本発明の吸収性物品は、透液性のトップシートと、前記トップシートの外面側に配置されたセカンドシートと、前記セカンドシートの外面側に配置された吸収体と、前記吸収体の外面側に配置された不透液性のバックシートとを有し、前記セカンドシートが、ポリウレタン連続多孔質体からなり、見掛け密度が100kg/m3〜200kg/m3であることを特徴とする。
1 セカンドシート
前記セカンドシートは、ポリウレタン連続多孔質体からなり、見掛け密度が100kg/m3〜200kg/m3であり透水速度に優れている。そのため、本発明の吸収性物品は、トップシート上へ排泄された体液が、直ちにセカンドシートに取り込まれる。また、セカンドシートに取り込まれた体液は、厚さ方向に素早く浸透し、セカンドシートから吸収体に達し、吸収体により吸収、保持される。よって、本発明の吸収性物品は、体液の吸収速度が速い。
1.1 物性
前記セカンドシートの見掛け密度は、100kg/m3以上、好ましくは120kg/m3以上、より好ましくは130kg/m3以上であり、200kg/m3以下、好ましくは180kg/m3以下、より好ましくは170kg/m3以下である。前記セカンドシートの見掛け密度が100kg/m3以上であれば、透水速度が良好であり、200kg/m3以下であれば、透過量が良好となる。見掛け密度とは、通気性細孔および非通気性細孔の双方を含む試料の単位体積当たりの質量である。前記セカンドシートの見掛け密度は、体積100cm3以上の試験片について、その体積と質量を測定し、算出する。
前記セカンドシートの厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.5mm以下である。前記セカンドシートの厚さが0.5mm以上であれば、セカンドシートの機械的強度が良好となり、4.0mm以下であれば、セカンドシートの透水性能が良好となる。前記セカンドシートの厚さは、デジタルノギスを用いて測定する。
前記セカンドシートの透水速度は、0.125mL/秒以上が好ましく、より好ましくは0.20mL/秒以上、さらに好ましくは0.25mL/秒以上である。透水速度が0.125ml/秒以上であれば、セカンドシート内において、体液が、厚さ方向へ素早く拡散するため、吸収性物品の吸収速度がより向上する。
1.2 ポリウレタン連続多孔質体
前記セカンドシートは、ポリウレタン連続多孔質体から構成される。多孔質体は、多数の細孔を有する。また、連続多孔質体は、多数の細孔が通気性を有する。連続多孔質体では、各細孔は、多孔質体表面との貫通孔を有するか、または、隣接する細孔間に貫通孔を有する。なお、各細孔の形状は特に限定されない。また、ポリウレタン連続多孔質体は、非通気性の細孔を有していてもよい。
前記ポリウレタン連続多孔質体は、細孔の数(セル数)が、15個/25mm幅が好ましく、より好ましくは20個/25mm幅以上であり、好ましくは70個/25mm幅以下、より好ましくは60個/25mm幅以下である。前記セル数が15個/25mm幅以上であれば透水速度が良好となる。前記セル数は、JIS K6400−1(2004)の付属書に基づき測定する。具体的には、ポリウレタン連続多孔質体の試験片(厚さ10mm以上、幅および長さ100mm以上)について、拡大鏡(倍率5倍以上)を用いて、3カ所の直線上10mm間のセルの個数を数え、平均値を算出する。
前記ポリウレタン連続多孔質体の通気性は、10L/min以上が好ましく、より好ましくは20L/min以上であり、120L/min以下が好ましく、より好ましくは100L/min以下である。セカンドシートの通気性が10L/min以上であれば吸収性物品の内側におけるムレが防止できる。前記ポリウレタン連続多孔質体の通気性は、ASTM D3574に準拠して測定する。
前記ポリウレタン連続多孔質体としては、特に限定されず、例えば、発泡法で作製されたもの、抽出法で作製されたもの、W/Oエマルジョン法で作製されたもの等が挙げられる。また、前記ポリウレタン連続多孔質体は、厚さ方向に熱圧縮処理が施されているものが好ましい。熱圧縮処理により、連続多孔質体中の細孔構造を形成する各骨格が、圧縮方向に圧縮変形され、折りたたまれたように変形される。これにより、熱圧縮成形後の連続多孔質体は、熱圧縮成形される前と比較して、圧縮方向にセル空間が密な状態となり、かつ、セル骨格が水平方向に並ぶ状態となる。そのため、厚さ方向の透水性能がより向上し、かつ、水平方向の拡散性にも優れるものとなる。
前記ポリウレタン連続多孔質体は、骨格表面が親水性であることが好ましい。骨格表面が親水性であれば、体液をセカンドシート内部へと取込む速度が一層高まり、吸収性物品の吸収速度がより向上する。
骨格表面が親水性であるかどうかの判断は下記の方法により行う。まず、ポリウレタン連続多孔質体(幅10mm以上、長さ10mm以上)を、シャーレの縁の上に載架する。この際、ポリウレタン連続多孔質体に撓みがないようにする。次に、スポイトを用いて、ポリウレタン連続多孔質体上に液滴(0.05ml)を10滴静かに載せ、これらの液滴がポリウレタン連続多孔質体に吸収されるまでの時間を測定する。そして、液滴を載せてから5秒以内に、8滴以上の液滴が吸収された場合を親水性であると判断する。なお、液滴には、イオン交換水(表面張力(Wilhelmy法、白金プレート、20℃、65%RH):70mN/m以上)を使用する。
前記骨格表面が親水性であるポリウレタン連続多孔質体としては、例えば、骨格を構成するポリウレタン自体が親水性を有するもの;疎水性のポリウレタン連続多孔質体を親水化処理したものが挙げられる。骨格を構成するポリウレタン自体が親水性を有するものとしては、ポリオール成分にポリアルキレンオキシドポリオールを含有するものが挙げられる。疎水性のポリウレタン連続多孔質体を親水化処理したものとしては、疎水性のポリウレタン連続多孔質体の骨格表面の少なくとも一部が界面活性剤で被覆されたものや、疎水性のポリウレタン連続多孔質体をエチレンオキシドのような反応性ガスで処理し、細孔表面に親水基を付与したもの等が挙げられる。
前記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。前記アニオン界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等が挙げられる。前記ノニオン界面活性剤としては、エステル型ノニオン界面活性剤、エーテル型ノニオン界面活性剤、エステル・エーテル型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
1.2.1 ポリウレタン
前記ポリウレタン連続多孔質体を構成するポリウレタンは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることによって、ウレタン結合が分子内に形成された生成物であり、必要に応じて、さらに低分子量のポリオールや低分子量のポリアミン等の鎖延長剤により鎖延長反応させることにより得られるものである。
1.2.1.1 ポリオール成分
ポリオール成分としては、ポリウレタンの製造に使用され、分子中に水酸基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、シリコーン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。これらのポリオール成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキシドおよび/または複素環式エーテルを重合または共重合して得られるポリエーテルポリオール、アミン化合物にアルキレンオキシドを付加したアミン系エーテルポリオール等が挙げられる。前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。前記複素環式エーテルとしては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。前記アミン化合物としては、モノまたはジアミン、ヒドラジン、置換ヒドラジン等が挙げられる。前記ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ−2−メチルテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。
前記ポリエステルポリオールとしては、脂肪族ジカルボン酸および/または芳香族ジカルボン酸と低分子グリコールとを縮重合させたものが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、グルタル酸、アゼライン酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。前記低分子グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等が挙げられる。前記ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコールアジペート、ポリブタンジオールアジペート、ポリヘキサンジオールアジペート、ポリ−3−メチルペンタンジオールアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール等が挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、ポリブタンジオールカーボネート、ポリ−3−メチルペンタンジオールカーボネート、ポリヘキサンジオールカーボネート、ポリノナンジオールカーボネート、ポリブタンジオールヘキサンジオールカーボネート、ポリペンタンジオールヘキサンジオールカーボネート、ポリ−2−メチルオクタンジオールノナンジオールカーボネート、ポリ−3−メチルペンタンジオールヘキサンジオールカーボネート等が挙げられる。
前記ポリラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオール等が挙げられる。
前記ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコールまたはその水素化物等が挙げられる。
シリコーン系ポリオールとは、ポリシロキサン主鎖に水酸基を導入したものである。また、導入した水酸基は、ポリシロキサン主鎖の両末端、または片末端にあればよい。
前記ポリオール成分は、ポリウレタンに親水性を付与し得る化合物を含有することが好ましい。具体的には、ポリオール成分が、ポリアルキレンオキシドポリオールを含有する態様;ポリオール成分が、酸性基含有ポリオールを含有する態様;が好ましい。前記ポリアルキレンオキシドポリオールは、多価アルコール、多価フェノールおよびアミン化合物から選択される少なくとも1種の化合物に、エチレンオキシド構造を含有するアルキレンオキシドを付加することで得られる。
前記多価アルコールとしては、2価アルコール、3価アルコール、4価以上の多価アルコールが挙げられる。2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール等が挙げられる。3価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール等のアルカントリオール等が挙げられる。4価以上の多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等のアルカンポリオール等が挙げられる。前記多価フェノールとしては、ピロガノール、ハイドロキノン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノールおよびホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。前記アミン化合物としては、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、エタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のポリアルカノールアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等のモノアミン化合物;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン化合物;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン;アニリン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン化合物;イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等の脂環式アミン化合物;ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の複素環式アミン化合物等が挙げられる。
前記ポリアルキレンオキシドポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが好ましい。前記ポリアルキレンオキシドポリオールは、ポリアルキレンオキシド部分中のエチレンオキシドに由来する単位の含有率が、40モル%〜85モル%であることが好ましい。前記ポリアルキレンオキシドポリオールは、一分子中に水酸基を2個有するポリアルキレンオキシドジオールと、一分子中に水酸基を3個有するポリアルキレンオキシドトリオールを併用することも好ましい。
前記酸性基含有ポリオールとしては、一分子中に2個以上の水酸基と、1個以上の酸性基を含有するものが挙げられる。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基が挙げられる。前記酸性基含有ポリオールとしては、一分子中に2個の水酸基と、1個のカルボキシ基を有するものが好ましい。
前記酸性基含有ポリオールとしては、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸;N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
1.2.1.2 ポリイソシアネート成分
前記ポリイソシアネート成分としては、ポリウレタンの製造に使用され、末端にイソシアネート基を2つ以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート成分としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートの水素添加物、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。前記ポリイソシアネート成分には、ジイソシアネートの二量体や三量体等も含まれる。ジイソシアネートの三量体としては、イソシアヌレート体、ビューレット体、アロファネート体等が挙げられる。これらのポリイソシアネート成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ポリイソシアネートの水素添加物としては、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環族ポリイソシアネートとしては、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
1.2.1.3 鎖延長剤
前記鎖延長剤として使用される低分子量のポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ノナンジオール、オクタンジオール、ジメチロールヘプタン、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
前記鎖延長剤として使用される低分子量のポリアミンとしては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等が挙げられる。前記脂肪族アミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。前記脂環族アミンとしては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、4,4’−シクロヘキシルメタンジアミン、トリエチレンテトラミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン等が挙げられる。前記芳香族アミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシレンジアミン、フェニレンジアミン、1,5−ナフテンジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、トルエン−2,6−ジアミン、3,3’−ジメチルベンジジン等が挙げられる。前記鎖延長剤は、前記低分子量ポリオール、低分子量ポリアミンを、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
1.2.2 ポリウレタン連続多孔質体の製造方法
前記ポリウレタン連続多孔質体は、従来公知の方法で製造できる。以下、ポリウレタン連続多孔質体の製造方法の一例として、発泡法、W/Oエマルション法、抽出法について説明する。
1.2.2.1 発泡法
発泡法としては、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、および、触媒を含有する反応原料を使用し、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるとともに、発泡させる方法が挙げられる。
前記ポリオール成分、ポリイソシアネート成分には、上述した化合物を使用すればよい。前記ポリイソシアネート成分の使用量は、イソシアネートインデックスに基づいて調節すればよい。前記イソシアネートインデックスは、80以上が好ましく、より好ましくは90以上、さらに好ましくは100以上であり、130以下が好ましく、より好ましくは120以下である。イソシアネートインデックスが100を超えるということは、イソシアネート基の量が水酸基の量より過剰であることを意味する。そして、このイソシアネートインデックスが100未満の場合には、発泡体が軟らかくなる傾向がある。
なお、イソシアネートインデックスとは、ポリイソシアネート成分が反応する水酸基と化学量論的に当量反応する場合に100となるように計算される、ポリオール成分(鎖延長剤成分含む)/イソシアネート成分の質量比率を表す指数であり、下記式にて表される。
イソシアネートインデックス={(実際のイソシアネート量)/(化学量論的に計算されたイソシアネート量)}×100
前記発泡剤はポリウレタンを発泡させる。前記発泡剤としては、ポリイソシアネート成分と反応して発泡剤としての炭酸ガスを発生する水;ポリウレタン生成時の反応熱で気化することにより発泡剤として機能する、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;ジクロロメタン、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ペンタフルオロエチルメチルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルメチルエーテル等のハロゲン系化合物;液化した二酸化炭素を高圧下で原料に混入させ発泡時に気化することにより発泡剤として機能する液化二酸化炭素等が挙げられる。
前記触媒はポリオール成分とポリイソシアネート成分とのウレタン化反応を促進する。前記触媒としては、N,N,N−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン類;オクチル酸スズ等の有機金属化合物;酢酸塩;アルカリ金属アルコラート等が用いられる。
前記ポリオール成分とポリイソシアネート成分とのウレタン化反応を行なう場合には、ワンショット法またはプレポリマー法等が採用される。ワンショット法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基または水酸基を有するプレポリマーを作製し、これに残りのポリオール成分またはポリイソシアネート成分を反応させる方法である。
前記ポリウレタン連続多孔質体は、スラブ成形により作製することが好ましい。スラブ成形は、ワンショット法により混合攪拌された反応原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、このベルトコンベアが移動する間に反応原料を常温、大気圧下で自然発泡させ、硬化させる。その後、乾燥炉内で硬化(キュア)させ、所定形状に裁断する。
発泡法によって、骨格を構成するポリウレタン自体が親水性を有すポリウレタン連続多孔質体を作製する方法としては、(I)ポリオール成分にポリアルキレンオキシドポリオールを配合する方法;(II)反応原料に、整泡剤としてアニオン系界面活性剤を配合する方法;(III)反応原料に、整泡剤として、ポリエーテル部分が、ポリオルガノシロキサン部分のSi原子から、1個のCH2基かまたは3個以上連続したCH2基を介して結合するポリオルガノシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体を配合する方法;(IV)反応原料に、一般式(1)で表されるアルコキシシランを配合する方法;等が挙げられる。
R1−O−[Si(OR2)2−O]m−R3 (1)
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ同一または異なって、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、2以上の整数を表す。)
前記(II)で使用するアニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;ラウリル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のスルホン酸塩;アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩;等が挙げられる。反応原料にアニオン系界面活性剤を配合することにより、得られるポリウレタン連続多孔質体の表面に、アニオン系界面活性剤が移行して親水性を示すようになる。
前記(III)で使用する整泡剤は、ポリオルガノシロキサン部分とポリエーテル部分およびそれらの結合部からなるポリオルガノシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体であって、ポリオルガノシロキサン部分のケイ素原子とポリエーテル部分の最初のエーテル酸素原子の間が、1個のCH2基か、または3個以上の連続したCH2基を介して結合しているポリオルガノシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体を用いる。なお、ここでブロック共重合体とは、ポリエーテル部分の一部または全部が、主鎖であるポリオルガノシロキサン部分に対して側鎖および必要に応じてさらに末端鎖を形成している、グラフト共重合体を包含する概念として用いられ、グラフト共重合体であることが好ましい。このような結合部としては、ケイ素原子およびポリエーテル部分の最初のエーテル酸素原子を含めて表すと、Si−CH2−O結合、Si−(CH2)3−O結合、Si−(CH2)4−O結合等が例示され、Si−(CH2)3−O−CH2−CH(OH)−CH2−O結合のように、最初のエーテル酸素原子の先にOH置換基が存在してもよい。
前記ポリオルガノシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体は、Si原子の量が、0.8〜9.5質量%であることが好ましい。Si原子の量が0.8質量%以上であれば、整泡効果が良好となり、9.5質量%以下であれば、水のポリウレタン連続多孔質体への濡れ性がより向上する。また、前記ポリオルガノシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体は、ポリエーテル鎖のEO/PO比(モル比)が1. 5以下であることが好ましい。EO/PO比が1.5以下であれば、通気性の高いポリウレタン連続多孔質体が得られ、高い透水速度が得られる。
前記(IV)で使用する一般式(1)で表されるアルコキシシランにおいて、R1、R2およびR3で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基のいずれでもよく、その炭素原子数は、1〜5が好ましく、より好ましくは1または2である。mは、3〜30が好ましく、より好ましくは4〜20である。前記(IV)で作製されたポリウレタン連続多孔質体は、製造後、水または水蒸気と接触させることが好ましい。
