に基づいて、構造体の劣化探査方法について説明する。まず、図16に示すように、打力判別閾値を以下のようにして設定する。探査対象の構造体Wに対応する試験体M(M1~M16)を健全部と浮き部を設けて製作し(図6、図7参照)、複数の検査員1、2でインパクトハンマ3を用いて所定間隔で多数箇所打撃する。力ピックアップ5は打力Pの強弱を電気信号で収集し、A/D変換器7を介してパソコン8に送信する。パソコン8は、受け取った打力データを取り込むと、打力データ取得部21により打力Pの大きさを記録する。打撃データ関連付け部25は、1打撃毎に力ピックアップ5により取り込まれた打力データとマイク6により取り込まれた打音データとを関連付けし、記録するようになっている。第1の周波数スペクトル変換部22は、力ピックアップ5を通じてA/D変換器7から受け取った打力データを高速フーリエ変換により周波数解析を行い、打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する。これら複数の検査員1、2で打撃試験を行った結果と専門家が判断した結果(図11の(A)、(B)参照)とに基づいて、一致の割合が高い試験体M(M1~M16)のデータから、つまり、健全部と浮き部との差が反映された周波数スペクトル成分から上限周波数FUと下限周波数FLとを求め周波数範囲FRを設定する(図16参照)。
また、図12の(A)、(B)および図13の(A)、(B)に示すように、複数の測定員1、2がそれぞれ、打撃力を変化させて複数の試験体M(M2、M5)を所定の間隔で多数回打撃した際の打撃力の変化から、打撃力の打力上限値PHと打力下限値PLを設定する(第1の工程S1、図16参照)。こうして打力に関する判別閾値が設定される。なお、上限周波数と下限周波数および打力下限値と打力上限値は、すでに探査対象の構造体に対する判定パラメータが判明している場合、図10に示す既知の現状の判定パラメータの値を参考に設定してもよい。また、試験体Mを用いなくとも、現場の探査対象の構造体について、健全部と浮き部との差が反映された周波数スペクトル成分が判明すれば、この周波数スペクトル成分から上限周波数と下限周波数とを求めて設定するようにしてもよい。こうして、打力判別閾値設定部20により打力判別閾値が設定される。
次に、実際の探査対象の構造体W(例えば、駅舎の壁面)を作業員がインパクトハンマ3で打撃すると、打撃時の衝撃のうち、打力Pは力ピックアップ5により、衝撃時の打音Sdはマイク6によりそれぞれ電気信号としてA/D変換器7に送られ、A/D変換器7は、それぞれ受け取ったアナログ信号をデジタル信号に変換してパソコン8に送信し、各データをパソコン8に取り込む(第2の工程S2)。パソコン8の打力データ取得部21は、計測された打力Pの大きさを単位Nで記録し、第1の周波数スペクトル変換部22は、取り込んだ打力のデータに対し高速フーリエ変換により周波数解析を行い、打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する(第3の工程S3)。次に、パーシャルオーバーオール算出部23により、第1の周波数スペクトル変換部22で変換された打力に関する第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲FRの成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオール(POA)を算出する(第4の工程S4、数1参照)。
次に、打力判別部24により、パーシャルオーバーオール算出部23で算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を、打力判別閾値の打力下限値PLと打力上限値PHと比較し、打力下限値PLより小さい場合、打撃時の打力が弱で、適正範囲外と判別し、打力下限値PL以上かつ打力上限値PH以下の場合、打撃時の打力が適正の範囲と判別し、打力上限値PHより大きい場合、打撃時の打力が強で適正範囲外と判別し、打力が適正の範囲の場合、後述する基準化部113、213に適正の判別結果を出力する(第5の工程S5)。つまり、打力判別部24は、打力が弱または強と判別された範囲外のデータについては基準化をさせないよう設定され、打力が適正の範囲の場合のみ適正信号を送るようになっている。打力判別部24により判別がなされると、パソコン8の表示部に表示される判定画面V2(図15参照)で、打力の強弱または適正を表示し、打力下限値PLより小さい場合と打力上限値PH以上の場合、警告音を発して打撃を行う作業者に注意を喚起する(第6の工程S6)。このため、作業者は、打撃の力が強い場合や弱い場合には、打撃をやり直すことができる。また、適正な打力範囲の打撃が行われることにより、データの信頼性が向上する。そして、第5の工程S5で、打撃時の打力が適正と判別された場合には、後述する第2、第3実施形態に示される打音の判定と関連付けされて、打音の判定から健全部、浮き部、不明部の判定がなされるようになっている。すなわち、打力が弱すぎる場合や強すぎる場合、健全部か否かの判定から除外されるようになっている。つまり、後述する基準化部113、213は、打力が弱または強と判別されたデータは基準化の対象から除くようになっている。
上記第1の実施形態では、上述のごとく、打力判別の閾値設定に当たっては、試験体Mの実験を通じて、構造体の浮き部の打音結果のピーク値は大きく、浮きが全くないか、あるいは、顕著な浮きがない部分は、絶対値が小さくなることに着目してなされたものである。これに対し、以下の実施形態では、打撃の際、打撃の力の大小がある範囲内で打音の大小に比例するので、打音を打力で基準化した周波数範囲のピーク値は、健全部と浮き部でそれぞれ一定の値を示す点に着目してなされたもので、適切な打力で打撃した場合、より正確な判別が可能になる。以下の実施形態では、打音を打力で基準化する着想に基づいて説明する。
まず、本発明の第2の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置102について説明する。本実施形態に係る劣化探査装置102は、上記第1の実施形態に係る構造体Wの劣化探査方法に用いられる劣化探査装置2が、打力の強弱を判別し、打力が適切な打力より強かったり、弱かったりした場合、作業者に注意を喚起するようにしているのに対し、打力が適切な場合に、打音データを打力データで基準化し、構造体が健全か否かを判別するようにした点が異なっている。つまり、本実施形態に係る劣化探査装置102では、パソコン108は、測定打音データ取得部(測定打音データ取得手段)111と、第2の周波数スペクトル変換部(第2の周波数スペクトル変換手段)112と、打音を打力で基準化し、基準化音圧を割り出す基準化部(基準化手段)113と、基準化音圧のピーク値を算出するピーク値算出部(ピーク値算出手段)114と、健全部かどうかの閾値を設定する第1の健全部判定閾値設定部(第1の健全部判定閾値設定手段)115とを備えている点を除き、前記第1の実施形態とほぼ同一の構成を備えている。すなわち、健全かどうかの判定を、基準化された音圧スペクトルの絶対値(基準化音圧PaまたはN)で判定するようにしている。言い換えれば、導かれた適正な打力の範囲25~50Nと、その範囲より弱い打力と、その範囲より強い打力とにより分けられる打撃の大小に対し、このような打撃の大小がある範囲内で打音の大小に比例するので、打音を打力で基準化する。つまり、打音を打力で基準化した周波数範囲のピーク値は、健全部と浮き部でそれぞれ一定の値を示すので、打撃時の打音から打音に関する第2の周波数スペクトルを求め、求められた第2の周波数スペクトルを打力で基準化するようにしている。
