物流システムにおいて、異なる物品が混在して主搬送経路を移動しつつ、分岐搬送経路にこれらの物品が仕分けられる必要がある場合、物品を搬送する主搬送経路の搬送方式に応じた仕分け装置を備えた仕分けコンベヤが配設される。例えば、スライドシュー押出式のスラットコンベヤ、ホイール切換式のベルトコンベヤ、ポップアップローラ式のベルトコンベヤ、ターンホイール式のローラコンベヤ等を挙げることができる。
特に、図1~4に示すスライドシュー押出式スラットコンベヤ2は、ケース物、袋物、薄物等のような形状、形態、大きさ等が異なる物品の搬送に適しており、仕分けコンベヤとして幅広く用いられている。これは、その両端部において、駆動軸5の両側に挿着されたスプロケット71、72と従動軸6の両側に挿着されたスプロケット81、82とが配設され、それらに張設されたエンドレスチェーン41、42に、物品1が載置される細長い数多くのスラット3が接続された骨格構造を有し、スラット3には、それらに沿って自在に摺動するスライドシュー13が挿入されているコンベヤである。また、スラットコンベヤ2は、搬送方向連結フレーム14とスラット方向連結フレームとが、本体スタンド101、102に架設されて装置骨組みを成し、安全運転及び装置保護のために本体カバー111、112で作動部が遮蔽されている。そして、このようなスライドシュー押出式スラットコンベヤ2を用いた仕分けシステムの代表例としては、図1に示すような構成を挙げることができる。すなわち、矢印の方向に物品1を搬送するスラットコンベヤ2を主搬送経路とし、その側部に分岐コンベヤ121、122が分岐搬送経路として接続されて仕分けゾーンS1、S2が形成され、そこで、物品1がスライドシュー13によって押し出され、スラットコンベヤ2から分岐コンベヤ121、122に物品1が仕分けされるシステムである。
このようなシステムにおいて、スライドシュー13が仕分けゾーンS1、S2で物品1を仕分けできるのは、次のような機構によってスライドシュー13が作動することによるものであり、図1~4を用いて説明する。
モーター9の回転が、駆動軸5からスプロケット71、72を介し、エンドレスチェーン41、42に伝達され、エンドレスチェーン41、42に接続された数多くの細長いスラット3が走行する。スライドシュー13は、シューカバー131、ホイール132、シュー支持軸133、及び、シュースライド134から構成されており、スラット3に沿って自在に摺動するように、スラット3がシュースライド134に挿入されると共に、シュー支持軸133に嵌合されたホイール132が、スラットコンベヤ2の各所に配設されたガイドレール171A、172A、171B、172B、221A、222A、231A、232Aに案内されるように構成されている。そのため、スライドシュー13は、スラット3が走行するに伴って直行ガイドレール171A、172A、171B、172Bに誘導されてスラット3の進行方向に移動すると共に、斜行ガイドレール221A、222A、231A、232Aに誘導されてスラット3の長手方向にも移動することができる。従って、図4に示すように、斜行ガイドレール221A、222A、231A、232A、上部左右切換装置251A、252A、及び、交差路切換装置24Aを仕分けゾーンS1、S2に配備し、公知の技術である中央情報システムに集約された物品情報に基づいた制御コンピュータの制御信号が上部左右切換装置251A、252Aを作動させることによって、スラットコンベヤ2の進行方向に搬送されているスラット3上の物品1が、スラット3の長手方向に移動するスライドシュー13によって分岐コンベヤ121、122に押し出されて仕分けされるのである。なお、図4は、一例として、上部左右切換装置251A、252Aが、電磁石式シュー支持軸切換部251A1、251A2を備えた磁気的シュー支持軸切換方式の装置が描かれているが、後述する力学的シュー支持軸切換方式等に置換することができる。
このようなスライドシュー押出式スラットコンベヤにおいては、図4に示す切換装置251A、252Aの能力が物品の仕分け処理能力に大きな影響を及ぼすため、様々な方式の切換装置が開発、改良されてきた。大別すると、磁気的シュー支持軸切換方式と力学的シュー支持軸切換方式とがある。前者は、磁力を直接切換えに利用する方式であり、後者は、様々なアクチュエータの物理的運動力を利用する方式である。そして、これらの代表的な切換方式は、図1~4に示した典型的なスライドシュー押出式スラットコンベヤの模式図を用いて説明することができる。
磁気的シュー支持軸切換方式の代表的な切換機構は、電磁石の通電及び非通電が、図3のスライドシュー13を構成するホイール132の吸引及び非吸引を誘起し、シュー支持軸133を移動中心軸とするスライドシュー13の移動方向の切換えを基本とするものである(例えば、特許文献1及び2)。
既に説明したように、図1~4のスラットコンベヤ2の上部におけるスライドシュー13は、スラット3が走行するに伴って直行ガイドレール171A、172Aに誘導されてスラット3の進行方向に移動すると共に、斜行ガイドレール221A、222A、231A、232Aに誘導されてスラット3の長手方向にも移動することができる。そのため、図4の所定の仕分け位置に配置された切換装置251A、252Aに電磁石を内蔵した電磁石式シュー支持軸切換部251A1、252A1が備えられ、制御信号の発信により通電されると、その電磁石が強磁性体で形成されるスライドシュー13下方に備えられたホイール132を吸引し、スライドシュー13が、スラット3の長手方向に移動する。逆に、通電されなければ、スラット3の進行方向に移動する。例えば、上部右直行ガイドレール171Aの内側に配備された上部右切換装置251Aの電磁石式シュー支持軸切換部251A1に、制御信号の発信により通電されると、その切換部251A1内部の電磁石がホイール132を吸引し、スラット3の進行と共に切換部251A1に沿ってホイール132が移動するので、スライドシュー13が、シュー支持軸133を移動中心として上部右直行ガイドレール171Aから上部右上流側斜行ガイドレール221Aに誘導される。そして、上部交差路切換装置24Aを経由して、上部左下流側斜行ガイドレール232Aに誘導され、スライドシュー13の長手方向への移動が完結することによって、物品1は、主搬送経路であるスラットコンベヤ2から分岐搬送経路である左分岐コンベヤ122への仕分けが完了する。
このような電磁石式シュー支持軸切換装置によれば、磁力に伴う搬送速度の限界があると考えられるものの、構造が簡単で、切換動作で接触するのはベアリングやローラ等で構成されているホイールであるため、スライドシューの切換えが円滑に行われ、騒音及び摩耗も低減することができるという特徴を有しており、広く使用されてきた。
一方、力学的シュー支持軸切換方式の代表的な切換機構は、アクチュエータの物理的運動力を利用したレール、ブロック、アセンブリ等の様々な呼称の切換部材の動作によって、スライドシュー13の移動中心軸であるシュー支持軸133が誘導され、スライドシュー13の移動方向が切換えられることを基本とするものである(例えば、特許文献3~7)。
特許文献3には、図4を用いて説明すると、所定の仕分け位置に配置された切換装置251A、252Aにおいて、電磁石式シュー支持軸切換部251A1、252A1の代わりに(図示されていない)シリンダによって作動するスイッチレールが所定の切換位置に備えられ、制御信号の発信により通電されると、そのスイッチレールが直行方向又は斜行方向に回動し、スライドシュー13のシュー支持軸133を誘導することにより、スライドシュー13が、スラット3の進行方向に移動すると共に、スラット3の長手方向にも移動する切換機構が開示されている。また、特許文献4では、スイッチレールの代わりに、スイッチアッセンブリと呼ばれるレール状切換部材が機械的又は磁気的に回動し、プッシャと呼称されているスライドシューを直行方向又は斜行方向に切換える機構が開示されている。
更に、特許文献5、6、及び、7では、それぞれ、上記レール状切換部材に代わり、エアシリンダで回動する切換ブロック、油圧シリンダで回動する振り分け案内体、リニアモータ形式の電気式伸縮駆動装置で回動する振り分け案内体が、切換部材として開示されている。
このように、力学的シュー支持軸切換方式として、様々な方式の物理的運動力を用い、様々な形態の切換部材を回動させる切換機構が開示されているが、精度の差があるものの、レバー状切換部材が回動されることによって、スライドシュー13の移動中心軸であるシュー支持軸133を直行方向又は斜行方向に誘導し、スライドシュー13の移動方向を切換える原理に変わりない。
このような力学的シュー支持軸切換方式も、レバー状切換部材とシュー支持軸が物理的に衝突するため、摩耗及びそれに伴う頻度の高い保守点検、並びに、騒音等の問題を有すると考えられるものの、確実な切換えが可能であるという特徴を有しており、広く使用されてきた。
ところが、近年、物流の量的拡大に加え、インターネットの普及による個人向け宅配ビジネスの拡大に見られる必要な時に必要な物品を手にしたいという質的拡大が、産業界だけでなく一般消費者でも強くなり、急速な物流合理化、すなわち、物流革命が要求され、推進されるようになってきたため、基本的な物流業務を果たすマテリアルハンドリング装置・機器の効率の更なる高度化が求められている。すなわち、マテリアルハンドリング装置・機器には、多種多様な物品を正確かつ迅速に搬送、移載、仕分け、及び、集約することができる能力が必要となってきた。
上述したスライドシュー押出式スラットコンベヤ等の仕分けコンベヤ装置についても例外ではなく、従来以上に、形態、重量、容積等が異なる多種多様な物品を高速で正確に仕分けする能力が求められている。
しかしながら、磁気的シュー支持軸切換方式及び力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置は、共に、スライドシューと物品との衝突による物品の横転、回転、及び、損傷等、並びに、スライドシューの誤動作を回避するため、所定の切換時間を必要とし、かつ、スライドシューの切換直後では物品と接触して仕分けすることができず仕分けコンベヤ装置の機幅に余裕を設ける必要があってその短縮が困難であると共に、更に仕分けコンベヤ装置の仕分けゾーンが搬送方向に冗長となる。これは、特に、磁気的シュー支持軸切換方式の場合、スライドシューの切換直後に物品と接触すると、この段階で磁力によるスライドシュー切換が完了していないため、物品の荷重がスライドシュー及びその支持軸に負荷されて斜行ガイドレールに向かうべき切換軌道から離脱するという問題が生じる。一方、力学的シュー支持軸切換方式の場合、スライドシューの切換直後に物品と接触すると、この段階で物理的運動力によるスライドシュー切換が完了していないため、物品の荷重がスライドシュー及びその支持軸と共に物理的運動力を伝達するレバー等に負荷されるため、物品の回転、並びに、レバーの動作不良及び破壊等の問題が生じる。
