以下、本発明の一実施形態における鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
<第1実施形態>
[鍵盤装置の構成]
図1は、第1実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。鍵盤装置1は、この例では、電子ピアノなどユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する電子鍵盤楽器である。なお、鍵盤装置1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置1は、音源装置を有していなくてもよい。
鍵盤装置1は、鍵盤アセンブリ10を備える。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100wおよび黒鍵100bを含む。複数の白鍵100wと黒鍵100bとが並んで配列されている。鍵100の数は、N個であり、この例では88個であるが、この数に限られない。鍵100が配列された方向をスケール方向という。白鍵100wおよび黒鍵100bを特に区別せずに説明できる場合には、鍵100という場合がある。以下の説明においても、符号の最後に「w」を付した場合には、白鍵に対応する構成であることを意味している。また、符号の最後に「b」を付した場合には、黒鍵に対応する構成であることを意味している。
ここで以下の説明で用いる方向(スケール方向D1および回動方向D2)について定義する。スケール方向D1は、鍵100が配列される方向である。回動方向D2は、ハンマアセンブリ200の延びる方向(演奏者から見た手前から奥側方向、D3逆方向)を軸として回動する方向に対応する。なお、ハンマアセンブリ200の回動方向D2は、鍵100の回動方向と略同一である。
鍵盤アセンブリ10の一部は、筐体90の内部に存在している。鍵盤装置1を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ10のうち筐体90に覆われている部分を非外観部NVといい、筐体90から露出してユーザから視認できる部分を外観部PVという。すなわち、外観部PVは、鍵100の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵100のうち外観部PVによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。
筐体90内部には、音源装置70およびスピーカ80が配置されている。音源装置70は、鍵100の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ80は、音源装置70において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。なお、鍵盤装置1は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどが備えられていてもよい。
なお、本明細書における説明において、上、下、左、右、手前および奥などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤装置1を見た場合の方向を示している。そのため、例えば、非外観部NVは、外観部PVよりも奥側に位置している、と表現することができる。また、鍵前端側(鍵前方側)、鍵後端側(鍵後方側)のように、鍵100を基準として方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵100に対して演奏者から見た手前側を示す。鍵後端側は鍵100に対して演奏者から見た奥側を示す。この定義によれば、黒鍵100bのうち、黒鍵100bの鍵本体部の前端から後端までが、白鍵100wよりも上方に突出した部分である、と表現することができる。
図2は、第1実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置70は、信号変換部710、音源部730および出力部750を備える。センサ300は、各鍵100に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。
信号変換部710は、センサ300(88の鍵100に対応したセンサ300−1、300−2、・・・、300−88)の出力信号を取得し、各鍵100における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。そのため、押鍵操作に応じて、信号変換部710はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵100のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、および押鍵速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部710はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部710には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。
音源部730は、信号変換部710から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部750は、音源部730によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ80または音波形信号出力端子などに出力される。
[鍵盤アセンブリの構成]
図3は、第1実施形態における筐体内部の構成をスケール方向に見た場合の説明図である。図3に示すように、筐体90の内部において、鍵盤アセンブリ10およびスピーカ80が配置されている。すなわち、筐体90は、少なくとも、鍵盤アセンブリ10の一部(接続部180およびフレーム500)およびスピーカ80を覆っている。スピーカ80は、鍵盤アセンブリ10の奥側に配置されている。このスピーカ80は、押鍵に応じた音を筐体90の上方および下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体90の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体90の内部から鍵盤アセンブリ10の内部の空間を通過して、外観部PVにおける鍵100の隣接間の隙間または鍵100と筐体90との隙間から外部に進む。なお、スピーカ80からの音の経路は、経路SRとして例示されている。このように、スピーカ80からの音は、鍵盤アセンブリ10の内部の空間、すなわち鍵100(鍵本体部)の下方側の空間に到達する。
鍵盤アセンブリ10の構成について、図3を用いて説明する。鍵盤アセンブリ10は、上述した鍵100の他にも、接続部180、ハンマアセンブリ200およびフレーム500を含む。なお図3においては、鍵盤アセンブリ10の鍵100は白鍵(実線)に関して説明するが、黒鍵(破線)も同様な構成である。鍵盤アセンブリ10は、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。フレーム500は、筐体90に固定されている。接続部180は、フレーム500に対して回動可能に鍵100を接続する。接続部180は、板状可撓性部材181、鍵側支持部183および棒状可撓性部材185を備える。板状可撓性部材181は、鍵100の後端から延在している。鍵側支持部183は、板状可撓性部材181の後端から延在している。
棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183およびフレーム500のフレーム側支持部585によって支持されている。鍵100は棒状可撓性部材185を中心にフレーム500に対して回動することができる。棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585とに対して、着脱可能に構成されている。棒状可撓性部材185を着脱可能に構成することで、製造の容易性が向上(金型の設計の容易化、組立作業の容易化、修理作業の容易化など)したり、それぞれの材料の組み合わせなどによるタッチ感および強度が向上したりする。なお、棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585と一体となって、または接着等により、着脱できない構成であってもよい。
鍵100は、前端鍵ガイド151および側面鍵ガイド153を備える。前端鍵ガイド151は、フレーム500の前端フレームガイド511を覆った状態で摺動可能に接触している。前端鍵ガイド151は、その上部と下部のスケール方向の両側において、前端フレームガイド511と接触している。側面鍵ガイド153は、スケール方向の両側において側面フレームガイド513と摺動可能に接触している。この例では、側面鍵ガイド153は、鍵100の側面のうち非外観部NVに対応する領域に配置され、接続部180(板状可撓性部材181)よりも鍵前端側に存在するが、外観部PVに対応する領域に配置されてもよい。
また、鍵100は、外観部PVの下方においてハンマ支持部120が接続されている。ハンマ支持部は、鍵100が回動するときに、ハンマアセンブリ200を回動させるように、ハンマアセンブリ200に接続される。
ハンマアセンブリ200は、各鍵100の下方側の空間に配置され、フレーム500に対して回動可能に取り付けられている。このとき各ハンマアセンブリ200が取り付けられるフレーム500の回動軸520は、スケール方向に同心軸上に位置する。すなわち各ハンマアセンブリ200は、各鍵100に対応してスケール方向に並んで配置されている。ハンマアセンブリ200は、錘部230およびハンマ本体部205を備える。ハンマ本体部205には、軸受部220が配置されている。軸受部220とフレーム500の回動軸520とは少なくとも3点で摺動可能に接触する。すなわち、各ハンマアセンブリ200は、フレーム500の回動軸520を回動中心として回動することができる。一方で、ハンマアセンブリ200の前端部210は、ハンマ支持部120の内部空間において概ね前後方向に摺動可能に鍵100と接続する。この摺動部分、すなわち前端部210とハンマ支持部120とが接触する負荷発生部は、外観部PV(鍵本体部の後端よりも前方)における鍵100の下方に位置する。なお、負荷発生部の構造については後述する。
錘部230は、本実施形態では金属製の錘単体で構成する。ただし、複数の部材で錘部を構成してもよい。錘部230は、ハンマ本体部205の後端部(回動中心よりも奥側)に接続されている。通常時(押鍵していないとき)には、錘部230が下側ストッパ410に載置された状態であり、ハンマアセンブリ200の前端部210が、鍵100を押し上げている。押鍵されると、錘部230が上方に移動し、上側ストッパ430に衝突する。これによって鍵100の最大押鍵量となるエンド位置が規定される。ハンマアセンブリ200は、この錘部230によって、押鍵に対して負荷を与える。下側ストッパ410および上側ストッパ430は、緩衝材等(不織布、弾性体等)で形成されている。なお、ハンマアセンブリ200の詳細の構成については後で詳しく説明する。
ハンマ支持部120および前端部210の下方には、フレーム500にセンサ300が取り付けられている。押鍵により前端部210の下面側でセンサ300が押されると、センサ300は検出信号を出力する。センサ300は、上述したように、各鍵100に対応して設けられている。
