本発明の吸収体は、透液性の第1シートと、第2シートとを有し、前記第1シートと第2シートとの間に吸収層が配置されている吸収体であって、前記吸収層は、吸水性樹脂粉末と、下記式(1)および/または(2)で表される化合物とを有することを特徴とする。
式(1)中、nは、1〜4の整数で、X
n−は、n価の陰イオンであり
[1]R
1が、炭素数8〜22の炭化水素基であり、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、または水素である、或いは、[2]R
1とR
2が、それぞれ同一または異なる炭素数8〜22の炭化水素基であり、R
3とR
4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、または水素である。
式(2)中、[3]R
5が、炭素数8〜22の炭化水素基であり、R
6およびR
7は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、または水素である、或いは、[4]R
5とR
6が、それぞれ同一または異なる炭素数8〜22の炭化水素基であり、R
7は、炭素数1〜3の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、または水素である。
本発明の吸収体の吸収層とは、前記第1シートと第2シートとの間に配置された材料から形成される層である。前記吸収層は、吸水性樹脂粉末と下記式(1)および/または(2)で表される化合物とを有する。まず、下記式(1)で表される化合物について説明する。
式(1)で表される化合物は、アンモニウム塩であり、例えば、第1級〜第3級アミンの塩または第4級アンモニウム塩を挙げることができる。式(1)中、nは、1〜4の整数で、Xn−は、n価の陰イオンであり、[1a]R1が、炭素数8〜22の炭化水素基であり、R2、R3およびR4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3の炭化水素基またはヒドロキシアルキル基である、[1b]R1が、炭素数8〜22の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基、R2およびR3は、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、R4は、水素である、あるいは、[2]R1とR2が、それぞれ同一または異なる炭素数8〜22の炭化水素基で、R3とR4が、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、または水素である。[1]の化合物において、R1の炭素数が、少なすぎると保形性が低下し、多すぎると吸収体の吸水性能が低下する傾向がある。R2〜R4の炭素数が多すぎると、立体障害が大きくなって、吸水性樹脂粉末との相互作用が小さくなる傾向がある。[2]の化合物において、R1およびR2の炭素数が、少なすぎると保形性が低下し、多すぎると吸収体の吸水性能が低下する傾向がある。R3〜R4の炭素数が多すぎると、立体障害が大きくなって、吸水性樹脂粉末との相互作用が小さくなる傾向がある。
前記[1a]の化合物において、R1は、直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。R1の炭素数は、9〜20がより好ましく、10〜18がより好ましい。また、R2、R3およびR4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、または、プロピル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、または、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
前記[1b]の化合物において、R1は、直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。R1の炭素数は、9〜20がより好ましく、10〜18がより好ましい。また、R2およびR3は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、または、ヒドロキシプロピル基が挙げられ、ヒドロキシエチル基が好ましい。R4は、水素である。
前記[2]の化合物において、R1とR2は、それぞれ同一または異なる直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基が好ましく、R1およびR2の炭素数は、9〜20が好ましく、10〜18がより好ましい。R3とR4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、または、プロピル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、または、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
式(1)で示されるアンモニウム基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
[1a]ドデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルジメチルエチルアンモニウム、テトラデシルジメチルエチルアンモニウム、ヘキサデシルジメチルエチルアンモニウム、オクタデシルジメチルエチルアンモニウム、ドデシルメチルジエチルアンモニウム、テトラデシルメチルジエチルアンモニウム、ヘキサデシルメチルジエチルアンモニウム、オクタデシルメチルジエチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩を挙げることができる。これらの中でも、テトラデシルトリメチルアンモニウムが好ましい。
[1b]モノデシル・ジヒドロキシルエチル・アンモニウム、モノドデシル・ジヒドロキシエチル・アンモニウム、モノテトラデシル・ジヒドロキシエチル・アンモニウム、モノヘキサデシル・ジヒドロキシエチル・アンモニウム、モノオクタデシル・ジヒドロキシエチル・アンモニウムなどの第3級アンモニウム塩を挙げることができる。これらの中でも、モノデシル・ジヒドロキエチル・アンモニウムが好ましい。
[2]オクチルデシルジメチルアンモニウム、ジオクチルジメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、デシルドデシルジメチルアンモニウム、ジドデシルジメチルアンモニウム、オクチルデシルメチルエチルアンモニウム、ジオクチルメチルエチルアンモニウム、ジデシルメチルエチルアンモニウム、ジドデシルメチルエチルアンモニウム、ジデシルメチルプロピルアンモニウム、ジドデシルエチルプロピルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの中でも、ジデシルジメチルアンモニウム、または、ジデシルジエタノールアミンが好ましい。
