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JP6854104B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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JP6854104B2 JP2016187171A JP2016187171A JP6854104B2 JP 6854104 B2 JP6854104 B2 JP 6854104B2 JP 2016187171 A JP2016187171 A JP 2016187171A JP 2016187171 A JP2016187171 A JP 2016187171A JP 6854104 B2 JP6854104 B2 JP 6854104B2
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Description

本発明は、複層塗膜形成方法に関する。
船舶、橋梁、建築物、タンク、プラント等の大型構造物には、厳しい腐食環境下において長期にわたる防食性を保持するために、被塗物の表面に防食下地層などが形成されている。さらに、防食下地層の被塗物とは反対側の表面には、一般的に、下塗り塗膜が形成されており、下塗り塗膜にはエポキシ樹脂塗料組成物等が使用されている。また防汚性、美観を確保するために、下塗り塗膜の上に同種又は異種の上塗り塗膜が形成されている。
例えば、エポキシ樹脂塗料組成物から下塗り塗膜を形成し、その上に、同種又は異種の塗料組成物を重ね塗りする場合、下塗り塗膜組成物の塗装後の短い一定期間内に、塗り重ねる必要があった。なお、本明細書においては、このような塗装と塗装の間の許容される一定期間を、インターバルともいう。
例えば、特開平11−315250号公報(特許文献1)には、インターバルを長くして上塗り塗装を行っても不具合の生じないエポキシ樹脂塗料として、アミン化合物硬化剤と特定の構造を有するダイマー酸誘導体とを含むエポキシ塗料組成物が開示されている。
また、特開平11−333374号公報(特許文献2)には、インターバルを長くするために、エポキシ樹脂重防食塗料に例えば、塩化ビニル樹脂を配合した船舶外部の塗装方法が開示されている。
さらに、このような下塗り塗膜の表面に上塗り塗膜を形成した場合、その層間での付着性が低くなることがある。
例えば、特開2009−197106号公報(特許文献3)は、下塗り塗膜と上塗り塗膜の付着性を向上させることを試みており、(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(b)エチレン・酢酸ビニル共重合体、及び(c)アミン系硬化剤を含有するエポキシ樹脂塗料組成物が開示されている。
特開平11−315250号公報 特開平11−333374号公報 特開2009−197106号公報
上述した特許文献1特許文献2及び特許文献3に開示された塗料組成物は、有機溶剤を用いた塗料組成物である。
一方、近年、環境負荷低減の観点、作業時における引火性を低減させる観点から、有機溶剤系塗料から水性塗料への転換が強く求められている。
そこで、本発明は、インターバルを長くでき、第1塗膜と第2塗膜との付着性に優れ、その上、防食性に優れた複層塗膜の形成方法であって、水性塗料組成物を用いる複層塗膜形成方法を提供することを目的とする。
具体的には、第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B)の含有量が本発明の範囲内であるか、付着向上剤(B1)、付着向上剤(B2)及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の付着向上剤の含有量が本発明の範囲内であることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜上に、第2水性塗料組成物から形成される塗膜を塗布するまでに、長期のインターバルが生じても、層間で十分な付着性を有する複層塗膜を得ることができる。
その上、第1塗膜形成直後に第2水性塗料組成物から塗膜を形成する場合と、長期のインターバル、例えば、7日後に、第1塗膜上に第2水性塗料組成物から塗膜を形成する場合とのいずれにおいても、高い層間の付着性を保つことができる。
また、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で十分な付着性がもたらされるので、第2水性塗料組成物から形成される塗膜の耐割れ性、耐はがれ性を低減又は抑制できる。
このように、本発明の塗膜形成方法によれば、インターバルを長くでき、大型構造物等の補修、新設の防食塗装などにおいて、塗布作業の自由度が増加し、例えば、煩雑な工程、施工管理が不要となり、さらに、長期に亘り第1塗膜と第2塗膜との層間付着性を保持できるので、再塗装、補修を容易に行えない大型構造物において、特に有用である。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]被塗物上に第1水性塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)、
前記工程(1)によって得られた第1塗膜上に、第2水性塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)、を含む複層塗膜形成方法であって、
前記第1水性塗料組成物は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)と、少なくとも1種の付着向上剤(B)とを含み、
前記第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部であり、
前記付着向上剤(B)は、水分散型の付着向上剤、40℃で液状である付着向上剤及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種を含む、複層塗膜形成方法。
[2]前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ基を有するエポキシ樹脂(A1)又は水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を含む、[1]に記載の複層塗膜形成方法。
[3]前記付着向上剤(B)は、付着向上剤(B1)、付着向上剤(B2)及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の付着向上剤を含み、
前記付着向上剤(B1)は、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物及びベンゾエート系化合物から選択される少なくとも1種を含み、
前記付着向上剤(B2)は、ヒンダードアミン系化合物及びヒンダードフェノール系化合物から選択される少なくとも1種を含む、[1]又は[2]に記載の複層塗膜形成方法。
[4]前記第1水性塗料組成物における付着向上剤(B1)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜10質量部であり、
前記第1水性塗料組成物における付着向上剤(B2)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜10質量部である、[3]に記載の複層塗膜形成方法。
[5]前記第1水性塗料組成物は、更に硬化剤(C)を含む、[1]〜[4]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[6]前記硬化剤(C)は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を含む、[5]に記載の複層塗膜形成方法。
[7]前記第1水性塗料組成物は、エチレン比率が5〜50質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルション(D)を更に含む、[1]〜[6]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[8]前記第2水性塗料組成物は、水性樹脂(a)を含み、前記水性樹脂(a)は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、無機系樹脂及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種の水性樹脂を含む、[1]〜[7]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
本発明によれば、同種又は異種塗料組成物を塗り重ねるための塗装間隔、すなわちインターバルを長くしても、その上、第1塗膜と第2塗膜との付着性に優れ、防食性に優れた複層塗膜形成方法が提供される。さらに、本発明によれば、水性塗料組成物を用いるので、環境負荷を低減でき、作業中の危険性を大きく低減できる。
本発明の複層塗膜形成方法によれば、
被塗物上に第1水性塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)、
前記工程(1)によって得られた第1塗膜上に、第2水性塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)、を含む複層塗膜形成方法であって、
前記第1水性塗料組成物は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)と、少なくとも1種の付着向上剤(B)とを含み、
前記第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部であり、
前記付着向上剤(B)は、水分散型の付着向上剤、40℃で液状である付着向上剤及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種を含む、複層塗膜形成方法が提供される。
<第1塗膜を形成する工程(1)>
本発明における第1塗膜を形成する工程(1)は、被塗物上に第1水性塗料組成物を塗装することを含む。本発明に係る第1水性塗料組成物は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)と、少なくとも1種の付着向上剤(B)とを含む。
以下、本発明において用いる成分について説明し、その後、第1塗膜の形成工程を説明する。
<第1水性塗料組成物>
本発明に係る第1水性塗料組成物は、1液型であってもよいし、2液型であってもよい。2液型である場合、本発明に係る第1水性塗料組成物は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)を含む第1剤と、硬化剤(C)を含む第2剤とからなることができる。2液型である水性塗料組成物は、第1剤と第2剤とを混合することによって生じるビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)と硬化剤(C)との硬化反応によって硬化塗膜を形成することができる。本発明に係る第1水性塗料組成物は、例えば防食塗料(重防食塗料を含む。)などとして好適に用いることができる。
本発明においては、第1塗膜を形成する第1水性塗料組成物が水性の塗料組成物であるので、例えば、水道水で希釈でき、臭気が少なく環境に優しい、水性のため引火性がなく、安全性に優れているといった特徴を有する。
<ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)>
ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)は、1液型の水性塗料組成物におけるビヒクル樹脂であることができ、2液型の水性塗料組成物においては、第1剤(主剤)に含有される主成分であるビヒクル樹脂であることができる。すなわち、本明細書において、2液型の水性塗料組成物における「ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)」は、硬化剤(C)を含まない状態を意味する。
本明細書において「水性」とは、「水溶性」又は「水分散型」を意味する。本発明に係る第1水性塗料組成物は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の水溶液又は水分散体(エマルションを含む。)を含むことが好ましい。