1.2.2.2 W/O型エマルション法
前記W/O型エマルション法は、W/O型エマルションを調製する工程と、得られたW/O型エマルションを賦形する工程と、賦形されたW/O型エマルションを重合する工程と、得られた含水重合体を脱水する工程とを有する。なお、得られたW/O型エマルションを賦形する工程と、賦形されたW/O型エマルションを重合する工程とは、一部を同時に行ってもよい。
前記W/O型エマルションを調製する工程では、水相成分と油相成分とを混合し、エマルション状態とする。エマルション状態とするための剪断手段としては、ホモジナイザー等を用いればよい。前記水相成分としては、イオン交換水等が挙げられる。水相成分には、炭酸ナトリウム等の水溶性の塩を添加してもよい。前記油相成分は、ポリウレタン、エチレン性不飽和モノマー、重合開始剤を含有する。前記ポリウレタンは、上述したポリオール成分、ポリイソシアネート成分、必要に応じて鎖延長剤成分を用いて作製できる。なお、前記ポリウレタンは、分子の末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有していてもよい。この場合、ポリウレタンの原料として、ヒドロキシエチルアクリレート等を配合すればよい。前記エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を示す。前記重合開始剤は、公知のものが使用できる。
前記W/O型エマルションを賦形する工程では、W/O型エマルションを所望とする形状に賦形する。賦形方法は、特に限定されず、例えば、走行するベルト上にW/O型エマルションを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状に賦形する方法が挙げられる。
賦形されたW/O型エマルションを重合する工程では、W/O型エマルションを重合して、含水重合体を得る。この工程では、使用する重合開始剤に応じて、適切な重合方法を採用すればよい。重合方法としては、例えば、加熱によって重合する方法、紫外線の照射によって重合する方法等が挙げられる。
前記W/O型エマルションを脱水する工程では、含水重合体から水相成分を除去する。水相成分を除去する方法としては、特に限定されず、真空乾燥、凍結乾燥、圧搾乾燥、熱オーブン内での乾燥等が挙げられる。
1.2.2.3 抽出法
前記抽出法は、ポリウレタンおよび細孔形成剤を混練する工程と、得られた混練組成物を成形する工程と、得られた成形体をから水系溶媒により細孔形成剤を抽出する工程とを有する。
前記ポリウレタンおよび細孔形成剤を混練する工程では、ポリウレタンと細孔形成剤とを混練し、混練組成物を調製する。前記ポリウレタンは、上述したポリオール成分、ポリイソシアネート成分、必要に応じて鎖延長剤成分を用いて作製できる。前記細孔形成剤は、水系溶媒により抽出でき、ポリウレタン内に細孔を形成し得るものであれば特に限定されない。前記細孔形成剤としては、水溶性無機塩、水溶性高分子材料が挙げられる。前記水溶性無機塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。水溶性高分子材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、水溶性ビニロン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(コーンスターチ、コムギ澱粉、ジャガイモ澱粉)等が挙げられる。
ポリウレタンおよび細孔形成剤を混練する方法としては、加熱溶融して混練する方法、溶剤を添加して混練する方法が挙げられる。前記溶剤としては、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤が挙げられる。
前記混練組成物を成形する工程では、上記で得た混練組成物を所望の形状に成形する。成形方法は特に限定されず、圧縮成形法、押出成形法、射出成形法等により成形される。成型後は、成形体を凝固させる。この際、加熱成形した場合は冷却により凝固させる。溶剤を添加して成形している場合には、溶剤を除去することで凝固させる。
前記成形体をから水系溶媒により細孔形成剤を抽出する工程では、水系溶媒を用いて細孔形成剤を抽出することにより、成形体内部に細孔を形成する。前記水系溶媒としては水、水溶性アルコール等が挙げられる。
1.2.2.4 熱圧縮成形
ポリウレタン連続多孔質体は、上述のような製造方法により作製した後、熱圧縮成型を施すことが好ましい。熱圧縮処理を施すことにより、ポリウレタン連続多孔質体の厚さ方向の透水性能、水平方向の拡散性を向上できる。
前記熱圧縮成形は、例えば、平板状のポリウレタン連続多孔質体について、側面を解放状態とし、厚み方向を均一に圧縮塑性変形させることにより行うことができる。前記熱圧縮成型の加熱温度(熱盤温度)は、170℃以上が好ましく、210℃以下が好ましく、より好ましくは190℃以下である。前記熱圧縮成形の成形時間は、1分間以上が好ましく、より好ましくは2分間以上、10分間以下が好ましく、より好ましくは6分間以下である。前記熱圧縮成形を施す場合、熱圧縮成形後のポリウレタン連続多孔質体の圧縮率(成形前の厚さ/成形後の厚さ)は、1.5以上が好ましく、より好ましくは2.0以上であり、7.5以下が好ましく、より好ましくは6.0以下である。
2 吸収体
前記吸収体は、体液を吸収し、保持する。前記吸収体は、少なくとも一層の吸水層から構成される。
2.1 吸水層
前記吸水層は、吸水性材料として、吸水性樹脂粉末を含有するものが好ましい。前記吸水性樹脂粉末としては、従来吸収性物品に使用されているものが使用できる。
2.1.1 吸水性樹脂粉末
前記吸水性樹脂粉末としては、(A)架橋重合体の表面が(B)表面改質剤で被覆されたものが好ましい。なお、前記(B)表面改質剤は、(A)架橋重合体の表面にのみ存在し、(A)架橋重合体の内部には存在しないことが好ましい。(A)架橋重合体の内部に(B)表面改質剤が存在しないことで、(A)架橋重合体の機械的強度が向上し、吸水性樹脂粉末の吸収性能を低下させることなく、荷重下通液速度を大きくすることができる。
2.1.1.1 (A)架橋重合体
まず、(A)架橋重合体について説明する。(A)前記架橋重合体は、(a1)親水性基含有モノマーと、(a2)内部架橋剤とを含有する単量体組成物の重合物が好ましい。
前記(a1)親水性基含有モノマーは、少なくとも1個の親水性基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを有する。前記(a1)親水性基含有モノマーは、エチレン性不飽和基を1個有するモノマーが好ましく、前記エチレン性不飽和基はビニル基が好ましい。
親水性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、スルホオキシ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、および、これらの塩が挙げられる。これらの中でも、親水性基としては、カルボキシル基の塩、スルホ基の塩が好ましい。前記塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩が挙げられる。アンモニウム塩は、第1級〜第3級アミンの塩または第4級アンモニウム塩のいずれであってもよい。これらの塩のうち、吸収特性の観点から、アルカリ金属塩およびアンモニウム塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
カルボキシル基および/またはその塩を有する(a1−1)モノマーとしては、1個のエチレン性不飽和基を有する炭素数3〜30の不飽和カルボン酸および/またはその塩が挙げられる。モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸および/またはその塩;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸および/またはその塩;マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸グリコールモノエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステルおよび/またはその塩等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味する。
スルホ基および/またはその塩を有する(a1−1)モノマーとしては、1個のエチレン性不飽和基を有する炭素数2〜30のスルホン酸および/またはその塩が好ましい。モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等の脂肪族ビニルスルホン酸;スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族ビニルスルホン酸;(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリロイル含有アルキルスルホン酸;アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル等が挙げられる。
スルホオキシ基および/またはその塩を有する(a1−1)モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの硫酸エステル;ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル等が挙げられる。
ホスホノ基および/またはその塩を有する(a1−1)モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸モノエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸ジエステル、および、(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸等が挙げられる。
水酸基を有する(a1−1)モノマーとしては、(メタ)アリルアルコール、および、(メタ)プロペニルアルコール等の炭素数3〜15のモノエチレン性不飽和アルコール;炭素数2〜20のアルキレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(重量平均分子量100〜2000)等の2〜6価のポリオールのモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはモノエチレン性不飽和エーテル等が挙げられる。モノマーの具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン−オキシプロピレンモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
カルバモイル基を有する(a1−1)モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド等のN−アルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−またはi−プロピルアクリルアミド等のN,N−ジアルキル(アルキルの炭素数1〜8)アクリルアミド;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。アミドからなる基を有する不飽和モノマーとしては、これらの他に、炭素数5〜10のビニルラクタム(N−ビニルピロリドン等)等も使用できる。
アミノ基を有する(a1−1)モノマーとしては、モノエチレン性不飽和モノ−またはジ−カルボン酸のアミノ基含有エステルおよびモノエチレン性不飽和モノ−またはジ−カルボン酸のアミノ基含有アミド等が挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−またはジ−カルボン酸のアミノ基含有エステルとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノアルキルエステルおよびモルホリノアルキルエステル等が使用でき、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、 ジメチルアミノエチルフマレートおよびジメチルアミノエチルマレート等が挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−またはジ−カルボン酸のアミノ基含有アミドとしては、モノアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。アミノ基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、これらの他に、4−ビニルピリジンおよび2−ビニルピリジン等のビニルピリジンも使用できる。