従って、これらの切換方式の仕分けコンベヤ装置は、形態、重量、容積等が異なる多種多様な物品を高速で正確かつ大量に仕分けする、また、仕分けコンベヤ装置を建屋の構造に対応させる能力が不十分であった。すなわち、これらの仕分けコンベヤ装置は、仕分け動作の正確性、安全性、及び、高速性、並びに、仕分けコンベヤ装置の小型化という点において共通の課題を有していた。
そこで、磁気的シュー支持軸切換方式では、例えば、特許文献8に示すような解決手段が提案されている。図5は、図1~4に示すスラットコンベヤの切換機構として、解決手段が施された電磁石式シュー支持軸切換方式を適用した場合の、斜行ガイドレールに誘導されるスライドシューの切換初期動作の時系列を示す平面模式図である。
従来の磁気的シュー支持軸切換方式は、次のように作動するものであった。図1~4を用いて説明する。直行ガイドレール171Aで移動してきたスラット3に挿入されているスライドシュー13は、スラット3の搬送方向の右端13-1にあり、上部右切換装置251Aで正確な切換動作が行われるため、シュー支持軸133をガイドする上部右シュー支持軸切換方向誘導ガイド261Aで切換えに適切な位置13-2に誘導され、上部右スライドシュー支持軸検知センサー291Aで検知されると、(図示されていない)制御装置に信号が送信される。次いで、制御装置から上部右切換装置251A内の上部右電磁石式シュー支持軸切換部251A1内の主電磁石(1)251A11に制御信号が送信、通電されて、スライドシュー13のホイール132は、磁力の発生によって吸引され、スラット3の長手方向及び上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1の方向13-3に移動する。更に、スラット3の搬送方向への移動に伴い、シュー支持軸133が、上部右ノーズ部251A3のシュー支持軸ノーズ251A31を備えた上部右シュー支持軸斜行方向誘導ガイド281Aでガイドされる位置13-4まで、ホイール132が補助磁石(2)251A12、補助磁石(3)251A13、及び、補助磁石(4)251A14で吸引、誘導される。その後、上部右シュー支持軸斜行方向誘導ガイド281Aで誘導されるスライドシュー13は、上部右ノーズ部251A3のホイールノーズ251A32を備えた上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1でホイール132が支えられる位置13-5まで到達し、スライドシュー13の切換えが完了する。
しかし、この切換えが完了するまで、電磁石251A11、251A12、251A13、251A14の吸引力によって切換えられるスライドシュー13を制動しなければ、スライドシューカバー131と物品1との接触によるスライドシューの誤動作が生じる。従って、所定の切換時間を必要とし、スライドシュー13の切換え直後には、スライドシューカバー131と物品1との接触による物品1の荷重が負荷されて仕分け動作には移行できず、物品1は、スラット3の右端からΔD1の間隔を隔てた位置を搬送させる必要がある。そして、このことが、磁気的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置が、スライドシューカバー131と物品1との接触までに時間を必要とし、スラットコンベヤ2の機幅を短縮することが困難であると共に、物品1の仕分けゾーンS1、S2の搬送方向が冗長になるという問題の原因となっていた。
この問題に対し、特許文献8では、図5に示すように、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1の勾配α1を、図4に示す通常の斜行ガイドレール221Aの勾配αよりも大きくすることによって、スライドシューカバー131と物品1との接触までの時間を短縮し、仕分けの高速化が図られた。
また、スライドシューカバー131と物品1との接触する位置13-6においては、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの後半部221A2の勾配α2を小さくすることによって、スライドシューカバー131と物品1との接触による物品1の横転、回転、及び、損傷等を防止し、仕分けの正確性及び安全性が保持された。
更に、物品1の横転、回転、及び、損傷等を防止するため、上部左下流側斜行ガイドレール232Aの前半部232A1の勾配は、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの後半部221A2の勾配α2とすると共に、仕分け速度を低下させないため、上部左下流側斜行ガイドレール232Aの後半部232A2の勾配α3は、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1の勾配α1と同等以上とされ、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの後半部221A2及び上部左下流側斜行ガイドレール232Aの前半部232A1の長さが短縮された。このように、特許文献8の磁気的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置は、仕分けの正確性、安全性、及び、高速性が確保できるように設計され、その結果として、図6に示すような、スライドシュー13の軌跡が描かれるように仕分けが行われるようになったのである。
しかしながら、この改良された磁気的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置でも、切換機構に基づくスラット3端部と物品1との間隔ΔD1を解消することができないため、スラットコンベヤ2の機幅の短縮が困難である。それと共に、物品1のスライドシューカバー131との接触による横転、回転、及び、損傷等を防止するため、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの後半部221A2及び上部左下流側斜行ガイドレール232Aの前半部232A1の冗長性を払拭することも困難である。
すなわち、磁気的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置には、本質的に、仕分け動作の正確性、安全性、及び、高速性、並びに、仕分けコンベヤ装置の小型化という点において、更なる改善を施す余地が残されているのである。
一方、力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置では、例えば、特許文献4に、図7に示すような解決手段が提案されている。図7は、図1~4のスラットコンベヤの切換機構として、解決手段が施されたレバー式シュー支持軸切換方式を適用した場合における、斜行ガイドレールに誘導されるスライドシューの切換初期動作の時系列を示す平面模式図である。
従来の力学的シュー支持軸切換方式は、次のように作動するものであった。図1~4を用いて説明する。直行ガイドレール171Aで移動してきたスラット3に挿入されているスライドシュー13は、磁気的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置と同様に、スラット3の搬送方向の右端13-1にあり、上部右切換装置251Aで正確な切換動作が行われるため、シュー支持軸133をガイドする上部右シュー支持軸切換方向誘導ガイド261Aで切換えに適切な位置13-2に誘導され、上部右スライドシュー支持軸検知センサー291Aで検知されると、(図示されていない)制御装置に信号が送信される。次いで、制御装置から上部右切換装置251A内の上部右レバー式シュー支持軸切換部251A2のレバー回動軸251A22を回動させるアクチュエータに制御信号が送信、通電されて、レバー251A21が直行ガイドレール171A側に開き、スライドシュー13のシュー支持軸133をスラット3の長手方向及び上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1の方向13-3に移動する。更に、シュー支持軸133が、レバー251A21に誘導されて、上部右ノーズ部251A3のシュー支持軸ノーズ251A31を備えた上部右シュー支持軸斜行方向誘導ガイド281Aでガイドされる位置13-4を経由して、上部右ノーズ部251A3のホイールノーズ251A32を備えた上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1でホイール132が支えられる位置13-5まで到達し、スライドシュー13の切換えが完了する。
しかし、この切換えが完了するまで、物品1の荷重はシュー支持軸133を介してレバー251A21で支えられので、上部右切換装置251A内の上部右レバー式シュー支持軸切換部251A2の破損を誘発するスライドシューカバー131と物品1との接触による仕分け動作には移行できず、磁気的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置と同様に、物品1は、スラット3の右端からΔD2の間隔を隔てた位置を搬送させる必要がある。そして、このことが、力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置が、スライドシューカバー131と物品1との接触までに無用な時間を必要とし、スラットコンベヤ2の機幅を短縮することが困難であると共に、物品1の仕分けゾーンS1、S2の搬送方向が冗長になるという問題の原因となっていたのである。
この問題に対し、特許文献4では、図7に示すように、スラットコンベヤ2を高速で搬送させて、仕分けの高速性を維持すると共に、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1の勾配β1を、図4に示す通常の斜行ガイドレール221Aの勾配αよりも小さくすることによって、スライドシューカバー131と物品1との接触する位置13-7において、スライドシューカバー131と物品1との接触による横転、回転、及び、損傷等を防止し、仕分けの正確性及び安全性が保持された。
また、スライドシューカバー131と物品1との接触する位置13-7以降の仕分け動作においては、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの後半部221A2の勾配β2を大きくすることによって、物品1が左分岐コンベヤ122に移載されるまでの仕分け時間を短縮し、仕分けの高速化が図られた。
