実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
また、図面などにおいて示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面などに開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体層の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体層の側面を覆うトランジスタでは、半導体層の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」および「直交」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
なお、本明細書等において、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
また、本明細書等において、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、その後にエッチング工程を行う場合は、特段の説明がない限り、当該レジストマスクは、エッチング工程終了後に除去するものとする。
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、「VDD」または「H電位」ともいう。)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位VSS(以下、「VSS」または「L電位」ともいう。)とは、高電源電位VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(以下、「GND」または「GND電位」ともいう。)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタ100の構造および作製方法の一例について、図面を参照して説明する。
<トランジスタ100の構造>
トランジスタ100の構造例について図面を用いて説明する。図1(A)は、トランジスタ100の平面図である。また、図1(B)は、図1(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図1(B)において、L1−L2はトランジスタ100のチャネル長方向の断面図であり、W1−W2はトランジスタ100のチャネル幅方向の断面図である。また、図1(C)は、図1(B)に示す部位131の拡大図である。図1(D)は、図1(B)に示す部位132の拡大図である。
トランジスタ100はトップゲート型のトランジスタの一種である。トランジスタ100は、電極105(電極105aおよび電極105bを併せて「電極105」という。)、絶縁層106、絶縁層107、絶縁層108、半導体層109(半導体層109a、半導体層109b、および半導体層109cを併せて「半導体層109」という。)、電極110(電極110aおよび電極110bを併せて「電極110」という。)、層129(層129aおよび層129bを併せて「層129」という。)、絶縁層111、電極112(電極112aおよび電極112bを併せて「電極112」という。)、および絶縁層113を有する。
なお、電極105aまたは電極105bのどちらか一方の形成を省略してもよい。また、電極112aまたは電極112bのどちらか一方の形成を省略してもよい。
また、図1(A)乃至図1(D)に示すトランジスタ100は、基板101上に、絶縁層102および絶縁層103を介して設けられている。具体的には、絶縁層103上に絶縁層104を有し、絶縁層104の一部に電極105が埋め込まれている。また、電極105および絶縁層104上に絶縁層106を有し、絶縁層106上に絶縁層107を有し、絶縁層107上に絶縁層108を有する。また、絶縁層108は凸部を有し、当該凸部上に半導体層109aを有し、半導体層109a上に半導体層109bを有する。
半導体層109bは、第1の領域、第2の領域、および第3の領域を有する。第3の領域は、第1の領域と第2の領域に挟まれる。なお、第1の領域(領域189a)、第2の領域(領域189b)、および第3の領域(領域189c)については追って説明する。
また、トランジスタ100は、半導体層109bの第1の領域上に電極110aを有し、第2の領域上に電極110bを有する。電極110aまたは電極110bの一方は、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能でき、他方は、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。よって、半導体層109bの第1の領域または第2の領域の一方は、ソース領域として機能でき、他方はドレイン領域として機能できる。また、半導体層109bの第3の領域はチャネル形成領域として機能できる。
また、トランジスタ100は、電極110a上に層129aを有し、電極110b上に層129bを有する。また、層129a、層129b、電極110a、電極110b、半導体層109b、および半導体層109aを覆う半導体層109cを有する。半導体層109cは、電極110aの側面と接する領域、電極110bの側面と接する領域、半導体層109bの第3の領域と接する領域、半導体層109bの側面と接する領域、および半導体層109aの側面と接する領域を有する。
また、半導体層109c上に絶縁層111を有し、絶縁層111上に電極112aを有し、電極112a上に電極112bを有する。絶縁層111および電極112(電極112aおよび電極112b)は、第3の領域と重なる領域を有する。
なお、層129aおよび層129bの厚さは、半導体層109cよりも厚いことが好ましい。
また、トランジスタ100は、電極112上に絶縁層113を有する。絶縁層111および絶縁層113は、電極112の端部を越えて延伸し、当該延伸部分で接する領域を有する。
また、本実施の形態では、半導体層109cおよび絶縁層113上に絶縁層114が設けられ、絶縁層114上に絶縁層115が設けられ、絶縁層115上に絶縁層116が設けられている。
また、本実施の形態では、絶縁層116、絶縁層115、絶縁層114、半導体層109c、および層129aに設けられた、電極110aと重なる開口に、電極117aが設けられている。また、本実施の形態では、絶縁層116、絶縁層115、絶縁層114、半導体層109c、および層129bに設けられた、電極110bと重なる開口に、電極117bが設けられている。また、本実施の形態では、絶縁層116、絶縁層115、絶縁層114、および絶縁層113に設けられた、電極112と重なる開口に、電極117cが設けられている。
また、本実施の形態では、絶縁層116上に電極118a、電極118b、および電極118cが設けられている。電極118aは、電極117a(電極117a1および電極117a2)を介して電極110aと電気的に接続する。電極118bは、電極117b(電極117b1および電極117b2)を介して電極110bと電気的に接続する。電極118cは、電極117c(電極117c1および電極117c2)を介して電極112と電気的に接続する。
また、本実施の形態では、電極118a、電極118b、電極118c、および絶縁層116上に絶縁層119が設けられている。
〔s−channel構造〕
図1(B)に示すように、トランジスタ100は、チャネル幅方向において、半導体層109bが電極105および電極112に挟まれている。前述した通り、絶縁層108は凸部を有する。また、半導体層109aと半導体層109bは当該凸部上に設けられている。当該凸部を設けることで、当該凸部と重ならない領域(半導体層109bと重ならない領域)における電極112の底面を、半導体層109bの底面よりも基板に近づけることができる。当該凸部の高さは、絶縁層111の厚さ以上であることが好ましい。または、当該凸部の高さは、絶縁層111の厚さと半導体層109cの厚さの合計以上であることが好ましい。よって、半導体層109bの側面を電極112で覆うことができる。
つまり、トランジスタ100を、電極105および電極112の電界によって半導体層109bを電気的に取り囲むことができる構造とすることができる。このように、導電層(本実施の形態では電極105および電極112)の電界によって、チャネルが形成される半導体層を電気的に取り囲むことができるトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。s−channel構造のトランジスタ100は、半導体層109b全体(バルク)にチャネルを形成することもできる。s−channel構造では、トランジスタのドレイン電流を大きくすることができ、さらに大きいオン電流(トランジスタがオン状態のときにソースとドレインの間に流れる電流)を得ることができる。また、電極105および電極112の電界によって、半導体層109bに形成されるチャネル形成領域の全領域を空乏化することができる。したがって、s−channel構造では、トランジスタのオフ電流をさらに小さくすることができる。なお、チャネル幅を小さくすることで、s−channel構造によるオン電流の増大効果、オフ電流の低減効果などを高めることができる。
〔ゲート電極とバックゲート電極〕
電極105または電極112の一方はゲート電極として機能でき、他方はバックゲート電極として機能できる。一般に、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成される。また、ゲート電極とバックゲート電極で半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極はゲート電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、接地電位や、任意の電位としてもよい。また、バックゲート電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
電極105および電極112は、どちらもゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層106、絶縁層107、絶縁層108、および絶縁層111は、それぞれがゲート絶縁層として機能することができる。
なお、電極105または電極112の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バックゲート電極」という。例えば、トランジスタ100において、電極105を「ゲート電極」と言う場合、電極112を「バックゲート電極」と言う。電極112を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ100をボトムゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。電極105および電極112のどちらか一方を、「第1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
半導体層109を挟んで電極105および電極112を設けることで、更には、電極105および電極112を同電位とすることで、半導体層109においてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ100のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
したがって、トランジスタ100は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ100の占有面積を小さくすることができる。よって、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、平面視において、バックゲート電極を半導体層よりも大きく形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
電極105および電極112は、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有するため、電極112の上方および電極105の下方に生じる荷電粒子等の電荷が半導体層109のチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲートに負の電荷を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制される。また、電極105および電極112は、ドレイン電極から生じる電界が半導体層に作用しないように遮断することができる。よって、ドレイン電圧の変動に起因する、オン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。なお、この効果は、電極105および電極112に電位が供給されている場合において顕著に生じる。
なお、GBTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができる。特に、GBTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。GBTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
また、電極105および電極112を有し、且つ電極105および電極112を同電位とすることで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタ間における電気特性のばらつきも同時に低減される。
また、バックゲート電極を有するトランジスタは、ゲートに正の電荷を印加する+GBTストレス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲート電極を有さないトランジスタより小さい。
また、バックゲート電極側から光が入射する場合に、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
〔成膜方法〕
絶縁層を形成するための絶縁性材料、電極を形成するための導電性材料、または半導体層を形成するための半導体材料は、スパッタリング法、スピンコート法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(熱CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法、高密度プラズマCVD(High density plasma CVD)法、LPCVD(low pressure CVD)法、APCVD(atmospheric pressure CVD)法等を含む)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、または、PLD(Pulsed Laser Deposition)法を用いて形成することができる。
なお、平行平板型のスパッタリング装置を用いたスパッタリング法を、PESP(Parallel Electrode Sputtering)と呼ぶこともできる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いたスパッタリング法を、VDSP(Vapor Deposition Sputtering)と呼ぶこともできる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。MOCVD法、ALD法、または熱CVD法などの、成膜時にプラズマを用いない成膜方法を用いると、被形成面にダメージが生じにくく、また、欠陥の少ない膜が得られる。
なお、ALD法により成膜する場合は、材料ガスとして塩素を含まないガスを用いることが好ましい。
〔基板〕
基板101として用いる材料に大きな制限はないが、少なくとも後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板101としてシリコンや炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどを材料とした化合物半導体基板等を用いることができる。また、SOI基板や、半導体基板上に歪トランジスタやFIN型トランジスタなどの半導体素子が設けられたものなどを用いることもできる。または、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に適用可能なヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化インジウムガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、シリコンゲルマニウムなどを用いてもよい。すなわち、基板101は、単なる支持基板に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタ100のゲート、ソース、またはドレインの少なくとも一つは、上記他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
また、基板101として、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることもできる。なお、基板101として、可撓性基板(フレキシブル基板)を用いてもよい。可撓性基板を用いる場合、可撓性基板上に、トランジスタや容量素子などを直接作製してもよいし、他の作製基板上にトランジスタや容量素子などを作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板とトランジスタや容量素子などとの間に剥離層を設けるとよい。
可撓性基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。基板101に用いる可撓性基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。基板101に用いる可撓性基板は、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板として好適である。
〔絶縁層〕
絶縁層102乃至絶縁層104、絶縁層106乃至絶縁層108、絶縁層111乃至絶縁層116、および絶縁層119は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどから選ばれた材料を、単層でまたは積層して用いる。また、酸化物材料、窒化物材料、酸化窒化物材料、窒化酸化物材料のうち、複数の材料を混合した材料を用いてもよい。
なお、本明細書中において、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をいう。また、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいう。なお、各元素の含有量は、例えば、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)等を用いて測定することができる。
特に、絶縁層102および/または絶縁層103、並びに絶縁層115は、不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。例えば、不純物が透過しにくい絶縁性材料として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、窒化シリコンなどを挙げることができる。
絶縁層102および/または絶縁層103に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、基板101側からの不純物の拡散を抑制し、トランジスタの信頼性を高めることができる。絶縁層115に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、絶縁層116側からの不純物の拡散を抑制し、トランジスタの信頼性を高めることができる。
絶縁層102および/または絶縁層103、並びに絶縁層115は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい絶縁性材料を用いることが好ましい。絶縁層102および/または絶縁層103、並びに絶縁層115に酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい絶縁性材料を用いることで、酸素の外部への拡散を抑制することができる。
なお、絶縁層102および/または絶縁層103、並びに絶縁層115として、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層して用いてもよい。
また、半導体層109中の水素濃度の増加を防ぐために、絶縁層中の水素濃度を低減することが好ましい。特に、絶縁層104、絶縁層106乃至絶縁層108、絶縁層111、および絶縁層114の水素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁層中の水素濃度を、SIMSにおいて2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体中の窒素濃度の増加を防ぐために、絶縁層中の窒素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁層中の窒素濃度を、SIMSにおいて5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、絶縁層108、絶縁層111、および絶縁層114は、加熱により酸素が放出される絶縁層(以下、「過剰酸素を含む絶縁層」ともいう。)を用いて形成することが好ましい。なお、本明細書などにおいて、加熱により層中から放出される酸素を「過剰酸素」という。過剰酸素を含む絶縁層は、絶縁層の表面温度が100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下の加熱処理で行われるTDS分析にて、酸素原子に換算した酸素の脱離量が、1.0×1018atoms/cm3以上、1.0×1019atoms/cm3以上、または1.0×1020atoms/cm3以上となる場合もある。
また、過剰酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、またはプラズマイマージョンイオン注入法、ならびに、プラズマ処理、酸素雰囲気下での加熱処理、または逆スパッタリング処理などを用いて行うことができる。逆スパッタリング処理による酸素の添加は、試料表面の洗浄効果も期待できる。一方で、処理条件によっては試料表面にダメージが生じる場合がある。酸素を添加するためのガスとしては、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いることができる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。
また、絶縁層116として、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、絶縁層116を形成してもよい。
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
絶縁層116の形成方法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)などを用いればよい。絶縁層116の焼成工程と他の熱処理工程を兼ねることで、効率よくトランジスタを作製することが可能となる。
また、層129(層129aおよび層129b)として上記の絶縁層を用いてもよい。層129に絶縁層を用いる場合は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい絶縁層を用いることが好ましい。
〔電極〕
電極105a、電極105b、電極110a、電極110b、電極112a、電極112b、電極117a1、電極117a2、電極117b1、電極117b2、電極117c1、電極117c2、電極118a、および電極118bを形成するための導電性材料としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、前述した金属元素および酸素を含む導電性材料を用いてもよい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料、酸素を含む導電性材料、および窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。
また、電極105aまたは電極105bの一方を省略してもよい。電極112aまたは電極112bの一方を省略してもよい。電極117a1または電極117a2の一方を省略してもよい。電極117b1または電極117b2の一方を省略してもよい。電極117c1または電極117c2の一方を省略してもよい。
なお、電極117a(電極117a1および電極117a2)、電極117b(電極117b1および電極117b2)、および電極117c(電極117c1および電極117c2)としては、例えば、タングステン、ポリシリコン等の埋め込み性の高い導電性材料を用いればよい。また、埋め込み性の高い導電性材料と、チタン層、窒化チタン層、窒化タンタル層などのバリア層(拡散防止層)を組み合わせて用いてもよい。なお、電極117a、電極117b、および、電極117cを「コンタクトプラグ」という場合がある。
特に、絶縁層103および絶縁層104と接する電極105aに不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。また、絶縁層114、絶縁層115、および絶縁層116と接する、電極117a1、電極117b1、および電極117c1に不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。不純物が透過しにくい導電性材料として、例えば窒化タンタルが挙げられる。
絶縁層103および絶縁層104に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用い、電極105a、電極117a1、電極117b1、および電極117c1に不純物が透過しにくい導電性材料を用いることで、トランジスタ100への不純物の拡散をさらに抑制することができる。よって、トランジスタ100の信頼性をさらに高めることができる。
また、層129(層129aおよび層129b)として上記の導電性材料を用いてもよい。層129に導電性材料を用いる場合は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい導電性材料を用いることが好ましい。
〔半導体層〕
半導体層109として、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、または非晶質半導体などを、単体でまたは組み合わせて用いることができる。半導体材料としては、例えば、シリコンや、ゲルマニウムなどを用いることができる。また、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、酸化物半導体、窒化物半導体などの化合物半導体や、有機半導体などを用いることができる。
