JP7009444B2

JP7009444B2 - 抗菌性組成物

Info

Publication number: JP7009444B2
Application number: JP2019505417A
Authority: JP
Inventors: コーリー，アンドリュー・ケネス; ホプトロフ，マイケル・ジョン; プ，ミンミン
Original assignee: ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
Priority date: 2016-08-19
Filing date: 2017-08-10
Publication date: 2022-01-25
Anticipated expiration: 2037-08-10
Also published as: WO2018033470A1; BR112019001868A2; US11246817B2; EP3500237A1; JP2019524778A; US20190201311A1; MX2019001788A; EP3500237B1; MX378100B; CN109640930A; CN109640930B; BR112019001868B1

Description

本発明は抗菌性組成物に関する。本発明は、より詳細には、抗菌効力を提供するパーソナルケア組成物、例えば頭髪、身体及び顔洗浄用パーソナルケア組成物に関する。本発明は、より詳細には、相互作用してフケ防止の利点のための相乗的抗菌効力を提供する有効成分を含む、頭髪及び頭皮用クレンジング組成物に関する。

本発明は、任意の身体部分の洗浄に有用であるが、特に頭髪及び頭皮に有用な抗菌性組成物に関する。ヘアケア組成物は、一般にクレンジング又はコンディショニングの利点又はその２つの組合せを提供する。このような組成物は、望ましくない汚れ、粒子及び脂肪物質のない頭髪及び／又は頭皮の洗浄に一般に役立つ、１つ以上のクレンジング界面活性剤を通例含む。

さらに、フケ防止の利点はヘアケア組成物を通じて提供されている。フケは、世界中の多くの人々に影響を与える問題である。この状態は、頭皮から死んだ皮膚細胞の塊が脱落することによって明らかになる。フケは白色で、審美的に不快な外観を与える。フケに寄与する因子は、ある一部のマラセチア（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａ）酵母である。これらに対抗するために、フケ防止製品は頭髪洗浄シャンプーの形態で開発されてきた。公知の抗フケ防止シャンプーの例は、抗フケ剤と組合せたナトリウムラウリルエーテルサルフェート（エトキシル化アニオン性界面活性剤）を含む。ヘアケアに使用される代表的なフケ防止剤は、金属ピリチオン、例えばジンクピリチオン（ＺＰＴＯ）、オクトピロックス（ピロクトンオラミン）、アゾール抗菌剤（例えばクリンバゾール）、硫化セレン及びその組合せである。本発明者らは、上記の有効成分を組合せることによって相乗効果が否かを確認するために実験を行った。本発明者らは２、３試みて、同じ（抗真菌）活性について組合せた場合、既知の有効成分の相乗的な挙動を期待するのは簡単ではないことを見出した。

フケの問題は、そのようなシャンプー中で上記の有効成分を使用することによって大幅に軽減されるが、これらの有効成分の効力を増強する必要がある。本発明者らは、上記有効成分の１つ（ジンクピリチオン）の効力を増強することができる非常に多くの考えられる機構の調査と、考えられる増強剤候補に関する広範な実験とを組合せることによって、アルコール性基を有するある種の化合物（例えばホノキオール、マグノロール又はペオノール）がそのような増強特性を示すことを見出した。本発明の相乗的な抗菌剤の組合せは、皮膚クレンジング、例えばボディ及びフェイスケア用の製品に配合することもできる。したがって、抗真菌活性に加えて、本発明は、Ｓ．アウレウス（Ｓ．Ａｕｒｅｕｓ）などの生物に対する抗菌効力も提供する。

国際公開第１４１３１１９号（ＪｏｈｎｓｏｎａｎｄＪｏｈｎｓｏｎ）は、ホノキオール及び／又はマグノロール並びにカルボン酸を含む抗菌有効成分を含む組成物を開示している。その使用方法も提供される。