更に、仕分け速度を低下させないため、上部左下流側斜行ガイドレール232Aの前半部232A1の勾配は、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの後半部221A2の勾配β2とすると共に、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの後半部221A2及び上部左下流側斜行ガイドレール232Aの前半部232A1上を高速で移動するスライドシユーがスラット3の搬送方向の所定位置に突入する際の衝撃を軽減するため、また、搬送される物品1が、左分岐コンベヤ122へ移載される際の損傷を防止するため、上部左下流側斜行ガイドレール232Aの後半部232A2の勾配β3は、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1の勾配β1と同等以下とすることも安全性確保の上で有効とされた。このように、力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置も、仕分けの正確性、安全性、及び、高速性が確保できるように設計され、その結果として、図8に示すような、スライドシュー13の軌跡が描かれるように仕分けが行われるようになったのである。
しかしながら、力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置も、切換機構に基づくスラット3端部と物品1との間隔ΔD2を解消することができないため、スラットコンベヤ2の機幅の短縮が困難である。それと共に、物品1のスライドシューカバー131との接触による横転、回転、及び、損傷等を防止するため、上部右上流側斜行ガイドレール221Aの前半部221A1の冗長性、並びに、高速で移動するスライドシユーがスラット3の搬送方向の所定位置に突入する際の衝撃軽減、及び、搬送される物品1が左分岐コンベヤ122へ移載される際の損傷防止という安全性確保のため、上部左下流側斜行ガイドレール232Aの後半部232A2の冗長性を払拭することも困難である。また、図5に示す、電磁石によるホイール誘導区間Δeと斜行ガイドレールによるホイール誘導区間Δfを合わせた電磁石式シュー支持軸切換の物品仕分け準備区間Δgと、図7に示す、レバーによるホイール誘導区間Δhと斜行ガイドレールによるホイール誘導区間Δiを合わせたレバー式シュー支持軸切換の物品仕分け準備区間Δjとを比較すると、力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置の方が冗長になっている。更に、図6の電磁石式シュー支持軸切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程ΔL1とレバー式シュー支持軸切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程ΔL2とを比較しても、力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置の方が冗長になっている。
すなわち、力学的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置には、本質的に、仕分け動作の正確性、安全性、及び、高速性、並びに、仕分けコンベヤ装置の小型化という点において、更なる改善を施す必要性が残されているのである。
更に、磁気的シュー支持軸切換方式及び力学的シュー支持軸切換方式には、スライドシューが左右直行ガイドレールを行き交う交差路においても、シュー支持軸に起因した課題がある。例えば、図4に示すように、左右上流斜行ガイドレール221A、222Aと、左右下流斜行ガイドレール231A、232Aとが交差する仕分けゾーンS1、S2近辺に、カム24A1を用いた交差路切換装置24Aが配備されている場合、この交差路切換装置24Aは、左右上流斜行ガイドレール221A、222Aにスライドシュー13が通過するために形成された切欠き部221A1、222A1において、スライドシュー13のホイール132から受ける荷重を左右上流斜行ガイドレール221A、222Aと同じように受けることができるカム24A1が左右に揺動され、スライドシュー13の移動が円滑に行われる。従来、このような交差路切換装置は、動力を必要としていたため、複雑な構造となり、交差路切換装置の占有スペースが大きくなるという問題を有していたが、特許文献11及び12等に記載されているように、スライドシューの支持軸を左右に振分けるための動力を必要としない方法が提案されてきた。しかし、このような方法は、カム等を機械的に揺動させるために、アームや弾性体等の複雑な動力伝達機構が必要であることに変わりがない上、カム等の切換機構とシュー支持軸との摩擦及びそれに伴う発熱が激しく、両者の摩耗が著しいという本質的な問題を解決するものではない。
背景技術において、詳しく説明したように、従来の磁気的シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置及びレバー式シュー支持軸切換方式の仕分けコンベヤ装置は、切換機構に基づいて、本質的に解決することが困難な、正確、安全、及び、高速な仕分け動作の実現、並びに、仕分けコンベヤ装置の小型化という課題を有している。特に、磁気的シュー支持軸切換方式及びレバー式シュー支持軸切換方式は、本質的に、スライドシューの切換えに時間を要し、切換え直後にスライドシューと物品を接触させることができないため、すなわち、スライドシューと物品とは所定の間隔を必要とするため、スライドシューと物品との接触による衝撃を完全に解消することができない上、コンベヤの機幅を短縮することができないという問題がある。また、スラットコンベヤの左右に移動するスライドシューの交差路切換装置の機構が複雑で、交差路切換装置及びシュー支持軸の摩耗が激しいという課題もある。
このような観点から、本発明は、形態や大きさ等の異なる物品を主搬送経路から分岐搬送経路に移載する仕分けコンベヤ装置、特に、スラットコンベヤ装置に取付けられて移動するスライドシューにより主搬送経路から分岐搬送経路に物品を方向転換、分配、及び、排出により移載することができるスライドシュー押出式スラットコンベヤ装置に関し、上記課題を解決し、形態、重量、容積等が異なる多種多様な物品を横転、回転、及び、損傷することなく仕分けする能力を備えると共に、高速な仕分けが可能であり、機幅及び仕分けゾーンが狭く、省スペース化可能な仕分けコンベヤ装置を提供することを目的としている。すなわち、本発明の課題は、仕分け動作の正確性、安全性、及び、高速性に優れ、小型化を実現可能な仕分けコンベヤ装置を提供することである。また、本発明は、スラットコンベヤの左右に移動するスライドシューの交差路切換装置の構造が単純で、交差路切換装置及びスライドシューの摩耗が極めて少ない仕分けコンベヤ装置の提供をも目的としている。
本発明者らは、スラットコンベヤを用いた仕分けコンベヤ装置を用いた仕分け動作として、主搬送経路から分岐搬送経路に物品を方向転換、分配、及び、排出により移載する仕分けゾーンにおいて、これを平面図として見た場合(以下同。)に、スライドシューが緩やかな勾配から急な勾配の軌跡を描くようにして、物品を仕分けすることによって、上記課題を解決することができることを見出した。特に、スライドシューを直行ガイドレールから斜行ガイドに移行させ、物品の走路切換を誘導、補助、促進する部品であるスライドシューの構造として、従来のシュー支持軸の代わりに、ベーン軸、ベーンヘルム、ベーンアームを備えたベーンを採用し、スライドシューをベーンで支えるベーンヘルムノーズ及びベーンアームノーズを、斜行ガイドレールに対して最適な構造とすること、すなわち、従来の磁気的シュー支持軸切換方式及びレバー式シュー支持軸切換方式をレバー式ベーン切換方式とすることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、物品の主搬送方向と直角方向に延伸したスラットを物品の主搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベヤと、このスラットコンベヤのスラット面を搬送方向と直角方向に移動する摺動自在なスライドシューと、このスライドシューを搬送方向に走行させる直行ガイドレール及び直角方向に走行させる斜行ガイドレールと、直行ガイドレールと斜行ガイドレールとの間でスライドシューの走路を切換える分岐部とから構成される仕分けコンベヤ装置において、仕分けを行うスライドシューが、斜行ガイドレールまでは、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配以下の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描き、斜行ガイドレールでは、斜行ガイドレール先端の勾配以上の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描く仕分けコンベヤ装置である。
本発明の仕分けコンベヤ装置は、より具体的には、物品の主搬送方向と直角方向に延伸したスラットを物品の主搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベヤと、このスラットコンベヤのスラット面を搬送方向と直角方向に移動する摺動自在なスライドシューと、このスライドシューを搬送方向に走行させる直行ガイドレール及び直角方向に走行させる斜行ガイドレールと、直行ガイドレールと斜行ガイドレールとの間でスライドシューの走路を切換える分岐部とから構成される仕分けコンベヤ装置において、シュースライドが内在されているシューカバー、このシューカバーの下方にボスを介して回動可能に連接されるベーン、及び、ホイールとから構成されており、ベーンは、ボスに回動可能に係入されるベーン軸、このベーン軸の下方に固設されるベーンアーム、及び、このベーンアームの下方に固設されるベーンヘルムから成り、ホイールは、ボスに嵌合され、ボスを介してベーン軸に回動可能に係入されているスライドシューと、分岐部にスライドシューを誘導する上流側ベーンガイドと、分岐部に直行ガイドレールを中継するように介設される下流側ベーンガイドと、分岐部の下流部分に、上流側ベーンガイドから斜行ガイドレールへ中継するように介設され、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配以下である、ベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配のベーンヘルムに接触する面を備えたベーンヘルムノーズと、分岐部の中流部分に、上流側ベーンガイドからベーンヘルムノーズへベーンヘルムを誘導可能に配備されるベーンヘルムの方向切換手段とを具備し、上述したように、仕分けを行うスライドシューが、斜行ガイドレールまでは、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配以下の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描き、斜行ガイドレールでは、斜行ガイドレール先端の勾配以上の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描く仕分けコンベヤ装置とすることが好ましい。
