(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行する車両において、当該車両の各種機器に電力を供給する車載電源システムを具体化するものとしている。
図1に示すように、本電源システムは、鉛蓄電池11と、リチウムイオン蓄電池12と、を有する2電源システムであり、各蓄電池11,12からは電気負荷13や、電気負荷15への放電(給電)が可能となっている。また、各蓄電池11,12に対しては発電機14による充電が可能となっている。本システムでは、発電機14に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されるとともに、電気負荷15に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されている。本実施形態では、鉛蓄電池11が、「第1蓄電池」に相当し、リチウムイオン蓄電池12が、「第2蓄電池」に相当する。
鉛蓄電池11は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて、充放電における電力損失が少なく、出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて充放電時のエネルギ効率が高い蓄電池であるとよい。また、リチウムイオン蓄電池12は、それぞれ複数(本実施形態では5つ)の単電池30a〜30eを有してなる組電池として構成されている。これら各蓄電池11,12の定格電圧はいずれも同じであり、例えば12Vである。
図示による具体的な説明は割愛するが、リチウムイオン蓄電池12は、収容ケースに収容されて基板一体の電池ユニットUとして構成されている。本実施形態では、電池ユニットUにより「電源装置」が構成されている。図1では、電池ユニットUを破線で囲んで示す。電池ユニットUは、外部端子P0,P1を有しており、このうち外部端子P0に鉛蓄電池11と、電気負荷13と、発電機14が接続され、外部端子P1に電気負荷15が接続されている。
発電機14の具体例としては、オルタネータが考えられる。発電機14の回転軸は、ベルトなどを介して図示しないエンジンの出力軸に連結されており、エンジンの出力軸の回転に伴って発電機14の回転軸が回転するように構成されている。発電機14は、エンジンの出力軸や車軸の回転により発電(回生発電)を行う。発電機14は、発電電力を各蓄電池11,12や電気負荷15に供給する。
電気負荷15には、供給電力の電圧が一定、又はあらかじめ決められた範囲内で変動することが要求される定電圧負荷や、定電圧負荷以外の一般的な電気負荷が含まれる。
定電圧負荷の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置、エンジンECU等の各種ECUが挙げられる。一般的な電気負荷の具体例としては、スタータ、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、ヘッドライト、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等が挙げられる。
電気負荷13は、定電圧要求負荷以外の一般的な電気負荷である。電気負荷13の具体例としては、スタータ、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、ヘッドライト、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等が挙げられる。
次に、電池ユニットUについて説明する。電池ユニットUには、ユニット内電気経路として、各外部端子P0,P1を繋ぐ電気経路L1と、電気経路L1上の接続点N1とリチウムイオン蓄電池12とを繋ぐ電気経路L2とが設けられている。このうち電気経路L1にスイッチ21が設けられ、電気経路L2にスイッチ22が設けられている。発電機14の発電電力は、電気経路L1,L2を介して鉛蓄電池11やリチウムイオン蓄電池12に供給される。
スイッチ21,22は、それぞれ2つ一組の半導体スイッチ21a,21b,22a,22bを備えている。半導体スイッチ21a,21b,22a,22bは、MOSFETであり、その2つ一組のMOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きになるように直列に接続されている。
例えば、スイッチ22について詳しく説明すると、半導体スイッチ22a,22bが直列に接続されて構成されている。半導体スイッチ22a,22bは、その内部構造上必然的に整流手段を有している。つまり、半導体スイッチ22aの内部回路は、スイッチ部S1と寄生ダイオードD1とが並列に接続された回路となっている。同様に、半導体スイッチ22bも、スイッチ部S2と寄生ダイオードD2とが並列に接続された回路となっている。そして、これらの半導体スイッチ22a,22bは、寄生ダイオードD1,D2が互いに逆向きとなるように直列に接続されている。なお、便宜上、スイッチ22を用いて説明したが、スイッチ21も同様に構成されている。また、図1では、寄生ダイオードD1,D2が互いにアノード同士で接続されるようにしたが、寄生ダイオードD1,D2のカソード同士が接続されるようにしてもよい。