第2の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置102では、図17に示すように、パソコン108は、打力判別閾値設定部20と、打力データ取得部21と、第1の周波数スペクトル変換部22と、パーシャルオーバーオール算出部23と、打力判別部24と打撃データ関連付け部25とを備えるとともに、測定打音データ取得部111と、第2の周波数スペクトル変換部112と、基準化部113と、ピーク値算出部114と、第1の健全部判定閾値設定部115と、第1の健全性判定部116とを備えて構成される。
測定打音データ取得部111は、打撃時、マイク6から打音の電気信号がA/D変換器7を介してコンピュータ108に送信されると、打音データを記録するとともに、第2の周波数スペクトル変換部112に出力するようになっている。第2の周波数スペクトル変換部112は、計測された打音データを受け取ると、周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換し基準化部113に出力するようになっている。基準化部113は、打力判別部24から打力が適正範囲の判別結果が送られてくると、パーシャルオーバーオール算出部23により算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を用いて打音に関する第2の周波数スペクトルを基準化し打音を打力で基準化した音圧スペクトルを導き、導かれた音圧スペクトルをピーク値算出部114に出力するようになっている。
打音に基づく周波数スペクトルの基準化は、Piを打音のi番目のスペクトル成分とし、PiAVEをi番目の基準化したスペクトル成分としたとき、PiAVE=Pi/(算出された打力のパーシャルオーバーオール(POA))の式により求められる。
ピーク値算出部114は、基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出し、算出されたピーク値を第1の健全性判定部116に出力するようになっている。ピーク値の算出は、周波数解析された各スペクトル成分のうち、最大値をとるスペクトル成分の値をピーク値とする。第1の健全部判定閾値設定部115は、作業員により、算出された基準化音圧スペクトルのピーク値に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う第1の健全閾値と第1の境界閾値とを含む判定閾値を、これら閾値を後述する第1の健全部判定閾値として設定するようになっている。第1の健全性判定部116は、算出されたピーク値を第1の健全部判定閾値と比較し、ピーク値が第1の健全閾値以下のとき、健全と判定し、ピーク値が第1の健全閾値より大きく第1の境界閾値以下のとき、健全性不明と判定し、ピーク値が第1の境界閾値より大きいとき、浮きありと判定するようになっている。判定閾値は作業員によりそれぞれ入力されてもよいし、予め決められていてもよい。
作業員により入力される第1の健全閾値と第1の境界閾値とを含む判定閾値について説明する。本実施形態では、図18に示すように、探査対象の構造体Wについて、健全部についてのリファレンスデータ(参照データ、教師データ)を使用しない、あるいは、そのようなデータがない場合に適用される。すなわち、打音データから導かれ打力で基準化された音圧の絶対値を第1の健全部判定閾値に基づいて判定するようにしている。
図19の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員1が、異なる打力で打撃した際に得られた打音の周波数特性の変化を示すグラフで、「打撃力:弱(25Nより小さい)」、「打撃力:中(適正な打力:25~50N)」、「打撃力:強(50Nより大きい)」の異なる打力で模擬外壁W1の塗装2(試験体M2)の浮き部No.2の全面を、2cm間隔で打撃した際の打音の周波数分析結果である(図8のM2参照)。横軸に周波数(Hz)を、縦軸に、算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を用いて打音に関する第2の周波数スペクトルを基準化し打音を打力で基準化した音圧スペクトル(Pa/N)を示す。図20の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員2が同様に打撃した際に得られた打音の周波数特性の変化を示すグラフである。これら図19および図20に示すいずれのグラフにおいても、6,500Hz付近に鋭いピークが生じている様子が見られるが、これは、インパクトハンマ3のマイク6が打撃時の振動を拾ってしまったことによるノイズである。
その他のピークに着目すると、塗装2:M2の浮き部No.2については、5,500Hz付近に緩やかな盛り上がりが生じているケースが見られる。これが浮きに起因したピークと考えられ、そのピークに着目すると、いずれの測定員1、2も従来の「打撃力:弱」よりも「打撃力:中」あるいは「打撃力:強」の方が基準化音圧が高くなっている。
同様に、図21の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員1が、異なる打力で打撃した際に得られた打音の周波数特性の変化を示すグラフで、「打撃力:弱」、「打撃力:中」、「打撃力:強」の異なる打力で模擬外壁W1の塗装5:M5の浮き部No.2の全面を、2cm間隔で打撃した際の打音の周波数分析結果である(図8のM5参照)。図22の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員2が同様に打撃した際に得られた打音の周波数特性の変化を示すグラフである。図21に示すグラフを見ると、浮きに起因したピークが生じる周波数が概ねインパクトハンマ3の衝撃時のノイズによるピークと重なっており判断が難しいが、図22に示すグラフでは、他方の測定員2の「打撃力:中」に関して、浮きに起因したピークが6,500Hz~7,000Hzの間で出現していることが確認できる。
図23の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員1が異なる打力で模擬外壁W1の塗装2:M2の浮き部No.4を打撃した際の打音の周波数分析結果であり(図8のM2参照)、図24の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員2が異なる打力で模擬外壁W1の塗装2:M2の浮き部No.4を打撃した際の打音の周波数分析結果である。また、図25の(A)ないし(C)はそれぞれ、一方の測定員1が異なる打力で模擬外壁W1の塗装5:M5の浮き部No.4を、図26の(A)ないし(C)はそれぞれ、他方の測定員2が同様に模擬外壁W1の塗装5:M5の浮き部No.4を打撃した際の打音の周波数分析結果である。これらグラフから、面積の狭い浮き部No.2について見ると、塗装2:M2では、5,500Hz付近に(図19、図20参照)、塗装5:M5では、6,500Hz~7,000Hzの間に(図21、図22参照)、それぞれ比較的周波数幅の広いピークが生じている。また、面積の広い浮き部No.4について見ると、塗装2:M2では、3,500Hz付近に(図23、図24参照)、塗装5:M5では、4,000Hz付近に(図25、図26参照)、それぞれ比較的周波数幅の広いピークが生じている。この部分に着目すると、いずれの打撃においてもピークが最大となる条件については、同程度の大きさのピークが生じている様子が確認できる。これらピークを付けた基準化音圧の大きさは、それぞれ図21および図25のグラフの縦軸(Pa/N)に示す)に示される。