米国特許出願公開第２０１０１４３５１５号（ＭａｒｙＫａｙ）は、以下の成分：マグノリア（Ｍａｇｎｏｌｉａ）抽出物、ホノキオール、フムルス・ルプルス（ｈｕｍｕｌｕｓｌｕｐｕｌｕｓ）抽出物、ヘスペリジンメチルカルコン、ツボクサ、ジペプチドバリル－トリプトファン、パルミトイルテトラペプチド－３、コリルス・アベラナ（ｃｏｒｙｌｕｓａｖｅｌｌａｎａ）芽抽出物、センテラ・アジアチカ（ｃｅｎｔｅｌｌａａｓｉａｔｉｃａ）抽出物、ククミス・サティバ（ｃｕｃｕｍｉｓｓａｔｉｖａ）抽出物、モルス・アルバ（ｍｏｒｕｓａｌｂａ）抽出物、ハイビスカス・サブダリファ（ｈｉｂｉｓｃｕｓｓａｂｄａｒｉｆｆａ）花抽出物、ヴィティス・ヴィニフェラ（ｖｉｔｉｓｖｉｎｉｆｅｒａ）抽出物、アスコルビルグルコシド、シトラス・メディカ・リモナム（ｃｉｔｒｕｓｍｅｄｉｃａｌｉｍｏｎｕｍ）抽出物、アベナ・サティバ（ａｖｅｎａｓａｔｉｖａ）核抽出物、加水分解ダイズタンパク質、アニシードマートル抽出物、タスマニア・ランセオラタ（ｔａｓｍａｎｉａｌａｎｃｅｏｌａｔａ）葉抽出物、アルテミシア・アブロタナム（ａｒｔｅｍｉｓｉａａｂｒｏｔａｎｕｍ）抽出物若しくはシトラス・グランディス（ｃｉｔｒｕｓｇｒａｎｄｉｓ）果実抽出物又はその任意の組合せの少なくとも２つを含む組成物を開示している組成物を皮膚に局所適用することによって皮膚の状態を処置する方法も開示されている。

中国特許出願第１０４２２５６０３号（ＴｉａｎｊｉｎＢｏｋｎｉＴｅｃｈｎｏｌｏｇｙＤｅｖＣｏＬｔｄ）は、良好な殺菌効果を有するペオノール及びグリセリルポリエーテル錯体化合物を開示している。

上記の刊行物は、本発明の有効成分の組合せを開示もせず、又は有効成分を組合せて相乗的な抗菌活性を提供できるということも一切指摘されていない。

したがって、本発明の目的は、個別の成分と比較して相乗的な抗菌活性を示すパーソナルケア組成物を提供することである。

本発明の第１の態様により、相乗的抗菌性組成物であって、
（ｉ）ピリチオンの多価金属塩、及び
（ｉｉ）０．１～１０％の、ホノキオール、マグノロール又はペオノールから選択されるアルコール性化合物
を含む、相乗的抗菌性組成物が存在する。

本発明の第２の態様は、第１の態様に記載の組成物を、個人の頭皮に適用するステップを含む、マラセチア・フルフル（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａｆｕｒｆｕｒ）の増殖を阻害する方法に関する。

これら及び他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を読めば当業者に明らかとなる。誤解を避けるために、本発明の一態様のいずれの特徴も、本発明のいずれの他の態様においても利用してもよい。「含む（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」という語は、「含む（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」を意味することを意図し、必ずしも「からなる（ｃｏｎｓｉｓｔｉｎｇｏｆ）」又は「から構成される（ｃｏｍｐｏｓｅｄｏｆ）」を意味することを意図しない。換言すれば、列挙されたステップ又はオプションは網羅的である必要はない。以下の説明に示された例は、本発明を明確にすることを意図し、本発明をこれらの例自体に限定することを意図しないことに留意されたい。同様に、すべてのパーセンテージは、別途指摘しない限り、重量／重量パーセンテージである。操作例及び比較例又は別途明示的に指摘する場合を除いて、物質の量若しくは反応の条件、物質の物性及び／又は使用を示す本明細書及び特許請求の範囲におけるすべての数字は、「約」という語によって修飾されていると理解されるものとする。「ｘからｙ」という形式で表現された数値範囲は、ｘ及びｙを含むと理解される。具体的な特徴について複数の好ましい範囲が「ｘからｙ」という形式で記載されている場合、異なる端点を組合せるすべての範囲も企図されることが理解される。即ち、値の任意の範囲を規定する場合、任意の特定の上限値は、任意の特定の下限値と関連付けることができる。

本明細書で見出されるような本発明の開示は、特許請求の範囲に多数項従属形式も冗長性もないことが見出される事実とは無関係に、特許請求の範囲において互いに多数項従属であることが見出されるようなすべての実施形態を含むと考えられるものとする。

本発明の特定の態様（例えば本発明の組成物）に関してある特徴が開示される場合、このような開示は、必要な変更を加えて、本発明の他の任意の態様（例えば本発明の方法）に適用されると考えられるものとする。