更に、本発明の仕分けコンベヤ装置は、上述した本発明の仕分けコンベヤ装置に備えられているスライドシューのホイールを削除したことを特徴とする仕分けコンベヤ装置である。上記スライドシューのホイールは、ベーンを備えていることによって、必ずしも必要とする部材ではなく、ホイールを取り除くことにより、ホイールの略半径に相当する時間及び距離だけ、スライドシューの切換え動作を短縮することができる。
従って、本発明の仕分けコンベヤ装置は、物品の主搬送方向と直角方向に延伸したスラットを物品の主搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベヤと、スラットコンベヤのスラット面を搬送方向と直角方向に移動する摺動自在なスライドシューと、スライドシューを搬送方向に走行させる直行ガイドレール及び直角方向に走行させる斜行ガイドレールと、直行ガイドレールと斜行ガイドレールとの間でスライドシューの走路を切換える分岐部とから構成される仕分けコンベヤ装置において、シュースライドを内在して摺動するシューカバー、及び、このシューカバーの下方にボスを介して回動可能に連接されるベーンから構成されており、このベーンは、ボスに回動可能に係入されるベーン軸、ベーン軸の下方に固設されるベーンアーム、及び、このベーンアームの下方に固設されるベーンヘルムを備えているスライドシューと、分岐部にスライドシューを誘導する上流側ベーンガイドと、分岐部に直行ガイドレールを中継するように介設される下流側ベーンガイドと、分岐部の下流部分に、上流側ベーンガイドから斜行ガイドレールへ中継するように介設され、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配未満である、ベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配のベーンヘルムに接触する面を備えたベーンヘルムノーズと、分岐部の中流部分に、上流側ベーンガイドからベーンヘルムノーズへベーンヘルムを誘導可能に配備されるベーンヘルムの方向切換手段とを具備し、仕分けを行うスライドシューが、斜行ガイドレールまでは、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配以下の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描き、斜行ガイドレールでは、斜行ガイドレール先端の勾配以上の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描く仕分けコンベヤ装置とすることがより好ましい。
このような本発明の仕分けコンベヤ装置における、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配は、0~40度であることが好ましく、0~30度であることがより好ましく、0~20度であることがより更に好ましい。上記レバー式ベーン切換方式を採用した仕分けコンベヤ装置では、スライドシューの最下端に固設されているベーンヘルムで瞬時に切換えが完了し、物品の荷重をベーンヘルムと接触するベーンヘルムノーズが支持するため、切換え直後からスライドシューと物品とが接触できるので、スライドシューと物品との間隔を必要とせず、物品に何ら衝撃を与えることのない0度から、物品のスラット長手方向への移動を開始できる。また、物品の移動初期の横転及び回転を防止するために、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配は、40度以下であることが好ましい。
このように、レバー式ベーン切換方式の最大の特徴は、磁気的シュー支持軸切換方式及び力学的シュー支持軸切換方式には不可能であった、切換え直後からの物品とスライドシューとの接触を可能にしたことにある。これに基づいて、仕分けコンベヤの機幅及び機長の冗長性を克服することができた。
一方、ベーンヘルム側面が接触するベーンヘルムノーズ側面の搬送方向の形状は、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が、一定であってもよいし、連続的に増加又は減少してもよく、特に限定されない。しかし、ベーンヘルムの側面が、ベーンヘルムノーズと接触して、ベーンヘルム及びベーンヘルムノーズの摩耗を削減するためには、ベーンヘルムのエッジとベーンヘルムノーズとが接触しないようにすることが好ましい。従って、その勾配が連続的に減少することが好ましい。また、ベーンヘルムの水平断面形状をベーンの進行方向を長軸とした楕円形にすることも望ましい。しかし、安定した切換のためには、ベーンヘルムとベーンノーズの接触面積は大きい程好ましい。
また、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面の長さは長い程、スライドシューの円滑かつ正確な切換、及び、安定した物品の移動が行われるが、少なくとも10mm以上あれば問題はない。一方、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面の長さが600mmを超えると、スライドシューの円滑かつ正確な切換え、及び、安定した物品の移動が飽和すると共に、仕分けコンベヤ装置の冗長性の問題が生じるため、600mm以下であることが好ましく、400mm以下であることがより好ましく、200mm以下であることがより更に好ましい。
更に、上記分岐部に備えられるベーンヘルムの方向切換手段で、スライドシューの切換が円滑かつ正確に行われるためには、ホイールの有無にかかわらず、ベーン軸の下方に固設され、ベーンヘルムの上方に固設されるベーンアームを利用することが好ましい。そのため、本発明の仕分けコンベヤ装置には、上述したベーンヘルムノーズを備えた仕分けコンベヤ装置に、ベーンヘルムノーズと斜行ガイドレールとの間に、ベーンヘルムノーズから斜行ガイドレールへ中継するように介設され、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配以下であり、かつ、ベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配以上の、ベーンアームに接触する面と前直行ガイドレールとが形成する勾配のベーンアームに接触する面を備えたベーンアームノーズを具備することが好ましい。このベーンアームノーズを具備することにより、切換動作における騒音及び振動が低減した静粛性が備わると共に、部品の摩耗が低減し、耐久性も向上するという効果も発現する。
この場合、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が0~40度であり、かつ、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が10~45度であることが、スライドシューの円滑かつ正確な切換、及び、安定した物品の移動を行うことができる。特に、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が0~30度であり、かつ、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が15~45度であることがより好ましい。
ベーンアーム側面が接触するベーンアームノーズ側面の搬送方向の形状は、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が、一定であってもよいし、連続的に増加又は減少してもよく、特に限定されない。しかし、ベーンアームの側面が、ベーンアームノーズと接触して、ベーンアーム後端の接触によるベーンアームの摩耗を削減するためには、ベーンヘルムのエッジとベーンヘルムノーズとが接触しないようにすることが好ましい。従って、その勾配が連続的に減少することが好ましく、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面が、直交ガイドレールからスラットの長手方向に膨らんで、曲線を描くような形状であることが好ましい。また、ベーンアームの水平断面形状をベーンの進行方向を長軸とした楕円形にすることも望ましい。しかし、安定した切換のためには、ベーンヘルムとベーンノーズの接触面積は大きい程好ましい。
この曲線状のベーンアームノーズは、より具体的には、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面が、ベーンヘルムノーズ先端を原点として、ベーンヘルムノーズ先端を通る直行ガイドレールの平行線をx軸、ベーンヘルムノーズ先端を通る直行ガイドレールの垂線をy軸とした場合における、関数y=a(x-b)1/2(a、b>0)の水平放物線状であってもよく、曲率半径Rが100~1000mmの曲線状であってもよい。
そして、スライドシューの円滑かつ正確な安定した切換、及び、安定した物品の移動のためには、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面の長さ及びベーンアームノーズのベーンアームに接触する面の長さが、10~600mmであることが好ましく、10~400mmであることがより好ましく、10~200mmであることがより好ましい。それぞれの長さが、10mm以下では、切換が不安定となり、600mm以上では、仕分けコンベヤの冗長性を高めるため好ましくない。特に、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面の長さ及びベーンアームノーズのベーンアームに接触する面の長さが10~300mmであり、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面の長さが10~300mmであることが好ましい。
以上の仕分けコンベヤ装置を構成する各部材の形状及び各部材が組み立てられる形態は、使用される仕分けコンベヤ装置の目的に応じて設計されるものである。しかし、本発明の技術思想に基づいて設計される仕分けコンベヤ装置は、その本質に変化をもたらすことはなく、機幅及び仕分けゾーンが狭く、小型化できるだけでなく、斜行ガイドレールまでスライドシューが円滑に切換えられ、物品の形態、重量、容積等が異なる多種多様な物品を横転、回転、及び、損傷することなく、正確かつ安全に、しかも、高速で仕分けできる。