図27の(A)は、模擬外壁W1の塗装2について、浮き部を有する部位に対し16カ所を打撃位置を変えながら5回繰り返し実験を行い、打撃位置毎に基準化音圧(Pa/N)を導いたグラフ、図27の(B)は、同じく塗装2について、健全部を有する部位に対し9カ所を打撃位置を変えながら5回繰り返し実験を行い、打撃位置毎に基準化音圧(Pa/N)を導いたグラフである。また、図28の(A)、(B)はそれぞれ、同様の条件で模擬外壁W1の塗装5について、浮き部を有する部位と健全部を有する部位とに対し、打撃位置を変えながら繰り返し実験を行い、打撃位置毎に基準化音圧を導いたグラフである。これら、図27の(A)のグラフには、図19、図20、図23、図24で示す塗装2の浮き部No.2、No.4についてのピーク値(縦軸の基準化音圧参照)が、図27の(B)のグラフには、塗装2の健全部についてのピーク値が、それぞれ打撃位置毎に反映されている。これら図27の(A)、(B)のグラフの比較から、作業員は、第1の健全閾値TG1(図27において「○閾値」で表示)を、例えば、8,920(Pa/N)未満、第1の境界閾値TB1(図27において「△閾値」で表示)を、例えば、22,300(Pa/N)と設定すると、第1の健全部判定閾値設定部115は、これら第1の健全閾値TG1と第1の境界閾値TB1とを第1の健全部判定閾値として設定するようになっている。塗装2と異なる構造と材質を有する塗装5についても、図28(A)、(B)に示すように、浮き部と健全部とを比較したグラフから、第1の健全閾値TG1(図28において「○閾値」で表示)を、例えば、8,920(Pa/N)未満、第1の境界閾値TB1(図28において「△閾値」で表示)を、例えば、22,300(Pa/N)と設定すると、第1の健全部判定閾値設定部115は、これら第1の健全閾値TG1と第1の境界閾値TB1とを第1の健全部判定閾値として設定するようになっている。
これら第1の健全閾値TG1と第1の健全閾値TB1とはいずれも、モデルとして製作した模擬外壁W1の試験データから導かれているが、このような模擬外壁W1を先行して製作する必要はなく、現場で探査対象の構造体W(例えば、駅舎の外壁)を打撃して、複数箇所の打撃により打音データの周波数スペクトルのピーク値から基準化音圧の絶対値を導き、閾値TG1、TB1を設定するようにすればよい。第1の健全部判定閾値設定部115により第1の健全部判定閾値(第1の健全閾値TG1と第1の境界閾値TB1)が設定されると、第1の健全性判定部116は、上述のように、算出されたピーク値を第1の健全部判定閾値TG1、TB1と比較し、ピーク値が第1の健全閾値TG1以下のとき、健全と判定し、ピーク値が第1の健全閾値TG1より大きく第1の境界閾値TB1以下のとき、健全性不明と判定し、ピーク値が第1の境界閾値TB1より大きいとき、浮きありと判定するようになっている。このとき、上記第1の実施形態で述べたように、打撃力の打力について、打力下限値PLより小さい場合と打力上限値PH以上の場合、警告音を発して打撃を行う作業者に注意を喚起するようになっている。このため、作業者は、打撃の力が強い場合や弱い場合には、打撃をやり直して、適正な打力範囲の打撃を行うことができ、適正な打力の打音データを多数収集することができる。また、多数の打音データを収集することにより、閾値を設定する際の信頼性が向上する。
次に、上記第2の実施形態に係る劣化探査装置102の作用に基づいて、劣化探査装置102を用いた構造体の劣化探査方法について説明する。まず、図29に示すように、本実施形態に係る劣化探査装置102を用いた構造体の劣化探査方法は、上記第1の実施形態に係る構造体の劣化探査方法の第1の工程S1から第5の工程S5を有している。すなわち、第1ないし第5の工程S1~S5では、作業員が、それぞれ判定対象とする周波数範囲FRと打力上下限値PH、PLとを入力すると、打力判別閾値設定部20により、打力判別閾値として設定し(第1の工程S1)、探査対象の構造体の探査時、作業員が構造体をハンマで打撃すると、打力データ取得部21は、力ピックアップ5が計測した打力Pの信号をA/D変換器7を介してパソコン108に取り込んで記録し(第2の工程S2)、第1の周波数スペクトル変換部22により、打力の信号を周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換し(第3の工程S3)、パーシャルオーバーオール算出部23により、変換された第1の周波数スペクトルのうち、第1の工程S1で設定された打力判別閾値の判定対象周波数範囲FRの成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオール(POA)を算出するようになっている(第4の工程S4)。この算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を、打力判別部24により、打力判別閾値の打力下限値PLと打力上限値PHと比較し、打力下限値PLより小さい場合、打撃時の打力が弱で、適正範囲外と判別し、打力下限値PL以上かつ打力上限値PH以下の場合、打撃時の打力が適正の範囲と判別し、打力上限値PHより大きい場合、打撃時の打力が強で適正範囲外と判別し、打力が適正の範囲の場合、基準化部113に打力適正の判別結果を出力する(第5の工程S5)。この段階で、打力判別部24により、打力が弱または強と判別された範囲外のデータは基準化の対象から除かれている。
次に、第1の健全部判定閾値を設定するに当たり、探査対象の構造体Wに対応する模擬外壁W1の試験体M(M2、M5)を打撃試験した結果に基づいて、または、現場の探査対象の構造体を直接打撃した結果に基づいて、第1の健全部判定閾値を設定する場合では、これら試験体M2、M5(現場の探査対象の構造体)を打撃して、打音データを測定打音データ取得部111によりマイク6とA/D変換器7とを通じてパソコン8に取り込んで記録し、この打音データを第2の周波数スペクトル変換部112により打音に関する第2の周波数スペクトルに変換し、この変換された第2の周波数スペクトルを基準化部113により打力で基準化し基準化音圧スペクトルを導き、導かれた基準化音圧スペクトルからピーク値算出部114によりピーク値を導き(図19~図26参照)、これらピーク値から健全部と浮き部との差(図27、図28参照)に基づいて、作業員が第1の健全閾値TG1と第1の境界閾値TW1とを含む判定閾値を決定する。作業員がこの判定閾値をパソコン8に入力すると、第1の健全部判定閾値設定部115は第1の健全部判定閾値を設定する(第7の工程S7)。なお、探査対象の構造体に対応する既知の現状の判定パラメータ(図10参照)があれば、その判定パラメータに基づいて設定してもよい。
次に、実際に現場の探査対象の構造体Wを作業員がインパクトハンマ3で打撃すると、打撃時の衝撃のうち打力Pを力ピックアップ5により、衝撃時の打音Sdをマイク6により電気信号としてそれぞれ取り込み、A/D変換器7に出力する。打力に関する周波数スペクトルへの変換については、上述の第1ないし第5の工程S1~S5に対応しているので、重複を避け省略する。A/D変換器7は、マイク6から打音の電気信号を受け取ると、デジタル信号に変換してパソコン8に送信し、測定打音データ取得部111はパソコン8に打音データを取り込むとともに、打撃データ関連付け部25は、力ピックアップ5から得られた打力データとマイク6から得られた打音データとを関連付けして記録する(第8の工程S8)。第2の周波数スペクトル変換部112は、取り込んだ打音データに対し高速フーリエ変換により周波数解析を行い、打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する(第9の工程S9)。