前記(a1)親水性基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、少なくとも1個の親水性置換基と1個のアクリロイル基またはメタクリロイル基とを有するモノマー、および、これらの塩が好ましい。
前記(a1)親水性基含有モノマーには、(a1−1)加水分解により親水性基含有モノマー(以下、「(a1−1)加水分解性モノマー」と称する場合がある。)となるモノマーも含まれる。
前記(a1−1)加水分解性モノマーは、50℃の水、必要により触媒(酸または塩基等)の作用により、加水分解されて、(a1)親水性基含有モノマーを生成する。前記(a1−1)加水分解性モノマーの加水分解は、(A)架橋重合体の重合中、重合後、および、これらの両方のいずれでもよいが、得られる吸水性樹脂粉末の分子量の観点等から重合後が好ましい。
前記(a1−1)加水分解性モノマーは、加水分解により親水性基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有する。前記加水分解性置換基としては、酸無水物を含む基、エステル結合を含む基、シアノ基等が挙げられる。
酸無水物を含む基を有するモノマーとしては、炭素数4〜20の不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられ、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。エステル結合を含む基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸エチル等のモノエチレン性不飽和カルボン酸の低級アルキルエステル;および、酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリル等のモノエチレン性不飽和アルコールのエステルが挙げられる。シアノ基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、および、5−ヘキセンニトリル等の炭素数3〜6のビニル基含有のニトリル化合物が挙げられる。
(A)架橋重合体を構成するモノマーとしては、(a1)親水性基含有モノマーの他に、これらと共重合可能な他のビニルモノマーを用いることができる。前記他のビニルモノマーとしては、非架橋性の疎水性ビニルモノマー等が使用できるが、これらに限定されない。前記他のビニルモノマーを用いる場合、他のビニルモノマーの含有量(モル%)は、(a1)親水性基含有モノマー100モル%に対して、0.01モル%〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.05モル%〜3モル%である。なお、吸収特性の観点から、他のビニルモノマーの含有量は、0モル%であることが最も好ましい。
前記(a2)内部架橋剤としては、(a2−1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤;(a2−2)親水性基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する内部架橋剤;(a2−3)親水性基と反応し得る官能基を2個以上有する内部架橋剤が挙げられる。
前記(a2−1)内部架橋剤としては、炭素数8〜12のビス(メタ)アクリルアミド、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜10のポリアリルアミンおよび炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。これらの具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(重合度2〜5)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジまたはトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルおよびジグリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(a2−2)内部架橋剤としては、炭素数6〜8のエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、炭素数4〜8の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物および炭素数4〜8のイソシアナト基を有するエチレン性不飽和化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびイソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(a2−3)内部架橋剤としては、多価アルコール、多価グリシジル、多価アミン、多価アジリジンおよび多価イソシアネート等を挙げることができる。多価グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびグリセリンジグリシジルエーテル等が挙げられる。多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンおよびポリエチレンイミン等が挙げられる。多価アジリジン化合物としては、日本触媒化学工業社製のケミタイトPZ−33{2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス(3−(1−アジリジニル)プロピネート)}、ケミタイトHZ−22{1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア}およびケミタイトDZ−22{ジフェニルメタン−ビス−4、4’−N、N’−ジエチレンウレア}等が挙げられる。多価イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの内部架橋剤は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
(a2)内部架橋剤としては、吸収性能(特に吸収量および吸収速度等)等の観点から、(a2−1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルがより好ましく、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタンまたはペンタエリスリトールトリアリルエーテルがさらに好ましく、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが最も好ましい。
(b)内部架橋剤の含有量(モル%)は、(a1)親水性基含有モノマー100モル%に対して、0.001モル%〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.005モル%〜3モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%〜1モル%である。この範囲であると、吸収性能(特に吸収量および吸収速度等)がさらに良好となる。
(A)架橋重合体の重合形態としては、従来から知られている方法等が使用でき、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法が適応できる。また、重合時の重合液の形状として、薄膜状および噴霧状等であってもよい。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法および等温重合法等が適用できる。重合方法として懸濁重合法または逆相懸濁重合法を適用する場合、必要に応じて、ショ糖エステル、リン酸エステルおよびソルビタンエステル等の従来公知の分散剤、および、ポバール、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体および酸化ポリエチレン等の保護コロイド等を使用できる。また、逆相懸濁重合法の場合、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、トルエンおよびキシレン等の溶媒を使用して重合を行うことができる。重合方法としては、溶液重合法が好ましく、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、水溶液重合法がより好ましい。
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、100μm〜2cmがより好ましく、1mm〜1cmがさらに好ましい。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。細断は、公知の方法で行うことができ、例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機およびロール式粉砕機等の従来の細断装置を使用して細断できる。
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有率(質量%)は、架橋重合体の質量(100質量%)に対して、10質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下である。有機溶媒の含有率が、前記範囲内であると、吸水性樹脂粉末の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。溶媒に水を含む場合、留去後の水分(質量%)は、架橋重合体の質量(100質量%)に対して、0質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%である。水分(質量%)が、前記範囲内であると、吸収性能および乾燥後の吸水性樹脂粉末の壊れ性がさらに良好となる。
なお、有機溶媒の含有率および水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の質量減量から求められる。溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80℃〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100℃〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーションおよび濾過等が適用できる。
(A)架橋重合体は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定されず、例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機およびシェット気流式粉砕機等の通常の粉砕装置が使用できる。粉砕された(A)架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。必要によりふるい分けした場合の(A)架橋重合体の重量平均粒子径(μm)は、100μm〜800μmが好ましく、より好ましくは200μm〜700μm、さらに好ましくは250μm〜600μm、特に好ましくは300μm〜500μm、最も好ましくは350μm〜450μmである。(A)架橋重合体の重量平均粒子径(μm)が、前記範囲内であれば、吸収性能がさらに良好となる。
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機および標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μmおよび45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるいおよび受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3質量%以下が好ましく、さらに好ましくは1質量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
