以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る回転角度検出装置の一例を示す図である。図1に示すように、実施形態1に係る回転角度検出装置1は、第1磁気トラック2A及び第2磁気トラック2Bを有する回転体100と、磁気センサモジュール200と、記憶部10と、を備える。磁気センサモジュール200は、第1磁気センサ3Aと、第2磁気センサ3Bと、第1位相検出部5Aと、第2位相検出部5Bと、位相差検出部6と、角度算出部7と、信号生成部8と、第1出力ポートP1と、第2出力ポートP2と、第3出力ポートP3と、を備える。また、信号生成部8は、第1信号生成部8Aと、第2信号生成部8Bとを有する。
本実施形態において、磁気センサモジュール200は、例えば、1つのICチップに集積化されている。これにより、回転角度検出装置1を構成する部品点数の低減、第1磁気センサ3Aと第2磁気センサ3Bとの間の位置精度の向上、製造コストや組立コストの低減等を図ることができ、小型且つ安価な回転角度検出装置1を実現可能である。なお、磁気センサモジュール200は、例えば記憶部10を含んでいてもよい。これにより、回転角度検出装置1の更なる小型化及び低コスト化を実現することができる。
図2は、実施形態1に係る回転角度検出装置の回転体の一例を示す図である。図3は、図2に示す回転体の各磁気トラックの一例を示す図である。図4は、図2に示す回転体の各磁気トラックの他の例を示す図である。図5は、実施形態1に係る回転角度検出装置の磁気センサモジュールの配置例を示す図である。図6は、実施形態1に係る回転角度検出装置の図5に示すIV-IV断面図である。図7は、実施形態1に係る回転角度検出装置の各磁気センサの一例を示す図である。
図2又は図3に示すように、実施形態1の回転体100は、N極とS極とからなる磁極対2A1が等間隔に並ぶ第1磁気トラック2Aと、磁極対2B1が等間隔に並ぶ第2磁気トラック2Bとが、回転体100の回転軸Xを軸心とする同心のリング状に、径方向に並び設けられている。実施形態1の第1磁気トラック2A及び第2磁気トラック2Bは、例えば回転体100の軸方向の一方の端面を、周方向に等間隔でN極及びS極に交互に着磁することで得られる。具体的に、第1磁気トラック2A及び第2磁気トラック2Bは、例えば図に網がけしてある部分がN極、網がけのない部分がS極といったように、周方向に異なる磁極が交互に等間隔で配されている。図3に示す例において、第1磁気トラック2Aは、12対の磁極対2A1を有している。また、第2磁気トラック2Bは、8対の磁極対2B1を有している。
なお、本実施形態において、第1磁気トラック2Aの磁極対2A1の数と第2磁気トラック2Bの磁極対2B1の数との関係は、図3に示す例に限るものではない。図4に示すように、第1磁気トラック2Aは、32対の磁極対2A1を有していてもよい。また、第2磁気トラック2Bは、31対の磁極対2B1を有していてもよい。すなわち、第1磁気トラック2Aの磁極対2A1の数をP(Pは自然数)としたとき、第2磁気トラック2Bの磁極対2B1の数はP-1となっていてもよい。また、図示しないが、第1磁気トラック2Aの磁極対2A1の数をPとしたとき、第2磁気トラック2Bの磁極対2B1の数はP+1となっていてもよい。第1磁気トラック2Aの磁極対2A1の数がPであり、第2磁気トラック2Bの磁極対2B1の数がP-1(又は、P+1)の場合、回転体100におけるA点の数は1つとなる。
回転体100、100Aは、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等から構成することが可能である。
本実施形態では、第1磁気トラック2A及び第2磁気トラック2Bが回転体100の軸方向の一方の端面に着磁されたアキシャル型の構成としている。このような構成とすることで、回転角度検出装置1を軸方向に薄くすることができ、また、中空穴を大きくすることができる。これにより、例えば、内輪回転型や外輪回転型の軸受に適用する、あるいは、中空穴に機器のケーブルを配線する構造に適用することが容易となる。回転角度検出装置1を適用する機器の設計の自由度を高めることができる。
図5及び図6に示すように、実施形態1の磁気センサモジュール200は、第1磁気トラック2A及び第2磁気トラック2Bが設けられた回転体100とギャップを介してアキシャル方向に対向して設けられている。より具体的には、磁気センサモジュール200の第1磁気センサ3Aは、第1磁気トラック2Aに対向し、第1磁気トラック2Aの磁界を検知する。磁気センサモジュール200の第2磁気センサ3Bは、第2磁気トラック2Bに対向し、第2磁気トラック2Bの磁界を検知する。磁気センサモジュール200は、回転体100とは同期回転しない固定部位に設けられている。
図7に示すように、第1磁気センサ3Aは、2つの磁気センサ素子3A1、3A2を備える。磁気センサ素子3A1、3A2は、第1磁気トラック2Aの1つの磁極対2A1のピッチを1周期として、電気角で90°の位相差を有するように、磁極対2A1の並び方向に離して配置されている。また、第2磁気センサ3Bは、2つの磁気センサ素子3B1、3B2を備える。磁気センサ素子3B1、3B2は、第2磁気トラック2Bの1つの磁極対2B1のピッチを1周期として、電気角で90°の位相差を有するように、磁極対2B1の並び方向に離して配置されている。