次に、基準化部113は、打撃データ関連付け部25で関連づけされ打力判別部24で打力が適正の範囲と判別された打音データに基づき、第4の工程S4でパーシャルオーバーオール算出部23により算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を用いて打音に関する第2の周波数スペクトルを基準化し基準化された音圧スペクトルを導く(第10の工程S10)。ピーク値算出部114は、基準化された音圧スペクトルから基準化音圧のピーク値を算出する(第11の工程S11、図19~図28の縦軸参照)。そして、第1の健全部判定部116は、算出されたピーク値を設定された第1の健全部判定閾値TG1、TW1と比較し、ピーク値が第1の健全閾値TG1以下のとき、健全と判定し、ピーク値が第1の健全閾値TG1より大きく第1の境界閾値TB1以下のとき、健全性不明と判定し、ピーク値が第1の境界閾値TB1より大きいとき、浮きありと判定する(第12の工程S12)。判定結果は、パソコン108の画面(図15参照)に表示されるとともに、メモリに記録される。このように、本実施形態に係る構造体の劣化探査方法では、適正な打力で打撃された構造体の被打撃部の健全性を直ちにかつ正確に判定することができるので、探査作業の効率化を図ることができる。また、探査対象の構造体が異なっても、異なる構造体に応じて打音データから健全性判定の閾値を作業者が画面から視覚的に設定することができるので、判定精度が向上する。
また、打撃データ関連付け部25は、力ピックアップ5から得られた打力データとマイク6から得られた打音データとを関連付けして記録するようにしているので、構造体を打撃した位置情報とリンクさせて構造体の健全部・非健全部(浮き部)を示す分布図を作成することもできる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置202について説明する。本実施形態に係る劣化探査装置202は、上記第2の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置102が、打音を打力で基準化した基準化音圧のピーク値を第1の健全性判定閾値と比較し、健全性の判定を行うようにしているのに対し、予め探査対象の構造体に対応する健全部のみから構成される試験体を作成し、この健全部のみの試験体に対し、打音のリファレンスデータを作成し、このリファレンスデータと実際に現場で探査対象の構造体を打撃して得られる打音のデータとの差を求め、この差を設定した閾値と比較し、健全性の判定を行う点が異なっている。
すなわち、第3の実施形態に係る構造体の劣化探査方法に用いられる劣化探査装置202では、まず、予め探査対象の構造体Wの構造と材質に対応し健全部のみで構成される試験体(第1の試験体)MGを製作する(図30参照)。リファレンスデータは、この健全部のみの試験体MGに基づいて作成される。そして、図31に示すように、パソコン208は、打力判別閾値設定部20と、打力データ取得部21と、第1の周波数スペクトル変換部22と、パーシャルオーバーオール算出部23と、打力判別部24と打撃データ関連付け部25とを備えるとともに、測定打音データ取得部211と、第2の周波数スペクトル変換部212と、基準化部213と、ピーク値算出部214と、第3の周波数スペクトル変換部(第3の周波数スペクトル変換手段)215と、健全部のみの試験体MGに対し、打音のリファレンスデータを作成するリファレンスデータ作成部(リファレンスデータ作成手段)216と、誤差算出部(誤差算出手段)217と、第2の健全部判定閾値設定部(第2の健全部判定閾値設定手段)218と、第2の健全性判定部(第2の健全性判定手段)219とを備えて構成される。
測定打音データ取得部211は、試験体MGの打撃時、マイク6から打音の電気信号がA/D変換器7を介してコンピュータ208に送信されると、健全部の打音データとして記録するとともに、第3の周波数スペクトル変換部215に出力する。また、測定打音データ取得部211は、探査対象の構造体Wの打撃時、マイク6から打音の電気信号がA/D変換器7を介してコンピュータ208に送信されると、探査対象の打音データとして記録するとともに、第2の周波数スペクトル変換部212に出力するようになっている。第2の周波数スペクトル変換部212は、上記第2の実施形態と同様に、探査対象の構造体Wを打撃して計測された打音データを受け取ると、周波数解析して探査対象についての打音に関する第2の周波数スペクトルに変換するようになっている。基準化部213は、打力判別部24から打力が適正範囲の判別結果が送られてくると、パーシャルオーバーオール算出部23により算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を用いて探査対象の打音に関する第2の周波数スペクトルを基準化し、基準化された音圧スペクトルを導くとともに(図32の(B)の浮き部を有する部位の測定結果参照)、同じくパーシャルオーバーオール(POA)を用いて健全部の打音に関する第3の周波数スペクトルを基準化し基準化した音圧スペクトルを導くようになっている(図32の(A)参照)。ピーク値算出部214は、健全部のみの試験体MGを打撃して得られる打音について、すなわち、リファレンスデータの打音について基準化された音圧スペクトルと、探査対象の構造体Wを打撃して得られる打音について基準化された音圧スペクトルとからピーク値をそれぞれ算出し、それぞれ算出されたピーク値を誤差算出部217に出力するようになっている。第3の周波数スペクトル変換部215は、試験体MGを打撃して計測された打音データを受け取ると、周波数解析してリファレンスデータについての打音に関する第3の周波数スペクトルに変換するようになっている。
リファレンスデータ作成部216は、試験体MGを打撃して得られた音圧データが変換された第3の周波数スペクトルを、基準化部213により、打音を打力で基準化して得られた基準化音圧スペクトルが導かれると、この基準化した音圧スペクトルを、健全部を基準とするリファレンスデータとして記録するとともに(図33参照)、リファレンスデータをピーク値算出部214に出力するようになっている。誤差算出部217は、探査対象の構造体Wを打撃して測定された打音の測定結果から求められた音圧スペクトルのピーク値と、リファレンスデータに記録された音圧スペクトルのピーク値とを比較し誤差を算出するようになっている。
リファレンスデータを使用する際に算出される誤差は以下の式で求められる。
誤差(%)=[(測定結果のピーク値)-(リファレンスデータのピーク値)]/(リファレンスデータのピーク値)×100
第2の健全部判定閾値設定部218は、作業員により、探査対象の構造体Wを打撃して測定された打音の測定結果から浮き部ありと推定される基準化音圧スペクトルのピーク値(例えば、図32の(B)参照)と健全部(健全部のみの試験体MG)の打音に関して基準化された音圧スペクトルのピーク値とに基づいて、どの位の誤差で、健全か否かの判定をすべきか閾値が決定されると、この閾値を設定するようになっている。すなわち、誤差の割合ER(%)により健全か否かを決める閾値が、例えば、図35に示すように、第2の健全閾値TG2を100%以下(2倍以下)、第2の境界閾値TB2を100%より大きく(2倍より大きく)400%以下(5倍以下)とし、400%より大きい(5倍より大きい)と異常とみなしている。第2の健全部判定閾値設定部218は、これら判定閾値を第2の健全部判定閾値として設定するようになっている。第2の健全性判定部219は、算出された誤差の割合ERを第2の健全部判定閾値TG2、TB2と比較し、誤差の割合ERが第2の健全閾値TG2以下のとき、健全と判定し、誤差の割合ERが第2の健全閾値TG2より大きく第2の境界閾値TB2以下のとき、健全性不明と判定し、誤差の割合ERが第2の境界閾値TB2より大きいとき、浮きありと判定するようになっている。これら第2の健全閾値TG2、第2の境界閾値TB2等、他の判定閾値についても作業員により変更可能なので、閾値の設定を、「以下」を未満としてもよいし、「より大きい」を以上としてもよく、数値が重ならなければよい。
次に、上記第3の実施形態に係る劣化探査装置202の作用に基づいて、劣化探査装置202を用いた構造体の劣化探査方法について説明する。まず、図36に示すように、本実施形態に係る劣化探査装置202を用いた構造体の劣化探査方法は、上記第1、第2の実施形態に係る構造体の劣化探査方法の第1の工程S1から第5の工程S5を有している。第1ないし第5の工程S1~S5については、上記第1第2の実施形態で述べているので、重複を避け説明を省略する。