「抗菌性組成物」とは、本明細書で使用する場合、哺乳動物、特にヒトの皮膚、頭髪及び／又は頭皮への局所適用のための組成物を含むことを意味するものである。そのような組成物は、一般に、数秒から最大２４時間までの期間にわたって身体の所望の局所表面に適用される。適用時間が短い場合、例えばおよそ数秒から数分後に組成物を水で洗い流すか又は拭き取る場合、そのような組成物はクレンジング組成物又は洗い流し組成物として既知である。組成物を例えば数分間から最大２４時間までのより長期間適用して、通常のパーソナルクリーニングの過程の間に洗い流す場合、そのような組成物はリーブオン組成物として既知である。本発明による組成物は、洗い流し型又はリーブオン型であり得る。２つのうち、組成物は好ましくは洗い流し型である。組成物には、外観、クレンジング、臭気制御又は一般的な美観を改善するために人体に適用される製品も含まれる。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲル又はバーの形態であることができる。そのような組成物の非限定的な例としては、洗い流し型シャンプー、コンディショナー、シャワーゲル、手洗い用液体又はゲル又はバーが挙げられる。本発明の組成物は、最も好ましくはシャンプー又はコンディショナーである。組成物は、頭皮及び／又は頭髪のフケの症状を予防又は軽減するために最も好ましく使用される。

本発明は、より具体的には、抗菌クレンジング組成物に関する。好ましい態様は、フケ防止ヘアケア組成物である。該組成物は、ピリチオンの多価金属塩、例えばジンクピリチオンと本発明で請求するアルコール性化合物との、相乗的な抗真菌作用を含む。

ピリチオンの好ましい多価金属塩は、亜鉛１－ヒドロキシ－２－ピリジンチオンの省略形である、ジンクピリチオン（ＺＰＴＯ）である。

ピリチオンの多価金属塩は、下記一般式で表される。

ジンクピリチオンの場合、Ｍは金属カチオン亜鉛である。

ジンクピリチオンは、組成物に対して、好ましくは０．１～５．０重量％、より好ましくは０．１～２．０重量％で存在する。ＺＰＴＯは粒状物質である。粒径は本発明の利点を達成するために重要ではないが、ＺＰＴＯの粒径は、好ましくは０．２５～８マイクロメートル、より好ましくは０．５～８．０マイクロメートル、さらにより好ましくは１．０～７．５マイクロメートルである。ＺＰＴＯは、ＫｏｌｏｎＬｉｆｅＳｃｉｅｎｃｅＩｎｃ．、ＳｉｎｏＬｉｏｎ（米国）Ｌｔｄ、Ｌｏｎｚａ及び他の供給業者から市販されている。

アルコール性化合物は、好ましくは、以下に示す化学構造を有するマグノロール、ホノキオール又はペオノールから選択される。

ホノキオール

マグノロール

ペオノール
ホノキオールはＳｉｇｍａ－ＡｌｄｒｉｃｈＣｏ．ＬＬＣ．から市販され、純度は９８％以上である。この化合物は、世界の多くの地域で産する、マグノリア（Ｍａｇｎｏｌｉａ）属に属する樹木の種子錐及び葉から抽出されている。

マグノロールはＳｉｇｍａ－ＡｌｄｒｉｃｈＣｏ．ＬＬＣ．から市販され、純度は９５％以上である。この化合物はホノキオールの異性体であり、マグノリア（Ｍａｇｎｏｌｉａ）種の樹皮に数パーセントの濃度で存在する。

ペオノールはＳｉｇｍａ－ＡｌｄｒｉｃｈＣｏ．ＬＬＣ．から市販され、純度９９％である。この化合物は、パエオニア・スッフルティコサ（Ｐａｅｏｎｉａｓｕｆｆｒｕｔｉｃｏｓａ）などのボタンに見出される。

アルコール性化合物は、組成物の総重量に対して、好ましくは０．１～５％、より好ましくは０．２～３．０％で存在する。本発明の好ましい態様により、アルコール性化合物はマグノロールである。アルコール性化合物は、９０％より高い、好ましくは９５％より高い純度で組成物中に含まれることが期待される。本発明者らが見出しているのは、マグノリア（Ｍａｇｎｏｌｉａ）属に属する樹木の部分の抽出物が、アルコール性化合物であるマグノロール及びホノキオールをわずか２、３パーセントの濃度で有することが見出されることである。したがって、そのような抽出物自体を本発明の組成物に添加した場合、ジンクピリチオンとの所望の相乗的効力は得られないであろう。そのような効力が得られる前に、抽出物をアルコール性化合物の高濃度まで精製することが必要である。パエオニア（Ｐａｅｏｎｉａ）抽出物の同様の精製は、ジンクピリチオンとペオノールとの相乗作用のために必要である。

本発明の組成物中のジンクピリチオン対アルコール性化合物の重量比は、１：１０～１０：１、好ましくは１：５～５：１であることが好ましい。

理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、ＺＰＴＯの抗菌効力は、微生物膜の完全性の乱れを通じて、アルコール性化合物によって増強されると考えている。