磁気センサ素子3A1、3A2及び磁気センサ素子3B1、3B2としては、例えば、ホール素子、磁気抵抗効果(MR(Magneto Resistance effect))センサなどの磁気センサ素子を用いることができる。
第1磁気センサ3Aは、磁極対2A1内の位相に応じた正弦波の信号である第1sin信号sinθ1及び磁極対2A1内の位相に応じた余弦波の信号である第1cos信号cosθ1を出力する。また、第2磁気センサ3Bは、磁極対2B1内の位相に応じた正弦波の信号である第2sin信号sinθ2及び磁極対2B1内の位相に応じた余弦波の信号である第2cos信号cosθ2を出力する。
図1に示すように、第1磁気センサ3Aから出力された第1sin信号sinθ1及び第1cos信号cosθ1は、第1位相検出部5Aに入力される。また、第2磁気センサ3Bから出力された第2sin信号sinθ2及び第2cos信号cosθ2は、第2位相検出部5Bに入力される。
図8は、実施形態1に係る回転角度検出装置の各部波形例と、各部波形に基づいて生成されるABZ信号及びシリアル信号の例を示す図である。図8の(a)は、第1磁気トラック2Aの磁極パターンを示している。図8の(b)は、第2磁気トラック2Bの磁極パターンの一例を示している。図8の(c)は、磁気センサ素子3A1から第1位相検出部5Aに入力される第1sin信号sinθ1の波形を示している。図8の(d)は、磁気センサ素子3A2から第1位相検出部5Aに入力される第1cos信号cosθ1の波形を示している。図8の(e)は、磁気センサ素子3B1から第2位相検出部5Bに入力される第2sin信号sinθ2の波形を示している。図8の(f)は、磁気センサ素子3B2から第2位相検出部5Bに入力される第2cos信号cosθ2の波形を示している。図8の(g)は、第1位相検出部5Aから出力される検出位相信号の波形を示している。図8の(h)は、第2位相検出部5Bから出力される検出位相信号の波形を示している。図8の(i)は、位相差検出部6から出力される位相差信号の波形を示している。
図8の(j)は、第1sin信号sinθ1を、H(正)又はL(負)で2値化したA相(θ1)信号のパルス波形を示している。図8の(k)は、第1cos信号cosθ1を、H(正)又はL(負)で2値化したB相(θ1)信号のパルス波形を示している。図8の(l)は、Z相(θ1)信号のパルス波形を示している。Z相(θ1)信号は、位相差信号が示す位相差がゼロとなるタイミングでH(正)となり、B相(θ1)信号が立ち下がるタイミングでL(負)となる。
図8の(m)は、A相(θ1)信号、B相(θ1)信号及びZ相(θ1)信号に対応するシリアル信号SAを示している。シリアル信号SAは、A相(θ1)信号、B相(θ1)信号及びZ相(θ1)信号のH、Lの組み合わせや、位相差信号が示す位相差の大きさに対応して、12通りのシリアル信号SA0からSA11を有する。A相(θ1)信号、B相(θ1)信号及びZ相(θ1)信号は第1信号生成部8Aで生成される。シリアル信号SA0からSA11は第2信号生成部8Bで生成される。シリアル信号SA0からSA11は、それぞれ4ビットのシリアルデータで構成される。
図9は、実施形態1に係る回転角度検出装置の各部波形例を示す図である。図9の(a)から(j)は、図8の(a)から(j)と同じ波形を示している。図9の(j)は、第1sin信号sinθ2を、H(正)又はL(負)で2値化したA相(θ2)信号のパルス波形を示している。図9の(k)は、第1cos信号cosθ2を、H(正)又はL(負)で2値化したB相(θ2)信号のパルス波形を示している。図9の(l)は、Z相(θ2)信号のパルス波形を示している。Z相(θ2)信号は、位相差信号が示す位相差がゼロとなるタイミングでH(正)となり、B相(θ2)信号が立ち下がるタイミングでL(負)となる。
図9の(m)は、A相(θ2)信号、B相(θ2)信号及びZ相(θ2)信号に対応するシリアル信号SBを示している。シリアル信号SBは、A相(θ2)信号、B相(θ2)信号及びZ相(θ2)信号のH、Lの組み合わせや、位相差信号が示す位相差の大きさに対応して、8通りのシリアル信号SB0からSB7を有する。A相(θ2)信号、B相(θ2)信号及びZ相(θ2)信号は第1信号生成部8Aで生成される。シリアル信号SB0からSB7は第2信号生成部8Bで生成される。シリアル信号SB0からSB7は、それぞれ4ビットのシリアルデータで構成される。
図8及び図9に示す例では、第1磁気トラック2Aの3つの磁極対2A1からなるa点からb点の区間に対し、第2磁気トラック2Bの2つの磁極対2B1が対応している。すなわち、a点とb点とで、第1磁気センサ3Aの検出信号の位相と第2磁気センサ3Bの検出信号の位相とが一致する。この場合、a点を基準としたb点までの任意位置における絶対角度を検出することができる。このように、第1磁気センサ3Aの検出信号の位相と第2磁気センサ3Bの検出信号の位相とが一致する2点間の絶対角度を検出することができる。