次に、第2の健全部判定閾値を設定するに当たり、まず、予め探査対象の構造体Wの構造と材質に対応する試験体MGを健全部のみで構成して製作する(第13の工程S13)。この健全部のみの試験体MGに対し、打音の健全部に対応するリファレンスデータを作成する。リファレンスデータは、以下の手順を経て作成される。リファレンスデータ作成部216は、作業員が、予め製作された試験体MGを打撃し、測定打音データ取得部211により試験体MGの打撃時、マイク6を通じて打音を電気信号として取り込み、A/D変換器7を介してパソコン208に送信し(第14の工程S14参照)、第3の周波数スペクトル変換部215により打音の電気信号を周波数解析して試験体MGについての打音に関する第3の周波数スペクトルに変換し(第15の工程S15参照)、基準化部213により、パーシャルオーバーオール算出部23で算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を用いて第3の周波数スペクトルを基準化し打音を打力で基準化した音圧スペクトルを導き、健全部を基準とするリファレンスデータとしてパソコン208に記録する(第16の工程S16、図32の(A)、図33参照)。ピーク値算出部214は、基準化部213から基準化音圧スペクトルを受け取ると、健全部の打音に対応する基準化音圧スペクトルのピーク値を算出して、誤差算出部217に出力する。誤差算出部217は、このリファレンスデータに記録された音圧スペクトルのピーク値を記録する(第17の工程S17)。
リファレンスデータが作成されると、次に、探査対象の構造体Wを打撃して、劣化部位を探査するのに先だって、第2の健全部判定閾値を設定する。作業員がパソコン208に、第2の健全閾値TG2と第2の境界閾値TB2とを判定閾値として入力すると、第2の健全部判定閾値設定部218は、第2の健全部判定閾値として設定する(第18の工程S18)。なお、第2の健全部判定閾値は、健全部のみの試験体MGから得られるリファレンスデータと、現場の探査対象の構造体から得られる測定結果のデータに基づいて設定されるので、作業途中で、第2の健全部判定閾値を変更し、変更された第2の健全部判定閾値に基づいて劣化探査をやり直すこともできる。
第2の健全部判定閾値が設定されると、次に、現場の探査対象の構造体Wを打撃し打力と打音を測定する。打力については、第1の工程S1ないし第5の工程S5が上記第1第2の実施形態と共通している。つまり、打力判別部24と打撃データ関連付け部25とにより、打力が適正な範囲と判別された打力データに対応する打音データのみが健全部判定の対象となる。
実際に現場の探査対象の構造体Wを作業員がインパクトハンマ3で打撃すると、打撃時の衝撃のうち打力Pのデータと打音Sdのデータとがそれぞれ、打力データ取得部21と測定打音データ取得部211とにより、力ピックアップ5とマイク6とからA/D変換器7を通じてパソコン208に取り込まれる。打力に関する周波数スペクトルへの変換については、上述の第1ないし第5の工程S1~S5に対応しているので、重複を避け省略する。これら打力Pのデータと打音Sdのデータがパソコン208に取り込まれると、打撃データ関連付け部25は、力ピックアップ5から得られた打力データとマイク6から得られた打音データとを関連付けして記録し(第19の工程S19)、第2の周波数スペクトル変換部212は、取り込んだ打音データに対し高速フーリエ変換により周波数解析を行い、構造体Wについて打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する(第20の工程S20)。
次に、基準化部213により、打撃データ関連付け部25で関連づけされ打力判別部24で打力が適正の範囲と判別された打音データに基づき、第4の工程S4で算出されたパーシャルオーバーオール(POA)を用いて構造体Wについての打音に関する第2の周波数スペクトルを基準化し基準化された音圧スペクトルを導く(第21の工程S21)。次に、ピーク値算出部214により、基準化された音圧スペクトルから基準化音圧のピーク値を算出して誤差算出部217に出力する(第22の工程S22)。そして、誤差算出部217は、構造体Wの打音に関する第2の周波数スペクトルから導かれたピーク値と、リファレンスデータ作成部216により記録されたリファレンスデータの音圧スペクトルのピーク値とを比較し、誤差ER(%)を算出し、この誤差ERを第2の健全部判定部219に出力する(第23の工程S23)。第2の健全部判定部219は、誤差算出部217から算出された誤差ERを受け取ると、この誤差ERを、第2の健全部判定閾値設定部218により設定された第2の健全部判定閾値TG2、TB2と比較し、誤差の割合ERが第2の健全閾値TG2以下のとき、健全と判定し、誤差の割合ERが第2の健全閾値TG2より大きく第2の境界閾値TB2以下のとき、健全性不明と判定し、誤差の割合ERが第2の境界閾値TB2より大きいとき、浮きありと判定する(第24の工程S24)。健全性についての判定結果は、パソコン208の判定画面V2(図15参照)で、「打音の判定結果」の欄に表示される(第25の工程S25)。
このように、第3の実施形態に係る構造体の劣化探査方法では、探査対象の構造体に対応する健全部のみから構成される試験体MGを作成し、この試験体MGに基づいて打音のリファレンスデータを作成し、このリファレンスデータと実際に現場で探査対象の構造体を打撃して得られる打音のデータとの差を求め、この差を設定した閾値と比較し、健全性の判定を行うようにしているので、健全性の判定の精度がより向上する。
なお、上記各実施形態では、周波数範囲FRと、打力上限値PHおよび打力下限値PLはそれぞれ、探査対象の構造体Wの構造と材質とに応じて決定されているが、これに限られるものではなく、構造または材質で特有の打音スペクトルの特徴または傾向を示すものであれば、これら特徴または傾向を既知データとして利用することができるので、探査対象の構造体の構造または材質とのうち少なくともいずれか1に応じて決定してもよい。また、上記第2の実施形態では、探査対象となる構造体に応じて第2の試験体を製作し、第2の試験体を打撃して周波数スペクトルから健全部と浮き部との差異を求め、この差異に基づいて閾値を決めて判定を行い、上記第3の実施形態では、健全部のみの第1の試験体からリファレンスデータを作成し、探査対象の構造体Wとリファレンスデータとの差の割合に基づいて閾値を決めて判定を行うようにしているが、これに限られるものではなく、打力と打音について既知の判定パラメータがある場合、それを利用してもよいことは言うまでもない。さらに、上記第2第3の実施形態では、基準化部は、パーシャルオーバーオール(POA)を用いて打音に関する第2の周波数スペクトルまたは第3の周波数スペクトルを基準化するようにしているが、これに限られるものではなく、所定の周波数成分(例えば、500Hz~10kHz)の積分値を用いて行うようにしてもよい。また、上記第3の実施形態では、周波数スペクトル変換部を、第2の周波数スペクトル変換部212と第3の周波数スペクトル変換部215とで独立に構成しているが、これに限られるものではなく、探査対象の構造体から収集される打音データも試験体MGから収集される打音データも単独かつ共通の周波数スペクトル変換部により周波数スペクトルに変換するようにしてもよいことは言うまでもない。さらに、上記各実施形態では、CPUと記憶部と入力部と出力表示部とを有するコンピュータとしてパソコンを用いているがこれに限られるものではなく、各機能を備えたソフトウェアやアプリケーションがインストールされた携帯端末を用いてもよい。また、上記各実施形態では、データ処理手段としてパソコンを用いているがこれに限られるものではなく、力ピックアップやマイクからの打力データや打音データを通信を通じてインターネットに接続されたデータ処理手段に送信し、処理結果を現場の作業員が受け取るようにしてもよい。