式(1)中、Xn−は、n価のアニオン(n=1〜4)を表す。Xの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、メチル硫酸、または、エチル硫酸などが挙げられる。
式(1)で表される化合物は、市販品を用いてもよいし、1級〜3級アミンを出発材料として、4級化剤を用いて4級アンモニウム塩に変性してもよい。4級化剤としては、例えば、メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライドなどのハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などの硫酸ジアルキル、スルホン酸アルキルなどを挙げることができる。式(1)中の、Xn−は、4級化剤から、1級〜3級アミンの窒素に結合するアルキル基を除いた残基であってもよい。
式(2)で表される化合物は、未中和のアミンであり、例えば、第1級〜第3級アミンである。
式(2)中、[3]R
5が、炭素数8〜22の炭化水素基であり、R
6およびR
7は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、または水素である、或いは、[4]R
5とR
6が、それぞれ同一または異なる炭素数8〜22の炭化水素基であり、R
7は、炭素数1〜3の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、または水素である。
前記[3]の化合物において、R5は、直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。R5の炭素数は、9〜20がより好ましく、10〜18がより好ましい。R6およびR7は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、または、プロピル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、または、ヒドロキシプロピル基が挙げられ、ヒドロキシエチル基が好ましい。
前記[4]の化合物において、R5とR6は、それぞれ同一または異なる直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基が好ましく、R5およびR6の炭素数は、9〜20が好ましく、10〜18がより好ましい。R7は、炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、または、プロピル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、または、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
式(2)で表される化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
[3]モノデシル・ジエタノールアミン、モノドデシル・ジエタノールアミン、モノテトラデシル・ジエタノールアミン、モノヘキサデシル・ジエタノールアミン、モノオクタデシル・ジエタノールアミンなどの第3級アミンを挙げることができる。これらの中でも、モノデシル・ジエタノールアミンが好ましい。
[4]ジオクチルメチルアミン、ジデシルメチルアミン、ジドデシルメチルアミン、オクチルデシルメチルアミン、デシルドデシルメチルアミン、ジオクチルエチルアミン、ジデシルエチルアミン、ジドデシルエチルアミン、オクチルデシルエチルアミン、デシルドデシルエチルアミン、ジオクチルエタノールアミン、ジデシルエタノールアミン、ジドデシルエタノールアミン、オクチルデシルエタノールアミン、デシルドデシルエタノールアミンなどが挙げられる。
前記式(1)および/または(2)で表される化合物は、単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。本発明では、保形性の観点から、前記式(1)で表される化合物を使用することが好ましく、前記(1)式で表される化合物のうち4級アンモニウム塩を使用することがより好ましい。
前記式(1)および/または(2)で表される化合物の含有率は、吸収体100質量%中、0.0005質量%以上が好ましく、0.0010質量%以上がより好ましく、0.0700質量%以下が好ましく、0.0500質量%以下がより好ましい。前記化合物の含有率が、低すぎると、十分な保形性が得られない。一方、前記化合物の含有率が、高すぎると、吸水性樹脂粉末の吸収性能を疎外する場合があるからである。
本発明の吸収体の吸水層は、吸水性樹脂粉末(SAP:Super Absobent Polymer)を含有する。前記吸水性樹脂粉末としては、吸収性物品の用途で使用され得る公知の吸水性樹脂粉末を使用することができる。本発明では、保形性向上剤との相互作用という観点から、吸水性樹脂粉末として、アクリル酸を主構成成分とする(A)架橋重合体であって、そのカルボキシル基の少なくとも一部が中和されているものを使用することが好ましい。(A)架橋重合体を構成するアクリル酸成分の含有率は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。アクリル酸成分の含有率が前記範囲内であれば、得られる吸水性樹脂粉末が、所望の吸収性能を発現しやすくなる。
(A)架橋重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する陽イオンとしては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオンなどを挙げることができる。これらの中でも、架橋重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が、ナトリウムイオンで中和されていることが好ましい。なお、架橋重合体のカルボキシル基の中和は、重合して得られる架橋重合体のカルボキシル基を中和するようにしてもよいし、予め、中和された単量体を用いて架橋重合体を形成するようにしてもよい。
架橋重合体のカルボキシル基の中和度は、60モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましい。中和度が低すぎると、得られる吸水性樹脂粉末の吸収性能が低下する場合があるからである。また、中和度の上限は、特に限定されず、カルボキシル基のすべてが中和されていてもよい。なお、中和度は、下記式で求められる。
中和度(モル%)=100×「架橋重合体の中和されているカルボキシル基のモル数」/「架橋重合体が有するカルボキシル基の総モル数(中和、未中和を含む)」
前記架橋重合体は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび/または加水分解により(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する(a2)加水分解性モノマーと、(b)内部架橋剤とを含有する不飽和単量体組成物を重合して得られるものが好ましい。