本発明において、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂は、多価アルコール又は多価フェノールとハロヒドリンとを反応させて得られるものを挙げることができる。
例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒存在下に高分子量まで縮合させた樹脂、或いは、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に縮合させた低分子量のエポキシ樹脂を、ビスフェノールと重付加反応させることにより得られた樹脂のいずれでもよい。
このようなビスフェノール型水性エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどを挙げることができ、上記のビスフェノール類は、1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
本発明におけるビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)として、例えば、後述のように、エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)又は水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を挙げることができる。
ここで、例えば、エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)を用いる場合、本明細書において、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部とは、実質的に、エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)の樹脂固形分100質量部を意味する。また、複数種のエポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)を用いる場合、その樹脂固形分の合計量を基準とする。
さらに、2液型の水性塗料組成物としてエポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)を用いる場合、エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)の樹脂固形分には、硬化剤(C)を含まない状態を意味する。
上記と同様のことが、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を用いる場合にも該当する。
(1)エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)
エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)(以下、水性エポキシ樹脂(A1)と称する場合がある)の具体例は、第1エポキシ樹脂の水分散体であり、より具体的には、第1エポキシ樹脂のエマルションである。このエマルションは、水などの水性媒体中に第1エポキシ樹脂を分散させてなるエポキシ樹脂乳濁液である。第1エポキシ樹脂のエマルションは、強制乳化したものであってもよいし、自己乳化型であってもよい。
本明細書において「エポキシ基を有するエポキシ樹脂」等で記載される樹脂は、エポキシ基(例えばグリシジル基)を分子内に1個以上有する、エポキシ樹脂を意味する。
第1エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数は、好ましくは2以上であり、より好ましくは2である。本発明に係る第1水性塗料組成物は、エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)を2種以上含んでいてもよい。
例えば、エポキシ基を有する水性エポキシ樹脂(A1)が、第1エポキシ樹脂のエマルションであり、第1水性塗料組成物が2液型である場合、水性エポキシ樹脂(A1)を含む第1剤と硬化剤(C)を含む第2剤との均一混合が容易になり、かつ、水性エポキシ樹脂(A1)と第2剤中の硬化剤(C)との急激な反応の進行が抑制されて適度な反応性を得ることができる。
その結果、可使時間の長い第1水性塗料組成物を得ることができる。より具体的には、水性エポキシ樹脂(A1)が水分散型であると、塗装前の第1水性塗料組成物は、水性エポキシ樹脂(A1)を含む第1剤と第2剤との混合後においても第1剤中の水性エポキシ樹脂(A1)と第2剤中の硬化剤(C)とが接触しにくいので、反応が進みにくく保存性及び塗工性が良好である。
一方、塗装後は、分散媒(例えば、水)が揮発し、水性エポキシ樹脂(A1)と第2剤中の硬化剤(C)とが接触しやすくなるので、常温(25℃若しくはその近傍)又はそれ以下の温度においても硬化反応が進行し、塗膜を形成することができる。
エマルション等の水分散体に含まれる第1エポキシ樹脂は、好ましくは分子内にエポキシ基を2以上有する化合物であり、このようなものとして、多価アルコール又は多価フェノールとハロヒドリンとを反応させて得られるものを挙げることができる。
かかる第1エポキシ樹脂の具体例は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む。第1エポキシ樹脂として2種以上のエポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。
中でも、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性、さらには、被塗物、被塗物に施される防食下地層などに対する付着性、塗膜の防食性及び耐水性の観点から、第1エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。より好ましくは、第1エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む。
このように、本発明においてビスフェノール型水性エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含み得る。
第1エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは150〜1200であり、より好ましくは150〜1000である。第1エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記範囲であると、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性を高めることができる。さらには、被塗物、被塗物に施される防食下地層などに対する付着性、旧塗膜に対する付着性、塗膜の防食性及び耐水性を高めるうえで有利である。第1エポキシ樹脂のエポキシ当量の調整により、水性塗料組成物の特性や塗膜物性を制御することもできる。水性エポキシ樹脂(A1)は、好ましくはエポキシ当量が150〜1200であり、より好ましくは150〜1000であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む第1エポキシ樹脂のエマルションである。
第1エポキシ樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算で、好ましくは300〜3000であり、より好ましくは300〜2500である。第1エポキシ樹脂の数平均分子量が上記範囲であることは、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性を高めることができる。また、本発明に係る複層塗膜の防食性及び耐水性を高めるうえで有利である。第1エポキシ樹脂の分子量の調整により、水性塗料組成物の特性や塗膜物性を制御することもできる。
強制乳化してなる第1エポキシ樹脂のエマルションは、第1エポキシ樹脂を乳化剤と共に水などの水性媒体中で撹拌し乳化させることによって得ることができる。乳化剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等を用いることができる。乳化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
自己乳化型の第1エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂エマルションは、上述のエポキシ樹脂に親水性部位を導入してなる樹脂を水などの水性媒体中に乳化させることによって得ることができる。親水性部位としては、水酸基やカルボキシル基を有する側鎖、非イオン性のポリアルキレンオキサイド骨格等が挙げられる。
第1エポキシ樹脂のエマルション等の水性エポキシ樹脂(A1)は、pH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては無機酸や有機酸を用いることができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、ギ酸、酢酸等が挙げられる。pH調整剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、リン酸等を用いることが好ましい。リン酸等を用い、水性エポキシ樹脂(A1)のpHを好ましくは5未満、より好ましくは4.5未満とすることにより、塗膜の防食性を高めることができる。これは、被塗物の表面に不動態皮膜が形成されることによるものと考えられる。
(2)水性エポキシ系アミン樹脂(A2)
水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選択される1以上のアミノ基を分子内に有する水溶性又は水分散型の樹脂であり、好ましくは水分散型である。
本発明において水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、例えば、第2エポキシ樹脂をアミン変性して得られる水性エポキシ系アミン樹脂(A2)である。
第1水性塗料組成物の硬化性、複層塗膜の耐水性、防食性、及び第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜等との付着性、旧塗膜に対する付着性の観点から、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、水分散型の水性エポキシ系アミン樹脂(A2)である。本発明に係る第1水性塗料組成物は、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を2種以上含んでいてもよい。
例えば、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が水分散型であると、第1水性塗料組成物が2液型である場合、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を含む第1剤と硬化剤(C)を含む第2剤との均一混合が容易になり、かつ、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)と第2剤中の硬化剤(C)との急激な反応の進行が抑制されて適度な反応性を得ることができる。その結果、可使時間の長い第1水性塗料組成物を得ることができる。より具体的には、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が水分散型であると、塗装前の第1水性塗料組成物は、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を含む第1剤と第2剤との混合後においても第1剤中の水性エポキシ系アミン樹脂(A2)と第2剤中の硬化剤(C)とが接触しにくいので、反応が進みにくく保存性及び塗工性が良好である。
一方、塗装後は、分散媒(例えば、水)が揮発し、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)と第2剤中の硬化剤(C)とが接触しやすくなるので、常温(25℃若しくはその近傍)又はそれ以下の温度においても硬化反応が進行し、塗膜を形成することができる。