[負荷発生部の概要]
図4は、負荷発生部(ハンマ支持部および前端部)の説明図である。ハンマアセンブリ200の前端部210は、力点部(被駆動部)211および押圧部215を備える。これらの各構成はいずれも、ハンマ本体部205に接続されている。ハンマ本体部205は、この例では板状であり、略円柱形状の力点部211は、ハンマ本体部205に対して概ね垂直方向に突出している。力点部211は、フレーム500の回動軸520と平行(スケール方向)に、ハンマ支持部120の内部空間SPに配置される。すなわち、板状のハンマ本体部205は、回動軸520の軸方向に対して垂直である回動面に対して平行ではなく、わずかに傾いて配置される。押圧部215は、前端部210の下方に設けられ、板形状に厚みを持たせるよう回動方向に対して面を有する。押圧部215は、押鍵動作により前端部210の下面側でセンサ300と接触する。
ハンマ支持部120は、摺動面形成部121を含む。この例では、摺動面形成部121は、内部に力点部211が移動可能な空間SPを形成する。空間SPの上方において摺動面FSが形成され、空間SPの下方においてガイド面GSが形成される。ガイド面GSには、ハンマ本体部205を通過させるためのスリットが形成されている。少なくとも摺動面FSが形成される領域は、ゴム等の弾性体で形成されている。この例では、摺動面形成部121の全体が弾性体で形成されている。
図4においては、鍵100がレスト位置にある場合の力点部211の位置を示している。押鍵されると、力点部211は、摺動面FSと接触しつつ、空間SPを矢印E1の方向(以下、進行方向E1という場合がある)に移動する。すなわち、力点部211は摺動面FSと摺動する。この例では、摺動面FSのうち、鍵100がレスト位置からエンド位置に回動することによって力点部211が移動する範囲に、段差部1231が配置されている。すなわち、段差部1231は、初期位置(鍵100がレスト位置にあるときの力点部211の位置)から移動する力点部211によって乗り越えられる。また、ガイド面GSのうち段差部1231に対向する部分には、凹部1233が形成されている。凹部1233の存在により、力点部211が段差部1231を乗り越えて移動しやすくなる。
押鍵のときには、摺動面FSから力点部211に対して力が加えられる。力点部211に伝達された力は、錘部230を上方に移動させるようにハンマアセンブリ200を回動させる。このとき、力点部211は摺動面FSに押しつけられる。一方、離鍵のときには、錘部230が落下することによりハンマアセンブリ200が回動し、その結果、力点部211から摺動面FSに対して力が加えられる。ここで、力点部211は、摺動面FSを形成する弾性体と比べて弾性変形しにくい部材(例えば、剛性の高い樹脂等)で形成されている。そのため、摺動面FSは、力点部211が押しつけられることで弾性変形する。この結果、力点部211は、押しつけられる力に応じて移動に対する様々な抵抗力を受ける。
[ハンマアセンブリの構成]
図5は、第1実施形態における白鍵に対応するハンマアセンブリの説明図である。図5(A)は、ハンマアセンブリをスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図5(B)は、ハンマアセンブリを回動方向(図3D2方向)に下面側から見た図である。図5(C)は、ハンマアセンブリの延びる方向(図3D3方向)に奥側(鍵後端側)から見た図である。
なおここでは、白鍵に対応するハンマアセンブリ200wに関して説明するが、黒鍵に対応するハンマアセンブリ200bに関しても同様な構成である。ハンマアセンブリ(回動部材)200wは、ハンマ本体部(支持部材)205wと錘部(構造体)230wとを備える。ハンマ本体部205wは、力点部211および押圧部215を有する前端部210、後端部212、および一端で前端部210と他端で後端部212を接続する接続部240を有する。接続部240はリブRにより所定の厚さTを有して、その一部に軸受部220を有する。後端部212は、少なくとも錘取り付け部201に平面状の板状領域と、その板状の領域の回動方向(図3D2方向)上面側において接続部240から連なる第1錘支持壁201X1と、第1錘支持壁201X1に対向する第2錘支持壁201X2を有する。第2錘支持壁201X2は、接続部240から離れた後端側の位置において回動部材の回動方向(図3D2方向)下面側に形成される。錘取り付け部201は、後端部212に配置されている。錘部230は、第1錘支持壁201X1と第2錘支持壁201X2の間に挟まれるように支持される。第2錘支持壁201X2と接続部240は離間している。このため、第2錘支持壁201X2と接続部240の間からは、錘部230が露出して回動方向(図3D2方向)下面側から見えるように形成される。すなわち、錘部230wは、後端側に組み付けられる。しかしながらこれに限定されず、錘部230wは適用される鍵盤構造に応じて適宜配置されればよく、回動中心よりも自由端側に配置されればよい。
ハンマ本体部205wと錘部230wとは、この例では、複数のネジで固定されている。錘取り付け部201と錘部230とは、回動中心に近い第1ネジ271および回動中心から遠い第2ネジ273によって固定されている。ここで、ネジは2つに限らず、さらに多くてもよいし、1つでもよい。なお、これらのネジは締結部材の一例であって、例えば、リベット等であってもよい。
錘部230wは、少なくとも1つの平面状の接続面231を有し、ハンマ本体部205wの錘取り付け部201に取り付けられる。すなわち、錘部230wの接続面231とハンマ本体部205wの錘取り付け部201とは対向して、第1錘支持壁201X1と沿うように第2錘支持壁201X2の間に挟まれる形で接続される。換言すると、錘部230wの接続面231は、ハンマ本体部205wの平面状の板状領域に沿って配置される。錘部230wは、ハンマ本体部205wとの接続面231以外の表面に、第1の識別子232および第2の識別子234を有する。第1の識別子232および第2の識別子234は、何れもスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに識別することができる。換言すると、第1の識別子232および第2の識別子234は、接続面231と直交する方向から視認可能である。さらに第2の識別子234は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときに、第2錘支持壁201X2と接続部の間から識別することができる。第1の識別子232は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときに識別できない。換言すると、第2の識別子234は、第1の識別子232を視認できない回動軸に直交する方向(接続面231と略平行な方向)からも視認可能である。なお、第1の識別子232および第2の識別子234に関しては後で詳しく説明する。
本実施形態において、ハンマ本体部205wと錘部230wとは異なる材質を有する。ハンマ本体部205wは射出成形などによって製造された合成樹脂製であり、錘部230wはダイカストなどによって製造された金属製である。しかしながら、素材や製造方法等はこれに限定されず、錘部230wは、ハンマ本体部205wよりも大きい比重を有すればよい。
[ハンマ本体部の構成]
図6は、第1実施形態におけるハンマ本体部の説明図である。図6(A)は、白鍵に対応するハンマ本体部205wをスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図6(B)は、黒鍵に対応するハンマ本体部205bをスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図6に示すように、ハンマ本体部205は、白鍵に対応するハンマ本体部205wと、黒鍵に対応するハンマ本体部205bとの少なくとも2種類に分類可能である。白鍵に対応するハンマ本体部205wの軸受部220から後端部212の距離Lhw1と、黒鍵に対応するハンマ本体部205bの軸受部220から後端部212の距離Lhb1とは同じである。一方で、白鍵に対応するハンマ本体部205wの力点部211から軸受部220の距離Lhw2より、黒鍵に対応するハンマ本体部205bの力点部211から軸受部220の距離Lhb2は大きく調整されている。本実施形態において、白鍵に対応するハンマ本体部205wは52個、黒鍵に対応するハンマ本体部205bは36個であるが、この数に限られない。また、白鍵1種類と黒鍵1種類のハンマ本体部205としたが、この種類数に限られず、1種類で構成してもよいし、さらに種類数を増やしてもよい。
白鍵に対応するハンマ本体部205wと、黒鍵に対応するハンマ本体部205bとが異なることから、錘部230を接続するときに取り違えないよう、ハンマ本体部205wとハンマ本体部205bとでは、第1ネジ271に対応する第1ネジ受け275と第2ネジ273に対応する第2ネジ受け277の間の距離がそれぞれ異なる。この例では、白鍵に対応するハンマ本体部205wの第1ネジ受け275から第2ネジ受け277の距離Lhw3より、黒鍵に対応するハンマ本体部205bの第1ネジ受け275から第2ネジ受け277の距離Lhb3は短く調整されている。また、後述する錘部230のネジ穴も同様の位置関係を有する。しかしながらこれに限定されず、第1ネジ受け275から第2ネジ受け277の距離は、白鍵に対応するハンマ本体部205wと黒鍵に対応するハンマ本体部205bとで逆転してもよい。また、白鍵に対応するハンマ本体部205wと黒鍵に対応するハンマ本体部205bとで異なる数のネジ受けを有してもよい。各ハンマ本体部205に対応する各錘部230が、ネジ受けの距離および/または数に対応するネジ穴を有すればよい。ハンマ本体部205および錘部230が、各組み合わせに対応するネジ受けおよびネジ穴を有することで、ハンマ本体部205と錘部230とを接続するときに取り違えを防ぐことができ、生産性向上することができる。
また、白鍵に対応するハンマ本体部205wと、黒鍵に対応するハンマ本体部205bとを容易に識別するために、ハンマ用識別子213を付してもよい。この例では、黒鍵に対応するハンマ本体部205bの回動方向上面側に、凸形状のハンマ用識別子213が配置されている。ハンマ用識別子213は、回動方向上面側に突出するリブ形状であるが、この形状に限定されない。ハンマアセンブリ200bの回動動作を抑制しない限り、どのような形状であってもよい。ハンマ用識別子213を有することで、白鍵に対応するハンマ本体部205wと、黒鍵に対応するハンマ本体部205bとを容易に識別することができる。このため、2種類のハンマ本体部の誤認を防止することができ、生産性向上することができる。
[錘部の構成]
図7は、第1実施形態における錘部の説明図である。図7(A)は、低音白鍵に対応する錘部230wl1をスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図7(B)は、錘部230wl1をハンマアセンブリの回動方向(図3D2方向)に下面側から見た図である。図7(C)は、錘部230wl1をハンマアセンブリの延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組み付けられた状態においては演奏者から見た手前から奥側方向、図3D3逆方向)に見た図である。図7(D)は、低音側1番目の白鍵に対応する錘部230wlをハンマアセンブリ200の延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組み込まれた状態においては演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)に見たA−A’断面図である。各鍵に対応する各錘部230を容易に識別するために、錘部230は第1の識別子232および第2の識別子234を有する。