まず、仕分けコンベヤ装置の機幅及び仕分けゾーンを狭くでき、その小型化を可能とする本発明の中心的な技術思想は、従来のスライドシューのシュー支持軸の代わりに、ベーン軸、ベーンアーム、及び、ベーンヘルム等から構成されるベーン、並びに、ベーンヘルム及びベーンアームを支持するベーンヘルムノーズ及びベーンアームノーズが担っている。これは、レバー式ベーン切換装置に制御信号が送信され、スライドシューの最下端の突起状のベーンヘルムにレバー式ベーン切換装置のレバーが作動すると、ベーンヘルムが上流側ベーンガイドから斜行ガイドレールへ中継するように介設される分岐部の下流部分のベーンヘルムノーズに誘導され、それと同時に切換動作が完了するためである。このため、磁気的シュー支持軸切換方式及び力学的シュー支持軸切換方式で必要な物品とスラット端部との間隔が不要で、スラットコンベヤの機幅を短縮することができる。
そして、スライドシューが、ベーンヘルムノーズから斜行ガイドレールへと移動していく行程において、仕分けするための物品とスライドシューカバーとの接触における、物品の横転、回転、及び、損傷がなく、正確かつ安全に仕分けする技術思想は、ベーンヘルムとベーンヘルムノーズとが担っている。特に、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配を0~40度の範囲とすることが好ましい。この勾配は、一定であってもよいが、高速で仕分けを完了し、仕分けゾーンを搬送方向に冗長とならないためには、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する勾配をできるだけ大きくすることが好ましいので、連続的に増加させてもよい。その結果、物品とスライドシューカバーとの接触が穏やかで、物品の仕分けの正確性及び安全性が確保され、スライドシューが斜行ガイドレールを高速で移動することができ、仕分けの高速性を円滑に実現することができる。ベーンヘルムが小さいため、ベーンヘルムとベーンヘルムノーズとの接触面積が小さく、それぞれの摩耗は大きくないが、より摩耗の低減を図るためには、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配を、ベーンヘルムノーズの所定の位置から後端まで連続的に減少させることが好ましい。また、ベーンヘルムの水平断面形状をベーンの進行方向を長軸とした楕円形にしても同様の効果が得られる。
また、ホイールの有無にかかわらず、更なるスライドシューの動作を円滑かつ正確な切換とするための技術思想は、ベーン軸の下方に固設され、ベーンヘルムの上方に固設されるベーンアームとベーンアームノーズにある。ベーンアームノーズは、ベーンヘルムノーズと斜行ガイドレールとの間に、ベーンヘルムノーズから斜行ガイドレールへ中継するように介設され、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配以下であり、かつ、ベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配以上の、ベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配のベーンアームに接触する面を備えたベーンアームノーズを具備する仕分けコンベヤ装置であることが好ましい。この場合には、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が0~40度、かつ、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が10~45度に設定することによって、仕分けの正確性、安全性、及び、高速性をより向上させることができることに加え、切換動作における騒音及び振動が低減した静粛性を高めることができると共に、部品の摩耗もより大きく低減し、耐久性がより向上する効果も発現される。
そして、この場合にも、ベーンヘルムノーズのベーンヘルムに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が0~40度内であって、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が10~45度内であれば、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配は、一定であってもよいし、連続的に増加又は減少してもよく、特に限定されない。
仕分けの高速性を重視する場合には、ベーンアームのベーンアームノーズに接触する面を、一定、又は、連続的に増加することが好ましく、耐久性を重視する場合には、これらを連続的に減少することが好ましい。
特に、仕分けの正確性、安全性、及び、高速性を一層確実なものとし、切換動作における騒音及び振動を大きく低減して静粛性を一層向上させると共に、部品の摩耗もより大きく低減し、耐久性を一層高めるためには、ベーンアームの側面とベーンアームノーズとが接触して、ベーンアームの後端のベーンアームノーズとの接触を防止するように、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面と直行ガイドレールとが形成する勾配が10~45度内であって、連続的に減少するように、ベーンアームノーズのベーンアームに接触する面が、直交ガイドレールからスラットの長手方向に膨らむような水平放物線状又は曲線状であることがより好ましい。ベーンヘルム同様、ベーンアームの水平断面形状をベーンの進行方向を長軸とした楕円形にしても同様の効果が得られる。
以上のように、本発明の仕分けコンベヤ装置は、斜行ガイドレールにスライドシューが移動するまでの行程に大きな特徴を有しているため、本発明の仕分けコンベヤ装置は、その機幅を増長させることなく、仕分けの正確性、安全性、及び、高速性を一層高めるため、斜行ガイドレールの勾配にも工夫を施すことができる。但し、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する勾配を一定とすることは、斜行ガイドレールの生産性、経済性という観点からは好ましい形態である。
仕分けの高速性と共に、物品の主搬送経路から分岐搬送経路への移載の正確性を重視する場合、斜行ガイドレール先端の勾配が、先端から後端まで連続的に増加させることが好ましい。斜行ガイドレール後端の勾配、すなわち、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する勾配が適度な大きさ、特に、20~50度であると、スライドシューによって物品が主搬送経路から分岐搬送経路へ確実に移載される。
同様の目的で、斜行ガイドレールの先端から所定区間では、斜行ガイドレール先端の勾配以上の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描き、更に、斜行ガイドレールの後端部では、所定区間の勾配を超える勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描いてもよい。
逆に、主搬送経路から分岐搬送経路に移載される物品に損傷がなく、安全に移載されるためには、斜行ガイドレールの先端から所定区間では、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端部の勾配以上の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描き、斜行ガイドレールの後端部では、所定区間の勾配以下の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描くことが好ましい。
このように、本発明の仕分けコンベヤ装置は、機幅と機長を増長することなく、多種多様な斜行ガイドレールの設計を行うことができるのは、レバー式ベーン切換方式を採用していることに起因している。すなわち、レバー式ベーン切換方式は、スライドシューの最下端に固設されているベーンヘルムでスライドシューの方向を切換えられるため、切換え直後からスライドシューと物品とが接触できるため、スライドシューと物品との間隔を必要とせず、物品に何ら衝撃を与えることのない略0度(スライドシューがベーンヘルムでベンヘルムノーズに移行する直前の位置に平坦な部分を設け、そこから順次緩やかに角度を急にする)から、物品のスラット長手方向への移動を開始できるからである。更に言い換えれば、仕分けを行うスライドシューが、斜行ガイドレールまでは、斜行ガイドレールと直行ガイドレールとが形成する斜行ガイドレール先端の勾配以下の勾配の直線又は曲線で移動する軌跡を描き、斜行ガイドレールまで緩やかな勾配で、かつ、短い行程で物品を搬送することができる仕分けコンベヤ装置であることに基づいている。
一方、本発明の仕分けコンベヤ装置のベーンヘルムに作動するレバーを回動させるアクチュエータは、特に限定されるものではなく、各種シリンダ、各種ソレノイド、小型モーター、エア吹付け等を用いることができるが、仕分けコンベヤ装置の小型化を図るためには、シリンダ等と比較して極めてコンパクトに仕分けコンベヤ装置に設置できる、リニアソレノイド及びロータリーソレノイドを採用することが好ましい。特に、ロータリーソレノイドを用いた駆動レバーは、磁力を用いるため、高速で応答可能であり、信頼性の高い切換装置である。
更に、本発明のレバー式ベーン切換方式では、シューカバーの下方に連設されたスライドシューカバーに回動可能に接続されたベーン軸と、ベーン軸の下方に固設されたベーンアームと、ベーンアームの下方に固設されたベーンヘルムとを有するベーンを備えたスライドシューを用いるため、このレバー式ベーン切換方式の交差路切換装置は、斜行ガイドレールが交差する位置に、ベーンを案内する通路を、斜行ガイドレールに平行で、斜行ガイドレールの切欠き部を通過するように凹設した交差路切換装置を備えていればよい。従来の交差路切換装置は、スライドシューの支持軸を左右に円滑に移動させる必要があり、カム等を機械的に揺動させるためのアームや弾性体等の複雑な動力伝達機構が必要であるのに対し、本発明のレバー式ベーン切換方式の交差路切換装置は、凹設したベーン案内通路を交差路切換装置として配備するだけよく、交差路切換装置の構造を大幅に簡略化することができる。
その結果、ベーン案内通路とベーンとの激しい衝突及び摩擦がなく、両者の摩耗が大幅に低減され、交差路切換装置及びスライドシューの保守点検の頻度を低減することができる。更に、わずかな距離ではあるが、滑り軸受の技術を利用し、摺動性及び加工性等を考慮して、交差路切換装置自体若しくはその表面、又は、ベーン若しくはその表面に、エンジニアリングプラスチック、金属焼結材料、及び、セラミック焼結材料を適用することによってその効果が一層高められる。