図3に示した例では、第1磁気トラック2Aの磁極対2A1の数を12、第2磁気トラック2Bの磁極対2B1の数を8とし、A点において第1磁気トラック2Aの磁極位相と第2磁気トラック2Bの磁極位相とが一致している。図3において、回転体100におけるA点の数は4つある。回転体100の周方向で隣り合う一対のA点間が、図8及び図9に示すa点からb点までの区間に相当する。磁気センサモジュール200は、第1磁気センサ3Aの検出信号の位相と第2磁気センサ3Bの検出信号の位相とが一致するA点を原点位置として、回転体100の絶対角度を検出することができる。また、磁気センサモジュール200は、回転体100が90°回転する毎にA点を1回検出する。磁気センサモジュール200は、A点の検出数をカウントすることで、回転体100の絶対角度を90°以上の範囲でも検出することができる。
また、図4に示した例では、第1磁気トラック2Aの磁極対2A1の数を32(P=32)、第2磁気トラック2Bの磁極対2B1の数を31(P-1=31)とし、A点において第1磁気トラック2Aの磁極位相と第2磁気トラック2Bの磁極位相とが一致している。図4に示す例では、磁気センサモジュール200は、第1磁気センサ3Aの検出信号の位相と第2磁気センサ3Bの検出信号の位相とが一致するA点を原点位置として、回転体100の全周における絶対角度を検出することができる。また、磁気センサモジュール200は、回転体100が360°回転する毎にA点を1回検出する。磁気センサモジュール200は、A点の検出数をカウントすることで、回転体100の絶対角度を360°以上の範囲でも検出することができる。
第1位相検出部5A(図1参照)は、図8の(c)(d)に例示した入力信号に基づき、図8の(g)に例示した検出位相信号を出力する。具体的には、第1位相検出部5Aは、第1sin信号sinθ1及び第1cos信号cosθ1から磁極対2A1内の位相(θ1=arctan(sinθ1/cosθ1))を算出する。第2位相検出部5B(図1参照)は、図8の(e)(f)に例示した入力信号に基づき、図8の(h)に例示した検出位相信号を出力する。具体的には、第2位相検出部5Bは、第2sin信号sinθ2及び第2cos信号cosθ2から磁極対2B1内の位相(θ2=arctan(sinθ2/cosθ2))を算出する。
位相差検出部6(図1参照)は、第1位相検出部5A及び第2位相検出部5Bから出力された各検出位相信号に基づき、図8の(i)に例示した位相差信号を出力する。
角度算出部7(図1参照)は、位相差検出部6で求められた位相差を、予め設定された計算パラメータに従い絶対角度へ換算する処理を行う。角度算出部7で用いられる計算パラメータは、記憶部10(図1参照)に記憶されている。
上述したように、信号生成部8(図1参照)は、第1信号生成部8A(図1参照)と、第2信号生成部8B(図1参照)とを有する。第1信号生成部8Aは、角度算出部7で算出された絶対角度に関する情報(以下、「絶対角度情報」とも言う)として、例えば、互いに90度位相の異なるA相信号及びB相信号と、原点位置を示すZ相信号とで構成されるABZ信号を生成する。そして、第1信号生成部8Aは、生成したABZ信号をそれぞれ出力する。
第1信号生成部8Aは、図8に示したA相(θ1)信号、B相(θ1)信号及びZ相(θ1)信号を含むABZ信号を、第2出力ポートP2を介してモータ駆動用ECU300(図14参照)に出力するとともに、第3出力ポートP3を介して上位制御装置500(図14参照)にも出力する。本実施形態では、ABZ信号が第1信号である。
第2信号生成部8Bは、図8の(m)に示したシリアル信号SA0からSA11を、第1出力ポートP1を介してモータ駆動用ECU300に出力する。本実施形態では、シリアル信号が第2信号である。
記憶部10(図1参照)には、角度算出部7で用いられる計算パラメータの他に、第1磁気トラック2Aの磁極対2A1の数、第2磁気トラック2Bの磁極対2B1の数、絶対角度基準位置等、回転角度検出装置1の動作に必要な情報が記憶されている。記憶部10としては、例えば、不揮発性メモリが例示される。なお、記憶部10に記憶された計算パラメータや、回転角度検出装置1の動作に必要な情報は、例えば、後述の上位制御装置500(図14参照)から更新可能な構成としてもよい。これにより、回転角度検出装置1の使用状況に応じた設定が可能となる。
図10は、シリアル信号とABZ信号の一例を示すテーブルである。図10に示すように、シリアル信号SA0からSA11は、例えば、4bitのシリアルデータで構成される。図10のシリアルデータは、A相(θ1)及びB相(θ1)の立ち上がり、立ち下がりのタイミング毎にインクリメントされる。シリアルデータは、第1磁気センサ3A及び第2磁気センサ3Bが、原点であるA点(図3、図4参照)を検出してからの回転体100(図3、図4参照)の回転角度に対応している。図10に示すように、シリアルデータは、第1磁気センサ3A及び第2磁気センサ3Bが原点を検出するたびにゼロにリセットされる。図10のABZ信号は、A相(θ1)のH、Lのレベルと、B相(θ1)のH、Lのレベルと、Z相(θ1)のH、Lのレベルとの組み合わせで構成される。カウント値(m)は、A相(θ1)のH、Lのレベル、又は、B相(θ1)のH、Lのレベルが切り替わるタイミングをカウントした値である。カウント値(m)は、例えばカウンタ51(後述の図14参照)が生成する。