錘部230は、ハンマ本体部205との接続面231と対向する面233に第1の識別子232を有する。このため、第1の識別子232は、ハンマ本体部205に対して錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに識別することができ、錘部230単体のときに識別できるだけでなく、ハンマ本体部205に組み付けられた状態においても識別できる。換言すると、第1の識別子232は、接続面231と直交する方向から視認可能である。また、面233は後述する面238よりスペースが大きく、第1の識別子232は第2の識別子234より大きく表示することができる。このため、錘部230をハンマ本体部205に組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200を鍵盤装置に組み付けるときに、第1の識別子232は第2の識別子234より大きく、見やすいので、生産性を向上することができる。しかしながらこれに限定されず、第1の識別子232は第2の識別子234と同じ大きさでもよく、第1の識別子232は第2の識別子234より小さくてもよい。
図8は、本実施形態における第1の識別子の詳細の構造を説明する図である。図8(A)は、錘部230wl1の第1の識別子232をスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た拡大図である。図8(B)は、錘部230wlをハンマアセンブリ200の延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組み込まれた状態においては演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)に見たB−B’断面図である。図8(C)は、図8(B)の第1の識別子232を有する領域Cの拡大断面図である。
図8(C)に示すように、本実施形態に係る第1の識別子232は、側面2322および側面同士を接続する底面2324を備える凹構造を有する。凹構造の側面2322は、面233に対して略垂直に接続する。凹構造の側面2322は、面233と異なる表面粗さを有する。凹構造の底面2324は、面233に対して略平行に凹構造の側面2322同士を接続する。凹構造の底面2324は、面233と異なる表面粗さを有する。
凹構造の側面2322は、ハンマアセンブリ200の回動方向(図3D2方向)に対して略垂直である。側面2322は、接続面231と隣接する面235に対する角度が、接続面231と対向する面233に対する角度より小さい。さらに対向する側面2322同士は、略平行である。しかしながらこれに限定されず、側面2322は面233に対して垂直でなくてもよく、対向する側面2322同士は平行でなくてもよい。この場合、側面2322と底面2324とによって形成される凹構造は、テーパー型であることが好ましい。すなわち、凹構造の側面2322は、面233に対して鈍角に接続するとよい。さらに、対向する側面2322同士は凹方向に交差して接続してもよい。
凹構造の底面2324は、ハンマ本体部205に対して錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)から視認可能である。換言すると、凹構造の底面2324は、接続面231と直交する方向から視認可能である。凹構造の底面2324は面233と異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205に対して錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第1の識別子232を容易に視認することができる。このため、錘部230をハンマ本体部205に組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200を鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
しかしながらこれに限定されず、凹構造の底面2324は、面233に対して角度を有して凹構造の側面2322同士を接続してもよい。図8(D)は、本実施形態の変形例に係る第1の識別子232aを有する領域の拡大断面図である。図8(D)に示すように、本変形例に係る第1の識別子232aは、側面2322aおよび側面2322aを接続する底面2324aを備える凹構造を有する。凹構造の側面2322aは、面233aに対して略垂直に接続する。凹構造の側面2322aは、面233aと異なる表面粗さを有する。凹構造の底面2324aは、面233aに対して角度を有して凹構造の側面2322a同士を接続する。凹構造の底面2324aは、面233aと異なる表面粗さを有する。
凹構造の底面2324aは、ハンマ本体部205aに対して錘部230aの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)から視認可能である。換言すると、凹構造の底面2324aは、接続面231aと直交する方向から視認可能である。凹構造の底面2324aは、面233aと異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205aに対して錘部230aの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第1の識別子232を容易に視認することができる。このため、錘部230aをハンマ本体部205aに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200aを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
図8において、第1の識別子232は1つの凹構造で示した。しかしながらこれに限定されず、第1の識別子232は複数の凹構造の組み合わせであってもよい。それぞれの凹構造は、異なる深さを有してもよく、凹構造同士は接続していてもよい。また凹構造の中にさらなる凹構造を有してもよい。
第1の識別子232は、白鍵(WH)または黒鍵(BL)の2種類の鍵の情報を有する。換言すると、白鍵または黒鍵に対応する2種類のハンマ本体部205の情報を有する。この例では、白鍵に対応する錘部230wに「WH」と記している。黒鍵に対応する錘部230bには「BL」と記している。しかしながらこれに限定されず、第1の識別子232は、2種類のハンマ本体部205の情報を識別できれば良い。「WH」「BL」のかわりに、別の文字、記号などを記してもよい。このような情報を含む第1の識別子232を接続面231と対向する面233に有することで、各錘部230をハンマ本体部205に接続するときに容易に識別することができる。このため、錘部230の誤認を防止することができ、錘部230とハンマ本体部205とを組み合わせるときの生産性を向上することができる。
第1の識別子232は、さらに、白鍵(WH)または黒鍵(BL)別の各鍵に対応する錘部230の位置情報を有する。換言すると、白鍵または黒鍵に対応する2種類のハンマ本体部別の各鍵に対応するハンマアセンブリ200の並び順の情報を有する。この例では、白鍵または黒鍵別に、低音部から高音部に向かうに従って音高順に番号を記している。しかしながらこれに限定されず、第1の識別子232は、数字のかわりに序列概念のある文字、記号などを記してもよい。また後述する第2の識別子234との位置関係を満たす限り、第1の識別子232を付する位置は各錘部230で異なってもよい。したがって、第1の識別子232は、第1の識別子232を付する位置でその情報を示してもよい。このような情報を含む第1の識別子232を接続面231と対向する面233に有することで、各錘部230をハンマ本体部205に接続した後でも容易に識別することができる。このため、錘部230またはハンマアセンブリ200の誤認を防止することができ、88種類の錘部230またはハンマアセンブリ200の管理性を向上することができる。また、88種類のハンマアセンブリ200を鍵盤アセンブリ10に組み立てるときの生産性を向上することができる。なお、ハンマアセンブリは88種類用意したが、この数に限られるものではない。オクターブ内では共通にして、8種類にしたり、4種類にしたり、他の鍵域の区分に応じた種類数にしてもよい。その場合の識別情報は、鍵域を表す識別子を付すことになる。
一方で、複数のハンマアセンブリ200を鍵盤アセンブリ10に組み立てた後は、錘部230の組付け方向に隣接するハンマアセンブリ200がある。このため、ハンマアセンブリ200がスケール方向に見て同じ位置に並ぶときには、奥に位置するハンマアセンブリ200の第1の識別子232は識別することが困難である。第1の識別子232を有する面233は、隣接するハンマアセンブリ200が有する錘部230の接続面231と対向する。隣接するハンマアセンブリ200同士は近接していることから、鍵盤アセンブリ10の最も高音側または最も低音側に位置する錘部230のうち、接続面231と対向する面233を露出する側の1つしか第1の識別子232を識別することは難しい。
図7および9に示すように、錘部230は、接続面231と隣接する面235と、接続面231と対向する面233とを接続する面238に第2の識別子234を有する。面238(第1の面)は、接続面231に対して、0°より大きく90°より小さい角度θ1をなすように形成されている。さらに、面238が接続面231となす角度θ1は、接続面231と隣接する面235が接続面231となす角度θ2より小さい。すなわち、面238(第1の面)は、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)および回動軸に直交する面(回動方向、図3D2方向)に対して交差する位置関係となっている。図7に示すように、この例では、錘部230は板状部材である。面238は、第1の識別子232を有する面233と、接続面231と隣接する面235とで形成される角を切った面である。したがって面238は、面233と面235とに接続する。第2の識別子234は、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに識別することができる。換言すると、第2の識別子234は、接続面231と直交する方向から視認可能である。さらに、第2の識別子234は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときにも識別することができる。一方で、第1の識別子232は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときには識別できない。