上記のようにして、スイッチ21,22が構成されることで、例えばスイッチ22がオフとなった場合、つまり半導体スイッチ22a,22bがオフとなった場合において、寄生ダイオードD1,D2を通じて電流が流れることが完全に遮断される。つまり、リチウムイオン蓄電池12に意図せず充電されることを回避できる。
なお、半導体スイッチ21a,21b,22a,22bとして、MOSFETに代えて、IGBTやバイポーラトランジスタ等を用いることも可能である。IGBTやバイポーラトランジスタをスイッチ部として用いた場合には、上記寄生ダイオードD1,D2の代わりとなるダイオードを当該スイッチ部にそれぞれ並列に接続させればよい。また、スイッチ21,22において、2つ一組のMOSFETを複数設けて、複数組のMOSFETを並列に接続するようにしてもよい。
電池ユニットUは、各スイッチ21,22を制御するスイッチ制御部としての制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されている。
制御装置50は、各蓄電池11,12の蓄電状態に基づいて、各スイッチ21,22等を制御する。例えば、制御装置50は、リチウムイオン蓄電池12の電圧を電圧センサから取得し、取得した電圧に基づき、リチウムイオン蓄電池12のSOC(蓄電率:State Of Charge)を算出する。そして、制御装置50は、そのSOCが所定の使用範囲内に維持されるように、各スイッチ21,22を制御して、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12の充電及び放電を制御する。すなわち、制御装置50は、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを選択的に用いて充放電を実施する。このため、制御装置50が、スイッチ制御部として機能する。
なお、電気負荷15は、定電圧要求負荷であることから、スイッチ21とスイッチ22のいずれか一方は、必ず閉鎖され、電気負荷15へ電力(暗電流等)が継続して供給されることとなる。
また、制御装置50は、電池ユニットUに関わる異常判定を行う。電池ユニットUに関わる異常としては、例えば、スイッチ21,22を構成する半導体スイッチ21a,21b,22a,22bのオン故障などがある。オン故障は、接続状態の切り替え時に発生する過渡電流の熱等によって、スイッチ部S1がオンに固着してしまう状態をいう。この場合には、意図せず電流が流れるという事態が生じる可能性がある。
ここで、スイッチ22のオン故障の検出について説明する。図1に示すように、半導体スイッチ22a及び半導体スイッチ22bの中間点N10には、当該中間点N10における電圧を検出(監視)する電圧センサ60が設けられている。
ここで、例えば半導体スイッチ22a及び半導体スイッチ22bのいずれかがオンの状態であれば、中間点N10の電圧が所定値以上になる。一方、半導体スイッチ22a及び半導体スイッチ22bがいずれもオフの状態であれば、所定値未満になる。このため、制御装置50は、電圧センサ60により検出された電圧に基づき、スイッチ22のオン故障を判定することができる。なお、制御装置50は、スイッチ22を閉鎖(オフ)させている場合に、リチウムイオン蓄電池12の電圧が上昇した場合、オン故障であると判定してもよい。
制御装置50には、例えばエンジンECUからなるECU100が接続されている。ECU100は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されており、都度のエンジン運転状態や車両走行状態に基づいてエンジンの運転を制御する。制御装置50及びECU100は、CAN等の通信ネットワークにより接続されて相互に通信可能となっており、制御装置50及びECU100に記憶される各種データが互いに共有できるものとなっている。
前述したように、リチウムイオン蓄電池12は、複数の単電池30a〜30eから構成されているため、各単電池30a〜30eで蓄電状態(SOC又は電圧)のばらつきが生じる可能性がある。蓄電状態のばらつきは、例えば、自己放電において内部抵抗など単電池30a〜30eごとの状態の違いにより生じうる。
蓄電状態のばらつきが生じると、充電時には高SOCの単電池により充電が制約される一方、放電時には低SOCの単電池により放電が制約されることになり、各単電池30a〜30dの使用領域を十分に活用することができない。このため、制御装置50は、複数の単電池30a〜30eのSOC及び電圧を均等化するため、各単電池30a〜30eにおけるSOC及び電圧の均等化処理を行う。
具体的には、図2に示すように、各単電池30a〜30eの両端側(正極側及び負極側)には、それぞれ電気経路である検出用ラインL11〜L16が接続されている。電圧センサ40は、各検出用ラインL11〜L16と接続されており、各単電池30a〜30eの両端側(正極側及び負極側)の検出用ラインL11〜L16における電圧差から、各単電池30a〜30eの電圧を検出する。