(A)架橋重合体は、1種でもよく、2種以上の混合物であってもよい。
前記(A)架橋重合体は必要に応じて表面架橋を行うことができる。表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、(a2)内部架橋剤と同じものが使用できる。表面架橋剤としては、吸水性樹脂粉末の吸収性能等の観点から、(a2−3)内部架橋剤が好ましく、より好ましくは多価グリシジル、さらに好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
表面架橋する場合、表面架橋剤の使用量は、(A)架橋重合体100質量部に対して、0.001質量部〜7質量部が好ましく、より好ましくは0.003質量部〜4質量部である。表面架橋剤の使用量が、前記範囲内であれば、さらに吸収性能が良好となる。表面架橋は表面架橋剤を含む水溶液を(A)架橋重合体に噴霧または含浸させた後、加熱処理(100〜200℃)する方法等により達成できる。
2.1.1.2 (B)表面改質剤
(B)表面改質剤としては、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、アンモニウム明礬、ナトリウム明礬、(ポリ)塩化アルミニウム、これらの水和物等の多価金属化合物;ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリカチオン化合物;無機微粒子;(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤;(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤;および、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤等が挙げられる。
前記無機微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、および、酸化ジルコニウム等の酸化物、炭化珪素および炭化アルミニウム等の炭化物、窒化チタンのような窒化物、および、これらの複合体(例えば、ゼオライトおよびタルク等)等が挙げられる。これらのうち、酸化物が好ましく、さらに好ましくは酸化ケイ素である。
無機微粒子の体積平均粒子径は、10nm〜5000nmが好ましく、より好ましくは30nm〜1000nm、さらに好ましくは50nm〜750nm、最も好ましくは90nm〜500nmである。なお、体積平均粒子経は、動的光散乱法により、溶媒中で測定される。具体的には、日機装株式会社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(光源:He−Neレーザー)を用いて、溶媒シクロヘキサン中で、25℃の温度で測定される。前記無機微粒子の比表面積は、20m2/g〜400m2/gが好ましく、より好ましくは30m2/g〜350m2/g、さらに好ましくは40m2/g〜300m2/gである。比表面積がこの範囲内であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、比表面積は、JIS Z8830:2001(窒素、容量法、多点法)に準拠して測定される。
(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸およびその塩、長鎖脂肪族アルコール、並びにこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンおよびイソプレン等の炭素数2〜4のオレフィンを重合してなる重量平均分子量1000〜100万の重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−イソブチレン)およびイソプレン等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂誘導体としては、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびエチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等が挙げられる。
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000〜100万の重合体等が使用できる。ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体が好ましい。スチレンの含有率は、ポリスチレン誘導体100質量%中、少なくとも50質量%であることが好ましい。ポリスチレン樹脂誘導体の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、および、スチレン−イソブチレン共重合体等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルバナワックスおよび牛脂等の融点50℃〜200℃のワックスが挙げられる。長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステルが好ましい。長鎖脂肪酸エステルとしては、吸収性物品の耐漏れ性の観点から、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステルが好ましく、さらに好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステルおよびショ糖ステアリン酸ジエステルである。長鎖脂肪酸およびその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸およびその塩が好ましく、吸収性物品の耐漏れ性の観点から、長鎖脂肪酸およびその塩としては、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Alが好ましく、ステアリン酸Mgがより好ましい。
長鎖脂肪族アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数8〜30の脂肪族アルコールが挙げられる。吸収性物品の耐漏れ性の観点から、長鎖脂肪族アルコールとしては、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸またはその塩、パーフルオロアルキルアルコール、および、これらの2種以上の混合物等が含まれる。パーフルオロアルカンとしては、例えば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ヘプタフルオロブタン、ノナフルオロヘキサン、トリデカフルオロオクタン、および、ヘプタデカフルオロドデカン等が挙げられる。パーフルオロアルケンとしては、例えば、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、ヘプタフルオロブテン、ノナフルオロヘキセン、トリデカフルオロオクテン、および、ヘプタデカフルオロドデセン等が挙げられる。パーフルオロアリールとしては、例えば、トリフルオロベンゼン、ペンタフルオロトルエン、トリフルオロナフタレン、ヘプタフルオロベンゼン、ノナフルオロキシレン、トリデカフルオロオクチルベンゼン、および、ヘプタデカフルオロドデシルベンゼン等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテルとしては、ジトリフルオロメチルエーテル、ジペンタフルオロエチルエーテル、ジペンタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロブチルエーテル、ジノナフルオロヘキシルエーテル、ジトリデカフルオロオクチルエーテル、および、ジヘプタデカフルオロドデシルエーテル等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸またはその塩としては、例えば、ペンタフルオロエタン酸、ペンタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロブタン酸、ノナフルオロヘキサン酸、トリデカフルオロオクタン酸、ヘプタデカフルオロドデカン酸、または、これらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、アルカリ金属塩、または、アルカリ土類金属塩が好ましい。パーフルオロアルキルアルコールとしては、例えば、ペンタフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロブタノール、ノナフルオロヘキサノール、トリデカフルオロオクタノール、および、ヘプタデカフルオロドデカノール等、並びに、これらのアルコールのエチレンオキサイド(アルコール1モルに対して1〜20モル)付加体等が挙げられる。
これらの2種以上の混合物としては、パーフルオロアルキルカルボン酸とパーフルオロアルキルアルコールとの混合物が挙げられ、例えば、ペンタフルオロエタン酸とペンタフルオロエタノールとの混合物が好ましい。
(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤としては、ポリジメチルシロキサン;ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等のポリエーテル変性ポリシロキサン;カルボキシ変性ポリシロキサン;エポキシ変性ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン;アルコキシ変性ポリシロキサン、および、これらの混合物等が挙げられる。
ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサンおよびアミノ変性ポリシロキサン等の変性シリコーンの有機基(変性基)の位置は、特に限定されないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点から、ポリシロキサンの側鎖およびポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン鎖またはポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖を含有する基が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン単位および/またはオキシプロピレン単位の個数は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2個〜40個が好ましく、5個〜30個がより好ましく、7個〜20個がさらに好ましく、10個〜15個が最も好ましい。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基およびオキシプロキレン基の含有率(質量%)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン100質量%中、1質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜25質量%がより好ましく、5質量%〜20質量%がさらに好ましい。オキシエチレン基およびオキシプロキレン基の含有率が前記範囲内であれば、吸収特性がさらに良好となる。
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量またはアミノ当量として、200〜11000が好ましく、より好ましくは600〜8000、さらに好ましくは1000〜4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101(1999)の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236(2001)に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501(2003)の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、およびポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