2、102、202 劣化探査装置
3 インパクトハンマ(ハンマ)
5 力ピックアップ
8、108、208 パソコン(コンピュータ)
20 打力判別閾値設定部(打力判別閾値設定手段)
21 打力データ取得部(打力データ取得手段)
22 第1の周波数スペクトル変換部(第1の周波数スペクトル変換手段)
23 パーシャルオーバーオール算出部(パーシャルオーバーオール算出手段)
24 打力判別部(打力判別手段)
FR 周波数範囲(判定対象周波数範囲)
PL 打力下限値
PH 打力上限値
W 構造体

Claims (21)

  1. 探査対象である構造体に対するハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、
    判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、
    打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、
    打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、
    変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、
    算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力上下限値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備え、
    打力判別閾値設定手段が、探査対象である構造体の健全部と浮き部との差が反映された、打力に関する第1の周波数スペクトルの周波数成分から求められる上限周波数と下限周波数との間の周波数範囲を、上記打力判別閾値の周波数範囲として定めることを特徴とする構造体の劣化探査装置。
  2. 打力データに基づいて、打撃時の打力が適正か否かを判別した結果を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の構造体の劣化探査装置。
  3. ハンマによる打撃時の打音を検知し打音の信号を出力するマイクと、
    打撃時、マイクからの打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込む測定打音データ取得手段と、
    打音データを周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第2の周波数スペクトル変換手段と、
    パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導く基準化手段と、
    基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出するピーク値算出手段と、
    算出された基準化音圧スペクトルのピーク値に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第1の健全部判定閾値として設定する第1の健全部判定閾値設定手段と、
    算出されたピーク値を第1の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部位の健全性を判定して判定結果を表示する第1の健全性判定手段とを備えて構成され、
    探査対象の構造体の探査時、構造体をハンマで打撃すると、マイクからの打音の信号を周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換し、算出されたパーシャルオーバーオールを用いて変換された第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを導き、基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出し、算出されたピーク値を、設定された第1の健全部判定閾値と比較し、被打撃部が健全か否かを判定して表示するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の構造体の劣化探査装置。
  4. 測定打音データ取得手段により、予め探査対象の構造体に対応する構造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部のみを形成して製作された第1の試験体を打撃して、マイクにより打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込み、第3の周波数スペクトル変換手段により第1の試験体について取り込まれた打音データを周波数解析して打音に関する第3の周波数スペクトルに変換し、基準化手段により、パーシャルオーバーオール算出手段で算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第3の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導き、健全部を基準とするリファレンスデータとして記録するリファレンスデータ作成手段と、
    探査対象の構造体を打撃して測定された打音の測定結果から求められた音圧スペクトルのピーク値と、リファレンスデータに記録された音圧スペクトルのピーク値とを比較し誤差を算出する誤差算出手段と、
    算出された誤差に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第2の健全部判
    定閾値として設定する第2の健全部判定閾値設定手段と、
    算出された誤差を第2の健全部判定閾値と比較し、被打撃部の健全性を判定して判定結果を表示する第2の健全性判定手段とを備えて構成され、
    リファレンスデータ作成手段により作成された健全部を基準とするリファレンスデータの音圧スペクトルのピーク値と、探査対象の構造体を打撃して得られた音圧スペクトルのピーク値とを比較して求められた誤差を、設定された第2の健全部判定閾値と比較し、被打撃部が健全か否かを判定して表示するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の構造体の劣化探査装置。
  5. 打力判別手段は、算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較し、打力下限値より小さい場合、打撃時の打力が弱、打力下限値以上かつ打力上限値以下の場合、打撃時の打力が適正、打力上限値より大きい場合、打撃時の打力が強と判別するよう構成され、
    算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較する際、打力下限値より小さい場合、打撃時の打力が弱、打力下限値以上かつ打力上限値以下の場合、打撃時の打力が適正、打力上限値より大きい場合、打撃時の打力が強と判別し、弱と強の場合、適正の範囲外と判別し、適正の場合、適正の範囲内と判別することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  6. 打力判別閾値は、予め探査対象の構造体に対応する構造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部と浮き部とを形成した第2の試験体を製作し、第2の試験体の打撃により健全部と浮き部との各周波数スペクトルの差異を求め、この差異に基づいて判定対象周波数範囲を決定するとともに、