しかしながらこれに限定されず、第2の識別子234を有する面は、例えば、第1の識別子232を有する面233と、後端部212側の接続面231と隣接する面237とで形成される角を切った面であってもよい。この場合、第2の識別子234を有する面は、面233と面237とに接続する。第2の識別子234は、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに識別することができる。さらに第2の識別子234は、ハンマアセンブリ200の延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組付けられた状態においては、演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)から見たときにも識別することができる。このため、ハンマアセンブリ200を鍵盤装置に組み付けた後にも識別できるので、組付けられたハンマアセンブリの配列が正しいか確認する際等に、作業効率がよい。一方で、第1の識別子232は、ハンマアセンブリ200の延びる方向(演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)から見たときには識別できない。このように第2の識別子234は、視認可能な接続面231と隣接する面と、接続面231と対向する面233とを接続する面に配置されるのが望ましい。本実施形態においては、面235および面237は視認可能であり、それぞれの面と対向する面は視認できない。しかしながらこれに限定されず、例えば、ハンマ本体部205において接続部240と第1錘支持壁201X1とが連続していない場合、接続部240と第1錘支持壁201X1との間から、錘部230が露出して回動方向(図3D2方向)上面側から視認可能となる。この場合、第2の識別子234は、視認可能な回動方向(図3D2方向)上面部分と、接続面231と対向する面233とを接続する面に配置されてもよい。また、例えば、錘部230がハンマ本体205の錘取り付け部201から後端部212側に突出している場合、錘部230が後端部212側から露出して、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向とは逆方向(回動軸方向、図3D1逆方向)から視認可能となる。この場合、第2の識別子234を有する面は、接続面231と、後端部212側の接続面231と隣接する面237とで形成される角を切った面であってもよい。この場合、第2の識別子234を有する面は、面231と面237とに接続する。第2の識別子234は、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向とは逆方向(回動軸方向、図3D1逆方向)に見たときに識別することができる。さらに第2の識別子234は、ハンマアセンブリ200の延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組付けられた状態においては、演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)から見たときにも識別することができる。
このように、第2の識別子234は、面233と面235、あるいは面233と面237が接続する面に形成するため、面233に第1の識別子232を付すときに同時に第2の識別情報も付すことができ、識別情報を付す作業性がよい。
図9および図10は、本実施形態における第2の識別子の詳細の構造を説明する図である。図9(A)は、錘部230wl1の第2の識別子234を回動方向(図3D2方向)に下面側から見た拡大図である。面238(第1の面)は、接続面231と対向する面233と接続面231と隣接する面235がつながる頂部の一部を切り欠く形で形成される。図9(B)は、錘部230wlをハンマアセンブリ200の延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組み込まれた状態においては演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)に見たD−D’断面図である。図9(C)は、図9(B)の第2の識別子234を有する領域Eの拡大断面図である。図10(A)は、錘部230wl1の第2の識別子234を、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)から見た拡大図である。図10(B)は、錘部230wlを回動方向(図3D2逆方向)に上面側から見たF−F’断面図である。第2の識別子234を有する面238は、接続面231と対向する面233に対する角度a1が、接続面231と隣接する面235に対する角度a2より大きい。また、接続面231と対向する面233に対する角度a1は、直角より大きい鈍角をなす。
図9(C)および図10(C)に示すように、本実施形態に係る第2の識別子234は、側面2342(第2の面)、側面2342と対向する側面2343(第3の面)、側面2342と側面2343とを接続する側面2345(第5の面)、および側面同士を接続する底面2344(第4の面)を備える凹構造を有する。凹構造の側面2342(第2の面)は、面238(第1の面)に対して鈍角b1に接続する。凹構造の側面2342(第2の面)と対向する凹構造の側面2343(第3の面)は、面238(第1の面)に対して鋭角b2に接続する。凹構造の側面2345(第5の面)は、面238(第1の面)に対して略垂直b3に凹構造の側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)とを接続する。凹構造の側面2342、側面2343、および側面2345は、面238(第1の面)とは異なる表面粗さを有する。
側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)と側面2345(第5の面)は、接続面231と対向する面233に対して略垂直である。すなわち、側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)と側面2345(第5の面)は、ハンマアセンブリ200の回動方向(図3D2方向)に対して略垂直である。側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)と側面2345(第5の面)は、接続面231と隣接する面235に対する角度が、接続面231と対向する面233に対する角度より小さい。さらに対向する側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)とは略平行である。しかしながらこれに限定されず、側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)と側面2345(第5の面)は、面233に対して垂直でなくてもよく、対向する側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)とは平行でなくてもよい。この場合、側面2342(第2の面)、側面2343(第3の面)、側面2345(第5の面)、および底面2344(第4の面)によって形成される凹構造は、テーパー型であることが好ましい。さらに、対向する側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)とは凹方向に交差して接続してもよい。
少なくとも一部の側面2342(第2の面)は、面238(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凹構造の側面2342(第2の面)は、面238(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234を容易に視認することができる。さらに、少なくとも一部の側面2342(第2の面)は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときにも視認可能である。凹構造の側面2342(第2の面)は、面238(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときに第2の識別子234を容易に視認することができる。このため、錘部230をハンマ本体部205に組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200を鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
凹構造の底面2344(第4の面)は、面238(第1の面)に対して略平行に凹構造の側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)と側面2345(第5の面)とを接続する。凹構造の底面2344(第4の面)は、面238(第1の面)と異なる表面粗さを有する。また凹構造の底面2344(第4の面)は、側面2342(第2の面)、側面2343(第3の面)、および側面2345(第5の面)とは異なる表面粗さを有する。
少なくとも一部の底面2344(第4の面)は、面238(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凹構造の底面2344(第4の面)は、面238(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234を容易に視認することができる。また、凹構造の底面2344(第4の面)は、側面2342(第2の面)と異なる表面粗さを有することから、面238(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234を容易に視認することができる。さらに、底面2344(第4の面)は、ハンマ本体部205に対して錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときにも視認可能である。凹構造の底面2344(第4の面)は、面238(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205に対して錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第2の識別子234を容易に視認することができる。このため、錘部230をハンマ本体部205に組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200を鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
この図に示すように、面238(第1の面)は、接続面231に対して、直角より小さい角度θ1をなすように形成されている。すなわち、面238(第1の面)は、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に対して交差する位置関係となっている。つまり、このような斜面に第2の識別子を付すことによって、ハンマの回動方向からも錘の取付け方向からも確認できるものとなり、そのような第2の識別子の底面(第4の面)と、面238(第1の面)あるいは側面2342(第2の面)、側面2342と対向する側面2343(第3の面)の表面粗さを異ならせることでより容易に識別する情報を確認できる。