また、半導体層109として有機物半導体を用いる場合は、芳香環をもつ低分子有機材料やπ電子共役系導電性高分子などを用いることができる。例えば、ルブレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレンジイミド、テトラシアノキノジメタン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレンなどを用いることができる。
なお、半導体層109a、半導体層109b、および半導体層109cに、それぞれ異なる結晶状態を有する半導体を用いてもよいし、それぞれ異なる半導体材料を用いてもよい。
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、半導体層109に酸化物半導体を用いると、オフ電流が極めて少ないトランジスタを実現することができる。また、OSトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。よって、信頼性の良好なトランジスタを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧なトランジスタを提供できる。また、信頼性の良好な半導体装置などを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧な半導体装置を提供することができる。
また、例えば、チャネルが形成される半導体層に結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタ(「結晶性Siトランジスタ」ともいう。)は、OSトランジスタよりも比較的高い移動度を得やすい。一方で、結晶性Siトランジスタは、OSトランジスタのように極めて少ないオフ電流の実現が困難である。よって、半導体層に用いる半導体材料は、目的や用途に応じて適宜使い分けることが肝要である。例えば、目的や用途に応じて、OSトランジスタと結晶性Siトランジスタなどを組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態では、半導体層109として酸化物半導体を用いる場合について説明する。
〔酸化物半導体〕
本発明に係る酸化物半導体について説明する。酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここで、酸化物半導体が、インジウム、元素M及び亜鉛を有する場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
まず、図55(A)、図55(B)、および図55(C)を用いて、本発明に係る酸化物半導体が有するインジウム、元素M及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。なお、図55には、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物半導体が有するインジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
図55(A)、図55(B)、および図55(C)において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):1の原子数比(−1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、及び[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比となるラインを表す。
また、二点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+γ):2:(1−γ)の原子数比(−1≦γ≦1)となるラインを表す。また、図55に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比、およびその近傍値の酸化物半導体は、スピネル型の結晶構造をとりやすい。
図55(A)および図55(B)では、本発明の一態様の酸化物半導体が有する、インジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
一例として、図56に、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1である、InMZnO4の結晶構造を示す。また、図56は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。なお、図56に示すM、Zn、酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)における金属元素は、元素Mまたは亜鉛を表している。この場合、元素Mと亜鉛の割合が等しいものとする。元素Mと亜鉛とは、置換が可能であり、配列は不規則である。
InMZnO4は、層状の結晶構造(層状構造ともいう)をとり、図56に示すように、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)が1に対し、元素M、亜鉛、および酸素を有する(M,Zn)層が2となる。
また、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。そのため、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換し、(In,M,Zn)層と表すこともできる。その場合、In層が1に対し、(In,M,Zn)層が2である層状構造をとる。
[In]:[M]:[Zn]=1:1:2となる原子数比の酸化物は、In層が1に対し、(M,Zn)層が3である層状構造をとる。つまり、[In]および[M]に対し[Zn]が大きくなると、酸化物が結晶化した場合、In層に対する(M,Zn)層の割合が増加する。
ただし、酸化物中において、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が非整数である場合、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が整数である層状構造を複数種有する場合がある。例えば、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1.5である場合、In層が1層に対し、(M,Zn)層が2層である層状構造と、(M,Zn)層の層数が3である層状構造とが混在する層状構造となる場合がある。
例えば、酸化物をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。また、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。
また、酸化物半導体中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の近傍値である場合、スピネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=1:0:0の近傍値である場合、ビックスバイト型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物半導体中に複数の相が共存する場合、異なる結晶構造の間において、結晶粒界が形成される場合がある。
また、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物半導体のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。これは、インジウム、元素M及び亜鉛を有する酸化物半導体では、主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を高くすることにより、s軌道が重なる領域がより大きくなるため、インジウムの含有率が高い酸化物半導体はインジウムの含有率が低い酸化物半導体と比較してキャリア移動度が高くなるためである。
一方、酸化物半導体中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低くなる。従って、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、およびその近傍値である場合(例えば図55(C)に示す領域C)は、絶縁性が高くなる。
従って、本発明の一態様の酸化物半導体は、キャリア移動度が高く、かつ、結晶粒界が少ない層状構造となりやすい、図55(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
また、図55(B)に示す領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を示している。近傍値には、例えば、[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。領域Bで示される原子数比を有する酸化物半導体は、特に、結晶性が高く、キャリア移動度も高い優れた酸化物半導体である。
なお、酸化物半導体が、層状構造を形成する条件は、原子数比によって一義的に定まらない。原子数比により、層状構造を形成するための難易の差はある。一方、同じ原子数比であっても、形成条件により、層状構造になる場合も層状構造にならない場合もある。従って、図示する領域は、酸化物半導体が層状構造を有する原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域Cの境界は厳密ではない。
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、結晶粒界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
なお、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
半導体層109bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体層109bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
例えば、半導体層109として、熱CVD法でInGaZnOX(X>0)膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いる。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、半導体層109として、ALD法で、InGaZnOX(X>0)膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してInO2層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを用いてInGaO2層やInZnO2層、GaInO層、ZnInO層、GaZnO層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングしたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスやトリス(アセチルアセトナト)インジウムを用いても良い。なお、トリス(アセチルアセトナト)インジウムは、In(acac)3とも呼ぶ。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスやトリス(アセチルアセトナト)ガリウムを用いても良い。なお、トリス(アセチルアセトナト)ガリウムは、Ga(acac)3とも呼ぶ。また、Zn(CH3)2ガスや、酢酸亜鉛を用いても良い。これらのガス種には限定されない。
半導体層109をスパッタリング法で成膜する場合、パーティクル数低減のため、インジウムを含むターゲットを用いると好ましい。また、元素Mの原子数比が高い酸化物ターゲットを用いた場合、ターゲットの導電性が低くなる場合がある。インジウムを含むターゲットを用いる場合、ターゲットの導電率を高めることができ、DC放電、AC放電が容易となるため、大面積の基板へ対応しやすくなる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる。
半導体層109をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は、In:M:Znが3:1:1、3:1:2、3:1:4、1:1:0.5、1:1:1、1:1:2、1:4:4、4:2:4.1、1:3:2、1:3:4などとすればよい。
半導体層109をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される場合がある。特に、亜鉛は、ターゲットの原子数比よりも膜の原子数比が小さくなる場合がある。具体的には、ターゲットに含まれる亜鉛の原子数比の40atomic%以上90atomic%程度以下となる場合がある。
半導体層109aおよび半導体層109cは、半導体層109bを構成する酸素以外の元素のうち、1種類以上の同じ金属元素を含む材料により形成されることが好ましい。このような材料を用いると、半導体層109aおよび半導体層109bとの界面、ならびに半導体層109cおよび半導体層109bとの界面に界面準位を生じにくくすることができる。よって、界面におけるキャリアの散乱や捕獲が生じにくく、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧(以下、「Vth」ともいう。)のばらつきを低減することが可能となる。よって、良好な電気特性を有する半導体装置を実現することが可能となる。
また、半導体層109bがIn−M−Zn酸化物(Inと元素MとZnを含む酸化物)であり、半導体層109aおよび半導体層109cもIn−M−Zn酸化物であるとき、半導体層109aおよび半導体層109cをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、半導体層109bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y1/x1がy2/x2よりも大きくなる半導体層109a、半導体層109c、および半導体層109bを選択する。好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも1.5倍以上大きくなる半導体層109a、半導体層109c、および半導体層109bを選択する。さらに好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも2倍以上大きくなる半導体層109a、半導体層109c、および半導体層109bを選択する。より好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも3倍以上大きくなる半導体層109a、半導体層109cおよび半導体層109bを選択する。このとき、半導体層109bにおいて、y1がx1以上であるとトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。ただし、y1がx1の5倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y1はx1の5倍未満であると好ましい。半導体層109aおよび半導体層109cを上記構成とすることにより、半導体層109aおよび半導体層109cを、半導体層109bよりも酸素欠損が生じにくい層とすることができる。
なお、半導体層109aがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、半導体層109bがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。また、半導体層109cがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。なお、半導体層109cは、半導体層109aと同種の酸化物を用いても構わない。
例えば、InまたはGaを含む半導体層109a、およびInまたはGaを含む半導体層109cとして、In:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4、または1:9:6などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物や、In:Ga=1:9、または7:93などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga酸化物を用いることができる。また、半導体層109bとして、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、半導体層109a、半導体層109b、および半導体層109cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
半導体層109bは、半導体層109aおよび半導体層109cよりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、半導体層109bとして、半導体層109aおよび半導体層109cよりも電子親和力が0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、半導体層109cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
ただし、半導体層109aまたは/および半導体層109cが、酸化ガリウムであっても構わない。例えば、半導体層109cとして、酸化ガリウムを用いると電極105と半導体層109との間に生じるリーク電流を低減することができる。即ち、トランジスタ100のオフ電流を小さくすることができる。
このとき、ゲート電圧を印加すると、半導体層109a、半導体層109b、半導体層109cのうち、電子親和力の大きい半導体層109bにチャネルが形成される。
OSトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層中の不純物及び酸素欠損を低減して高純度真性化し、少なくとも半導体層109bを真性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とすることが好ましい。また、少なくとも半導体層109b中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見なせる半導体層とすることが好ましい。
また、層129(層129aおよび層129b)を半導体層109と同様の材料および方法で形成してもよい。層129に酸化物半導体層を用いる場合は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい酸化物半導体層を用いることが好ましい。
[酸化物半導体層のエネルギーバンド構造]
半導体層109a、半導体層109b、および半導体層109cの積層により構成される半導体層109の機能およびその効果について、図2に示すエネルギーバンド構造図を用いて説明する。図2(A)は、図1(B)にA1−A2の一点鎖線で示した部位のエネルギーバンド構造を示している。すなわち、図2(A)は、トランジスタ100のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造を示している。
図2(A)中、Ec382、Ec383a、Ec383b、Ec383c、Ec386は、それぞれ、絶縁層108、半導体層109a、半導体層109b、半導体層109c、絶縁層111の伝導帯下端のエネルギーを示している。
ここで、電子親和力は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(「イオン化ポテンシャル」ともいう。)からエネルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定できる。
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.4eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:6のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.3eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.9eV、電子親和力は約4.3eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:8のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.4eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:10のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.2eV、電子親和力は約4.7eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約2.8eV、電子親和力は約5.0eVである。
絶縁層108と絶縁層111は絶縁物であるため、Ec382とEc386は、Ec383a、Ec383b、およびEc383cよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい。)。
また、Ec383aは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383aは、Ec383bよりも0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下真空準位に近いことが好ましい。
また、Ec383cは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383cは、Ec383bよりも0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下真空準位に近いことが好ましい。
ここで、半導体層109aと半導体層109bとの間には、半導体層109aと半導体層109bとの混合領域を有する場合がある。また、半導体層109bと半導体層109cとの間には、半導体層109bと半導体層109cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなる。そのため、半導体層109a、半導体層109bおよび半導体層109cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる。
このとき、電子は、半導体層109a中および半導体層109c中ではなく、半導体層109b中を主として移動する。したがって、半導体層109aおよび半導体層109bの界面における界面準位密度、半導体層109bと半導体層109cとの界面における界面準位密度を低くすることによって、半導体層109b中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタ100のオン電流を高く(多く)することができる。
また、半導体層109aと絶縁層108の界面、および半導体層109cと絶縁層111の界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位390が形成され得るものの、半導体層109a、および半導体層109cがあることにより、半導体層109bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
なお、トランジスタ100はs−channel構造であるため、半導体層109bの全体にチャネルが形成される。したがって、半導体層109bが厚いほどチャネル形成領域は大きくなる。即ち、半導体層109bが厚いほど、トランジスタ100のオン電流を高くすることができる。半導体層109bの厚さは、5nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上とすればよい。
また、トランジスタ100のオン電流を高くするためには、半導体層109cの厚さは薄いほど好ましい。半導体層109cの厚さは、20nm未満、好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下とすればよい。一方、半導体層109cは、チャネルの形成される半導体層109bへ、隣接する絶縁体に含まれる酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体層109cは、ある程度の厚さを有することが好ましい。半導体層109cの厚さは、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上とすればよい。
また、信頼性を高くするためには、半導体層109aは厚い方が好ましい。半導体層109aの厚さは、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上とすればよい。半導体層109aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体(絶縁層108)と半導体層109aとの界面からチャネルの形成される半導体層109bまでの距離を離すことができる。ただし、トランジスタ100またはトランジスタ100を有する半導体装置の生産性が低下する場合があるため、半導体層109aの厚さは、例えば、50nm以下、好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下とすればよい。
また、半導体層109aは、チャネルの形成される半導体層109bへ、隣接する絶縁体に含まれる酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有していてもよい。また、半導体層109aは、半導体層109bに含まれる酸素の外方拡散を抑制するために、酸素をブロックする性質を有していてもよい。
また、半導体層109aよりも下層にゲート電極またはバックゲート電極として機能する電極を有する場合は、トランジスタ100のオン電流を高くするために半導体層109aの厚さは薄いほど好ましい。この場合は、例えば、20nm未満、好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下の領域を有する半導体層109aとすればよい。
図2(B)は、図1(D)にB1−B2の一点鎖線で示した部位のエネルギーバンド構造を示している。すなわち、図2(B)は、半導体層109b側面のエネルギーバンド構造を示している。
図2(B)中、Ec387、Ec383c、Ec383bは、それぞれ、絶縁層114、半導体層109c、半導体層109bの伝導帯下端のエネルギーを示している。半導体層109bの側面と絶縁層114界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位390が形成され得るものの、半導体層109cがあることにより、半導体層109bの側面と当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