第1水性塗料組成物の硬化性の観点から、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選択されるアミノ基を、好ましくは2以上有する。当該アミノ基の数は、3以上、さらには4以上であってもよい。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、例えば、一方の末端に上記アミノ基を1以上(例えば2以上)有するとともに、他方の末端に上記アミノ基を1以上(例えば2以上)有する。
水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、アミン当量(アミノ基の当量)が好ましくは100〜3000であり、より好ましくは500〜2000であり、さらに好ましくは600〜1900、特に好ましくは800〜1800である。アミン当量が上記範囲である水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を用いることは、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性を高めることができる。さらに、被塗物、被塗物に施される防食下地層、旧塗膜などに対する付着性を高めることができる。第1水性塗料組成物の硬化性及び/又は塗膜の可撓性(靱性)、ひいては耐衝撃性を高めるうえで有利である。また、本発明に係る複層塗膜の防食性及び耐水性を高めるうえで有利である。
アミン当量が100未満であると、塗膜の耐水性にも劣る傾向にある。アミン当量が3000を超える場合、アミン樹脂と水とが相分離を起こして水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が得られないおそれがある。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)のアミン当量の調整により、第1水性塗料組成物の特性、第1塗膜物性、さらに、本発明により製造される複層塗膜の塗膜物性を制御することもできる。
水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、アミン当量が異なる水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を2種以上含んでいてもよい。アミン当量が異なる水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を2種以上用いる場合の好適な一例は、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)のアミン当量が500〜1300である水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1a)と、アミン当量が1400〜2000である水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1b)とを含む場合である。水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1a)と水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1b)とを併用することにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性を高めることができる。さらに、被塗物、被塗物に施される防食下地層、旧塗膜などに対する付着性を高めることができる。また、第1水性塗料組成物から形成される塗膜、さらには複層塗膜の耐水性をより高め得る。
第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性、旧塗膜に対する付着性、第1水性塗料組成物から形成される塗膜、複層塗膜の耐水性の観点から、水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1a)のアミン当量は、好ましくは600〜1300、より好ましくは800〜1300であり、水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1b)のアミン当量は、好ましくは1400〜1800、より好ましくは1400〜1700である。
第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性及び旧塗膜に対する付着性、第1水性塗料組成物から形成される塗膜及び複層塗膜の耐水性の観点から、水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1a)と水性エポキシ系アミン樹脂(A2−1b)との含有量比は、質量比で8/2〜2/8であることが好ましく、7/3〜3/7であることがより好ましい。
本明細書において「アミン当量」とは、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が第1級アミノ基を有する場合(水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が第1級アミノ基及び第2級アミノ基を有する場合を含む。)、第1級アミノ基1個あたりの水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の分子量(樹脂固形分換算)を意味し、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が第1級アミノ基を有しない場合、第2級アミノ基の1個あたりの水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の分子量(樹脂固形分換算)を意味する。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)のアミン当量は、原料配合量から求めることができる。
水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算で、好ましくは500〜20000であり、より好ましくは1000〜10000である。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の数平均分子量が上記範囲であると、水性塗料組成物が2液型である場合、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を含む第1剤と硬化剤(C)を含む第2剤との均一混合が容易になるので、硬化度、ひいては強度が均一な塗膜、複層塗膜を得ることができる。また、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の数平均分子量が上記範囲であることは、第1水性塗料組成物から形成される塗膜、さらには複層塗膜の耐衝撃性、耐水性、防食性、並びに、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜、旧塗膜に対する付着性を高めるうえでも有利である。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の分子量の調整により、第1水性塗料組成物の特性や塗膜物性、さらに複層塗膜の特性を所望する特性、物性値に調整できる。
水性エポキシ系アミン樹脂(A2)のガラス転移温度は、例えば−50〜100℃であり、好ましくは0〜50℃である。
第2エポキシ樹脂をアミン変性して得られる水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、好ましくは、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選択されるアミノ基を2以上有する水性エポキシ系アミン樹脂である。第2エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数は、好ましくは2以上であり、より好ましくは2である。第2エポキシ樹脂の具体例は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含み、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂である。第2エポキシ樹脂として2種以上のエポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。
水性エポキシ系アミン樹脂(A2)のアミン当量は、その分子量や、アミン変性により導入される第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基の量の調整によって制御することができる。
第2エポキシ樹脂は、エポキシ基と反応し得る活性水素含有化合物とエポキシ基との反応を利用した鎖延長によって分子量を増加させたり、変性させたりしたものであってもよい。活性水素含有化合物としては、例えば、ダイマー酸、ジアミン、ポリエーテルポリオールなどの2官能性の化合物が挙げられる。また、第2エポキシ樹脂は、脂肪酸を付加させたものであってもよい。脂肪酸の付加により、樹脂中に柔らかい成分を導入することが可能になるので、これにより塗膜の可撓性、ひいては耐衝撃性、旧塗膜に対する付着性を向上させ得る。また脂肪酸の付加によってアミン変性させる部位(エポキシ基の数)を減らすことにより、第2エポキシ樹脂の反応性を調整(低下)させることもできる。
第2エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは180〜3800であり、より好ましくは400〜3200であり、さらに好ましくは700〜3200である。第2エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記範囲であると、第2水性塗料組成物から形成される塗膜、旧塗膜に対する付着性、第1水性塗料組成物から形成される塗膜及び複層塗膜の耐水性、防食性を高めるうえで有利である。第2エポキシ樹脂のエポキシ当量が180未満の場合、得られる塗膜の耐水性が低くなる傾向がある。第2エポキシ樹脂のエポキシ当量が3800を超える場合、エポキシ系アミン樹脂と水とが相分離を起こして水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が得られないおそれがある。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K7236に従って求めることができる。
第2水性塗料組成物から形成される塗膜、被塗物、防食下地層及び旧塗膜等に対する付着性、塗膜、複層塗膜の耐水性、防食性の観点から、第2エポキシ樹脂の分子量は、2000以上であることが好ましく、より好ましくは2000〜7600、さらに好ましくは3000〜7000である。第2エポキシ樹脂の分子量が7600を超える場合、エポキシ系アミン樹脂と水とが相分離を起こして水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が得られないおそれがある。第2エポキシ樹脂の分子量は、第2エポキシ樹脂が分子内に有するエポキシ基の数をnとするとき、n×第2エポキシ樹脂のエポキシ当量で表される。
第2エポキシ樹脂をアミン変性するための方法の具体例は、1)第1級アミノ基含有ポリアミンを第2エポキシ樹脂に付加させる方法、2)ケチミン化したアミノ基含有化合物を第2エポキシ樹脂に付加させる方法を含む。これらの方法によって得られるアミン樹脂は、分子内に1以上の第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基、ならびに第2級水酸基を有するポリアミン樹脂である。このポリアミン樹脂が有する第1級アミノ基、第2級アミノ基及び/又は水酸基の一部にエポキシ基、酸無水物基、酸ハロゲン基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基等の官能基を有する化合物を反応させることによってさらに変性した樹脂を水性エポキシ系アミン樹脂(A2)として用いてもよい。かかる水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を使用することにより、得られる塗膜、複層塗膜の物性を調整することができる。