また、各単電池30a〜30eの両端側(正極側及び負極側)の検出用ラインL11〜L16は、電気経路である接続経路L21〜L25によりそれぞれ接続されている。接続経路L21〜L25には、接続経路L21〜L25を通電又は通電遮断の状態とするスイッチSW1〜SW5が、それぞれ設けられている。また、接続経路L21〜L25には抵抗R1がそれぞれ設けられており、スイッチSW1〜SW5が閉鎖されると、各単電池30a〜30eの両端側(正極側及び負極側)が抵抗R1を介して接続されることとなる。制御装置50は、各スイッチSW1〜SW5の開閉を制御することにより、各単電池30a〜30eの電圧が均等となるまで、単電池30a〜30e毎に均等化放電を実施させることができる。
この均等化処理は、原則として、車載電源システムが停止状態である場合、すなわち、イグニッションスイッチがオフ状態である場合に実行される。イグニッションスイッチがオフ状態である場合、スイッチ22は、開放状態とされている。
ところで、スイッチ22がオン故障(ずっと閉鎖状態となり、開放状態とならない故障)する場合がある。スイッチ22がオン故障すると、電気経路L2が通電の状態となる。そして、発電機14が発電を行い、鉛蓄電池11へ発電電力が供給されている場合、すなわち、鉛蓄電池11を充電している場合に、スイッチ22がオン故障していると、リチウムイオン蓄電池12も充電される場合がある。
具体的には、スイッチ22が開放させている場合、電気負荷15へ鉛蓄電池11又は発電機14から電力(暗電流等)を供給する必要があることから、スイッチ21は閉鎖される。このため、スイッチ22がオン故障し、電気経路L2が通電の状態となると、発電電力がスイッチ21,22を介してリチウムイオン蓄電池12へも供給される場合がある。
なお、制御装置50は、前述したようにスイッチ22のオン故障を検出することが可能であるが、電気経路L2の電流が流れなければ、検出することができない。このため、オン故障の検出する際に時間がかかり、リチウムイオン蓄電池12が充電される可能性がある。
また、各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等である場合、発電機14の発電電圧は、リチウムイオン蓄電池12が過充電となるまで充電可能な電圧でない。しかしながら、各単電池30a〜30eでSOC(及び電圧)のばらつきが生じていると、一部の単電池が過充電となる可能性がある。過充電となりうる状況について詳しく説明する。
まず、各単電池30a〜30eの蓄電状態(SOC及び電圧)が均等である場合について説明する。図3(a)に示すように、各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等である場合に、リチウムイオン蓄電池12を充電すると、各単電池30a〜30eも均等に充電される。すなわち、図3(b)に示すように、充電後も、各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等となるように維持される。
このように蓄電状態が均等である場合、仮に、すべての単電池30a〜30eが充電完了電状態となるまで充電がされると、各単電池30a〜30eの合計電圧(つまり、リチウムイオン蓄電池12の電圧)は、発電機14の発電電圧よりも高くなる。
なお、単電池30a〜30eの蓄電状態には、適正な範囲(本実施形態では、SOCが第1所定値T10から第2所定値T20までの範囲)が定められており、この範囲内で使用(充放電)することにより、過充電となることや、劣化が早くなることを防止することができる。充電完了状態とは、適正な範囲のうち、例えば、最もSOC(又は電圧)が高い蓄電状態(SOCが第2所定値T20である蓄電状態)のことを指す。充電完了状態は、適正な範囲に限らず、任意に変更してもよいが、過充電となる直前の蓄電状態であることが望ましい。
例えば、発電電圧が10V〜13Vの範囲内である一方、充電完了状態となった場合における各単電池30a〜30eの電圧が例えば3Vであるとすると、各単電池30a〜30eの合計電圧は、15Vとなる。このため、各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等である場合、発電電圧は10〜13Vの範囲内であることから、各単電池30a〜30eが過充電となるまで充電されることはない。
一方、図3(c)に示すように、各単電池30a〜30eの蓄電状態にばらつきがある場合(不均等である場合)、リチウムイオン蓄電池12を充電すると、ばらつきを維持したまま各単電池30a〜30eが充電される。
このため、図3(d)に示すように、SOC又は電圧が最も高い単電池(以下、単に最高電圧単電池と示す)が、充電完了状態となっても、他の単電池30b〜30eの電圧が低い場合には、各単電池30a〜30eの合計電圧が、発電電圧よりも低くなる可能性がある。なお、図3(c)〜(e)では単電池30aが最高電圧単電池として例示する。
例えば、最高電圧単電池30aの電圧が3V(充電完了状態)となっても、他の単電池30b〜30eの電圧がそれぞれ1.6V,1.8V,2V,2.5Vである場合、単電池30a〜30eの合計電圧は、10.9Vとなる。この場合に、発電電圧が12Vであるとすると、図3(e)に示すように、単電池30a〜30eの合計電圧が発電電圧に達するまで、さらに充電され続けられることとなる。これにより、少なくとも最高電圧単電池30aは、3V以上の電圧となり、過充電となる虞がある。