(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するモノマー等が使用できる。水溶性モノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つモノマーを意味する。また、(a2)加水分解性モノマーとは、50℃の水、必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により、加水分解されて、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する。(a2)加水分解性モノマーの加水分解は、架橋重合体の重合中、重合後、および、これらの両方のいずれでもよいが、得られる吸水性樹脂粉末の分子量の観点等から重合後が好ましい。
水溶性置換基としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、スルホオキシ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、または、これらの塩、並びに、アンモニウム塩が挙げられ、カルボキシル基の塩(カルボキシレート)、スルホ基の塩(スルホネート)、アンモニウム塩が好ましい。また、塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。アンモニウム塩は、第1級〜第3級アミンの塩または第4級アンモニウム塩のいずれであってもよい。これらの塩のうち、吸収特性の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
前記カルボキシル基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数3〜30の不飽和カルボン酸および/またはその塩が好ましい。前記カルボキシル基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、クロトン酸および桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸および/またはその塩;マレイン酸、マレイン酸塩、フマル酸、シトラコン酸およびイタコン酸などの不飽和ジカルボン酸および/またはその塩;マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステルなどの不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステルおよび/またはその塩などが挙げられる。なお、本発明の説明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味する。
スルホ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数2〜30のスルホン酸および/またはその塩が好ましい。スルホ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、および、α−メチルスチレンスルホン酸などの脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸;(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、および、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリロイル含有アルキルスルホン酸;及びアルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステルなどが挙げられる。
スルホオキシ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの硫酸エステル;ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステルなどが挙げられる。
ホスホノ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸モノエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸ジエステル、および、(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸などが挙げられる。
水酸基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アリルアルコール、および、(メタ)プロペニルアルコールなどの炭素数3〜15のモノエチレン性不飽和アルコール;炭素数2〜20のアルキレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(重量平均分子量100〜2000)などの2〜6価のポリオールのモノエチレン性不飽和カルボン酸エステル又はモノエチレン性不飽和エーテル等が含まれる。これらの具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ−オキシエチレン−オキシプロピレンモノ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。
カルバモイル基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;N−メチルアクリルアミドなどのN−アルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−又はi−プロピルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(アルキルの炭素数1〜8)アクリルアミド;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。アミドからなる基を有する不飽和モノマーとしては、これらの他に、炭素数5〜10のビニルラクタム(N−ビニルピロリドン等)等も使用できる。
アミノ基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有エステルおよびモノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有アミドなどが挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有エステルとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノアルキルエステル及びモルホリノアルキルエステル等が使用でき、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、 ジメチルアミノエチルフマレートおよびジメチルアミノエチルマレート等が挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有アミドとしては、モノアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。アミノ基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、これらの他に、4−ビニルピリジンおよび2−ビニルピリジンなどのビニルピリジンも使用できる。