上記1)の方法は、より具体的には、第1級アミノ基含有ポリアミンの第1級アミノ基と第2エポキシ樹脂のエポキシ基の反応性基(例えばエポキシ基)とを反応させて第2級アミノ基を形成させ、その結果、第2級アミノ基を有する上記ポリアミン樹脂を生成させる方法である。第1級アミノ基含有ポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。第1級アミノ基含有ポリアミンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記2)の方法は、より具体的には、ケチミン化したアミノ基含有化合物と第2エポキシ樹脂とを反応させた後、ケチミン基を加水分解することにより、第1級アミノ基を形成させ、その結果、第1級アミノ基を有する上記ポリアミン樹脂を生成させる方法である。なお、ケチミン化したアミノ基含有化合物と第2エポキシ樹脂とを反応させる際には、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジエチルアミン等の第2級アミンを併存させてもよい。
ケチミン化したアミノ基含有化合物は、第1級アミノ基含有化合物とケトンとを反応させて得ることができる。第1級アミノ基含有化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の第1級アミノ基含有ポリアミン;アミノエチルエタノールアミン、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン等が挙げられる。第1級アミノ基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ケトンとしては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
水性エポキシ系アミン樹脂(A2)は、アミノ基を酸で中和して得られるものであってもよい。このような酸による中和は、例えば、エポキシ樹脂をアミン変性して得られるアミン樹脂が水性でない場合において、これを水性化する場合などに適用することができる。
酸の種類及び中和率は、所望とする水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の状態(水溶性〜水分散型)に応じて、任意の適切な酸の種類及び中和率を採用し得る。上記酸としては、例えば、酢酸、ギ酸、乳酸、リン酸等が挙げられる。「中和率」とは、エポキシ系アミン樹脂が有するアミノ基の全モル数に対する酸で中和されるアミノ基のモル数の割合を百分率で示したものである。中和率は、例えば10〜80%であり、好ましくは20〜70%であり、より好ましくは20〜60%である。中和率を上記範囲とすることにより、水性、とりわけ水分散型の水性エポキシ系アミン樹脂(A2)が得られやすくなる。
<付着向上剤(B)>
第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部であり、例えば、0.3〜17質量部である。
なお、後述のように、例えば、付着向上剤(B1)および付着向上剤(B2)を用いる場合、第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B)の含有量は、付着向上剤(B1)と付着向上剤(B2)との合計量を意味する。また、例えば、複数種の付着向上剤(B1)を用いる場合、付着向上剤(B1)の含有量は、各付着向上剤(B1)の合計量となる。同様のことが付着向上剤(B2)にも該当する。
このような範囲で付着向上剤(B)を含むことにより、本発明により得られる複層塗膜は、インターバルが長くなっても第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で十分な付着性を有することができ、その界面での剥離を低減又は抑制できる。
別の態様においては、前記付着向上剤(B)は、付着向上剤(B1)を単独で含むことができ、第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B1)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜20質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、例えば、0.3〜10質量部である。
(B1)を含むことにより、本発明により得られる複層塗膜は、インターバルが長くなっても第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で十分な付着性を有することができ、その界面での剥離を低減又は抑制できる。
また、ある態様においては、前記付着向上剤(B)は、付着向上剤(B2)を単独で含むことができ、第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B2)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して0.05〜20質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、例えば、0.3〜10質量部である。
(B2)を含むことにより、本発明により得られる複層塗膜は、インターバルが長くなっても第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で十分な付着性を有することができ、その界面での剥離を低減又は抑制できる。
一方、付着向上剤(B1)及び付着向上剤(B2)の少なくとも1種が、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.05質量部未満であると、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で十分な付着性を得ることができない。また、10質量部を超えると、防食性が低下し得る。
第1水性塗料組成物に含まれる付着向上剤(B)の含有量が本発明の範囲内であるか、付着向上剤(B1)、付着向上剤(B2)及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の付着向上剤の含有量が本発明の範囲内であることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜上に、第2水性塗料組成物から形成される塗膜を塗布するまでに、長期のインターバルが生じても、層間で十分な付着性を有する複層塗膜を得ることができる。
また、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で十分な付着性がもたらされるので、第2水性塗料組成物から形成される塗膜の耐割れ性、耐はがれ性を低減又は抑制できる。
例えば、付着向上剤(B1)の添加量と付着向上剤(B2)の添加量は同一であってもよく、どちらかの添加量を多く添加してもよい。
ある態様において、付着向上剤(B1)の添加量と付着向上剤(B2)の添加量の比率(B1)/(B2)は、(0.05/10〜10/0.05)、好ましくは(0.2/9〜9/0.2)である。例えば、使用比率(B1)/(B2)の値は、0.1〜15の範囲内であることができる。
本発明にかかる付着向上剤(B)は、水分散型の付着向上剤又は40℃で液状である付着向上剤及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種を含む。
本発明において、水分散型の付着向上剤又は40℃で液状である付着向上剤を用いることにより、第1水性塗料組成物の製造容易性、分散安定性をもたらし得る。
さらに、このような態様の付着向上剤を用いることで、本発明により得られる複層塗膜は、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で、長期のインターバルが生じても十分な付着性を有することができ、その界面での剥離を低減又は抑制できる。
また、本発明において、40℃で液状である付着向上剤は、40℃の大気圧下で液体状態であること、具体的には、40℃で流動性を示す状態を示す。例えば、ペースト状、粘性流動性状態であるものも、40℃で液状である付着向上剤に含まれる。また、40℃で液状であるとは、付着向上剤自体が他の溶媒を用いなくても40℃で液状である態様を含む。
ある態様においては、例えば、35℃で液状である付着向上剤、30℃で液状である付着向上剤を用いてもよい。
なお、本発明において、40℃で液状である付着向上剤を、均一型(液状)と記載する場合がある。このような付着向上剤は、例えば、付着向上能を有する化合物をそのまま使用できる態様で有り得る。
一方、40℃で液状ではない付着向上剤(以下、均一型(固体)と称する場合もある)を用いると、複層塗膜の付着性、例えば、複層塗膜間におけるより強固な密着性を保持できない。
本発明において、水分散型の付着向上剤は、例えば、水性媒体、例えば水などに分散させた付着向上剤を意味する。
ある態様においては、本発明にかかる付着向上剤(B1)及び(B2)は、それぞれ独立して、水分散型の付着向上剤又は40℃で液状である付着向上剤及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種である。
例えば、複数種の付着向上剤(B1)を用いる場合、各付着向上剤(B1)は、水分散型の付着向上剤であってもよい。また、付着向上剤を単独で用いた場合に、40℃で付着向上剤自体が固体ではなく、具体的には付着向上剤自体が40℃で液状であることができる。
さまざまな付着向上剤(B1)を用いる場合、複数種の付着向上剤(B1)が全て水分散型の付着向上剤であってもよく、全て40℃で液状である付着向上剤であってもよく、又は水分散型の付着向上剤と40℃で液状である付着向上剤を併用してもよい。
同様のことが、複数種の付着向上剤(B2)を用いる場合、複数種の付着向上剤(B1)及び付着向上剤(B2)を用いる場合にも該当し得る。
付着向上剤(B1)は、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物及びベンゾエート系化合物から選択される少なくとも1種を含み、具体的には、液状のベンゾトリアゾール系化合物、液状のトリアジン系化合物、液状のベンゾフェノン系化合物及び液状のベンゾエート系化合物から選択される少なくとも1種を含み、例えば、水分散系のベンゾトリアゾール系化合物、水分散系のトリアジン系化合物、水分散系のベンゾフェノン系化合物及び水分散系のベンゾエート系化合物から選択される少なくとも1種を含む。
ある態様においては、40℃で液状であるベンゾトリアゾール系化合物、40℃で液状であるトリアジン系化合物、40℃で液状であるベンゾフェノン系化合物及び40℃で液状であるベンゾエート系化合物から選択される少なくとも1種を含む。
このような付着向上剤(B1)を用いることにより、第1水性塗料組成物の製造容易性、分散安定性をもたらし得る。
さらに、このような態様の付着向上剤を用いることで、本発明により得られる複層塗膜は、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で、長期のインターバルが生じても十分な付着性を有することができ、その界面での剥離を低減又は抑制できる。
付着向上剤(B1)として、例えば、TINUVIN(登録商標)99−DW、TINUVIN(登録商標)479−DW、TINUVIN(登録商標)384−2、TINUVIN(登録商標)400等(いずれもBASF社製)を挙げることができる。また、例えば、ベンゾトリアゾール系としてTINUVIN(登録商標) P、TINUVIN(登録商標) 234、TINUVIN(登録商標) 326、TINUVIN(登録商標) 900など、トリアジン系としてTINUVIN(登録商標) 1577FFなど、ベンゾフェノン系としてCHIMASORB(登録商標) 81など、ベンゾエート系としてTINUVIN(登録商標) 120など(いずれもBASF社製)が知られている。
ある態様においては、付着向上剤(B1)は分子量が1500以下、好ましくは1000以下のものが使用される。このような範囲で分子量を有することにより、水系でより効果的に付着向上剤(B1)を使用できる。
付着向上剤(B2)は、例えば、ヒンダードアミン系化合物及びヒンダードフェノール系化合物から選択される少なくとも1種を含み、具体的には液状のヒンダードアミン系化合物及び液状の水分散系のヒンダードフェノール系化合物から選択される少なくとも1種を含み、例えば、水分散系のヒンダードアミン系化合物及び水分散系のヒンダードフェノール系化合物から選択される少なくとも1種を含む。ある態様においては、40℃で液状であるヒンダードアミン系化合物及び40℃で液状であるヒンダードフェノール系化合物から選択される少なくとも1種を含む。