本発明により、形態、重量、容積等が異なる多種多様な物品を横転、回転、及び、損傷することなく仕分けする能力を備えると共に、高速な仕分けが可能であり、機幅及び仕分けゾーンが狭く、スペースを取らない小型化可能な仕分けコンベヤ装置を提供することができる。
特に、本発明の仕分けコンベヤ装置は、ベーンヘルムによる切換え直後に、スライドシューと物品とを接触させることができるため、スライドシューと物品との間隔が不要で、スライドシューと物品との接触による衝撃を完全に解消することができる。
また、本発明により、切換動作における騒音及び振動を低減し、部品の摩耗も低減する効果を奏し、極めて静粛性及び耐久性の高い仕分けコンベヤ装置を提供することができる。
更に、本発明は、スライドシューがベーンを備えているため、斜行スライドレールに平行で斜行ガイドレールの切欠き部を通過するように凹設したベーン案内通路を交差路切換装置として配備するだけよいため、交差路切換装置の構造を簡便化でき、交差路切換装置及びシュー支持軸の摩耗を顕著に低減できるという効果を奏する。
以下、図面に示した一実施形態を用い、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
図1~4に示したようなスラットコンベヤを用いた仕分けコンベヤ装置において、本発明の特徴であるレバー式ベーン切換方式が切換機構として適用されることによって、従来の磁気的シュー支持軸切換方式及びレバー式シュー支持軸切換方式の切換機構である仕分けコンベヤ装置の、切換機構に基づいた本質的な課題である、正確、安全、及び、高速な仕分け動作の実現、並びに、仕分けコンベヤ装置の小型化を解決することができた。そこで、まず、レバー式ベーン切換方式の根幹を成す本発明のスライドシュー13の一実施形態を図9及び10に示す。
図9は、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤの切換機構であるレバー式ベーン切換方式に適用されるスライドシュー13の側面模式図(a)及びスラット3が挿入された状態でシューカバー131を取り外したスライドシュー13の斜視模式図(b)である。
図から明らかなように、本発明のスライドシュー13は、シュースライド134を内在するシューカバー131、シューカバー131の下方にボス135を介して回動可能に連接されたベーン136、及び、ホイール132から構成されている。更に、ベーン136は、ベーン軸1361、ベーン軸1361の下方に固設されたベーンアーム1362、及び、ベーンアーム1362の下方に固設されたベーンヘルム1363から成り、ホイール132は、シューカバー131とベーンアーム1362の間のベーン軸1361の位置にボス135を介して係入されている。
図10は、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤの切換機構であるレバー式ベーン切換方式に適用されるスライドシュー13のシューカバー131を除く部品を分解した斜視模式図(a)、及び、それを組み立てた斜視模式図(b)である。
図10(a)は、スライドシュー13のシューカバー131を取り外して残る、シューカバー131とベーン136とを回動可能に接続するボス135、ホイール132、ベーン軸1361とベーンアーム1362とベーンヘルム1363とから成るベーン136、及び、ベーンの回動角度規制手段となる、ボス135に穿設された角度規制ウィンドウ137、角度規制ベアリングボール138、ベーン軸1361に凹設されたベーンホール13611が分解された状態で図示されており、図10(b)は、図10(a)の各部品が組み立てられた状態で、ホイール132を透視した図を示している。
図9及び10から分かるように、本発明のスライドシュー13の一実施形態は、シューカバー131の下方にボス135を介して回動可能にベーン136が連接され、ホイール132とボス135とが嵌合されると共に、ボス135に穿設された角度規制ウィンドウ137とベーン軸に凹設されたベーンホール13611に角度規制ベアリングボール138が保持されるように、ベーン軸1361がボス135に回動可能に係入されている。このような構成のスライドシュー13とすることによって、ベーン136の回動が適切な範囲に規制されると共に、後述するように、特定のベーンヘルムノーズ35及びベーンアームノーズ36の形状とすることによって、確実で高速な切換動作を円滑に行うことができる。
特に、このようなベーンは、耐久性、耐食性、及び、加工性という観点から、ステンレスで製造することが好ましいが、これに限定されるものではない。後述するように、ベーン切換方向誘導ガイド33、ベーン直行方向誘導ガイド34、ベーンヘルムノーズ、ベーンアームノーズ、切換レバー、及び、交差路切換装置のベーン案内通路の素材に応じた接触摩擦を考慮して、ステンレス以外の金属焼結材料、セラミック焼結材料、エンジニアリングプラスチック、及び、これらの樹脂の複合材料を用いて製造してもよい。ベーンの製造方法は、射出成形のように一体成形することが好ましいが、ベーン軸、ベーンアーム、ベーンヘルムをそれぞれ製造しておき、螺合、嵌合、歯合等の方法で接合し、溶接や接着剤等で固着させてもよい。
図11は、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤの切換機構として、勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35と水平放物線状に勾配が連続的に減少するベーンアームノーズ36の二段ノーズを備えたレバー式ベーン切換方式を適用した仕分けコンベヤ装置における、直行ガイドレール17に誘導されるスライドシュー13の切換初期動作の時系列の平面模式図(a)、及び、斜行ガイドレール22に誘導されるスライドシュー13の切換初期動作の時系列を示す平面模式図(b)である。ここでは、図4の上部右切換装置251Aに相当する位置に配備される切換装置として示されている。
また、本発明に係るベーン切換方向誘導ガイド33、ベーン直行方向誘導ガイド34、ベーンヘルムノーズ35、ベーンアームノーズ36、及び、切換レバーは、寸法精度、摺動性、耐衝撃性等を考慮し、超高分子量ポリエチレン樹脂(Ultra High Molecular Weight Polyethylene、UHMWPE)の切削加工で製造することが好ましいが、材質及び製造方法共にこれらに限定されるものではない。材質としては、ポリアミド(Polyamide、PA)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone、PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(Polyphenylenesulfide、PPS)、ポリイミド(Polyimide、PI)、ポリオキシメチレン(Polyoxymethylene、POM)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)、フェノール樹脂(Phenolic resin)、ポリオレフィン樹脂(Polyorefin)、及び、アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン共重合(ABS)樹脂等のエンジニアリングプラスチック、並びに、これらの樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、及び、セルロースナノファイバー(CNF)等をブレンドした複合材料を利用することができる。製造方法としては、精度よく成形するため、材料に応じた加工方法を選択する必要があるが、例えば、切削加工法、射出成形法、及び、RIM(Reaction injection molding)成形法等で加工することもできる。
図11のレバー式ベーン切換方式の切換え装置は、直行ガイドレール17と斜行ガイドレール22との間に、図9及び10に図示したスライドシュー13の走路を切換える分岐部(図4の破線で示されている上部右切換装置251Aが配備されている場所)があって、この分岐部にスライドシュー13を誘導するベーン切換方向誘導ガイド33と、直行ガイドレール17に中継するように介設されるベーン直行方向誘導ガイド34とが形成され、その分岐部の下流側に、その上流側に配備されているベーン切換方向誘導ガイド33から斜行ガイドレール22へスライドシュー13が中継されるように順に積層して介設される、ベーンヘルム1363に接触して支持するベーンヘルムノーズ35及びベーンアーム1362に接触して支持するベーンアームノーズ36が備えられている。また、分岐部の中流部分に、ベーン切換方向誘導ガイド33からベーンヘルムノーズ35へベーンヘルム1363を誘導できるように、ロータリーソレノイド30で作動するベーンヘルム切換手段である切換レバー31が配備されている。そして、スライドシュー13の位置を検知し、この情報と中央情報システムに集約された物品情報等とに基づいて、(図示していない)制御コンピュータからロータリーソレノイド30に適切な制御信号が送信されるためのベーン検知センサー39を備えている。更に、切換レバー31の無駄な動作を制限し、高速な切換を行うためのストッパ32が備えられていることが好ましい。
ここで、ベーンヘルム1363に接触して支持するベーンヘルムノーズ35は、約25度の一定の勾配で、約200mmの長さの直線的な形状としている。しかし、ベーンヘルム1363の形状は、図9及び図10に示すように、細い柱状のベーンヘルム1363とベーンヘルムノーズ35の接触面積が小さく、両者の摩耗は少ないため、ベーンヘルムノーズ35の勾配を連続的に増加させ、ベーンヘルム誘導区間Δmを短縮させてもよい。逆に、両者の摩耗をより削減するために、ベーンヘルムノーズ35の勾配を連続的に減少させてもよい。
一方、ベーンアーム1362に接触して支持するベーンアームノーズ36は、約15~25度の範囲で、約200mmの長さの連続的に勾配が減少する、直行ガイドレール17からスラット3長手方向に膨らんだ形状としている。これは、図9及び図10に示すように、板状のベーンアーム1362とベーンアームノーズ36との接触面積が大きいため、両者の接触面積を低減させて両者の摩耗、特に、ベーンアーム1362後端の摩耗を低減することを目的とした、好ましい実施形態である。