過充電となると、劣化が早くなるなど様々な不都合が生じる。そこで、制御装置50は、過充電を規制するため、以下のような構成及び処理を行うこととした。詳しく説明する。
制御装置50は、発電電圧を決定する決定部51と、蓄電状態を取得する取得部52と、判定部53と、発電制御部54と、均等制御部55と、による各種機能を実行する。制御装置50が備える記憶装置に記憶されたプログラムが実行されることで、各種機能が実現される。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
決定部51は、鉛蓄電池11の蓄電状態(SOC及び電圧)に基づき、発電機14の発電電圧を決定する。発電電圧は、所定の範囲内、例えば、10V〜13Vの範囲内で決定される。
取得部52は、電圧センサ40により検出される各単電池30a〜30eの電圧を取得する。なお、各単電池30a〜30eのSOCを算出し、算出されたSOCを取得してもよい。
判定部53は、リチウムイオン蓄電池12が充電される場合に、各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池が充電完了状態となる時点での各単電池30a〜30eの合計電圧が発電電圧よりも高いか否かを、取得部52により取得された各単電池30a〜30eの蓄電状態に基づいて判定する。なお、以下では、各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池が充電完了状態となる時点の状態ことを、単に特定状態と示す。
より詳しく説明すると、判定部53は、まず、取得部52により取得された各単電池30a〜30eの蓄電状態に基づいて、特定状態における各単電池30a〜30eの電圧を推定する。
推定方法について具体的に説明する。各単電池30a〜30eの電圧とSOCは、図3に示すような相関関係を有することが知られている。つまり、各単電池30a〜30eのSOCと電圧は、比例関係を有し、SOC及び電圧の範囲により、比例係数が異なっている。
例えば、SOCが第1閾値T1よりも低い場合又は第2閾値T2よりも高い場合の比例係数C1は、SOCが第1閾値T1〜第2閾値T2の範囲内である場合の比例係数C2よりも大きくなっている。なお、SOCが第1所定値T10(ただし、第1所定値T10<第1閾値T1)よりも小さい場合、又は第2所定値T20(ただし、第2閾値T2<第2所定値T20)よりも大きい場合、単電池30a〜30eは、劣化しやすい。本実施形態では、単電池30a〜30eのSOCが、第2所定値T20である場合、又は単電池30a〜30eの電圧が、第2所定値T20に応じた電圧である場合、単電池30a〜30eは充電完了状態であることとしている。
制御装置50の記憶装置には、電圧とSOCの相関関係が予め記憶されており、判定部53は、取得部52により取得された各単電池30a〜30eの蓄電状態に基づいて、特定状態における各単電池30a〜30eの電圧を推定する。
具体的には、判定部53は、まず、取得部52により取得された現時点における各単電池30a〜30eの電圧に基づき、現時点における各単電池30a〜30eのSOCを算出する。そして、判定部53は、算出された各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池を特定する。
次に、判定部53は、特定した最高電圧単電池のSOCが第2所定値T20となったと想定して、各単電池30a〜30eのSOC差に基づき、各単電池30a〜30eのSOCを推定する。詳しく説明すると、各単電池30a〜30eのSOCの差は、充電されても維持される。このため、判定部53は、特定した最高電圧単電池のSOCと、他の単電池のSOCとのSOC差をそれぞれ算出し、第2所定値T20から算出したSOC差をそれぞれ減算することにより、特定状態における各単電池30a〜30eのSOCを推定する。
例えば、現時点における単電池30a〜30eのSOCがそれぞれ50%、45%、40%、35%、30%である場合について説明する。最高電圧単電池30aのSOCが第2所定値T20である80%となるまで充電されると想定した場合、SOC差に基づき単電池30b〜30eのSOCは、それぞれ75%、70%、65%、60%と推定される。
そして、判定部53は、電圧とSOCの相関関係に基づき、推定された各単電池30a〜30eのSOCに対応する各単電池30a〜30eの電圧を特定(推定)する。
なお、充電されても各単電池30a〜30eの電圧差はほとんど維持される。このため、取得部52により取得された各単電池30a〜30eの電圧差を求め、電圧差に基づき、特定状態における各単電池30a〜30eの電圧を推定してもよい。
より詳しく説明すると、判定部53は、取得部52により取得された各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池を特定する。そして、判定部53は、他の単電池との間において、最高電圧との電圧差をそれぞれ算出する。そして、判定部53は、第2所定値T20に対応する電圧V20から算出した各電圧差をそれぞれ減算することにより、特定状態における各単電池30a〜30eの電圧を推定する。