    複数の検査員が異なる打力で前記第2の試験体に打撃試験を行った結果に基づいて打力上限値と打力下限値とを決定することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  7. 打力判別閾値は、探査対象の構造体に対応する既知の判定パラメータを用いて設定され、判定パラメータに示された判定対象周波数範囲または打力上下限値のうちいずれか1により決定されることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  8. 第1の健全部判定閾値設定手段は、算出された基準化音圧スペクトルのピーク値に対し被打撃部がほぼ健全性ありと見なす第1の健全閾値とこの第1の健全閾値より高い値であってこれを超えるとほぼ浮き部ありと見なす第1の境界閾値とを含む判定閾値を、第1の健全部判定閾値として設定されるよう構成されるとともに、
    第1の健全性判定手段は、算出されたピーク値が第1の健全閾値以下のとき、健全と判定し、ピーク値が第1の健全閾値より大きく第1の境界閾値以下のとき、健全性不明と判定し、ピーク値が第1の境界閾値より大きいとき、浮きありと判定することを特徴とする請求項3ないし7のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  9. 第1の健全部判定閾値は、現場の探査対象の構造体を打撃して得られた打撃試験の打音データ、第2の試験体を打撃して得られた打撃試験の打音データまたは探査対象の構造体に対応する既知の判定パラメータのうちいずれか1に基づいて設定されることを特徴とする請求項6ないし8のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  10. 第1の健全部判定閾値は、現場の探査対象の構造体の打撃試験の打音データまたは第2の試験体の打撃試験の打音データに基づく場合、測定打音データ取得手段により取り込まれた打音データを、第2の周波数スペクトル変換手段により打音に関する第2の周波数スペクトルに変換し、この変換された第2の周波数スペクトルを基準化手段により基準化し
    て基準化音圧スペクトルを導き、導かれた基準化音圧スペクトルからピーク値算出手段によりピーク値を導き、健全部と浮き部とのピーク値の差に基づいて、被打撃部が健全か否かの判定を行う第1の健全閾値と第1の境界閾値とを決定することを特徴とする請求項6ないし9のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  11. 第2の健全部判定閾値設定手段は、算出された誤差に対し、被打撃部がほぼ健全性ありと見なす第2の健全閾値とこの第2の健全閾値より高い値であってこれを超えるとほぼ浮き部ありと見なす第2の境界閾値とを含む判定閾値を、第2の健全部判定閾値として設定するよう構成されるとともに、
    第2の健全性判定手段は、算出された誤差が第2の健全閾値以下のとき、健全と判定し、誤差が第2の健全閾値より大きく第2の境界閾値以下のとき、健全性不明と判定し、誤差が第2の境界閾値より大きいとき、浮きありと判定することを特徴とする請求項4ないし7のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  12. 打力判別手段により打力が適正範囲と判別された打音のデータについて、健全性の判定が行われることを特徴とする請求項3ないし11のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  13. 力ピックアップから受け取った打力データとマイクから受け取った打音データとを関連付けて記録する打撃データ関連付け手段を備え、
    健全性の判定を、探査対象の構造体に対する打撃時の打力が適正範囲と判別された打音データについて行うとともに判定結果を記録することを特徴とする請求項3ないし12のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  14. 探査対象の構造体を打撃した位置を特定して記録する打撃箇所特定手段と、
    健全性の判定結果と打撃位置とを関連づけて記録するとともに構造体に浮きが存在する場所を表示して分布図を作成する分布図作成手段とを備えたことを特徴とする請求項13に記載の構造体の劣化探査装置。
  15. リファレンスデータは、探査対象の構造体に対応する既知のリファレンスデータが用いられることを特徴とする請求項4ないし14のうちいずれか1に記載の構造体の劣化探査装置。
  16. 探査対象である構造体に対するハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、
    判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する打力判別閾値設定手段と、
    打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを設定された打力判別閾値の打力上下限値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備え
    打力判別閾値設定手段が、探査対象である構造体の健全部と浮き部との差が反映された、周波数解析された打撃データの周波数成分から求められる上限周波数と下限周波数との間の周波数範囲を、上記打力判別閾値の周波数範囲として定め、
    打力判別手段が、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、設定された打力判別閾値の上下限値と比較することを特徴とする構造体の劣化探査装置。
  17. 探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の衝撃を周波数解析し、設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する劣化探査装置を用いた構造体の劣化探査方法であって、
    劣化探査装置を、
    ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する力ピックアップと、
    判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値として設定する打力判別閾値設定手段と、
    打撃時、力ピックアップから打力の信号を処理して打力データとして取り込む打力データ取得手段と、
    打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第1の周波数スペクトル変換手段と、
    変換された第1の周波数スペクトルのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出するパーシャルオーバーオール算出手段と、
    算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する打力判別手段とを備えて構成し、
    判定対象とする周波数範囲と打力上下限値とを、打力判別閾値として設定する第1の工程と、
    探査対象の構造体の打撃時、力ピックアップからの打力の信号を処理して打力データとして取り込む第2の工程と、
    打力データを周波数解析して打力に関する第1の周波数スペクトルに変換する第3の工程と、
    変換された第1の周波数スペクトルのうち、第1の工程で設定された打力判別閾値の判別対象周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、パーシャルオーバーオールを算出する第4の工程と、
    算出されたパーシャルオーバーオールを、打力判別閾値の打力下限値と打力上限値と比較し、打力が適正の範囲内にあるか否か判別する第5の工程とを有し、
    第1の工程において、探査対象である構造体の健全部と浮き部との差が反映された、打力に関する第1の周波数スペクトルの周波数成分から求められる上限周波数と下限周波数との間の周波数範囲を、打力判別閾値の周波数範囲として定めることを特徴とする構造体の劣化探査方法。