(B)表面改質剤としては、吸収特性の観点から、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤、および、無機微粒子が好ましく、アミノ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、および、シリカがより好ましい。
(A)架橋重合体を(B)表面改質剤で処理する方法としては、(B)表面改質剤が(A)架橋重合体の表面に存在するように処理する方法であれば、特に限定されない。しかし、(B)表面改質剤は、(A)架橋重合体の含水ゲルまたは(A)架橋重合体を重合する前の重合液ではなく、(A)架橋重合体の乾燥体と混合されることが表面の(B)表面改質剤の量をコントロールする観点から好ましい。なお、混合は、均一に行うことが好ましい。
吸水性樹脂粉末の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状および米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。前記吸水性樹脂粉末には、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末および有機質繊維状物等の添加剤を含むことができる。
2.1.1.3 物性
前記吸水性樹脂粉末は、下記(a)〜(d)の要件を満足することが好ましい。
(a)嵩密度:0.50g/ml〜0.70g/ml
(b)ボルテックス法による吸収速度:25秒〜75秒
(c)荷重下通液速度:40秒以下
(d)吸湿ブロッキング率:5%以下
上記(a)〜(d)の要件を満足する吸水性樹脂粉末は、ゲルブロッキングが発生しにくく、かつ、荷重下通液速度が大きいため、体液を直ちに吸水層内へと取込むことができる。前記セカンドシートは透水性能に優れているため、吸収体の吸収速度が遅い場合、体液がセカンドシート内で滞留してしまうおそれがある。しかし、吸収体が上記(a)〜(d)の要件を満足する吸水性樹脂粉末を含有すれば、吸収体に到達した体液を直ちに吸水層内に取り込めるため、吸収性物品の吸収速度が一層向上する。
前記吸水性樹脂粉末は、(a)嵩密度が0.50g/ml以上が好ましく、より好ましくは0.51g/ml以上、さらに好ましくは0.52g/ml以上であり、0.70g/ml以下が好ましく、より好ましくは、0.68g/ml以下、さらに好ましくは0.65g/ml以下である。前記嵩密度は、吸水性樹脂粉末の形状の指標となる。嵩密度が前記範囲内であれば、吸水性樹脂粉末の間に体液の通路としての空隙ができやすくなる。その結果、吸収速度、繰り返し吸収速度が良好になる。嵩密度の測定方法については、後述する。
前記吸水性樹脂粉末は、(b)ボルテックス法による吸収速度が、25秒以上が好ましく、より好ましくは27秒以上、さらに好ましくは30秒以上であり、75秒以下が好ましく、より好ましくは70秒以下、さらに好ましくは65秒以下である。ボルテックス法による吸収速度は、体液を吸収する時間(秒)を測定することで評価している。そのため、測定時間(秒)が短いほど、吸収速度が大きい。前記吸収速度が、25秒以上であれば、吸水性樹脂粉末の尿に対する安定性、特に、荷重下安定性がより良好となる。また、前記吸収速度が75秒以下であれば、体液の排泄速度が高く、一度に多量の体液が排泄されたときであっても、体液の吸収を十分に行うことができる。その結果、液漏れの発生がより抑制される。
前記吸水性樹脂粉末は、(c)荷重下通液速度が40秒以下であることが好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは20秒以下である。前記荷重下通液速度は、予め吸水させて膨潤した吸水性樹脂粉末に荷重を架けた状態で、一定量の液体が通過する時間(秒)を測定することで評価している。そのため、測定時間(秒)が短いほど、吸収速度が大きい。前記荷重下通液速度が40秒以下であれば、吸収体内部で、体液の拡散障害が起こることが抑制される。そのため、液漏れの発生がより抑制される。
前記吸水性樹脂粉末は、(d)吸湿ブロッキング率が5%以下であることが好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。前記吸湿ブロッキング率が5%以下であれば、吸水性樹脂粉末が凝集しにくくなる。そのため、排泄された体液の逆戻りの発生がより抑制される。
前記吸水性樹脂粉末は、(e)吸収倍率が、40g/g以上であることが好ましく、より好ましくは42g/g以上、さらに好ましくは44g/g以上であり、55g/g以下であることが好ましく、より好ましくは53g/g以下、さらに好ましくは51g/g以下である。前記吸収倍率は、吸水性樹脂粉末がどの程度の量を吸水できるかを示す尺度である。前記吸収倍率が40g/g以上であれば、所望する吸収容量を達成するために必要となる吸水性樹脂粉末の使用量を低減できるため、吸収体を薄型化できる。前記吸収倍率が55g/g以下であれば、吸水性樹脂粉末の尿に対する安定性がより向上する。
前記吸水性樹脂粉末は、(f)保水量が、20g/g以上が好ましく、より好ましくは22g/g以上、さらに好ましくは24g/g以上であり、45g/g以下が好ましく、より好ましくは43g/g以下、さらに好ましくは40g/g以下である。保水量は、吸水性樹脂粉末が吸収した液をどの程度保持できるかを示す尺度である。前記保水量が20g/g以上であれば、所望する保持容量を達成するために必要となる吸水性樹脂粉末の使用量を低減できるため、吸収体を薄型化できる。前記保水量が、45g/g以下であれば、吸水性樹脂粉末の尿に対する安定性がより向上する。
吸水性樹脂粉末の嵩密度、ボルテックス法による吸収速度、荷重下通液速度、吸収倍率、保水量は、例えば、架橋重合体の組成、表面改質剤の種類、吸水性樹脂粉末の粒度、乾燥条件等を適宜選択することにより調節することができる。
2.1.2 繊維基材
前記吸水層は、繊維基材を含有することが好ましい。繊維基材を含有することで、吸水層の保形性が高くなり、また、繊維基材により体液の通り道が確保され、吸収速度がより向上する。繊維基材としては、吸水性繊維、熱融着性繊維が挙げられる。前記吸水性繊維としては、例えば、パルプ繊維、セルロース繊維、レーヨン、アセテート繊維が挙げられる。前記熱融着繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維や複合繊維等が用いられる。
前記吸水層が繊維基材を含有する場合、吸水層中の吸水性樹脂粉末の含有率は、60質量%以上が好ましく、より好ましくは62質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上である。また、吸水層中の繊維基材の含有率は、20質量%以下が好ましく、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは16質量%以下である。
前記吸水層が、吸水性樹脂粉末と繊維基材とを含有する場合、前記吸水層のセカンドシート側面における吸水性樹脂粉末の含有率が、前記吸水層のバックシート側面における吸水性樹脂粉末の含有率よりも高くなっていることが好ましい。吸水層のセカンドシート側面の吸水性樹脂粉末の含有率を多くすることで、吸水層からセカンドシートへと体液が逆流することを抑制できる。なお、吸水層のセカンドシート側面における吸水性樹脂粉末の含有率が、前記吸水層のバックシート側面における吸水性樹脂粉末の含有率よりも高くなっていることは、吸水性を目視または顕微鏡で観察し、吸水性樹脂粉末の個数を計測することで確認できる。
2.2 基材
前記吸収体は、吸水層のみから形成されていてもよいし、基材を有していてもよい。前記基材としては、ティッシュペーパー等の紙シート、透液性の不織布シート等が挙げられる。前記基材を有する吸収体としては、基材に吸水性材料が固定されている態様、吸水性材料を基材で包み、所望とする形状に成形した態様が挙げられる。
3 トップシート
前記トップシートは、吸収性物品の最も着用者側に配置されるものであり、着用者の体液を速やかに捕捉して吸収体へと移動させる。前記トップシートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布が使用できる。トップシートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシートとして、表面を界面活性剤により親水化処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
4 バックシート
バックシートは、吸収性物品の最も外面側に配置されるものであり、体液等が外部に漏れ出すことを防止する。バックシートに使用される不透液性シートとしては、例えば、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、不透液性シートに到達した体液が、吸収性物品の外側にしみ出すのを防止する。不透液性シートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。また、さらなる拡散性付与、形状安定性のために、プラスチックフィルムと、吸収体との間に紙シートを配置してもよい。
5 吸収性物品の構造
前記吸収性物品は、透液性のトップシートと、前記トップシートの外面側に配置されたセカンドシートと、前記セカンドシートの外面側に配置された吸収体と、前記吸収体の外面側に配置された不透液性のバックシートとを有する。
5.1 セカンドシート
前記セカンドシートの平面視形状は、特に限定されず、例えば、長方形型、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。前記セカンドシートの平面視形状は、トップシートの平面視形状と同一でもよいが、トップシートの平面視形状よりも小さいことが好ましい。セカンドシートの面積は、トップシートの面積を100%とした時、20%以上が好ましく、より好ましくは30%以上であり、80%以下が好ましく、より好ましくは70%以下である。前記セカンドシートは、吸収性物品の長さ方向に沿って配置されていることが好ましい。
前記セカンドシートは、その少なくとも一部がトップシートと接するように配置されることが好ましい。前記セカンドシートをトップシートに接触させることで、トップシートに取り込まれた体液をより素早くセカンドシートに移行させることができ、吸収速度がより向上する。
前記セカンドシートは、接着剤によりトップシートと接合されていることが好ましい。前記接着剤としては、ホットメルト接着剤が挙げられ、ゴム系ホットメルト接着剤が好ましい。トップシートとセカンドシートとの間に接着剤を配置する場合、前記接着剤の配置態様は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調節すればよい。接着剤の配置態様としては、筋状、ドット状、格子状、スパイラル状等が挙げられる。前記接着剤は、吸収性物品の長手方向に連続的であり、吸収性物品の幅方向に断続的に配置することが好ましい。具体的には、吸収性物品の長手方向に延びる筋状(幅0.8mm〜1.2mm、間隔2.0mm〜4.0mm)に配置することが好ましい。このように接着剤を配置することで、トップシートを透過した体液が、接着剤に沿って長手方向に拡散しながらセカンドシートに吸収される。そのため、体液の吸収性物品の幅方向への拡散を抑えることができ、横漏れの発生をより抑制できる。
前記セカンドシートは、少なくともトップシートの幅方向両端領域の下方(バックシート側)に配置されていることが好ましい。トップシートの幅方向両端領域の下方にセカンドシートを配置することで、トップシート上を平面方向に拡散し、幅方向端部近傍に至った体液を、速やかにセカンドシートで吸収し、吸収体へと移行させることができる。そのため、体液の横漏れの発生をより抑制できる。前記トップシートの幅方向両端領域とは、トップシートの幅方向長さを100%とした時、幅方向端部からの距離が0%〜30%の範囲である。前記セカンドシートは、トップシートの幅方向両端領域において、吸収性物品の長手方向に連続に配置されていることが好ましい。この場合、セカンドシートの長手方向の長さは、トップシートの長手方向の長さを100%とした時、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、100%以下が好ましい。