加水分解により(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する(a2)加水分解性モノマーとしては、特に限定されないが、加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するエチレン性不飽和モノマーが好ましい。加水分解性置換基としては、酸無水物を含む基、エステル結合を含む基およびシアノ基などが挙げられる。
酸無水物を含む基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数4〜20の不飽和ジカルボン酸無水物等が用いられ、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。エステル結合を含む基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルなどのモノエチレン性不飽和カルボン酸の低級アルキルエステル;および、酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリルなどのモノエチレン性不飽和アルコールのエステルが挙げられる。シアノ基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、および、5−ヘキセンニトリルなどの炭素数3〜6のビニル基含有のニトリル化合物が挙げられる。
(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーとしては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、および、特開2005−975759号公報に記載のものを用いることができる。(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーはそれぞれ、単独で、または、2種以上の混合物として使用してもよい。
不飽和単量体組成物は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーの他に、これらと共重合可能な(a3)その他のビニルモノマーを用いることができる。共重合可能な(a3)その他のビニルモノマーとしては、疎水性ビニルモノマー等が使用できるが、これらに限定されるわけではない。(a3)その他のビニルモノマーとしては下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が用いられる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー;
エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンおよびオクタデセンなどのアルケン;並びに、ブタジエンおよびイソプレンなどのアルカジエン。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー;
ピネン、リモネン及びインデンなどのモノエチレン性不飽和モノマー;並びに、シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネンなどのポリエチレン性ビニル重合性モノマー。
(a3)その他のビニルモノマーとしては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、および、特開2005−975759号公報に記載のものを用いることができる。
本発明では、アクリル酸を主構成成分とする架橋重合体を得るという観点から、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび/または加水分解により(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する(a2)加水分解性モノマーとして、(a1)アクリル酸またはアクリル酸塩、あるいは、加水分解によりアクリル酸またはアクリル酸塩を生成する(a2)加水分解性モノマーを使用することが好ましい。(A)架橋重合体を形成する不飽和単量体組成物中の(a1)アクリル酸またはアクリル酸塩、あるいは、加水分解によりアクリル酸またはアクリル酸塩を生成する(a2)加水分解性モノマーの含有率は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。
(b)内部架橋剤としては、(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤、(b2)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する内部架橋剤、および、(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する内部架橋剤などを挙げることができる。
(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤としては、炭素数8〜12のビス(メタ)アクリルアミド、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜10のポリアリルアミン及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。これらの具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(重合度2〜5)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ又はトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル及びジグリセリンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b2)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する内部架橋剤としては、炭素数6〜8のエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、炭素数4〜8の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物及び炭素数4〜8のイソシアナト基を有するエチレン性不飽和化合物などが挙げられる。