図11は、シリアル信号とABZ信号の一例を示すテーブルである。図11に示すように、シリアル信号SB0からSB7も、例えば、4bitのシリアルデータで構成される。図11のシリアルデータは、A相(θ2)及びB相(θ2)の立ち上がり、立ち下がりのタイミング毎にインクリメントされる。シリアルデータは、第1磁気センサ3A及び第2磁気センサ3Bが、原点であるA点(図3、図4参照)を検出してからの回転体100(図3、図4参照)の回転角度に対応している。図11に示すように、シリアルデータは、第1磁気センサ3A及び第2磁気センサ3Bが原点を検出するたびにゼロにリセットされる。図11のABZ信号は、A相(θ2)のH、Lのレベルと、B相(θ2)のH、Lのレベルと、Z相(θ2)のH、Lのレベルとの組み合わせで構成される。カウント値(m)は、A相(θ2)のH、Lのレベル、又は、B相(θ2)のH、Lのレベルが切り替わるタイミングをカウントした値である。カウント値(m)は、例えばカウンタ51(後述の図14参照)が生成する。
図12は、シリアル信号の送信形態の一例を示す図である。図12に示すように、第2信号生成部8Bは、シリアル信号SA、SBに、シリアル信号SC、SDを添付して送信する。シリアル信号SCには、回転角度検出装置1のステータスに関する情報が含まれている。例えば、シリアル信号SCには、原点であるA点(図3、図4参照)のカウント値n(図14参照)が含まれている。また、シリアル信号SDには、ビットチェック用の情報が含まれている。
図13は、実施形態1に係る回転角度検出装置による絶対角度の検出方法の一例を示すフローチャートである。図13において、回転角度検出装置1(図1参照)は、第1sin信号sinθ1及び第1cos信号cosθ1の各位相(図8、図9参照)と、第2sin信号sinθ2及び第2cos信号cosθ2の各位相(図8、図9参照)と、をそれぞれ検出する。(ステップST1)。例えば、第1sin信号sinθ1及び第1cos信号cosθ1の各位相は、回転角度検出装置1の第1位相検出部5A(図1参照)が検出する。第2sin信号sinθ2及び第2cos信号cosθ2の各位相は、回転角度検出装置1の第2位相検出部5B(図1参照)が検出する。
次に、回転角度検出装置1は、第1sin信号sinθ1と第2sin信号sinθ2との位相差を検出する(ステップST2)。また、回転角度検出装置1は、第1cos信号cosθ1と第2cos信号cosθ2との位相差を検出する。例えば、これら位相差の検出は、回転角度検出装置1の位相差検出部6(図1参照)が行う。
次に、回転角度検出装置1は、検出した位相差に基づいて、回転体100の絶対角度を算出する(ステップST3)。例えば、絶対角度の算出は、回転角度検出装置1の記憶部10(図1参照)に記憶されている計算パラメータを用いて、回転角度検出装置1の角度算出部7(図1参照)が行う。
次に、回転角度検出装置1は、算出した絶対角度情報をABZ信号に変換して出力する。また、回転角度検出装置1は、算出した絶対角度情報をシリアル信号に変換して出力する(ステップST4)。例えば、絶対角度のABZ信号への変換と出力は、回転角度検出装置1の第1信号生成部8A(図1参照)が行う。また、絶対角度のシリアル信号への変換と出力は、回転角度検出装置1の第2信号生成部8B(図1参照)が行う。
図14は、実施形態1に係るモータシステムの一例を示す図である。図14に示すように、実施形態1に係るモータシステム101は、モータM1と、モータM1を制御するモータ制御装置50と、を備える。また、モータ制御装置50は、回転角度検出装置1と、モータ駆動用ECU(Electronic Control Unit)300と、を備える。
モータM1は、駆動対象に直接回転力を伝達する装置であり、例えばダイレクトドライブ(以下、DD)モータである。DDモータは、駆動対象に直接回転力を伝達するため、摩擦損失が少なく回転効率を高めることができる。モータM1は、回転体100の回転軸Xを回転させる。
モータ駆動用ECU300は、モータM1に信号を送信して制御する制御装置であり、例えばDD駆動用サーボアンプである。モータ駆動用ECU300は、カウンタ51と、信号比較部52と、制御部(例えば、モータ制御部)53と、パワーアンプ54と、を備える。
カウンタ51、信号比較部52及びモータ制御部53を含む装置は、コンピュータであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、内部記憶部と、入力インターフェースと、出力インターフェースと、を含んでいる。CPU、ROM、RAM及び内部記憶部は、内部バスで接続されている。ROMには、BIOS等のプログラムが記憶されている。内部記憶部は、例えばHDD(Hard disk drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPUは、RAMをワークエリアとして使用しながらROM又は内部記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