このような付着向上剤(B2)を用いることにより、本発明により得られる複層塗膜は、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間で、長期のインターバルが生じても十分な付着性を有することができ、その界面での剥離を低減又は抑制できる。
付着向上剤(B2)として、例えば、TINUVIN(登録商標)123−DW、TINUVIN(登録商標)292、TINUVIN(登録商標)1135等(いずれもBASF社製)を挙げることができる。
また、例えば、ヒンダードアミン系として、CHIMASORB(登録商標) 944、TINUVIN(登録商標) 144、TINUVIN(登録商標) 770など、ヒンダードフェノール系としてIRGANOX(登録商標) 1010、IRGANOX(登録商標)1098などが知られている(いずれもBASF社製)。
好ましくは、ヒンダードアミン系の付着向上剤(B2)が用いられる。ヒンダードアミン系の付着向上剤を用いることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、第2水性塗料組成物から形成される塗膜との間の付着性を向上でき、さらに、インターバルを長く取れる。
ある態様においては、付着向上剤(B2)は分子量が1500以下、好ましくは1000以下のものが使用される。このような範囲で分子量を有することにより、水系でより効果的に付着向上剤(B2)を使用できる。
<硬化剤(C)>
本発明に係る水性塗料組成物は、2液型である場合において硬化剤(C)を含有することができる。この場合、本発明に係る水性塗料組成物は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)を含む第1剤と、硬化剤(C)を含む第2剤とからなることができる。
本発明に係る第1水性塗料組成物に硬化剤(C)が含まれる場合、硬化剤(C)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜100質量部であるのが好ましく、例えば、0.2〜90質量部であることがより好ましい。
硬化剤(C)は、第1剤に含まれるビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)が有する官能基(第1官能基)に対して反応性を示す官能基(第2官能基)を有する化合物である。硬化剤(C)は、水性、すなわち水溶性又は水分散型の硬化剤であることが好ましい。ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)が有する第1官能基に対して反応性を示す第2官能基の具体例は、エポキシ基(例えばグリシジル基)、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基を含む。硬化剤(C)は、第2官能基を分子内に1以上有し、好ましくは2以上(例えば2〜4個)有する。硬化剤(C)は、好ましくは(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びアミノ基からなる群より選択される官能基(第2官能基)を有する化合物を含む。
例えば、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)が、エポキシ基を有するエポキシ樹脂(A1)を含む場合、硬化剤(C)は、第2官能基としてアミノ基を有する硬化剤、イソシアネート基を有する硬化剤、及び/又はカルボキシル基を有する硬化剤であることができる。
アミノ基を有する硬化剤は、好ましくはアミノ基を分子内に2以上有するポリアミン樹脂であり、より好ましくは当該ポリアミン樹脂のエマルションである。ポリアミン樹脂の具体例は、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、トリプロピレングリコールジアミン等のその他のポリアミン化合物を含む。
アミノ基を有する硬化剤は、上述の水性エポキシ系アミン樹脂(A2)であってもよい。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を硬化剤として用いることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性、さらには、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、被塗物、被塗物に施される防食下地層、又は旧塗膜に対する付着性、並びに第1水性塗料組成物から形成される塗膜、複層塗膜の防食性及び耐水性を向上させ得る。
硬化剤としての水性エポキシ系アミン樹脂(A2)の具体的な説明については、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)としての上の記述が引用される。
例えば、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)が、水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を含む場合、硬化剤(C)は、第2官能基としてエポキシ基を有する硬化剤、(メタ)アクリロイル基を有する硬化剤、及び/又はイソシアネート基を有する硬化剤であることができる。これらの硬化剤については上述のとおりである。
上記エポキシ基を有する硬化剤は、好ましくはエポキシ基を分子内に2以上有するエポキシ樹脂であり、従来公知の硬化剤を用いてもよいが、好ましくは、上述の水性エポキシ樹脂(A2)が用いられる。硬化剤としての水性エポキシ樹脂(A2)の具体的な説明については、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)としての上の記述が引用される。
ある態様においては、硬化剤(C)は、第2官能基としてエポキシ基を有する硬化剤、(メタ)アクリロイル基を有する硬化剤、及び/又はイソシアネート基を有する硬化剤であることができる。エポキシ基を有する硬化剤は、好ましくはエポキシ基を分子内に2以上有するエポキシ樹脂であり、従来公知の硬化剤を用いてもよいが、好ましくは、上述の水性エポキシ樹脂(A2)が用いられる。(メタ)アクリロイル基を有する硬化剤は、好ましくは(メタ)アクリロイル基を分子内に2以上有する化合物〔(メタ)アクリロイル基含有化合物〕である。この場合、硬化剤(C)は、(メタ)アクリロイル基含有化合物の水分散体又は水溶液であることが好ましい。硬化剤としての水性エポキシ樹脂(A2)の具体的な説明については、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)としての上の記述が引用される。
(メタ)アクリロイル基含有化合物の分子量は、好ましくは150〜2000であり、より好ましくは200〜1700、さらに好ましくは250〜1300である。(メタ)アクリロイル基含有化合物が有する(メタ)アクリロイル基の数は1以上であり、好ましくは2〜4である。(メタ)アクリロイル基含有化合物の25℃における粘度は、例えば3000mPa・s以下であり、好ましくは50〜3000mPa・sである。
(メタ)アクリロイル基含有化合物の具体例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリロキシジメタアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸との反応物等のエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとカルボキシル基含有エチレン性不飽和基モノマーとの付加物;エチレンジアミンジ(メタ)アクリレート等の多価アミンの重合性不飽和モノカルボン酸アミド化合物等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリロイル基含有化合物は、水溶性、自己乳化性、又は非水溶性であり得る。室温下において、(メタ)アクリロイル基含有化合物5gを100gの水に加えて3分間撹拌し、5分間静置した後の状態を目視で観察して、沈殿が生じていれば「非水溶性」、沈殿がなく透明であれば「水溶性」、沈殿がなく濁りがあれば「自己乳化性」と判断することができる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物が水溶性である場合、その水分散体又は水溶液は、(メタ)アクリロイル基含有化合物の水溶液であることができる。(メタ)アクリロイル基含有化合物が自己乳化性又は非水溶性である場合、その水分散体又は水溶液は、(メタ)アクリロイル基含有化合物の水分散体、例えばエマルションであることができる。水分散体の調製において、乳化剤、分散剤、水性樹脂等を用いてもよい。水分散体の調製において、有機溶剤で(メタ)アクリロイル基含有化合物を希釈する処理を行ってもよい。
(メタ)アクリロイル基含有化合物の水分散体(エマルション)を調製する際に用いることのできる乳化剤の具体例は、ノニオン系乳化剤、アニオン系乳化剤を含む。ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物の水分散体を調製する際に用いることのできる分散剤の具体例は、ポリアクリル酸ソーダ塩、スチレンマレイン酸共重合体のハーフエステルのアンモニウム塩、スチレンマレイン酸共重合体のハーフエステルのポリエチレンオキサイド付加物を含む。(メタ)アクリロイル基含有化合物の水分散体を調製する際に用いることのできる水性樹脂の具体例は、ポリアクリル酸エステルのソーダ塩を含む。なお、水性塗料組成物が2液型の場合、第2剤(硬化剤)に、上記分散剤、乳化剤又は水性樹脂を含有させてもよい。
(メタ)アクリロイル基含有化合物を有機溶剤で希釈する際に用いることのできる有機溶剤の具体例は、エチレングリコールモノブチエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを含む。
(メタ)アクリロイル基含有化合物は、例えば、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドによって変性し、そのポリアルキレンオキサイド付加モル数を増やすことで親水性を高めることにより、水溶性又は自己乳化性の樹脂とすることができる。
水溶性の(メタ)アクリロイル基含有化合物の具体例は、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO30mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO20mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO30mol)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(EO35mol)、エトキシ化グリセリントリアクリレート(EO20mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO30mol)を含む。水溶性の(メタ)アクリロイル基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本明細書において、例えば「EO30mol」の表記は、分子中に30個のエチレンオキサイドを有していることを表す。「PO」はプロピレンオキサイドを表す。