本発明の組成物は、好ましくは化粧品として許容される担体を含む。一態様により、化粧品として許容される担体は水を含む。別の好ましい態様により、担体は界面活性剤をさらに含む。

本発明のさらに好ましい態様により、組成物はシャンプー又はヘアコンディショナーのいずれかである。

シャンプー
本発明の特に好ましい態様として、組成物はシャンプーである。本発明の組成物、とりわけシャンプーは、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルサルフェート及び／又はエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤と配合される。これらのアニオン性界面活性剤は、好ましくは、組成物の１～２０重量％、好ましくは２～１６重量％、さらに好ましくは３～１６重量％の濃度で存在する。好ましいアルキルサルフェートは、Ｃ８－１８アルキルサルフェート、より好ましくはＣ１２－１８アルキルサルフェートであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶性カチオンを有する塩の形態である。

好ましいアルキルエーテルサルフェートは、式：ＲＯ（ＣＨ_２ＣＨ_２Ｏ）_ｎＳＯ_－３Ｍを有するものであり、
式中、Ｒは８～１８個（好ましくは１２～１８個）の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり、ｎは少なくとも０．５を超える、好ましくは１～３、より好ましくは２～３の平均値を有する数であり、Ｍはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶性カチオンである。一例はナトリウムラウリルエーテルサルフェート（ＳＬＥＳ）である。平均エトキシル化度が０．５～３、好ましくは１～３であるＳＬＥＳがとりわけ好ましい。

本発明による組成物は、化粧品的に許容され、頭髪への局所塗布に好適である、１つ以上のさらなるアニオン性クレンジング界面活性剤を含み得る。

さらなる好適なアニオン性クレンジング界面活性剤の例は、アルカリルスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、Ｎ－アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボン酸並びにその塩、とりわけそのナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩並びにモノ－、ジ－及びトリエタノールアミン塩である。アルキル基及びアシル基は一般に、８から１８個の、好ましくは１０から１６個の炭素原子を含有し、不飽和であってよい。アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェート並びにアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、分子１個当たり１から２０個のエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位を含有してよい。

本発明の組成物で使用するための代表的なアニオン性クレンジング界面活性剤としては、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、ラウリルエーテルカルボン酸及びナトリウムＮ－ラウリルサルコシネートが挙げられる。

好適な好ましい追加のアニオン性クレンジング界面活性剤は、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシネート（ｎ）ＥＯ（ｎは１～３）、ラウリルエーテルカルボン酸（ｎ）ＥＯ（ｎは１０～２０）である。

上述のアニオン性クレンジング界面活性剤のいずれの混合物も好適であり得る。

本発明の組成物は、好ましくは両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインをさらに含む。好ましい実施形態において、組成物は、０．１～１０重量％、好ましくは０．５～８重量％、より好ましくは１～５重量％のベタイン界面活性剤を含む。

本発明の組成物、とりわけシャンプーからの有効成分の付着を増強するために、カチオン性ポリマーが一般にその中に含まれる。本発明においても、組成物は０．０１～２．０％のカチオン性ポリマーをさらに含むことが好ましい。カチオン性ポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーポリマーは、主にガラクトマンナンポリマー鎖を含有する。このポリマーは、グアーの加水分解の程度及びカチオン化の程度に応じて、様々な分子量及びカチオン置換度で入手可能である。カチオン性ポリマーは、組成物の好ましくは０．０４～０．５重量％、より好ましくは０．０８～０．２５重量％で存在する。

組成物のｐＨは、好ましくは４．０以上、より好ましくは５．０～７．０の範囲である。

とりわけフケ防止用シャンプー向けの本発明による組成物は、好ましくは亜鉛化合物をさらに含む。組成物中に追加の亜鉛化合物が存在すると、ピリチオン金属塩のフケ防止効力が改善されると考えられる。好適な亜鉛化合物は、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、炭酸亜鉛又はその組合せである。亜鉛化合物は、組成物の好ましくは０．１～３重量％、より好ましくは０．１～１．５重量％で存在する。

本発明によるシャンプー組成物は、好ましくは、コナゾール殺真菌剤をさらに含む。好ましくは、コナゾール殺真菌剤はケトコナゾール、クリンバゾール又はその混合物から選択される。アゾール系殺真菌剤は、好ましくは組成物の０．０１～２重量％、より好ましくは０．０２５～０．７５重量％で含まれる。コナゾール殺真菌剤が存在すると、ジンクピリチオンの付着が改善されると考えられる。