カウンタ51は、信号線を介して回転角度検出装置1の第2出力ポートP2に接続されている。カウンタ51には、第2出力ポートP2から出力されたABZ信号が入力される。カウンタ51は、入力されたABZ信号のZ相(θ1)信号(つまり、原点)を検出してカウントする。また、カウンタ51は、入力されたABZ信号について、A相(θ1)信号のLからHへの立ち上がりと、A相(θ1)信号のHからLへの立ち下がりと、B相(θ1)信号のLからHへの立ち上がりと、B相(θ1)信号のHからLへの立ち下がりとを検出してカウントする。例えば、Z相(θ1)信号についてのカウント値をnとする。A相(θ1)信号及びB相(θ1)信号についてのカウント値をmとする。カウンタ51は、原点を検出するたびに、カウント値mをゼロにリセットする。カウンタ51が原点を検出してから次の原点を検出するまでの間、カウント値mは回転体100(図1参照)の回転角度に応じて段階的にカウントされる。このため、カウント値m,nは、回転体100の絶対角度情報を含む。カウンタ51は、カウント値m,nを2進数の信号に変換して、信号比較部52に出力する。
信号比較部52は、信号線を介して回転角度検出装置1の第1出力ポートP1に接続されている。信号比較部52には、第1出力ポートP1から出力されたシリアル信号が入力される。また、信号比較部52には、カウンタ51からABZ信号のカウント値m,nが入力される。信号比較部52は、同一期間に入力されたシリアル信号SAと、カウント値mとを比較して、シリアル信号SAと、カウント値mとが一致するか否かを判断する。例えば、図10に示したように、シリアル信号SAに含まれる4ビットのシリアルデータと、カウンタ51が生成したカウント値mとが一致する場合、信号比較部52は、シリアル信号SA、SCが示す絶対角度と、ABZ信号が示す絶対角度は同じであると判断する。
一方、シリアル信号SAに含まれる4ビットのシリアルデータと、カウンタ51が生成したカウント値mとが一致しない場合、信号比較部52は、シリアル信号SA、SCが示す絶対角度と、ABZ信号が示す絶対角度は同じではないと判断する。信号比較部52は、比較結果を含む情報Datをモータ制御部53に出力する。
モータ制御部53は、信号線を介して回転角度検出装置1の第1出力ポートP1に接続されている。モータ制御部53には、第1出力ポートP1から出力されたシリアル信号が入力される。上述の比較で、シリアル信号SA、SCが示す絶対角度とABZ信号が示す絶対角度とが一致する場合、モータ制御部53は、モータM1を第1モード(例えば、通常モード)で制御する。パワーアンプ54は、モータ制御部53からの制御信号に基づいて、モータM1に電力を供給する。
一方、上述の比較で、シリアル信号SA、SCが示す絶対角度とABZ信号が示す絶対角度とが一致しない場合は、回転角度検出装置1とモータ駆動用ECU300とを接続する信号線に断線、短絡等の異常が生じている可能性がある。そのため、モータ制御部53は、モータM1を第1モードとは異なる第2モード(例えば、制限モード)で制御する。制限モードでは、モータ制御部53は、パワーアンプ54に電力の供給停止を指示する制御信号を送信する。パワーアンプ54は、この制御信号を受けてモータM1への電力の供給を停止する。これにより、モータM1は動作を停止する。
また、回転角度検出装置1は、モータ駆動用ECUとは別に、他の制御装置と有線又は無線で接続可能となっている。例えば、図14に示すように、回転角度検出装置1の第3出力ポートP3は、信号線等を介して上位制御装置500に接続可能となっている。回転角度検出装置1の第3出力ポートP3が信号線等を介して上位制御装置500に接続されると、回転角度検出装置1が生成したABZ信号は、第3出力ポートP3から出力されて、上位制御装置500に入力される。
上位制御装置500は、入力されたABZ信号に基づいて、回転角度検出装置1による絶対角度の検出状態や、モータM1の回転状態を監視することができる。また、上位制御装置500は、入力されたABZ信号に基づいて、回転角度検出装置1やモータM1に制御信号を送信することができる。このように、回転角度検出装置1は、モータ駆動用ECU300とだけでなく、上位制御装置500にも接続可能となっている。これにより、上位制御装置500に接続するための専用の回転角度検出装置がモータM1に取り付けられる場合と比べて、回転角度検出装置1の取り付け個数を少なくすることができる。
図15は、実施形態1に係るモータシステムによるモータ制御方法の一例を示すフローチャートである。図15において、モータ駆動用ECU300(図14参照)は、ABZ信号を受信し(ステップST11)、カウント値m,n(図14参照)を生成する(ステップST12)。また、モータ駆動用ECU300は、ABZ信号の受信及びカウント値m,nの生成と並行して、シリアル信号を受信する(ステップST13)。ABZ信号の受信及びカウント値m,nの生成は、カウンタ51(図14参照)が行う。シリアル信号の受信は、信号比較部52(図14参照)が行う。
モータ駆動用ECU300は、ABZ信号とシリアル信号とを比較する(ステップST14)。例えば、モータ駆動用ECU300は、図10に示したABZ信号のカウント値mと、シリアル信号SAのシリアルデータとを比較する。この比較と、比較結果を含む情報の出力は、信号比較部52が行う。ABZ信号のカウント値mと、シリアル信号SAとが一致する場合(ステップST15;Yes)、モータ駆動用ECU300は、モータM1を通常モードで制御する(ステップST16)。一方、ABZ信号のカウント値mと、シリアル信号SAとが一致しない場合(ステップST15;No)、モータ駆動用ECU300は、モータM1を制限モードで制御する(ステップST17)。モータM1の通常モード又は制限モードによる制御は、モータ制御部53(図14参照)がパワーアンプ54(図14参照)を介して行う。