また、半導体層109bの側面に接して半導体層109cを設けることにより、隣接する絶縁体に含まれる酸素以外の元素(水素、シリコンなど)の、半導体層109bの側面から内部への拡散を抑制することができる。また、半導体層109bに含まれる酸素の外方拡散を抑制することができる。
本実施の形態では半導体層109を上述の3層構造としているが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、半導体層109を、半導体層109aまたは半導体層109cの一方がない2層構造としても構わない。または、半導体層109aの上もしくは下、または半導体層109c上もしくは下に、半導体層109a、半導体層109bおよび半導体層109cとして例示した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、半導体層109aの上、半導体層109aの下、半導体層109cの上、半導体層109cの下のいずれか二箇所以上に、半導体層109a、半導体層109bおよび半導体層109cとして例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
[酸化物半導体層中の不純物濃度]
なお、酸化物半導体中のシリコンは、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。したがって、半導体層109bのシリコン濃度は低いほど好ましい。例えば、半導体層109bと半導体層109aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。また、半導体層109bと半導体層109cとの間に、SIMSにおいて、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。
また、半導体層109bの水素濃度を低減するために、半導体層109aおよび半導体層109cの水素濃度を低減すると好ましい。半導体層109aおよび半導体層109cは、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下の水素濃度となる領域を有する。
また、半導体層109bの窒素濃度を低減するために、半導体層109aおよび半導体層109cの窒素濃度を低減すると好ましい。半導体層109aおよび半導体層109cは、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下の窒素濃度となる領域を有する。
なお、酸化物半導体に銅が混入すると、電子トラップを生成する場合がある。電子トラップは、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向へ変動させる場合がある。したがって、半導体層109bの表面または内部における銅濃度は低いほど好ましい。例えば、半導体層109b、銅濃度が1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3以下、または1×1018atoms/cm3以下となる領域を有すると好ましい。
<トランジスタ100の作製方法>
トランジスタ100の作製方法例について図3乃至図10を用いて説明する。図3乃至図10中のL1−L2断面は、図1(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位の断面に相当する。また、図3乃至図10中のW1−W2断面は、図1(A)にW1−W2の一点鎖線で示す部位の断面に相当する。
[工程1]
まず、基板101上に絶縁層102、絶縁層103、および絶縁層104を順に形成する(図3(A)参照。)。本実施の形態では、基板101として単結晶シリコン基板(p型の半導体基板、またはn型の半導体基板を含む)を用いる。
絶縁層102として、CVD法により窒化シリコンを形成する。絶縁層103として、ALD法により酸化アルミニウムを形成する。ALD法を用いて絶縁層を形成することで、緻密な、クラックやピンホールなどの欠陥が低減された、または均一な厚さを備える絶縁層を形成することができる。また、絶縁層104として、CVD法により酸化シリコンを形成する。
[工程2]
次に、試料表面上にレジストマスクを形成する(図示せず。)。レジストマスクの形成は、フォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法等を適宜用いて行うことができる。レジストマスクを印刷法やインクジェット法などで形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
フォトリソグラフィ法によるレジストマスクの形成は、感光性レジストにフォトマスクを介して光を照射し、現像液を用いて感光した部分(または感光していない部分)のレジストを除去して行なうことができる。感光性レジストに照射する光は、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などがある。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、フォトマスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去は、アッシングなどのドライエッチング法または専用の剥離液などを用いたウェットエッチング法で行うことができる。ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
当該レジストマスクをマスクとして用いて、絶縁層104の一部を選択的に除去して開口181を形成する(図3(B)参照。)。その後、レジストマスクを除去する。なお、開口181の形成時に、絶縁層103の一部も除去される場合がある。
[工程3]
次に、試料表面上に導電層182aおよび導電層182bを順に形成する(図3(C)参照。)。本実施の形態では、導電層182aとしてALD法により窒化チタンを形成する。また、導電層182bとしてスパッタリング法によりタングステンを形成する。
[工程4]
次に、試料表面に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理(「CMP処理」ともいう。)を行なう(図3(D)参照。)。CMP処理によって、導電層182aおよび導電層182bの一部が除去されて、電極105aおよび電極105bが形成される。この時、絶縁層104の表面の一部も除去される場合がある。CMP処理を行うことで試料表面の凹凸が低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
[工程5]
次に、試料表面上に絶縁層106、絶縁層107、および絶縁層108を順に形成する。本実施の形態では、絶縁層106および絶縁層108としてCVD法によりそれぞれ厚さ5nmの酸化窒化シリコンを形成する。絶縁層107は酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウムなどのhigh−k材料で形成することが好ましい。絶縁層107をこれらの材料で形成することで、絶縁層107を電荷捕獲層として機能させることができる。絶縁層107に電子を注入することで、トランジスタ100のしきい値電圧を変動させることが可能である。絶縁層107への電子の注入は、例えば、トンネル効果を利用すればよい。電極105に正の電圧を印加することによって、トンネル電子を絶縁層107に注入することができる。本実施の形態では、絶縁層107としてALD法で厚さ5nmの酸化アルミニウムを形成する。
なお、前述した通り、絶縁層108は過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。また、絶縁層108の形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
[工程6]
次に、試料表面上に半導体層184a、半導体層184b、導電層185、および層186を順に形成する(図4(B)参照。)。本実施の形態では、半導体層184aを組成がIn:Ga:Zn=1:3:2のターゲットを用いてスパッタリング法で形成する。半導体層184bを組成がIn:Ga:Zn=1:1:1のターゲットを用いてスパッタリング法で形成する。層186を組成がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いてスパッタリング法で形成する。また、導電層185としてスパッタリング法によりタングステンを形成する。
なお、半導体層184bの形成後に不純物元素を半導体層184bに導入することで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。不純物元素の導入は、イオン注入法、イオンドーピング法、またはプラズマイマージョンイオン注入法、または不純物元素を含むガスを用いたプラズマ処理などで行うことができる。なお、不純物元素の導入をイオン注入法などで行なう場合は、導電層185の形成後、または層186の形成後に行なってもよい。
[工程7]
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。次に、当該レジストマスクをマスクとして用いて、半導体層184a、半導体層184b、導電層185、および層186それぞれの一部を選択的に除去して、半導体層109a、半導体層109b、電極110、層129を形成する(図4(C)参照。)。この時、絶縁層108の一部もエッチングされて、絶縁層108に凸部が形成される。
また、工程6で説明した半導体層184bへの不純物の導入を、工程7の後に行なってもよい。
[工程8]
次に、半導体層109aおよび半導体層109bに含まれる水分または水素などの不純物をさらに低減して、半導体層109aおよび半導体層109bを高純度化するために、加熱処理を行うことが好ましい。
例えば、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、半導体層109aおよび半導体層109bに加熱処理を施す。なお、酸化性雰囲気とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、不活性雰囲気とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。
また、加熱処理を行うことにより、不純物の放出と同時に絶縁層108に含まれる酸素を半導体層109aおよび半導体層109b中に拡散させ、当該半導体層に含まれる酸素欠損を低減することができる。なお、不活性雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。なお、加熱処理は半導体層184bの形成後であればいつ行ってもよい。例えば、層186の形成後に加熱処理を行ってもよい。
加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。処理時間は24時間以内とする。24時間を超える加熱処理は生産性の低下を招くため好ましくない。
本実施の形態では、窒素ガス雰囲気中で400℃、1時間の加熱処理を行った後、窒素ガスを酸素ガスに換えて、さらに400℃、1時間の加熱処理を行なう。始めに窒素ガス雰囲気中で加熱処理を行うことにより、半導体層109aおよび半導体層109bに含まれる水分または水素などの不純物が放出されて、半導体層109aおよび半導体層109b中の不純物濃度が低減される。続いて酸素ガス雰囲気中で加熱処理を行うことにより、半導体層109aおよび半導体層109b中に酸素が導入される。
なお、CAAC−OS(追って詳細に説明する。)では、不純物や酸素はC軸方向(膜厚方向)よりもA軸およびB軸方向に移動しやすい。例えば、半導体層がCAAC−OSである場合、不純物は主に半導体層の側面から放出される。同様に、半導体層がCAAC−OSである場合、酸素は主に半導体層の側面から導入される。
また、加熱処理時、電極110の上面は層129に覆われているため、上面からの酸化を防ぐことができる。ただし、電極110の側面は露出しているため、酸素を含む雰囲気中の加熱処理によって電極110の側面が酸化されて、酸化物188が形成される場合がある(図5(A)参照。)。なお、本実施の形態では、電極110がタングステンであるため、酸化物188は酸化タングステンである。
[工程9]
なお、酸化タングステンは水に溶けるため、エッチャントとして水を用いたウェットエッチング法によって酸化物188を除去することができる(図5(B)参照。)。なお、トランジスタ100のサイズなどを鑑み、求められているトランジスタ特性に影響がない場合は、酸化物188は必ずしも除去する必要はない。
[工程10]
次に、試料表面上にレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをマスクとして用いて、層129および電極110それぞれの一部を選択的に除去し、層129a、層129b、電極110a、および電極110bを形成する(図5(C)参照。)。この時、露出した半導体層109bの一部が除去される場合がある。
ここで、半導体層109bの電極110aと重なる領域を領域189aとする。また、半導体層109bの電極110bと重なる領域を領域189bとする。また、半導体層109bの、領域189aと領域189bに挟まれた領域を領域189cとする。領域189aまたは領域189bの一方は、トランジスタ100のソース領域またはドレイン領域の一方として機能できる。領域189aまたは領域189bの他方は、トランジスタ100のソース領域またはドレイン領域の他方として機能できる。領域189cはチャネル形成領域として機能できる。
なお、工程6で説明した半導体層184bへの不純物の導入を、工程10の後に行なってもよい。
[工程11]
次に、領域189a、領域189b、および領域189cを覆って半導体層109cを形成する。また、半導体層109c上に絶縁層111を形成する(図6(A)参照。)。本実施の形態では、半導体層109cを組成がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いたスパッタリング法で形成する。なお、酸化物半導体は組成によって酸素の透過率が変化するため、使用する酸化物半導体の組成は目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、半導体層109cを組成がIn:Ga:Zn=1:3:2のターゲットを用いたスパッタリング法で形成してもよい。
また、絶縁層111としてCVD法により酸化窒化シリコンを形成する。なお、前述した通り、絶縁層111は過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。また、絶縁層111の形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。絶縁層111の形成後に加熱処理を行ってもよい。
半導体層109cの一部は、半導体層109bの領域189cと接する。また、層129a、層129b、電極110a、電極110b、半導体層109b、および半導体層109aの側面は、半導体層109cによって覆われる。このようにして、半導体層109bを、半導体層109aと半導体層109cで取り囲むことができる。
半導体層109bを、半導体層109aと半導体層109cで取り囲むことで、後の工程において生じる不純物の半導体層109bへの拡散を抑制することができる。
[工程12]
次に、試料表面上に導電層191aおよび導電層191bを順に形成する。本実施の形態では、導電層191aとして窒化チタンを形成し、導電層191bとしてタングステンを形成する(図6(B)参照。)。
[工程13]
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層191aおよび導電層191bそれぞれの一部を選択的に除去して、電極112aおよび電極112bを形成する(図6(C)参照。)。
[工程14]
次に、試料表面上に絶縁層113を形成する(図7(A)参照。)。本実施の形態では、絶縁層113として、ALD法により酸化アルミニウムを形成する。
この後形成する絶縁層114と電極112が直接接すると、後の熱処理時に絶縁層114中の酸素が電極112に吸収されて、半導体層109に供給される酸素の量が不足する恐れがある。また、電極112が酸化して電極112の抵抗値が高くなる恐れがある。絶縁層114の形成前に電極112を絶縁層113で覆うことで、絶縁層114に含まれる酸素の電極112への移動を防ぐことができる。
また、絶縁層113をALD法で形成することで、絶縁層113形成時の電極112の酸化を防ぐことができる。
次に、絶縁層113上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、絶縁層113および絶縁層111それぞれの一部を選択的に除去して、半導体層109cの一部を露出させる(図7(B)参照。)。なお、絶縁層113および絶縁層111は、電極112の端部より外側で接する。
[工程15]
次に、試料表面上に絶縁層114および絶縁層115を順に形成する(図7(C)参照。)。本実施の形態では、絶縁層114としてCVD法により酸化窒化シリコンを形成する。絶縁層114は過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。絶縁層114の形成後、試料表面にCMP処理を行ない試料表面の凹凸を低減することが好ましい。また、絶縁層114に酸素ドープ処理を行ってもよい。
絶縁層115としてスパッタリング法により酸化アルミニウムを形成する。この時、スパッタリングガスとして用いる酸素の一部が絶縁層114に導入され、過剰酸素を含む領域114aが形成される。
なお、絶縁層114中の過剰酸素の一部は、絶縁層114中に残存する水素と反応して水になる場合がある。よって、絶縁層115を形成した後、絶縁層115を除去して加熱処理を行うことにより、絶縁層114中に残存する水素を水として放出することができる。絶縁層115の形成、絶縁層115の除去、加熱処理を複数回繰り返し行うことによって、絶縁層114中の水素濃度をさらに低減することができる。
また、絶縁層115の形成前に酸素ドープ処理と加熱処理を行うことにより、絶縁層114中に残存する水素を水として放出することができる。酸素ドープ処理と加熱処理を複数回繰り返し行うことによって、絶縁層114中の水素濃度をさらに低減することができる。
また、絶縁層115を形成した後に、酸素ドープ処理を行ってもよい。
層129a、層129b、および絶縁層113を有することで、絶縁層114中の酸素が、電極110a、電極110b、および電極112に吸収されにくくすることができる。よって、電極110a、電極110b、および電極112の、酸化による抵抗値の増加を抑制することができる。また、半導体層109に供給される酸素の量が不足することを抑制することができる。
[工程16]
絶縁層114上に絶縁層115を形成した後、加熱処理を行う。絶縁層115の形成後に加熱処理を行うことで、絶縁層114に含まれている酸素の外部への拡散を防ぎ、当該酸素を効率よく酸化物半導体層に導入することができる。
また、層129a、層129b、および絶縁層113を有することで、加熱処理においても、絶縁層114中の酸素が、電極110a、電極110b、および電極112に吸収されにくくすることができる。よって、電極110a、電極110b、および電極112の、酸化による抵抗値の増加を抑制することができる。また、半導体層109に供給される酸素の量が不足することを抑制することができる。
[工程17]
次に、試料表面上に絶縁層116を形成する(図8(A)参照。)。絶縁層116は誘電率が低い絶縁体(Low−k材料)であることが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。Low−k材料としては、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコンなどがある。
[工程18]
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、絶縁層116、絶縁層115、絶縁層114、半導体層109c、および層129それぞれの一部を除去して開口192a、および開口192bを形成する。また、絶縁層116、絶縁層115、絶縁層114、および絶縁層113それぞれの一部を除去して開口192cを形成する(図8(B)参照。)。開口192aは電極110aと重なり、開口192bは電極110bと重なり、開口192cは電極112bと重なる。なお、開口192aの形成時に露出した電極110aの一部がエッチングされる場合がある。また、開口192bの形成時に露出した電極110bの一部がエッチングされる場合がある。また、開口192cの形成時に露出した電極112bの一部がエッチングされる場合がある。
[工程19]
次に、試料表面上に導電層193a、および導電層193bを順に形成する(図9(A)参照。)。本実施の形態では、導電層193aとしてALD法により窒化チタンを形成する。また、導電層193bとしてスパッタリング法によりタングステンを形成する。
[工程20]
次に、試料表面にCMP処理を行なう(図9(B)参照。)。CMP処理によって、導電層193aおよび導電層193bの一部が除去されて、電極117a(電極117a1および電極117a2)、電極117b(電極117b1および電極117b2)、および電極117c(電極117c1および電極117c2)が形成される。この時、絶縁層116の表面の一部も除去される場合がある。
[工程21]
次に、試料表面上に導電層194を形成する(図10(A)参照。)。本実施の形態では、導電層194としてスパッタリング法によりタングステンを形成する。
[工程22]
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層194の一部を選択的に除去し、電極118a、電極118b、および電極118cを形成する(図10(B)参照。)。なお、電極118a、電極118b、および電極118cの形成時に、絶縁層116の一部が除去される場合がある。
[工程23]
次に、試料表面上に絶縁層119を形成する(図10(B)参照。)。本実施の形態では、絶縁層119としてCVD法により窒化シリコンを形成する。
〔変形例1〕
図11にトランジスタ100aを示す。図11(A)は、トランジスタ100aの平面図である。図11(B)は、図11(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図11(C)は、図11(B)に示す部位131aの拡大図である。図11(D)は、図11(B)に示す部位132aの拡大図である。
トランジスタ100aは、トランジスタ100と半導体層109cの形状が異なる。トランジスタ100aでは、半導体層109cの一部が、半導体層109aおよび半導体層109bの無い領域で除去され、絶縁層108と絶縁層114が接している。
半導体層109cの一部を除去して絶縁層108と絶縁層114を接することで、絶縁層114に含まれる酸素(過剰酸素)を、絶縁層108を介して酸化物半導体層に供給することができる。
〔変形例2〕
図12にトランジスタ100bを示す。図12(A)は、トランジスタ100bの平面図である。図12(B)は、図12(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図12(C)は、図12(B)に示す部位131bの拡大図である。図12(D)は、図12(B)に示す部位132bの拡大図である。
トランジスタ100bは、トランジスタ100と絶縁層111の形状が異なる。トランジスタ100では絶縁層111の一部を除去しているが、トランジスタ100bでは絶縁層111の一部を除去せずに残している。目的に応じて、絶縁層111の一部を除去せずに残しても構わない。
〔変形例3〕
図13にトランジスタ100cを示す。図13(A)は、トランジスタ100cの平面図である。図13(B)は、図13(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図13(C)は、図13(B)に示す部位131cの拡大図である。図13(D)は、図13(B)に示す部位132cの拡大図である。
トランジスタ100cは、トランジスタ100と絶縁層111の形状が異なる。トランジスタ100の作製工程において電極112をマスクとして用いて絶縁層111の一部を除去すると、トランジスタ100cが得られる。
〔変形例4〕
図14にトランジスタ100dを示す。図14(A)は、トランジスタ100dの平面図である。図14(B)は、図14(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図14(C)は、図14(B)に示す部位131dの拡大図である。図14(D)は、図14(B)に示す部位132dの拡大図である。
トランジスタ100dは、トランジスタ100bと絶縁層113の形状が異なる。トランジスタ100dは電極112上に絶縁層113を有し、電極112の側面は絶縁層113で覆われていない。トランジスタ100dは、工程12の後に絶縁層113を形成し、その後に工程13を行なうことで実現できる。工程13において、絶縁層113の一部は導電層191aおよび導電層191bの一部とともに除去される。電極112の形成後に絶縁層113の一部を除去する工程が省略されるため、トランジスタの生産性を高めることができる。
〔変形例5〕
図15にトランジスタ100eを示す。図15(A)は、トランジスタ100eの平面図である。図15(B)は、図15(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図15(C)は、図15(B)に示す部位131eの拡大図である。図15(D)は、図15(B)に示す部位132eの拡大図である。
電極112を、窒化タンタルなどの酸素を吸収しにくい導電性材料で形成することで、絶縁層113を省略することができる。絶縁層113を省略することで、トランジスタの作製工程を低減することができるため、トランジスタの生産性を高めることができる。
〔変形例6〕
図16にトランジスタ100fを示す。図16(A)は、トランジスタ100fの平面図である。図16(B)は、図16(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図16(C)は、図16(B)に示す部位131fの拡大図である。図16(D)は、図16(B)に示す部位132fの拡大図である。
トランジスタ100fは、トランジスタ100eと絶縁層111の形状が異なる。トランジスタ100eの作製工程において電極112をマスクとして用いて絶縁層111の一部を除去すると、トランジスタ100fが得られる。
〔変形例7〕
図17にトランジスタ100gを示す。図17(A)は、トランジスタ100gの平面図である。図17(B)は、図17(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図17(C)は、図17(B)に示す部位131gの拡大図である。図17(D)は、図17(B)に示す部位132gの拡大図である。