懸濁化剤
好ましくは、本発明の組成物は、懸濁化剤をさらに含む。好適な懸濁化剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル系エステルのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガム及び結晶性長鎖アシル誘導体が挙げられる。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、１６～２２個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド及びその混合物から選択される。エチレングリコールジステアレート及びポリエチレングリコール３ジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、カーボポール４２０、カーボポール４８８又はカーボポール４９３として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーも使用することができ、それらはカーボポール９１０、カーボポール９３４、カーボポール９４１及びカーボポール９８０として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとの好適なコポリマーの例は、カーボポール１３４２である。すべてのカーボポール（商標）材料は、Ｇｏｏｄｒｉｃｈから入手可能である。

アクリル酸及びアクリル酸エステルの好適な架橋ポリマーは、ペムレンＴＲ１又はペムレンＴＲ２である。好適なヘテロ多糖ガムはキサンタンガムであり、例えばＫｅｌｚａｎｍｕとして入手可能である。

上記懸濁化剤のいずれかの混合物が使用され得る。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体との架橋ポリマーの混合物が好ましい。

懸濁化剤は、含まれている場合、一般に、本発明のシャンプー組成物中に、組成物の総重量に対する懸濁化剤の総重量で、０．１～１０％の、好ましくは０．５～６％の、より好ましくは０．５～４％の濃度で存在する。

本発明の組成物は、性能及び／又は消費者の受容性を増強するための他の成分を含有し得る。そのような成分としては、香料、染料及び顔料、ｐＨ調整剤、真珠光沢剤又は乳白剤、粘度調整剤、防腐剤並びに植物成分、果実抽出物、糖誘導体及びアミノ酸などの天然頭髪栄養素が挙げられる。

本発明の組成物は、好ましくは水性系である。組成物は、好ましくは、組成物の好ましくは７０～９５重量％の多量の水を含む。

ヘアコンディショナー
コンディショニング効果が本発明の組成物によってもたらされる場合、その組成物はヘアコンディショナーと呼ばれる。通例、ヘアケア組成物に使用される最も一般的なコンディショニング剤は、非水溶性油状物質、例えば鉱油、天然油、例えばトリグリセリド及びシリコーンポリマーである。コンディショニング効果は、油性物質を頭髪に付着させることによって得られ、結果として皮膜が形成され、この皮膜により、頭髪は湿潤時にはより梳き易くなり、乾燥時にはより扱い易くなる。とりわけ有用なコンディショニング剤は、シリコーン化合物、好ましくは不揮発性シリコーン化合物である。有利には、本明細書の組成物は、１つ以上のシリコーンを含み得る。シリコーンは、分散又は懸濁した微粒子形態で見出されるコンディショニング剤である。シリコーンは、水で頭髪をすすいだ後に、頭髪に付着して残存するものである。好適なシリコーン油は、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー及びそれらの混合物を含み得る。アミノシリコーンは、シャンプー組成物に配合されることが多い。アミノシリコーンは、少なくとも１つの第１級アミン、第２級アミン、第３級アミン又は第４級アンモニウム基を含有するシリコーンである。高分子量シリコーンガムも利用することができる。別の有用な種類は、ジメチコーン／ビニル／ジメチコンクロスポリマー（例えばＤｏｗＣｏｒｎｉｎｇ９０４０及び９０４１）などの架橋シリコーンエラストマーである。

存在する組成物中のシリコーンの量は、ヘアケア組成物の約０．１～約１０重量％、好ましくは約０．１～約８重量％、より好ましくは約０．３～約５重量％の範囲に及び得る。

ヘアコンディショニング組成物は通常、単独で又は混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択される、コンディショニング界面活性剤を含む。本発明によるコンディショニング界面活性剤で使用する好適なカチオン性界面活性剤としては、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、二水素化タロージメチルアンモニウムクロリド（例えばアクゾノーベル（ＡｋｚｏＮｏｂｅｌ）製のアルクワッド（Ａｒｑｕａｄ）２ＨＴ／７５）、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ＰＥＧ－２－オレアンモニウムクロリド及びその対応する水酸化物が挙げられる。さらなる好適なカチオン性界面活性剤としては、ＣＴＦＡ名クオタニウム（Ｑｕａｔｅｒｎｉｕｍ）－５、クオタニウム（Ｑｕａｔｅｒｎｉｕｍ）－３１及びクオタニウム（Ｑｕａｔｅｒｎｉｕｍ）－１８を有する材料が挙げられる。上述の材料のいずれの混合物も好適であり得る。本発明によるコンディショナーで使用するために特に有用なカチオン性界面活性剤は、ヘキストセラニーズ（ＨｏｅｃｈｓｔＣｅｌａｎｅｓｅ）からゲナミン（ＧＥＮＡＭＩＮ）ＣＴＡＣとして市販されている、セチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナーで使用するために特に有用な別のカチオン性界面活性剤は、クラリアント（Ｃｌａｒｉａｎｔ）からゲナミン（ＧＥＮＡＭＩＮ）ＫＤＭＰとして市販されている、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。また別の好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミンである。