これらの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びイソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する内部架橋剤としては、多価アルコール、多価グリシジル、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネートなどを挙げることができる。多価グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンおよびポリエチレンイミンなどが挙げられる。多価アジリジン化合物としては、日本触媒化学工業社製のケミタイトPZ−33{2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス(3−(1−アジリジニル)プロピネート)}、ケミタイトHZ−22{1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア}およびケミタイトDZ−22{ジフェニルメタン−ビス−4、4’−N、N’−ジエチレンウレア}などが挙げられる。多価イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの内部架橋剤は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
(b)内部架橋剤としては、吸収性能(特に吸収量及び吸収速度等)等の観点から、(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルがより好ましく、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタンまたはペンタエリスリトールトリアリルエーテルがさらに好ましく、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが最も好ましい。
(b)内部架橋剤としては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、および、特開2005−975759号公報に記載のものを用いることができる。
(A)架橋重合体の重合形態としては、従来から知られている方法等が使用でき、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法が適応できる。また、重合時の重合液の形状として、薄膜状及び噴霧状等であってもよい。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法及び等温重合法などが適用できる。重合方法としては、溶液重合法が好ましく、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、水溶液重合法がより好ましい。
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、100μm〜2cmがより好ましく、1mm〜1cmがさらに好ましい。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
細断は、公知の方法で行うことができ、例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機およびロール式粉砕機などの従来の細断装置を使用して細断できる。
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に水を含む場合、留去後の水分(質量%)は、架橋重合体の質量(100質量%)に対して、0質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%、さらに好ましくは2質量%〜9質量%、最も好ましくは3質量%〜8質量%である。水分(質量%)が、前記範囲内であると、吸収性能及び乾燥後の吸水性樹脂粉末の壊れ性がさらに良好となる。
なお、有機溶媒の含有率及び水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の質量減量から求められる。
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80℃〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100℃〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
(A)架橋重合体は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定されず、例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機などの通常の粉砕装置が使用できる。粉砕された(A)架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
必要によりふるい分けした場合の(A)架橋重合体の重量平均粒子径(μm)は、100μm〜800μmが好ましく、より好ましくは200μm〜700μm、さらに好ましくは250μm〜600μm、特に好ましくは300μm〜500μm、最も好ましくは350μm〜450μmである。(A)架橋重合体の重量平均粒子径(μm)が、前記範囲内であれば、吸収性能がさらに良好となる。
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
(A)架橋重合体は、さらに(B)表面改質剤で処理されてもよい。(B)表面改質剤としては、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、アンモニウム明礬、ナトリウム明礬、(ポリ)塩化アルミニウム、これらの水和物などの多価金属化合物;ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどのポリカチオン化合物;無機微粒子;(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤;(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤;及び、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤などが挙げられる。
前記無機微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、および、酸化ジルコニウムなどの酸化物、炭化珪素および炭化アルミニウムなどの炭化物、窒化チタンのような窒化物、および、これらの複合体(例えば、ゼオライトおよびタルクなど)などが挙げられる。これらのうち、酸化物が好ましく、さらに好ましくは酸化ケイ素である。無機微粒子の体積平均粒子径は、1μm〜500μmが好ましく、より好ましくは3μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜75μm、最も好ましくは9μm〜50μmである。なお、体積平均粒子経は、動的光散乱法により、溶媒中で測定される。具体的には、日機装株式会社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(光源:He-Neレーザー)を用いて、溶媒シクロヘキサン中で、25℃の温度で測定される。