自己乳化性を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の具体例は、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(EO9mol)、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(EO14mol)、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート(EO23mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO10mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO20mol)、エトキシ化グリセリントリアクリレート(EO9mol)、ポリエチレングリコール#1000ジメタクリレート(EO23mol)を含む。自己乳化性を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶性の(メタ)アクリロイル基含有化合物の具体例は、ポリエチレングリコール#200グリコールジアクリレート(EO4mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO3mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO4mol)、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(PO3mol)、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート(EO2mol)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート(PO2mol)、トリプロピレングリコールジアクリレート(PO3mol)、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート(PO7mol)、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート(PO12mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO3mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO9mol)、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(PO3mol)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(EO4mol)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PO4mol)、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(PO4mol)、エチレングリコールジメタクリレート(EO1mol)、ジエチレングリコールジメタクリレート(EO2mol)、トリエチレングリコールジメタクリレート(EO3mol)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(EO4mol)、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(EO9mol)、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート(EO14mol)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO2.6mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO4mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO6mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO10mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO17mol)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート(PO12mol、EO6mol)、グリセリンジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート(PO3mol)、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート(PO7mol)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート(EO9mol)を含む。非水溶性の(メタ)アクリロイル基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の第1官能基と硬化剤(C)の第2官能基との当量比(第2官能基/第1官能基)は、好ましくは0.7〜2.5であり、より好ましくは0.8〜2.0である。当該当量比が0.7未満の場合、水性塗料組成物の硬化性が低下するおそれがある。当該当量比が2.5を超える場合、得られる塗膜の第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性又は旧塗膜に対する付着性が低下し得る。また、第1水性塗料組成物から形成される塗膜、複層塗膜の防食性及び耐水性が低下し得る。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルション(D)>
本発明に係る第1水性塗料組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」ともいう。)のエマルション(D)を含んでもよい。本発明に係る水性塗料組成物が2液型である場合においてEVAのエマルション(D)は、第1剤に含まれていてもよいし、第2剤に含まれていてもよい。本発明に係る水性塗料組成物が2液型である場合においてEVAのエマルション(D)は、第1剤と第2剤とを混合する前の第1剤又は第2剤に加えてもよいし、第1剤と第2剤とを混合した後に加えてもよい。EVAのエマルション(D)を含有させることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性、さらには、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、被塗物、被塗物に施される防食下地層、又は旧塗膜に対する付着性を向上させることができる。また、EVAのエマルション(D)を含有させることにより、塗膜、複層塗膜の可撓性、ひいては耐衝撃性を高め得る。
EVAのエマルション(D)は、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとを、乳化剤及びラジカル重合開始剤の存在下に乳化重合させることにより得ることができる。EVAのエマルション(D)として市販品を用いることもできる。
第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性の観点から、EVAにおけるエチレン比率は、5〜50質量%であり、5〜40質量%、例えば10〜30質量%であることが好ましい。従って、EVAにおける酢酸ビニル比率は、50〜95質量%であり、60〜95質量%、例えば70〜90質量%であることが好ましい。EVAのエマルション(D)における固形分濃度は、例えば20〜60質量%である。EVAのエマルション(D)は、エチレン比率の異なる2種以上のEVAを含んでいてもよい。
第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性の観点から、EVAのエマルション(D)を含む場合、水性塗料組成物におけるEVAの含有量は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、4〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは4〜40質量部であり、例えば、4〜35質量部である。EVAの含有量とは、エマルション(D)の固形分としての含有量を意味する。
このような範囲内でEVAを用いることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、被塗物、被塗物に施される防食下地層、又は旧塗膜に対する層間付着性を向上させることができる。さらに、塗膜、複層塗膜の可撓性、ひいては耐衝撃性を高め得る。
<アルコキシシラン化合物(E)>
本発明に係る水性塗料組成物は、アルコキシシラン化合物(E)をさらに含むことができる。本発明に係る第1水性塗料組成物が2液型である場合において、アルコキシシラン化合物(E)は、第1剤に含まれていてもよいし、第2剤に含まれていてもよい。本発明に係る第1水性塗料組成物が2液型である場合においてアルコキシシラン化合物(E)は、第1剤と第2剤とを混合する前の第1剤又は第2剤に加えてもよいし、第1剤と第2剤とを混合した後に加えてもよい。アルコキシシラン化合物(E)を含有させることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性、さらには、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、被塗物の素地表面等の下地に対する付着性、被塗物に施される防食下地層、又は旧塗膜に対する付着性をさらに向上させることができる。
アルコキシシラン化合物(E)は、有機物に対して反応性又は親和性を示す官能基と、無機物に対して反応性又は親和性を示す官能基とを有する。有機物に対して反応性又は親和性を示す官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。一方、無機物に対して反応性又は親和性を示す官能基は、例えば、メトキシシラン基、エトキシシラン基、プロポキシシラン基等のアルコキシシラン基である。アルコキシシラン化合物(E)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコキシシラン化合物(E)の具体例は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロポキシトリメトキシシラン等のγ−グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロポキシトリメトキシシラン等のγ−メタクリロキシアルキルトリアルコキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン等のγ−アミノプロピルトリアルコキシシラン;N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン等のN−フェニル−γ−アミノアルキルトリアルコキシシランを含む。中でも好ましくは、γ−グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシアルキルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−フェニル−γ−アミノアルキルトリアルコキシシランであり、より好ましくはγ−グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシアルキルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシランであり、さらに好ましくはγ−グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシアルキルトリアルコキシシランである。
アルコキシシラン化合物(E)は、上記アルコキシシラン化合物のアルコキシシラン基の一部が加水分解したもの、及び/又はアルコキシシラン基の一部が加水分解脱水縮合したものであってよい。
アルコキシシラン化合物(E)が含まれる態様における、アルコキシシラン化合物(E)の含有量は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分を100質量部とするとき、好ましくは0.2〜15質量部であり、より好ましくは0.5〜12質量部(例えば1〜10質量部)である。アルコキシシラン化合物(E)の含有量が上記範囲であることにより、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性が向上し、さらに、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と、被塗物の素地表面等の下地に対する付着性、被塗物に施される防食下地層との付着性に優れ、その結果、優れた防食性を示す塗膜、複層塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。アルコキシシラン化合物(E)の含有量が過度に大きいと、塗膜、複層塗膜の硬化性が低下するおそれがある。
<その他の配合成分(F)>