しかしながらこれに限定されず、凹構造の底面2344(第4の面)は、面238(第1の面)に対して角度b4を有して凹構造の側面2342(第2の面)と側面2343(第3の面)とを接続してもよい。図9(D)は、本実施形態の変形例に係る第2の識別子234bを有する領域の拡大断面図である。図9(D)に示すように、本変形例に係る第2の識別子234bは、側面2342b(第2の面)、側面2342bと対向する側面2343b(第3の面)、側面2342bと側面2343bとを接続する側面2345b(第5の面)、および側面2342bと側面2343bとを接続する底面2344b(第4の面)を備える凹構造を有する。凹構造の側面2342b(第2の面)は、面238b(第1の面)に対して鈍角b1に接続する。凹構造の側面2342b(第2の面)と対向する凹構造の側面2343b(第3の面)は、面238b(第1の面)に対して鋭角b2に接続する。凹構造の側面2345b(第5の面)は、面238b(第1の面)に対して略垂直b3に凹構造の側面2342b(第2の面)と側面2343b(第3の面)とを接続する。凹構造の側面2342b、側面2343b、および側面2345bは、面238bと異なる表面粗さを有する。
少なくとも一部の側面2342b(第2の面)は、面238b(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凹構造の側面2342b(第2の面)は、面238b(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238b(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234bを容易に視認することができる。さらに、少なくとも一部の側面2342b(第2の面)は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときにも視認可能である。凹構造の側面2342b(第2の面)は、面238b(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときに第2の識別子234bを容易に視認することができる。このため、錘部230bをハンマ本体部205bに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200bを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
凹構造の底面2344b(第4の面)は、面238b(第1の面)に対して角度b4を有して凹構造の側面2342b(第2の面)と側面2343b(第3の面)と側面2345b(第5の面)とを接続する。凹構造の底面2344b(第4の面)は、面238b(第1の面)と異なる表面粗さを有する。また凹構造の底面2344b(第4の面)は、側面2342b(第2の面)、側面2343b(第3の面)、および側面2345b(第5の面)と異なる表面粗さを有する。
少なくとも一部の底面2344b(第4の面)は、面238b(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凹構造の底面2344b(第4の面)は、面238b(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238b(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234bを容易に視認することができる。また、凹構造の底面2344b(第4の面)は、側面2342b(第2の面)と異なる表面粗さを有することから、面238b(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234bを容易に視認することができる。さらに、底面2344b(第4の面)は、ハンマ本体部205bに対して錘部230bの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときにも視認可能である。凹構造の底面2344b(第4の面)は、面238b(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205bに対して錘部230bの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第2の識別子234bを容易に視認することができる。このため、錘部230bをハンマ本体部205bに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200bを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
図9および図10おいて、第2の識別子234は1つの凹構造で示した。しかしながらこれに限定されず、第2の識別子234は複数の凹構造の組み合わせであってもよい。それぞれの凹構造は、異なる深さを有してもよく、凹構造同士は接続していてもよい。また凹構造の中にさらなる凹構造を有してもよい。また、第1の識別子232の凹構造を構成する側面2322と、第2の識別子234の凹構造を構成する側面2342(第2の面)、側面2343(第3の面)、および側面2345(第5の面)とは略平行である。
第2の識別子234は、白鍵(WH)および黒鍵(BL)通しの各鍵に対応する88種類の錘の位置情報を有する。換言すると、白鍵および黒鍵の各鍵に対応するハンマアセンブリ200の並び順の情報を有する。この例では、白鍵および黒鍵通しで、低音部から高音部に向かうに従って音高順に番号を記している。しかしながらこれに限定されず、第2の識別子234は、数字のかわりに序列概念のある文字、記号などを記してもよい。また前述した第1の識別子232との位置関係を満たす限り、第2の識別子234を付する位置は各錘部230で異なってもよい。したがって、第2の識別子234は、第2の識別子234を付する位置でその情報を示してもよい。このような情報を含む第2の識別子234を面238に有することで、各錘部230をハンマ本体部205に接続した後でも容易に識別することができる。このため、錘部230またはハンマアセンブリ200の誤認を防止することができ、88種類の錘部230またはハンマアセンブリ200の管理性を向上することができる。さらに、面238の第2の識別子234は、各ハンマアセンブリ200を鍵盤アセンブリ10に組立てた後でも容易に識別することができる。このため、88種類のハンマアセンブリ200を鍵盤アセンブリ10に組み立てるときの生産性および検査効率を向上することができる。なお、ハンマアセンブリは88種類用意したが、この数に限られるものではない。オクターブ内では共通にして、8種類にしたり、4種類にしたり、他の鍵域の区分に応じた種類数にしてもよい。その場合の識別情報は、鍵域に応じた順番等を表す識別子を付すことになる。
本実施形態において、錘部230の形は板状である。しかしながらこれに限定されず、錘部230は、例えば、半球状または球欠状であってもよい。この場合、平面領域が錘部230の接続面231であり、球冠に第1の識別子232および第2の識別子234を有する。第2の識別子234は、第1の識別子232が視認可能な方向から視認可能であり、且つ第1の識別子232を視認できない方向から視認可能であればよい。
図11は、第1実施形態における錘部の説明図である。図11(A)は、低音白鍵に対応する錘部230wlをスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図11(B)は、高音白鍵に対応する錘部230whをスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図11(C)は、黒鍵に対応する錘部230bをスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図11に示すように、錘部230の外寸は、低音白鍵に対応する錘部230wlと、高音白鍵に対応する錘部230whと、黒鍵に対応する錘部230bとの少なくとも3種類に分類可能である。低音白鍵に対応する錘部230wlの回動方向D2の最大距離Lwwl1と、高音白鍵に対応する錘部230whの回動方向D2の最大距離Lwwh1と、黒鍵に対応する錘部230bの回動方向D2の最大距離Lwb1とはそれぞれ異なる。Lwwh1よりLwb1は大きく、Lwb1よりLwwl1は大きく調整されている。低音白鍵に対応する錘部230wlのハンマアセンブリの延びる方向D3の最大距離Lwwl2と、高音白鍵に対応する錘部230whのハンマアセンブリの延びる方向D3の最大距離Lwwh2と、黒鍵に対応する錘部230bのハンマアセンブリの延びる方向D3の最大距離Lwb2ともそれぞれ異なる。Lwwh2よりLwb2は大きく、Lwb2よりLwwl2は大きく調整されている。
一方で、図11には示さなかったが、低音白鍵に対応する錘部230wlと、高音白鍵に対応する錘部230whと、黒鍵に対応する錘部230bとのハンマアセンブリの後端部212側におけるスケール方向D1の距離はすべて同一である。図7(B)に示すように、錘部230wlの厚さ方向D1の距離は、ハンマアセンブリの延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組み付けられた状態においては演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)に大きくなるよう勾配している。錘部230whと錘部230bの厚さ方向D1の距離も、錘部230wlの厚さ方向D1の距離と同様の勾配を有する。錘部230wlと、錘部230whと、錘部230bのハンマアセンブリの延びる方向D3の最大距離がそれぞれ異なることから、錘部230wlと、錘部230whと、錘部230bのスケール方向D1の最大距離もそれぞれ異なる。錘部230wlと、錘部230whと、錘部230bのハンマアセンブリの回動中心側(演奏者から見た手前側)におけるスケール方向D1の距離は、錘部230whより錘部230bは大きく、錘部230bより錘部230wlは大きく調整されている。
低音白鍵に対応する錘部230wlは25個、高音白鍵に対応する錘部230whは27個、黒鍵に対応する錘部230bは36個であるが、この数に限られない。また、白鍵2種類と黒鍵1種類の外寸(外形)を有する錘部230としたが、この種類数に限られず、白鍵1種類と黒鍵1種類の2種類で構成してもよいし、さらに種類数を増やしてもよい。
錘部230をハンマ本体部205に接続するときに取り違えないよう、錘部230wlおよび錘部230whと、錘部230bとでは、第1ネジ271に対応する第1ネジ穴272と第2ネジ273に対応する第2ネジ穴274の間の距離がそれぞれ異なる。この例では、白鍵に対応する錘部230wlおよび230whの第1ネジ穴272から第2ネジ穴274の距離Lwwl3およびLwwh3より、黒鍵に対応する錘部230bの第1ネジ穴272から第2ネジ穴274の距離Lwb3は短く調整されている。低音白鍵に対応する錘部230wlと高音白鍵に対応する錘部230whの、第1ネジ穴272と第2ネジ穴274の間の距離Lwwl3およびLwwh3は同一である。しかしながらこれに限定されず、第1ネジ穴272から第2ネジ穴274の距離は、白鍵に対応する錘部230wlおよび錘部230whと黒鍵に対応する錘部230bとで逆転してもよい。また、白鍵に対応する錘部230wlおよび錘部230whと黒鍵に対応する錘部230bとで異なる数のネジ穴を有してもよい。各錘部230に対応する各ハンマ本体部205が、ネジ穴の距離および/または数に対応するネジ受けを有すればよい。錘部230およびハンマ本体部205が、各組み合わせに対応するネジ穴およびネジ受けを有することで、錘部230とハンマ本体部205とを接続するときに取り違えを防ぐことができ、生産性向上することができる。