以上説明したように、実施形態1に係るモータシステム101は、モータM1と、モータ1を制御するモータ制御装置50と、を備える。モータ制御装置50は、モータM1の回転角度を検出する回転角度検出装置1と、モータ駆動用ECU300と、を備える。回転角度検出装置1は、回転体100と、回転体100の回転角度を検出する第1磁気センサ3A及び第2磁気センサ3Bと、第1磁気センサ3A及び第2磁気センサ3Bによって検出された回転角度に関する情報をABZ信号に変換して出力する第1信号生成部8Aと、第1磁気センサ3A及び第2磁気センサ3Bによって検出された回転角度に関する情報をシリアル信号に変換して出力する第2信号生成部8Bと、を有する。モータ駆動用ECU300は、第1信号生成部8Aから出力されたABZ信号と、第2信号生成部8Bから出力されたシリアル信号とを比較する信号比較部52、を備える。
これによれば、モータシステム101は、信号比較部52による比較結果に基づいて、第1信号であるABZ信号、及び、第2信号であるシリアル信号について、異常の有無を判断することができる。これにより、モータ制御の信頼性を向上させることができる。例えば、モータシステム101は、上記の比較結果に基づいて、ABZ信号を出力する第2出力ポートP2、第2出力ポートP2に接続する信号線、シリアル信号を出力する第1出力ポートP1、第1出力ポートP1に接続する信号線等に、故障や異常があるかないかを判断することができる。故障や異常として、天絡、地絡、断線等が例示される。
また、モータシステム101は、信号比較部52による比較結果に基づいて、モータM1の回転動作を制御するモータ制御部53、を備える。信号比較部52が、ABZ信号が示す絶対角度とシリアル信号が示す絶対角度とが一致していると判断する場合、モータ制御部53はモータM1を通常モードで制御する。信号比較部52においてABZ信号が示す絶対角度とシリアル信号が示す絶対角度とが一致していないと判断されると、モータ制御部53は、制限モードでモータM1を制御する。これにより、ABZ信号又はシリアル信号に異常があると判断された場合、モータシステム101は、モータM1を停止させることができるので、モータ制御の信頼性をさらに向上させることができる。
また、回転角度検出装置1は、ABZ信号を出力する第1出力ポートP1と、シリアル信号を出力する第2出力ポートP2と、を備える。これにより、回転角度検出装置1は、ABZ信号とシリアル信号を同期して出力することができる。同期して出力するとは、同一の回転角度を示すABZ信号とシリアル信号とを、同一期間内に出力することである。
(変形例)
実施形態1では、制限モードになると、モータ制御部53がモータM1の動作を停止させることを説明した。しかしながら、制限モードはこれに限定されない。例えば、信号比較部52において、ABZ信号のカウント値mとシリアル信号SAとが同期しておらず、カウント値mの入力はあるが、シリアル信号SAの入力がない場合、信号比較部52は、シリアル信号SAを伝送する信号線に断線等の異常が生じたと判断してもよい。この場合、信号比較部52は、シリアル信号の代わりに、ABZ信号のカウント値m,nをモータ制御部53に出力する。モータ制御部53にABZ信号のカウント値m,nが入力されると、モータ制御部53は、制限モードとして、ABZ信号のカウント値m,nに基づくモータ制御を開始する。これによれば、天絡、地絡、断線等により、シリアル信号の信号出力が停止しても、モータ制御部53は、ABZ信号から絶対角度情報を取得することができ、モータM1の制御を継続して行うことができる。
また、実施形態1では、回転角度検出装置1は、信号比較部52にカウント信号を出力する第1出力ポートP1と、信号比較部にABZ信号を出力する第2出力ポートP2をそれぞれ1つずつ有することを説明した。しかしながら、回転角度検出装置1は、第1出力ポートP1を複数備えてもよく、第2出力ポートP2を複数備えてもよい。例えば、互いに同一の絶対角度情報を有する複数のシリアル信号が、複数の第1出力ポートP1と、複数の第1出力ポートP1にそれぞれ接続された複数の信号線とを介して、信号比較部52にそれぞれ入力してもよい。また、互いに同一の絶対角度情報を有する複数のABZ信号が、複数の第2出力ポートP2と、複数の第2出力ポートP2にそれぞれ接続された複数の信号線とを介して、カウンタ51にそれぞれ入力してもよい。この場合、カウンタ51は、複数のABZ信号の各々について、カウント値m,nを生成して信号比較部52に出力する。信号比較部52に対するシリアル信号又はカウント値m,nの入力経路は、3系統以上となる。
このように、シリアル信号又はカウント値m,nの入力経路が3系統以上ある場合、信号比較部52は、シリアル信号が示す絶対角度と、カウント値m,nが示す絶対角度とが一致するか否かの判断を、多数決で決めてもよい。例えば、絶対角度が一致するシリアル信号又はカウント値m,nが、全体の半数を超える場合、信号比較部52は、シリアル信号が示す絶対角度とカウント値m,nが示す絶対角度とが一致すると判断する。一方、絶対角度が一致するシリアル信号又はカウント値m,nが、全体の半数以下の場合、信号比較部52は、シリアル信号が示す絶対角度とカウント値m,nが示す絶対角度とが一致しないと判断する。これによれば、3系統以上の入力経路のうち、1系統の入力経路が断線したような場合でも、信号比較部52は、上記の判断を継続して行うことができる。