トランジスタ100gは、トランジスタ100と絶縁層119の積層位置が異なる。トランジスタ100gのように、絶縁層119を絶縁層115と絶縁層116の間に設けてもよい。
〔変形例8〕
図18にトランジスタ100hを示す。図18(A)は、トランジスタ100hの平面図である。図18(B)は、図18(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図18(C)は、図18(B)に示す部位131hの拡大図である。図18(D)は、図18(B)に示す部位132hの拡大図である。
トランジスタ100hは、トランジスタ100から電極105を除去した構成を有する。目的や用途に応じて、トランジスタ100hのように電極105を設けない構成とすることもできる。電極105を省略することで、トランジスタの作製工程を低減することができるため、トランジスタの生産性を高めることができる。
〔変形例9〕
図19にトランジスタ150を示す。図19(A)は、トランジスタ150の平面図である。図19(B)は、図19(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図19(C)は、図19(B)に示す部位151の拡大図である。図19(D)は、図19(B)に示す部位152の拡大図である。
トランジスタ150は、トランジスタ100と共通する構成を有する。ただし、トランジスタ150は、電極112、絶縁層111、半導体層109cが絶縁層114に埋め込まれた構造を有する点がトランジスタ100と異なる。トランジスタ150では、電極110aおよび電極110bと、電極112が、重ならないか、重なる面積を極めて小さくすることができる。このため、トランジスタ150は、ゲート・ソース間およびゲート・ドレイン間の寄生容量を、トランジスタ100よりも小さくすることができる。よって、より高速動作が可能で、より消費電力の少ないトランジスタを実現できる。
次に、トランジスタ150の作製工程について説明する。なお、説明の繰り返しを減らすため、トランジスタ100の作製工程と異なる部分について説明する。
まず、トランジスタ100と同様に工程9まで行なった後、試料表面上に半導体層128を形成する(図20(A)参照。)。半導体層128は、半導体層109cと同様の材料および方法で形成すればよい。続いて、半導体層128上に絶縁層114を形成する(図20(B)参照。)。
次に、試料表面上にレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをマスクとして用いて、絶縁層114、半導体層128、層129、および電極110それぞれの一部を選択的に除去して開口183を形成する。層129a、層129b、電極110a、および電極110bも開口183と同時に形成される(図20(C)参照。)。また、この時露出した半導体層109bの一部が除去される場合がある。
次に、試料表面上に酸化物半導体層195、絶縁層111、導電層191aおよび導電層191bを順に形成する(図21(A)参照。)。酸化物半導体層195は、後に半導体層109cとして機能する層である。よって、酸化物半導体層195は、前述した半導体層109cと同様の材料および方法で形成する。
次に、試料表面にCMP処理を行なう(図21(B)参照。)。CMP処理によって、酸化物半導体層195、絶縁層111、導電層191aおよび導電層191bの一部が除去されて、半導体層109c、電極112aおよび電極112bが形成される。この時、絶縁層114の表面の一部も除去される場合がある。
次に、試料表面に絶縁層115を形成する(図21(C)参照。)。これ以降、前述した工程16以降と同様の工程を用いてトランジスタ150を形成することができる。
〔変形例10〕
図22にトランジスタ150aを示す。図22(A)は、トランジスタ150aの平面図である。図22(B)は、図22(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図22(C)は、図22(B)に示す部位151aの拡大図である。
トランジスタ150aはトランジスタ150と同様に形成することができるが、開口183の形成を絶縁層116の形成後に行なう点が異なる。また、開口192aおよび開口192bを開口183とは別の工程で形成する。開口192cは形成しなくても構わない。開口183、開口192aおよび開口192bを形成した後は、前述した工程19以降と同様の方法でトランジスタ150aを形成することができる。
〔変形例11〕
図23にトランジスタ150bを示す。図23(A)は、トランジスタ150bの平面図である。図23(B)は、図23(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図23(C)は、図23(B)に示す部位151bの拡大図である。図23(D)は、図23(B)に示す部位152bの拡大図である。
トランジスタ150bはトランジスタ150と同様に形成することができるが、絶縁層115を形成した後に開口183を設ける点が異なる。また、電極110に窒化タンタルなどの酸化されにくい導電性材料を用いることで、酸化物188の形成を抑制できる。よって、前述した工程9を省略することができる。
次に、トランジスタ150bの作製工程について説明する。なお、説明の繰り返しを減らすため、トランジスタ100の作製工程と異なる部分について説明する。
まず、トランジスタ100と同様に工程8まで行なった後、試料表面上に半導体層128を形成する(図24(A)参照。)。半導体層128は、半導体層109cと同様の材料および方法で形成すればよい。続いて、半導体層128上に絶縁層114と絶縁層115を順に形成する(図24(B)参照。)。例えば、絶縁層114としてCVD法により酸化窒化シリコンを形成し、絶縁層115としてスパッタリング法により酸化アルミニウムを形成する。なお、工程15で説明した通り、絶縁層114は過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。
次に、試料表面上にレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをマスクとして用いて、絶縁層115、絶縁層114、半導体層128、層129、および電極110それぞれの一部を選択的に除去して開口183を形成する。層129a、層129b、電極110a、および電極110bも開口183と同時に形成される(図24(C)参照。)。また、この時露出した半導体層109bの一部が除去される場合がある。
レジストマスクを除去した後、酸素ドープ処理を行ってもよい(図25(A)参照。)。開口183の形成後に酸素ドープ処理を行うことで、半導体層109bに直接酸素を導入することができる。
次に、試料表面上に酸化物半導体層195、絶縁層111、導電層191aおよび導電層191bを順に形成する(図25(B)参照。)。酸化物半導体層195は、後に半導体層109cとして機能する層である。よって、酸化物半導体層195は、前述した半導体層109cと同様の材料および方法で形成する。
次に、試料表面にCMP処理を行なう(図26(A)参照。)。CMP処理によって、酸化物半導体層195、絶縁層111、導電層191aおよび導電層191bの一部が除去されて、半導体層109c、電極112aおよび電極112bが形成される。この時、絶縁層115の表面の一部も除去される場合がある。
次に、試料表面に絶縁層116を形成する(図26(B)参照。)。これ以降、前述した工程18以降と同様の工程を用いてトランジスタ150bを形成することができる。なお、トランジスタ150bでは電極112が絶縁層116と接するため、絶縁層116は過剰酸素を含まない、もしくは過剰酸素が少ない絶縁層であることが好ましい。
〔変形例12〕
図27にトランジスタ150cを示す。図27(A)は、トランジスタ150cの平面図である。図27(B)は、図27(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図27(C)は、図27(B)に示す部位151cの拡大図である。
トランジスタ150cはトランジスタ150bと同様に形成することができるが、電極112と絶縁層116の間に層196を設ける点が異なる。層196は、前述した不純物が透過しにくい絶縁性材料や、不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。また、層196は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい絶縁性材料や、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい導電性材料を用いることが好ましい。層196で、電極112、半導体層109c、および絶縁層111を覆うことで、絶縁層116側から半導体層109への不純物の拡散を抑制することができる。また、電極112の酸化を防ぐことができる。また、絶縁層114側から絶縁層116への酸素の拡散を抑制することができる。層196は保護層またはキャップ層と言うこともできる。
〔変形例13〕
図28にトランジスタ150dを示す。図28(A)は、トランジスタ150dの平面図である。図28(B)は、図28(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。図28(C)は、図28(B)に示す部位151dの拡大図である。
トランジスタ150dはトランジスタ150bと同様の構成を有するが、電極112、半導体層109c、および絶縁層111の形状が異なる。トランジスタ150dでは、図25(B)に示したように酸化物半導体層195、絶縁層111、導電層191aおよび導電層191bを形成した後、試料表面上にレジストマスクを形成する。当該レジストマスクをマスクとして用いて、酸化物半導体層195、絶縁層111、導電層191aおよび導電層191bを選択的に除去して、半導体層109c、電極112aおよび電極112bが形成される。
〔変形例14〕
図29にトランジスタ150eを示す。図29(A)は、トランジスタ150eの平面図である。図29(B)は、図29(A)にL1−L2の一点鎖線で示す部位と、W1−W2の一点鎖線で示す部位の断面図である。
トランジスタ150eはトランジスタ150dと同様の構成を有するが、電極112、半導体層109c、および絶縁層111を層196で覆う点が異なる。層196は、前述した不純物が透過しにくい絶縁性材料や、不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。また、層196は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい絶縁性材料や、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい導電性材料を用いることが好ましい。層196で、電極112、半導体層109c、および絶縁層111を覆うことで、絶縁層116側から半導体層109への不純物の拡散を抑制することができる。また、電極112の酸化を防ぐことができる。また、絶縁層114側から絶縁層116への酸素の拡散を抑制することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本明細書等に開示したトランジスタを用いた半導体装置の一例について説明する。
<半導体装置の構造例>
図30(A)乃至図30(C)は、半導体装置400の断面図である。半導体装置400は、トランジスタ100とトランジスタ281を有する。なお、本実施の形態に示すトランジスタ100は、上記実施の形態に示した他のトランジスタと置き換えが可能である。図30(A)はトランジスタ100とトランジスタ281のチャネル長方向の断面図であり、図30(B)はチャネル幅方向の断面図である。図30(C)は図30(A)に示すトランジスタ281の拡大図である。
半導体装置400は、基板401としてn型半導体を用いる。トランジスタ281は、チャネル形成領域283、高濃度p型不純物領域285、絶縁層286、電極287、側壁288を有する。また、絶縁層286を介して側壁288と重なる領域に低濃度p型不純物領域284を有する。絶縁層286はゲート絶縁層として機能できる。電極287はゲート電極として機能できる。トランジスタ281は、チャネル形成領域283が基板401の一部に形成される。
低濃度p型不純物領域284は、電極287形成後、側壁288形成前に、電極287をマスクとして用いて不純物元素を導入することにより形成することができる。すなわち、低濃度p型不純物領域284は、自己整合によって形成することができる。側壁288の形成後、高濃度p型不純物領域285を形成する。なお、低濃度p型不純物領域284は高濃度p型不純物領域285と同じ導電型を有し、導電型を付与する不純物の濃度が高濃度p型不純物領域285よりも低い。また、低濃度p型不純物領域284は、状況に応じて設けなくてもよい。
トランジスタ281は、素子分離層414によって他のトランジスタと電気的に分離される。素子分離層の形成は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法や、STI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることができる。
トランジスタ281はpチャネル型のトランジスタとして機能できる。また、トランジスタ281上に絶縁層403が形成され、絶縁層403上に絶縁層404が形成されている。絶縁層403、および絶縁層404は、上記実施の形態に示した絶縁層と同様の材料および方法で形成することができる。なお、絶縁層403および絶縁層404は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の不純物の拡散を防ぐ機能を有する絶縁材料を用いて形成することが好ましい。なお、絶縁層403と絶縁層404のどちらか一方を省略してもよいし、絶縁層をさらに積層してもよい。
また、半導体装置400は、絶縁層404上に平坦な表面を有する絶縁層405を有する。絶縁層405は、上記実施の形態に示した絶縁層と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層405表面にCMP処理を行ってもよい。
また、絶縁層405の上に、電極413a、電極413b、および電極413cが形成されている。電極413a、電極413b、および電極413cは、上記実施の形態に示した電極と同様の材料および方法で形成することができる。
また、電極413aはコンタクトプラグ406aを介して高濃度p型不純物領域285の一方と電気的に接続されている。電極413bはコンタクトプラグ406bを介して高濃度p型不純物領域285の他方と電気的に接続されている。電極413cはコンタクトプラグ406cを介して電極287と電気的に接続されている。
また、電極413a、電極413b、および電極413cを覆って絶縁層407が形成されている。絶縁層407は、絶縁層405と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層407の表面にCMP処理を行ってもよい。
また、絶縁層407上に絶縁層102が形成されている。絶縁層407よりも上層の構成については、上記実施の形態を参酌すれば理解できる。よって、本実施の形態での詳細な説明は省略する。また、電極118bは電極117dを介して電極413bと電気的に接続されている。
〔変形例1〕
基板401にnチャネル型のトランジスタであるトランジスタ282を設けてもよい。図31(A)および図31(B)は、半導体装置410の断面図である。半導体装置410は、半導体装置400にトランジスタ282を付加した構成を有する。図31(A)はトランジスタ100、トランジスタ281、および、トランジスタ282のチャネル長方向の断面図であり、図31(B)はトランジスタ282の拡大図である。
トランジスタ282は、チャネル形成領域1283がウェル220に形成される。また、トランジスタ282は、チャネル形成領域1283、高濃度n型不純物領域1285、絶縁層286、電極287、側壁288を有する。また、絶縁層286を介して側壁288と重なる領域に低濃度n型不純物領域1284を有する。
低濃度n型不純物領域1284は、電極287形成後、側壁288形成前に、電極287をマスクとして用いて不純物元素を導入することにより形成することができる。すなわち、低濃度n型不純物領域1284は、自己整合により形成することができる。側壁288の形成後、高濃度n型不純物領域1285を形成する。なお、低濃度n型不純物領域1284は高濃度n型不純物領域1285と同じ導電型を有し、導電型を付与する不純物の濃度が高濃度n型不純物領域1285よりも低い。また、低濃度n型不純物領域1284は、状況に応じて設けなくてもよい。
〔変形例2〕
図32(A)乃至図32(C)は半導体装置420の断面図である。半導体装置420は、半導体装置400が有するトランジスタ281を、Fin型のトランジスタ291に置き換えた構成を有する。トランジスタをFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大し、トランジスタのオン特性を改善することができる。また、チャネル形成領域に対するゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタのオフ特性を改善することができる。
〔変形例3〕
図33は半導体装置430の断面図である。半導体装置430はトランジスタ100、トランジスタ281、容量素子250を有する。また、半導体装置430は、トランジスタ281を覆う絶縁層405上に絶縁層431、絶縁層432、絶縁層433、絶縁層434、絶縁層435、および絶縁層436、を有する。また、半導体装置430は、絶縁層405上に電極422、および電極424を有する。
電極422は、絶縁層431および絶縁層432に埋め込むように設けられている。また、電極422は、絶縁層403、絶縁層404、および絶縁層405に設けられた電極421を介してトランジスタ281と電気的に接続されている。
電極424は、絶縁層435に埋め込むように設けられている。また、電極424は、絶縁層433および絶縁層434に設けられた電極423を介して電極422と電気的に接続されている。
また、半導体装置430は、絶縁層436上に絶縁層102および絶縁層103を介してトランジスタ100を有する。また、トランジスタ100上に絶縁層115および絶縁層116を有し、絶縁層116上に電極427および電極241を有する。また、電極427および電極241を覆う絶縁層242を有する。また、絶縁層242上に、電極241を覆う電極243を有する。
電極241、絶縁層242、および電極243が重なる領域が、容量素子250として機能する。電極241を覆って電極243を設けることで、電極241の上面だけでなく側面も容量素子として機能することができる。
電極427は、絶縁層116、絶縁層115、絶縁層114、半導体層109c、絶縁層108、絶縁層107、および絶縁層106に設けられた電極426を介して電極425と電気的に接続されている。
また、電極243および絶縁層242上に絶縁層437を有し、絶縁層437上に電極429を有し、電極429上に絶縁層438を有する。電極429は、絶縁層437に設けられた電極428を介して電極427と電気的に接続されている。
絶縁層431、絶縁層432、絶縁層433、絶縁層434、絶縁層435、絶縁層436、絶縁層242、絶縁層437、および絶縁層438は、上記実施の形態に示した絶縁層と同様の材料および方法で形成することができる。また、電極421、電極422、電極423、電極424、電極425、電極426、電極427、電極241、電極243、電極428、および電極429は、上記実施の形態に示した電極と同様の材料および方法で形成することができる。
また、電極421、電極422、電極423、電極424、電極425、電極426、電極427、電極428、および電極429は、ダマシン法や、デュアルダマシン法などを用いて形成してもよい。
<半導体回路>
本明細書等に開示したトランジスタは、OR回路、AND回路、NAND回路、およびNOR回路などの論理回路や、インバータ回路、バッファ回路、シフトレジスタ回路、フリップフロップ回路、エンコーダ回路、デコーダ回路、増幅回路、アナログスイッチ回路、積分回路、微分回路、およびメモリ素子などの様々な半導体回路に用いることができる。
本明細書等に開示したトランジスタを用いた半導体回路の一例を、図34の回路図に示す。なお、回路図において、酸化物半導体を用いたトランジスタであることを明示するために、酸化物半導体を用いたトランジスタの回路記号に「OS」を付している。
図34(A)に示す半導体回路は、pチャネル型のトランジスタ281とnチャネル型のトランジスタ282を直列に接続し、且つ、それぞれのゲートを接続した、インバータ回路の構成例を示している。
図34(B)に示す半導体回路は、pチャネル型のトランジスタ281とnチャネル型のトランジスタ282を並列に接続した、アナログスイッチ回路の構成例を示している。
図34(C)に示す半導体回路は、トランジスタ281a、トランジスタ281b、トランジスタ282a、およびトランジスタ282bを用いたNAND回路の構成例を示している。NAND回路は、入力端子IN_Aと入力端子IN_Bに入力される電位の組み合わせによって、出力される電位が変化する。
<記憶装置>
図35(A)に示す半導体回路は、トランジスタ289のソースまたはドレインの一方を、トランジスタ1281のゲートおよび容量素子257の一方の電極に接続した記憶装置の構成例を示している。また、図35(B)に示す回路は、トランジスタ289のソースまたはドレインの一方を、容量素子257の一方の電極に接続した記憶装置の構成例を示している。
図35(A)および図35(B)に示す半導体回路は、トランジスタ289のソースまたはドレインの他方から入力された電荷を、ノード256に保持することができる。トランジスタ289に酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることで、長期間に渡ってノード256の電荷を保持することができる。
図35(A)ではトランジスタ1281として、pチャネル型のトランジスタを示しているが、nチャネル型のトランジスタを用いてもよい。例えば、トランジスタ1281として、トランジスタ281またはトランジスタ282を用いてもよい。また、トランジスタ1281としてOSトランジスタを用いてもよい。
ここで、図35(A)および図35(B)に示した半導体装置(記憶装置)について、詳細に説明しておく。
図35(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ1281と第2の半導体を用いたトランジスタ289、および容量素子257を有している。
トランジスタ289は、上記実施の形態に開示したOSトランジスタである。トランジスタ289のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い記憶装置となる。
図35(A)において、配線251はトランジスタ1281のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、配線252はトランジスタ1281のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。また、配線254はトランジスタ289のゲートと電気的に接続され、トランジスタ289のソースまたはドレインの一方は、ノード256と電気的に接続され、トランジスタ289のソースまたはドレインの他方は、配線253と電気的に接続されている。そして、トランジスタ1281のゲート、および容量素子257の電極の一方は、ノード256と電気的に接続されている。また、配線255は容量素子257の電極の他方と電気的に接続されている。
図35(A)に示す記憶装置は、ノード256に与えられた電荷を保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
〔書き込み動作、保持動作〕
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線254の電位を、トランジスタ289がオン状態となる電位にする。これにより、配線253の電位が、ノード256に与えられる。即ち、ノード256に所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下、「Lowレベル電荷」、「Highレベル電荷」という。)のどちらかが与えられるものとする。その後、配線254の電位を、トランジスタ289がオフ状態となる電位とすることで、ノード256に電荷が保持される。
なお、Highレベル電荷は、Lowレベル電荷よりもノード256に高い電位を与える電荷とする。また、トランジスタ1281にpチャネル型のトランジスタを用いる場合、Highレベル電荷およびLowレベル電荷は、どちらもトランジスタのしきい値電圧よりも高い電位を与える電荷とする。また、トランジスタ1281にnチャネル型のトランジスタを用いる場合、Highレベル電荷およびLowレベル電荷は、どちらもトランジスタのしきい値電圧よりも低い電位である。すなわち、Highレベル電荷とLowレベル電荷は、どちらもトランジスタがオフ状態となる電位を与える電荷である。
トランジスタ289のオフ電流は極めて小さいため、ノード256の電荷は長期間にわたって保持される。
〔読み出し動作〕
次に情報の読み出しについて説明する。配線251に配線252の電位と異なる所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線255に読み出し電位VRを与えると、ノード256に保持されている情報を読み出すことができる。
Highレベル電荷により与えられる電位をVH、Lowレベル電荷により与えられる電位をVLとすると、読み出し電位VRは、{(Vth−VH)+(Vth+VL)}/2とすればよい。なお、情報の読み出しをしないときの配線255の電位は、トランジスタ1281にpチャネル型のトランジスタを用いる場合はVHより高い電位とし、トランジスタ1281にnチャネル型のトランジスタを用いる場合はVLより低い電位とすればよい。
例えば、トランジスタ1281にpチャネル型のトランジスタを用いる場合、トランジスタ1281のVthが−2Vであり、VHを1V、VLを−1Vとすると、VRを−2Vとすればよい。ノード256に書き込まれた電位がVHのとき、配線255にVRが与えられると、トランジスタ1281のゲートにVR+VH、すなわち−1Vが印加される。−1VはVthよりも高いため、トランジスタ1281はオン状態にならない。よって、配線252の電位は変化しない。また、ノード256に書き込まれた電位がVLのとき、配線255にVRが与えられると、トランジスタ1281のゲートにVR+VL、すなわち−3Vが印加される。−3VはVthよりも低いため、トランジスタ1281がオン状態になる。よって、配線252の電位が変化する。