例えば、現時点における単電池30a〜30eの電圧がそれぞれ1V、1.2V、1.5V、1.8V,2Vである場合について説明する。最高電圧単電池30eの電圧が、第2所定値T20に対応する3Vとなるまで充電されると想定した場合、各電圧差に基づき、単電池30a〜30dの電圧は、それぞれ2V、2.2V、2.5V、2.8Vと推定される。
そして、判定部53は、推定した特定状態の各単電池30a〜30eの電圧を合計した合計電圧が、決定部51により決定された発電電圧よりも高い否かを判定する。
発電制御部54は、合計電圧が発電電圧よりも高いと判定された場合、発電電圧にて発電機14を発電させるように制御する。すなわち、発電制御部54は、決定された発電電圧をECU100に通知する。これにより、ECU100は、決定部51により決定された発電電圧で発電させるように、発電機14を制御する。
一方、合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、発電制御部54は、推定した合計電圧以下の電圧で発電させるように制御する。つまり、制御装置50は、合計電圧以下の電圧を発電電圧としてECU100に通知する。これにより、ECU100は、合計電圧以下の電圧で発電させるように、発電機14を制御する。なお、合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、発電を規制させてもよい。
均等制御部55は、合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、発電中に、各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等となるように制御する。すなわち、均等制御部55は、発電中に、各スイッチSW1〜SW5の開閉を制御することにより、各単電池30a〜30eの電圧が均等となるまで、単電池30a〜30e毎に均等化放電を実施させる。
次に、発電制御処理について図4に基づき説明する。発電制御処理は、IGオン状態中、所定周期ごとに制御装置50により実行される。
制御装置50は、まず、発電機14による回生発電が行われる発電条件が成立したか否かを判定する(ステップS101)。発電条件は、例えば、車両速度が減速した場合に成立する。なお、発電条件が成立したか否かは、例えば、ECU100からの通知に基づき判定する。すなわち、ECU100から発電条件が成立した旨の通知がされた場合、制御装置50は、発電条件が成立したと判定する。発電条件が成立していない場合(ステップS101:NO)、制御装置50は、発電制御処理を終了する。
発電条件が成立した場合(ステップS101:YES)、制御装置50は、鉛蓄電池11の蓄電状態に基づき、発電機14の発電電圧を決定する(ステップS102)。
次に、制御装置50は、電圧センサ40により検出される各単電池30a〜30eの電圧を取得する(ステップS103)。そして、制御装置50は、取得した各単電池30a〜30eの電圧に基づき、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧を推定する(ステップS104)。
次に、制御装置50は、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧が、発電電圧よりも高いか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、制御装置50は、ステップS104で推定した合計電圧が、ステップS102で決定された発電電圧よりも高いか否かに基づき判定する。
合計電圧が発電電圧よりも高いと判定された場合(ステップS105:YES)、制御装置50は、ステップS103にて決定された発電電圧で、発電機14を発電させるように制御する(ステップS106)。
一方、合計電圧が発電電圧よりも高いとと判定されなかった場合(ステップS105:NO)、制御装置50は、ステップS104で推定された合計電圧以下の電圧で、発電機14を発電させるように制御する(ステップS107)。すなわち、ステップS103で決定された発電電圧を制限する。
また、制御装置50は、発電中、各スイッチSW1〜SW5の開閉を制御することにより、各単電池30a〜30eの電圧が均等となるまで、単電池30a〜30e毎に均等化放電を実施させる(ステップS108)。そして、制御装置50は、発電制御処理を終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧が発電電圧よりも高いと判定された場合、制御装置50は、鉛蓄電池11の蓄電状態に基づき決定される発電電圧にて発電させる。この場合、当該発電電圧でリチウムイオン蓄電池12を充電させても、各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池が充電完了状態となるまで充電されることがない。一方、合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、制御装置50は、合計電圧以下の電圧で発電機14を発電させる、又は発電を規制する。このため、各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池が、充電完了状態よりも電圧が高くなるまで充電されることがない。このため、例えば、スイッチ22のオン故障が発生して発電機14とリチウムイオン蓄電池12との間の電気経路L2が通電状態となり、リチウムイオン蓄電池12に意図せず発電電力が供給されたとしても、いずれかの単電池30a〜30eが過充電となることを抑制できる。