また、実施形態1では、第1信号生成部8Aが、図8に示したA相(θ1)信号、B相(θ1)信号及びZ相(θ1)信号で構成されるABZ信号を、第2出力ポートP2及び第3出力ポートP3を介して外部にそれぞれ出力することを説明した。しかしながら、本実施形態では、第1信号生成部8Aは、ABZ信号を図8に示したA相(θ1)信号、B相(θ1)信号及びZ相(θ1)信号で構成するのではなく、図9に示すA相(θ2)信号、B相(θ2)信号及びZ相(θ2)信号で構成してもよい。そして、第1信号生成部8Aは、A相(θ2)信号、B相(θ2)信号及びZ相(θ2)信号で構成されるABZ信号(θ2)を、第2出力ポートP2及び第3出力ポートP3を介して外部にそれぞれ出力するようにしてもよい。
その場合は、信号比較部52は、同一期間に入力されたシリアル信号SBと、ABZ信号(θ2)のカウント値mとを比較して、シリアル信号SB、SCが示す絶対角度と、カウント値m,nが示す絶対角度とが一致するか否かを判断する。例えば、シリアル信号SBに含まれる4ビットのシリアルデータ(図11参照)と、ABZ信号(θ2)のカウント値mとが一致する場合、信号比較部52は、シリアル信号SB、SCが示す絶対角度と、ABZ信号が示す絶対角度は同じであると判断する。
(実施形態2)
図16は、実施形態2に係るモータシステムの一例を示す図である。図16に示すように、実施形態2に係るモータシステム101Aは、モータM1と、モータ制御装置50Aと、を備える。また、モータ制御装置50Aは、回転角度検出装置1と、システム制御用ECU400とを備える。また、システム制御用ECU400は、カウンタ51と、信号比較部52と、システム制御部55と、モータ駆動用ECU300Aとを有する。モータ駆動用ECU300Aは、モータ制御部53と、パワーアンプ54とを有する。
カウンタ51、信号比較部52及びシステム制御部55を含む装置は、コンピュータであり、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、内部記憶部と、入力インターフェースと、出力インターフェースと、を含んでいる。CPU、ROM、RAM及び内部記憶部は、内部バスで接続されている。ROMには、BIOS等のプログラムが記憶されている。モータ制御部53はシステム制御部55と同一のコンピュータに含まれていてもよいし、システム制御部55とは別のコンピュータに含まれていてもよい。
システム制御用ECU400は、モータM1を駆動する機能を有する。また、システム制御用ECU400は、図15に示したフローチャートのステップST11からST17を実行する。例えば、システム制御用ECU400は、ABZ信号を受信し(ステップST11)、カウント値m,n(図14参照)を出力する(ステップST12)。また、システム制御用ECU400は、ABZ信号の受信及びカウントと並行して、シリアル信号を受信する(ステップST13)。ABZ信号の受信及びカウント値m,nの生成は、カウンタ51が行う。シリアル信号の受信は、信号比較部52が行う。
次に、システム制御用ECU400は、ABZ信号とシリアル信号とを比較する(ステップST14)。例えば、システム制御用ECU400は、図10に示したABZ信号のカウント値mと、シリアル信号SAのシリアルデータとを比較する。この比較と、比較結果を含む情報Datの出力は、信号比較部52が行う。ABZ信号が示す絶対角度と、シリアル信号が示す絶対角度とが一致する場合(ステップST15;Yes)、システム制御用ECU400は、モータM1を通常モードで制御する(ステップST16)。一方、ABZ信号が示す絶対角度と、シリアル信号が示す絶対角度とが一致しない場合(ステップST15;No)、システム制御用ECU400は、モータM1を制限モードで制御する(ステップST17)。モータM1の通常モード又は制限モードによる制御は、システム制御部55の制御下で、モータ制御部53がパワーアンプ54を介して行う。
実施形態2に係るモータシステム101Aは、実施形態1に係るモータシステム101と同様に、モータ制御の信頼性を向上させることができる。なお、実施形態2に係るモータシステム101Aにおいても、実施形態1で説明した変形例は適用可能である。
(実施形態3)
図17は、実施形態3に係るモータシステムの一例を示す図である。図17に示すように、実施形態3に係るモータシステム101Bは、モータ(以下、第1モータ)M1と、第2モータM2と、モータ制御装置50Bと、を備える。また、モータ制御装置50Bは、第1モータM1の回転角度を検出する第1回転角度検出装置1Aと、第2モータM2の回転角度を検出する第2回転角度検出装置1Bと、システム制御用ECU400Aと、を備える。