また、トランジスタ1281にnチャネル型のトランジスタを用いる場合、トランジスタ1281のVthが2Vであり、VHを1V、VLを−1Vとすると、VRを2Vとすればよい。ノード256に書き込まれた電位がVHのとき、配線255にVRが与えられると、トランジスタ1281のゲートにVR+VH、すなわち3Vが印加される。3VはVthよりも高いため、トランジスタ1281はオン状態になる。よって、配線252の電位が変化する。また、ノード256に書き込まれた電位がVLのとき、配線255にVRが与えられると、トランジスタ1281のゲートにVR+VL、すなわち1Vが印加される。1VはVthよりも低いため、トランジスタ1281はオン状態にならない。よって、配線252の電位は変化しない。
配線252の電位を判別することで、ノード256に保持されている情報を読み出すことができる。
図35(B)に示す半導体装置は、トランジスタ1281を有さない点が図35(A)に示した半導体装置と異なる。この場合も図35(A)に示した半導体装置と同様の動作により情報の書き込みおよび保持が可能である。
図35(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。配線254にトランジスタ289がオン状態になる電位が与えられると、浮遊状態である配線253と容量素子257とが導通し、配線253と容量素子257の間で電荷が再分配される。その結果、配線253の電位が変化する。配線253の電位の変化量は、ノード256の電位(またはノード256に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、ノード256の電位をV、容量素子257の容量をC、配線253が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の配線253の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の配線253の電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、ノード256の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると、電位V1を保持している場合の配線253の電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の配線253の電位(=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、配線253の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
以上に示した記憶装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、該記憶装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こりにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といった問題が全く生じない。即ち、本発明の一態様に係る記憶装置は、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した記憶装置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作が可能となる。
<CPU>
次に、上述したトランジスタを用いたCPUの一例について説明する。図36は、上述したトランジスタを一部に用いたCPUの構成例を示すブロック図である。
図36に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189(ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。書き換え可能なROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図36に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図36に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
図36に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルとして、上述したトランジスタや記憶装置などを用いることができる。
図36に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内の記憶素子への、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
図37は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子の回路図の一例である。記憶素子730は、電源遮断で記憶データが揮発する回路701と、電源遮断で記憶データが揮発しない回路702と、スイッチ703と、スイッチ704と、論理素子706と、容量素子707と、選択機能を有する回路720と、を有する。回路702は、容量素子708と、トランジスタ709と、トランジスタ710と、を有する。なお、記憶素子730は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダクタなどのその他の素子をさらに有していても良い。
ここで、回路702には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子730への電源電圧の供給が停止した際、回路702のトランジスタ709のゲートには接地電位(0V)、またはトランジスタ709がオフする電位が入力され続ける構成とする。例えば、トランジスタ709のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする。
スイッチ703は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ713を用いて構成され、スイッチ704は、トランジスタ713とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)のトランジスタ714を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ703の第1の端子はトランジスタ713のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ703の第2の端子はトランジスタ713のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ703はトランジスタ713のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ713のオン状態またはオフ状態)が選択される。スイッチ704の第1の端子はトランジスタ714のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ704の第2の端子はトランジスタ714のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ704はトランジスタ714のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ714のオン状態またはオフ状態)が選択される。
トランジスタ709のソースとドレインの一方は、容量素子708の一対の電極のうちの一方、およびトランジスタ710のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM2とする。トランジスタ710のソースとドレインの一方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ703の第1の端子(トランジスタ713のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)はスイッチ704の第1の端子(トランジスタ714のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ704の第2の端子(トランジスタ714のソースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続される。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)と、スイッチ704の第1の端子(トランジスタ714のソースとドレインの一方)と、論理素子706の入力端子と、容量素子707の一対の電極のうちの一方と、は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子707の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子707の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子708の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子708の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。
なお、容量素子707および容量素子708は、トランジスタや配線の寄生容量等を積極的に利用することによって省略することも可能である。
トランジスタ709のゲート電極には、制御信号WEが入力される。スイッチ703およびスイッチ704は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態となる。
トランジスタ709のソースとドレインの他方には、回路701に保持されたデータに対応する信号が入力される。図37では、回路701から出力された信号が、トランジスタ709のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子706によってその論理値が反転された反転信号となり、回路720を介して回路701に入力される。
なお、図37では、スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子706および回路720を介して回路701に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反転させられることなく、回路701に入力されてもよい。例えば、回路701内に、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合に、スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
図37におけるトランジスタ709は、上記実施の形態に例示したトランジスタ100を用いることができる。また、ゲート電極には制御信号WEを入力し、バックゲート電極には制御信号WE2を入力することができる。制御信号WE2は、一定の電位の信号とすればよい。当該一定の電位には、例えば、接地電位やトランジスタ709のソース電位よりも小さい電位などが選ばれる。制御信号WE2は、トランジスタ709のしきい値電圧を制御するための電位信号であり、トランジスタ709の、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流をより低減することができる。なお、トランジスタ709としては、第2ゲートを有さないトランジスタを用いることもできる。
また、図37において、記憶素子730に用いられるトランジスタのうち、トランジスタ709以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子730に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体層で形成されるトランジスタとすることもできる。または、記憶素子730は、トランジスタ709以外のトランジスタを、チャネルが酸化物半導体層で形成されるトランジスタと、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとを組み合わせて用いてもよい。
図37における回路701には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。また、論理素子706としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いることができる。
本発明の一態様における半導体装置では、記憶素子730に電源電圧が供給されない間は、回路701に記憶されていたデータを、回路702に設けられた容量素子708によってノードM2に保持することができる。
また、前述した通り、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例えば、OSトランジスタのオフ電流は、結晶性を有するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため、当該トランジスタをトランジスタ709として用いることによって、記憶素子730に電源電圧が供給されない間も容量素子708に保持された信号は長期間にわたり保たれる。こうして、記憶素子730は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ)を保持することが可能である。
また、スイッチ703およびスイッチ704を設けることによって、電源電圧供給再開後に、回路701が元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
また、回路702において、ノードM2に保持された信号はトランジスタ710のゲートに入力される。そのため、記憶素子730への電源電圧の供給が再開された後、ノードM2に保持された信号に応じてトランジスタ710の状態(オン状態、またはオフ状態)が決まり、回路702から読み出すことができる。それ故、ノードM2に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信号を正確に読み出すことが可能である。
このような記憶素子730を、CPUが有するレジスタやキャッシュメモリなどの記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。よって、CPU全体、もしくはCPUを構成する一つ、または複数の論理回路において、短期間の電源停止が可能になり、電源停止の頻度を高めることができるため、消費電力を抑えることができる。
本実施の形態では、記憶素子730をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子730は、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLSI、RF−ID(Radio Frequency Identification)にも応用可能である。
<半導体ウエハ、チップ>
図38(A)は、ダイシング処理が行なわれる前の基板741の上面図を示している。基板741としては、例えば、半導体基板(「半導体ウエハ」ともいう。)を用いることができる。基板741上には、複数の回路領域742が設けられている。回路領域742には、本発明の一態様に係る半導体装置、CPU、RFタグ、またはイメージセンサなどを設けることができる。
複数の回路領域742は、それぞれが分離領域743に囲まれている。分離領域743と重なる位置に分離線(「ダイシングライン」ともいう。)744が設定される。分離線744に沿って基板741を切断することで、回路領域742を含むチップ745を基板741から切り出すことができる。図38(B)にチップ745の拡大図を示す。
また、分離領域743に導電層や半導体層を設けてもよい。分離領域743に導電層や半導体層を設けることで、ダイシング工程時に生じうるESDを緩和し、ダイシング工程の歩留まり低下を防ぐことができる。また、一般にダイシング工程は、基板の冷却、削りくずの除去、帯電防止などを目的として、炭酸ガスなどを溶解させて比抵抗を下げた純水を切削部に流しながら行なわれる。分離領域743に導電層や半導体層を設けることで、当該純水の使用量を削減することができる。よって、半導体装置の生産コストを低減することができる。また、半導体装置の生産性を高めることができる。
分離領域743に設ける半導体層としては、バンドギャップが2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.7eV以上3.5eV以下の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いると、蓄積された電荷をゆっくりと放電することができるため、ESDによる電荷の急激な移動が抑えられ、静電破壊を生じにくくすることができる。
<電子部品>
チップ745を電子部品に適用する例について、図39を用いて説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはIC用パッケージともいう。電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、本発明の一態様の半導体装置と該半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
図39(A)に示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において本発明の一態様の半導体装置を有する素子基板が完成した後、該素子基板の裏面(半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行なう(ステップS751)。研削により素子基板を薄くすることで、素子基板の反りなどを低減し、電子部品の小型化を図ることができる。
次に、素子基板を複数のチップ(チップ745)に分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS752)。そして、分離したチップを個々ピックアップしてリードフレーム上に接合する「ダイボンディング工程」を行う(ステップS753)。ダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接合は、樹脂による接合や、テープによる接合など、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップを接合してもよい。
次いで、リードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS754)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モールド工程)」が施される(ステップS755)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、チップに内蔵される回路部やチップとリードを接続するワイヤーを機械的な外力から保護することができ、また水分や埃による特性の劣化(信頼性の低下)を低減することができる。
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行なう(ステップS756)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断および成形加工する「成形加工工程」を行なう(ステップS757)。
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行なう(ステップS758)。そして外観形状の良否や動作不良の有無などを調べる「検査工程」(ステップS759)を経て、電子部品が完成する。
また、完成した電子部品の斜視模式図を図39(B)に示す。図39(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図39(B)に示す電子部品760は、リード765および半導体装置763を示している。半導体装置763としては、本発明の一態様の半導体装置などを用いることができる。
図39(B)に示す電子部品760は、例えばプリント基板762に実装される。このような電子部品760が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板762上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板764)が完成する。完成した実装基板764は、電子機器などに用いられる。
<表示装置>
次に、上述したトランジスタを用いた表示装置の一例について説明する。図40(A)は、表示装置500の構成例を説明するブロック図である。
図40(A)に示す表示装置500は、駆動回路511、駆動回路521a、駆動回路521b、および表示領域531を有している。なお、駆動回路511、駆動回路521a、および駆動回路521bをまとめて「駆動回路」または「周辺駆動回路」という場合がある。
駆動回路521a、駆動回路521bは、例えば走査線駆動回路として機能できる。また、駆動回路511は、例えば信号線駆動回路として機能できる。なお、駆動回路521a、および駆動回路521bは、どちらか一方のみとしてもよい。また、表示領域531を挟んで駆動回路511と向き合う位置に、何らかの回路を設けてもよい。
また、図40(A)に例示する表示装置500は、各々が略平行に配設され、且つ、駆動回路521a、および/または駆動回路521bによって電位が制御されるp本の配線535と、各々が略平行に配設され、且つ、駆動回路511によって電位が制御されるq本の配線536と、を有する。さらに、表示領域531はマトリクス状に配設された複数の画素532を有する。画素532は、画素回路534および表示素子を有する。
また、3つの画素532を1つの画素として機能させることで、フルカラー表示を実現することができる。3つの画素532は、それぞれが赤色光、緑色光、または青色光の、透過率、反射率、または発光光量などを制御する。なお、3つの画素532で制御する光の色は赤、緑、青の組み合わせに限らず、黄、シアン、マゼンタであってもよい。
また、赤色光、緑色光、青色光を制御する画素に、白色光を制御する画素532を加えて、4つの画素532をまとめて1つの画素として機能させてもよい。白色光を制御する画素532を加えることで、表示領域の輝度を高めることができる。また、1つの画素として機能させる画素532を増やし、赤、緑、青、黄、シアン、およびマゼンタを適宜組み合わせて用いることにより、再現可能な色域を広げることができる。
画素を1920×1080のマトリクス状に配置すると、いわゆるフルハイビジョン(「2K解像度」、「2K1K」、「2K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示装置500を実現することができる。また、例えば、画素を3840×2160のマトリクス状に配置すると、いわゆるウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示装置500を実現することができる。また、例えば、画素を7680×4320のマトリクス状に配置すると、いわゆるスーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示装置500を実現することができる。画素を増やすことで、16Kや32Kの解像度で表示可能な表示装置500を実現することも可能である。
g行目の配線535_g(gは1以上p以下の自然数。)は、表示領域531においてp行q列(p、qは、ともに1以上の自然数。)に配設された複数の画素532のうち、g行に配設されたq個の画素532と電気的に接続される。また、h列目の配線536_h(hは1以上q以下の自然数。)は、p行q列に配設された画素532のうち、h列に配設されたp個の画素532に電気的に接続される。
〔表示素子〕
表示装置500は、様々な形態を用いること、または様々な表示素子を有することが出来る。表示素子の一例としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機EL素子、無機EL素子、または、有機物及び無機物を含むEL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェロメトリック・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子、など、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものがある。また、表示素子として量子ドットを用いてもよい。
EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。量子ドットを用いた表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。表示装置はプラズマディスプレイパネル(PDP)であってもよい。表示装置は網膜走査型の投影装置であってもよい。
なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。
図40(B)、図40(C)、図41(A)、および図41(B)は、画素532に用いることができる回路構成例を示している。
〔発光表示装置用画素回路の一例〕
図40(B)に示す画素回路534は、トランジスタ461と、容量素子463と、トランジスタ468と、トランジスタ464と、を有する。また、図40(B)に示す画素回路534は、表示素子として機能できる発光素子469と電気的に接続されている。
トランジスタ461、トランジスタ468、トランジスタ464にOSトランジスタを用いることができる。特に、トランジスタ461にOSトランジスタを用いることが好ましい。
トランジスタ461のソース電極およびドレイン電極の一方は、配線536_hに電気的に接続される。さらに、トランジスタ461のゲート電極は、配線535_gに電気的に接続される。配線536_hからはビデオ信号が供給される。
トランジスタ461は、ビデオ信号のノード465への書き込みを制御する機能を有する。
容量素子463の一対の電極の一方は、ノード465に電気的に接続され、他方は、ノード467に電気的に接続される。また、トランジスタ461のソース電極およびドレイン電極の他方は、ノード465に電気的に接続される。
容量素子463は、ノード465に書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ468のソース電極およびドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続され、他方はノード467に電気的に接続される。さらに、トランジスタ468のゲート電極は、ノード465に電気的に接続される。
トランジスタ464のソース電極およびドレイン電極の一方は、電位供給線V0に電気的に接続され、他方はノード467に電気的に接続される。さらに、トランジスタ464のゲート電極は、配線535_gに電気的に接続される。