組成物での使用に最も好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリド又はステアリルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明のコンディショナーにおいて、カチオン性界面活性剤の量は、一般に、組成物の０．１～５重量％、好ましくは０．５～２．５重量％の範囲に及ぶ。

本発明のヘアコンディショニング組成物は、好ましくはさらに脂肪アルコールも含み得る。コンディショニング組成物における脂肪アルコールとカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤が分散しているラメラ相の形成をもたらすため、とりわけ有利であると考えられる。

代表的な脂肪アルコールは、８～２２個の炭素原子、より好ましくは１６～２２個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは通例、直鎖アルキル基を含有する化合物である。好適な脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びその混合物が挙げられる。これらの材料の使用は、これらの材料が本発明の組成物のコンディショニング特性全体に寄与するという点でも有利である。

本発明のコンディショナー中の脂肪アルコールの濃度は一般に、組成物の０．５～１０重量％、好ましくは０．１重量％～８重量％の、より好ましくは０．２重量％～７重量％の、最も好ましくは０．３重量％～６重量％の範囲に及ぶ。カチオン性界面活性剤の脂肪アルコールに対する重量比は、好適には１：１～１：１０、より好ましくは１：１．５～１：８、最適には１：２～１：５である。

皮膚クレンジング
本発明の組成物は、スキンケア、例えば身体又は顔の洗浄に使用され得る。抗菌性組成物は、界面活性剤をさらに含み得る。好ましい界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。

したがって、非常に好ましい態様において、抗菌性組成物は、アニオン性界面活性剤の群から選択される界面活性剤を含む。

界面活性剤が存在する場合、抗菌性組成物は、好ましくは組成物の１～９０重量％の界面活性剤を含む。

界面活性剤を使用する場合、特に好ましい界面活性剤は石鹸である。石鹸は、本発明の抗菌性組成物のパーソナル洗浄用途に好適な界面活性剤である。

本発明の石鹸は、存在する場合、好ましくは組成物の１～９０重量％、好ましくは１０～８５重量％、より好ましくは２５～７５重量％の量で存在する。

好ましい組成物は、香料、顔料、防腐剤、皮膚軟化剤、日焼け止め剤、乳化剤、ゲル化剤及び増粘剤などの他の既知の成分を含み得る。これらの成分の選択は、組成物の形式によって大きく異なる。

水が好ましい担体である。水が存在する場合、水は好ましくは組成物の少なくとも１重量％、より好ましくは少なくとも２重量％、さらにより好ましくは少なくとも５重量％で存在する。水が担体である場合、好ましい液体組成物は１０～９９．８重量％の水を含む。液体抗菌性組成物は、皮膚クレンジング、特に手洗い用又は洗顔用の皮膚消毒液として有用である。水が担体である場合、好ましい固体組成物は５～３０重量％の水を含む。

固体抗菌性組成物は、好ましくは成形固体、より好ましくはバーの形態である。固体抗菌性組成物は、特に手洗い又は洗顔のための皮膚クレンジングに特に有用である。

他の態様により、無機粒状材料も好適な担体である。無機粒状材料が担体である場合、抗菌性組成物は固体形態である。好ましくは、無機粒状材料はタルクである。無機粒状材料がタルクである場合、固体の抗菌性組成物は顔又は身体に塗布するためのタルカムパウダーとして特に有用である。

本発明の別の態様において、本発明の組成物はパーソナル衛生用ワイプへの使用に好適である。

本発明は、第１の態様の組成物を、個人の頭皮に適用するステップを含む、マラセチア・フルフル（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａｆｕｒｆｕｒ）の増殖を阻害する方法にも関する。また好ましくは上記ステップの後に、表面を水ですすぐことが続く。すすぎのステップは、一般に、組成物の皮膚又は髪／頭皮への適用後、１～５分以内に行われる。一態様により、本発明は、非治療的な利点を提供する。

アルコール性化合物がマグノロール又はホノキオールである場合、マラセチア・フルフル（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａｆｕｒｆｕｒ）細胞における、ピリチオンの多価金属塩とアルコール性化合物とのモル比が１：１５００～１：２０００の範囲内であるときにより効果的である。

アルコール性化合物がペオノールである場合、マラセチア・フルフル（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａｆｕｒｆｕｒ）細胞における、ピリチオンの多価金属塩とアルコール性化合物とのモル比が１：７０～１：３０００の範囲内であるときにより効果的である。