前記セカンドシートは、幅方向中央部の少なくとも一部に開口を有していることが好ましい。幅方向中央部に開口を有することで、トップシート上に排泄された体液が平面方向に拡散する前に、体液排出部付近で急速に吸収され、この付近における吸水性樹脂粉末のゲルブロッキング現象がより抑制される。ゲルブロッキング現象とは、トップシート側の吸水性樹脂粉末が体液を吸収して膨潤すると、体液の通路としての空隙が閉塞し、吸収体が所定の吸水能力を発揮できなくなる現象である。前記開口の幅は、この開口が存在する部分の吸収性物品の幅方向長さを100%とした時、10%以上が好ましく、より好ましくは20%以上であり、60%以下が好ましく、より好ましくは50%以下である。前記開口の長さは、この開口が存在する部分のセカンドシートの長手方向の長さを100%とした時、50%以上が好ましく、より好ましくは60%である。なお、2つのセカンドシートを幅方向に離間して配置し、吸収性物品の幅方向中央部にセカンドシートが配置されていない領域を設けてもよい。
前記セカンドシートは、その少なくとも一部が、吸収体の吸水層に直接接触していることが好ましい。このような構成とすることで、セカンドシートから、吸水層中の吸水性樹脂粉末に体液を移行しやすくなる。
5.2 吸収体
前記吸収体および吸水層の平面視形状は、特に限定されず、例えば、長方形型、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。前記吸収体は、1つでもよいし、2以上を配置してもよい。この場合、それぞれの吸収体の平面視形状は同一でもよいし、異なっていてもよい。
前記セカンドシートの平面視形状の全面にわたり、下方(バックシート側)に吸水層が配置されていることが好ましい。このように配置することで、セカンドシートを透過した体液が直ちに吸収体に吸収されるようになり、体液の漏れがより抑制される。なお、吸収体を2以上配置する場合、平面視において、少なくとも1つの吸収体の吸水層がセカンドシートの下方に存在すればよい。
前記吸収体を厚さ方向に複数配置する場合、最も上方(トップシート側)に配置される吸収体の吸水層は、幅方向中央部の少なくとも一部に開口を有していることが好ましい。幅方向中央部に開口を有することで、セカンドシートを透過した体液が、この開口を通して、さらに下層の吸収体へと直ちに移行する。よって、吸収性物品の吸収速度が一層向上する。前記開口の幅は、この開口が存在する部分の吸水層の幅方向の長さを100%とした時、1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上であり、30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下である。前記開口の長さは、この開口が存在する部分の吸水層の長手方向の長さを100%とした時、30%以上が好ましく、より好ましくは40%であり、80%以下が好ましく、より好ましくは70%以下である。
6 具体例
次に、吸収性物品の具体的な適用例について説明する。前記吸収性物品としては、例えば、失禁パッド、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品が挙げられる。
前記吸収性物品が、失禁パッド、生理用ナプキンである場合、これらは、例えば、トップシートとバックシートとの間に、セカンドシートおよび吸収体が配置される。失禁パッド、生理用ナプキンの形状としては、略長方形、砂時計型、ひょうたん型等が挙げられる。
前記吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつとしては、例えば、後背部または前腹部の左右に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ型に形成するテープ型使い捨ておむつ;前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつ;等が挙げられる。
吸収性物品が、使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、内側シートと外側シートとからなる積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるおむつ本体を形成し、前記股部において、トップシートとバックシートとの間にセカンドシートおよび吸収体が配置されていてもよい。また、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートとの間に、セカンドシートおよび吸収体が配置された積層体からなり、この積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有していてもよい。なお、前腹部、後背部、股部とは、使い捨ておむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の尻側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。前記内側シートは、親水性または撥水性であることが好ましく、前記外側シートは、撥水性であることが好ましい。
前記吸収性物品には、吸収体の両側縁部に沿って、立ち上がりフラップが設けられていることが好ましい。立ち上がりフラップは、例えば、吸収体の上面の幅方向両側縁部に設けられてもよく、吸収体の幅方向両外側に設けられてもよい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。前記立ち上がりフラップおよびサイドシートは、撥水性であることが好ましい。
次に、前記吸収性物品の実施態様の例を、失禁パッドを例に挙げ、図1〜10を参照して説明する。図1は、実施態様1の失禁パッドの平面図を表す。図2は、図1の失禁パッドのV−V断面図を表す。図3は、実施態様1の失禁パッドの接着剤の配置態様を示す平面図を表す。図4は、実施態様2の失禁パッドの平面図を表す。図5は、図4の失禁パッドのV−V断面図を表す。図6は、実施態様3の失禁パッドの平面図を表す。図7は、図6の失禁パッドのV−V断面図を表す。図8は、実施態様3の失禁パッドの接着剤の配置態様を示す平面図を表す。図9は、実施態様4の失禁パッドの平面図を表す。図10は、図9の失禁パッドのV−V断面図を表す。なお、図では、矢印Bが幅方向を、矢印Aが長手方向を示す。矢印A,Bにより形成される面上の方向が、平面方向である。また、図3および図8では、トップシート2、バックシート3、セカンドシート4および接着剤9のみを図示している。
実施態様1
図1、2に示した実施態様1の失禁パッド(吸収性物品)1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配置されたセカンドシート4、吸収体5を有している。
前記失禁パッド1では、矩形状のセカンドシート4が、失禁パッドの長手方向に平行に配置されている。また、前記セカンドシート4は、トップシート1の幅方向両端領域において、失禁パッド1の長手方向に連続に配置されている。前記セカンドシート4は、前記トップシート1と接着剤により接合されている。前記セカンドシート4と前記トップシート1との間に配置された接着剤9は、図3に示すように、失禁パッドの長手方向に延びる筋状に配置されている。また、前記セカンドシート4は、接着剤9が配置されていない部分において、前記トップシート1と直接接触している。
前記実施態様1の失禁パッド1は、吸収体として、吸収体5を有する。前記吸収体5は、第1基材52と第2基材53と、これらの間に配置された吸水層51から構成されている。前記吸水層51の平面視形状は、前記セカンドシート4の平面視形状よりも大きくなっている。よって、前記セカンドシート4の平面視形状の全面にわたり、バックシート側に吸水層が配置されている。
図1、2では、吸収体として、平面視形状がひょうたん型の吸収体5を配置した例を図示しているが、吸収体の構成はこれに限られるものではない。図1、2では、吸収体5が第1基材52と第2基材53と、これらの間に配置された吸水層51から構成されているが、第2基材53を配置せず、セカンドシート4と吸水層51とを直接接触させてもよい。
トップシート2の幅方向Bの両側縁には、失禁パッド1の長手方向Aに延在するサイドシート7が接合している。サイドシート7は、液不透過性のプラスチックフィルムや撥水性不織布等により構成される。サイドシート7には、失禁パッド1の幅方向内方端に起立用弾性部材8が設けられている。失禁パッド1の使用時には、起立用弾性部材8の収縮力によりサイドシート7の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより尿等の排泄物の横漏れが防止される。
実施態様2
図4、5に示した実施態様2は、前記実施態様1と吸収体の構成が異なる。なお、トップシート2、セカンドシート4、バックシート3、サイドシート7、起立用弾性部材8および接着剤9については、前記実施態様1と同様であるため、説明を省略する。実施態様2の失禁パッド(吸収性物品)1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配置されたセカンドシート4、第1吸収体5および第2吸収体6を有している。
前記失禁パッド1は、吸収体として、第1吸収体5と、この第1吸収体5のバックシート側に配置された第2吸収体6を有する。前記第1吸収体5は、第1基材52と第2基材53と、これらの間に配置された吸水層51から構成されている。前記吸水層51は、幅方向中央部に開口5aを有する。前記第2吸収体6は、吸水層61とこの吸水層61を包む基材62から構成されている。前記吸水層61は、吸水性樹脂粉末と繊維基材とを含有し、前記吸水層61のセカンドシート側面における吸水性樹脂粉末の含有率が、バックシート側面における吸水性樹脂粉末の含有率よりも高くなっている。また、前記第1吸収体5の吸水層51の開口5aの下方には、第2吸収体6の吸水層61が配置されている。よって、前記セカンドシート4の平面視形状の全面にわたり、バックシート側に吸水層が配置されている。
図4、5では、吸収体として、平面視形状がひょうたん型の第1吸収体5と平面視形状が矩形状の第2吸収体6の2つの吸収体を配置した例を図示しているが、吸収体の構成はこれに限られるものではない。また、図4、5では、第1吸収体5が開口5aを有しているが、開口を有しなくてもよい。また、図4、5では、第1吸収体5が第1基材52と第2基材53と、これらの間に配置された吸水層51から構成されているが、第1基材52を配置せず、セカンドシート4と吸水層51とを直接接触させてもよい。
実施態様3
図6、7に示した実施態様3は、前記実施態様2とセカンドシートの構成が異なる。なお、トップシート2、バックシート3、第1吸収体5、第2吸収体6、サイドシート7および起立用弾性部材8については、前記実施態様2と同様であるため、説明を省略する。実施態様3の失禁パッド(吸収性物品)1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配置されたセカンドシート4、第1吸収体5および第2吸収体6を有している。
前記失禁パッド1では、2つのセカンドシート4が、失禁パッド1の幅方向に離間して配置されており、失禁パッド1の幅方向中央部にはセカンドシートが配置されていない。そして、このセカンドシートが配置されていない領域が、セカンドシート4の開口となる。また、前記セカンドシート4は、トップシート1の幅方向両端領域において、失禁パッド1の長手方向に連続に配置されている。前記セカンドシート4は、前記トップシート1と接着剤により接合されている。前記セカンドシート4と前記トップシート1との間に配置された接着剤9は、図8に示すように、吸収性物品の長手方向に延びる筋状に配置されている。また、前記セカンドシート4は、接着剤9が配置されていない部分において、前記トップシート1と直接接触している。
図6、7では、吸収体として、平面視形状がひょうたん型の第1吸収体5と平面視形状が矩形状の第2吸収体6の2つの吸収体を配置した例を図示しているが、吸収体の構成はこれに限られるものではない。また、図6、7では、第1吸収体5が開口5aを有しているが、開口を有しなくてもよい。
実施態様4