発光素子469のアノードまたはカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、ノード467に電気的に接続される。
発光素子469としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子469としては、これに限定されず、例えば無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
例えば、電位供給線VL_aまたは電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図40(B)の画素回路534を有する表示装置500では、駆動回路521a、および/または駆動回路521bにより各行の画素532を順次選択し、トランジスタ461、およびトランジスタ464をオン状態にしてビデオ信号をノード465に書き込む。
ノード465にデータが書き込まれた画素532は、トランジスタ461、およびトランジスタ464がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、ノード465に書き込まれたデータの電位に応じてトランジスタ468のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子469は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図41(A)に示すように、トランジスタ461、トランジスタ464、およびトランジスタ468として、バックゲートを有するトランジスタを用いてもよい。図41(A)に示すトランジスタ461、およびトランジスタ464は、ゲートがバックゲートと電気的に接続されている。よって、ゲートとバックゲートが常に同じ電位となる。また、トランジスタ468はバックゲートがノード467と電気的に接続されている。よって、バックゲートがノード467と常に同じ電位となる。
〔液晶表示装置用画素回路の一例〕
図40(C)に示す画素回路534は、トランジスタ461と、容量素子463と、を有する。また、図40(C)に示す画素回路534は、表示素子として機能できる液晶素子462と電気的に接続されている。トランジスタ461にOSトランジスタを用いることが好ましい。
液晶素子462の一対の電極の一方の電位は、画素回路534の仕様に応じて適宜設定される。例えば、液晶素子462の一対の電極の一方に、共通の電位(コモン電位)を与えてもよいし、容量線CLと同電位としてもよい。また、液晶素子462の一対の電極の一方に、画素532毎に異なる電位を与えてもよい。液晶素子462の一対の電極の他方はノード466に電気的に接続されている。液晶素子462は、ノード466に書き込まれるデータにより配向状態が設定される。
液晶素子462を備える表示装置の駆動方法としては、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子およびその駆動方式として様々なものを用いることができる。
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、配向膜を用いないブルー相(Blue Phase)を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、かつ、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。
また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
また、液晶材料の固有抵抗は、1×109Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
g行h列目の画素回路534において、トランジスタ461のソース電極およびドレイン電極の一方は、配線536_hに電気的に接続され、他方はノード466に電気的に接続される。トランジスタ461のゲート電極は、配線535_gに電気的に接続される。配線536_hからはビデオ信号が供給される。トランジスタ461は、ノード466へのビデオ信号の書き込みを制御する機能を有する。
容量素子463の一対の電極の一方は、特定の電位が供給される配線(以下、容量線CL)に電気的に接続され、他方は、ノード466に電気的に接続される。なお、容量線CLの電位の値は、画素回路534の仕様に応じて適宜設定される。容量素子463は、ノード466に書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図40(C)の画素回路534を有する表示装置500では、駆動回路521a、および/または駆動回路521bにより各行の画素回路534を順次選択し、トランジスタ461をオン状態にしてノード466にビデオ信号を書き込む。
ノード466にビデオ信号が書き込まれた画素回路534は、トランジスタ461がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、表示領域531に画像を表示できる。
また、図41(B)に示すように、トランジスタ461にバックゲートを有するトランジスタを用いてもよい。図41(B)に示すトランジスタ461は、ゲートがバックゲートと電気的に接続されている。よって、ゲートとバックゲートが常に同じ電位となる。
〔周辺回路の構成例〕
図42(A)に駆動回路511の構成例を示す。駆動回路511は、シフトレジスタ512、ラッチ回路513、およびバッファ514を有する。また、図42(B)に駆動回路521aの構成例を示す。駆動回路521aは、シフトレジスタ522、およびバッファ523を有する。駆動回路521bも駆動回路521aと同様の構成とすることができる。
シフトレジスタ512およびシフトレジスタ522にはスタートパルスSP、クロック信号CLKなどが入力される。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した表示装置の具体的な構成例について図面を用いて説明する。本発明の一態様に係るトランジスタを用いて、シフトレジスタを含む駆動回路の一部または全体を画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
<液晶表示装置とEL表示装置>
表示装置の一例として、液晶素子を用いた表示装置およびEL素子を用いた表示装置について説明する。図43(A)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002を囲むようにして、シール材4005が設けられ、第2の基板4006によって封止されている。図43(A)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体または多結晶半導体で形成された信号線駆動回路4003、および走査線駆動回路4004が実装されている。また、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、または画素部4002に与えられる各種信号および電位は、FPC(Flexible printed circuit)4018a、FPC4018bから供給されている。
図43(B)および図43(C)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。図43(B)および図43(C)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体または多結晶半導体で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。図43(B)および図43(C)においては、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、または画素部4002に与えられる各種信号および電位は、FPC4018から供給されている。
また図43(B)および図43(C)においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、ワイヤボンディング、COG(Chip On Glass)、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip On Film)などを用いることができる。図43(A)は、COGにより信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004を実装する例であり、図43(B)は、COGにより信号線駆動回路4003を実装する例であり、図43(C)は、TCPにより信号線駆動回路4003を実装する例である。
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む場合がある。
また第1の基板上に設けられた画素部および走査線駆動回路は、トランジスタを複数有しており、上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。
図44(A)および図44(B)は、図43(B)中でN1−N2の鎖線で示した部位の断面構成を示す断面図である。図44(A)および図44(B)に示す表示装置は電極4015を有しており、電極4015はFPC4018が有する端子と異方性導電層4019を介して、電気的に接続されている。また、電極4015は、絶縁層4112および絶縁層4111に形成された開口において配線4014と電気的に接続されている。
電極4015は、電極4030と同じ導電層から形成され、配線4014は、電極4108と同じ導電層を用いて、電極4108と同一工程で形成されている。
また、第1の基板4001上に設けられた画素部4002と走査線駆動回路4004はそれぞれがトランジスタを複数有している。図44(A)および図44(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010、および走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011を例示している。図44(A)では、トランジスタ4010およびトランジスタ4011上に、絶縁層4106、絶縁層4107、絶縁層4111、および絶縁層4112が設けられている。また、絶縁層4107と絶縁層4111の間に電極4108および電極4109を有する。電極4108はコンタクトプラグを介してトランジスタ4011と電気的に接続する。電極4109はコンタクトプラグを介してトランジスタ4010と電気的に接続する。また、図44(B)では、絶縁層4112の上に隔壁4510が形成されている。
また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102および絶縁層4103上に設けられている。また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4103上に形成された絶縁層4110および電極4017を有する。また、絶縁層4110および電極4017上に絶縁層4104が形成されている。電極4017はバックゲート電極として機能することができる。
トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、上記実施の形態に示したトランジスタを用いることができる。上記実施の形態に示したトランジスタは、電気特性の変動が抑制されており、電気的に安定である。よって、図44(A)および図44(B)に示す表示装置を信頼性の高い表示装置とすることができる。
また、図44(A)および図44(B)に示す表示装置は、容量素子4020を有する。容量素子4020は、トランジスタ4010のゲート電極と同時に形成された電極の一部と、電極4021が絶縁層4104を介して重なる領域を有する。電極4021は、電極4017を形成するための導電層を用いて、電極4017と同一工程で形成される。
一般に、表示装置に設けられる容量素子の容量は、画素部に配置されるトランジスタのリーク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。容量素子の容量は、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。
例えば、液晶表示装置の画素部にOSトランジスタを用いることにより、容量素子の容量を、液晶容量に対して1/3以下、さらには1/5以下とすることができる。OSトランジスタを用いることにより、容量素子の形成を省略することもできる。
画素部4002に設けられたトランジスタ4010は表示素子と電気的に接続する。図44(A)は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の一例である。図44(A)において、表示素子である液晶素子4013は、電極4030、電極4031、および液晶層4008を含む。なお、液晶層4008を挟持するように配向膜として機能する絶縁層4032、絶縁層4033が設けられている。電極4031は第2の基板4006側に設けられ、電極4030と電極4031は液晶層4008を介して重畳する。
またスペーサ4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、電極4030と電極4031との間隔(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
前述した通り、トランジスタ4010およびトランジスタ4011としてOSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を極めて低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、OSトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。よって、表示装置の駆動回路部や画素部に上記トランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。また、同一基板上に駆動回路部または画素部を作り分けて作製することが可能であるため、表示装置の部品点数を削減することができる。
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などを適宜設けてもよい。例えば、偏光部材および位相部材を組み合わせて形成された円偏光板を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子(「EL素子」ともいう。)を適用することができる。EL素子は、一対の電極の間に発光性の化合物を含む層(「EL層」ともいう。)を有する。一対の電極間に、EL素子の閾値電圧よりも大きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
また、EL素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)などを有していてもよい。
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法などの方法で形成することができる。
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そして、基板上にトランジスタおよび発光素子を形成し、当該基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出(トップエミッション)構造や、基板側の面から発光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)構造や、両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッション)構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
図44(B)は、表示素子として発光素子を用いた発光表示装置(「EL表示装置」ともいう。)の一例である。表示素子である発光素子4513は、画素部4002に設けられたトランジスタ4010と電気的に接続している。なお発光素子4513の構成は、電極4030、発光層4511、電極4031の積層構造であるが、この構成に限定されない。発光素子4513から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4513の構成は適宜変えることができる。
隔壁4510は、有機絶縁材料、または無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、電極4030上に開口部を形成し、その開口部の側面が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
発光層4511は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
発光素子4513に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、電極4031および隔壁4510上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、DLC(Diamond Like Carbon)などを形成することができる。また、第1の基板4001、第2の基板4006、およびシール材4005によって封止された空間には充填材4514が設けられ密封されている。このように、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
充填材4514としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、充填材4514に乾燥剤が含まれていてもよい。
シール材4005には、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることができる。また、シール材4005に乾燥剤が含まれていてもよい。
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、または円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
また、発光素子をマイクロキャビティ構造とすることで、色純度の高い光を取り出すことができる。また、マイクロキャビティ構造とカラーフィルタを組み合わせることで、映り込みが低減し、表示画像の視認性を高めることができる。
表示素子に電圧を印加する第1の電極層および第2の電極層(画素電極層、共通電極層、対向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、および電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
電極4030、電極4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、インジウム錫酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、電極4030、電極4031はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金属、またはその合金、もしくはその金属窒化物から一種以上を用いて形成することができる。
また、電極4030、電極4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、または、アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体などがあげられる。
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
上記実施の形態で示したシフトレジスタを用いることで、信頼性のよい表示装置を提供することができる。また、上記実施の形態で示したトランジスタを用いることで、表示装置の信頼性をさらに高めることができる。また、上記実施の形態で示したトランジスタを用いることで、高精細化や、大面積化が可能で、表示品質の良い表示装置を提供することができる。また、消費電力が低減された表示装置を提供することができる。
<表示モジュール>
上述したシフトレジスタまたはトランジスタを使用した半導体装置の一例として、表示モジュールについて説明する。図45に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6003に接続されたタッチセンサ6004、FPC6005に接続された表示パネル6006、バックライトユニット6007、フレーム6009、プリント基板6010、バッテリ6011を有する。なお、バックライトユニット6007、バッテリ6011、タッチセンサ6004などは、設けられない場合もある。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、タッチセンサ6004、表示パネル6006、プリント基板6010に実装された集積回路などに用いることができる。例えば、表示パネル6006に前述した表示装置を用いることができる。
上部カバー6001および下部カバー6002は、タッチセンサ6004や表示パネル6006などのサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチセンサ6004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチセンサを表示パネル6006に重畳して用いることができる。表示パネル6006にタッチセンサの機能を付加することも可能である。例えば、表示パネル6006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、静電容量方式のタッチパネル機能を付加することなども可能である。または、表示パネル6006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチセンサの機能を付加することなども可能である。また、タッチセンサ6004を設ける必要が無い場合は、タッチセンサ6004を省略することができる。
バックライトユニット6007は、光源6008を有する。光源6008をバックライトユニット6007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。また、表示パネル6006に発光表示装置などを用いる場合は、バックライトユニット6007を省略することができる。
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010側から発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。また、フレーム6009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号およびクロック信号を出力するための信号処理回路などを有する。電源回路に電力を供給する電源としては、バッテリ6011であってもよいし、商用電源であってもよい。なお、電源として商用電源を用いる場合には、バッテリ6011を省略することができる。
また、表示モジュール6000に、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本明細書等に開示したトランジスタを用いることができる半導体装置の一例として、撮像装置について説明する。図46(A)乃至図46(C)に、撮像装置の回路構成例を示す。
<撮像装置>
図46(A)に示す回路を有する撮像装置610は、光電変換素子601、トランジスタ602、トランジスタ604、および容量素子606を有する。トランジスタ602のソースまたはドレインの一方は光電変換素子601と電気的に接続される。トランジスタ602のソースまたはドレインの他方はノード607(電荷蓄積部)を介してトランジスタ604のゲートと電気的に接続されている。
トランジスタ602として、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタは、オフ電流を極めて小さくすることができるため、容量素子606を小さくすることができる。または、図46(B)に示すように、容量素子606を省略することができる。また、トランジスタ602としてOSトランジスタを用いると、ノード607の電位が変動しにくい。よって、ノイズの影響を受けにくい撮像装置を実現することができる。トランジスタ602として、例えば上記実施の形態に開示したトランジスタ100などを用いることができる。なお、トランジスタ604にOSトランジスタを用いてもよい。
光電変換素子601には、シリコン基板においてpn型やpin型の接合が形成されたダイオード素子を用いることができる。または非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型のダイオード素子などを用いてもよい。または、ダイオード接続のトランジスタを用いてもよい。また、光電効果を利用した可変抵抗などをシリコン、ゲルマニウム、セレンなど用いて形成してもよい。
また、光電変換素子として、放射線を吸収して電荷を発生させることが可能な材料を用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させることが可能な材料としては、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ガリウムヒ素、CdTe、CdZnなどがある。
図46(C)に示す回路を有する撮像装置610は、光電変換素子601としてフォトダイオードを用いる場合を示している。図46(C)に示す撮像装置610は、光電変換素子601、トランジスタ602、トランジスタ603、トランジスタ604、トランジスタ605、および容量素子606を有する。トランジスタ602のソースまたはドレインの一方は光電変換素子601のカソードと電気的に接続され、他方はノード607と電気的に接続されている。光電変換素子601のアノードは、配線611と電気的に接続されている。トランジスタ603のソースまたはドレインの一方はノード607と電気的に接続され、他方は配線608と電気的に接続されている。トランジスタ604のゲートはノード607と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方は配線609と電気的に接続され、他方はトランジスタ605のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。トランジスタ605のソースまたはドレインの他方は配線608と電気的に接続されている。容量素子606の一方の電極はノード607と電気的に接続され、他方の電極は配線611と電気的に接続される。
トランジスタ602は転送トランジスタとして機能できる。トランジスタ602のゲートには、転送信号TXが供給される。トランジスタ603はリセットトランジスタとして機能できる。トランジスタ603のゲートには、リセット信号RSTが供給される。トランジスタ604は増幅トランジスタとして機能できる。トランジスタ605は選択トランジスタとして機能できる。トランジスタ605のゲートには、選択信号SELが供給される。また、配線608にVDDが供給され、配線611にはVSSが供給される。