(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸およびその塩、長鎖脂肪族アルコール、並びにこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸またはその塩、パーフルオロアルキルアルコール、および、これらの2種以上の混合物等が含まれる。
(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤としては、ポリジメチルシロキサン;ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサンなどのポリエーテル変性ポリシロキサン;カルボキシ変性ポリシロキサン;エポキシ変性ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン;アルコキシ変性ポリシロキサン、および、これらの混合物などが挙げられる。
(B)表面改質剤としては、吸収特性の観点から、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤、および、無機微粒子が好ましく、アミノ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、および、シリカがより好ましい。
(A)架橋重合体を(B)表面改質剤で処理する方法としては、(B)表面改質剤が(A)架橋重合体の表面に存在するように処理する方法であれば、特に限定されない。しかし、(B)表面改質剤は、(A)架橋重合体の含水ゲル又は(A)架橋重合体を重合する前の重合液ではなく、(A)架橋重合体の乾燥体と混合されることが表面の(B)表面改質剤の量をコントロールする観点から好ましい。なお、混合は、均一に行うことが好ましい。
吸水性樹脂粉末の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
架橋重合体は、必要に応じてさらに表面架橋を行うことができる。表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、(b)内部架橋剤と同じものが使用できる。表面架橋剤としては、吸水性樹脂粉末の吸収性能等の観点から、(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、より好ましくは多価グリシジル、さらに好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
表面架橋する場合、表面架橋剤の含有率(質量%)は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび/または(a2)加水分解性モノマー、(b)内部架橋剤、並びに必要により使用する(a3)その他のビニルモノマーの合計質量(100質量%)に対して、0.001質量%〜7質量%が好ましく、より好ましくは0.002質量%〜5質量%、さらに好ましくは0.003質量%〜4質量%である。すなわち、この場合、表面架橋剤の含有率(質量%)の上限は、(a1)及び/又は(a2)、(b)並びに(a3)の合計質量に基づいて、7質量%が好ましく、より好ましくは5質量%、さらに好ましくは4質量%であり、同様に、下限は0.001質量%が好ましく、より好ましくは0.002質量%、さらに好ましくは0.003質量%である。表面架橋剤の含有率が、前記範囲内であれば、さらに吸収性能が良好となる。表面架橋は表面架橋剤を含む水溶液を吸水性樹脂粉末に噴霧又は含浸させた後、加熱処理(100〜200℃)する方法等により達成できる。
本発明の吸収体の吸収層では、例えば、吸水性樹脂粉末に前記式(1)および/または(2)で表される化合物を噴霧する方法、あるいは、吸水性樹脂粉末を、前記式(1)および/または(2)で表される化合物を希釈した溶剤(例えばエタノール、アセトン)に浸漬した後に、溶媒を除去する方法などにより、前記式(1)および/または(2)で表される化合物が吸収性樹脂粉末に塗布されていることが好ましい。前記式(1)および/または(2)で表される化合物が、吸水性樹脂粉末に直接塗布されることにより、得られる吸収層の保形性が高くなる。
本発明の吸収体の吸収層は、吸水性材料として、吸収性樹脂粉末のみを含有してもよいし、吸水性樹脂粉末に加えて繊維基材を含有してもよい。吸水性材料として、吸水性樹脂粉末のみを含有する吸収層は、薄型化が可能である。吸水性材料として、吸水性樹脂粉末と繊維基材とを含有する吸収層は、尿の分散性に優れる。前記繊維基材としては、解繊パルプ繊維、熱融着繊維などを挙げることができる。解繊パルプ繊維としては、公知のパルプ繊維を挙げることができる。熱融着性繊維は、保形性を高めるために使用される。熱融着繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維や複合繊維などが用いられる。
本発明の吸収体の吸収層は、第1または第2シートの少なくとも一方に接着剤で固定されていることが好ましく、より好ましくは、第2シートに接着剤で固定されている。前記接着剤としては、ホットメルト接着剤が好ましい。ホットメルト接着剤の具体例としては、例えば、ポリオレフィン系、合成ゴム系、ポリアミド系、ポリエスル系、アクリル系のホットメルト接着剤を挙げることができ、合成ゴム系ホットメルト接着剤が好ましい。
合成ゴム系接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのブロック共重合体を単独あるいは2種以上を混合したものをベースポリマーとするものが挙げられる。
前記ホットメルト接着剤は、さらに、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ワックスなどを含有してもよい。
ホットメルト接着剤の塗工方法としては、特に限定されず、例えば、メルトブロー法、スパイラルスプレー法などを挙げることができる。吸水性樹脂粉末を含有する吸収層に均一に塗布されていることが好ましい。接着剤の塗布量は、0.1g/m2以上が好ましく、1.0g/m2以上がより好ましく、50g/m2以下が好ましく、45g/m2以下がより好ましい。