例えば、このベーンアームノーズのベーンアームに接触する膨らんだ面は、ベーンヘルムノーズ先端を原点として、ベーンヘルムノーズ先端を通る直行ガイドレールの平行線をx軸、ベーンヘルムノーズ先端を通る直行ガイドレールの垂線をy軸とした場合における、関数y=a(x-b)1/2-b(a、b>0)の水平放物線状とすることもできる。また、このベーンアームノーズのベーンアームに接触する膨らんだ面は、曲率半径Rが100~1000mmの曲線状とすることもできる。
しかし、このベーンアームノーズ36も、材質の変更等による摩耗を低減し、ベーンアームノーズ36の勾配を一定又は連続的に増加させて、ベーンアーム誘導区間Δnを短縮させることもできる。
図11(a)から分かるように、ロータリーソレノイド30に切換信号が送信されず、切換レバー31が作動することがない場合、スライドシュー13が、分岐部の上流側の直行ガイドレール17からベーン切換方向誘導ガイド33により分岐部に誘導された後、ベーン直行方向誘導ガイド34を経由して、分岐部から下流側の直行ガイドレール17に誘導される。一方、図11(b)から分かるように、ロータリーソレノイド30に切換信号が送信され、スライドシュー13が、上流側の直行ガイドレール17からベーン切換方向誘導ガイド33により分岐部に誘導された時点で、切換レバー31によるベーンヘルム1363の方向変換が行われ、その後順次、ベーンヘルムノーズ35、ベーンアームノーズ36、ホイールノーズ37を経由し、スライドシュー13が方向変換され、斜行ガイドレール22に誘導される。
本発明の仕分けコンベヤ装置に備えられるレバー式ベーン切換方式の一つの特徴は、図11から分かるように、ロータリーソレノイド30に直結された切換レバー31によるベーンヘルム1363の切換、並びに、ベーン軸1361、ベーンアーム1362、及び、ベーンヘルム1363から構成されるベーン136と、ベーンヘルムノーズ35及びベーンアームノーズ36との相互関係にある。
そこで、これらの特徴について、図12及び13を用いて更に詳しく説明する。
図12は、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤの切換機構として、勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35と水平放物線状に勾配が連続的に減少するベーンアームノーズ36の二段ノーズを備えたレバー式ベーン切換方式を適用した仕分けコンベヤ装置における、スライドシューが障害なく斜行ガイドレールに誘導されるメカニズムを説明するための、レバー切換動作開始時におけるスライドシュー13のベーン136、各ノーズ35、36、37、斜行ガイドレール22、及び、切換レバー31の形状と位置関係を示す平面模式図(a)、並びに、その平面模式図の切断線IIIで紙面に垂直に切断し、Y方向から視た断面模式図(b)である。図13は、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤの切換機構として、勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35と水平放物線状に勾配が連続的に減少するベーンアームノーズ36の二段ノーズを備えたレバー式ベーン切換方式を適用した仕分けコンベヤ装置における、スライドシュー13が障害なく斜行ガイドレールに誘導されるメカニズムを説明するための、レバー切換動作完了時におけるスライドシュー13のベーン136、各ノーズ35、36、37、斜行ガイドレール22、及び、切換レバー31の形状と位置関係を示す平面模式図(a)、並びに、その平面模式図の切断線IIIで紙面に垂直に切断し、Y方向から視た断面模式図(b)である。
図12から分かるように、切換が開始される瞬間においては、切換信号によりロータリーソレノイド30で作動した切換レバー31が、ベーン切換方向誘導ガイド33によって誘導されてきたスライドシュー13のベーンヘルム1363に接触し、ベーンヘルム1363の方向が切換えられるだけで、ベーンヘルムノーズ35とは接触していない。
図13は図12の次の瞬間で、ベーン切換方向誘導ガイド33によって誘導されてきたスライドシュー13のベーンヘルム1363が、切換信号によりロータリーソレノイド30で作動した切換レバー31によってベーンヘルム1363の方向が変換され、ベーンヘルムノーズ35に接触して支持され、切換が完了した瞬間を示している。なお、図11(b)は、図12と図13の行程の略中間の位置にある状態を示している。なお、スライドシュー13が連続して分岐される場合、切換レバー31は最初の作動だけでそれを繰り返すことなく継続してベーンヘルム1363の方向を連続的に変換させることも可能である。
図12及び13から明らかなように、レバー式ベーン切換方式では、スライドシュー13の切換えが瞬時に完了し、スライドシュー13はベーンヘルム1363がベーンヘルムノーズ35に接触して支持されるため、切換完了直後から、物品1をスライドシューカバー131で移動させることができる。そのため、磁気的シュー支持軸切換方式や力学的シュー支持軸切換方式に必要なスラット端部と物品1との間隔ΔD(図5~8)を設ける必要がなく、スラットコンベヤ2の機幅を狭くすることができ、スラットコンベヤ2の小型化を実現することができる。
また、磁気を利用したロータリーソレノイド30は、コンパクトで、スラットコンベヤ2の底に配備することができる上、上述したようにベーンヘルム1363の誘導だけで切換え可能であるため、切換レバー31も、力学的シュー支持軸切換方式の切換レバーのような長さを必要としないので、スラットコンベヤ2の小型化を図ることができる。また、この時切換レバー31にはベーンヘルム1363の回転に必要な力しかかからない。それに対し、力学的レバー切換方式の場合は、スライドシュー13を移動させる力とその慣性力とがレバーに負荷されることになり、その構造を強化する必要があると共に、レバーの摩耗が激しいので、構造上また保守管理上の不利な点が存在する。
一方、図12(b)及び図13(b)から分かるように、切換レバー31は、ベーンヘルム1363の通過する深さにロータリーソレノイド30と直結され、この切換レバー31から斜行ガイドレール22に至るまでに、ベーンヘルムノーズ35、ベーンアームノーズ36、ホイールノーズ37が、この順に介設されると共に、ベーンヘルム1363、ベーンアーム1362、ホイール132(ベーン軸1631)の深さの順に積層されている。そして、ベーンヘルムノーズ側面351はベーンヘルム1363と接触し、ベーンヘルムノーズ上面352はベーンアーム1362と接触しないように、ベーンアームノーズ側面361はベーンアーム1362と接触し、ベーンアームノーズ上面362はホイール132と接触しないように、ホイールノーズ側面371はホイール132と接触し、ホイールノーズ上面はシューカバー131と接触しないように配設される。
このような、切換レバー31、ベーン軸1361、ベーン136、ベーンヘルムノーズ35、及び、ベーンアームノーズ36との位置関係において、図13以降は、次のようにスライドシューが移動する。まず、ベーンヘルム1363がベーンヘルムノーズ側面351と接触して進み、次いで、ベーンアーム1362がベーンアームノーズ側面361と接触して進み、最後に、ホイール132がホイールノーズ側面371と接触して進み、スライドシュー13が斜行ガイドレール22に誘導される。すなわち、図11(b)に示すように、斜行ガイドレール22に至るまでの、ベーンヘルム誘導区間Δm及びベーンアーム誘導区間Δnを経て、斜行ガイドレール22によるホイール誘導区間Δоへ誘導される。
このような斜行ガイドレール22に至るまでのベーンヘルムノーズ35と直行ガイドレール17とが形成する勾配N1及びベーンアームノーズ36と直行ガイドレール17とが形成する勾配N2が、緩やかであれば、仕分け動作開始時の物品1とスライドシューカバー131との接触において、物品1の横転、回転、及び、損傷がなく、正確で安全に仕分けを行うことができる。図11~13では、ベーンヘルムノーズ35の勾配が一定であり、ベーンアームノーズ36の勾配が連続的に減少する水平放物線状で、勾配N1は、ベーンヘルムノーズ35の初期勾配であり、勾配N2は、ベーンアームノーズ36の初期勾配を示している。しかし、これらの勾配は、0~45度の範囲内にあることが好ましい。特に、ベーヘルムノーズ35と直行ガイドレール17とが形成する勾配は、0~40度であることがより好ましく、ベーンアームノーズ36と直行ガイドレール17とが形成する勾配は、10~45度であることがより好ましい。ただし、図示していないが、ベーンヘルムノーズ35は、0~40度まで連続的に増加させることも、スライドシューカバー131と物品1との衝撃を皆無とするためには、より更に好ましい実施形態である。
以上の行程を経て、正確かつ安全に仕分けが開始された後、斜行ガイドレール22にスライドシュー13が斜行ガイドレール22に移動し、スラット3を横断するため、斜行ガイドレール22と直行ガイドレール17とが形成する勾配γ1は、ベーンノーズ35、36よりも大きくすることができ、高速搬送が可能となり、仕分けゾーンS1、S2の搬送方向の冗長性を改善することができる。このような高速搬送性も、スラットコンベヤ2の小型化を実現する大きな要因の一つである。
その結果、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤの切換機構として、勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35と水平放物線状に勾配が連続的に減少するベーンアームノーズ36の二段ノーズを備えたレバー式ベーン切換方式を適用し、直線状斜行ガイドレールを備えたスラットコンベヤの仕分けゾーンにおける物品の仕分けの開始から完了に至る、物品の移動及びスライドシューの動作の時系列は、図14に示す平面模式図のようになる。
図14は、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤ2の切換機構として、勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35と水平放物線状に勾配が連続的に減少するベーンアームノーズ36の二段ノーズを備えたレバー式ベーン切換方式を適用し、直線状斜行ガイドレール22を備えたスラットコンベヤの仕分けゾーンにおける物品の仕分けの開始から完了に至る、物品の移動及びスライドシューの動作の時系列を示す平面模式図である。