次に、図46(C)に示す回路を有する撮像装置610の動作について説明する。まず、トランジスタ603をオン状態にして、ノード607にVDDを供給する(リセット動作)。その後、トランジスタ603をオフ状態にすると、ノード607にVDDが保持される。次に、トランジスタ602をオン状態とすると、光電変換素子601の受光量に応じて、ノード607の電位が変化する(蓄積動作)。その後、トランジスタ602をオフ状態にすると、ノード607の電位が保持される。次に、トランジスタ605をオン状態とすると、ノード607の電位に応じた電位が配線609に出力される(選択動作)。配線609の電位を検出することで、光電変換素子601の受光量を知ることができる。
トランジスタ602およびトランジスタ603には、OSトランジスタを用いることが好ましい。前述した通り、OSトランジスタはオフ電流を極めて小さくすることができるため、容量素子606を小さくすることができる。または、容量素子606を省略することができる。また、トランジスタ602およびトランジスタ603としてOSトランジスタを用いると、ノード607の電位が変動しにくい。よって、ノイズの影響を受けにくい撮像装置を実現することができる。
図46(A)乃至図46(C)に示したいずれかの回路を有する撮像装置610をマトリクス状に配置することで、解像度の高い撮像装置が実現できる。
例えば、撮像装置610を1920×1080のマトリクス状に配置すると、いわゆるフルハイビジョン(「2K解像度」、「2K1K」、「2K」などとも言われる。)の解像度で撮像可能な撮像装置を実現することができる。また、例えば、撮像装置610を4096×2160のマトリクス状に配置すると、いわゆるウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」などとも言われる。)の解像度で撮像可能な撮像装置を実現することができる。また、例えば、撮像装置610を8192×4320のマトリクス状に配置すると、いわゆるスーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」などとも言われる。)の解像度で撮像可能な撮像装置を実現することができる。表示素子を増やすことで、16Kや32Kの解像度で撮像可能な撮像装置を実現することも可能である。
上述したトランジスタを用いた撮像装置610の構造例を図47に示す。図47は撮像装置610の断面図である。
図47に示す撮像装置610は、基板401としてn型半導体を用いている。また、基板401中に光電変換素子601のp型半導体221が設けられている。また、基板401の一部が、光電変換素子601のn型半導体223として機能する。
また、トランジスタ604は基板401上に設けられている。トランジスタ604はnチャネル型のトランジスタとして機能できる。また、基板401の一部にp型半導体のウェル220が設けられている。ウェル220はp型半導体221の形成と同様の方法で設けることができる。また、ウェル220とp型半導体221は同時に形成することができる。なお、トランジスタ604として、例えば上述したトランジスタ282を用いることができる。
また、光電変換素子601、およびトランジスタ604上に絶縁層403、絶縁層404、および絶縁層405が形成されている。
また、絶縁層403乃至絶縁層405の基板401(n型半導体223)と重なる領域に開口224が形成され、絶縁層403乃至絶縁層405のp型半導体221と重なる領域に開口225が形成されている。また、開口224および開口225中に、コンタクトプラグ406が形成されている。コンタクトプラグ406は上述したコンタクトプラグと同様に設けることができる。なお、開口224および開口225は、その数や配置に特段の制約は無い。よって、レイアウトの自由度が高い撮像装置を実現できる。
また、絶縁層405の上に、電極641、電極429、および電極642が形成されている。電極641は、開口224に設けられたコンタクトプラグ406を介してn型半導体223(基板401)と電気的に接続されている。また、電極429は、開口225に設けられたコンタクトプラグ406を介してp型半導体221と電気的に接続されている。電極642は容量素子606の電極として機能できる。
また、電極641、電極642、および電極429を覆って絶縁層627が形成されている。絶縁層627は、絶縁層405と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層627表面にCMP処理を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。電極641、電極642、および電極429は、上述した電極と同様の材料および方法により形成することができる。
また、絶縁層627の上に絶縁層102および絶縁層103が形成され、絶縁層103の上に電極647、電極105、および電極643が形成されている。電極647は電極429と電気的に接続されている。
また、絶縁層116の上に電極644および電極241が形成されている。また、電極644および電極241を覆って絶縁層242が形成されている。また、絶縁層242を介して電極241を覆って電極243が形成されている。電極241、絶縁層242、および電極243の重なる領域が容量素子606として機能する。
電極644はトランジスタ602のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、電極644は電極647と電気的に接続される。
〔変形例1〕
図47とは異なる撮像装置610の構成例を図48に示す。
図48に示す撮像装置610は、基板401上にトランジスタ604とトランジスタ605が設けられている。トランジスタ604はnチャネル型のトランジスタとして機能できる。トランジスタ605はpチャネル型のトランジスタとして機能できる。なお、トランジスタ604として、例えば上述したトランジスタ282を用いることができる。トランジスタ605として、例えば上述したトランジスタ281を用いることができる。
絶縁層405の上に電極413a乃至電極413dが形成されている。電極413aはトランジスタ604のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、電極413bはトランジスタ604のソースまたはドレインの他方と電気的に接続されている。電極413cは、トランジスタ604のゲートと電気的に接続されている。電極413bはトランジスタ605のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、電極413dはトランジスタ605のソースまたはドレインの他方と電気的に接続されている。
また、図48に示す撮像装置610は、絶縁層437上に光電変換素子601が設けられている。また、光電変換素子601上に絶縁層442が設けられ、絶縁層442上に電極488が設けられている。絶縁層442は、絶縁層437と同様の材料および方法で形成することができる。
図48に示す光電変換素子601は、金属材料などで形成された電極686と透光性導電層682との間に光電変換層681を有する。図48では、セレン系材料を光電変換層681に用いた形態を示している。セレン系材料を用いた光電変換素子601は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ現象により入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサとすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層681を薄くしやすい利点を有する。
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレンは、一例として、非晶質セレンを成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、結晶セレンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させることができる。また、結晶セレンは、非晶質セレンよりも可視光に対する分光感度や光吸収係数が高い特性を有する。
なお、光電変換層681は単層として図示しているが、セレン系材料の受光面側に正孔注入阻止層として酸化ガリウムまたは酸化セリウムなどを設け、電極686側に電子注入阻止層として酸化ニッケルまたは硫化アンチモンなどを設ける構成とすることもできる。
また、光電変換層681は、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を含む層であってもよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を含む層であってもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ現象が利用できる光電変換素子を形成することができる。
また、CISおよびCIGSはp型半導体であり、接合を形成するためにn型半導体の硫化カドミウムや硫化亜鉛等を接して設けてもよい。
アバランシェ現象を発生させるためには、光電変換素子に比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有するため、光電変換素子に比較的高い電圧を印加することが容易である。したがって、ドレイン耐圧の高いOSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、高感度、かつ信頼性の高い撮像装置とすることができる。
透光性導電層682には、例えば、インジウム錫酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができる。また、透光性導電層682は単層に限らず、異なる膜の積層であっても良い。また、図48では、透光性導電層682と配線487が、電極488およびコンタクトプラグ489を介して電気的に接続する構成を図示しているが、透光性導電層682と配線487が直接接してもよい。
また、電極686および配線487などは、複数の導電層を積層した構成であってもよい。例えば、電極686を第1の導電層および第2の導電層の二層とし、配線487を第3の導電層および第4の導電層の二層とすることができる。また、例えば、第1の導電層および第3の導電層を低抵抗の金属等を選択して形成し、第2の導電層および第4の導電層を光電変換層681とコンタクト特性の良い金属等を選択して形成するとよい。このような構成とすることで、光電変換素子の電気特性を向上させることができる。また、一部の金属は透光性導電層682と接触することにより電蝕を起こすことがある。そのような金属を第3の導電層に用いた場合でも第4の導電層を介することによって電蝕を防止することができる。
第2の導電層および第4の導電層には、例えば、モリブデンやタングステンなどを用いることができる。また、第1の導電層および第3の導電層には、例えば、アルミニウム、チタン、またはアルミニウムをチタンで挟むような積層を用いることができる。
また、絶縁層442が多層である構成であってもよい。隔壁477は、無機絶縁体や絶縁有機樹脂などを用いて形成することができる。また、隔壁477は、トランジスタ等に対する遮光のため、および/または1画素あたりの受光部の面積を確定するために黒色等に着色されていてもよい。
また、光電変換素子601には、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型のダイオード素子などを用いてもよい。当該フォトダイオードは、n型の半導体層、i型の半導体層、およびp型の半導体層が順に積層された構成を有している。i型の半導体層には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、p型の半導体層およびn型の半導体層には、それぞれの導電型を付与するドーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質シリコンを光電変換層とするフォトダイオードは可視光の波長領域における感度が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
なお、pn型やpin型のダイオード素子は、p型の半導体層が受光面となるように設けることが好ましい。p型の半導体層を受光面とすることで、光電変換素子601の出力電流を高めることができる。
上述したセレン系材料や非晶質シリコンなどを用いて形成した光電変換素子601は、成膜工程、リソグラフィ工程、エッチング工程などの一般的な半導体作製工程を用いて作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本明細書等に開示したトランジスタを用いることができる半導体装置の一例として、RFタグについて説明する。
<RFタグ>
本発明の一態様に係るRFタグは、内部に記憶回路(記憶装置)を有し、記憶回路に情報を記憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。このような特徴から、RFタグは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識別を行う個体認証システムなどに用いることが可能である。なお、これらの用途に用いるためには高い信頼性が要求される。
RFタグの構成について図49を用いて説明する。図49は、RFタグの構成例を示すブロック図である。
図49に示すようにRFタグ800は、通信器801(質問器、リーダ/ライタなどともいう)に接続されたアンテナ802から送信される無線信号803を受信するアンテナ804を有する。通信器801に上述したトランジスタを用いてもよい。またRFタグ800は、整流回路805、定電圧回路806、復調回路807、変調回路808、論理回路809、記憶回路810、ROM811を有している。なお、復調回路807に含まれる整流作用を示すトランジスタの半導体には、逆方向電流を十分に抑制することが可能な、例えば、酸化物半導体を用いてもよい。これにより、逆方向電流に起因する整流作用の低下を抑制し、復調回路の出力が飽和することを防止できる。つまり、復調回路の入力に対する復調回路の出力を線形に近づけることができる。なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式の3つに大別される。RFタグ800は、そのいずれの方式に用いることも可能である。
次に各回路の構成について説明する。アンテナ804は、通信器801に接続されたアンテナ802との間で無線信号803の送受信を行うためのものである。また、整流回路805は、アンテナ804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整流、例えば、半波2倍圧整流し、後段の容量素子により、整流された信号を平滑化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路805の入力側または出力側には、リミッタ回路を有してもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅が大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しないように制御するための回路である。
定電圧回路806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するための回路である。なお、定電圧回路806は、内部にリセット信号生成回路を有していてもよい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路809のリセット信号を生成するための回路である。
復調回路807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成するための回路である。また、変調回路808は、アンテナ804より出力するデータに応じて変調をおこなうための回路である。
論理回路809は復調信号を解析し、処理を行うための回路である。記憶回路810は、入力された情報を保持する回路であり、ロウデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域などを有する。また、ROM811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を行うための回路である。
なお、上述の各回路は、適宜、取捨することができる。
記憶回路810に上述した記憶装置を用いることができる。本発明の一態様に係る記憶装置は、電源が遮断された状態であっても情報を保持できるため、RFタグに好適である。さらに本発明の一態様に係る記憶装置は、データの書き込みに必要な電力(電圧)が従来の不揮発性メモリに比べて低いため、データの読み出し時と書込み時の最大通信距離の差を生じさせないことも可能である。さらに、データの書き込み時に電力が不足し、誤動作または誤書込みが生じることを抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置は、不揮発性メモリとして用いることが可能であるため、ROM811に適用することもできる。その場合には、生産者がROM811にデータを書き込むためのコマンドを別途用意し、ユーザが自由に書き換えできないようにしておくことが好ましい。生産者が出荷前に固有番号を書込んだのちに製品を出荷することで、作製したRFタグすべてについて固有番号を付与するのではなく、出荷する良品にのみ固有番号を割り当てることが可能となり、出荷後の製品の固有番号が不連続になることがなく出荷後の製品に対応した顧客管理が容易となる。
本発明の一態様に係るRFタグの使用例について図50を用いて説明する。RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券、無記名債券、運転免許証や住民票などの証書(図50(A)参照。)、DVDソフトやビデオテープなどの記録媒体(図50(B)参照。)、皿やコップや瓶などの容器(図50(C)参照。)、包装紙や箱やリボンなどの包装用品、自転車などの移動体(図50(D)参照。)、鞄や眼鏡などの身の回り品、植物、動物、人体、衣類、生活用品、薬品や薬剤を含む医療品、または電子機器(例えば、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話。)などの物品、もしくは各物品に取り付ける荷札(図50(E)および図50(F)参照。)などに設けて使用することができる。
本発明の一態様に係るRFタグ800は、表面に貼る、または埋め込むことにより、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタグ800は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券、無記名債券、または証書などに本発明の一態様に係るRFタグ800により、認証機能を付与することができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器、記録媒体、身の回り品、衣類、生活用品、または電子機器などに本発明の一態様に係るRFタグ800を取り付けることにより、検品システムなどのシステムの効率化を図ることができる。また、移動体に本発明の一態様に係るRFタグ800を取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。以上のように、本発明の一態様に係るRFタグ800は、上述したような各用途に用いることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の一例について説明する。
本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、自動車電話、携帯電話、携帯情報端末、タブレット型端末、携帯型ゲーム機、パチンコ機などの固定式ゲーム機、電卓、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソー等の工具、煙感知器、透析装置等の医療機器などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、燃料を用いたエンジンや、蓄電体からの電力を用いた電動機により推進する移動体なども、電子機器の範疇に含まれる場合がある。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
図51(A)に示す情報端末2910は、筐体2911に、表示部2912、マイク2917、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作用のボタン2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタッチスクリーンを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いることができる。
図51(B)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有する。
図51(C)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2943、操作キー2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操作キー2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部2943は筐体2942に設けられている。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の切り換えを行うことができる。
図51(D)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951、および表示部2952等を有する。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持されている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。
図51(E)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作ボタン2965、入出力端子2966などを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部2962の表示面は湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部2962はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部2962に表示されたアイコン2967に触れることで、アプリケーションを起動することができる。操作ボタン2965は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、情報端末2960に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン2965の機能を設定することもできる。
また、情報端末2960は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、情報端末2960は入出力端子2966を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子2966を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子2966を介さずに無線給電により行ってもよい。
図51(F)に家庭用電気製品の一例として電気冷蔵庫を示す。電気冷蔵庫2970は、筐体2971、冷蔵室用扉2972、および冷凍室用扉2973等を有する。
図51(G)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、およびライト2984等を有する。
本実施の形態に示す電子機器には、上述したトランジスタまたは上述した半導体装置などが搭載されている。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、スパッタリング用ターゲットを設置することが可能な成膜室を有する成膜装置(スパッタリング装置)について説明する。本実施の形態に示す成膜装置は、平行平板型のスパッタリング装置や、対向ターゲット式のスパッタリング装置などに用いることができる。
対向ターゲット式のスパッタリング装置を用いた成膜では、被形成面へのダメージが小さくできるため、結晶性の高い膜を得やすい。即ち、CAAC−OSなどの成膜には、対向ターゲット式のスパッタリング装置を用いることが好ましい場合がある。
なお、平行平板型スパッタリング装置を用いた成膜法を、PESP(Parallel Electrode Sputtering)と呼ぶこともできる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(Vapor Deposition Sputtering)と呼ぶこともできる。
まず、成膜時などに膜中に不純物の混入が少ない成膜装置の構成について図52および図53を用いて説明する。
図52は、枚葉式マルチチャンバーの成膜装置2700の上面図を模式的に示している。成膜装置2700は、基板を収容するカセットポート2761と、基板のアライメントを行うアライメントポート2762と、を備える大気側基板供給室2701と、大気側基板供給室2701から、基板を搬送する大気側基板搬送室2702と、基板の搬入を行い、かつ室内の圧力を大気圧から減圧、または減圧から大気圧へ切り替えるロードロック室2703aと、基板の搬出を行い、かつ室内の圧力を減圧から大気圧、または大気圧から減圧へ切り替えるアンロードロック室2703bと、真空中の基板の搬送を行う搬送室2704と、基板の加熱を行う基板加熱室2705と、ターゲットが配置され成膜を行う成膜室2706a、成膜室2706bおよび成膜室2706cと、を有する。なお、成膜室2706a、成膜室2706bおよび成膜室2706cは、後述する成膜室の構成を参酌することができる。
また、大気側基板搬送室2702は、ロードロック室2703aおよびアンロードロック室2703bと接続され、ロードロック室2703aおよびアンロードロック室2703bは、搬送室2704と接続され、搬送室2704は、基板加熱室2705、成膜室2706a、成膜室2706bおよび成膜室2706cと接続する。
なお、各室の接続部にはゲートバルブ2764が設けられており、大気側基板供給室2701と、大気側基板搬送室2702を除き、各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板搬送室2702および搬送室2704は、搬送ロボット2763を有し、基板を搬送することができる。