本発明に係る第1水性塗料組成物は、上記以外のその他の配合成分を必要に応じて含有することができる。その他の配合成分としては、顔料、添加剤、水、有機溶剤を挙げることができる。本発明に係る第1水性塗料組成物が2液型である場合においてその他の配合成分は、第1剤に含まれていてもよいし、第2剤に含まれていてもよい。本発明に係る第1水性塗料組成物が2液型である場合においてその他の配合成分は、第1剤と第2剤とを混合する前の第1剤又は第2剤に加えてもよいし、第1剤と第2剤とを混合した後に加えてもよい。
顔料の具体例は、酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アゾレッド、キナクリドンレッド、ベンズイミダゾロンイエロー等の着色顔料;炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、アルミナ、ミョウバン等の体質顔料;トリポリリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等の防錆顔料を含む。顔料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
第1水性塗料組成物中の顔料体積濃度は、好ましくは20〜50%であり、より好ましくは25〜45%であり、さらに好ましくは30〜40%である。顔料体積濃度が20%未満の場合、顔料を含有させることの効果(防食性(防錆性)、塗膜強度の向上など)、が十分に得られないおそれがあり、50%より大きい場合、塗膜外観が低下するおそれがある。なお、顔料体積濃度は、顔料の配合量及び塗料中の各成分の比重から計算により求めることができる。
添加剤の具体例は、分散剤、粘性調整剤、硬化触媒、表面調整剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、沈降防止剤、防腐剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤等が挙げられる。添加剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤の具体例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコール系溶剤;キシレン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200等の芳香族系溶剤;ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ジエチルアジペート、ジイソブチルアジペート等のエステル系溶剤等が挙げられる。
<第1塗膜を形成する工程(1)>
本発明は、被塗物上に第1水性塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)を含む。例えば、本発明に係る第1水性塗料組成物が2液型である場合においては第1剤と第2剤とを混合した後、被塗物に塗装される。塗装される被塗物表面の材質は、例えば、金属(合金を含む。)、木材、プラスチック、ゴム、石材、スレート、コンクリート、モルタル、繊維、紙、ガラス、磁器、陶器、フィルム、及びこれらの複合体等であり得る。例えば、被塗物表面がスレート、コンクリート等の無機系材料からなる場合、予めその表面にシーラーが塗装されていてもよい。また、被塗物表面が金属材料からなる場合、予め被塗物に防食下地層を施してもよい。さらに、塗装される被塗物表面は旧塗膜を有していてもよい。
本発明に係る第1水性塗料組成物は、好ましくは、金属表面若しくは旧塗膜上、又は金属表面及び旧塗膜上の双方に適用される。金属としては、例えば、鉄、銅、錫、亜鉛、アルミニウム、ステンレス等が挙げられる。
塗装される表面が金属又は旧塗膜である被塗物としては、例えば、建築物(例えば、土木構築物)、船舶、車両(例えば、鉄道車両、大型車両)、航空機、橋梁、海上構築物、プラント、タンク(例えば、石油タンク)、パイプ、鋼管、鋳鉄管等が挙げられる。
第1水性塗料組成物を被塗物に塗布し、乾燥させることによって塗膜を形成することができる。塗布方法は、被塗物(基材)の種類等に応じて、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、コテ等による塗布や浸漬等が挙げられる。
第1水性塗料組成物の塗布量は、用途や被塗物の種類等にもよるが、例えば10〜350g/mである。乾燥後の第1塗膜の膜厚は、例えば10〜300μmであり、10〜250μm又は15〜200μmであってもよい。第1水性塗料組成物を複数回塗り重ねて所望の膜厚を有する乾燥塗膜を形成してもよい。この場合、ウェット塗膜を複数層塗り重ねて形成した後、乾燥を行って所望の膜厚を有する乾燥塗膜を得てもよいし、乾燥塗膜を複数層形成することによって所望の膜厚を有する乾燥塗膜を得てもよい。
塗膜の乾燥は、自然乾燥によって行うことができる。自然乾燥は、常温(25℃若しくはその近傍)又はそれ以下の温度で行うことができる。自然乾燥の場合、完全硬化塗膜を得るための乾燥時間は、好ましくは2時間以上、より好ましくは24時間以上、さらに好ましくは1週間以上である。本発明に係る第1水性塗料組成物によれば、常温又はそれ以下の温度で自然乾燥させても、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性、耐水性及び防食性に優れる塗膜、複層塗膜を形成することができる。
本発明に係る第1水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成する前に、別の塗膜、例えば、被塗物表面に防食下地層組成物を塗装して、防食下地層を形成してもよい。防食下地層を形成することで防食性及び耐水性により優れ、例えば、橋梁、プラント、タンク等の高い防食性が要求される場合にも充分に対応することができる。
防食下地層組成物としては、例えば、有機又は無機のジンクリッチ塗料組成物が挙げられる。防食下地層組成物は、溶剤型であってもよく、水性であってもよいが、環境負荷低減の観点から、好ましくは水性である。
防食下地層の形成には、防食下地層組成物の種類等に応じて、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、コテ等による塗布や浸漬等が挙げられる。
防食下地層組成物の塗布量は、防食下地層組成物の種類及び塗装の目的等にもよるが、例えば80〜1200g/mである。乾燥後の防食下地層の膜厚は、例えば20〜300μmであり、20〜200μmであってもよい。防食下地層組成物からなる塗膜の乾燥は、自然乾燥、強制乾燥、焼き付け等によって行うことができる。
<第2塗膜を形成する工程(2)>
本発明は、上記工程(1)によって得られた第1塗膜上に、第2水性塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)を含む。
<第2水性塗料組成物>
第2水性塗料組成物は、水性樹脂組成物、無機水性塗料組成物、無機−有機複合水性塗料組成物を含み得る。これらは、1液型であってもよく、2液型であってもよい。
例えば、第2水性樹脂組成物は水性樹脂(a)を含み、前記水性樹脂(a)は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、無機系樹脂及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種の水性樹脂を含む。また、これらの水性塗料組成物は例えば、1液型であっても2液型であってもよく、例えば、水性1液型ウレタン樹脂、水性2液型ウレタン塗料、水性1液型フッ素樹脂、水性2液型フッ素樹脂、水性1液型エポキシ樹脂、水性2液型エポキシ樹脂が挙げられる。このような水性塗料組成物であれば、表面の高いグロスを保持でき、長期の美観保護が達成できる。
また、例えば、第2水性樹脂組成物は、水性樹脂(a)として、水性エポキシ樹脂、水性ウレタン樹脂、好ましくは水性エポキシ樹脂を含む場合、第1塗膜との付着性がより優れ、強固な複層塗膜を形成することができる。
このような水性樹脂組成物、無機水性塗料組成物、無機−有機複合水性塗料組成物は、所望により、更なる添加剤、顔料などを含み得る。また、これらの塗料組成物は、いずれも水性である。
第2塗膜を形成する工程(2)は、例えば、本発明に係る第2水性塗料組成物が2液型である場合においては第1剤と第2剤とを混合した後、被塗物に塗装される。
第2塗膜を形成する工程(2)は、具体的には、第2水性塗料組成物を、工程(1)で形成した塗膜上に塗布し、乾燥させることによって塗膜を形成することができる。塗布方法は、被塗物(基材)の種類等に応じて、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、コテ等による塗布や浸漬等が挙げられる。
また、本発明の複層塗膜形成方法によれば、工程(1)により第1水性塗料組成物を塗布した後、第2水性塗料組成物を塗布するまでに許容されるインターバルを、長くとることができる。従って、大型構造物等の補修、新設の防食塗装において特に有用なものである。
さらに、本発明の塗膜形成方法によれば、このような範囲でインターバルを採ることができる上に、第1塗膜と第2塗膜の間に高い付着性をもたらすことができる。このため、大型構造物等の補修、新設の防食塗装などにおいて、塗布作業の自由度が増加し、さらに、長期に亘り第1塗膜と第2塗膜との層間付着性を保持できるので、再塗装、補修を容易に行えない大型構造物において、特に有用である。
第2水性塗料組成物の塗布量は、用途、被塗物の種類、第1塗膜の種類等にもよるが、例えば10〜350g/mである。乾燥後の第2塗膜の膜厚は、例えば10〜300μmであり、10〜250μm又は15〜200μmであってもよい。第2水性塗料組成物を複数回塗り重ねて所望の膜厚を有する乾燥塗膜を形成してもよい。この場合、乾燥塗膜を複数層形成することによって所望の膜厚を有する乾燥塗膜を得てもよい。
塗膜の乾燥は、自然乾燥によって行うことができる。自然乾燥は、常温(25℃若しくはその近傍)又はそれ以下の温度で行うことができる。自然乾燥の場合、完全硬化塗膜を得るための乾燥時間は、好ましくは2時間以上、より好ましくは24時間以上、さらに好ましくは1週間以上である。本発明に係る第2水性塗料組成物によれば、常温又はそれ以下の温度で自然乾燥させても、第1水性塗料組成物から形成される塗膜と第2水性塗料組成物から形成される塗膜との付着性、耐水性及び防食性に優れる塗膜、複層塗膜を形成することができる。
ある態様において、本発明により第2塗膜を形成後、又は第2水性塗料組成物を塗布後に、更なる塗膜を形成することができる。
例えば、本発明により形成された第2塗膜上に、同種又は他種の上記第2水性塗料組成物を塗布してもよい。また、第2塗膜上に、クリアコーティングなどを施してもよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部及び%は質量基準である。
〔1〕第1水性塗料組成物の調製
以下において、第1水性塗料組成物に含まれる各成分の詳細について説明する。
(製造例1:水性エポキシ系アミン樹脂(A2)Iの調製)
撹拌機、冷却器、窒素導入管及び温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂742部、ビスフェノールA 336部、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。)190部を仕込み、ベンジルジメチルアミン1部の存在下、エポキシ当量が1079g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、ジエチレントリアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)360部を加え、117℃で1時間反応させた。その後、イオン交換水27部、ネオデカン酸グリシジルエステル(ヘキシオン・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名「カージュラE10−P」)188部を仕込み、100℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分75%になるまで希釈し、アミン当量が1095のエポキシ系アミン樹脂を得た。次いでここに、上で定義した中和率が35%となるように酢酸を加えた後、イオン交換水を加えて希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBK及び水の混合物を除去して、乳白色の水性(水分散型)エポキシ系アミン樹脂(A3−1)Iを得た。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)Iのアミン当量は、原料配合量から算出した。