  18. 打力データに基づいて、打撃時の打力が適正か否かを判別した結果を報知する報知手段を備えて構成し、
    第5の工程で得られた判別結果を報知する第6の工程を有することを特徴とする請求項17に記載の構造体の劣化探査方法。
  19. 劣化探査装置は、ハンマによる打撃時の打音を検知し打音の信号を出力するマイクと、
    打撃時、マイクからの打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込む測定打音データ取得手段と、
    打音データを周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第2の周波数スペクトル変換手段と、
    パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導く基準化手段と、
    基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出するピーク値算出手段と、
    算出された基準化音圧スペクトルのピーク値に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第1の健全部判定閾値として設定する第1の健全部判定閾値設定手段と、
    算出されたピーク値を第1の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部位の健全性を判定して表示する第1の健全性判定手段とを備えて構成され、
    判定閾値を第1の健全部判定閾値として設定する第7の工程と、
    探査対象の構造体の打撃時、マイクからの打音の信号を処理して打音データとして取り込む第8の工程と、
    打音データを周波数解析して打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第9の工程と、
    パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを導く第10の工程と、
    基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出する第11の工程と、
    算出されたピーク値を、設定された第1の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部が健全か否かを判定して表示する第12の工程とを有することを特徴とする請求項18に記載の構造体の劣化探査方法。
  20. 劣化探査装置は、測定打音データ取得手段により、予め探査対象の構造体に対応する構
    造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部のみを形成して作製された第1の試験体を打撃して、マイクにより打音の信号をデータ処理して打音データとして取り込み、第3の周波数スペクトル変換手段により第1の試験体について取り込まれた打音データを周波数解析して打音に関する第3の周波数スペクトルに変換し、基準化手段により、パーシャルオーバーオール算出手段で算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第3の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化した音圧スペクトルを導き、健全部を基準とするリファレンスデータとして記録するリファレンスデータ作成手段と、
    探査対象の構造体を打撃して測定された打音の測定結果から求められた音圧スペクトルのピーク値と、リファレンスデータに記録された音圧スペクトルのピーク値とを比較し誤差を算出する誤差算出手段と、
    算出された誤差に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第2の健全部判定閾値として設定する第2の健全部判定閾値設定手段と、
    算出された誤差を第2の健全部判定閾値と比較し、被打撃部の健全性を判定して表示する第2の健全性判定手段とを備えて構成され、
    予め探査対象の構造体に対応する構造または材質のうち少なくともいずれか1に応じて健全部のみを形成した第1の試験体を製作する第13の工程と、
    第1の試験体をハンマで打撃し、マイクからの打音の信号を処理して打音データとして取り込む第14の工程と、
    取り込まれた打音の信号を周波数解析して第1の試験体の打音に関する第3の周波数スペクトルに変換する第15の工程と、
    パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第3の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを、健全部を基準とするリファレンスデータとして記録する第16の工程と、
    ピーク値算出手段により、リファレンスデータの基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出する第17の工程と、
    誤差に対し被打撃部が健全か否かの判定を行う判定閾値を、第2の健全部判定閾値として設定する第18の工程と、
    探査対象の構造体をハンマで打撃し、マイクからの打音の信号を処理して打音データとして取り込む第19の工程と、
    取り込まれた打音の信号を周波数解析して探査対象の構造体の打音に関する第2の周波数スペクトルに変換する第20の工程と、
    パーシャルオーバーオール算出手段により算出されたパーシャルオーバーオールを用いて第2の周波数スペクトルを打力で基準化し、基準化された音圧スペクトルを導く第21の工程と、
    ピーク値算出手段により、第2の周波数スペクトルが基準化された音圧スペクトルからピーク値を算出する第22の工程と、
    構造体の打音に関する第2の周波数スペクトルが基準化された基準化音圧スペクトルのピーク値とリファレンスデータに基づく第3の周波数スペクトルが基準化された基準化音圧スペクトルのピーク値とを比較して誤差を算出する第23の工程と、
    算出された誤差を第2の健全部判定閾値と比較し、探査対象の構造体の被打撃部が健全か否かを判定する第24の工程と、
    判定結果を表示する第25の工程とを有することを特徴とする請求項19に記載の構造体の劣化探査方法。
  21. 探査対象の構造体をハンマで打撃し、打撃時の打撃データを設定した閾値に基づいて打力の適否を判別する構造体の劣化探査方法であって、
    打力の信号を出力可能な力ピックアップを用いて、ハンマによる打撃時の衝撃を検知し打力の信号を出力する工程と、
    判別対象とする周波数範囲と打力上下限値とに基づいて、打撃時の打力の強弱または適正範囲を判別する打力判別閾値を設定する工程と、
    打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データを設定された打力判別閾値の打力上下限値と比較し、打撃時の打力が適正か否かを判別する工程とを有し、
    打力判別閾値を設定する工程において、探査対象である構造体の健全部と浮き部との差が反映された、打力に関する第1の周波数スペクトルの周波数成分から求められる上限周波数と下限周波数との間の周波数範囲を、打力判別閾値の周波数範囲として定め、
    打力が適正か否かを判別する工程において、打力の信号に基づいて周波数解析された打撃データのうち、設定された打力判別閾値の周波数範囲の成分のみを抽出して合計し、設定された打力判別閾値の上下限値と比較することを特徴とする構造体の劣化探査方法。


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