本発明の吸収体は、透液性の第1シートと第2シートとを有する。前記第1シートは、肌面に当接する側のシートであり、着用者からの体液の水分を速やかに透過させる。前記透液性の第1シートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布であることが好ましい。第1シートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、第1シートとして、表面を界面活性剤により親水化処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
第2シートは、吸収体の使用態様に応じて、透液性シートあるいは不透液性シートのいずれであってもよい。透液性シートとしては、第1シートの材料と同一のものを使用することができる。不透液性シートとしては、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、不透液性シートに到達した排泄物の水分等が、吸収体の外側にしみ出すのを防止する。不透液性シートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
本発明の吸収体の吸収層は、第1シートまたは第2シートの内側(吸水性樹脂粉末側)に、さらにティッシュペーパーなどを含有してもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明の吸収体および吸収性物品について説明するが、本発明は、図面に表された態様に限定されるものではない。図1は、本発明の吸収体の好ましい形態の模式的断面図である。本発明の吸収体1は、透液性の第1シート2と、第2シート3とを有し、第1シート2と第2シート3の間には、吸水層が配置されている。吸水層は、吸水性樹脂粉末4と保形性向上剤(図示せず)とを有している。吸水層は、例えば、ホットメルト接着剤(図示せず)により第1シート2または第2シート3に固着されている。図2は、本発明の吸収体の別の好ましい形態の模式的断面図である。本態様では、第1シート2と第2シート3とを所定の間隔で貼り合わせることにより、吸水性樹脂粉末が存在しない吸水性樹脂粉末非存在領域5aと吸水性樹脂粉末が第1シートと第2シートの間に内包された吸水性樹脂粉末存在領域5bが設けられている。第1シートと第2シートの間に内包された吸水性樹脂粉末4が吸収層を形成している。本態様の吸収体は、下層にさらに吸収体を設けた場合に,吸水性樹脂粉末非存在領域5aが体液の通路となり、体液が下層に透過しやすくなる。図3は、本発明の吸収体の別の好ましい形態の模式的断面図である。透液性の第1シート2と、第2シート3とを有し、第1シート2と第2シート3の間には、吸水性樹脂粉末4と繊維基材6と保形性向上剤とを有する吸水層が配置されている。
図1〜3の態様において、例えば、保形性向上剤を、第2シートの内側であって、吸水層の下部に塗布しておくことが好ましい。吸水層に直接、保形性向上剤を塗布しておくことにより、保形性が高まる。
図4は、本発明の吸収性物品の好ましい態様を例示する模式的断面図である。吸収性物品9は、透液性のトップシート10と、不透液性のバックシート11と、前記トップシート10とバックシート11との間に2層に積層された吸収体1aと吸収体1bとを有する。トップシート10の両側縁部の上部には、不透液性のサイドシート12が、接合されている。接合点13より内方のサイドシート12は、着用者の肌に向かって起立する立ち上がりフラップを形成する。吸収体1aは、第1シート2と、第2シート3とを有し、第1シート2と第2シート3の間には、吸水性材料として、吸水性樹脂粉末4のみを有する吸水層が配置されている。吸収体1bは、第1シート2と、第2シート3とを有し、第1シート2と第2シート3の間に、吸水性材料として、吸水性樹脂粉末4と繊維基材6とを有する吸水層が配置されている。本態様の吸収性物品では、吸収体1aおよび吸収体1bの少なくとも一つが、保形性向上剤を有することが好ましく、吸収体1aおよび吸収体1bの両方が、保形性向上剤を有することがより好ましい。なお、吸収体は、一層であってもよい。また、図4では、吸収体1aの第1シート2と、吸収性物品のトップシート10とが、別体の態様を示したが、吸収体1aの第1シート2が、吸収性物品のトップシート10を兼ねるように構成されていてもよい。
本発明には、本発明の吸収体を備える吸収性物品が含まれる。吸収性物品の具体例としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、母乳パッド、ペット用吸収物品などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[吸収体の作製]
パルプ繊維5.0gと吸水性樹脂粉末1.0gの混合物からなる繊維ウエブ(坪量200g/m2、幅7cm、長さ20cm)の上に、イオン交換水で希釈された表1に記載の保形性向上剤を霧吹きで均一散布した吸収層に、ホットメルト接着剤(東洋ペトロライト製P−618B)が塗布量5g/m2で塗布された液不透過性の第2シート(厚み30μmのポリエチレン製フィルム上)に載置した。
吸収層の保形性向上剤を散布した面が、第2シートの接着剤の塗布面上になるようにした。引き続き、繊維ウエブの保形性向上剤を散布していない面に接着剤が塗布されていない坪量16g/m2のティッシュペーパーを重ね、更に液透過性の第1シート(スパンボンド不職布:旭化成せんい(株)製 エルタスアクア)を重ねた。その後、厚みが2mmとなるようにプレス加工を行い、長さ20cm×幅7cmの吸収体を作製した。得られた吸収体の吸収量および保形性について、評価をした結果を併せて表1に示した。
[評価方法]
(1)吸収体の吸収量
得られた吸収体を生理食塩水に60分間浸漬し、その後10分間吊し余剰の水分を落とした後、重量を測定して、浸漬前との差を吸収体の吸収量とした。なお、SAP1(IM−930)の吸収量は、55g/gであり、SAP2(SA60SX)の吸収量は、60g/gである。
(2)吸収体の保形性
長手方向に10回引っ張る、中央部を横手方向に10回、さらに、長手方向に10回引っ張った後、外観をチェックした。試験前の状態と比較し、以下の基準で判定した。
<評価基準>
○:試験前と同じ
△:吸収体の一部にずれ、割れがみられる
×:吸収体全体もしくは吸収体の大部分にずれ、割れがみられる
SAP1:アクリル酸を主構成成分とする架橋重合体のカルボキシル基の一部がナトリウムイオンで中和された吸水性樹脂粉末:サンウェットIM−930(サンダイヤポリマー株式会社)
SAP2:アクリル酸を主構成成分とする架橋重合体のカルボキシル基の一部がナトリウムイオンで中和された吸水性樹脂粉末:アクアキープSA60S(住友精化株式会社)
表1の結果から、実施例1〜9と比較例1〜2との比較から、式(1)および/または(2)で表される保形性向上剤を使用した本発明の吸収体は、吸収量を低下させることなく、保形性が向上していることが分かる。一方、炭化水素基の炭素数が6である保形性向上剤を使用した比較例3,4では、保形性が向上しなかった。また、炭化水素基の炭素数が24である保形性向上剤を使用した比較例5,6では、吸収量が低下した。長鎖炭化水素基を3つ有する保形性向上剤を使用した比較例7〜10では、保形性が向上しなかった。