また、基板加熱室2705は、プラズマ処理室を兼ねると好ましい。成膜装置2700は、処理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送することが可能なため、基板に不純物が吸着することを抑制できる。また、成膜や熱処理などの順番を自由に構築することができる。なお、搬送室、成膜室、ロードロック室、アンロードロック室および基板加熱室は、上述の数に限定されず、設置スペースやプロセス条件に合わせて、適宜最適な数を設けることができる。
次に、図52に示す成膜装置2700の一点鎖線X1−X2、一点鎖線Y1−Y2、および一点鎖線Y2−Y3に相当する断面を図53に示す。
図53(A)は、基板加熱室2705と、搬送室2704の断面を示しており、基板加熱室2705は、基板を収容することができる複数の加熱ステージ2765を有している。なお、基板加熱室2705は、バルブを介して真空ポンプ2770と接続されている。真空ポンプ2770としては、例えば、ドライポンプ、およびメカニカルブースターポンプ等を用いることができる。
また、基板加熱室2705に用いることのできる加熱機構としては、例えば、抵抗発熱体などを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)などのRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。
また、基板加熱室2705は、マスフローコントローラ2780を介して、精製機2781と接続される。なお、マスフローコントローラ2780および精製機2781は、ガス種の数だけ設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。基板加熱室2705に導入されるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、例えば、酸素ガス、窒素ガス、および希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
搬送室2704は、搬送ロボット2763を有している。搬送ロボット2763は、各室へ基板を搬送することができる。また、搬送室2704は、バルブを介して真空ポンプ2770と、クライオポンプ2771と、接続されている。このような構成とすることで、搬送室2704は、大気圧から低真空または中真空(0.1から数百Pa程度)まで真空ポンプ2770を用いて排気され、バルブを切り替えて中真空から高真空または超高真空(0.1Paから1×10−7Pa程度)まではクライオポンプ2771を用いて排気される。
また、例えば、クライオポンプ2771は、搬送室2704に対して2台以上並列に接続してもよい。このような構成とすることで、1台のクライオポンプがリジェネ中であっても、残りのクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、上述したリジェネとは、クライオポンプ内にため込まれた分子(または原子)を放出する処理をいう。クライオポンプは、分子(または原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的にリジェネが行われる。
図53(B)は、成膜室2706bと、搬送室2704と、ロードロック室2703aの断面を示している。
ここで、図53(B)および図54を用いて、成膜室(スパッタリング室)の詳細について説明する。図54(A)は成膜室2706b内の様子を示す図である。成膜室2706bは、ターゲット2766aと、ターゲット2766bと、ターゲットシールド2767aと、ターゲットシールド2767bと、マグネットユニット2790aと、マグネットユニット2790bと、基板ホルダ2768と、電源2791aと、電源2791bと、を有する。ターゲット2766aはバッキングプレート2789aに設けられている(図53(B)に図示せず。)。また、ターゲット2766bはバッキングプレート2789bに設けられている(図53(B)に図示せず。)。また、ターゲット2766aおよびターゲット2766bには、電源2791が電気的に接続されている。マグネットユニット2790aは、バッキングプレート2789aを介してターゲット2766aの背面に配置される。また、マグネットユニット2790bは、バッキングプレート2789bを介してターゲット2766bの背面に配置される。ターゲットシールド2767aおよびターゲットシールド2767bは、それぞれターゲット2766aおよびターゲット2766bの端部を囲うように配置される。
電源2791aおよび電源2791bとしては、RF電源、DC電源、またはAC電源などを用いることができる。なお、電源2791aと電源2791bで異なる種類の電源を用いてもよい。
図54(B)および図54(C)は、図54(A)の一点鎖線A−B間におけるプラズマ2788の電位分布を示している。図54(B)に示す電位分布は、バッキングプレート2789aに高電位を印加し、バッキングプレート2789bに低電位を印加した状態を示す。即ち、ターゲット2766bに向けて陽イオンが加速される。図54(C)に示す電位分布は、バッキングプレート2789aに低電位を印加し、バッキングプレート2789bに高電位を印加した状態を示す。即ち、ターゲット2766aに向けて陽イオンが加速される。本発明の一態様における酸化物半導体の成膜は、図54(B)と、図54(C)と、の状態を交互に入れ替わるようにして行えばよい。
基板ホルダ2768には、基板2769が支持されている。基板ホルダ2768はGNDに接続されていることが好ましい。また、基板ホルダ2768はフローティングの状態であってもよい。基板ホルダ2768は、可動部材2784を介して成膜室2706bに固定される。可動部材2784によって、基板ホルダ2768を、ターゲット2766aとターゲット2766bに挟まれた領域(「ターゲット間領域」ともいう。)まで移動させることができる。
例えば、基板2769を支持した基板ホルダ2768をターゲット間領域に配置することによって、プラズマによる損傷を低減できる場合がある。特にプラズマ2788中における陽光柱の領域に、基板ホルダ2768および基板2769が入るように配置することが好ましい。プラズマ2788中の陽光柱の領域は、図54(B)および図54(C)に示す電位分布において、A−B間の中間付近にある、電位分布の勾配が小さい領域である。つまり、プラズマ2788における陽光柱の領域に基板2769を配置することによって、プラズマ2788中の強電界部分に基板2769が曝されないため、プラズマ2788による損傷が低減される。
また、基板ホルダ2768および基板2769は、プラズマ2788の外側に配置されていてもよい。基板2769の表面がプラズマ2788の高電界領域に曝されないことによって、プラズマ2788による損傷を低減することができる。ただし、プラズマ2788から基板2769を離すほど、ターゲット2766aおよびターゲット2766bの使用効率が低くなってしまう。
また、基板ホルダ2768は、基板2769を保持する基板保持機構や、基板2769を背面から加熱するヒーター等を備えていてもよい。
また、ターゲットシールド2767によって、ターゲット2766からスパッタリングされる粒子が不要な領域に堆積することを抑制できる。ターゲットシールド2767は、累積されたスパッタ粒子が剥離しないように、加工することが望ましい。例えば、表面粗さを増加させるブラスト処理、またはターゲットシールド2767の表面に凹凸を設けてもよい。
また、成膜室2706bは、ガス加熱機構2782を介してマスフローコントローラ2780と接続され、ガス加熱機構2782はマスフローコントローラ2780を介して精製機2781と接続される。ガス加熱機構2782により、成膜室2706bに導入されるガスを40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下に加熱することができる。なお、ガス加熱機構2782、マスフローコントローラ2780、および精製機2781は、ガス種の数だけ設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。成膜室2706bに導入されるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、例えば、酸素ガス、窒素ガス、および希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
なお、ガスの導入口の直前に精製機を設ける場合、精製機から成膜室2706bまでの配管の長さを10m以下、好ましくは5m以下、さらに好ましくは1m以下とする。配管の長さを10m以下、5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長さに応じて低減できる。さらに、ガスの配管には、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで内部が被覆された金属配管を用いるとよい。前述の配管は、例えばSUS316L−EP配管と比べ、不純物を含むガスの放出量が少なく、ガスへの不純物の入り込みを低減できる。また、配管の継手には、高性能超小型メタルガスケット継手(UPG継手)を用いるとよい。また、配管を全て金属で構成することで、樹脂等を用いた場合と比べ、生じる放出ガスおよび外部リークの影響を低減できて好ましい。
また、成膜室2706bは、バルブを介してターボ分子ポンプ2772および真空ポンプ2770と接続される。
また、成膜室2706bは、クライオトラップ2751が設けられる。
クライオトラップ2751は、水などの比較的融点の高い分子(または原子)を吸着することができる機構である。ターボ分子ポンプ2772は大きいサイズの分子(または原子)を安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の排気能力が低い。そこで、水などに対する排気能力を高めるため、クライオトラップ2751が成膜室2706bに接続された構成としている。クライオトラップ2751の冷凍機の温度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップ2751が複数の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能となるため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の温度を20K以下とすればよい。なお、クライオトラップに替えて、チタンサブリメーションポンプを用いることで、さらに高真空とすることができる場合がある。また、クライオポンプやターボ分子ポンプに替えてイオンポンプを用いることでもさらに高真空とすることができる場合がある。
なお、成膜室2706bの排気方法は、これに限定されず、先の搬送室2704に示す排気方法(クライオポンプと真空ポンプとの排気方法)と同様の構成としてもよい。もちろん、搬送室2704の排気方法を成膜室2706bと同様の構成(ターボ分子ポンプと真空ポンプとの排気方法)としてもよい。
なお、上述した搬送室2704、基板加熱室2705、および成膜室2706bの背圧(全圧)、ならびに各気体分子(原子)の分圧は、以下の通りとすると好ましい。とくに、形成される膜中に不純物が混入され得る可能性があるので、成膜室2706bの背圧、ならびに各気体分子(原子)の分圧には注意する必要がある。
上述した各室の背圧(全圧)は、1×10−4Pa以下、好ましくは3×10−5Pa以下、さらに好ましくは1×10−5Pa以下である。上述した各室の質量電荷比(m/z)が18である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室のm/zが28である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室のm/zが44である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
なお、真空チャンバー内の全圧および分圧は、質量分析計を用いて測定することができる。例えば、株式会社アルバック製四重極形質量分析計(Q−massともいう。)Qulee CGM−051を用いればよい。
また、上述した搬送室2704、基板加熱室2705、および成膜室2706bは、外部リークまたは内部リークが少ない構成とすることが望ましい。
例えば、上述した搬送室2704、基板加熱室2705、および成膜室2706bのリークレートは、3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。また、m/zが18である気体分子(原子)のリークレートが1×10−7Pa・m3/s以下、好ましくは3×10−8Pa・m3/s以下である。また、m/zが28である気体分子(原子)のリークレートが1×10−5Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。また、m/zが44である気体分子(原子)のリークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
なお、リークレートに関しては、前述の質量分析計を用いて測定した全圧および分圧から導出すればよい。
リークレートは、外部リークおよび内部リークに依存する。外部リークは、微小な穴やシール不良などによって真空系外から気体が流入することである。内部リークは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを上述の数値以下とするために、外部リークおよび内部リークの両面から対策をとる必要がある。
例えば、成膜室2706bの開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガスケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、または酸化クロムによって被覆された金属を用いると好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減できる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどによって被覆された金属の不動態を用いることで、メタルガスケットから放出される不純物を含む放出ガスが抑制され、内部リークを低減することができる。
また、成膜装置2700を構成する部材として、不純物を含む放出ガスの少ないアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケルまたはバナジウムを用いる。また、前述の部材を鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金に被覆して用いてもよい。鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガスを低減できる。
または、前述の成膜装置2700の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで被覆してもよい。
成膜装置2700の部材は、極力金属のみで構成することが好ましく、例えば石英などで構成される覗き窓などを設置する場合も、放出ガスを抑制するために表面をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで薄く被覆するとよい。
成膜室に存在する吸着物は、内壁などに吸着しているために成膜室の圧力に影響しないが、成膜室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相関はないものの、排気能力の高いポンプを用いて、成膜室に存在する吸着物をできる限り脱離し、あらかじめ排気しておくことは重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、成膜室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき、不活性ガスを成膜室に導入しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。なお、導入する不活性ガスをベーキングの温度と同程度に加熱することで、吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ここで不活性ガスとして希ガスを用いると好ましい。また、成膜する膜種によっては不活性ガスの代わりに酸素などを用いても構わない。例えば、酸化物を成膜する場合は、主成分である酸素を用いた方が好ましい場合もある。なお、ベーキングは、ランプを用いて行うと好ましい。
または、加熱した希ガスなどの不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を高め、一定時間経過後に再び成膜室を排気する処理を行うと好ましい。加熱したガスの導入により成膜室内の吸着物を脱離させることができ、成膜室内に存在する不純物を低減することができる。なお、この処理は2回以上30回以下、好ましくは5回以上15回以下の範囲で繰り返し行うと効果的である。具体的には、温度が40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下である不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を0.1Pa以上10kPa以下、好ましくは1Pa以上1kPa以下、さらに好ましくは5Pa以上100Pa以下とし、圧力を保つ期間を1分以上300分以下、好ましくは5分以上120分以下とすればよい。その後、成膜室を5分以上300分以下、好ましくは10分以上120分以下の期間排気する。
また、ダミー成膜を行うことでも吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ダミー成膜とは、ダミー基板に対してスパッタリング法などによる成膜を行うことで、ダミー基板および成膜室内壁に膜を堆積させ、成膜室内の不純物および成膜室内壁の吸着物を膜中に閉じこめることをいう。ダミー基板は、放出ガスの少ない基板が好ましい。ダミー成膜を行うことで、後に成膜される膜中の不純物濃度を低減することができる。なお、ダミー成膜はベーキングと同時に行ってもよい。
次に、図53(B)に示す搬送室2704、およびロードロック室2703aと、図53(C)に示す大気側基板搬送室2702、および大気側基板供給室2701の詳細について以下説明を行う。なお、図53(C)は、大気側基板搬送室2702、および大気側基板供給室2701の断面を示している。
図53(B)に示す搬送室2704については、図53(A)に示す搬送室2704の記載を参照する。
ロードロック室2703aは、基板受け渡しステージ2752を有する。ロードロック室2703aは、減圧状態から大気まで圧力を上昇させ、ロードロック室2703aの圧力が大気圧になった時に、大気側基板搬送室2702に設けられている搬送ロボット2763から基板受け渡しステージ2752に基板を受け取る。その後、ロードロック室2703aを真空引きし、減圧状態としたのち、搬送室2704に設けられている搬送ロボット2763が基板受け渡しステージ2752から基板を受け取る。
また、ロードロック室2703aは、バルブを介して真空ポンプ2770、およびクライオポンプ2771と接続されている。真空ポンプ2770、およびクライオポンプ2771の排気系の接続方法は、搬送室2704の接続方法を参考とすることで接続できるため、ここでの説明は省略する。なお、図52に示すアンロードロック室2703bは、ロードロック室2703aと同様の構成とすることができる。
大気側基板搬送室2702は、搬送ロボット2763を有する。搬送ロボット2763により、カセットポート2761とロードロック室2703aとの基板の受け渡しを行うことができる。また、大気側基板搬送室2702、および大気側基板供給室2701の上方にHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)等のゴミまたはパーティクルを清浄化するための機構を設けてもよい。
大気側基板供給室2701は、複数のカセットポート2761を有する。カセットポート2761は、複数の基板を収容することができる。
ターゲットは、表面温度が100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは室温程度(代表的には25℃)とする。大面積の基板に対応するスパッタリング装置では大面積のターゲットを用いることが多い。ところが、大面積に対応した大きさのターゲットをつなぎ目なく作製することは困難である。現実には複数のターゲットをなるべく隙間のないように並べて大きな形状としているが、どうしても僅かな隙間が生じてしまう。こうした僅かな隙間から、ターゲットの表面温度が高まることで亜鉛などが揮発し、徐々に隙間が広がっていくことがある。隙間が広がると、バッキングプレートや、バッキングプレートとターゲットとの接合に用いているボンディング材の金属がスパッタリングされることがあり、不純物濃度を高める要因となる。したがって、ターゲットは、十分に冷却されていることが好ましい。
具体的には、バッキングプレートとして、高い導電性および高い放熱性を有する金属(具体的には銅)を用いる。また、バッキングプレート内に水路を形成し、水路に十分な量の冷却水を流すことで、効率的にターゲットを冷却できる。
なお、ターゲットが亜鉛を含む場合、酸素ガス雰囲気で成膜することにより、プラズマダメージが軽減され、亜鉛の揮発が起こりにくい酸化物を得ることができる。
上述した成膜装置を用いることで、水素濃度が、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下である酸化物半導体を成膜することができる。
また、窒素濃度が、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3以下、より好ましくは5×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3以下である酸化物半導体を成膜することができる。
また、炭素濃度が、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下である酸化物半導体を成膜することができる。
また、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析によるm/zが2(水素分子など)である気体分子(原子)、m/zが18である気体分子(原子)、m/zが28である気体分子(原子)およびm/zが44である気体分子(原子)の放出量が、それぞれ1×1019個/cm3以下、好ましくは1×1018個/cm3以下である酸化物半導体を成膜することができる。
以上の成膜装置を用いることで、酸化物半導体への不純物の混入を抑制できる。さらには、以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体に接する膜を成膜することで、酸化物半導体に接する膜から酸化物半導体へ不純物が混入することを抑制できる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、図57乃至図61を用いて酸化物半導体について説明する。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図57(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図57(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図57(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図57(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図57(E)に示す。図57(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図57(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図57(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図58(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図58(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図58(B)および図58(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図58(D)および図58(E)は、それぞれ図58(B)および図58(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図58(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図58(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図58(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を点線で示し、格子配列の向きの変化を破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図59(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図59(B)に示す。図59(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図59(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図59(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図60に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図60(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図60(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図60(A)および図60(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図61は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図61より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図61より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図61より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。