図12は、第1実施形態における各鍵に対応する音高と錘部の質量との関係を示す図である。図12に示すように、各鍵に対応する錘部230はそれぞれ異なる質量を有し、低音部から高音部に向かうに従って、音高順に軽くなっている。音高に対する錘部230の質量は、低音部から高音部に向かうに従って常に一定の変化率で略直線的に変化する。しかしながらこれに限定されず、音高に対する錘部230の質量は、非線形的に変化してもよい。本実施形態において、白鍵に対応するハンマ本体部205wの力点部211から軸受部220の距離Lhw2と、黒鍵に対応するハンマ本体部205bの力点部211から軸受部220の距離Lhb2とが異なることから、低音白鍵に対応する錘部230wlおよび高音白鍵に対応する錘部230whの音高と錘部の質量との関係と、黒鍵に対応する錘部230bとの音高と錘部の質量との関係とは独立している。ハンマ本体部205の力点部211から軸受部220の距離と、錘部230の質量および重心を調整することで、白鍵および黒鍵を通して低音部から高音部に向かうに従って段階的なタッチ感を調整することができる。なお、ハンマ本体部205の質量は、錘部230に比べて十分小さいので、ハンマアセンブリ200の質量および重心は、錘部230の質量および重心と略同一である。
図13は、第1実施形態における錘部の説明図である。図13(A)は、最低音白鍵に対応する錘部230wl1をハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図13(B)は、低音側2番目の白鍵に対応する錘部230wl2をハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図13(C)は、低音側17番目の白鍵に対応する錘部230wl17をハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図13(D)は、低音側25番目の白鍵に対応する錘部230wl25をハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た図である。図13(E)は、低音側25番目の白鍵に対応する錘部230wl25のG−G’断面図である。図13(C)乃至図13(E)に示すように、外形寸法が同じ種類の各錘部230wlをそれぞれ異なる質量に形成するため、錘部230wlは、ハンマ本体部205との接続面231以外の表面に凹部236を有する。なおここでは、低音白鍵に対応する錘部230wlに関して説明するが、高音白鍵に対応する錘部230whと、黒鍵に対応する錘部230bとに関しても同様の構成を適用することができる。
図13では例えば、4個の低音白鍵に対応する錘部230wlを示したが、25個の低音白鍵に対応する錘部230wlの外寸は、すべて同じである。低音側白鍵25個に、低音側から1番目から25番目まで番号をふったとき、最低音白鍵に対応する錘部230wl1はもっとも重く、低音側25番目の白鍵に対応する錘部230wl25はもっとも軽い。この質量勾配を形成するため、錘部230は、ハンマ本体部205との接続面231と対向する面233に凹部236を有する。凹部236は、第1の識別子232と同じ面に配置される(以降、第1の識別子232を有する面233ということもある)。すなわち、凹部236は、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに識別することができ、接続面231と直交する方向から視認可能である。また、凹部236は、ハンマ本体部205に組み付けられた状態では、錘の長手方向(図中D3方向)における軸受部220(回動中心側)に近い位置になるように形成され、ハンマアセンブリとして錘部230の質量がハンマアセンブリの回動時のモーメントにより有効に働くように形成される。なお、凹部を形成する位置は押鍵時における求める荷重に応じて、所望の位置に形成されればよい。また、凹部236は、貫通穴であってもよい。
図13(E)は、低音側25番目の白鍵に対応する錘部230wl25をハンマアセンブリ200の延びる方向(演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)に見たG−G’断面図である。図13(E)に示すように、錘部230は、凹部236内部の領域における厚さ方向の距離T2が、それ以外の領域における厚さ方向の距離T1より小さく調整されている。錘部230の凹部236の領域内部における厚さ方向の距離T2は略同一である。図13(B)〜(D)に示すように、各錘部230wlが有する凹部236は、ハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに異なる大きさ(面積)を有する。各錘部230wlは、錘部230wlが有する凹部236のハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た大きさに反比例して、質量が軽くなっている。外寸(外形)が同一である各錘部230において、音高に対する凹部236のハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た大きさは、低音部から高音部に向かうに従って音高順に大きくなっている。このような凹部236を有することで、各鍵に対応する錘部230は、低音部から高音部に向かうに従って音高順に軽くなっている。
各錘部230の凹部236は、接続面231と対向する面233において、回動中心側(演奏者から見た手前側)に配置されている。各錘部230の凹部236は、凹部236のハンマ本体部205に対する錘部230の組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た大きさが大きくなるに従って、ハンマアセンブリ200の延びる方向(鍵盤装置に組み込まれた状態においては演奏者から見た手前から奥側方向)に広がっていく。しかしながらこれに限定されず、例えば図13(C)および(D)に示すように、凹部236は複数であってもよく、ハンマ本体部205wの後端部212側に配置されてもよい。各錘部230が異なる大きさの凹部236を異なる位置に有することで、各錘部230は異なる重心を有する。
低音側から25番目の低音白鍵に対応する錘部230wl25は、低音側から26番目の高音白鍵に対応する錘部230wh1よりも重く調整されている。図12に示すように、25個の低音白鍵に対応する錘部230wlおよび27個の高音白鍵に対応する錘部230whは、連続した音高と白鍵の錘部の質量との関係を示す。凹部236を配置することで、外寸が同じ、または異なる各錘部230であっても、各鍵に対応する錘部230は、低音部から高音部に向かうに従って音高順に段階的に軽くなるように調整することができる。
以上のように、本実施形態に係る回動部材によると、上述の第1の識別子および第2の識別子を有することで、回動部材の種類を複数の方向から把握しやすくすることができ、鍵盤装置の生産性及び検査効率を向上することができる。本実施形態の例では、具体的には、2種類の識別子を2方向から見えるようにすることで、生産、検査工程それぞれで必要な情報を認識しやすくなり、ハンマ本体部と錘部の組付け工程(アセンブリ単体の状態)と、鍵盤装置に取付けた状態における回動部材の順番検査で、必要な情報を使い分けられる。
[錘部の製造方法]
図14を用いて、錘部の製造方法について説明する。図14は、本発明の一実施形態における錘部230を成形するための金型と、錘部230の模式図である。図14(A)は、最低音白鍵に対応する錘部230wl1を成形するための金型と、錘部230wl1の断面模式図である。図14(B)は、低音側5番目の白鍵に対応する錘部230w5を成形するための金型と、錘部230wl5の断面模式図である。図14(C)は、低音側25番目の白鍵に対応する錘部230w25を成形するための金型と、錘部230wl25の断面模式図である。
錘部230を形成する金型は第1金型800および第2金型810を有する。第1金型800は、錘部230の外寸の型となる。第2金型810は、錘部230の接続面231と対向する面233の型となる。すなわち、第1金型800は錘部230の接続面231と接続面231と隣接する面を、第2金型810は錘部230の面233と面238を形成する。本実施形態において、錘部230の外寸は3種類に分類することができる。このため、低音白鍵に対応する錘部230wlと、高音白鍵に対応する錘部230whと、黒鍵に対応する錘部230b用の3種類の第1金型800が必要となる。一方で、錘部230の接続面231と対向する面233および面238には、第1の識別子232と各錘部230に対応した凹部236および第2の識別子234が形成される。このため、88種類の錘部230用の88種類の第2金型810が必要となる。このように88種類の錘部230を製造するのに3個の第1金型800を兼用することで、各音高に応じて第1金型800および第2金型810を作って製造するよりも、金型の製造コストを下げるとともに、錘部230の製造工程を簡略化することができる。
図14に示すように、第2金型810は主面810aに、各錘部230の凹部236に対応する第1凸部812と、面238に対応する第2凸部814とを有する。第2金型810は、さらに、第1の識別子232および第2の識別子234に対応する凸部を有する。この場合、各錘部230の第1の識別子232および第2の識別子234は、それぞれ主面810aおよび第2凸部814に、凸部として配置される。第1の識別子232および第2の識別子234の凹構造は、凹部236よりも十分浅いので、錘部230の質量および重心には影響しない。第1の識別子232および第2の識別子234を凹構造で表示することで、錘部230は一体形成することができ、製造工程をさらに簡略化することができる。しかしながらこれに限定されず、第1の識別子232および第2の識別子234は、例えば、別体で形成してもよい。
錘部230を形成する第1金型800および第2金型810は、変形なく金型より錘部230を離型させるために抜き勾配を有する。このため錘部230も、抜き勾配を有する。この例では、錘部230は、接続面231の外寸より、接続面231と対向する面233の外寸のほうが大きい。換言すると、錘部230の接続面231の外周より、接続面231と対向する面233の外周のほうが大きい。
しかしながら錘部230を形成する第1金型800および第2金型810の構成はこれに限定されず、例えば、第1金型800が外寸および接続面231と対向する面233の型であってもよい。この場合、第1金型800は、外寸を決定する凹部の底部に各錘部230の凹部236に対応する第1凸部812と、面238に対応する第2凸部814とをさらに有するため、88種類必要となる。一方で、88種類の錘部230を製造するのに、1個の第2金型810を兼用することができる。製造される錘部230は、第1金型800の抜き勾配のため、接続面231の外寸より、接続面231と対向する面233の外寸のほうが小さくなる。このように構成することで、88種類の錘部230を製造するのに、1個の第2金型810を兼用することができ、錘部230の製造工程をさらに簡略化することができる。