本発明をここで、以下の非制限的な実施例を参照して例証する。

［実施例］
実施例１～３：ＺＰＴＯと本発明のアルコール性化合物との間の相乗作用：
ＺＰＴＯとアルコール性化合物との間の相乗的相互作用を、ΣＦＩＣアッセイを用いて求めた。方法の簡単な説明を以下に示す。

方法：マラセチア・フルフル（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａｆｕｒｆｕｒ）に対するΣＦＩＣアッセイ
微生物の調製：
ＭＤ寒天プレート（溶液Ａ）に維持したＭ．フルフル（Ｍ．ｆｕｒｆｕｒ）（ＣＢＳ１８７８）を、２０ｍｌの増殖培地ピチロスポルム（Ｐｉｔｙｒｏｓｐｏｒｕｍ）ブロス（ＰＢ、溶液Ｂ）中で培養した。

溶液Ａの調製
改良Ｄｉｘｏｎ寒天（ＭＤ）
麦芽エキス（Ｏｘｏｉｄ）３６ｇ
真菌用ペプトン（Ｏｘｏｉｄ）６ｇ
精製寒天（Ｏｘｏｉｄ）１０
ウシ胆汁（Ｏｘｏｉｄ）２０ｇ
オレイン酸（Ｓｉｇｍａ）２ｍｌ
グリセロール（Ｓｉｇｍａ）２ｍｌ
ツイン４０（Ｓｉｇｍａ）１０ｍｌ
脱イオン水１０００ｍｌまで
９５％エタノール２ｍｌに溶解させた、クロラムフェニコール（ＯｘｏｉｄＳＲ０７８Ｅ）５０ｍｇ（１バイアル）
（オートクレーブ後も含めて十分に攪拌すること）
溶液Ｂの調製
ピチロスポルム（Ｐｉｔｙｒｏｓｐｏｒｕｍ）ブロス（ＰＢ）
細菌用ペプトン１０ｇ
酵母エキス０．１ｇ
ウシ胆汁１０ｇ
タウロコール酸２．５ｇ
グルコース１０ｇ
脱イオン水１Ｌ
ツイン６００．５ｍｌ
グリセロール１ｍｌ
ｐＨを６．２に調整
滅菌後
超高温殺菌牛乳０．５ｍｌ
次にこれらを振盪しながら、３２℃にて４８時間インキュベートする。次いで、最初のブロス培養物１ｍｌを新たなＰＢ９ｍｌ中に移し、振盪しながら３２℃にて４８時間インキュベートする。

最終培養液は２～６×１０^６細胞／ｍｌを含むはずである。これはＰＢを使用して５×１０^５細胞／ｍｌに希釈することによって得られる。

試験管内感受性試験
ジンクピリチオンを段階希釈（２倍）して、増殖培地中２～１２５ｐｐｍの範囲で調製した。アルコール性化合物を段階希釈（２倍）して、増殖培地中１０～１０，０００ｐｐｍの範囲で調製した。

ジンクピリチオン溶液２０μｌを試験化合物２０μｌと混合することによって、９６ウェルプレート中でＺＰＴＯと試験化合物との２成分の組合せを調製した。各ウェル中の溶液をＰＢ１６０μｌ及び２０μｌのＭ．フルフル（Ｍ．ｆｕｒｆｕｒ）とさらに混合した。試験プレートにおける最終細胞密度は約５＊１０^４細胞／ｍｌであり、９６ウェルプレートの各ウェルにおける有効成分の最終濃度を以下に示す。

ＺＰＴＯ濃度（ｐｐｍ）：１２．５、６．３、３．１、１．６、０．８、０．４、０．２及び０
アルコール性化合物濃度（ｐｐｍ）：１０００、５００、２５０、１２５、６２．５、３１．３、１５．６、７．８、３．９、２．０、１．０及び０
プレートを３２℃にて１日インキュベートした。次に、アラマーブルー（０．０１％）２０μｌを各ウェルに添加し、さらに１日インキュベートして、色の変化を観察した。赤色は微生物の増殖を示し、変化のない青色は増殖がないことを示す。さらに、試験化合物単独では、微生物が添加されていない対照混合物によるアラマーブルーの色変化を引き起こさないことも確認された。

計算：
（１）最小阻害濃度（ＭＩＣ）：
ＭＩＣは、試験条件下でアラマーブルーの青色によって示されるように、完全な微生物増殖阻害を与える、有効成分の絶対最低濃度として定義される。例えばジンクピリチオンでは、ＭＩＣは１．６～３．２ｐｐｍと測定された。