また、合計電圧が発電電圧よりも高い場合には、鉛蓄電池11の蓄電状態に基づき決定される発電電圧にて発電させるため、鉛蓄電池11の蓄電状態に応じて適切に充電を行うことができる。
各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等である場合、均等の状態をほぼ維持したまま各単電池30a〜30eは充電される。そして、各単電池30a〜30eをそれぞれ充電完了状態となるまでリチウムイオン蓄電池12を充電させた場合、各単電池30a〜30eの電圧の合計は発電電圧よりも高くなる。以上のことにより、各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等の場合には、充電完了状態よりも高い電圧となるまで各単電池30a〜30eが充電されることはない。すなわち、いずれかの単電池30a〜30eが過充電となることを抑制できる。
一方、制御装置50は、合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、各単電池の蓄電状態が均等となるように制御する。蓄電状態を均等化させることができるため、例えば、スイッチ22のオン故障が発生して発電機14とリチウムイオン蓄電池12との間の電気経路L2が通電状態となり、リチウムイオン蓄電池12に意図せず発電電力が供給されたとしても、いずれかの単電池30a〜30eが過充電となることを抑制できる。
スイッチ22が開放させている場合であっても、制御装置50は、合計電圧が発電電圧よりも高いか否かを判定する。このため、スイッチ22のオン故障が発生しても、いずれかの単電池が過充電となることを抑制できる。また、スイッチ22のオン故障を検出しなくても、いずれかの単電池が過充電となることを抑制できる。
制御装置50は、各単電池30a〜30eのSOC差又は電圧差に基づいて、特定状態における各単電池30a〜30eの電圧を推定して、推定した電圧を合計した合計電圧に基づき、発電電圧が高いか否かを判定する。このため、すべての電圧を推定しない場合と比較して、正確に判定することができ、発電電圧を余分に規制することがない。
単電池30a〜30eの内部抵抗と比較して、抵抗R1の抵抗値の方が大きい。このため、各単電池30a〜30eの均等化放電に要する時間は、単電池30a〜30eの充電に要する時間と比較して時間がかかる場合がある。そこで、合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、制御装置50は、発電電圧を制限することにより、過充電を確実に防止できる。
発電電圧は、各単電池30a〜30eの蓄電状態が均等化されるまで、制限されることとなる。このため、発電中であっても、各単電池30a〜30eの蓄電状態を均等にさせるように制御することにより、発電電圧の制限を解除することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態について以下、詳しく説明する。第2実施形態では、判定部53による判定方法が異なる。なお、以下では、第1実施形態と同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
第2実施形態の判定部53は、各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池と、SOC又は電圧が最も低い単電池(以下、単に最低電圧単電池と示す)とのSOC差(又は電圧差)に基づいて、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧が発電電圧よりも高いか否かを判定する。
より詳しく説明すると、判定部53は、まず、取得部52により取得された各単電池30a〜30eの蓄電状態に基づいて、各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池と、最低電圧単電池とを特定する。次に、判定部53は、最高電圧単電池と、最低電圧単電池とのSOC差(又は電圧差)を算出する。
そして、判定部53は、最高電圧単電池以外の単電池のSOC(及び電圧)は、最低電圧単電池と同じであるとして、特定状態における各単電池30a〜30eの電圧を推定する。
SOC差に基づき推定する場合について具体的に説明する。例えば、現時点における単電池30a〜30eのSOCがそれぞれ50%、45%、40%、35%、30%である場合について説明する。この場合、最高電圧単電池30aのSOCが第2所定値T20である80%となるまで充電されたと想定すると、最低電圧単電池30eとのSOC差に基づき、各単電池30b〜30eのSOCは、60%と推定される。そして、判定部53は、電圧とSOCの相関関係に基づき、推定された各単電池30a〜30eのSOCに対応する各単電池30a〜30eの電圧を特定(推定)する。