第1金型800および第2金型810は、錘部230を製造するときに、錘部230の表面に異なる表面粗さを形成することができる。図14において、錘部230は、第1金型800および第2金型810から、D1方向に離型する。第1金型800および第2金型810には、異なる角度を有する面に異なる表面粗さを形成する。離型時の干渉を考慮して、離型の方向(D1方向)に対して平行に近い面は、表面粗さを小さく形成してもよい。しかしながらこれに限定されず、離型できる範囲で各面の表面粗さを設定すればよい。例えば、金型の抜き方向(D1方向)に近い面で、離型できる程度の表面粗さを有し、抜き方向に対向する面が金型の抜き方向(D1方向)に近い面よりも大きい表面粗さを有するようにしてもよい。そして、第1金型800および第2金型810の表面は、あらかじめ異なる表面粗さに形成してもよい。このような第1金型800および第2金型810を用いることで、任意の表面粗さを有する錘部230を形成することができる。さらに錘部230は、例えば、離型後に表面を研磨してもよい。錘部230に表面処理を施すことによって、錘部230の各面は任意の表面粗さに形成することができる。
[鍵盤アセンブリの動作]
図15は、第1実施形態における鍵(白鍵)を押下したときの鍵アセンブリの動作を説明する図である。図15(A)は、鍵100がレスト位置(押鍵していない状態)にある場合の図である。図15(B)は、鍵100がエンド位置(最後まで押鍵した状態)にある場合の図である。鍵100が押下されると、棒状可撓性部材185は回動中心となって曲げ変形を生じる。このとき鍵100は、前端鍵ガイド151および側面鍵ガイド153による前後方向の移動の規制によって、上下方向(回動方向)に移動する。これに伴い、ハンマ支持部120が前端部210を押し下げることで、ハンマアセンブリ200が回動軸520を中心に回動する。錘部230が上側ストッパ430に衝突することによって、ハンマアセンブリ200の回動が止まり、鍵100がエンド位置に達する。また、センサ300が前端部210によって押されると、センサ300は、押された量(押鍵量)に応じた複数の段階で、検出信号を出力する。
一方、離鍵すると、錘部230は重力に伴い下方に移動して、ハンマアセンブリ200が回動する。これに伴い、前端部210がハンマ支持部120を押し上げることで、鍵100が上方に回動する。錘部230が下側ストッパ410に接触することで、ハンマアセンブリ200の回動が止まり、鍵100がレスト位置に戻る。
上述した実施形態では、ハンマアセンブリを適用した鍵盤装置の例として電子ピアノを示した。一方、上記実施形態の回動部材は、これに限定されず、鍵の操作に応じて弦や音板等の発音体をハンマが打撃して発音するアコースティック楽器の鍵盤機構のハンマアセンブリに用いてもよい。あるいは、鍵盤装置におけるアクション機構を構成する部品において、音高に応じて異なる構造を持つものであれば、それに適用可能である。例えば、鍵盤楽器のアクション機構におけるジャックやサポートにおいて、回動部材と当該回動部材を回動自在に軸支する支持部とを有する回動機構に上記実施形態の識別子を適用することができる。
なお、上述の実施形態では、ハンマ本体部と錘部をそれぞれ単一部材で構成するものとしたが、それぞれ複数の部材で構成されるものであってもよい。例えば、ハンマ本体部の軸受けは、別部品としてもよい。また、その場合、軸受け部品を複数種類用意し、軸受けを除くハンマ本体部の部分は共通として、軸受部を組み付けたハンマ本体部が複数種類構成するようにしてもよい。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施形態では、鍵で駆動される構成としたが、これに限定されない。例えば、他のアクション部材(例えば、アコースティックピアノのアクション機構を構成するジャックやサポートなど)によって駆動されるものでもよい。また、ハンマアセンブリの構成として、回動軸支部、他の部材から力を受ける部分、センサ駆動部分、錘の配置は、実施例に限定されず、鍵盤構造に合わせて適宜設計すればよい。また、鍵がセンサを駆動する場合はセンサ駆動部分は省略できるなど、本実施形態のハンマアセンブリが備える機能全てを必ずしも有する必要はなく、その構成も適宜設計すればよい。また、ハンマアセンブリを回動部材として、上述の実施形態ではハンマ本体部と錘部を別構成としたが、ハンマ単体として形成してもよく、その場合、上述の実施形態におけるハンマ本体部205と錘部230を一体に構成されるもので、識別子を付したものであればよい。
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態における第1の識別子および第2の識別子とは異なる構成の第1の識別子および第2の識別子について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様である部分の繰り返しの説明は省略する。
図16は、本実施形態における第1の識別子の詳細の構造を説明する図である。図16(A)は、錘部230wl1の第1の識別子232cをスケール方向(回動軸方向、図3D1方向)に見た拡大図である。図16(B)は、錘部230wlをハンマアセンブリ200の延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組み込まれた状態においては演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)に見たH−H’断面図である。図16(C)は、図16(B)の第1の識別子232cを有する領域Iの拡大断面図である。
図16(C)に示すように、本実施形態に係る第1の識別子232cは、側面2322cおよび側面同士を接続する上面2324cを備える凸構造を有する。凸構造の側面2322cは、面233cに対して略垂直に接続する。凸構造の側面2322cは、面233cと異なる表面粗さを有する。凸構造の上面2324cは、面233cに対して略平行に凸構造の側面2322c同士を接続する。凸構造の上面2324cは、面233cと異なる表面粗さを有する。
凸構造の側面2322cは、ハンマアセンブリ200cの回動方向(図3D2方向)に対して略垂直である。側面2322cは、接続面231cと隣接する面235cに対する角度が、接続面231cと対向する面233cに対する角度より小さい。さらに対向する側面2322c同士は、略平行である。しかしながらこれに限定されず、側面2322cは面233cに対して垂直でなくてもよく、対向する側面2322c同士は平行でなくてもよい。この場合、側面2322cと上面2324cとによって形成される凸構造は、テーパー型であることが好ましい。すなわち、凸構造の側面2322cは、面233cに対して鈍角に接続するとよい。さらに、対向する側面2322c同士は凸方向に交差して接続してもよい。
凸構造の上面2324cは、ハンマ本体部205cに対して錘部230cの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)から視認可能である。換言すると、凸構造の上面2324cは、接続面231cと直交する方向から視認可能である。凸構造の上面2324cは面233cと異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205cに対して錘部230cの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第1の識別子232cを容易に視認することができる。このため、錘部230cをハンマ本体部205cに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200cを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
しかしながらこれに限定されず、凸構造の上面2324cは、面233cに対して角度を有して凸構造の側面2322c同士を接続してもよい。図16(D)は、本実施形態の変形例に係る第1の識別子232dを有する領域の拡大断面図である。図16(D)に示すように、本変形例に係る第1の識別子232dは、側面2322dおよび側面2322dを接続する上面2324dを備える凸構造を有する。凸構造の側面2322dは、面233dに対して略垂直に接続する。凸構造の側面2322dは、面233dと異なる表面粗さを有する。凸構造の上面2324dは、面233dに対して角度を有して凸構造の側面2322d同士を接続する。凸構造の上面2324dは、面233dと異なる表面粗さを有する。
上構造の上面2324dは、ハンマ本体部205dに対して錘部230dの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)から視認可能である。換言すると、上構造の上面2324dは、接続面231dと直交する方向から視認可能である。凸構造の上面2324dは、面233dと異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205dに対して錘部230dの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第1の識別子232dを容易に視認することができる。このため、錘部230dをハンマ本体部205dに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200dを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
図16おいて、第1の識別子232は1つの凸構造で示した。しかしながらこれに限定されず、第1の識別子232は複数の凸構造の組み合わせであってもよい。それぞれの凸構造は、異なる高さを有してもよく、凸構造同士は接続していてもよい。また凸構造の上にさらなる凸構造を有してもよい。
図17および図18は、本実施形態における第2の識別子の詳細の構造を説明する図である。図17(A)は、錘部230wl1の第2の識別子234eを回動方向(図3D2方向)に下面側から見た拡大図である。図17(B)は、錘部230wlをハンマアセンブリ200eの延びる方向(ハンマアセンブリが鍵盤装置に組み込まれた状態においては演奏者から見た奥側から手前方向、図3D3方向)に見たJ−J’断面図である。図17(C)は、図17(B)の第2の識別子234eを有する領域Kの拡大断面図である。図18(A)は、錘部230wl1の第2の識別子234eを、ハンマ本体部205eに対する錘部230eの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)から見た拡大図である。図18(B)は、錘部230wlを回動方向(図3D2逆方向)に上面側から見たL−L’断面図である。第2の識別子234eを有する面238eは、接続面231eと対向する面233eに対する角度a1が、接続面231eと隣接する面235eに対する角度a2より大きい。
図17(C)および図18(C)に示すように、本実施形態に係る第2の識別子234eは、側面2342e(第2の面)、側面2342eと対向する側面2343e(第3の面)、側面2342eと側面2343eとを接続する側面2345e(第5の面)、および側面同士を接続する上面2344e(第4の面)を備える凸構造を有する。凸構造の側面2342e(第2の面)は、面238e(第1の面)に対して鈍角b1に接続する。凸構造の側面2342e(第2の面)と対向する凸構造の側面2343e(第3の面)は、面238e(第1の面)に対して鋭角b2に接続する。凸構造の側面2345e(第5の面)は、面238e(第1の面)に対して略垂直b3に凸構造の側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)とを接続する。凸構造の側面2342e、側面2343e、および側面2345eは、面238e(第1の面)とは異なる表面粗さを有する。