ホノキオール、マグノロール及びペオノールのＭＩＣは、それぞれ１０００ｐｐｍ、５００ｐｐｍ及び５００ｐｐｍと求められた。

（２）部分阻害濃度（ＦＩＣ）：
単離物及び混合物における阻害性抗菌剤の異なる挙動は、部分濃度（ＦＣ）及び部分阻害濃度（ＦＩＣ）の概念を使用して広く検討されてきた。パラメータは次のように定義できる。

ＦＩＣ（成分ａ）＝ＭＩＣ（混合物中で試験した成分ａ）
ＭＩＣ（単一有効成分として試験した成分ａ）
（３）相乗作用及び相加性
抗菌剤間の相互作用は、組合せの効力が、単独で試験した場合の個々の成分の同じ合計濃度に関して得られた効力に等しい、より大きい又はより小さいか否かによって、相加的、相乗作用的又は拮抗的であり得る。

これらの関係は、混合物中に存在するすべての成分についての部分ＭＩＣ値を合計して、「部分阻害指数」を得ることによって数学的に表すことができる。学術文献又は特許文献には、相乗作用を相加性又は拮抗作用と区別するΣＦＩＣ値の厳密な制限を定義する一貫した手法はない。本研究では、相乗的挙動の証拠を示すために、０．９未満のΣＦＩＣを有する任意の２成分混合物を定義する、自由な手法を採用した。

ΣＦＩＣ＝ＦＩＣ（成分１）＋ＦＩＣ（成分２）
ΣＦＩＣ＝１は相加的殺菌活性に相当する。

ΣＦＩＣ＞１は拮抗的殺菌活性に相当する。

ΣＦＩＣ＜０．９は相乗的殺菌活性に相当する。

４．結果
実験を行ったＺＰＴＯ（０～１２．５ｐｐｍ）及びアルコール性化合物（０～１０００ｐｐｍ）の濃度範囲に基づいて、組合せのΣＦＩＣを以下に示す。

上の表のデータは、ＺＰＴＯと組合せた３つのアルコール性化合物がそれぞれ相乗的な抗菌活性を呈することを示す。

実施例４及び５：ＺＰＴＯと他の既知のフケ防止有効成分であるクリンバゾール及びセレンスルフィドとの組合せ：
実施例１～３で使用したものと同様の試験管内アッセイを使用して、ジンクピリチオンと、クリンバゾール及びセレンスルフィドなどの他の周知のフケ防止剤との間の相互作用が相乗作用を生じるか否かを判定する実験を行った。実験は、０～１２．５ｐｐｍのジンクピリチオン濃度範囲にわたって行った。クリンバゾールは０～５００ｐｐｍの濃度で変化させ、セレンスルフィドは０～１００ｐｐｍの濃度で変化させた。

クリンバゾールのＭＩＣは３．９ｐｐｍ、セレンスルフィドのＭＩＣは５０ｐｐｍであることが判明した。ΣＦＩＣアッセイを実施し、データを以下の表にまとめる。

上の表のデータは、ジンクピリチオンと、クリンバゾール及びセレンスルフィドなどの周知のフケ防止有効成分との組合せが相乗的ではないことを示す。したがって、既知の有効成分の組合せが常に相乗効果をもたらすと結論付けることはできない。驚くべきことに、本発明で特許請求したジンクピリチオンとアルコール性化合物との組合せは相乗的な挙動を示す。

Claims

（ｉ）ピリチオンの多価金属塩、及び
（ｉｉ）０．１～１０％の、ホノキオール、マグノロール又はペオノールから選択されるアルコール性化合物
を含み、
マラセチア・フルフル（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａｆｕｒｆｕｒ）の増殖を相乗的に阻害することを特徴とする、抗菌性組成物。
前記ピリチオンの多価金属塩がジンクピリチオンである、請求項１記載の組成物。
０．１～５．０％のピリチオン多価金属塩を含む、請求項１又は２に記載の組成物。
前記アルコール性化合物がマグノロールである、請求項１～３のいずれか一項に記載の組成物。
前記組成物が、水を含む化粧品的に許容される担体を含む、請求項１～４のいずれか一項に記載の組成物。
前記担体が界面活性剤をさらに含む、請求項５に記載の組成物。
前記組成物が洗い流しヘアケア組成物又はリーブオンヘアケア組成物である、請求項１～６のいずれか一項に記載の組成物。
シャンプー又はヘアコンディショニング組成物である、請求項７に記載の組成物。
個人の頭皮に請求項１～８のいずれか一項に記載の組成物を適用するステップを含む、マラセチア・フルフル（Ｍａｌａｓｓｅｚｉａｆｕｒｆｕｒ）の増殖を阻害する方法。