(製造例2:水性エポキシ系アミン樹脂(A2)IIの調製)
撹拌機、冷却器、窒素導入管及び温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂1940部、ビスフェノールA 1060部、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。)1000部を仕込み、ベンジルジメチルアミン8部の存在下、エポキシ当量が3000g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、ジエチレントリアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)360部を加え、117℃で1時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分60%になるまで希釈し、アミン当量が1550のエポキシ系アミン樹脂を得た。次いでここに、上で定義した中和率が40%となるように酢酸を加えた後、イオン交換水を加えて希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBK及び水の混合物を除去して、乳白色の水性(水分散型)エポキシ系アミン樹脂(A3−1)IIを得た。水性エポキシ系アミン樹脂(A2)IIのアミン当量は、原料配合量から算出した。
製造例1及び2で得られた水性エポキシ系アミン樹脂(A2)のアミン当量、GPCを用いた標準ポリスチレン換算による数平均分子量、及び状態、並びに水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を形成するエポキシ樹脂のエポキシ当量などを表1にまとめた。
Figure 0006854104
(エポキシ基を有するエポキシ樹脂)
水性エポキシ樹脂(A1)III:ADEKA社製の「アデカレジンEM−101−50」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエマルション、固形分:47質量%、エポキシ当量:500g/当量、数平均分子量:1000)
(付着向上剤(B1))
付着向上剤B1として、以下のものを用いた
TINUVIN(登録商標)99−DW(BASF社製、水分散型)
TINUVIN(登録商標)479−DW(BASF社製、水分散型)
TINUVIN(登録商標)384−2(BASF社製、40℃で液状)
TINUVIN(登録商標)400(BASF社製、40℃で液状)
TINUVIN(登録商標)479(BASF社製、40℃で固体)
(付着向上剤(B2))
付着向上剤B2として、以下のものを用いた
TINUVIN(登録商標)123−DW(BASF社製、水分散型)
TINUVIN(登録商標)292(BASF社製、40℃で液状)
IRGANOX (登録商標)1135(BASF社製、40℃で液状)
TINUVIN(登録商標)144(BASF社製、40℃で固体)

EVAのエマルション(D)XI:昭和電工(株)製の「ポリゾールEVA AD−20」(固形分:56質量%、エチレン比率:30質量%)
アルコキシシラン化合物(E)XII:EVONIK INDUSTRIES社製の「Dynasylan MEMO」(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、固形分:100質量%)
エポキシ基含有硬化剤XIII:ADEKA社製の「アデカレジンEM−101−50」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエマルション、固形分:47質量%、エポキシ当量:500g/当量、数平均分子量:1000)
(製造例3:(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有するエマルションXIVの調製)
水35部、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル10部、ノニオン系乳化剤〔日本乳化剤社製、商品名「ニューコール740」〕5部、及びプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(PO3mol)〔粘度(25℃):85mPa・s、分子量:470、官能基数:3、アクリロイル基当量:157〕50部を混合し、ホモジナイザーで10分間撹拌して、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有するエマルションXIVを得た。「PO3mol」とは、分子内にプロピレンオキサイドを3個有することを意味する。エマルションXIVは、硬化剤(C)として用いた。なお、硬化剤(C)の固形分は50質量%であった。
アミノ基含有硬化剤XV:T&K TOKA社製の「フジキュアーFXS−918−FA」(エポキシアダクトタイプの変性ポリアミン樹脂、固形分:60質量%、アミン当量:387)。
〔2〕第2水性塗料組成物の調製
以下の表2において、第2水性塗料組成物に含まれる各成分の詳細について説明する。
Figure 0006854104
<実施例1〜12、比較例1〜4>
水80部、顔料分散剤(ビックケミー社製、商品名「Disperbyk−190」)25部、タルク75部、炭酸カルシウム40部、酸化チタン170部、リン酸系防錆顔料20部を混合し、ディスパーで30分間撹拌することによって、顔料分散ペーストを製造した。次に、表3又は表4に示される第1剤(主剤)の配合成分(表3又は表4に示される配合量)と、上記顔料分散ペースト410部とをディスパーを用いて混合した。その後、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルを50部、会合型増粘剤(ADEKA社製、商品名「アデカノールUH−420」を5部加えて混合し、第1剤(主剤)を調製した。
また、いくつかの実施例においては、第2剤として表3又は表4に示される硬化剤(表3又は表4に示される配合量)を用意した。これにより、1液型又は2液型の第1水性塗料組成物を得た。
さらに、表3又は表4に示される各種樹脂を含む第2水性塗料組成物を調製した。
表3及び表4に示される配合量の単位は「質量部」である。また、表3及び表4に示される配合量は、固形分換算量ではなく、有姿量である。
Figure 0006854104
Figure 0006854104
(第1塗膜の第2塗膜に対するインターバル付着性)
各実施例および比較例に対応する第1水性塗料組成物を、2液型の水性塗料組成物については第1剤と第2剤とをディスパーを用いて混合した後、磨き鋼板に刷毛を用いて塗布量140g/m2で塗装し、23℃の環境下で24時間乾燥させて、上記第1水性塗料組成物から形成された第1塗膜を有する試験板を得た。
次いで、第1塗膜を形成した試験片を、7日間屋外に曝露した後、この塗膜の上に、第2水性塗料組成物を、刷毛を用いて塗布量140g/m2で塗装し、23℃の環境下で168時間乾燥させて、第2塗膜を形成した。この試験板について、JIS K 5600−5−6に準拠したクロスカット法により付着性試験を行い、下記基準に基づき、上塗り塗膜に対する付着性を評価した。結果を表3及び表4に示す。
0:カットのふちが完全に滑らかで、どの格子の目にもハガレがない、
1:カットの交差点における塗膜の小さなハガレがあり、剥離部分の面積が5%未満で
ある、
2:剥離部分の面積が、5%以上15%未満である、
3:剥離部分の面積が15%以上35%未満である、
4:剥離部分の面積が35%以上65%未満である、
5:剥離部分の面積が65%以上である。
(塗膜の防食性)
実施例及び比較例で得られた第1塗膜を有する試験板について、この試験板について、JIS K 5600−7−9のサイクルDに準拠してサイクル腐食性試験(120サイクル:720時間)を行い、下記基準に基づき評価した。
AA:錆が認められない、
A :0.05%未満の面積で錆が認められる、
B :0.05%以上の面積で錆が認められる。
本発明によれば、インターバルを長くとることができ、第1塗膜と第2塗膜との層間付着性に優れ、優れた防食性を有する複層塗膜を得ることができる。
一方、本発明の複層塗膜形成方法を用いることなく製造された複層塗膜は、優れた防食性と層間付着性とを共に有することはできない。例えば、付着向上剤を含まない(比較例1)、付着向上剤の添加量が下限以下(比較例2)、及び付着向上剤が40℃で固体であること(比較例4)によると、層間付着性が十分ではなく、さらに剥離が発生する場合には長期の防食性が期待できない。また、付着向上剤の添加量が上限以上(比較例3)によると、第1塗膜単膜での防食性が劣り、複層塗膜全体の防食性も低下する。
本発明による複層塗膜形成方法は、インターバルを長くしても、第1塗膜と第2塗膜との付着性に優れ、その上、防食性に優れた複層塗膜の形成方法であって、水性塗料組成物を用いる複層塗膜形成方法を提供することを目的とする。本発明の複層塗膜形成方法は上述したような一般工業用途に適用できる。

Claims (6)

  1. 被塗物上に第1水性塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)、
    前記工程(1)によって得られた第1塗膜上に、第2水性塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)、を含む複層塗膜形成方法であって、
    前記第1水性塗料組成物は、ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)と、付着向上剤(B)とを含み、
    前記付着向上剤(B)は、付着向上剤(B1)および付着向上剤(B2)を含み、
    前記付着向上剤(B1)は、水分散型または40℃で液状の、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物及びベンゾエート系化合物から選択される少なくとも1種を含み、
    前記付着向上剤(B2)は、水分散型または40℃で液状の、ヒンダードアミン系化合物及びヒンダードフェノール系化合物から選択される少なくとも1種を含み、
    前記第1水性塗料組成物における前記付着向上剤(B1)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜10質量部であり、
    前記第1水性塗料組成物における前記付着向上剤(B2)の含有量は、前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜10質量部である、複層塗膜形成方法。
  2. 前記ビスフェノール型水性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ基を有するエポキシ樹脂(A1)又は水性エポキシ系アミン樹脂(A2)を含む、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記第1水性塗料組成物は、更に硬化剤(C)を含む、請求項1または2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 前記硬化剤(C)は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を含む、請求項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 前記第1水性塗料組成物は、エチレン比率が5〜50質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルション(D)を更に含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  6. 前記第2水性塗料組成物は、水性樹脂(a)を含み、前記水性樹脂(a)は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、無機系樹脂及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種の水性樹脂を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
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