側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)と側面2345e(第5の面)は、接続面231eと対向する面233eに対して略垂直である。すなわち、側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)と側面2345e(第5の面)は、ハンマアセンブリ200eの回動方向(図3D2方向)に対して略垂直である。側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)と側面2345e(第5の面)は、接続面231eと隣接する面235eに対する角度が、接続面231eと対向する面233eに対する角度より小さい。さらに対向する側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)とは略平行である。しかしながらこれに限定されず、側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)と側面2345e(第5の面)は、面233eに対して垂直でなくてもよく、対向する側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)とは平行でなくてもよい。この場合、側面2342e(第2の面)、側面2343e(第3の面)、側面2345e(第5の面)、および上面2344e(第4の面)によって形成される凸構造は、テーパー型であることが好ましい。さらに、対向する側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)とは凸方向に交差して接続してもよい。
少なくとも一部の側面2342e(第2の面)は、面238e(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凸構造の側面2342e(第2の面)は、面238e(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238e(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234eを容易に視認することができる。さらに、少なくとも一部の側面2342e(第2の面)は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときにも視認可能である。凸構造の側面2342e(第2の面)は、面238e(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときに第2の識別子234eを容易に視認することができる。このため、錘部230eをハンマ本体部205eに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200eを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
凸構造の上面2344e(第4の面)は、面238e(第1の面)に対して略平行に凸構造の側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)と側面2345e(第5の面)とを接続する。凸構造の上面2344e(第4の面)は、面238e(第1の面)と異なる表面粗さを有する。また凸構造の上面2344e(第4の面)は、側面2342e(第2の面)、側面2343e(第3の面)、および側面2345e(第5の面)とは異なる表面粗さを有する。
少なくとも一部の上面2344e(第4の面)は、面238e(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凸構造の上面2344e(第4の面)は、面238e(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238e(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234eを容易に視認することができる。また、凸構造の上面2344e(第4の面)は、側面2342e(第2の面)と異なる表面粗さを有することから、面238e(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234eを容易に視認することができる。さらに、上面2344e(第4の面)は、ハンマ本体部205eに対して錘部230eの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときにも視認可能である。凸構造の上面2344e(第4の面)は、面238e(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205eに対して錘部230eの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第2の識別子234eを容易に視認することができる。このため、錘部230eをハンマ本体部205eに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200eを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
しかしながらこれに限定されず、凸構造の上面2344e(第4の面)は、面238e(第1の面)に対して角度b4を有して凸構造の側面2342e(第2の面)と側面2343e(第3の面)とを接続してもよい。図17(D)は、本実施形態の変形例に係る第2の識別子234fを有する領域の拡大断面図である。図17(D)に示すように、本変形例に係る第2の識別子234fは、側面2342f(第2の面)、側面2342fと対向する側面2343f(第3の面)、側面2342bと側面2343bとを接続する側面2345b(第5の面)、および側面2342fと側面2343fとを接続する上面2344f(第4の面)を備える凸構造を有する。凸構造の側面2342f(第2の面)は、面238f(第1の面)に対して鈍角b1に接続する。凸構造の側面2342f(第2の面)と対向する凸構造の側面2343f(第3の面)は、面238f(第1の面)に対して鋭角b2に接続する。凹構造の側面2345f(第5の面)は、面238f(第1の面)に対して略垂直b3に凹構造の側面2342f(第2の面)と側面2343f(第3の面)とを接続する。凸構造の側面2342f、側面2343f、および側面2345fは、面238fと異なる表面粗さを有する。
少なくとも一部の側面2342f(第2の面)は、面238f(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凸構造の側面2342f(第2の面)は、面238f(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238f(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234fを容易に視認することができる。さらに、少なくとも一部の側面2342f(第2の面)は、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときにも視認可能である。凸構造の側面2342f(第2の面)は、面238f(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、回動方向(図3D2方向)に下面側から見たときに第2の識別子234fを容易に視認することができる。このため、錘部230fをハンマ本体部205fに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200fを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
凸構造の上面2344f(第4の面)は、面238f(第1の面)に対して角度b4を有して凸構造の側面2342f(第2の面)と側面2343f(第3の面)と側面2345f(第5の面)とを接続する。凸構造の上面2344f(第4の面)は、面238f(第1の面)と異なる表面粗さを有する。また凸構造の上面2344f(第4の面)は、側面2342f(第2の面)、側面2343f(第3の面)、および側面2345f(第5の面)と異なる表面粗さを有する。
少なくとも一部の上面2344f(第4の面)は、面238f(第1の面)と直交する方向から視認可能である。凸構造の上面2344f(第4の面)は、面238f(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、面238f(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234fを容易に視認することができる。また、凸構造の上面2344f(第4の面)は、側面2342f(第2の面)と異なる表面粗さを有することから、面238f(第1の面)と直交する方向から見たときに第2の識別子234fを容易に視認することができる。さらに、上面2344f(第4の面)は、ハンマ本体部205fに対して錘部230fの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときにも視認可能である。凸構造の上面2344f(第4の面)は、面238f(第1の面)と異なる表面粗さを有することから、ハンマ本体部205fに対して錘部230fの組付け方向(回動軸方向、図3D1方向)に見たときに第2の識別子234fを容易に視認することができる。このため、錘部230fをハンマ本体部205fに組み付けるとき、およびハンマアセンブリ200fを鍵盤装置に組み付けるときに、生産性を向上することができる。
図17おいて、第2の識別子234eは1つの凸構造で示した。しかしながらこれに限定されず、第2の識別子234eは複数の凸構造の組み合わせであってもよい。それぞれの凸構造は、異なる高さを有してもよく、凸構造同士は接続していてもよい。また凸構造の中にさらなる凸構造を有してもよい。また、第1の識別子232cの凸構造を構成する側面2322cと、第2の識別子234eの凸構造を構成する側面2342e(第2の面)、側面2343e(第3の面)、および側面2345e(第5の面)とは略平行である。
図19に示すように、第2の識別子234は、第1実施形態に係る凹構造および第2実施形態に係る凸構造の組み合わせであってもよい。また、第2の識別子234は、複数の凹構造および凸構造の組み合わせであってもよい。それぞれの凹構造および凸構造は、それぞれ異なる高さを有してもよく、凹構造および凸構造は接続していてもよい。また凹構造および凸構造の中にさらなる凹構造および凸構造を有してもよい。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施形態では、断面がストレートな凸構造あるいは凹構造として、第2の面は第1の面に対して鈍角であり、第3の面は第1の面に対して鋭角となるように構成したが、断面がテーパー状(すなわち台形形状)の凸構造や凹構造とすることで、第2の面は第1の面に対して鈍角であり、第3の面は第1の面に対しとなるように構成してもよい。