図9、10に示した実施態様4は、前記実施態様3と吸収体の構成が異なる。なお、トップシート2、バックシート3、セカンドシート4、第2吸収体6、サイドシート7、起立用弾性部材8および接着剤9については、前記実施態様3と同様であるため、説明を省略する。実施態様4の失禁パッド(吸収性物品)1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配置されたセカンドシート4、第1吸収体5および第2吸収体6を有している。
前記失禁パッド1は、吸収体として、第1吸収体5と、この第1吸収体5のバックシート側に配置された第2吸収体6を有する。前記第1吸収体5は、第1基材52と、この第1基材52に固定された吸水層51から構成されている。そして、前記セカンドシート4は、第1吸収体5の吸水性51に直接接触するように配置されている。また、前記吸水層51は、幅方向中央部に開口5aを有する。前記第1吸収体5の吸水層51の開口5aの下方には、第2吸収体6の吸水層61が配置されている。よって、前記セカンドシート4の平面視形状の全面にわたり、バックシート側に吸水層が配置されている。
図9、10では、吸収体として、平面視形状がひょうたん型の第1吸収体5と平面視形状が矩形状の第2吸収体6の2つの吸収体を配置した例を図示しているが、吸収体の構成はこれに限られるものではない。図9、10では、第1吸収体5が開口5aを有しているが、開口を有しなくてもよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(透水速度)
セカンドシートから5cmの高さ位置から、イオン交換水(0.5mL)を滴下した。水滴がセカンドシート上面に落下した時点から水滴がセカンドシート上面から消失するまでの時間を測定し、透湿速度を算出した。
(嵩密度)
JIS K6219−2(2005)に準じて嵩密度の測定を行う。試料である吸水性樹脂粉末を、質量および容量既知の円筒容器(直径100mmのステンレス製容器、容量1000ml)の中心部へ該容器の上端から50mm以下の高さから注ぎ込む。このとき、注ぎ込まれた試料が円筒容器の上端よりも上方で三角錐を形成するように、十分な量の試料を円筒容器内に注ぎ込む。そして、へらを用いて円筒容器の上端よりも上方にある余剰の試料を払い落とし、この状態で該容器の質量を測定し、その測定値から容器の質量を差し引くことで、試料の質量を求め、これを容器の容量で除して、目的とする嵩密度を算出する。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。なお、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後に測定する。
(ボルテックス法による吸水速度)
100mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)を入れ、ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製、「HPS−100」)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±60rpmに調整し、生理食塩水を撹拌させる。試料2.0gを、撹拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、JIS K 7224(1996)に準拠して該吸水性樹脂粉末の吸水速度(秒)を測定する。具体的には、試料である吸水性樹脂粉末のビーカーへの投入が完了した時点でストップウォッチをスタートさせ、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)でストップウォッチを止め、その時間(秒)を吸水速度として記録する。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。なお、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後に測定する。
(荷重下通液速度)
100mLのガラスビーカーに、試料である吸水性樹脂粉末0.32±0.005gを生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水)100mLに浸して60分間放置することで膨潤させた。別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で円筒管内に、膨潤した測定試料を含む前記ビーカーの内容物全てを投入する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間T1(秒)を計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの荷重下通液速度を算出する。なお、式中、T0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過するのに要する時間を計測した値である。
荷重下通液速度(秒)=(T1−T0)
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。なお、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後で測定する。
(吸湿ブロッキング率)
試料10.0gを底面の直径52mm、高さ22mmのアルミニウムカップ(東洋エコー株式会社、ホイルコンテナー、品番107)に均一に入れ、40℃、相対湿度80%RHの恒温恒湿槽中で3時間静置する。その後12メッシュの金網(目開き1.4mm)で軽く篩い、吸湿によりブロッキングして12メッシュをパスしない測定サンプルの粉末状物の質量、および12メッシュをパスした試料の質量を測定し、次式に従って目的とする吸湿ブロッキング率を算出する。
吸湿ブロッキング率(%)=100×(放置後の12メッシュをパスしない試料の質量)/(放置後の12メッシュをパスしない試料の質量+放置後の12メッシュをパスした試料の質量)
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。なお、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後で測定する。
(吸収倍率)
吸収倍率の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を、生理食塩水に浸漬させる。浸漬開始から60分後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、試料の質量F1(g)を測定する。また、試料を用いないで同様の操作を行い、そのときの質量F0(g)を測定する。そして、これら質量F1、F0および試料の質量から、次式に従って、目的とする吸収倍率を算出する。
吸収倍率(g/g)=(F1−F0)/試料の質量
(保水量)
保水量の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を、生理食塩水に浸漬させる。浸漬開始から60分後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で2分間とする。脱水後の質量R1(g)を測定する。また、試料を用いないで同様の操作を行い、そのときの質量R0(g)を測定する。そして、これら質量R1、R0および試料の質量から、次式に従って、目的とする保水量を算出する。
保水量(g/g)=(R1−R0−試料の質量)/試料の質量
[セカンドシートの作製]
軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系ポリウレタンフォーム、商品名:モルトプレン、イノアックコーポレーション社製、密度75kg/m3、通気性12L/min、セル数64個/25mm)から、発泡体の発泡方向と直交方向に裁断して、発泡体シート(幅400mm×長さ400mm×厚さ2mm)を切り出した。この発泡体シートに対して、熱圧縮成形を施した。熱圧縮成形は、油圧プレス式圧縮成形機(最大圧力210kg/cm2、最大型締め力37トン)に取り付けた熱盤により、発泡体シートの厚み方向に沿って上下に所要量圧縮して熱プレス(熱盤温度:180℃、成形時間:4分間)。熱圧縮成形後の発泡体シートの厚さは2.5mmであった。
熱圧縮成形後の発泡体シート(見かけ密度150kg/m3、通気性12L/min)の表面に界面活性剤水溶液(界面活性剤の種類:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB8.5)を界面活性剤の付与量が0.001g/m2となるように散布し、乾燥させてセカンドシートを得た。
[吸水性樹脂粉末の合成]
<合成例1>
水溶性エチレン性不飽和モノマー(a1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155質量部(2.15モル部)、内部架橋剤(a2){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.6225質量部(0.0024モル部)および脱イオン水340.27質量部を撹拌・混合しながら1℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を0.1ppm以下とした後、1質量%過酸化水素水溶液0.31質量部、1質量%アスコルビン酸水溶液1.1625質量部および0.5質量%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325質量部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が85℃に達した後、85±2℃で約10時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
次に、この含水ゲル(1)502.27質量部をミンチ機(ROYAL社製、「12VR−400K」)で細断しながら48.5質量%水酸化ナトリウム水溶液128.42質量部を添加して混合し、さらにエチレングリコールジグリシジルエーテルの1質量%水溶液3質量部を添加して混合して細断ゲル(2)を得た。さらに細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{200℃、風速5m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製、「OSTERIZER BLENDER」)にて粉砕した後、目開き150μmおよび710μmのふるいを用いて150μm〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。
この乾燥体粒子100質量部を高速撹拌(細川ミクロン社製、高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの質量比=70/30)の5質量部をスプレー噴霧により加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、(A)架橋重合体を得た。この(A)架橋重合体100質量部に対し、(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製、「アエロジル380」)0.5質量部、および、カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、「X−22−3701E」)0.02質量部を添加し、85℃で60分撹拌させた。得られた樹脂粉末の質量平均粒子径を400μmに調整して、吸水性樹脂粉末を得た。なお、吸水性樹脂粉末の物性は、嵩密度が0.45g/ml、ボルテックス法による吸水速度が24秒、荷重下通液速度が7秒、吸湿ブロッキング率が1%、吸水倍率が44g/g、保水量が26g/g、重量平均粒子径が400μmであった。
[吸収体の作製]
パルプ繊維および吸水性樹脂粉末からなる吸水層を、第1基材と第2基材とで挟持して第1吸収体を作製した。パルプ繊維および吸水性樹脂粉末からなる吸水層を基材で包み込むことで第2吸収体を作製した。
[吸収性物品の作製]
吸収性物品
上から順に透液性エアスルー不織布、セカンドシート、第1吸収体、第2吸収体、不透液性ポリエチレンシートを積層して吸収性物品を作製した。