また、電圧差に基づき推定する場合について具体的に説明する。例えば、現時点における単電池30a〜30eの電圧がそれぞれ1V、1.2V、1.5V、1.8V,2Vである場合について説明する。この場合、最高電圧単電池30eの電圧が第2所定値T20に対応する3Vとなるまで充電されたと想定すると、最低電圧単電池30aとの電圧差に基づき、単電池30a〜30dの電圧は、2Vと推定される。
そして、判定部53は、推定した特定状態の各単電池30a〜30eの電圧を合計した合計電圧が、決定部51により決定された発電電圧よりも高い否かを判定する。これにより、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧は、低く推定されやすくなるが、各単電池30a〜30eの電圧をそれぞれ推定する場合と比較して、計算量を少なくすることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
制御装置50は、各単電池30a〜30eのうち最高電圧単電池と、最低電圧単電池とのSOC差又は電圧差に基づいて、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧が発電電圧よりも高いか否かを判定する。また、制御装置50は、発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、最高電圧単電池と、最低電圧単電池とのSOC差又は電圧差に基づいて推定された合計電圧以下の電圧で発電機を発電させる。このため、特定状態における各単電池30a〜30eの電圧をそれぞれ推定すると比較して、計算量が少なくなる。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
・上記第2実施形態では、最高電圧単電池と最低電圧単電池とのSOC差又は電圧差に基づいて、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧を推定し、推定した合計電圧に基づき判定した。この別例として、制御装置50は、最高電圧単電池と最低電圧単電池とのSOC差又は電圧差が所定値以下の場合(差が少ない場合)、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧が発電電圧よりも高いと判定してもよい。なお、所定値は、決定可能な発電電圧よりも低い合計電圧が算出される場合における最高電圧単電池と最低電圧単電池とのSOC差又は電圧差に応じて設定すればよい。
・上記第2実施形態において、判定部53が、最高電圧単電池と最低電圧単電池とのSOC差(又は電圧差)と、各単電池30a〜30eの平均電圧とに基づいて、特定状態における各単電池30a〜30eの合計電圧を推定してもよい。例えば、判定部53は、最高電圧単電池以外の単電池のSOC(又は電圧)は、最低電圧単電池と同じであるとして算出された合計電圧を、平均電圧に応じた値を加算して、補正してもよい。これにより、合計電圧を実際よりも低く推定されやすくなることを抑制することができる。
・上記実施形態において、各単電池30a〜30eの蓄電状態を均等化させるために、均等化放電を実施していたが、均等化させるために充電(均等化充電)を実施してもよい。すなわち、電圧の低い単電池30a〜30eを充電して、電圧の高い単電池の蓄電状態と均等化させるようにしてもよい。
・上記実施形態の発電制御処理において、特定状態における合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、発電電圧を合計電圧以下の電圧とするのであれば、発電中に、単電池30a〜30eの蓄電状態を均等化させなくてもよい。すなわち、ステップS107の処理を実行するのであれば、ステップS108の処理を実行させなくてもよい。
・上記実施形態の発電制御処理において、特定状態における合計電圧が発電電圧よりも高いと判定されなかった場合、単電池30a〜30eの蓄電状態を均等化させるのであれば、発電電圧を合計電圧以下の電圧としなくてもよい。すなわち、ステップS108の処理を実行するのであれば、ステップS107の処理を実行させなくてもよい。
・上記実施形態では、外部端子P0に鉛蓄電池11と発電機14が接続され、外部端子P1に電気負荷15が接続された電源システムに、制御装置50を適用したが、その他の電源システムに適用してもよい。
例えば、発電機としてのISG(Integrated Starter Generator)に対して各蓄電池11,12が並列に接続されるとともに、電気負荷15に対して各蓄電池11,12が並列に接続される電源システムに適用してもよい。
この電源システムについて詳しく説明すると、図5に示すように、鉛蓄電池11とISG70との電気経路L1に、スイッチ21が設けられ、リチウムイオン蓄電池12とISG70との電気経路L2に、スイッチ22が設けられる。また、鉛蓄電池11と電気負荷15との電気経路L3に、スイッチ23が設けられ、リチウムイオン蓄電池12と電気負荷15との電気経路L4に、スイッチ24が設けられる。
・ECU100に、決定部51と、取得部52と、判定部53と、発電制御部54と、均等制御部55と、による各種機能の一部又は全部を備えてもよい。