第1モータM1及び第2モータM2は、モータM1と同じ構成を有し、例えばDDモータである。また、第1回転角度検出装置1A及び第2回転角度検出装置1Bは、図1に示した回転角度検出装置1と同じ構成を有する。第1回転角度検出装置1Aは、シリアル信号をシステム制御用ECU400Aに出力する出力ポートP1Aと、ABZ信号をシステム制御用ECU400Aに出力する出力ポートP2Aと、ABZ信号を上位制御装置500に出力する出力ポートP3Aと、を有する。第2回転角度検出装置1Bは、シリアル信号をシステム制御用ECU400Aに出力する出力ポートP1Bと、ABZ信号をシステム制御用ECU400Aに出力する出力ポートP2Bと、ABZ信号を上位制御装置500に出力する出力ポートP3Bと、を有する。
システム制御用ECU400Aは、第1カウンタ51Aと、第1信号比較部52Aと、モータ駆動用ECU(以下、第1モータ駆動用ECU)300Aと、第2カウンタ51Bと、第2信号比較部52Bと、第2モータ駆動用ECU300Bと、システム制御部55とを有する。第2モータ駆動用ECU300Bは、第1モータ駆動用ECU300Aと同じ構成を有する。
第1カウンタ51A、第2カウンタ51B、第1信号比較部52A、第2信号比較部52B及びシステム制御部55を含む装置は、実施形態2と同様にコンピュータである。第1モータ駆動用ECU300Aのモータ制御部53と、第2モータ駆動用ECU300Bのモータ制御部53は、システム制御部55と同一のコンピュータに含まれていてもよいし、システム制御部55とは別のコンピュータに含まれていてもよい。
システム制御用ECU400Aは、第1モータM1及び第2モータM2をそれぞれ駆動する機能を有する。また、システム制御用ECU400Aは、第1モータM1及び第2モータM2について、図15に示したフローチャートのステップST11からST17をそれぞれ実行する。
例えば、第1カウンタ51Aは、出力ポートP2Aから出力されたABZ信号を受信し(ステップST11)、カウント値m,nを生成する(ステップST12)。また、第1信号比較部52Aは、出力ポートP2Aから出力されたABZ信号の受信及びカウント値m,nの生成と並行して、出力ポートP1Aから出力されたシリアル信号を受信する(ステップST13)。第1信号比較部52Aは、出力ポートP1Aから出力されたABZ信号と、出力ポートP1Aから出力されたシリアル信号とを比較し(ステップST14)、比較結果を含む情報DatAを出力する。例えば、システム制御用ECU400Aは、図10に示したABZ信号のカウント値mと、シリアル信号SAのシリアルデータとを比較し、比較結果を含む情報DatAを出力する。ABZ信号が示す絶対角度と、シリアル信号が示す絶対角度とが一致する場合(ステップST15;Yes)、システム制御部55は、第1モータ駆動用ECU300Aを介して第1モータM1を通常モードで制御する(ステップST16)。一方、ABZ信号が示す絶対角度と、シリアル信号が示す絶対角度とが一致しない場合(ステップST15;No)、システム制御部55は、第1モータ駆動用ECU300Aを介して、第1モータM1を制限モードで制御する(ステップST17)。
同様に、第2カウンタ51Bは、出力ポートP2Bから出力されたABZ信号を受信し(ステップST11)、カウント値m,nを生成する(ステップST12)。また、第2信号比較部52Bは、出力ポートP2Bから出力されたABZ信号の受信及びカウント値m,nの生成と並行して、出力ポートP1Bから出力されたシリアル信号を受信する(ステップST13)。第2信号比較部52Bは、出力ポートP1Bから出力されたABZ信号と、出力ポートP1Bから出力されたシリアル信号とを比較し(ステップST14)、比較結果を含む情報DatBを出力する。例えば、システム制御用ECU400Bは、ABZ信号のカウント値mと、シリアル信号SAのシリアルデータとを比較し、比較結果を含む情報DatBを出力する。ABZ信号が示す絶対角度と、シリアル信号が示す絶対角度とが一致する場合(ステップST15;Yes)、システム制御部55は、第2モータ駆動用ECU300Bを介して第2モータM2を通常モードで制御する(ステップST16)。一方、ABZ信号が示す絶対角度と、シリアル信号が示す絶対角度とが一致しない場合(ステップST15;No)、システム制御部55は、第2モータ駆動用ECU300Bを介して、第2モータM2を制限モードで制御する(ステップST17)。
実施形態3に係るモータシステム101Bは、実施形態1に係るモータシステム101や、実施形態2に係るモータシステム101Aと同様に、モータ制御の信頼性を向上させることができる。また、実施形態3に係るモータシステム101Bでは、例えば、第1信号比較部52AがABZ信号又はシリアル信号に異常があると判断すると、システム制御部55は、第1モータ駆動用ECU300Aだけでなく、第2モータ駆動用ECU300Bにも制限モードによる制御を指示することもできる。これにより、モータ制御の信頼性をさらに向上させることができる。なお、実施形態3に係るモータシステム101Bにおいても、実施形態1で説明した変形例は適用可能である。
本実施形態のモータ制御装置及びモータシステムは適宜変更してもよい。例えば、第1信号及び第2信号はそれぞれ同じ形式の信号であってもよい。第1信号及び第2信号は両方ともABZ信号であってもよい。また、第1信号及び第2信号は両方ともシリアル信号であってもよい。このような構成であっても、信号比較部が第1信号及び第2信号を比較することによって、第1信号及び第2信号の確からしさを確認することができ、モータ制御の信頼性を向上させることができる。