主搬送経路のスラットコンベヤ2における物品1は、本発明のレバー式ベーン切換方式のスラットコンベヤでは、スライドシュー13の切換えが瞬時に完了するため、スラット3端部との間隔ΔDを設けることなく、スライドシュー13と接触するように搬送することができる。そして、斜行ガイドレール22と直行ガイドレールとが形成する勾配γ1未満であるベーンアーム誘導区間Δnの勾配N2未満のベーンヘルム誘導区間の勾配N1で移動するスライドシュー13によって、仕分けが開始される。次いで、ベーンヘルム誘導区間の勾配N1より大きいベーンアーム誘導区間Δnの勾配N2で物品1が搬送される。そして、ベーンアーム誘導区間Δnの勾配N2以上の勾配γ1の斜行ガイドレール22にスライドシュー13が誘導され、高速で物品が仕分けされ、分岐搬送経路である左分岐コンベヤ122に移載され、仕分けが完了する。このように、本発明のレバー式ベーン切換方式の仕分けコンベヤ装置では、スライドシュー13が、緩やかな勾配の軌跡から連続的に急な勾配の軌跡を描きながら物品1の仕分けを行うことになる。その結果、仕分けゾーンS1、S2の搬送方向のスライドシュー移動行程ΔLを従来技術と比較すると、本発明の仕分けコンベヤにおけるレバー式ベーン切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程(1)ΔL3は、電磁石式シュー支持軸切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程ΔL1及びレバー式シュー支持軸切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程ΔL2よりも短く、物品1とスラット端部との間隔ΔDが必要ないという要素も加えられて、正確かつ安全に、しかも、高速で仕分けされ、仕分けコンベヤ装置の長さ・幅共に小型化が図れるのである。
更に、図15に示すように、主搬送経路から分岐搬送経路への物品1の移載における物品1の損傷を防止するため、斜行ガイドレール22の後端部勾配を斜行ガイドレール初期勾配γ1よりも小さくしてもよい。この場合でも、本発明の仕分けコンベヤにおけるレバー式ベーン切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程(2)ΔL4は、電磁石式シュー支持軸切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程ΔL1及びレバー式シュー支持軸切換の仕分けに必要なスライドシュー移動行程ΔL2よりも短くすることが可能となる。
以上説明した実施形態は、最適な実施形態の一例であり、本発明の仕分けコンベヤ装置は、これらに限定されるものではない。例えば、図16は、直線斜行ガイドレール22の代わりに、連続的に勾配が大きくなる曲線斜行ガイドレール22/23Cを適用した仕分けコンベヤ装置であり、スラットコンベヤの切換機構として、勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35と水平放物線状に勾配が連続的に減少するベーンアームノーズの二段ノーズを備えたベーン切換方式を適用し、曲線状斜行ガイドレールに誘導されるスライドシューの切換初期動作の時系列を示す平面模式図である。このような曲線斜行ガイドレール22/23Cを採用することによって、更なる仕分けの高速化を図ることができる。
また、図17及び18は、図11~13におけるベーンアームノーズ36を配備していない実施形態である。すなわち、図17は、スラットコンベヤの切換機構として曲線状に勾配が増加するベーンヘルムノーズ35だけを備えたレバー式ベーン切換方式を適用し、直線状斜行ガイドレール22に誘導されるスライドシュー13の切換初期動作の時系列を示す平面模式図であり、図18は、スラットコンベヤの切換機構として放物線状に勾配が増加するベーンヘルムノーズ35だけを備えたレバー式ベーン切換方式を適用し、直線状斜行ガイドレールを備えたスラットコンベヤの仕分けゾーンにおける物品の仕分けの開始から完了に至る、物品の移動及びスライドシューの動作の時系列を示す平面模式図である。この場合には、ベーンヘルムノーズ35及びベーンアームノーズ36を併用した二段ノーズと性能的には遜色なく、装置が簡略されるという特徴を有する。
更に、図19は、図17のベーンヘルムノーズ35の勾配を一定、すなわち、直線状にしたものである。すなわち、図19は、スラットコンベヤの切換機構として勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35だけを備えたレバー式ベーン切換方式を適用し、直線状斜行ガイドレールに誘導されるスライドシューの切換初期動作の時系列を示す平面模式図である。この場合は、図17に示す仕分けコンベヤよりも更に装置の簡略化を図ることができ、スライドシュー13の移動行程を短縮することができることに特徴を有する。
更に、従来の仕分けコンベヤ装置のスライドシュー13には、ホイール132が必須であるという固定概念が存在したが、本発明の仕分けコンベヤ装置のスライドシュー13に適用されるベーン136は、ホイール132を不要なものとすることができ、仕分けコンベヤ装置に好ましい効果が生み出されることが分かった。ホイール132の有無が、切換動作に及ぼす影響を図21に示す。
図20は、本発明の一実施形態に係る、スラットコンベヤの切換機構として、勾配が一定であるベーンヘルムノーズ35と水平放物線状に勾配が連続的に減少するベーンアームノーズの二段ノーズを備えたレバー式ベーン切換方式を適用し、図11~13に示すホイールを備えたスライドシューの場合の、斜行ガイドレールに誘導されるスライドシューの切換初期動作の時系列を示す平面模式図(a)、及び、ホイールフリーのスライドシューの場合の、斜行ガイドレールに誘導されるスライドシューの切換初期動作の時系列を示す平面模式図(b)である。
図から明らかなように、ホイール132の有無によって、スライドシュー13の本質的な差異はないが、ホイール132の略半径に相当する、ホイールの有無に基づく斜行ガイドレールに至るまでのベーン軸誘導区間差Δpだけスライドシュー13の移動行程を短縮することができ、スラットコンベヤの更なる小型化、簡便化を図ることができる。また、切換装置の配備する間隔を短縮することができ、高速な仕分けだけでなく、多様な仕分けを創出することが可能となる。
更に、ホイールの有無にかかわらず、シューカバーに回動可能に接続されたベーン軸と、ベーン軸の下方に固設されたベーンアームと、ベーンアームの下方に固設されたベーンヘルムとを有するベーンを少なくとも備えたスライドシューを用いた切換装置は、斜行ガイドレールが交差する斜行ガイドレール切欠き部において、スライドシューが左右に円滑な移動をするために設置されなければならない交差路切換装置の構造を簡略化する顕著な効果もある。図21に、本発明の一実施形態に係る仕分けコンベヤ装置に備えられる簡略化された交差路切換装置を示す。図21は、図4同様に、スラットコンベヤ上部の、スラット、エンドレスチェーン、本体スタンド、本体カバー、ローラ、チェーンカバー、及び、カバー等を取り除いた平面模式図で、上部交差路切換装置24Aに備えられたベーン案内通路24A2が、本発明の仕分けコンベヤ装置の交差路切換装置の特徴である。
図21の左側から右側に物品等が移動する上部交差路においては、スライドシュー13が通過するために、右上流斜行ガイドレール221A及び左上流斜行ガイドレール222Aに、それぞれ、切欠き部221A1及び切欠き部222A1が設けられる必要があり、従来は、例えば、図4に示すように、カム等を機械的に揺動させるためのアームや弾性体等の複雑な動力伝達機構を配備されてきた。しかし、本発明の仕分けコンベヤの交差路切換装置24Aは、スライドシュー13がベーン136を備えているため、ベーン136を案内する通路を、右上流斜行スライドレール221Aから左下流斜行ガイドレール232Aにかけて、両斜行ガイドレール221A、232Aからホイール132の半径だけ隔てた位置に、ベーンアーム136が誘導可能な幅の平行なベーン案内通路24A2を凹設するだけでよい。左上流斜行ガイドレール222Aから右下流斜行ガイドレール231Aにかけても同様である。
このような交差路切換装置は、ベーン136との摩耗が少ない摺動性に優れた材質が好ましく、通路の幅の精度が要求されるため、本発明の一実施形態では、エンジニアリングプラスチックの一つであるUHMWPEを用い、切削加工で製造したものを採用することが好ましいが、これに限定されるものではない。摺動性に優れた、各種エンジニアリングプラスチック、その複合材料、金属焼結材料、及び、セラミック焼結材料等を射出成形により製造したものも好ましく用いられる。
上述したように、エンジニアリングプラスチックとしては、PA、PEEK、PPS、PI、POM、PTFE、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、UHMWPE、及び、ABS樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、及び、CNF等をブレンドした複合材料を利用することができる。ベーン案内通路を精度よく成形するためには、材料に応じた加工方法を選択する必要があり、例えば、切削加工法、射出成形法、及び、RIM成形法等で加工することが好ましい。
金属焼結材料としては、一般的な滑り軸受に使用される金属粉末及び合金粉末の粉末冶金成形法によって形成された焼結材料、中でも、ベーン案内通路の加工精度を高めるためには、射出成形法を用いて成形加工することが好ましい。また、金属材料としては、鉄系合金粉末又は銅系合金粉末を用いることがより好ましい。
セラミックは高価ではあるが、摺動性や耐摩耗性等の特性が金属以上の性能を有している。セラミック焼結材料としては、金属酸化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属窒化物等の粉末を用いて粉末冶金成形法、中でも、射出成形法によって成形加工された焼結材料が好ましい。
このような金属焼結材料及びセラミック焼結材料は、それぞれ複合した焼結材料としてもよく、炭素繊維、ステンレス繊維、黒鉛粉等を配合することもできる。特に、焼結材料は多孔質体であり、潤滑剤を保持させることができるため、特別な潤滑装置を必要とすることがない、摩擦及び摩耗が少ない交差路切換装置を提供することが可能である。
ベーン案内通路の表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)をコーティングすることもできる。DLCは、ダイヤモンドに類似の特性を有する非結晶性のカーボン皮膜で、耐摩耗性に極めて優れた特性を有しており、本発明のベーン表面の被覆にも適しており、物理気相成長法(PVD、Physical Vapor Deposition)及び化学気相成長法(CVD、Chemical Vapor Deposition)によりベーンに成膜することができる。特に、PVDは、真空蒸着装置、スパッタリング装置、イオンプレーティング装置等を用い、CVDは、プラズマCVD装置、プラズマイオン注入成膜装置等を用いて成膜することが好ましい。